JP2004069374A - バリアブルリラクタンスレゾルバ - Google Patents

バリアブルリラクタンスレゾルバ Download PDF

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Abstract

【課題】外部から混入する漏洩磁束の影響を低減した出力巻線を施したバリアブルリラクタンスレゾルバを提供する。
【解決手段】レゾルバ励磁巻線と、回転子の回転に従って回転角のX成分、Y成分をそれぞれ出力する複数の固定子磁極610乃至629に卷回されたレゾルバ出力巻線を備えるバリアブルリラクタンスレゾルバにおいて、3個以上並ぶ固定子磁極に卷回される出力巻線の出力電圧の極性が同一となるように卷回され、全ての出力巻線を2以上の偶数個のグループ(G1、G2、G3、G4)に分け、隣り合うグループの出力電圧の極性が互いに異なるように出力巻線を直列に接続する。また、前記グループ内の出力巻線の巻数は、隣り合う各グループ側に位置する出力巻線の巻数が、当該グループ内において前記出力巻線より内側に位置する出力巻線の巻数より少なくなるように卷回されている。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、バリアブルリラクタンスレゾルバに関し、とくに外部磁気に対して出力電圧の影響が少ないバリアブルリラクタンスレゾルバに関する。
【0002】
【従来の技術】
電動機、発電機等の回転機械の回転位置を検出する検出装置の1つとしてレゾルバがある。レゾルバは、ホール素子やホトトランジスタを備えたエンコーダにくらべて悪環境でも使用に耐える点で悪条件の下で使用される回転機械の回転位置検出装置として多々採用される。このようなレゾルバは、ケース内に配設され、前記電動機、発電機等の励磁コイルに隣接した位置に配置されているのが一般的である。そのため、電動機、発電機等の励磁コイルに流れる励磁電流に基づいて発生する電磁ノイズが、レゾルバのステータの励磁巻線や出力巻線に重畳されて正確な回転位置検出ができなくなる場合がある。
【0003】
前記レゾルバとして、回転子に巻線を巻回せず、複数個の磁極を有する固定子磁極の同じ極に励磁巻線と出力巻線を巻回して、複数の固定子磁極の出力巻線を直列に接続して一つの出力巻線の出力として得る構造のバリアブルリラクタンスレゾルバがある。該バリアブルリラクタンスレゾルバは、図10に示すように、その固定子5に複数の固定子磁極51と回転子52に複数個の歯55を設けて、当該固定子磁極51の同じ極に励磁巻線53と、回転子のX方向成分を出力する出力巻線54X、および回転子のY方向成分を出力する出力巻線54Yを巻回してある。
【0004】
かかるバリアブルリラクタンスレゾルバは、例えば図11に示すように、回転子52のX方向成分を出力する出力巻線54X、および回転子のY方向成分を出力する出力巻線54Yが、レゾルバの回転角度に対応してディジタル出力するレゾルバディジタル回路30に接続されて用いられる。前記バリアブルリラクタンスレゾルバでは、軸倍角N(回転子52の1回転で得られる出力電圧のサイクル数)、励磁極対数P、出力極対数Q、スロット(出力磁極)数Sの関係は、以下のように表される。但し、式1の±は、軸倍角Nに応じて適宜決定される。
N=(P±Q)          (式1)
S=2*m*P            (式2)
(mは整数)
【0005】
発明の理解を容易にするために以下、従来のバリアブルリラクタンスレゾルバについて図11を用いて説明する。回転子のX方向成分を出力する出力巻線54Xの出力は、励磁巻線53によって出力巻線54Xに誘起する電圧が作る磁化の方向が励磁巻線53の磁化と同じ方向の場合、任意の一つの極に誘起される電圧ENSは励磁巻線53に加える交流電圧VPをEsinωtとすると、式3で示される。ここでωは角周波数で2πfで表される。ただしfは周波数、a、bは励磁巻線53、出力巻線54X、および回転子と固定子の特性で決まる定数である。
ENS=(a+bsinθ)・Esinωt           (式3)
【0006】
また、励磁巻線53によって出力巻線54Xに誘起する電圧が作る磁化の方向が励磁巻線53の磁化と異なる方向の場合、任意の一つの極に誘起される電圧ENNは式4で示される。
ENN=(−a+bsinθ)・Esinωt           (式4)
【0007】
いま任意の極に巻回する励磁巻線53と出力巻線54Xの関係を以下のように定める。すなわち励磁巻線53は磁化のN極とS極が1極ごとに交互に生じるように巻回し、出力巻線54XはN極とS極が2極一組で生じるように巻回してある。すなわち第1の極の励磁巻線53がN極の場合、出力巻線54Xの第1の極と第2の極はN極に、第3の極と第4の極はS極になり、以後これを繰り返す。出力巻線54Yについても同様である。
【0008】
かかる構造に巻回した出力巻線の極1と極2を直列接続した場合の電圧V12は式3と式4から式5となる。
V12=(a+bsinθ)・Esinωt+(−a+bsinθ)・Esinωt  (式5)
同様にして、極3と極4によって式6の電圧V34が生じる。
V34=−(a+bsinθ)・Esinωt−(−a+bsinθ)・Esinωt(式6)
式5と式6を整理すると、隣り合う極と極を直列接続した時には定数aの項が消去されて、式7のような電圧V12、V34が得られる。
V12=2bsinθ・Esinωt=−V34         (式7)
従って2の倍数の極数の場合にはすべての極の出力巻線を直列接続すると定数aの項が消去されて出力巻線54Xの出力電圧VSは式8になる。ここでKKは定数bと極数によって決まる定数で、極の数をNNとすると式9で表せる。
VS=KKsinθ・Esinωt                (式8)
KK=NN・B                      (式9)
従って、式10で示すように、回転子の回転角度θの変化に応じた出力が得られる。
VS=NN・B・sinθ・Esinωt            (式10)
同様にして出力巻線54Yの出力電圧も求められ、各出力はレゾルバディジタル回路30に加えられ、角度が測定される。
【0009】
前述したように固定子の同じ極に励磁巻線と出力巻線を巻回して、複数の極の出力巻線を直列に接続して一つの出力巻線の出力として得るバリアブルリラクタンスレゾルバは、電動機、発電機等とともに使用される。外部より磁界がレゾルバに印加された場合、バリアブルリラクタンスレゾルバの前記固定子には、前記外部磁界による磁束が混入する場合が多々ある。該外部磁束はバリアブルリラクタンスレゾルバの各固定子巻線に電圧を誘起し、それぞれが加算されて出力巻線に誘起電圧を発生し、該誘起電圧は、前記式10に示す出力VSに影響してバリアブルリラクタンスレゾルバの精度が低下する。
【0010】
前記バリアブルリラクタンスレゾルバの出力巻線への外部磁束の影響について以下、図12乃至図14を用いて説明する。図12に示すバリアブルリラクタンスレゾルバにおいて、励磁電圧により固定子磁極510乃至515に卷回されている出力巻線(G1の出力巻線と称する)には同一極性Sの電圧が誘起され、固定子磁極516乃至521に卷回されている出力巻線(G2の出力巻線と称する)には前記極性Sと異なる同一極性Nの電圧が誘起されるように、図示していない出力巻線が卷回されている。かかるバリアブルリラクタンスレゾルバに外部から外部磁束Φが軸X0方向(固定子磁極518、519間に水平方向)から固定子5に混入される場合について説明する。なお、軸Y0は、軸X0と直角方向の軸である。
【0011】
図12に示すように、励磁電圧によりG1の出力巻線は同一極性Sの電圧が誘起され、G2の出力巻線には前記極性Sと異なる同一極性Nの電圧が誘起されるように各出力巻線が卷回されている。一方、外部磁束Φが軸X0方向から混入される場合、軸Y0に対して左側と右側(G1の出力巻線とG2の出力巻線)に作用する外部磁束Φの方向は互いに逆方向(G2は固定子5の外側から外部磁束Φが混入し、G1は固定子5の内側、即ち各固定子磁極の先端から外部磁束Φが混入する)である。その結果、G2の出力巻線はG1の出力巻線の極性とは逆極性になるように卷回されているが、G1とG2の出力巻線に誘起される電圧は同じ極性(N)及びNとなりそれぞれが加算されて出力される。即ち、全ての出力巻線が外部磁束による影響を直接うける。
【0012】
また、図12と異なる固定磁極歯の数と出力巻線を有する、図13のような軸倍角が5、固定子磁極数が20であるバリアブルリラクタンスレゾルバにおける出力巻線への外部磁束の影響は、以下のようになる。図13のバリアブルリラクタンスレゾルバは、隣り合う2個の固定子磁極の1組(例えば固定子磁極611と612)に卷回されている出力巻線(A組の出力巻線と称する)には同一極性Sの電圧が誘起され、A組に隣り合う2個の固定子磁極の1組(例えば固定子磁極613と614)に卷回されている出力巻線(B組の出力巻線と称する)には前記A組の出力巻線の極性Sと異なる極性Nの電圧が誘起されるように図示していない出力巻線が卷回されている。以下同様に、隣り合う固定子磁極2個を1組としてA組の出力巻線とB組の出力巻線が交互に卷回されている。
【0013】
かかるバリアブルリラクタンスレゾルバに外部磁束Φが軸X0方向(固定子磁極624、625間に水平方向)から固定子5に混入される場合の前記外部磁束Φが出力巻線におよぼす影響について図13を用いて説明する。なお、軸Y0は、軸X0と直角方向の軸である。図13に示すように、励磁巻線に印加される励磁電圧によりA組の各出力巻線には同一極性Sの電圧が誘起され、B組の各出力巻線には前記極性Sと異なる同一極性Nの電圧が誘起されるので、外部磁束Φによる誘起電圧も同様に作用する。しかし、外部磁束Φが軸X0方向から混入される場合、軸Y0に対して左側と右側に作用する外部磁束Φの方向は互いに逆方向(軸Y0に対して左側は固定子5の外側から外部磁束Φが混入し、軸Y0に対して右側は固定子5の内側、即ち各固定子磁極の先端から外部磁束Φが混入する)である。
【0014】
従って、励磁巻線に印加される電圧により各出力巻線に誘起される電圧は、A組の各出力巻線は同一極性、B組の各出力巻線は当該組内では同一極性となるように出力巻線が卷回されているが、外部磁束Φに対する誘起電圧は、軸Y0の左側と右側では出力巻線に対する外部磁束の方向が異なり、その結果誘起電圧の極性も異なる。即ち、軸Y0の右側に卷回されている出力巻線の誘起電圧の極性は反転して逆極性(それぞれ符号(S)、(N)で示す)になる。その結果、外部磁束Φによって生ずる誘起電圧は、軸Y0の同じ側にある隣り合う出力巻線間、あるいは軸X0の互いに対向する位置にある出力巻線間、(例えば符号Kで囲む出力巻線629と620間)で互いに打ち消しあう。
【0015】
一方、図14に示すように、外部磁束Φが前記図13の場合と異なる角度、軸X0方向(固定子磁極625、626間に水平方向)から固定子5に混入される場合は以下のようになる。即ち、外部磁束Φによって生ずる誘起電圧は、軸Y0の同じ側にある隣り合う出力巻線間、あるいは軸X0の互いに対向する位置にある全ての出力巻線間で打ち消しあわず、A組の出力巻線とB組の出力巻線とに誘起される電圧は、隣り合う組の出力巻線間(例えば出力巻線628と629間)で互いに打ち消しあう。しかし、外部磁束Φと固定子磁極の角度が、前記互いに打ち消しあう出力巻線において異なる(例えば出力巻線628と629間)ので、外部磁束Φの混入する割合が異なる。その結果、誘起された電圧は各組内で打ち消されずに残る。
【0016】
又、励磁巻線に印加される励磁電圧により生じる電圧は、出力巻線610、621及び出力巻線611、620の出力巻線において、それぞれ互いに逆極性N、Sとなるように卷回されているが、出力巻線610、621及び出力巻線611、620の出力巻線に作用する外部磁束Φの方向は、軸Y0を境にしてその左側と右側の出力巻線それぞれに作用する外部磁束Φの方向が逆方向であるために、それぞれ逆方向である。その結果、出力巻線610、621と出力巻線611、620の出力巻線とは逆極性N、Sであるが、両コイルに誘起される電圧はそれぞれ同極性N(N)となり、それぞれが加算されて出力され、出力巻線610、611、620、621(符号K1で囲む出力巻線)は、外部磁束による影響を直接うける。
【0017】
即ち、図13に示すように、隣り合う2個の固定子磁極を1組として、任意の1組の出力巻線には同一極性Sの電圧が誘起され、前記任意の1組に隣り合う他の組の出力巻線には前記極性Sと異なる同一極性Nの電圧が誘起されるように出力巻線が交互に卷回されているバリアブルリラクタンスレゾルバでは、外部磁束Φの混入される方向によりその影響の度合いが異なる。
【0018】
前記レゾルバが外部磁界の影響を受ける問題点を解決するために、磁気シールドを各部に施す各種の磁気シールドが開示されていて、例えば特開2001−191931公報に開示されている発明があり、モータのステータとレゾルバのステータとが同一のハウジングに固定され、前記モータのステータと前記レゾルバのステータとの間に中空円盤状の磁気シールド部材が配設されている。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前記磁気シールドは、磁気抵抗の低いシールド部材が必要であり、かかるシールド部材は高価であると共に、バリアブルリラクタンスレゾルバをシールドすることにより装置が大型化する。更に、外部磁束が何処から浸入するかを把握し、その効果がある場所に磁気シールドを施すことが必要であるが、前記効果のある場所の把握が困難な場合が多い。又、前記場所にシールド部材を配設するスペースがない場合もある等の問題点がある。一方、磁気シールドを施さないと、図12に示したような出力巻線では、全ての出力巻線が外部磁束による影響をうけ、図13示したような出力巻線では、外部磁束が混入する方向により異なる出力巻線がその影響をうけるなどの問題点がある。
【0020】
本発明は、前記問題点を解決して外部磁束の影響を低減した出力巻線を施したバリアブルリラクタンスレゾルバを提供することを目的としてなされたものである。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するために請求項1記載のバリアブルリラクタンスレゾルバは、レゾルバ励磁巻線と、回転子の回転に従って回転角のX成分、Y成分をそれぞれ出力するレゾルバ出力巻線と、該出力巻線が卷回される複数の固定子磁極を具備するバリアブルリラクタンスレゾルバにおいて、3個以上並ぶ固定子磁極に卷回される前記出力巻線の出力電圧の極性が同一となるように卷回された前記出力巻線を1グループとし、全ての出力巻線を2以上の偶数個のグループに分け、前記隣り合うグループの出力電圧の極性が互いに異なるように前記出力巻線がそれぞれ直列に接続されていることを特徴とする。
【0022】
請求項2記載のバリアブルリラクタンスレゾルバは、請求項1記載のバリアブルリラクタンスレゾルバにおいて、前記グループ内の出力巻線の巻数は、隣り合う前記各グループ側に位置する固定子磁極に卷回されている出力巻線の巻数が、当該グループ内において前記固定子磁極より内側に位置する固定子磁極に卷回されている出力巻線の巻数より少ないことを特徴とする。
【0023】
請求項3記載のバリアブルリラクタンスレゾルバは、請求項1記載のバリアブルリラクタンスレゾルバにおいて、レゾルバ励磁巻線と、回転子の回転に従って回転角のX成分、Y成分をそれぞれ出力するレゾルバ出力巻線と、該出力巻線が卷回される複数の固定子磁極を具備する、軸倍角が7、励磁極対数が5、出力極対数が2、固定子磁極数が20であるバリアブルリラクタンスレゾルバにおいて、5個並ぶ固定子磁極に卷回される前記出力巻線の出力電圧の極性が同一となるように卷回された前記出力巻線を1グループとし、全ての出力巻線を4つのグループに分け、前記隣り合うグループの出力電圧の極性が互いに異なるように前記出力巻線がそれぞれ直列に接続されていることを特徴とする。
【0024】
【発明の実施の形態】
本発明におけるバリアブルリラクタンスレゾルバの出力巻線は、以下のような構成である。即ち、3個以上並ぶ固定子磁極に卷回される出力巻線の出力電圧の極性が同一となるように卷回された出力巻線を1グループとする。そして、全ての出力巻線を2以上の偶数個のグループに分け、前記隣り合うグループの出力電圧の極性が互いに異なるように出力巻線をそれぞれ直列に接続する。
【0025】
また、前記グループ内の出力巻線の巻数は、隣り合う各グループ側に位置する固定子磁極に卷回されている出力巻線の巻数が、当該グループ内において前記固定子磁極より内側に位置する固定子磁極に卷回されている出力巻線の巻数より少ない。
【0026】
前記構成において、本発明の理解を容易ならしめるために、軸倍角が7、励磁極対数が5、出力極対数が2、固定子磁極数が20である、図1に示すバリアブルリラクタンスレゾルバについて説明をする。図1の固定子5は、固定子5には20個の固定子磁極610乃至629が形成されていて、図13に示した固定子5と同一数の固定子磁極を有するが、固定子磁極に卷回されている出力巻線の構成が以下のように異なる。まず、前記出力巻線の極性について説明する。
【0027】
図1において、5個並ぶ固定子磁極を1グループとして、固定子磁極610乃至614、615乃至619、620乃至624、625乃至629を、それぞれグループ1(G1)、グループ2(G2)、グループ3(G3)、グループ4(G4)の4つのグループに分ける。前記各グループにおいて、G1、G2、G3、G4内では、励磁電圧により前記図示していない各出力巻線の出力電圧の極性が同一となるように卷回されており、それぞれ直列に接続されている。又、前記G1とG3内でそれぞれ直列に接続された出力巻線の出力電圧は、励磁電圧により同一極性Sの電圧を出力する。同様にG2とG4内でそれぞれ直列に接続された出力巻線の出力電圧は、励磁電圧により前記G1とG3とは逆の極性Nの電圧を出力する。
【0028】
前述のように、各グループ(G1、G2、G3、G4)内には、それぞれ5個の固定子磁極があり、隣り合う前記各グループ側に位置する出力巻線の巻数が、当該グループ内において、前記固定子磁極より内側に位置する出力巻線の巻数より少ない。例えば、G1では、隣り合うG4、G2側に位置する固定子磁極610及び614に卷回されている出力巻線の巻数が、当該G1内において、前記固定子磁極610及び614より内側に位置する固定子磁極611及び613に卷回されている出力巻線の巻数より少ない。同様にして、隣り合うG4、G2側に位置する固定子磁極611及び613に卷回されている出力巻線の巻数が、当該G1内において、前記固定子磁極611及び613より内側に位置する固定子磁極612に卷回されている出力巻線の巻数より少ない。以下、G2、G3、G4についても同様である。このように、隣り合う前記各グループ側に位置する出力巻線の巻数を当該グループ内において前記固定子磁極より内側に位置する出力巻線の巻数より少なくすることにより、励磁電圧による式10で示される出力電圧が滑らかになり、バリアブルリラクタンスレゾルバの精度が向上する。
【0029】
前記のように卷回されたバリアブルリラクタンスレゾルバの出力巻線への外部磁束Φの影響について以下、図2乃至図4を用いて説明する。図2において、バリアブルリラクタンスレゾルバの固定子5の外部から外部磁束Φが軸X0方向(固定子磁極624、625間に水平方向)から固定子5に混入される場合について説明する。なお、軸Y0は、軸X0と直角方向の軸である。
【0030】
図2に示すように、励磁巻線に印加される励磁電圧によりG1及びG3の出力巻線には同一極性Sの電圧が誘起され、G2及びG4の出力巻線には前記極性Sと異なる極性Nの電圧が誘起されるので、外部磁束Φによる誘起電圧も同様に作用する。即ち、G3、G4は固定子5の外側から外部磁束Φが混入し、G1、G2には固定子5の内側、即ち各固定子磁極の先端から外部磁束Φが混入する。各出力巻線に誘起される電圧は、G1、G3の各出力巻線は同一極性S、G2、G4の各出力巻線はG1、G3の極性Sと逆極性Nとなるように出力巻線が卷回されているが、外部磁束Φに対して軸Y0の左側と右側では異なる。即ち、軸Y0の右側に卷回されている出力巻線の極性は反転して逆極性(それぞれ符号(S)、(N)で示す)になる。その結果、G1及びG3の出力巻線とG2及びG4の出力巻線とに誘起される電圧は、固定子5の中心に対して互いに対向する位置にある出力巻線(例えば符号Kで囲む固定子磁極629と619に卷回されている出力巻線)間で互いに打ち消しあう。
【0031】
また、図3に示すように、外部磁束Φが図2と異なる方向(固定子磁極625、626間に水平方向)から固定子5に混入される場合には以下のようになる。即ち、軸Y0を境にして、その左側と右側の出力巻線に作用する外部磁束Φの方向は逆方向である。従って、外部磁束Φにより、出力巻線に誘起される電圧は、軸Y0を境にして右側で反転する。(それぞれ符号(S)、(N)で示す。)その結果、出力巻線に誘起される電圧は、固定子5の中心に対して互いに相対する位置にある出力巻線(例えば符号Kで示す固定子磁極629と619に卷回されている出力巻線)間で互いに打ち消しあう。同様に、固定子磁極614と624に卷回されている出力巻線間に誘起される電圧も互いに打ち消しあう。他の出力巻線についても同様である。即ち、かかる角度で外部磁束Φが混入しても、何れかの出力巻線において、必ず誘起される電圧が打ち消される出力巻線が存在する。
【0032】
又、図4に示すように、更に外部磁束Φが図3と異なる方向(固定子磁極626、627間に水平方向)から固定子5に混入される場合には以下のようになる。即ち、軸Y0を境にして、その左側と右側の出力巻線に作用する外部磁束Φの方向は逆方向である。又、出力巻線に誘起される電圧は、G1及びG3の出力巻線は同一極性S、G2及びG4の出力巻線は異なる極性Nとなるように卷回されているが、前記同様にして、外部磁束Φにより、軸Y0の右側では出力巻線の極性が逆極性になる。(それぞれ符号(S)、(N)で示す。)その結果、外部磁束Φにより誘起される電圧は、固定子5の中心に対して互いに相対する位置にある出力巻線(例えば符号Kで示す固定子磁極629と619に卷回されている出力巻線間、固定子磁極614と624に卷回されている出力巻線間)で互いに打ち消しあう。即ち、かかる角度で外部磁束Φが混入しても、何れかの出力巻線において、必ず誘起される電圧が打ち消される出力巻線が存在する。
【0033】
即ち、図1に示すように出力巻線を卷回することにより、どの方向から外部磁束が混入しても、必ず誘起される電圧が打ち消される出力巻線が存在し、外部磁束Φと固定子磁極の角度が、前記互いに打ち消しあう出力巻線において異なっても、固定子5の中心に対して対称となる位置の出力巻線(同一巻数である)により誘起電圧を互いに打ち消す。その結果、外部磁束Φの混入する角度が固定磁極により異なったり、磁気回路の磁気抵抗の相違によって外部磁束Φの割合が出力巻線によって異なっていても、又、前記とは異なる巻数を有する出力巻線を備えたバリアブルリラクタンスレゾルバであっても、誘起された電圧は打ち消される。
【0034】
図5により、3個以上並ぶ固定子磁極に卷回される出力巻線の出力電圧の極性が同一となるように卷回された出力巻線を1グループとして、全ての出力巻線を2以上のグループに分け、前記隣り合うグループの出力電圧の極性が互いに異なるように出力巻線をそれぞれ直列に接続した場合、誘起電圧が打ち消される場合(○)とそうでない場合(×)について説明する。即ち、2以上の偶数個のグループに分けることの必然性について説明する。
【0035】
式1、式2で示した軸倍角N、励磁極対数P、出力極対数Q、スロット(出力磁極)数Sの関係を用いて、軸倍角N=7の場合について図5を用いて説明する。式1、式2より7=(P±Q)を満足するP、Q、Sを定める。但し、前記±は、軸倍角Nにより適宜決定する。出力極対数Qが偶数の場合には、互いに打ち消しあう出力巻線が必ず存在するので誘起電圧が打ち消されるが、(○で示す)、出力極対数Qが奇数の場合には、外部磁束Φが混入する角度によって互いに打ち消しあう出力巻線が存在しない場合があり、誘起電圧が常に打ち消されない(×で示す)。例えば、N=7、P=4、Q=3、S=8kの場合、即ち、出力極対数Qが奇数の場合について、誘起電圧が打ち消されないことを図6により説明する。
【0036】
図6において、式1、式2を満足するように、4個並ぶ固定子磁極710乃至713、714乃至717、718乃至721、722乃至725、726乃至729、730乃至733を、それぞれグループ1(G1)、グループ2(G2)、グループ3(G3)、グループ4(G4)、グループ5(G5)、グループ6(G6)の6つのグループに分ける。前記各グループにおいて、図示していない各出力巻線は、G1、G2、G3、G4、G5、G6内では、励磁巻線に印加される励磁電圧により各出力巻線の出力電圧の極性が同一となるように卷回されており、それぞれ直列に接続されている。又、前記G1、G3、G5内でそれぞれ直列に接続された出力巻線の出力電圧は、同一極性Nの電圧を出力する。同様にG2、G4、G6内でそれぞれ直列に接続された出力巻線の出力電圧は、同一極性であって前記G1、G3、G5とは逆の極性Sの電圧を出力する。
【0037】
図6において、バリアブルリラクタンスレゾルバの固定子5の外部から外部磁束Φが軸X0方向(固定子磁極729、730間に水平方向)から固定子5に混入される場合について説明する。なお、軸Y0は、軸X0と直角方向の軸である。図6に示すように、励磁電圧によりG1、G3、G5の出力巻線は同一極性Nの電圧が誘起され、G2、G4、G6の出力巻線には前記極性Nと異なる極性Sの電圧が誘起されるように卷回されている。しかし、軸Y0の左側の出力巻線には固定子5の外側から外部磁束Φが混入し、軸Y0の右側の出力巻線には固定子5の内側、即ち各固定子磁極の先端から外部磁束Φが混入する。その結果、各出力巻線に誘起される電圧は、外部磁束Φに対して軸Y0の左側と右側では異なる。即ち、外部磁束Φにより軸Y0の右側に卷回されている出力巻線の極性は反転して逆極性(それぞれ符号(S)、(N)で示す)の誘起電圧を発生するように作用する。その結果、前記誘起電圧は、軸Y0に対して互いに左右相対する位置にある出力巻線(例えば符号Kで示す固定子磁極728と719に卷回されている出力巻線)間で互いに打ち消しあう。
【0038】
しかし、図7に示すように、外部磁束Φが図2と異なる方向(固定子磁極723、724間に水平方向)から固定子5に混入される場合には以下のようになる。即ち、前記同様にして固定子磁極710乃至715及び720乃至727、732乃至733に卷回されている出力巻線は、破線で囲む固定子磁極により互いに打ち消しあう出力巻線が存在するが、716乃至719、728乃至731に卷回されている符号Eで囲む出力巻線は、互いに打ち消しあう出力巻線が存在せず、外部磁束Φによる誘起電圧がそれぞれ加算される。即ち、図5において、出力極対数Qが3(奇数)の場合には、図6、図7に示すように外部磁束Φが混入する角度によって互いに打ち消しあう出力巻線が存在しない場合があり、誘起電圧が打ち消されない。
【0039】
図5に戻り、Nが7、P、Qが4、3の場合には、P、Qそれぞれを5、2としても式1が成立するが、S=8kであるために式2は成立しない。かかる場合にはバリアブルリラクタンスレゾルバが実現できず、対象外となる。また、P、Qがそれぞれ14、7で、スロット数Sが28kの場合には、Nが7のバリアブルリラクタンスレゾルバを実現できる。しかしスロット数Sが28kと多く、製造の難易度及び価格などを考慮すると実用的でない。又、かかる場合には隣り合う固定子磁極の数は2個になり、それぞれが同一極性となり、式10で示される出力電圧を滑らかにするために2個の固定子磁極の出力巻線は、その巻数が同一となる。以上の点を考慮し、本発明の実施形態では出力極対数Qが奇数の場合を除いている。
【0040】
【実施例】
本発明におけるバリアブルリラクタンスレゾルバの実施例について以下に説明する。本実施例の固定子5の固定子磁極番号と、そこに卷回される励磁巻線及び出力巻線の仕様を図8に示す。図において、+または−は、巻線によって生じる電圧の極性を表す。本実施例は、軸倍角N、励磁極対数P、出力極対数Q、スロット(出力磁極)数Sが、それぞれ7、5、2、20である。複数の固定子磁極の隣り合う2個(例えば固定子磁極番号1と2)の固定子磁極1組に卷回される励磁巻線の出力電圧の極性が同一(−)であり、前記1組の励磁巻線と隣り合う1組の励磁巻線(固定子磁極番号3と4及び18と19)の出力電圧の極性が互いに異なる極性(+)となるように励磁巻線を各固定子磁極にそれぞれ39回づつ卷回する。なお、前記複数の固定子磁極の隣り合う1組は、2個に限らず、励磁極対数Pが5になる条件であればよい。
【0041】
図8において、出力巻線は、図1に示したように、5個並ぶ固定子磁極に卷回される前記出力巻線の出力電圧の極性が同一となるように卷回されており、前記出力電圧の極性が同一となる出力巻線を1グループとし、全ての出力巻線が4つのグループG1、G2、G3、G4に分けられている。前記隣り合うグループの出力電圧の極性が互いに異なるように同一グループ内の出力巻線がそれぞれ直列に接続されている。又、隣り合う前記各グループ側に位置する固定子磁極に卷回されている出力巻線の巻数が、当該グループ内において、前記固定子磁極より内側に位置する固定子磁極に卷回されている出力巻線の巻数より少なく、例えば固定子磁極番号1、2、3、4、5、において、それぞれ72回、189回、234回、189回、72回である。
【0042】
図12に示した従来のバリアブルリラクタンスレゾルバ、及び本発明の図8に示した実施例との性能比較を図9に示す。縦軸に外部磁束による出力巻線に生ずる誘起電圧を、横軸に前記外部磁束の変化周波数をとり、それぞ符号イ、ロで示した。図9から明らかなように、本発明のバリアブルリラクタンスレゾルバにより、外部磁束による誘起電圧は従来のバリアブルリラクタンスレゾルバに比べて約1/10に減少している。なお、本発明のバリアブルリラクタンスレゾルバに、周知の磁気シールドを施してもよく、その結果、更に外部磁界の影響が低減されることはいうまでもない。
【0043】
【発明の効果】
本発明によるバリアブルリラクタンスレゾルバによれば、3個以上並ぶ固定子磁極に卷回される出力巻線の出力電圧の極性が同一となるように卷回された出力巻線を1グループとする。そして、全ての出力巻線を2以上の偶数個のグループに分け、前記隣り合うグループの出力電圧の極性が互いに異なるように出力巻線をそれぞれ直列に接続する。また、前記グループ内の出力巻線の巻数は、隣り合う各グループ側に位置する固定子磁極に卷回されている出力巻線の巻数が、当該グループ内において前記固定子磁極より内側に位置する固定子磁極に卷回されている出力巻線の巻数より少なくすることにより、外部から混入する外部磁束の影響を低減できる。また混入する外部磁束の方向に対する影響が少ない。その結果、従来必要とされる磁気シールドをなくしたり、あるいは簡便な磁気シールドでもよく、また、シールドすることにより、従来のバリアブルリラクタンスレゾルバに比べて更に性能を向上できる。また、出力電圧の変化が滑らかで高精度のバリアブルリラクタンスレゾルバが実現できる。更に、少ない固定子磁極数であっても外部から混入する外部磁束の影響を低減できるので、バリアブルリラクタンスレゾルバの製造が容易になると共に、低価格化が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態におけるバリアブルリラクタンスレゾルバの出力巻線の極性を説明する図である。
【図2】本発明の実施形態におけるバリアブルリラクタンスレゾルバの出力巻線への外部磁束の影響について説明する図である。
【図3】外部磁束の混入される角度が第2図と異なる場合に出力巻線への外部磁束の影響について説明する図である。
【図4】外部磁束の混入される角度が第3図と異なる場合に出力巻線への外部磁束の影響について説明する図である。
【図5】本発明の実施形態におけるバリアブルリラクタンスレゾルバにより、誘起電圧が打ち消される軸倍角、励磁極対数、出力極対数、スロット数の関係を示す図である。
【図6】本発明の実施形態において、2以上の偶数個のグループに分けることの必然性について説明する図である。
【図7】外部磁束の混入される角度が第6図と異なる場合に出力巻線への外部磁束の影響について説明する図である。
【図8】本発明の1実施例を示す図であって、図8(a)は固定子磁極の番号を示し、図8(b)と図8(c)は、前記固定子磁極に卷回される励磁巻線数と出力巻線数を示す図である。
【図9】図8に示した実施例と従来のバリアブルリラクタンスレゾルバとの性能を比較する図である。
【図10】従来のバリアブルリラクタンスレゾルバを説明する図である。
【図11】従来のバリアブルリラクタンスレゾルバの使用形態を示す図である。
【図12】従来のバリアブルリラクタンスレゾルバの固定子に形成された複数の固定子磁極に卷回された出力巻線に生ずる電圧の極性を示す図である。
【図13】従来のバリアブルリラクタンスレゾルバの固定子に形成された図12と異なる数の固定子磁極に卷回された出力巻線への外部磁束の影響について説明する図である。
【図14】外部磁束の混入される角度が異なる場合に出力巻線への外部磁束の影響について説明する図である。
【符号の説明】
5 固定子
51 固定子磁極
52 回転子
53 励磁巻線
54X 出力巻線
54Y 出力巻線

Claims (3)

  1. レゾルバ励磁巻線と、回転子の回転に従って回転角のX成分、Y成分をそれぞれ出力するレゾルバ出力巻線と、該出力巻線が卷回される複数の固定子磁極を具備するバリアブルリラクタンスレゾルバにおいて、
    3個以上並ぶ固定子磁極に卷回される前記出力巻線の出力電圧の極性が同一となるように卷回された前記出力巻線を1グループとし、全ての出力巻線を2以上の偶数個のグループに分け、前記隣り合うグループの出力電圧の極性が互いに異なるように前記出力巻線がそれぞれ直列に接続されていることを特徴とするバリアブルリラクタンスレゾルバ。
  2. 前記グループ内の出力巻線の巻数は、隣り合う前記各グループ側に位置する固定子磁極に卷回されている出力巻線の巻数が、当該グループ内において前記固定子磁極より内側に位置する固定子磁極に卷回されている出力巻線の巻数より少ないことを特徴とする請求項1に記載のバリアブルリラクタンスレゾルバ。
  3. レゾルバ励磁巻線と、回転子の回転に従って回転角のX成分、Y成分をそれぞれ出力するレゾルバ出力巻線と、該出力巻線が卷回される複数の固定子磁極を具備する、軸倍角が7、励磁極対数が5、出力極対数が2、固定子磁極数が20であるバリアブルリラクタンスレゾルバにおいて、5個並ぶ固定子磁極に卷回される前記出力巻線の出力電圧の極性が同一となるように卷回された前記出力巻線を1グループとし、全ての出力巻線を4つのグループに分け、前記隣り合うグループの出力電圧の極性が互いに異なるように前記出力巻線がそれぞれ直列に接続されていることを特徴とする請求項1に記載のバリアブルリラクタンスレゾルバ。
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