JP2004066540A - インクジェット画像形成装置の記録媒体浮き上がり防止構造及びその記録媒体浮き上がり防止構造を備えたインクジェット画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】キャリッジにスターホイールを備えさせることで記録用紙の浮き上がりを防止する構成に対し、簡素な構成でもって、スターホイールが記録用紙搬送の抵抗となることを回避しつつ記録媒体の浮き上がりを良好に阻止可能とする。
【解決手段】キャリッジ51に、ホルダ92を主走査方向に延びる回動軸回りに回動自在に支持する。ホルダ92に、スターホイール91を副走査方向に延びる回動軸回りに回動自在に支持する。キャリッジ51が主走査方向に移動しながら画像形成を行う際、スターホイール91が記録用紙Pの表面を押さえ込み、浮き上がりを防止する。記録用紙Pの搬送動作時、ホルダ92が回動してスターホイール91は記録用紙Pに対する相対位置が変化しないように記録用紙Pに追従して移動する。
【選択図】 図5
【解決手段】キャリッジ51に、ホルダ92を主走査方向に延びる回動軸回りに回動自在に支持する。ホルダ92に、スターホイール91を副走査方向に延びる回動軸回りに回動自在に支持する。キャリッジ51が主走査方向に移動しながら画像形成を行う際、スターホイール91が記録用紙Pの表面を押さえ込み、浮き上がりを防止する。記録用紙Pの搬送動作時、ホルダ92が回動してスターホイール91は記録用紙Pに対する相対位置が変化しないように記録用紙Pに追従して移動する。
【選択図】 図5
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェットプリンタに代表されるインクジェット画像形成装置の記録媒体浮き上がり防止構造及びその記録媒体浮き上がり防止構造を備えたインクジェット画像形成装置に係る。特に、本発明は、スターホイール等のホイール部材をインク吐出ユニットに備えさせ(例えば、このインク吐出ユニットの構成部材であるキャリッジにホイール部材を取り付け)、このホイール部材が記録媒体を押さえ込んで浮き上がりを防止するようにしたものの改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、インクジェット画像形成装置(以下、インクジェットプリンタと呼ぶ)における画像形成動作としては、先ず、給紙トレイに収容されている複数枚の記録用紙のうち1枚を搬送路に送り出し、この記録用紙を、搬送路を経て画像形成部に供給する。そして、この画像形成部において用紙表面にインク滴を吐出することで所定の画像形成を行った後に、この記録用紙を排出トレイに排紙するようになっている。
【0003】
また、シリアルヘッドタイプのインクジェットプリンタの場合、画像形成部には、インクカートリッジを搭載したキャリッジが配設されており、このキャリッジが走査動作を行いながらインクカートリッジから記録ヘッドに供給されたインクによって上記画像形成動作を行うようになっている。
【0004】
一般に、この種のインクジェットプリンタは、記録用紙の片面(上面)にインク滴を吐出して画像形成動作を行うため、このインク滴が滴下される記録用紙の片面がインクの吸収に伴って膨潤する。この片面の膨潤に伴い記録用紙には若干の反りが発生する。
【0005】
通常の画像形成動作にあっては、この記録用紙の反りは僅かであり殆ど問題とならない。
【0006】
ところが、比較的濃度の高いインクを多用して画像形成を行う場合には上記膨潤が進んでしまい記録用紙の反りが大きくなる。また、比較的濃度の低いインクを多用した場合であっても、画像形成動作の途中で何らかの不具合が生じて画像形成動作が中断した際には、その後に画像形成動作が再開されるまでの時間が長くなるに従って上記膨潤が進み、記録用紙の反りが大きくなる。更には、イメージデータの画像形成を行う場合には、記録用紙の送りピッチを小さくすることがあり、この場合にも画像形成完了までの時間が長くなって上記膨潤が進み、記録用紙の反りが大きくなる。
【0007】
そして、このように膨潤が進んで記録用紙の反りが大きくなった状況では、記録ヘッドと記録用紙との間隔が適切に得られず、インク滴の着弾位置にズレが生じて画質の悪化を招いてしまう。また、膨潤が著しく進み、記録用紙が記録ヘッドに接触してしまった場合には、用紙表面が汚れたり、用紙ジャムが発生したり、記録ヘッドのノズルに目詰まりが発生するといった不具合が生じてしまう。
【0008】
この不具合を解消するものとして、例えば特開平3−21458号公報に開示されているインクジェットプリンタがある。この公報には、キャリッジの記録ヘッド両側(キャリッジ主走査方向の両側)にスターホイールを設けておき、このスターホイールによって記録用紙を押さえ込み、仮に記録用紙が膨潤したとしても記録用紙が記録ヘッド側へ浮き上がることを阻止できるようにした構成が開示されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記スターホイールがキャリッジ主走査方向にのみ回転する構成では、キャリッジ走査後の記録用紙搬送動作時において、このスターホイールが記録用紙搬送の抵抗となってしまう。
【0010】
このため、上記公報には、記録用紙搬送動作時にスターホイールを記録用紙から後退させるためのソレノイドを備えさせている。しかしながら、これではキャリッジ周辺部の構成が複雑化し、装置の大型化を招いてしまう可能性があるため好ましくない。また、このソレノイドを備えた構成において画像形成動作の高速化を図るためには、キャリッジ走査動作から記録用紙搬送動作への切り換えタイミングと、スターホイールを記録用紙から後退させるタイミングとを高精度で一致させる必要がある。このため、制御が煩雑化してしまい実用性に欠けることになる。
【0011】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、キャリッジや記録ヘッド等により構成されるインク吐出ユニットにスターホイール等のホイール部材を備えさせることで記録用紙の浮き上がりを防止する構成に対し、簡素な構成でもって、スターホイールが記録用紙搬送の抵抗となることを回避しつつ記録媒体の浮き上がりを良好に阻止可能とする記録媒体浮き上がり防止構造及びその記録媒体浮き上がり防止構造を備えたインクジェット画像形成装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
−発明の概要−
上記の目的を達成するために、本発明は、記録用紙(記録媒体)を押さえ込んで浮き上がりを防止するスターホイール(ホイール部材)の支持構造として、このスターホイールが主走査方向に回転自在となるように支持すると共に、記録用紙の搬送動作時には、このスターホイールと記録用紙との相対位置が変化しないようにスターホイールが記録媒体の搬送に追従して移動可能となるようにしている。
【0013】
−解決手段−
具体的には、インク吐出ユニットが主走査方向に移動しながら記録媒体に向けてインクを吐出することにより記録媒体上に画像形成を行うインクジェット画像形成装置を前提とする。このインクジェット画像形成装置における記録媒体浮き上がり防止構造として、上記インク吐出ユニットに、記録媒体の表面を押さえ込んで浮き上がりを防止するホイール部材を取り付ける。そして、このホイール部材を、主走査方向に回転自在とすると共にその回転を伴うことなしに記録媒体の搬送方向に移動可能とするようにインク吐出ユニットに取り付けている。
【0014】
このホイール部材の支持構造として、より詳しくは、保持部材を介してホイール部材をインク吐出ユニットに取り付ける。そして、ホイール部材を、主走査方向に回転自在となるよう保持部材に支持する一方、保持部材を、記録媒体の搬送方向に移動可能となるようインク吐出ユニットに支持している。
【0015】
これらの特定事項により、インク吐出ユニットが主走査方向に移動しながら記録媒体上に画像形成を行っている際には、ホイール部材は記録媒体の表面を押さえ込みながら主走査方向に回転する。つまり、ホイール部材は、記録媒体上を転動しながら主走査方向に移動し、記録媒体が膨潤等により浮き上がる状況が発生したとしても上記押さえ込み作用によって記録媒体の浮き上がりを阻止している。このため、記録ヘッドと記録媒体との間隔が常に適切に得られて高画質の画像形成を行うことができ、また、記録媒体が記録ヘッドに接触してしまうこともない。
【0016】
そして、インク吐出ユニットが主走査方向の一端まで移動した後に行われる記録媒体の搬送動作時には、ホイール部材は上記回転を伴うことなしに記録媒体の搬送に伴ってその搬送方向に移動する。つまり、記録媒体に対する相対位置が変化しないようにホイール部材が記録媒体に追従して移動する。具体的には、ホイール部材を支持している保持部材が記録媒体の搬送方向に移動することによって、ホイール部材と記録媒体との相対位置が変化しないようになっている。このため、ホイール部材が記録媒体の表面に常時接触して浮き上がりを防止しているにも拘わらず、この記録媒体搬送動作時にホイール部材が搬送抵抗となってしまうことはない。その結果、記録媒体搬送動作時にホイール部材を記録媒体から後退させるための手段(上記公報に開示されていたソレノイド)を必要とすることなしに、良好な記録媒体搬送動作を行うことができ、しかも、この記録媒体搬送動作時においてもホイール部材が記録媒体の表面を押さえ込んでいるので記録媒体が浮き上がってしまうことはない。このため、インク吐出ユニット周辺部の構成の簡素化を維持して装置の大型化を招くことなしに、記録媒体の浮き上がりを防止可能な構造を得ることができる。
【0017】
上記保持部材の支持構造として具体的には以下の各構成が掲げられる。
【0018】
先ず、保持部材を、主走査方向に延びる軸心を回動中心として回動自在となるようインク吐出ユニットに支持する。そして、この保持部材に対し、記録媒体の搬送動作に伴って行われる回動動作の回動方向とは逆方向の付勢力を付勢手段によって与えておく。
【0019】
また、保持部材が記録媒体に向かって延びる延長方向に沿う直線と、記録媒体搬送方向に沿って搬送上流側に延びる直線との成す角度を90度以下に設定している。
【0020】
更に、ホイール部材を記録媒体の搬送方向に沿ってスライド移動可能とするように保持部材をインク吐出ユニットによってスライド自在に支持しておくと共に、記録媒体の搬送方向上流側に向かう付勢力を付勢手段によって保持部材に与えておく。この場合、記録媒体の搬送方向に沿った保持部材のスライド移動可能量は、画像形成動作時におけるインク吐出ユニットの主走査方向の移動動作の後に行われる記録媒体搬送動作の送り量以上に設定されている。
【0021】
上記付勢手段を備えさせた構成の場合には、記録媒体の搬送動作時に、ホイール部材が記録媒体に追従するように保持部材の移動が行われた後に、再びインク吐出ユニットが主走査方向に移動して画像形成動作が行われる際、付勢手段の付勢力によってホイール部材は元の位置に戻されることになる。つまり、付勢手段の付勢力によって保持部材が移動することでホイール部材はインク吐出ユニットに対する相対位置として初期の位置(記録媒体の搬送に追従して移動する前の位置)に戻される。このため、次回の記録媒体の搬送動作時にあっても、ホイール部材は記録媒体に追従して移動することができ、記録媒体搬送動作時の搬送抵抗となることなしに記録媒体の浮き上がりを防止することができる。
【0022】
また、記録媒体搬送方向の上流側に対して成す角度が90度以下となるように、保持部材が記録媒体に向かって延びる延長方向を設定した場合には、記録媒体搬送動作時にホイール部材が記録媒体に追従して移動する際、ホイール部材が記録媒体に食い込んでしまうといった状況を回避でき、安定した記録媒体搬送動作を行うことができる。
【0023】
更に、ホイール部材を記録媒体の搬送方向に沿ってスライド移動可能とした場合には、ホイール部材の記録媒体に対する接触状態を常に一定にでき、記録媒体の押さえ込み状態を安定して得ることができる。
【0024】
加えて、上記記録媒体の搬送方向に沿って保持部材をスライド移動可能とした場合において、このスライド移動可能量を画像形成動作時における記録媒体の送り量以上に設定した場合には、常に、ホイール部材を記録媒体に追従して移動させることができ、記録媒体の押さえ込み機能の信頼性の向上を図ることができる。
【0025】
また、上記課題を解決するための他の解決手段としては以下のものが掲げられる。先ず、インク吐出ユニットが主走査方向に移動しながら記録媒体に向けてインクを吐出することにより記録媒体上に画像形成を行うインクジェット画像形成装置を前提とする。このインクジェット画像形成装置に対し、インク吐出ユニットに、記録媒体の表面を押さえ込んで浮き上がりを防止するためのホイールユニットを取り付ける。このホイールユニットは、記録媒体の搬送方向を回転方向とする円盤状のユニットベースと、このユニットベースの外周縁部の複数箇所に配設され且つ主走査方向を回転方向とする複数のホイール部材とを備えて構成されている。
【0026】
この特定事項により、インク吐出ユニットが主走査方向に移動しながら記録媒体上に画像形成を行っている際には、ユニットベースの外周縁部に配設されている少なくとも一つのホイール部材が記録媒体の表面を押さえ込みながら主走査方向に回転する。つまり、ホイール部材は、記録媒体上を転動しながら主走査方向に移動して記録媒体の浮き上がりを阻止している。
【0027】
そして、記録媒体の搬送動作時には、記録媒体の搬送に伴ってユニットベースが記録媒体の搬送方向に回転する。つまり、記録媒体に接触していたホイール部材は、このユニットベースの回転により記録媒体に追従して移動することになる。このため、ホイール部材は記録媒体の表面に接触しているにも拘わらず、この記録媒体搬送動作時にホイール部材が搬送抵抗となってしまうといったことはない。その結果、良好な記録媒体搬送動作を行うことができ、しかも、この記録媒体搬送動作時であってもホイール部材が記録媒体の表面を押さえ込んでいるので記録媒体が浮き上がってしまうことはない。
【0028】
また、インク吐出ユニットが主走査方向に移動する際に、記録媒体をホイール部材とプラテンとの間で良好に押さえ込むためのホイール部材の構成としては以下のものが掲げられる。先ず、インク吐出ユニットに、プラテン上を搬送される記録媒体に対してインクを吐出する記録ヘッドを備えさせ、ホイール部材の半径を、上記プラテンと記録ヘッドとの間の距離またはインク吐出ユニットに備えられた記録媒体ガイド板とプラテンとの間の距離よりも大きく設定するものである。
【0029】
また、ホイール部材の回転中心位置を、記録ヘッドの先端位置に対してプラテン配設位置とは反対側の位置またはインク吐出ユニットに備えられた記録媒体ガイド板の先端位置に対してプラテン配設位置とは反対側の位置に設定するものである。
【0030】
これら何れの構成によっても、記録媒体をホイール部材とプラテンとの間で良好に押さえ込むことができ、この押さえ込み作用によって記録媒体の浮き上がりを阻止することができる。つまり、これらの構成によれば、インク吐出ユニットが主走査方向に移動するに際し、ホイール部材が記録媒体の直近まで移動してきた際には、この記録媒体の端縁はホイール部材の回転中心位置よりもプラテン側に位置することになる。このままインク吐出ユニットが主走査方向に移動すれば記録媒体の端縁はホイール部材とプラテンとの間に送り込まれることになり、上記押さえ込み作用が確実に得られることになる。
【0031】
上記ホイール部材の支持構造として、このホイール部材が、記録媒体の表面を押さえ込んで浮き上がりを防止する位置と、記録媒体の表面から後退してこの記録媒体に接触しない位置との間を移動自在となるように構成している。例えば、ユーザの手動操作によってホイール部材の位置を変更できるようにしたり、プリンタドライバ等の制御によってホイール部材の位置を自動変更できるようにしてもよい。
【0032】
この特定事項によれば、記録媒体の浮き上がりが生じやすい状況であるときにのみホイール部材による記録媒体の押さえ込み動作を実行することができる。つまり、記録媒体の搬送抵抗をできるだけ少なくするためには、この記録媒体の表面には他の部材が接触しないことが好ましい。このため、記録媒体の浮き上がりが生じないかまたは生じにくい状況であるときには、ホイール部材を記録媒体の表面から後退させて、この搬送抵抗を削減する。一方、記録媒体の浮き上がりが生じやすい状況であるときには、ホイール部材を記録媒体の表面に接触させ、この表面を押さえ込んで浮き上がりを防止し、記録ヘッドと記録媒体との間隔を適切に得ると共に、記録媒体が記録ヘッドに接触してしまうことを防止する。
【0033】
上述した記録媒体浮き上がり防止構造に対して適用される細部の構成としては以下の各構成が掲げられる。
【0034】
先ず、ホイール部材の回転摺動部に消音部材を備えさせている。
【0035】
また、ホイール部材がインク吐出ユニットに対して着脱自在となっている。
【0036】
更に、ホイール部材の外周部に接触してこの外周部のクリーニングを行うクリーニング部材が配設されている。
【0037】
上記消音部材を備えさせた構成の場合には、インク吐出ユニットが主走査方向に移動する際にホイール部材の回転摺動部で発生する摺動音は消音部材によって消音される。このため、画像形成動作中の装置の騒音を低減することができる。
【0038】
また、ホイール部材をインク吐出ユニットに対して着脱自在とした場合には、このホイール部材の周辺部で用紙ジャムが発生したとしても、このホイール部材をインク吐出ユニットから取り外すことによってジャム用紙の除去作業を容易に行うことができる。また、このホイール部材をインク吐出ユニットから取り外したことで、このホイール部材に付着している紙粉等の付着物の除去作業も容易に行うことが可能になる。
【0039】
更に、ホイール部材の外周部に接触してこの外周部のクリーニングを行うクリーニング部材を配設した場合には、ホイール部材に付着している紙粉等の付着物の除去作業が、インク吐出ユニットの走査に伴って自動的に行われることになる。これにより、上記付着物が記録媒体に再付着してしまうことを阻止できる。
【0040】
また、インク吐出ユニットがメンテナンス位置に達した際、ホイール部材がプラテンから後退する位置に移動するよう構成している。これによれば、メンテナンス動作時にメンテナンスユニットを構成する各部材とホイール部材とが干渉してしまうことを確実に回避でき、また、メンテナンスユニットのメンテナンス動作に伴って飛散するインクがホイール部材にまで達してしまうことを抑制でき、このホイール部材の汚れを回避できる。
【0041】
更に、インク吐出ユニットがメンテナンス位置に達した際、ホイール部材とメンテナンスユニットとの間に移動してホイール部材を保護する保護部材を設けた場合には、仮にメンテナンスユニットのメンテナンス動作に伴ってインクが大きく飛散したとしても、ホイール部材は保護部材によって保護されているため、この飛散インクがホイール部材に付着することがなく、このホイール部材の汚れを回避できる。
【0042】
また、上述した各解決手段に係る記録媒体浮き上がり防止構造を備え、この記録媒体浮き上がり防止構造によって記録媒体の表面がホイール部材によって押さえ込まれた状態でインク吐出ユニットが主走査方向に移動しながら記録媒体に向けてインクを吐出することにより記録媒体上に画像形成を行うよう構成されたインクジェット画像形成装置も本発明の技術的思想の範疇である。
【0043】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の複数の実施形態を図面に基づいて説明する。本形態では、カラーインクジェットプリンタ(インクジェット画像形成装置)に本発明を適用した場合について説明する。
【0044】
−カラーインクジェットプリンタの全体構成の説明−
各実施形態について説明する前に、先ず、カラーインクジェットプリンタの全体構成について説明する。
【0045】
図1は、本形態に係るカラーインクジェットプリンタ1の外観(カバー11が開放された状態)を示す斜視図である。また、図2は、カラーインクジェットプリンタ1の内部構成を示す側面図である。
【0046】
これらの図に示すように、本形態に係るインクジェットプリンタ1は、給紙部2、分離部3、搬送部4、画像形成部5及び排出部6を備えている。
【0047】
給紙部2は、略鉛直方向に延びる給紙トレイ21及び図示しないピックアップローラを備えており、画像形成動作開始時に給紙トレイ21内の記録媒体としての記録用紙Pをピックアップローラによって取り出して分離部3に向けて搬送するようになっている。また、上記給紙トレイ21は、画像形成動作を行わない際には、記録用紙Pの保管部として機能する。
【0048】
分離部3は、給紙部2から供給される記録用紙Pを、画像形成部5に向けて一枚ずつ供給するためのものであり、給紙ローラ31及び分離器32を備えている。分離器32では、パッド部分(記録用紙Pとの接触部分)と記録用紙Pとの摩擦力が、記録用紙P,P同士の間の摩擦力より大きくなるように設定されている。また、給紙ローラ31では、この給紙ローラ31と記録用紙Pとの摩擦力が、分離器32のパッドと記録用紙Pとの摩擦力や、記録用紙P,P同士の間の摩擦力よりも大きくなるように設定されている。そのため、ピックアップローラによって複数枚の記録用紙P,P,…が取り出されて分離部3まで送られてきたとしても、給紙ローラ31によって、これら複数の記録用紙P,P,…を分離し、最も上側の一枚の記録用紙Pのみを搬送部4に送ることができるようになっている。
【0049】
搬送部4は、分離部3より一枚ずつ供給される記録用紙Pを、画像形成部5に向けて搬送するためのものであり、ガイド板41及び搬送ローラ対42を備えている。搬送ローラ対42は、記録用紙Pを記録ヘッド(インクヘッド)52とプラテン53との間に送り込む際に、記録ヘッド52からのインク滴が記録用紙Pの適切な位置に吹き付けられるように、記録用紙Pの搬送を調整する部材である。
【0050】
画像形成部5は、搬送部4の搬送ローラ対42から供給される記録用紙Pへ画像形成を行うためのものであり、複数のインクカートリッジ81〜84、記録ヘッド52、これらインクカートリッジ81〜84及び記録ヘッド52を搭載したキャリッジ51、このキャリッジ51を主走査方向に案内するためのガイドシャフト54、画像形成時に記録用紙Pの支持台となる上記プラテン53を備えている。また、上記キャリッジ51、記録ヘッド52、インクカートリッジ81〜84によって本発明でいうインク吐出ユニットが構成されている。更に、上記インクカートリッジ81〜84は、Bk(ブラック),Y(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン)の各インク毎に個別にキャリッジ51上に搭載されており、それぞれが独立して交換可能となっている。また、本形態では、各インクカートリッジ81〜84のうちY,M,Cの各カラーインクカートリッジ82〜84に比べてBkインクカートリッジ81が大型のものとなっている。
【0051】
排出部6は、画像形成が行われた記録用紙Pを回収する部分であり、記録用紙P上のインクを乾燥させるための図示しないインク乾燥部、排出ローラ61及び排出トレイ62を備えている。
【0052】
上記の構成において、インクジェットプリンタ1は、次のような動作によって画像形成を行う。先ず、図示しないコンピュータ等の外部端末から画像情報に基づく画像形成要求がインクジェットプリンタ1に対してなされる。画像形成要求を受信したインクジェットプリンタ1は、給紙トレイ21上の記録用紙Pを、ピックアップローラによって給紙部2より搬出する。次に、搬出された記録用紙Pは、給紙ローラ31によって分離部3を通過し、搬送部4へと送られる。搬送部4では、搬送ローラ対42によって、記録用紙Pを記録ヘッド52とプラテン53との間へと送る。そして、画像形成部5では、記録ヘッド52のインクノズルよりプラテン53上の記録用紙Pへ、画像情報に対応してインク滴が吹き付けられる。この時、記録用紙Pはプラテン53上で一旦停止されている。インク滴を吹き付けつつ、キャリッジ51は、ガイドシャフト54に案内されて、主走査方向(図1におけるD2方向)に一ライン分走査される。それが終了すると、記録用紙Pは、プラテン53上で副走査方向(図1におけるD1方向)に一定の幅だけ移動する。画像形成部5において、上記処理が画像情報に対応し継続して実施されることにより、記録用紙Pの全面に画像形成がなされる。このようにして画像形成が行われた記録用紙Pは、インク乾燥部を経て、排出ローラ61によって排出トレイ62に排出される。これにより、記録用紙Pは印刷物としてユーザに提供されることになる。
【0053】
以上の各部の動作は、制御部によって制御される。以下、この制御部について説明する。
【0054】
図3は、本インクジェットプリンタの制御部の構成を示すブロック図である。この制御部は、CPU7によって制御されるキャリッジ主走査駆動手段71、用紙搬送のための手段である給紙ローラ駆動手段72A、搬送ローラ駆動手段72B、排出ローラ駆動手段72Cの3つの手段、記録ヘッド駆動手段73、画像データ入力手段74を備えている。
【0055】
キャリッジ主走査駆動手段71は、上記キャリッジ51を主走査方向に往復移動させるための駆動源であるキャリッジモータの駆動を制御する。
【0056】
各ローラ駆動手段72A,72B,72Cは、記録用紙Pの搬送経路上に配置されている上記給紙ローラ31、搬送ローラ対42、排出ローラ61の駆動をそれぞれ制御する。
【0057】
記録ヘッド駆動手段73は、画像データ入力手段74が受けた画像データに基づいて記録ヘッド52の駆動を制御する。つまり、上記キャリッジ51の走査や記録用紙Pの搬送と連繋して、ブラックヘッドやカラーヘッドに設けられた複数の圧電素子をインク色毎に区別して駆動し、各インクノズルからのインク滴の吐出制御を行い、記録用紙P上に所定の画像形成を行うようになっている。
【0058】
また、CPU7には、画像形成動作制御手段77が備えられている。この画像形成動作制御手段77には、上記キャリッジ主走査駆動手段71、各ローラ駆動手段72A,72B,72C、記録ヘッド駆動手段73を制御して記録用紙P上にカラー画像を記録する画像記録制御の制御プログラムなどが格納されている。
【0059】
また、CPU7には、接続ケーブルを介してホストコンピュータ等に接続されて、このホストコンピュータ等から送信される画像データを受信可能な図示しない通信用インターフェースが接続されている。尚、以下の各実施形態の各図ではキャリッジ51上に搭載されているインクカートリッジの一部を省略している。
【0060】
−記録用紙浮き上がり防止構造の各実施形態−
次に、本実施形態の特徴部分である記録用紙浮き上がり防止構造に係る複数の実施形態について説明する。
【0061】
(第1実施形態)
先ず、第1実施形態について図4及び図5を用いて説明する。図4はキャリッジ51及びその周辺部を副走査方向から見た断面図(用紙搬送方向の下流側から上流側を見た図)である。図5はキャリッジ51及びその周辺部を主走査方向から見た図(図4におけるV−V線に対応した位置における断面図)であって、図5(a)はキャリッジ51が主走査方向(紙面の奥側または手前側)に移動しながら画像形成動作を行っている状態を、図5(b)は記録用紙Pが副走査方向(図中の左側)に搬送されている状態をそれぞれ示している。以下、詳細に説明する。
【0062】
図4及び図5に示すように、キャリッジ51の底面における主走査方向中央位置には上下方向に貫通する貫通孔51aが形成されており、この貫通孔51aの内部に後述するホイール部材としてのスターホイール91を回転自在に支持するための保持部材としてのホルダ92が備えられている。このホルダ92は、その上端部が上記貫通孔51a内部において主走査方向に延びる回動軸回りに回動自在に支持されている。
【0063】
一方、このホルダ92の下端部にはスターホイール91が回転自在に支持されている。具体的には、ホルダ92における記録用紙搬送方向下流側の面(図4にあっては手前側、図5にあっては左側の面)には副走査方向(記録用紙搬送方向)に延びる回転軸92aが備えられており、スターホイール91はこの回転軸92aによって回転自在に支持されている。
【0064】
また、上記ホルダ92の長さ寸法及びスターホイール91の半径は、ホルダ92がその自重によって鉛直方向に延びる姿勢となった状態(図5(a)に示す状態)で、スターホイール91の外縁がプラテン53上の記録用紙Pの表面に接触し、且つこの記録用紙Pに対して所定の押圧力(キャリッジ51の走査や記録用紙Pの搬送に支障を来さない程度の押圧力)をもって記録用紙Pの表面を押圧することにより記録用紙Pの浮き上がりを阻止するように設定されている。
【0065】
具体的には、ホルダ92が鉛直方向に延びる姿勢となった状態で、スターホイール91の下端位置とプラテン53の上面位置とが一致するように設定されている。または、このホルダ92が鉛直方向に延びる姿勢となった状態における記録ヘッド52に対するスターホイール91の突出寸法が、記録ヘッド52の先端面とプラテン53の上面との間隔寸法よりも僅かに長く設定されている。この場合、実際には、ホルダ92は鉛直方向に延びる姿勢とはならず、僅かに記録用紙搬送方向下流側に傾斜した姿勢となって記録用紙Pに対して所定の押圧力を与えて記録用紙Pの浮き上がりを阻止することになる。
【0066】
尚、ホルダ92が鉛直方向に延びる姿勢となった状態における記録ヘッド52からのスターホイール91の突出寸法が、記録ヘッド52の先端面とプラテン53の上面との間隔寸法よりも僅かに短く設定されていてもよい。この場合、記録用紙Pがプラテン53から僅かに浮き上がる可能性があるが、この浮き上がり量が許容できる範囲であればよい。
【0067】
以上のようにしてスターホイール91がホルダ92を介してキャリッジ51に支持されているため、キャリッジ51の走査移動時及び記録用紙Pの搬送時には以下のようにして記録用紙Pの浮き上がりが防止される。
【0068】
先ず、キャリッジ51が主走査方向に移動しながら記録用紙P上に画像形成を行っている際には、図5(a)に示すように、スターホイール91は記録用紙Pの表面を押さえ込みながら主走査方向に回転する。つまり、スターホイール91は、記録用紙P上を転動しながら主走査方向に移動し、記録用紙Pが膨潤等により浮き上がる状況が発生したとしても上記押さえ込み作用によって記録用紙Pの浮き上がりは良好に阻止される。このため、記録ヘッド52と記録用紙Pとの間隔が常に適切に得られてインク滴の着弾位置が良好になり、高画質の画像形成を行うことができる。また、記録用紙Pが記録ヘッド52に接触して汚れてしまうこともない。
【0069】
そして、キャリッジ51が主走査方向に移動した後に行われる記録用紙Pの搬送動作時には、図5(b)に示すように、スターホイール91は回転を伴うことなしに、記録用紙Pの搬送に伴ってその搬送方向に移動される。つまり、記録用紙Pに対する相対位置が変化しないようにスターホイール91が記録用紙Pに追従して移動する。具体的には、スターホイール91を支持しているホルダ92が記録用紙Pの搬送方向に僅かに回動することによって、スターホイール91と記録用紙Pとの相対位置が変化しないようになっている。このため、スターホイール91は記録用紙Pの表面に常時接触しているにも拘わらず、この記録用紙搬送動作時にスターホイール91が搬送抵抗となってしまうといったことはない。
【0070】
その結果、記録用紙搬送動作時にスターホイール91を記録用紙Pから後退させるための手段(上記公報に開示されていたソレノイド)を必要とすることなしに、良好な記録用紙搬送動作を行うことができ、しかも、この記録用紙搬送動作時においてもスターホイール91が記録用紙Pの表面を押さえ込んでいるので記録用紙Pが浮き上がってしまうことはない。このため、キャリッジ51周辺部の構成の簡素化を維持してインクジェットプリンタ1の大型化を招くことなしに、記録用紙Pの浮き上がりを良好に防止することができる。
【0071】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について図6及び図7を用いて説明する。尚、本形態では上述した第1実施形態との相違点についてのみ説明する。図6はキャリッジ51及びその周辺部を主走査方向から見た断面図(図5に相当する断面図)であって、図6(a)はキャリッジ51が主走査方向(紙面の奥側または手前側)に移動しながら画像形成動作を行っている状態を、図6(b)は記録用紙Pが副走査方向(図中の左側)に搬送されている状態をそれぞれ示している。また、図7は、キャリッジ51の主走査方向への移動時及び記録用紙Pの搬送動作時におけるスターホイール91の移動軌跡を示す平面図である。以下、詳細に説明する。
【0072】
図6及び図7に示すように、キャリッジ51に対するホルダ92の支持構造及びこのホルダ92に対するスターホイール91の支持構造は上述した第1実施形態のものと同様である。
【0073】
そして、本形態では、ホルダ92の下端部と、キャリッジ51に形成されている貫通孔51aの内壁面との間に引っ張りコイルスプリング(付勢手段)93が架け渡されている。
【0074】
これにより、記録用紙Pの搬送動作時に、スターホイール91が記録用紙Pに追従するようにホルダ92の移動が行われた後に、再びキャリッジ51が主走査方向に移動して画像形成動作が行われる際、コイルスプリング93の付勢力によってスターホイール91は元の位置に戻されることになる。図7における▲1▼は、キャリッジ51が図中左方向に移動して画像形成動作が行われる際のスターホイール91の移動軌跡を示している。図7における▲2▼は、記録用紙Pの搬送に追従するようにスターホイール91が移動した際の軌跡を示している。図7における▲3▼は、キャリッジ51が図中右方向に移動して画像形成動作が行われ際のスターホイール91の移動軌跡を示している。▲3▼で示す移動軌跡の如く、コイルスプリング93の付勢力によってスターホイール91はキャリッジ51に対する相対位置が元の位置に戻される。
【0075】
このように、コイルスプリング93の付勢力によってホルダ92が移動することでスターホイール91はキャリッジ51に対する相対位置として初期の位置(記録用紙Pの搬送に追従して移動する前の位置)に戻される。このため、次回の記録用紙Pの搬送動作時にあっても、スターホイール91は記録用紙Pに追従して移動することができ、記録用紙搬送動作時の搬送抵抗となることなしに記録用紙Pの浮き上がりを防止することができ、1枚の記録用紙Pの画像形成動作が完了するまで、スターホイール91を記録用紙Pに常時接触させて上記押さえ込み動作を継続させることができる。
【0076】
尚、本形態では、コイルスプリング93の付勢力によってスターホイール91を初期の位置に戻すようにしていたが、上記第1実施形態の場合にあっても、図5(b)に示す状態にあるスターホイール91は、ホルダ92及びスターホイール91の自重の作用によって、図5(a)に示す状態に戻ることになり、上記コイルスプリング93の付勢力を作用させる場合と同様の効果を奏することができるが、この効果をより確実に得るためには、本第2実施形態の如くコイルスプリング93を備えさせることが好ましい。
【0077】
また、上記各実施形態の場合、ホルダ92が記録用紙Pに向かって延びる延長方向に沿う直線と、記録用紙搬送方向に沿って上流側に延びる直線との成す角度を90度以下に設定している。図8(a)は、上述の角度を90度以下に設定した場合を示している。図8(b)は、上述の角度を90度以上に設定した場合を示している。
【0078】
これら図から明らかなように、上述の角度を90度以下に設定した場合には、記録用紙搬送動作時にスターホイール91が記録用紙Pに追従して移動する際、スターホイール91が記録用紙Pに食い込んでしまうといった状況を回避でき、安定した記録媒体搬送動作を行うことができる。図8(b)に示すように上述の角度を90度以上に設定した場合には、この図8(b)に示す状態で、記録用紙Pの搬送動作を行ってホルダ92を図中時計回り方向に回動させようとしても、スターホイール91が記録用紙Pに食い込んでしまい、安定した記録媒体搬送動作を行うことができなくなってしまう。上記角度は、この状況を回避するために設定されている。
【0079】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について図9を用いて説明する。上述した第2実施形態では、ホルダ92が回動することによりスターホイール91を記録用紙Pの搬送に追従させていた。本実施形態は、それに代えて、ホルダ92をスライド移動させることによりスターホイール91を記録用紙Pの搬送に追従させるようにしたものである。図9はキャリッジ51及びその周辺部を主走査方向から見た断面図(図5に相当する断面図)であって、図9(a)はキャリッジ51が主走査方向(紙面の奥側または手前側)に移動しながら画像形成動作を行っている状態を、図9(b)は記録用紙Pが副走査方向(図中の左側)に搬送されている状態をそれぞれ示している。以下、詳細に説明する。
【0080】
図9に示すように、キャリッジ51の底面の内部にはホルダ92及びコイルスプリング93を収容するための空間51bが形成されている。この空間51bの内部に略T字型形状のホルダ92と、このホルダ92に対して図中右方向への付勢力を与える引っ張りコイルスプリング93とが収容されている。
【0081】
そして、上記ホルダ92においてプラテン53に向かって延びるロッド部の下端にスターホイール91が回転自在に支持されている。
【0082】
また、この構成において、記録用紙Pの搬送方向に沿ったホルダ92のスライド移動可能量は、画像形成動作時におけるキャリッジ51の主走査方向の移動動作の後に行われる記録用紙搬送動作の送り量以上に設定されている。
【0083】
この構成によっても、上記第2実施形態の場合と同様に、コイルスプリング93の付勢力によってホルダ92が移動することでスターホイール91はキャリッジ51に対する相対位置として初期の位置(記録用紙Pの搬送に追従して移動する前の位置)に戻される。このため、次回の記録用紙Pの搬送動作時にあっても、スターホイール91は記録用紙Pに追従して移動することができ、記録用紙搬送動作時の搬送抵抗となることなしに記録用紙Pの浮き上がりを防止することができ、1枚の記録用紙Pの画像形成動作が完了するまで、スターホイール91を記録用紙Pに常時接触させて上記押さえ込み動作を継続させることができる。
【0084】
それに加えて、スターホイール91はプラテン53の上面に沿ってスライド移動するため、スターホイール91の記録用紙Pに対する接触状態を常に一定にでき、記録用紙Pの押さえ込み状態を安定して得ることができる。
【0085】
更には、上述した如く、スターホイール91のスライド移動可能量を画像形成動作時における記録用紙Pの送り量以上に設定しているので、常に、スターホイール91を記録用紙Pに追従して移動させることができ、記録用紙Pの押さえ込み機能の信頼性の向上を図ることができる。
【0086】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態について図10〜図13を用いて説明する。図10はキャリッジ51及びその周辺部の平面図である。図11はキャリッジ51及びその周辺部を副走査方向から見た断面図(用紙搬送方向の下流側から上流側を見た図)であって図10におけるXI−XI線に対応した位置における断面図である。図12はキャリッジ51及びその周辺部を主走査方向から見た断面図(図11におけるXII−XII線に対応した位置における断面図)である。以下、詳細に説明する。
【0087】
これら各図に示すように、キャリッジ51の底面における中央位置には上下方向に貫通する貫通孔51cが形成されており、この貫通孔51cの内部にはホイールユニット94が備えられている。このホイールユニット94は、円盤状のユニットベース94aと、このユニットベース94aの外周縁部の複数箇所に配設された複数のスターホイール91,91,…とを備えている。
【0088】
ユニットベース94aは、その中心部が上記貫通孔51c内部において主走査方向に延びる回動軸回りに回動自在に支持されている。
【0089】
一方、各スターホイール91,91,…は、ユニットベース94aの外周縁部の複数箇所(周方向に等間隔を存した12箇所)に配設され且つ主走査方向に回動自在となるように支持されている。
【0090】
本形態の構成によれば、キャリッジ51が主走査方向に移動しながら記録用紙P上に画像形成を行っている際には、ユニットベース94a上の外周縁部に配設されている少なくとも一つのスターホイール91(下端に位置しているスターホイール91)が記録用紙Pの表面を押さえ込みながら主走査方向に回転する。つまり、スターホイール91は、記録用紙P上を転動しながら主走査方向に移動して記録用紙Pの浮き上がりを阻止している。
【0091】
そして、記録用紙Pの搬送動作時には、記録用紙Pの搬送に伴ってユニットベース94aが記録用紙Pの搬送方向に回転する。つまり、記録用紙Pに接触していたスターホイール91は、このユニットベース94aの回転により記録用紙Pに対する相対位置が変化することがない。このため、スターホイール91は記録用紙Pの表面に常時接触しているにも拘わらず、この記録用紙搬送動作時にスターホイール91が搬送抵抗となってしまうといったことはない。図13(a)〜(c)は、このユニットベース94aが回転することにより、スターホイール91が記録用紙Pの表面に常時接触しながらもこの記録用紙Pの搬送に追従して移動する状態を示している。このような動作が行われる結果、良好な記録用紙搬送動作を行うことができ、しかも、この記録用紙搬送動作時においてもスターホイール91が記録用紙Pの表面を押さえ込んでいるので記録用紙Pが浮き上がってしまうことはない。
【0092】
(変形例)
次に、上記第4実施形態の変形例について図14を用いて説明する。この図14はキャリッジ51及びその周辺部を主走査方向から見た断面図(図12に相当する断面図)であって、図14(a)はキャリッジ51が主走査方向(紙面の奥側または手前側)に移動しながら画像形成動作を行っている状態を、図14(b)は記録用紙Pが副走査方向(図中の左側)に搬送されている状態をそれぞれ示している。
【0093】
これらの図に示すように、本形態のホイールユニット94は、上述した第4実施形態に係るホイールユニットの一部分のみによって構成されている。つまり、主走査方向に延びる回動軸回りに回動自在に支持された扇形状のユニットベース94aと、このユニットベース94aの外周縁部の複数箇所(図14に示すものでは3箇所)に配設され且つ主走査方向に回動自在となるように支持された複数のスターホイール91,91,…とを備えている。
【0094】
また、キャリッジ51にはスプリング取り付け座51dが備えられており、このスプリング取り付け座51dとユニットベース94aとの間に引っ張りコイルスプリング93が架け渡されている。
【0095】
これにより、記録用紙Pの搬送動作時には、ユニットベース94aは図14(a)に示す状態から図14(b)に示す状態に回動してスターホイール91が記録用紙Pに追従するようにした後に、再びキャリッジ51が主走査方向に移動して画像形成動作が行われる際、コイルスプリング93の付勢力によってユニットベース94aは上記とは逆方向に回動して図14(a)に示す状態に戻されることになる。
【0096】
このため、次回の記録用紙Pの搬送動作時にあっても、スターホイール91は記録用紙Pに追従して移動することができ、記録用紙搬送動作時の搬送抵抗となることなしに記録用紙Pの浮き上がりを防止することができ、1枚の記録用紙Pの画像形成動作が完了するまで、スターホイール91を常時記録用紙Pに接触させて上記押さえ込み動作を継続させることができる。
【0097】
(第5実施形態)
次に、第5実施形態について図15及び図16を用いて説明する。図15はキャリッジ51及びその周辺部を副走査方向から見た断面図(用紙搬送方向の下流側から上流側を見た図)である。図16はキャリッジ51及びその周辺部を主走査方向から見た断面図(図15におけるXVI−XVI線に対応した位置における断面図)である。以下、詳細に説明する。
【0098】
図15及び図16に示すように、スターホイール91の半径を、プラテン53と記録ヘッド52との間の距離よりも大きく設定している。
【0099】
この構成によれば、キャリッジ51が主走査方向に移動して、スターホイール91が記録用紙Pの直近まで移動してきた際には(図15に示す状態)、この記録用紙Pの端縁はスターホイール91の回転中心位置よりもプラテン53側(図中下側)に位置することになる。このままキャリッジ51が主走査方向(図15の右方向)に移動すれば記録用紙Pの端縁はスターホイール91とプラテン53との間に送り込まれることになり、上記押さえ込み作用が確実に得られることになる。
【0100】
また、上記と同様の効果を奏するための構成としては、上述したように、スターホイール91の半径を、プラテン53と記録ヘッド52との間の距離よりも大きく設定すること以外に、以下の構成を採用してもよい。
【0101】
(1)スターホイール91の半径を、キャリッジ51に備えられたガイド板51eとプラテン53との間の距離よりも大きく設定する。
【0102】
(2)スターホイール91の回転中心位置を、記録ヘッド52の先端位置(下端位置)に対してプラテン53の配設位置とは反対側(上側)の位置に設定する。
【0103】
(3)スターホイール91の回転中心位置を、上記ガイド板51eの先端位置に対してプラテン53の配設位置とは反対側の位置に設定する。
【0104】
これら(1)〜(3)の何れの構成によっても、上述の場合と同様に、記録用紙Pをスターホイール91とプラテン53との間で良好に押さえ込むことができ、この押さえ込み作用によって記録用紙Pの浮き上がりを阻止することができる。
【0105】
(第6実施形態)
次に、第6実施形態について図17を用いて説明する。本形態は、スターホイール91を記録用紙Pに対して後退(上方移動)させるものである。この図17はキャリッジ51及びその周辺部を主走査方向から見た断面図であって、図17(a)はスターホイール91が後退移動(上方移動)した状態を示し、図17(b)はスターホイール91が前進移動(下方移動)した状態を示している。以下、詳細に説明する。
【0106】
図17に示すように、キャリッジ51の底面における中央位置には上下方向に貫通する貫通孔51aが形成されており、この貫通孔51aの内部に、スターホイール91を回転自在に支持するホルダ92が昇降移動自在に挿通されている。このホルダ92は上端部に円盤状の押し上げ座92bが一体形成されており、この押し上げ座92bがキャリッジ51の底面に当接した状態(図17(b)に示す状態)では、スターホイール91が記録用紙Pに対して所定の押さえ込み作用を発揮するようになっている。
【0107】
一方、キャリッジ51の内部には、このホルダ92を上昇させるための操作レバー95が水平軸回りに回動自在に取り付けられている。この操作レバー95は、上方に延びる操作部59aと、この操作部95aの下端に設けられた押し上げ部95bとを備えており、図17(b)に示す状態から操作レバー95を図中時計回り方向に回動させることによって、図17(a)に示すように押し上げ部95bが押し上げ座95bを上方に押し上げ、これによってホルダ92が上昇移動してスターホイール91が記録用紙Pから離れるようになっている。
【0108】
このため、本形態によれば、記録用紙Pの浮き上がりが生じやすい状況であるときにのみスターホイール91による記録用紙Pの押さえ込み動作を実行することができる。つまり、記録用紙Pの搬送抵抗をできるだけ少なくするためには、この記録用紙Pの表面には他の部材が接触しないことが好ましい。このため、記録用紙Pの浮き上がりが生じないかまたは生じにくい状況であるときには、スターホイール91を記録用紙Pの表面から後退させて、この搬送抵抗を削減する(図17(a)参照)。一方、記録用紙Pの浮き上がりが生じやすい状況であるときには、スターホイール91を記録用紙Pの表面に接触させ、この表面を押さえ込んで浮き上がりを防止し、記録ヘッド52と記録用紙Pとの間隔を適切に得ると共に、記録用紙Pが記録ヘッド52に接触してしまうことを防止する(図17(b)参照)。つまり、スターホイール91が記録用紙Pの表面に接触する状況を必要最小限に止めることで、できる限り記録用紙Pの搬送抵抗を小さくすると共に、記録用紙Pの浮き上がりの発生を防止している。
【0109】
(第7実施形態)
次に、第7実施形態について図18を用いて説明する。この図18はキャリッジ51及びその周辺部を副走査方向から見た断面図(用紙搬送方向の下流側から上流側を見た図)である。
【0110】
図18に示すように、本形態では、スターホイール91の回転摺動部に消音部材96が配設されている。つまり、このスターホイール91の回転中心軸とこのスターホイール91の内周面との間にゴム等の弾性材料で成る消音部材96が介在された構成となっている。
【0111】
この構成により、キャリッジ51が主走査方向に移動する際にスターホイール91の回転摺動部で発生する摺動音は消音部材96によって消音される。このため、画像形成動作中のインクジェットプリンタ1の騒音を低減することができる。
【0112】
尚、図19に示すものは、上述した第6実施形態に示すように、スターホイール91を記録用紙Pに対して後退(上方移動)可能に構成したものに対し、上記の消音部材96に加えて、ホルダ92の上端部に形成されている押し上げ座92bが当接するキャリッジ底面上に上記と同様の消音部材96Aを設けたものである。
【0113】
この構成によれば、スターホイール91によって記録用紙Pを押さえ込むべく、ホルダ92を下方移動させた際に、押し上げ座92bの下面がキャリッジ51の底面に衝突することで発する衝突音を抑制することができ、これによってもインクジェットプリンタ1の騒音を低減することができる。
【0114】
(第8実施形態)
次に、第8実施形態について図20を用いて説明する。本形態は、スターホイール91をキャリッジ51に対して着脱自在とするものである。図20(a)はキャリッジ51及びその周辺部の平面図であり、図20(b)はキャリッジ51及びその周辺部を副走査方向から見た断面図(用紙搬送方向の下流側から上流側を見た図)である。
【0115】
この図20に示すように、本形態では、スターホイール91を回転自在に支持しているホルダ92が嵌り込むU字型の溝51fを備えた取り付け座51gがキャリッジ51の側面に配設されている。
【0116】
この構成により、スターホイール91の周辺部で用紙ジャムが発生したとしても、このスターホイール91をキャリッジ51から取り外すことによってジャム用紙の除去作業を容易に行うことができる。また、このスターホイール91をキャリッジ51から取り外したことで、このスターホイール91に付着している紙粉等の付着物の除去作業も容易に行うことが可能になる。
【0117】
(第9実施形態)
次に、第9実施形態について図21及び図22を用いて説明する。図21はキャリッジ51及びその周辺部を副走査方向から見た断面図(用紙搬送方向の下流側から上流側を見た図)である。図22はキャリッジ51及びその周辺部を主走査方向から見た断面図である。以下、詳細に説明する。
【0118】
図21及び図22に示すように、スターホイール91を回転自在に支持しているホルダ92の長手方向(図中の上下方向)の略中間位置にはクリーニング部材としてのクリーニングローラ97が回転自在に取り付けられている。
【0119】
このクリーニングローラ97は、ゴム等の弾性材料で形成されており、スターホイール91の回転軸と平行に延びる回転軸回りに回転自在に支持されていると共に、その外周面がスターホイール91に接触している。
【0120】
この構成により、スターホイール91に付着している紙粉等の付着物の除去作業を、キャリッジ51の走査に伴って自動で行うことができ、上記付着物が記録用紙Pに付着してしまうことを阻止できる。
【0121】
(第10実施形態)
次に、第10実施形態について図23を用いて説明する。本形態は、キャリッジ51がメンテナンス位置に達した際、スターホイール91がプラテン53から後退するように上方移動する構成としたものである。図23はその動作を示している。図23(a)はキャリッジ51及びその周辺部を副走査方向から見た断面図、図23(b)はキャリッジ51及びその周辺部の平面図、図23(c)はキャリッジ51及びその周辺部を主走査方向から見た図であって、各図の左側の図はキャリッジ51がメンテナンス位置に達する前の状態を、右側の図はキャリッジ51がメンテナンス位置に達した状態をそれぞれ示している。
【0122】
これら図に示すように、本形態では一対のスターホイール91,91が備えられており、これらスターホイール91,91を支持しているホルダ92,92が連結プレート92cによって連結されている。この連結プレート92cは、ガイドシャフト54の上方位置において水平軸回りに回動自在に支持されている。
【0123】
また、メンテナンス位置の近傍には、連結プレート92cの回動を案内するためのガイドプレート98が配設されている。このガイドプレート98は、キャリッジ51がメンテナンス位置に近付くに従って連結プレート92cを上方へ移動させる傾斜面98aを備えている。このため、キャリッジ51がメンテナンス位置に向かって移動する際、連結プレート92cがガイドプレート98に案内され、この連結プレート92cが上方へ回動するのに伴ってスターホイール91も上方へ移動し、メンテナンスユニットMよりも上側に位置することになる。
【0124】
このため、メンテナンス動作時にメンテナンスユニットMを構成する各部材とスターホイール91とが干渉してしまうことを確実に回避でき、また、メンテナンスユニットMのメンテナンス動作に伴って飛散するインクがスターホイール91にまで達してしまうことを抑制でき、このスターホイール91の汚れを回避できる。
【0125】
(第11実施形態)
最後に、第11実施形態について図24を用いて説明する。本形態は、上述した第10実施形態の構成に加えて、キャリッジ51がメンテナンス位置に達した際、スターホイール91とメンテナンスユニットMとの間に移動する保護部材99を備えさせたものである。図24はこの保護部材99の動作を示している。この図24の左側の図はキャリッジ51がメンテナンス位置に達する前の状態を、中央の図はキャリッジ51がメンテナンス位置の直前まで達した状態を、右側の図はキャリッジ51がメンテナンス位置に達した状態をそれぞれ示している。
【0126】
これら図に示すように、キャリッジ51には水平軸回りに回動自在に支持された保護部材99が取り付けられている。一方、メンテナンス位置の近傍には、キャリッジ51がメンテナンス位置に達する際に保護部材99に当接してこの保護部材99を回動させるガイド板99Aが配設されている。このため、キャリッジ51がメンテナンス位置に向かって移動する際、保護部材99がガイド板99Aに当接することによってこの保護部材99が回動し、この回動によって、スターホイール91とメンテナンスユニットMとの間に保護部材99が移動することになる。
【0127】
このため、仮にメンテナンスユニットMのメンテナンス動作に伴ってインクが大きく飛散したとしても、スターホイール91は保護部材99によって保護されているため、この飛散インクがスターホイール91に付着することがなく、このスターホイール91の汚れを回避できる。
【0128】
−その他の実施形態−
上記実施形態では、カラーインクジェットプリンタ1に本発明を適用した場合について説明した。本発明はこれに限らず、モノクロタイプのインクジェットプリンタに適用することも可能である。
【0129】
【発明の効果】
以上のように、本発明では、記録媒体を押さえ込んで浮き上がりを防止するホイール部材の支持構造として、このホイール部材が主走査方向に回転自在となるように支持すると共に、記録媒体の搬送動作時には、このホイール部材と記録媒体との相対位置が変化しないようにホイール部材が記録媒体の搬送に追従して移動可能となるようにしている。このため、インク吐出ユニットが主走査方向に移動しながら記録媒体上に画像形成を行っている際、記録媒体の浮き上がりが良好に阻止され、記録ヘッドと記録媒体との間隔が常に適切に得られて高画質の画像形成を行うことができ、また、記録媒体が記録ヘッドに接触してしまうこともない。また、記録媒体の搬送動作時には、ホイール部材が記録媒体に追従して移動するため、このホイール部材が記録媒体の表面に常時接触して浮き上がりを防止しているにも拘わらず、この記録媒体搬送動作時にホイール部材が搬送抵抗となってしまうことはない。その結果、記録媒体搬送動作時にホイール部材を記録媒体から後退させるための手段を必要とすることなしに、良好な記録媒体搬送動作を行うことができ、しかも、この記録媒体搬送動作時においてもホイール部材が記録媒体の表面を押さえ込んでいるので記録媒体が浮き上がってしまうことはない。このため、インク吐出ユニット周辺部の構成の簡素化を維持して装置の大型化を招くことなしに、記録媒体の浮き上がりを防止可能な構造を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態に係るインクジェットプリンタの外観を示す斜視図である。
【図2】インクジェットプリンタの内部構成を示す側面図である。
【図3】インクジェットプリンタの制御部の構成を示すブロック図である。
【図4】第1実施形態におけるキャリッジ及びその周辺部を副走査方向から見た図である。
【図5】第1実施形態におけるキャリッジ及びその周辺部を主走査方向から見た図であって、(a)はキャリッジが主走査方向に移動しながら画像形成動作を行っている状態を、(b)は記録用紙が副走査方向に搬送されている状態をそれぞれ示す図である。
【図6】第2実施形態における図5相当図である。
【図7】第2実施形態におけるキャリッジの主走査方向への移動時及び記録用紙の搬送動作時におけるスターホイールの移動軌跡を示す平面図である。
【図8】ホルダの傾斜角度を異ならせた際の記録用紙搬送動作の差を説明するための図5(b)相当図である。
【図9】第3実施形態における図5相当図である。
【図10】第4実施形態におけるキャリッジ及びその周辺部の平面図である。
【図11】第4実施形態における図4相当図である。
【図12】第4実施形態における図5(a)相当図である。
【図13】ユニットベースの回転動作に伴う記録用紙に対するスターホイールの接触状態の変化を示す図である。
【図14】第4実施形態の変形例における図5相当図である。
【図15】第5実施形態における図4相当図である。
【図16】第5実施形態における図5相当図である。
【図17】第6実施形態における図5相当図である。
【図18】第7実施形態における図4相当図である。
【図19】第7実施形態の変形例における図4相当図である。
【図20】第8実施形態に係る図であって、(a)はキャリッジ及びその周辺部の平面図であり、(b)はキャリッジ及びその周辺部を副走査方向から見た図である。
【図21】第9実施形態における図4相当図である。
【図22】第9実施形態における図5(a)相当図である。
【図23】第10実施形態においてキャリッジがメンテナンス位置に移動する際の動作を説明するための図である。
【図24】第11実施形態においてキャリッジがメンテナンス位置に移動する際の動作を説明するための図である。
【符号の説明】
1 カラーインクジェットプリンタ(インクジェット画像形成装置)
51 キャリッジ
51e ガイド板
52 記録ヘッド
53 プラテン
91 スターホイール(ホイール部材)
92 ホルダ(保持部材)
93 コイルスプリング(付勢手段)
94 ホイールユニット
94a ユニットベース
96 消音部材
97 クリーニングローラ(クリーニング部材)
99 保護部材
P 記録用紙(記録媒体)
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェットプリンタに代表されるインクジェット画像形成装置の記録媒体浮き上がり防止構造及びその記録媒体浮き上がり防止構造を備えたインクジェット画像形成装置に係る。特に、本発明は、スターホイール等のホイール部材をインク吐出ユニットに備えさせ(例えば、このインク吐出ユニットの構成部材であるキャリッジにホイール部材を取り付け)、このホイール部材が記録媒体を押さえ込んで浮き上がりを防止するようにしたものの改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、インクジェット画像形成装置(以下、インクジェットプリンタと呼ぶ)における画像形成動作としては、先ず、給紙トレイに収容されている複数枚の記録用紙のうち1枚を搬送路に送り出し、この記録用紙を、搬送路を経て画像形成部に供給する。そして、この画像形成部において用紙表面にインク滴を吐出することで所定の画像形成を行った後に、この記録用紙を排出トレイに排紙するようになっている。
【0003】
また、シリアルヘッドタイプのインクジェットプリンタの場合、画像形成部には、インクカートリッジを搭載したキャリッジが配設されており、このキャリッジが走査動作を行いながらインクカートリッジから記録ヘッドに供給されたインクによって上記画像形成動作を行うようになっている。
【0004】
一般に、この種のインクジェットプリンタは、記録用紙の片面(上面)にインク滴を吐出して画像形成動作を行うため、このインク滴が滴下される記録用紙の片面がインクの吸収に伴って膨潤する。この片面の膨潤に伴い記録用紙には若干の反りが発生する。
【0005】
通常の画像形成動作にあっては、この記録用紙の反りは僅かであり殆ど問題とならない。
【0006】
ところが、比較的濃度の高いインクを多用して画像形成を行う場合には上記膨潤が進んでしまい記録用紙の反りが大きくなる。また、比較的濃度の低いインクを多用した場合であっても、画像形成動作の途中で何らかの不具合が生じて画像形成動作が中断した際には、その後に画像形成動作が再開されるまでの時間が長くなるに従って上記膨潤が進み、記録用紙の反りが大きくなる。更には、イメージデータの画像形成を行う場合には、記録用紙の送りピッチを小さくすることがあり、この場合にも画像形成完了までの時間が長くなって上記膨潤が進み、記録用紙の反りが大きくなる。
【0007】
そして、このように膨潤が進んで記録用紙の反りが大きくなった状況では、記録ヘッドと記録用紙との間隔が適切に得られず、インク滴の着弾位置にズレが生じて画質の悪化を招いてしまう。また、膨潤が著しく進み、記録用紙が記録ヘッドに接触してしまった場合には、用紙表面が汚れたり、用紙ジャムが発生したり、記録ヘッドのノズルに目詰まりが発生するといった不具合が生じてしまう。
【0008】
この不具合を解消するものとして、例えば特開平3−21458号公報に開示されているインクジェットプリンタがある。この公報には、キャリッジの記録ヘッド両側(キャリッジ主走査方向の両側)にスターホイールを設けておき、このスターホイールによって記録用紙を押さえ込み、仮に記録用紙が膨潤したとしても記録用紙が記録ヘッド側へ浮き上がることを阻止できるようにした構成が開示されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記スターホイールがキャリッジ主走査方向にのみ回転する構成では、キャリッジ走査後の記録用紙搬送動作時において、このスターホイールが記録用紙搬送の抵抗となってしまう。
【0010】
このため、上記公報には、記録用紙搬送動作時にスターホイールを記録用紙から後退させるためのソレノイドを備えさせている。しかしながら、これではキャリッジ周辺部の構成が複雑化し、装置の大型化を招いてしまう可能性があるため好ましくない。また、このソレノイドを備えた構成において画像形成動作の高速化を図るためには、キャリッジ走査動作から記録用紙搬送動作への切り換えタイミングと、スターホイールを記録用紙から後退させるタイミングとを高精度で一致させる必要がある。このため、制御が煩雑化してしまい実用性に欠けることになる。
【0011】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、キャリッジや記録ヘッド等により構成されるインク吐出ユニットにスターホイール等のホイール部材を備えさせることで記録用紙の浮き上がりを防止する構成に対し、簡素な構成でもって、スターホイールが記録用紙搬送の抵抗となることを回避しつつ記録媒体の浮き上がりを良好に阻止可能とする記録媒体浮き上がり防止構造及びその記録媒体浮き上がり防止構造を備えたインクジェット画像形成装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
−発明の概要−
上記の目的を達成するために、本発明は、記録用紙(記録媒体)を押さえ込んで浮き上がりを防止するスターホイール(ホイール部材)の支持構造として、このスターホイールが主走査方向に回転自在となるように支持すると共に、記録用紙の搬送動作時には、このスターホイールと記録用紙との相対位置が変化しないようにスターホイールが記録媒体の搬送に追従して移動可能となるようにしている。
【0013】
−解決手段−
具体的には、インク吐出ユニットが主走査方向に移動しながら記録媒体に向けてインクを吐出することにより記録媒体上に画像形成を行うインクジェット画像形成装置を前提とする。このインクジェット画像形成装置における記録媒体浮き上がり防止構造として、上記インク吐出ユニットに、記録媒体の表面を押さえ込んで浮き上がりを防止するホイール部材を取り付ける。そして、このホイール部材を、主走査方向に回転自在とすると共にその回転を伴うことなしに記録媒体の搬送方向に移動可能とするようにインク吐出ユニットに取り付けている。
【0014】
このホイール部材の支持構造として、より詳しくは、保持部材を介してホイール部材をインク吐出ユニットに取り付ける。そして、ホイール部材を、主走査方向に回転自在となるよう保持部材に支持する一方、保持部材を、記録媒体の搬送方向に移動可能となるようインク吐出ユニットに支持している。
【0015】
これらの特定事項により、インク吐出ユニットが主走査方向に移動しながら記録媒体上に画像形成を行っている際には、ホイール部材は記録媒体の表面を押さえ込みながら主走査方向に回転する。つまり、ホイール部材は、記録媒体上を転動しながら主走査方向に移動し、記録媒体が膨潤等により浮き上がる状況が発生したとしても上記押さえ込み作用によって記録媒体の浮き上がりを阻止している。このため、記録ヘッドと記録媒体との間隔が常に適切に得られて高画質の画像形成を行うことができ、また、記録媒体が記録ヘッドに接触してしまうこともない。
【0016】
そして、インク吐出ユニットが主走査方向の一端まで移動した後に行われる記録媒体の搬送動作時には、ホイール部材は上記回転を伴うことなしに記録媒体の搬送に伴ってその搬送方向に移動する。つまり、記録媒体に対する相対位置が変化しないようにホイール部材が記録媒体に追従して移動する。具体的には、ホイール部材を支持している保持部材が記録媒体の搬送方向に移動することによって、ホイール部材と記録媒体との相対位置が変化しないようになっている。このため、ホイール部材が記録媒体の表面に常時接触して浮き上がりを防止しているにも拘わらず、この記録媒体搬送動作時にホイール部材が搬送抵抗となってしまうことはない。その結果、記録媒体搬送動作時にホイール部材を記録媒体から後退させるための手段(上記公報に開示されていたソレノイド)を必要とすることなしに、良好な記録媒体搬送動作を行うことができ、しかも、この記録媒体搬送動作時においてもホイール部材が記録媒体の表面を押さえ込んでいるので記録媒体が浮き上がってしまうことはない。このため、インク吐出ユニット周辺部の構成の簡素化を維持して装置の大型化を招くことなしに、記録媒体の浮き上がりを防止可能な構造を得ることができる。
【0017】
上記保持部材の支持構造として具体的には以下の各構成が掲げられる。
【0018】
先ず、保持部材を、主走査方向に延びる軸心を回動中心として回動自在となるようインク吐出ユニットに支持する。そして、この保持部材に対し、記録媒体の搬送動作に伴って行われる回動動作の回動方向とは逆方向の付勢力を付勢手段によって与えておく。
【0019】
また、保持部材が記録媒体に向かって延びる延長方向に沿う直線と、記録媒体搬送方向に沿って搬送上流側に延びる直線との成す角度を90度以下に設定している。
【0020】
更に、ホイール部材を記録媒体の搬送方向に沿ってスライド移動可能とするように保持部材をインク吐出ユニットによってスライド自在に支持しておくと共に、記録媒体の搬送方向上流側に向かう付勢力を付勢手段によって保持部材に与えておく。この場合、記録媒体の搬送方向に沿った保持部材のスライド移動可能量は、画像形成動作時におけるインク吐出ユニットの主走査方向の移動動作の後に行われる記録媒体搬送動作の送り量以上に設定されている。
【0021】
上記付勢手段を備えさせた構成の場合には、記録媒体の搬送動作時に、ホイール部材が記録媒体に追従するように保持部材の移動が行われた後に、再びインク吐出ユニットが主走査方向に移動して画像形成動作が行われる際、付勢手段の付勢力によってホイール部材は元の位置に戻されることになる。つまり、付勢手段の付勢力によって保持部材が移動することでホイール部材はインク吐出ユニットに対する相対位置として初期の位置(記録媒体の搬送に追従して移動する前の位置)に戻される。このため、次回の記録媒体の搬送動作時にあっても、ホイール部材は記録媒体に追従して移動することができ、記録媒体搬送動作時の搬送抵抗となることなしに記録媒体の浮き上がりを防止することができる。
【0022】
また、記録媒体搬送方向の上流側に対して成す角度が90度以下となるように、保持部材が記録媒体に向かって延びる延長方向を設定した場合には、記録媒体搬送動作時にホイール部材が記録媒体に追従して移動する際、ホイール部材が記録媒体に食い込んでしまうといった状況を回避でき、安定した記録媒体搬送動作を行うことができる。
【0023】
更に、ホイール部材を記録媒体の搬送方向に沿ってスライド移動可能とした場合には、ホイール部材の記録媒体に対する接触状態を常に一定にでき、記録媒体の押さえ込み状態を安定して得ることができる。
【0024】
加えて、上記記録媒体の搬送方向に沿って保持部材をスライド移動可能とした場合において、このスライド移動可能量を画像形成動作時における記録媒体の送り量以上に設定した場合には、常に、ホイール部材を記録媒体に追従して移動させることができ、記録媒体の押さえ込み機能の信頼性の向上を図ることができる。
【0025】
また、上記課題を解決するための他の解決手段としては以下のものが掲げられる。先ず、インク吐出ユニットが主走査方向に移動しながら記録媒体に向けてインクを吐出することにより記録媒体上に画像形成を行うインクジェット画像形成装置を前提とする。このインクジェット画像形成装置に対し、インク吐出ユニットに、記録媒体の表面を押さえ込んで浮き上がりを防止するためのホイールユニットを取り付ける。このホイールユニットは、記録媒体の搬送方向を回転方向とする円盤状のユニットベースと、このユニットベースの外周縁部の複数箇所に配設され且つ主走査方向を回転方向とする複数のホイール部材とを備えて構成されている。
【0026】
この特定事項により、インク吐出ユニットが主走査方向に移動しながら記録媒体上に画像形成を行っている際には、ユニットベースの外周縁部に配設されている少なくとも一つのホイール部材が記録媒体の表面を押さえ込みながら主走査方向に回転する。つまり、ホイール部材は、記録媒体上を転動しながら主走査方向に移動して記録媒体の浮き上がりを阻止している。
【0027】
そして、記録媒体の搬送動作時には、記録媒体の搬送に伴ってユニットベースが記録媒体の搬送方向に回転する。つまり、記録媒体に接触していたホイール部材は、このユニットベースの回転により記録媒体に追従して移動することになる。このため、ホイール部材は記録媒体の表面に接触しているにも拘わらず、この記録媒体搬送動作時にホイール部材が搬送抵抗となってしまうといったことはない。その結果、良好な記録媒体搬送動作を行うことができ、しかも、この記録媒体搬送動作時であってもホイール部材が記録媒体の表面を押さえ込んでいるので記録媒体が浮き上がってしまうことはない。
【0028】
また、インク吐出ユニットが主走査方向に移動する際に、記録媒体をホイール部材とプラテンとの間で良好に押さえ込むためのホイール部材の構成としては以下のものが掲げられる。先ず、インク吐出ユニットに、プラテン上を搬送される記録媒体に対してインクを吐出する記録ヘッドを備えさせ、ホイール部材の半径を、上記プラテンと記録ヘッドとの間の距離またはインク吐出ユニットに備えられた記録媒体ガイド板とプラテンとの間の距離よりも大きく設定するものである。
【0029】
また、ホイール部材の回転中心位置を、記録ヘッドの先端位置に対してプラテン配設位置とは反対側の位置またはインク吐出ユニットに備えられた記録媒体ガイド板の先端位置に対してプラテン配設位置とは反対側の位置に設定するものである。
【0030】
これら何れの構成によっても、記録媒体をホイール部材とプラテンとの間で良好に押さえ込むことができ、この押さえ込み作用によって記録媒体の浮き上がりを阻止することができる。つまり、これらの構成によれば、インク吐出ユニットが主走査方向に移動するに際し、ホイール部材が記録媒体の直近まで移動してきた際には、この記録媒体の端縁はホイール部材の回転中心位置よりもプラテン側に位置することになる。このままインク吐出ユニットが主走査方向に移動すれば記録媒体の端縁はホイール部材とプラテンとの間に送り込まれることになり、上記押さえ込み作用が確実に得られることになる。
【0031】
上記ホイール部材の支持構造として、このホイール部材が、記録媒体の表面を押さえ込んで浮き上がりを防止する位置と、記録媒体の表面から後退してこの記録媒体に接触しない位置との間を移動自在となるように構成している。例えば、ユーザの手動操作によってホイール部材の位置を変更できるようにしたり、プリンタドライバ等の制御によってホイール部材の位置を自動変更できるようにしてもよい。
【0032】
この特定事項によれば、記録媒体の浮き上がりが生じやすい状況であるときにのみホイール部材による記録媒体の押さえ込み動作を実行することができる。つまり、記録媒体の搬送抵抗をできるだけ少なくするためには、この記録媒体の表面には他の部材が接触しないことが好ましい。このため、記録媒体の浮き上がりが生じないかまたは生じにくい状況であるときには、ホイール部材を記録媒体の表面から後退させて、この搬送抵抗を削減する。一方、記録媒体の浮き上がりが生じやすい状況であるときには、ホイール部材を記録媒体の表面に接触させ、この表面を押さえ込んで浮き上がりを防止し、記録ヘッドと記録媒体との間隔を適切に得ると共に、記録媒体が記録ヘッドに接触してしまうことを防止する。
【0033】
上述した記録媒体浮き上がり防止構造に対して適用される細部の構成としては以下の各構成が掲げられる。
【0034】
先ず、ホイール部材の回転摺動部に消音部材を備えさせている。
【0035】
また、ホイール部材がインク吐出ユニットに対して着脱自在となっている。
【0036】
更に、ホイール部材の外周部に接触してこの外周部のクリーニングを行うクリーニング部材が配設されている。
【0037】
上記消音部材を備えさせた構成の場合には、インク吐出ユニットが主走査方向に移動する際にホイール部材の回転摺動部で発生する摺動音は消音部材によって消音される。このため、画像形成動作中の装置の騒音を低減することができる。
【0038】
また、ホイール部材をインク吐出ユニットに対して着脱自在とした場合には、このホイール部材の周辺部で用紙ジャムが発生したとしても、このホイール部材をインク吐出ユニットから取り外すことによってジャム用紙の除去作業を容易に行うことができる。また、このホイール部材をインク吐出ユニットから取り外したことで、このホイール部材に付着している紙粉等の付着物の除去作業も容易に行うことが可能になる。
【0039】
更に、ホイール部材の外周部に接触してこの外周部のクリーニングを行うクリーニング部材を配設した場合には、ホイール部材に付着している紙粉等の付着物の除去作業が、インク吐出ユニットの走査に伴って自動的に行われることになる。これにより、上記付着物が記録媒体に再付着してしまうことを阻止できる。
【0040】
また、インク吐出ユニットがメンテナンス位置に達した際、ホイール部材がプラテンから後退する位置に移動するよう構成している。これによれば、メンテナンス動作時にメンテナンスユニットを構成する各部材とホイール部材とが干渉してしまうことを確実に回避でき、また、メンテナンスユニットのメンテナンス動作に伴って飛散するインクがホイール部材にまで達してしまうことを抑制でき、このホイール部材の汚れを回避できる。
【0041】
更に、インク吐出ユニットがメンテナンス位置に達した際、ホイール部材とメンテナンスユニットとの間に移動してホイール部材を保護する保護部材を設けた場合には、仮にメンテナンスユニットのメンテナンス動作に伴ってインクが大きく飛散したとしても、ホイール部材は保護部材によって保護されているため、この飛散インクがホイール部材に付着することがなく、このホイール部材の汚れを回避できる。
【0042】
また、上述した各解決手段に係る記録媒体浮き上がり防止構造を備え、この記録媒体浮き上がり防止構造によって記録媒体の表面がホイール部材によって押さえ込まれた状態でインク吐出ユニットが主走査方向に移動しながら記録媒体に向けてインクを吐出することにより記録媒体上に画像形成を行うよう構成されたインクジェット画像形成装置も本発明の技術的思想の範疇である。
【0043】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の複数の実施形態を図面に基づいて説明する。本形態では、カラーインクジェットプリンタ(インクジェット画像形成装置)に本発明を適用した場合について説明する。
【0044】
−カラーインクジェットプリンタの全体構成の説明−
各実施形態について説明する前に、先ず、カラーインクジェットプリンタの全体構成について説明する。
【0045】
図1は、本形態に係るカラーインクジェットプリンタ1の外観(カバー11が開放された状態)を示す斜視図である。また、図2は、カラーインクジェットプリンタ1の内部構成を示す側面図である。
【0046】
これらの図に示すように、本形態に係るインクジェットプリンタ1は、給紙部2、分離部3、搬送部4、画像形成部5及び排出部6を備えている。
【0047】
給紙部2は、略鉛直方向に延びる給紙トレイ21及び図示しないピックアップローラを備えており、画像形成動作開始時に給紙トレイ21内の記録媒体としての記録用紙Pをピックアップローラによって取り出して分離部3に向けて搬送するようになっている。また、上記給紙トレイ21は、画像形成動作を行わない際には、記録用紙Pの保管部として機能する。
【0048】
分離部3は、給紙部2から供給される記録用紙Pを、画像形成部5に向けて一枚ずつ供給するためのものであり、給紙ローラ31及び分離器32を備えている。分離器32では、パッド部分(記録用紙Pとの接触部分)と記録用紙Pとの摩擦力が、記録用紙P,P同士の間の摩擦力より大きくなるように設定されている。また、給紙ローラ31では、この給紙ローラ31と記録用紙Pとの摩擦力が、分離器32のパッドと記録用紙Pとの摩擦力や、記録用紙P,P同士の間の摩擦力よりも大きくなるように設定されている。そのため、ピックアップローラによって複数枚の記録用紙P,P,…が取り出されて分離部3まで送られてきたとしても、給紙ローラ31によって、これら複数の記録用紙P,P,…を分離し、最も上側の一枚の記録用紙Pのみを搬送部4に送ることができるようになっている。
【0049】
搬送部4は、分離部3より一枚ずつ供給される記録用紙Pを、画像形成部5に向けて搬送するためのものであり、ガイド板41及び搬送ローラ対42を備えている。搬送ローラ対42は、記録用紙Pを記録ヘッド(インクヘッド)52とプラテン53との間に送り込む際に、記録ヘッド52からのインク滴が記録用紙Pの適切な位置に吹き付けられるように、記録用紙Pの搬送を調整する部材である。
【0050】
画像形成部5は、搬送部4の搬送ローラ対42から供給される記録用紙Pへ画像形成を行うためのものであり、複数のインクカートリッジ81〜84、記録ヘッド52、これらインクカートリッジ81〜84及び記録ヘッド52を搭載したキャリッジ51、このキャリッジ51を主走査方向に案内するためのガイドシャフト54、画像形成時に記録用紙Pの支持台となる上記プラテン53を備えている。また、上記キャリッジ51、記録ヘッド52、インクカートリッジ81〜84によって本発明でいうインク吐出ユニットが構成されている。更に、上記インクカートリッジ81〜84は、Bk(ブラック),Y(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン)の各インク毎に個別にキャリッジ51上に搭載されており、それぞれが独立して交換可能となっている。また、本形態では、各インクカートリッジ81〜84のうちY,M,Cの各カラーインクカートリッジ82〜84に比べてBkインクカートリッジ81が大型のものとなっている。
【0051】
排出部6は、画像形成が行われた記録用紙Pを回収する部分であり、記録用紙P上のインクを乾燥させるための図示しないインク乾燥部、排出ローラ61及び排出トレイ62を備えている。
【0052】
上記の構成において、インクジェットプリンタ1は、次のような動作によって画像形成を行う。先ず、図示しないコンピュータ等の外部端末から画像情報に基づく画像形成要求がインクジェットプリンタ1に対してなされる。画像形成要求を受信したインクジェットプリンタ1は、給紙トレイ21上の記録用紙Pを、ピックアップローラによって給紙部2より搬出する。次に、搬出された記録用紙Pは、給紙ローラ31によって分離部3を通過し、搬送部4へと送られる。搬送部4では、搬送ローラ対42によって、記録用紙Pを記録ヘッド52とプラテン53との間へと送る。そして、画像形成部5では、記録ヘッド52のインクノズルよりプラテン53上の記録用紙Pへ、画像情報に対応してインク滴が吹き付けられる。この時、記録用紙Pはプラテン53上で一旦停止されている。インク滴を吹き付けつつ、キャリッジ51は、ガイドシャフト54に案内されて、主走査方向(図1におけるD2方向)に一ライン分走査される。それが終了すると、記録用紙Pは、プラテン53上で副走査方向(図1におけるD1方向)に一定の幅だけ移動する。画像形成部5において、上記処理が画像情報に対応し継続して実施されることにより、記録用紙Pの全面に画像形成がなされる。このようにして画像形成が行われた記録用紙Pは、インク乾燥部を経て、排出ローラ61によって排出トレイ62に排出される。これにより、記録用紙Pは印刷物としてユーザに提供されることになる。
【0053】
以上の各部の動作は、制御部によって制御される。以下、この制御部について説明する。
【0054】
図3は、本インクジェットプリンタの制御部の構成を示すブロック図である。この制御部は、CPU7によって制御されるキャリッジ主走査駆動手段71、用紙搬送のための手段である給紙ローラ駆動手段72A、搬送ローラ駆動手段72B、排出ローラ駆動手段72Cの3つの手段、記録ヘッド駆動手段73、画像データ入力手段74を備えている。
【0055】
キャリッジ主走査駆動手段71は、上記キャリッジ51を主走査方向に往復移動させるための駆動源であるキャリッジモータの駆動を制御する。
【0056】
各ローラ駆動手段72A,72B,72Cは、記録用紙Pの搬送経路上に配置されている上記給紙ローラ31、搬送ローラ対42、排出ローラ61の駆動をそれぞれ制御する。
【0057】
記録ヘッド駆動手段73は、画像データ入力手段74が受けた画像データに基づいて記録ヘッド52の駆動を制御する。つまり、上記キャリッジ51の走査や記録用紙Pの搬送と連繋して、ブラックヘッドやカラーヘッドに設けられた複数の圧電素子をインク色毎に区別して駆動し、各インクノズルからのインク滴の吐出制御を行い、記録用紙P上に所定の画像形成を行うようになっている。
【0058】
また、CPU7には、画像形成動作制御手段77が備えられている。この画像形成動作制御手段77には、上記キャリッジ主走査駆動手段71、各ローラ駆動手段72A,72B,72C、記録ヘッド駆動手段73を制御して記録用紙P上にカラー画像を記録する画像記録制御の制御プログラムなどが格納されている。
【0059】
また、CPU7には、接続ケーブルを介してホストコンピュータ等に接続されて、このホストコンピュータ等から送信される画像データを受信可能な図示しない通信用インターフェースが接続されている。尚、以下の各実施形態の各図ではキャリッジ51上に搭載されているインクカートリッジの一部を省略している。
【0060】
−記録用紙浮き上がり防止構造の各実施形態−
次に、本実施形態の特徴部分である記録用紙浮き上がり防止構造に係る複数の実施形態について説明する。
【0061】
(第1実施形態)
先ず、第1実施形態について図4及び図5を用いて説明する。図4はキャリッジ51及びその周辺部を副走査方向から見た断面図(用紙搬送方向の下流側から上流側を見た図)である。図5はキャリッジ51及びその周辺部を主走査方向から見た図(図4におけるV−V線に対応した位置における断面図)であって、図5(a)はキャリッジ51が主走査方向(紙面の奥側または手前側)に移動しながら画像形成動作を行っている状態を、図5(b)は記録用紙Pが副走査方向(図中の左側)に搬送されている状態をそれぞれ示している。以下、詳細に説明する。
【0062】
図4及び図5に示すように、キャリッジ51の底面における主走査方向中央位置には上下方向に貫通する貫通孔51aが形成されており、この貫通孔51aの内部に後述するホイール部材としてのスターホイール91を回転自在に支持するための保持部材としてのホルダ92が備えられている。このホルダ92は、その上端部が上記貫通孔51a内部において主走査方向に延びる回動軸回りに回動自在に支持されている。
【0063】
一方、このホルダ92の下端部にはスターホイール91が回転自在に支持されている。具体的には、ホルダ92における記録用紙搬送方向下流側の面(図4にあっては手前側、図5にあっては左側の面)には副走査方向(記録用紙搬送方向)に延びる回転軸92aが備えられており、スターホイール91はこの回転軸92aによって回転自在に支持されている。
【0064】
また、上記ホルダ92の長さ寸法及びスターホイール91の半径は、ホルダ92がその自重によって鉛直方向に延びる姿勢となった状態(図5(a)に示す状態)で、スターホイール91の外縁がプラテン53上の記録用紙Pの表面に接触し、且つこの記録用紙Pに対して所定の押圧力(キャリッジ51の走査や記録用紙Pの搬送に支障を来さない程度の押圧力)をもって記録用紙Pの表面を押圧することにより記録用紙Pの浮き上がりを阻止するように設定されている。
【0065】
具体的には、ホルダ92が鉛直方向に延びる姿勢となった状態で、スターホイール91の下端位置とプラテン53の上面位置とが一致するように設定されている。または、このホルダ92が鉛直方向に延びる姿勢となった状態における記録ヘッド52に対するスターホイール91の突出寸法が、記録ヘッド52の先端面とプラテン53の上面との間隔寸法よりも僅かに長く設定されている。この場合、実際には、ホルダ92は鉛直方向に延びる姿勢とはならず、僅かに記録用紙搬送方向下流側に傾斜した姿勢となって記録用紙Pに対して所定の押圧力を与えて記録用紙Pの浮き上がりを阻止することになる。
【0066】
尚、ホルダ92が鉛直方向に延びる姿勢となった状態における記録ヘッド52からのスターホイール91の突出寸法が、記録ヘッド52の先端面とプラテン53の上面との間隔寸法よりも僅かに短く設定されていてもよい。この場合、記録用紙Pがプラテン53から僅かに浮き上がる可能性があるが、この浮き上がり量が許容できる範囲であればよい。
【0067】
以上のようにしてスターホイール91がホルダ92を介してキャリッジ51に支持されているため、キャリッジ51の走査移動時及び記録用紙Pの搬送時には以下のようにして記録用紙Pの浮き上がりが防止される。
【0068】
先ず、キャリッジ51が主走査方向に移動しながら記録用紙P上に画像形成を行っている際には、図5(a)に示すように、スターホイール91は記録用紙Pの表面を押さえ込みながら主走査方向に回転する。つまり、スターホイール91は、記録用紙P上を転動しながら主走査方向に移動し、記録用紙Pが膨潤等により浮き上がる状況が発生したとしても上記押さえ込み作用によって記録用紙Pの浮き上がりは良好に阻止される。このため、記録ヘッド52と記録用紙Pとの間隔が常に適切に得られてインク滴の着弾位置が良好になり、高画質の画像形成を行うことができる。また、記録用紙Pが記録ヘッド52に接触して汚れてしまうこともない。
【0069】
そして、キャリッジ51が主走査方向に移動した後に行われる記録用紙Pの搬送動作時には、図5(b)に示すように、スターホイール91は回転を伴うことなしに、記録用紙Pの搬送に伴ってその搬送方向に移動される。つまり、記録用紙Pに対する相対位置が変化しないようにスターホイール91が記録用紙Pに追従して移動する。具体的には、スターホイール91を支持しているホルダ92が記録用紙Pの搬送方向に僅かに回動することによって、スターホイール91と記録用紙Pとの相対位置が変化しないようになっている。このため、スターホイール91は記録用紙Pの表面に常時接触しているにも拘わらず、この記録用紙搬送動作時にスターホイール91が搬送抵抗となってしまうといったことはない。
【0070】
その結果、記録用紙搬送動作時にスターホイール91を記録用紙Pから後退させるための手段(上記公報に開示されていたソレノイド)を必要とすることなしに、良好な記録用紙搬送動作を行うことができ、しかも、この記録用紙搬送動作時においてもスターホイール91が記録用紙Pの表面を押さえ込んでいるので記録用紙Pが浮き上がってしまうことはない。このため、キャリッジ51周辺部の構成の簡素化を維持してインクジェットプリンタ1の大型化を招くことなしに、記録用紙Pの浮き上がりを良好に防止することができる。
【0071】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について図6及び図7を用いて説明する。尚、本形態では上述した第1実施形態との相違点についてのみ説明する。図6はキャリッジ51及びその周辺部を主走査方向から見た断面図(図5に相当する断面図)であって、図6(a)はキャリッジ51が主走査方向(紙面の奥側または手前側)に移動しながら画像形成動作を行っている状態を、図6(b)は記録用紙Pが副走査方向(図中の左側)に搬送されている状態をそれぞれ示している。また、図7は、キャリッジ51の主走査方向への移動時及び記録用紙Pの搬送動作時におけるスターホイール91の移動軌跡を示す平面図である。以下、詳細に説明する。
【0072】
図6及び図7に示すように、キャリッジ51に対するホルダ92の支持構造及びこのホルダ92に対するスターホイール91の支持構造は上述した第1実施形態のものと同様である。
【0073】
そして、本形態では、ホルダ92の下端部と、キャリッジ51に形成されている貫通孔51aの内壁面との間に引っ張りコイルスプリング(付勢手段)93が架け渡されている。
【0074】
これにより、記録用紙Pの搬送動作時に、スターホイール91が記録用紙Pに追従するようにホルダ92の移動が行われた後に、再びキャリッジ51が主走査方向に移動して画像形成動作が行われる際、コイルスプリング93の付勢力によってスターホイール91は元の位置に戻されることになる。図7における▲1▼は、キャリッジ51が図中左方向に移動して画像形成動作が行われる際のスターホイール91の移動軌跡を示している。図7における▲2▼は、記録用紙Pの搬送に追従するようにスターホイール91が移動した際の軌跡を示している。図7における▲3▼は、キャリッジ51が図中右方向に移動して画像形成動作が行われ際のスターホイール91の移動軌跡を示している。▲3▼で示す移動軌跡の如く、コイルスプリング93の付勢力によってスターホイール91はキャリッジ51に対する相対位置が元の位置に戻される。
【0075】
このように、コイルスプリング93の付勢力によってホルダ92が移動することでスターホイール91はキャリッジ51に対する相対位置として初期の位置(記録用紙Pの搬送に追従して移動する前の位置)に戻される。このため、次回の記録用紙Pの搬送動作時にあっても、スターホイール91は記録用紙Pに追従して移動することができ、記録用紙搬送動作時の搬送抵抗となることなしに記録用紙Pの浮き上がりを防止することができ、1枚の記録用紙Pの画像形成動作が完了するまで、スターホイール91を記録用紙Pに常時接触させて上記押さえ込み動作を継続させることができる。
【0076】
尚、本形態では、コイルスプリング93の付勢力によってスターホイール91を初期の位置に戻すようにしていたが、上記第1実施形態の場合にあっても、図5(b)に示す状態にあるスターホイール91は、ホルダ92及びスターホイール91の自重の作用によって、図5(a)に示す状態に戻ることになり、上記コイルスプリング93の付勢力を作用させる場合と同様の効果を奏することができるが、この効果をより確実に得るためには、本第2実施形態の如くコイルスプリング93を備えさせることが好ましい。
【0077】
また、上記各実施形態の場合、ホルダ92が記録用紙Pに向かって延びる延長方向に沿う直線と、記録用紙搬送方向に沿って上流側に延びる直線との成す角度を90度以下に設定している。図8(a)は、上述の角度を90度以下に設定した場合を示している。図8(b)は、上述の角度を90度以上に設定した場合を示している。
【0078】
これら図から明らかなように、上述の角度を90度以下に設定した場合には、記録用紙搬送動作時にスターホイール91が記録用紙Pに追従して移動する際、スターホイール91が記録用紙Pに食い込んでしまうといった状況を回避でき、安定した記録媒体搬送動作を行うことができる。図8(b)に示すように上述の角度を90度以上に設定した場合には、この図8(b)に示す状態で、記録用紙Pの搬送動作を行ってホルダ92を図中時計回り方向に回動させようとしても、スターホイール91が記録用紙Pに食い込んでしまい、安定した記録媒体搬送動作を行うことができなくなってしまう。上記角度は、この状況を回避するために設定されている。
【0079】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について図9を用いて説明する。上述した第2実施形態では、ホルダ92が回動することによりスターホイール91を記録用紙Pの搬送に追従させていた。本実施形態は、それに代えて、ホルダ92をスライド移動させることによりスターホイール91を記録用紙Pの搬送に追従させるようにしたものである。図9はキャリッジ51及びその周辺部を主走査方向から見た断面図(図5に相当する断面図)であって、図9(a)はキャリッジ51が主走査方向(紙面の奥側または手前側)に移動しながら画像形成動作を行っている状態を、図9(b)は記録用紙Pが副走査方向(図中の左側)に搬送されている状態をそれぞれ示している。以下、詳細に説明する。
【0080】
図9に示すように、キャリッジ51の底面の内部にはホルダ92及びコイルスプリング93を収容するための空間51bが形成されている。この空間51bの内部に略T字型形状のホルダ92と、このホルダ92に対して図中右方向への付勢力を与える引っ張りコイルスプリング93とが収容されている。
【0081】
そして、上記ホルダ92においてプラテン53に向かって延びるロッド部の下端にスターホイール91が回転自在に支持されている。
【0082】
また、この構成において、記録用紙Pの搬送方向に沿ったホルダ92のスライド移動可能量は、画像形成動作時におけるキャリッジ51の主走査方向の移動動作の後に行われる記録用紙搬送動作の送り量以上に設定されている。
【0083】
この構成によっても、上記第2実施形態の場合と同様に、コイルスプリング93の付勢力によってホルダ92が移動することでスターホイール91はキャリッジ51に対する相対位置として初期の位置(記録用紙Pの搬送に追従して移動する前の位置)に戻される。このため、次回の記録用紙Pの搬送動作時にあっても、スターホイール91は記録用紙Pに追従して移動することができ、記録用紙搬送動作時の搬送抵抗となることなしに記録用紙Pの浮き上がりを防止することができ、1枚の記録用紙Pの画像形成動作が完了するまで、スターホイール91を記録用紙Pに常時接触させて上記押さえ込み動作を継続させることができる。
【0084】
それに加えて、スターホイール91はプラテン53の上面に沿ってスライド移動するため、スターホイール91の記録用紙Pに対する接触状態を常に一定にでき、記録用紙Pの押さえ込み状態を安定して得ることができる。
【0085】
更には、上述した如く、スターホイール91のスライド移動可能量を画像形成動作時における記録用紙Pの送り量以上に設定しているので、常に、スターホイール91を記録用紙Pに追従して移動させることができ、記録用紙Pの押さえ込み機能の信頼性の向上を図ることができる。
【0086】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態について図10〜図13を用いて説明する。図10はキャリッジ51及びその周辺部の平面図である。図11はキャリッジ51及びその周辺部を副走査方向から見た断面図(用紙搬送方向の下流側から上流側を見た図)であって図10におけるXI−XI線に対応した位置における断面図である。図12はキャリッジ51及びその周辺部を主走査方向から見た断面図(図11におけるXII−XII線に対応した位置における断面図)である。以下、詳細に説明する。
【0087】
これら各図に示すように、キャリッジ51の底面における中央位置には上下方向に貫通する貫通孔51cが形成されており、この貫通孔51cの内部にはホイールユニット94が備えられている。このホイールユニット94は、円盤状のユニットベース94aと、このユニットベース94aの外周縁部の複数箇所に配設された複数のスターホイール91,91,…とを備えている。
【0088】
ユニットベース94aは、その中心部が上記貫通孔51c内部において主走査方向に延びる回動軸回りに回動自在に支持されている。
【0089】
一方、各スターホイール91,91,…は、ユニットベース94aの外周縁部の複数箇所(周方向に等間隔を存した12箇所)に配設され且つ主走査方向に回動自在となるように支持されている。
【0090】
本形態の構成によれば、キャリッジ51が主走査方向に移動しながら記録用紙P上に画像形成を行っている際には、ユニットベース94a上の外周縁部に配設されている少なくとも一つのスターホイール91(下端に位置しているスターホイール91)が記録用紙Pの表面を押さえ込みながら主走査方向に回転する。つまり、スターホイール91は、記録用紙P上を転動しながら主走査方向に移動して記録用紙Pの浮き上がりを阻止している。
【0091】
そして、記録用紙Pの搬送動作時には、記録用紙Pの搬送に伴ってユニットベース94aが記録用紙Pの搬送方向に回転する。つまり、記録用紙Pに接触していたスターホイール91は、このユニットベース94aの回転により記録用紙Pに対する相対位置が変化することがない。このため、スターホイール91は記録用紙Pの表面に常時接触しているにも拘わらず、この記録用紙搬送動作時にスターホイール91が搬送抵抗となってしまうといったことはない。図13(a)〜(c)は、このユニットベース94aが回転することにより、スターホイール91が記録用紙Pの表面に常時接触しながらもこの記録用紙Pの搬送に追従して移動する状態を示している。このような動作が行われる結果、良好な記録用紙搬送動作を行うことができ、しかも、この記録用紙搬送動作時においてもスターホイール91が記録用紙Pの表面を押さえ込んでいるので記録用紙Pが浮き上がってしまうことはない。
【0092】
(変形例)
次に、上記第4実施形態の変形例について図14を用いて説明する。この図14はキャリッジ51及びその周辺部を主走査方向から見た断面図(図12に相当する断面図)であって、図14(a)はキャリッジ51が主走査方向(紙面の奥側または手前側)に移動しながら画像形成動作を行っている状態を、図14(b)は記録用紙Pが副走査方向(図中の左側)に搬送されている状態をそれぞれ示している。
【0093】
これらの図に示すように、本形態のホイールユニット94は、上述した第4実施形態に係るホイールユニットの一部分のみによって構成されている。つまり、主走査方向に延びる回動軸回りに回動自在に支持された扇形状のユニットベース94aと、このユニットベース94aの外周縁部の複数箇所(図14に示すものでは3箇所)に配設され且つ主走査方向に回動自在となるように支持された複数のスターホイール91,91,…とを備えている。
【0094】
また、キャリッジ51にはスプリング取り付け座51dが備えられており、このスプリング取り付け座51dとユニットベース94aとの間に引っ張りコイルスプリング93が架け渡されている。
【0095】
これにより、記録用紙Pの搬送動作時には、ユニットベース94aは図14(a)に示す状態から図14(b)に示す状態に回動してスターホイール91が記録用紙Pに追従するようにした後に、再びキャリッジ51が主走査方向に移動して画像形成動作が行われる際、コイルスプリング93の付勢力によってユニットベース94aは上記とは逆方向に回動して図14(a)に示す状態に戻されることになる。
【0096】
このため、次回の記録用紙Pの搬送動作時にあっても、スターホイール91は記録用紙Pに追従して移動することができ、記録用紙搬送動作時の搬送抵抗となることなしに記録用紙Pの浮き上がりを防止することができ、1枚の記録用紙Pの画像形成動作が完了するまで、スターホイール91を常時記録用紙Pに接触させて上記押さえ込み動作を継続させることができる。
【0097】
(第5実施形態)
次に、第5実施形態について図15及び図16を用いて説明する。図15はキャリッジ51及びその周辺部を副走査方向から見た断面図(用紙搬送方向の下流側から上流側を見た図)である。図16はキャリッジ51及びその周辺部を主走査方向から見た断面図(図15におけるXVI−XVI線に対応した位置における断面図)である。以下、詳細に説明する。
【0098】
図15及び図16に示すように、スターホイール91の半径を、プラテン53と記録ヘッド52との間の距離よりも大きく設定している。
【0099】
この構成によれば、キャリッジ51が主走査方向に移動して、スターホイール91が記録用紙Pの直近まで移動してきた際には(図15に示す状態)、この記録用紙Pの端縁はスターホイール91の回転中心位置よりもプラテン53側(図中下側)に位置することになる。このままキャリッジ51が主走査方向(図15の右方向)に移動すれば記録用紙Pの端縁はスターホイール91とプラテン53との間に送り込まれることになり、上記押さえ込み作用が確実に得られることになる。
【0100】
また、上記と同様の効果を奏するための構成としては、上述したように、スターホイール91の半径を、プラテン53と記録ヘッド52との間の距離よりも大きく設定すること以外に、以下の構成を採用してもよい。
【0101】
(1)スターホイール91の半径を、キャリッジ51に備えられたガイド板51eとプラテン53との間の距離よりも大きく設定する。
【0102】
(2)スターホイール91の回転中心位置を、記録ヘッド52の先端位置(下端位置)に対してプラテン53の配設位置とは反対側(上側)の位置に設定する。
【0103】
(3)スターホイール91の回転中心位置を、上記ガイド板51eの先端位置に対してプラテン53の配設位置とは反対側の位置に設定する。
【0104】
これら(1)〜(3)の何れの構成によっても、上述の場合と同様に、記録用紙Pをスターホイール91とプラテン53との間で良好に押さえ込むことができ、この押さえ込み作用によって記録用紙Pの浮き上がりを阻止することができる。
【0105】
(第6実施形態)
次に、第6実施形態について図17を用いて説明する。本形態は、スターホイール91を記録用紙Pに対して後退(上方移動)させるものである。この図17はキャリッジ51及びその周辺部を主走査方向から見た断面図であって、図17(a)はスターホイール91が後退移動(上方移動)した状態を示し、図17(b)はスターホイール91が前進移動(下方移動)した状態を示している。以下、詳細に説明する。
【0106】
図17に示すように、キャリッジ51の底面における中央位置には上下方向に貫通する貫通孔51aが形成されており、この貫通孔51aの内部に、スターホイール91を回転自在に支持するホルダ92が昇降移動自在に挿通されている。このホルダ92は上端部に円盤状の押し上げ座92bが一体形成されており、この押し上げ座92bがキャリッジ51の底面に当接した状態(図17(b)に示す状態)では、スターホイール91が記録用紙Pに対して所定の押さえ込み作用を発揮するようになっている。
【0107】
一方、キャリッジ51の内部には、このホルダ92を上昇させるための操作レバー95が水平軸回りに回動自在に取り付けられている。この操作レバー95は、上方に延びる操作部59aと、この操作部95aの下端に設けられた押し上げ部95bとを備えており、図17(b)に示す状態から操作レバー95を図中時計回り方向に回動させることによって、図17(a)に示すように押し上げ部95bが押し上げ座95bを上方に押し上げ、これによってホルダ92が上昇移動してスターホイール91が記録用紙Pから離れるようになっている。
【0108】
このため、本形態によれば、記録用紙Pの浮き上がりが生じやすい状況であるときにのみスターホイール91による記録用紙Pの押さえ込み動作を実行することができる。つまり、記録用紙Pの搬送抵抗をできるだけ少なくするためには、この記録用紙Pの表面には他の部材が接触しないことが好ましい。このため、記録用紙Pの浮き上がりが生じないかまたは生じにくい状況であるときには、スターホイール91を記録用紙Pの表面から後退させて、この搬送抵抗を削減する(図17(a)参照)。一方、記録用紙Pの浮き上がりが生じやすい状況であるときには、スターホイール91を記録用紙Pの表面に接触させ、この表面を押さえ込んで浮き上がりを防止し、記録ヘッド52と記録用紙Pとの間隔を適切に得ると共に、記録用紙Pが記録ヘッド52に接触してしまうことを防止する(図17(b)参照)。つまり、スターホイール91が記録用紙Pの表面に接触する状況を必要最小限に止めることで、できる限り記録用紙Pの搬送抵抗を小さくすると共に、記録用紙Pの浮き上がりの発生を防止している。
【0109】
(第7実施形態)
次に、第7実施形態について図18を用いて説明する。この図18はキャリッジ51及びその周辺部を副走査方向から見た断面図(用紙搬送方向の下流側から上流側を見た図)である。
【0110】
図18に示すように、本形態では、スターホイール91の回転摺動部に消音部材96が配設されている。つまり、このスターホイール91の回転中心軸とこのスターホイール91の内周面との間にゴム等の弾性材料で成る消音部材96が介在された構成となっている。
【0111】
この構成により、キャリッジ51が主走査方向に移動する際にスターホイール91の回転摺動部で発生する摺動音は消音部材96によって消音される。このため、画像形成動作中のインクジェットプリンタ1の騒音を低減することができる。
【0112】
尚、図19に示すものは、上述した第6実施形態に示すように、スターホイール91を記録用紙Pに対して後退(上方移動)可能に構成したものに対し、上記の消音部材96に加えて、ホルダ92の上端部に形成されている押し上げ座92bが当接するキャリッジ底面上に上記と同様の消音部材96Aを設けたものである。
【0113】
この構成によれば、スターホイール91によって記録用紙Pを押さえ込むべく、ホルダ92を下方移動させた際に、押し上げ座92bの下面がキャリッジ51の底面に衝突することで発する衝突音を抑制することができ、これによってもインクジェットプリンタ1の騒音を低減することができる。
【0114】
(第8実施形態)
次に、第8実施形態について図20を用いて説明する。本形態は、スターホイール91をキャリッジ51に対して着脱自在とするものである。図20(a)はキャリッジ51及びその周辺部の平面図であり、図20(b)はキャリッジ51及びその周辺部を副走査方向から見た断面図(用紙搬送方向の下流側から上流側を見た図)である。
【0115】
この図20に示すように、本形態では、スターホイール91を回転自在に支持しているホルダ92が嵌り込むU字型の溝51fを備えた取り付け座51gがキャリッジ51の側面に配設されている。
【0116】
この構成により、スターホイール91の周辺部で用紙ジャムが発生したとしても、このスターホイール91をキャリッジ51から取り外すことによってジャム用紙の除去作業を容易に行うことができる。また、このスターホイール91をキャリッジ51から取り外したことで、このスターホイール91に付着している紙粉等の付着物の除去作業も容易に行うことが可能になる。
【0117】
(第9実施形態)
次に、第9実施形態について図21及び図22を用いて説明する。図21はキャリッジ51及びその周辺部を副走査方向から見た断面図(用紙搬送方向の下流側から上流側を見た図)である。図22はキャリッジ51及びその周辺部を主走査方向から見た断面図である。以下、詳細に説明する。
【0118】
図21及び図22に示すように、スターホイール91を回転自在に支持しているホルダ92の長手方向(図中の上下方向)の略中間位置にはクリーニング部材としてのクリーニングローラ97が回転自在に取り付けられている。
【0119】
このクリーニングローラ97は、ゴム等の弾性材料で形成されており、スターホイール91の回転軸と平行に延びる回転軸回りに回転自在に支持されていると共に、その外周面がスターホイール91に接触している。
【0120】
この構成により、スターホイール91に付着している紙粉等の付着物の除去作業を、キャリッジ51の走査に伴って自動で行うことができ、上記付着物が記録用紙Pに付着してしまうことを阻止できる。
【0121】
(第10実施形態)
次に、第10実施形態について図23を用いて説明する。本形態は、キャリッジ51がメンテナンス位置に達した際、スターホイール91がプラテン53から後退するように上方移動する構成としたものである。図23はその動作を示している。図23(a)はキャリッジ51及びその周辺部を副走査方向から見た断面図、図23(b)はキャリッジ51及びその周辺部の平面図、図23(c)はキャリッジ51及びその周辺部を主走査方向から見た図であって、各図の左側の図はキャリッジ51がメンテナンス位置に達する前の状態を、右側の図はキャリッジ51がメンテナンス位置に達した状態をそれぞれ示している。
【0122】
これら図に示すように、本形態では一対のスターホイール91,91が備えられており、これらスターホイール91,91を支持しているホルダ92,92が連結プレート92cによって連結されている。この連結プレート92cは、ガイドシャフト54の上方位置において水平軸回りに回動自在に支持されている。
【0123】
また、メンテナンス位置の近傍には、連結プレート92cの回動を案内するためのガイドプレート98が配設されている。このガイドプレート98は、キャリッジ51がメンテナンス位置に近付くに従って連結プレート92cを上方へ移動させる傾斜面98aを備えている。このため、キャリッジ51がメンテナンス位置に向かって移動する際、連結プレート92cがガイドプレート98に案内され、この連結プレート92cが上方へ回動するのに伴ってスターホイール91も上方へ移動し、メンテナンスユニットMよりも上側に位置することになる。
【0124】
このため、メンテナンス動作時にメンテナンスユニットMを構成する各部材とスターホイール91とが干渉してしまうことを確実に回避でき、また、メンテナンスユニットMのメンテナンス動作に伴って飛散するインクがスターホイール91にまで達してしまうことを抑制でき、このスターホイール91の汚れを回避できる。
【0125】
(第11実施形態)
最後に、第11実施形態について図24を用いて説明する。本形態は、上述した第10実施形態の構成に加えて、キャリッジ51がメンテナンス位置に達した際、スターホイール91とメンテナンスユニットMとの間に移動する保護部材99を備えさせたものである。図24はこの保護部材99の動作を示している。この図24の左側の図はキャリッジ51がメンテナンス位置に達する前の状態を、中央の図はキャリッジ51がメンテナンス位置の直前まで達した状態を、右側の図はキャリッジ51がメンテナンス位置に達した状態をそれぞれ示している。
【0126】
これら図に示すように、キャリッジ51には水平軸回りに回動自在に支持された保護部材99が取り付けられている。一方、メンテナンス位置の近傍には、キャリッジ51がメンテナンス位置に達する際に保護部材99に当接してこの保護部材99を回動させるガイド板99Aが配設されている。このため、キャリッジ51がメンテナンス位置に向かって移動する際、保護部材99がガイド板99Aに当接することによってこの保護部材99が回動し、この回動によって、スターホイール91とメンテナンスユニットMとの間に保護部材99が移動することになる。
【0127】
このため、仮にメンテナンスユニットMのメンテナンス動作に伴ってインクが大きく飛散したとしても、スターホイール91は保護部材99によって保護されているため、この飛散インクがスターホイール91に付着することがなく、このスターホイール91の汚れを回避できる。
【0128】
−その他の実施形態−
上記実施形態では、カラーインクジェットプリンタ1に本発明を適用した場合について説明した。本発明はこれに限らず、モノクロタイプのインクジェットプリンタに適用することも可能である。
【0129】
【発明の効果】
以上のように、本発明では、記録媒体を押さえ込んで浮き上がりを防止するホイール部材の支持構造として、このホイール部材が主走査方向に回転自在となるように支持すると共に、記録媒体の搬送動作時には、このホイール部材と記録媒体との相対位置が変化しないようにホイール部材が記録媒体の搬送に追従して移動可能となるようにしている。このため、インク吐出ユニットが主走査方向に移動しながら記録媒体上に画像形成を行っている際、記録媒体の浮き上がりが良好に阻止され、記録ヘッドと記録媒体との間隔が常に適切に得られて高画質の画像形成を行うことができ、また、記録媒体が記録ヘッドに接触してしまうこともない。また、記録媒体の搬送動作時には、ホイール部材が記録媒体に追従して移動するため、このホイール部材が記録媒体の表面に常時接触して浮き上がりを防止しているにも拘わらず、この記録媒体搬送動作時にホイール部材が搬送抵抗となってしまうことはない。その結果、記録媒体搬送動作時にホイール部材を記録媒体から後退させるための手段を必要とすることなしに、良好な記録媒体搬送動作を行うことができ、しかも、この記録媒体搬送動作時においてもホイール部材が記録媒体の表面を押さえ込んでいるので記録媒体が浮き上がってしまうことはない。このため、インク吐出ユニット周辺部の構成の簡素化を維持して装置の大型化を招くことなしに、記録媒体の浮き上がりを防止可能な構造を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態に係るインクジェットプリンタの外観を示す斜視図である。
【図2】インクジェットプリンタの内部構成を示す側面図である。
【図3】インクジェットプリンタの制御部の構成を示すブロック図である。
【図4】第1実施形態におけるキャリッジ及びその周辺部を副走査方向から見た図である。
【図5】第1実施形態におけるキャリッジ及びその周辺部を主走査方向から見た図であって、(a)はキャリッジが主走査方向に移動しながら画像形成動作を行っている状態を、(b)は記録用紙が副走査方向に搬送されている状態をそれぞれ示す図である。
【図6】第2実施形態における図5相当図である。
【図7】第2実施形態におけるキャリッジの主走査方向への移動時及び記録用紙の搬送動作時におけるスターホイールの移動軌跡を示す平面図である。
【図8】ホルダの傾斜角度を異ならせた際の記録用紙搬送動作の差を説明するための図5(b)相当図である。
【図9】第3実施形態における図5相当図である。
【図10】第4実施形態におけるキャリッジ及びその周辺部の平面図である。
【図11】第4実施形態における図4相当図である。
【図12】第4実施形態における図5(a)相当図である。
【図13】ユニットベースの回転動作に伴う記録用紙に対するスターホイールの接触状態の変化を示す図である。
【図14】第4実施形態の変形例における図5相当図である。
【図15】第5実施形態における図4相当図である。
【図16】第5実施形態における図5相当図である。
【図17】第6実施形態における図5相当図である。
【図18】第7実施形態における図4相当図である。
【図19】第7実施形態の変形例における図4相当図である。
【図20】第8実施形態に係る図であって、(a)はキャリッジ及びその周辺部の平面図であり、(b)はキャリッジ及びその周辺部を副走査方向から見た図である。
【図21】第9実施形態における図4相当図である。
【図22】第9実施形態における図5(a)相当図である。
【図23】第10実施形態においてキャリッジがメンテナンス位置に移動する際の動作を説明するための図である。
【図24】第11実施形態においてキャリッジがメンテナンス位置に移動する際の動作を説明するための図である。
【符号の説明】
1 カラーインクジェットプリンタ(インクジェット画像形成装置)
51 キャリッジ
51e ガイド板
52 記録ヘッド
53 プラテン
91 スターホイール(ホイール部材)
92 ホルダ(保持部材)
93 コイルスプリング(付勢手段)
94 ホイールユニット
94a ユニットベース
96 消音部材
97 クリーニングローラ(クリーニング部材)
99 保護部材
P 記録用紙(記録媒体)
Claims (16)
- インク吐出ユニットが主走査方向に移動しながら記録媒体に向けてインクを吐出することにより記録媒体上に画像形成を行うインクジェット画像形成装置において、
上記インク吐出ユニットには、記録媒体の表面を押さえ込んで浮き上がりを防止するホイール部材が取り付けられており、
上記ホイール部材は、主走査方向に回転自在であると共に、その回転を伴うことなしに記録媒体の搬送方向に移動可能となるようにインク吐出ユニットに取り付けられていることを特徴とするインクジェット画像形成装置の記録媒体浮き上がり防止構造。 - インク吐出ユニットが主走査方向に移動しながら記録媒体に向けてインクを吐出することにより記録媒体上に画像形成を行うインクジェット画像形成装置において、
上記インク吐出ユニットには、記録媒体の表面を押さえ込んで浮き上がりを防止するホイール部材が保持部材を介して取り付けられており、
上記ホイール部材は、主走査方向に回転自在となるよう保持部材に支持されている一方、
上記保持部材は、記録媒体の搬送方向に移動可能となるようインク吐出ユニットに支持されていることを特徴とするインクジェット画像形成装置の記録媒体浮き上がり防止構造。 - 請求項2記載のインクジェット画像形成装置の記録媒体浮き上がり防止構造において、
保持部材は、主走査方向に延びる軸心を回動中心として回動自在となるようインク吐出ユニットに支持されていると共に、記録媒体の搬送動作に伴って行われる回動動作の回動方向とは逆方向の付勢力が付勢手段によって与えられていることを特徴とするインクジェット画像形成装置の記録媒体浮き上がり防止構造。 - 請求項2記載のインクジェット画像形成装置の記録媒体浮き上がり防止構造において、
保持部材が記録媒体に向かって延びる延長方向に沿う直線と、記録媒体搬送方向に沿って搬送上流側に延びる直線との成す角度が90度以下に設定されていることを特徴とするインクジェット画像形成装置の記録媒体浮き上がり防止構造。 - 請求項2記載のインクジェット画像形成装置の記録媒体浮き上がり防止構造において、
保持部材は、ホイール部材を記録媒体の搬送方向に沿ってスライド移動可能とするようにインク吐出ユニットによってスライド自在に支持されていると共に、記録媒体の搬送方向上流側に向かう付勢力が付勢手段によって与えられていることを特徴とするインクジェット画像形成装置の記録媒体浮き上がり防止構造。 - 請求項5記載のインクジェット画像形成装置の記録媒体浮き上がり防止構造において、
記録媒体の搬送方向に沿った保持部材のスライド移動可能量は、画像形成動作時におけるインク吐出ユニットの主走査方向の移動動作の後に行われる記録媒体搬送動作の送り量以上に設定されていることを特徴とするインクジェット画像形成装置の記録媒体浮き上がり防止構造。 - インク吐出ユニットが主走査方向に移動しながら記録媒体に向けてインクを吐出することにより記録媒体上に画像形成を行うインクジェット画像形成装置において、
上記インク吐出ユニットには、記録媒体の表面を押さえ込んで浮き上がりを防止するためのホイールユニットが取り付けられており、
上記ホイールユニットは、記録媒体の搬送方向を回転方向とする円盤状のユニットベースと、このユニットベースの外周縁部の複数箇所に配設され且つ主走査方向を回転方向とする複数のホイール部材とを備えて構成されていることを特徴とするインクジェット画像形成装置の記録媒体浮き上がり防止構造。 - 請求項1、2または7記載のインクジェット画像形成装置の記録媒体浮き上がり防止構造において、
インク吐出ユニットは、プラテン上を搬送される記録媒体に対してインクを吐出する記録ヘッドを備えており、
ホイール部材の半径は、上記プラテンと記録ヘッドとの間の距離またはインク吐出ユニットに備えられた記録媒体ガイド板とプラテンとの間の距離よりも大きく設定されていることを特徴とするインクジェット画像形成装置の記録媒体浮き上がり防止構造。 - 請求項1、2または7記載のインクジェット画像形成装置の記録媒体浮き上がり防止構造において、
インク吐出ユニットは、プラテン上を搬送される記録媒体に対してインクを吐出する記録ヘッドを備えており、
ホイール部材の回転中心位置は、記録ヘッドの先端位置に対してプラテン配設位置とは反対側の位置またはインク吐出ユニットに備えられた記録媒体ガイド板の先端位置に対してプラテン配設位置とは反対側の位置に設定されていることを特徴とするインクジェット画像形成装置の記録媒体浮き上がり防止構造。 - 請求項1、2または7記載のインクジェット画像形成装置の記録媒体浮き上がり防止構造において、
ホイール部材は、記録媒体の表面を押さえ込んで浮き上がりを防止する位置と、記録媒体の表面から後退してこの記録媒体に接触しない位置との間を移動自在となるように構成されていることを特徴とするインクジェット画像形成装置の記録媒体浮き上がり防止構造。 - 請求項1、2または7記載のインクジェット画像形成装置の記録媒体浮き上がり防止構造において、
ホイール部材の回転摺動部に消音部材が備えられていることを特徴とするインクジェット画像形成装置の記録媒体浮き上がり防止構造。 - 請求項1、2または7記載のインクジェット画像形成装置の記録媒体浮き上がり防止構造において、
ホイール部材は、インク吐出ユニットに対して着脱自在に構成されていることを特徴とするインクジェット画像形成装置の記録媒体浮き上がり防止構造。 - 請求項1、2または7記載のインクジェット画像形成装置の記録媒体浮き上がり防止構造において、
ホイール部材の外周部に接触してこの外周部のクリーニングを行うクリーニング部材が配設されていることを特徴とするインクジェット画像形成装置の記録媒体浮き上がり防止構造。 - 請求項1、2または7記載のインクジェット画像形成装置の記録媒体浮き上がり防止構造において、
ホイール部材は、インク吐出ユニットがメンテナンス位置に達した際、プラテンから後退する位置に移動するよう構成されていることを特徴とするインクジェット画像形成装置の記録媒体浮き上がり防止構造。 - 請求項1、2または7記載のインクジェット画像形成装置の記録媒体浮き上がり防止構造において、
インク吐出ユニットがメンテナンス位置に達した際、ホイール部材とメンテナンスユニットとの間に移動してホイール部材を保護する保護部材が設けられていることを特徴とするインクジェット画像形成装置の記録媒体浮き上がり防止構造。 - 上記請求項1〜15のうち何れか一つに記載の記録媒体浮き上がり防止構造を備え、この記録媒体浮き上がり防止構造によって記録媒体の表面がホイール部材によって押さえ込まれた状態でインク吐出ユニットが主走査方向に移動しながら記録媒体に向けてインクを吐出することにより記録媒体上に画像形成を行うよう構成されていることを特徴とするインクジェット画像形成装置。
Priority Applications (1)
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JP2002226295A JP2004066540A (ja) | 2002-08-02 | 2002-08-02 | インクジェット画像形成装置の記録媒体浮き上がり防止構造及びその記録媒体浮き上がり防止構造を備えたインクジェット画像形成装置 |
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EP2085236A1 (en) * | 2008-01-30 | 2009-08-05 | Brother Kogyo Kabushiki Kaisha | Inkjet recording apparatus |
CN102205711A (zh) * | 2010-03-31 | 2011-10-05 | 兄弟工业株式会社 | 喷墨记录设备 |
JP2014193537A (ja) * | 2013-03-28 | 2014-10-09 | Brother Ind Ltd | 液体吐出装置 |
JP2017222102A (ja) * | 2016-06-16 | 2017-12-21 | 株式会社新盛インダストリーズ | インクジェットプリンタ− |
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2002
- 2002-08-02 JP JP2002226295A patent/JP2004066540A/ja active Pending
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