JP2004067908A - 異方導電性接着剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】フラットパネルディスプレイ(FPD)パネルと駆動用回路材料との間、あるいは駆動用回路材料とプリント配線板(PWB)との間など、互いに対向した微細端子が面配置された部品間で、低温短時間で電気的接続と接着が可能で、長期的な接続安定性にも優れる信頼性の高い異方導電性接着剤を提供する。
【解決手段】1分間半減期温度の差の最大値が5℃以上であり、かつ差の最小値が50℃以下である2種類以上有機化酸化物を含む、ラジカル重合性樹脂と熱可塑性エラストマーを必須成分とする異方導電性接着剤。
【解決手段】1分間半減期温度の差の最大値が5℃以上であり、かつ差の最小値が50℃以下である2種類以上有機化酸化物を含む、ラジカル重合性樹脂と熱可塑性エラストマーを必須成分とする異方導電性接着剤。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フラットパネルディスプレイ(FPD)パネルと駆動用回路材料との間、あるいは駆動用回路材料とプリント配線板(PWB)との間など、互いに対向した微細端子が面配置された部品間で電気的接続と接着とを同時に行う異方導電性接着剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、液晶ディスプレイ(LCD)をはじめとするFPDにおいて、接着性樹脂中に導電性粒子を分散させた異方導電性接着剤が多く利用されている。フレキシブル回路基板(FPC)やテープキャリアパッケージ(TCP)、集積回路(IC)チップなどの周辺回路とFPDパネルとの接続や、上記周辺回路とPWBとの接続などでは各種微細回路接続の必要性が飛躍的に増大してきており、その接続方法として異方導電性接着剤が使用されている。現在主流となっている熱硬化タイプの異方導電性接着剤は、一般に保存安定性、硬化性のバランスの良いエポキシ樹脂系の熱硬化タイプが広く用いられている。しかし、実用上これらの熱硬化タイプのものは、保存安定性と樹脂の硬化性を両立させるため、その硬化反応性から150〜200℃の温度で30秒前後加熱、硬化することが必要とされ、たとえば150℃未満の温度では実用的な接続時間で樹脂を硬化させることは困難であった。上記問題点に加えて、熱硬化タイプの異方導電性接着剤を用いた微細な回路同士の接続作業性において、位置ずれ等の原因によって一度接続したものを、被接続部材を破損または損傷せずに剥離して再度接合(所謂リペア)したいという要求も多い。
【0003】
近年、ラジカル重合性樹脂、有機過酸化物、熱可塑性エラストマー、リン酸エステル、エポキシシランカップリング剤からなる樹脂組成物中に導電性粒子を分散させた異方導電性接着剤(特開2000−234083公報)が、低温接続性、保存性、信頼性、リペア性を兼備するものとして提案された。ラジカル重合を開始する熱ラジカル源である有機過酸化物の分解速度は、温度に対して指数的に増加し、したがって保存安定性と低温短時間接続性とを両立することができる。
【0004】
上記ラジカル重合性樹脂系の異方導電性接着剤における有機過酸化物の選択は、接続に要する温度および時間で十分な重合、硬化反応が可能であり、また保存温度および期間での保存性を両立するような分解特性を基準に選択することができる。有機過酸化物の添加量は硬化物に求められる架橋密度などから決定することができる。しかしながら、異方導電性接着剤での接着においては短時間で加圧および加熱が行われ、加圧加熱により接続部の温度が徐々に上昇していく。そのように樹脂温度が変化する中で接着剤樹脂の流動、充填、硬化を行うため、硬化過程の制御が困難であった。つまり、有機過酸化物の分解温度を接続なかばの樹脂温度に設定すると、接着剤が十分に流動する前に硬化が進み接着剤の充填が不十分となる。一方、分解温度を接続終盤の樹脂温度に設定すると、硬化を開始するまでの時間が長くなり、十分な硬化度を得るためには接続時間を長く取らなくてはならないという問題があった。
【0005】
従来、ラジカル重合性樹脂、有機過酸化物、熱可塑性エラストマーからなる樹脂組成物中に導電性粒子を分散させた異方導電性接着剤において、2種以上の有機過酸化物を用いることが可能であることは示されていた。しかし、保存安定性と低温短時間接続性とを両立し、なおかつ安定した熱硬化特性を有する異方導電性接着剤を得るような、複数の有機過酸化物の具体的な組み合わせは従来知られていなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、保存安定性と低温短時間接続性とを両立し、なおかつ従来困難であった、接続信頼性、高接着力、リペア性を兼備するような硬化特性を有する異方導電性接着剤を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、
(1)ラジカル重合性樹脂、少なくとも2種類の有機過酸化物、熱可塑性エラストマーを必須成分とする樹脂組成物中に導電性粒子を分散させた異方導電性接着剤であって、樹脂組成物中に含まれる有機過酸化物の1分間半減期温度の差の最大値が5℃以上であり、かつ樹脂組成物中に含まれる有機過酸化物の1分間半減期温度の差の最小値が50℃以下である異方導電性接着剤、
(2)樹脂組成物中に含まれる有機過酸化物の活性化エネルギーの差の最大値が3kJ/mol以上30kJ/mol以下である(1)項に記載の異方導電性接着剤である。
【発明の実施の形態】
【0008】
本発明で用いられるラジカル重合性樹脂としては、分子中に1個以上の炭素−炭素二重結合を有し、ラジカル重合が可能なものであれば特に限定されるものではなく、単独あるいは二種以上混合して用いることも可能である。例えば、不飽和ポリエステル樹脂、マレイミド樹脂、各種アリル樹脂や各種アクリレート樹脂類等を使用することが出来る。また、アミン系の化合物や炭素−炭素二重結合を有した化合物で変性されたアクリレート樹脂も使用することが出来る。中でも異方導電性接着剤とした場合の接着性、硬化性、保存性、硬化物の耐熱性、耐湿性、耐薬品性を兼ね備えたビニルエステル樹脂、ウレタンアクリレート樹脂を好適に用いることが出来る。
また、異方導電性接着剤とした場合の硬化性、熱圧着時の樹脂の流れ性などを確保するために、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、ペンタエリスリトールジアリレートモノステアレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートなどのアクリレート類やスチレンなど各種ラジカル重合可能なモノマー類を併用することが可能である。
【0009】
本発明で用いられる有機過酸化物としては、樹脂組成物中に含まれる有機過酸化物の中で最も高い1分間半減期温度を有する有機過酸化物と最も低い1分間半減期温度を有する有機過酸化物との1分間半減期温度の差が5℃以上であり、かつ樹脂組成物中に含まれる有機過酸化物の中で最も近い1分間半減期温度を有する有機過酸化物同士の1分間半減期温度の差が50℃以下であるように組み合わせて用いる。ここでの1分間半減期温度は、適切な溶媒中に有機過酸化物のみを溶解した状態での有機過酸化物の分解速度を測定して得られた数値を指す。
【0010】
異方導電性接着剤を用いた接着では、熱ブロックやパルスヒーターによる熱圧着が行われるが、このとき異方導電性接着剤は一定温度で加熱されるわけではなく、熱源の熱が被着体および接着剤に伝導する過程で徐々に加熱される。熱圧着の始めでは異方導電性接着剤の温度は急速に上昇する。熱圧着の後半では温度の上昇が緩くなるが、特に短時間接続では温度が平衡状態に到る前に加熱が終了することが多い。この変化する温度の中で接着剤樹脂は十分に硬化しなくてはならず、かつ、硬化が開始する前に樹脂が十分に流動して対向端子間の距離が十分に狭くなることが必要とされる。
【0011】
樹脂組成物中に含まれる有機過酸化物の中で最も高い1分間半減期温度を有する有機過酸化物と最も低い1分間半減期を有する有機過酸化物との1分間半減期温度の差が5℃に満たない場合、全ての有機過酸化物が非常に近い温度範囲で分解のピークを迎えることになり、狭い温度範囲、つまり加熱時間の一部でのみ樹脂の硬化反応が盛んに起こり、反応効率が悪い。また、最も近い1分間半減期温度を有する有機過酸化物同士の1分間半減期温度の差が50℃を超える場合、どの有機過酸化物の分解も盛んでない温度範囲ができ、反応効率が悪い。これらの場合、効率よく硬化反応が行われないために接続後の接着力や接続信頼性に劣る。
【0012】
より好ましくは、最も高い活性化エネルギーを有する有機過酸化物と最も低い活性化エネルギーを有する有機過酸化物との活性化エネルギーの差が3kJ/mol以上、30kJ/mol以下であるような組み合わせを用いることができる。ここでの活性化エネルギーは、有機過酸化物の過酸化結合が分裂し遊離ラジカルが発生するためのエネルギーをいい、先に記した有機過酸化物の溶液での測定により得られる数値を指す。
【0013】
一般にラジカル源の活性化エネルギーが大きいほど温度の変化に対する分解速度の変化が大きい。そのため、活性化エネルギーの異なる有機過酸化物を組み合わせることにより、接続の各段階における温度上昇速度に応じた重合開始速度を考慮した接着剤を設計することが可能となる。例えば、1分間半減期温度が低く活性化エネルギーの大きい有機過酸化物と、より高い半減期温度とより小さい活性化エネルギーを持つ有機過酸化物とを組み合わせたとき、熱圧着の始めには接着剤樹脂が流動しの完了を待って第一の有機過酸化物が急速に分解し、ついで温度上昇が緩くなる後半には第二の有機過酸化物が次第に分解するよう設計できる。
【0014】
活性化エネルギーの差がたかだか3kJ/molに満たない場合、接着温度での分解速度の差が小さく、熱圧着の各段階における分解速度を調節する効果が得られない。一方活性化温度の差が30kJ/molを超えるような有機過酸化物が存在する場合には、異方導電性接着剤としたときの保存安定性と熱時硬化性を両立することが難しい。
【0015】
有機過酸化物の配合量は、樹脂の重合および硬化反応の速度や、樹脂硬化物に求める架橋密度、接着剤の保存温度における可使時間などを勘案して決定するが、一般に各々の有機過酸化物の量が異方導電性接着剤全体の0.01重量パーセント以上であり、有機過酸化物の合計量が異方導電性接着剤全体の10重量パーセント以下であることが望ましい。個々の有機過酸化物の量が0.01重量パーセントに満たない場合には樹脂の反応を十分に進めることができず、有機過酸化物の総量が10重量パーセントを越える場合には過剰なラジカルの発生による結合の解裂や残留過酸化物による硬化物物性の低下が起こりやすい。
【0016】
各々の有機過酸化物については特に限定されるものではなく、例えば、ケトンパーオキサイド類としては、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルアセトアセテートパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド等が挙げられる。
【0017】
パーオキシケタール類としては、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサノン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサノン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)2−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシ)プロパン等が挙げられる。
【0018】
ハイドロパーオキサイド類としては、p−メタンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ヘキシルハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド等が挙げられる。
【0019】
ジアルキルパーオキサイドとしては、α,α−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジクミルパーオキサイド、2,5ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5ジメチル−2,5ビス(t−t−ブチルパーオキシ)ヘキサン−3等が挙げられる。
【0020】
ジアシルパーオキサイド類としては、イソブチルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアロイルパーオキサイド等が挙げられる。
【0021】
パーオキシジカーボネート類としては、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−3−メトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシメチル)パーオキシジカーボネート等が挙げられる。
【0022】
パーオキシエステル類としては、α,α−ビス(ネオデカノイルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、クミルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシ3,5,5トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(m−トルオイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ヘキシルパーオキシゼンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシ−m−トルオイルベンゾエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ビス(t−ブチルパーオキシ)イソフタレート等が挙げられる。
【0023】
中でも、ラジカル重合性樹脂に対する重合反応開始効率が高く、保存安定性と熱時の分解性のバランスに優れるパーオキシエステル類をより好適に用いることができる。
【0024】
本発明で用いられる熱可塑性エラストマー樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリブタジエン、ポリプロピレン、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、フェノキシ樹脂、ブチルゴム、クロロプレンゴム、ポリアミド樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−メタクリル酸共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリ酢酸ビニル、ナイロン樹脂、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体、ポリメチルメタクリレート樹脂などを用いることができる。
【0025】
中でも、異方導電性接着剤としたときの接着性、接続信頼性などの特性を考えると、アクリロニトリル−ブタジエン−メタクリル共重合体、ポリエステル、ナイロン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、フェノキシ樹脂、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体をより好適に用いることができる。また、異方導電性接着剤とした時の接着性を向上させるために分子中に水酸基を含有したポリエステル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂やフェノキシ樹脂と、分子中にイソシアネート基とラジカル重合可能なメタクリル基を有するイソシアネートエチルメタクリレートで変性したものや、エポキシ基とラジカル重合可能なメタクリル基を有するグリシジルメタクリレートで変性したものも使用することができる。また、接着性を向上させるためにイソシアネートシランやアミノシランで変性したものも使用できる。有機化酸化物による架橋が可能なブタジエン系の不飽和ポリマーも好適に使用できる。
【0026】
本発明に用いられる導電性粒子は、導電性を有するものであれば特に制限するものではなく、ニッケル、鉄、銅、アルミニウム、錫、鉛、クロム、コバルト、銀、金などの各種金属や金属合金、金属酸化物、カーボン、グラファイト、などの導電体粒子が適用できる。また、シリカ、アルミナ、ガラスやセラミクス、各種ポリマー、無機有機ハイブリッド材等の非導電性粒子の表面に金属をコートしたものも適用できる。これら導電性粒子に、絶縁被覆、粗化などの表面処理を施したものも使用できる。導電性粒子は用途に応じて複数種類のものを混在させて用いることができる。中でも、接続後の導通信頼性や端子間ショートの問題、接続状態の視認性(潰れ性)などから、粒径が3μm〜10μmのプラスチック粒子にニッケル/金メッキを施したものをより好適に使用できる。
【0027】
本発明には各種添加剤を加えることができる。例えば、被着体表面や接着剤に分散された固形成分表面と接着剤樹脂との密着性向上のために各種カップリング剤を用いることができる。異方導電性接着剤としての保存性を確保するために重合禁止剤を添加することも可能である。本発明をフィルム状としたときの視認性向上を目的として、フィルムの透明性を制御する添加剤を使用できる。また、フィルムの平滑性向上のために消泡剤、レベリング剤等を用いることができる。
【0028】
カップリング剤の例としては、有機シラン類、有機チタン類、リン・窒素・硫黄を含有するラジカル重合性樹脂、リン・窒素・硫黄を含有する有機化合物等が挙げられる。中でもリン酸基含有のラジカル重合性樹脂やアミノシラン化合物は、金属酸化物等の各種無機物への密着を向上させるものとして好適に使用できる。重合禁止剤の例としては、キノン類、多価フェノール類、フェノール類が挙げられる。透明性制御剤の例としては、酸化亜鉛等の白色顔料などが挙げられるが、有機過酸化物や遊離ラジカルとの反応性が問題とならないように選択されなくてはならない。消泡剤、レベリング剤の例としては、シリコーンオイル、アクリル系共重合物などが挙げられる。
【0029】
本発明によれば、ラジカル重合性樹脂、少なくとも2種類の有機過酸化物、熱可塑性エラストマーを必須成分とする樹脂組成物中に導電性粒子を分散させた異方導電性接着剤であって、樹脂組成物中に含まれる有機過酸化物を、1分間半減期温度と活性化エネルギーにおいて適切な関係を有するように選択することで、優れた接着性および接続信頼性が得られ、極めて低温・短時間での接続も可能であり、さらに、保存安定性、リペア性に優れた異方導電性接着剤が得られる。
【0030】
【実施例】
以下、本発明を実施例および比較例により説明する。
<実施例1>
表1および表2に示すとおり、(1)式の構造を有するウレタンアクリレート樹脂を100重量部、(4)式の構造を有するポリビニルブチラール樹脂をメチルエチルケトンに溶解した20%溶液を500重量部、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエートを1.9重量部、t−ヘキシルパーオキシ2−エチルヘキサノエートを1.7重量部、(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェートを5重量部、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシランを1重量部、Ni/Auメッキポリスチレン粒子(平均粒径5μm)2.8重量部を混合し均一に分散させた後、離型処理を施したポリエチレンテレフタレートフィルム上に上記混合物を流延し、60℃の温風で3分間乾燥し、厚さ15μmの異方導電性接着剤フィルムを得た。
次に、被着体として銅箔/ポリイミド=12/25μmにNi/Auメッキを施したCOF基板(Chip on Film、回路ピッチ50μm、端子数300本)とITO(インジウム/錫酸化物)ベタガラス(シート抵抗30Ω/□)を用い、圧力を3MPa、温度と時間が図1、2に示す曲線となるような条件で圧着した。
【0031】
評価は以下の項目について行った。
(1)接続抵抗値:前述のように圧着したサンプルで、COF基板の隣接端子間の接続抵抗を測定、2Ω以下を合格とした。
(2)接続信頼性:(1)で測定したサンプルを高温高湿槽(85℃85%RH)へ投入し、500時間処理した後に再度接続抵抗を測定、3Ω以下を合格とした。
(3)接着力:前述のように圧着したサンプルで、COF基板とITOガラスとの90°方向の引き剥がし試験により接着力を測定(引き剥がし速度50mm/min)、800N/m以上を合格とした。
(4)保存安定性:作製した異方導電性接着剤フィルムを、クリーンルーム内で室温(22±3℃、65±20%)に放置し、7日後に上記と同様の圧着を行い、(1)と同様の接続抵抗値を測定、2Ω以下を合格とした。
【0032】
<実施例2〜17>
表1の材料を表2及び表3の配合に従い実施例1と同様の方法にて、厚さ15μmの異方導電性接着剤フィルムを得た。なお、これらの配合では、ラジカル重合性樹脂と熱可塑性エラストマーの総量に対する有機過酸化物の活性酸素量が合計0.1%となるよう調製した。
ここで得られたサンプルは、表2及び表3に示す条件とする他は実施例1と同様の方法でサンプルを作成し、それらを用いて実施例と同様の評価を行った。
【0033】
<比較例1〜5>
表1の材料を表3の配合に従い実施例1と同様の方法にて、厚さ15μmの異方導電性接着剤フィルムを得た。なお、これらの配合では、ラジカル重合性樹脂と熱可塑性エラストマーの総量に対する有機過酸化物の活性酸素量が合計0.1%となるよう調製した。
ここで得られたサンプルは、表3に示す条件とする他は実施例1と同様の方法でサンプルを作成し、それらを用いて実施例と同様の評価を行った。
結果は、表2及び3に示すとおり、比較例では接続信頼性、接着力、保存安定性のいずれかにおいて実用的でない結果となった。
【0034】
【表1】
【0035】
【化1】
【0036】
【化2】
【0037】
【化3】
【0038】
【化4】
【0039】
【化5】
【0040】
【表2】
【0041】
【表3】
【0042】
【発明の効果】
本発明によれば、接続条件として様々な温度と時間の条件化での微細な回路電極の接続に対応可能であり、また作業性、長期信頼性に優れた異方導電性接着剤を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例、比較例における圧着条件として、樹脂部温度と接続時間の関係を示す。
【図2】本発明の実施例、比較例における圧着条件として、樹脂部温度と接続時間の関係を示す。
【発明の属する技術分野】
本発明は、フラットパネルディスプレイ(FPD)パネルと駆動用回路材料との間、あるいは駆動用回路材料とプリント配線板(PWB)との間など、互いに対向した微細端子が面配置された部品間で電気的接続と接着とを同時に行う異方導電性接着剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、液晶ディスプレイ(LCD)をはじめとするFPDにおいて、接着性樹脂中に導電性粒子を分散させた異方導電性接着剤が多く利用されている。フレキシブル回路基板(FPC)やテープキャリアパッケージ(TCP)、集積回路(IC)チップなどの周辺回路とFPDパネルとの接続や、上記周辺回路とPWBとの接続などでは各種微細回路接続の必要性が飛躍的に増大してきており、その接続方法として異方導電性接着剤が使用されている。現在主流となっている熱硬化タイプの異方導電性接着剤は、一般に保存安定性、硬化性のバランスの良いエポキシ樹脂系の熱硬化タイプが広く用いられている。しかし、実用上これらの熱硬化タイプのものは、保存安定性と樹脂の硬化性を両立させるため、その硬化反応性から150〜200℃の温度で30秒前後加熱、硬化することが必要とされ、たとえば150℃未満の温度では実用的な接続時間で樹脂を硬化させることは困難であった。上記問題点に加えて、熱硬化タイプの異方導電性接着剤を用いた微細な回路同士の接続作業性において、位置ずれ等の原因によって一度接続したものを、被接続部材を破損または損傷せずに剥離して再度接合(所謂リペア)したいという要求も多い。
【0003】
近年、ラジカル重合性樹脂、有機過酸化物、熱可塑性エラストマー、リン酸エステル、エポキシシランカップリング剤からなる樹脂組成物中に導電性粒子を分散させた異方導電性接着剤(特開2000−234083公報)が、低温接続性、保存性、信頼性、リペア性を兼備するものとして提案された。ラジカル重合を開始する熱ラジカル源である有機過酸化物の分解速度は、温度に対して指数的に増加し、したがって保存安定性と低温短時間接続性とを両立することができる。
【0004】
上記ラジカル重合性樹脂系の異方導電性接着剤における有機過酸化物の選択は、接続に要する温度および時間で十分な重合、硬化反応が可能であり、また保存温度および期間での保存性を両立するような分解特性を基準に選択することができる。有機過酸化物の添加量は硬化物に求められる架橋密度などから決定することができる。しかしながら、異方導電性接着剤での接着においては短時間で加圧および加熱が行われ、加圧加熱により接続部の温度が徐々に上昇していく。そのように樹脂温度が変化する中で接着剤樹脂の流動、充填、硬化を行うため、硬化過程の制御が困難であった。つまり、有機過酸化物の分解温度を接続なかばの樹脂温度に設定すると、接着剤が十分に流動する前に硬化が進み接着剤の充填が不十分となる。一方、分解温度を接続終盤の樹脂温度に設定すると、硬化を開始するまでの時間が長くなり、十分な硬化度を得るためには接続時間を長く取らなくてはならないという問題があった。
【0005】
従来、ラジカル重合性樹脂、有機過酸化物、熱可塑性エラストマーからなる樹脂組成物中に導電性粒子を分散させた異方導電性接着剤において、2種以上の有機過酸化物を用いることが可能であることは示されていた。しかし、保存安定性と低温短時間接続性とを両立し、なおかつ安定した熱硬化特性を有する異方導電性接着剤を得るような、複数の有機過酸化物の具体的な組み合わせは従来知られていなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、保存安定性と低温短時間接続性とを両立し、なおかつ従来困難であった、接続信頼性、高接着力、リペア性を兼備するような硬化特性を有する異方導電性接着剤を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、
(1)ラジカル重合性樹脂、少なくとも2種類の有機過酸化物、熱可塑性エラストマーを必須成分とする樹脂組成物中に導電性粒子を分散させた異方導電性接着剤であって、樹脂組成物中に含まれる有機過酸化物の1分間半減期温度の差の最大値が5℃以上であり、かつ樹脂組成物中に含まれる有機過酸化物の1分間半減期温度の差の最小値が50℃以下である異方導電性接着剤、
(2)樹脂組成物中に含まれる有機過酸化物の活性化エネルギーの差の最大値が3kJ/mol以上30kJ/mol以下である(1)項に記載の異方導電性接着剤である。
【発明の実施の形態】
【0008】
本発明で用いられるラジカル重合性樹脂としては、分子中に1個以上の炭素−炭素二重結合を有し、ラジカル重合が可能なものであれば特に限定されるものではなく、単独あるいは二種以上混合して用いることも可能である。例えば、不飽和ポリエステル樹脂、マレイミド樹脂、各種アリル樹脂や各種アクリレート樹脂類等を使用することが出来る。また、アミン系の化合物や炭素−炭素二重結合を有した化合物で変性されたアクリレート樹脂も使用することが出来る。中でも異方導電性接着剤とした場合の接着性、硬化性、保存性、硬化物の耐熱性、耐湿性、耐薬品性を兼ね備えたビニルエステル樹脂、ウレタンアクリレート樹脂を好適に用いることが出来る。
また、異方導電性接着剤とした場合の硬化性、熱圧着時の樹脂の流れ性などを確保するために、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、ペンタエリスリトールジアリレートモノステアレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートなどのアクリレート類やスチレンなど各種ラジカル重合可能なモノマー類を併用することが可能である。
【0009】
本発明で用いられる有機過酸化物としては、樹脂組成物中に含まれる有機過酸化物の中で最も高い1分間半減期温度を有する有機過酸化物と最も低い1分間半減期温度を有する有機過酸化物との1分間半減期温度の差が5℃以上であり、かつ樹脂組成物中に含まれる有機過酸化物の中で最も近い1分間半減期温度を有する有機過酸化物同士の1分間半減期温度の差が50℃以下であるように組み合わせて用いる。ここでの1分間半減期温度は、適切な溶媒中に有機過酸化物のみを溶解した状態での有機過酸化物の分解速度を測定して得られた数値を指す。
【0010】
異方導電性接着剤を用いた接着では、熱ブロックやパルスヒーターによる熱圧着が行われるが、このとき異方導電性接着剤は一定温度で加熱されるわけではなく、熱源の熱が被着体および接着剤に伝導する過程で徐々に加熱される。熱圧着の始めでは異方導電性接着剤の温度は急速に上昇する。熱圧着の後半では温度の上昇が緩くなるが、特に短時間接続では温度が平衡状態に到る前に加熱が終了することが多い。この変化する温度の中で接着剤樹脂は十分に硬化しなくてはならず、かつ、硬化が開始する前に樹脂が十分に流動して対向端子間の距離が十分に狭くなることが必要とされる。
【0011】
樹脂組成物中に含まれる有機過酸化物の中で最も高い1分間半減期温度を有する有機過酸化物と最も低い1分間半減期を有する有機過酸化物との1分間半減期温度の差が5℃に満たない場合、全ての有機過酸化物が非常に近い温度範囲で分解のピークを迎えることになり、狭い温度範囲、つまり加熱時間の一部でのみ樹脂の硬化反応が盛んに起こり、反応効率が悪い。また、最も近い1分間半減期温度を有する有機過酸化物同士の1分間半減期温度の差が50℃を超える場合、どの有機過酸化物の分解も盛んでない温度範囲ができ、反応効率が悪い。これらの場合、効率よく硬化反応が行われないために接続後の接着力や接続信頼性に劣る。
【0012】
より好ましくは、最も高い活性化エネルギーを有する有機過酸化物と最も低い活性化エネルギーを有する有機過酸化物との活性化エネルギーの差が3kJ/mol以上、30kJ/mol以下であるような組み合わせを用いることができる。ここでの活性化エネルギーは、有機過酸化物の過酸化結合が分裂し遊離ラジカルが発生するためのエネルギーをいい、先に記した有機過酸化物の溶液での測定により得られる数値を指す。
【0013】
一般にラジカル源の活性化エネルギーが大きいほど温度の変化に対する分解速度の変化が大きい。そのため、活性化エネルギーの異なる有機過酸化物を組み合わせることにより、接続の各段階における温度上昇速度に応じた重合開始速度を考慮した接着剤を設計することが可能となる。例えば、1分間半減期温度が低く活性化エネルギーの大きい有機過酸化物と、より高い半減期温度とより小さい活性化エネルギーを持つ有機過酸化物とを組み合わせたとき、熱圧着の始めには接着剤樹脂が流動しの完了を待って第一の有機過酸化物が急速に分解し、ついで温度上昇が緩くなる後半には第二の有機過酸化物が次第に分解するよう設計できる。
【0014】
活性化エネルギーの差がたかだか3kJ/molに満たない場合、接着温度での分解速度の差が小さく、熱圧着の各段階における分解速度を調節する効果が得られない。一方活性化温度の差が30kJ/molを超えるような有機過酸化物が存在する場合には、異方導電性接着剤としたときの保存安定性と熱時硬化性を両立することが難しい。
【0015】
有機過酸化物の配合量は、樹脂の重合および硬化反応の速度や、樹脂硬化物に求める架橋密度、接着剤の保存温度における可使時間などを勘案して決定するが、一般に各々の有機過酸化物の量が異方導電性接着剤全体の0.01重量パーセント以上であり、有機過酸化物の合計量が異方導電性接着剤全体の10重量パーセント以下であることが望ましい。個々の有機過酸化物の量が0.01重量パーセントに満たない場合には樹脂の反応を十分に進めることができず、有機過酸化物の総量が10重量パーセントを越える場合には過剰なラジカルの発生による結合の解裂や残留過酸化物による硬化物物性の低下が起こりやすい。
【0016】
各々の有機過酸化物については特に限定されるものではなく、例えば、ケトンパーオキサイド類としては、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルアセトアセテートパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド等が挙げられる。
【0017】
パーオキシケタール類としては、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサノン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサノン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)2−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシ)プロパン等が挙げられる。
【0018】
ハイドロパーオキサイド類としては、p−メタンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ヘキシルハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド等が挙げられる。
【0019】
ジアルキルパーオキサイドとしては、α,α−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジクミルパーオキサイド、2,5ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5ジメチル−2,5ビス(t−t−ブチルパーオキシ)ヘキサン−3等が挙げられる。
【0020】
ジアシルパーオキサイド類としては、イソブチルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアロイルパーオキサイド等が挙げられる。
【0021】
パーオキシジカーボネート類としては、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−3−メトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシメチル)パーオキシジカーボネート等が挙げられる。
【0022】
パーオキシエステル類としては、α,α−ビス(ネオデカノイルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、クミルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシ3,5,5トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(m−トルオイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ヘキシルパーオキシゼンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシ−m−トルオイルベンゾエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ビス(t−ブチルパーオキシ)イソフタレート等が挙げられる。
【0023】
中でも、ラジカル重合性樹脂に対する重合反応開始効率が高く、保存安定性と熱時の分解性のバランスに優れるパーオキシエステル類をより好適に用いることができる。
【0024】
本発明で用いられる熱可塑性エラストマー樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリブタジエン、ポリプロピレン、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、フェノキシ樹脂、ブチルゴム、クロロプレンゴム、ポリアミド樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−メタクリル酸共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリ酢酸ビニル、ナイロン樹脂、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体、ポリメチルメタクリレート樹脂などを用いることができる。
【0025】
中でも、異方導電性接着剤としたときの接着性、接続信頼性などの特性を考えると、アクリロニトリル−ブタジエン−メタクリル共重合体、ポリエステル、ナイロン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、フェノキシ樹脂、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体をより好適に用いることができる。また、異方導電性接着剤とした時の接着性を向上させるために分子中に水酸基を含有したポリエステル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂やフェノキシ樹脂と、分子中にイソシアネート基とラジカル重合可能なメタクリル基を有するイソシアネートエチルメタクリレートで変性したものや、エポキシ基とラジカル重合可能なメタクリル基を有するグリシジルメタクリレートで変性したものも使用することができる。また、接着性を向上させるためにイソシアネートシランやアミノシランで変性したものも使用できる。有機化酸化物による架橋が可能なブタジエン系の不飽和ポリマーも好適に使用できる。
【0026】
本発明に用いられる導電性粒子は、導電性を有するものであれば特に制限するものではなく、ニッケル、鉄、銅、アルミニウム、錫、鉛、クロム、コバルト、銀、金などの各種金属や金属合金、金属酸化物、カーボン、グラファイト、などの導電体粒子が適用できる。また、シリカ、アルミナ、ガラスやセラミクス、各種ポリマー、無機有機ハイブリッド材等の非導電性粒子の表面に金属をコートしたものも適用できる。これら導電性粒子に、絶縁被覆、粗化などの表面処理を施したものも使用できる。導電性粒子は用途に応じて複数種類のものを混在させて用いることができる。中でも、接続後の導通信頼性や端子間ショートの問題、接続状態の視認性(潰れ性)などから、粒径が3μm〜10μmのプラスチック粒子にニッケル/金メッキを施したものをより好適に使用できる。
【0027】
本発明には各種添加剤を加えることができる。例えば、被着体表面や接着剤に分散された固形成分表面と接着剤樹脂との密着性向上のために各種カップリング剤を用いることができる。異方導電性接着剤としての保存性を確保するために重合禁止剤を添加することも可能である。本発明をフィルム状としたときの視認性向上を目的として、フィルムの透明性を制御する添加剤を使用できる。また、フィルムの平滑性向上のために消泡剤、レベリング剤等を用いることができる。
【0028】
カップリング剤の例としては、有機シラン類、有機チタン類、リン・窒素・硫黄を含有するラジカル重合性樹脂、リン・窒素・硫黄を含有する有機化合物等が挙げられる。中でもリン酸基含有のラジカル重合性樹脂やアミノシラン化合物は、金属酸化物等の各種無機物への密着を向上させるものとして好適に使用できる。重合禁止剤の例としては、キノン類、多価フェノール類、フェノール類が挙げられる。透明性制御剤の例としては、酸化亜鉛等の白色顔料などが挙げられるが、有機過酸化物や遊離ラジカルとの反応性が問題とならないように選択されなくてはならない。消泡剤、レベリング剤の例としては、シリコーンオイル、アクリル系共重合物などが挙げられる。
【0029】
本発明によれば、ラジカル重合性樹脂、少なくとも2種類の有機過酸化物、熱可塑性エラストマーを必須成分とする樹脂組成物中に導電性粒子を分散させた異方導電性接着剤であって、樹脂組成物中に含まれる有機過酸化物を、1分間半減期温度と活性化エネルギーにおいて適切な関係を有するように選択することで、優れた接着性および接続信頼性が得られ、極めて低温・短時間での接続も可能であり、さらに、保存安定性、リペア性に優れた異方導電性接着剤が得られる。
【0030】
【実施例】
以下、本発明を実施例および比較例により説明する。
<実施例1>
表1および表2に示すとおり、(1)式の構造を有するウレタンアクリレート樹脂を100重量部、(4)式の構造を有するポリビニルブチラール樹脂をメチルエチルケトンに溶解した20%溶液を500重量部、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエートを1.9重量部、t−ヘキシルパーオキシ2−エチルヘキサノエートを1.7重量部、(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェートを5重量部、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシランを1重量部、Ni/Auメッキポリスチレン粒子(平均粒径5μm)2.8重量部を混合し均一に分散させた後、離型処理を施したポリエチレンテレフタレートフィルム上に上記混合物を流延し、60℃の温風で3分間乾燥し、厚さ15μmの異方導電性接着剤フィルムを得た。
次に、被着体として銅箔/ポリイミド=12/25μmにNi/Auメッキを施したCOF基板(Chip on Film、回路ピッチ50μm、端子数300本)とITO(インジウム/錫酸化物)ベタガラス(シート抵抗30Ω/□)を用い、圧力を3MPa、温度と時間が図1、2に示す曲線となるような条件で圧着した。
【0031】
評価は以下の項目について行った。
(1)接続抵抗値:前述のように圧着したサンプルで、COF基板の隣接端子間の接続抵抗を測定、2Ω以下を合格とした。
(2)接続信頼性:(1)で測定したサンプルを高温高湿槽(85℃85%RH)へ投入し、500時間処理した後に再度接続抵抗を測定、3Ω以下を合格とした。
(3)接着力:前述のように圧着したサンプルで、COF基板とITOガラスとの90°方向の引き剥がし試験により接着力を測定(引き剥がし速度50mm/min)、800N/m以上を合格とした。
(4)保存安定性:作製した異方導電性接着剤フィルムを、クリーンルーム内で室温(22±3℃、65±20%)に放置し、7日後に上記と同様の圧着を行い、(1)と同様の接続抵抗値を測定、2Ω以下を合格とした。
【0032】
<実施例2〜17>
表1の材料を表2及び表3の配合に従い実施例1と同様の方法にて、厚さ15μmの異方導電性接着剤フィルムを得た。なお、これらの配合では、ラジカル重合性樹脂と熱可塑性エラストマーの総量に対する有機過酸化物の活性酸素量が合計0.1%となるよう調製した。
ここで得られたサンプルは、表2及び表3に示す条件とする他は実施例1と同様の方法でサンプルを作成し、それらを用いて実施例と同様の評価を行った。
【0033】
<比較例1〜5>
表1の材料を表3の配合に従い実施例1と同様の方法にて、厚さ15μmの異方導電性接着剤フィルムを得た。なお、これらの配合では、ラジカル重合性樹脂と熱可塑性エラストマーの総量に対する有機過酸化物の活性酸素量が合計0.1%となるよう調製した。
ここで得られたサンプルは、表3に示す条件とする他は実施例1と同様の方法でサンプルを作成し、それらを用いて実施例と同様の評価を行った。
結果は、表2及び3に示すとおり、比較例では接続信頼性、接着力、保存安定性のいずれかにおいて実用的でない結果となった。
【0034】
【表1】
【0035】
【化1】
【0036】
【化2】
【0037】
【化3】
【0038】
【化4】
【0039】
【化5】
【0040】
【表2】
【0041】
【表3】
【0042】
【発明の効果】
本発明によれば、接続条件として様々な温度と時間の条件化での微細な回路電極の接続に対応可能であり、また作業性、長期信頼性に優れた異方導電性接着剤を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例、比較例における圧着条件として、樹脂部温度と接続時間の関係を示す。
【図2】本発明の実施例、比較例における圧着条件として、樹脂部温度と接続時間の関係を示す。
Claims (2)
- ラジカル重合性樹脂、少なくとも2種類の有機過酸化物、熱可塑性エラストマーを必須成分とする樹脂組成物中に導電性粒子を分散させた異方導電性接着剤であって、樹脂組成物中に含まれる有機過酸化物の1分間半減期温度の差の最大値が5℃以上であり、かつ差の最小値が50℃以下であることを特徴とする異方導電性接着剤。
- 樹脂組成物中に含まれる有機過酸化物の活性化エネルギーの差の最大値が3kJ/mol以上30kJ/mol以下である請求項1に記載の異方導電性接着剤。
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