JP4131827B2 - 液体洗浄剤組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は液体洗浄剤組成物、特にリネン業、ダストコントロール業向けの洗浄システムで用いるのに好適な液体洗浄剤組成物に関わる。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
リネン業及びダストコントロール業は、シーツ、タオル等或いはモップ、マット等を顧客に貸し出し、使用済みのこれら被洗物を回収し、洗濯した後に再び新品として貸し出しを行う業態である。これらの業者は主に横軸回転式のバッチ式洗濯機又は連続式洗濯機を使用して洗濯を行っている。その際、洗濯に使用する処理液は、アルカリ成分を主体とする剤及び界面活性剤成分を主体とする剤とを別々に用意し、両者を専用の溶解槽にて混合溶解して調製され、該混合液は、供給装置にて工場内を循環する如く配管された管内を輸送され、洗濯のタイミングに合わせて洗濯機に投入される。
【0003】
このような供給システムに用いられる処理液は、洗浄性に優れることに加え、温度変化による粘度の変動が少ないこと、特に低温時に増粘しないこと、更に、泡立ち性が低いことが要求される。
【0004】
非イオン性界面活性剤と無機アルカリ剤を併用した系として、例えば、特許文献1では、可溶化剤として特定の脂肪酸を使用することで、安定な非イオン性界面活性剤の強アルカリ水溶液を得ることを提案している。しかし、ここで用いられる特定脂肪酸では、処理液の温度変化に対する粘度の変化を十分に抑制することはできず、前記供給システムにおいては、依然、所定時間に必要量の投入が行えないという問題が生じる。
【0005】
また、家庭用の液体洗剤に関して、特許文献2には、特定のオキシアルキレン付加型の化合物と比較的低分子量のポリエチレングリコールを併用することが、また、特許文献3には、非イオン性界面活性剤と特定のオキシアルキレン付加型の化合物とを含有する組成物を塗布用の洗剤として用いることが開示されている。しかし、家庭用洗剤は一般に弱アルカリ性であり、無機アルカリ剤を用いた高濃度の処方では、非イオン性界面活性剤が分離、ゲル化し、実使用に耐えないものとなってしまう。このため、前記供給システムに用いるには問題がある。
【0006】
従って、本発明は、洗浄性に優れ、温度変化による粘度の変動が少なく、かつ泡立ち性の低い、特にリネン業、ダストコントロール業向けの洗浄システムで用いるのに好適な液体洗浄剤組成物を得ることを目的とする。
【0007】
【特許文献1】
特開昭64−4226号公報
【0008】
【特許文献2】
特開平8−283784号
【0009】
【特許文献3】
特開平11−269500号公報
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、(A)無機アルカリ剤〔以下、(A)成分という〕と、(B)オキシエチレン基及びオキシプロピレン基を含有する非イオン性界面活性剤〔以下、(B)成分という〕と、(C)下記一般式(I)で表される化合物〔以下、(C)成分という〕と、(D)水〔以下、(D)成分という〕とを含有し、〔(B)のオキシプロピレン基の平均付加モル数の合計〕/〔(B)のオキシエチレン基の平均付加モル数の合計〕=0.2〜0.5、(A)/(B)=0.5〜1.2(重量比)、(C)/(B)=0.1〜0.4(重量比)であり、且つ(D)の含有量が50重量%超である液体洗浄剤組成物に関する。
【0011】
【化2】
【0012】
(但し、式中、R1は水素原子、炭素数1〜8のアルキル基もしくはアルケニル基又はフェニル基、R2は水素原子又はメチル基、R3は水素原子又はメチル基を示し、Xは1以上、3以下の数を示す。)。
【0013】
また、本発明は、上記本発明の液体洗浄剤組成物を、0〜40℃の液温で繊維製品と接触させる繊維製品の洗浄方法に関する。
【0014】
【発明の実施の形態】
<(A)成分>
(A)成分としては、珪酸塩が好ましく、特に、オルソ珪酸ナトリウム(2Na2O・SiO2)、メタ珪酸ナトリウム(Na2O・SiO2)、1号珪酸ナトリウム(Na2O・2SiO2)及び2号珪酸ナトリウム(2Na2O・5SiO2)から選ばれる一種以上の珪酸ナトリウムが好ましい。これらは、水和物であってもよく、また水溶液として用いることもできる。
【0015】
<(B)成分>
(B)成分は、アルコール、カルボン酸、アミン等、活性水素を有する化合物に、エチレンオキサイド(以下、EOと表記する)とプロピレンオキサイド(以下、POと表記する)とを特定モル比で付加した非イオン性界面活性剤である。例えば、合成アルコール又は天然油脂から誘導されたアルコールに、EO及びPOをランダム付加或いはブロック付加することで得られる。
【0016】
(B)成分において、オキシエチレン基とオキシプロピレン基の比率は、オキシプロピレン基の平均付加モル数の合計/オキシエチレン基の平均付加モル数の合計(以下、PO/EO比ということもある)=0.2〜0.5、好ましくは0.25〜0.5である。この範囲において、該(B)成分を含有する水溶液の粘度が適度となり、ゲル化も防止され、また、泡立ち性も適正となる。また、生分解性や洗浄性も良好となる。特に、このPO/EO比は、(B)成分を2種類以上併用するときに好ましい。ここで、(B)成分を2種類以上併用する場合のPO/EO比は、各(B)成分のPO/EO比に当該(B)成分の重量分率を乗じたものの総和〔Σ{PO/EO}×重量分率〕である。
【0017】
また、(B)成分のHLB(グリフィン法による)は、5〜14が好ましく、特に6〜12が好ましい。
【0018】
(B)成分としては、下記一般式(II)で表される化合物及び一般式(III)で表される化合物から選ばれる化合物が好ましく、特に好ましくは、この両者を(III)/(II)=0.2〜0.7の重量比で併用することである。
【0019】
R4−O−[(EO)o/(PO)p]−(EO)q−H (II)
R5−O−(EO)m−(PO)n−H (III)
〔但し、式(II)中のR4は平均炭素数10〜14のアルキル基又はアルケニル基を示し、EOはオキシエチレン基、POはオキシプロピレン基を示し、[(EO)o/(PO)p]はランダム配列でもブロック配列でもよい。o、p、qはそれぞれ平均付加モル数を表し、o>1、q>1、0<p≦2であり、o+q=5.5〜10である。また、式(III)中のR5は平均炭素数8〜18の2級のアルキル基もしくはアルケニル基を示し、EOはオキシエチレン基、POはオキシプロピレン基を示す。m、nはそれぞれ平均付加モル数を表し、m=4〜10、n=2〜10であり、0.3≦(n/m)≦1.5である。〕。
【0020】
上記一般式(II)の非イオン性界面活性剤は周知の方法で合成される。すなわち、天然油脂から誘導されたR4のアルキル基又はアルケニル基を有するアルコールにEO、POの順に付加反応した後、又はEOとPOとを混合付加(ランダム付加)した後、再度EOを付加することで合成できる。また、一般式(III)の非イオン性界面活性剤も同じく、R5のアルキル基又はアルケニル基を有する2級アルコールにEOを付加した後、POを付加することで合成できる。
【0021】
<(C)成分>
(C)成分は、一般式(I)中のR1は水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、フェニル基が好ましい。Xは2又は3が好ましい。
【0022】
(C)成分は、例えばR1がアルキル基もしくはアルケニル基又はフェニル基の場合、オートクレーブに原料アルコール又はフェノールを仕込み、窒素置換後、昇温し、EO又はPOを所定圧力で所定量導入し、圧力が一定になるまで反応させることで製造できる。また、R1が水素原子の場合、オートクレーブに水を仕込み、同様の方法で製造できる。
【0023】
<液体洗浄剤組成物>
本発明の液体洗浄剤組成物は、(A)成分と(B)成分の重量比が、(A)/(B)=0.5〜1.2、好ましくは0.6〜1.0である。また、(B)成分と(C)成分の重量比が(C)/(B)=0.1〜0.4、好ましくは0.15〜0.35である。また、(D)成分の含有量は50重量%超、好ましくは55〜90重量%、更に好ましくは55〜80重量%である。
【0024】
この比率を満たした上で、本発明の液体洗浄剤組成物は、(A)成分を5〜23重量%、更に10〜22重量%、(B)成分を10〜20重量%、更に12〜19重量%、(C)成分を1.2〜6重量%、更に2〜5重量%含有することが好ましい。
【0025】
本発明の液体洗浄剤組成物は、20℃におけるpHが12以上であることが好ましい。
【0026】
また、本発明の液体洗浄剤組成物は、25℃における粘度が10〜100mPa・s、更に20〜80mPa・sであることが好ましい。更に、5℃における粘度が50〜600mPa・s、更に50〜300mPa・sであることが好ましい。粘度は、(C)成分の種類や配合量などにより調整できる。ここで、本発明の粘度は、TOKIMEC INC社製のB型粘度計にて、ローターNo.2、回転速度60r/minの条件で測定したものである。本発明の液体洗浄剤組成物は、温度変化による粘度の変動が少ないので、リネンサプライ業等で使用される、洗浄剤組成物(処理液)を洗濯のタイミングに合わせて洗濯機内に投入するシステムにおいて、正常に洗剤の供給を行うことができる。一般に、このようなシステムでは、洗浄剤組成物の粘度が600mPa・s以上になると異常が感知されるように設計されていることが多いため、本発明の組成物も、特に5℃における粘度が600mPa・s未満となることが好ましい。
【0027】
本発明の洗浄剤組成物は、0〜40℃の液温で洗濯機(洗濯槽)に供給されることが好ましく、該液体洗浄剤組成物を含む洗浄媒体は60〜70℃で用いられることが好ましい。例えば、各成分を混合して調製された混合液を0〜40℃の液温で、繊維製品を入れた洗濯機(洗濯槽)に水と共に投入した後、60〜70℃に昇温して繊維製品を洗浄することができる。
【0028】
本発明の液体洗浄剤組成物は、(A)〜(D)成分を一括混合したものでもよいが、上記システムに用いるには、(A)成分を含有する第1の組成物、(B)成分と(C)成分と(D)成分の一部とを含有する第2の組成物を用意し、繊維製品との接触前に、これら第1、2の組成物と(D)成分の残部とを混合することが好ましい。
【0029】
本発明の液体洗浄剤組成物には、公知の洗剤成分を用いても良く、例えばオレイン酸カリウム、直鎖アルキルベンゼンスルフォン酸ナトリウムなどの陰イオン性界面活性剤、クエン酸ナトリウムなどの金属封鎖能を有する多価カルボン酸、ポリアクリル酸カリウムなどの高分子分散剤、蛍光染料、防腐剤等を挙げることができる。
【0030】
【発明の効果】
本発明の液体洗浄剤組成物は、リネン業者やダストコントロール業者の洗濯工場で洗剤混合液を供給装置にて洗濯機に供給し、洗浄のタイミングに合わせて洗濯機内に混合液が自動投入される供給システムに適合し、温度変化による粘度変化が少ないため、環境温度が変化しても安定供給することができる。また、洗浄性が良好で、且つ、泡立ち性が低く、生分解性も良好である。
【0031】
【実施例】
実施例1〜7及び比較例1〜9
表1、2に示す組成の液体洗浄剤組成物を、一括混合により調製し、以下の方法で粘度及び洗浄率を測定した。結果を表1、2に示す。
【0032】
<粘度>
TOKIMEC INC社製B型粘度計にて、ローターNo.2、回転速度60r/minの条件で測定した。
【0033】
<洗浄率>
8cm×8cmのポリエステル布にオレンジOTで着色したスピンドル油0.5gを塗布した汚染布を、ターゴトメーター(100r/min、60℃、10分)を用い、液体洗浄剤組成物の0.05重量%水溶液で洗浄を行った。洗浄前の汚染布の反射率(RB)、未染着の布(原布)の反射率(RO)及び洗浄後の汚染布の反射率(RA)を、それぞれ反射率測定器(日本電色株式会社、300A型)で波長460nmで測定し、得られた各反射率より、洗浄率(%)を、洗浄率(%)=〔(RA−RB)/(RO−RB)〕×100で求めた。
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】
【0036】
*比較例7は、上記評価における洗浄率は比較的良いが、(C)成分の比率が多いため、ダストコントロール用のゴム製玄関マットの洗濯において、ゴムマットに波打ちを生じさせ、実使用に耐えないものとなる。
【0037】
(注)表1、2中の(B)成分は以下のものである。また、「(B)のPO/EO(モル比)」は、用いた(B)成分全体の〔(B)のオキシプロピレン基の平均付加モル数の合計〕/〔(B)のオキシエチレン基の平均付加モル数の合計〕のモル比である。
・非イオン性界面活性剤(1):炭素数10〜14のアルコールにEO、3モル(平均値、以下同様)を付加した後、PO1.5モルを付加し、更にEO3モルを付加した化合物。
・非イオン性界面活性剤(2):炭素数10〜16のアルコールにEO5モルを付加した後、PO2モルを付加し、更にEO3モルを付加した化合物。
・非イオン性界面活性剤(3):炭素数10〜14の1級アルコールにEO8モルとPO2モルを混合付加(ランダム付加)した後、更にEO2モルを付加した化合物。
・非イオン性界面活性剤(4):炭素数10〜16のアルコールにEO8モルとPO5モルを混合付加(ランダム付加)した化合物。
・非イオン性界面活性剤(5):炭素数10〜16の2級アルコールにEO7モルを付加した後、PO8モルを付加した化合物。
・非イオン性界面活性剤(6):炭素数10〜16の2級アルコールにEO7モルを付加した後、PO4.5モルを付加した化合物。
・非イオン性界面活性剤(7):炭素数10〜14のアルコールにEO7モルを付加した後、PO2モルを付加し、更にEO7モルを付加した化合物。
【0038】
実施例8〜10及び比較例10
表3に示す組成の液体洗浄剤組成物を、一括混合により調製し、以下の方法で泡立ち性を測定した。結果を表3に示す。なお、(B)成分は表1のものと同じである。
【0039】
<泡立ち性>
目盛り及び栓付100mLシリンダーに、液体洗浄剤組成物の0.1重量%水溶液50mLを入れ、振とう機にて振幅4mm、振とう速度300回/minで5分間振とうし、停止直後及び5分後の泡容量(mL)を測定とした。
【0040】
【表3】
Claims (7)
- (A)珪酸塩と、(B)オキシエチレン基及びオキシプロピレン基を含有する非イオン性界面活性剤と、(C)下記一般式(I)で表される化合物と、(D)水とを含有し、〔(B)のオキシプロピレン基の平均付加モル数の合計〕/〔(B)のオキシエチレン基の平均付加モル数の合計〕=0.25〜0.5、(A)/(B)=0.5〜1.2(重量比)、(C)/(B)=0.1〜0.4(重量比)であり、(D)の含有量が50重量%超であり、且つ20℃におけるpHが12以上である液体洗浄剤組成物。
- (B)が、下記一般式(II)で表される化合物及び一般式(III)で表される化合物であり、(III)/(II)が重量比で0.2〜0.7である請求項1記載の洗浄剤組成物。
R4−O−[(EO)o/(PO)p]−(EO)q−H (II)
R5−O−(EO)m−(PO)n−H (III)
〔但し、式(II)中のR4は平均炭素数10〜14のアルキル基又はアルケニル基を示し、EOはオキシエチレン基、POはオキシプロピレン基を示し、[(EO)o/(PO)p]はランダム配列でもブロック配列でもよい。o、p、qはそれぞれ平均付加モル数を表し、o>1、q>1、0<p≦2であり、o+q=5.5〜10である。また、式(III)中のR5は平均炭素数8〜18の2級のアルキル基もしくはアルケニル基を示し、EOはオキシエチレン基、POはオキシプロピレン基を示す。m、nはそれぞれ平均付加モル数を表し、m=4〜10、n=2〜10であり、0.3≦(n/m)≦1.5である。〕 - (A)を5〜23重量%、(B)を10〜20重量%、(C)を1.2〜6重量%含有する請求項1又は2記載の液体洗浄剤組成物。
- 25℃における粘度が10〜100mPa・sである請求項1〜3の何れか1項記載の液体洗浄剤組成物。
- 5℃における粘度が50〜600mPa・sである請求項1〜3の何れか1項記載の液体洗浄剤組成物。
- 請求項1〜5の何れか1項記載の液体洗浄剤組成物を、0〜40℃の液温で繊維製品と接触させる繊維製品の洗浄方法。
- (A)を含む第1の組成物と、(B)と(C)と(D)の一部とを含む第2の組成物と、(D)の残部との混合により、繊維製品との接触前に前記液体洗浄剤組成物が調製される請求項6記載の洗浄方法。
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