JP2004066167A - 中空糸膜モジュール - Google Patents
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Abstract
【課題】モジュールケースと中空糸膜相互とが高度に液密或いは気密に接着固定された中空糸膜モジュールを提供すること
【解決手段】複数の中空糸膜をシート状に並べる工程と、
熱可塑性樹脂紛体と液体の混合物を、シート状中空糸膜に付着させる工程と、
該混合物が担持されている部位に1KPa〜1MPaの外力を加える工程と、
該シート状中空糸膜を円筒状に巻き、モジュールケース内に挿入する工程と、
該熱可塑性樹脂紛体を加熱溶融させ、その後冷却させて、該中空糸膜の少なくとも一方の端部と、該モジュールケース端部とを接着する工程と、
を有してなる中空糸膜モジュールの製造方法は、中空糸膜の一次側と二次側とを確実に、かつ簡便なプロセスで液密固定することができる。
【選択図】 図1
【解決手段】複数の中空糸膜をシート状に並べる工程と、
熱可塑性樹脂紛体と液体の混合物を、シート状中空糸膜に付着させる工程と、
該混合物が担持されている部位に1KPa〜1MPaの外力を加える工程と、
該シート状中空糸膜を円筒状に巻き、モジュールケース内に挿入する工程と、
該熱可塑性樹脂紛体を加熱溶融させ、その後冷却させて、該中空糸膜の少なくとも一方の端部と、該モジュールケース端部とを接着する工程と、
を有してなる中空糸膜モジュールの製造方法は、中空糸膜の一次側と二次側とを確実に、かつ簡便なプロセスで液密固定することができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液体又は気体の濾過や分離処理等に用いられる中空糸膜モジュールに関する。
【0002】
【従来の技術】
膜モジュールは、近年、工業分野、医療分野、食品分野等における液体や気体の濾過或いは分離等に多用されている。
このような分野に用いられる膜モジュールとしては、従来、平膜を用いた膜モジュールが一般的であったが、最近では、膜モジュール容積あたりの膜面積が平膜よりも大くなる中空糸膜を用いた膜モジュール、すなわち、モジュールケース内に中空糸膜を配置し、このモジュールケースと中空糸膜相互とを、ポッティング用樹脂によって液密或いは気密に接合固定するポッティング部を形成して構成される中空糸膜モジュールが利用されている。
【0003】
中空糸膜モジュールを用いる濾過或いは分離は、一次側から二次側への圧力がかかる条件下で実施されるものであるために、モジュールケースと中空糸膜相互との間に高い封止性及び接着性が要求されており、前記ポッティング用樹脂として、従来、エポキシ樹脂やウレタン樹脂等の熱硬化性樹脂が用いられている。
【0004】
ポッティング樹脂に熱硬化性樹脂を用いた中空糸膜モジュールをパーベーパレーションや溶剤濾過、溶剤処理等に利用すると、溶剤や薬液によっては前記ポッティング用樹脂が膨潤、溶出してクラック等が発生し、これに伴って接着性の低下、リークの発生、処理物の純度低下等の問題が生じる場合がある。
【0005】
前記エポキシ樹脂やウレタン樹脂等による欠点を改善する目的で、ポリエチレン樹脂等の熱可塑性樹脂をポッティング用樹脂として使用し、該ポッティング用樹脂の溶融物をポッティング加工部の中空糸膜相互の間に侵入させ、これを冷却固化してポッティング部を形成することによって中空糸膜モジュールを得る方法が提案されている。
【0006】
例えば、特開平8−318139号公報には、オレフィン系微粉末樹脂によるポッティング樹脂と、これを流動させるための液体とを混合して高濃度懸濁液となし、オレフィン系樹脂からなる中空糸膜束をこの高濃度懸濁液に浸漬させ、ポッティング樹脂の融点以上、中空糸膜の融点以下で加熱し、ポッティング微粉末樹脂が溶融流動状態になった後、冷却する中空糸膜モジュールの製造方法が記載されている。
具体的には300〜600本程度の中空糸膜束を懸濁液に浸漬した後、110〜120℃に加熱したオーブンに放置し、溶融ポッティングし、冷却して中空糸膜モジュールを得る方法が記載されている。
【0007】
しかしながら、高濃度懸濁液を中空糸膜束間へ良好に含浸させるためには、中空糸膜束を構成する中空糸膜の本数を少量とするか、あるいはモジュールケース内での中空糸膜の集積率を著しく低くする必要がある。
【0008】
即ち、特開平8−318139号公報に記載の方法によって、中空糸膜束を構成する本数が多いか、あるいは中空糸膜を高集積状態として中空糸膜モジュールを製造した場合は、ポッティング加工部分における該ポッティング樹脂部分に、未含浸が原因である「す」によるリークが多く発生し、製造歩留りが極めて低くなるという問題があった。
また、ポッティング樹脂を流動させるためには、液体とポッティング樹脂の比重を調整する必要があり、工程が煩雑になるという問題があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、モジュールケースと中空糸膜相互とが高度に液密或いは気密に接着固定された中空糸膜モジュールを提供すること目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
即ち本発明の要旨は、複数の中空糸膜をシート状に並べる工程と、
熱可塑性樹脂紛体と液体の混合物を、シート状中空糸膜に付着させる工程と、
該混合物が担持されている部位に1KPa〜1MPaの外力を加える工程と、
該シート状中空糸膜を円筒状に巻き、モジュールケース内に挿入する工程と、
該熱可塑性樹脂紛体を加熱溶融させ、その後冷却させて、該中空糸膜の少なくとも一方の端部と、該モジュールケース端部とを接着する工程と、
を有してなる中空糸膜モジュールの製造方法、である。
【0011】
また、前記シート状中空糸膜を円筒状に巻いた後、前記混合物が担持されている部位に1KPa〜5MPaの外力を加える工程を有すると、中空糸膜の充填率が高い場合であっても、確実に中空糸膜同士を封止することができる。
また、前記シート状中空糸膜が、編織物であると加工が容易となるため好ましく、前記シート状中空糸膜が、中空糸膜総本数の1/50以下の本数を構成単位とする小集束体の集合体からなるとさらに好ましい。
【0012】
前記混合物中に占める前記液体の質量は、50%以下であると、中空糸膜の間に熱可塑性樹脂粉体を担持させた際に流動しないため好ましい。
また、前記液体がアルコール系液体であると、蒸発し易く、かつ安全性が高いため好ましい。
また、前記熱可塑性樹脂粉体を加熱溶融させる際に、前記モジュールケースを回転させて、前記モジュールケース端部に遠心力を付与すると、中空糸膜を確実に封止固定できるため好ましい。
【0013】
また、固定部における前記中空糸膜の充填率が40%以上75%以下であると、本発明の製造方法がより効果的である。
また、前記中空糸膜、前記熱可塑性樹脂のいずれか又は両方がポリオレフィン系樹脂であると、接着性が高くかつ溶出が少ないため好ましい。ポリオレフィン系樹脂は、ポリエチレン樹脂がより好ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面を元に本発明について詳しく説明する。
図1は、本発明の製造方法に使用するシート状中空糸膜の一例を模式的に示したものであり、図2は本発明に使用するシート状中空糸膜に、混合物を塗布した状態を模式的に示した図であり、図3は本発明に使用するシート状中空糸膜を巻き、円筒状にした状態を示す模式図であり、図4は本発明によって得られる中空糸膜モジュールを模式的に示した断面図である。
【0015】
本発明の製造方法において用いられる中空糸膜5は、種々のものが使用でき、例えばセルロース系、ポリオレフィン系、ポリビニルアルコール系、PMMA(ポリメタクリル酸メチル)系、ポリスルフォン系、PVDFやPTFE等のフッ素系など、各種材科からなる中空糸膜5が使用できる。
【0016】
中空糸膜5は、多孔質膜であっても、非多孔の均質膜であってもよい。また、膜の構造は、均一な内部構造を有する膜であっても、或いは多孔質層と均質層との両方を具備する複合膜であってもよい。
【0017】
特に溶剤濾過や溶剤からのガス分離、パーベーパレーション等の用途に供するときには、耐溶剤性や低溶出性が要求されること、及び固定樹脂との接着性等を考慮すると、中空糸膜5の材質はポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂が好ましい。
【0018】
中空糸膜5の端部の少なくとも一方は、モジュールケース2の端部と、熱可塑性樹脂を介して接着させている。
モジュールケース2は、金属製や樹脂製のケースを使用できるが、加工性や価格等の点から樹脂製であることが好ましく、例えばポリ塩化ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、アクリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンオキサイド系樹脂、ポリアセタール系樹脂等が好適である。
【0019】
モジュールケース2の材質は、溶剤濾過や溶剤からのガス分離、パーベーパレーション等の用途に供するときには、中空糸膜5の素材と同様に、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂が好ましい。
【0020】
本発明の中空糸膜モジュール1の製造方法は、まず複数の中空糸膜5をシート状に並べる工程を有する。
ここで、中空糸膜5をシート状に並べるにあたっては、所定の長さを有する中空糸膜を一本づつ並べていってもよいが、編織物に加工した中空糸膜を用いると、ハンドリング性が抜群に向上するため好ましい。
【0021】
シート状中空糸膜6は、中空糸膜5を一定の長さで折り返しながら編んだものを用いても良いし、所定の長さに切断した中空糸膜5を簾状に編んだものを用いても良い。このとき、中空糸膜5を一本づつ編んでも構わないが、複数本の中空糸膜5を糸条等により結束させて一つの小集束体3とすると、シート状中空糸膜が大きくなりすぎず、加工作業が容易となるため好ましい。
【0022】
この際、小集束体3は、中空糸膜総本数の1/50以下の本数を構成単位とすると、固定に使用する熱可塑性樹脂の含浸が良好となるため好ましい。また、シート状中空糸膜を巻いた時に、滑らかな円筒形状であるとモジュールケース2内に挿入し易くなるため、小集束体3は、中空糸膜総本数の1/100以下の本数を構成単位とすることがより好ましい。
【0023】
小集束体3を結束するにあたっては、接着剤やスリットテープ等の結束機能を有するものを用いることが可能であるが、連続糸条を用いると、熱可塑性樹脂の含浸の妨げにならないため好ましい。
また、連続糸条による結束は、連続糸条の結束張力を変更可能であり、小集束体3の結束力を調整可能とする面でも好ましい。連続糸条は、構成する糸条がモノフィラメントであっても、マルチフィラメントであっても、それらの混合物で会っても差し支えないが、マルチフィラメントを用いることは、中空糸膜5表面の損傷を防止できるため好ましい。
【0024】
このようにして形成したシート状中空糸膜6を広げた後、熱可塑性樹脂紛体と液体の混合物4を、シート状中空糸膜6に付着させる工程を行う。
【0025】
使用する液体としては、水、或いはアルコール類やエステル系溶媒等の有機系溶媒を使用することができる。また、単一の液体であっても混合液体でもよいが、加熱によって液体が完全に除去されることが好ましい。これは、ポッティング部9に液体が残存していると、この残存液体に起因するポッティング加工部の強度低下が生じたり、或いは残存液体が溶出したりして、中空糸膜モジュールの性能が低下することがあるためである。
従って液体は、沸点が低く、また、安全性が高いことが好ましく、アルコール系液体であることが好ましい。
【0026】
熱可塑性樹脂紛体の形状は、球状、矩形状、針状、楕円状等のいかなるものであっても使用可能である。その大きさは、あまりに小さいと、利用する中空糸膜によっては、微粒子が膜に形成されている細孔を通り抜けて中空糸膜の中空内部に侵入する恐れが出る。
このため、微粒子の大きさの下限としては、膜の孔径以上とする必要がある。
使用する膜の孔径にもよるが、具体的には形状が球形の場合、平均粒径として0.1μm以上が好ましく、1μm以上がより好ましく、5μm以上が更に好ましい。
なお、形状が球形以外の場合、最も長い部位の長さが前述の範囲となるものを使用することが好ましい。
【0027】
一方粒子が大き過ぎると、中空糸膜5の間に保持された微粒子同士の間に隙間が生じ易く、ポッティング部9に「す」が生じることがあり、リークの原因になる恐れがある。
このため、例えば球状の微粒子を用いた場合、平均粒径は5000μm以下が好ましく、2500μm以下がより好ましく、1000μm以下が更に好ましい。
なお、形状が球形以外の場合、最も長い部位の長さが前述の範囲となるものを使用することが好ましい。
【0028】
熱可塑性樹脂粉体の材質は、各種溶剤や薬品への耐久性や機械的な強度等の点から、ポリオレフィン系樹脂が好ましい。ポリオレフィン系樹脂の中でも、ポッティング加工時の取り扱い性、薬液への溶出の低さ等の点から、ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂が好ましい。
【0029】
熱可塑性樹脂粉体は、ポリオレフィン樹脂の場合、重量平均分子量が10000より小さいと、得られる中空糸膜モジュールのポッティング部9の機械的強度や靭性が不十分になり、長期間の使用に耐え得る耐久性や耐衝撃性等が得られなくなる。このために、重量平均分子量が10000以上の熱可塑性樹脂を使用することが好ましい。
【0030】
混合物4は、熱可塑性樹脂粉体が液体中に単に分散しているスラリー、熱可塑性樹脂粉体が、乳化剤や分散剤等によって均一に乳化しているエマルジョン、或いは熱可塑性樹脂粉体に少量の液体を添加したペースト状、等のいずれであっても使用することはできるが、流動性が高いと、所定の位置に保持させることが困難になる。従って、混合物4は形態保持性を有することが好ましい。
【0031】
従って混合物中4の液体の割合は、50質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましく、25質量%以下がさらに好ましい。なお、液体の割合が低すぎると熱可塑性樹脂紛体同士の凝集が大きくなるため、液体の割合の下限は5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましい。
【0032】
混合物4をシート状中空糸膜6の所定の位置に塗布するにあたっては、塗布量が多すぎると中空糸膜5の濾過性能を有する部分が減少する一方、少なすぎるとシール性や耐圧性能が劣るため、適度な塗工面積を定めることが好ましい。
混合物4の塗布方法には、へらによる塗布方法やディスペンサーによる供給方法、あるいはドクターブレードやダイスを用いた一般的なコーティング方法を用いることが可能である。
【0033】
そして、本発明の製造方法は、混合物4をシート状中空糸膜6に塗布している最中か、又は塗布した後に、混合物4が担持されている部位に1KPa〜1MPaの外力を加える工程を有する。
【0034】
本発明の製造方法は、このように外力を加えて、混合物4をシート状中空糸膜6に含浸させるため、中空糸膜の集積率に関わらず、リークを大幅に減少させることが可能となる。
【0035】
また、液体との混合物を用いるため、紛体のみを使用する場合に対し、嵩を大幅に縮減することが可能となり、嵩が大きい状態の熱可塑性樹脂紛体が塗布されることにより汚染される中空糸膜5の巾を、大幅に減少させることができる。
また、流動性を有する高濃度懸濁液を使用する場合のように、一旦付着させた懸濁液が流動してこぼれてしまう懸念もなく、液体と紛体の比重を調整する等の複雑かつ困難な作業を必要とすることもなく、作業性を大幅に向上させることができる。
【0036】
外力を加えるにあたっては、小さすぎると中空糸膜5相互間への混合物4の含浸が十分に行われなくなり、「す」によるリークが発生し易くなるため、加える外力の下限としては、1KPaであり、好ましくは10KPaであり、より好ましくは25KPaである。一方で、外力が大きすぎると中空糸膜5の潰れが発生したり、あるいは、中空糸膜5相互間の配列の乱れを生ずるため、加える外力の上限としては、1MPaであり、好ましくは500Kpaであり、より好ましくは300kPaである。
【0037】
外力の付与の方法は、特に限定されるものではなく、へらによる押し付け力であってもよいし、ディスペンサーやノズルからの該混合湿潤状物の塗布圧力であってもよく、あるいは,ドクターブレード等を用いた塗工時の塗工圧力であっても構わず、その他の方法を用いることも可能である。
【0038】
本発明の製造方法は、含浸を行った後に、シート状中空糸膜6を円筒状に巻いて、モジュールケース2に挿入する工程を有する。
ここで、複数本の小集束体3を巻きつけ、概円筒形状とさせてモジュールケースに挿入することにより、モジュールケース2内で、中空糸膜5が概ね均一に配置されることが可能となる。均一に配置されているため、確実に樹脂固定され、圧力条件下で使用する際の耐圧性能を発揮することが可能となり、リークの発生を抑制することが可能となる。
【0039】
概略円筒形状に巻いた中空糸膜5の、混合物4が担持されている部分に1KPa〜5MPaの外力を加える、第二の含浸工程を行うことは、より確実な含浸状態を実現できるため好ましい。
外力を加える方法は特に限定されない。また、シート状中空糸膜6をモジュールケース2に挿入した後に行っても、挿入する前に行っても構わない。モジュールケース2に挿入した後に行う場合は、例えば、加震機やタッピング機構などの装置を用いることができる。モジュールケース2に挿入する前に行う場合は、例えば円筒形状の中空糸膜5の上にフィルム等を巻いた後に、人手で一度あるいは繰り返し把持することにより外力を与えることができる。
【0040】
この第二の含浸工程において加える外力は、中空糸膜がシート状に広げられていた先の含浸工程のときと異なり、中空糸膜5が円筒形状となっており、より弾力性に富むことから、先の含浸工程よりも強い力を加えても中空糸膜5が潰れる懸念はなく、より効果的に混合物4を万遍なく分散させることができる。
【0041】
モジュールケース2内のポッティング加工部における中空糸膜5の充填率(ポッティング部断面積に対する、外径ベースの中空糸膜の合計断面積が占める割合)は、本発明では、40%〜75%という高い充填率であっても、「す」によるリークを発生させることなく、中空糸膜モジュールを作成することが可能である。
充填率は、下限は42.5%以上が好ましく、45%以上がより好ましい。上限は、65%以下が好ましく、60%以下がより好ましい。
【0042】
本発明の製造方法は、モジュールケース2に中空糸膜5を挿入した後、熱可塑性樹脂紛体を加熱溶融させ、その後冷却させて、中空糸膜5の少なくとも一方の端部と、モジュールケース端部とを接着する工程を有する。
【0043】
熱可塑性樹脂粉体の加熱による溶融接着は、加熱体をモジュールケース2にほぼ接触させた状態で加熱する直接加熱方法や、加熱体をモジュールケース2に接触させない間接加熱方法があるが、直接加熱方法が熱伝達効率はより良好である。
【0044】
加熱体の配置については、中空糸膜5の端面方向や、モジュールケース2の周囲方向や、又はこれらを組み合わせた加熱方法が挙げられ、これらのいずれの方法を用いても差し支えないが、溶融含浸されるときの熱可塑性樹脂粉体の温度を極力均一にし、粘度を均一にすることが、中空糸膜間への均一な含浸を可能にし、得られた中空糸膜モジュールのポッティングリークの防止を可能にする。
【0045】
従って、熱可塑性樹脂粉体の温度は、中空糸膜束の繊維軸方向、あるいはこれに垂直な断面方向、に関わらず一定であることが好ましく、熱可塑性樹脂粉体を加熱溶融させるために必要な加熱熱量は、熱可塑性樹脂粉体以外の物質に極力伝熱浪費されないことが好ましい。
【0046】
加熱にあたっては、モジュールケースを回転させ、端部に遠心力を与えることによって、溶融した熱可塑性樹脂の含浸を向上させることが好ましい。
加熱溶融後は、冷却して熱可塑性樹脂を固化させる。冷却は強制的に冷却することもできるが、加熱を停止した後、室温状態で放置すればよい。
【0047】
このように中空糸膜5の端部を熱可塑性樹脂によってモジュールケース2に固定したあと、端部を適当な手段により切断して開口部を形成することによって、中空糸膜モジュールを得る事ができる。
【0048】
【実施例】
以下、実施例を基に本発明について更に詳細に説明する。
【0049】
<実施例1>
外径320μm、内径200μm、孔径0.03μmのポリエチレン製(融点:132℃)多孔質中空糸膜32本を構成単位とする小集束体を、連続的に所定の長さで規則正しく折り返し、隣り合う端部の相互を糸で拘束し、小集束体が135束連結したシート状中空糸膜を作成した。
【0050】
このシート状中空糸膜の片端部のポッティング加工部に、重量平均分子量84000のポリエチレン樹脂の球状微粉末(平均粒子径:6μm)が、割合として60質量%となるようにエチルアルコールに分散させた混合物を、ポッティング加工部に巾30mmにわたり、塗布した。
【0051】
塗布方法は、前述のシート状中空糸膜を、フィルムを介し重量計上に配置し、混合物をへらを用いてシート状中空糸膜に押し付けて含浸させ、この時の塗布加工に要した外力を測定した。この時の外力の値は50KPaであった。
【0052】
次に、シート状中空糸膜を中空糸膜の配列方向に巻いて円筒状とし、これを直径40mm、厚さ3.7mmのポリプロピレン製モジュールケース内に挿入した。このときのモジュールケース内の中空糸膜の充填率は48%であった。
【0053】
このモジュールケースの端部から30mmの範囲、及び端部断面方向を加熱部材で覆い、加熱してポッティング加工を行った。なお、このポッティング加工の加熱温度は127±3℃とし、4時間の加熱を行った。
続いて、室温まで徐冷した後、ポッティング加工した部分の中空糸膜の端部を常法によって切断して開口部を形成した。また、これを同様の方法で、10体製作した。
【0054】
この中空糸膜モジュールに、0.5MPaの水圧を中空糸膜の外側から加えて、端面での水漏れの有無をチェックすることによってリーク検査を行なったところ、10体全てについてリークは無かった。
【0055】
<実施例2>
ポリエチレン樹脂粉体と液体との混合物中の液体の割合を70質量%とした以外は、実施例1と同じ条件によるポッティング加工を施し、中空糸膜モジュールを10体製作した。
得られた中空糸膜モジュールについて、実施例1と同様にリーク検査をおこなったところ、10体中2体が試験圧力による亀裂が発生した。
【0056】
<比較例1>
混合物を中空糸膜に塗布した後、外力を加えなかった以外は実施例1と同じ条件によるポッティング加工を施し、中空糸膜モジュールを10体製作した。
得られた中空糸膜モジュールについて、実施例1と同様にリーク検査をおこなったところ、10体中5体に「す」によるリーク不良が発生した。
【0057】
<比較例2>
液体との混合物の代わりにポリエチレン樹脂紛体のみを用い、一方が閉鎖されたモジュールケース容器中に紛体を入れた後、実施例1と同じ中空糸膜シート状物を振動を加えながら挿入した以外は、実施例1と同様にして中空糸膜モジュールを10体製作した。
得られた中空糸膜モジュールについて、実施例1と同様にリーク検査をおこなったところ、10体中8体に「す」によるリーク不良が発生した。
【0058】
<比較例3>
混合物をシート状中空糸膜に塗布した後、1.5MPaの外力を加えた以外は実施例1と同じ条件でポッティング加工を施したが、中空糸膜の配列に大きく乱れが生じ、整列した巻き状体を得ることができなかった。
【0059】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の製造方法は、シート状中空糸膜に、熱可塑性樹脂粉体と液体の混合物を塗布したあと、1KPa〜1MPaの外力を加えるため、中空糸膜同士の間に確実にポッティング樹脂を含浸させることができ、リークの発生を抑えることができる。
また、このとき、塗布する混合物中の液体の割合を50質量%以下とすることで、無用な流動性を無くし、塗布した部位に熱可塑性樹脂粉末を確実に付着させたまま、万遍なく分散させることができる。
また、シート状中空糸膜を巻いて円筒状をした後、混合物を塗布した部位に、さらに1KPa〜5MPaの外力を加えることによって、熱可塑性樹脂粉体をより万遍なく分散させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の中空糸膜モジュールの製造方法に使用するシート状中空糸膜の一例を示す模式図である。
【図2】本発明の中空糸膜モジュールの製造方法において、シート状中空糸膜に混合物を塗布した状態を示す模式図である。
【図3】本発明の中空糸膜モジュールの製造方法において、シート状中空糸膜を巻いて円筒状とした模式図である。
【図4】本発明の製造方法による中空糸膜モジュールの一例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 中空糸膜モジュール
2 モジュールケース
3 小集束体
4 混合物
5 中空糸膜
6 シート状中空糸膜
9 ポッティング部
【発明の属する技術分野】
本発明は、液体又は気体の濾過や分離処理等に用いられる中空糸膜モジュールに関する。
【0002】
【従来の技術】
膜モジュールは、近年、工業分野、医療分野、食品分野等における液体や気体の濾過或いは分離等に多用されている。
このような分野に用いられる膜モジュールとしては、従来、平膜を用いた膜モジュールが一般的であったが、最近では、膜モジュール容積あたりの膜面積が平膜よりも大くなる中空糸膜を用いた膜モジュール、すなわち、モジュールケース内に中空糸膜を配置し、このモジュールケースと中空糸膜相互とを、ポッティング用樹脂によって液密或いは気密に接合固定するポッティング部を形成して構成される中空糸膜モジュールが利用されている。
【0003】
中空糸膜モジュールを用いる濾過或いは分離は、一次側から二次側への圧力がかかる条件下で実施されるものであるために、モジュールケースと中空糸膜相互との間に高い封止性及び接着性が要求されており、前記ポッティング用樹脂として、従来、エポキシ樹脂やウレタン樹脂等の熱硬化性樹脂が用いられている。
【0004】
ポッティング樹脂に熱硬化性樹脂を用いた中空糸膜モジュールをパーベーパレーションや溶剤濾過、溶剤処理等に利用すると、溶剤や薬液によっては前記ポッティング用樹脂が膨潤、溶出してクラック等が発生し、これに伴って接着性の低下、リークの発生、処理物の純度低下等の問題が生じる場合がある。
【0005】
前記エポキシ樹脂やウレタン樹脂等による欠点を改善する目的で、ポリエチレン樹脂等の熱可塑性樹脂をポッティング用樹脂として使用し、該ポッティング用樹脂の溶融物をポッティング加工部の中空糸膜相互の間に侵入させ、これを冷却固化してポッティング部を形成することによって中空糸膜モジュールを得る方法が提案されている。
【0006】
例えば、特開平8−318139号公報には、オレフィン系微粉末樹脂によるポッティング樹脂と、これを流動させるための液体とを混合して高濃度懸濁液となし、オレフィン系樹脂からなる中空糸膜束をこの高濃度懸濁液に浸漬させ、ポッティング樹脂の融点以上、中空糸膜の融点以下で加熱し、ポッティング微粉末樹脂が溶融流動状態になった後、冷却する中空糸膜モジュールの製造方法が記載されている。
具体的には300〜600本程度の中空糸膜束を懸濁液に浸漬した後、110〜120℃に加熱したオーブンに放置し、溶融ポッティングし、冷却して中空糸膜モジュールを得る方法が記載されている。
【0007】
しかしながら、高濃度懸濁液を中空糸膜束間へ良好に含浸させるためには、中空糸膜束を構成する中空糸膜の本数を少量とするか、あるいはモジュールケース内での中空糸膜の集積率を著しく低くする必要がある。
【0008】
即ち、特開平8−318139号公報に記載の方法によって、中空糸膜束を構成する本数が多いか、あるいは中空糸膜を高集積状態として中空糸膜モジュールを製造した場合は、ポッティング加工部分における該ポッティング樹脂部分に、未含浸が原因である「す」によるリークが多く発生し、製造歩留りが極めて低くなるという問題があった。
また、ポッティング樹脂を流動させるためには、液体とポッティング樹脂の比重を調整する必要があり、工程が煩雑になるという問題があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、モジュールケースと中空糸膜相互とが高度に液密或いは気密に接着固定された中空糸膜モジュールを提供すること目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
即ち本発明の要旨は、複数の中空糸膜をシート状に並べる工程と、
熱可塑性樹脂紛体と液体の混合物を、シート状中空糸膜に付着させる工程と、
該混合物が担持されている部位に1KPa〜1MPaの外力を加える工程と、
該シート状中空糸膜を円筒状に巻き、モジュールケース内に挿入する工程と、
該熱可塑性樹脂紛体を加熱溶融させ、その後冷却させて、該中空糸膜の少なくとも一方の端部と、該モジュールケース端部とを接着する工程と、
を有してなる中空糸膜モジュールの製造方法、である。
【0011】
また、前記シート状中空糸膜を円筒状に巻いた後、前記混合物が担持されている部位に1KPa〜5MPaの外力を加える工程を有すると、中空糸膜の充填率が高い場合であっても、確実に中空糸膜同士を封止することができる。
また、前記シート状中空糸膜が、編織物であると加工が容易となるため好ましく、前記シート状中空糸膜が、中空糸膜総本数の1/50以下の本数を構成単位とする小集束体の集合体からなるとさらに好ましい。
【0012】
前記混合物中に占める前記液体の質量は、50%以下であると、中空糸膜の間に熱可塑性樹脂粉体を担持させた際に流動しないため好ましい。
また、前記液体がアルコール系液体であると、蒸発し易く、かつ安全性が高いため好ましい。
また、前記熱可塑性樹脂粉体を加熱溶融させる際に、前記モジュールケースを回転させて、前記モジュールケース端部に遠心力を付与すると、中空糸膜を確実に封止固定できるため好ましい。
【0013】
また、固定部における前記中空糸膜の充填率が40%以上75%以下であると、本発明の製造方法がより効果的である。
また、前記中空糸膜、前記熱可塑性樹脂のいずれか又は両方がポリオレフィン系樹脂であると、接着性が高くかつ溶出が少ないため好ましい。ポリオレフィン系樹脂は、ポリエチレン樹脂がより好ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面を元に本発明について詳しく説明する。
図1は、本発明の製造方法に使用するシート状中空糸膜の一例を模式的に示したものであり、図2は本発明に使用するシート状中空糸膜に、混合物を塗布した状態を模式的に示した図であり、図3は本発明に使用するシート状中空糸膜を巻き、円筒状にした状態を示す模式図であり、図4は本発明によって得られる中空糸膜モジュールを模式的に示した断面図である。
【0015】
本発明の製造方法において用いられる中空糸膜5は、種々のものが使用でき、例えばセルロース系、ポリオレフィン系、ポリビニルアルコール系、PMMA(ポリメタクリル酸メチル)系、ポリスルフォン系、PVDFやPTFE等のフッ素系など、各種材科からなる中空糸膜5が使用できる。
【0016】
中空糸膜5は、多孔質膜であっても、非多孔の均質膜であってもよい。また、膜の構造は、均一な内部構造を有する膜であっても、或いは多孔質層と均質層との両方を具備する複合膜であってもよい。
【0017】
特に溶剤濾過や溶剤からのガス分離、パーベーパレーション等の用途に供するときには、耐溶剤性や低溶出性が要求されること、及び固定樹脂との接着性等を考慮すると、中空糸膜5の材質はポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂が好ましい。
【0018】
中空糸膜5の端部の少なくとも一方は、モジュールケース2の端部と、熱可塑性樹脂を介して接着させている。
モジュールケース2は、金属製や樹脂製のケースを使用できるが、加工性や価格等の点から樹脂製であることが好ましく、例えばポリ塩化ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、アクリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンオキサイド系樹脂、ポリアセタール系樹脂等が好適である。
【0019】
モジュールケース2の材質は、溶剤濾過や溶剤からのガス分離、パーベーパレーション等の用途に供するときには、中空糸膜5の素材と同様に、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂が好ましい。
【0020】
本発明の中空糸膜モジュール1の製造方法は、まず複数の中空糸膜5をシート状に並べる工程を有する。
ここで、中空糸膜5をシート状に並べるにあたっては、所定の長さを有する中空糸膜を一本づつ並べていってもよいが、編織物に加工した中空糸膜を用いると、ハンドリング性が抜群に向上するため好ましい。
【0021】
シート状中空糸膜6は、中空糸膜5を一定の長さで折り返しながら編んだものを用いても良いし、所定の長さに切断した中空糸膜5を簾状に編んだものを用いても良い。このとき、中空糸膜5を一本づつ編んでも構わないが、複数本の中空糸膜5を糸条等により結束させて一つの小集束体3とすると、シート状中空糸膜が大きくなりすぎず、加工作業が容易となるため好ましい。
【0022】
この際、小集束体3は、中空糸膜総本数の1/50以下の本数を構成単位とすると、固定に使用する熱可塑性樹脂の含浸が良好となるため好ましい。また、シート状中空糸膜を巻いた時に、滑らかな円筒形状であるとモジュールケース2内に挿入し易くなるため、小集束体3は、中空糸膜総本数の1/100以下の本数を構成単位とすることがより好ましい。
【0023】
小集束体3を結束するにあたっては、接着剤やスリットテープ等の結束機能を有するものを用いることが可能であるが、連続糸条を用いると、熱可塑性樹脂の含浸の妨げにならないため好ましい。
また、連続糸条による結束は、連続糸条の結束張力を変更可能であり、小集束体3の結束力を調整可能とする面でも好ましい。連続糸条は、構成する糸条がモノフィラメントであっても、マルチフィラメントであっても、それらの混合物で会っても差し支えないが、マルチフィラメントを用いることは、中空糸膜5表面の損傷を防止できるため好ましい。
【0024】
このようにして形成したシート状中空糸膜6を広げた後、熱可塑性樹脂紛体と液体の混合物4を、シート状中空糸膜6に付着させる工程を行う。
【0025】
使用する液体としては、水、或いはアルコール類やエステル系溶媒等の有機系溶媒を使用することができる。また、単一の液体であっても混合液体でもよいが、加熱によって液体が完全に除去されることが好ましい。これは、ポッティング部9に液体が残存していると、この残存液体に起因するポッティング加工部の強度低下が生じたり、或いは残存液体が溶出したりして、中空糸膜モジュールの性能が低下することがあるためである。
従って液体は、沸点が低く、また、安全性が高いことが好ましく、アルコール系液体であることが好ましい。
【0026】
熱可塑性樹脂紛体の形状は、球状、矩形状、針状、楕円状等のいかなるものであっても使用可能である。その大きさは、あまりに小さいと、利用する中空糸膜によっては、微粒子が膜に形成されている細孔を通り抜けて中空糸膜の中空内部に侵入する恐れが出る。
このため、微粒子の大きさの下限としては、膜の孔径以上とする必要がある。
使用する膜の孔径にもよるが、具体的には形状が球形の場合、平均粒径として0.1μm以上が好ましく、1μm以上がより好ましく、5μm以上が更に好ましい。
なお、形状が球形以外の場合、最も長い部位の長さが前述の範囲となるものを使用することが好ましい。
【0027】
一方粒子が大き過ぎると、中空糸膜5の間に保持された微粒子同士の間に隙間が生じ易く、ポッティング部9に「す」が生じることがあり、リークの原因になる恐れがある。
このため、例えば球状の微粒子を用いた場合、平均粒径は5000μm以下が好ましく、2500μm以下がより好ましく、1000μm以下が更に好ましい。
なお、形状が球形以外の場合、最も長い部位の長さが前述の範囲となるものを使用することが好ましい。
【0028】
熱可塑性樹脂粉体の材質は、各種溶剤や薬品への耐久性や機械的な強度等の点から、ポリオレフィン系樹脂が好ましい。ポリオレフィン系樹脂の中でも、ポッティング加工時の取り扱い性、薬液への溶出の低さ等の点から、ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂が好ましい。
【0029】
熱可塑性樹脂粉体は、ポリオレフィン樹脂の場合、重量平均分子量が10000より小さいと、得られる中空糸膜モジュールのポッティング部9の機械的強度や靭性が不十分になり、長期間の使用に耐え得る耐久性や耐衝撃性等が得られなくなる。このために、重量平均分子量が10000以上の熱可塑性樹脂を使用することが好ましい。
【0030】
混合物4は、熱可塑性樹脂粉体が液体中に単に分散しているスラリー、熱可塑性樹脂粉体が、乳化剤や分散剤等によって均一に乳化しているエマルジョン、或いは熱可塑性樹脂粉体に少量の液体を添加したペースト状、等のいずれであっても使用することはできるが、流動性が高いと、所定の位置に保持させることが困難になる。従って、混合物4は形態保持性を有することが好ましい。
【0031】
従って混合物中4の液体の割合は、50質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましく、25質量%以下がさらに好ましい。なお、液体の割合が低すぎると熱可塑性樹脂紛体同士の凝集が大きくなるため、液体の割合の下限は5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましい。
【0032】
混合物4をシート状中空糸膜6の所定の位置に塗布するにあたっては、塗布量が多すぎると中空糸膜5の濾過性能を有する部分が減少する一方、少なすぎるとシール性や耐圧性能が劣るため、適度な塗工面積を定めることが好ましい。
混合物4の塗布方法には、へらによる塗布方法やディスペンサーによる供給方法、あるいはドクターブレードやダイスを用いた一般的なコーティング方法を用いることが可能である。
【0033】
そして、本発明の製造方法は、混合物4をシート状中空糸膜6に塗布している最中か、又は塗布した後に、混合物4が担持されている部位に1KPa〜1MPaの外力を加える工程を有する。
【0034】
本発明の製造方法は、このように外力を加えて、混合物4をシート状中空糸膜6に含浸させるため、中空糸膜の集積率に関わらず、リークを大幅に減少させることが可能となる。
【0035】
また、液体との混合物を用いるため、紛体のみを使用する場合に対し、嵩を大幅に縮減することが可能となり、嵩が大きい状態の熱可塑性樹脂紛体が塗布されることにより汚染される中空糸膜5の巾を、大幅に減少させることができる。
また、流動性を有する高濃度懸濁液を使用する場合のように、一旦付着させた懸濁液が流動してこぼれてしまう懸念もなく、液体と紛体の比重を調整する等の複雑かつ困難な作業を必要とすることもなく、作業性を大幅に向上させることができる。
【0036】
外力を加えるにあたっては、小さすぎると中空糸膜5相互間への混合物4の含浸が十分に行われなくなり、「す」によるリークが発生し易くなるため、加える外力の下限としては、1KPaであり、好ましくは10KPaであり、より好ましくは25KPaである。一方で、外力が大きすぎると中空糸膜5の潰れが発生したり、あるいは、中空糸膜5相互間の配列の乱れを生ずるため、加える外力の上限としては、1MPaであり、好ましくは500Kpaであり、より好ましくは300kPaである。
【0037】
外力の付与の方法は、特に限定されるものではなく、へらによる押し付け力であってもよいし、ディスペンサーやノズルからの該混合湿潤状物の塗布圧力であってもよく、あるいは,ドクターブレード等を用いた塗工時の塗工圧力であっても構わず、その他の方法を用いることも可能である。
【0038】
本発明の製造方法は、含浸を行った後に、シート状中空糸膜6を円筒状に巻いて、モジュールケース2に挿入する工程を有する。
ここで、複数本の小集束体3を巻きつけ、概円筒形状とさせてモジュールケースに挿入することにより、モジュールケース2内で、中空糸膜5が概ね均一に配置されることが可能となる。均一に配置されているため、確実に樹脂固定され、圧力条件下で使用する際の耐圧性能を発揮することが可能となり、リークの発生を抑制することが可能となる。
【0039】
概略円筒形状に巻いた中空糸膜5の、混合物4が担持されている部分に1KPa〜5MPaの外力を加える、第二の含浸工程を行うことは、より確実な含浸状態を実現できるため好ましい。
外力を加える方法は特に限定されない。また、シート状中空糸膜6をモジュールケース2に挿入した後に行っても、挿入する前に行っても構わない。モジュールケース2に挿入した後に行う場合は、例えば、加震機やタッピング機構などの装置を用いることができる。モジュールケース2に挿入する前に行う場合は、例えば円筒形状の中空糸膜5の上にフィルム等を巻いた後に、人手で一度あるいは繰り返し把持することにより外力を与えることができる。
【0040】
この第二の含浸工程において加える外力は、中空糸膜がシート状に広げられていた先の含浸工程のときと異なり、中空糸膜5が円筒形状となっており、より弾力性に富むことから、先の含浸工程よりも強い力を加えても中空糸膜5が潰れる懸念はなく、より効果的に混合物4を万遍なく分散させることができる。
【0041】
モジュールケース2内のポッティング加工部における中空糸膜5の充填率(ポッティング部断面積に対する、外径ベースの中空糸膜の合計断面積が占める割合)は、本発明では、40%〜75%という高い充填率であっても、「す」によるリークを発生させることなく、中空糸膜モジュールを作成することが可能である。
充填率は、下限は42.5%以上が好ましく、45%以上がより好ましい。上限は、65%以下が好ましく、60%以下がより好ましい。
【0042】
本発明の製造方法は、モジュールケース2に中空糸膜5を挿入した後、熱可塑性樹脂紛体を加熱溶融させ、その後冷却させて、中空糸膜5の少なくとも一方の端部と、モジュールケース端部とを接着する工程を有する。
【0043】
熱可塑性樹脂粉体の加熱による溶融接着は、加熱体をモジュールケース2にほぼ接触させた状態で加熱する直接加熱方法や、加熱体をモジュールケース2に接触させない間接加熱方法があるが、直接加熱方法が熱伝達効率はより良好である。
【0044】
加熱体の配置については、中空糸膜5の端面方向や、モジュールケース2の周囲方向や、又はこれらを組み合わせた加熱方法が挙げられ、これらのいずれの方法を用いても差し支えないが、溶融含浸されるときの熱可塑性樹脂粉体の温度を極力均一にし、粘度を均一にすることが、中空糸膜間への均一な含浸を可能にし、得られた中空糸膜モジュールのポッティングリークの防止を可能にする。
【0045】
従って、熱可塑性樹脂粉体の温度は、中空糸膜束の繊維軸方向、あるいはこれに垂直な断面方向、に関わらず一定であることが好ましく、熱可塑性樹脂粉体を加熱溶融させるために必要な加熱熱量は、熱可塑性樹脂粉体以外の物質に極力伝熱浪費されないことが好ましい。
【0046】
加熱にあたっては、モジュールケースを回転させ、端部に遠心力を与えることによって、溶融した熱可塑性樹脂の含浸を向上させることが好ましい。
加熱溶融後は、冷却して熱可塑性樹脂を固化させる。冷却は強制的に冷却することもできるが、加熱を停止した後、室温状態で放置すればよい。
【0047】
このように中空糸膜5の端部を熱可塑性樹脂によってモジュールケース2に固定したあと、端部を適当な手段により切断して開口部を形成することによって、中空糸膜モジュールを得る事ができる。
【0048】
【実施例】
以下、実施例を基に本発明について更に詳細に説明する。
【0049】
<実施例1>
外径320μm、内径200μm、孔径0.03μmのポリエチレン製(融点:132℃)多孔質中空糸膜32本を構成単位とする小集束体を、連続的に所定の長さで規則正しく折り返し、隣り合う端部の相互を糸で拘束し、小集束体が135束連結したシート状中空糸膜を作成した。
【0050】
このシート状中空糸膜の片端部のポッティング加工部に、重量平均分子量84000のポリエチレン樹脂の球状微粉末(平均粒子径:6μm)が、割合として60質量%となるようにエチルアルコールに分散させた混合物を、ポッティング加工部に巾30mmにわたり、塗布した。
【0051】
塗布方法は、前述のシート状中空糸膜を、フィルムを介し重量計上に配置し、混合物をへらを用いてシート状中空糸膜に押し付けて含浸させ、この時の塗布加工に要した外力を測定した。この時の外力の値は50KPaであった。
【0052】
次に、シート状中空糸膜を中空糸膜の配列方向に巻いて円筒状とし、これを直径40mm、厚さ3.7mmのポリプロピレン製モジュールケース内に挿入した。このときのモジュールケース内の中空糸膜の充填率は48%であった。
【0053】
このモジュールケースの端部から30mmの範囲、及び端部断面方向を加熱部材で覆い、加熱してポッティング加工を行った。なお、このポッティング加工の加熱温度は127±3℃とし、4時間の加熱を行った。
続いて、室温まで徐冷した後、ポッティング加工した部分の中空糸膜の端部を常法によって切断して開口部を形成した。また、これを同様の方法で、10体製作した。
【0054】
この中空糸膜モジュールに、0.5MPaの水圧を中空糸膜の外側から加えて、端面での水漏れの有無をチェックすることによってリーク検査を行なったところ、10体全てについてリークは無かった。
【0055】
<実施例2>
ポリエチレン樹脂粉体と液体との混合物中の液体の割合を70質量%とした以外は、実施例1と同じ条件によるポッティング加工を施し、中空糸膜モジュールを10体製作した。
得られた中空糸膜モジュールについて、実施例1と同様にリーク検査をおこなったところ、10体中2体が試験圧力による亀裂が発生した。
【0056】
<比較例1>
混合物を中空糸膜に塗布した後、外力を加えなかった以外は実施例1と同じ条件によるポッティング加工を施し、中空糸膜モジュールを10体製作した。
得られた中空糸膜モジュールについて、実施例1と同様にリーク検査をおこなったところ、10体中5体に「す」によるリーク不良が発生した。
【0057】
<比較例2>
液体との混合物の代わりにポリエチレン樹脂紛体のみを用い、一方が閉鎖されたモジュールケース容器中に紛体を入れた後、実施例1と同じ中空糸膜シート状物を振動を加えながら挿入した以外は、実施例1と同様にして中空糸膜モジュールを10体製作した。
得られた中空糸膜モジュールについて、実施例1と同様にリーク検査をおこなったところ、10体中8体に「す」によるリーク不良が発生した。
【0058】
<比較例3>
混合物をシート状中空糸膜に塗布した後、1.5MPaの外力を加えた以外は実施例1と同じ条件でポッティング加工を施したが、中空糸膜の配列に大きく乱れが生じ、整列した巻き状体を得ることができなかった。
【0059】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の製造方法は、シート状中空糸膜に、熱可塑性樹脂粉体と液体の混合物を塗布したあと、1KPa〜1MPaの外力を加えるため、中空糸膜同士の間に確実にポッティング樹脂を含浸させることができ、リークの発生を抑えることができる。
また、このとき、塗布する混合物中の液体の割合を50質量%以下とすることで、無用な流動性を無くし、塗布した部位に熱可塑性樹脂粉末を確実に付着させたまま、万遍なく分散させることができる。
また、シート状中空糸膜を巻いて円筒状をした後、混合物を塗布した部位に、さらに1KPa〜5MPaの外力を加えることによって、熱可塑性樹脂粉体をより万遍なく分散させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の中空糸膜モジュールの製造方法に使用するシート状中空糸膜の一例を示す模式図である。
【図2】本発明の中空糸膜モジュールの製造方法において、シート状中空糸膜に混合物を塗布した状態を示す模式図である。
【図3】本発明の中空糸膜モジュールの製造方法において、シート状中空糸膜を巻いて円筒状とした模式図である。
【図4】本発明の製造方法による中空糸膜モジュールの一例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 中空糸膜モジュール
2 モジュールケース
3 小集束体
4 混合物
5 中空糸膜
6 シート状中空糸膜
9 ポッティング部
Claims (12)
- 複数の中空糸膜をシート状に並べる工程と、
熱可塑性樹脂紛体と液体の混合物を、シート状中空糸膜に付着させる工程と、
該混合物が担持されている部位に1KPa〜1MPaの外力を加える工程と、
該シート状中空糸膜を円筒状に巻き、モジュールケース内に挿入する工程と、
該熱可塑性樹脂紛体を加熱溶融させ、その後冷却させて、該中空糸膜の少なくとも一方の端部と、該モジュールケース端部とを接着する工程と、
を有してなる中空糸膜モジュールの製造方法。 - 前記シート状中空糸膜を円筒状に巻いた後、前記混合物が担持されている部位に1KPa〜5MPaの外力を加える工程を有してなる請求項1に記載の中空糸膜モジュールの製造方法。
- 前記シート状中空糸膜が、編織物である請求項1又は2に記載の中空糸膜モジュールの製造方法。
- 前記シート状中空糸膜が、中空糸膜総本数の1/50以下の本数を構成単位とする小集束体の集合体からなる請求項1〜3いずれか一項に記載の中空糸膜モジュールの製造方法。
- 前記混合物中に占める前記液体の質量の割合が、50%以下である請求項1〜4いずれか一項に記載の中空糸膜モジュールの製造方法。
- 前記液体がアルコール系液体である請求項1〜5いずれか一項に記載の中空糸膜モジュールの製造方法。
- 固定部における前記中空糸膜の充填率が40%以上75%以下である請求項1〜6いずれか一項に記載の中空糸膜モジュールの製造方法。
- 前記熱可塑性樹脂粉体を加熱溶融させる際に、前記モジュールケースを回転させて、前記モジュールケース端部に遠心力を付与する請求項1〜7いずれか一項に記載の中空糸膜モジュールの製造方法。
- 前記熱可塑性樹脂がポリオレフィン系樹脂からなる請求項1〜8いずれか一項に記載の中空糸膜モジュールの製造方法。
- 前記熱可塑性樹脂がポリエチレン樹脂である請求項9に記載の中空糸膜モジュールの製造方法。
- 前記中空糸膜がポリエチレン樹脂からなる請求項1〜10いずれか一項に記載の中空糸膜モジュールの製造方法。
- 前記中空糸膜がポリエチレン樹脂である請求項11に記載の中空糸膜モジュールの製造方法。
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JP2007152238A (ja) * | 2005-12-06 | 2007-06-21 | Mitsubishi Rayon Eng Co Ltd | 中空糸膜モジュールの製造方法 |
JP2014172019A (ja) * | 2013-03-12 | 2014-09-22 | Mitsubishi Rayon Co Ltd | 中空糸膜シート状物およびこれを用いた中空糸膜モジュールの製造方法 |
-
2002
- 2002-08-08 JP JP2002231333A patent/JP2004066167A/ja active Pending
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