JP2004063510A - 素子の転写方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】低コストで、生産性が高く、しかも素子にダメージを与えにくい、素子の転写方法を提供すること。
【解決手段】第1の基板1上に配された素子3を第2の基板5へ転写する方法において、従来の転写層を形成する接着材のかわりに粘着手段2を用いるとともに、粘着手段2の剥離性や、粘着手段と他の材料との界面における離型性を高める処置を付加する。即ち、第1の転写方法では、接着材層4aを半硬化状態にとどめ、粘着手段2と接着材層4との結びつきが強くなりすぎるのを防止する。第2の転写方法では、第1の基板1及び/又は粘着手段2に対して、第1の基板1と粘着手段2との離型性及び/又は粘着手段2の剥離性を高める処理を行う。第3の転写方法では、第1の基板1を剥離させようとする力が、弾力性のある第1の基板1の変形によって、粘着手段2とその界面に集中的に作用するようにする。いずれの方法も他の方法と併用可能である。
【選択図】 図1
【解決手段】第1の基板1上に配された素子3を第2の基板5へ転写する方法において、従来の転写層を形成する接着材のかわりに粘着手段2を用いるとともに、粘着手段2の剥離性や、粘着手段と他の材料との界面における離型性を高める処置を付加する。即ち、第1の転写方法では、接着材層4aを半硬化状態にとどめ、粘着手段2と接着材層4との結びつきが強くなりすぎるのを防止する。第2の転写方法では、第1の基板1及び/又は粘着手段2に対して、第1の基板1と粘着手段2との離型性及び/又は粘着手段2の剥離性を高める処理を行う。第3の転写方法では、第1の基板1を剥離させようとする力が、弾力性のある第1の基板1の変形によって、粘着手段2とその界面に集中的に作用するようにする。いずれの方法も他の方法と併用可能である。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体素子や光学素子等の素子の転写方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体IC(集積回路)チップを用いて半導体集積回路装置を製造する場合、素子形成基板に形成された複数の半導体チップを素子分離し、別の基板上に所望のピッチで再配列した後、電源との配線等を行い、目的の装置を製造する。
【0003】
このような、素子形成基板に形成された複数の素子を分離して、別の基板に再配列して目的の装置を製造する製造工程には、素子形成基板上の素子を一時的に保持基板に転写する工程や、この保持基板上の素子を最終的な配置先である装置基板に転写する工程等の、素子の転写工程が含まれる。
【0004】
図9は、従来の素子の転写方法を示す概略断面図であり、第1の基板101上に配された素子103を第2の基板105上へ転写するものである。
【0005】
まず、図9(a)に示すように、第1の基板101上に接着材からなる転写層102を設ける。続いて、転写層102上の所望の位置に素子103を固定した後、転写層102を硬化させる。
【0006】
次に、図9(b)に示すように、素子103を第2の基板105上に固定するための接着材を、素子103及び転写層102表面に被着させ、素子103を被覆する接着材層104を形成する。続いて、接着材層104の表面に第2の基板105を貼り合わせた後、接着材層104を硬化させる。
【0007】
最後に、図9(c)に示すように、第1の基板101を接着材層104から分離する。従来の素子の転写方法では、転写層102が接着材層であるため、第1の基板101が、転写層102を介して接着材層104に固着しているため、第1の基板101を接着材層104から物理的な力で剥離させることができない。従って、第1の基板101を接着材層104から分離するに際して、転写層102を化学的な方法で分解して除去することが必要になる。通常、転写層102の除去には、レーザアブレーション法又はサイドエッチング法が用いられる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
レーザアブレーション法では、YAG(Yttrium Aluminum Garnet)レーザなどの強力なレーザ光を第1の基板101の裏面から照射して、転写層102にレーザアブレーションを生じさせる。レーザアブレーションとは、強いレーザ光を吸収した固体材料が光化学的又は熱的に励起され、その表面や内部の原子又は分子の結合が切断され、これらの原子や分子が放出されることをいい、主に固体材料の全部又は一部が融解又は蒸発する相変化を生じる現象である。
【0009】
レーザアブレーション法には、大掛かりな装置が必要で装置コストが高くなる欠点がある。また、レーザ光を発生させる過程や光によって物質を分解する過程のエネルギー効率は一般に低いので、エネルギーコストも高くなる。更に、ビーム光による処理の生産性は低いという問題点もある。
【0010】
エッチング法の主な問題点は、転写層102の大部分が第1の基板で覆われているので、側面のわずかな露出部からのサイドエッチングにならざるを得ず、エッチングの能率が悪いこと、及び、図9(b)からわかるように、配置上、エッチング液が素子に長時間接触する可能性が高く、エッチング液が素子にダメージを与える可能性が高くなること、又、これを防ぐためにエッチング液の選択が制限されることである。
【0011】
本発明の目的は、上記のような問題点を解消し、低コストで、生産性が高く、しかも素子にダメージを与えにくい、素子の転写方法を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、第1の基体上に配された素子を第2の基体へ転写する方法において、前記第1の基体上に粘着手段を設ける工程と、前記粘着手段の上に前記素子を固定する工程と、接着材を前記素子及び前記粘着手段表面に被着させて、前記素子を被覆する接着材層を形成する工程と、前記接着材層表面に前記第2の基体を貼り合わせる工程と、前記接着材層を半硬化させる工程と、この半硬化状態で、前記素子を被覆した前記接着材層から前記第1の基体を剥離する工程とを有することを特徴とする、素子の転写方法(第1の素子の転写方法)に係わる。
【0013】
又、第1の基体上に配された素子を第2の基体へ転写する方法において、前記第1の基体上に粘着手段を設ける工程と、前記粘着手段の上に前記素子を固定する工程と、接着材を前記素子及び前記粘着手段表面に被着させて前記素子を被覆する接着材層を形成する工程と、前記接着材層表面に前記第2の基体を貼り合わせる工程と、前記接着材層を硬化させる工程と、前記素子を被覆した前記接着材層から前記第1の基体を剥離する工程と、前記第1の基体を剥離する工程の前に、前記粘着手段の剥離性を向上させる処理を前記第1の基体及び/又は前記粘着手段に行う工程とを有することを特徴とする、素子の転写方法(第2の素子の転写方法)に係わる。
【0014】
又、第1の基体上に配された素子を第2の基体へ転写する方法において、前記第1の基体上に粘着手段を設ける工程と、前記粘着手段の上に前記素子を固定する工程と、接着材を前記素子及び前記粘着手段表面に被着させて前記素子を被覆する接着材層を形成する工程と、前記接着材層表面に前記第2の基体を貼り合わせる工程と、前記接着材層を硬化させる工程と、前記素子を被覆した前記接着材層から前記第1の基体を剥離する工程とを有し、前記第1の基板として、弾力性があって前記第2の基体と同等の若しくは近似した熱膨張係数をもつ材料を用いることを特徴とする、素子の転写方法(第3の素子の転写方法)に係わる。
【0015】
又、前記第1、第2及び第3の素子の転写方法の少なくとも2つを併用する素子の転写方法に係わる。
【0016】
本発明によれば、従来用いられてきた転写層を形成する接着材のかわりに前記粘着手段を用いるとともに、前記粘着手段自体の剥離性や、前記粘着手段と他の材料との界面における離型性を高める処置を付加している。
【0017】
即ち、第1の素子の転写方法では、前記接着材層を半硬化状態にとどめ、前記粘着手段と前記接着材層との結びつきが強くなりすぎるのを防止する。第2の素子の転写方法では、前記第1の基体及び/又は前記粘着手段に対して、前記第1の基体と前記粘着手段との離型性及び/又は前記粘着手段の剥離性を高める処理を行う。第3の素子の転写方法では、第1の基板を剥離させようとする力が、前記弾力性のある第1の基板の変形によって、前記粘着手段とその界面に集中的に作用するようにする。また、いずれの方法も他の方法と併用可能である。
【0018】
このような工夫によって、剥離する方向に物理的な力を加えるだけで、前記接着材層から前記第1の基体を剥離させることができる。従来の方法における転写層の分解のように、化学的な分解を必要とする工程が含まれないから、コストが低く、生産性が高い。
【0019】
第3の素子の転写方法では、前記第1の基体及び前記第2の基体の前記熱膨張係数が同等であるか或いは近似しているので、弾力性のある基体を用いていても、加熱処理工程における素子の位置ずれや歪みを最小限に抑えることができる。
【0020】
前記粘着手段の除去に関しても、前記第1の基体を分離した後に行うので、付着面全体を一気に処理でき、サイドエッチングに比べて能率的であり、短時間で処理できる。また、硬化してしまった接着材層に比べ前記粘着手段の除去は容易であるから、除去に際して前記素子にダメージを与えにくい方法及び材料を選択でき、短い処理時間とあいまって、前記素子に与えるダメージを最小限に抑えることができる。
【0021】
なお、前記接着材とは、接着時には液体状で、物体表面のミクロな凹凸内に侵入する流動性をもつが、結合能を発揮するまでの過程で液状からゴム状又はガラス状に相変化し、接着する物質と物理的及び化学的作用で相互に結合する性質を有するものをいう。接着材は硬化すると、そのまま安定な構成材料として使用可能である。
【0022】
一方、前記粘着材とは、粘着時の弱い圧力下での接触によって粘着する物体に対し結合力を示すが、一貫して粘弾性体として存在し、結合力の発揮において化学的又は物性的な変化を示さないものをいう。
【0023】
【発明の実施の形態】
請求項1に係わる発明では、前記剥離工程後に、前記接着材層を本硬化させる工程を行うのがよい。前記素子を確実に保持し、電極の形成等の次の工程に耐えられるようにするには、本硬化は、必ず行わなければならない工程である。
【0024】
また、前記剥離工程後に、前記素子の表面を清浄化するのがよい。
【0025】
また、前記剥離工程後に、前記第2の基体を剥離するのがよい。
【0026】
また、前記接着材層を形成する接着剤は、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂であり、前記接着材層を半硬化させる加熱処理工程を、前記熱硬化性樹脂の硬化温度より低い温度で行い、本硬化させる加熱処理工程を、前記硬化温度と略等しい温度で行うのがよい。
【0027】
また、前記第1の基体上に複数個又は複数種の前記素子を固定するのがよい。
【0028】
請求項10に係わる発明では、前記第1の基体の表面をアルコール処理した後、この処理面に前記粘着手段を設け、この処理面で前記剥離を行うのがよい。
【0029】
また、前記粘着手段を複数の粘着材層の積層により形成し、これらの粘着材層の界面で前記剥離を行うのがよい。
【0030】
また、前記剥離工程後に、前記素子の表面を清浄化するのがよい。
【0031】
また、前記剥離工程後に、前記第2の基体を剥離するのがよい。
【0032】
また、前記接着材層を半硬化させる工程を有し、この半硬化状態で、前記素子を被覆した前記接着材層から前記第1の基体を剥離し、前記剥離工程後に、前記接着材層を硬化させる工程を行うのがよい。
【0033】
この場合、前記接着材層を形成する接着剤は、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂であり、前記接着材層を半硬化させる加熱処理工程を、前記熱硬化性樹脂の硬化温度より低い温度で行い、本硬化させる加熱処理工程を、前記硬化温度と略等しい温度で行うのがよい。
【0034】
また、前記第1の基体上に複数個又は複数種の前記素子を固定するのがよい。
【0035】
請求項22に係わる発明では、少なくとも、前記接着材層表面に前記第2の基体を貼り合わせる工程において、弾力性のある前記第1の基板の裏面を平坦な支持基体によって支持するのがよい。
【0036】
前記第1の基体として熱膨張係数の小さな材料を用いるのがよい。又、前記第2の基体として、弾力性のある、熱膨張係数の小さな材料を用いるのもよい。支障がなければ、熱膨張による歪みを抑えるという観点では、前記第1の基体と前記第2の基体の材料が同じであるのが最も好都合である。
【0037】
前記第1の基体及び前記第2の基体の前記熱膨張係数が同等で、且つ小さければ、弾力性のある基体を用いても、加熱処理工程における素子の位置ずれや基体の歪みを最小限に抑えることができる。
【0038】
前記第1の基体として、弾力性があり、しかも前記熱膨張係数の小さな材料として、例えば、鉄とニッケルとの合金、又は鉄とニッケルとコバルトとの合金を用いるのが望ましい。この場合、合金の組成を調節することで、合金の前記熱膨張係数を前記第2の基体の前記熱膨張係数を合わせるのが望ましい。
【0039】
また、前記剥離工程後に、前記素子の表面を清浄化するのがよい。
【0040】
また、前記剥離工程後に、前記第2の基体を剥離するのがよい。
【0041】
また、前記接着材層を半硬化させる工程を有し、この半硬化状態で、前記素子を被覆した前記接着材層から前記第1の基体を剥離し、前記剥離工程後に、前記接着材層を硬化させる工程を行うのがよい。
【0042】
この場合、前記接着材層を形成する接着剤は、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂であり、前記接着材層を半硬化させる加熱処理工程を、前記熱硬化性樹脂の硬化温度より低い温度で行い、本硬化させる加熱処理工程を、前記硬化温度と略等しい温度で行うのがよい。
【0043】
また、前記第1の基体上に複数個又は複数種の前記素子を固定するのがよい。
【0044】
本発明において、前記第1の基体及び第2の基体として使用可能な材料は、前記接着材層の加熱硬化や前記粘着材層の除去等の処理工程において、変性、分解及び反り等がなければ、特に限定されるべきものではなく、例えば、金属基板、ポリカーボネートやポリエチレンテレフタラート(PET)などのプラスチック基板、ガラス基板、石英基板、サファイア基板、及びシリコン基板などの種々の基板を用いることができる。
【0045】
本発明の前記接着材層を形成する接着材としては、熱硬化性樹脂、例えばエポキシ系樹脂などの耐熱性及び耐薬品性に優れた樹脂を主成分とする接着材を用いるのがよい。
【0046】
また、前記素子が発光素子やマイクロレンズ等の光学素子である場合には、光を遮らないように、光透過性に優れたエポキシ系樹脂などで前記接着剤層を形成する。
【0047】
また、熱膨張や熱変形による位置ずれを防ぐ等の目的で加熱処理を避けたい場合には、ポリメタクリル酸メチルのように光照射で硬化する樹脂を接着材として用いてもよい。
【0048】
以下、本発明の好ましい実施の形態を図面参照下に具体的に説明する。
【0049】
実施の形態1
下記に、接着材層の半硬化による離型性を利用して半導体素子を転写する方法の1例を、図1〜4を参照しながら順を追って説明する。図1と図2は、転写工程を示す概略断面図であり、図3と図4は、転写された複数の半導体素子に一括してはんだバンプを形成した後、各素子を個々の個片に切り分け、実装基板にマウントする工程を示す概略断面図である。
【0050】
まず、図1(a)に示すように、第1の基板1上に粘着材からなる粘着材層2を設ける。第1の基板1の表面は平坦であるのがよい。粘着材としては、シリコーン系粘着材を用いるのがよく、スピンコートや印刷やスプレー等の方法で均一に付着させる。
【0051】
続いて、図1(b)に示すように、例えば半導体ICチップ等の素子3を、粘着材層2上の所望の位置に、電極形成面を下向きにして固定する。
【0052】
次に、図1(c)に示すように、接着材を素子3及び粘着材層2表面に被着させ、素子3を被覆するように、未硬化の接着材層4aを形成する。未硬化の接着材層4aを形成する方法は特に限定されず、スピンコート法や印刷法や液滴法等の中から、接着材の粘性等を考慮して最適の方法を用いる。
【0053】
接着材は、原理的には第2の基板5の上に被着させることも可能であるが、特別な理由がなければ、上記のようにする。その理由は、第2の基板5の上に接着材層を形成し、素子3が配された第1の基板1側に押しあてると、素子3の周囲に空気が気泡として残り、製品の品質を低下させる欠陥が形成される心配があるからである。
【0054】
続いて、接着材層4aの表面に第2の基板5を貼り合わせる(図1(d))。
【0055】
図1(c)及び(d)では、予め基板に接着材を被着させてから、基板の貼り合わせを行った。変形例として、接着材が被着されていない第1の基板1と第2の基板5とを重ね合わせ、両基板の側面の隙間から接着材をしみ込ませ、毛細管現象によって両基板間の空隙に接着材を満たして、接着材層4aを形成してもよい。
【0056】
次に、接着材の硬化温度より低い温度に加熱し、接着材層4bと粘着材層2との界面の離型性を維持しながら、且つ素子3を保持できる程度に内部が硬化状態になった、半硬化状態の接着材層4bを形成する。例えば、接着材がエポテック社のエポキシ系接着材(型番354)の場合、120±5℃で20±10分間加熱することにより、半硬化状態の接着材層4bを形成することができる(図2(e))。
【0057】
半硬化状態の接着材層4bを形成する加熱温度及び加熱時間は、接着材の種類に応じて設定すればよい。例えば、接着材の硬化温度が130℃である場合、硬化温度より20℃低い温度である110℃で15分間加熱するのが一応の目安である。加熱方法としては、加熱ガスが循環するオーブンやホットプレートを用いるのが一般的であるが、それに限定されず、赤外線を照射することにより加熱するなど各種の加熱方法が可能である。
【0058】
また、加熱を避けたい場合には、光照射で硬化する樹脂を接着材として用い、光量や照射時間を調節して半硬化状態の接着材層4bを形成することもできる。
【0059】
次に、この半硬化の状態で、接着材層4bと粘着材層2との界面の離型性を利用して、接着材層4bから第1の基板1を剥離する(図2(f))。接着材層4bは素子3を保持できる程度に半硬化した状態になっているので、素子3の位置がずれることはない。
【0060】
次に、第2の基板5上で半硬化状態の接着材層4bを十分に硬化させ、本硬化した接着材層4に素子3を固着させる(図2(g))。例えば、接着剤がエポテック社のエポキシ系接着剤(型番354)の場合、200℃以上の高温で30分間以上加熱して、本硬化させる。
【0061】
接着材層4を本硬化する加熱温度及び加熱時間は、接着剤の種類に応じて設定すればよい。例えば、接着剤の硬化温度130℃である場合、130℃で25分間加熱するのが一応の目安である。
【0062】
素子3の電極形成部などに残った粘着材は、分子レベルの汚れであっても電極の定着性を低下させる原因になる。そこで、本硬化後、まず、図2(h)に示すように、第2の基板5側の剥離面を酸素プラズマに1分間曝し、残存する有機物を酸化分解して除去する。次に、粘着材が酸化されて生じる酸化シリコンを、フッ化水素酸で溶解除去する。
【0063】
図1と図2とでは、素子3の形状は、平板状として図示したが、その他の形状を有する素子であってもよい。平板状以外の形状を有する素子の場合には、素子を樹脂で被覆して平板状のチップとしておくことにより、取り扱いが容易となる。
【0064】
このように、実施の形態1に基づく素子の転写方法は、低コストで、生産性が高く、しかも素子にダメージを与えにくい、素子の転写方法である。
【0065】
図3と図4では、上記の転写工程に引き続いて、転写された複数の素子に一括してはんだバンプを形成した後、各素子を個々の個片に切り分け、実装基板にマウントする工程を示す。
【0066】
図3(i)は、第2の基板5上に転写された素子3を接着材層4ごと、第2の基板5から剥離して得られた疑似ウエーハ6を示す。この分離は、第2の基板5の表面に剥離層を形成しておき、この剥離層を介して第2の基板5を接着剤層4に貼り付けることで可能となる。
【0067】
図3(j)は、疑似ウエーハ6を、素子3の電極面51が上になるようにひっくり返した状態を示す。電極面51は同図に拡大して示すように、Si基板53上にSiO2膜52を介してAl電極パッド55及びパッシベーション膜54が形成されたものである。
【0068】
図3(k)は、Ni無電解めっき法にて、開口されたAl電極パッド55面の上のみに、選択的にNi無電解めっき層(UBM:Under Bump Metal)56を形成した状態を示す。なお、このNi無電解めっき層(UBM)56は、Al電極パッド55の上面をリン酸系エッチ液で前処理した後に、Zn処理によりZnを置換析出させ、さらにNi−Pめっき槽に浸漬させることにより、容易に形成でき、Al電極パッド55とはんだバンプとの接続を助けるUBMとして作用する。
【0069】
図3(l)は、印刷マスク38を当てて、はんだペースト39を印刷法によりNi無電解めっき層(UBM)56上に転写した状態である。図4(m)は、ウエットバック法ではんだペースト39を溶融して、はんだバンプ32を形成した状態である。このように、Ni無電解めっき法及びはんだペーストスクリーン印刷法等を用いることにより、フォトプロセスを用いずに簡単にはんだバンプ32を形成できる。
【0070】
図4(n)は、ブレード42(又はレーザ)でスクライブライン43に沿ってダイシング41して、素子3を樹脂4で保護して補強したチップ状電子部品13を単位として個々の個片とする工程を示す。
【0071】
次に、図4(o)のように、配線基板46上のソルダー(はんだ)レジスト45で囲まれかつソルダー(はんだ)ペースト44を被着した電極48を設けた実装基板47に、個片化された電子部品13をマウントする。この時、電子部品13の側面と裏面は樹脂4で覆われているため、電子部品13が実装時のハンドリング等で直接のダメージを受けることがなく、高い信頼性を持つフリップチップ実装が期待できる。
【0072】
このように、本発明に基づく転写方法は、素子を樹脂で被覆し、チップ状部品とするものであれば、半導体ICチップ以外にも、発光ダイオード等の他のチップ部品にも適用できる。
【0073】
実施の形態2
下記に、第1の基板1と粘着材層2との離型性を高めて、これを利用する素子の転写方法の1例を、転写工程を示す概略断面図である図5と図6を参照しながら工程順に説明する。なお、実施の形態1と説明が重複する所は、実施の形態1に前述した記述を参照することとする。
【0074】
まず、図5(a)に示すように、第1の基板1上に粘着材からなる粘着材層2を設ける。
【0075】
粘着材層2を設ける前処理として、通常は第1の基板1のアセトン洗浄を行うのに対し、ここでは第1の基板1の表面をエタノールで軽く拭くのにとどめておくのが、実施の形態2のポイントである。このようにすると、第1の基板1の表面に付着していた油溶性の不純物が取り切れずに残り、第1の基板1と粘着材層2との界面における離型性を高める働きをする。
【0076】
変形例として、第1の基板1の表面をアセトンで完全に洗浄した後、第1の基板1及び粘着材層2の少なくとも一方に対して親和性の低い材料で、第1の基板1の表面を部分的に被覆してもよい。
【0077】
続いて、図5(b)に示すように、粘着材層2上の所望の位置に素子3を固定する。
【0078】
次に、図5(c)に示すように、接着材を素子3及び粘着材層2表面に被着させ、素子3を被覆するように、未硬化の接着材層4aを形成する。
【0079】
続いて、未硬化の接着材層4aの表面に第2の基板5を貼り合わせる(図5(d))。
【0080】
次に、未硬化の接着材層4aを硬化させ、本硬化した接着剤層4に素子3を固着させる(図6(e))。例えば、接着剤がエポテック社のエポキシ系接着剤(型番354)の場合、200℃以上の高温に30分間以上加熱する。
【0081】
実施の形態2においては、第1の基板1の表面の前処理により、第1の基板1と粘着材層2との離型性が十分に確保されているので、あえて接着材層4と粘着材層2との間に離型性をもたせる必要はない。従って、工程(e)では、接着材層4を本硬化させてしまってかまわない。
【0082】
しかしながら、ここで接着材層4aの硬化を半硬化にとどめ、実施の形態1と同様に、半硬化の効果を併用するのも効果的である。その場合は、接着剤がエポテック社のエポキシ系接着剤(型番354)であれば、120±5℃で20±10分間加熱する。
【0083】
次に、第1の基板1の表面の前処理により確保されていた離型性を利用して、接着材層4から第1の基板1を剥離する(図6(f))。剥離後、第2の基板5の側に付着している粘着材層2は、ピールして、除去する。
【0084】
図6(e)の工程で接着材層を半硬化の状態にとどめている場合には、次に、接着材層4bを本硬化させ、本硬化した接着剤層4に素子3を固着させる。例えば、接着剤がエポテック社のエポキシ系接着剤(型番354)の場合、200℃以上の高温に30分間以上加熱する。
【0085】
接着剤層4を本硬化させた後、ピールで除き切れなかった粘着材を適当な溶媒で溶解除去してもよい。素子3の電極形成部などに残った粘着材は、分子レベルの汚れであっても電極の定着性を低下させる原因になるので、実施の形態1と同様に、まず、酸素プラズマ処理を1分間行って有機物を酸化分解して除去し、残る酸化シリコンはフッ化水素酸で溶解除去する(図6(g))。
【0086】
この後、実施の形態1と同様に、転写された素子に一括してはんだバンプを形成し、各素子を個々の個片に切り分け、実装基板にマウントする工程をおこなってもよい。このとき、第2の基板5に弾力性があれば、剥離しやすいため、好都合である。
【0087】
このように、実施の形態2に基づく素子の転写方法も、低コストで、生産性が高く、しかも素子にダメージを与えにくい、素子の転写方法である。
【0088】
実施の形態3
下記に、粘着材層2を積層構造にすることによって粘着材層2自体の剥離性を高めて、これを利用する素子の転写方法の1例を、転写工程を示す概略断面図である図7と図8を参照しながら工程順に説明する。なお、実施の形態1と説明が重複する所は、実施の形態1に前述した記述を参照することとする。
【0089】
まず、図7(a)に示すように、第1の基板1上に粘着材からなる第1の粘着材層2Aを設ける。
【0090】
第1の粘着材層2Aの表面が乾いたら、次に、図7(b)に示すように、第1の粘着材層2Aの上に第2の粘着材層2Bを積層する。粘着材層2Aと2Bとは、同一材料からなるものであってもよいし、異なる材料からなるものであってもよい。同一材料からなっていても、第1の粘着材層2Aの表面が形成された後、第2の粘着材層2Bが形成されるので、2Aと2Bとは一体ではなく、両者の界面には剥離性がある。粘着材層2Aと2Bとが互いに親和性の小さい異種材料からなる場合は、両者の界面における剥離性は、より高められる。
【0091】
2Aと2Bとが同一材料からなる場合、粘着材として、例えばシリコーン系粘着剤が好適である。2Aと2Bとが異種材料からなる場合、粘着材として、それぞれ、例えばシリコーン系粘着剤とアクリル系粘着剤とが好適である。
【0092】
また、離型性を高める効果のある薬剤で第1の粘着材層2Aの表面を処理したり、粘着材層2A及び2Bの少なくとも一方に親和性の低い離型剤を第1の粘着材層2Aの表面に散布するのもよい。粘着材層2Aと2Bとの界面の離型性を高める処理であれば、過度にならない限り、すべての処理が適用可能である。
【0093】
続いて、図7(c)に示すように、第2の粘着材層2B上の所望の位置に素子3を固定する。
【0094】
次に、図7(d)に示すように、接着材を素子3及び粘着材層2B表面に被着させ、素子3を被覆するように、未硬化の接着材層4aを形成する。
【0095】
続いて、未硬化の接着材層4aの表面に第2の基板5を貼り合わせる(図8(e))。
【0096】
次に、未硬化の接着材層4aを硬化させ、本硬化した接着剤層4に素子3を固着させる(図8(f))。例えば、接着剤がエポテック社のエポキシ系接着剤(型番354)の場合、200℃以上の高温に30分間以上加熱する。
【0097】
実施の形態3においては、粘着材層2を積層構造にすることにより、粘着材層自体の剥離性が十分に確保されているので、あえて接着材層4と第2の粘着材層2Bとの間に離型性をもたせる必要はない。従って、工程(f)では、接着材層4を本硬化させてしまってかまわない。
【0098】
しかしながら、ここで接着材層4aの硬化を半硬化にとどめ、実施の形態1と同様に、半硬化の効果を併用するのも効果的である。その場合は、接着剤がエポテック社のエポキシ系接着剤(型番354)であれば、120±5℃で20±10分間加熱する。
【0099】
次に、積層構造の粘着材層2自体の剥離性を利用して、接着材層4から第1の基板1を剥離する(図8(g))。剥離後、第2の基板5の側に付着している粘着材層2Aは、ピールして除去する。
【0100】
図8(f)の工程で接着材層を半硬化の状態にとどめている場合には、次に、接着材層を本硬化させ、接着剤層4に素子3を固着させる。例えば、接着剤がエポテック社のエポキシ系接着剤(型番354)の場合、200℃以上の高温に30分間以上加熱する。
【0101】
接着剤層4を本硬化させた後、ピールで除き切れなかった粘着材を適当な溶媒で溶解除去してもよい。素子3の電極形成部などに残った粘着材は、分子レベルの汚れであっても電極の定着性を低下させる原因になるので、実施の形態1と同様に、まず、酸素プラズマ処理を1分間行って有機物を酸化分解して除去し、残る酸化シリコンはフッ化水素酸で溶解除去する(図8(h))。
【0102】
この後、実施の形態1と同様に、転写された素子に一括してはんだバンプを形成し、各素子を個々の個片に切り分け、実装基板にマウントする工程をおこなってもよい。このとき、第2の基板5に弾力性があれば、剥離しやすいため、好都合である。
【0103】
実施の形態3の変形例として、粘着材層2A及び/又は2Bを、光照射によって粘着性が低下する材料、例えば光変性性のアクリル樹脂で形成しておき、接着材層4の硬化後、粘着材層2A及び/又は2Bに光を照射して粘着性を低下させてから、第1の基板1の剥離を行ってもよい。
【0104】
また、実施の形態2で説明した、第1の基板1の表面処理と併用してもよい。
【0105】
このように、実施の形態3に基づく素子の転写方法も、低コストで、生産性が高く、しかも素子にダメージを与えにくい、素子の転写方法である。
【0106】
実施の形態4
以下に、第1の基板1として弾力性のある基板を用い、その変形によって、第1の基板1を剥離させようとする力が粘着材層2やその界面に効果的に作用するようにする素子の転写方法の1例を、転写工程を示す概略断面図である図9と図10を参照しながら順を追って説明する。なお、実施の形態1と説明が重複する所は、実施の形態1に前述した記述を参照することとする。
【0107】
まず、図9(a)に示すように、弾力性があって熱膨張係数の小さい第1の基板11、例えばFe−Ni又はFe−Ni−Co合金の基板11上に粘着材からなる粘着材層2を設ける。
【0108】
続いて、図9(b)に示すように、粘着材層2上の所望の位置に素子3を固定する。
【0109】
次に、図9(c)に示すように、接着材を素子3及び粘着材層2表面に被着させ、素子3を被覆するように、未硬化の接着材層4aを形成する。
【0110】
続いて、図9(d)に示すように、表面が平坦な支持基板12で弾力性のある第1の基板11を下から支持しながら、接着材層4aの表面に第2の基板5、例えば第1の基板11と熱膨張係数が同等若しくは近似のサファイア基板5を貼り合わせる。このようにして、貼り合わせの平坦性を確保することができる。
【0111】
次に、接着材層4aを硬化させ、本硬化した接着剤層4に素子3を固着させる(図10(e))。例えば、接着剤がエポテック社のエポキシ系接着剤(型番354)の場合、200℃以上の高温に30分間以上加熱する。
【0112】
実施の形態4においては、第1の基板11の変形によって、第1の基板11を粘着材層2から剥離させようとする力が、両者の界面に集中的に作用するので、工程(e)では接着材層4aを本硬化させてしまってかまわない。
【0113】
しかしながら、ここで接着材層4aの硬化を半硬化にとどめ、実施の形態1と同様に、半硬化の効果を併用するのもよい。その場合は、接着剤がエポテック社のエポキシ系接着剤(型番354)であれば、120±5℃で20±10分間加熱する。
【0114】
次に、図10(f)に示すように、支持基板12を取り除き、第1の基板11を変形させ、接着材層4から第1の基板11を剥離する。剥離後、粘着材層2が多量に付着している場合には、ピールして粘着材を除去する。
【0115】
図10(e)の工程で接着材層を半硬化の状態にとどめている場合には、次に、接着材層を本硬化させ、素子3を接着剤層4に固着させる。例えば、接着剤がエポテック社のエポキシ系接着剤(型番354)の場合、200℃以上の高温に30分間以上加熱する。
【0116】
接着剤層4を本硬化させた後、ピールで除き切れなかった粘着材を適当な溶媒で溶解除去してもよい。素子3の電極形成部などに残った粘着材は、分子レベルの汚れであっても電極の定着性を低下させる原因になるので、実施の形態1と同様に、まず、酸素プラズマ処理を1分間行って有機物を酸化分解して除去し、残る酸化シリコンをフッ化水素酸で溶解除去する(図10(g))。
【0117】
この後、実施の形態1と同様に、転写された素子に一括してはんだバンプを形成し、各素子を個々の個片に切り分け、実装基板にマウントする工程をおこなってもよい。
【0118】
このように、実施の形態4に基づく素子の転写方法は、上記した第1の基板11をその弾力性により容易に剥離できると共に、第1の基板11と第2の基板5との熱膨張係数が同等であるために、上記の熱処理時に基板の反りや、素子のピッチ変動が生じることを防止することができる。また、実施の形態1〜3と同様に、低コストで、生産性が高く、しかも素子にダメージを与えにくい、素子の転写方法である。
【0119】
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明したが、本発明はこれらの例に何ら限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であることは言うまでもない。
【0120】
【発明の作用効果】
本発明によれば、第1の基体上に配された素子を第2の基体へ転写する方法において、従来用いられてきた転写層を形成する接着材のかわりに粘着手段を用いるとともに、粘着手段の剥離性や粘着手段と他の材料との界面における離型性を高める処置を付加している。
【0121】
そのため、剥離する方向に物理的な力を加えるだけで、接着材層から第1の基体を剥離させることができる。従来の方法における転写層の分解のように、化学的な分解を必要とする工程が含まれないから、コストが低く、生産性が高い。
【0122】
また、第1の基体及び第2の基体の熱膨張係数が同等であるか或いは近似しているので、弾力性のある基体を用いた場合でも、加熱処理工程における素子の位置ずれや歪みを最小限に抑えることができる。
【0123】
粘着手段の除去に関しても、第1の基体を分離した後に行うので、付着面全体を一気に処理でき、サイドエッチングに比べて能率的であり、短時間で処理できる。また、硬化してしまった接着材層に比べ粘着手段の除去は容易であるから、除去に際して素子にダメージを与えにくい方法及び材料を選択でき、短い処理時間とあいまって、素子に与えるダメージを最小限に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に基づく素子の転写方法を示す概略断面図である。
【図2】同、素子の転写方法を示す概略断面図である。
【図3】同、素子にはんだバンプを形成し、実装基板にマウントする工程を示す概略断面図である。
【図4】同、素子にはんだバンプを形成し、実装基板にマウントする工程を示す概略断面図である。
【図5】本発明の実施の形態2に基づく素子の転写方法を示す概略断面図である。
【図6】同、素子の転写方法を示す概略断面図である。
【図7】本発明の実施の形態3に基づく素子の転写方法を示す概略断面図である。
【図8】同、素子の転写方法を示す概略断面図である。
【図9】本発明の実施の形態4に基づく素子の転写方法を示す概略断面図である。
【図10】同、素子の転写方法を示す概略断面図である。
【図11】従来の素子の転写方法を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1…第1の基板、2…粘着材層、2A…第1の粘着材層、2B…第2の粘着材層、3…素子、4…本硬化した接着材層、4a…未硬化の接着材層、4b…半硬化した接着材層、5…第2の基板、6…疑似ウェーハ、10…真空チャンバ、11…弾力性のある第1の基板、12…支持基板、13…チップ状電子部品、32…はんだバンプ、38…印刷マスク、39…はんだペースト、41…ダイシング、42…ブレード、43…スクライブライン、44…ソルダー(はんだ)ペースト、45…ソルダー(はんだ)レジスト、46…配線基板、47…実装基板、48…電極、51…素子電極面、52…SiO2膜、53…Si基板、54…パッシベーション膜、55…Al電極パッド、56…Ni無電解メッキ層(UBM)、101…第1の基板、102…転写層(接着材層)、103…素子、104…接着材層、105…第2の基板
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体素子や光学素子等の素子の転写方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体IC(集積回路)チップを用いて半導体集積回路装置を製造する場合、素子形成基板に形成された複数の半導体チップを素子分離し、別の基板上に所望のピッチで再配列した後、電源との配線等を行い、目的の装置を製造する。
【0003】
このような、素子形成基板に形成された複数の素子を分離して、別の基板に再配列して目的の装置を製造する製造工程には、素子形成基板上の素子を一時的に保持基板に転写する工程や、この保持基板上の素子を最終的な配置先である装置基板に転写する工程等の、素子の転写工程が含まれる。
【0004】
図9は、従来の素子の転写方法を示す概略断面図であり、第1の基板101上に配された素子103を第2の基板105上へ転写するものである。
【0005】
まず、図9(a)に示すように、第1の基板101上に接着材からなる転写層102を設ける。続いて、転写層102上の所望の位置に素子103を固定した後、転写層102を硬化させる。
【0006】
次に、図9(b)に示すように、素子103を第2の基板105上に固定するための接着材を、素子103及び転写層102表面に被着させ、素子103を被覆する接着材層104を形成する。続いて、接着材層104の表面に第2の基板105を貼り合わせた後、接着材層104を硬化させる。
【0007】
最後に、図9(c)に示すように、第1の基板101を接着材層104から分離する。従来の素子の転写方法では、転写層102が接着材層であるため、第1の基板101が、転写層102を介して接着材層104に固着しているため、第1の基板101を接着材層104から物理的な力で剥離させることができない。従って、第1の基板101を接着材層104から分離するに際して、転写層102を化学的な方法で分解して除去することが必要になる。通常、転写層102の除去には、レーザアブレーション法又はサイドエッチング法が用いられる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
レーザアブレーション法では、YAG(Yttrium Aluminum Garnet)レーザなどの強力なレーザ光を第1の基板101の裏面から照射して、転写層102にレーザアブレーションを生じさせる。レーザアブレーションとは、強いレーザ光を吸収した固体材料が光化学的又は熱的に励起され、その表面や内部の原子又は分子の結合が切断され、これらの原子や分子が放出されることをいい、主に固体材料の全部又は一部が融解又は蒸発する相変化を生じる現象である。
【0009】
レーザアブレーション法には、大掛かりな装置が必要で装置コストが高くなる欠点がある。また、レーザ光を発生させる過程や光によって物質を分解する過程のエネルギー効率は一般に低いので、エネルギーコストも高くなる。更に、ビーム光による処理の生産性は低いという問題点もある。
【0010】
エッチング法の主な問題点は、転写層102の大部分が第1の基板で覆われているので、側面のわずかな露出部からのサイドエッチングにならざるを得ず、エッチングの能率が悪いこと、及び、図9(b)からわかるように、配置上、エッチング液が素子に長時間接触する可能性が高く、エッチング液が素子にダメージを与える可能性が高くなること、又、これを防ぐためにエッチング液の選択が制限されることである。
【0011】
本発明の目的は、上記のような問題点を解消し、低コストで、生産性が高く、しかも素子にダメージを与えにくい、素子の転写方法を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、第1の基体上に配された素子を第2の基体へ転写する方法において、前記第1の基体上に粘着手段を設ける工程と、前記粘着手段の上に前記素子を固定する工程と、接着材を前記素子及び前記粘着手段表面に被着させて、前記素子を被覆する接着材層を形成する工程と、前記接着材層表面に前記第2の基体を貼り合わせる工程と、前記接着材層を半硬化させる工程と、この半硬化状態で、前記素子を被覆した前記接着材層から前記第1の基体を剥離する工程とを有することを特徴とする、素子の転写方法(第1の素子の転写方法)に係わる。
【0013】
又、第1の基体上に配された素子を第2の基体へ転写する方法において、前記第1の基体上に粘着手段を設ける工程と、前記粘着手段の上に前記素子を固定する工程と、接着材を前記素子及び前記粘着手段表面に被着させて前記素子を被覆する接着材層を形成する工程と、前記接着材層表面に前記第2の基体を貼り合わせる工程と、前記接着材層を硬化させる工程と、前記素子を被覆した前記接着材層から前記第1の基体を剥離する工程と、前記第1の基体を剥離する工程の前に、前記粘着手段の剥離性を向上させる処理を前記第1の基体及び/又は前記粘着手段に行う工程とを有することを特徴とする、素子の転写方法(第2の素子の転写方法)に係わる。
【0014】
又、第1の基体上に配された素子を第2の基体へ転写する方法において、前記第1の基体上に粘着手段を設ける工程と、前記粘着手段の上に前記素子を固定する工程と、接着材を前記素子及び前記粘着手段表面に被着させて前記素子を被覆する接着材層を形成する工程と、前記接着材層表面に前記第2の基体を貼り合わせる工程と、前記接着材層を硬化させる工程と、前記素子を被覆した前記接着材層から前記第1の基体を剥離する工程とを有し、前記第1の基板として、弾力性があって前記第2の基体と同等の若しくは近似した熱膨張係数をもつ材料を用いることを特徴とする、素子の転写方法(第3の素子の転写方法)に係わる。
【0015】
又、前記第1、第2及び第3の素子の転写方法の少なくとも2つを併用する素子の転写方法に係わる。
【0016】
本発明によれば、従来用いられてきた転写層を形成する接着材のかわりに前記粘着手段を用いるとともに、前記粘着手段自体の剥離性や、前記粘着手段と他の材料との界面における離型性を高める処置を付加している。
【0017】
即ち、第1の素子の転写方法では、前記接着材層を半硬化状態にとどめ、前記粘着手段と前記接着材層との結びつきが強くなりすぎるのを防止する。第2の素子の転写方法では、前記第1の基体及び/又は前記粘着手段に対して、前記第1の基体と前記粘着手段との離型性及び/又は前記粘着手段の剥離性を高める処理を行う。第3の素子の転写方法では、第1の基板を剥離させようとする力が、前記弾力性のある第1の基板の変形によって、前記粘着手段とその界面に集中的に作用するようにする。また、いずれの方法も他の方法と併用可能である。
【0018】
このような工夫によって、剥離する方向に物理的な力を加えるだけで、前記接着材層から前記第1の基体を剥離させることができる。従来の方法における転写層の分解のように、化学的な分解を必要とする工程が含まれないから、コストが低く、生産性が高い。
【0019】
第3の素子の転写方法では、前記第1の基体及び前記第2の基体の前記熱膨張係数が同等であるか或いは近似しているので、弾力性のある基体を用いていても、加熱処理工程における素子の位置ずれや歪みを最小限に抑えることができる。
【0020】
前記粘着手段の除去に関しても、前記第1の基体を分離した後に行うので、付着面全体を一気に処理でき、サイドエッチングに比べて能率的であり、短時間で処理できる。また、硬化してしまった接着材層に比べ前記粘着手段の除去は容易であるから、除去に際して前記素子にダメージを与えにくい方法及び材料を選択でき、短い処理時間とあいまって、前記素子に与えるダメージを最小限に抑えることができる。
【0021】
なお、前記接着材とは、接着時には液体状で、物体表面のミクロな凹凸内に侵入する流動性をもつが、結合能を発揮するまでの過程で液状からゴム状又はガラス状に相変化し、接着する物質と物理的及び化学的作用で相互に結合する性質を有するものをいう。接着材は硬化すると、そのまま安定な構成材料として使用可能である。
【0022】
一方、前記粘着材とは、粘着時の弱い圧力下での接触によって粘着する物体に対し結合力を示すが、一貫して粘弾性体として存在し、結合力の発揮において化学的又は物性的な変化を示さないものをいう。
【0023】
【発明の実施の形態】
請求項1に係わる発明では、前記剥離工程後に、前記接着材層を本硬化させる工程を行うのがよい。前記素子を確実に保持し、電極の形成等の次の工程に耐えられるようにするには、本硬化は、必ず行わなければならない工程である。
【0024】
また、前記剥離工程後に、前記素子の表面を清浄化するのがよい。
【0025】
また、前記剥離工程後に、前記第2の基体を剥離するのがよい。
【0026】
また、前記接着材層を形成する接着剤は、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂であり、前記接着材層を半硬化させる加熱処理工程を、前記熱硬化性樹脂の硬化温度より低い温度で行い、本硬化させる加熱処理工程を、前記硬化温度と略等しい温度で行うのがよい。
【0027】
また、前記第1の基体上に複数個又は複数種の前記素子を固定するのがよい。
【0028】
請求項10に係わる発明では、前記第1の基体の表面をアルコール処理した後、この処理面に前記粘着手段を設け、この処理面で前記剥離を行うのがよい。
【0029】
また、前記粘着手段を複数の粘着材層の積層により形成し、これらの粘着材層の界面で前記剥離を行うのがよい。
【0030】
また、前記剥離工程後に、前記素子の表面を清浄化するのがよい。
【0031】
また、前記剥離工程後に、前記第2の基体を剥離するのがよい。
【0032】
また、前記接着材層を半硬化させる工程を有し、この半硬化状態で、前記素子を被覆した前記接着材層から前記第1の基体を剥離し、前記剥離工程後に、前記接着材層を硬化させる工程を行うのがよい。
【0033】
この場合、前記接着材層を形成する接着剤は、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂であり、前記接着材層を半硬化させる加熱処理工程を、前記熱硬化性樹脂の硬化温度より低い温度で行い、本硬化させる加熱処理工程を、前記硬化温度と略等しい温度で行うのがよい。
【0034】
また、前記第1の基体上に複数個又は複数種の前記素子を固定するのがよい。
【0035】
請求項22に係わる発明では、少なくとも、前記接着材層表面に前記第2の基体を貼り合わせる工程において、弾力性のある前記第1の基板の裏面を平坦な支持基体によって支持するのがよい。
【0036】
前記第1の基体として熱膨張係数の小さな材料を用いるのがよい。又、前記第2の基体として、弾力性のある、熱膨張係数の小さな材料を用いるのもよい。支障がなければ、熱膨張による歪みを抑えるという観点では、前記第1の基体と前記第2の基体の材料が同じであるのが最も好都合である。
【0037】
前記第1の基体及び前記第2の基体の前記熱膨張係数が同等で、且つ小さければ、弾力性のある基体を用いても、加熱処理工程における素子の位置ずれや基体の歪みを最小限に抑えることができる。
【0038】
前記第1の基体として、弾力性があり、しかも前記熱膨張係数の小さな材料として、例えば、鉄とニッケルとの合金、又は鉄とニッケルとコバルトとの合金を用いるのが望ましい。この場合、合金の組成を調節することで、合金の前記熱膨張係数を前記第2の基体の前記熱膨張係数を合わせるのが望ましい。
【0039】
また、前記剥離工程後に、前記素子の表面を清浄化するのがよい。
【0040】
また、前記剥離工程後に、前記第2の基体を剥離するのがよい。
【0041】
また、前記接着材層を半硬化させる工程を有し、この半硬化状態で、前記素子を被覆した前記接着材層から前記第1の基体を剥離し、前記剥離工程後に、前記接着材層を硬化させる工程を行うのがよい。
【0042】
この場合、前記接着材層を形成する接着剤は、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂であり、前記接着材層を半硬化させる加熱処理工程を、前記熱硬化性樹脂の硬化温度より低い温度で行い、本硬化させる加熱処理工程を、前記硬化温度と略等しい温度で行うのがよい。
【0043】
また、前記第1の基体上に複数個又は複数種の前記素子を固定するのがよい。
【0044】
本発明において、前記第1の基体及び第2の基体として使用可能な材料は、前記接着材層の加熱硬化や前記粘着材層の除去等の処理工程において、変性、分解及び反り等がなければ、特に限定されるべきものではなく、例えば、金属基板、ポリカーボネートやポリエチレンテレフタラート(PET)などのプラスチック基板、ガラス基板、石英基板、サファイア基板、及びシリコン基板などの種々の基板を用いることができる。
【0045】
本発明の前記接着材層を形成する接着材としては、熱硬化性樹脂、例えばエポキシ系樹脂などの耐熱性及び耐薬品性に優れた樹脂を主成分とする接着材を用いるのがよい。
【0046】
また、前記素子が発光素子やマイクロレンズ等の光学素子である場合には、光を遮らないように、光透過性に優れたエポキシ系樹脂などで前記接着剤層を形成する。
【0047】
また、熱膨張や熱変形による位置ずれを防ぐ等の目的で加熱処理を避けたい場合には、ポリメタクリル酸メチルのように光照射で硬化する樹脂を接着材として用いてもよい。
【0048】
以下、本発明の好ましい実施の形態を図面参照下に具体的に説明する。
【0049】
実施の形態1
下記に、接着材層の半硬化による離型性を利用して半導体素子を転写する方法の1例を、図1〜4を参照しながら順を追って説明する。図1と図2は、転写工程を示す概略断面図であり、図3と図4は、転写された複数の半導体素子に一括してはんだバンプを形成した後、各素子を個々の個片に切り分け、実装基板にマウントする工程を示す概略断面図である。
【0050】
まず、図1(a)に示すように、第1の基板1上に粘着材からなる粘着材層2を設ける。第1の基板1の表面は平坦であるのがよい。粘着材としては、シリコーン系粘着材を用いるのがよく、スピンコートや印刷やスプレー等の方法で均一に付着させる。
【0051】
続いて、図1(b)に示すように、例えば半導体ICチップ等の素子3を、粘着材層2上の所望の位置に、電極形成面を下向きにして固定する。
【0052】
次に、図1(c)に示すように、接着材を素子3及び粘着材層2表面に被着させ、素子3を被覆するように、未硬化の接着材層4aを形成する。未硬化の接着材層4aを形成する方法は特に限定されず、スピンコート法や印刷法や液滴法等の中から、接着材の粘性等を考慮して最適の方法を用いる。
【0053】
接着材は、原理的には第2の基板5の上に被着させることも可能であるが、特別な理由がなければ、上記のようにする。その理由は、第2の基板5の上に接着材層を形成し、素子3が配された第1の基板1側に押しあてると、素子3の周囲に空気が気泡として残り、製品の品質を低下させる欠陥が形成される心配があるからである。
【0054】
続いて、接着材層4aの表面に第2の基板5を貼り合わせる(図1(d))。
【0055】
図1(c)及び(d)では、予め基板に接着材を被着させてから、基板の貼り合わせを行った。変形例として、接着材が被着されていない第1の基板1と第2の基板5とを重ね合わせ、両基板の側面の隙間から接着材をしみ込ませ、毛細管現象によって両基板間の空隙に接着材を満たして、接着材層4aを形成してもよい。
【0056】
次に、接着材の硬化温度より低い温度に加熱し、接着材層4bと粘着材層2との界面の離型性を維持しながら、且つ素子3を保持できる程度に内部が硬化状態になった、半硬化状態の接着材層4bを形成する。例えば、接着材がエポテック社のエポキシ系接着材(型番354)の場合、120±5℃で20±10分間加熱することにより、半硬化状態の接着材層4bを形成することができる(図2(e))。
【0057】
半硬化状態の接着材層4bを形成する加熱温度及び加熱時間は、接着材の種類に応じて設定すればよい。例えば、接着材の硬化温度が130℃である場合、硬化温度より20℃低い温度である110℃で15分間加熱するのが一応の目安である。加熱方法としては、加熱ガスが循環するオーブンやホットプレートを用いるのが一般的であるが、それに限定されず、赤外線を照射することにより加熱するなど各種の加熱方法が可能である。
【0058】
また、加熱を避けたい場合には、光照射で硬化する樹脂を接着材として用い、光量や照射時間を調節して半硬化状態の接着材層4bを形成することもできる。
【0059】
次に、この半硬化の状態で、接着材層4bと粘着材層2との界面の離型性を利用して、接着材層4bから第1の基板1を剥離する(図2(f))。接着材層4bは素子3を保持できる程度に半硬化した状態になっているので、素子3の位置がずれることはない。
【0060】
次に、第2の基板5上で半硬化状態の接着材層4bを十分に硬化させ、本硬化した接着材層4に素子3を固着させる(図2(g))。例えば、接着剤がエポテック社のエポキシ系接着剤(型番354)の場合、200℃以上の高温で30分間以上加熱して、本硬化させる。
【0061】
接着材層4を本硬化する加熱温度及び加熱時間は、接着剤の種類に応じて設定すればよい。例えば、接着剤の硬化温度130℃である場合、130℃で25分間加熱するのが一応の目安である。
【0062】
素子3の電極形成部などに残った粘着材は、分子レベルの汚れであっても電極の定着性を低下させる原因になる。そこで、本硬化後、まず、図2(h)に示すように、第2の基板5側の剥離面を酸素プラズマに1分間曝し、残存する有機物を酸化分解して除去する。次に、粘着材が酸化されて生じる酸化シリコンを、フッ化水素酸で溶解除去する。
【0063】
図1と図2とでは、素子3の形状は、平板状として図示したが、その他の形状を有する素子であってもよい。平板状以外の形状を有する素子の場合には、素子を樹脂で被覆して平板状のチップとしておくことにより、取り扱いが容易となる。
【0064】
このように、実施の形態1に基づく素子の転写方法は、低コストで、生産性が高く、しかも素子にダメージを与えにくい、素子の転写方法である。
【0065】
図3と図4では、上記の転写工程に引き続いて、転写された複数の素子に一括してはんだバンプを形成した後、各素子を個々の個片に切り分け、実装基板にマウントする工程を示す。
【0066】
図3(i)は、第2の基板5上に転写された素子3を接着材層4ごと、第2の基板5から剥離して得られた疑似ウエーハ6を示す。この分離は、第2の基板5の表面に剥離層を形成しておき、この剥離層を介して第2の基板5を接着剤層4に貼り付けることで可能となる。
【0067】
図3(j)は、疑似ウエーハ6を、素子3の電極面51が上になるようにひっくり返した状態を示す。電極面51は同図に拡大して示すように、Si基板53上にSiO2膜52を介してAl電極パッド55及びパッシベーション膜54が形成されたものである。
【0068】
図3(k)は、Ni無電解めっき法にて、開口されたAl電極パッド55面の上のみに、選択的にNi無電解めっき層(UBM:Under Bump Metal)56を形成した状態を示す。なお、このNi無電解めっき層(UBM)56は、Al電極パッド55の上面をリン酸系エッチ液で前処理した後に、Zn処理によりZnを置換析出させ、さらにNi−Pめっき槽に浸漬させることにより、容易に形成でき、Al電極パッド55とはんだバンプとの接続を助けるUBMとして作用する。
【0069】
図3(l)は、印刷マスク38を当てて、はんだペースト39を印刷法によりNi無電解めっき層(UBM)56上に転写した状態である。図4(m)は、ウエットバック法ではんだペースト39を溶融して、はんだバンプ32を形成した状態である。このように、Ni無電解めっき法及びはんだペーストスクリーン印刷法等を用いることにより、フォトプロセスを用いずに簡単にはんだバンプ32を形成できる。
【0070】
図4(n)は、ブレード42(又はレーザ)でスクライブライン43に沿ってダイシング41して、素子3を樹脂4で保護して補強したチップ状電子部品13を単位として個々の個片とする工程を示す。
【0071】
次に、図4(o)のように、配線基板46上のソルダー(はんだ)レジスト45で囲まれかつソルダー(はんだ)ペースト44を被着した電極48を設けた実装基板47に、個片化された電子部品13をマウントする。この時、電子部品13の側面と裏面は樹脂4で覆われているため、電子部品13が実装時のハンドリング等で直接のダメージを受けることがなく、高い信頼性を持つフリップチップ実装が期待できる。
【0072】
このように、本発明に基づく転写方法は、素子を樹脂で被覆し、チップ状部品とするものであれば、半導体ICチップ以外にも、発光ダイオード等の他のチップ部品にも適用できる。
【0073】
実施の形態2
下記に、第1の基板1と粘着材層2との離型性を高めて、これを利用する素子の転写方法の1例を、転写工程を示す概略断面図である図5と図6を参照しながら工程順に説明する。なお、実施の形態1と説明が重複する所は、実施の形態1に前述した記述を参照することとする。
【0074】
まず、図5(a)に示すように、第1の基板1上に粘着材からなる粘着材層2を設ける。
【0075】
粘着材層2を設ける前処理として、通常は第1の基板1のアセトン洗浄を行うのに対し、ここでは第1の基板1の表面をエタノールで軽く拭くのにとどめておくのが、実施の形態2のポイントである。このようにすると、第1の基板1の表面に付着していた油溶性の不純物が取り切れずに残り、第1の基板1と粘着材層2との界面における離型性を高める働きをする。
【0076】
変形例として、第1の基板1の表面をアセトンで完全に洗浄した後、第1の基板1及び粘着材層2の少なくとも一方に対して親和性の低い材料で、第1の基板1の表面を部分的に被覆してもよい。
【0077】
続いて、図5(b)に示すように、粘着材層2上の所望の位置に素子3を固定する。
【0078】
次に、図5(c)に示すように、接着材を素子3及び粘着材層2表面に被着させ、素子3を被覆するように、未硬化の接着材層4aを形成する。
【0079】
続いて、未硬化の接着材層4aの表面に第2の基板5を貼り合わせる(図5(d))。
【0080】
次に、未硬化の接着材層4aを硬化させ、本硬化した接着剤層4に素子3を固着させる(図6(e))。例えば、接着剤がエポテック社のエポキシ系接着剤(型番354)の場合、200℃以上の高温に30分間以上加熱する。
【0081】
実施の形態2においては、第1の基板1の表面の前処理により、第1の基板1と粘着材層2との離型性が十分に確保されているので、あえて接着材層4と粘着材層2との間に離型性をもたせる必要はない。従って、工程(e)では、接着材層4を本硬化させてしまってかまわない。
【0082】
しかしながら、ここで接着材層4aの硬化を半硬化にとどめ、実施の形態1と同様に、半硬化の効果を併用するのも効果的である。その場合は、接着剤がエポテック社のエポキシ系接着剤(型番354)であれば、120±5℃で20±10分間加熱する。
【0083】
次に、第1の基板1の表面の前処理により確保されていた離型性を利用して、接着材層4から第1の基板1を剥離する(図6(f))。剥離後、第2の基板5の側に付着している粘着材層2は、ピールして、除去する。
【0084】
図6(e)の工程で接着材層を半硬化の状態にとどめている場合には、次に、接着材層4bを本硬化させ、本硬化した接着剤層4に素子3を固着させる。例えば、接着剤がエポテック社のエポキシ系接着剤(型番354)の場合、200℃以上の高温に30分間以上加熱する。
【0085】
接着剤層4を本硬化させた後、ピールで除き切れなかった粘着材を適当な溶媒で溶解除去してもよい。素子3の電極形成部などに残った粘着材は、分子レベルの汚れであっても電極の定着性を低下させる原因になるので、実施の形態1と同様に、まず、酸素プラズマ処理を1分間行って有機物を酸化分解して除去し、残る酸化シリコンはフッ化水素酸で溶解除去する(図6(g))。
【0086】
この後、実施の形態1と同様に、転写された素子に一括してはんだバンプを形成し、各素子を個々の個片に切り分け、実装基板にマウントする工程をおこなってもよい。このとき、第2の基板5に弾力性があれば、剥離しやすいため、好都合である。
【0087】
このように、実施の形態2に基づく素子の転写方法も、低コストで、生産性が高く、しかも素子にダメージを与えにくい、素子の転写方法である。
【0088】
実施の形態3
下記に、粘着材層2を積層構造にすることによって粘着材層2自体の剥離性を高めて、これを利用する素子の転写方法の1例を、転写工程を示す概略断面図である図7と図8を参照しながら工程順に説明する。なお、実施の形態1と説明が重複する所は、実施の形態1に前述した記述を参照することとする。
【0089】
まず、図7(a)に示すように、第1の基板1上に粘着材からなる第1の粘着材層2Aを設ける。
【0090】
第1の粘着材層2Aの表面が乾いたら、次に、図7(b)に示すように、第1の粘着材層2Aの上に第2の粘着材層2Bを積層する。粘着材層2Aと2Bとは、同一材料からなるものであってもよいし、異なる材料からなるものであってもよい。同一材料からなっていても、第1の粘着材層2Aの表面が形成された後、第2の粘着材層2Bが形成されるので、2Aと2Bとは一体ではなく、両者の界面には剥離性がある。粘着材層2Aと2Bとが互いに親和性の小さい異種材料からなる場合は、両者の界面における剥離性は、より高められる。
【0091】
2Aと2Bとが同一材料からなる場合、粘着材として、例えばシリコーン系粘着剤が好適である。2Aと2Bとが異種材料からなる場合、粘着材として、それぞれ、例えばシリコーン系粘着剤とアクリル系粘着剤とが好適である。
【0092】
また、離型性を高める効果のある薬剤で第1の粘着材層2Aの表面を処理したり、粘着材層2A及び2Bの少なくとも一方に親和性の低い離型剤を第1の粘着材層2Aの表面に散布するのもよい。粘着材層2Aと2Bとの界面の離型性を高める処理であれば、過度にならない限り、すべての処理が適用可能である。
【0093】
続いて、図7(c)に示すように、第2の粘着材層2B上の所望の位置に素子3を固定する。
【0094】
次に、図7(d)に示すように、接着材を素子3及び粘着材層2B表面に被着させ、素子3を被覆するように、未硬化の接着材層4aを形成する。
【0095】
続いて、未硬化の接着材層4aの表面に第2の基板5を貼り合わせる(図8(e))。
【0096】
次に、未硬化の接着材層4aを硬化させ、本硬化した接着剤層4に素子3を固着させる(図8(f))。例えば、接着剤がエポテック社のエポキシ系接着剤(型番354)の場合、200℃以上の高温に30分間以上加熱する。
【0097】
実施の形態3においては、粘着材層2を積層構造にすることにより、粘着材層自体の剥離性が十分に確保されているので、あえて接着材層4と第2の粘着材層2Bとの間に離型性をもたせる必要はない。従って、工程(f)では、接着材層4を本硬化させてしまってかまわない。
【0098】
しかしながら、ここで接着材層4aの硬化を半硬化にとどめ、実施の形態1と同様に、半硬化の効果を併用するのも効果的である。その場合は、接着剤がエポテック社のエポキシ系接着剤(型番354)であれば、120±5℃で20±10分間加熱する。
【0099】
次に、積層構造の粘着材層2自体の剥離性を利用して、接着材層4から第1の基板1を剥離する(図8(g))。剥離後、第2の基板5の側に付着している粘着材層2Aは、ピールして除去する。
【0100】
図8(f)の工程で接着材層を半硬化の状態にとどめている場合には、次に、接着材層を本硬化させ、接着剤層4に素子3を固着させる。例えば、接着剤がエポテック社のエポキシ系接着剤(型番354)の場合、200℃以上の高温に30分間以上加熱する。
【0101】
接着剤層4を本硬化させた後、ピールで除き切れなかった粘着材を適当な溶媒で溶解除去してもよい。素子3の電極形成部などに残った粘着材は、分子レベルの汚れであっても電極の定着性を低下させる原因になるので、実施の形態1と同様に、まず、酸素プラズマ処理を1分間行って有機物を酸化分解して除去し、残る酸化シリコンはフッ化水素酸で溶解除去する(図8(h))。
【0102】
この後、実施の形態1と同様に、転写された素子に一括してはんだバンプを形成し、各素子を個々の個片に切り分け、実装基板にマウントする工程をおこなってもよい。このとき、第2の基板5に弾力性があれば、剥離しやすいため、好都合である。
【0103】
実施の形態3の変形例として、粘着材層2A及び/又は2Bを、光照射によって粘着性が低下する材料、例えば光変性性のアクリル樹脂で形成しておき、接着材層4の硬化後、粘着材層2A及び/又は2Bに光を照射して粘着性を低下させてから、第1の基板1の剥離を行ってもよい。
【0104】
また、実施の形態2で説明した、第1の基板1の表面処理と併用してもよい。
【0105】
このように、実施の形態3に基づく素子の転写方法も、低コストで、生産性が高く、しかも素子にダメージを与えにくい、素子の転写方法である。
【0106】
実施の形態4
以下に、第1の基板1として弾力性のある基板を用い、その変形によって、第1の基板1を剥離させようとする力が粘着材層2やその界面に効果的に作用するようにする素子の転写方法の1例を、転写工程を示す概略断面図である図9と図10を参照しながら順を追って説明する。なお、実施の形態1と説明が重複する所は、実施の形態1に前述した記述を参照することとする。
【0107】
まず、図9(a)に示すように、弾力性があって熱膨張係数の小さい第1の基板11、例えばFe−Ni又はFe−Ni−Co合金の基板11上に粘着材からなる粘着材層2を設ける。
【0108】
続いて、図9(b)に示すように、粘着材層2上の所望の位置に素子3を固定する。
【0109】
次に、図9(c)に示すように、接着材を素子3及び粘着材層2表面に被着させ、素子3を被覆するように、未硬化の接着材層4aを形成する。
【0110】
続いて、図9(d)に示すように、表面が平坦な支持基板12で弾力性のある第1の基板11を下から支持しながら、接着材層4aの表面に第2の基板5、例えば第1の基板11と熱膨張係数が同等若しくは近似のサファイア基板5を貼り合わせる。このようにして、貼り合わせの平坦性を確保することができる。
【0111】
次に、接着材層4aを硬化させ、本硬化した接着剤層4に素子3を固着させる(図10(e))。例えば、接着剤がエポテック社のエポキシ系接着剤(型番354)の場合、200℃以上の高温に30分間以上加熱する。
【0112】
実施の形態4においては、第1の基板11の変形によって、第1の基板11を粘着材層2から剥離させようとする力が、両者の界面に集中的に作用するので、工程(e)では接着材層4aを本硬化させてしまってかまわない。
【0113】
しかしながら、ここで接着材層4aの硬化を半硬化にとどめ、実施の形態1と同様に、半硬化の効果を併用するのもよい。その場合は、接着剤がエポテック社のエポキシ系接着剤(型番354)であれば、120±5℃で20±10分間加熱する。
【0114】
次に、図10(f)に示すように、支持基板12を取り除き、第1の基板11を変形させ、接着材層4から第1の基板11を剥離する。剥離後、粘着材層2が多量に付着している場合には、ピールして粘着材を除去する。
【0115】
図10(e)の工程で接着材層を半硬化の状態にとどめている場合には、次に、接着材層を本硬化させ、素子3を接着剤層4に固着させる。例えば、接着剤がエポテック社のエポキシ系接着剤(型番354)の場合、200℃以上の高温に30分間以上加熱する。
【0116】
接着剤層4を本硬化させた後、ピールで除き切れなかった粘着材を適当な溶媒で溶解除去してもよい。素子3の電極形成部などに残った粘着材は、分子レベルの汚れであっても電極の定着性を低下させる原因になるので、実施の形態1と同様に、まず、酸素プラズマ処理を1分間行って有機物を酸化分解して除去し、残る酸化シリコンをフッ化水素酸で溶解除去する(図10(g))。
【0117】
この後、実施の形態1と同様に、転写された素子に一括してはんだバンプを形成し、各素子を個々の個片に切り分け、実装基板にマウントする工程をおこなってもよい。
【0118】
このように、実施の形態4に基づく素子の転写方法は、上記した第1の基板11をその弾力性により容易に剥離できると共に、第1の基板11と第2の基板5との熱膨張係数が同等であるために、上記の熱処理時に基板の反りや、素子のピッチ変動が生じることを防止することができる。また、実施の形態1〜3と同様に、低コストで、生産性が高く、しかも素子にダメージを与えにくい、素子の転写方法である。
【0119】
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明したが、本発明はこれらの例に何ら限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であることは言うまでもない。
【0120】
【発明の作用効果】
本発明によれば、第1の基体上に配された素子を第2の基体へ転写する方法において、従来用いられてきた転写層を形成する接着材のかわりに粘着手段を用いるとともに、粘着手段の剥離性や粘着手段と他の材料との界面における離型性を高める処置を付加している。
【0121】
そのため、剥離する方向に物理的な力を加えるだけで、接着材層から第1の基体を剥離させることができる。従来の方法における転写層の分解のように、化学的な分解を必要とする工程が含まれないから、コストが低く、生産性が高い。
【0122】
また、第1の基体及び第2の基体の熱膨張係数が同等であるか或いは近似しているので、弾力性のある基体を用いた場合でも、加熱処理工程における素子の位置ずれや歪みを最小限に抑えることができる。
【0123】
粘着手段の除去に関しても、第1の基体を分離した後に行うので、付着面全体を一気に処理でき、サイドエッチングに比べて能率的であり、短時間で処理できる。また、硬化してしまった接着材層に比べ粘着手段の除去は容易であるから、除去に際して素子にダメージを与えにくい方法及び材料を選択でき、短い処理時間とあいまって、素子に与えるダメージを最小限に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に基づく素子の転写方法を示す概略断面図である。
【図2】同、素子の転写方法を示す概略断面図である。
【図3】同、素子にはんだバンプを形成し、実装基板にマウントする工程を示す概略断面図である。
【図4】同、素子にはんだバンプを形成し、実装基板にマウントする工程を示す概略断面図である。
【図5】本発明の実施の形態2に基づく素子の転写方法を示す概略断面図である。
【図6】同、素子の転写方法を示す概略断面図である。
【図7】本発明の実施の形態3に基づく素子の転写方法を示す概略断面図である。
【図8】同、素子の転写方法を示す概略断面図である。
【図9】本発明の実施の形態4に基づく素子の転写方法を示す概略断面図である。
【図10】同、素子の転写方法を示す概略断面図である。
【図11】従来の素子の転写方法を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1…第1の基板、2…粘着材層、2A…第1の粘着材層、2B…第2の粘着材層、3…素子、4…本硬化した接着材層、4a…未硬化の接着材層、4b…半硬化した接着材層、5…第2の基板、6…疑似ウェーハ、10…真空チャンバ、11…弾力性のある第1の基板、12…支持基板、13…チップ状電子部品、32…はんだバンプ、38…印刷マスク、39…はんだペースト、41…ダイシング、42…ブレード、43…スクライブライン、44…ソルダー(はんだ)ペースト、45…ソルダー(はんだ)レジスト、46…配線基板、47…実装基板、48…電極、51…素子電極面、52…SiO2膜、53…Si基板、54…パッシベーション膜、55…Al電極パッド、56…Ni無電解メッキ層(UBM)、101…第1の基板、102…転写層(接着材層)、103…素子、104…接着材層、105…第2の基板
Claims (37)
- 第1の基体上に配された素子を第2の基体へ転写する方法において、前記第1の基体上に粘着手段を設ける工程と、前記粘着手段の上に前記素子を固定する工程と、接着材を前記素子及び前記粘着手段表面に被着させて、前記素子を被覆する接着材層を形成する工程と、前記接着材層表面に前記第2の基体を貼り合わせる工程と、前記接着材層を半硬化させる工程と、この半硬化状態で、前記素子を被覆した前記接着材層から前記第1の基体を剥離する工程とを有することを特徴とする、素子の転写方法。
- 前記剥離工程後に、前記接着材層を本硬化させる工程を行う、請求項1に記載した素子の転写方法。
- 前記剥離工程後に、前記素子の表面を清浄化する、請求項1に記載した素子の転写方法。
- 前記剥離工程後に、前記第2の基体を剥離する、請求項1に記載した素子の転写方法。
- 前記接着材層を形成する接着剤は、熱硬化性樹脂である、請求項1に記載した素子の転写方法。
- 前記接着材層を半硬化させる加熱処理工程を、前記熱硬化性樹脂の硬化温度より低い温度で行う、請求項5に記載した素子の転写方法。
- 前記接着材層を本硬化させる加熱処理工程を、前記熱硬化性樹脂の硬化温度と略等しい温度で行う、請求項5に記載した素子の転写方法。
- 前記熱硬化性樹脂はエポキシ樹脂である、請求項5に記載した素子の転写方法。
- 前記第1の基体上に複数個又は複数種の前記素子を固定する、請求項1に記載した素子の転写方法。
- 第1の基体上に配された素子を第2の基体へ転写する方法において、前記第1の基体上に粘着手段を設ける工程と、前記粘着手段の上に前記素子を固定する工程と、接着材を前記素子及び前記粘着手段表面に被着させて前記素子を被覆する接着材層を形成する工程と、前記接着材層表面に前記第2の基体を貼り合わせる工程と、前記接着材層を硬化させる工程と、前記素子を被覆した前記接着材層から前記第1の基体を剥離する工程と、前記第1の基体を剥離する工程の前に、前記粘着手段の剥離性を向上させる処理を前記第1の基体及び/又は前記粘着手段に行う工程とを有することを特徴とする、素子の転写方法。
- 前記第1の基体の表面をアルコール処理した後、この処理面に前記粘着手段を設け、この処理面で前記剥離を行う、請求項10に記載した素子の転写方法。
- 前記粘着手段を複数の粘着材層の積層により形成し、これらの粘着材層の界面で前記剥離を行う、請求項10に記載した素子の転写方法。
- 前記接着材層を半硬化させる工程を有し、この半硬化状態で、前記素子を被覆した前記接着材層から前記第1の基体を剥離する、請求項10に記載した素子の転写方法。
- 前記剥離工程後に、前記接着材層を本硬化させる工程を行う、請求項13に記載した素子の転写方法。
- 前記剥離工程後に、前記素子の表面を清浄化する、請求項10に記載した素子の転写方法。
- 前記剥離工程後に、前記第2の基体を剥離する、請求項10に記載した素子の転写方法。
- 前記接着材層を形成する接着剤は、熱硬化性樹脂である、請求項13に記載した素子の転写方法。
- 前記接着材層を半硬化させる加熱処理工程を、前記熱硬化性樹脂の硬化温度より低い温度で行う、請求項17に記載した素子の転写方法。
- 前記接着材層を本硬化させる加熱処理工程を、前記熱硬化性樹脂の硬化温度と略等しい温度で行う、請求項17に記載した素子の転写方法。
- 前記熱硬化性樹脂はエポキシ樹脂である、請求項17に記載した素子の転写方法。
- 前記第1の基体上に複数個又は複数種の前記素子を固定する、請求項10に記載した素子の転写方法。
- 第1の基体上に配された素子を第2の基体へ転写する方法において、前記第1の基体上に粘着手段を設ける工程と、前記粘着手段の上に前記素子を固定する工程と、接着材を前記素子及び前記粘着手段表面に被着させて前記素子を被覆する接着材層を形成する工程と、前記接着材層表面に前記第2の基体を貼り合わせる工程と、前記接着材層を硬化させる工程と、前記素子を被覆した前記接着材層から前記第1の基体を剥離する工程とを有し、前記第1の基体として、弾力性があって前記第2の基体と同等の若しくは近似した熱膨張係数をもつ材料を用いることを特徴とする、素子の転写方法。
- 少なくとも、前記接着材層表面に前記第2の基体を貼り合わせる工程において、前記第1の基体の裏面を平坦な支持基体によって支持する、請求項22に記載した素子の転写方法。
- 前記第1の基体として熱膨張係数の小さな材料を用いる、請求項22に記載した素子の転写方法。
- 前記熱膨張係数の小さな材料が鉄とニッケルとの合金である、請求項24に記載した素子の転写方法。
- 前記熱膨張係数の小さな材料が鉄とニッケルとコバルトとの合金である、請求項24に記載した素子の転写方法。
- 前記第2の基体として弾力性のある材料を用いる、請求項22に記載した素子の転写方法。
- 前記接着材層を半硬化させる工程を有し、この半硬化状態で、前記素子を被覆した前記接着材層から前記第1の基体を剥離する、請求項22に記載した素子の転写方法。
- 前記剥離工程後に、前記接着材層を本硬化させる工程を行う、請求項28に記載した素子の転写方法。
- 前記剥離工程後に、前記素子の表面を清浄化する、請求項22に記載した素子の転写方法。
- 前記剥離工程後に、前記第2の基体を剥離する、請求項22に記載した素子の転写方法。
- 前記接着材層を形成する接着剤は、熱硬化性樹脂である、請求項28に記載した素子の転写方法。
- 前記接着材層を半硬化させる加熱処理工程を、前記熱硬化性樹脂の硬化温度より低い温度で行う、請求項32に記載した素子の転写方法。
- 前記接着材層を本硬化させる加熱処理工程を、前記熱硬化性樹脂の硬化温度と略等しい温度で行う、請求項32に記載した素子の転写方法。
- 前記熱硬化性樹脂はエポキシ樹脂である、請求項32に記載した素子の転写方法。
- 前記第1の基体上に複数個又は複数種の前記素子を固定する、請求項22に記載した素子の転写方法。
- 請求項1、請求項10及び請求項22に記載した転写方法のうちの少なくとも2つを併用する、素子の転写方法。
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