JP2015186305A - ステータ構造及びレゾルバ - Google Patents

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Abstract

【課題】各巻線に生じる起電力のバランスを崩すことを抑制すること。【解決手段】ステータ構造は、ロータ20の周囲を囲むとともに複数のティース31が設けられたステータ30を有し、各ティース31には磁束と鎖交することで位相のずれた起電力をそれぞれ生じる第1出力巻線42及び第2出力巻線43が重ねて巻回されるようにした。そして、このステータ構造において、複数のティース31周辺における漏れ磁束Yの分布を考慮して、第1出力巻線42及び第2出力巻線43に生じる起電力の大きさを近付けるように各巻線を配置するようにした。【選択図】図2

Description

本発明は、ステータ構造及びレゾルバに関する。
従来、回転角検出装置として、ロータの回転角に応じた複数相の電圧信号を出力するレゾルバがある。このようなレゾルバとしては、例えば、特許文献1に記載の磁性体からなるロータと、その周囲を囲むように配置されるステータとを備えたレゾルバがある。
この特許文献1のレゾルバでは、通電に基づき磁束を発生させる励磁巻線がロータに巻回される。また、このレゾルバでは、ステータに設けた複数のティースにsin相巻線が巻回され、さらにその外側に重ねてcos相巻線が巻回される。そして、このレゾルバでは、ロータが回転すると、励磁巻線が発生させるsin相巻線及びcos相巻線に鎖交する磁束が変化して各相の巻線に誘起される電圧が変化し、各相の巻線からロータの回転角に応じた電圧信号(電気信号)が出力される。この電圧信号に基づきロータが一体に回転するシャフトといった検出対象の回転角が検出される。
特開2013−110819号公報
ところで、励磁巻線が発生させる磁束は、ステータ内からロータ内へと流れる以外に、ステータ内からロータ内を通ることなく漏れる漏れ磁束といったものが存在する。このような漏れ磁束は、sin相巻線及びcos相巻線と鎖交する場合もあり、各巻線に生じる起電力を実際より弱めたり影響を及ぼすこともある。特に、特許文献1のレゾルバのように、複数のティースにsin相巻線が巻回され、さらにその外側に重ねてcos相巻線が巻回される場合、各巻線が巻回される位置の違いからそれぞれに鎖交する漏れ磁束の量的な違いが生じてしまい、こういった漏れ磁束は、各巻線に生じる起電力のバランスを崩す可能性がある。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、各巻線に生じる起電力のバランスを崩すことを抑制することのできるステータ構造及びレゾルバを提供することにある。
上記課題を解決するステータ構造は、ロータの同心円状に複数のティースが設けられたステータを有し、各ティースには磁束と鎖交することで位相のずれた起電力をそれぞれ生じる複数相の巻線が重ねて巻回されるようにしている。また、ステータ構造は、複数のティース周辺における漏れ磁束の分布に基づいて複数相の巻線に生じる起電力の大きさを近付けるように各巻線を配置するようにしている。
この構成によれば、複数のティース周辺における漏れ磁束があったとしても、そういった漏れ磁束の量的な違いが考慮された各巻線の配置とすることができる。これにより、複数相の巻線のそれぞれに生じる起電力の大きさを近付けることができるようになる。そして、例えば、ティースに巻回される巻線のうち、内側の巻線とその外側の巻線とに生じる起電力の大きさが近付けられるようになり、各巻線の起電力のバランスを崩すことが抑制される。
こういったステータ構造において、ティースに巻回される巻線のうち、内側に位置する巻線については漏れ磁束の分布に基づいて漏れが大きい側に巻数を大きくし、外側に位置する巻線については漏れ磁束の分布に基づいて漏れが小さい側に巻数を大きくして配置することが好ましい。
漏れ磁束の分布は、ティースから離れる程、その漏れが大きくなり易い特性を示す。すなわち、ティースに巻回される巻線のうち、内側と外側とでは、内側に位置する巻線への漏れ磁束の影響が小さい、換言すれば外側に位置する巻線への漏れ磁束の影響が大きいと言える。そこで、上記構成によれば、ティースに巻回される巻線のうち、そもそも漏れ磁束の影響が小さいと言える内側に位置する巻線については漏れ磁束の影響を余計に受けるように漏れが大きい側に巻き数を大きくして配置する。一方、ティースに巻回される巻線のうち、そもそも漏れ磁束の影響が大きいと言える外側に位置する巻線については漏れ磁束の影響を抑えるように漏れが小さい側に巻き数を大きくして配置する。これにより、ティースに巻回される巻線のうち、内側と外側とでは、漏れ磁束の影響の大きさを近付けることができるようになり、複数のティース周辺における漏れ磁束があったとしても、そういった漏れ磁束の量的な違いの発生が抑えられるようになる。その結果、複数相の巻線のそれぞれに生じる起電力の大きさを近付けることができる。
また、こういったステータ構造は、複数のティースのうち、隣り合うティースの先端の間にギャップを形成する場合に適用することができる。さらに、こうしたステータ構造は、複数のティースのうち、隣り合うティースの先端に向かって先細状に形成する場合に適用することができる。
こういった適用例における漏れ磁束の分布は、ティースからギャップ、さらにはその先端に近い程、その漏れが大きくなり易い特性を示す。すなわち、漏れ磁束の影響は、特にロータから離間する側でその影響が小さいと言える。また、漏れ磁束の影響は、特にロータに近接する側、さらにはティースの先端でその影響が大きいと言える。このため、こういった適用例では、ティースに巻回される巻線のうち、内側に位置する巻線についてはロータ側、さらにはティースの先端側に巻き数を大きくする、すなわちステータ側に巻き数を小さくすることになる。また、こういった適用例では、外側に位置する巻線についてはステータ側に巻き数を大きくする、すなわちロータ側、さらにはティースの先端側に巻き数を小さくすることになる。これらにより、ティースに巻回される巻線のうち、内側と外側とでは、漏れ磁束の影響の大きさを近付けることができ、複数のティース周辺における漏れ磁束があったとしても、そういった漏れ磁束の量的な違いの発生が効果的に抑えられる。
そして、ロータと、前記ロータの同心円状に複数のティースが設けられたステータとを有し、各ティースには磁束と鎖交することで位相のずれた起電力をそれぞれ生じる複数相の出力巻線が重ねて巻回され、ロータの回転に基づいて複数相の出力巻線に鎖交する磁束が変化することにより各出力巻線に生じる起電力が変化し、複数相の出力巻線からロータの電気角に応じた電気信号がそれぞれ出力されるレゾルバにおいて、出力巻線の配置を規定するステータ構造として、上記のようなステータ構造が採用されることが好ましい。
この構成によれば、ティースに巻回される出力巻線のうち、内側と外側とでは、漏れ磁束の影響の大きさを近付けることで、各出力巻線に生じる起電力の大きさを近付けたステータ構造を採用することができる。これにより、レゾルバにおいて、内側の出力巻線とその外側の出力巻線とから出力される電気信号の大きさが近付けられ、各出力巻線から出力される電気信号のバランスを崩すことが抑制されるようになる。その結果、ロータの電気角の検出精度を向上することができる。
本発明によれば、各巻線に生じる起電力のバランスを崩すことを抑制することができる。
第1実施形態におけるレゾルバの概略構成を示す図。 第1実施形態における巻線の配置を模式的に示す図。 漏れ磁束の分布を模式的に示す図。 漏れ磁束の影響を模式的に示す図。 第2実施形態におけるレゾルバの概略構成を示す図。 第2実施形態における巻線の配置を模式的に示す図。 別例における巻線の配置を模式的に示す図。 別例における巻線の配置を模式的に示す図。
(第1実施形態)
以下、ステータ構造を採用したレゾルバの第1実施形態を説明する。
図1に示すように、レゾルバ10は、中心mを中心に回転する回転軸21の回転角を検出する。本実施形態のレゾルバ10は、可変リラクタンス(VR)型レゾルバであり、回転軸21の外周面に嵌合される円環状のロータ20、及びロータ20の周囲を囲むように配置される円環状のステータ30を備える。
ロータ20の外周には、回転角の検出に関わる軸倍角を規定する複数の突極部が形成される。本実施形態の軸倍角では、ロータ20に5つの突極部が形成されるので「5X」に設定される。なお、ロータ20は、回転軸21を嵌合する孔及び5つの突極部が形成された電磁鋼板を積載してなる。
また、ステータ30の内周には、その周方向に等間隔を隔ててT字状の複数のティース31がロータ20に向かって突設される。各ティース31は、その先端が二股に分かれ、さらに周方向に向かって先細状に延びる各端部32が形成される。隣り合う各端部32は、その間にギャップG(所定の隙間)を設けて非連続的に形成される。そして、各ティース31の端部32とステータ30とに囲まれる空間には、各ティース31に巻回される後述する励磁巻線41、第1出力巻線42、及び第2出力巻線といった巻線部40を収容する複数(ティース31と同数)のスロット33がそれぞれ形成される。なお、ステータ30は、T字状の各ティース31が形成された電磁鋼板を積載してなる。
レゾルバ10では、巻線部40の励磁巻線41に交流電流を供給することにより該励磁巻線41が周囲に交番磁界、すなわち磁束を発生させる。この磁束がロータ20とステータ30との間に形成される磁路を通じて巻線部40の第1出力巻線42及び第2出力巻線43と鎖交する。これにより、第1出力巻線42には電圧が誘起され、該電圧に基づく電圧信号(電気信号)が出力Aとして出力される。また、第2出力巻線43には電圧が誘起され、該電圧に基づく電圧信号(電気信号)が出力Bとして出力される。
第1出力巻線42及び第2出力巻線43は、例えば、90°の位相差を持った電圧信号を出力するように構成され、複数相の巻線として構成される。すなわち、例えば、出力Aがsin波形の信号を出力する場合、出力Bがcos波形の信号を出力する。また、第1出力巻線42及び第2出力巻線43は、それぞれのインダクタンスを一致させるようにそれぞれの巻数及び直流抵抗が設定される。
そして、これら出力Aと出力Bとは、演算部50に取り込まれ、さらに演算処理されることで、ロータ20の回転角、すなわち電気角として角度検出に用いられる。また、ロータ20が回転すると、その突極部の位置変化によりロータ20とステータ30との間のギャップ(隙間)が周期的に変化する。これにより、第1出力巻線42及び第2出力巻線43から出力される出力A及び出力Bがロータ20の回転角に応じて変化し、その変化からロータ20の回転角の角度検出が演算部50によってなされる。
ここで、巻線部40について説明する。
図2に示すように、スロット33内において、ティース31には、その内側から励磁巻線41、第1出力巻線42、第2出力巻線43の順に重ねて巻回される。すなわち、ティース31には、ティース31の最も近く(最も内側)に位置するように励磁巻線41が巻回される。また、ティース31には、励磁巻線41の外側に第1出力巻線42が巻回される。また、ティース31には、第1出力巻線42の外側に第2出力巻線43が巻回される。また、第1出力巻線42及び第2出力巻線43は、その巻数が回転軸21(ロータ20)の径方向に沿って変化するように配置される。
具体的に、図2に示すように、第1出力巻線42は、ステータ30におけるロータ20の径方向内側(ロータ20側)程、巻数が大きい、すなわちステータ30におけるロータ20の径方向外側(ステータ30側)程、巻数が小さくなるように巻回される。模式的に示すと、第1出力巻線42は、ロータ20側程、太い、すなわちステータ30側程、細くなるように巻回される。また、第2出力巻線43は、ロータ20側程、巻数が小さい、すなわちステータ30側程、巻数が大きくなるように巻回される。模式的に示すと、第2出力巻線43は、ロータ20側程、細い、すなわちステータ30側程、太くなるように巻回される。
ここで、励磁巻線41が発生させる磁束について説明する。
例えば、図2に示すように、励磁巻線41が磁束Xを発生させる場合、これに関わっては、ロータ20とステータ30との間に形成される磁路(ステータ30内からロータ20内へと流れる)以外、すなわちステータ30からロータ20内を通ることなく漏れる漏れ磁束Yも合わせて発生する。漏れ磁束Yは、ステータ30内からスロット33内を通過したり、隣り合うティース31の各端部32間を通過したりする。こういった漏れ磁束Yは、その通過過程で、第1出力巻線42及び第2出力巻線43とも鎖交する場合もある。
図3に示すように、スロット33内の漏れ磁束Yの分布は、領域Ra、領域Rb、領域Rc、及び領域Rdといった密度に基づき大きく4つの領域に区分することができる。ここでは、領域Rd<領域Rc<領域Rb<領域Raの順に漏れ磁束Yの密度、すなわち漏れ量が大きいことを表す。また、ここでは、ティースの片側(図3中、ティース31の右側)についてのみ漏れ磁束Yの分布を例示したが、ティース31の両側についての漏れ磁束Yの分布はティース31を軸に線対称な分布を表す。
そして、スロット33内において、ティース31の端部32の周辺には領域Raが分布する。これは、ティース31の端部32が先細状になっていることに起因し、ステータ30内を通過する磁束が端部32付近で飽和した状態で漏れることに起因する。また、スロット33内において、領域Raからティース31の根元に向かっては先細状に領域Rbが分布し、さらにティース31の根元に向かっては先細状に領域Rcが分布し、残りには領域Rdが分布する。このように、スロット33内の漏れ磁束Yの分布は、ティース31からギャップG、さらにはその先端の端部32に近い程、その漏れが大きくなり易い特性を示す。すなわち、スロット33内の漏れ磁束Yの分布は、ティース31の根元に近い程、その漏れが小さくなり易い特性を示す。
本実施形態では、図4に示すように、こうした漏れ磁束Yの分布を考慮して、第1出力巻線42及び第2出力巻線43の配置場所を領域Ra〜Rdに対応させるステータ構造を採用する。
具体的に、本実施形態のステータ構造は、第1出力巻線42及び第2出力巻線43のうち、ティース31側(内側)に位置する第1出力巻線42を、領域Rb〜Rdに対応して配置し、巻数が大きいロータ20側が比較的に漏れの大きい領域Rbに対応するように配置している。
また、本実施形態のステータ構造は、第1出力巻線42及び第2出力巻線43のうち、第1出力巻線42の外側に位置する第2出力巻線43を、領域Ra〜Rdに対応して配置し、巻数が大きいステータ30側が比較的に漏れの小さい領域Rc,Rdに対応するように配置している。
すなわち、第1出力巻線42では、ロータ20側及びステータ30側の巻数を揃えるようにした仮想線Zの場合と比較して、領域Rc,Rdに対応する配置部分が減少し、領域Rbに対応する配置部分が増加する。これにより、本実施形態のレゾルバ10は、上記仮想線Zの場合と比較して、第1出力巻線42における漏れ磁束Yと鎖交する領域(面積)が増えるように配置されるステータ構造を採用している。
また、第2出力巻線43では、ロータ20側及びステータ30側の巻数を揃えるようにした仮想線Zの場合と比較して、領域Rb,Rcに対応する配置部分が減少し、領域Rc,Rdに対応する配置部分が増加する。これにより、本実施形態のレゾルバ10は、上記仮想線Zの場合と比較して、第2出力巻線43における漏れ磁束Yと鎖交する領域(面積)が減るように配置されるステータ構造を採用している。
次に、本実施形態のステータ構造を採用したレゾルバ10の作用を説明する。
図3に示すように、本実施形態における漏れ磁束Yの分布は、ティース31からギャップG、さらにはその先端の端部32に近い程、その漏れが大きくなり易い特性を示す。このため、漏れ磁束Yの影響は、特にロータ20から離間する側でその影響が小さいと言える。また、漏れ磁束Yの影響は、特にロータ20に近接する側、さらにはティース31の先端でその影響が大きいと言える。すなわち、ティース31に巻回される巻線のうち、内側と外側とでは、内側に位置する第1出力巻線42への漏れ磁束Yの影響が小さい、換言すれば外側に位置する第2出力巻線43への漏れ磁束Yの影響が大きいと言える。
そこで、第1出力巻線42及び第2出力巻線43のうち、そもそも漏れ磁束Yの影響が小さいと言える内側に位置する第1出力巻線42については、漏れ磁束Yの分布を考慮して、漏れ磁束Yの影響を余計に受けるように漏れが大きい側、すなわちロータ20側に巻数を大きくして配置する。このように、そもそも内側にあることから外側に比べて漏れ磁束Yと鎖交する領域が小さい第1出力巻線42については、漏れ磁束Yと鎖交する領域を増やし、その領域の大きさを第2出力巻線43のそれに近付けることができる。
一方、第1出力巻線42及び第2出力巻線43のうち、そもそも漏れ磁束Yの影響が大きいと言える外側に位置する第2出力巻線43については、漏れ磁束Yの分布を考慮して、漏れ磁束Yの影響を抑えるように漏れが小さい側、すなわちステータ30側に巻数を大きくして配置する。このように、そもそも外側にあることから内側に比べて漏れ磁束Yと鎖交する領域が大きい第2出力巻線43については、漏れ磁束Yと鎖交する領域を減らし、その領域の大きさを第1出力巻線42のそれに近付けることができる。
これにより、第1出力巻線42及び第2出力巻線43のうち、内側と外側とでは、漏れ磁束Yの影響の大きさを近付けることができるようになり、複数のティース31周辺における漏れ磁束Yがあったとしても、そういった漏れ磁束Yの量的な違いの発生が抑えられるようになる。その結果、第1出力巻線42及び第2出力巻線43のそれぞれに生じる起電力の大きさ(ピーク)を近付けることができる。
以上説明したように、本実施形態によれば、以下に示す効果を奏することができる。
(1)漏れ磁束Yの分布を考慮して、内側に位置する出力巻線については漏れ磁束Yの影響を余計に受けるように漏れが大きい側に巻き数を大きくして配置するステータ構造とした。一方、漏れ磁束Yの分布を考慮して、外側に位置する出力巻線については漏れ磁束Yの影響を抑えるように漏れが小さい側に巻き数を大きくして配置するステータ構造とした。こういったステータ構造により、内側及び外側の出力巻線については、これらに生じる起電力の大きさが近付けられるようになり、各巻線の起電力のバランスを崩すことが抑制される。
(2)また、上述したステータ構造により、第1出力巻線42及び第2出力巻線43については、漏れ磁束Yの影響の大きさが近付けられるようになる。したがって、複数のティース31周辺における漏れ磁束Yがあったとしても、そういった漏れ磁束Yの量的な違いの発生が効果的に抑えられる。
(3)また、上述したステータ構造により、レゾルバ10において、出力A及び出力Bといった電気信号の大きさ(ピーク)を近付けることができ、これら電気信号のバランスを崩すことが抑制されるようになる。その結果、ロータ20の電気角の検出精度を向上することができる。
(第2実施形態)
次に、ステータ構造を採用したレゾルバの第2実施形態を説明する。なお、本実施形態と上記第1実施形態との主たる相違点は、出力巻線の構成のみである。このため、既に説明した実施形態と同一構成及び同一制御内容などは、同一の符号を付すなどして、その重複する説明を省略する。
図5に示すように、本実施形態の軸倍角では、ロータ20に4つの突極部が形成されるので「4X」に設定される。なお、ロータ20は、回転軸21を嵌合する孔及び4つの突極部が形成された電磁鋼板を積載してなる。
また、各ティース31には、励磁巻線41と、第1出力巻線42、第2出力巻線43、及び第3出力巻線44のうち2種類とがそれぞれ巻回される。
本実施形態のレゾルバ10では、励磁巻線41が発生させる磁束がロータ20とステータ30との間に形成される磁路を通じて巻線部40の第1出力巻線42第2出力巻線43、及び第3出力巻線44と鎖交する。これにより、出力A及び出力Bに加えて、第3出力巻線44に電圧が誘起されることに基づく電圧信号(電気信号)が出力Cとして出力される。
本実施形態において、第1出力巻線42、第2出力巻線43、及び第3出力巻線44は、例えば、互いに120°の位相差を持った電圧信号を出力するように構成され、複数相の巻線として構成される。すなわち、例えば、出力Aがsin波形の信号を出力する場合、出力Bが出力Aのsin波形の位相を120°ずらしたsin波形の信号を出力し、出力Cが出力Aのsin波形の位相を240°ずらしたsin波形の信号を出力する。また、第1出力巻線42、第2出力巻線43、及び第3出力巻線44は、それぞれのインダクタンスを一致させるようにそれぞれの巻数及び直流抵抗が設定される。
そして、これら出力Aと出力Bと出力Cとは、演算部50に取り込まれ、さらに演算処理されることで、ロータ20の回転角、すなわち電気角として角度検出に用いられる。すなわち、第1出力巻線42、第2出力巻線43、及び第3出力巻線44から出力される出力A、出力B、及び出力Cがロータ20の回転角に応じて変化し、その変化からロータ20の回転角の角度検出が演算部50によってなされる。
ここで、巻線部40について説明する。
図6に示すように、スロット33内において、ティース31には、その内側に励磁巻線41が巻回される。さらに励磁巻線41の外側には、第1出力巻線42、第2出力巻線43、及び第3出力巻線44のうち2種類の出力巻線が内側、外側に巻回される。
すなわち、ティース31には、第1出力巻線42、第2出力巻線43の順に重ねる巻き方と、第1出力巻線42、第3出力巻線44の順に重ねる巻き方と、第2出力巻線43、第3出力巻線44の順に重ねる巻き方とがある。本実施形態のステータ30には、上記各巻き方のティース31が4つずつ存在し、上述した各巻き方のティース31が規則的に配置される。また、第1出力巻線42、第2出力巻線43、及び第3出力巻線44は、その巻数が回転軸21(ロータ20)の径方向に沿って変化するように配置される。
例えば、図6中、中心の右側に位置するティース31のように、第1出力巻線42、第3出力巻線44の順に重ねる巻き方の場合、第1出力巻線42は、ロータ20側程、巻数が大きい、すなわちステータ30側程、巻数が小さくなるように巻回される。また、第3出力巻線44は、ロータ20側程、巻数が小さい、すなわちステータ30側程、巻数が大きくなるように巻回される。
そして、図6に示すように、励磁巻線41が発生させる磁束について、漏れ磁束Yは、ステータ30内からスロット33内を通過したり、隣り合うティース31の各端部32間を通過したりする過程で、第1出力巻線42、第2出力巻線43、及び第3出力巻線44とも鎖交する場合もある。
本実施形態では、こうした漏れ磁束Yの分布を考慮して、各ティース31に巻回される巻線のうち内側の出力巻線及び外側の巻線の配置場所を領域Ra〜Rdに対応させるステータ構造を採用する。
具体的に、本実施形態のステータ構造は、図6中、中心に位置するティース31の例であれば、内側に位置する第1出力巻線42を、領域Rb〜Rdに対応して配置し、巻数が大きいロータ20側が比較的に漏れの大きい領域Rbに対応するように配置する。また、この場合には、外側に位置する第2出力巻線43を、領域Ra〜Rdに対応して配置し、巻数が大きいステータ30側が比較的に漏れの小さい領域Rc,Rdに対応するように配置する。このため、図4で示した配置同様、第1出力巻線42及び第2出力巻線43を配置する。
また、本実施形態のステータ構造は、図6中、中心の右側に位置するティース31の例であれば、内側に位置する第1出力巻線42を、領域Rb〜Rdに対応して配置し、巻き数が大きいロータ20側が比較的に漏れの大きい領域Rbに対応するように配置する。また、この場合には、外側に位置する第3出力巻線44を、領域Ra〜Rdに対応して配置し、巻数が大きいステータ30側が比較的に漏れの小さい領域Rc,Rdに対応するように配置する。このため、図4で示した第1出力巻線42の配置同様、第1出力巻線42を配置し、図4で示した第2出力巻線43の配置同様、第3出力巻線44を配置する。
また、本実施形態のステータ構造は、図6中、中心の左側に位置するティース31の例であれば、内側に位置する第2出力巻線43を、領域Rb〜Rdに対応して配置し、巻き数が大きいロータ20側が比較的に漏れの大きい領域Rbに対応するように配置する。また、この場合には、外側に位置する第3出力巻線44を、領域Ra〜Rdに対応して配置し、巻数が大きいステータ30側が比較的に漏れの小さい領域Rc,Rdに対応するように配置する。このため、図4で示した第1出力巻線42の配置同様、第2出力巻線43を配置し、図4で示した第2出力巻線43の配置同様、第3出力巻線44を配置する。
そして、図6中、中心の右側に位置するティース31の例であれば、図3を用いて既に説明したように、内側に位置する第1出力巻線42への漏れ磁束Yの影響が小さい、換言すれば外側に位置する第3出力巻線44への漏れ磁束Yの影響が大きいと言える。
そこで、上記例において、そもそも漏れ磁束Yの影響が小さいと言える内側に位置する第1出力巻線42については、漏れ磁束Yの分布を考慮して、漏れ磁束Yの影響を余計に受けるように漏れが大きい側、すなわちロータ20側に巻数を大きくして配置する。
一方、上記例において、そもそも漏れ磁束Yの影響が大きいと言える外側に位置する第3出力巻線44については、漏れ磁束Yの分布を考慮して、漏れ磁束Yの影響を抑えるように漏れが小さい側、すなわちステータ30側に巻数を大きくして配置する。
また、図6中、中心の左側に位置するティース31の例であれば、図3を用いて既に説明したように、内側に位置する第2出力巻線43への漏れ磁束Yの影響が小さい、換言すれば外側に位置する第3出力巻線44への漏れ磁束Yの影響が大きいと言える。
そこで、上記例において、そもそも漏れ磁束Yの影響が小さいと言える内側に位置する第2出力巻線43については、漏れ磁束Yの分布を考慮して、漏れ磁束Yの影響を余計に受けるように漏れが大きい側、すなわちロータ20側に巻数を大きくして配置する。
一方、上記例において、そもそも漏れ磁束Yの影響が大きいと言える外側に位置する第3出力巻線44については、漏れ磁束Yの分布を考慮して、漏れ磁束Yの影響を抑えるように漏れが小さい側、すなわちステータ30側に巻数を大きくして配置する。
これにより、各ティース31において、巻回される出力巻線のうち、内側と外側とでは、漏れ磁束Yの影響の大きさを近付けることができる。特に、各ティース31では、出力巻線として内側と外側に配置する出力巻線の種類が異なる間で、第1出力巻線42に対する漏れ磁束Yの総合的な影響、第2出力巻線43に対する漏れ磁束Yの総合的な影響、及び第3出力巻線44に対する漏れ磁束Yの総合的な影響の大きさを互いに近付けることができる。
以上説明したように、本実施形態によれば、上記第1実施形態の(1)の効果に加え、以下に示す効果を奏することができる。
(4)上述したステータ構造により、第1出力巻線42、第2出力巻線43、及び第3出力巻線については、漏れ磁束Yの影響の大きさが互いに近付けられるようになる。したがって、複数のティース31周辺における漏れ磁束Yがあったとしても、そういった漏れ磁束Yの3相の出力巻線の間での量的な違いの発生が効果的に抑えられる。
(5)また、上述したステータ構造により、レゾルバ10において、出力A、出力B、及び出力Cといった電気信号の大きさ(ピーク)を近付けることができ、これら電気信号のバランスを崩すことが抑制されるようになる。その結果、3相の出力巻線(3出力信号)を用いる場合におけるロータ20の電気角の検出精度を向上することができる。
なお、上記各実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することもできる。
・上記各実施形態において、図7に示すように、内側に位置する出力巻線(図7では、第1出力巻線42)については漏れが大きい側の一部の巻数を大きくしたり、外側に位置する出力巻線(図7では、第2出力巻線43)については漏れが小さい側の一部の巻線を大きくしたりといったステータ構造も考えられる。また、このように巻数を大きくする範囲は、漏れ磁束Yの分布により変更してもよい。
・上記第2実施形態では、例えば、図8に示すように、ティース31に3相の出力巻線を重ねる巻き方を採用することもできる。そして、第1出力巻線42及び第2出力巻線43の間に第3出力巻線44を配置し、さらに漏れ磁束Yの分布を考慮して配置するステータ構造も考えられる。この場合、第3出力巻線44については、回転軸21(ロータ20)の径方向の両側に巻数を小さくしたりすることで、各巻線に生じる起電力の大きさを互いに近付けることができる。また、漏れ磁束Yの分布によっては、第3出力巻線44の巻数を一定に設定することができる場合もある。
・上記各実施形態では、図3に示した漏れ磁束Yの分布を用いた巻線の配置を例示したが、これは一例に過ぎず、漏れ磁束Yが違った分布を示す場合、各巻線の起電力のバランスを崩すことが抑制可能な巻線の配置に変更すればよい。こういった配置として、図7や図8に示すような配置を採用することもできる。
・上記各実施形態は、VR型レゾルバへの適用例を説明したが、例えば、ロータ20に励磁巻線41を固定するタイプのレゾルバに適用してもよい。このタイプのレゾルバでは、ロータ20が回転すると、励磁巻線41と各出力巻線との距離が周期的に変化するので、各出力巻線に誘起される起電力の振幅が変化する。そして、このタイプのレゾルバでは、こういった起電力の振幅の変化から回転角を検出することになる。
・上記各実施形態において、ティース31は、その先端が二股に分かれ、さらに周方向に向かって延びていればよく、例えば、一様な太さ(厚み)にその形状を変更してもよい。
・上記各実施形態において、ステータ30としては、各ティース31において、隣り合う各端部32の間のギャップGを縮めたり、各端部32を繋げたりしたものを想定してもよい。
・上記各実施形態において、各出力巻線の巻き方を変更してもよく、例えば、第1実施形態では、第1出力巻線42及び第2出力巻線43について内側と外側を交互に入れ替えてもよい。また、第2実施形態では、第1出力巻線42を外側に配置したり、第3出力巻線44を内側に配置したりしてもよい。
・上記各実施形態のレゾルバ10は、こういったレゾルバ10を2つ備えることで、検出精度を向上させたトルクセンサとしての実現も可能になる。
・上記各実施形態のステータ構造では、インナーロータタイプへの適用例を説明したが、アウターロータタイプに適用することもできる。
・上記各実施形態のステータ構造は、レゾルバへの適用例を説明したが、モータに適用することもできる。
A〜C…出力(電気信号)、G…ギャップ、X…磁束、Y…漏れ磁束、10…レゾルバ、20…ロータ、30…ステータ、31…ティース、32…端部(ティースの先端)、42…第1出力巻線、43…第2出力巻線、44…第3出力巻線、50…演算部。

Claims (5)

  1. ロータの同心円状に複数のティースが設けられたステータを有し、各ティースには磁束と鎖交することで位相のずれた起電力をそれぞれ生じる複数相の巻線が重ねて巻回されるステータ構造において、
    前記複数のティース周辺における漏れ磁束の分布に基づいて前記複数相の巻線に生じる起電力の大きさを近付けるように各巻線を配置することを特徴とするステータ構造。
  2. 前記ティースに巻回される巻線のうち、内側に位置する巻線については前記漏れ磁束の分布に基づいて漏れが大きい側に巻数を大きくし、外側に位置する巻線については前記漏れ磁束の分布に基づいて漏れが小さい側に巻数を大きくして配置する請求項1に記載のステータ構造。
  3. 前記複数のティースのうち、隣り合うティースの先端の間には、ギャップが形成される請求項1又は請求項2に記載のステータ構造。
  4. 前記複数のティースは、隣り合うティースの先端に向かって先細状に形成される請求項3に記載のステータ構造。
  5. ロータと、前記ロータの同心円状に複数のティースが設けられたステータとを有し、各ティースには磁束と鎖交することで位相のずれた起電力をそれぞれ生じる複数相の出力巻線が重ねて巻回され、前記ロータの回転に基づいて前記複数相の出力巻線に鎖交する磁束が変化することにより各出力巻線に生じる起電力が変化し、前記複数相の出力巻線から前記ロータの電気角に応じた電気信号がそれぞれ出力されるレゾルバにおいて、
    前記出力巻線の配置を規定するステータ構造として、請求項1〜請求項4のうちいずれか一項に記載のステータ構造が採用されることを特徴とするレゾルバ。
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