JP2004067797A - トリスアゾ化合物、水性インク組成物及び着色体 - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規な水溶性トリスアゾ化合物またはその塩、これらを含有する水性インク組成物およびそれによる着色体に関する。
【0002】
【従来の技術】
各種のカラー記録法の中で、その代表的方法の一つであるインクジェットプリンタによる記録方法はインクの小滴を発生させ、これを種々の被記録材料(紙、フィルム、布帛等)に付着させ記録を行うものである。この方法は、記録ヘッドと被記録材料とが接触しないため音の発生が少なく静かであり、また小型化、高速化が容易という特長の為、近年急速に普及しつつあり、今後とも大きな伸長が期待されている。従来、万年筆、フェルトペン等のインク及びインクジェット記録用インクとしては、水溶性染料を水性媒体中に溶解した水性インクが使用されており、これらの水溶性インクにおいてはペン先やインク吐出ノズルでのインクの目詰まりを防止すべく一般に水溶性有機溶剤が添加されている。これらの従来のインクにおいては、十分な濃度の記録画像を与えること、ペン先やノズルの目詰まりを生じないこと、被記録材上での乾燥性がよいこと、滲みが少ないこと、保存安定性に優れること等が要求され、また形成される画像には、耐水性、耐光性、耐湿性、耐オゾンガス性等の堅牢度が求められている。
耐オゾンガス性とは、空気中に存在する酸化作用を持つオゾンガスが記録紙中で染料と反応し、印刷された画像を変退色させるという現象に対する耐性のことである。このオゾンガスは、インクジェット記録画像の退色現象を促進させる原因物質とされている。この変退色現象はインクジェット画像に特徴的なものであるため、耐オゾンガス性の向上は重要な課題となっている。特に、写真画質インクジェット専用紙の表面に設けられるインク受容層には、インクの乾燥を早め、また高画質でのにじみを少なくする為に、多孔質の素材を用いているものが多く、このような記録紙上でオゾンガスによる変退色が顕著に見られている。
今後、インクを用いた印刷方法の使用分野を拡大すべく、広告等の展示物に活用した場合、光(電灯、蛍光灯、日光等)に曝される場合が多くなるため、インクジェット記録用に用いられるインク組成物及びそれによって着色された着色体には、耐水性、耐光性、耐湿性の他に、特に耐オゾンガス性の向上が強く求められている。
種々の色相のインクが種々の染料から調製されているが、それらのうち黒色インクはモノカラーおよびフルカラー画像の両方に使用される重要なインクである。これら黒色インク用の染料として今日まで非常に多くの特許出願(例えば特開平2−140270号、特開平3−167270号、特開平3−200852号、特開平4−359065号、特開平6−172668号、特開平6−248212号、特開平7−26160号、特開平7−268256号、特開平8−245894号、国際公開WO00/43451、WO00/43453等)がされているが、市場の要求を充分に満足する製品を提供するには至っていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は水を主要成分とする媒体に対する溶解性が高く、高濃度染料水溶液及びインクを長期間保存した場合でも安定であり、かつ印字された画像の濃度が高く、しかも耐湿性、耐光性、耐オゾンガス性に優れた黒色の記録画像を与えるインク組成物を提供する事を目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは前記したような課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明に至ったものである。即ち本発明は、
(1)下記一般式(1)で表されるトリスアゾ化合物またはその塩、
【0005】
【化5】
(式(1)中、Aは一般式(2)または一般式(3)を表し、Aの置換位置は2又は3位である。)
【0006】
【化6】
(式(2)中、R1からR5は任意の置換基を表す。)
【0007】
【化7】
(式(3)中、R6からR10は任意の置換基を表す。)
(2)一般式(2)において、R1、R2、R3がそれぞれ独立に水素原子;ヒドロキシル基;アミノ基;カルボキシル基;ヒドロキシル基若しくは(C1〜C4)アルコキシ基によって置換されていてもよい(C1〜C4)アルキル基;ヒドロキシル基若しくは(C1〜C4)アルコキシ基によって置換されていてもよい(C1〜C4)アルコキシ基;ヒドロキシル基若しくは(C1〜C4)アルコキシ基によって置換されていてもよい(C1〜C4)アルキルアミノ基;カルボキシ−(C1〜C5)アルキルアミノ基またはビス−[カルボキシ−(C1〜C5)アルキル]アミノ基;ヒドロキシル基若しくは(C1〜C4)アルコキシ基によって置換されていてもよい(C1〜C4)アルカノイルアミノ基;カルボキシル基、スルホン酸基若しくはアミノ基で置換されていても良いフェニルアミノ基;スルホン酸基;ハロゲン原子またはウレイド基であり、R4、R5がそれぞれ独立にヒドロキシル基;アミノ基;(C1〜C4)アルコキシ基;ヒドロキシル基若しくは(C1〜C4)アルコキシ基によって置換されていてもよい(C1〜C4)アルキルアミノ基;モノ−[カルボキシ−(C1〜C5)アルキル]アミノ基またはビス−[カルボキシ−(C1〜C5)アルキル]アミノ基;モノ−[スルホ−(C1〜C5)アルキル]アミノ基またはビス−[スルホ−(C1〜C5)アルキル]アミノ基;カルボキシル基、スルホン酸基、アミノ基、ヒドロキシル基、(C1〜C4)アルキル基、(C1〜C4)アルコキシ基若しくはハロゲンで置換されていても良いフェニルアミノ基であり、一般式(3)において、R6、R7、R8がそれぞれ独立に水素原子;ヒドロキシル基;アミノ基;カルボキシル基;ヒドロキシル基若しくは(C1〜C4)アルコキシ基によって置換されていてもよい(C1〜C4)アルキル基;ヒドロキシル基若しくは(C1〜C4)アルコキシ基によって置換されていてもよい(C1〜C4)アルコキシ基;ヒドロキシル基若しくは(C1〜C4)アルコキシ基によって置換されていてもよい(C1〜C4)アルキルアミノ基;カルボキシ−(C1〜C5)アルキルアミノ基またはビス−[カルボキシ−(C1〜C5)アルキル]アミノ基;ヒドロキシル基若しくは(C1〜C4)アルコキシ基によって置換されていてもよい(C1〜C4)アルカノイルアミノ基;カルボキシル基、スルホン酸基若しくはアミノ基で置換されていても良いフェニルアミノ基;スルホン酸基;ハロゲン原子またはウレイド基であり、R9、R10がそれぞれ独立にヒドロキシル基;アミノ基;(C1〜C4)アルコキシ基;ヒドロキシル基若しくは(C1〜C4)アルコキシ基によって置換されていてもよい(C1〜C4)アルキルアミノ基;モノ−[カルボキシ−(C1〜C5)アルキル]アミノ基またはビス−[カルボキシ−(C1〜C5)アルキル]アミノ基;モノ−[スルホ−(C1〜C5)アルキル]アミノ基またはビス−[スルホ−(C1〜C5)アルキル]アミノ基;カルボキシル基、スルホン酸基、アミノ基、ヒドロキシル基、(C1〜C4)アルキル基、(C1〜C4)アルコキシ基若しくはハロゲンで置換されていても良いフェニルアミノ基である(1)に記載の一般式(1)のトリスアゾ化合物またはその塩、
(3)塩がリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩または一般式(4)で表されるアンモニウム塩である(1)または(2)に記載の一般式(1)のトリスアゾ化合物の塩、
【0008】
【化8】
(式(4)中、X1、X2、X3、X4はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、ヒドロキシアルキル基またはヒドロキシアルコキシアルキル基を表す。)
(4)(1)から(3)のいずれか一項に記載のトリスアゾ化合物またはその塩を含有する事を特徴とする水性インク組成物、
(5)(4)に記載の水性インク組成物で着色された着色体、
(6)着色がプリンタによりなされた(5)の着色体、
に関する。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
一般式(2)、一般式(3)におけるR1からR10おいて、ヒドロキシル基または(C1〜C4)アルコキシ基により置換されていてもよい(C1〜C4)アルキル基の例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、2−ヒドロキシエチル、2−−ヒドロキシプロピル、3−ヒドロキシプロピル、メトキシエチル、2−エトキシエチル、n−プロポキシエチル、イソプロポキシエチル、n−ブトキシエチル、メトキシプロピル、エトキシプロピル、n−プロポキシプロピル、イソプロポキシブチル、n−プロポキシブチル等が挙げられる。ヒドロキシル基または(C1〜C4)アルコキシ基により置換されていてもよい(C1〜C4)アルコキシ基の例としてはメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、2−ヒドロキシエトキシ、2−ヒドロキシプロポキシ、3−ヒドロキシプロポキシ、メトキシエトキシ、エトキシエトキシ、n−プロポキシエトキシ、イソプロポキシエトキシ、n−ブトキシエトキシ、メトキシプロポキシ、エトキシプロポキシ、n−プロポキシプロポキシ、イソプロポキシブトキシ、n−プロポキシブトキシ、2−ヒドロキシエトキシエトキシ等が挙げられる。カルボキシ−(C1〜C5)アルキルアミノ基としてはカルボキシメチルアミノ、カルボキシエチルアミノ、カルボキシプロピルアミノ、カルボキシ−n−ブチルアミノ、カルボキシ−n−ペンチルアミノなどが挙げられ、ビス−[カルボキシ−(C1〜C5)アルキル]アミノ基してはビス−(カルボキシメチル)アミノ、ビス−(カルボキシエチル)アミノ、ビス−(カルボキシプロピル)アミノ等が挙げられる。ヒドロキシル基または(C1〜C4)アルコキシ基により置換されていてもよい(C1〜C4)アルキルアミノ基の例としては、メチルアミノ、エチルアミノ、n−プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、n−ブチルアミノ、イソブチルアミノ、N,N−ジメチルアミノ、N,N−ジエチルアミノ、N,N−ジ(n−プロピル)アミノ、N,N−ジ(イソプロピル)アミノ、ヒドロキシエチルアミノ、2−ヒドロキシプロピルアミノ、3−ヒドロキシプロピルアミノ、ビス(ヒドロキシエチル)アミノ、メトキシエチルアミノ、エトキシエチルアミノ、ビス(メトキシエチル)アミノ、ビス(2−エトキシエチル)アミノ等が挙げられる。ヒドロキシル基または(C1〜C4)アルコキシ基により置換されていてもよい(C1〜C4)アルカノイルアミノ基の例としてはアセチルアミノ、n−プロピオニルアミノ、イソプロピオニルアミノ、ヒドロキシアセチルアミノ、2−ヒドロキシ−n−プロピオニルアミノ、3−ヒドロキシ−n−プロピオニルアミノ、2−メトキシ−n−プロピオニルアミノ、3−メトキシ−n−プロピオニルアミノ、2−ヒドロキシ−n−ブチリルアミノ、3−ヒドロキシ−n−ブチリルアミノ、2−メトキシ−n−ブチリルアミノ、3−メトキシ−n−ブチリルアミノ等が挙げられる。カルボキシル基、スルホン酸基またはアミノ基で置換されていても良いフェニルアミノ基の例としては、フェニルアミノ、スルホフェニルアミノ、カルボキシフェニルアミノ、ビスカルボキシフェニルアミノ、アミノフェニルアミノ、ジアミノフェニルアミノ、ジアミノスルホフェニルアミノ等があげられる。
一般式(2)、一般式(3)におけるR4、R5、R9、R10において、(C1〜C4)アルコキシ基の例としてはメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ等が挙げられる。モノ−[スルホ−(C1〜C5)アルキル]アミノ基の例としては、スルホメチルアミノ、スルホエチルアミノ、2−スルホプロピルアミノ、3−スルホプロピルアミノ、スルホ−n−ブチルアミノ、スルホ−n−ペンチルアミノなどが挙げられ、ビス−[スルホ−(C1〜C5)アルキル]アミノ基の例としては、ビス−スルホメチルアミノ、ビス−(スルホエチル)アミノ、ビス−(スルホプロピル)アミノ等が挙げられる。
【0010】
一般式(2)における好ましいR1、R2、R3はそれぞれ独立に水素、メチル、メトキシ、エチル、エトキシ、2−ヒドロキシエトキシ、2−メトキシエトキシ、塩素、カルボキシル、スルホン酸、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシメチルアミノ、カルボキシプロピルアミノ、ビス−カルボキシメチルアミノ、アセチルアミノ、ウレイド、フェニルアミノ、スルホフェニルアミノ、カルボキシフェニルアミノ、ジカルボキシフェニルアミノ等であり、さらに好ましくはメチル、メトキシ、スルホン酸、ヒドロキシ、アミノ、アセチルアミノ、フェニルアミノ、スルホフェニルアミノ、カルボキシフェニルアミノ、ジカルボキシフェニルアミノである。特に好ましくはアミノ、ヒドロキシ、スルホン酸、カルボキシル、アセチルアミノ、フェニルアミノである。
一般式(3)における好ましいR6、R7、R8はそれぞれ独立に水素、メチル、メトキシ、塩素、カルボキシル、スルホン酸、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシメチルアミノ、カルボキシプロピルアミノ、ビス−カルボキシメチルアミノ、アセチルアミノ、ウレイド、フェニルアミノ、スルホフェニルアミノ、カルボキシフェニルアミノ、ジカルボキシフェニルアミノ等であり、さらに好ましくはメトキシ、スルホン酸、ヒドロキシ、アミノ、アセチルアミノ、フェニルアミノ、スルホフェニルアミノ、カルボキシフェニルアミノ、ジカルボキシフェニルアミノである。特に好ましくはアミノ、ヒドロキシ、スルホン酸、カルボキシル、アセチルアミノ、フェニルアミノである。
【0011】
一般式(2)、一般式(3)における好ましいR4、R5、R9、R10はそれぞれ独立にヒドロキシ、メトキシ、エトキシ、プロポオキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、フェノキシ、アミノ、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、ブチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジプロピルアミノ、ジイソプロピルアミノ、ジブチルアミノ、モルホリノ、2−ヒドロキシエチルアミノ、ビス−(2−ヒドロキシエチル)アミノ、2−ヒドロキシプロピルアミノ、ビス−(2−ヒドロキシプロピル)アミノ、3−ヒドロキシプロピルアミノ、ビス−(3−ヒドロキシプロピル)アミノ、2−エトキシエチルアミノ、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルアミノ、2−ヒドキシエチルメチルアミノ、N−(2−ヒドキシエチル)エチルアミノ、N−(2−ヒドキシプロピル)メチルアミノ、N−(2−ヒドキシプロピル)エチルアミノ、カルボキシメチルアミノ、2−カルボキシエチルアミノ、3−カルボキシプロピルアミノ、5−カルボキシペンチルアミノ、ビス−カルボキシメチルアミノ、2−スルホキシエチルアミノ、アセチルアミノ、フェニルアミノ、スルホフェニルアミノ、カルボキシフェニルアミノ、カルボキシ−ヒドロキシフェニルアミノ等であり、さらに好ましくはアミノ、ヒドロキシ、メチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、2−ヒドロキシエチルアミノ、ビス−(2−ヒドロキシエチル)アミノ、2−ヒドロキシプロピルアミノ、ビス−(2−ヒドロキシプロピル)アミノ、2−カルボキシエチルアミノ、2−スルホキシエチルアミノ、スルホフェニルアミノ、カルボキシフェニルアミノ、カルボキシ−ヒドロキシフェニルアミノ等である。特に好ましくはアミノ、ヒドロキシ、2−ヒドロキシエチルアミノ、ビス−(2−ヒドロキシエチル)アミノ、2−ヒドロキシプロピルアミノ、ビス−(2−ヒドロキシプロピル)アミノ、2−カルボキシエチルアミノ、2−スルホキシエチルアミノである。
【0012】
前記式(1)に示した化合物の好適な例として、特に限定されるものではないが、具体的に下記の構造が挙げられる。下記表1〜表12には、前記式(1)のAにあたる部分を示す。
表1〜表6でのAは式(2)を、表7〜表12でのAは式(3)を意味する。尚、化合物No.の頭文字のγは、一般式(1)におけるAの置換位置が2位であることを示し、Jは、一般式(1)におけるAの置換位置が3位であることを示す。
【0013】
【表1】
【0014】
【表2】
【0015】
【表3】
【0016】
【表4】
【0017】
【表5】
【0018】
【表6】
【0019】
【表7】
【0020】
【表8】
【0021】
【表9】
【0022】
【表10】
【0023】
【表11】
【0024】
【表12】
【0025】
塩は、無機または有機の陽イオンの塩である。そのうち無機塩の具体例としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩およびアンモニウム塩が挙げられ、好ましい無機塩は、リチウム、ナトリウム、カリウムの塩およびアンモニウム塩であり、又、有機の陽イオンの塩としては例えば前記式(4)で示される化合物の塩があげられるがこれらに限定されるものではない。
【0026】
一般式(4)におけるX1、X2、X3、X4のアルキル基の例としてはメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチルなどが挙げられ、ヒドロキシアルキル基の例としてはヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、4−ヒドロキシブチル基、3−ヒドロキシブチル基、2−ヒドロキシブチル基等のヒドロキシ−(C1〜C4)アルキル基が挙げられ、ヒドロキシアルコキシアルキル基の例としては、ヒドロキシエトキシメチル基、2−ヒドロキシエトキシエチル基、3−ヒドロキシエトキシプロピル基、2−ヒドロキシエトキシプロピル基、4−ヒドロキシエトキシブチル基、3−ヒドロキシエトキシブチル基、2−ヒドロキシエトキシブチル基等ヒドロキシ(C1〜C4)アルコキシ−(C1〜C4)アルキル基が挙げられ、これらのうちヒドロキシエトキシ−(C1〜C4)アルキル基が好ましい。特に好ましいものとしては水素原子;メチル基;ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、4−ヒドロキシブチル基、3−ヒドロキシブチル基、2−ヒドロキシブチル基等のヒドロキシ−(C1〜C4)アルキル基;ヒドロキシエトキシメチル基、2−ヒドロキシエトキシエチル基、3−ヒドロキシエトキシプロピル基、2−ヒドロキシエトキシプロピル基、4−ヒドロキシエトキシブチル基、3−ヒドロキシエトキシブチル基、2−ヒドロキシエトキシブチル基等のヒドロキシエトキシ−(C1〜C4)アルキル基が挙げられる。
【0027】
一般式(4)のX1、X2、X3、X4の具体例を(表13)に示す。
【0028】
【0029】
一般式(1)で示される本発明のトリスアゾ化合物は、例えば次のような方法で合成し得る。(ここで、各工程における化合物の構造式は遊離酸の形で表すこととする。)即ち、一般式(5)
【0030】
【化9】
(式中、Yは水素原子、(C1〜C4)アルキル基又はハロゲン原子を意味する。)で表される化合物を常法によりジアゾ化し、化合物(6)
【0031】
【化10】
とカップリング反応し、生成した一般式(7)
【0032】
【化11】
(式中、Yは前記と同じ意味を有する)で表される化合物をジアゾ化し、一般式(8)
【0033】
【化12】
(式中、アミノ基の置換位置は2又は3位である。)で表される化合物とカップリングし、生成した一般式(9)
【0034】
【化13】
(式中、Yは前記と同じ意味を有する。またアミノ基の置換位置は2又は3位である。)
で表されるジスアゾ化合物を加水分解し、一般式(10)
【0035】
【化14】
(式中、アミノ基の置換位置は2又は3位である。)で表されるジスアゾ化合物としたのち、これをジアゾ化した後、一般式(11)または(12)
【0036】
【化15】
(式中、R1、R2、R3は前記と同じ意味を有する。)
【0037】
(一般式(11)で示される化合物の具体例としては、1−アミノ−2−メトキシ−5−メチルベンゼン、1−アミノ−2,5−ジメチルベンゼン、1−アミノ−2−メトキシ−5−アセチルアミノベンゼン、1−アミノ−2−ヒドロキシ−5−メトキシベンゼン、1−アミノ−3−ヒドロキシ−6−メトキシベンゼン、1−アミノ−2−メトキシエトキシ−5−アセチルアミノベンゼン、1−アミノ−2−メトキシベンゼン、1−アミノ−2−メチルベンゼン、1−アミノ−2,5−ジメトキシベンゼン、1−アミノ−2,5−ジエトキシベンゼン、1−アミノ−2,5−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1−アミノ−2−メチル−5−アセチルアミノベンゼン、1−アミノ−2−メトキシ−5−ウレイドベンゼン、1−アミノ−2−メチル−5−ウレイドベンゼン、1−アミノ−3−メトキシベンゼン、1−アミノ−3−メチルベンゼン、1−アミノ−2−(2’−ヒドロキシエトキシ)−5−メチルベンゼン、3−アミノ安息香酸、2−アミノ−4−ヒドロキシ安息香酸、3−アミノ−4−メチル安息香酸、3−アミノ−4−メトキシ安息香酸、2,4−ジアミノ安息香酸、2,4−ジアミノベンゼンスルホン酸、2−アミノ−4−アセチルアミノベンゼンスルホン酸、3−アミノベンゼンホスホン酸、4−メトキシ−3−アミノフェノール、2,4−ジアミノアニソールなどがあげられ、好ましくは2−アミノ−4−ヒドロキシ安息香酸、2,4−ジアミノベンゼンスルホン酸、2−アミノ−4−アセチルアミノベンゼンスルホン酸である。これらは単独でも2種以上の混合物でも使用できる。
【0038】
【化16】
(式中、R6、R7、R8は前記の意味を有する。)
【0039】
一般式(12)で示される化合物の具体例としては、8−アミノ−3−ナフタレンスルホン酸、5−アミノ−2−ナフタレンスルホン酸、8−アミノ−4−ヒドキシ−2−ナフタレンスルホン酸、8―アミノ−1−ナフタレンスルホン酸、8−アミノ−2−ナフタレンスルホン酸、6−アミノ−4−ヒドロキシ−2−ナフタレンスルホン酸、5−アミノ−6−メトキシ−2−ナフタレンスルホン酸、6−アミノ−2−ナフタレンスルホン酸、1−アミノ−8−ヒドロキシ−3,6−ナフタレンジスルホン酸(H酸)、1−アミノ−8−ヒドロキシ−4,6−ナフタレンジスルホン酸(K酸)、2−アミノ−8−ヒドロキシ−3,6−ナフタレンジスルホン酸(2R酸)、6−アミノ−2−ナフタレンスルホン酸、7−アミノ−1−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸(γ酸)、6−アミノ−1−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸(J酸)、5−アミノ−1−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸(M酸)、8−アミノ−1−ナフタレンスルホン酸、8−アミノナ−2−フタレンスルホン酸、5−アミノ−2−ナフタレンスルホン酸、6−アミノ−2−ナフタレンスルホン酸などがあげられ、好ましくは8−アミノ−2−ナフタレンスルホン酸、6−アミノ−2−ナフタレンスルホン酸、7−アミノ−1−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸(γ酸)である。これらは単独でも2種以上の混合物でも使用できる。さらにこれら一般式(11)と一般式(12)から選ばれる2種以上の混合物でも使用できる。)
とカップリングし、生成した一般式(13)又は(14)
【0040】
【化17】
【0041】
【化18】
(式中、R1からR3、及びR6からR8は前記の意味を有する。)で表されるトリスアゾ化合物と塩化シアヌールを反応し、生成した一般式(15)又は(16)
【0042】
【化19】
【0043】
【化20】
(式中、R1からR3、R6からR8は前記の意味を有する。)とアルコール類、アミン類、フェノール類を反応させることにより本発明のトリスアゾ化合物である一般式(17)又は(18)が得られる。
【0044】
【化21】
【0045】
【化22】
(式中、R1からR10は前記の意味を有する。)
【0046】
また、一般式(9)をジアゾ化した後、一般式(11)又は(12)とカップリングし、その後、塩化シアヌールと反応し、これをアルコール類、アミン類、フェノール類を反応させた後、加水分解することによっても、本発明の一般式(17)、(18)の化合物を得ることができる。
一般式(6)で示される化合物は、国際公開WO00/43453号公報のExample2、Step1に記載されている方法によって合成し得る。
【0047】
一般式(5)の化合物のジアゾ化はそれ自体公知の方法で実施され、たとえば無機酸媒質中、例えば−5〜30℃、好ましくは0〜10℃の温度で亜硝酸塩、たとえば亜硝酸ナトリウムのごとき亜硝酸アルカリ金属塩を使用して実施される。一般式(5)の化合物のジアゾ化物と一般式(6)の化合物とのカップリングもそれ自体公知の条件で実施される。水性または水性有機媒体中、例えば−5〜30℃、好ましくは0〜10℃の温度ならびに弱酸性から弱アルカリ性のpH値で行うことが有利である。好ましくは弱酸性から中性のpH値、たとえばpH3〜7で実施され、pH値の調整は塩基の添加によって実施される。塩基としては、たとえば水酸化リチウム、水酸化ナトリウムのごときアルカリ金属水酸化物、炭酸リチウム、炭酸ナトリウムまたは炭酸カリウムのごときアルカリ金属炭酸塩、酢酸ナトリウムのごとき酢酸塩、あるいはアンモニアまたは有機アミンなどが使用できる。一般式(5)と(6)の化合物は、ほぼ化学量論量で用いる。
【0048】
一般式(7)の化合物のジアゾ化もそれ自体公知の方法で実施され、たとえば無機酸媒質中例えば−5〜30℃、好ましくは0〜20℃の温度で亜硝酸塩、たとえば亜硝酸ナトリウムのごとき亜硝酸アルカリ金属塩を使用して実施される。一般式(7)の化合物のジアゾ化物と一般式(8)の化合物のカップリングもそれ自体公知の条件で実施される。水性または水性有機媒体中、例えば−5〜30℃、好ましくは10〜25℃の温度ならびに弱酸性からアルカリ性のpH値で行うことが有利である。好ましくは中性からアルカリ性のpH値、たとえばpH7〜11で実施される。このpH値の調整は塩基の添加によって実施される。塩基としては、たとえば水酸化リチウム、水酸化ナトリウムのごときアルカリ金属水酸化物、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムのごときアルカリ金属炭酸塩、酢酸ナトリウムのごとき酢酸塩、アンモニアまたは有機アミンなどが使用できる。一般式(7)と(8)の化合物は、ほぼ化学量論量で用いる。
【0049】
一般式(9)の化合物の加水分解による一般式(10)の化合物の製造もそれ自体公知の方法で実施される。有利には水性アルカリ性媒質中で加熱する方法であり、たとえば一般式(9)の化合物を含有する反応溶液に水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムを加えpHを9.5以上としたのち、例えば20〜150℃の温度、好ましくは30〜100℃の温度に加熱することによって実施される。このとき反応溶液のpH値は9.5〜11.5に維持することが好ましい。このpH値の調整は塩基の添加によって実施される。塩基は前記したものを用いることができる。加水分解された一般式(10)の化合物のジアゾ化は上記一般式(7)の化合物のジアゾ化と同様の条件で実施される。そしてジアゾ化された一般式(10)の化合物と一般式(11)または(12)の化合物とのカップリングもそれ自体公知の条件で実施される。水性または水性有機媒体中、例えば0〜40℃、好ましくは10〜30℃の温度ならびにpH3〜10、好ましくはpH6〜8において実施される。
【0050】
一般式(13)または(14)の化合物と塩化シアヌールとの反応もそれ自体公知の条件で実施される。水性または有機媒体中、例えば0〜40℃、好ましくは0〜30℃の温度ならびにpH1〜7、好ましくはpH3〜7において実施される。
一般式(15)または(16)の化合物とアルコール類、アミン類、フェノール類との反応もそれ自体公知の条件で実施される。水性または有機媒体中、例えば20〜100℃、好ましくは40〜90℃の温度ならびにpH3〜10、好ましくはpH4〜9において実施される。
【0051】
本発明による一般式(1)で示されるトリスアゾ化合物またはその塩(以下断りの無い限りトリスアゾ化合物またはその塩を単にトリスアゾ化合物と記す。)は、 カップリング反応後、鉱酸の添加により遊離酸の形で単離する事ができ、これから水または酸性化した水による洗浄により無機塩を除去する事が出来る。次に、この様にして得られる低い塩含有率を有する酸型色素は、水性媒体中で所望の無機又は有機の塩基により中和することで対応する塩の溶液とすることが出来る。無機の塩基の例としては、例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物、水酸化アンモニウム、あるいは炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属の炭酸塩などが挙げられ、有機の塩基の例としては、前記一般式(4)で表されるアミン、例えばジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアルカノールアミンなどがあげられるがこれらに限定されるものではない。
【0052】
一般式(1)で示されるトリスアゾ化合物は、紙、セルロース、羊毛、皮革等の天然及びそれらと合成繊維材料との混紡品の染色に著しく適しており、さらにはこれらの化合物は、筆記用インクおよび記録用液の製造に著しく適している。
【0053】
一般式(1)で示される本発明のトリスアゾ化合物を含む反応液は、記録用インク組成物の製造に直接使用する事が出来る。しかし、まずこれを乾燥、例えばスプレー乾燥させて単離するか、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、硫酸ナトリウム等の無機塩類によって塩析するか、塩酸、硫酸、硝酸等の鉱酸によって酸析するか、あるいは前記した塩析と酸析を組み合わせた酸塩析することによって本発明のトリスアゾ化合物を取り出し、次にこれをインク組成物に加工することもできる。
【0054】
次に本発明の水性インク組成物につき説明する。
本発明の水性インク組成物は、一般式(1)で示される本発明のトリスアゾ化合物を通常0.1〜20質量%、好ましくは1〜10質量%、より好ましくは2〜8質量%含有する水を主要な媒体とする組成物である。本発明のインク組成物には、さらに水溶性有機溶剤を例えば0〜30質量%、インク調製剤を例えば0〜5質量%含有していても良い。
本発明の水性インク組成物は、前記の一般式(1)で示されるトリスアゾ化合物を水または水溶性有機溶媒(有機溶剤又は水と混和可能な有機溶剤含有水)に溶解し、必要に応じインク調製剤を添加したものである。本発明の水性インク組成物のpHは5〜11程度が好ましい。この水性インク組成物をインクジェットプリンタ用のインクとして使用する場合、トリスアゾ化合物としては金属陽イオンの塩化物、硫酸塩等の無機物の含有量が少ないものを用いるのが好ましく、その含有量の目安は例えば1質量%以下(対色素原体)程度である。無機物の少ないトリスアゾ化合物を製造するには、例えば逆浸透膜による通常の方法又は本発明のトリスアゾ化合物の乾燥品あるいはウェットケーキをメタノール等のアルコール及び水の混合溶媒中で撹拌し、濾過、乾燥するなどの方法で脱塩処理すればよい。
【0055】
本発明の水性インク組成物を調製するにあたり、使用しうる水溶性有機溶剤の例としては、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、第二ブタノール、第三ブタノール等のC1〜C4アルカノール、N,N−ジメチルホルムアミドまたはN,N−ジメチルアセトアミド等のカルボン酸アミド、2−ピロリドン、N−メチルピロリジン−2−オン等のラクタム、1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−オンまたは1,3−ジメチルヘキサヒドロピリミド−2−オン等の環式尿素類、アセトン、メチルエチルケトン、2−メチル−2−ヒドロキシペンタン−4−オン等のケトンまたはケトアルコール、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,6−ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、チオジグリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等の(C2〜C6)アルキレン単位を有するモノマー、オリゴマーまたはポリアルキレングリコールまたはチオグリコール、グリセリン、ヘキサン−1,2,6−トリオール等のポリオール(トリオール)、エチレングリコールモノメチルエーテルまたはエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル又はジエチレングリコールモノエチルエーテル又はトリエチレングリコールモノメチルエーテル又はトリエチレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールの(C1〜C4)アルキルエーテル、γーブチロラクトンまたはジメチルスルホキシド等があげられる。
【0056】
インク調製剤としては、例えば防腐防黴剤、pH調製剤、キレート試薬、防錆剤、水溶性紫外線吸収剤、水溶性高分子化合物、染料溶解剤、界面活性剤などがあげられる。防腐防黴剤としては、例えば無水酢酸ソーダ、ソルビン酸ソーダ、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム等があげられる。pH調製剤としては、調合されるインクに悪影響を及ぼさずに、インクのpHを例えば5〜11の範囲に制御できるものであれば任意の物質を使用することができる。その例として、例えばジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアルカノールアミン、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物、水酸化アンモニウム(アンモニア)、あるいは炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属の炭酸塩などが挙げられる。キレート試薬としては、例えばエチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、ウラシル二酢酸ナトリウムなどがあげられる。防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオグルコール酸アンモニウム、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトライトなどがあげられる。水溶性高分子化合物としては、ポリビニルアルコール、セルロース誘導体、ポリアミン、ポリイミン等があげられる。水溶性紫外線吸収剤としては、例えばスルホン化したベンゾフェノン、スルホン化したベンゾトリアゾ−ルなどが挙げられる。染料溶解剤としては、例えばε−カプロラクタム、エチレンカ−ボネ−ト、尿素などが挙げられる。界面活性剤としては、例えばアニオン系、カチオン系、ノニオン系などの公知の界面活性剤が挙げられる。
【0057】
本発明の水性インク組成物は前記各成分を任意の順序で混合、撹拌することによって得られる。得られたインク組成物は狭雑物を除く為にメンブランフィルター等で濾過を行ってもよい。又所望により本発明の一般式(1)で示されるトリスアゾ化合物以外の色素を含有せしめることもできる。
【0058】
本発明の着色体は前記の本発明の化合物又はこれを含有する水性インク組成物で着色されたものである。着色されうるものとしては、例えば紙、フィルム等の情報伝達用シート、繊維や布(セルロース、ナイロン、羊毛等)、皮革、カラーフィルター用基材等が挙げられる。着色法としては、例えば浸染法、捺染法、スクリーン印刷等の印刷法、インクジェットプリンタによる方法等があげられるが、インクジェットプリンタによる方法が好ましい。
情報伝達用シートとしては、表面処理されたもの、具体的には紙、合成紙、フィルム等の基材にインク受容層を設けたものが好ましい。インク受容層には、例えば上記基材にカチオン系ポリマーを含浸あるいは塗工することにより、また多孔質シリカ、アルミナゾルや特殊セラミックスなどのインク中の色素を吸収し得る無機微粒子をポリビニルアルコールやポリビニルピロリドン等の親水性ポリマーと共に上記基材表面に塗工することにより設けられる。このようなインク受容層を設けたものは通常インクジェット専用紙(フィルム)、光沢紙(フィルム)等と呼ばれ、例えばピクトリコ(旭硝子(株)製)、カラーBJペーパー、カラーBJフォトフィルムシート、プロフェッショナルフォトペーパー(いずれもキャノン(株)製)、カラーイメージジェット用紙(シャープ(株)製)、スーパーファイン専用光沢フィルム、PM写真用紙(光沢)(エプソン(株)製)、ピクタファイン(日立マクセル(株)製)等として市販されている。なお、普通紙も利用できることはもちろんである。
【0059】
本発明の一般式(1)で示される化合物を含有する本発明の水性インク組成物は、印捺、複写、マーキング、筆記、製図、スタンピング、または記録法、特にインクジェット記録法におけるインクとして適する。これらのインクによって高濃度で、日光、オゾンガスおよび湿気に対する良好な耐性を有する高品質の黒色着色体が得られる。本発明の一般式(1)で示されるトリスアゾ化合物は、特にインクジェット専用紙、光沢紙において一層高い耐光性、耐オゾンガス性を有する。
【0060】
本発明のトリスアゾ化合物又はその塩は水に対する溶解度が高い為、貯蔵中に沈澱、分離することがない。また、本発明の水性インク組成物をインクジェット記録において使用する場合噴射ノズルを閉塞することもない。本発明の水性インク組成物は連続式インクジェット記録機による比較的長い時間の再循環下またはオンデマンド式インクジェット記録機による断続的な使用条件下においても物理的性質変化を起こさない。
【0061】
【実施例】
以下に本発明を実施例により更に具体的に説明する。尚、本文中部及び%とあるのは、特別の記載のない限り質量基準である。ここで各工程における化合物の構造式は遊離酸の形で表すこととする。
【0062】
実施例1
水900部中に式(19)の化合物74.3部を塩酸でpH1.0〜3.0に調製しながら溶解した後、5〜10℃とし、35%塩酸53.2部、40%亜硝酸ナトリウム水溶液27.0部を添加しジアゾ化した。
【0063】
【化23】
【0064】
次いで、得られた式(19)の化合物のジアゾ懸濁液に、水100部、35%塩酸15.7部の溶液中に溶解した2,5−ビス(2−アセトキシエトキシ)アニリン44.6部を0〜10℃の温度でゆっくり滴下した。滴下終了後、pH値を水酸化ナトリウム水溶液の添加により3.0〜4.0とし、その後5〜10℃で1時間、15〜25℃で8時間、いずれの間もpH3.0〜4.0で撹拌しカップリング反応を完結させ、式(20)の化合物を含む反応液を得た。
【0065】
【化24】
【0066】
次に上記で得られた式(20)の化合物を含む溶液を、水酸化ナトリウム水溶液で弱アルカリ性とし、ここに40%亜硝酸ナトリウム水溶液33.5部を添加した。この溶液を水200部、35%塩酸62.6部の溶液中に30分かけて滴下してジアゾ化し、この懸濁液を7−アミノ−1−ヒドロキシナフタレン−3−スルホン酸35.9部のアルカリ性水溶液に15〜30℃で滴下した。滴下中は溶液のpH値を炭酸ナトリウムにて8.5〜9.5に保持した。滴下終了後、更に15〜30℃で3時間、pH8.5〜9.5で攪拌しカップリング反応を完結させ、式(21)の化合物を含む反応液得た。(式(21)中、Tsはp−トルエンスルホン酸残基を示す)
【0067】
【化25】
【0068】
上記で得られた式(21)の化合物を含む反応液を75℃に加熱した。加熱後、水酸化ナトリウムにてpH10.7とし、70〜75℃、pH10.6〜10.8を約1時間保持した。その後、塩酸によってpHを約8.0とし、塩化ナトリウムを加えて塩析を行い、濾過、単離して式(22)の化合物98.1部を得た。
【0069】
【化26】
【0070】
上記反応で得られた式(22)の化合物8.6部を水120部に溶解後、40%亜硝酸ナトリウム水溶液2.5部を添加し、この水溶液を5%塩酸水溶液50部に15〜30℃で滴下し、ジアゾ化し、これを8−アミノ−2−ナフタレンスルホン酸2.3部の水溶液に15〜30℃で滴下した。滴下中はカップリング溶液のpH値を炭酸ナトリウムにて6.0〜7.0に保持した。滴下終了後、15〜30℃、pH6.0〜7.0で1時間攪拌し、その後、pH値を炭酸ナトリウムにて約8.5とし、15〜30℃、pH7.5〜8.5で5時間攪拌しカップリング反応を完結させた。このあと塩化ナトリウムを加えて塩析を行い、濾過した。得られたケーキ全量を水150部に溶解し、2−プロパノール80部の添加により晶析させ濾過することにより脱塩し、次いで乾燥して式(23)のトリスアゾ化合物8.9部を得た。この化合物の水中での最大吸収波長(λmax)は598nmであった。
【0071】
【化27】
【0072】
上記反応で得られた式(23)の化合物5.6部を水100部に溶解後、塩化シアヌール1.2部を15〜30℃で添加した。添加後、15〜30℃、pH値を炭酸ナトリウムにて6.0〜6.7に保持しながら2時間攪拌した。次にモノエタノールアミン2.5部を15〜30℃、pH値を5%塩酸にて8.0〜9.0に保持しながら30分で滴下した。滴下後、pH値を炭酸ナトリウムにて8.0〜9.0に保持しながら15〜30℃で3時間、85〜95℃に昇温後、pH値を炭酸ナトリウムにて8.5〜9.0に保持しながら4時間攪拌した。20〜30℃まで冷却後、35%塩酸にてpH値を5.5〜6.5とした後、不溶解分を濾過にて除去し、塩化ナトリウムを加えて塩析を行い、濾過した。得られたケーキ全量を水70部に溶解し、メタノール70部の添加により晶析させ濾過することにより脱塩し、次いで乾燥して本発明の式(24)(化合物No.γ1302)の化合物4.8部を得た。この化合物の水中での最大吸収波長(λmax)は632nmであった。
【0073】
【化28】
【0074】
実施例2
実施例1の式(23)のトリスアゾ化合物の合成において8−アミノ−2−ナフタレンスルホン酸2.3部を2,4−ジアミノベンゼンスルホン酸1.9部とする以外は実施例1と同様の方法で式(25)のトリスアゾ化合物8.4部を得た。この化合物の水中での最大吸収波長は597nmであった。
【0075】
【化29】
【0076】
上記反応で得られた式(25)の化合物5.4部を水100部に溶解後、塩化シアヌール1.0部を15〜30℃で添加した。添加後、15〜30℃、pH値を炭酸ナトリウムにて4.0〜5.0に保持しながら3時間攪拌した。次にモノエタノールアミン2.0部を15〜30℃、pH値を5%塩酸にて8.0〜9.0に保持しながら30分で滴下した。滴下後、pH値を炭酸ナトリウムにて8.0〜9.0に保持しながら15〜30℃で2時間、85〜95℃に昇温後、pH値を炭酸ナトリウムにて8.5〜9.0に保持しながら4時間攪拌した。20〜30℃まで冷却後、35%塩酸にてpH値を5.5〜6.5とした後、不溶解分を濾過にて除去し、塩化ナトリウムを加えて塩析を行い、濾過した。得られたケーキ全量を水70部に溶解し、メタノール70部の添加により晶析させ濾過することにより脱塩し、次いで乾燥して本発明の式(26)(化合物No.γ502)と式(27)(化合物No.γ515)の混合物4.2部を得た。この混合物の水中での最大吸収波長(λmax)は612nmであった。
【0077】
【化30】
【0078】
【化31】
【0079】
実施例3
実施例1のモノエタノールアミン2.5部をグリシン3.0部とする以外は実施例1と同様の方法で本発明の式(28)(化合物No.γ1316)のトリスアゾ化合物4.8部を得た。この化合物の水中での最大吸収波長は608nmであった。
【0080】
【化32】
【0081】
実施例4
実施例1のモノエタノールアミン2.5部をβ−アラニン3.5部とする以外は実施例1と同様の方法で本発明の式(29)(化合物No.γ1304)のトリスアゾ化合物5.4部を得た。この化合物の水中での最大吸収波長は612nmであった。
【0082】
【化33】
【0083】
実施例5
実施例1のモノエタノールアミン2.5部をタウリン4.9部とする以外は実施例1と同様の方法で本発明の式(30)(化合物No.γ1306)のトリスアゾ化合物5.2部を得た。この化合物の水中での最大吸収波長は612nmであった。
【0084】
【化34】
【0085】
実施例6
実施例1の式(21)の化合物の合成段階において7−アミノ−1−ヒドロキシナフタレン−3−スルホン酸35.9部を6−アミノ−1−ヒドロキシナフタレン−3−スルホン酸35.9部とする以外は実施例1と同様の方法で式(31)のジスアゾ化合物を含む反応液を得た。
【0086】
【化35】
【0087】
上記反応で得られた式(31)の化合物を含む反応液の1/15を採り、40%亜硝酸ナトリウム水溶液2.5部を添加し、この水溶液を5%塩酸水溶液50部に15〜30℃で滴下し、ジアゾ化し、これを8−アミノ−2−ナフタレンスルホン酸2.3部の水溶液に15〜30℃で滴下した。滴下中はカップリング溶液のpH値を炭酸ナトリウムにて6.0〜7.0に保持した。滴下終了後、15〜30℃、pH6.0〜7.0で1時間攪拌し、その後、pH値を炭酸ナトリウムにて約8.5とし、15〜30℃、pH7.5〜8.5で5時間攪拌しカップリング反応を完結させた。このあと塩化ナトリウムを加えて塩析を行い濾過して式(32)のトリスアゾ化合物を得た。
【0088】
【化36】
【0089】
上記反応で得られた式(32)の化合物全量を水100部に溶解後、塩化シアヌール1.2部を15〜30℃で添加した。添加後、15〜30℃、pH値を炭酸ナトリウムにて6.0〜6.7に保持しながら2時間攪拌した。次にモノエタノールアミン2.5部を15〜30℃、pH値を5%塩酸にて8.0〜9.0に保持しながら30分で滴下した。滴下後、pH値を炭酸ナトリウムにて8.0〜9.0に保持しながら15〜30℃で3時間、85〜95℃に昇温後、pH値を炭酸ナトリウムにて8.5〜9.0に保持しながら4時間攪拌した。次に70〜75℃まで冷却後、水酸化ナトリウムにてpH値を10.5〜10.8に保持しながら同温度で1時間攪拌した。20〜30℃まで冷却後、35%塩酸にてpH値を5.5〜6.5とした後、不溶解分を濾過にて除去し、塩化ナトリウムを加えて塩析を行い、濾過した。得られたケーキ全量を水80部に溶解し、メタノール60部の添加により晶析させ濾過することにより脱塩し、次いで乾燥して本発明の式(33)(化合物No.J1302)の化合物4.0部を得た。この化合物の水中での最大吸収波長(λmax)は625nmであった。
【0090】
【化37】
【0091】
実施例7
実施例6のモノエタノールアミン2.5部をβ−アラニン3.5部とする以外は実施例6と同様の方法で本発明の式(34)(化合物No.J1304)のトリスアゾ化合物4.9部を得た。この化合物の水中での最大吸収波長は624nmであった。
【0092】
【化38】
【0093】
実施例8〜12
(A)インクの作成
下記成分を混合することによりインク組成物を調製し、0.45μmのメンブランフィルターで濾過する事によりインクジェット用の本発明の水性インク組成物を得た。
【0094】
【0095】
表14において、上記実施例で得られた化合物とは、実施例8は式(24)の化合物を、実施例9は式(29)の化合物を、実施例10は式(30)を、実施例11は式(33)の化合物を、実施例12は式(34)の化合物をそれぞれ示す。インク調製時のpHは9〜10にアンモニア水で調製した。この水性インク組成物は、貯蔵中、沈殿分離が生ぜず、また長期間保存後においても物性の変化は生じなかった。
【0096】
(B)インクジェットプリント
上記で得られたそれぞれのインク組成物を使用し、インクジェットプリンタ(商品名 Canon社 BJ−S630 )により、専用光沢紙A(キャノン社プロフェッショナルフォトペーパー PR−101)及び専用光沢紙B(EPSON社 PM写真用紙(光沢) KA420PSK)の2種の紙にインクジェット記録を行った。
印刷にはPhotoshop(画像レタッチソフト Adobe社製)を用い、印字濃度が100%、90%、80%、70%、60%、50%の6段階の階調が得られるように印刷し、ハーフトーンの黒色印字物を得た。印刷時はグレースケールモードを用いているため、この淡色部分においては黒色記録液以外のイエロー、シアン、マゼンタの各記録液が併用されていない。以下に記する試験方法のうち、測色機を用いて評価する項目である色相評価では、L*、a*、b*値を測色する際に反射濃度が最も高い印字濃度100%の部分を用いた。また、同様に測色機を用いて評価する項目である耐光性試験、耐オゾンガス性試験の測定の際には、これら6段階の階調の中から試験前の印刷物の反射濃度D値が1.0に最も近い階調部分を用いて測定を行った。耐湿性試験、演色性試験については、6段階の階調の印刷物全体を目視にて評価した。
【0097】
(C)記録画像の評価
本発明の水性インク組成物による記録画像につき、色相、キセノン耐光性試験後の色相変化(ΔE)、耐オゾンガス性試験後の色相変化(ΔE)、耐湿性試験による滲みの程度、演色性の5点について評価を行った。その結果を(表15)に示した。試験方法は下記に示した。
▲1▼ 色相評価
記録画像の色相はGretag Macbeth SpectroEye(GRETAG社製)を用いて測色し、L*、a*、b*値を算出した。
▲2▼ 耐光性試験
キセノンウェザオメーターCi4000(ATLAS社製)を用い、印刷サンプルに0.36W/平方メートルの照度で50時間照射した。試験終了後上記の測色システムを用いて試験前後の色差(ΔE)を測定した。
▲3▼ 耐オゾンガス性試験
オゾンウェザーメーター(スガ試験機社製)を用いてオゾン濃度を12ppm、湿度60%RH、温度40℃で印刷サンプルを2時間放置した。試験終了後上記の測色システムを用いて試験前後の色差(ΔE)を測定した。
▲4▼ 耐湿性試験
印刷サンプルを恒温恒湿器(応用技研産業(株)製)を用いて50℃、90%RHで3日間放置し、試験前後の染料の滲みを目視により判定した。
○ 染料の滲みがほとんど見られない
△ 染料の滲みがやや見られる
× 染料の滲みがかなり見られる。
▲5▼ 演色性試験
標準光源下での色相を基準にタングステン光下で見た場合の変色の程度を目視により判定した。
○ 色相変化小さい。
△ 色相変化やや大きい。
× 色相変化大。
【0098】
比較例1
比較対象として水溶性インクジェット用黒色色素として用いられているアゾ系色素のC.I.Food Black 2(下記式(35))を実施例8と同様のインク組成で、本発明の黒色インクと光学濃度が合うようにインク組成物を調製した。得られた記録画像のキセノン耐光性試験、耐オゾンガス試験、耐湿性試験及び演色性の結果を(表15)に示した。
【0099】
【化39】
比較例2
同様に、比較対象として水溶性インクジェット用色素として、国際公開WO00/43451号公報のExample2に示される色素(下記式(36))を実施例8と同様のインク組成で、本発明の黒色インクと光学濃度が合うようにインク組成物を調製した。得られた記録画像のキセノン耐光性試験、耐オゾンガス試験、耐湿性試験及び演色性の結果を(表15)に示した。
【00100】
【化40】
比較例3
同様に、比較対象として水溶性インクジェット用色素として、国際公開WO00/43453号公報のExample3に示される色素(下記式(37))を実施例8と同様のインク組成で、本発明の黒色インクと光学濃度が合うようにインク組成物を調製した。得られた記録画像のキセノン耐光性試験、耐オゾンガス試験、耐湿性試験及び演色性の結果を(表15)に示した。
【0101】
【化41】
【0102】
【0103】
(表15)より、本発明のトリスアゾ化合物を含有するインク組成物は従来の黒色染料(比較例)と比較して、耐オゾンガス性、耐光性、耐湿性、演色性において優れている。
【0104】
【発明の効果】
本発明のトリスアゾ化合物は水溶解性に優れるので、インク組成物製造過程でのメンブランフィルターによるろ過性が良好であり、記録液の保存時の安定性や吐出安定性にも優れている。又、このトリスアゾ化合物を含有する本発明のインク組成物は長期間保存後の結晶析出、物性変化、色変化等もなく、貯蔵安定性が良好である。又、本発明のトリスアゾ化合物を含有する記録用ブラックインク液は、インクジェット記録用、筆記用具用として用いられ、普通紙及びインクジェット専用紙に記録した場合の記録画像の印字濃度が高く、さらに耐オゾンガス性、耐光性、耐湿性及び演色性に優れている。マゼンタ、シアン及びイエロー染料と共に用いることで耐光性及び耐水性に優れたフルカラーのインクジェット記録が可能である。このように本発明のインク組成物はインクジェット記録用ブラックインクとして極めて有用である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規な水溶性トリスアゾ化合物またはその塩、これらを含有する水性インク組成物およびそれによる着色体に関する。
【0002】
【従来の技術】
各種のカラー記録法の中で、その代表的方法の一つであるインクジェットプリンタによる記録方法はインクの小滴を発生させ、これを種々の被記録材料(紙、フィルム、布帛等)に付着させ記録を行うものである。この方法は、記録ヘッドと被記録材料とが接触しないため音の発生が少なく静かであり、また小型化、高速化が容易という特長の為、近年急速に普及しつつあり、今後とも大きな伸長が期待されている。従来、万年筆、フェルトペン等のインク及びインクジェット記録用インクとしては、水溶性染料を水性媒体中に溶解した水性インクが使用されており、これらの水溶性インクにおいてはペン先やインク吐出ノズルでのインクの目詰まりを防止すべく一般に水溶性有機溶剤が添加されている。これらの従来のインクにおいては、十分な濃度の記録画像を与えること、ペン先やノズルの目詰まりを生じないこと、被記録材上での乾燥性がよいこと、滲みが少ないこと、保存安定性に優れること等が要求され、また形成される画像には、耐水性、耐光性、耐湿性、耐オゾンガス性等の堅牢度が求められている。
耐オゾンガス性とは、空気中に存在する酸化作用を持つオゾンガスが記録紙中で染料と反応し、印刷された画像を変退色させるという現象に対する耐性のことである。このオゾンガスは、インクジェット記録画像の退色現象を促進させる原因物質とされている。この変退色現象はインクジェット画像に特徴的なものであるため、耐オゾンガス性の向上は重要な課題となっている。特に、写真画質インクジェット専用紙の表面に設けられるインク受容層には、インクの乾燥を早め、また高画質でのにじみを少なくする為に、多孔質の素材を用いているものが多く、このような記録紙上でオゾンガスによる変退色が顕著に見られている。
今後、インクを用いた印刷方法の使用分野を拡大すべく、広告等の展示物に活用した場合、光(電灯、蛍光灯、日光等)に曝される場合が多くなるため、インクジェット記録用に用いられるインク組成物及びそれによって着色された着色体には、耐水性、耐光性、耐湿性の他に、特に耐オゾンガス性の向上が強く求められている。
種々の色相のインクが種々の染料から調製されているが、それらのうち黒色インクはモノカラーおよびフルカラー画像の両方に使用される重要なインクである。これら黒色インク用の染料として今日まで非常に多くの特許出願(例えば特開平2−140270号、特開平3−167270号、特開平3−200852号、特開平4−359065号、特開平6−172668号、特開平6−248212号、特開平7−26160号、特開平7−268256号、特開平8−245894号、国際公開WO00/43451、WO00/43453等)がされているが、市場の要求を充分に満足する製品を提供するには至っていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は水を主要成分とする媒体に対する溶解性が高く、高濃度染料水溶液及びインクを長期間保存した場合でも安定であり、かつ印字された画像の濃度が高く、しかも耐湿性、耐光性、耐オゾンガス性に優れた黒色の記録画像を与えるインク組成物を提供する事を目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは前記したような課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明に至ったものである。即ち本発明は、
(1)下記一般式(1)で表されるトリスアゾ化合物またはその塩、
【0005】
【化5】
(式(1)中、Aは一般式(2)または一般式(3)を表し、Aの置換位置は2又は3位である。)
【0006】
【化6】
(式(2)中、R1からR5は任意の置換基を表す。)
【0007】
【化7】
(式(3)中、R6からR10は任意の置換基を表す。)
(2)一般式(2)において、R1、R2、R3がそれぞれ独立に水素原子;ヒドロキシル基;アミノ基;カルボキシル基;ヒドロキシル基若しくは(C1〜C4)アルコキシ基によって置換されていてもよい(C1〜C4)アルキル基;ヒドロキシル基若しくは(C1〜C4)アルコキシ基によって置換されていてもよい(C1〜C4)アルコキシ基;ヒドロキシル基若しくは(C1〜C4)アルコキシ基によって置換されていてもよい(C1〜C4)アルキルアミノ基;カルボキシ−(C1〜C5)アルキルアミノ基またはビス−[カルボキシ−(C1〜C5)アルキル]アミノ基;ヒドロキシル基若しくは(C1〜C4)アルコキシ基によって置換されていてもよい(C1〜C4)アルカノイルアミノ基;カルボキシル基、スルホン酸基若しくはアミノ基で置換されていても良いフェニルアミノ基;スルホン酸基;ハロゲン原子またはウレイド基であり、R4、R5がそれぞれ独立にヒドロキシル基;アミノ基;(C1〜C4)アルコキシ基;ヒドロキシル基若しくは(C1〜C4)アルコキシ基によって置換されていてもよい(C1〜C4)アルキルアミノ基;モノ−[カルボキシ−(C1〜C5)アルキル]アミノ基またはビス−[カルボキシ−(C1〜C5)アルキル]アミノ基;モノ−[スルホ−(C1〜C5)アルキル]アミノ基またはビス−[スルホ−(C1〜C5)アルキル]アミノ基;カルボキシル基、スルホン酸基、アミノ基、ヒドロキシル基、(C1〜C4)アルキル基、(C1〜C4)アルコキシ基若しくはハロゲンで置換されていても良いフェニルアミノ基であり、一般式(3)において、R6、R7、R8がそれぞれ独立に水素原子;ヒドロキシル基;アミノ基;カルボキシル基;ヒドロキシル基若しくは(C1〜C4)アルコキシ基によって置換されていてもよい(C1〜C4)アルキル基;ヒドロキシル基若しくは(C1〜C4)アルコキシ基によって置換されていてもよい(C1〜C4)アルコキシ基;ヒドロキシル基若しくは(C1〜C4)アルコキシ基によって置換されていてもよい(C1〜C4)アルキルアミノ基;カルボキシ−(C1〜C5)アルキルアミノ基またはビス−[カルボキシ−(C1〜C5)アルキル]アミノ基;ヒドロキシル基若しくは(C1〜C4)アルコキシ基によって置換されていてもよい(C1〜C4)アルカノイルアミノ基;カルボキシル基、スルホン酸基若しくはアミノ基で置換されていても良いフェニルアミノ基;スルホン酸基;ハロゲン原子またはウレイド基であり、R9、R10がそれぞれ独立にヒドロキシル基;アミノ基;(C1〜C4)アルコキシ基;ヒドロキシル基若しくは(C1〜C4)アルコキシ基によって置換されていてもよい(C1〜C4)アルキルアミノ基;モノ−[カルボキシ−(C1〜C5)アルキル]アミノ基またはビス−[カルボキシ−(C1〜C5)アルキル]アミノ基;モノ−[スルホ−(C1〜C5)アルキル]アミノ基またはビス−[スルホ−(C1〜C5)アルキル]アミノ基;カルボキシル基、スルホン酸基、アミノ基、ヒドロキシル基、(C1〜C4)アルキル基、(C1〜C4)アルコキシ基若しくはハロゲンで置換されていても良いフェニルアミノ基である(1)に記載の一般式(1)のトリスアゾ化合物またはその塩、
(3)塩がリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩または一般式(4)で表されるアンモニウム塩である(1)または(2)に記載の一般式(1)のトリスアゾ化合物の塩、
【0008】
【化8】
(式(4)中、X1、X2、X3、X4はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、ヒドロキシアルキル基またはヒドロキシアルコキシアルキル基を表す。)
(4)(1)から(3)のいずれか一項に記載のトリスアゾ化合物またはその塩を含有する事を特徴とする水性インク組成物、
(5)(4)に記載の水性インク組成物で着色された着色体、
(6)着色がプリンタによりなされた(5)の着色体、
に関する。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
一般式(2)、一般式(3)におけるR1からR10おいて、ヒドロキシル基または(C1〜C4)アルコキシ基により置換されていてもよい(C1〜C4)アルキル基の例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、2−ヒドロキシエチル、2−−ヒドロキシプロピル、3−ヒドロキシプロピル、メトキシエチル、2−エトキシエチル、n−プロポキシエチル、イソプロポキシエチル、n−ブトキシエチル、メトキシプロピル、エトキシプロピル、n−プロポキシプロピル、イソプロポキシブチル、n−プロポキシブチル等が挙げられる。ヒドロキシル基または(C1〜C4)アルコキシ基により置換されていてもよい(C1〜C4)アルコキシ基の例としてはメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、2−ヒドロキシエトキシ、2−ヒドロキシプロポキシ、3−ヒドロキシプロポキシ、メトキシエトキシ、エトキシエトキシ、n−プロポキシエトキシ、イソプロポキシエトキシ、n−ブトキシエトキシ、メトキシプロポキシ、エトキシプロポキシ、n−プロポキシプロポキシ、イソプロポキシブトキシ、n−プロポキシブトキシ、2−ヒドロキシエトキシエトキシ等が挙げられる。カルボキシ−(C1〜C5)アルキルアミノ基としてはカルボキシメチルアミノ、カルボキシエチルアミノ、カルボキシプロピルアミノ、カルボキシ−n−ブチルアミノ、カルボキシ−n−ペンチルアミノなどが挙げられ、ビス−[カルボキシ−(C1〜C5)アルキル]アミノ基してはビス−(カルボキシメチル)アミノ、ビス−(カルボキシエチル)アミノ、ビス−(カルボキシプロピル)アミノ等が挙げられる。ヒドロキシル基または(C1〜C4)アルコキシ基により置換されていてもよい(C1〜C4)アルキルアミノ基の例としては、メチルアミノ、エチルアミノ、n−プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、n−ブチルアミノ、イソブチルアミノ、N,N−ジメチルアミノ、N,N−ジエチルアミノ、N,N−ジ(n−プロピル)アミノ、N,N−ジ(イソプロピル)アミノ、ヒドロキシエチルアミノ、2−ヒドロキシプロピルアミノ、3−ヒドロキシプロピルアミノ、ビス(ヒドロキシエチル)アミノ、メトキシエチルアミノ、エトキシエチルアミノ、ビス(メトキシエチル)アミノ、ビス(2−エトキシエチル)アミノ等が挙げられる。ヒドロキシル基または(C1〜C4)アルコキシ基により置換されていてもよい(C1〜C4)アルカノイルアミノ基の例としてはアセチルアミノ、n−プロピオニルアミノ、イソプロピオニルアミノ、ヒドロキシアセチルアミノ、2−ヒドロキシ−n−プロピオニルアミノ、3−ヒドロキシ−n−プロピオニルアミノ、2−メトキシ−n−プロピオニルアミノ、3−メトキシ−n−プロピオニルアミノ、2−ヒドロキシ−n−ブチリルアミノ、3−ヒドロキシ−n−ブチリルアミノ、2−メトキシ−n−ブチリルアミノ、3−メトキシ−n−ブチリルアミノ等が挙げられる。カルボキシル基、スルホン酸基またはアミノ基で置換されていても良いフェニルアミノ基の例としては、フェニルアミノ、スルホフェニルアミノ、カルボキシフェニルアミノ、ビスカルボキシフェニルアミノ、アミノフェニルアミノ、ジアミノフェニルアミノ、ジアミノスルホフェニルアミノ等があげられる。
一般式(2)、一般式(3)におけるR4、R5、R9、R10において、(C1〜C4)アルコキシ基の例としてはメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ等が挙げられる。モノ−[スルホ−(C1〜C5)アルキル]アミノ基の例としては、スルホメチルアミノ、スルホエチルアミノ、2−スルホプロピルアミノ、3−スルホプロピルアミノ、スルホ−n−ブチルアミノ、スルホ−n−ペンチルアミノなどが挙げられ、ビス−[スルホ−(C1〜C5)アルキル]アミノ基の例としては、ビス−スルホメチルアミノ、ビス−(スルホエチル)アミノ、ビス−(スルホプロピル)アミノ等が挙げられる。
【0010】
一般式(2)における好ましいR1、R2、R3はそれぞれ独立に水素、メチル、メトキシ、エチル、エトキシ、2−ヒドロキシエトキシ、2−メトキシエトキシ、塩素、カルボキシル、スルホン酸、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシメチルアミノ、カルボキシプロピルアミノ、ビス−カルボキシメチルアミノ、アセチルアミノ、ウレイド、フェニルアミノ、スルホフェニルアミノ、カルボキシフェニルアミノ、ジカルボキシフェニルアミノ等であり、さらに好ましくはメチル、メトキシ、スルホン酸、ヒドロキシ、アミノ、アセチルアミノ、フェニルアミノ、スルホフェニルアミノ、カルボキシフェニルアミノ、ジカルボキシフェニルアミノである。特に好ましくはアミノ、ヒドロキシ、スルホン酸、カルボキシル、アセチルアミノ、フェニルアミノである。
一般式(3)における好ましいR6、R7、R8はそれぞれ独立に水素、メチル、メトキシ、塩素、カルボキシル、スルホン酸、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシメチルアミノ、カルボキシプロピルアミノ、ビス−カルボキシメチルアミノ、アセチルアミノ、ウレイド、フェニルアミノ、スルホフェニルアミノ、カルボキシフェニルアミノ、ジカルボキシフェニルアミノ等であり、さらに好ましくはメトキシ、スルホン酸、ヒドロキシ、アミノ、アセチルアミノ、フェニルアミノ、スルホフェニルアミノ、カルボキシフェニルアミノ、ジカルボキシフェニルアミノである。特に好ましくはアミノ、ヒドロキシ、スルホン酸、カルボキシル、アセチルアミノ、フェニルアミノである。
【0011】
一般式(2)、一般式(3)における好ましいR4、R5、R9、R10はそれぞれ独立にヒドロキシ、メトキシ、エトキシ、プロポオキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、フェノキシ、アミノ、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、ブチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジプロピルアミノ、ジイソプロピルアミノ、ジブチルアミノ、モルホリノ、2−ヒドロキシエチルアミノ、ビス−(2−ヒドロキシエチル)アミノ、2−ヒドロキシプロピルアミノ、ビス−(2−ヒドロキシプロピル)アミノ、3−ヒドロキシプロピルアミノ、ビス−(3−ヒドロキシプロピル)アミノ、2−エトキシエチルアミノ、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルアミノ、2−ヒドキシエチルメチルアミノ、N−(2−ヒドキシエチル)エチルアミノ、N−(2−ヒドキシプロピル)メチルアミノ、N−(2−ヒドキシプロピル)エチルアミノ、カルボキシメチルアミノ、2−カルボキシエチルアミノ、3−カルボキシプロピルアミノ、5−カルボキシペンチルアミノ、ビス−カルボキシメチルアミノ、2−スルホキシエチルアミノ、アセチルアミノ、フェニルアミノ、スルホフェニルアミノ、カルボキシフェニルアミノ、カルボキシ−ヒドロキシフェニルアミノ等であり、さらに好ましくはアミノ、ヒドロキシ、メチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、2−ヒドロキシエチルアミノ、ビス−(2−ヒドロキシエチル)アミノ、2−ヒドロキシプロピルアミノ、ビス−(2−ヒドロキシプロピル)アミノ、2−カルボキシエチルアミノ、2−スルホキシエチルアミノ、スルホフェニルアミノ、カルボキシフェニルアミノ、カルボキシ−ヒドロキシフェニルアミノ等である。特に好ましくはアミノ、ヒドロキシ、2−ヒドロキシエチルアミノ、ビス−(2−ヒドロキシエチル)アミノ、2−ヒドロキシプロピルアミノ、ビス−(2−ヒドロキシプロピル)アミノ、2−カルボキシエチルアミノ、2−スルホキシエチルアミノである。
【0012】
前記式(1)に示した化合物の好適な例として、特に限定されるものではないが、具体的に下記の構造が挙げられる。下記表1〜表12には、前記式(1)のAにあたる部分を示す。
表1〜表6でのAは式(2)を、表7〜表12でのAは式(3)を意味する。尚、化合物No.の頭文字のγは、一般式(1)におけるAの置換位置が2位であることを示し、Jは、一般式(1)におけるAの置換位置が3位であることを示す。
【0013】
【表1】
【0014】
【表2】
【0015】
【表3】
【0016】
【表4】
【0017】
【表5】
【0018】
【表6】
【0019】
【表7】
【0020】
【表8】
【0021】
【表9】
【0022】
【表10】
【0023】
【表11】
【0024】
【表12】
【0025】
塩は、無機または有機の陽イオンの塩である。そのうち無機塩の具体例としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩およびアンモニウム塩が挙げられ、好ましい無機塩は、リチウム、ナトリウム、カリウムの塩およびアンモニウム塩であり、又、有機の陽イオンの塩としては例えば前記式(4)で示される化合物の塩があげられるがこれらに限定されるものではない。
【0026】
一般式(4)におけるX1、X2、X3、X4のアルキル基の例としてはメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチルなどが挙げられ、ヒドロキシアルキル基の例としてはヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、4−ヒドロキシブチル基、3−ヒドロキシブチル基、2−ヒドロキシブチル基等のヒドロキシ−(C1〜C4)アルキル基が挙げられ、ヒドロキシアルコキシアルキル基の例としては、ヒドロキシエトキシメチル基、2−ヒドロキシエトキシエチル基、3−ヒドロキシエトキシプロピル基、2−ヒドロキシエトキシプロピル基、4−ヒドロキシエトキシブチル基、3−ヒドロキシエトキシブチル基、2−ヒドロキシエトキシブチル基等ヒドロキシ(C1〜C4)アルコキシ−(C1〜C4)アルキル基が挙げられ、これらのうちヒドロキシエトキシ−(C1〜C4)アルキル基が好ましい。特に好ましいものとしては水素原子;メチル基;ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、4−ヒドロキシブチル基、3−ヒドロキシブチル基、2−ヒドロキシブチル基等のヒドロキシ−(C1〜C4)アルキル基;ヒドロキシエトキシメチル基、2−ヒドロキシエトキシエチル基、3−ヒドロキシエトキシプロピル基、2−ヒドロキシエトキシプロピル基、4−ヒドロキシエトキシブチル基、3−ヒドロキシエトキシブチル基、2−ヒドロキシエトキシブチル基等のヒドロキシエトキシ−(C1〜C4)アルキル基が挙げられる。
【0027】
一般式(4)のX1、X2、X3、X4の具体例を(表13)に示す。
【0028】
【0029】
一般式(1)で示される本発明のトリスアゾ化合物は、例えば次のような方法で合成し得る。(ここで、各工程における化合物の構造式は遊離酸の形で表すこととする。)即ち、一般式(5)
【0030】
【化9】
(式中、Yは水素原子、(C1〜C4)アルキル基又はハロゲン原子を意味する。)で表される化合物を常法によりジアゾ化し、化合物(6)
【0031】
【化10】
とカップリング反応し、生成した一般式(7)
【0032】
【化11】
(式中、Yは前記と同じ意味を有する)で表される化合物をジアゾ化し、一般式(8)
【0033】
【化12】
(式中、アミノ基の置換位置は2又は3位である。)で表される化合物とカップリングし、生成した一般式(9)
【0034】
【化13】
(式中、Yは前記と同じ意味を有する。またアミノ基の置換位置は2又は3位である。)
で表されるジスアゾ化合物を加水分解し、一般式(10)
【0035】
【化14】
(式中、アミノ基の置換位置は2又は3位である。)で表されるジスアゾ化合物としたのち、これをジアゾ化した後、一般式(11)または(12)
【0036】
【化15】
(式中、R1、R2、R3は前記と同じ意味を有する。)
【0037】
(一般式(11)で示される化合物の具体例としては、1−アミノ−2−メトキシ−5−メチルベンゼン、1−アミノ−2,5−ジメチルベンゼン、1−アミノ−2−メトキシ−5−アセチルアミノベンゼン、1−アミノ−2−ヒドロキシ−5−メトキシベンゼン、1−アミノ−3−ヒドロキシ−6−メトキシベンゼン、1−アミノ−2−メトキシエトキシ−5−アセチルアミノベンゼン、1−アミノ−2−メトキシベンゼン、1−アミノ−2−メチルベンゼン、1−アミノ−2,5−ジメトキシベンゼン、1−アミノ−2,5−ジエトキシベンゼン、1−アミノ−2,5−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1−アミノ−2−メチル−5−アセチルアミノベンゼン、1−アミノ−2−メトキシ−5−ウレイドベンゼン、1−アミノ−2−メチル−5−ウレイドベンゼン、1−アミノ−3−メトキシベンゼン、1−アミノ−3−メチルベンゼン、1−アミノ−2−(2’−ヒドロキシエトキシ)−5−メチルベンゼン、3−アミノ安息香酸、2−アミノ−4−ヒドロキシ安息香酸、3−アミノ−4−メチル安息香酸、3−アミノ−4−メトキシ安息香酸、2,4−ジアミノ安息香酸、2,4−ジアミノベンゼンスルホン酸、2−アミノ−4−アセチルアミノベンゼンスルホン酸、3−アミノベンゼンホスホン酸、4−メトキシ−3−アミノフェノール、2,4−ジアミノアニソールなどがあげられ、好ましくは2−アミノ−4−ヒドロキシ安息香酸、2,4−ジアミノベンゼンスルホン酸、2−アミノ−4−アセチルアミノベンゼンスルホン酸である。これらは単独でも2種以上の混合物でも使用できる。
【0038】
【化16】
(式中、R6、R7、R8は前記の意味を有する。)
【0039】
一般式(12)で示される化合物の具体例としては、8−アミノ−3−ナフタレンスルホン酸、5−アミノ−2−ナフタレンスルホン酸、8−アミノ−4−ヒドキシ−2−ナフタレンスルホン酸、8―アミノ−1−ナフタレンスルホン酸、8−アミノ−2−ナフタレンスルホン酸、6−アミノ−4−ヒドロキシ−2−ナフタレンスルホン酸、5−アミノ−6−メトキシ−2−ナフタレンスルホン酸、6−アミノ−2−ナフタレンスルホン酸、1−アミノ−8−ヒドロキシ−3,6−ナフタレンジスルホン酸(H酸)、1−アミノ−8−ヒドロキシ−4,6−ナフタレンジスルホン酸(K酸)、2−アミノ−8−ヒドロキシ−3,6−ナフタレンジスルホン酸(2R酸)、6−アミノ−2−ナフタレンスルホン酸、7−アミノ−1−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸(γ酸)、6−アミノ−1−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸(J酸)、5−アミノ−1−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸(M酸)、8−アミノ−1−ナフタレンスルホン酸、8−アミノナ−2−フタレンスルホン酸、5−アミノ−2−ナフタレンスルホン酸、6−アミノ−2−ナフタレンスルホン酸などがあげられ、好ましくは8−アミノ−2−ナフタレンスルホン酸、6−アミノ−2−ナフタレンスルホン酸、7−アミノ−1−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸(γ酸)である。これらは単独でも2種以上の混合物でも使用できる。さらにこれら一般式(11)と一般式(12)から選ばれる2種以上の混合物でも使用できる。)
とカップリングし、生成した一般式(13)又は(14)
【0040】
【化17】
【0041】
【化18】
(式中、R1からR3、及びR6からR8は前記の意味を有する。)で表されるトリスアゾ化合物と塩化シアヌールを反応し、生成した一般式(15)又は(16)
【0042】
【化19】
【0043】
【化20】
(式中、R1からR3、R6からR8は前記の意味を有する。)とアルコール類、アミン類、フェノール類を反応させることにより本発明のトリスアゾ化合物である一般式(17)又は(18)が得られる。
【0044】
【化21】
【0045】
【化22】
(式中、R1からR10は前記の意味を有する。)
【0046】
また、一般式(9)をジアゾ化した後、一般式(11)又は(12)とカップリングし、その後、塩化シアヌールと反応し、これをアルコール類、アミン類、フェノール類を反応させた後、加水分解することによっても、本発明の一般式(17)、(18)の化合物を得ることができる。
一般式(6)で示される化合物は、国際公開WO00/43453号公報のExample2、Step1に記載されている方法によって合成し得る。
【0047】
一般式(5)の化合物のジアゾ化はそれ自体公知の方法で実施され、たとえば無機酸媒質中、例えば−5〜30℃、好ましくは0〜10℃の温度で亜硝酸塩、たとえば亜硝酸ナトリウムのごとき亜硝酸アルカリ金属塩を使用して実施される。一般式(5)の化合物のジアゾ化物と一般式(6)の化合物とのカップリングもそれ自体公知の条件で実施される。水性または水性有機媒体中、例えば−5〜30℃、好ましくは0〜10℃の温度ならびに弱酸性から弱アルカリ性のpH値で行うことが有利である。好ましくは弱酸性から中性のpH値、たとえばpH3〜7で実施され、pH値の調整は塩基の添加によって実施される。塩基としては、たとえば水酸化リチウム、水酸化ナトリウムのごときアルカリ金属水酸化物、炭酸リチウム、炭酸ナトリウムまたは炭酸カリウムのごときアルカリ金属炭酸塩、酢酸ナトリウムのごとき酢酸塩、あるいはアンモニアまたは有機アミンなどが使用できる。一般式(5)と(6)の化合物は、ほぼ化学量論量で用いる。
【0048】
一般式(7)の化合物のジアゾ化もそれ自体公知の方法で実施され、たとえば無機酸媒質中例えば−5〜30℃、好ましくは0〜20℃の温度で亜硝酸塩、たとえば亜硝酸ナトリウムのごとき亜硝酸アルカリ金属塩を使用して実施される。一般式(7)の化合物のジアゾ化物と一般式(8)の化合物のカップリングもそれ自体公知の条件で実施される。水性または水性有機媒体中、例えば−5〜30℃、好ましくは10〜25℃の温度ならびに弱酸性からアルカリ性のpH値で行うことが有利である。好ましくは中性からアルカリ性のpH値、たとえばpH7〜11で実施される。このpH値の調整は塩基の添加によって実施される。塩基としては、たとえば水酸化リチウム、水酸化ナトリウムのごときアルカリ金属水酸化物、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムのごときアルカリ金属炭酸塩、酢酸ナトリウムのごとき酢酸塩、アンモニアまたは有機アミンなどが使用できる。一般式(7)と(8)の化合物は、ほぼ化学量論量で用いる。
【0049】
一般式(9)の化合物の加水分解による一般式(10)の化合物の製造もそれ自体公知の方法で実施される。有利には水性アルカリ性媒質中で加熱する方法であり、たとえば一般式(9)の化合物を含有する反応溶液に水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムを加えpHを9.5以上としたのち、例えば20〜150℃の温度、好ましくは30〜100℃の温度に加熱することによって実施される。このとき反応溶液のpH値は9.5〜11.5に維持することが好ましい。このpH値の調整は塩基の添加によって実施される。塩基は前記したものを用いることができる。加水分解された一般式(10)の化合物のジアゾ化は上記一般式(7)の化合物のジアゾ化と同様の条件で実施される。そしてジアゾ化された一般式(10)の化合物と一般式(11)または(12)の化合物とのカップリングもそれ自体公知の条件で実施される。水性または水性有機媒体中、例えば0〜40℃、好ましくは10〜30℃の温度ならびにpH3〜10、好ましくはpH6〜8において実施される。
【0050】
一般式(13)または(14)の化合物と塩化シアヌールとの反応もそれ自体公知の条件で実施される。水性または有機媒体中、例えば0〜40℃、好ましくは0〜30℃の温度ならびにpH1〜7、好ましくはpH3〜7において実施される。
一般式(15)または(16)の化合物とアルコール類、アミン類、フェノール類との反応もそれ自体公知の条件で実施される。水性または有機媒体中、例えば20〜100℃、好ましくは40〜90℃の温度ならびにpH3〜10、好ましくはpH4〜9において実施される。
【0051】
本発明による一般式(1)で示されるトリスアゾ化合物またはその塩(以下断りの無い限りトリスアゾ化合物またはその塩を単にトリスアゾ化合物と記す。)は、 カップリング反応後、鉱酸の添加により遊離酸の形で単離する事ができ、これから水または酸性化した水による洗浄により無機塩を除去する事が出来る。次に、この様にして得られる低い塩含有率を有する酸型色素は、水性媒体中で所望の無機又は有機の塩基により中和することで対応する塩の溶液とすることが出来る。無機の塩基の例としては、例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物、水酸化アンモニウム、あるいは炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属の炭酸塩などが挙げられ、有機の塩基の例としては、前記一般式(4)で表されるアミン、例えばジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアルカノールアミンなどがあげられるがこれらに限定されるものではない。
【0052】
一般式(1)で示されるトリスアゾ化合物は、紙、セルロース、羊毛、皮革等の天然及びそれらと合成繊維材料との混紡品の染色に著しく適しており、さらにはこれらの化合物は、筆記用インクおよび記録用液の製造に著しく適している。
【0053】
一般式(1)で示される本発明のトリスアゾ化合物を含む反応液は、記録用インク組成物の製造に直接使用する事が出来る。しかし、まずこれを乾燥、例えばスプレー乾燥させて単離するか、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、硫酸ナトリウム等の無機塩類によって塩析するか、塩酸、硫酸、硝酸等の鉱酸によって酸析するか、あるいは前記した塩析と酸析を組み合わせた酸塩析することによって本発明のトリスアゾ化合物を取り出し、次にこれをインク組成物に加工することもできる。
【0054】
次に本発明の水性インク組成物につき説明する。
本発明の水性インク組成物は、一般式(1)で示される本発明のトリスアゾ化合物を通常0.1〜20質量%、好ましくは1〜10質量%、より好ましくは2〜8質量%含有する水を主要な媒体とする組成物である。本発明のインク組成物には、さらに水溶性有機溶剤を例えば0〜30質量%、インク調製剤を例えば0〜5質量%含有していても良い。
本発明の水性インク組成物は、前記の一般式(1)で示されるトリスアゾ化合物を水または水溶性有機溶媒(有機溶剤又は水と混和可能な有機溶剤含有水)に溶解し、必要に応じインク調製剤を添加したものである。本発明の水性インク組成物のpHは5〜11程度が好ましい。この水性インク組成物をインクジェットプリンタ用のインクとして使用する場合、トリスアゾ化合物としては金属陽イオンの塩化物、硫酸塩等の無機物の含有量が少ないものを用いるのが好ましく、その含有量の目安は例えば1質量%以下(対色素原体)程度である。無機物の少ないトリスアゾ化合物を製造するには、例えば逆浸透膜による通常の方法又は本発明のトリスアゾ化合物の乾燥品あるいはウェットケーキをメタノール等のアルコール及び水の混合溶媒中で撹拌し、濾過、乾燥するなどの方法で脱塩処理すればよい。
【0055】
本発明の水性インク組成物を調製するにあたり、使用しうる水溶性有機溶剤の例としては、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、第二ブタノール、第三ブタノール等のC1〜C4アルカノール、N,N−ジメチルホルムアミドまたはN,N−ジメチルアセトアミド等のカルボン酸アミド、2−ピロリドン、N−メチルピロリジン−2−オン等のラクタム、1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−オンまたは1,3−ジメチルヘキサヒドロピリミド−2−オン等の環式尿素類、アセトン、メチルエチルケトン、2−メチル−2−ヒドロキシペンタン−4−オン等のケトンまたはケトアルコール、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,6−ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、チオジグリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等の(C2〜C6)アルキレン単位を有するモノマー、オリゴマーまたはポリアルキレングリコールまたはチオグリコール、グリセリン、ヘキサン−1,2,6−トリオール等のポリオール(トリオール)、エチレングリコールモノメチルエーテルまたはエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル又はジエチレングリコールモノエチルエーテル又はトリエチレングリコールモノメチルエーテル又はトリエチレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールの(C1〜C4)アルキルエーテル、γーブチロラクトンまたはジメチルスルホキシド等があげられる。
【0056】
インク調製剤としては、例えば防腐防黴剤、pH調製剤、キレート試薬、防錆剤、水溶性紫外線吸収剤、水溶性高分子化合物、染料溶解剤、界面活性剤などがあげられる。防腐防黴剤としては、例えば無水酢酸ソーダ、ソルビン酸ソーダ、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム等があげられる。pH調製剤としては、調合されるインクに悪影響を及ぼさずに、インクのpHを例えば5〜11の範囲に制御できるものであれば任意の物質を使用することができる。その例として、例えばジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアルカノールアミン、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物、水酸化アンモニウム(アンモニア)、あるいは炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属の炭酸塩などが挙げられる。キレート試薬としては、例えばエチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、ウラシル二酢酸ナトリウムなどがあげられる。防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオグルコール酸アンモニウム、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトライトなどがあげられる。水溶性高分子化合物としては、ポリビニルアルコール、セルロース誘導体、ポリアミン、ポリイミン等があげられる。水溶性紫外線吸収剤としては、例えばスルホン化したベンゾフェノン、スルホン化したベンゾトリアゾ−ルなどが挙げられる。染料溶解剤としては、例えばε−カプロラクタム、エチレンカ−ボネ−ト、尿素などが挙げられる。界面活性剤としては、例えばアニオン系、カチオン系、ノニオン系などの公知の界面活性剤が挙げられる。
【0057】
本発明の水性インク組成物は前記各成分を任意の順序で混合、撹拌することによって得られる。得られたインク組成物は狭雑物を除く為にメンブランフィルター等で濾過を行ってもよい。又所望により本発明の一般式(1)で示されるトリスアゾ化合物以外の色素を含有せしめることもできる。
【0058】
本発明の着色体は前記の本発明の化合物又はこれを含有する水性インク組成物で着色されたものである。着色されうるものとしては、例えば紙、フィルム等の情報伝達用シート、繊維や布(セルロース、ナイロン、羊毛等)、皮革、カラーフィルター用基材等が挙げられる。着色法としては、例えば浸染法、捺染法、スクリーン印刷等の印刷法、インクジェットプリンタによる方法等があげられるが、インクジェットプリンタによる方法が好ましい。
情報伝達用シートとしては、表面処理されたもの、具体的には紙、合成紙、フィルム等の基材にインク受容層を設けたものが好ましい。インク受容層には、例えば上記基材にカチオン系ポリマーを含浸あるいは塗工することにより、また多孔質シリカ、アルミナゾルや特殊セラミックスなどのインク中の色素を吸収し得る無機微粒子をポリビニルアルコールやポリビニルピロリドン等の親水性ポリマーと共に上記基材表面に塗工することにより設けられる。このようなインク受容層を設けたものは通常インクジェット専用紙(フィルム)、光沢紙(フィルム)等と呼ばれ、例えばピクトリコ(旭硝子(株)製)、カラーBJペーパー、カラーBJフォトフィルムシート、プロフェッショナルフォトペーパー(いずれもキャノン(株)製)、カラーイメージジェット用紙(シャープ(株)製)、スーパーファイン専用光沢フィルム、PM写真用紙(光沢)(エプソン(株)製)、ピクタファイン(日立マクセル(株)製)等として市販されている。なお、普通紙も利用できることはもちろんである。
【0059】
本発明の一般式(1)で示される化合物を含有する本発明の水性インク組成物は、印捺、複写、マーキング、筆記、製図、スタンピング、または記録法、特にインクジェット記録法におけるインクとして適する。これらのインクによって高濃度で、日光、オゾンガスおよび湿気に対する良好な耐性を有する高品質の黒色着色体が得られる。本発明の一般式(1)で示されるトリスアゾ化合物は、特にインクジェット専用紙、光沢紙において一層高い耐光性、耐オゾンガス性を有する。
【0060】
本発明のトリスアゾ化合物又はその塩は水に対する溶解度が高い為、貯蔵中に沈澱、分離することがない。また、本発明の水性インク組成物をインクジェット記録において使用する場合噴射ノズルを閉塞することもない。本発明の水性インク組成物は連続式インクジェット記録機による比較的長い時間の再循環下またはオンデマンド式インクジェット記録機による断続的な使用条件下においても物理的性質変化を起こさない。
【0061】
【実施例】
以下に本発明を実施例により更に具体的に説明する。尚、本文中部及び%とあるのは、特別の記載のない限り質量基準である。ここで各工程における化合物の構造式は遊離酸の形で表すこととする。
【0062】
実施例1
水900部中に式(19)の化合物74.3部を塩酸でpH1.0〜3.0に調製しながら溶解した後、5〜10℃とし、35%塩酸53.2部、40%亜硝酸ナトリウム水溶液27.0部を添加しジアゾ化した。
【0063】
【化23】
【0064】
次いで、得られた式(19)の化合物のジアゾ懸濁液に、水100部、35%塩酸15.7部の溶液中に溶解した2,5−ビス(2−アセトキシエトキシ)アニリン44.6部を0〜10℃の温度でゆっくり滴下した。滴下終了後、pH値を水酸化ナトリウム水溶液の添加により3.0〜4.0とし、その後5〜10℃で1時間、15〜25℃で8時間、いずれの間もpH3.0〜4.0で撹拌しカップリング反応を完結させ、式(20)の化合物を含む反応液を得た。
【0065】
【化24】
【0066】
次に上記で得られた式(20)の化合物を含む溶液を、水酸化ナトリウム水溶液で弱アルカリ性とし、ここに40%亜硝酸ナトリウム水溶液33.5部を添加した。この溶液を水200部、35%塩酸62.6部の溶液中に30分かけて滴下してジアゾ化し、この懸濁液を7−アミノ−1−ヒドロキシナフタレン−3−スルホン酸35.9部のアルカリ性水溶液に15〜30℃で滴下した。滴下中は溶液のpH値を炭酸ナトリウムにて8.5〜9.5に保持した。滴下終了後、更に15〜30℃で3時間、pH8.5〜9.5で攪拌しカップリング反応を完結させ、式(21)の化合物を含む反応液得た。(式(21)中、Tsはp−トルエンスルホン酸残基を示す)
【0067】
【化25】
【0068】
上記で得られた式(21)の化合物を含む反応液を75℃に加熱した。加熱後、水酸化ナトリウムにてpH10.7とし、70〜75℃、pH10.6〜10.8を約1時間保持した。その後、塩酸によってpHを約8.0とし、塩化ナトリウムを加えて塩析を行い、濾過、単離して式(22)の化合物98.1部を得た。
【0069】
【化26】
【0070】
上記反応で得られた式(22)の化合物8.6部を水120部に溶解後、40%亜硝酸ナトリウム水溶液2.5部を添加し、この水溶液を5%塩酸水溶液50部に15〜30℃で滴下し、ジアゾ化し、これを8−アミノ−2−ナフタレンスルホン酸2.3部の水溶液に15〜30℃で滴下した。滴下中はカップリング溶液のpH値を炭酸ナトリウムにて6.0〜7.0に保持した。滴下終了後、15〜30℃、pH6.0〜7.0で1時間攪拌し、その後、pH値を炭酸ナトリウムにて約8.5とし、15〜30℃、pH7.5〜8.5で5時間攪拌しカップリング反応を完結させた。このあと塩化ナトリウムを加えて塩析を行い、濾過した。得られたケーキ全量を水150部に溶解し、2−プロパノール80部の添加により晶析させ濾過することにより脱塩し、次いで乾燥して式(23)のトリスアゾ化合物8.9部を得た。この化合物の水中での最大吸収波長(λmax)は598nmであった。
【0071】
【化27】
【0072】
上記反応で得られた式(23)の化合物5.6部を水100部に溶解後、塩化シアヌール1.2部を15〜30℃で添加した。添加後、15〜30℃、pH値を炭酸ナトリウムにて6.0〜6.7に保持しながら2時間攪拌した。次にモノエタノールアミン2.5部を15〜30℃、pH値を5%塩酸にて8.0〜9.0に保持しながら30分で滴下した。滴下後、pH値を炭酸ナトリウムにて8.0〜9.0に保持しながら15〜30℃で3時間、85〜95℃に昇温後、pH値を炭酸ナトリウムにて8.5〜9.0に保持しながら4時間攪拌した。20〜30℃まで冷却後、35%塩酸にてpH値を5.5〜6.5とした後、不溶解分を濾過にて除去し、塩化ナトリウムを加えて塩析を行い、濾過した。得られたケーキ全量を水70部に溶解し、メタノール70部の添加により晶析させ濾過することにより脱塩し、次いで乾燥して本発明の式(24)(化合物No.γ1302)の化合物4.8部を得た。この化合物の水中での最大吸収波長(λmax)は632nmであった。
【0073】
【化28】
【0074】
実施例2
実施例1の式(23)のトリスアゾ化合物の合成において8−アミノ−2−ナフタレンスルホン酸2.3部を2,4−ジアミノベンゼンスルホン酸1.9部とする以外は実施例1と同様の方法で式(25)のトリスアゾ化合物8.4部を得た。この化合物の水中での最大吸収波長は597nmであった。
【0075】
【化29】
【0076】
上記反応で得られた式(25)の化合物5.4部を水100部に溶解後、塩化シアヌール1.0部を15〜30℃で添加した。添加後、15〜30℃、pH値を炭酸ナトリウムにて4.0〜5.0に保持しながら3時間攪拌した。次にモノエタノールアミン2.0部を15〜30℃、pH値を5%塩酸にて8.0〜9.0に保持しながら30分で滴下した。滴下後、pH値を炭酸ナトリウムにて8.0〜9.0に保持しながら15〜30℃で2時間、85〜95℃に昇温後、pH値を炭酸ナトリウムにて8.5〜9.0に保持しながら4時間攪拌した。20〜30℃まで冷却後、35%塩酸にてpH値を5.5〜6.5とした後、不溶解分を濾過にて除去し、塩化ナトリウムを加えて塩析を行い、濾過した。得られたケーキ全量を水70部に溶解し、メタノール70部の添加により晶析させ濾過することにより脱塩し、次いで乾燥して本発明の式(26)(化合物No.γ502)と式(27)(化合物No.γ515)の混合物4.2部を得た。この混合物の水中での最大吸収波長(λmax)は612nmであった。
【0077】
【化30】
【0078】
【化31】
【0079】
実施例3
実施例1のモノエタノールアミン2.5部をグリシン3.0部とする以外は実施例1と同様の方法で本発明の式(28)(化合物No.γ1316)のトリスアゾ化合物4.8部を得た。この化合物の水中での最大吸収波長は608nmであった。
【0080】
【化32】
【0081】
実施例4
実施例1のモノエタノールアミン2.5部をβ−アラニン3.5部とする以外は実施例1と同様の方法で本発明の式(29)(化合物No.γ1304)のトリスアゾ化合物5.4部を得た。この化合物の水中での最大吸収波長は612nmであった。
【0082】
【化33】
【0083】
実施例5
実施例1のモノエタノールアミン2.5部をタウリン4.9部とする以外は実施例1と同様の方法で本発明の式(30)(化合物No.γ1306)のトリスアゾ化合物5.2部を得た。この化合物の水中での最大吸収波長は612nmであった。
【0084】
【化34】
【0085】
実施例6
実施例1の式(21)の化合物の合成段階において7−アミノ−1−ヒドロキシナフタレン−3−スルホン酸35.9部を6−アミノ−1−ヒドロキシナフタレン−3−スルホン酸35.9部とする以外は実施例1と同様の方法で式(31)のジスアゾ化合物を含む反応液を得た。
【0086】
【化35】
【0087】
上記反応で得られた式(31)の化合物を含む反応液の1/15を採り、40%亜硝酸ナトリウム水溶液2.5部を添加し、この水溶液を5%塩酸水溶液50部に15〜30℃で滴下し、ジアゾ化し、これを8−アミノ−2−ナフタレンスルホン酸2.3部の水溶液に15〜30℃で滴下した。滴下中はカップリング溶液のpH値を炭酸ナトリウムにて6.0〜7.0に保持した。滴下終了後、15〜30℃、pH6.0〜7.0で1時間攪拌し、その後、pH値を炭酸ナトリウムにて約8.5とし、15〜30℃、pH7.5〜8.5で5時間攪拌しカップリング反応を完結させた。このあと塩化ナトリウムを加えて塩析を行い濾過して式(32)のトリスアゾ化合物を得た。
【0088】
【化36】
【0089】
上記反応で得られた式(32)の化合物全量を水100部に溶解後、塩化シアヌール1.2部を15〜30℃で添加した。添加後、15〜30℃、pH値を炭酸ナトリウムにて6.0〜6.7に保持しながら2時間攪拌した。次にモノエタノールアミン2.5部を15〜30℃、pH値を5%塩酸にて8.0〜9.0に保持しながら30分で滴下した。滴下後、pH値を炭酸ナトリウムにて8.0〜9.0に保持しながら15〜30℃で3時間、85〜95℃に昇温後、pH値を炭酸ナトリウムにて8.5〜9.0に保持しながら4時間攪拌した。次に70〜75℃まで冷却後、水酸化ナトリウムにてpH値を10.5〜10.8に保持しながら同温度で1時間攪拌した。20〜30℃まで冷却後、35%塩酸にてpH値を5.5〜6.5とした後、不溶解分を濾過にて除去し、塩化ナトリウムを加えて塩析を行い、濾過した。得られたケーキ全量を水80部に溶解し、メタノール60部の添加により晶析させ濾過することにより脱塩し、次いで乾燥して本発明の式(33)(化合物No.J1302)の化合物4.0部を得た。この化合物の水中での最大吸収波長(λmax)は625nmであった。
【0090】
【化37】
【0091】
実施例7
実施例6のモノエタノールアミン2.5部をβ−アラニン3.5部とする以外は実施例6と同様の方法で本発明の式(34)(化合物No.J1304)のトリスアゾ化合物4.9部を得た。この化合物の水中での最大吸収波長は624nmであった。
【0092】
【化38】
【0093】
実施例8〜12
(A)インクの作成
下記成分を混合することによりインク組成物を調製し、0.45μmのメンブランフィルターで濾過する事によりインクジェット用の本発明の水性インク組成物を得た。
【0094】
【0095】
表14において、上記実施例で得られた化合物とは、実施例8は式(24)の化合物を、実施例9は式(29)の化合物を、実施例10は式(30)を、実施例11は式(33)の化合物を、実施例12は式(34)の化合物をそれぞれ示す。インク調製時のpHは9〜10にアンモニア水で調製した。この水性インク組成物は、貯蔵中、沈殿分離が生ぜず、また長期間保存後においても物性の変化は生じなかった。
【0096】
(B)インクジェットプリント
上記で得られたそれぞれのインク組成物を使用し、インクジェットプリンタ(商品名 Canon社 BJ−S630 )により、専用光沢紙A(キャノン社プロフェッショナルフォトペーパー PR−101)及び専用光沢紙B(EPSON社 PM写真用紙(光沢) KA420PSK)の2種の紙にインクジェット記録を行った。
印刷にはPhotoshop(画像レタッチソフト Adobe社製)を用い、印字濃度が100%、90%、80%、70%、60%、50%の6段階の階調が得られるように印刷し、ハーフトーンの黒色印字物を得た。印刷時はグレースケールモードを用いているため、この淡色部分においては黒色記録液以外のイエロー、シアン、マゼンタの各記録液が併用されていない。以下に記する試験方法のうち、測色機を用いて評価する項目である色相評価では、L*、a*、b*値を測色する際に反射濃度が最も高い印字濃度100%の部分を用いた。また、同様に測色機を用いて評価する項目である耐光性試験、耐オゾンガス性試験の測定の際には、これら6段階の階調の中から試験前の印刷物の反射濃度D値が1.0に最も近い階調部分を用いて測定を行った。耐湿性試験、演色性試験については、6段階の階調の印刷物全体を目視にて評価した。
【0097】
(C)記録画像の評価
本発明の水性インク組成物による記録画像につき、色相、キセノン耐光性試験後の色相変化(ΔE)、耐オゾンガス性試験後の色相変化(ΔE)、耐湿性試験による滲みの程度、演色性の5点について評価を行った。その結果を(表15)に示した。試験方法は下記に示した。
▲1▼ 色相評価
記録画像の色相はGretag Macbeth SpectroEye(GRETAG社製)を用いて測色し、L*、a*、b*値を算出した。
▲2▼ 耐光性試験
キセノンウェザオメーターCi4000(ATLAS社製)を用い、印刷サンプルに0.36W/平方メートルの照度で50時間照射した。試験終了後上記の測色システムを用いて試験前後の色差(ΔE)を測定した。
▲3▼ 耐オゾンガス性試験
オゾンウェザーメーター(スガ試験機社製)を用いてオゾン濃度を12ppm、湿度60%RH、温度40℃で印刷サンプルを2時間放置した。試験終了後上記の測色システムを用いて試験前後の色差(ΔE)を測定した。
▲4▼ 耐湿性試験
印刷サンプルを恒温恒湿器(応用技研産業(株)製)を用いて50℃、90%RHで3日間放置し、試験前後の染料の滲みを目視により判定した。
○ 染料の滲みがほとんど見られない
△ 染料の滲みがやや見られる
× 染料の滲みがかなり見られる。
▲5▼ 演色性試験
標準光源下での色相を基準にタングステン光下で見た場合の変色の程度を目視により判定した。
○ 色相変化小さい。
△ 色相変化やや大きい。
× 色相変化大。
【0098】
比較例1
比較対象として水溶性インクジェット用黒色色素として用いられているアゾ系色素のC.I.Food Black 2(下記式(35))を実施例8と同様のインク組成で、本発明の黒色インクと光学濃度が合うようにインク組成物を調製した。得られた記録画像のキセノン耐光性試験、耐オゾンガス試験、耐湿性試験及び演色性の結果を(表15)に示した。
【0099】
【化39】
比較例2
同様に、比較対象として水溶性インクジェット用色素として、国際公開WO00/43451号公報のExample2に示される色素(下記式(36))を実施例8と同様のインク組成で、本発明の黒色インクと光学濃度が合うようにインク組成物を調製した。得られた記録画像のキセノン耐光性試験、耐オゾンガス試験、耐湿性試験及び演色性の結果を(表15)に示した。
【00100】
【化40】
比較例3
同様に、比較対象として水溶性インクジェット用色素として、国際公開WO00/43453号公報のExample3に示される色素(下記式(37))を実施例8と同様のインク組成で、本発明の黒色インクと光学濃度が合うようにインク組成物を調製した。得られた記録画像のキセノン耐光性試験、耐オゾンガス試験、耐湿性試験及び演色性の結果を(表15)に示した。
【0101】
【化41】
【0102】
【0103】
(表15)より、本発明のトリスアゾ化合物を含有するインク組成物は従来の黒色染料(比較例)と比較して、耐オゾンガス性、耐光性、耐湿性、演色性において優れている。
【0104】
【発明の効果】
本発明のトリスアゾ化合物は水溶解性に優れるので、インク組成物製造過程でのメンブランフィルターによるろ過性が良好であり、記録液の保存時の安定性や吐出安定性にも優れている。又、このトリスアゾ化合物を含有する本発明のインク組成物は長期間保存後の結晶析出、物性変化、色変化等もなく、貯蔵安定性が良好である。又、本発明のトリスアゾ化合物を含有する記録用ブラックインク液は、インクジェット記録用、筆記用具用として用いられ、普通紙及びインクジェット専用紙に記録した場合の記録画像の印字濃度が高く、さらに耐オゾンガス性、耐光性、耐湿性及び演色性に優れている。マゼンタ、シアン及びイエロー染料と共に用いることで耐光性及び耐水性に優れたフルカラーのインクジェット記録が可能である。このように本発明のインク組成物はインクジェット記録用ブラックインクとして極めて有用である。
Claims (6)
- 一般式(2)において、R1、R2、R3がそれぞれ独立に水素原子;ヒドロキシル基;アミノ基;カルボキシル基;ヒドロキシル基若しくは(C1〜C4)アルコキシ基によって置換されていてもよい(C1〜C4)アルキル基;ヒドロキシル基若しくは(C1〜C4)アルコキシ基によって置換されていてもよい(C1〜C4)アルコキシ基;ヒドロキシル基若しくは(C1〜C4)アルコキシ基によって置換されていてもよい(C1〜C4)アルキルアミノ基;カルボキシ−(C1〜C5)アルキルアミノ基またはビス−[カルボキシ−(C1〜C5)アルキル]アミノ基;ヒドロキシル基若しくは(C1〜C4)アルコキシ基によって置換されていてもよい(C1〜C4)アルカノイルアミノ基;カルボキシル基、スルホン酸基若しくはアミノ基で置換されていても良いフェニルアミノ基;スルホン酸基;ハロゲン原子またはウレイド基であり、R4、R5がそれぞれ独立にヒドロキシル基;アミノ基;(C1〜C4)アルコキシ基;ヒドロキシル基若しくは(C1〜C4)アルコキシ基によって置換されていてもよい(C1〜C4)アルキルアミノ基;モノ−[カルボキシ−(C1〜C5)アルキル]アミノ基またはビス−[カルボキシ−(C1〜C5)アルキル]アミノ基;モノ−[スルホ−(C1〜C5)アルキル]アミノ基またはビス−[スルホ−(C1〜C5)アルキル]アミノ基;カルボキシル基、スルホン酸基、アミノ基、ヒドロキシル基、(C1〜C4)アルキル基、(C1〜C4)アルコキシ基若しくはハロゲンで置換されていても良いフェニルアミノ基であり、一般式(3)において、R6、R7、R8がそれぞれ独立に水素原子;ヒドロキシル基;アミノ基;カルボキシル基;ヒドロキシル基若しくは(C1〜C4)アルコキシ基によって置換されていてもよい(C1〜C4)アルキル基;ヒドロキシル基若しくは(C1〜C4)アルコキシ基によって置換されていてもよい(C1〜C4)アルコキシ基;ヒドロキシル基若しくは(C1〜C4)アルコキシ基によって置換されていてもよい(C1〜C4)アルキルアミノ基;カルボキシ−(C1〜C5)アルキルアミノ基またはビス−[カルボキシ−(C1〜C5)アルキル]アミノ基;ヒドロキシル基若しくは(C1〜C4)アルコキシ基によって置換されていてもよい(C1〜C4)アルカノイルアミノ基;カルボキシル基、スルホン酸基若しくはアミノ基で置換されていても良いフェニルアミノ基;スルホン酸基;ハロゲン原子またはウレイド基であり、R9、R10がそれぞれ独立にヒドロキシル基;アミノ基;(C1〜C4)アルコキシ基;ヒドロキシル基若しくは(C1〜C4)アルコキシ基によって置換されていてもよい(C1〜C4)アルキルアミノ基;モノ−[カルボキシ−(C1〜C5)アルキル]アミノ基またはビス−[カルボキシ−(C1〜C5)アルキル]アミノ基;モノ−[スルホ−(C1〜C5)アルキル]アミノ基またはビス−[スルホ−(C1〜C5)アルキル]アミノ基;カルボキシル基、スルホン酸基、アミノ基、ヒドロキシル基、(C1〜C4)アルキル基、(C1〜C4)アルコキシ基若しくはハロゲンで置換されていても良いフェニルアミノ基である請求項1に記載の一般式(1)のトリスアゾ化合物またはその塩
- 請求項1から3のいずれか一項に記載のトリスアゾ化合物またはその塩を含有する事を特徴とする水性インク組成物
- 請求項4に記載の水性インク組成物で着色された着色体
- 着色がプリンタによりなされた請求項5の着色体
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Cited By (2)
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CN103547949A (zh) * | 2011-05-30 | 2014-01-29 | 日本化药株式会社 | 染料系偏光元件和偏振片 |
KR101626169B1 (ko) | 2008-06-17 | 2016-05-31 | 니폰 가야꾸 가부시끼가이샤 | 아조 화합물 및 그 염, 및 그것들을 함유하는 염료계 편광막 및 편광판 |
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2002
- 2002-08-05 JP JP2002227195A patent/JP2004067797A/ja active Pending
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