JP2004066667A - 導電性樹脂成形品の成形装置、成形方法及び導電性樹脂成形品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】固定金型10Aと可動金型10Bとを有する成形金型10を用いて導電部を有する樹脂成形品20を成形し、樹脂成形品を成形金型から取出す射出成形機1で、樹脂成形品の導電部に通電する通電手段と、樹脂成形品に磁界30Aをかける電磁石装置30とを備える。射出成形機1は、樹脂成形品を取出す取出し手段としてアタッチメント40をさらに備え、通電手段はアタッチメントの把持爪41を介して樹脂成形品に通電する。樹脂成形品20にかかる磁界30Aと、樹脂成形品20を流れる電流42によりローレンツ力F1が発生し、成形金型から樹脂成形品を容易に取出すことができる。
【選択図】 図5
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、樹脂成形品を成形する成形装置に係り、特に、成形後の樹脂成形品の取出しが容易な成形装置、成形方法、及び成形された樹脂成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の樹脂成形装置として射出成形装置に用いる金型構造としては、樹脂成形品の取出し(脱型)を行う際に、型開閉方向に対して傾斜角度を持ったロッドで、エジェクターピンやコア(入子)を移動させて樹脂成形品の取出しを行っていた。
【0003】
また、従来の射出成形装置において、成形品に対して分布的な剥離力を付与することにより成形品を型離れさせ、薄肉成形品に型離れの際の歪み等を与えず、特殊な薄肉成形品の成形も可能な型構造を有するものとして、特開平6−170898号公報に記載の射出成形装置がある。この技術は、キャビティ部を画成する固定型及び可動型と、該固定型及び該可動型を型閉め及び型開き駆動する型閉め駆動手段とを有する射出成形装置であって、型開き過程又は型開き完了時において前記キャビティ部の樹脂製品の型境界面に対して圧縮気体を送り込む型離れ真空破壊手段を有することを特徴とするものであり、型開き後の樹脂製品のキャビティ部からの取り出しにおいては、まず樹脂製品の型面との真空付着が境界面から送りこまれる空気により破壊されるので、樹脂製品の剥離が容易となるものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記した従来の金型構造においては、ロッドやエジェクターピンを多数用いるために金型の構成が極めて複雑となると共に、成形品取出しのためのストローク量が必要となり、金型が大型化していた。また、成形品形状の複雑化にともないアンダーカット処理等のためのロッドが多く金型内に存在し、金型やコアの耐成形圧剛性確保(肉厚増大)のため、大型化していた。
【0005】
さらに、樹脂の固化が完全であればあるほど取出し時に成形品の変形が小さくなることや、面ひずみ、白化、糸引き、フローマーク等の変質が小さくなるため、また成形サイクル短縮による生産性向上のために、金型の冷却効率の向上が望まれ、水穴の有効配置が望まれている。しかし、金型を貫通するロッドの存在により設計制約条件が多くなり、設計工数が増えて製作又は修理、保全工数が増えてコストが上昇するという問題があった。
【0006】
そして、成形品側の型面粗度により成形品に固定又は可動型への部分的な「張付き」が生じて、ロボットハンド等のアタッチメントによる成形品の自動取出しが困難になることがあり、成形品に自動取出しによる変形が生じる場合もあった。この張付きの原因としては、成形品と金型が真空状態に密着しているためや、成形品と金型が微視的に見てアンダーカットになっているためと考えられる。密着により張付きが生じる場合は、金型の面を粗くすると空気が入りやすくなって脱型しやすくなるが、アンダーカットの場合は、面を細かくすると空気が入りやすくなって脱型しやすくなるというように、解決策は正反対となっている。前記の公開公報に記載の技術は、このような張付きに対して、樹脂製品の剥離を容易とするものであるが、圧縮気体を送り込む管路や電磁切り換え弁等が必要となり構成が極めて複雑となると共に、制御が煩雑となる問題点がある。
【0007】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、樹脂成形品の取出しが容易に行え、金型の構成を簡略化できると共に小型化でき、管路や電磁切り換え弁等が不要で、装置全体の構成を簡略化でき制御が容易な導電性樹脂成形品の成形装置を提供することにある。また、前記の成形装置を使用する成形方法、及び成形された樹脂成形品を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成すべく、請求項1に記載の導電性樹脂成形品の成形装置は、固定型と可動型とを有する成形型を用いて導電部を有する樹脂成形品を成形し、樹脂成形品を成形型から取出す成形装置であって、樹脂成形品の導電部に通電する通電手段と、樹脂成形品に磁界をかける磁界形成手段とを備えることを特徴とする。樹脂成形品の導電部は、成形品全体が導電部であっても、成形品の一部が導電部であっても、また成形品の表面のみが導電部であってもよく、適宜設定できるものであり、樹脂成形品は導電部によって導電性を有するものとなる。
【0009】
前記のごとく構成された成形装置によれば、樹脂成形品にかかる磁界と、樹脂成形品に通電により流れる電流によりローレンツ力が作用して樹脂成形品には型から離れる方向の反発力が作用し、樹脂成形品は型から飛び出すように取外すことができる。このため、樹脂成形品を外すためのエジェクターピン等が不要となり、型の構成を極めて簡単とすることができる。また、エジェクターピンを使用して併用するときでも必要最低限の本数とすることができ、型の小型化を達成できる。そして、成形型には冷却用の水穴を効率良く配置できるため、樹脂成形品の変形、変質を小さくできて品質を向上でき、成形サイクルを短縮できるため生産性を向上できる。なお、ローレンツ力とは、フレミングの左手の法則により電流と磁界により生ずる電磁力と同義である。
【0010】
請求項2に記載の導電性樹脂成形品の成形装置は、前記した請求項1に記載の成形装置において、成形装置は導電性を有する樹脂を射出成形して樹脂成形品を成形することを特徴とする。この構成によれば、射出成形された導電性を有する樹脂成形品に通電し、樹脂成形品に磁界をかけローレンツ力を作用させて容易に型から取外すことができ、射出成形用の成形型の構成を極めて簡単にでき、大幅な小型化を達成できる。
【0011】
請求項3に記載の導電性樹脂成形品の成形装置は、前記した請求項1又は2に記載の成形装置において、成形装置は、樹脂成形品を成形型から取出す取出し手段をさらに備え、通電手段は取出し手段を介して樹脂成形品に通電することを特徴とする。この構成によれば、取出し手段により樹脂成形品を把持して通電し、ローレンツ力を作用させて型から容易に外して、取出し手段で樹脂成形品を所定の個所まで移動させることができる。
【0012】
請求項4に記載の導電性樹脂成形品の成形装置は、前記した請求項3に記載の成形装置において、取出し手段は、樹脂成形品と係合する係合部を有し、係合部は弾性力を有する導電性材料を備えていることを特徴とする。弾性力を有する導電性材料は、例えば導電性ゴム等が好適である。この構成によれば、取出し手段で樹脂成形品を把持するとき、樹脂成形品に傷が付くことを防止でき、樹脂成形品への通電が確実となり取出しが安定して行える。
【0013】
請求項5に記載の導電性樹脂成形品の成形装置は、前記の請求項1〜4のいずれか1項に記載の成形装置において、磁界形成手段は複数設けられ、複数の磁界形成手段を選択的又は同時に作動させる切換手段を備えることを特徴とする。この構成によれば、複数の磁界形成手段の一部を樹脂成形品の例えばアンダーカット部に近接して配置し、アンダーカット部に対応する磁界形成手段を作動させ、樹脂成形品に通電することによりアンダーカット部はローレンツ力により型から離れる方向に湾曲して容易に脱型させることができる。これにより、アンダーカット部のスライドコア等が不要となり、成形型の構成を簡略化することができる。また、アンダーカット部に限らず、抜き勾配の無いストレート部に近接して複数の磁界形成手段の一部を配置することにより、ストレート部の抜き抵抗を軽減して容易に成形型から取出すことができ、樹脂成形品の擦り傷を防止できる。
【0014】
請求項6に記載の導電性樹脂成形品の成形装置は、前記の請求項1〜4のいずれか1項に記載の成形装置において、樹脂成形品の導電部は、非導電部により複数の導電部に分割され、通電手段は複数の導電部に通電するべく複数設けられ、複数の通電手段を選択的又は同時に作動させる切換手段を備えることを特徴とする。この構成によれば、複数の導電部の一部を例えば樹脂成形品のアンダーカット部に近接して配置し、アンダーカット部に対応する導電部に通電し樹脂成形品に磁界をかけることにより、アンダーカット部はローレンツ力により型から離れる方向に湾曲して容易に脱型させることができる。これにより、アンダーカット部のスライドコア等が不要となり、成形型の構成を簡略化することができる。
【0015】
請求項7に記載の導電性樹脂成形品の成形装置は、前記の請求項1〜6のいずれか1項に記載の成形装置において、通電手段又は磁界形成手段の少なくとも一方は、通電方向、磁界方向あるいはそれらの量を変更する設定手段を備えることを特徴とする。すなわち、通電手段や磁界形成手段に流す電流値や電流の方向を変更して、通電方向、磁界方向、それらの量を変更することができる。この構成によれば、磁界中を流れる電流にかかるローレンツ力の大きさ、方向を調整できるため、樹脂成形品の脱型を効率良く行うことができる。また、型開きの際に、樹脂成形品には可動型方向の引力を作用させて固定型への張付きを防止し、脱型の際に、例えば電流を逆に流して樹脂成形品には可動型との反発力を作用させて、可動型からの取出しを容易とすることができる。磁界の方向を逆にすることによっても引力と反発力を作用させることができる。
【0016】
請求項8に記載の導電性樹脂成形品の成形装置は、前記の請求項1〜7のいずれか1項に記載の成形装置において、通電手段又は磁界形成手段の少なくとも一方は、樹脂成形品のアンダーカット部に近接して配置されていることを特徴とする。この構成によれば、樹脂成形品のアンダーカット部をローレンツ力で成形型から離す方向に湾曲させるので、スライドコア等が無くても樹脂成形品を型から容易に取出すことができ、成形型の構成を簡単にでき小型化できる。
【0017】
請求項9に記載の導電性樹脂成形品の成形装置は、前記の請求項1〜8のいずれか1項に記載の成形装置において、通電手段は、電磁誘導手段から構成され、この電磁誘導手段と樹脂成形品との間に進出すると共に、この位置から退避可能のカバーを備え、このカバーを退避させ電磁誘導手段を作動させて樹脂成形品に誘導電流を流して通電することを特徴とする。この構成によれば、コイル等の電磁誘導手段に電流を流して樹脂成形品の導電部に誘導電流を流し、この誘導電流と磁界とにより樹脂成形品に型から離す方向のローレンツ力を作用させることができ、樹脂成形品を型から容易に取出すことができる。これにより型からエジェクターピン等を省略でき、成形型は構成を簡単にでき小型化ができる。また、樹脂成形品の取出し手段は通電する構成が不要となり、構成を簡単にできる。
【0018】
請求項10に記載の導電性樹脂成形品の成形装置は、前記の請求項9に記載の成形装置において、前記カバーは磁極を有する磁性体で形成されることを特徴とする。この構成によれば、樹脂成形品を型から取出すときに、磁界形成手段で磁界をかけると磁極を有し電磁誘導手段を覆っているカバーは磁界により移動して退避し、電磁誘導手段が露出して樹脂成形品と対向する。このため、カバーを開閉するアクチュエータ等が不要となる。つぎに、電磁誘導手段を作動させると導電部を有する樹脂成形品に誘導電流が発生し、この誘導電流と磁界によってローレンツ力が作用する。したがって、前記と同様に樹脂成形品を容易に型から取出すことができ、成形型の構成を簡単にでき、小型化が可能となる。また、取出し手段は通電する構成が不要となる。
【0019】
請求項11に記載の導電性樹脂成形品の成形方法は、固定型と可動型とを有する成形型を用いて導電部を有する樹脂成形品を成形して取出す成形方法であって、樹脂成形品を成形型で成形し、固定型と可動型を型開きした後、樹脂成形品に通電すると共に、樹脂成形品に磁界をかけて樹脂成形品を成形型から取出すことを特徴とする。
【0020】
このように構成された成形方法によれば、樹脂成形品を成形して型開きをした後、樹脂成形品に通電して磁界をかけることにより、樹脂成形品には型から離す方向のローレンツ力が作用して容易に取出すことができる。このため、樹脂成形品取出しのためのエジェクターピンや他の機構が不要となり、成形型の構成を簡単にでき小型化を達成できる。また、請求項1に記載の発明と同様、樹脂成形品の品質を向上でき、生産性を向上できる。
【0021】
請求項12に記載の導電性樹脂成形品の成形方法は、前記の請求項11に記載の成形方法において、樹脂成形品に磁界をかける工程は、樹脂成形品の一部に磁界をかけた後、樹脂成形品の全体に磁界をかけることを特徴とする。この構成によれば、通電されている樹脂成形品のアンダーカット部や抜き勾配の無いストレート部に近接する部分に先に磁界をかけてアンダーカット部やストレート部を湾曲させ、次いで全体に磁界をかけて樹脂成形品全体を成形型から容易に取出すことができる。
【0022】
請求項13に記載の導電性樹脂成形品の成形方法は、固定型と可動型を有する成形型を用いて複数の導電部を有する樹脂成形品を成形して取出す成形方法であって、樹脂成形品を成形型で成形し、固定型と可動型を型開きした後、樹脂成形品に磁界をかけると共に、樹脂成形品の複数の導電部へ所定のタイミングに基づいて通電して樹脂成形品を成形型から取出すことを特徴とする。通電は、脱型タイミングに基づき選択的に通電する場合や、最初に一方の導電部に通電し、次いで両方の通電部に通電する場合等、適宜設定できる。
【0023】
このように構成された成形方法によれば、樹脂成形品を成形型から取出すとき、磁界のかけられた樹脂成形品の例えばアンダーカット部に近接する導電部に通電し、これによりアンダーカット部は型から離れる方向のローレンツ力を受けて外側に湾曲し、続いて前記の導電部と他の導電部に同時に通電して樹脂成形品全体が型から離れる方向のローレンツ力を受けて、型から飛び出すように取出すことができる。この成形方法は、アンダーカット部に限らず、抜き勾配の無いストレート部にも適用できる。
【0024】
請求項14に記載の導電性樹脂成形品の成形方法は、前記の請求項11〜13のいずれか1項に記載の成形方法において、樹脂成形品に通電する工程、及び樹脂成形品に磁界をかける工程において、通電方向、磁界方向又はその電流値を変化させることを特徴とする。この構成によれば、脱型時に成形型と樹脂成形品を離すローレンツ力の大きさ、方向を調整できるため、樹脂成形品の脱型を効率良く行うことができる。また、型開きの際に一方の型から離れるローレンツ力を作用させて型との張付きを防止し、脱型の際に他方の型から離れるようなローレンツ力を作用させて樹脂成形品の取出しを容易にできる。
【0025】
請求項15に記載の導電性樹脂成形品の成形方法は、前記の請求項14に記載の成形方法において、前記電流値は、樹脂成形品の弾性限度に基づいて設定されることを特徴とする。この構成によれば、樹脂成形品にローレンツ力が作用して湾曲する場合、ローレンツ力が樹脂成形品の弾性限度以内に設定されているため、樹脂成形品が破損あるいは変形することを防止できる。
【0026】
請求項16に記載の導電性樹脂成形品の成形方法は、前記の請求項11〜15のいずれか1項に記載の成形方法において、型開き工程における通電方向又は磁界方向と、樹脂成形品の取出し工程における通電方向又は磁界方向を変えることを特徴とする。この構成によれば、型開き工程では、樹脂成形品に可動型に吸着する方向のローレンツ力を作用させ固定型との張付きを防止し、取出し工程では可動型と反発する方向のローレンツ力を作用させて容易に取出すことができる。
【0027】
請求項17に記載の導電性樹脂成形品の成形方法は、前記の請求項11〜16のいずれか1項に記載の成形方法において、樹脂成形品に通電する工程は、電磁誘導作用によって樹脂成形品に誘導電流を流すことを特徴とする。この構成によれば、コイル等の電磁誘導手段を作動させて、樹脂成形品に誘導電流を流し、この誘導電流と磁界とにより生じるローレンツ力で、樹脂成形品を型から容易に取出すことができ、通電するための接片や端子等を省略できる。
【0028】
請求項18に記載の導電性樹脂成形品の成形方法は、固定型と可動型とを有し、磁界によって開閉するカバーの内部に電磁誘導手段を有する成形型を用いて導電部を有する樹脂成形品を成形して取出す成形方法であって、磁界をかけてカバーを閉じた成形型で樹脂成形品を成形し、固定型と可動型を型開きした後、磁界を反転しカバーを開いて電磁誘導手段を露出させ、電磁誘導手段に通電して樹脂成形品に誘導電流を流し、樹脂成形品を成形型から取出すことを特徴とする。カバーは磁極を有する構成が好ましい。
【0029】
このように構成された成形方法によれば、磁界をかけてカバーが閉じた状態で樹脂成形品を成形し、型開き後に磁界を反転することによりカバーを開いて電磁誘導装置を露出して樹脂成形品と対向させ、樹脂成形品に誘導電流を流すことができる。このためカバーのアクチュエータを省略でき構成を簡単にできる。また、カバーを閉じることにより電磁誘導装置を型内に内蔵でき、射出成形機にも適用させることができる。
【0030】
請求項19に記載の導電性樹脂成形品の成形方法は、固定型と可動型とを有する成形型を用いて導電部を有する樹脂成形品を成形する成形方法であって、固定型と可動型とを型閉めする工程と、成形型を用いて樹脂成形品を成形する工程と、樹脂成形品に磁界をかけると共に、樹脂成形品に通電する工程と、樹脂成形品を前記成形型から取出す工程とを有することを特徴とする。
【0031】
このように構成された成形方法によれば、導電部を有する樹脂成形品の成形型を簡単な構成にでき、小型化を可能とする。また、成形型には冷却用の水穴を効率良く配置できるため、樹脂成形品の変形、変質を小さくできて品質を向上でき、成形サイクルを短縮でき、生産性を向上できる。
【0032】
請求項20に記載の樹脂成形品は、導電部を非導電部で分割して複数の導電部が形成され、複数の導電部の一部を樹脂成形品のアンダーカット部及び/又はストレート部に近接して形成したことを特徴とする。また、請求項21に記載の樹脂成形品は、前記の構成において、複数の導電部を2色成形により形成したことを特徴とする。この構成によれば、アンダーカット部や抜き勾配の無いストレート部を有する樹脂成形品が、簡単な構成の成形型で成形でき、品質を向上することができる。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る導電性樹脂成形品の成形装置として射出成形機の第1の実施形態を図面に基づき詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る射出成形機の要部断面図、図2は、図1の可動金型の右側面図、図3は、図1に示す射出成形機に使用する取出し手段であるアタッチメントと樹脂成形品の関係を示す概略斜視図と、アタッチメントの他の例の要部断面図である。
【0034】
図1〜3において、射出成形機1は、固定金型10Aと可動金型10Bとを備える成形金型10を使用して樹脂成形品20を射出成形するものであり、固定金型10Aを取付ける固定盤2と、可動金型10Bを取付ける可動盤3とを備えており、可動盤3は、可動金型10Bを固定盤2側に進退させて型閉め、型開きを行う型閉め手段(図示せず)により駆動される。固定盤2には固定取付け板(ダイプレート)4が取付けられ、この固定取付け板に固定金型10Aが固定される。可動盤3には可動取付け板(ダイプレート)5が取付けられ、この可動取付け板に固定金型10Aと対接する可動金型10Bが固定される。固定金型10A及び可動金型10Bには成形品を成形するキャビティ部11が形成され、キャビティ部11に連通するランナー部12が形成されている。そして、固定金型10Aは樹脂材料をランナー部12に導くスプルー13を有するスプルーブッシュを備えている。
【0035】
固定取付け板4には、樹脂原料を貯蔵し供給する射出ユニットのノズル(図示せず)が当接する樹脂注入部6が形成され、この樹脂注入部からスプルーブッシュまでホットランナー7が接続されている。ホットランナー7は樹脂を溶融状態に保持したままスプルーブッシュまで導くものであり、外周には多数のヒーター8が設置されている。固定金型10A及び可動金型10Bには多数の冷却用の水路14が形成されている。これらの水路14は成形金型10にエジェクターピンやスライドコア等が無いため、樹脂成形品の冷却のみを考慮して自由に配置できる。
【0036】
固定金型10Aからガイドピン15が突出して固定され、可動金型10Bにはガイドピン15が挿入されるガイド穴16が形成されており、ガイドピン15とガイド穴16により成形金型10の開閉を精度よく行うものである。ガイドピン15は図1では1本のみ示しているが、図2に示すように複数本のガイドピンが挿入されるガイド穴16により可動金型10Bは固定金型10Aに精度良く接近できるように構成されている。なお、ガイド穴にはリニアベアリングやスライドブッシュ等を用いて、ガイドピンの挿入を円滑にすることが好ましい。可動金型10Bと固定金型10Aとの間には受圧プレート17が介装されている。
【0037】
本発明に係る射出成形機1は、可動金型10Bに磁界形成手段として電磁石装置30を備えている。この電磁石装置30は射出成形された導電部を有する樹脂成形品20に磁界をかけるものであり、この実施形態では水平方向に金型を貫通するような磁界30Aを発生させる2組から構成される。すなわち、電磁石装置30は鉄心32にコイル33を巻回させた構造を有するもので、コイル33に通電することにより鉄心32から発生する磁界は、可動金型10Bを水平方向に貫通するような磁界30Aとなっている。
【0038】
本発明に係る射出成形機1は、さらに射出成形された導電部を有する樹脂成形品20を取出すための取出し手段としてアタッチメント40を備えている。このアタッチメントは図3(a)に示すように、例えば樹脂成形品20の上下辺を2本の把持爪41で挟んで把持するものであり、アタッチメント本体40aに2本の把持爪41が突設されている。アタッチメント本体40aは絶縁材から形成され、把持爪41は例えば弾性を有し先端部が屈曲された金属板材から形成され、樹脂成形品20に弾接して把持すると共に、樹脂成形品20に通電して電流を流すものである。アタッチメント本体40aは型の開閉方向と直交する上下方向に進退すると共に、型開きされた固定金型10Aと可動金型10Bとの間に進入し可動金型10B方向に進退して樹脂成形品20を把持すると共に、樹脂成形品を把持して後退することができる。
【0039】
なお、樹脂成形品を成形型から取出すアタッチメントは、前記のように弾性を有する金属板材から形成したものに限らず、アクチュエータにより作動するアームやロボットハンドで樹脂成形品を把持するものや、負圧により樹脂成形品を吸着して把持するもの、磁性体を有する樹脂成形品を電磁的に吸着するもの等、適宜のものを使用することができる。また、樹脂成形品には、ランナーと連結するゲート部分があるが、把持爪の先端にゲート部分を避ける切欠き等を設けるようにしてもよい。
【0040】
また、図3(b)に示すアタッチメント40Aのように、樹脂成形品21の抜き勾配の無いストレート部21aを、弾性力を有する導電性材料として導電ゴム41aで形成される係合部により挟んで把持する構成でもよく、この場合は、把持爪41の先端を導電ゴムで被覆してもよく、樹脂成形品21への通電が良好に行え、樹脂成形品21を把持するとき傷を付けるのを防止できる。図3(c)に示すアタッチメント40Bのように、把持爪41の先端が樹脂成形品21の凹部21bや段差部に係合して把持する構成でもよい。この場合は、把持爪41が凹部21bや段差部に引っかかり係合することで樹脂成形品21を確実に保持することができる。
【0041】
導電部を有する樹脂成形品20,21は、例えば樹脂材料に導電性繊維や導電性を有する粒子を混合して射出することで形成され、この場合は成形品全体が導電性を有するものとなる。導電性繊維としては、樹脂材料にカーボンナノチューブやカーボン繊維を添加したものの他、金属製の粒子や繊維を所定の密度で混入して導電性を有するように構成することができる。このようにして形成された樹脂成形品の導電率は10−5V/cm以上のものが好ましい。なお、混入密度を上げることにより導電率は高くなる。
【0042】
導電性樹脂成形品は、静電塗装や電着塗装が容易に行えるため、車両のバンパーやフェンダー等に好適である。また、樹脂成形品を車両のボンネット等に使用すると歩行者保護に好ましく、軽量化を図ることもできる。さらに、自動車電源の高電圧化に関連して、導通又は絶縁効率の良い樹脂成形品の要求にも対応することができる。そして、体積固有抵抗値が10−4〜10−5Ω・cm程度の金属に近い高導電性を有する樹脂成形品は、通電可能なプラスチックとして様々な分野で利用することが可能となる。
【0043】
導電部を有する樹脂成形品の他の例としては、成形金型10のキャビティ部11に予め導電シート等の導電体をインサートしておき、この導電体が表面に表れるように裏面側に絶縁性の樹脂を射出して樹脂成形品を成形してもよい。また、導電性を有する樹脂と、絶縁性の樹脂とを2色成形して、一部が導電部となる樹脂成形品を成形するようにしてもよく、2色成形で導電部を複数個形成するようにしてもよい。
【0044】
前記の如く構成された本実施形態の射出成形機1の動作について、図4のフローチャートと、図5の動作説明図を参照して以下に説明する。先ず、ステップS10のように型閉め手段を作動させて、可動金型10Bを固定金型10A方向に移動して型閉めを行う。次いで、ステップS20のように、成形金型10のキャビティ部11に導電性樹脂を射出する。すなわち、図5(a)のように図示していない射出ユニットのノズルを、固定金型10Aを固定する固定取付け板4の樹脂注入部6に押し当て、溶融された樹脂をホットランナー7に注入すると、樹脂はスプルーブッシュを通ってランナー部12に入り、キャビティ部11に充填される。そして、ステップS30で所定時間経過後に、ステップS40で型開きを行う。これは型閉め手段を逆方向に移動させて可動金型10Bを固定金型10Aから離して行う。型開きにより射出成形された樹脂成形品20は、図5(b)のように可動金型10Bと共に移動して、スプルー13とランナー部12が付いた状態で露出する。
【0045】
このあと、本発明では、ステップS50で、開いた成形金型10の間にアタッチメント40を下降させ、露出している樹脂成形品20の方向に移動させて樹脂成形品20を把持する。すなわち、図5(c)のように、アタッチメント40を矢印aのように下降させ、矢印bのように移動させて2つの把持爪41を樹脂成形品20の平行部や、アンダーカットによる段差部等に弾接させる。そして、ステップS60で電磁石装置30に通電して磁界30Aを発生させると共に、アタッチメント40の2つの把持爪41を通して樹脂成形品20に通電する。磁界30Aは可動金型10Bを水平方向に貫通して形成され、樹脂成形品20には磁界30Aと直交する方向に電流42が流れる。
【0046】
これにより、樹脂成形品20にはフレミングの左手の法則によるローレンツ力F1が作用し、樹脂成形品20を可動金型10Bから離す方向の反発力が作用する。そして、図5(d)のようにアタッチメント40を可動金型10Bから離す方向に矢印cだけ移動させると、ステップS70で前記のローレンツ力F1が作用していることと相俟って樹脂成形品20を容易に可動金型10Bから取出すことができる。アタッチメント40は把持爪41の先端が屈曲部となっており、ローレンツ力により飛出した樹脂成形品20を屈曲部で受け止めることができる。脱型後は、ステップS80で電磁石装置30への通電を停止し磁界を停止すると共に、樹脂成形品20への通電も停止する。
【0047】
樹脂成形品20は可動金型10Bから離されたときアタッチメント40の把持爪41の弾力で閉じ先端の屈曲部で把持されるため、ステップS90で図5(d)のようにアタッチメント40を矢印dのように上昇させ、射出成形機1から退避させる。そして、図示していないが樹脂成形品20を所定の製品回収容器上等に移動してアタッチメント40から外し、回収することができる。このように、樹脂成形品20はエジェクターピン等がなくても容易に脱型できるため、成形金型の構成を極めて簡単にすることができる。なお、エジェクターピンを併用して脱型するように構成してもよく、さらに従来の金型と比較して少ない数のエジェクターピンを用いて脱型するように構成してもよい。
【0048】
本発明の第2の実施形態を図6,7に基づき詳細に説明する。図6は本発明に係る成形装置の他の実施形態として、アンダーカット部を含む樹脂成形品を成形する射出成形機の断面図、図7は図6の可動金型の右側面図である。なお、この実施形態は前記した実施形態に対し、射出成形された樹脂成形品がアンダーカット部を含んでおり、アンダーカット部に近接して可動金型に磁界形成手段を備えていることを特徴とする。そして、他の実質的に同等の構成については同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
【0049】
図6,7において、樹脂成形品22はアンダーカット部22aを有しており、通常はこのアンダーカット部分を脱型するために、従来はスライドコア等を用いている。本実施形態では、射出成形用の可動金型10Bは、樹脂成形品22のアンダーカット部22aのみに磁界をかける電磁石装置34と、他の部分に磁界をかける電磁石装置35を備えている。そして、2つの電磁石装置を選択的に作動させる切換スイッチ等の切換手段36を備えている。この切換手段36は、樹脂成形品を脱型させるときに、アンダーカット部22aに近接する電磁石装置34を作動させ、つぎに樹脂成形品22全体に磁界をかける両方の電磁石装置34,35を同時に作動させるというように、脱型タイミングに沿って時間差を持って作動させる。なお、切換手段は電磁石装置34,35を選択的に作動させるものでもよい。
【0050】
この実施形態においては、図8に示すフローチャートと、図9に示す動作説明図に従って樹脂成形品22の取外し動作の説明をする。図8において、ステップS10〜S50は、前記の実施形態と同様なので詳細な説明は省略する。図9(a)は固定金型10Aと可動金型10Bのキャビティ部11に樹脂成形品22を成形した状態を示し、図9(b)は型開き後にアタッチメント40を下降させて通電する状態を示している。この例では、アタッチメント40の把持爪41の先端には導電ゴム41aが固定され、樹脂成形品22に傷を付けずに確実に通電することができる。
【0051】
ステップS61で樹脂成形品22に通電して電流42が流れ、ステップS62で先ずアンダーカット部22aに近接する電磁石装置34を作動させ、アンダーカット部22aに磁界34Aがかかると電流42が流れている樹脂成形品22にはローレンツ力F2により、図9(c)に示すように可動金型10Bから離す方向の反発力が作用する。このため、露出している樹脂成形品22はアンダーカット部22aが湾曲し、可動金型10Bから離れて自由な状態となる。このあと、ステップS63で全体に磁界をかけるように両方の電磁石装置34,35を作動させると、図9(d)のように磁界34A,35Aが発生して、樹脂成形品22は全体が可動金型10Bから離れる方向のローレンツ力F3が作用し、容易に可動金型10Bから取出すことができる(ステップS70)。
【0052】
樹脂成形品22に作用するローレンツ力の大きさは、樹脂成形品の弾性限度に基づいて設定され、例えばアンダーカット部22aを湾曲させるローレンツ力F2は、通電を停止し、磁界を停止した後には元の形状に戻る弾性限度内に設定される。すなわち、電流42の値、電磁石装置34への通電電流を調整することにより、ローレンツ力F2の大きさを決めるのである。また、樹脂成形品22を可動金型10Bから離すローレンツ力F3も、同様にして残留歪みが生じない程度の大きさになるように通電電流及び磁界の強さを決定する。
【0053】
樹脂成形品22の成形型10からの取出し(脱型)が完了すると、樹脂成形品22は電磁石装置34,35から離れるためローレンツ力F2,F3が作用しなくなり、又は作用しているローレンツ力が小さくなり、弾性限度内で変形された樹脂成形品22は湾曲状態から元の形状に復帰する。このあと、ステップS80で電磁石装置34,35への通電を停止して磁界34A,35Aを停止すると共に、樹脂成形品22への通電を停止し、ステップS90で、アタッチメント40を上昇し射出成形機1から退避する。そして、必要に応じてアタッチメント40で樹脂成形品22を所定の場所に移動する。この実施形態では、前記の実施形態と同様、樹脂成形品22を取出すエジェクターピンが不要であり前記と同様の効果を奏すると共に、アンダーカット部を脱型するスライドコア等の機構が不要となり、成形金型を大幅に簡略化、小型化することができる。
【0054】
本発明の第3の実施形態を図10に基づき詳細に説明する。図10は本発明の成形装置で成形した樹脂成形品の概略斜視図と、複数の導電部に電流を流す切換手段の構成図である。この実施形態は前記した実施形態の樹脂成形品に対し、樹脂成形品24の導電部は非導電部25により複数の導電部26,27に分割され、導電部の一部26がアンダーカット部24aに近接して配置されている。複数の導電部26,27は、成形金型10のキャビティ部11に、例えば導電性のシートをインサートしてから絶縁性の樹脂を裏側に射出して成形する。そして、通電手段は複数の導電部26,27にアタッチメント44の把持爪45と端子46,46aを通して通電するべく複数設けられ、選択的又は同時に通電する切換手段47を備えていることを特徴とする。そして、他の実質的に同等の構成については同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
【0055】
アタッチメント44には複数の導電部26,27に通電するべく複数の把持爪45と複数の端子46,46aが固定されている。把持爪45は樹脂成形品24を把持できるように先端に導電ゴム製の弾性片45a(図12参照)が固定されている。そして、把持爪45と共に両端の導電部26に通電する金属製の端子46がアタッチメント本体44aに固定されている。また、中央の導電部27に通電する端子46aがアタッチメント本体44aに固定されている。
【0056】
この実施形態の動作について、図11のフローチャートと図12の動作説明図を参照して説明する。なお、図11において、ステップS10〜S50については前記と同等であるため説明を省略する。図12(a)に示すように、固定金型10Aと可動金型10Bとの間のキャビティ部11には射出成形により樹脂成形品24が充填して成形されている。樹脂成形品24は絶縁性の樹脂材料を射出する際に、キャビティ部内に導電性のシートをインサートしておき、非導電部25により複数の導電部26,27が形成されている。両端の導電部26は樹脂成形品のアンダーカット部24aに近接して形成され、中央部の導電部27は両端の導電部26,26と絶縁されている。可動金型10Bには樹脂成形品24に磁界をかける電磁石装置30が配置されている。
【0057】
この実施形態においては、ステップS20で図12(a)のように樹脂成形品24を成形したあと、ステップS40で図12(b)のように型開きをしてステップS50でアタッチメント44を下降させ、樹脂成形品24を把持すると共に複数の導電部26,27に把持爪45及び端子46,46aを対接させる。そして、ステップS64で電磁石装置30を作動させて樹脂成形品24に磁界30Aをかけ、ステップS65で切換手段47により先ず両端の導電部26に把持爪45と端子46で電流48を通電する。この通電により両端の導電部26を流れる電流48と磁界30Aとによりローレンツ力F4が発生し、図12(c)のように両端のアンダーカット部24aを外側に湾曲させる。
【0058】
これにより樹脂成形品24はアンダーカット部24aが可動金型10Bから外れる。この状態で磁界30Aをかけたまま、ステップS66で切換手段47により中央部の導電部27に端子46aを用いて電流49を通電すると、中央の導電部27に流れる電流49と磁界30Aとによりローレンツ力F5が発生し、ステップS70で図12(d)のように樹脂成形品24は可動金型10Bから反発して取出される。樹脂成形品24は脱型後に磁界30Aから離れるためローレンツ力F4,F5が弱まり、弾性限度内で変形された樹脂成形品24は元の形状に復帰する。このあとは前記の実施形態と同様に、ステップS80で通電及び磁界形成を停止し、ステップS90でアタッチメント44を上昇させて樹脂成形品24を所定の場所まで搬送する。
【0059】
本発明の第4の実施形態を図13,14に基づき詳細に説明する。図13,14は本発明に係る成形装置の他の実施形態として、樹脂成形品に電流を流す通電手段が可動金型に備えられていることを特徴とするものである。従って、アタッチメントは単に樹脂成形品を把持するのみで、前記の実施形態のように樹脂成形品に電流を流す機能を有していないものである。この実施形態でも、他の実質的に同等の構成については同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
【0060】
図13,14において、可動金型10Bには水平方向に磁界30Aが貫通するように電磁石装置30が設けられ、通電手段として垂直方向に電流が流れるように上下に電極50,51が設けられている。この実施形態では、アタッチメント55(図16参照)は樹脂成形品20に通電する機能が不要のため、アタッチメント体を絶縁材で形成する必要はなく、通電用のワイヤ等も不要である。上下方向の電極50,51に通電すると、電流は可動金型10Bを流れると共に導電性を有する樹脂成形品20にも流れる構成となっている。電極50,51は電源に接続され、電極に供給される電流の大きさや電流の方向を設定する設定手段52を備えている。
【0061】
この実施形態の動作について、図15のフローチャートと、図16の動作説明図を参照して説明する。前記の実施形態と同様に、ステップS10で型閉めし、ステップS20で導電性樹脂を射出し、ステップS30で所定時間経過後にステップS31で磁界を発生させると共に樹脂成形品20に通電する。この通電方向は図16(a)に示す電流53のように可動金型10Bと樹脂成形品20とが吸引し、樹脂成形品20と固定金型10Aとが反発するようなローレンツ力F6を発生させる上向きの電流53を流す。そしてステップS40で型開きを行うと、樹脂成形品20は固定金型10Aとの張付きが防止され、可動金型10Bに吸引された状態で型が開かれる。型開きのあと、電流53を停止してもよい。
【0062】
このあと、ステップS50でアタッチメント55を下降させ、図16(b)のように樹脂成形品20を把持爪56,56で把持する。そして、ステップS67で電極50,51にかける電流を設定手段52により反転して図16(c)のように逆方向の電流54で通電すると、樹脂成形品20には可動金型10Bから反発するようなローレンツ力F7が発生し、ステップS70では樹脂成形品20は可動金型10Bから飛び出すようにして取出しが行われ、図16(d)のように把持爪56の屈曲部で樹脂成形品20は把持される。ステップS80で磁界発生及び通電を停止し、ステップS90でアタッチメント55を上昇して樹脂成形品20を射出成形機1から退避させる。
【0063】
この実施形態では、樹脂成形品20に通電する電極50,51は可動金型10Bに固定されており、これら電極を介して設定手段52で正方向あるいは逆方向の通電をすることができる。このためアタッチメントの構成を簡単にすることができる。電流53,54の大きさは設定手段52により最適な電流値に設定される。そして、型開きの際に、樹脂成形品20が固定金型10Aに張付くのが防止され、品質を向上することができる。
【0064】
本発明の第5の実施形態を図17,18に基づき詳細に説明する。図17は本発明に係る成形装置の他の実施形態としての射出成形機の断面図であり、図18はその要部断面図である。この実施形態では、樹脂成形品に電流を流す通電手段が電磁誘導装置で構成され可動金型に内蔵されていると共に、この電磁誘導装置は作動させるときに可動金型から露出して樹脂成形品と対向するようにカバーを開けるように構成したことを特徴とするものである。カバーは磁極を有しており、可動金型の外周に位置する電磁石装置で閉じられ、脱型のとき電磁石装置を反転させてカバーを開ける構成となっている。
【0065】
射出成形機1の可動金型側10Bには、樹脂成形品20に通電する通電手段として電磁誘導装置60が設置され、この電磁誘導装置60は可動金型10Bに内蔵された誘導コイル61と、可動盤3に固定された電源62とを備えており、誘導コイル61は可動金型の凹部に内蔵されている。凹部はキャビティ部11に開口しており、開口を閉じるカバーとしてスライド扉63が進出、退避可能に位置している。なお、カバーはスライドするものに限らず、揺動あるいは回転して開口を開閉するものでもよい。
【0066】
このためスライド扉63が戸袋64に退避して開口が開くと誘導コイル61とキャビティ部11とは対向し、スライド扉63が進出して開口を塞ぐとキャビティ部11が完成し誘導コイル61は内蔵される。キャビティ部11には樹脂成形品20が射出成形されるため、スライド扉63は樹脂成形品20と誘導コイル61との間に進退可能となっている。スライド扉63は磁性材から形成され、例えば上方にN極が着磁され、下方はS極に着磁されている。なお、スライド扉を非磁性材で形成し、永久磁石を埋め込んで磁極を有する構成としてもよい。
【0067】
可動金型10Bは上下に、上下方向の磁界を形成する電磁石装置70,70が配置されている。この電磁石装置も前記の例と同様に鉄芯とコイルとから構成されるものが用いられている。電磁石装置70は樹脂成形品20にローレンツ力を発生させるための磁界を形成すると共に、磁極を有するスライド扉63を進退させて誘導コイル61と樹脂成形品20とを対向させ、誘導コイル通電時に樹脂成形品20に誘導電流を発生させるものである。
【0068】
この構成によれば、電磁石装置70により所定の方向の磁界がかかっているときに、スライド扉63は閉じて電磁誘導装置60を内蔵するように構成され、磁界を反転して逆方向の磁界がかかったときにスライド扉63が開いて電磁誘導装置60が露出して樹脂成形品20と対向するように構成されている。スライド扉63が閉じているときに射出成形型のキャビティ部11が完成される。そして、スライド扉63を開けて電磁誘導装置60に通電すると、導電部を有する樹脂成形品20には誘導電流が流れるものである。
【0069】
この実施形態の動作について、図19のフローチャートと図20の動作説明図を参照して説明する。樹脂成形品20の射出成形に際して、先ずステップS1で電磁石装置70に所定の電流を流し、例えば図20(a)のように可動金型10Bの上部がS極、下部がN極となるように磁界70Aを形成すると、スライド扉63は上部がN極、下部がS極に着磁されているため、上方に移動して電磁誘導装置60の誘導コイル61を覆って内蔵し、キャビティ部11が構成される。
【0070】
次いで、ステップS10で型閉めを行い、ステップS20で完成されたキャビティ部11に導電性樹脂を射出し、ステップS30で所定時間経過したあとステップS40で型開きを行う。このあとステップS50で図20(b)のようにアタッチメント55を下降させ、樹脂成形品20の方に移動して樹脂成形品20を把持爪56で把持する。このアタッチメント55は樹脂成形品20には通電せず、単に把持する機能のみを有するものである。
【0071】
つぎに、ステップS68で電磁石装置70への電流を反転し、図20(c)のように可動金型10Bの上部がN極で下部がS極となるように磁界70Bを逆転すると、スライド扉63は磁界70Bに反発されて下降して戸袋64に収納され、開口が開いて電磁誘導装置60の誘導コイル61が露出して樹脂成形品20と対向する。ここで、ステップS69で電磁誘導装置60の誘導コイル61に通電すると強力な磁界が発生して、導電部を有する樹脂成形品20にはこの磁界を打ち消す方向に大きな誘導電流65が発生する。
【0072】
この誘導電流65と磁界70Bとにより図20(d)のようにローレンツ力F8が生じ、樹脂成形品20には可動金型10Bから離れる方向の力が作用する。これにより樹脂成形品20は可動金型10Bから飛び出すように取出され、ステップS70で成形品の取出しが実行される。そして、磁界、通電停止(ステップS80)後に、ステップS90で、アタッチメント55が上昇して射出成形機1から退避し、このあとアタッチメント55が樹脂成形品20を所定の場所に移動して作業を終了する。この実施形態では、樹脂成形品20に流す電流を電磁誘導装置60で誘導して流すため、アタッチメント55は通電するための構成が不要となり、絶縁材等も不要となって構成を簡略化することができる。また、スライド扉63は電磁石装置70で開閉されるため、開閉用のアクチュエータ等が不要であり、構成を簡単にすることができる。
【0073】
以上、本発明に係る射出成形機の4つの実施形態と、樹脂成形品の実施形態について詳述したが、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。例えば、導電性樹脂成形品の成形装置の実施形態として射出成形機の例を示したが、これに限られるものでなく熱成形装置やブロー成形装置等の他の成形装置においても適用できるものである。
【0074】
また、成形型として可動金型と固定金型から構成される2型構成の例を示したが、中間にランナープレートを有する3型構成の成形型にも適用できることは勿論である。さらに、アンダーカット部分やストレート部に限らず、緩やかな抜き勾配と逆の勾配のついた成形型にも本発明を適用できる。型開き時に樹脂成形品は可動型に付いた状態で開く例を示したが、樹脂成形品が固定型に付いた状態で型開きが行われるような構成でもよい。
【0075】
樹脂成形品は上下にアンダーカット部を有する例を示したが、上下左右にアンダーカット部を有し容器状の形状でもよいことは勿論である。この場合は、上下左右に形成したアンダーカット部に近接して導電部を設け、この導電部に通電してアンダーカット部をローレンツ力で湾曲させて成形型から取出すことができる。また、上下のアンダーカット部に近接して磁界を発生する上下の磁界形成手段と、左右のアンダーカット部に近接して磁界を発生する左右の磁界形成手段を設け、両方の磁界形成手段を使用してローレンツ力でアンダーカット部を湾曲させて脱型させるように構成することができる。
【0076】
樹脂成形品の形状は前記の実施形態に限られるものでなく、バンパー、インストルメントパネル、フェンダー等の車両用大物部品にも適用できる。また、前記の大物部品に限らず、プリント基板等の電子、電気部品にも適用できる。樹脂成形品でプリント基板を成形する場合、導電シートや2色成形で回路パターンを形成すると共に、シールドパターンやグランドパターン等を複数形成して、複数のパターンを選択して通電することにより局所的にローレンツ力を生じさせることもできる。
【0077】
樹脂成形品の取出しにはアタッチメントによる把持の例を示したが、アタッチメントを使用せずローレンツ力により飛び出した樹脂成形品を成形機下方の搬送用コンベアに落下させ、搬送用のコンベアで所望の場所に移動するように構成してもよい。このように、本発明に係る導電性樹脂成形品の成形装置は、自動落下式の成形機にも対応することができる。
【0078】
【発明の効果】
以上の説明から理解できるように、請求項1に記載の導電性樹脂成形品の成形装置は、導電部を有する樹脂成形品に通電し、樹脂成形品に磁界をかけることで金型から離れる方向の反発力を作用させることができるので、樹脂成形品を取出すためのエジェクターピンや駆動機構を省略することができ、構成を極めて簡単にできると共に成形型の小型化を達成することができる。また、樹脂成形品の品質を向上でき、生産性を向上できる。
【0079】
成形装置が射出成形機で導電性樹脂成形品を射出成形すると、射出成形機の構成を簡略化でき小型化を達成できる。導電性樹脂成形品を取出す取出し手段を備えると、取出し手段で樹脂成形品を把持して通電して成形型から取出すので、取出したあと取出し手段を移動して樹脂成形品を所定の場所まで移動できる。取出し手段は係合部を有して弾性力を有する導電材料を備えると、樹脂成形品を把持するときに傷が付くことを防止でき、樹脂成形品への通電が確実で取出しが安定する。
【0080】
磁界形成手段を複数設けて切換作動させると、アンダーカット部に対応する磁界形成手段を作動させ、樹脂成形品に通電することによりアンダーカット部を湾曲させて脱型できるので、アンダーカット部のスライドコア等が不要となり、成形型の構成を簡略化することができる。導電部を複数設けて所定のタイミングで通電すると、先ずアンダーカット部に対応する導電部に通電し樹脂成形品に磁界をかけ、アンダーカット部を湾曲させて脱型できるので、アンダーカット部のスライドコア等が不要となり、成形型の構成を簡略化することができる。
【0081】
通電手段又は磁界形成手段の少なくとも一方の、通電方向、磁界方向、それらの量を変更すると、樹脂成形品を効率良く脱型でき、固定型への張付きを防止できる。通電手段又は磁界形成手段の少なくとも一方をアンダーカット部に近接して配置すると、アンダーカット部のスライドコア等を不要にできるため、成形型の構成を簡単にでき小型化できる。
【0082】
請求項9に記載の導電性樹脂成形品の成形装置よれば、磁界をかけてカバーを退避させて電磁誘導手段を露出させ、樹脂成形品に誘導電流を発生させることができ、この誘導電流と磁界によりローレンツ力を作用させて樹脂成形品を脱型できるので、成形型の構成を簡単にでき小型化できる。カバーが磁極を有すると、磁界形成手段により磁界をかけてカバーを開閉でき、カバーを開閉するアクチュエータ等が不要となる。
【0083】
請求項11に記載の導電性樹脂成形品の成形方法は、樹脂成形品に通電して磁界をかけることにより、樹脂成形品には型から離れる方向のローレンツ力が作用するため、エジェクターピン等の機構が無くても容易に脱型することができ、成形型の構成を簡略化できる。樹脂成形品に磁界をかける工程において、樹脂成形品の一部に磁界をかけた後、樹脂成形品の全体に磁界をかけると、アンダーカット部等を先ず脱型してから全体を脱型できるので、成形型の構成を簡略化でき小型化できる。
【0084】
請求項13に記載の導電性樹脂成形品の成形方法は、複数の導電部を有する樹脂成形品に磁界をかけ、一部の導電部に通電して例えばアンダーカット部をローレンツ力により湾曲させて脱型し、次いで他の導電部又は全部の導電部に通電してローレンツ力により脱型するため、エジェクターピン等の機構や、スライドコアが無くても容易に脱型することができ、成形型の構成を簡略化でき小型化できる。樹脂成形品への通電や、磁界をかける工程において、通電方向、磁界方向又はその電流値を変化させると、脱型時に樹脂成形品を吸引あるいは反発して効率良く脱型できる。
【0085】
電流値を樹脂成形品の弾性限度に基づいて設定すると、樹脂成形品の破損、変形を防止できる。また、型開き工程における通電方向、磁界方向と、脱型工程における通電方向、磁界方向を変えることにより、樹脂成形品の成形型への張付きを防止でき、成形型からの取出しを容易に行える。樹脂成形品への通電を電磁誘導手段で誘導電流により行うと、樹脂成形品に接続する接片や端子等を省略でき、構成を簡単にできる。
【0086】
請求項18に記載の導電性樹脂成形品の成形方法は、磁界をかけてカバーを閉じた状態で樹脂成形品を成形し、型開き後に磁界を反転してカバーを開き電磁誘導手段と樹脂成形品を対向させ、電磁誘導手段で樹脂成形品に誘導電流を流してローレンツ力を生じさせ、脱型を容易に実行できる。
【0087】
請求項19に記載の導電性樹脂成形品の成形方法は、成形型を簡単な構成にでき小型化を達成でき、また成形型には冷却用の水穴を効率良く配置できるため、樹脂成形品の変形、変質を小さくできて品質を向上でき、さらに成形サイクルを短縮できるため、生産性を向上できる。
【0088】
請求項20に記載の導電性樹脂成形品は、アンダーカット部やストレート部を有する樹脂成形品を簡単な構成の成形型で成形でき、品質を向上することができ、2色成形で効率良く成形できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の導電性樹脂成形品の成形装置として射出成形機の第1の実施形態を示す要部断面図。
【図2】図1の可動金型の右側面図。
【図3】(a)は図1の射出成形機に使用するアタッチメントと樹脂成形品の関係を示す概略斜視図、(b)、(c)はそれぞれアタッチメントの他の例を示す要部断面図。
【図4】図1の射出成形機の動作フローチャート。
【図5】図1の射出成形機の動作説明を示す概略断面図。
【図6】本発明に係る射出成形機の第2の実施形態を示す要部断面図。
【図7】図6の可動金型の右側面図。
【図8】図6の射出成形機の動作フローチャート。
【図9】図6の射出成形機の動作説明を示す概略断面図。
【図10】(a)は本発明の射出成形機により成形された複数の導電部を有する樹脂成形品の斜視図、(b)は複数の導電部に電流を流す切換手段の構成図。
【図11】図10に示す樹脂成形品を成形して取出す動作フローチャート。
【図12】図10に示す樹脂成形品を成形して取出す動作説明を示す概略断面図。
【図13】本発明に係る射出成形機の第3の他の実施形態の要部断面図。
【図14】図13の可動金型の右側面図。
【図15】図13の射出成形機の動作フローチャート。
【図16】図13の射出成形機の動作説明を示す概略断面図。
【図17】本発明に係る射出成形機の第4の他の実施形態の要部断面図。
【図18】図17の要部拡大断面図。
【図19】図17の射出成形機の動作フローチャート。
【図20】図17の射出成形機の動作説明を示す概略断面図。
【符号の説明】
10…成形金型、 10A…固定金型、
10B…可動金型、 11…キャビティ部、
20,21,22,24…樹脂成形品、
21a…ストレート部、
22a,24a…アンダーカット部、
25…非導電部、 26,27…複数の導電部、
30,34,35,70…電磁石装置(磁界形成手段)、
30A,34A,35A,70A,70B…磁界、
36,47…切換手段、
40,44,55…アタッチメント(取出し手段)、
41,45,56…把持爪(通電手段)、
41a,45a…導電ゴム(係合部)、
42,48,49,53,54…電流、
46,46a…端子(通電手段)、
50,51…電極(通電手段)、
52…設定手段、
60…電磁誘導装置(通電手段)、
61…誘導コイル、 62…電源、
63…スライド扉(カバー)、
65…誘導電流、 F1〜F8…ローレンツ力
Claims (21)
- 固定型と可動型とを有する成形型を用いて導電部を有する樹脂成形品を成形し、該樹脂成形品を前記成形型から取出す成形装置であって、
前記樹脂成形品の導電部に通電する通電手段と、前記樹脂成形品に磁界をかける磁界形成手段とを備えることを特徴とする導電性樹脂成形品の成形装置。 - 前記成形装置は、導電性を有する樹脂を射出成形して前記樹脂成形品を成形することを特徴とする請求項1に記載の導電性樹脂成形品の成形装置。
- 前記成形装置は、前記樹脂成形品を前記成形型から取出す取出し手段をさらに備え、前記通電手段は該取出し手段を介して前記樹脂成形品に通電することを特徴とする請求項1又は2に記載の導電性樹脂成形品の成形装置。
- 前記取出し手段は、前記樹脂成形品と係合する係合部を有し、該係合部は弾性力を有する導電性材料を備えていることを特徴とする請求項3に記載の導電性樹脂成形品の成形装置。
- 前記磁界形成手段は複数設けられ、該複数の磁界形成手段を選択的又は同時に作動させる切換手段を備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の導電性樹脂成形品の成形装置。
- 前記樹脂成形品の導電部は、非導電部により複数の導電部に分割され、前記通電手段は前記複数の導電部に通電するべく複数設けられ、該複数の通電手段を選択的又は同時に作動させる切換手段を備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の導電性樹脂成形品の成形装置。
- 前記通電手段又は磁界形成手段の少なくとも一方は、通電方向、磁界方向あるいはそれらの量を変更する設定手段を備えることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の導電性樹脂成形品の成形装置。
- 前記通電手段又は磁界形成手段の少なくとも一方は、前記樹脂成形品のアンダーカット部に近接して配置されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に導電性樹脂成形品の成形装置。
- 前記通電手段は、電磁誘導手段から構成され、該電磁誘導手段と前記樹脂成形品との間に進出すると共に、この位置から退避可能のカバーを備え、該カバーを退避させ前記電磁誘導手段を作動させて前記樹脂成形品に誘導電流を流して通電することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の導電性樹脂成形品の成形装置。
- 前記カバーは磁極を有する磁性体で形成されることを特徴とする請求項9に記載の導電性樹脂成形品の成形装置。
- 固定型と可動型とを有する成形型を用いて導電部を有する樹脂成形品を成形して取出す成形方法であって、
前記樹脂成形品を前記成形型で成形し、前記固定型と可動型を型開きした後、前記樹脂成形品に通電すると共に、前記樹脂成形品に磁界をかけて前記樹脂成形品を前記成形型から取出すことを特徴とする導電性樹脂成形品の成形方法。 - 前記樹脂成形品に磁界をかける工程は、前記樹脂成形品の一部に磁界をかけた後、前記樹脂成形品の全体に磁界をかけることを特徴とする請求項11に記載の導電性樹脂成形品の成形方法。
- 固定型と可動型とを有する成形型を用いて複数の導電部を有する樹脂成形品を成形して取出す成形方法であって、
前記樹脂成形品を前記成形型で成形し、前記固定型と可動型を型開きした後、前記樹脂成形品に磁界をかけると共に、前記樹脂成形品の複数の導電部へ所定のタイミングに基づいて通電して前記樹脂成形品を前記成形型から取出すことを特徴とする導電性樹脂成形品の成形方法。 - 前記樹脂成形品に通電する工程、及び前記樹脂成形品に磁界をかける工程において、通電方向、磁界方向又はそれらの電流値を変化させることを特徴とする請求項11〜13のいずれか1項に記載の導電性樹脂成形品の成形方法。
- 前記電流値は、前記樹脂成形品の弾性限度に基づいて設定されることを特徴とする請求項14に記載の導電性樹脂成形品の成形方法。
- 前記型開き工程における通電方向又は磁界方向と、前記樹脂成形品の取出し工程における通電方向又は磁界方向を変えることを特徴とする請求項11〜15のいずれか1項に記載の導電性樹脂成形品の成形方法。
- 前記樹脂成形品に通電する工程は、電磁誘導作用によって前記樹脂成形品に誘導電流を流すことを特徴とする請求項11〜16のいずれか1項に記載の導電性樹脂成形品の成形方法。
- 固定型と可動型とを有し、磁界によって開閉するカバーの内部に電磁誘導手段を有する成形型を用いて導電部を有する樹脂成形品を成形して取出す成形方法であって、
磁界をかけて前記カバーを閉じた前記成形型で前記樹脂成形品を成形し、前記固定型と可動型を型開きした後、磁界を反転し前記カバーを開いて前記電磁誘導手段を露出させ、前記電磁誘導手段に通電して前記樹脂成形品に誘導電流を流し、前記樹脂成形品を前記成形型から取出すことを特徴とする導電性樹脂成形品の成形方法。 - 固定型と可動型とを有する成形型を用いて導電部を有する樹脂成形品を成形する成形方法であって、
前記固定型と可動型とを型閉めする工程と、前記成形型を用いて樹脂成形品を成形する工程と、前記樹脂成形品に磁界をかけると共に、前記樹脂成形品に通電する工程と、前記樹脂成形品を前記成形型から取出す工程とを有することを特徴とする導電性樹脂成形品の成形方法。 - 導電部を非導電部で分割して複数の導電部が形成され、前記複数の導電部の一部を前記樹脂成形品のアンダーカット部及び/又はストレート部に近接して形成したことを特徴とする樹脂成形品。
- 前記複数の導電部を2色成形により形成したことを特徴とする請求項20に記載の樹脂成形品。
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