JP2004066121A - ノニオン性界面活性剤 - Google Patents

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Shigeru Matsuo
松尾 茂
Takao Tamura
田村 隆生
Yoji Doi
土井 洋史
Yasushi Shiraki
白木 安司
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Idemitsu Petrochemical Co Ltd
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Abstract

【課題】生分解性に優れており、かつ、乳化力、消泡化等の界面活性能に優れたアルキルフェノールアルキレン付加物を含有してなるノニオン性界面活性剤を提供する。
【解決手段】炭素数が20〜60のアルキル基を有するモノアルキルフェノールとアルキレンオキサイドの反応生成物を含有してなるノニオン性界面活性剤。
【選択図】   なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はノニオン性界面活性剤に関し、より詳しくは乳化剤、分散剤、可溶化剤、洗浄剤、湿潤剤等として有用なノニオン性界面活性剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
ノニオン系界面活性剤はイオン性界面活性剤に比較して、一般に低温溶解性と耐硬水性に優れているため、近年の需要量の伸びが非常に大きい。また疎水部がほぼ同一鎖長の、単一直鎖炭化水素基からなるイオン性界面活性剤と比較すると、クラフト点が低く、臨界ミセル濃度(cmc)における表面張力が低い。またcmcも一般に低く、ミセル会合し易いという特徴がある。ノニオン性界面活性剤の製造上の特徴としては、原料となる活性水素を有する化合物へのアルキレンオキサイドの付加モル数を制御することにより、親油性−親水性バランス(HLB)の異なる界面活性剤を容易に得ることができることが挙げられる。
【0003】
各種のノニオン性界面活性剤の中でも、長鎖アルコールおよびノニルフェノールのエチレンオキサイド付加物が洗浄剤、乳化剤、浸透剤、可溶化剤などとして多く使用されている。しかしながら、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルはその生分解性が劣っていて、さらに分解生成物の毒性が指摘されており、世界的にその使用が制限される傾向にある。また、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルは、アルキル基が小さいために付加するアルキレンオキサイドの量が制限されており、界面活性能、特に乳化力、消泡化において充分な性能が発揮されるに到っていなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような状況下でなされたもので、生分解性に優れており、かつ、乳化力、消泡化等の界面活性能に優れたアルキルフェノールアルキレン付加物を含有してなるノニオン性界面活性剤を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、アルキルフェノールのアルキル基を長鎖にし、またアルキレンオキサイドの付加数を増加させることにより、上記目的に適合しうることを見出した。
本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
即ち、本発明の要旨は下記のとおりである。
1.炭素数が20〜60のアルキル基を有するモノアルキルフェノールとアルキレンオキサイドの反応生成物を含有してなるノニオン性界面活性剤。
2.アルキル基がエチレンのオリゴメリゼーションで得られるα−オレフィン由来のものである前記1記載のノニオン性界面活性剤。
3.アルキル基が炭素数20〜30のものである前記1又は2に記載のノニオン性界面活性剤。
4.アルキル基が炭素数20〜24のものである前記1〜3のいずれかに記載のノニオン性界面活性剤。
5.アルキレンオキサイドがエチレンオキサイド、プロピレンオキサイドまたはそれらの混合物である前記1〜4のいずれかに記載のノニオン性界面活性剤。
6.アルキレンオキサイドの繰返し単位が1〜100である前記1〜5のいずれかに記載のノニオン性界面活性剤。
7.アルキレンオキサイドの繰返し単位が1〜50である前記1〜6のいずれかに記載のノニオン性界面活性剤。
8.前記1〜7のいずれかに記載のノニオン性界面活性剤からなる乳化剤、分散剤、可溶化剤、洗浄剤または湿潤剤。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明について、詳細に説明する。
本発明は、炭素数が20〜60のアルキル基を有するモノアルキルフェノールとアルキレンオキサイドの反応生成物を含有してなるノニオン性界面活性剤である。上記の炭素数が20〜60のアルキル基を有するモノアルキルフェノールとアルキレンオキサイドの反応生成物は、典型的には、下記一般式(1)
【化1】
Figure 2004066121
(式中、Rは炭素数20〜60のアルキル基を示し、Aはアルキレン基を示し、nは1〜100の整数を示す。)
で表されるモノアルキルフェノールアルキレンオキサイド付加物である。
Rは炭素数20〜60のアルキル基であれば特に制限はないが、エチレンのオリゴメリゼーションにより得られるα−オレフィン由来の直鎖状のものが好ましく、分岐度が30%以内であれば差し支えない。好ましい炭素数は20〜30、より好ましい炭素数は20〜24である。炭素数が60を超えると、疎水性が大きくなり界面活性能が低下する。炭素数が20未満であると、アルキレンオキサイドを付加する割合の範囲が狭くなる。また、Rの結合位置は、パラ体、オルト体のどちらでもよいが、パラ体がより好ましい。
【0007】
Aはアルキレン基であれば特に制限はないが、エチレン基、プロピレン基またはそれらの混合基が好ましい。
nはAO基の繰返し単位、即ち、AO基の平均付加モル数を示し1〜100であり、好ましくは1〜50である。100を超えると、親水性が大きくなり界面活性能が大きく低下する。
【0008】
前記一般式(1)で表されるモノアルキルフェノールアルキレン付加物の製造については、先ずフェノールとα−オレフィンを反応させてモノアルキルフェノールを製造し、次いで、モノアルキルフェノールにアルキレンオキサイドを付加重合させることによって得ることができる。
前段の反応については、公知の技術が採用できる。原料は、α−オレフィン1モルに対して、フェノールを1〜30モルとし、触媒の存在下、常圧又は加圧下、0〜200℃で、1〜15時間反応させる。触媒として、Al、HPO、ZnCl、AlCl、FeCl、HF、BF、HSO、スルホン化イオン交換樹脂、活性白土などを挙げることができる。
後段の反応については、公知の技術が採用できる。原料は、モノアルキルフェノール1モルに対して、アルキレンオキサイドを1〜100モルとし、触媒の存在下、0〜220℃で、1〜10時間反応させる。エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドはこの温度範囲では気体であるため、付加重合反応は密閉容器中で加圧下に行われる。触媒として、Na、K、NaNH、ナトリウムアルコラート、KOH、NaOH、ソディウムナフタレン、CaO、SrO、ZnO、トリアルキルアルミニウム、FeCl、Fe(OR)、トリメチルアミンなどを挙げることができる。
【0009】
本発明のノニオン系界面活性剤には、その用途や目的に応じて、界面活性剤に一般的に用いられている各種の添加剤を配合することができる。例えば、増泡剤、金属封鎖剤、防かび剤、色素、香料、アルカリ剤、つや出し剤、漂白剤、酵素などを挙げることができる。
【0010】
本発明のノニオン性界面活性剤は、金属加工用乳化剤、農薬乳剤用乳化剤、化粧品用乳化剤、水系塗料用乳化剤、乳化重合用乳化剤などの乳化剤;顔料や脂肪酸金属塩などの紙用薬剤の分散剤;香料用などの可溶化剤;衣料用洗剤、皿洗い用洗剤などの家庭用洗剤などの家庭用洗剤、機械金属用洗剤などの工業用洗剤としての洗浄剤;湿潤剤として有効に利用される。
【0011】
【実施例】
次に、本発明を実施例により、更に詳しく説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
[実施例1〜4、比較例1]
(1)アルキルフェノールの製造
攪拌機、温度計を装着した5リットルのフラスコに炭素数20〜24のα−オレフィン3,100gとフェノール940g及び酸性活性白土100gを入れ、160℃で3時間反応させた。この反応混合物から酸性活性白土をろ過で除去し、過剰のフェノールを留去することにより炭素数20〜24のアルキルフェノールを得た。
【0012】
(2)アルキルフェノールエトキシレートの製造
5リットルのオートクレーブに上記アルキルフェノール404g、水酸化カリウム560mgを仕込み、窒素置換後、140℃で脱水し、155℃でエチレンオキサイドを滴下し2時間反応させた。反応終了後、冷却し、90%酢酸で中和、洗浄して目的物を得た。その場合、エチレンオキサイドの仕込み量を変えることによりエチレンオキサイドの平均付加モル数を10、15、20、30としたアルキルフェノールエトキシレートを得た。また、比較例として、ノニルフェノールエトキシレート(エチレンオキサイドの平均付加モル数10)と合わせて、基礎的性質を第1表に示す。
【0013】
【表1】
Figure 2004066121
【0014】
(3)界面活性剤としての性能を下記の要領で測定した。その結果を第2表に示す。
▲1▼洗浄力
湿式人工汚染布(洗濯科学協会製)を、試料1g/リットル、苛性ソーダ2g/リットル併用で、浴比1:100、60℃で30分の洗濯をラウンダオメーター(洗濯試験機)で行い、水洗、乾燥させた。洗浄布の汚染程度をグレースケールで5段階評価した。(JIS K 0844に準拠)
▲2▼再湿潤性
未精練綿ニット(40番単糸)を、試料1g/リットル、苛性ソーダ2g/リットル併用で、浴比1:20のビーカー中、1時間沸騰処理し、水洗、乾燥させた。処理布を2.7cm×25cmに切り、その下端約5mmをダイレクトファストスカーレット4BS2g/リットル溶液に室温で5分間浸漬し、その上昇の程度をmmで表示した。
▲3▼起泡性
試料1g/リットル水溶液(液温20℃)を作成し、直径5cmのガラス管下部に50ミリリットル入れ、上部90cmより200ミリリットル落としたときの、直後及び3分後の泡の高さを測定した。(JIS K 3362に準拠)
▲4▼消泡率
上記▲3▼において、
(直後の泡の高さ−3分後の泡の高さ)×100/直後の泡の高さ
▲5▼乳化力
200ミリリットルのメスシリンダー中で、均一混合したアニリン点70℃の鉱物油4.85gと試料油0.15gにイオン交換水95ミリリットルを加え、振とうして1時間静置後の乳化状態を下記の10段階で評価した。
10:分離なく、完全に乳化
9:上層数mm分離、全体はほぼ乳化
8:上層約1cm分離、全体はほぼ乳化
7:上層約1.5cm分離、全体はほぼ乳化
6:完全分離、界面は不鮮明、上層・下層とも乳白色
5:完全分離、界面が鮮明
4:完全分離、上層乳白色、下層に透明感出始める
3:完全分離、上層乳白色、下層やや透明
2:完全分離、上層乳白色、下層ほぼ透明
1:完全分離、上層・下層ともほぼ透明
【0015】
【表2】
Figure 2004066121
【0016】
なお、生分解性試験をMITI法に従って行った。閉鎖系酸素消費量測定装置を用いて、無機培地に試料を50mg/リットル濃度となるよう添加し、これに都市下水処理場の返送汚泥を100mg/リットルとなるように添加し、25℃での分解を測定した。その結果、エチレンオキサイド10モル付加した炭素数20〜24のアルキルフェノールエトキシレートは28日後に58%分解し、ノニルフェノールエトキシレートは36%の分解であった。理論的には60%の分解がほぼ完全分解であることがわかっていることから、実施例のアルキルフェノールエトキシレートは完全分解することがわかった。
【0017】
【発明の効果】
本発明のノニオン性界面活性剤は、生分解性に優れており、かつ、乳化力、消泡化等の界面活性能に優れたアルキルフェノールアルキレン付加物を含有しており、乳化剤、分散剤、可溶化剤、洗浄剤、湿潤剤として有用である。

Claims (8)

  1. 炭素数が20〜60のアルキル基を有するモノアルキルフェノールとアルキレンオキサイドの反応生成物を含有してなるノニオン性界面活性剤。
  2. アルキル基がエチレンのオリゴメリゼーションで得られるα−オレフィン由来のものである請求項1記載のノニオン性界面活性剤。
  3. アルキル基が炭素数20〜30のものである請求項1又は2に記載のノニオン性界面活性剤。
  4. アルキル基が炭素数20〜24のものである請求項1〜3のいずれかに記載のノニオン性界面活性剤。
  5. アルキレンオキサイドがエチレンオキサイド、プロピレンオキサイドまたはそれらの混合物である請求項1〜4のいずれかに記載のノニオン性界面活性剤。
  6. アルキレンオキサイドの繰返し単位が1〜100である請求項1〜5のいずれかに記載のノニオン性界面活性剤。
  7. アルキレンオキサイドの繰返し単位が1〜50である請求項1〜6のいずれかに記載のノニオン性界面活性剤。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載のノニオン性界面活性剤からなる乳化剤、分散剤、可溶化剤、洗浄剤または湿潤剤。
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