JP2004065324A - ミシン - Google Patents
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Abstract
【解決手段】糸保持機構17は、糸カセット10に付設されたカム部材42により、糸カセット10の装着工程の所定タイミングにおいて糸挟持部材74を挟持解除側へ一時的に揺動駆動することにより糸保持部71と糸挟持部材74で上糸11を挟持してから、連動移動機構により糸カセット10の装着動作に連動して保持部材70を縫針の目孔付近に移動させて、上糸11を目孔の付近に確実に保持することができるので、糸通し機構16により目孔への糸通しを円滑に行うことができる。
【選択図】 図17
Description
【発明の属する技術分野】本発明は、ミシンに関し、特に、縫針の目孔への糸通しの為に糸カセットの装着動作に連動して縫針の目孔付近に糸を保持することが可能なものに関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、糸駒等の糸供給源を有する糸カセットを装着したときに、その装着動作に連動して縫針の目孔に糸を通すことが可能な糸通し機構を備えたものが本願出願人から出願されている(特開2002−191886号公報参照)。この糸通し機構は、針棒に隣接して設けられた糸通し軸と、この糸通し軸の下端部に連結された糸通しフック等を備え、糸カセットをミシン頭部のカセット装着部に装着する際に、その装着動作と連動して糸通し軸を回転させるように構成されており、糸通し軸が回転したときに糸通しフックが目孔に通されて糸通しフックに糸が掛けられ、その状態で糸通しフックが目孔から引き抜かれることにより目孔に糸が通される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前記の糸通し機構を備えたミシンにおいては、糸カセットをカセット装着部に装着する過程において、作業者が糸カセットから導出された上糸を糸通し機構の支持板や糸案内皿に掛けておく必要があるため、その分手間がかかり、作業効率の低下を招いていた。
【0004】
本発明の目的は、糸カセットの装着動作に連動して糸を縫針の目孔付近に確実に保持することで目孔への糸通しを円滑に行うこと、糸カセットをカセット装着部に装着するだけで糸通し機構により糸を縫針の目孔に通すことができるようにすること、等である。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1のミシンは、糸供給源を収容し且つミシンのカセット装着部に着脱可能に装着される糸カセットと、糸供給源から糸カセット外へ導出された糸を糸カセットの装着動作に連動して縫針の目孔に通す糸通し機構を備えたミシンにおいて、前記糸通し機構により糸通しする為に、前記縫針の目孔付近に糸を保持する糸保持機構を設け、この糸保持機構は、糸を保持可能な糸保持部を含む保持部材と、糸カセットの装着動作に連動して前記糸保持部を縫針の目孔付近に移動させる連動移動機構と、前記糸保持部に糸を解除可能に挟持する糸挟持部材と、糸カセットに付設され、この糸カセットの装着行程の所定タイミングにおいて糸挟持部材を一時的に挟持解除側へ切換える切換部材とを備えたものである。
【0006】
糸カセットの装着時には、その装着動作に連動して連動移動機構により糸保持部を含む保持部材が目孔付近まで移動することになる。その移動の際に、糸保持部に糸を解除可能に挟持する糸挟持部材が、糸カセットに付設された切換部材により所定のタイミングにおいて一時的に挟持解除側へ切換えられ、そのときに、糸が糸保持部と糸挟持部材との間に入り込む。
【0007】
この状態から糸挟持部材が切換部材に操作されない位置まで保持部材が移動すると、再び糸挟持部材が挟持側へ切換えられて糸が糸保持部と糸挟持部材により挟持される。このようにして糸を挟持した状態で連動移動機構により糸保持部が縫針の目孔付近まで移動して、糸が目孔付近に確実に保持され、同じく糸カセットの装着動作に連動して動作する糸通し機構により自動的に縫針の目孔に通される。
【0008】
請求項2のミシンは、請求項1の発明において、前記糸挟持部材は枢支軸にて保持部材に枢着され、この糸挟持部材に、前記切換部材で操作される従動ピンと、前記枢支軸に対して従動ピンと反対側に設けられ前記糸挟持部材が所定範囲以上糸挟持側へ揺動するのを規制する規制ピンとを設けたものである。
【0009】
糸カセットの装着前には、糸挟持部材は糸挟持側へ揺動した状態であるが、所定範囲以上に糸挟持側へ揺動しないように規制ピンで規制されている。この状態から糸カセットがカセット装着部に装着されていくと、この装着動作に連動して連動移動機構により保持部材が縫針の目孔の方向へ移動するが、この際、糸挟持部材に設けられた従動ピンが糸カセットの切換部材の位置に到達したときに、従動ピンは切換部材により操作されて、従動ピンとは離れた位置において、糸挟持部材が枢支軸を中心に一時的に挟持解除側へ揺動する。
【0010】
請求項3のミシンは、請求項2の発明において、前記従動ピンと前記規制ピンとが前記糸挟持部材に対して互いに逆方向へ突出するように構成されたものである。従って、従動ピンと規制ピンとが離れている。
【0011】
請求項4のミシンは、請求項1〜3の何れかの発明において、前記糸保持機構に前記糸挟持部材を糸挟持側へ弾性付勢する付勢部材を設けるとともに、前記糸挟持部材を揺動駆動するカム部材で前記切換部材を構成したものである。糸カセットを装着する前には、糸挟持部材が付勢部材により糸挟持側へ付勢されて、糸挟持部材は糸挟持側へ揺動した状態である。その状態から、糸カセットをカセット装着部に装着していくと、糸カセットに設けられたカム部材により付勢部材の弾性付勢力に抗して糸挟持部材は一時的に挟持解除側へ揺動駆動されるので、糸保持部と糸挟持部材との間で糸が入り込む。さらに糸カセットを装着していくと、カム部材による糸挟持部材の一時的な揺動駆動が終了して、再び糸挟持部材は付勢部材により糸挟持側へ揺動し、糸保持部と糸挟持部材との間に糸が挟持される。
【0012】
請求項5のミシンは、請求項4の発明において、前記カム部材は糸カセットの表面から突出しており、このカム部材が糸カセット装着時に前記従動ピンが相対移動するカム面であって、糸カセットの表面に面するカム面を有するものである。まず、カム部材が糸カセットの表面から突出しているために従動ピンがカム部材に接触する。また、糸カセット装着時に従動ピンが相対移動するカム面が糸カセットの表面に面している、つまり、カム面が突出したカム部材の内側に形成されているため、従動ピンとカム面とが接触している間は従動ピンが露出せず、カム部材により従動ピンが操作される。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。本実施の形態は、糸カセットの装着動作に連動して自動的に縫針の目孔に糸通しを行うように構成された家庭用ミシンに、本発明を適用した場合の一例である。
【0014】
図1、図2に示すように、家庭用のミシンMは、水平なベッド面を有するベッド部1と、ベッド部1の右端部分に立設された脚柱部2と、脚柱部2の上部からベッド部1と対向するように左方へ延びるアーム部3と、アーム部3の左端部分に設けられた頭部4とを有する。頭部4には、糸カセット10が着脱自在に装着されるカセット装着部5が設けられ、カセット装着部5に装着された糸カセット10から上糸11が導出される。アーム部3の頭部4には、縫製開始スイッチ、縫製終了スイッチ、等々の操作スイッチ類(図示略)が設けられている。また、アーム部3には、画面を正面に向けた液晶ディスプレイ7が設けられている。
【0015】
図2、図3に示すように、頭部4には、針棒12、天秤13(図10参照)、糸カセット10から導出される上糸11の糸調子を調節する糸調子機構14、糸カセット10をカセット装着部5に装着する際に上糸11を針棒12に支持された縫針15の目孔15aに自動的に糸通しする糸通し機構16、糸通し機構16により糸通しする為に縫針15の目孔15a付近に上糸11を保持する糸保持機構17の主要部分、糸カセット10をカセット装着部5に装着する際に上糸11を針棒12の下端に設けられた第1糸案内19と頭部4の下端付近に設けられた第2糸案内20に自動的に糸掛けする糸掛け機構18等が設けられている。
【0016】
2つの糸案内19,20は頭部4の下部において所定距離離れた位置に夫々設けられ、これら2つの糸案内19,20は夫々上糸11を掛ける為の糸掛け部19a,20a(図24〜図27参照)を有し、これら糸掛け部19a,20aは共に略同方向(右方)へ開口するように且つ略水平に形成されている。さらに、図示しないが、針棒12を上下動させる針棒上下動機構、針棒12を揺動させる針棒揺動機構、天秤13を上下に揺動駆動する天秤駆動機構も頭部4に設けられている。
【0017】
図1、図2に示すように、カセット装着部5に装着された糸カセット10から導出される上糸11は、糸調子機構14の1対の糸調子皿の間の糸調子軸(図示略)に上側から掛けられ、その糸調子軸から下流側へ延びる上糸11が天秤13に掛けられる。さらに、天秤13から下流側へ延びる上糸11は、糸保持機構17により縫針15の目孔15a付近に保持された後、糸通し機構16により目孔15aに通されて、糸掛け機構18により2つの糸案内19,20に上糸11が掛けられて、上糸11が縫製可能にセットされる。ここで、後述するように、糸通し機構16、糸保持機構17、糸掛け機構18の夫々の動作は、糸カセット10の装着動作に連動して自動的に行われる。
【0018】
一方、ベッド部1にはボビン装着部(図示略)が設けられ、このボビン装着部に装着されたボビン(図示略)から延びる糸が下糸として使用される。また、ベッド部1には、釜機構(図示略)が設けられている。上糸11と下糸を縫製可能にセットした状態で、ミシンモータ(図示略)が駆動されると、針棒上下動機構により針棒12が上下動され、これに同期して釜機構が駆動されて、その釜機構によりベッド部1の針板1aよりも下側に下降した縫針15付近の上糸11が引っ掛けられ、その上糸11と下糸とが交絡して縫目が形成される。
【0019】
ここで、糸カセット10について説明する。図4〜図7に示すように、糸カセット10は、カセット本体30と、このカセット本体30に枢着された開閉部材31とを有し、これらの内部に糸供給源である糸駒32を収容する糸収容部33が形成されている。開閉部材31には糸立棒34が取り付けられ、開閉部材31を前側へ開くと(図5参照)、糸立棒34への糸駒32の着脱が可能になり、糸駒32が糸立棒34に装着された状態で、開閉部材31を閉めるとその糸駒32が糸収容部33に収容される。
【0020】
カセット装着部5への装着準備が完了した糸カセット10の状態では以下のように上糸11がセットされている。即ち、糸駒32からは上糸11が上側へ延びて糸収容部33外に導出され、そこから、カセット本体30と開閉部材31の左端間の糸経路35を通って、糸カセット10の左下端部の糸掛け部36aに掛けられている。ここから、上糸11は右方へ延びて仕切壁37の下端部の糸掛け部36bと糸カセット10の右下端部の糸掛け部36cに掛けられ、さらに前方へ延びてから糸掛け部36dに掛けられてUターンし、左方へ延びて糸保持部38に保持され、さらに、糸保持部38の左側の刃39で切断され、糸掛け部36eに掛けられている。
【0021】
ところで、この糸カセット10の右側部分には、後方と下方を開口した天秤ガイドスペース40がほぼ上下全長に亙って形成され、糸カセット10の下端部分の中央部分に下方を開口した糸調子スペース41が形成され、これらのスペース40,41が仕切壁37により仕切られている。糸カセット10の右側部分の前面部には、糸保持機構17の保持部材70が、その糸カセット10の右側部分の前面部と干渉するのを防ぐ為の左右1対の逃し溝43a,43bが形成されている。
【0022】
カセット装着部5に糸カセット10を下降させて挿入していくと、天秤ガイドスペース40に天秤13が下側から入り込み、糸調子スペース41に糸調子機構14が下側から入り込む。糸カセット10をカセット装着部5に少し挿入したところで、先ず、天秤ガイドスペース40に入り込んだ天秤13に、上糸11の糸掛け部36b,36cの間の糸部分11aが引っ掛けられる。
【0023】
この状態からさらに糸カセット10をカセット装着部5に挿入していくと、糸掛け部36a,36bの間の糸部分11bが、糸調子スペース41に入り込んだ糸調子機構14により保持される。一方、糸掛け部36dと糸保持部38との間の糸部分11cは、糸保持機構17により縫針15の目孔15a付近まで引っ張られて保持される(図22参照)。尚、糸掛け部36dと糸保持部38との間には、糸保持機構17の糸挟持部材74を揺動駆動する後述のカム部材42も設けられている。
【0024】
次に、糸通し機構16について説明する。図8に示すように、糸通し機構16は、針棒12の左側において上下動可能に配設された糸通し軸50及びスライダガイド軸51と、これら糸通し軸50とスライダガイド軸51の上端部に上下動可能に外嵌された糸通しスライダ52と、糸通し軸50の下端部に連結され糸通し軸50の回動動作に連動して縫針15の目孔15aに上糸11を通すフック機構53と、糸カセット10の装着動作に連動して糸通し軸50を下方へ駆動する糸通し軸駆動部材54等を有する。
【0025】
糸通し軸50及びスライダガイド軸51は、針棒12と共に針棒台55に支持されており、これら針棒12、針棒台55、糸通し軸50及びスライダガイド軸51は、針棒揺動機構により一体的に揺動可能に配設されている。ここで、後述の糸保持機構17により保持された上糸11をフック機構53により目孔15aに通すことができるような所定の位置に針棒12(縫針15)をセットしておく必要があるため、糸通し機構16による糸通し動作の直前の状態(糸カセット10の装着直前の状態)では、針棒12は最も左側に揺動した位置にある。さらに、上下方向位置についても、針棒12は、目孔15aに上糸11を通すことができる位置、具体的には最上位置よりもやや下側の所定の位置にある。
【0026】
糸通し軸50の上端側部分と上下方向途中部には夫々ピン部材56a,56bが突設され、糸通し軸50が所定量下降したときには、ピン部材56bは針棒12の上下方向途中部に固定された規制部材12cに係合する。さらに、糸通し軸50には糸通しスライダ52を上方へ付勢するコイルバネ57が外装されている。スライダガイド軸51の上半部には、糸通しスライダ52を上方へ付勢するコイルバネ58が外装されている。糸通しスライダ52には、上半部の直線溝と下半部の螺旋溝とからなるカム溝52aが形成されている。さらに、糸通しスライダ52には、上方へ突出する突出板59も設けられている。この突出板59の後面側には、水平面(図示略)が形成されている。
【0027】
図8、図9に示すように、フック機構53は、上糸11を引っ掛ける糸通しフック60と、糸通しフック60の両側に位置する2枚のガイド部材61,62と、これら糸通しフック60とガイド部材61,62を水平に貫通する糸保持ワイヤ63と、糸通し軸50の下端部に固定され糸通しフック60とガイド部材61,62等を保持するフック保持部材64を備えている。図9に示すように、糸通しフック60の先端部にはフック部60aが形成され、糸通しの際には、縫針15の目孔15aにこのフック部60aが挿通され、糸通しフック60は2枚のガイド部材61,62に両側から案内された状態で、後述の糸保持機構17により目孔15a付近に保持された上糸11を引っ掛けるように構成されている。
【0028】
糸通し軸駆動部材54は、ガイド軸65に上下摺動可能に外嵌されたスライド部材66に回動可能に連結され、ねじりバネ67により図8(a)の時計回りの方向に付勢されている。一方、スライド部材66は、コイルバネ68により上方へ付勢されている。糸通し軸駆動部材54の上端部には、突出板59の水平面に当接して糸カセット10の装着時の駆動力を糸通しスライダ52に伝達する駆動力伝達部54aが形成され、糸通し軸駆動部材54の下端部には糸通しスライダ52に駆動力が伝達されるのを遮断する為のカム部54bが形成されている。一方、ガイド軸65の下端部には、傾斜状の先端カム部69aを有するカム部材69が固定されており、糸通し軸駆動部材54が所定量下方へ移動したときには、先端カム部69aにカム部54bが当接することになる。
【0029】
この糸通し機構16による糸通し動作について説明する。糸カセット10の装着動作に連動して糸通し軸駆動部材54がコイルバネ68の付勢力に抗して下方へ駆動されると、駆動力伝達部54aが突出板59の水平面に接触して、その駆動力が糸通しスライダ52の突出板59に伝達されるため、糸通し軸50及びスライダガイド軸51も下方へ移動することになる。糸通し軸50が所定量下方へ移動すると、ピン部材56bが規制部材12cと係合してそれ以上糸通し軸50は下方へ移動しなくなるが、糸通しスライダ52はコイルバネ58の付勢力に抗してさらに下方へ移動する。このとき、糸通し軸50に設けられたピン部材56aが、糸通しスライダ52のカム溝52aに沿って相対的に移動することになるため、この糸通しスライダ52の糸通し軸50に対する下方への相対移動が糸通し軸50の回動動作に変換されて、糸通し軸50が所定角度回動する。このとき、図9(a)に示すように、糸通し軸50の下端部に設けられたフック機構53も糸通し軸50と一体的に縫針15側へ回動し、糸通しフック60のフック部60aが縫針15の目孔15aを通過して上糸11を引っ掛ける。
【0030】
図9(a)に示すように、フック部60aが上糸11を引っ掛けた状態では、糸通し軸駆動部材54は所定の位置まで下方へ移動して、そのカム部54bがカム部材69の先端カム部69aに当接する。この状態からさらに糸カセット10がカセット装着部5内に押し込まれて糸通し軸駆動部材54が下方へ移動すると、先端カム部69aにより、糸通し軸駆動部材54はねじりバネ67の付勢力に抗して図8(a)の反時計回りの方向に回動駆動される。
【0031】
すると、駆動力伝達部54aが突出板59の水平面から離隔することになるため、糸通しスライダ52に糸通し軸50を下方へ駆動する駆動力が伝達されなくなる。従って、糸通し軸50が逆方向に回動するとともにコイルバネ58の付勢力により上方へ復帰し、それに伴って、フック機構53も縫針15から離れる方向へ回動するため、図9(b)に示すように、上糸11を引っ掛けた糸通しフック60が目孔15aから抜け、糸通し動作が完了する。
【0032】
次に、糸保持機構17について説明する。図3、図6、図10〜図12に示すように、糸保持機構17は、所定間隔をあけて上糸11を保持可能な1対の糸保持部71,72を含む保持部材70と、糸カセット10の装着動作に連動して1対の糸保持部71,72を縫針15の目孔15a付近に移動させる連動移動機構73と、左側の糸保持部71に上糸11を解除可能に挟持する糸挟持部材74と、この糸挟持部材74を糸挟持側へ弾性付勢するねじりバネ75(付勢部材)と、糸カセット10のカセット本体30に付設され、糸カセット10の装着工程の所定タイミングにおいて糸挟持部材74を一時的に挟持解除側へ揺動駆動するカム部材42とを備えている。
【0033】
さらに、糸保持機構17は、頭部4に固定された本体フレーム76と、この本体フレーム76に昇降可能に案内支持され且つ保持部材70が固定された可動フレーム77であって、連動移動機構73により連動移動される可動フレーム77とを有する。本体フレーム76は、天秤13の上下揺動経路の左右両側に位置するガイド部材78と、ガイド部材78の右側に設けられ可動フレーム77の昇降移動を案内する左右1対の案内板79a,79b(図3参照)とを有する。可動フレーム77は左右1対の案内板79a,79bの間に配設された左右1対の可動板80a,80bを複数の連結ピンで連結して構成されている。
【0034】
先ず、保持部材70及び糸挟持部材74について説明する。図11に示すように、保持部材70の1対の糸保持部71,72は連結部材81で連結されている。連結部材81の右端部は右方へ水平に延び、連結部材81は、後述の保持部材支持体104を介して連動移動機構73の第2ワイヤ101に固定されている。糸保持部71,72には、糸カセット10の装着時に上糸11を引っ掛ける為の凹部71a,72aが夫々形成されている。左側の糸保持部71には糸挟持部材74が枢支軸82にて枢着され、枢支軸82にはねじりバネ75が装着されている。
【0035】
糸挟持部材74の下端部の前側部分には、左側の糸保持部71と協働して上糸11を挟持する凹部74aが形成されている。糸挟持部材74の下端側部分には、後述するカム部材42に操作される従動ピン84が設けられ、一方、図11 (b)に示すように、糸挟持部材74の上端部(枢支軸82に対して従動ピン84と反対側)は、糸挟持部材74が所定範囲以上糸挟持側へ揺動するのを規制する規制ピン85が設けられている。ここで、従動ピン84は左方へ、規制ピン85は従動ピン84とは逆に右方へ、夫々突出するように構成されている。
【0036】
次に、連動移動機構73について説明する。図11、図12に示すように、連動移動機構73は、糸カセット10の装着時に糸カセット10に接触して糸カセット10と一体的に下降する合成樹脂製のカセット接触体90と、カセット接触体90の移動量の4倍の量だけ保持部材70を移動させる第1、第2動滑車機構91,92等を備えている。カセット接触体90は、本体フレーム76の左右1対の案内板79a,79bの間で上下動可能に配設され、カセット接触体90の左端側部分には、糸カセット10の下端部が接触する接触部90aが左側の案内板79aから左方へ突出するように形成されている。
【0037】
第1動滑車機構91は、カセット接触体90と共に一体的に上下動するように連結された滑車93と、この滑車93に巻かれ且つ一端が案内板79bに固定された第1ワイヤ94と、第1ワイヤ94の他端に連結された滑車95等を備えている。滑車93は、合成樹脂製の滑車収容部材96の内部に収容され、滑車収容部材96は、カセット接触体90の下方において1対の案内板79a,79bの間で、滑車93と一体的に上下動可能に配設されている。カセット接触体90と滑車収容部材96との間には、カセット接触体90を滑車93に対して上方へ付勢するコイルバネ97が設けられている。一方、滑車93(及び滑車収容部材96)は、可動フレーム77を上方へ復帰させる為のコイルバネ98により上方へ付勢されており、このコイルバネ98の下端は左側の可動板80aの下端部に連結されている。
【0038】
第1ワイヤ94の一端は案内板79bのカセット接触体90よりも上側の部分に固定され、第1ワイヤ94の他端は左右一対の可動板80a,80bの上端部を連結するピン部材99に固定されている。このピン部材99は、左右一対の案内板79a,79bにより案内溝100に沿って上下動可能に支持されており、ピン部材99に滑車95が回転可能に支持されている。従って、ピン部材99が案内溝100に案内された状態で、滑車95と可動板80a,80b(可動フレーム77)は案内板79a,79b(固定フレーム76)に対して相対的に上下移動可能である。
【0039】
糸カセット10の装着時に、カセット接触体90に糸カセット10が接触してカセット接触体90が押し下げられると、滑車93もカセット接触体90と一体的に下方へ押し下げられる。このときには、滑車93が動滑車として作用するため、カセット接触体90の移動量の2倍の量だけ、滑車95、つまり、可動フレーム77が下方へ移動することになる。
【0040】
第2動滑車機構92は、両端が案内板79bに固定された第2ワイヤ101と、この第2ワイヤ101が巻かれる2つの滑車102,103等を有する。2つの滑車102,103は、左右一対の可動板80a,80bの下端部及び上端部に夫々回転可能に支持されている。第2ワイヤ101の一端は案内板79bの上端部に固定され、第2ワイヤ101が2つの滑車102,103に巻かれた状態で、第2ワイヤ101の他端は案内板79bの下端部に固定されている。
【0041】
図12、図13に示すように、第2ワイヤ101のうち2つの滑車102,103の間の部分には、合成樹脂製の保持部材支持体104が固定され、この保持部材支持体104には保持部材70の連結部材81が連結されている。これら保持部材支持体104及び連結部材81は、左右1対の可動板80a,80bの間で案内溝105に沿って上下動可能に支持されている。
【0042】
前述の第1動滑車機構91により左右1対の可動板80a,80bが下方へ移動すると、可動板80a,80bの移動に伴って2つの滑車102,103も下方へ移動する。ここで、滑車102は動滑車として作用することになり、第2ワイヤ101のうち滑車102に巻かれている部分が滑車102で押し下げられると、滑車102の移動量の2倍の量だけ滑車102の前側(図12の右側)から後側(図12の左側)へ第2ワイヤ101が移動することになる。
【0043】
つまり、第2ワイヤ101のうち滑車102,103の間の部分に連結されている保持部材70も、滑車102(可動フレーム77)の移動量の2倍の量だけ下方へ移動する。即ち、保持部材70の移動量は糸カセット10の移動量の4倍となる。
【0044】
次に、カム部材42について説明する。図4、図6、図7、図10に示すように、カム部材42は、カセット本体30の後端部の右側部分において、カセット本体30の前面部に前方突出状にカセット本体30に一体的に形成されている。このカム部材42は、カセット本体30の前面から前方へ突出する突出部110と、この突出部110の前端から右方へ延びるカム形成部111とを有する。カム形成部111と糸カセット10の前面との間には、糸カセット10の装着時に従動ピン84が糸カセット10に対して相対的に通過するピン通路112が形成されている。
【0045】
カム形成部111の後面部には、糸カセット10の装着時に従動ピン84が相対移動(摺動)するカム面111aが形成され、このカム面111aは、下方程後方へ張り出す上部傾斜面と、その上部傾斜面の下端に連続し、下方程前方へ張り出す下部傾斜面とで構成されている。即ち、糸カセット10の前面に面するカム面111aが後方に突出するように形成されている。尚、この上部傾斜面と下部傾斜面との連続した部分は折曲しており、その折曲した部分でカム面111aは最も後方へ突出している。従って、糸カセット10が下方へ移動していくにつれ、従動ピン84がカム面111aに沿ってピン通路112を通過することで、カム部材42により従動ピン84が操作されて、糸挟持部材74が前後に揺動することになる。このときに、糸保持部71と糸挟持部材74との間で上糸11が挟持されることになる。この糸保持部71と糸挟持部材74とによる上糸11の挟持動作を中心に、糸保持機構17の糸保持動作について主に図10、図14〜図23を参照して以下述べる。
【0046】
図14に示すように、糸カセット10がカセット接触体90に接触した直後の状態では、糸挟持部材74はねじりバネ75により糸挟持側へ付勢された状態である。この状態から、図15に示すように、糸カセット10がカセット装着部5内へ押し込まれると、その糸カセット10の装着動作に連動して保持部材70が下方へ移動し始めるが、図12の第1、第2動滑車機構91,92により、保持部材70の移動量は糸カセット10の移動量の4倍になるため、保持部材70は糸カセット10に対して相対的に下方へ移動することになる。
【0047】
そして、図16に示すように、従動ピン84が、カム部材42の内側に形成されたピン通路112内に到達すると、従動ピン84がカム面111aにより後方へ押圧されていき、それに伴い糸挟持部材74が枢支軸82を中心に挟持解除側へ揺動し始める。さらに保持部材70が下方へ移動して、図17に示すように、従動ピン84がカム面111aの最も後方へ突出した部分に到達したときには、糸挟持部材74が最大限挟持解除側へ揺動した状態となり、このときに、糸カセット10の前側に張られた上糸11の糸部分11c(図4、図7参照)が糸保持部71の凹部71aと糸挟持部材74の凹部74aの間に入り込むことになる。
【0048】
さらに、従動ピン84がカム面111aに沿って下方へ相対移動して、ピン通路112内でカム面111aの最も突出した部分を過ぎると、糸挟持部材74はねじりバネ75(図11(b)参照)に付勢されて糸挟持側へ揺動し始める。そして、図18に示すように、従動ピン84がピン通路112を抜けてカム面111aと接触しなくなったときには、糸保持部71の凹部71aと糸挟持部材74の凹部74aとの間で上糸11が挟持されることになる。尚、規制ピン85は、糸保持部71の凹部71a及び糸挟持部材74の凹部74aに対して上方向に離間している。
【0049】
このようにして上糸11が挟持された状態で、図19に示すように、さらに可動フレーム77は下方へ移動していき、上糸11は縫針15の目孔15aの付近に、糸保持部71,72により保持された状態となる。このときに、図20に示すように、前述の糸通し機構16のフック機構53が図20の時計回りの方向に回転して糸通しフック60が目孔15aを通過する。
【0050】
ここで、保持部材70が縫針15の目孔15aの付近まで移動したときに、糸カセット10の下端部と接触して押し下げられていたカセット接触体90が糸カセット10から離れ、復帰用のコイルバネ98の付勢力により滑車93が上方へ移動し、それに伴って可動フレーム77及び保持部材70が上方へ移動し始める。このときに、糸通しフック60に保持部材70の1対の糸保持部71,72に保持された上糸11が引っ掛けられ、糸通しフック60が上糸11を引っ掛けた状態で前述のようにフック機構53が図20の反時計回りの方向に復帰することで、図21、図22に示すように、目孔15aに上糸11が通される。
【0051】
目孔15aに上糸11が通された後には、保持部材70は可動フレーム77と共に上方へ移動するが、前述の保持部材70が下方へ移動する場合(図18参照)とは、図23に示すように、連結部材81が案内溝105と係合する位置が異なるため、従動ピン84とカム部材42のカム面111aとが離れており、それらが干渉することなく、保持部材70はスムーズに上方へ復帰移動することになる。尚、規制ピン85は、糸挟持部材74よりも右側にあり、カム部材42から右方向に離間しているため、規制ピン85が保持部材70の上下動の妨げとはならない。
【0052】
次に、糸掛け機構18について説明する。図3、図24〜図31に示すように、糸掛け機構18は、頭部4の下部に固定された水平板状のベース部材120と、このベース部材120の下側にスライド可能に付設された可動部材121と、この可動部材121の下側に枢着された回動アーム122と、可動部材121の下側に枢着され先端に糸掛けフック123aを有するフック部材123であって、この糸掛けフック123aに糸カセット10から導出された上糸11を掛けない待機位置(図24、図28参照)と糸掛け可能な作用位置(図25、図29参照)とに揺動可能で回動アーム122に連動連結されたフック部材123と、フック部材123を待機位置と作用位置とに亙って切換える為の操作力をフック部材123に付加する為の操作力付加部材124(図28、図29参照)と、操作力付加部材124に作用した操作力を回動アーム122に伝達する操作力伝達機構125(図28、図29参照)とを備えている。
【0053】
この糸掛け機構18は、糸カセット10の装着動作に連動して糸カセット10から操作力付加部材124に作用する操作力により、フック部材123を待機位置から作用位置に切換える第1揺動と、作用位置に切換えたフック部材123と回動アーム122を可動部材121と共にスライド移動させて2つの第1、第2糸案内19,20へ糸を掛けるスライド移動と、第1、第2糸案内19,20への糸掛け後にフック部材123を待機位置へ復帰揺動させる第2揺動とを行うように構成されている。
【0054】
ここで、待機位置には、糸カセット10の装着前の状態において糸案内19,20に近い第1の待機位置(図24、図28参照)と、糸カセット10の装着状態において第1の待機位置よりも糸案内19,20から離れた第2の待機位置 (図27、図31参照)の2つの待機位置が含まれる。
【0055】
ベース部材120は、糸調子機構14の一部を構成するフレーム部材130に、2つの支持部材131,132(図28参照)により下方に吊り下げられた状態で取付けられている。ベース部材120の左右方向途中部には、スライド移動の際に左方へ移動する回動アーム122を受け止めて停止させるストッパ部材133が下方突出状に一体的に形成されている。
【0056】
可動部材121は平面視略矩形状且つ水平板状の部材で構成され、2本のピン部材134,135によりベース部材120に左右方向にスライド可能に取付けられている。可動部材121には、2本のピン部材134,135が係合してベース部材120に対するスライド移動をガイドするガイド溝121aが左右方向に延びるように形成されている。
【0057】
つまり、可動部材121は、左側のピン部材134がガイド溝121aの左端の位置にある状態(図24参照)から、右側のピン部材135がガイド溝121aの右端に到達するまで(図27参照)の所定距離だけスライド移動自在にベース部材120に付設されている。ガイド溝121aの後側にはガイド溝121aと平行なスリット121bが形成され、このスリット121bには、可動部材121を右方(図24の糸掛け開始端位置)へ弾性付勢する可動部材121の復帰用のコイルバネ136が装着されている。
【0058】
回動アーム122の基端部は、可動部材121の右端部の前側部分にピン137(図28参照)を介して枢着され、このピン137には、回動アーム122を図24の反時計回りの方向(フック部材123が待機位置となる方向)へ弾性付勢するねじりバネ138(図28参照)が装着されている。回動アーム122の前後方向中央部の右側部分には、操作力伝達機構125によりフック部材123を切換える為の操作力が入力される操作力入力部122aが形成されている。回動アーム122の先端部の左側部分には、後述するように回動アーム122が可動部材121と一体的に左方へ所定距離スライド移動したときにストッパ部材133に当接する当接部122bが水平突出状に形成されている。
【0059】
フック部材123の基端部は可動部材121にピン139を介して枢着され、回動アーム122の先端部とフック部材123の基端部付近部は、以下に述べる連動機構140により連動連結されている。従って、フック部材123の基端部と回動アーム122の基端部とは共に可動部材121に枢着され、そのフック部材123の基端部と回動アーム122の基端部の位置関係が一定に保たれている。その連動機構140は、回動アーム122の先端部に形成された切欠き部122cと、フック部材123の基端部付近部のピン139よりも後側の部分に下方に突出するように設けられ切欠き部122cに係合するピン141とを備えている。
【0060】
フック部材123が図24、図28に示す第1の待機位置にある状態では、フック部材123の糸掛けフック123aは上糸11から離れているが、この状態から、図25、図29に示すように、ねじりバネ138の付勢力に抗して図25の時計回りの方向に回動アーム122がピン137を中心として所定角度θ1 (例えば、θ1 ≒20°)だけ回動すると、この回動に伴って切欠き部122cも角度θ1 だけ回動する。このとき、切欠き部122cによってピン141はピン139を中心に回転する。
【0061】
ここで、回動アーム122の回動中心であるピン137とピン141との距離は、ピン139,141間の距離よりも大きいため、ピン141の回動によりフック部材123が水平な状態で揺動したときに、ピン141の回動が拡大されて糸掛けフック123aはピン139を中心に図25の時計回りの方向に回動アーム122の回動角度よりも大きい所定角度θ2 (例えば、θ2 ≒90°)水平状態で揺動し、フック部材123は図25、図29に示す作用位置に到達して糸掛けフック123aが上糸11に係合する。但し、フック部材123は回動アーム122及び可動部材121の下方にあり、このフック部材123には上方に突出する突出部(図示略)が一体的に形成され、フック部材123の回動によってその突出部も一体的に回動する。そして、この突出部の回動経路上には可動部材121が部分的に張り出しており、フック部材123が所定角度θ2 だけ回動すると、フック部材123の突出部と可動部材121の張り出した部分(図示略)とが係合して、フック部材123がそれ以上回動できない。
【0062】
図28〜図31に示すように、操作力付加部材124は、糸調子機構14のフレーム部材130に揺動可能に枢着されている。操作力付加部材124の先端側(右端側)部分には、糸カセット10の下端部が接触するカセット接触部124aが前方に突出するように設けられている。糸カセット10の装着時には、糸カセット10の装着動作に連動して糸カセット10からカセット接触部124aに、フック部材123を待機位置と作用位置とに亙って切換える為の操作力が伝達されて、操作力付加部材124は図28の時計回りの方向に揺動する。
【0063】
操作力伝達機構125は、操作力付加部材124の下端部に左右方向途中部が回動可能に枢着されたリンク部材145と、リンク部材145の先端部(右端部)に下方へ屈曲状に形成された先端アーム部145aと、リンク部材145の基端部(左端部)に設けられた従動ピン146と、この従動ピン146が係合する円弧状のカム溝147aを有するカム板147とを備えている。
【0064】
リンク部材145は左右方向に延び且つ左右方向に移動可能に配設されており、カセット接触部124aに糸カセット10から操作力が作用して、操作力付加部材124が図28の時計回りの方向に揺動すると、その揺動に伴ってリンク部材145は左方へ移動する。ここで、前述のように、可動部材121はコイルバネ136により右方へ付勢され、この可動部材121に回動アーム122が枢着されているため、先端アーム部140aの下端部は回動アーム122の操作力入力部122aに常に当接した状態である。
【0065】
つまり、左右方向に延びるリンク部材145を介して操作力を回動アーム122の操作力入力部122aに伝達するが、リンク部材145の基端部が従動ピン146を介してカム板147のカム溝147aに案内されているため、操作力付加部材124の下端部が円弧状に移動すると、この円弧とほぼ一致したカム溝147aの円弧に沿って従動ピン146が移動し、リンク部材145の全体が左右方向にスムーズに移動することができる。即ち、リンク部材145は、そのリンク部材145の一部に回転中心を有して回転するものではない。従って、先端アーム部145aは回動アーム122の操作力入力部122aをほぼ水平に左方へ押圧することになり、先端アーム部145aと操作力入力部122aとの間で滑り摩擦が生じるのを極力抑えることができる。
【0066】
次に、この糸掛け機構18による糸掛け動作について説明する。糸カセット10の装着前の状態では、図24、図28に示すように、フック部材123は糸掛けフック123aに上糸11を掛けない第1の待機位置にある。この状態から、糸カセット10をカセット装着部5内に押し込んでいくと、糸カセット10のカセット本体20の下端部がカセット接触部124aに当接し、糸カセット10からカセット接触部124aに操作力が作用して、カセット接触部124aが図28の時計回りの方向へ揺動する。
【0067】
このとき、操作力伝達機構125により、操作力付加部材124からリンク部材145の先端アーム部145aを介して回動アーム122の操作力入力部122aに操作力が伝達されると、回動アーム122を所定角度θ1 だけ回動させるとともにフック部材123を待機位置から作用位置へ切換える第1揺動が行われる。
【0068】
即ち、先端アーム部145aから操作力入力部122aに入力された操作力により、回動アーム122がピン137を回転中心として図24の時計回りの方向へ所定角度θ1 だけ回動駆動され、回動アーム122に連動連結されたフック部材123も、連動機構140により、第1糸案内19と第2糸案内20との間で、ピン139を回転中心として図24の時計回りの方向へ揺動されて、図25に示すように、糸掛けフック123aが所定角度θ2 だけ回動して作用位置に切換えられ、糸掛けフック123aが上糸11に係合する。ここで、糸掛けフック123aに確実に上糸11が掛かるように、図25に示すフック部材123の作用位置は、図24に示す第1の待機位置よりも右方(糸掛け部19a,20aの開口方向)に位置するように構成されている。尚、この回動アーム122の回動に伴い、回動アーム122の先端部に形成された当接部122bは左方へ突出した状態となる。
【0069】
第1揺動後にさらに回動アーム122に操作力が伝達されると、回動アーム122は可動部材121の張り出した部分とフック部材123の突出部との間の係合により所定角度θ1 以上に回動しないように規制されるため、図26、図30に示すように、作用位置に切換えられたフック部材123と回動アーム122とが可動部材121と共にコイルバネ136の付勢力に抗して、当接部122bがストッパ部材133に当接するまで左方へ所定距離スライド移動することになる。このスライド移動の際には、糸掛けフック123aに係合した上糸11がフック部材123と共に左方へ引き寄せられ、第1糸案内19と第2糸案内20の糸掛け部19a,20aに夫々上糸11が掛けられる。
【0070】
ここで、図24〜図27に示すように、2つの糸案内19,20の糸掛け部19a,20aは夫々略右方へ開口し、これら2つの糸案内19,20の間でフック部材123は待機位置と作用位置との間を移動することになる。従って、このスライド移動により、糸掛けフック123aに係合した上糸11が、2つの糸案内19,20に確実に掛けられることになる。さらにこのとき、糸掛けフック123aに係合した上糸11は、糸案内19,20の糸掛け部19a,20aの開口端(右端)から奥端(左端)側へ移動させられて、上糸11は糸案内19,20の奥端部に確実に掛けられることになる。
【0071】
図26、図30に示すように、当接部122bがストッパ部材133に当接して、ピン141が左方向に移動不可となった状態(可動部材121に対して回動アーム122の一部が一時的に停止した状態)で、さらに糸カセット10が押し込まれて操作力入力部122aに操作力が入力されると、フック部材123を第2の待機位置へ復帰揺動させる第2揺動が行われる。即ち、右側のピン部材135がガイド溝121aの右端に係合するまで可動部材121はベース部材120に対して左方へ移動することになるので、図27、図31に示すように、回動アーム122がピン141を回転中心として図27の反時計回りの方向に回動し、連動機構140によりフック部材123もピン141を回転中心として図27の反時計回りの方向に揺動されて、フック部材123が第2の待機位置へ切換えられる。
【0072】
その回動アーム122の回転に伴って当接部122bがストッパ部材133に対して摺動する。このときに、糸掛けフック123aに対する上糸11の係合が解除されて上糸11が糸掛けフック123aから外れ、糸案内19,20への糸掛け動作が完了する。尚、フック部材123が第2の待機位置に切換えられていると、フック部材123が第1の待機位置に切換えられている場合よりも、糸掛けフック123aは針棒12や上糸11から離れている。
【0073】
次に、糸カセット10の装着時におけるミシンMの一連の作用について、前述の糸通し機構16による糸通し動作、糸保持機構17による糸保持動作、糸掛け機構18による糸掛け動作を中心に説明する。糸カセット10をカセット装着部5の上部に上方から挿入して押し込むと、図14〜図19に示すように、糸保持機構17において、カセット本体30の下端部がカセット接触体90を下方へ押し下げるため、連動移動機構73により保持部材70が糸カセット10の装着動作に連動して下方へ移動する。その際に、図16に示すように、糸挟持部材74に設けられた従動ピン84が糸カセット10のカム部材42の内側のピン通路112に到達すると、従動ピン84はカム面111aに沿って下方へ移動することになるため、従動ピン84がカム部材42に操作されて糸挟持部材74が枢支軸82を中心にねじりバネ75の付勢力に抗して挟持解除側へ揺動し始める。
【0074】
さらに保持部材70が下方へ移動して、図17に示すように、従動ピン84がカム面111aの最も後方へ突出した部分に当接したときには、糸挟持部材74が最大限挟持解除側へ揺動した状態となり、このときに、糸カセット10の前側に張られた上糸11の糸部分11c(図4、図7参照)が左側の糸保持部71と糸挟持部材74の間に入り込むことになる。
【0075】
その後、従動ピン84がカム面111aに沿って下方へ相対移動するにつれ、ねじりバネ75により糸挟持部材74が糸挟持側へ揺動駆動され、従動ピン84がピン通路112から抜けてカム面111aから完全に離れたときには、図18に示すように、糸保持部71と糸挟持部材74との間で上糸11が挟持される。この状態で、糸カセット10の装着動作に伴い可動フレーム77及び保持部材70がさらに下方へ移動し、保持部材70の左右1対の糸保持部71,72により上糸11が縫針15の目孔15a付近に保持される。
【0076】
このとき、糸通し機構16による糸通し動作も同時に行われる。即ち、図8に示すように、糸カセット10の装着動作に連動して糸通し軸50、スライダガイド軸51及び糸通しスライダ52が下方へ移動し、糸通し軸50が所定距離下方へ移動すると、糸通し軸50はピン部材56bと規制部材12cにより下方への移動を係止されるが、糸通しスライダ52はコイルバネ58の付勢力に抗してさらに下方へ移動する。つまり、糸通しスライダ52が糸通し軸50に対して相対的に下方へ移動し、その相対移動がピン部材56aと糸通しスライダ52のカム溝52aにより糸通し軸50の回転に変換されて糸通し軸50が所定角度回動する。
【0077】
このときに、図20に示すように、糸通し軸50の下端部に設けられたフック機構53も糸通し軸50と一体的に回動して、糸通しフック60のフック部60aが縫針15の目孔15aを通過する。ちょうどこのときに、糸保持機構17の保持部材70が最下端の位置から上昇し始め、保持部材70の糸保持部71,72により保持された上糸11がフック部60aに引っ掛かることになる。
【0078】
このとき、糸通し軸駆動部材54のカム部54bがカム部材69の先端カム部69aに当接して、糸通し軸駆動部材54がねじりバネ67の付勢力に抗して図8の反時計回りの方向に駆動される。従って、糸通しスライダ52に糸通し軸50を下方へ駆動する駆動力が伝達されなくなるため、糸通し軸50が逆方向に回転するとともにコイルバネ58の付勢力により上方へ復帰し、それに伴って、フック機構53も糸通し軸50と一体的に回動するため、図21に示すように、上糸11を引っ掛けたフック部材123が目孔15aから抜け、糸通し動作が完了する。
【0079】
このように、糸保持機構17により保持された上糸11が糸通し機構16により目孔15aに通された状態で、さらに、糸カセット10がカセット装着部5に押し込まれると、糸掛け機構18により2つの糸案内19,20に上糸11が掛けられる。即ち、図24、図28に示すように、フック部材123が糸掛けフック123aに上糸11を掛けない第1の待機位置にある状態から、糸カセット10をカセット装着部5内に押し込んでいくと、カセット本体30の下端部が操作力付加部材124のカセット接触部124aに当接し、糸カセット10からカセット接触部124aに操作力が作用する。
【0080】
この操作力付加部材124に作用した操作力が、操作力伝達機構125により回動アーム122の操作力入力部122aに伝達されると、連動機構140を介して、先ず、図25、図29に示すように、フック部材123を第1の待機位置から作用位置に切換える第1揺動が行われ、上糸11が糸掛けフック123aに係合する。次に、図26、図30に示すように、作用位置に切換えたフック部材123と回動アーム122を可動部材121と共にスライド移動させるスライド移動が行われ、2つの糸案内19,20の糸掛け部19a,20aに上糸11が掛けられる。さらに、図27、図31に示すように、糸案内19,20への糸掛け後にフック部材123を第2の待機位置へ復帰揺動させる第2揺動が行われ、糸掛けフック123aから上糸11が外れて糸掛け動作が完了する。
【0081】
以上説明したミシンMによれば、次のような効果が得られる。
【0082】
1)糸保持機構17において、糸カセット10の装着動作に連動して連動移動機構73により左右1対の糸保持部71,72を含む保持部材70が目孔15a付近まで移動することになるが、その移動の際に、糸保持部71に上糸11を解除可能に挟持する糸挟持部材74を、糸カセット10に付設されたカム部材42により一時的に挟持解除側へ切換えることにより、糸保持部71と糸挟持部材の間で上糸11を挟持してから保持部材70を連動移動機構73で移動させることができるので、上糸11を目孔15a付近で確実に保持して、糸通し機構16による目孔15aへの糸通し動作を円滑に行うことができる。
【0083】
また、この糸保持機構17による糸保持動作も糸通し機構16と同様に糸カセット10の装着動作により自動的に行われるので、糸カセット10をカセット装着部5に装着するだけで、縫針15の目孔15aに上糸11を通した状態にすることができ、糸カセット11から上糸11を引き出す手間が省け、縫製の準備作業を効率よく行うことができる。
【0084】
2)従動ピン84と規制ピン85とが枢支軸82を挟んで反対に位置し、規制ピン85が糸保持部71の凹部71a及び糸挟持部材74の凹部74aから離間するように構成されたので、糸保持部71と糸挟持部材74との間で上糸11が挟持された状態で、上糸11が規制ピン85に絡むのを極力抑えることができる。また、従動ピン84と規制ピン85とが糸挟持部材74に対して互いに左右逆方向へ突出するように構成されたので、規制ピン85が、カム部材42に干渉 (衝突)することを極力抑えることができる。
【0085】
3)カム部材42は糸カセット10の表面から突出しているため、従動ピン84をカム部材42のカム面111aに容易に接触させることができる。また、カム面111aが糸カセット10の表面に面している、つまり、カム面111aが糸カセット10の表面から突出するカム部材42の内側に形成されているため、従動ピン84とカム面111aとが接触している間に従動ピン84が露出せず、他の部材によりその接触状態が干渉を受けることがないため、カム部材42により確実に従動ピン84を操作することができる。
【0086】
次に、前記実施形態に種々の変更を加えた変更形態について説明する。
【0087】
1]糸カセット10に収容される糸供給源としては、糸駒やボビンで構成したものや、単なる糸の塊からなるものなど、種々の形態のものを使用できる。また、糸供給源である糸駒や糸の塊の周囲を覆わず露出した状態で、これら糸駒や糸の塊を糸立棒に通しただけの構成の糸カセットであってもよい。
【0088】
2]前記実施形態においては、作業者自らが糸カセット10をカセット装着部5に押し込んで糸カセット10を装着するように構成しているが、ゴムローラ (本願出願人の出願である特願2002−189517号参照)やモータ等の他の駆動手段を用いて糸カセット10を自動的に装着するように構成し、さらに、この駆動手段によって糸保持機構17や糸掛け機構18が駆動されるように構成してもよい。
【0089】
3]糸挟持部材74を糸挟持側へ付勢する付勢部材としては、前記実施形態のねじりバネ75の他、磁石、リンク機構、あるいはカム等の種々の部材を使用できる。
【0090】
【発明の効果】請求項1の発明によれば、糸カセットの装着動作に連動して糸通し機構により糸通しする為に、糸カセットの装着行程の所定タイミングにおいて糸挟持部材を一時的に挟持解除側へ切換える切換部材を糸カセットに備えたので、以下のような効果が得られる。
【0091】
糸カセットの装着動作に連動して連動移動機構により糸保持部を含む保持部材が目孔付近まで移動することになるが、その移動の際に、糸保持部に糸を解除可能に挟持する糸挟持部材を、糸カセットに付設された切換部材により一時的に挟持解除側へ切換えることにより、糸保持部と糸挟持部材により糸を挟持した状態で連動移動機構により保持部材を目孔付近まで移動させることができるので、糸を目孔付近で確実に保持して、目孔への糸通しを円滑に行うことができる。
【0092】
また、この糸保持機構による糸保持動作も糸通し機構と同様に糸カセットの装着動作により自動的に行われるので、糸カセットをカセット装着部に装着するだけで、縫針の目孔に糸を通した状態にすることができ、糸カセットから糸を引き出す手間が省け、縫製作業の効率を向上させることができる。
【0093】
請求項2の発明によれば、前記請求項1に記載の発明と同様の効果を奏し、糸挟持部材に設けられた従動ピンが糸カセットの切換部材の位置に到達したときに、切換部材により従動ピンを操作することで、従動ピンとは離れた位置において、糸挟持部材を枢支軸を中心に一時的に挟持解除側へ揺動させるので、糸が従動ピンに絡むのを極力抑えることができる。
【0094】
請求項3の発明によれば、前記請求項2に記載の発明と同様の効果を奏し、従動ピンと規制ピンとが糸挟持部材に対して互いに逆方向へ突出するので、前記従動ピンと前記規制ピンとが離れており、前記切換部材と規制ピンとの干渉を極力抑えることができる。
【0095】
請求項4の発明によれば、前記請求項1〜3の何れかに記載の発明と同様の効果を奏し、糸挟持部材が糸挟持側へ揺動した状態から、糸カセットをカセット装着部に装着していくと、糸カセットに設けられたカム部材により付勢部材の弾性付勢力に抗して糸挟持部材が一時的に挟持解除側へ揺動駆動されるので、糸保持部と糸挟持部材との間に糸が入り込み、この間で糸を挟持することができる。
【0096】
請求項5の発明によれば、前記請求項4に記載の発明と同様の効果を奏し、カム部材が糸カセットの表面から突出しているために従動ピンがカム部材に容易に接触することができる。また、従動ピンとカム面とが接触している間は従動ピンが露出せず、他の部材によりその接触状態が干渉を受けることがないため、カム部材により確実に従動ピンを操作することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るミシンの正面図である。
【図2】ミシンの一部切欠正面図である。
【図3】図1の要部拡大図である。
【図4】糸カセットの正面図である。
【図5】糸カセットの左側面図である。
【図6】糸カセットの右側面図である。
【図7】糸カセットの底面図である。
【図8】糸通し機構の構成図であり、(a)は左側面図、(b)は正面図である。
【図9】フック機構の作動状態を示す斜視図であり、(a)は糸通し直前の状態を示し、(b)は糸通しが完了した状態を示す。
【図10】糸通し動作完了後の頭部の要部側面図である。
【図11】保持部材及び可動フレームを示す図であり、(a)は左側面図、(b)は正面図、(c)は右側面図である。
【図12】保持部材及び連動移動機構の側面図である。
【図13】保持部材支持体の側面図であり、(a)は左側面図、(b)は右側面図である。
【図14】保持部材及び糸挟持部材の動作状態(保持部材移動直前)を示す図である。
【図15】保持部材及び糸挟持部材の動作状態(保持部材移動開始直後)を示す図である。
【図16】保持部材及び糸挟持部材の動作状態(糸挟持部材揺動開始時)を示す図である。
【図17】保持部材及び糸挟持部材の動作状態(糸挟持部材最大揺動状態)を示す図である。
【図18】保持部材及び糸挟持部材の動作状態(糸挟持部材揺動終了時)を示す図である。
【図19】保持部材及び糸挟持部材の動作状態(上糸挟持状態)を示す図である。
【図20】糸通し動作時におけるフック機構及び保持部材の一部平面図である。
【図21】糸通し動作時における図20の側面図である。
【図22】糸通し動作直後の頭部の要部側面図である。
【図23】保持部材及び糸挟持部材の動作状態(糸通し動作後)を示す図である。
【図24】糸掛け機構の底面図(糸掛け動作直前)である。
【図25】糸掛け機構の底面図(第1揺動後)である。
【図26】糸掛け機構の底面図(スライド移動後)である。
【図27】糸掛け機構の底面図(第2揺動後)である。
【図28】図24の正面図である。
【図29】図25の正面図である。
【図30】図26の正面図である。
【図31】図27の正面図である。
【符号の説明】
M ミシン
5 カセット装着部
10 糸カセット
11 上糸
15 縫針
15a 目孔
16 糸通し機構
17 糸保持機構
42 カム部材
70 保持部材
71,72 糸保持部
73 連動移動機構
74 糸挟持部材
75 ねじりバネ
82 枢支軸
84 従動ピン
85 規制ピン
111a カム面
Claims (5)
- 糸供給源を収容し且つミシンのカセット装着部に着脱可能に装着される糸カセットと、糸供給源から糸カセット外へ導出された糸を糸カセットの装着動作に連動して縫針の目孔に通す糸通し機構を備えたミシンにおいて、
前記糸通し機構により糸通しする為に、前記縫針の目孔付近に糸を保持する糸保持機構を設け、
この糸保持機構は、
糸を保持可能な糸保持部を含む保持部材と、
糸カセットの装着動作に連動して前記糸保持部を縫針の目孔付近に移動させる連動移動機構と、
前記糸保持部に糸を解除可能に挟持する糸挟持部材と、
糸カセットに付設され、この糸カセットの装着行程の所定タイミングにおいて糸挟持部材を一時的に挟持解除側へ切換える切換部材と、
を備えたことを特徴とするミシン。 - 前記糸挟持部材は枢支軸にて保持部材に枢着され、
この糸挟持部材に、前記切換部材で操作される従動ピンと、前記枢支軸に対して従動ピンと反対側に設けられ前記糸挟持部材が所定範囲以上糸挟持側へ揺動するのを規制する規制ピンとを設けたことを特徴とする請求項1に記載のミシン。 - 前記従動ピンと前記規制ピンとが前記糸挟持部材に対して互いに逆方向へ突出するように構成されたことを特徴とする請求項2に記載のミシン。
- 前記糸保持機構に前記糸挟持部材を糸挟持側へ弾性付勢する付勢部材を設けるとともに、前記糸挟持部材を揺動駆動するカム部材で前記切換部材を構成したことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のミシン。
- 前記カム部材は糸カセットの表面から突出しており、このカム部材が糸カセット装着時に前記従動ピンが相対移動するカム面であって、糸カセットの表面に面するカム面を有することを特徴とする請求項4に記載のミシン。
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