JP2004066553A - インクジェット記録装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】インクジェットノズルからのインク滴の吐出状態が、増粘したインク、その他の異物により悪化した場合に、吐出状態を正常に回復させるために実施される空吐出メンテナンスにおいて、ノズルからの空吐出時に回収される廃インクを廃インクタンクに廃棄する場合に発生していた満杯誤検知、コスト増等という不具合を解決することができる。
【解決手段】ノズルを備えた記録ヘッド14と、記録ヘッドを搭載して印字領域を移動するキャリッジ13と、ノズルの機能を回復するための作業を実施する信頼性維持回復機構37と、信頼性維持回復位置に記録ヘッドが位置しているときにノズルからインクを空吐出させる制御部と、ノズルから空吐出されたインク滴を吸収する廃インク吸収体を保持する複数の廃インクタンク113、116を備えたインクジェット記録装置において、複数の廃インクタンクのうちの1つの廃インクタンクにのみ満杯検知センサ112を配置した。
【選択図】 図3
【解決手段】ノズルを備えた記録ヘッド14と、記録ヘッドを搭載して印字領域を移動するキャリッジ13と、ノズルの機能を回復するための作業を実施する信頼性維持回復機構37と、信頼性維持回復位置に記録ヘッドが位置しているときにノズルからインクを空吐出させる制御部と、ノズルから空吐出されたインク滴を吸収する廃インク吸収体を保持する複数の廃インクタンク113、116を備えたインクジェット記録装置において、複数の廃インクタンクのうちの1つの廃インクタンクにのみ満杯検知センサ112を配置した。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット記録装置に関し、特に、ノズル内の増粘したインクや異物等を強制的に吐出させて、複数の廃インクタンクにより受ける構成を採用した場合に、各廃インクタンク内に吐出された廃インクが各廃インクタンクからオーバーフローして外部に漏れる等の不具合を解消することができるインクジェット記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録装置は、印字信号に応じてノズルからインク滴を記録材上に吐出することにより画像を形成する手段であり、ノズルを備えた記録ヘッド(インクジェットヘッド)と、記録ヘッドを所定方向へ進退させるキャリッジと、記録材を印字位置に送り込む搬送機構等を備えている。印字時には、記録材の印字面がキャリッジの移動経路と対面するように記録材を停止させた状態で、キャリッジを記録材の搬送方向と直交する方向へ往復移動させながらノズルからインク滴を吐出させることにより、印字を行う。次いで、記録材を所定量だけ移動させて停止させ、上記の印字動作を繰り返す。
待機時には、印字領域から退避した待機位置にキャリッジを退避させ、待機位置において必要なメンテナンスを行うこととなる。
ところで、インクジェット記録装置にあっては、ノズル内に異物が詰まったり、気泡が発生したり、或いはノズル内のインクが乾燥して増粘することにより、インク吐出不良が発生し、これが印字品質を低下させる原因となる。
このような不具合に対処して正常な吐出状態に回復させるためのメンテナンス手段として、ポンプによってノズル内の異物や気泡や増粘したインクを強制的に吸引して吐出させたり、印字とは無関係にノズルからインク滴を空吐出させて正常な吐出状態に回復させる回復機構が提案されている。これらの回復機構によって回収されたインクは、装置内に配置された廃インクタンクに収容される。
しかしながら、従来のインクジェット記録装置において、廃インクタンクの容量を、長期にわたって回収され続ける廃インクを全て収容できる程度に大容量に設定した場合には、インクジェット記録装置の大型化を招き、インクジェット記録装置を搭載する各種機器の小型化に対応できなくなる。
【0003】
特開2000−979には、廃インクタンクを装置寿命の間に回収される廃インク全量を受容できる程度の大容量とはせず、装置寿命の途中で交換する必要が生じる程度に小型化し、さらに廃インクの量を確認できるよう廃インク量確認窓を設けることにより廃インクタンク満杯を確認できるようにした装置が開示されている。また、廃インクタンク満杯による装置使用不可期間を短縮するために使用する廃インク吸収体として、たとえばユーザーが入手可能なティッシュペーパーなどを使用可能にすることにより、使用不可期間を短縮し、ユーザーが簡単に廃インク吸収体を交換できるようにした装置についても開示されている。
しかし、インクジェット記録装置の小型化を図るために、装置寿命に満たない短い期間内に回収される廃インク量を収容可能な小容量の廃インクタンクを配置した場合には、廃インクタンクの満杯を正確に検知しない限り、インク漏れ等の不具合が発生するという問題がある。実際にも、満杯の誤検知は発生しやすく、誤検知によるインク漏れを解消するための提案や、回収した廃インクが確実に廃インクタンクに流入して溜まるようにするための提案や、廃インクタンクが満杯か否かを精度よく検知するための提案が種々なされている(特開2000−85142、特開2000−85143、特開2000−141704、特開2000−233521、特開平9―240021)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、いずれの従来例も、大型化、構成の複雑化、コストアップ等の不具合を伴う。
また、インクジェット記録装置の寿命に満たない期間内に回収される廃インクを収容可能な小容量の廃インクタンクを複数に分割して、各廃インクタンクを装置内の空きスペース内に分散して設置することにより、インクジェット記録装置の小型化を更に促進した提案がなされているが、このように廃インクタンクを複数個に分割した場合、分割された全ての廃インクタンクに満杯検知センサを設けるとすれば、コストアップをもたらすばかりでなく、満杯誤検知による廃インク漏れが発生する確率が高まる。
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、インクジェットノズルからのインク滴の吐出状態を正常化するために実施されるメンテナンスにおいて回収される廃インクを廃インクタンクに廃棄する場合に従来発生していた不具合を解決することを目的とする。具体的には、廃インクタンクの大型化を避けるために、インクジェット記録装置の寿命に満たない期間内に回収される量の廃インクを収容できる小容量の廃インクタンクを用い、且つこの廃インクタンクを更に小容量の単位に分割して装置内の空きスペース内に分散配備した場合に発生する不具合である個々の廃インクタンクについての満杯検知の困難化という問題を解決することができるインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、インク滴を吐出して記録材上に記録を行うためのノズルを備えた記録ヘッドと、該記録ヘッドを搭載して印字領域を移動するキャリッジと、該印字領域外の複数の信頼性維持回復位置に夫々配置されて該ノズルの機能を回復するための作業を実施する信頼性維持回復機構と、各信頼性維持回復位置に記録ヘッドが位置しているときにノズルからインクを空吐出させる制御部と、を備えたインクジェット記録装置において、前記信頼性維持回復機構は、ノズルから空吐出されたインク滴を吸収する廃インク吸収体を保持する複数の廃インクタンクと、該複数の廃インクタンクのうちの1つの廃インクタンクにのみ配備された満杯検知センサと、を備えたことを特徴とする。
従来、廃インクタンクの容量を装置寿命より短くし小型化し、また装置の空きスペースに設置可能なように複数個の廃インクタンクに分割した廃インクタンクが提案されている。
インクジェット記録装置の全寿命期間中に廃棄される廃インクの全量に見合う容量を備えた一つの廃インクタンクを装備する場合の大型化という不具合を解消するために、前記廃インクタンクよりも小さい容量の廃インクタンクを使用する場合には、廃インクの漏れ出しを防止するために満杯検知センサを設ける必要が生じ、誤検知も多々発生し易くなる。特に、複数の小容量タンクを装置内のスペースに分散配置した場合に、全ての小容量タンクに満杯検知センサを設けるとすれば、誤検知発生率の増大、コストアップという不具合を生じる。
この発明では、満杯検知センサを用いる廃インクタンクを一つに限ることにより、満杯検知ミスによる廃インク漏れを防止できる。即ち、設置した全ての廃インクタンクに満杯検知センサを設けた場合には、装置コストが上がってしまう。このため満杯検知センサを1つのみ使用する構成でありながら、廃インクタンクの満杯検知時に装置が使用不可となる事態を回避できる。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1において、前記制御部は、書き込まれたデータを保持可能な不揮発性メモリを有し、前記満杯検知センサを備えた廃インクタンク以外の廃インクタンクにおける満杯検知を、前記ノズルからのインク吐出量をカウントすることにより行うことを特徴とする。
満杯検知センサを備えた廃インクタンクが満杯になった場合には、センサ無し廃インクタンクに切り替えるが、この際には空吐出回数をソフト的にカウントして満杯を判断するので、正確性の点ではセンサに劣るものの、廃インク漏れを防止することができる。しかも、センサ無しタンクの使用期間は短いため、誤判断によって廃インク漏れが発生する恐れは少ない。
請求項3の発明は、請求項1又は2において、前記満杯検知センサを備えた廃インクタンクは、複数の廃インクタンクのうちの最大の容量を持つ廃インクタンクであることを特徴とする。
廃インクのカウントによる容量検出ではカウント量が多いほど(廃インクタンクの容量が大きくなるほど)誤差が生じると考えられる。このため、満杯検知センサを最大容量の廃インクタンクのみに設け、カウント誤差による廃インク漏れが発生しないようにしている。
請求項4の発明は、請求項1、2又は3において、前記複数の廃インクタンクのうち、前記満杯検知センサを有する廃インクタンクから使用開始することを特徴とする。
満杯検知センサ無しの廃インクタンクを優先的に使用した場合、カウント誤差による廃インク漏れが心配される。このような不具合を防ぐために満杯検知センサ付きの廃インクタンクを優先使用する。
【0007】
請求項5の発明は、請求項1、2、3又は4において、前記制御部は、前記満杯検知センサにより前記廃インクタンクの満杯が検知された時点で廃インクタンク内の廃インク吸収体の交換要求を表示部に表示し、該表示後に満杯検知センサ無しの廃インクタンクを使用して空吐出を継続し、満杯検知センサにより前記廃インクタンクの廃インク吸収体が交換されたことが検知されたときに前記満杯検知センサ付き廃インクタンクの使用を再開することを特徴とする。
廃インクタンクが満杯になった際に満杯を表示して吸収体の交換を促しただけで格別の措置を講じないのでは、ユーザーが装置を使用できない時間が生じてしまう。そこで、満杯を表示した後には継続して複数個ある別の廃インクタンクを使用して空吐出を行うことでユーザーが装置を使用できない時間を生じさせないこととした。また、ユーザーに廃インク吸収体交換を促すことができる。
請求項6の発明は、請求項1、2、3、4又は5において、前記満杯検知センサが、前記廃インクタンクが満杯から非満杯に変化したことを検知したときに、前記満杯検知センサ付き廃インクタンクに用いる廃インク吸収体の交換を行うことを特徴とする。
廃インクタンクが交換されたことが検知できない場合、満杯検知センサ付きの廃インクタンクの使用を再開するタイミングを検知する手段がない。この発明によれば、吸収体が交換されて満杯検知センサが非満杯を再び検知したときを、再開タイミングとしたので、コストアップすることなしに廃インク吸収体の交換を検知することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面に示した実施の形態により詳細に説明する。
図1は本発明の一実施形態に係るインクジェット記録装置の外観及び内部構成を示す概略斜視図、図2は同インクジェット記録装置の構成を示す側面図である。
このインクジェット記録装置は、記録装置本体1の内部に配置された印字機構部2、装置本体1の下方部に着脱自在に配置され前方側から多数枚の用紙3を積載可能な給紙カセット(給紙トレイ)4、記録装置本体1に対して開閉自在に取り付けられ用紙3を手差しで給紙するための手差しトレイ5を備える。
印字機構部2は、記録装置本体1の内部に主走査方向に移動可能に支持されたキャリッジ13、キャリッジ13に搭載されたインクジェットヘッドからなる記録ヘッド14、記録ヘッド14にインクを供給するインクカートリッジ15等で構成される。印字機構部2は、図示しない左右の側板に横架したガイド部材である主ガイドロッド11でキャリッジ13を主走査方向に摺動自在に保持し、このキャリッジ13にはイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の各色のインク滴を吐出する記録ヘッド14を、インク滴吐出方向(ノズルからの吐出方向)を下方に向けて装着している。そして、キャリッジ13から離間した装置本体内の適所には記録ヘッド14に各色のインクを供給するためのインクカートリッジ(インクタンク)15を着脱自在に配置し、インク供給チューブ16によって記録ヘッド14にインクを供給するように構成している。キャリッジ13に設けたサブタンク12は、インク供給チューブ16を介してインクタンク(インクカートリッジ)15と接続され、インクタンク15からインクの供給を受ける。
キャリッジ13は、主ガイドロッド11により主走査方向へ摺動自在に支持されている。そして、このキャリッジ13を主走査方向に移動走査するため、主走査モータ17で回転駆動される駆動プーリ18と従動プーリ19との間にタイミングベルト20を張装し、このタイミングベルト20をキャリッジ13に固定して駆動力を伝達させている。
また、記録ヘッド14としてここでは各色のヘッド14を用いているが、各色のインク滴を吐出するノズルを有する1個のヘッドを用いてもよい。さらに、記録ヘッド14として用いるインクジェットヘッドは、圧電素子などの電気機械変換素子によって液室(インク流路)壁面を形成する振動板を変形させることによりインクを加圧するピエゾ型のもの、或いは発熱抵抗体による膜沸騰でバブルを生じさせてインクを加圧するバブル型のもの、若しくはインク流路壁面を形成する振動板とこれに対向する電極との間の静電力で振動板を変位させてインクを加圧する静電型のものなどを使用することができるが、本実施形態では後述するように静電型インクジェットヘッドを用いている。
【0009】
用紙3を搬送する搬送機構は、給紙カセット4或いは手差しトレイ5から給送される用紙3を印字機構部2に搬送し、印字機構部2によって所要の画像を記録した後、後面側に装着された排紙トレイ6に排紙する。
即ち、搬送機構は、給紙カセット4にセットした用紙3を記録ヘッド14の直下に位置する印字位置に搬送するために、給紙カセット4から用紙3を分離給装する給紙ローラ21及びフリクションパッド22と、用紙3を案内するガイド部材23と、給紙された用紙3を反転させて搬送する搬送ローラ24と、この搬送ローラ24の周面に押し付けられる搬送コロ25及び搬送ローラ24からの用紙3の送り出し角度を規定する先端コロ26とを備えている。搬送ローラ24は、副走査モータ27によってギヤ列を介して回転駆動される。
キャリッジ13の主走査方向の移動範囲に対応して搬送ローラ24から送り出された用紙3を記録ヘッド14直下の印字位置に案内する静電搬送ベルト29が設けられている。この静電搬送ベルト29は、チャージャ30からの放電により帯電して搬送されてきた用紙3を吸着し、用紙面とヘッド面とを並行に保つ役割を担っている。静電搬送ベルト29の用紙搬送方向下流側には、用紙3を排紙トレイ6に送り出す排紙コロ33を配設している。
また、キャリッジ13の移動方向左右両端側には、夫々記録ヘッド14の信頼性を維持、回復するための信頼性維持回復機構(以下「サブシステム」という。)37を配置している。キャリッジ13は印字待機中にはこのサブシステム37側の位置(以下、信頼性維持回復位置、という。)に移動されてキャッピング、空吐出などによって記録ヘッド14のノズル部を清掃される。キャッピングとは、記録ヘッドのノズル部をキャッピングした状態でポンプによってノズルに溜まった劣化インク等を吸引することによりノズルの機能を回復させるヘッドクリーニング動作である。空吐出とは、記録ヘッドを動作させてノズルからインクを空吐出させることによって、ノズルの機能回復を図る動作である。
また、キャリッジ13がサブシステム37側の位置にあるときに、本発明に係る第2駆動波形を用いた信頼性維持回復動作の一環としてのメニスカス振動を発生させる制御も行う。
【0010】
次に、図3を用いて、キャッピング、及び空吐出による回復動作を説明する。図3は、インクジェット記録装置を正面から見た概略図であり、キャリッジ13は、図1、2中のキャリッジ13と同一のものである。
キャリッジ13には2つの記録ヘッド101、102が装着され、さらに記録ヘッド101、102にはそれぞれ2本のノズル列103、104及び105、106が配置され、各ノズルからインク滴が噴射される。
キャリッジ13が図3の位置にある場合、ヘッド101はキャップ107により、記録ヘッド102は吸引兼用キャップ108により夫々覆われ、各キャップによって各ヘッド面を保湿し、ノズル列中のインクの目詰まりがおきにくいように保護されている。吸引兼用キャップ108は、図示しないポンプと接続され、必要に応じて上記キャッピングが実行される。
但し、待機時におけるキャップによる保湿保護だけでは、ノズルにおけるインク詰まりを完全には防ぐことは難しいため、所定のタイミングで印字位置以外の領域でインクを吐出する空吐出動作が行われる。
キャリッジ13による印字が行われる紙搬送路に相当する領域から回避した左右両サイドには、夫々第1の空吐出位置(第1の空吐出受入れ口)110及び第2の空吐出位置(第2の空吐出受入れ口)114が設けられ、各空吐出位置110、114においてノズルから吐出されたインク滴は、夫々下方に位置する第1の廃インク吸収体111及び、第2の廃インク吸収体115によって吸収保持される。これら廃インク吸収体111及び、廃インク吸収体115を夫々収容する容器が第1及び第2の廃インクタンク113、及び116である。各廃インク吸収体は、例えば各廃インクタンクに対してカートリッジ式に着脱可能に構成される。
また、第1の廃インクタンク113の適所には、内部に収容した第1の廃インク吸収体111による廃インクの吸収状況を検知するための満杯センサ112が備えられている。
【0011】
図4は、第1の空吐出位置110においてノズルから空吐出を行う場合の記録ヘッド101、102の位置を示したもので、ここで吐出されたインクは第1の廃インク吸収体111により吸収される。
この例では、第1の空吐出位置110の廃インクの吐出を受ける部分の開口幅が比較的小さいため、1回の空吐出動作につき、1つのヘッドからの吐出のみが可能となっている。
図4に示した第1の空吐出位置110(吐出位置A)における空吐出動作を図5に示した動作フローに基づいて説明する。
まず、最初に空吐出を行う記録ヘッド(図4の例ではヘッド101)が第1の空吐出位置110の位置に来るようにキャリッジ13を移動させる(S1)。キャリッジ13の移動が完了した後に、吐出動作を行い(S2、3)、吐出動作が完了したら(S4 Yes)、次に空吐出を行うヘッド102を空吐出位置110に来るようにキャリッジ13を移動させ、同様に吐出動作を行う。こうして全てのヘッドについて吐出動作を行った後、キャリッジ13をキャッピング位置まで戻して動作を終了させる(S5、6、7)。
後述するように、本発明では、空吐出を行うための廃インクタンクとして、大容量且つ満杯検知センサ112を備えた第1の廃インクタンク113を優先している。
次に、図6は、第2の空吐出位置(吐出位置B)114で空吐出を行う場合の記録ヘッド位置を示したもので、ここで吐出された廃インクは第2の廃インク吸収体115により吸収保持される。
この例では、第2の空吐出位置114の廃インクの吐出を受ける部分の開口幅が比較的大きいため、1回の空吐出動作につき、同時に全ての記録ヘッドからの吐出のみが可能となっている。
図7に示したフローに基づいて、第2の空吐出位置114にて空吐出を行う場合の動作について説明する。
まず、全ての記録ヘッド(図6の例ではヘッド101及び102)が第2の空吐出位置114に来るようにキャリッジ13を移動させる(S11)。キャリッジの移動が完了した後に、吐出動作を行う(S12、13)。吐出動作が完了したら、キャリッジをキャッピング位置まで戻して動作を終了させる(S14、15、16)。
なお、第1の空吐出位置110が第2の空吐出位置114と同様の構造の吐出受け部を有していてもよく、第2の空吐出位置114が第1の空吐出位置110と同様の構造の吐出受け部を有していてもよく、また、第1の空吐出位置110、第2の空吐出位置114の吐出受け部の構成が逆であっても良く、さらに複数個の空吐出位置、吐出受け部を有する構成であってもよい。
【0012】
次に、図8は本発明のインクジェット記録装置の制御部のブロック図を示す。この制御部は、各種制御対象の制御を司るCPU500と、CPU500とデータバスによって接続された不揮発性メモリ501、空吐出指令回路503、主走査モータ動作指令回路506を備える。CPU500は、廃インク検出センサ505(112)からの検知信号にもとづいて第1の廃インクタンク113内の状況を判定する。空吐出指令回路503は、記録ヘッド504(14)に対して空吐出を指令する信号を出力する。主走査モータ動作指令回路506は、主走査モータドライバ507を制御して主走査モータ508(17)を駆動する。
即ち、CPU500は、空吐出指令回路503に空吐出の指令を行うことによって、空吐出指令回路503からの出力信号が記録ヘッド504に与えられ、インクの空吐出が行われる。また、CPU500は、主走査モータ動作指令回路506に対して、モータ回転の指令を行うことによって、主走査モータ動作指令回路506からの出力信号が主走査モータドライバ507から主走査モータ508に与えられ、主走査モータが回転し、キャリッジ13が主走査方向に移動される。
廃インク検出センサ505は、前記センサ112と同一のセンサであり、その出力信号はCPU500に与えられ、CPU500は、センサの出力信号から廃インクの吸収状況を判定する。
CPU500により不揮発性メモリ501に書き込まれたデータは、装置の電源が遮断された場合であっても記憶内容が保持される。
表示部502は、図示しないLCDやLED等を具備し、CPU500からの指令により装置の状態を、図示しない操作者に知らしめる役割を持つ。
【0013】
次に、満杯検知センサ112(505)による廃インク吸収状況検出の仕組みを図9(a)(b)に基づいて説明する。センサ112は、発光部301と受光部302を備えたフォトセンサであり、発光部301から発光された光が廃インク吸収体111に照射される。廃インクタンク113の一部は、発光部301からの出射光と受光部302への反射光を透過し得る透明材料にて構成する。廃インク吸収体111は白色もしくはそれに近い淡い色に構成され、廃インクを吸収していない原色の状態では、発光部301からの出射光を反射して受光素子302に入射し得るように構成されている。
図9(a)の状態では、廃インクIが廃インク吸収体111全体に浸透しておらず、発光部301からの光の照射面にまで達していないため、照射された光は廃インク吸収体111の上面(廃インクが存在しない)で反射して受光部302に入射され、受光部302からの受光信号を受けたCPU500は『廃インクなし』を判定し、その旨の信号を出力する。
図9(b)では、廃インクIが廃インク吸収体111の全体に浸透して照射面にまで達しているため、発光部301から照射された光は廃液吸収体111の上面で反射しないため、受光部302に入射されず、受光部302からの受光信号を受けなかったCPU500は『廃インクあり』を判定し、その旨の信号を出力する。
この『廃インクあり』を判定したCPU500は廃インク満杯を判定する。
また、図3中の第2の廃インクタンク116のように満杯検知センサ112を有しない廃インクタンクにあっては、センサからの検知情報に基づいて満杯か否かを判断することができないため、本実施形態では、CPU500が空吐出指令回路503に対して空吐出すべき旨の指令を行った際に、吐出したインクの吐出量(吐出回数)を不揮発性メモリ501に書き込むようにしている。
この際、CPU500は、空吐出の命令を出力するごとに、他の記憶手段内に予め設定された廃インク満杯量の値と、不揮発性メモリ501に書き込まれた現在までの実際のインク吐出量の累積値とを比較し、第2の廃インクタンク116の満杯の有無を検出する。
【0014】
以上の構成を備えた本発明のインクジェット記録装置の特徴的な構成は、まず第1に、合計容量が装置寿命に見合う総廃棄インク量に満たない複数の廃インクタンクを用いて装置内の空きスペース内に分散配置した点にあり、このように構成したため、装置の大型化を避けることができる。また、廃インクタンク113、116を平均的に利用するのではなく、満杯検知センサ112を備えた方の廃インクタンク113を優先的に利用し、満杯検知センサ112を使用しない廃インクタンク116は補助的に利用するに過ぎない点も特徴的である。
即ち、廃インクタンク116を利用した場合に行われるインク使用量カウントによる廃インクタンク満杯検知よりも、より正確に廃インクタンクの満杯を検知することができる満杯検知センサ112による検出を優先している。このため、満杯誤検知の発生率を大幅に低減することができる。
しかも、本実施形態においては、満杯検知センサ112を有する廃インクタンク113を1つにすることで、装置のコストダウンを行うことができる。他の廃インクタンク116については、実際に行われた空吐出量(回数)の累計を、記憶部に記憶された満杯に達するまでの総吐出量(回数)と比較して満杯になったか否かを判定するので、現実の満杯の状況との食い違いが発生し得るが、他の廃インクタンクについては廃インクタンク113を使用しない短い期間内のみに使用期間が限られるので、大きな影響はない。
【0015】
また、満杯検知センサ112を備える唯一の廃インクタンクとして、最大容量の廃インクタンク113を選定しているので、当該廃インクタンク113を使用する期間が最長となり、最も誤差が発生しやすい廃インクタンクの満杯検知を常に正確に行うことができる。一方、センサを用いず、空吐出回数をカウントすることにより満杯を推測する場合には、カウント数が多くなればなるほど(廃インクタンクの容量が大きくなればなるほど)、検出誤差が生じやすくなるので、当該廃インクタンクの容量を小さくして、カウント誤差による廃インク漏れが生じないようにすることができる。
また、満杯検知センサ112を装備し且つ最大容量を有する廃インクタンク113の使用を常に優先しているので、他の廃インクタンク116を使用した場合に発生し得るカウント誤差によるインク漏れを防ぐことができ、しかも、優先使用される廃インクタンク116は最大容量の廃インクタンクであるため長期間に渡って使用し続けることができ、満杯による廃インク吸収体の交換頻度を最低限にすることができる。
また、満杯検知センサ112を有する廃インクタンク113が満杯になった際に満杯を表示部に表示してユーザーに交換を促し、また満杯検知後、廃インク吸収体の交換前までは、その他の廃インクタンクを使用して廃インクを空吐出するので、ユーザーは装置を中断なく使用し続けることができ、さらに、満杯検知センサ付きの廃インクタンク、或いは廃インク吸収体が交換された後はセンサ付きのタンク113の使用を再開するので、検知誤差による廃インク漏れを防ぐことができる。
また、満杯検知センサ112を有する廃インクタンク113、或いは廃インク吸収体の交換は、満杯検知センサの検知状態が満杯検知から非満杯検知に変化することを条件として実施するので、タンク(吸収体)交換用の別センサを用いることなく、タンクの交換の必要性を正確に検知することができる。
【0016】
次に、図10は本発明の廃インクタンクの満杯検知手順、及び、廃インク吸収体の交換検出手順の一実施例を示すフローチャートであり、図11はCPU500による空吐出要求手順の一実施例を示すフローチャートである。
ノズルの清掃、メンテナンスを定期的に、或いは何らかの要求に基づいて実施する際に、制御部はいずれの空吐出位置110、114を選択すべきかの判断基準として満杯検知センサ112からの廃インク吸収状況検出情報を利用する。
即ち、満杯検知センサ(センサA)112による廃インク吸収状況検出を受ける第1の廃インク吸収体(廃インク吸収体A)111において、センサ112の受光部302がONの状態にあるとき、つまり第1の廃インク吸収体111が非満杯(非満タン)状態にある時には、CPU500は第1の空吐出位置110を指定して空吐出命令回路503に空吐出命令を行う。
受光部302がOFFとなった時点でCPU500は第1の廃インク吸収体111の満杯(満タン)を検出し、満杯状態を保持する(S21、22)。
満杯となった時点でCPU500は表示部502へ廃インク吸収体111の交換要求を表示することにより、ユーザーへ廃インク吸収体の交換を依頼するための表示を行う(S23)。
また、第1の廃インク吸収体111が満杯状態となった後の空吐出要求については、CPU500は第2の空吐出位置114を指定して空吐出命令回路503に空吐出の命令を行う(S31、33)。
ユーザーにより廃インク吸収体111が交換されると、センサ112の受光部302がONとなり(S24)、これにより、廃インク吸収体111の交換完了が検知される。交換完了検知後、CPU500は表示部502へインク吸収体交換の表示消去を依頼する(S25)。
ステップ31において、廃インク吸収体111が非満杯となった後は、CPU500は第1の空吐出位置110を指定して空吐出命令回路503に空吐出命令を行う(S32)。
【0017】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、インクジェットノズルからのインク滴の吐出状態が、増粘したインク、その他の異物により悪化した場合に、吐出状態を正常に回復させるために実施される空吐出メンテナンスにおいて、ノズルからの空吐出時に回収される廃インクを廃インクタンクに廃棄する場合に従来発生していた満杯誤検知、コスト増等という不具合を一挙に解決することができる。即ち、廃インクタンクの大型化を避けるために、装置寿命に満たない期間内に回収される廃インク量を収容できる程度に小容量の廃インクタンクを用い、且つこの廃インクタンクを更に小容量の単位に分割して装置内の空きスペース内に分散配備した場合に発生する不具合である個々の廃インクタンクについての満杯検知の困難化という問題を解決することができる。
即ち、請求項1の発明では、小容量の複数の廃インクタンクを平均的に使用するのではなく、センサによる満杯検知を受ける方の廃インクタンクを優先的に使用し、センサを使用せずインク使用量カウントによる満杯検知を行う廃インクタンクは補助的に使用する。即ち、インク使用量カウントによる満杯検知よりも、より正確に満杯を検知することができるセンサによる検出を優先している。このため、満杯誤検知の発生率を大幅に低減することができる。
請求項2の発明では、満杯検知センサを有する廃インクタンクを1つにすることで、装置のコストダウンを行うことができる。他の廃インクタンクについては、インク使用量カウントによる満杯検知を行うので、現実の満杯の状況との食い違いが発生し得るが、他の廃インクタンクについては短い期間内のみに使用期間が限られるので、大きな影響はない。
【0018】
請求項3の発明では、満杯検知センサを備える唯一の廃インクタンクとして、最大容量の廃インクタンクを選定しているので、当該廃インクタンクを使用する期間が最長となり、廃インクタンクの満杯検知を常に正確に行うことができる。請求項4の発明では、満杯検知センサを装備し且つ最大容量を有する廃インクタンクの使用を常に優先しているので、他の廃インクタンクを使用した場合に発生し得るカウント誤差によるインク漏れを防ぐことができ、しかも、優先使用される廃インクタンクは最大容量であるため長期間に渡って使用し続けることができ、満杯による廃インク吸収体の交換頻度を最小限にすることができる。
請求項5の発明では、センサによる満杯検知時に廃インクタンクが満杯になったことを表示してユーザーに交換を促し、また満杯検知後、廃インク吸収体の交換前までは、その他の廃インクタンクを使用して廃インクを空吐出するので、ユーザーは装置を中断なく使用し続けることができ、さらに、廃インク吸収体が交換された後はセンサ付きのタンクの使用を再開するので、検知誤差による廃インク漏れを防ぐことができる。
請求項6の発明では、センサを有する廃インクタンク、或いは廃インク吸収体の交換は、センサの検知状態が満杯検知から非満杯検知に変化することを条件として実施するので、タンク(吸収体)交換用の別センサを用いることなく、タンクの交換の必要性を正確に検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るインクジェット記録装置の略斜視図。
【図2】本発明の一実施形態に係るインクジェット記録装置の側部断面図。
【図3】本発明の一実施形態に係るインクジェット記録装置の要部構成を示す概略構成図。
【図4】本発明の一実施形態に係るインクジェット記録装置の要部構成を示す概略構成図。
【図5】本発明の一実施形態における空吐出位置Aでの空吐出動作を示すフローチャート。
【図6】本発明の一実施形態における空吐出位置Bで空吐出を行う場合の記録ヘッド位置を示す図。
【図7】本発明の一実施形態における空吐出位置Bでの空吐出動作を示すフローチャート。
【図8】本発明を実施するインクジェット記録装置の制御系のブロック図。
【図9】本発明の一実施形態に係る満杯検知センサの検出動作の説明図。
【図10】本発明の一実施形態における満杯検知から廃インク吸収体交換手順を示すフローチャート。
【図11】本発明の一実施形態における空吐出位置決定手順を示すフローチャート。
【符号の説明】
1 記録装置本体、2 印字機構部、3 用紙、4 給紙カセット(給紙トレイ)、5 手差しトレイ、11 主ガイドロッド、13 キャリッジ、14 記録ヘッド、15 カートリッジ、17 主走査モータ、37 信頼性維持回復機構(サブシステム)、101、102 記録ヘッド、103、103、104、105 ノズル列、107 キャップ、108 吸引兼用キャップ、110 第1の空吐出位置(信頼性維持回復位置)、111 第1の廃インク吸収体、112 満杯検知センサ、113 第1の廃インクタンク、114 第2の空吐出位置(信頼性維持回復位置)、115 第2の廃インク吸収体、116 第2の廃インクタンク、500 CPU、501 不揮発性メモリ、503 空吐出指令回路、506 主走査モータ動作指令回路。
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット記録装置に関し、特に、ノズル内の増粘したインクや異物等を強制的に吐出させて、複数の廃インクタンクにより受ける構成を採用した場合に、各廃インクタンク内に吐出された廃インクが各廃インクタンクからオーバーフローして外部に漏れる等の不具合を解消することができるインクジェット記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録装置は、印字信号に応じてノズルからインク滴を記録材上に吐出することにより画像を形成する手段であり、ノズルを備えた記録ヘッド(インクジェットヘッド)と、記録ヘッドを所定方向へ進退させるキャリッジと、記録材を印字位置に送り込む搬送機構等を備えている。印字時には、記録材の印字面がキャリッジの移動経路と対面するように記録材を停止させた状態で、キャリッジを記録材の搬送方向と直交する方向へ往復移動させながらノズルからインク滴を吐出させることにより、印字を行う。次いで、記録材を所定量だけ移動させて停止させ、上記の印字動作を繰り返す。
待機時には、印字領域から退避した待機位置にキャリッジを退避させ、待機位置において必要なメンテナンスを行うこととなる。
ところで、インクジェット記録装置にあっては、ノズル内に異物が詰まったり、気泡が発生したり、或いはノズル内のインクが乾燥して増粘することにより、インク吐出不良が発生し、これが印字品質を低下させる原因となる。
このような不具合に対処して正常な吐出状態に回復させるためのメンテナンス手段として、ポンプによってノズル内の異物や気泡や増粘したインクを強制的に吸引して吐出させたり、印字とは無関係にノズルからインク滴を空吐出させて正常な吐出状態に回復させる回復機構が提案されている。これらの回復機構によって回収されたインクは、装置内に配置された廃インクタンクに収容される。
しかしながら、従来のインクジェット記録装置において、廃インクタンクの容量を、長期にわたって回収され続ける廃インクを全て収容できる程度に大容量に設定した場合には、インクジェット記録装置の大型化を招き、インクジェット記録装置を搭載する各種機器の小型化に対応できなくなる。
【0003】
特開2000−979には、廃インクタンクを装置寿命の間に回収される廃インク全量を受容できる程度の大容量とはせず、装置寿命の途中で交換する必要が生じる程度に小型化し、さらに廃インクの量を確認できるよう廃インク量確認窓を設けることにより廃インクタンク満杯を確認できるようにした装置が開示されている。また、廃インクタンク満杯による装置使用不可期間を短縮するために使用する廃インク吸収体として、たとえばユーザーが入手可能なティッシュペーパーなどを使用可能にすることにより、使用不可期間を短縮し、ユーザーが簡単に廃インク吸収体を交換できるようにした装置についても開示されている。
しかし、インクジェット記録装置の小型化を図るために、装置寿命に満たない短い期間内に回収される廃インク量を収容可能な小容量の廃インクタンクを配置した場合には、廃インクタンクの満杯を正確に検知しない限り、インク漏れ等の不具合が発生するという問題がある。実際にも、満杯の誤検知は発生しやすく、誤検知によるインク漏れを解消するための提案や、回収した廃インクが確実に廃インクタンクに流入して溜まるようにするための提案や、廃インクタンクが満杯か否かを精度よく検知するための提案が種々なされている(特開2000−85142、特開2000−85143、特開2000−141704、特開2000−233521、特開平9―240021)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、いずれの従来例も、大型化、構成の複雑化、コストアップ等の不具合を伴う。
また、インクジェット記録装置の寿命に満たない期間内に回収される廃インクを収容可能な小容量の廃インクタンクを複数に分割して、各廃インクタンクを装置内の空きスペース内に分散して設置することにより、インクジェット記録装置の小型化を更に促進した提案がなされているが、このように廃インクタンクを複数個に分割した場合、分割された全ての廃インクタンクに満杯検知センサを設けるとすれば、コストアップをもたらすばかりでなく、満杯誤検知による廃インク漏れが発生する確率が高まる。
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、インクジェットノズルからのインク滴の吐出状態を正常化するために実施されるメンテナンスにおいて回収される廃インクを廃インクタンクに廃棄する場合に従来発生していた不具合を解決することを目的とする。具体的には、廃インクタンクの大型化を避けるために、インクジェット記録装置の寿命に満たない期間内に回収される量の廃インクを収容できる小容量の廃インクタンクを用い、且つこの廃インクタンクを更に小容量の単位に分割して装置内の空きスペース内に分散配備した場合に発生する不具合である個々の廃インクタンクについての満杯検知の困難化という問題を解決することができるインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、インク滴を吐出して記録材上に記録を行うためのノズルを備えた記録ヘッドと、該記録ヘッドを搭載して印字領域を移動するキャリッジと、該印字領域外の複数の信頼性維持回復位置に夫々配置されて該ノズルの機能を回復するための作業を実施する信頼性維持回復機構と、各信頼性維持回復位置に記録ヘッドが位置しているときにノズルからインクを空吐出させる制御部と、を備えたインクジェット記録装置において、前記信頼性維持回復機構は、ノズルから空吐出されたインク滴を吸収する廃インク吸収体を保持する複数の廃インクタンクと、該複数の廃インクタンクのうちの1つの廃インクタンクにのみ配備された満杯検知センサと、を備えたことを特徴とする。
従来、廃インクタンクの容量を装置寿命より短くし小型化し、また装置の空きスペースに設置可能なように複数個の廃インクタンクに分割した廃インクタンクが提案されている。
インクジェット記録装置の全寿命期間中に廃棄される廃インクの全量に見合う容量を備えた一つの廃インクタンクを装備する場合の大型化という不具合を解消するために、前記廃インクタンクよりも小さい容量の廃インクタンクを使用する場合には、廃インクの漏れ出しを防止するために満杯検知センサを設ける必要が生じ、誤検知も多々発生し易くなる。特に、複数の小容量タンクを装置内のスペースに分散配置した場合に、全ての小容量タンクに満杯検知センサを設けるとすれば、誤検知発生率の増大、コストアップという不具合を生じる。
この発明では、満杯検知センサを用いる廃インクタンクを一つに限ることにより、満杯検知ミスによる廃インク漏れを防止できる。即ち、設置した全ての廃インクタンクに満杯検知センサを設けた場合には、装置コストが上がってしまう。このため満杯検知センサを1つのみ使用する構成でありながら、廃インクタンクの満杯検知時に装置が使用不可となる事態を回避できる。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1において、前記制御部は、書き込まれたデータを保持可能な不揮発性メモリを有し、前記満杯検知センサを備えた廃インクタンク以外の廃インクタンクにおける満杯検知を、前記ノズルからのインク吐出量をカウントすることにより行うことを特徴とする。
満杯検知センサを備えた廃インクタンクが満杯になった場合には、センサ無し廃インクタンクに切り替えるが、この際には空吐出回数をソフト的にカウントして満杯を判断するので、正確性の点ではセンサに劣るものの、廃インク漏れを防止することができる。しかも、センサ無しタンクの使用期間は短いため、誤判断によって廃インク漏れが発生する恐れは少ない。
請求項3の発明は、請求項1又は2において、前記満杯検知センサを備えた廃インクタンクは、複数の廃インクタンクのうちの最大の容量を持つ廃インクタンクであることを特徴とする。
廃インクのカウントによる容量検出ではカウント量が多いほど(廃インクタンクの容量が大きくなるほど)誤差が生じると考えられる。このため、満杯検知センサを最大容量の廃インクタンクのみに設け、カウント誤差による廃インク漏れが発生しないようにしている。
請求項4の発明は、請求項1、2又は3において、前記複数の廃インクタンクのうち、前記満杯検知センサを有する廃インクタンクから使用開始することを特徴とする。
満杯検知センサ無しの廃インクタンクを優先的に使用した場合、カウント誤差による廃インク漏れが心配される。このような不具合を防ぐために満杯検知センサ付きの廃インクタンクを優先使用する。
【0007】
請求項5の発明は、請求項1、2、3又は4において、前記制御部は、前記満杯検知センサにより前記廃インクタンクの満杯が検知された時点で廃インクタンク内の廃インク吸収体の交換要求を表示部に表示し、該表示後に満杯検知センサ無しの廃インクタンクを使用して空吐出を継続し、満杯検知センサにより前記廃インクタンクの廃インク吸収体が交換されたことが検知されたときに前記満杯検知センサ付き廃インクタンクの使用を再開することを特徴とする。
廃インクタンクが満杯になった際に満杯を表示して吸収体の交換を促しただけで格別の措置を講じないのでは、ユーザーが装置を使用できない時間が生じてしまう。そこで、満杯を表示した後には継続して複数個ある別の廃インクタンクを使用して空吐出を行うことでユーザーが装置を使用できない時間を生じさせないこととした。また、ユーザーに廃インク吸収体交換を促すことができる。
請求項6の発明は、請求項1、2、3、4又は5において、前記満杯検知センサが、前記廃インクタンクが満杯から非満杯に変化したことを検知したときに、前記満杯検知センサ付き廃インクタンクに用いる廃インク吸収体の交換を行うことを特徴とする。
廃インクタンクが交換されたことが検知できない場合、満杯検知センサ付きの廃インクタンクの使用を再開するタイミングを検知する手段がない。この発明によれば、吸収体が交換されて満杯検知センサが非満杯を再び検知したときを、再開タイミングとしたので、コストアップすることなしに廃インク吸収体の交換を検知することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面に示した実施の形態により詳細に説明する。
図1は本発明の一実施形態に係るインクジェット記録装置の外観及び内部構成を示す概略斜視図、図2は同インクジェット記録装置の構成を示す側面図である。
このインクジェット記録装置は、記録装置本体1の内部に配置された印字機構部2、装置本体1の下方部に着脱自在に配置され前方側から多数枚の用紙3を積載可能な給紙カセット(給紙トレイ)4、記録装置本体1に対して開閉自在に取り付けられ用紙3を手差しで給紙するための手差しトレイ5を備える。
印字機構部2は、記録装置本体1の内部に主走査方向に移動可能に支持されたキャリッジ13、キャリッジ13に搭載されたインクジェットヘッドからなる記録ヘッド14、記録ヘッド14にインクを供給するインクカートリッジ15等で構成される。印字機構部2は、図示しない左右の側板に横架したガイド部材である主ガイドロッド11でキャリッジ13を主走査方向に摺動自在に保持し、このキャリッジ13にはイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の各色のインク滴を吐出する記録ヘッド14を、インク滴吐出方向(ノズルからの吐出方向)を下方に向けて装着している。そして、キャリッジ13から離間した装置本体内の適所には記録ヘッド14に各色のインクを供給するためのインクカートリッジ(インクタンク)15を着脱自在に配置し、インク供給チューブ16によって記録ヘッド14にインクを供給するように構成している。キャリッジ13に設けたサブタンク12は、インク供給チューブ16を介してインクタンク(インクカートリッジ)15と接続され、インクタンク15からインクの供給を受ける。
キャリッジ13は、主ガイドロッド11により主走査方向へ摺動自在に支持されている。そして、このキャリッジ13を主走査方向に移動走査するため、主走査モータ17で回転駆動される駆動プーリ18と従動プーリ19との間にタイミングベルト20を張装し、このタイミングベルト20をキャリッジ13に固定して駆動力を伝達させている。
また、記録ヘッド14としてここでは各色のヘッド14を用いているが、各色のインク滴を吐出するノズルを有する1個のヘッドを用いてもよい。さらに、記録ヘッド14として用いるインクジェットヘッドは、圧電素子などの電気機械変換素子によって液室(インク流路)壁面を形成する振動板を変形させることによりインクを加圧するピエゾ型のもの、或いは発熱抵抗体による膜沸騰でバブルを生じさせてインクを加圧するバブル型のもの、若しくはインク流路壁面を形成する振動板とこれに対向する電極との間の静電力で振動板を変位させてインクを加圧する静電型のものなどを使用することができるが、本実施形態では後述するように静電型インクジェットヘッドを用いている。
【0009】
用紙3を搬送する搬送機構は、給紙カセット4或いは手差しトレイ5から給送される用紙3を印字機構部2に搬送し、印字機構部2によって所要の画像を記録した後、後面側に装着された排紙トレイ6に排紙する。
即ち、搬送機構は、給紙カセット4にセットした用紙3を記録ヘッド14の直下に位置する印字位置に搬送するために、給紙カセット4から用紙3を分離給装する給紙ローラ21及びフリクションパッド22と、用紙3を案内するガイド部材23と、給紙された用紙3を反転させて搬送する搬送ローラ24と、この搬送ローラ24の周面に押し付けられる搬送コロ25及び搬送ローラ24からの用紙3の送り出し角度を規定する先端コロ26とを備えている。搬送ローラ24は、副走査モータ27によってギヤ列を介して回転駆動される。
キャリッジ13の主走査方向の移動範囲に対応して搬送ローラ24から送り出された用紙3を記録ヘッド14直下の印字位置に案内する静電搬送ベルト29が設けられている。この静電搬送ベルト29は、チャージャ30からの放電により帯電して搬送されてきた用紙3を吸着し、用紙面とヘッド面とを並行に保つ役割を担っている。静電搬送ベルト29の用紙搬送方向下流側には、用紙3を排紙トレイ6に送り出す排紙コロ33を配設している。
また、キャリッジ13の移動方向左右両端側には、夫々記録ヘッド14の信頼性を維持、回復するための信頼性維持回復機構(以下「サブシステム」という。)37を配置している。キャリッジ13は印字待機中にはこのサブシステム37側の位置(以下、信頼性維持回復位置、という。)に移動されてキャッピング、空吐出などによって記録ヘッド14のノズル部を清掃される。キャッピングとは、記録ヘッドのノズル部をキャッピングした状態でポンプによってノズルに溜まった劣化インク等を吸引することによりノズルの機能を回復させるヘッドクリーニング動作である。空吐出とは、記録ヘッドを動作させてノズルからインクを空吐出させることによって、ノズルの機能回復を図る動作である。
また、キャリッジ13がサブシステム37側の位置にあるときに、本発明に係る第2駆動波形を用いた信頼性維持回復動作の一環としてのメニスカス振動を発生させる制御も行う。
【0010】
次に、図3を用いて、キャッピング、及び空吐出による回復動作を説明する。図3は、インクジェット記録装置を正面から見た概略図であり、キャリッジ13は、図1、2中のキャリッジ13と同一のものである。
キャリッジ13には2つの記録ヘッド101、102が装着され、さらに記録ヘッド101、102にはそれぞれ2本のノズル列103、104及び105、106が配置され、各ノズルからインク滴が噴射される。
キャリッジ13が図3の位置にある場合、ヘッド101はキャップ107により、記録ヘッド102は吸引兼用キャップ108により夫々覆われ、各キャップによって各ヘッド面を保湿し、ノズル列中のインクの目詰まりがおきにくいように保護されている。吸引兼用キャップ108は、図示しないポンプと接続され、必要に応じて上記キャッピングが実行される。
但し、待機時におけるキャップによる保湿保護だけでは、ノズルにおけるインク詰まりを完全には防ぐことは難しいため、所定のタイミングで印字位置以外の領域でインクを吐出する空吐出動作が行われる。
キャリッジ13による印字が行われる紙搬送路に相当する領域から回避した左右両サイドには、夫々第1の空吐出位置(第1の空吐出受入れ口)110及び第2の空吐出位置(第2の空吐出受入れ口)114が設けられ、各空吐出位置110、114においてノズルから吐出されたインク滴は、夫々下方に位置する第1の廃インク吸収体111及び、第2の廃インク吸収体115によって吸収保持される。これら廃インク吸収体111及び、廃インク吸収体115を夫々収容する容器が第1及び第2の廃インクタンク113、及び116である。各廃インク吸収体は、例えば各廃インクタンクに対してカートリッジ式に着脱可能に構成される。
また、第1の廃インクタンク113の適所には、内部に収容した第1の廃インク吸収体111による廃インクの吸収状況を検知するための満杯センサ112が備えられている。
【0011】
図4は、第1の空吐出位置110においてノズルから空吐出を行う場合の記録ヘッド101、102の位置を示したもので、ここで吐出されたインクは第1の廃インク吸収体111により吸収される。
この例では、第1の空吐出位置110の廃インクの吐出を受ける部分の開口幅が比較的小さいため、1回の空吐出動作につき、1つのヘッドからの吐出のみが可能となっている。
図4に示した第1の空吐出位置110(吐出位置A)における空吐出動作を図5に示した動作フローに基づいて説明する。
まず、最初に空吐出を行う記録ヘッド(図4の例ではヘッド101)が第1の空吐出位置110の位置に来るようにキャリッジ13を移動させる(S1)。キャリッジ13の移動が完了した後に、吐出動作を行い(S2、3)、吐出動作が完了したら(S4 Yes)、次に空吐出を行うヘッド102を空吐出位置110に来るようにキャリッジ13を移動させ、同様に吐出動作を行う。こうして全てのヘッドについて吐出動作を行った後、キャリッジ13をキャッピング位置まで戻して動作を終了させる(S5、6、7)。
後述するように、本発明では、空吐出を行うための廃インクタンクとして、大容量且つ満杯検知センサ112を備えた第1の廃インクタンク113を優先している。
次に、図6は、第2の空吐出位置(吐出位置B)114で空吐出を行う場合の記録ヘッド位置を示したもので、ここで吐出された廃インクは第2の廃インク吸収体115により吸収保持される。
この例では、第2の空吐出位置114の廃インクの吐出を受ける部分の開口幅が比較的大きいため、1回の空吐出動作につき、同時に全ての記録ヘッドからの吐出のみが可能となっている。
図7に示したフローに基づいて、第2の空吐出位置114にて空吐出を行う場合の動作について説明する。
まず、全ての記録ヘッド(図6の例ではヘッド101及び102)が第2の空吐出位置114に来るようにキャリッジ13を移動させる(S11)。キャリッジの移動が完了した後に、吐出動作を行う(S12、13)。吐出動作が完了したら、キャリッジをキャッピング位置まで戻して動作を終了させる(S14、15、16)。
なお、第1の空吐出位置110が第2の空吐出位置114と同様の構造の吐出受け部を有していてもよく、第2の空吐出位置114が第1の空吐出位置110と同様の構造の吐出受け部を有していてもよく、また、第1の空吐出位置110、第2の空吐出位置114の吐出受け部の構成が逆であっても良く、さらに複数個の空吐出位置、吐出受け部を有する構成であってもよい。
【0012】
次に、図8は本発明のインクジェット記録装置の制御部のブロック図を示す。この制御部は、各種制御対象の制御を司るCPU500と、CPU500とデータバスによって接続された不揮発性メモリ501、空吐出指令回路503、主走査モータ動作指令回路506を備える。CPU500は、廃インク検出センサ505(112)からの検知信号にもとづいて第1の廃インクタンク113内の状況を判定する。空吐出指令回路503は、記録ヘッド504(14)に対して空吐出を指令する信号を出力する。主走査モータ動作指令回路506は、主走査モータドライバ507を制御して主走査モータ508(17)を駆動する。
即ち、CPU500は、空吐出指令回路503に空吐出の指令を行うことによって、空吐出指令回路503からの出力信号が記録ヘッド504に与えられ、インクの空吐出が行われる。また、CPU500は、主走査モータ動作指令回路506に対して、モータ回転の指令を行うことによって、主走査モータ動作指令回路506からの出力信号が主走査モータドライバ507から主走査モータ508に与えられ、主走査モータが回転し、キャリッジ13が主走査方向に移動される。
廃インク検出センサ505は、前記センサ112と同一のセンサであり、その出力信号はCPU500に与えられ、CPU500は、センサの出力信号から廃インクの吸収状況を判定する。
CPU500により不揮発性メモリ501に書き込まれたデータは、装置の電源が遮断された場合であっても記憶内容が保持される。
表示部502は、図示しないLCDやLED等を具備し、CPU500からの指令により装置の状態を、図示しない操作者に知らしめる役割を持つ。
【0013】
次に、満杯検知センサ112(505)による廃インク吸収状況検出の仕組みを図9(a)(b)に基づいて説明する。センサ112は、発光部301と受光部302を備えたフォトセンサであり、発光部301から発光された光が廃インク吸収体111に照射される。廃インクタンク113の一部は、発光部301からの出射光と受光部302への反射光を透過し得る透明材料にて構成する。廃インク吸収体111は白色もしくはそれに近い淡い色に構成され、廃インクを吸収していない原色の状態では、発光部301からの出射光を反射して受光素子302に入射し得るように構成されている。
図9(a)の状態では、廃インクIが廃インク吸収体111全体に浸透しておらず、発光部301からの光の照射面にまで達していないため、照射された光は廃インク吸収体111の上面(廃インクが存在しない)で反射して受光部302に入射され、受光部302からの受光信号を受けたCPU500は『廃インクなし』を判定し、その旨の信号を出力する。
図9(b)では、廃インクIが廃インク吸収体111の全体に浸透して照射面にまで達しているため、発光部301から照射された光は廃液吸収体111の上面で反射しないため、受光部302に入射されず、受光部302からの受光信号を受けなかったCPU500は『廃インクあり』を判定し、その旨の信号を出力する。
この『廃インクあり』を判定したCPU500は廃インク満杯を判定する。
また、図3中の第2の廃インクタンク116のように満杯検知センサ112を有しない廃インクタンクにあっては、センサからの検知情報に基づいて満杯か否かを判断することができないため、本実施形態では、CPU500が空吐出指令回路503に対して空吐出すべき旨の指令を行った際に、吐出したインクの吐出量(吐出回数)を不揮発性メモリ501に書き込むようにしている。
この際、CPU500は、空吐出の命令を出力するごとに、他の記憶手段内に予め設定された廃インク満杯量の値と、不揮発性メモリ501に書き込まれた現在までの実際のインク吐出量の累積値とを比較し、第2の廃インクタンク116の満杯の有無を検出する。
【0014】
以上の構成を備えた本発明のインクジェット記録装置の特徴的な構成は、まず第1に、合計容量が装置寿命に見合う総廃棄インク量に満たない複数の廃インクタンクを用いて装置内の空きスペース内に分散配置した点にあり、このように構成したため、装置の大型化を避けることができる。また、廃インクタンク113、116を平均的に利用するのではなく、満杯検知センサ112を備えた方の廃インクタンク113を優先的に利用し、満杯検知センサ112を使用しない廃インクタンク116は補助的に利用するに過ぎない点も特徴的である。
即ち、廃インクタンク116を利用した場合に行われるインク使用量カウントによる廃インクタンク満杯検知よりも、より正確に廃インクタンクの満杯を検知することができる満杯検知センサ112による検出を優先している。このため、満杯誤検知の発生率を大幅に低減することができる。
しかも、本実施形態においては、満杯検知センサ112を有する廃インクタンク113を1つにすることで、装置のコストダウンを行うことができる。他の廃インクタンク116については、実際に行われた空吐出量(回数)の累計を、記憶部に記憶された満杯に達するまでの総吐出量(回数)と比較して満杯になったか否かを判定するので、現実の満杯の状況との食い違いが発生し得るが、他の廃インクタンクについては廃インクタンク113を使用しない短い期間内のみに使用期間が限られるので、大きな影響はない。
【0015】
また、満杯検知センサ112を備える唯一の廃インクタンクとして、最大容量の廃インクタンク113を選定しているので、当該廃インクタンク113を使用する期間が最長となり、最も誤差が発生しやすい廃インクタンクの満杯検知を常に正確に行うことができる。一方、センサを用いず、空吐出回数をカウントすることにより満杯を推測する場合には、カウント数が多くなればなるほど(廃インクタンクの容量が大きくなればなるほど)、検出誤差が生じやすくなるので、当該廃インクタンクの容量を小さくして、カウント誤差による廃インク漏れが生じないようにすることができる。
また、満杯検知センサ112を装備し且つ最大容量を有する廃インクタンク113の使用を常に優先しているので、他の廃インクタンク116を使用した場合に発生し得るカウント誤差によるインク漏れを防ぐことができ、しかも、優先使用される廃インクタンク116は最大容量の廃インクタンクであるため長期間に渡って使用し続けることができ、満杯による廃インク吸収体の交換頻度を最低限にすることができる。
また、満杯検知センサ112を有する廃インクタンク113が満杯になった際に満杯を表示部に表示してユーザーに交換を促し、また満杯検知後、廃インク吸収体の交換前までは、その他の廃インクタンクを使用して廃インクを空吐出するので、ユーザーは装置を中断なく使用し続けることができ、さらに、満杯検知センサ付きの廃インクタンク、或いは廃インク吸収体が交換された後はセンサ付きのタンク113の使用を再開するので、検知誤差による廃インク漏れを防ぐことができる。
また、満杯検知センサ112を有する廃インクタンク113、或いは廃インク吸収体の交換は、満杯検知センサの検知状態が満杯検知から非満杯検知に変化することを条件として実施するので、タンク(吸収体)交換用の別センサを用いることなく、タンクの交換の必要性を正確に検知することができる。
【0016】
次に、図10は本発明の廃インクタンクの満杯検知手順、及び、廃インク吸収体の交換検出手順の一実施例を示すフローチャートであり、図11はCPU500による空吐出要求手順の一実施例を示すフローチャートである。
ノズルの清掃、メンテナンスを定期的に、或いは何らかの要求に基づいて実施する際に、制御部はいずれの空吐出位置110、114を選択すべきかの判断基準として満杯検知センサ112からの廃インク吸収状況検出情報を利用する。
即ち、満杯検知センサ(センサA)112による廃インク吸収状況検出を受ける第1の廃インク吸収体(廃インク吸収体A)111において、センサ112の受光部302がONの状態にあるとき、つまり第1の廃インク吸収体111が非満杯(非満タン)状態にある時には、CPU500は第1の空吐出位置110を指定して空吐出命令回路503に空吐出命令を行う。
受光部302がOFFとなった時点でCPU500は第1の廃インク吸収体111の満杯(満タン)を検出し、満杯状態を保持する(S21、22)。
満杯となった時点でCPU500は表示部502へ廃インク吸収体111の交換要求を表示することにより、ユーザーへ廃インク吸収体の交換を依頼するための表示を行う(S23)。
また、第1の廃インク吸収体111が満杯状態となった後の空吐出要求については、CPU500は第2の空吐出位置114を指定して空吐出命令回路503に空吐出の命令を行う(S31、33)。
ユーザーにより廃インク吸収体111が交換されると、センサ112の受光部302がONとなり(S24)、これにより、廃インク吸収体111の交換完了が検知される。交換完了検知後、CPU500は表示部502へインク吸収体交換の表示消去を依頼する(S25)。
ステップ31において、廃インク吸収体111が非満杯となった後は、CPU500は第1の空吐出位置110を指定して空吐出命令回路503に空吐出命令を行う(S32)。
【0017】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、インクジェットノズルからのインク滴の吐出状態が、増粘したインク、その他の異物により悪化した場合に、吐出状態を正常に回復させるために実施される空吐出メンテナンスにおいて、ノズルからの空吐出時に回収される廃インクを廃インクタンクに廃棄する場合に従来発生していた満杯誤検知、コスト増等という不具合を一挙に解決することができる。即ち、廃インクタンクの大型化を避けるために、装置寿命に満たない期間内に回収される廃インク量を収容できる程度に小容量の廃インクタンクを用い、且つこの廃インクタンクを更に小容量の単位に分割して装置内の空きスペース内に分散配備した場合に発生する不具合である個々の廃インクタンクについての満杯検知の困難化という問題を解決することができる。
即ち、請求項1の発明では、小容量の複数の廃インクタンクを平均的に使用するのではなく、センサによる満杯検知を受ける方の廃インクタンクを優先的に使用し、センサを使用せずインク使用量カウントによる満杯検知を行う廃インクタンクは補助的に使用する。即ち、インク使用量カウントによる満杯検知よりも、より正確に満杯を検知することができるセンサによる検出を優先している。このため、満杯誤検知の発生率を大幅に低減することができる。
請求項2の発明では、満杯検知センサを有する廃インクタンクを1つにすることで、装置のコストダウンを行うことができる。他の廃インクタンクについては、インク使用量カウントによる満杯検知を行うので、現実の満杯の状況との食い違いが発生し得るが、他の廃インクタンクについては短い期間内のみに使用期間が限られるので、大きな影響はない。
【0018】
請求項3の発明では、満杯検知センサを備える唯一の廃インクタンクとして、最大容量の廃インクタンクを選定しているので、当該廃インクタンクを使用する期間が最長となり、廃インクタンクの満杯検知を常に正確に行うことができる。請求項4の発明では、満杯検知センサを装備し且つ最大容量を有する廃インクタンクの使用を常に優先しているので、他の廃インクタンクを使用した場合に発生し得るカウント誤差によるインク漏れを防ぐことができ、しかも、優先使用される廃インクタンクは最大容量であるため長期間に渡って使用し続けることができ、満杯による廃インク吸収体の交換頻度を最小限にすることができる。
請求項5の発明では、センサによる満杯検知時に廃インクタンクが満杯になったことを表示してユーザーに交換を促し、また満杯検知後、廃インク吸収体の交換前までは、その他の廃インクタンクを使用して廃インクを空吐出するので、ユーザーは装置を中断なく使用し続けることができ、さらに、廃インク吸収体が交換された後はセンサ付きのタンクの使用を再開するので、検知誤差による廃インク漏れを防ぐことができる。
請求項6の発明では、センサを有する廃インクタンク、或いは廃インク吸収体の交換は、センサの検知状態が満杯検知から非満杯検知に変化することを条件として実施するので、タンク(吸収体)交換用の別センサを用いることなく、タンクの交換の必要性を正確に検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るインクジェット記録装置の略斜視図。
【図2】本発明の一実施形態に係るインクジェット記録装置の側部断面図。
【図3】本発明の一実施形態に係るインクジェット記録装置の要部構成を示す概略構成図。
【図4】本発明の一実施形態に係るインクジェット記録装置の要部構成を示す概略構成図。
【図5】本発明の一実施形態における空吐出位置Aでの空吐出動作を示すフローチャート。
【図6】本発明の一実施形態における空吐出位置Bで空吐出を行う場合の記録ヘッド位置を示す図。
【図7】本発明の一実施形態における空吐出位置Bでの空吐出動作を示すフローチャート。
【図8】本発明を実施するインクジェット記録装置の制御系のブロック図。
【図9】本発明の一実施形態に係る満杯検知センサの検出動作の説明図。
【図10】本発明の一実施形態における満杯検知から廃インク吸収体交換手順を示すフローチャート。
【図11】本発明の一実施形態における空吐出位置決定手順を示すフローチャート。
【符号の説明】
1 記録装置本体、2 印字機構部、3 用紙、4 給紙カセット(給紙トレイ)、5 手差しトレイ、11 主ガイドロッド、13 キャリッジ、14 記録ヘッド、15 カートリッジ、17 主走査モータ、37 信頼性維持回復機構(サブシステム)、101、102 記録ヘッド、103、103、104、105 ノズル列、107 キャップ、108 吸引兼用キャップ、110 第1の空吐出位置(信頼性維持回復位置)、111 第1の廃インク吸収体、112 満杯検知センサ、113 第1の廃インクタンク、114 第2の空吐出位置(信頼性維持回復位置)、115 第2の廃インク吸収体、116 第2の廃インクタンク、500 CPU、501 不揮発性メモリ、503 空吐出指令回路、506 主走査モータ動作指令回路。
Claims (6)
- インク滴を吐出して記録材上に記録を行うためのノズルを備えた記録ヘッドと、該記録ヘッドを搭載して印字領域を移動するキャリッジと、該印字領域外の複数の信頼性維持回復位置に夫々配置されて該ノズルの機能を回復するための作業を実施する信頼性維持回復機構と、各信頼性維持回復位置に記録ヘッドが位置しているときにノズルからインクを空吐出させる制御部と、を備えたインクジェット記録装置において、
前記信頼性維持回復機構は、ノズルから空吐出されたインク滴を吸収する廃インク吸収体を保持する複数の廃インクタンクと、該複数の廃インクタンクのうちの1つの廃インクタンクにのみ配備された満杯検知センサと、を備えたことを特徴とするインクジェット記録装置。 - 前記制御部は、書き込まれたデータを保持可能な不揮発性メモリを有し、
前記満杯検知センサを備えた廃インクタンク以外の廃インクタンクにおける満杯検知を、前記ノズルからのインク吐出量をカウントすることにより行うことを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。 - 前記満杯検知センサを備えた廃インクタンクは、複数の廃インクタンクのうちの最大の容量を持つ廃インクタンクであることを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェット記録装置。
- 前記複数の廃インクタンクのうち、前記満杯検知センサを有する廃インクタンクから使用開始することを特徴と請求項1、2又は3に記載のインクジェット記録装置。
- 前記制御部は、前記満杯検知センサにより前記廃インクタンクの満杯が検知された時点で廃インクタンク内の廃インク吸収体の交換要求を表示部に表示し、該表示後に満杯検知センサ無しの廃インクタンクを使用して空吐出を継続し、満杯検知センサにより前記廃インクタンクの廃インク吸収体が交換されたことが検知されたときに前記満杯検知センサ付き廃インクタンクの使用を再開することを特徴とする請求項1、2、3又は4の何れか一項に記載のインクジェット記録装置。
- 前記満杯検知センサが、前記廃インクタンクが満杯から非満杯に変化したことを検知したときに、前記満杯検知センサ付き廃インクタンクに用いる廃インク吸収体の交換を行うことを特徴とする請求項1、2、3、4又は5の何れか一項に記載のインクジェット記録装置。
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JP2008132698A (ja) * | 2006-11-29 | 2008-06-12 | Ricoh Co Ltd | 画像形成装置、交換用廃液タンク、廃液タンク |
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