JP2004063970A - 固体電解コンデンサの製造方法 - Google Patents

固体電解コンデンサの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】導電性高分子を固体電解質に用いた固体電解コンデンサにおいて、導電性高分子形成過程における生産性を低下させることなく、導電性高分子の緻密度を向上させる。
【解決手段】タンタルの焼結体2の表面に母材タンタルの酸化物皮膜3を形成する工程と、酸化タンタル皮膜3上に化学酸化重合法によってピロールの層4を形成する工程とを含む固体電解コンデンサの製造方法において、ピロール層4を形成する工程では、溶媒の蒸気圧が異なる2種類の酸化剤溶液を用い、始めに、溶媒の蒸気圧が高い第1酸化剤溶液(溶媒:メタノール)を用いてピロール層4形成の操作(ステップS121〜S124)を行い、次いで、溶媒の蒸気圧が低い第2酸化剤溶液(溶媒:ブチルアルコール)を用いてピロール層4形成の操作を行って、2段階の操作でピロール層4を形成する。
【選択図】   図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、固体電解コンデンサの製造方法に関し、特に、固体電解質に導電性高分子を用いた固体電解コンデンサの製造における、導電性高分子の層の形成技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の固体電解コンデンサの、特に、素子の製造方法について、タンタルのの焼結体を陽極に用いたタンタル固体電解コンデンサを例にして説明する。タンタル固体電解コンデンサの素子の一例の断面を示す図5を参照して、このコンデンサ素子1は、円柱または角柱の形をした焼結体2と、その焼結体の表面に形成された酸化タンタル(Ta O )の皮膜3と、更にその酸化タンタル皮膜3上に順次形成された導電性高分子層4、グラファイト層5および銀ペースト層6と、焼結体2の一つの端面(この例の場合は、紙面左側の端面)に植立されたタンタルワイヤ7とからなっている。上記焼結体2がコンデンサの陽極であり、酸化タンタル皮膜3が誘電体であり、導電性高分子層4とグラファイト層5と銀ペースと層6との積層構造の部分がコンデンサの陰極である。タンタルワイヤ7は、後にこのコンデンサ素子1に外部との電気的接続のための陽極側の端子(外部陽極端子:図示せず)を取り付けるときの接続部となるべきものである。
【0003】
上述のコンデンサ素子1は、以下のようにして製造される。先ず、金属タンタルの粉末にバインダーなどを加えたものを金型に入れ、プレスで圧縮するなどして、円柱或いは角柱などの柱体に成形する。このプレス成形のときに、柱体の一底面(この例の場合は、左側の底面)に、先に述べたタンタルワイヤ7を植立しておく。
【0004】
次いで、上述のタンタル粉末のプレス成形体を、真空中で、例えば1500℃程度というような、金属タンタルの融点以下の高温で加熱し、焼結する。これによって、プレス成形体は、内部に微細な細孔が複雑に入り組んだ多孔質の焼結体2になり、表面積が非常に大きくなる。尚、以下では、上記焼結されたタンタルワイヤ7付きの円柱或いは角柱を、コンデンサの陽極としての機能に着目して、陽極体と呼ぶことがある。
【0005】
そのあと、上記焼結されて多孔質になった陽極体2の内部の微細孔の表面(内表面)および外表面に、陽極体2の母材金属であるタンタルの酸化物(酸化タンタル)の皮膜3を形成する。酸化タンタル皮膜3の形成には、例えば燐酸溶液のような電解質溶液中で陽極体2を正電位にし、溶液を負電位にして直流電流を流す、いわゆる陽極酸化が用いられる。この陽極酸化の際の印加電圧の大きさによって酸化タンタル皮膜3の厚さが決まり、コンデンサの静電容量の大きさが基本的に決まる。
【0006】
そして、これまでの工程で酸化タンタル皮膜3の形成が済んだ陽極体2の内表面、外表面に導電性高分子の層4を形成する。導電性高分子には、例えばポリピロール、ポリチオフェン或いはポリアニリンなどのような、π電子を有する共役系高分子化合物に電子供与性や電子吸引性を有する化合物(ドーパント)を添加して導電性を付与したものが用いられる。導電性高分子の形成には、化学酸化重合法と電解酸化重合法とが知られているが、本発明は、化学酸化重合法による導電性高分子層4の形成に関わる発明である。化学酸化重合法で導電性高分子層4を形成するには、以下のようにして行う。すなわち、先ず、モノマーの溶液と、酸化剤の溶液とを用意する。酸化剤溶液には、例えばドデシルベンゼンスルホン酸やナフタレンスルホン酸あるいはベンゼンジスルホン酸などのような酸化剤を、メタノールやエタノール或いはアセトンなどのような溶媒に溶解させた溶液が用いられる。そして、酸化タンタル皮膜3が形成された焼結体2を、酸化剤溶液に浸漬させ、引き上げて乾燥させて、酸化タンタル皮膜3の表面に酸化剤の結晶を付着させる。次いで、焼結体2をモノマー溶液中に浸漬させ、引き上げて、モノマーと酸化剤の結晶との間で酸化重合反応を進めさせ、導電性高分子層4を形成する。通常、この焼結体2の酸化剤溶液への浸漬、引上げ、モノマー溶液への浸漬、引上げ、酸化重合の一連の操作を1回行っただけでは十分な厚さの導電性高分子を形成することができないので、導電性高分子層4が必要な厚さになるまで、数回、上記一連の操作を繰り返す。尚、酸化剤溶液への浸漬、引上げと、モノマー溶液への浸漬、引上げの順番とを入れ替えて、先にモノマー溶液に浸漬させ、引き上げ、その後に、酸化剤溶液に浸漬させ、引き上げるようにしてもよい。また、酸化剤溶液とモノマー溶液とを予め混合し、低温に保持しておいて、その混合溶液に焼結体を浸漬させ、引き上げて、適当な熱を加えて乾燥させることで重合反応を進めるようにする方法もある。
【0007】
以後、従来公知の方法で、導電性高分子層4の上にグラファイト層5を重ねて形成し、更に銀ペースト層6を積層して、コンデンサ素子1が完成する。
【0008】
そして、完成したコンデンサ素子に対し、いずれも図示しない外部との電気的接続のための外部陽極端子と外部陰極端子とを取付け、素子の封止とコンデンサとしての外形形成のための外装を施して、タンタル固体電解コンデンサを得る。通常、外部陽極端子はコンデンサ素子に植立しておいたタンタルワイヤ7に、レーザ溶接や抵抗溶接などの方法で固着、接続する。外部陰極端子は、コンデンサ素子の陰極の最外層である銀ペースト層6に、導電性接着剤などを用いて接着する。外装は、例えばエポキシ樹脂のような熱硬化性樹脂のトランスファモールディングで、素子の周りに樹脂体(図示せず)を形成することによって行われる。
【0009】
上述した従来の固体電解コンデンサの製造方法の特徴を、本発明との関連性の観点から言えば、導電性高分子層4の形成の際に、一種類の酸化剤溶液を用いていることである。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
近年、電子機器の動作周波数の高周波化に伴って、電子回路に用いられる各種電子部品にも高周波特性の向上が求められている。このことは、固体電解コンデンサにおいても例外ではなく、コンデンサの固体電解質に導電性高分子が用いられるようになったのも、一つにはそのような要請を満たすためである。すなわち、固体電解質には導電性高分子のほかにも、二酸化マンガンやTCNQが用いられているが、導電性高分子は、二酸化マンガンに比べて導電率が高く、TCNQに比べ耐熱性に優れていて、高導電性と高耐熱性とを兼ね備えているので、コンデンサの等価直列抵抗(ESR)を小さくするのに有利で、材料自体の性質がコンデンサの固体電解質に適しているからである。
【0011】
しかしながら、本発明者は、前述した従来の導電性高分子層の形成方法には、ESRを小さくすることに対して、生産性との兼ね合いで、方法自体に基づく限界があることを見出した。以下に、その理由を説明する。
【0012】
コンデンサ素子における導電性高分子層4は、焼結体2の外表面のみならず、内部の微細孔の表面にも形成されていなければならない。ここで、導電性高分子層形成の際におけるモノマーは、酸化剤の結晶が存在するところでしか重合反応を起こさないことを考えると、導電性高分子4層の形成に際しては、酸化剤溶液を焼結体2の内部の微細孔の奥にまで浸透させることが重要である。微細孔の内部への溶液の浸透の仕方は、溶液の表面張力や酸化タンタル皮膜3の表面の濡れ性に影響されるが、一つには、溶液の溶媒の蒸気圧によっても変化する。すなわち、溶媒の蒸気圧が高い場合は、溶液が微細孔の奥にまで達しきらないうちに溶媒が蒸発してしまう。そこで、微細孔の奥まで十分に酸化剤溶液を浸透させるために溶媒の蒸気圧を低くすると、酸化剤溶液を微細孔の奥まで行き渡らせるという目的は達せられるが、焼結体の外表面において、一回の酸化重合の操作(酸化剤溶液への浸漬、これからの引上げ、モノマー溶液への浸漬、引上げ)で得られる導電性高分子の厚さが薄くなって、実用に耐えないものになってしまう。通常、その厚さの不足を補うために、酸化重合の操作を何回か繰り返すのであるが、繰返しの回数が多くなりすぎると生産性が低下してしまうので、結局、生産性との兼ね合いで、溶媒には蒸気圧が比較的高い液を使わざるを得ないことになる。
【0013】
ところが、従来の導電性高分子層形成方法のように一種類の酸化剤溶液しか使わない場合、つまり、酸化剤溶液の溶媒の蒸気圧がいつでも同じ場合は、酸化剤溶液への浸漬、引上げを何回繰返して行っても、溶媒の蒸発速度が同じであるので、その都度形成される導電性高分子層の質(緻密度)は、同じようなものにしかならない。結局、従来の技術によった場合、生産性を確保するためには、酸化剤溶液の溶媒に比較的蒸気圧の高いものを用いなければならず、焼結体2の外表面の導電性高分子層4は緻密度の低い、極論すれば「がさがさ」の状態のものにならざるを得ない。その結果、材料としての導電性高分子そのものは高い導電率を示すのに、導電性高分子層4としてコンデンサ素子の一構成要素に用いるときは、がさがさで緻密ではなく、抵抗は十分低くなりきれないことになる。
【0014】
従って、本発明は、導電性高分子を固体電解質に用いた固体電解コンデンサにおいて、導電性高分子形成過程における生産性を低下させることなく、導電性高分子の緻密度を向上させることができるような製造方法を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明の固体電解コンデンサの製造方法は、弁作用金属の多孔質体の表面に前記弁作用金属の酸化物皮膜を形成する工程と、前記酸化物皮膜上に化学酸化重合法によって導電性高分子の層を形成する工程とを含む固体電解コンデンサの製造方法において、前記導電性高分子の層を形成する工程では、溶媒の蒸気圧が異なる複数種の酸化剤溶液を用い、始めに、溶媒の蒸気圧が最も高い酸化剤溶液を用いて導電性高分子の層形成の操作を行い、次いで、溶媒の蒸気圧が次に高い酸化剤溶液を用いて導電性高分子の層形成の操作を行うことを順次実行していって、複数段階の操作で導電性高分子の層を形成することを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下では、タンタル固体電解コンデンサを例にして、その製造方法、特に、コンデンサ素子の製造方法をいくつかの実施例に基づいて説明するが、いずれの実施例においても、得られるコンデンサ素子は、巨視的には図5に示す従来の技術に係るコンデンサ素子と同じ外観をしているので、説明にあたっては図5も参照する。
【0017】
(実施例1)
本発明の第1の実施例(実施例1)に係るタンタル固体電解コンデンサの製造工程のフロー図を示す図1を参照して、先ず、従来公知の方法で、タンタル粉末の焼結体2を作り、その内表面、外表面に酸化タンタル皮膜3を形成する(ステップS1)。すなわち、金属タンタルの粉末と、バインダと、溶媒とを混合したものを金型に入れ、プレスで圧縮して、円柱に成形する。そのプレス成形の際、円柱の2つの底面のうちの一方に、タンタルワイヤ7を植立する。そして、タンタルワイヤ7付きのプレス成形体を、1×10−6Torr程度の真空中で、温度:1500℃に加熱して焼結し、焼結体2を得る。更に、焼結体2を陽極酸化して焼結体の内表面、外表面に酸化タンタル皮膜3を形成する。
【0018】
そして、上記焼結体の酸化タンタル皮膜3の上に、導電性高分子層4を形成する。本実施例においては、導電性高分子にポリピロールを用い、ポリピロール層4を以下のようにして形成した。先ず、ピロールモノマーの溶液と、酸化剤溶液とを準備する。酸化剤溶液には、ベンゼンジスルホン酸をメタノール溶媒に溶解させた第1酸化剤溶液と、同じくベンゼンジスルホン酸をブチルアルコール溶媒に溶解させた第2酸化剤溶液の2種類のものを別々に用意する。そして、上記酸化タンタル皮膜3形成済みの焼結体2を、始めに、メタノール溶媒使用の酸化剤溶液(第1酸化剤溶液)に浸漬させ、引き上げて(ステップS121)、大気圧中で温度:20℃〜30℃、湿度:40〜70%RH、無風の条件で自然乾燥させる(ステップS122)。次いで、ピロールモノマーの溶液に浸漬させ、引き上げて(ステップS123)、第1酸化剤溶液の乾燥のときと同じ環境に自然放置して重合を進め、ポリピロールを形成する(ステップS124)。上記のステップS121〜ステップS124までの工程を少なくとも1回以上繰り返す。本実施例では、10回繰り返した。なお、以後、上述のステップS121〜ステップS124までを第1段階と称し、以下に述べるステップS131〜ステップ134までを第2段階と称する。
【0019】
次に、ポリピロール層4形成の第2段階として、第1段階の工程が済んだ焼結体を、先ず、ブチルアルコール溶媒使用の酸化剤溶液(第2酸化剤溶液)に浸漬させ、引き上げて(ステップS131)、大気圧中で温度:20℃〜30℃、湿度:40〜70%RH、無風の条件で自然乾燥させる(ステップS132)。この乾燥条件は、第1段階における第1酸化剤溶液の乾燥条件と同じである。次いで、ピロールモノマーの溶液に浸漬させ、引き上げて(ステップS133)、第2酸化剤溶液の乾燥のときと同じ環境に自然放置して重合反応をさせ、ポリピロールを形成する(ステップS134)。上記のステップS131〜ステップS134までの工程を少なくとも1回以上繰り返す。本実施例では、10回繰り返した。
【0020】
以後、上述のようにして得たポリピロール層4形成済みの焼結体に対し、従来公知の方法で、ポリピロール層4の上にグラファイト層5を形成し、更にその上に銀ペースト層6を重ねて形成して(ステップS4)、本実施例に係るタンタル固体電解コンデンサ素子1を得る。
【0021】
その後、上述のコンデンサ素子1に対し、従来公知の方法で、いずれも図示しない外部陽極端子、外部陰極端子を取付け、外装を施して(ステップS5)、本実施例に係るタンタル固体電解コンデンサを完成する。外部陽極端子は、予めコンデンサ素子1に植立されているタンタルワイヤ7にレーザ溶接し、外部陰極端子は銀ペースト層6に、導電性接着剤で接着した。外装は、エポキシ樹脂のトランスファモールディングによって行った。
【0022】
(比較例)
本発明者は、本発明の効果を確かめるため、以下のような2種類の比較例のタンタル固体電解コンデンサを作製した。
(比較例1):酸化剤溶液に、ベンゼンジスルホン酸をメタノール溶媒に溶解させた溶液(この溶液は、実施例1における第1酸化剤溶液と同じである)を使用し、酸化剤溶液への浸漬、引上げ、ピロールモノマー溶液への浸漬、引上げ、酸化重合の一連の操作を、実施例1の第1段階におけるステップS121〜S124までの繰返し回数と、第2段階におけるステップS131〜S134までの繰返し回数とを合したと同じ回数だけ繰り返した以外は、実施例1と同じにした。
(比較例2):酸化剤溶液に、ベンゼンジスルホン酸をブチルアルコール溶媒に溶解させた溶液(この溶液は、実施例1における第2酸化剤溶液と同じである)を使用し、酸化剤溶液への浸漬、引上げ、ピロールモノマー溶液への浸漬、引上げ、酸化重合のステップを、実施例1の第1段階におけるステップS121〜S124までの繰返し回数と、第2段階におけるステップS131〜S134までの繰返し回数とを合したと同じ回数だけ繰り返した以外は、実施例1と同じにした。
【0023】
そして、実施例1と比較例1、比較例2のそれぞれに係るタンタル固体電解コンデンサの、周波数:1kHzにおけるESRを比較した結果、比較例1は実施例1に比べ、焼結体2の外表面のポリピロール層4の厚さは20〜30%厚いにもかかわらず、ESRは約10〜20%高い値を示した。一方、比較例2のコンデンサは実施例1に係るコンデンサに比べ、焼結体の外表面のポリピロール層4の厚さが薄く、ESRも高い値を示した。
【0024】
上述のESRの比較結果は、以下のように考えられる。図2に、実施例1に係るコンデンサの製造工程の流れ(図1参照)の中の、各段階ごとにおける焼結体の外表面の状態を、断面図で、模式的に示す。図2の上半分がポリピロール層4形成の第1段階に相当する図であって、左上の部分が、図1中のステップS122終了時点での状態を、右上の部分がステップS124終了時点での状態を、それぞれ示す。図2の下半分はポリピロール層4形成の第2段階に相当する図であって、左下の部分が、図1中のステップS132終了時点での状態を、右下の部分がステップS134終了時点での状態を、それぞれ示す。そして、図2において、大小いくつかの楕円は酸化剤(この例の場合は、ベンゼンジスルホン酸)の結晶または、重合によって得られた導電性高分子(同、ポリピロール)を示し、白抜きの楕円が酸化剤の結晶である。また、ハッチングを施した楕円がポリピロールである。
【0025】
図2を参照して、ポリピロール層4形成の第1段階で、第1酸化剤溶液に浸漬させた焼結体2を引上げ、自然乾燥させる(図1のステップS122)と、図2の左上の部分に白抜きの大きい楕円で示すように、焼結体2の表面に酸化剤(ベンゼンジスルホン酸)の結晶8Aが析出する。次いで、焼結体をピロールモノマー溶液中に浸漬させ、引き上げて自然放置する(ステップS124)と、ベンゼンジスルホン酸の結晶8Aとピロールモノマーとが重合反応を起こして、図2の右上の部分にハッチングを施した大きい楕円で示すように、ポリピロール9Aが形成される。
【0026】
その後、ポリピロール層4形成の第2段階で、焼結体2を第2酸化剤溶液に浸漬させ、引上げ、自然乾燥させる(図1のステップS132)と、図2の左下の部分に白抜きの小さい楕円で示すように、焼結体2の表面に酸化剤の結晶8Bが析出する。次いで焼結体をピロールモノマー溶液中に浸漬させ、引き上げて自然放置する(図1のステップS134)と、ベンゼンジスルホン酸の結晶8Bとピロールモノマーとが重合反応を起こして、図2の右下の部分にハッチングを施した小さい楕円で示すように、ポリピロールの結晶9Bが付着する。
【0027】
ここで、本実施例においては、ポリピロール層4の形成に用いる2種類の酸化剤溶液のうち、第1酸化剤溶液には、20℃における蒸気圧が97.48Torrのメタノールを溶媒に使用し、第2酸化剤溶液には、20℃における蒸気圧が4.16Torrのブチルアルコールを溶媒に用いている。すなわち、ポリピロール層4の形成の際に先に用いる酸化剤溶液の溶媒(メタノール)の方が、後から用いる酸化剤溶液の溶媒(ブチルアルコール)に比べ蒸気圧が高く、したがって蒸発が速い。そこで、ポリピロール層4形成の第1段階で焼結体を第1酸化剤溶液に浸漬させ、引き上げて乾燥させる(ステップS122)と、図2の左上に示すように、焼結体2の外表面に、比較的粗な緻密度の低い酸化剤の結晶8Aが析出する。そしてその後、焼結体をピロールモノマー溶液に浸漬させ、引き上げる(ステップS124)と、ピロールモノマーが上記酸化剤の結晶8Aと重合反応して、図2の右上に示すような、低緻密度ではあるが厚いポリピロールの結晶9Bの層が、焼結体2の外表面に形成される。
【0028】
そして、次の第2段階に移り、焼結体を第2酸化剤溶液に浸漬させ、引き上げる(ステップS132)と、第2酸化剤溶液の溶媒(ブチルアルコール)は先の溶媒(メタノール)より蒸気圧が低く蒸発がゆっくりであるので、第2酸化剤溶液は、既に焼結体の外表面に形成されている緻密度の低いポリピロールの層9Aの間に浸透して行って、乾燥が終わった後では、図2の左下に示すように、先に形成されている低緻密度のポリピロール9Aどうしの間に、後からの酸化剤の結晶8Bが入り込んで、隙間を埋める。その後、焼結体をピロールモノマー溶液に浸漬させ、引き上げる(図1のステップS134)と、ポリピロール9Aどうしの間を埋めている酸化剤の結晶8Bとピロールモノマーとが重合反応を起こして、図2の右下に示すように、第1段階で形成されていたポリピロール9Aどうしの間の隙間を、第2段階で形成されたポリピロール9Bが埋める。これにより、焼結体2の外表面に緻密度の高いポリピロール層4が得られる。
【0029】
この第2段階のポリピロール層形成の際に、第2酸化剤溶液は、外表面のポリピロール9Aどうしの間に浸透してゆくと同時に、焼結体内部の微細孔の中にも浸透してゆく。その結果、焼結体の内部の微細孔は、奥まで表面が酸化剤に覆われ、その酸化剤の結晶と、その後のピロールモノマー溶液への浸漬(ステップS133)で微細孔に浸透してくるピロールモノマーとが重合反応して、焼結体2の内部の微細孔の表面にもポリピロール層が形成される。
【0030】
本実施例に係る固体電解コンデンサにおいては、上述のような理由で外表面が緻密なポリピロール層に覆われることと、その外表面の緻密なポリピロール層と焼結体内部の微細孔の表面のポリピロール層とのパスが強化されこととが相俟って、ESRが改善される。
【0031】
これに対し、比較例1、比較例2とも一種類の酸化剤溶液しか用いないので、酸化剤溶液への浸漬、引き上げ、乾燥、ピロールモノマー溶液への浸漬、引き上げ、重合反応の操作を繰り返した場合、その都度、同じ程度の緻密度のポリピロール層が積み重なっていく。その場合、比較例1は、酸化剤溶液の溶媒に蒸気圧が高く蒸発の速いメタノールを用いているので、図2の右上に示すような、隙間の多い、緻密度の低いポリピロールが積み重なって行って、実施例1によって得られるポリピロール層より厚くはあるが、隙間の多い低緻密度のポリピロール層になり、厚さの割にはESRは低くないものになる。
【0032】
一方、比較例2の場合は、蒸気圧が低く蒸発が遅いブチルアルコールを溶媒を用いているので、焼結体内部の微細孔の表面にポリピロール層を形成することはできる。しかしながら、1回の操作で形成できるポリピロール層の厚さが薄いので、実施例1におけると同じ回数の操作では、焼結体の外表面には実施例1で得られるものよりずっと薄いポリピロール層しか得られず、ESRは実施例1における値に比べて高くなってしまう。実施例1と同等の低いESRを得ようとすると、ポリピロール層形成の操作を何回も繰り返さなければならず、生産性を考慮した場合、比較例2の製造方法を実際の製造工程に取り入れることは、困難である。
【0033】
(実施例2)
以下に述べる第2の実施例(実施例2)では、ポリピロール層4形成の第1段階および第2段階における酸化剤溶液への浸漬、引き上げと、ピロールモノマー溶液への浸漬、引上げとの順番を入れ替えた点だけが実施例1と異なるタンタル固体電解コンデンサを作製し、そのコンデンサのESRの値と、以下に述べる方法で作製した比較例3、比較例4に係るタンタル固体電解コンデンサのESRの値とを比較した。
【0034】
本実施例に係るタンタル固体電解コンデンサの製造工程におけるポリピロール層形成のフロー図を示す図3を参照して、本実施例においては、ポリピロール層4の形成の第1段階で、酸化タンタル皮膜3形成済みの焼結体2を、先ずピロールモノマー溶液に浸漬させて、引き上げる(ステップS221)。次いで、第1酸化剤溶液に浸漬させ、引き上げ(ステップS222)、自然乾燥させて、重合させる(ステップS223)。乾燥条件は、実施例1における第1酸化剤溶液の自然乾燥条件と同じである。
【0035】
次に、第2段階に移って、焼結体を先ずピロールモノマ−溶液に浸漬させて、引き上げる(ステップS231)。次いで、第2酸化剤溶液に浸漬させ、引き上げ(ステップS232)、自然乾燥させて、重合させる(ステップS233)。乾燥条件は、実施例1における第2酸化剤溶液の自然乾燥条件と同じである。
【0036】
(比較例)
(比較例3):酸化剤溶液に、ベンゼンジスルホン酸をメタノール溶媒に溶解させた溶液(この溶液は、実施例1における第1酸化剤溶液と同じである)を使用し、ピロールモノマー溶液への浸漬、引上げ、酸化剤溶液への浸漬、引上げ、酸化重合のステップを、実施例2の第1段階におけるステップS221〜S223までの繰返し回数と、第2段階におけるステップS231〜S233までの繰返し回数とを合したと同じ回数だけ繰り返した以外は、実施例2と同じにした。
(比較例4):酸化剤溶液に、ベンゼンジスルホン酸をブチルアルコール溶媒に溶解させた溶液(この溶液は、実施例2における第2酸化剤溶液と同じである)を使用し、ピロールモノマー溶液への浸漬、引上げ、酸化剤溶液への浸漬、引上げ、酸化重合のステップを、実施例2の第1段階におけるステップS221〜S223までの繰返し回数と、第2段階におけるステップS231〜S233までの繰返し回数とを合したと同じ回数だけ繰り返した以外は、実施例2と同じにした。
【0037】
実施例2、比較例3、比較例4のそれぞれに係るタンタル固体電解コンデンサのESRを比較した結果、実施例2に係るコンデンサのESRは比較例3、比較例4に係るコンデンサのどれよりも低く、実施例1におけると同等の結果が得られた。
【0038】
(実施例3)
以下に述べる第3の実施例(実施例3)では、ポリピロール層4形成の第1段階および第2段階のそれぞれにおいて、酸化タンタル皮膜形成済みの焼結体を、予め酸化剤溶液とピロールモノマー溶液とを混合しておいた溶液へ浸漬させ、引上げ、自然放置して酸化重合反応を進めさせた以外は実施例1と同じタンタル固体電解コンデンサを作製し、そのコンデンサのESRの値と、以下に述べる方法で作製した比較例5、比較例6に係るタンタル固体電解コンデンサのESRの値とを比較した。
【0039】
本実施例に係るタンタル固体電解コンデンサの製造工程におけるポリピロール層形成のフロー図を示す図4を参照して、本実施例においては、ポリピロール層4の形成に当って、第1酸化剤とピロールモノマ−溶液とを予め混合して低温に保持した第1混合溶液と、第2酸化剤溶液とピロールモノマ−溶液とを予め混合して低温に保持した第2混合溶液とを用意する。そして、ポリピロール層4形成の第1段階で、酸化タンタル皮膜3形成済みの焼結体2を、上記第1混合溶液に浸漬させ、引き上げ(ステップS321)、自然乾燥して重合させる(ステップS322)。乾燥条件は、実施例1における第1酸化剤溶液の自然乾燥条件と同じである。
【0040】
次に、第2段階に移って、焼結体を第2混合溶液に浸漬させ、引き上げ(ステップS331)、自然乾燥して重合させる(ステップS332)。乾燥条件は、実施例1における第2酸化剤溶液の自然乾燥条件同じである。
【0041】
(比較例)
(比較例5):酸化剤溶液に、ベンゼンジスルホン酸をメタノール溶媒に溶解させた溶液を用い、この酸化剤溶液とピロールモノマー溶液とを予め混合して低温に保持しておいた溶液(この混合溶液は、実施例3における第1混合溶液と同じである)への浸漬、引上げによってポリピロール層4を形成した点以外は実施例3と同じにした。溶液への浸漬、引き上げの繰返しは、実施例3における第1段階でのステップS321〜S322までの繰返し回数と、第2段階でのステップS331〜S332の繰返し回数とを合したと同じ回数だけ行った。
(比較例6):酸化剤溶液に、ベンゼンジスルホン酸をブチルアルコール溶媒に溶解させた溶液を用い、この酸化剤溶液とピロールモノマー溶液とを予め混合しておいた溶液(この混合溶液は、実施例3における第2混合溶液と同じである)への浸漬、引上げによってポリピロール層4を形成した点以外は実施例3と同じにした。溶液への浸漬、引き上げの繰返しは、実施例3における第1段階でのステップS321〜S322までの繰返し回数と、第2段階でのステップS331〜S332の繰返し回数とを合したと同じ回数だけ行った。
【0042】
実施例3、比較例5、比較例6のそれぞれに係るタンタル固体電解コンデンサのESRを比較した結果、実施例3に係るコンデンサのESRは比較例5、比較例6に係るコンデンサのどれよりも低く、実施例1におけると同等の結果が得られた。
【0043】
(実施例4)
第2酸化剤溶液の溶媒をプロパノールに変えた点だけが実施例1と異なるタンタル固体電解コンデンサを作製し、そのコンデンサのESRの値と、以下に述べる方法で作製した比較例7、比較例8に係るタンタル固体電解コンデンサのESRの値とを比較した。
【0044】
(比較例)
(比較例7):比較例1と同じ構造、製造方法によるタンタル固体電解コンデンサである。
(比較例8):酸化剤溶液の溶媒をプロパノールに変えた点以外は比較例2と同じにした。
【0045】
実施例4、比較例7、比較例8のそれぞれに係るタンタル固体電解コンデンサのESRを比較した結果、実施例4に係るコンデンサのESRは比較例7、比較例8に係るコンデンサのどれよりも低く、実施例1におけると同等の結果が得られた。
【0046】
実施例4において、ポリピロール層4形成の第2段階で用いる酸化剤溶液(第2酸化剤溶液)の溶媒のプロパノールは、20℃で14.58Toorの蒸気圧をもっていて、これまでの実施例1〜実施例3で用いた第2酸化剤溶液の溶媒であるブチルアルコール(20℃における蒸気圧は、4.16Torr)に比べ、蒸気圧が高い。すなわち、実施例4の結果によれば、第2酸化剤溶液の溶媒は、第1段階で用いる第1酸化剤溶液の溶媒であるメタノールに近い蒸気圧を持っているもかかわらず、実施例1におけると同等の作用効果が得られている。このことから、ポリピロール層4形成の第1段階で用いる第1酸化剤溶液の溶媒の蒸気圧と、第2段階で用いる第2酸化剤溶液の溶媒の蒸気圧との間に或る程度の差があれば、実施例1におけると同等の作用、効果が得られるものと推測される。 本発明者は、表1に示す蒸気圧の高い溶媒のグループと低い溶媒のグループから適当に1つずつを選んで、実施例1、実施例2および実施例3におけると同様の方法で、比較例のコンデンサとESRの比較を行った結果、溶媒のいずれの組合せにおいても、実施例1、実施例2、実施例3におけると同様な結果が得られることを確認した。また、蒸気圧の高いグループに属する溶媒どうしを複数混合してこれを第1酸化剤溶液の溶媒に用い、蒸気圧の低いグループに属する溶媒どうしを複数混合したものを第2酸化剤溶液の溶媒に用いても、実施例1、実施例2、実施例3におけると同様の結果が得られた。更に、酸化剤をベンゼンジスルホン酸からドデシルベンゼンスルホン酸またはナフタレンスルホン酸に替えた酸化剤溶液についても、実施例1、実施例2、実施例3におけると同様な効果が得られることが判明した。
【0047】
【表1】
Figure 2004063970
【0048】
以上のことから、第1酸化剤溶液の溶媒が20℃で40Toorより高い蒸気圧をもち、第2酸化剤溶液の溶媒が20℃で20Toorより低い蒸気圧を有していれば、本発明の作用効果は得られるといえる。
【0049】
尚、これまで述べたように、導電性高分子層4形成の第1段階および第2段階の各段階において、誘電体皮膜形成済みの焼結体を酸化剤溶液またはモノマー溶液に浸漬させるときは、どちらの溶液への浸漬を先にしても構わないが、モノマー溶液は、これに浸漬させ、引き上げた後では、酸化剤溶液とは違って焼結体表面に結晶物を析出しないので、先にモノマー溶液に浸漬させると、次に酸化剤溶液へ浸漬させたときに、モノマー溶液が酸化剤溶液中へ溶け込んで、酸化剤溶液が汚染される。このことを考慮すると、酸化剤溶液への浸漬を先にし、その後でモノマー溶液に浸漬するほうが酸化剤溶液の汚染が少ないので、液の管理が容易で、また液の消費量が少なくて済み、製造コストの点で好ましい。
【0050】
尚また、これまでの実施例はいずれも、陽極体に、プレス成形で円柱に成形したもの用いた例であるが、本発明はこれに限らない。例えば特開昭59−219923号公報に開示されているもののような、弁作用金属の薄板の上に弁作用金属の粉末の層を塗布などの方法で堆積させ、焼結して層状の焼結体にしたものでもよい。
【0051】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、導電性高分子を固体電解質に用いた固体電解コンデンサにおいて、導電性高分子形成過程における生産性を低下させることなく、導電性高分子の緻密度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1に係るタンタル固体電解コンデンサの製造工程の流れを示す図である。
【図2】実施例1に係るコンデンサの製造工程の流れの中の、各段階ごとにおける焼結体の外表面の状態を模式的に示す断面図である。
【図3】実施例2に係るタンタル固体電解コンデンサの、製造工程の流れを示す図である。
【図4】実施例3に係るタンタル固体電解コンデンサの、製造工程の流れを示す図である。
【図5】タンタル固体電解コンデンサの素子の一例の断面を示す図である。
【符号の説明】
1  コンデンサ素子
2  焼結体
3  酸化タンタル皮膜
4  ポリピロール層
5  グラファイト層
6  銀ペースト層
7  タンタルワイヤ
8A,8B  ベンゼンジスルホン酸の結晶
9A,9B  ポリピロール

Claims (7)

  1. 弁作用金属の多孔質体の表面に前記弁作用金属の酸化物皮膜を形成する工程と、前記酸化物皮膜上に化学酸化重合法によって導電性高分子の層を形成する工程とを含む固体電解コンデンサの製造方法において、
    前記導電性高分子の層を形成する工程では、溶媒の蒸気圧が異なる複数種の酸化剤溶液を用い、
    始めに、溶媒の蒸気圧が最も高い酸化剤溶液を用いて導電性高分子の層形成の操作を行い、
    次いで、溶媒の蒸気圧が次に高い酸化剤溶液を用いて導電性高分子の層形成の操作を行うことを順次実行していって、複数段階の操作で導電性高分子の層を形成することを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。
  2. 前記導電性高分子の層を形成する工程では、所定の蒸気圧をもつ第1の溶媒を用いた酸化剤溶液と、前記第1の溶媒より低い蒸気圧をもつ第2の溶媒を用いた酸化剤溶液の二種類の酸化剤溶液を用い、導電性高分子の層形成を二段階の操作で行うことを特徴とする、請求項1に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  3. 前記導電性高分子の層を形成する工程の各々の段階の操作では、多孔質体を先に酸化剤溶液に浸漬させ、次いで、モノマー溶液に浸漬させることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  4. 弁作用金属の多孔質体の表面に前記弁作用金属の酸化物皮膜を形成する工程と、前記酸化物皮膜上に化学酸化重合法によって導電性高分子の層を形成する工程とを含む固体電解コンデンサの製造方法であって、
    前記導電性高分子の層を形成する工程では、前記弁作用金属の酸化物皮膜形成済みの多孔質体を、所定の蒸気圧を有する第1の溶媒を用いた酸化剤溶液に浸漬させ、引き上げて乾燥させ、次いで、所定のモノマーの溶液に浸漬させ、引き上げて酸化重合させる操作を少なくとも1回以上実行し、
    次に、前記第1の溶媒より低い蒸気圧を有する第2の溶媒を用いた酸化剤溶液に浸漬させ、次いで、前記モノマーの溶液に浸漬させ、引き上げて酸化重合させる操作を少なくとも1回以上実行することを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。
  5. 前記第1の溶媒に、20℃における蒸気圧が5.33×10 Pa(40Torr)より高い溶媒を用い、前記第2の溶媒に、20℃における蒸気圧が2.67×10 Pa(20Torr)より低い溶媒を用いることを特徴とする、請求項2乃至4の何れか1項に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  6. 前記第1の溶媒に、メタノール、エタノール及びアセトンから選ばれた一つ又は複数の混合溶液を用い、前記第2の溶媒に、水、プロパノール、イソブチルアルコール、ブチルアルコール及びキシレンから選ばれた一つ又は複数の混合溶液を用いることを特徴とする、請求項2乃至5の何れか1項に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  7. 前記酸化剤溶液の溶質にベンゼンジスルホン酸を用いることを特徴とする、請求項6に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
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