JP2004068166A - 弾性糸 - Google Patents
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Abstract
【課題】伸長された状態を保持する性能を具備する弾性糸であり、所謂スリップインし難く、被覆糸にはせず裸糸のままでは製織が難しい用途等に使用できる弾性糸を提供する。
【解決手段】ポリウレタン重合体溶液に、ポリウレタン重合体の溶媒に可溶で且つ水に不溶なポリマー溶液を弾性糸の重量当り15〜50重量%と高混率で配合させることにより、初回の伸長に対する弾性回復率が低く、伸長前の長さには戻らず、伸長回復を繰り返すと弾性回復率が良くなり安定するポリウレタン弾性糸を得た。ポリウレタン重合体の溶媒に可溶で且つ水に不溶なポリマーとしては、アクリル樹脂系ポリマー、アクリロニトル系ポリマー、アセチルセルロースのいずれかを使用する。
【選択図】 図1
【解決手段】ポリウレタン重合体溶液に、ポリウレタン重合体の溶媒に可溶で且つ水に不溶なポリマー溶液を弾性糸の重量当り15〜50重量%と高混率で配合させることにより、初回の伸長に対する弾性回復率が低く、伸長前の長さには戻らず、伸長回復を繰り返すと弾性回復率が良くなり安定するポリウレタン弾性糸を得た。ポリウレタン重合体の溶媒に可溶で且つ水に不溶なポリマーとしては、アクリル樹脂系ポリマー、アクリロニトル系ポリマー、アセチルセルロースのいずれかを使用する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、伸長された状態を保持する性能を具備する弾性糸を提供するものであり、被覆糸にはせず裸糸のままでは製織が難しい用途等に使用できる弾性糸に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、有機ジイソシアネートと高分子量ジオールを反応させたイソシアネート基末端のプレポリマーに、ジアミンで鎖伸長させて得たポリウレタン溶液を紡糸して得られるポリウレタン弾性糸は公知であり、このポリウレタン弾性糸は優れた伸縮性があり布帛等に伸縮性を付与させるために衣類の分野で広く用いられている。ポリウレタン弾性糸は、編織物を構成する繊維の一つとして用いたり、紙おむつ用として不織布に接着剤により固定して用いられているが、何れの場合も適度に伸ばされた状態で保持されている。
【0003】
しかしポリウレタン弾性糸は伸ばされた状態から戻ろうとする力が大きいために、内側にズレ込む所謂スリップインという現象が発生しやすく、そのため編織物の生地状態が悪くなったり、紙おむつでは締め付ける性能が失われる欠点を生ずる。
【0004】
この為、ポリウレタン弾性糸を編織物に利用するために、一般的にはポリウレタン弾性糸を芯糸として綿等の短繊維の紡績糸で被覆した所謂コアスパンヤーン、ポリウレタン弾性糸を芯糸として合成繊維等の長繊維のマルチフィラメント糸で被覆した所謂フィラメントツイストヤーンやプライヤーン等にしてポリウレタン弾性糸の伸縮性を安定的に維持、制限した所謂スリップインを押さえた状態の糸として使用されている。特に織物においては上述の被覆糸でないと裸糸では製織上問題があり、緯糸として打ち込む際に伸びきってしまい充分に打ち込みが出来なかったり、エアジェット織機では吹き切れを生じ、レピア織機では緯糸の受け渡しが不安定になる等の問題がある。編織機に供給するのに、被覆糸でなく適用性のある弾性糸を裸糸のままで供給可能な編織性に優れた弾性糸の要望がある。
【0005】
ポリウレタン重合体溶液に他の重合体溶液を混合し紡糸して弾性糸を得ることについては、ポリウレタンウレア重合体溶液にアミド系溶媒に可溶な特定量の官能基濃度を持った特定の熱可塑性重合体であるポリアクリロニトリル系ポリマー、スチレンー無水マレイン酸系共重合体、ポリウレタン重合体のいずれかをポリウレタンウレア重合体に1〜14重量%添加、混合し、熱成型性と耐熱劣化性を兼備させた弾性糸が特開平7−316922号公報に開示されている。該公報のポリウレタンウレア弾性糸は、パンティストッキング用として好適とされるため、実施例でも15デニール/2フィラメントの極細繊度糸であり、従って熱可塑性重合体の添加量も14重量%を超えると紡糸性に問題があると記載されている。又、出願人は、先に吸湿性と生分解性を改善するために、ポリウレタン重合体溶液にアセチルセルロース溶液又はブチリルキチン溶液を添加混合して紡糸し、次いでアルカリ処理した、弾性糸重量当りアセチルセルロース又はブチリルキチンが3〜15重量%含有されている改質ポリウレタン弾性繊維の製造方法を特開2000−303259号公報、特開2000−303351号公報で開示した。しかしながら、所謂スリップインし難く、従来裸糸では使用し難かった用途において使用可能な弾性糸は知られていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、被覆糸や編織組織中または接着剤等で適度に伸長された状態を保持し、所謂スリップインしにくい弾性糸で、その結果、例えば織物を製織するときの緯糸で通常用いられている被覆糸とすることなく、弾性糸そのままの裸糸の状態で製織が困難であった用途においても使用可能な弾性糸であり、又、スリップインしにくいために、紙おむつ用として接着剤により不織布に保持固定するのに適した弾性糸を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上述の欠点を解決するため鋭意検討の結果、ポリウレタン重合体溶液にポリウレタン重合体の溶媒に可溶で且つ水に不溶なポリマー溶液を弾性糸の重量当り15〜50重量%と高混率で配合した弾性糸は、初回測定における伸長に対する弾性回復率が低く、伸長前の長さには戻らず、伸長と回復を繰り返すと弾性回復率が良くなり安定することを見出し、本発明に至った。
即ち本発明は、ポリウレタン重合体の溶媒に可溶で且つ水に不溶なポリマーを弾性糸の重量当り15〜50重量%含有するポリウレタンよりなる弾性糸であり、弾性回復率が、初回の値に対して繰り返し3回後の値が10%以上高いポリウレタン弾性糸である。又、ポリウレタン重合体の溶媒に可溶で且つ水に不溶なポリマーが、アクリル樹脂系ポリマー、アクリロニトリル系ポリマー、アセチルセルロースから選ばれる1種である弾性糸である。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明のポリウレタン重合体の製造に用いられるポリマージオールとしては、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリオキシペンタメチレングリコール、ポリオキシヘキサメチレングリコール、ポリオキシプロピレンテトラメチレングリコール等のポリエーテルジオール、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸等のジカルボン酸の1種または2種以上とから構成されるポリエステルジオール、ポリエーテルポリエステルジオール、ポリラクトンジオール、ポリカーボネートジオール、ポリエステルポリカーボネートジオール等から選ばれる1種または2種以上の数平均分子量1000〜2500のポリマージオールが80重量%以上含まれているものであれば、特に限定されるものではないが、ポリエーテル系ジオールが好ましい。
【0009】
なお、ポリマージオールにエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール等の低分子ジオールやブタノール、ヘキサノール等のモノオールを少量添加、混合してもよい。
【0010】
本発明のポリウレタン重合体の製造に用いられる有機ジイソシアネートとしては、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3´−ジクロロ−4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の1種又は2種以上の組み合わせが挙げられるが、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネートが好ましい。
【0011】
本発明に用いられるポリウレタン重合体溶液の製造方法は、先ず上記ポリマージオールと上記有機ジイソシアネートを、夫々が固化しない温度にて混合し、90℃以下にて30分〜2時間反応を行い、末端にイソシアネート基を2個有するウレタンプレポリマーを得る。このとき、ポリマージオールに対する有機ジイソシアネートの量は110〜210モル%の範囲、好ましくは150〜190モル%の範囲とする。ポリマージオールに対する有機ジイソシアネートの量が110モル%未満の場合、得られる弾性糸の強度が充分でなく、紡調も悪化するため好ましくなく、また210モル%を越えると、ウレタンプレポリマー中に未反応の有機ジイソシアネートが多く残留するため、鎖伸長反応を行っても低分子鎖の発生が多くなり好ましくない。
【0012】
次に、このようにして得られた末端にイソシアネート基を2個有するウレタンプレポリマーに、イソシアネート基と反応しうる活性水素基を2個以上有する鎖伸長剤、及びイソシアネート基と反応しうる活性水素基を1個有する末端停止剤を反応させて、ポリウレタン重合体溶液を得る。このときの重合方法は特に限定されるものではなく、バッチ式や紡出に直結して連続的に供給する方法である連続重合法も採用できる。またこのときの反応時間は特に限定されないが、例えばバッチ式の場合は、通常30分〜90分で良い。反応温度は、0〜70℃にて行うのが好ましく、反応温度が低すぎると反応に長時間を要し、効率が悪くなり、逆に高すぎると副反応が促進されるため好ましくない。
【0013】
本発明ポリウレタンの重合反応に用いられるイソシアネート基と反応しうる活性水素基を2個有する鎖伸長剤としては、エチレンジアミン、1,2−プロピレンジアミン、1,3−プロピレンジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、4,4´−ジフェニルメタンジアミン、シクロヘキシレンジアミン、2,4−トリレンジアミン、2,6−トリレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヒドラジン、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール等の1種または2種以上の組み合わせが挙げられる。また、イソシアネート基と反応しうる活性水素基を1個有する末端停止剤としては、ジメチルアミン、メチルエチルアミン、ジエチルアミン、メチル−n−プロピルアミン、メチルイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジ−n−ヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン等が挙げられる。
【0014】
本発明のポリウレタン重合体溶液の製造に用いられる溶媒は、上述したウレタンプレポリマー、鎖伸長剤、末端停止剤やポリウレタン重合体を溶解することができ、通常用いられる条件にて実質的に上記物質および反応生成物に対し不活性な極性溶媒であれば特に限定されるものではなく、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン等が挙げられる。
【0015】
本発明に用いられるポリウレタン重合体溶液の溶媒と同じ溶媒に可溶で、且つ水に不溶であるポリマーは、アクリル樹脂系ポリマー、アクリロニトル系ポリマー、アセチルセルロースの中から選ばれた1種のポリマーである。
【0016】
本発明に用いられるアクリル樹脂系ポリマーを構成するモノマーは特に限定されず、例えはアクリル酸、メタクリル酸のほか、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等のメタクリル酸エステル類、クロトン酸等の一塩基酸、フマール酸、マレイン酸、イソフタル酸等の二塩基酸、及びこれらの部分エステル、更にアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデンなどの不飽和モノマーを共重合したものが挙げられ、アクリル樹脂系ポリマーとしては、例えば、三菱レイヨン(株)が市販している商品名アクリペットVHやMF、旭化成(株)が市販している商品名デルペット80Nや560Fが挙げられる。
【0017】
本発明に用いられるアクリロニトリル系ポリマーは、アクリロニトリル及びアクリロニトリルを主とする共重合物であれば特に限定されないが、アクリロニトリルの共重合成分としては、通常のアクリル繊維を構成する共重合モノマーが好ましい。例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等のメタクリル酸エステル類、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデンなどの不飽和モノマーが挙げられ、アクリロニトリル系ポリマーとしては、例えば旭化成(株)が市販している商品名カシミロンFKが挙げられる。
【0018】
本発明に用いられるアセチルセルロースは、例えばα−セルロース含有量が90〜97%の木材パルプおよびリンターパルプを、硫酸触媒法、メチレンクロライド法、酢酸法の方法で処理して得られるものであれば特に限定されないが、酢化度30〜62.5%、重合度200〜400のジアセチルセルロース乃至トリアセチルセルロースであることが好ましく、溶媒への溶解性を考慮すれば、酢化度45〜62、重合度200〜350のアセチルセルロースを用いることがより好ましい。
【0019】
本発明では、得られたポリウレタン重合体溶液に、ポリウレタン重合体溶液を製造するのに用いた溶媒に可溶で且つ水に不溶な上述のポリマーを適当な重量%濃度溶液として、得られる弾性糸の重量当り15〜50重量%になるように添加し均一に混合攪拌して紡糸原液とする。添加するポリマー溶液の濃度はポリウレタン重合体溶液によく混合できる範囲で紡出可能な範囲であればよく、特に制限されるものではないが、15〜40重量%の濃度が好ましい。添加混合する段階は、ポリウレタン重合体の重合が終了した時点以降であればよく、ポリウレタン重合体溶液とポリマー溶液は均一によく混合させることが必要であるが、その混合攪拌方法は特に制限されるものではない。該ポリマーの弾性糸中の含有率が15重量%未満だと紡糸原液中のポリウレタン重合体の割合が高く弾性回復率がポリウレタン弾性糸の性能に近づき回復率が高くなり、弾性糸が伸びた状態から戻ろうとする力が大きくなり、弾性糸が内側に所謂スリップインしやすくなり好ましくなく、50重量%を越えるとポリマーの弾性糸中の含有率が高くなり非弾性的な性質が強くなり弾性糸としての弾性回復性が悪化し、繰り返し伸長回復後に十分な弾性回復率が得られなくなるので好ましくない。
【0020】
また、紡糸原液中に必要に応じてポリウレタン弾性糸の製造に通常用いられる、艶消剤、耐光剤、紫外線吸収剤、ガス変色防止剤等を添加混合させてもよい。この紡糸原液を、ノズルより乾式紡糸法で高温雰囲気中または湿式紡糸法で凝固溶液中に吐出するが、その紡糸条件は特に限定されるものではなく、弾性糸はモノフィラメントでもマルチフィラメントでもよいがマルチフィラメントが好ましい。
尚、本発明の弾性糸は、織機、紙おむつ等に供給するのに好適な範囲の例えば40〜2240デニールの範囲であり、紡糸の安定性を損なうことがない。又、紙おむつに供するためには、通常用いられる仕上げ油剤で処理しないことが不織布との接着性の問題から望ましい。
【0021】
本発明の弾性糸の弾性回復率は、弾性糸を定速伸長型引張試験機を用いて荷重伸長曲線より求める。試料に表示デニールの1/1000gの初荷重を掛けたときのつかみ間隔を50mmとし、引張速度を1分当りつかみ間隔の約1000%とし300%迄伸長し、直ちに同速で元のつかみ間隔まで戻す。これを直ちに3回繰り返し行う。そして図1に例示した(2回目の曲線は図示せず)荷重伸長曲線を得る。
【0022】
初回の弾性回復率は、図1のL0、L1の長さを測定し、次の〔数1〕より求められる値である。
【数1】
又、第3回の弾性回復率は、図1のL0´、L1´の長さを測定し、次の〔数2〕より求められる値である。
【数2】
本発明では、〔数2〕で求めた第3回の弾性回復率の値から〔数1〕で求めた初回の弾性回復率の値を差し引いた値が10%以上高いことが好ましい。本発明の弾性糸は、第3回以後の弾性回復率は略一定していて安定である。この弾性回復率の差が10%を下回る、即ち初回と第3回の弾性回復率が高いときは、戻りに強い弾性糸で繰り返し弾性回復が高い弾性糸であり好ましくなく、又、初回と第3回の弾性回復率が低いときは、戻りに弱い弾性糸であり弾性糸として好ましくない。
【0023】
本発明の弾性糸は、ポリウレタン弾性糸中にポリウレタン重合体の溶媒と同じ溶媒に可溶で且つ水に不溶であるポリマーが一様に含有され、初回の伸長に対する弾性回復率が低く、伸長前の長さには戻らないが、伸長回復を繰り返す事で、弾性回復率が第3回以後良くなり安定する。本発明の弾性糸は、編織物、カバリング糸、又は紙おむつ用に使用される際、一定の伸長率にて伸ばされて使用されるが、初回弾性回復率が低めである為、所謂スリップインしにくい。
【0024】
本発明の弾性糸は、織物の緯糸等、通常のカバリングをせず裸糸のままでは製編織が難しい用途においても使用する事ができ、紙おむつ用に使用したときスリップインしにくいため弾性糸が接着剤により不織布に固定されるので紙おむつとして良好な締付け効果が期待される。更に、本発明の弾性糸は熱セット率にも優れているので衣料分野等で良好な効果を発揮する。
【0025】
【実施例】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこの範囲に限定されるものではない。
なお、部はすべて重量部を示し、弾性糸の繊度、強伸度、300%モジュラス、収縮率(スリップイン)の評価、製織性の評価、熱セット率は以下の方法によった。又、弾性回復率は前述した方法で測定した。
【0026】
〈繊度、強伸度、300%モジュラス〉
日本化学繊維協会(昭和53年10月発行)の「ポリウレタンフィラメント糸試験方法」により、繊度、破断時の引張り強さ(g/d)及びその時の伸度、300%伸長時における引張抵抗値(g/d)を測定した。
〈収縮率(スリップイン)の評価〉
弾性糸に日立化成ポリマー(株)製、商品名:ハイボン 9610のホットメルト0.006g/m塗布し、2.8倍に延伸し、該弾性糸をポリプロピレン製スパンボンド不織布2枚に挟み込み、5kgの荷重を掛け張り付ける。この状態で50℃、8時間放置し、不織布に張り付けた。弾性糸により不織布が皺状になっているので不織布を延ばす。そして図2(I)に示す如く弾性糸を200mm長になる様にA点、B点で切る。切断後40℃で2時間放置し200mmの弾性糸が収縮した長さ(図2(II)のa,b長( mm))を測定し、次式の〔数3〕より収縮率を算出する(12本の弾性糸の平均値)。この数値からスリップインの性能を評価した。この数値が高いものは好ましくない。
【数3】
【0027】
〈製織性の評価〉
岩間製作所製の片側レピア織機(山田EDPドビー仕様、型番:RS−100型)で、経糸に80/2番手の綿糸を用い、緯糸に本発明の弾性糸を用いて打ち込み本数を経糸120本/inch×緯糸78本/inchで平織組織の織物を製織し、次の4段階で製織性を評価した。
1:頻繁に緯糸の受け渡しに問題が生じ製織不可能。
2:緯糸の受け渡しに問題が生じないものの、織上がり状態で戻り側の位置ま
で達していない所謂スリップイン現象が見られる。
3:製織上問題ないが生地面に所謂スリップイン現象が認められ不良。
4:製織上全く問題なく、しかも生地面も問題なく良好。
〈熱セット率〉
試料に表示デニールの1/1000gの初荷重をかけた状態で糸長170mm点を刻印し、この糸長に対して2倍になるように延伸したまま120℃に調整された2枚の板型ヒーターにて1分間プレスした。プレス解除後30分室内(20℃、相対湿度60%)に放置後、再び同一の初荷重をかけた状態で刻印の点までの糸長(mm)を測定し、次式の〔数4〕により熱セット率を求めた(n=3)。
【数4】
【0028】
〔実施例1〕
数平均分子量1810のポリオキシテトラメチレングリコール2869部、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート594部を45℃にて混合した後、75℃にて80分間反応させて、ウレタンプレポリマー3463部を得た。このときのイソシアネート基含有量はウレタンプレポリマー100g中1,880gであった。
これとは別に、鎖伸長剤としてエチレンジアミン44.1部と末端停止剤としてジエチルアミン6.4部を、0℃に冷やしたN,N−ジメチルアセトアミド1262部に加えて良く攪拌し、鎖伸長剤と末端停止剤の混合溶液を得た。
【0029】
先に得たウレタンプレポリマー3400部を、0℃に冷やしたN,N−ジメチルアセトアミド5896部に加え、良く攪拌した後、ウレタンプレポリマーのイソシアネート基に対して、鎖伸長剤と末端停止剤の活性水素基が等モルとなるように鎖伸長剤と末端停止剤の混合溶液を添加し反応させて濃度35%のポリウレタン重合体溶液を得た。得られたポリウレタン重合体溶液を6等分した。
【0030】
これとは別に、アクリル樹脂系ポリマー(三菱レイヨン(株)製、商品名:アクリペットVH)をN,N−ジメチルアセトアミドに溶解させて、濃度30%のアクリル樹脂系ポリマー溶液を得た。
先に得た6等分したポリウレタン重合体溶液の5つに夫々アクリル樹脂系ポリマー溶液を添加するが、添加したアクリル樹脂系ポリマーが弾性糸に対して5、15、30、50、60重量%の含有率となるように添加混合して、5種類の紡糸原液を得た。得られた各紡糸原液を直径0.2mmのオリフィスを15個有する紡糸ノズルを用いて乾式紡糸し、300m/分の速度で、20%伸長してポリウレタン弾性糸に用いられている仕上げ油剤3%を付着させて捲取り、繊度280デニールのアクリル樹脂系ポリマーを含有した試料1〜5の弾性糸5種を得た。
【0031】
また、1つのアクリル樹脂系ポリマー溶液を添加しないポリウレタン重合体溶液を同様にして紡糸し、比較試料No.1のポリウレタン弾性糸を得た。
得られた各試料の繊度、強度、伸度、300%モジュラス、初回と第3回目の弾性回復率、熱セット率を測定、収縮率(スリップイン)の評価、製織性の評価を行い、その結果を表1に示した。
【0032】
【表1】
【0033】
表1から明らかな如く、比較試料No.1はアクリル樹脂系ポリマーを添加していないポリウレタン弾性糸で、初回の弾性回復率が高く、収縮率と製織性の評価も良くない。そして熱セット率も低いので、熱処理しても収縮しやすい。また、試料No.1はアクリル樹脂系ポリマーの含有率が低いため十分な効果が認められず、試料No.5はアクリル樹脂系ポリマーの含有率が高いために繰り返し3回目の弾性回復率が低すぎる。これに対して、アクリル樹脂系ポリマーの含有率が15〜50%である試料No.2〜No.4は、所望の弾性特性が得られていることから、熱セット率にも優れ、収縮率と製織性の評価について良好な結果が得られて裸糸のまま製織可能であることが明らかである。
【0034】
〔実施例2〕
実施例1と全く同じ方法にて濃度35%のポリウレタン重合体溶液を得た。
これとは別に重合度270、酢化度54.3%のダイセル化学工業(株)製、品番L−ACのアセチルセルロースをN,N−ジメチルアセトアミドに溶解させて、濃度30%のアセチルセルロース溶液を得た。
【0035】
次いで、先に得たポリウレタン重合体溶液にアセチルセルロース溶液を添加するが、添加したアセチルセルロースを弾性糸に対して5、15、30、50、60重量%の含有率となるように添加混合して、5種類の紡糸原液を得た。得られた各紡糸原液を直径0.2mmのオリフィスを20個有する紡糸ノズルを用いて乾式紡糸し、400m/分の速度で、20%伸長して仕上げ油剤3%を付着させて捲取り、繊度280デニールのアセチルセルロースを含有した試料No.6〜10の弾性糸5種を得た。
【0036】
また、アセチルセルロース溶液を添加しないポリウレタン重合体溶液を同様にして紡糸し、比較試料No.2のポリウレタン弾性糸を得た。
得られた各試料の繊度、強度、伸度、300%モジュラス、初回と第3回目の弾性回復率、熱セット率を測定、収縮率(スリップイン)の評価、製織性の評価を行い、その結果を表2に示した。
【0037】
【表2】
【0038】
表2から明らかな如く、比較試料No.2はアセチルセルロースを添加していないポリウレタン弾性糸で、初回の弾性回復率が高く、収縮率と製織性の評価も良くない。そして熱セット性も低いので、熱処理しても収縮しやすい。また、試料No.6はアセチルセルロースの含有率が低いため十分な効果が認められず、試料No.10はアセチルセルロースの含有率が高いために繰り返し3回目の弾性回復率が低すぎる。これに対して、アセチルセルロースの含有率が15〜50%である試料No.7〜No.9は、所望の弾性特性が得られていることから、熱セット率にも優れ、収縮率と製織性の評価について良好な結果が得られ裸糸のまま製織可能であることが明らかである。
【0039】
〔実施例3〕
実施例1と全く同じ方法にて濃度35%のポリウレタン重合体溶液を得た。
これとは別に、旭化成(株)製、商品名:カシミロンFKのアクリロニトリル系ポリマーをN,N−ジメチルアセトアミドに溶解させて、濃度30%のアクリロニトリル系ポリマー溶液を得た。
【0040】
次いで、先に得たポリウレタン重合体溶液にアクリロニトリル系ポリマー溶液を添加するが、添加したアクリロニトリル系ポリマーを弾性糸に対して5,15,30,50,60重量%の含有率となるように添加混合して5種の紡糸原液を得た。得られた各紡糸原液を直径0.2mmのオリフィスを20個有する紡糸ノズルを用いて乾式紡糸し、400m/分の速度で、20%伸長して、仕上げ油剤を3%付着させ捲取り、繊度280デニールのアクリロニトリル系ポリマーを含有した試料No.11〜15の弾性糸5種を得た。
【0041】
また、アクリロニトリル系ポリマー溶液を添加しないポリウレタン重合体溶液を同様にして、紡糸し比較試料No.3のポリウレタン弾性糸を得た。
得られた各試料の繊度、強度、伸度、300%モジュラス、初回と第3回目の弾性回復率、熱セット性を測定、収縮率(スリップイン)の評価、製織性の評価を行い、その結果を表3に示した。
【0042】
【表3】
【0043】
表3から明らかな如く、比較試料No.3はアクリロニトリル系ポリマーを添加していないポリウレタン弾性糸で、初回の弾性回復率が高く、収縮率と製織性の評価も良くない。そして熱セット率も低いので、熱処理しても収縮しやすい。試料No.11はアクリロニトリル系ポリマーの含有率が低いため十分な効果が認められず、試料No.15はアクリロニトリル系ポリマーの含有率が高いために繰り返し3回目の弾性回復率が低すぎる。これに対して、アクリロニトリル系ポリマーの含有率が15〜50%である試料No.12〜No.14は、所望の弾性特性が得られていることから、熱セット率にも優れ、収縮率と製織性の評価について良好な結果が得られ裸糸のまま製織可能であることが明らかである。
【0044】
【発明の効果】
以上のように本発明は、アクリル樹脂系ポリマー、アクリロニトリル系ポリマー、アセチルセルロースの、ポリウレタン重合体の溶媒と同じ溶媒に可溶で且つ水に不溶であるポリマーの1種を弾性糸に対し15重量%以上という高い混率で含有させているので、初回の伸長に対する回復率が低く、伸長前の長さには戻らないが、伸長回復を繰り返す事で回復率が良くなり安定し、被覆糸や編織組織、接着剤等により伸ばされた状態で保持されやすく、所謂スリップインしにくい弾性糸であり、例えば織物の緯糸等の、通常カバリングせず裸糸のままでは製編織が難しい用途においても使用でき、紙おむつ用に供給しても所謂スリップインしない性質があるため均一な回復性を発現し良好な締め付け力のある紙おむつが提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の弾性回復率の測定法を説明するための模式図。
【図2】(I)は本発明の収縮率(スリップイン)の評価方法の弾性糸切断説明模式図、(II)は本発明の収縮率(スリップイン)の評価方法の弾性糸収縮長説明模式図。
【発明の属する技術分野】
本発明は、伸長された状態を保持する性能を具備する弾性糸を提供するものであり、被覆糸にはせず裸糸のままでは製織が難しい用途等に使用できる弾性糸に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、有機ジイソシアネートと高分子量ジオールを反応させたイソシアネート基末端のプレポリマーに、ジアミンで鎖伸長させて得たポリウレタン溶液を紡糸して得られるポリウレタン弾性糸は公知であり、このポリウレタン弾性糸は優れた伸縮性があり布帛等に伸縮性を付与させるために衣類の分野で広く用いられている。ポリウレタン弾性糸は、編織物を構成する繊維の一つとして用いたり、紙おむつ用として不織布に接着剤により固定して用いられているが、何れの場合も適度に伸ばされた状態で保持されている。
【0003】
しかしポリウレタン弾性糸は伸ばされた状態から戻ろうとする力が大きいために、内側にズレ込む所謂スリップインという現象が発生しやすく、そのため編織物の生地状態が悪くなったり、紙おむつでは締め付ける性能が失われる欠点を生ずる。
【0004】
この為、ポリウレタン弾性糸を編織物に利用するために、一般的にはポリウレタン弾性糸を芯糸として綿等の短繊維の紡績糸で被覆した所謂コアスパンヤーン、ポリウレタン弾性糸を芯糸として合成繊維等の長繊維のマルチフィラメント糸で被覆した所謂フィラメントツイストヤーンやプライヤーン等にしてポリウレタン弾性糸の伸縮性を安定的に維持、制限した所謂スリップインを押さえた状態の糸として使用されている。特に織物においては上述の被覆糸でないと裸糸では製織上問題があり、緯糸として打ち込む際に伸びきってしまい充分に打ち込みが出来なかったり、エアジェット織機では吹き切れを生じ、レピア織機では緯糸の受け渡しが不安定になる等の問題がある。編織機に供給するのに、被覆糸でなく適用性のある弾性糸を裸糸のままで供給可能な編織性に優れた弾性糸の要望がある。
【0005】
ポリウレタン重合体溶液に他の重合体溶液を混合し紡糸して弾性糸を得ることについては、ポリウレタンウレア重合体溶液にアミド系溶媒に可溶な特定量の官能基濃度を持った特定の熱可塑性重合体であるポリアクリロニトリル系ポリマー、スチレンー無水マレイン酸系共重合体、ポリウレタン重合体のいずれかをポリウレタンウレア重合体に1〜14重量%添加、混合し、熱成型性と耐熱劣化性を兼備させた弾性糸が特開平7−316922号公報に開示されている。該公報のポリウレタンウレア弾性糸は、パンティストッキング用として好適とされるため、実施例でも15デニール/2フィラメントの極細繊度糸であり、従って熱可塑性重合体の添加量も14重量%を超えると紡糸性に問題があると記載されている。又、出願人は、先に吸湿性と生分解性を改善するために、ポリウレタン重合体溶液にアセチルセルロース溶液又はブチリルキチン溶液を添加混合して紡糸し、次いでアルカリ処理した、弾性糸重量当りアセチルセルロース又はブチリルキチンが3〜15重量%含有されている改質ポリウレタン弾性繊維の製造方法を特開2000−303259号公報、特開2000−303351号公報で開示した。しかしながら、所謂スリップインし難く、従来裸糸では使用し難かった用途において使用可能な弾性糸は知られていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、被覆糸や編織組織中または接着剤等で適度に伸長された状態を保持し、所謂スリップインしにくい弾性糸で、その結果、例えば織物を製織するときの緯糸で通常用いられている被覆糸とすることなく、弾性糸そのままの裸糸の状態で製織が困難であった用途においても使用可能な弾性糸であり、又、スリップインしにくいために、紙おむつ用として接着剤により不織布に保持固定するのに適した弾性糸を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上述の欠点を解決するため鋭意検討の結果、ポリウレタン重合体溶液にポリウレタン重合体の溶媒に可溶で且つ水に不溶なポリマー溶液を弾性糸の重量当り15〜50重量%と高混率で配合した弾性糸は、初回測定における伸長に対する弾性回復率が低く、伸長前の長さには戻らず、伸長と回復を繰り返すと弾性回復率が良くなり安定することを見出し、本発明に至った。
即ち本発明は、ポリウレタン重合体の溶媒に可溶で且つ水に不溶なポリマーを弾性糸の重量当り15〜50重量%含有するポリウレタンよりなる弾性糸であり、弾性回復率が、初回の値に対して繰り返し3回後の値が10%以上高いポリウレタン弾性糸である。又、ポリウレタン重合体の溶媒に可溶で且つ水に不溶なポリマーが、アクリル樹脂系ポリマー、アクリロニトリル系ポリマー、アセチルセルロースから選ばれる1種である弾性糸である。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明のポリウレタン重合体の製造に用いられるポリマージオールとしては、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリオキシペンタメチレングリコール、ポリオキシヘキサメチレングリコール、ポリオキシプロピレンテトラメチレングリコール等のポリエーテルジオール、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸等のジカルボン酸の1種または2種以上とから構成されるポリエステルジオール、ポリエーテルポリエステルジオール、ポリラクトンジオール、ポリカーボネートジオール、ポリエステルポリカーボネートジオール等から選ばれる1種または2種以上の数平均分子量1000〜2500のポリマージオールが80重量%以上含まれているものであれば、特に限定されるものではないが、ポリエーテル系ジオールが好ましい。
【0009】
なお、ポリマージオールにエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール等の低分子ジオールやブタノール、ヘキサノール等のモノオールを少量添加、混合してもよい。
【0010】
本発明のポリウレタン重合体の製造に用いられる有機ジイソシアネートとしては、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3´−ジクロロ−4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の1種又は2種以上の組み合わせが挙げられるが、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネートが好ましい。
【0011】
本発明に用いられるポリウレタン重合体溶液の製造方法は、先ず上記ポリマージオールと上記有機ジイソシアネートを、夫々が固化しない温度にて混合し、90℃以下にて30分〜2時間反応を行い、末端にイソシアネート基を2個有するウレタンプレポリマーを得る。このとき、ポリマージオールに対する有機ジイソシアネートの量は110〜210モル%の範囲、好ましくは150〜190モル%の範囲とする。ポリマージオールに対する有機ジイソシアネートの量が110モル%未満の場合、得られる弾性糸の強度が充分でなく、紡調も悪化するため好ましくなく、また210モル%を越えると、ウレタンプレポリマー中に未反応の有機ジイソシアネートが多く残留するため、鎖伸長反応を行っても低分子鎖の発生が多くなり好ましくない。
【0012】
次に、このようにして得られた末端にイソシアネート基を2個有するウレタンプレポリマーに、イソシアネート基と反応しうる活性水素基を2個以上有する鎖伸長剤、及びイソシアネート基と反応しうる活性水素基を1個有する末端停止剤を反応させて、ポリウレタン重合体溶液を得る。このときの重合方法は特に限定されるものではなく、バッチ式や紡出に直結して連続的に供給する方法である連続重合法も採用できる。またこのときの反応時間は特に限定されないが、例えばバッチ式の場合は、通常30分〜90分で良い。反応温度は、0〜70℃にて行うのが好ましく、反応温度が低すぎると反応に長時間を要し、効率が悪くなり、逆に高すぎると副反応が促進されるため好ましくない。
【0013】
本発明ポリウレタンの重合反応に用いられるイソシアネート基と反応しうる活性水素基を2個有する鎖伸長剤としては、エチレンジアミン、1,2−プロピレンジアミン、1,3−プロピレンジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、4,4´−ジフェニルメタンジアミン、シクロヘキシレンジアミン、2,4−トリレンジアミン、2,6−トリレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヒドラジン、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール等の1種または2種以上の組み合わせが挙げられる。また、イソシアネート基と反応しうる活性水素基を1個有する末端停止剤としては、ジメチルアミン、メチルエチルアミン、ジエチルアミン、メチル−n−プロピルアミン、メチルイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジ−n−ヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン等が挙げられる。
【0014】
本発明のポリウレタン重合体溶液の製造に用いられる溶媒は、上述したウレタンプレポリマー、鎖伸長剤、末端停止剤やポリウレタン重合体を溶解することができ、通常用いられる条件にて実質的に上記物質および反応生成物に対し不活性な極性溶媒であれば特に限定されるものではなく、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン等が挙げられる。
【0015】
本発明に用いられるポリウレタン重合体溶液の溶媒と同じ溶媒に可溶で、且つ水に不溶であるポリマーは、アクリル樹脂系ポリマー、アクリロニトル系ポリマー、アセチルセルロースの中から選ばれた1種のポリマーである。
【0016】
本発明に用いられるアクリル樹脂系ポリマーを構成するモノマーは特に限定されず、例えはアクリル酸、メタクリル酸のほか、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等のメタクリル酸エステル類、クロトン酸等の一塩基酸、フマール酸、マレイン酸、イソフタル酸等の二塩基酸、及びこれらの部分エステル、更にアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデンなどの不飽和モノマーを共重合したものが挙げられ、アクリル樹脂系ポリマーとしては、例えば、三菱レイヨン(株)が市販している商品名アクリペットVHやMF、旭化成(株)が市販している商品名デルペット80Nや560Fが挙げられる。
【0017】
本発明に用いられるアクリロニトリル系ポリマーは、アクリロニトリル及びアクリロニトリルを主とする共重合物であれば特に限定されないが、アクリロニトリルの共重合成分としては、通常のアクリル繊維を構成する共重合モノマーが好ましい。例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等のメタクリル酸エステル類、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデンなどの不飽和モノマーが挙げられ、アクリロニトリル系ポリマーとしては、例えば旭化成(株)が市販している商品名カシミロンFKが挙げられる。
【0018】
本発明に用いられるアセチルセルロースは、例えばα−セルロース含有量が90〜97%の木材パルプおよびリンターパルプを、硫酸触媒法、メチレンクロライド法、酢酸法の方法で処理して得られるものであれば特に限定されないが、酢化度30〜62.5%、重合度200〜400のジアセチルセルロース乃至トリアセチルセルロースであることが好ましく、溶媒への溶解性を考慮すれば、酢化度45〜62、重合度200〜350のアセチルセルロースを用いることがより好ましい。
【0019】
本発明では、得られたポリウレタン重合体溶液に、ポリウレタン重合体溶液を製造するのに用いた溶媒に可溶で且つ水に不溶な上述のポリマーを適当な重量%濃度溶液として、得られる弾性糸の重量当り15〜50重量%になるように添加し均一に混合攪拌して紡糸原液とする。添加するポリマー溶液の濃度はポリウレタン重合体溶液によく混合できる範囲で紡出可能な範囲であればよく、特に制限されるものではないが、15〜40重量%の濃度が好ましい。添加混合する段階は、ポリウレタン重合体の重合が終了した時点以降であればよく、ポリウレタン重合体溶液とポリマー溶液は均一によく混合させることが必要であるが、その混合攪拌方法は特に制限されるものではない。該ポリマーの弾性糸中の含有率が15重量%未満だと紡糸原液中のポリウレタン重合体の割合が高く弾性回復率がポリウレタン弾性糸の性能に近づき回復率が高くなり、弾性糸が伸びた状態から戻ろうとする力が大きくなり、弾性糸が内側に所謂スリップインしやすくなり好ましくなく、50重量%を越えるとポリマーの弾性糸中の含有率が高くなり非弾性的な性質が強くなり弾性糸としての弾性回復性が悪化し、繰り返し伸長回復後に十分な弾性回復率が得られなくなるので好ましくない。
【0020】
また、紡糸原液中に必要に応じてポリウレタン弾性糸の製造に通常用いられる、艶消剤、耐光剤、紫外線吸収剤、ガス変色防止剤等を添加混合させてもよい。この紡糸原液を、ノズルより乾式紡糸法で高温雰囲気中または湿式紡糸法で凝固溶液中に吐出するが、その紡糸条件は特に限定されるものではなく、弾性糸はモノフィラメントでもマルチフィラメントでもよいがマルチフィラメントが好ましい。
尚、本発明の弾性糸は、織機、紙おむつ等に供給するのに好適な範囲の例えば40〜2240デニールの範囲であり、紡糸の安定性を損なうことがない。又、紙おむつに供するためには、通常用いられる仕上げ油剤で処理しないことが不織布との接着性の問題から望ましい。
【0021】
本発明の弾性糸の弾性回復率は、弾性糸を定速伸長型引張試験機を用いて荷重伸長曲線より求める。試料に表示デニールの1/1000gの初荷重を掛けたときのつかみ間隔を50mmとし、引張速度を1分当りつかみ間隔の約1000%とし300%迄伸長し、直ちに同速で元のつかみ間隔まで戻す。これを直ちに3回繰り返し行う。そして図1に例示した(2回目の曲線は図示せず)荷重伸長曲線を得る。
【0022】
初回の弾性回復率は、図1のL0、L1の長さを測定し、次の〔数1〕より求められる値である。
【数1】
又、第3回の弾性回復率は、図1のL0´、L1´の長さを測定し、次の〔数2〕より求められる値である。
【数2】
本発明では、〔数2〕で求めた第3回の弾性回復率の値から〔数1〕で求めた初回の弾性回復率の値を差し引いた値が10%以上高いことが好ましい。本発明の弾性糸は、第3回以後の弾性回復率は略一定していて安定である。この弾性回復率の差が10%を下回る、即ち初回と第3回の弾性回復率が高いときは、戻りに強い弾性糸で繰り返し弾性回復が高い弾性糸であり好ましくなく、又、初回と第3回の弾性回復率が低いときは、戻りに弱い弾性糸であり弾性糸として好ましくない。
【0023】
本発明の弾性糸は、ポリウレタン弾性糸中にポリウレタン重合体の溶媒と同じ溶媒に可溶で且つ水に不溶であるポリマーが一様に含有され、初回の伸長に対する弾性回復率が低く、伸長前の長さには戻らないが、伸長回復を繰り返す事で、弾性回復率が第3回以後良くなり安定する。本発明の弾性糸は、編織物、カバリング糸、又は紙おむつ用に使用される際、一定の伸長率にて伸ばされて使用されるが、初回弾性回復率が低めである為、所謂スリップインしにくい。
【0024】
本発明の弾性糸は、織物の緯糸等、通常のカバリングをせず裸糸のままでは製編織が難しい用途においても使用する事ができ、紙おむつ用に使用したときスリップインしにくいため弾性糸が接着剤により不織布に固定されるので紙おむつとして良好な締付け効果が期待される。更に、本発明の弾性糸は熱セット率にも優れているので衣料分野等で良好な効果を発揮する。
【0025】
【実施例】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこの範囲に限定されるものではない。
なお、部はすべて重量部を示し、弾性糸の繊度、強伸度、300%モジュラス、収縮率(スリップイン)の評価、製織性の評価、熱セット率は以下の方法によった。又、弾性回復率は前述した方法で測定した。
【0026】
〈繊度、強伸度、300%モジュラス〉
日本化学繊維協会(昭和53年10月発行)の「ポリウレタンフィラメント糸試験方法」により、繊度、破断時の引張り強さ(g/d)及びその時の伸度、300%伸長時における引張抵抗値(g/d)を測定した。
〈収縮率(スリップイン)の評価〉
弾性糸に日立化成ポリマー(株)製、商品名:ハイボン 9610のホットメルト0.006g/m塗布し、2.8倍に延伸し、該弾性糸をポリプロピレン製スパンボンド不織布2枚に挟み込み、5kgの荷重を掛け張り付ける。この状態で50℃、8時間放置し、不織布に張り付けた。弾性糸により不織布が皺状になっているので不織布を延ばす。そして図2(I)に示す如く弾性糸を200mm長になる様にA点、B点で切る。切断後40℃で2時間放置し200mmの弾性糸が収縮した長さ(図2(II)のa,b長( mm))を測定し、次式の〔数3〕より収縮率を算出する(12本の弾性糸の平均値)。この数値からスリップインの性能を評価した。この数値が高いものは好ましくない。
【数3】
【0027】
〈製織性の評価〉
岩間製作所製の片側レピア織機(山田EDPドビー仕様、型番:RS−100型)で、経糸に80/2番手の綿糸を用い、緯糸に本発明の弾性糸を用いて打ち込み本数を経糸120本/inch×緯糸78本/inchで平織組織の織物を製織し、次の4段階で製織性を評価した。
1:頻繁に緯糸の受け渡しに問題が生じ製織不可能。
2:緯糸の受け渡しに問題が生じないものの、織上がり状態で戻り側の位置ま
で達していない所謂スリップイン現象が見られる。
3:製織上問題ないが生地面に所謂スリップイン現象が認められ不良。
4:製織上全く問題なく、しかも生地面も問題なく良好。
〈熱セット率〉
試料に表示デニールの1/1000gの初荷重をかけた状態で糸長170mm点を刻印し、この糸長に対して2倍になるように延伸したまま120℃に調整された2枚の板型ヒーターにて1分間プレスした。プレス解除後30分室内(20℃、相対湿度60%)に放置後、再び同一の初荷重をかけた状態で刻印の点までの糸長(mm)を測定し、次式の〔数4〕により熱セット率を求めた(n=3)。
【数4】
【0028】
〔実施例1〕
数平均分子量1810のポリオキシテトラメチレングリコール2869部、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート594部を45℃にて混合した後、75℃にて80分間反応させて、ウレタンプレポリマー3463部を得た。このときのイソシアネート基含有量はウレタンプレポリマー100g中1,880gであった。
これとは別に、鎖伸長剤としてエチレンジアミン44.1部と末端停止剤としてジエチルアミン6.4部を、0℃に冷やしたN,N−ジメチルアセトアミド1262部に加えて良く攪拌し、鎖伸長剤と末端停止剤の混合溶液を得た。
【0029】
先に得たウレタンプレポリマー3400部を、0℃に冷やしたN,N−ジメチルアセトアミド5896部に加え、良く攪拌した後、ウレタンプレポリマーのイソシアネート基に対して、鎖伸長剤と末端停止剤の活性水素基が等モルとなるように鎖伸長剤と末端停止剤の混合溶液を添加し反応させて濃度35%のポリウレタン重合体溶液を得た。得られたポリウレタン重合体溶液を6等分した。
【0030】
これとは別に、アクリル樹脂系ポリマー(三菱レイヨン(株)製、商品名:アクリペットVH)をN,N−ジメチルアセトアミドに溶解させて、濃度30%のアクリル樹脂系ポリマー溶液を得た。
先に得た6等分したポリウレタン重合体溶液の5つに夫々アクリル樹脂系ポリマー溶液を添加するが、添加したアクリル樹脂系ポリマーが弾性糸に対して5、15、30、50、60重量%の含有率となるように添加混合して、5種類の紡糸原液を得た。得られた各紡糸原液を直径0.2mmのオリフィスを15個有する紡糸ノズルを用いて乾式紡糸し、300m/分の速度で、20%伸長してポリウレタン弾性糸に用いられている仕上げ油剤3%を付着させて捲取り、繊度280デニールのアクリル樹脂系ポリマーを含有した試料1〜5の弾性糸5種を得た。
【0031】
また、1つのアクリル樹脂系ポリマー溶液を添加しないポリウレタン重合体溶液を同様にして紡糸し、比較試料No.1のポリウレタン弾性糸を得た。
得られた各試料の繊度、強度、伸度、300%モジュラス、初回と第3回目の弾性回復率、熱セット率を測定、収縮率(スリップイン)の評価、製織性の評価を行い、その結果を表1に示した。
【0032】
【表1】
【0033】
表1から明らかな如く、比較試料No.1はアクリル樹脂系ポリマーを添加していないポリウレタン弾性糸で、初回の弾性回復率が高く、収縮率と製織性の評価も良くない。そして熱セット率も低いので、熱処理しても収縮しやすい。また、試料No.1はアクリル樹脂系ポリマーの含有率が低いため十分な効果が認められず、試料No.5はアクリル樹脂系ポリマーの含有率が高いために繰り返し3回目の弾性回復率が低すぎる。これに対して、アクリル樹脂系ポリマーの含有率が15〜50%である試料No.2〜No.4は、所望の弾性特性が得られていることから、熱セット率にも優れ、収縮率と製織性の評価について良好な結果が得られて裸糸のまま製織可能であることが明らかである。
【0034】
〔実施例2〕
実施例1と全く同じ方法にて濃度35%のポリウレタン重合体溶液を得た。
これとは別に重合度270、酢化度54.3%のダイセル化学工業(株)製、品番L−ACのアセチルセルロースをN,N−ジメチルアセトアミドに溶解させて、濃度30%のアセチルセルロース溶液を得た。
【0035】
次いで、先に得たポリウレタン重合体溶液にアセチルセルロース溶液を添加するが、添加したアセチルセルロースを弾性糸に対して5、15、30、50、60重量%の含有率となるように添加混合して、5種類の紡糸原液を得た。得られた各紡糸原液を直径0.2mmのオリフィスを20個有する紡糸ノズルを用いて乾式紡糸し、400m/分の速度で、20%伸長して仕上げ油剤3%を付着させて捲取り、繊度280デニールのアセチルセルロースを含有した試料No.6〜10の弾性糸5種を得た。
【0036】
また、アセチルセルロース溶液を添加しないポリウレタン重合体溶液を同様にして紡糸し、比較試料No.2のポリウレタン弾性糸を得た。
得られた各試料の繊度、強度、伸度、300%モジュラス、初回と第3回目の弾性回復率、熱セット率を測定、収縮率(スリップイン)の評価、製織性の評価を行い、その結果を表2に示した。
【0037】
【表2】
【0038】
表2から明らかな如く、比較試料No.2はアセチルセルロースを添加していないポリウレタン弾性糸で、初回の弾性回復率が高く、収縮率と製織性の評価も良くない。そして熱セット性も低いので、熱処理しても収縮しやすい。また、試料No.6はアセチルセルロースの含有率が低いため十分な効果が認められず、試料No.10はアセチルセルロースの含有率が高いために繰り返し3回目の弾性回復率が低すぎる。これに対して、アセチルセルロースの含有率が15〜50%である試料No.7〜No.9は、所望の弾性特性が得られていることから、熱セット率にも優れ、収縮率と製織性の評価について良好な結果が得られ裸糸のまま製織可能であることが明らかである。
【0039】
〔実施例3〕
実施例1と全く同じ方法にて濃度35%のポリウレタン重合体溶液を得た。
これとは別に、旭化成(株)製、商品名:カシミロンFKのアクリロニトリル系ポリマーをN,N−ジメチルアセトアミドに溶解させて、濃度30%のアクリロニトリル系ポリマー溶液を得た。
【0040】
次いで、先に得たポリウレタン重合体溶液にアクリロニトリル系ポリマー溶液を添加するが、添加したアクリロニトリル系ポリマーを弾性糸に対して5,15,30,50,60重量%の含有率となるように添加混合して5種の紡糸原液を得た。得られた各紡糸原液を直径0.2mmのオリフィスを20個有する紡糸ノズルを用いて乾式紡糸し、400m/分の速度で、20%伸長して、仕上げ油剤を3%付着させ捲取り、繊度280デニールのアクリロニトリル系ポリマーを含有した試料No.11〜15の弾性糸5種を得た。
【0041】
また、アクリロニトリル系ポリマー溶液を添加しないポリウレタン重合体溶液を同様にして、紡糸し比較試料No.3のポリウレタン弾性糸を得た。
得られた各試料の繊度、強度、伸度、300%モジュラス、初回と第3回目の弾性回復率、熱セット性を測定、収縮率(スリップイン)の評価、製織性の評価を行い、その結果を表3に示した。
【0042】
【表3】
【0043】
表3から明らかな如く、比較試料No.3はアクリロニトリル系ポリマーを添加していないポリウレタン弾性糸で、初回の弾性回復率が高く、収縮率と製織性の評価も良くない。そして熱セット率も低いので、熱処理しても収縮しやすい。試料No.11はアクリロニトリル系ポリマーの含有率が低いため十分な効果が認められず、試料No.15はアクリロニトリル系ポリマーの含有率が高いために繰り返し3回目の弾性回復率が低すぎる。これに対して、アクリロニトリル系ポリマーの含有率が15〜50%である試料No.12〜No.14は、所望の弾性特性が得られていることから、熱セット率にも優れ、収縮率と製織性の評価について良好な結果が得られ裸糸のまま製織可能であることが明らかである。
【0044】
【発明の効果】
以上のように本発明は、アクリル樹脂系ポリマー、アクリロニトリル系ポリマー、アセチルセルロースの、ポリウレタン重合体の溶媒と同じ溶媒に可溶で且つ水に不溶であるポリマーの1種を弾性糸に対し15重量%以上という高い混率で含有させているので、初回の伸長に対する回復率が低く、伸長前の長さには戻らないが、伸長回復を繰り返す事で回復率が良くなり安定し、被覆糸や編織組織、接着剤等により伸ばされた状態で保持されやすく、所謂スリップインしにくい弾性糸であり、例えば織物の緯糸等の、通常カバリングせず裸糸のままでは製編織が難しい用途においても使用でき、紙おむつ用に供給しても所謂スリップインしない性質があるため均一な回復性を発現し良好な締め付け力のある紙おむつが提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の弾性回復率の測定法を説明するための模式図。
【図2】(I)は本発明の収縮率(スリップイン)の評価方法の弾性糸切断説明模式図、(II)は本発明の収縮率(スリップイン)の評価方法の弾性糸収縮長説明模式図。
Claims (2)
- ポリウレタン重合体の溶媒に可溶で且つ水に不溶なポリマーを弾性糸の重量当り15〜50重量%含有するポリウレタン弾性糸であり、弾性回復率が、初回の値に対して繰り返し3回後の値が10%以上高いことを特徴とする弾性糸。
- ポリウレタン重合体の溶媒に可溶で且つ水に不溶なポリマーが、アクリル樹脂系ポリマー、アクリロニトル系ポリマー、アセチルセルロースから選ばれる1種であることを特徴とする請求項1に記載の弾性糸。
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