JP2004066384A - ペースト状研磨工具及び研磨方法 - Google Patents

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Kaoru Umeya
梅屋 薫
Shuichi Takeda
武田 修一
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Abstract

【課題】研磨性能・研磨能力に著しい影響を及ぼすダイヤモンド粒子の分散、保持性を粘度調整時に劣化させることがなく、同時に低粘度で流動性を持つが、ダイヤモンド粒子の分散・保持性が高く、水洗浄効果及び研磨粉の排出性が良好で、研磨の機械化・自動化がはかれる高い研磨能力と安定した研磨品質、高い作業生産性を同時に兼ね備えたペースト状研磨工具を得る。
【解決手段】オイル、金属石鹸、ダイヤモンド粒子を主成分とするペースト状研磨工具において、ペースト粘度を支配する金属石鹸体積率が8vol%以下で、ペーストの粘度は粘度調整剤のそれより常に低く、粘度調整剤は増粘作用をもつペースト状研磨工具。

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、金型等の精密研磨に適したペースト状研磨工具(研磨材)及び研磨方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のペースト状研磨工具は、オイル、金属石鹸、ダイヤモンド粒子を主成分としたものであるが、粘度(金属石鹸体積率)が高いので、研磨作業者が作業の内容に応じて自ら判断し、希釈剤を用いてペースト状体の粘度を低下させ、適宜調整しながら使用されている。
また、このような研磨作業は作業者個人の経験とスキルに強く依存した典型的技能として伝承されてきたものであり、技術のほとんどが研磨作業者の手にゆだねられてきた。従って、同一研磨作業でも個々の作業者間で研磨能率、仕上がり品質としての研磨精度、不良の発生率に大きなばらつきがあり、研磨作業は生産性が低く、コストが高くなるという問題があった。
【0003】
また従来は、被研磨体の種類によりペースト状研磨工具は使い分けられている。すなわち、研磨中に被研磨体が水の存在で酸化してしまう場合や、研磨中の発熱を著しく抑制したい場合には、油性のペースト状研磨工具を使用し、酸化等の心配がなく水洗浄で作業性を重要視する場合は水性のペースト状研磨工具を使用するということである。
しかし、油性研磨工具を使用する場合では、研磨後の油処理が煩雑で有機溶剤等の揮発・引火性洗浄剤を使用しなければならず、また洗剤を用いた洗浄処理工程がさらに必要とされるために、作業性が著しく低下するという問題も指摘されてきた。
【0004】
近年、あらゆる産業分野で研磨品質及び生産性の向上に対するニーズは急速に高まってきており、特にモデルチェンジ、小型化競争の激しいOA機器、携帯電話等の分野では研磨作業の生産性向上をねらった機械化・自動化の動きも活発化している。
従って、研磨作業において、研磨能力、作業生産性の向上はもちろんのこと、高い作業再現性と精度が確保でき、機械化・自動化にも対応可能なペースト状研磨工具及び研磨方法が求められてきた。
【0005】
従来のペースト状研磨工具は、研磨に作用する個々のダイヤモンド粒子のペースト中での分散及び保持が研磨品質に大きく影響するという理由から、研磨工具製造時にはその分散及び保持状況を注意深く制御して製造されている。
それにもかかわらず、作業時にはダイヤモンド粒子の分散及び保持を制御している金属石鹸構造を希釈剤で破壊し、粘度を低下させる結果、個々のダイヤモンド粒子の分散・保持性がくずれて、研磨品質を維持すること又は品質の再現性が極めて乏しくなるという問題が生じている。
【0006】
また、前記ペースト状研磨工具は、基本的に粘度が高く十分な冷却効果と研磨に作用するダイヤモンド粒子の保持性は高いものの、研磨の進行と共に発生する研磨粉を研磨作業領域から排出しにくいという欠点を有している。
従って、研磨の進行と共に発生する研磨粉自身がスクラッチ等の研磨品質低下の原因となり、研磨に作用するダイヤモンド粒子濃度が相対的に低下し、研磨能力を高められないなどのいくつもの問題を抱えていた。
【0007】
加えて、研磨作業後の油処理が煩雑であり、洗浄工程も含めた作業性向上が大きな課題となっていた。
これら前記ペーストの問題点は、結果として高い研磨能力と作業生産性が求められているにもかかわらず、高い作業再現性と精度の確保が不可欠な研磨の機械化・自動化を阻害する要因ともなっている。
例えば、前記ペースト状研磨工具では粘度が高いため、研磨部へのペーストの自動供給が困難であり、一方希釈剤で粘度を低下させようとすると前記したようにダイヤモンド粒子の分散・保持性がくずれ、研磨能力及び研磨品質の低下を引き起こすというジレンマがある。
更には、自動化に不可欠な発生研磨粉の自動排出が安定せず、自動化が困難であるという克服できない問題があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
以上から、本発明上述の問題点を解消することを目的とし、研磨に作用する個々のダイヤモンド粒子のペースト中での分散及び保持を可能とし、ペースト状研磨工具を水洗浄により被研磨体から除去することができ、研磨工具及び被研磨材の冷却効果及び作業中に発生する研磨粉の排出効果を高め、研磨の機械化・自動化が可能であり、高い作業再現性と精度の確保ができ、研磨品質、研磨能力に優れ、かつ安価であるペースト状研磨工具及び研磨方法を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記問題点を解決すべく鋭意検討の結果なされたものであり、
1.オイル、金属石鹸、ダイヤモンド粒子を主成分とするペースト状研磨工具において、ペーストの粘度はその後に添加する粘度調整剤のそれより常に低く、粘度調整剤は増粘作用をもつことを特徴とするペースト状研磨工具
2.オイル、金属石鹸、ダイヤモンド粒子を主成分とするペースト状研磨工具において、ペースト粘度はその後に添加する粘度調整剤のそれより常に低く、粘度調整剤は増粘作用を持ち、ペースト粘度を支配する金属石鹸体積率が8vol%以下であることを特徴とするペースト状研磨工具
3.水洗浄で被研磨体から除去できるペースト状研磨工具であることを特徴とする上記1又は2記載のペースト状研磨工具
4.非イオン系界面活性剤を含有し、水洗浄で被研磨体から除去できるペースト状研磨工具であることを特徴とする上記3記載のペースト状研磨工具
を提供する。
【0010】
本発明はまた、
5.オイル、金属石鹸、ダイヤモンド粒子を主成分とするペースト状研磨工具を用いて研磨する方法において、粘度調整剤を使用しペースト粘度を増粘させて研磨することを特徴とする研磨方法
6.オイル、金属石鹸、ダイヤモンド粒子を主成分とするペースト状研磨工具を用いて研磨する方法において、ペースト粘度を支配する金属石鹸体積率が8vol%以下であり、粘度調整剤を使用しペースト粘度を増粘させて研磨することを特徴とする研磨方法
7.ペースト状研磨工具を水洗浄で被研磨体から除去することを特徴とする上記5又は6記載の研磨方法
8.非イオン系界面活性剤を含有するペースト状研磨工具を用いて研磨することを特徴とする上記7記載の研磨方法
を提供する。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の研磨工具は、ダイヤモンド粒子の分散性及び保持力を損なうことなく、低粘性(流動性を付与)のペーストを使用し、粘度調整(粘土を上げる場合)は増粘作用を持つ粘度調整剤でおこなうことに大きな特徴を有する。
また、研磨後の油成分及び研磨材処理を、水で洗浄することができる研磨工具である。粘度調整剤としては、ペースト状研磨工具の粘度より高い各種増粘剤、オイル及び金属石鹸を主成分としたペースト剤を適宜使用でき、特に使用する粘土調整剤に制限はない。これによって、本発明の研磨工具を安価に供給できる。
水洗浄のためには、親水基が多量の水の存在下で油成分を研磨材であるダイヤモンド粒子とともに包み込み洗浄作用を発揮できる界面活性剤を使用することができる。研磨工具の水洗浄が可能となる界面活性剤であれば、特に制限はないので、本発明の研磨工具を安価に供給できる。
【0012】
本発明のペースト状研磨工具は、金属石鹸体積率を8vol%以下とする。なお、本明細書で使用する金属石鹸体積率は、金属石鹸体積/(オイル体積+金属石鹸体積)を意味する。
この金属石鹸体積率が8vol%を超えると、通常の研磨作業で増粘する必要がないこと、また、8vol%を超えると、ペースト状研磨工具を滴下、噴射等の手段で最適量を均等に不織布ホイール等研磨補助工具に連続供給できないことが理由である。
また、研磨の目的、研磨品質仕様は多岐に渡るため個別に粘度調整することはコストの点で高価である。従って、ペースト状研磨工具は出来るだけ低粘度で製造し、使用用途、作業性に関する仕様毎に増粘剤で適時粘度調整することが経済的である。
本発明は研磨性能を左右する重要な因子の一つであるダイヤモンド粒子の分散・保持性を低下させることなく粘度調整を可能としたことは、極めて斬新な研磨工具といえる。
【0013】
本発明のペースト状研磨工具の粘度調整は、希釈によらず粘性を増加させることにより行なうので、ダイヤモンド粒子の分散並びに保持性を損なうことなく実施でき、高い研磨作業再現性が達成できる。
また、ペースト状研磨工具の粘度をダイヤモンド粒子の保持性を損なわない程度に金属石鹸の種類の選択、組合せを工夫して通常使用する研磨工具よりも低くしているため、作業中に発生する研磨粉の排出効果が高く、ペーストの自動供給も安定的に行なえるため、研磨の機械化・自動化対応が可能となる。
【0014】
さらに、作業中に発生する研磨粉の排出効果が高いため、ペースト状研磨工具のダイヤモンド粒子濃度を相対的に高めることができ、より研磨能力の向上をはかることが可能である。
粘度調整作業には、化学的に安定な増粘剤を使用することができるため、従来の引火性希釈剤を用いた粘度調整に比べ、引火の危険性は伴わず、研磨作業を安全に実施できる効果がある。
また、研磨後の油性研磨材を被研磨体研磨面から水洗浄で容易に除去でき、全研磨作業性を著しく向上できる。水洗浄後の得られた研磨面性状も極めて良好である。
【0015】
本発明のペースト状研磨工具の例を示すと以下の通りである。
オイルとしては各種鉱油、流動パラフィン、Siオイル等が利用できる。ダイヤモンド粒子を的確に保持し、粒子同士の分散、研磨時の潤滑・展延性、冷却効果を発揮させるための金属石鹸には、Na石鹸、K石鹸、その他各種の石鹸化合物の利用が可能である。
これら原料にダイヤモンド粒子を添加してペースト状研磨工具を製造する。ペースト状研磨工具の粘度は、従来のペースト工具に比べ大幅に低減させ、液体挙動としてチキソ性を保てる限度内とする。
増粘作用をもつ粘度調整剤は、各種増粘剤、ペースト状研磨工具の油成分をベースとしたもの等が利用できる。
更に、水洗浄可能なペースト状研磨工具を実現するため、同時に添加する界面活性剤には、基本的に親油性が高く、親水基が多量の水の存在下で油成分を、研磨材であるダイヤモンド粒子とともに包み込み、洗浄作用を発揮できる安価な物が利用できる。
ペースト状研磨工具には、砥粒分散性の向上その他の目的で広義の意味の界面活性剤が使用されているが、本発明の水洗浄機能を引き出す界面活性剤は、その機能・使用量等で、前記広義の意味の界面活性剤とは異なることは明らかである。
【0016】
【実施例及び比較例】
次に、本発明の実施例及び比較例について説明する。なお、以下に示す実施例は、本発明の理解を容易にするためのものであって、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。すなわち、本発明の技術思想に基づく他の例又は変形は、当然本発明に包含される。
【0017】
[研磨効果の確認法]
研磨効果の確認は、次の方法により行なった。
1.テーバ式磨耗試験機を利用し、不織布(フェルト)ホイールに上記ペースト状研磨工具を塗布又は逐次滴下しつつ、回転させながら、回転軸が直行する被研磨体上に押し付け研磨する方法。
2.マシニングセンターに研磨補助工具を装着し、ペースト状研磨工具を連続的に供給しながら3次元研磨を金型部品で実施する方法
3.上記1と同様の回転するフェルトホイールにペースト状研磨工具を連続供給しながら、ストリップ状の被研磨体を一定の速度で移動させ長尺ストリップを連続研磨する方法
4.従来の手作業による金型等の研磨方法
【0018】
(実施例1)
(その1)
金属石鹸としてステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウムを用いてダイヤモンド粒子の平均粒子径が3μmのペースト状研磨工具を準備した。増粘剤としてはダイヤモンド粒子を含まず、粘度が高い以外は同様な成分からなる油化合物を用いた。
被研磨材には、リブ成形金型に使用されている析出硬化型ステンレス鋼HPM38(ロックウエル硬さHRC:58)を用いた。被研磨材寸法は中央にφ6mmの穴のあるφ90mm×5mmtの円板とした。初期加工面平均粗さRaは0.08μmである。
【0019】
軸偏心した2本の直径50.2mm×12.2mmのゴムロールに中硬質不織布を接着し、ペースト状研磨工具を塗布又は逐次滴下して研磨作業を実施した。ゴムロールの周速は18m/min、研磨荷重は500gとした。
増粘剤で粘度調整する本発明のペースト状研磨工具の研磨性能と従来の希釈剤で粘度調整するペースト状研磨工具の研磨性能を比較評価するため、予め同一の粘度となるようそれぞれ増粘剤(本発明ペースト状研磨工具)、希釈剤(従来ペースト状研磨工具)にて粘度調整を行なった。
本発明ペースト状研磨工具の金属石鹸体積率は4vol%とし、従来ペースト状研磨工具の金属石鹸体積率は8.5vol%とした。本発明のペースト状研磨工具は流動性が高く、滴下により連続供給が可能であった。
本発明のペースト状研磨工具には増粘剤、従来ペースト状研磨工具にはベンザイン系の展型的希釈剤を加え、不織布に均一塗布が可能で研磨に最適な同一粘度に調整した。
【0020】
研磨時間は30minとし、10min毎に研磨を中断し、ペースト状研磨工具をそれぞれ追加塗布した。
両者の研磨性能は到達研磨面平均粗さRa(μm)及び砥粒固有の加工面粗さ近似値(μm)により比較評価した。
これによって、得られた結果は下記の通りである。
到達研磨面平均粗さRa(μm)  砥粒固有の加工面粗さ近似値(μm)
本発明ペースト 0.04        0.015
従来型ペースト 0.08        0.025
以上の通り、増粘剤で粘度調整する本発明のペースト状研磨工具は、従来型ペーストに比べ高い研磨性能を示した。
【0021】
(その2)
ダイヤモンド砥粒の平均粒子径が2μm以下の鏡面研磨領域にて、本発明のペースト状研磨工具と従来型ペースト状研磨工具の研磨性能の差異を比較評価した。
鏡面研磨領域では、砥粒として作用するダイヤモンド粒子の濃度、分散・保持性、研磨粉の排出性能が被研磨体におけるスクラッチの発生、研磨能率(研磨時間)、研磨精度並びにその再現性に大きく影響する。
本比較研磨テストではダイヤモンド粒子の平均粒径を1μmとし、研磨中に発生する被研磨体研磨粉の排出能力を高める目的で、本発明のペースト状研磨工具の金属石鹸体積率は2vol%とし、従来ペースト状研磨工具は金属石鹸体積率8.5vol%のものから希釈剤にて粘度調整して同一粘度とした。
【0022】
前記と同様のテーバ式磨耗試験機を利用し、ペースト状研磨工具は逐次滴下できる粘度に調整してペースト状研磨工具を連続供給できる様にした。
本研磨テストに用いたペースト状研磨工具は金属石鹸体積率が1vol%のペースト状研磨工具をまず作製し、その後増粘剤で金属石鹸体積率が2vol%となるよう粘度調整したものを用いた。当然のことながら金属石鹸体積率が2vol%となるようペースト状研磨工具を最初から作製したものを用いてもよい。
従来ペースト状研磨工具は、同様に金属石鹸体積率が8.5vol%のものから希釈剤を用いて同一の粘度に調整した。研磨時間は30minとした。研磨前の初期加工面平均粗さRaは0.05μmとした。
本発明のペースト状研磨工具の研磨性能と従来ペーストのそれを比較すると、到達研磨面平均粗さRa(μm)は本発明のペースト状研磨工具では、0.02μmであるのに対し、従来ペーストではほとんど到達研磨面平均粗さが変化せず、多数のスクラッチが観察された。
この結果、本発明のペースト状研磨工具では砥粒として作用するダイヤモンド粒子を低粘度でも確実に保持、分散を保っていることを示し、研磨粉の排出作用も良好に機能していることを実証したものである。
【0023】
(その3)
研磨時間の短縮、到達研磨面平均粗さの更なる向上を目的として本ペースト状研磨工具のダイヤモンド粒子濃度を1.5倍とした以外は同一条件で研磨テストを実施した。
その結果、同一の到達研磨面平均粗さを得るに要した時間は半分以下に短縮され、スクラッチも発生せず到達研磨面平均粗さも更に向上、高い研磨精度と研磨品質の再現性も確認できた。
【0024】
(実施例2)
[金型部品の連続研磨]
3次元研磨性能を確認するため、マシニングセンターをもちいて金型部品の連続研磨を実施した。
金属石鹸としてはステアリン酸ナトリウムを使用し、金属石鹸体積率は1vol%とした。ダイヤモンドの平均粒子径は1.7μmである。
本発明のペースト状研磨工具を研磨補助工具に間欠的に噴射して研磨テストを実施した。マシニングセンターでの回転研磨補助工具周速は、上記実施例1の場合と比較して、高速化が可能である。
研磨テスト中、本発明のペースト状研磨工具の、ダイヤモンド粒子の保持力、研磨補助工具への保持性は良好で研磨粉の排出機能も適度に機能していることが確認できた。得られた研磨面精度品質は良好であり、再現性と研磨時間の短縮効果が明らかとなり、研磨を機械化、自動化できることが確認できた。
ちなみに、比較テストとして従来ペースト状研磨工具を、希釈剤を用いて粘度を本発明品と同一として同様な研磨テストを実施したが、ダイヤモンド粒子、ペースト自体が遠心力で飛散しやすく同様な研磨性能は確認出来なかった。
【0025】
ダイヤモンド粒子の保持力を高め、研磨中の被研磨材研磨面の冷却作用も向上する目的で、上記本発明のペースト状研磨工具に増粘剤を加え全金属石鹸体積率を5vol%とし、粘度を高めたペースト状研磨工具にてバッチ研磨を実施した。得られた研磨品質は同様に良好であった。
【0026】
(実施例3)
[ストリップ状の長尺体の研磨]
ストリップ状の長尺被研磨体を一定の速度で移動させ、ストリップに一定の荷重が負荷された状態で回転する不織布ホイールにペースト状研磨工具を連続滴下しながらストリップの連続研磨を実施した。
金属石鹸体積率1vol%のペースト状研磨工具を増粘剤で増粘し、金属石鹸体積率を3vol%まで粘度を上昇したもの、金属石鹸体積率が3vol%となるよう配合して製造したペースト状研磨工具の研磨性能は同じであり、ダイヤモンド粒子の分散性が増粘によって良好に維持されることが確認できた。また、金属石鹸体積率を3vol%とすることで連続研磨による自動化が達成できた。
【0027】
従来のペースト状研磨工具を希釈剤にて粘度を同一に低下して同様な研磨テストを実施した。前述したように、希釈剤の使用ではダイヤモンド粒子の分散が崩れ、ペーストの砥粒粒子保持力も低下することから本発明ペースト状研磨工具と同様な研磨性能は得られなかった。
更に引火性の希釈剤の使用は連続研磨等の自動化作業では極めて危険であり、揮発性もあるため長時間の安定した研磨には不向きであることが明らかとなった。
【0028】
(実施例4)
金型研磨作業の現場では、リブ成形金型に代表されるような幅の狭い深溝研磨や複雑形状の3次元研磨作業が益々増えつつあり、熟練した技能作業者の手作業に研磨作業の多くを依存しているのが現状である。
しかし、金型材料の焼き入れムラに起因し、軟質部の過度の研磨で発生する硬質処理層部の部分的カケ、所謂オレンジピールの防止、放電加工したリブ深溝の効果的研磨作業等の必要から、ダイヤモンド砥粒の保持性能が高くシャープな切れ味で、短時間で極めて良好な仕上面粗さを実現できるペースト状研磨工具が求められている。
【0029】
現場作業者は各人の技能において最適粘度で研磨作業を実施するため、通常従来のペースト状研磨工具を適度に希釈剤で粘度調整して作業する訳であるが、この際シャープな切れ味で短時間研磨を可能にするはずのダイヤモンド砥粒保持性と分散が破壊され、前述したような数々のトラブルにみまわれることが多い。
本実施例では、本発明によるペースト状研磨工具を用いて研磨作業におけるオレンジピールの発生頻度を従来のペースト状研磨工具と比較検討した。
【0030】
各種の金属石鹸を用いて、金属石鹸体積率3vol%の本発明ペースト状研磨工具を準備し、増粘剤で増粘して最適作業粘度のペースト工具を準備した。比較例としては、従来のペースト状研磨工具を希釈剤で粘度調整したものを準備し、研磨テストを実施した。
オレンジピール発生率は、ほとんど全ての金属石鹸を用いた研磨において本発明のペースト状研磨工具が各段に低い結果が得られた。
本発明のペースト状研磨工具を放電加工したリブ深溝の研磨に適用した場合も良好な結果が得られた。
【0031】
(実施例5)
研磨作業の作業性の判断基準として研磨作業後の被研磨体の洗浄処理がある。前述したように、研磨中水の存在により酸化し易い被研磨体研磨面や研磨中の発熱等で被研磨体研磨面に損傷の入りやすいもの、研磨精度の厳しい研磨作業では油性のペースト状研磨工具の使用が不可欠である。
しかし、従来油性のペースト状研磨工具を用いた研磨では、被研磨体の洗浄処理において清浄度の高い研磨面を得るため揮発性、引火性の高い有機溶媒洗浄が不可欠であり、洗浄作業が煩雑でコスト高の要因ともなっていた。本発明のペースト状研磨工具は水洗浄を可能とした点に更に特徴がある。
【0032】
油になじみ易く、水の存在下で油性成分を例えばミセル状に包み込み研磨面から引き離す作用の高い非イオン系界面活性剤等を本発明のペースト状研磨工具に添加することにより、水洗浄が容易で清浄度の高い洗浄研磨面を得ることができた。
本実施例では、非イオン系界面活性剤としてノニルフェノールエチレンオキサイド、オクチルフェーノールエチレンオキサイド等をステアリン酸ナトリウム金属石鹸からなるペースト状研磨工具に数パーセントから十数パーセント添加したがペースト状研磨工具の研磨性能を損なうことなく極めて良好な水洗浄性が得られた。
本実施例ではノニルフェノールエチレンオキサイド等について記述したが、他の同様な作用を持つ界面活性剤でも同様な効果が得られた。また、添加量も目的に応じて適宜選択できる。
本実施例に示すように油性のペースト状研磨工具でも水洗浄が可能になったことで油性ペーストの研磨作業性は著しく向上した。
【0033】
【発明の効果】
オイル、金属石鹸、ダイヤモンド粒子を主成分とするペースト状研磨工具において、ペースト粘度を支配する金属石鹸体積率が8vol%以下でペーストの粘度は粘度調整剤のそれより常に低く、粘度調整剤は増粘作用をもつペースト状研磨工具、また、前記ペースト状研磨工具を水洗浄で被研体研磨面から容易に除去できるように工夫したペースト状研磨工具の製造を可能としたことにより、次の著しい効果が得られた。
(1) ペースト状研磨工具の粘度調整は、ダイヤモンド粒子の分散並びに保持性を損なうことなく実施でき、高い研磨作業再現性が達成できる。
(2) ペースト状研磨工具の粘度をダイヤモンド粒子の保持性を損なわず低くしているため、作業中に発生する研磨粉の排出効果が高く、ペーストの自動供給も安定的に行なえるため研磨の機械化・自動化対応が可能となる。
(3) 作業中に発生する研磨粉の排出効果が高いため、ペースト状研磨工具のダイヤモンド粒子濃度を高めて研磨能力の向上をはかることが可能である。
(4) 粘度調整作業には、化学的に安定な増粘剤を使用するため、従来の引火性希釈剤を用いた粘度調整に比べ引火の危険性は伴わず、研磨作業を安全に実施できる。
(5) 研磨後の油性研磨材を被研磨体研磨面から水洗浄で容易に除去でき、全研磨作業性を著しく向上できる。また、水洗浄後の得られた研磨面性状も極めて良好である。
以上、従来のペースト状研磨工具では高い熟練技術を必要とした高精度研磨作業も大幅にコストダウンを図ることができ、従来にない高い精度品質をもった新しい各種研磨製品の提供を可能とし、各種産業に多大の波及効果をもたらすことのできるという特長を有する。

Claims (8)

  1. オイル、金属石鹸、ダイヤモンド粒子を主成分とするペースト状研磨工具において、ペーストの粘度はその後に添加する粘度調整剤のそれより常に低く、粘度調整剤は増粘作用をもつことを特徴とするペースト状研磨工具。
  2. オイル、金属石鹸、ダイヤモンド粒子を主成分とするペースト状研磨工具において、ペースト粘度はその後に添加する粘度調整剤のそれより常に低く、粘度調整剤は増粘作用を持ち、ペースト粘度を支配する金属石鹸体積率が8vol%以下であることを特徴とするペースト状研磨工具。
  3. 水洗浄で被研磨体から除去できるペースト状研磨工具であることを特徴とする請求項1又は2記載のペースト状研磨工具。
  4. 非イオン系界面活性剤を含有し、水洗浄で被研磨体から除去できるペースト状研磨工具であることを特徴とする請求項3記載のペースト状研磨工具。
  5. オイル、金属石鹸、ダイヤモンド粒子を主成分とするペースト状研磨工具を用いて研磨する方法において、粘度調整剤を使用しペースト粘度を増粘させて研磨することを特徴とする研磨方法。
  6. オイル、金属石鹸、ダイヤモンド粒子を主成分とするペースト状研磨工具を用いて研磨する方法において、ペースト粘度を支配する金属石鹸体積率が8vol%以下であり、粘度調整剤を使用しペースト粘度を増粘させて研磨することを特徴とする研磨方法。
  7. ペースト状研磨工具を水洗浄で被研磨体から除去することを特徴とする請求項5又は6記載の研磨方法。
  8. 非イオン系界面活性剤を含有するペースト状研磨工具を用いて研磨することを特徴とする請求項7記載の研磨方法。
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