JP2004061268A - 流量計測装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】繰返し動作の前において制御手段21から計時補正手段19に信号が入力された後、計時補正手段19は予め定めた事前繰返し回数Nprだけ事前繰返し動作を行った後は計測開始を指示し、計時手段18が正規の動作を開始する。その後本来定めた繰返し回数Nstまで繰返し動作を行うと、計時手段18は計時動作を停止し流量演算手段20で流量演算を行う。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、超音波を利用して気体や液体などの流量を計測する流量計測装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の超音波流量計としては、例えば、特開2000−292232公報に記載されているものがあった。図13は、前記公報に記載された従来の超音波流量計の構成を示すブロック図である。
【0003】
図13において、流体流路1の途中に超音波を発信する第1振動子2と受信する第2振動子3が流れ方向に配置されている。4は第1振動子2への送信回路、5は第2振動子3で受信した超音波を信号処理する受信回路である。6は受信回路5で超音波を検知した後第1振動子2からの送信と第2振動子3での受信を複数回繰り返す繰返し手段である。9は受信回路で超音波を検出した後、再度第1振動子2から超音波を送信するまでの遅延時間を発生させる遅延時間発生手段であり、10は遅延時間発生手段9により発生した遅延時間を計測する遅延時間計測手段、11は遅延時間発生手段9の計測値を基に、遅延時間を制御する遅延時間制御手段、12はは繰返し手段により行われる複数回の超音波伝達の所要時間を計測する累積時間計測手段、8は遅延時間計測手段12および累積時間計測手段12の計測値から流量を求める流量演算手段である。送信回路5より送出されたバースト信号により第1振動子2から発信された超音波信号は、流れの中を伝搬し、第2振動子3で受信され受信回路6で検知され、遅延時間発生手段9で発生した遅延時間を置いた後、再び送信回路5よりバースト信号が送出される。送信回路5からのバースト信号は、予め定められた回数だけ繰り返され、この繰返しに要した時間を累積時間計測手段12で、また、遅延時間を遅延時間計測手段10により計測する。
【0004】
更に、流量演算手段8では、累積時間計測手段12で求めた値から遅延時間計測手段10で求めた遅延時間を差し引くことにより、超音波の伝達のみの所要時間Tを求める。
【0005】
次に、遅延時間の計測方法について説明する。計測開始時には、遅延時間制御手段11により計測繰返し中の遅延時間の設定値の指示が遅延時間発生手段9に与えられる。更に、繰返し手段6により遅延時間発生手段9にトリガ信号が送出される。この時、累積時間計測手段12により、超音波伝達時間の計測が開始されると共に、遅延時間計測手段11で1回目の遅延時間の計測を開始する。次に、所定の遅延時間が完了すると、遅延時間計測11は計測動作を終了し、この時求めた遅延時間t1を流量演算手段8へ記憶させる。その後、繰返し手段6により、遅延→送受信→送受信→・・・・の如く規定の回数だけ動作を繰り返す。受信回路5でn回目の受信信号を検知されると、最後にもう一度、遅延時間発生手段9により遅延時間と同等の時間が発生し、遅延時間計測手段10が計測を開始する。所定の遅延時間が終了した後は、実施例1と同様に、累積時間計測手段12ではn回分の超音波伝達時間とn+1回の遅延時間の合計値Ta、遅延時間計測手段11では、n+1回目の遅延時間t(n+1)が得られる。
【0006】
遅延時間発生手段9で生成される時間が変化するものと考えれば、n回の送受信の前後の遅延時間を計測すれば、繰返し動作の間の遅延時間の変化を推定できる。すなわち、直線的に変化していると仮定すれば、t1とt(n+1)の平均値を遅延時間の代表値と考えることが可能であるし、何らかの曲線変化を示すのであれば、荷重平均値を代表値と考えることができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら従来の超音波流量計における、遅延時間の演算のように繰返しの最初と最後だけの時間を参考にしていては、繰返し回数や伝搬時間の違いにより遅延時間の精度が期待したほど高まらない場合がある。
【0008】
例えば繰り返し動作の途中で回路電流による発熱などが影響し遅延発生手段の動作の特性が変化する場合があり、遅延時間が一定にならないことがある。また、これを解消するために繰り返し回数を増加して平均するなどの対策があるが、時間が長くなると周囲温度の状態や電源電圧の変化、さらに動作時間により遅延時間の精度に影響がでてくる。
【0009】
また、繰返し動作の最初と最後では振動子の動作も違っている可能性がある。特に一定時間以上動作を停止していたあとの動き始め等は不安定さを含んでいると思われる。
【0010】
さらに遅延時間の精度は流量の測定精度にそのまま影響を与えるので、高精度の遅延時間をもつ遅延回路の実現が課題であった。例えば、音速を340m/sは0.34mm/μsとなり、数nsの時間のずれが測定精度に大きな影響を与える。また、繰り返し回数を増加すれば電力も増大するなどの付随的な問題も発生してくる。
【0011】
本発明は上記の課題を解決するもので、繰返し動作の初期における不安定動作を積極的に活用し、この動作を行うことで遅延素子の動作や、振動子の動作などを定常状態に近い環境で動作することにおいて計測系の不安定動作を経過させる。そしてその後の安定動作にはいってから本来の繰返し動作を行うことで、安定した精度の良い流量計測を実現することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前記従来の課題を解決するために、本発明の計時補正手段は、計測動作の初期における不安定動作を積極的に活用し、遅延素子や、振動子などを定常状態に近い環境になるよう動作し始め、計測系全体の不安定動作時間域を経過させる。その後、安定動作にはいってから本来の繰返し動作を行い、正確な計時動作を行うことで安定した精度の良い流量計測を実現することを目的としている。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の発明は、被測定流体の流れる流路に配置され超音波を送受信する振動子と、前記振動子の送受信の切換手段と、前記振動子間相互の超音波伝搬を複数回行う繰返し手段と、前記繰返し時に前記振動子からの送信信号を遅らせる遅延手段と、それぞれの複数回繰返しの伝搬時間を計測する計時手段と、前記計時手段の計時動作を補正する計時補正手段と、前記計時手段のそれぞれの計時値と前記遅延手段の遅延値の差に基づいて流量を算出する流量演算手段とを備えた流量計測装置である。そして、計測開始直後の計測系が不安定な期間には計時動作を保留し、一定回数だけ繰返し動作を行った後に、計測開始直後の回路や振動子の不安定な動作を回避して正常な動作になってから正規の繰返し回数だけ計測動作を行うため、時間精度の向上を図ることが可能になる。
【0014】
請求項2に記載の発明は、特に、請求項1に記載の計時補正手段が、計時開始時に前回までの計時手段の計測値に応じた一定回数の繰返し動作を行った後に計時を開始する計時開始手段を有することにより、計時時間の長さに応じて計測初期の繰返し動作回数を調節することができ、時間誤差の割合を一定レベルに安定することが可能になる。
【0015】
請求項3に記載の発明は、特に、請求項1に記載の計時補正手段が、計時開始時に前回までの計時手段の計測値が予め定めた値より大きい場合に所定回数の繰返し動作を行った後から計時を開始する計時開始手段を有することにより、前回の計測時間が一定時間より長い場合は計測初期の繰返し動作による精度向上は一定レベル以下でも全体の時間が長いため誤差分が少なくなると判断し、回数を減らすことが可能となる。
【0016】
請求項4に記載の発明は、特に、請求項1に記載の計時補正手段が、計時開始時に前回までの計時手段の計測値が予め定めた値より小さい場合に所定回数の繰返し動作を行った後から計時を開始する計時開始手段を有することにより、前回の計測時間が一定時間より短い場合は計測初期の繰返し動作による精度向上を厳密にするため繰返し回数を増加して対応することができる。
【0017】
請求項5に記載の発明は、被測定流体の流れる流路に配置され超音波を送受信する振動子と、前記振動子の送受信の切換手段と、前記振動子間相互の超音波伝搬を複数回行う繰返し手段と、前記繰返し時に前記振動子からの送信信号を遅らせる遅延手段と、それぞれの複数回繰返しの伝搬時間を計測する計時手段と、前記遅延手段の遅延時間を計測する遅延時間計測手段と、前記計時手段の計時動作を補正する計時補正手段と、前記計時手段のそれぞれの計時値と前記遅延手段の遅延値の差に基づいて流量を算出する流量演算手段とを備え、前記計時補正手段は、計時開始時に前記遅延時間計測手段で求めた遅延時間の計測値に応じて一定回数の繰返し動作を行った後に計時を開始する計時開始手段を有する流量計測装置である。
【0018】
そして、遅延時間計測手段で測定した遅延時間に応じて遅延手段の不安定さを推定し計測開始直後の繰返し回数を調整することで、計測系が不安定な期間には計時動作を保留し、その後に正規の繰返し回数だけ計測動作を行うため初期動作の不安定さを減少することが可能になる。
【0019】
請求項6記載の発明は、特に、請求項5記載の計時補正手段が、計時開始時に前回までの遅延時間計測手段で求めた遅延時間の差に応じて所定回数の繰返し動作を行った後から計時を開始する計時開始手段を有することにより、遅延時間の差に応じて温度変化などの計測系の不安定さを推定し計測開始直後の繰返し回数を調整することで初期動作の不安定さを減少することが可能になる。
【0020】
請求項7記載の発明は、特に、請求項5記載の計時補正手段が、計時開始時に前回までの遅延時間計測手段で求めた遅延時間が予め定めた値より小さい場合に所定回数の繰返し動作を行う計測開始手段の動作を停止することにより、遅延時間差が一定値以内なら計測系の不安定さが許容できると推定し計測開始直後の繰返し動作を行わないことで精度の維持と省電力効果を実現することが可能になる。
【0021】
請求項8記載の発明は、特に請求項1から請求項7いずれか一項記載の流量計測装置において、計時補正手段が、回路電圧を監視する電圧監視手段を有し、計時開始時に前記電圧監視手段で求めた計測系に供給される電圧に応じて一定回数の繰返し動作を行った後に計時を開始する計時開始手段を有することにより、電圧値によって計測系の不安定さを推定し、計測開始直後の繰返し回数を調整することで初期動作の不安定さを減少することが可能になる。
【0022】
請求項9記載の発明は、特に請求項1から請求項7いずれか一項記載の流量計測装置において、計時補正手段は、記憶手段を有し、計時開始時に前記記憶手段の値に応じて一定回数の繰返し動作を行った後に計時を開始する計時開始手段を有することにより、遅延時間の値や伝達時間の値の代表値や許容値を記憶手段に持たせて置き、その値と現実の値の差から計測系の不安定さを推定し計測開始直後の繰返し回数を調整することで初期動作から安定した計測を行うことが可能となる。また、記憶手段には使用開始時からの期間を記憶することで経年変化による不安定さを補正することも可能になる。
【0023】
請求項10記載の発明は、特に請求項1から請求項9いずれか一項記載の流量計測装置において、計時補正手段が、計時手段による計時単位より細かい計時単位を有する副計時手段を有し、計時開始時に一定回数の繰返し動作を行った後に計時を開始する際にこの副計時手段を用いて計時開始時の時間精度を調整することにより、計測動作を行う際にその開始時間を分解能の高い副計測手段で行い、主となる計測手段と合わせることにより時間精度の向上を図ることが可能になる。
【0024】
請求項11記載の発明は、特に請求項1から請求項9いずれか一項記載の流量計測装置において、計時補正手段が計時開始時に一定回数の繰返し動作を行った後に計時手段への計時開始信号を送出する計時動作開始手段を有することにより、計測開始直後の回路や振動子の不安定な動作を回避して正常な動作になってから計測動作を行う際に、その開始時から計時手段の動作を行うことでそれまでの動作を省略することができ省電力動作を実現することが可能となる。
【0025】
請求項12記載の発明は、特に請求項1から請求項11いずれか一項記載の流量計測装置において計時補正手段の動作を確実にするためのコンピュータを機能させるためのプログラムを有する構成としたもので、これにより計測開始直後の計測系の不安定な動作を回避する計時補助手段の動作をソフトで行うことにより繰返し回数の条件設定、変更が容易にでき、また経年変化などにも柔軟に対応できるためよりフレキシブルに計測時間の精度向上を行うことができる。
【0026】
【実施例】
以下、本発明の実施例について図面を用いて説明する。
【0027】
(実施例1)
請求項1、請求項2、請求項3および請求項4に係る実施例1に関する本発明の流量計測装置について説明する。図1は本実施例の構成を示す流量計測装置のブロック図である。図1おいて、本発明の超音波流量計は被測定流体の流れる流路1と、前記流路1に配置された超音波を送受信する第1の振動子2、第2の振動子3を設置し、前記第1の振動子2を駆動する駆動手段14と、前記第2の振動子3の受信信号を受け受信タイミングを決定するタイミング検知手段15と、前記駆動手段14と第1の振動子2、および第2の振動子3とタイミング検知手段15の間に切換手段13を設け、超音波の送受信を第1の振動子2と第2の振動子3の間で交互に行うようにしている。タイミング検知手段15の出力を受け駆動手段14を介して再度超音波の送受信を繰り返すという動作回数を計測し所定の回数で動作を停止する繰返し手段16と、前記繰返し手段16の信号を受け所定の遅延時間遅れて前記駆動手段13のトリガ信号として出力する遅延手段17と、少なくとも駆動手段14による第1の振動子2の駆動開始から前記繰返し手段16の動作停止までの超音波の伝搬時間を測定する計時手段18と、前記計時手段18の値から前記一対の振動子間の流速を演算し、それから流量を求める流量演算手段20と、前記計時手段18による計時動作を補正する計時補正手段19と、前記計時補正手段19で計時開始動作を行う計時開始手段22を有するものである。さらに制御手段21を設け、前記駆動手段14を動作する計測スタート信号を出力する。
【0028】
通常の動作を説明する。制御手段21からスタート信号を受けた駆動手段14が第1の振動子2を一定時間パルス駆動を行うと同時に計時手段18は制御手段21からの信号によってに時間計測始める。パルス駆動された第1の振動子2からは超音波が送信される。第1の振動子2から送信した超音波は被測定流体中を伝搬し第2の振動子3で受信される。第2の振動子3の受信出力は、タイミング検知手段15で信号を増幅された後、予め定められている受信タイミングの信号レベルで超音波の受信を決定する。繰返し動作を行わない場合はこの超音波の受信を決定した時点で計時手段18の動作を停止し、その時間情報tから(式1)によって流速を求める。
【0029】
(計時手段18から得た測定時間をt、超音波振動子間の流れ方向の有効距離をL、音速をc、被測定流体の流速をvとする。)
v=(L/t)−c ・・・(式1)
タイミング検知手段15は通常コンパレータによって基準電圧と受信信号を比較するようになっていることが多い。
【0030】
繰返し手段16を用いる今回の動作はタイミング検知手段15の判定結果を遅延手段17で一定時間遅延させた後に駆動手段14に返し、再度送信を行う。繰返し動作を決められた回数行い、その時間を計時手段18で測定し、計時手段18の測定時間を元に(式2)の計算によって流速を求める(遅延手段の遅延時間をTd、繰返しの回数をn、測定時間をts、超音波振動子間の流れ方向の有効距離をL、音速をc、被測定流体の流速をvとする)。
【0031】
v=L/(ts/n−Td)−c・・・(式2)
この方法によれば(式1)の方法に比べ精度よく測定することができる。
【0032】
また、第1の超音波振動子2と第2の超音波振動子3とを切り替え、被測定流体の上流から下流と下流から上流へのそれぞれの伝搬時間を測定し、(式3)より速度vを求める(上流から下流への測定時間時間をt1、下流から上流への測定時間時間をt2とする)。
【0033】
v=L/2((1/t1)−(1/t2))・・・(式3)
この方法によれば音速の変化の影響を受けずに流度を測定することが出来るので、流速・流量・距離などの測定に広く利用されている。流速vが求まると、それに流路1の断面積を乗ずることにより流量を導くことができる。
【0034】
通常の動作は図3に示すタイミング図のようになる。すなわち、制御手段21による時刻t0における開始信号から計測を開始し、t1で駆動手段14を介して第1の超音波振動子2を駆動する。そこで発生した超音波信号は流路内を伝搬し時刻t2で第2の超音波振動子3に到達し、タイミング検知手段15で受信点を検知すると繰返し手段16は設定回数に達していない場合、遅延手段17に信号を送出する。そして時刻t3から遅延手段17が動作し、予め定めた時間だけ動作した後時刻t4で駆動手段14に信号を送出し、再び第1の超音波振動子2を駆動する。以下、この繰返しを行っている。
【0035】
繰返し手段16で決められた回数動作すると図3時刻t5で送受信動作は停止し、その時間は図に示すTとなる。その後、切換え手段13が送受信を切換える。すなわち第1の超音波振動子2が受信側、第2の超音波振動子3が送信側になる。そして同様な繰返し動作を行う。時間的な動作は図2(d)に示すようにT1の間は第1の超音波振動子2が送信側、第2の超音波振動子3が受信側、Tchで切換え動作を行い、T2では反対に第1の超音波振動子2が受信側、第2の超音波振動子3が送信側となる。なお、図3に示す送信波、受信波の動作は図4以下の説明では同じため記述を省略しているが、内部動作は図3と同じである。
【0036】
このように繰返し手段16で決められた回数動作する場合に1回目と最終回目では遅延手段17の動作が異なることがある。通常、遅延手段17としてはLC分布定数回路等が用いられているが、これらの素子には抵抗成分も含まれている。遅延手段17に抵抗分があると電流を流していけば繰返し1回目では問題無いが、回数を重ねていくにつれ電流による発熱が発生し、その結果遅延時間が変化してくる。しかし、この発熱も平衡点があるためある一定回数以上の繰返し回数では遅延時間が一定とみて良い。図2(a)のp線に繰返し回数と遅延手段17の1回当たりの遅延時間の概念図を示す。これより繰返し回数が少ないと遅延時間の差が大きいことがわかる。またLC分が大きい場合は振動成分が発生し、図2(a)のq線のような挙動を示すことが考えられる。同様に繰返し時間に着目すると図2(b)のr線のように平衡点に近づく特性や、振動成分を含む場合は図2(b)のs線のような特性も存在する。遅延時間の差が大きいと流量演算手段20で計時手段18が測定した時間から遅延時間の繰返し回数分を差し引き超音波伝搬時間分のみから流量を求める際、遅延時間の合計に誤差が生じてくる。
【0037】
図2(a)に示しているように遅延手段17の1回当たりの遅延手段は異なっている。具体的には図3のD0、D1とD2の時間が等しくないということである。ここでD0は制御手段21から最初遅延手段17に信号を送出して作成しても良いし、制御手段21自身で作成しても良い。
【0038】
流量を算出する場合は時刻t0からt5までの時間Tから実際超音波の伝搬した時間だけを用いるためD0,D1,D2の時間を差し引かなければならない。
【0039】
図2(a)に示すように繰返し回数により遅延時間の変化することがわかっている場合、切換え動作を含めると遅延時間の動作は図2(d)のようになる。例えば、繰り返し回数が図2(a)のPしかない時の遅延時間とRまで繰り返す時の遅延時間は流量演算に用いる場合大きく異なってくる。式2を変形すると式2‘となる。
【0040】
v=L/(ts − ΣTd)/n−c ・・・(式2‘)
ここでΣTdとは遅延手段16の遅延時間の繰り返し回数分における合計値である。この値を直接求めることができれば精度良く演算ができるが実際には推定値や演算値を用いている。遅延時間の合計値と考えると繰り返し回数PとRでは大きく異なることが図2より容易に理解できる。そこですべての繰り返し回数を調べることまでしなくてもある程度繰返し動作を行い安定した時の遅延時間を測定し、それから全体の遅延時間を推定することは可能である。具体的には計測終了後すぐに遅延時間のみを測定すれば、それまでの動作時の値とほぼ近い遅延時間を得ることができる。しかし、図2(a)にあるように動作初期の不安定な動作を推定することは困難である。
【0041】
そこで、この問題を回避する方法を以下に説明する。図3において時刻t0の前において制御手段21から計時補正手段19に信号が入力された後、駆動手段14を介して振動子を動作し一連の繰返し動作を行う。計時補正手段19は図4の100で予め定めた事前繰返し回数Nprを用い、繰返し手段16での動作回数NがNprより多くなるか調べているNprに達するまでは計時動作を行わない。Npr回事前繰返し動作を行った後は101で計測開始を指示し、計時手段18が正規の動作を開始する。その後102で本来定めた繰返し回数Nstまで繰返し動作を行うと、繰返し手段16の出力で計時手段18は計時動作を停止する。それまでは104で繰返し動作を継続する。そして計時動作を停止した後は流量演算手段20で流量演算を行う。102の繰返し回数Nstは本来の回数に事前繰返し回数を加算し、Nのカウントとして100の動作から継続してもよい。また、一旦N≧Nprの判断を行ったのちNのカウント値をリセットして計数しなおしても良い。
【0042】
この動作は図2(a)における繰返し回数が例えばQまでの不安定な動作を計測系として経過させた後に繰返し回数Xの位置から再度繰返しカウントをやり直す動作を行っている。これは図3における遅延信号D1,D2などが安定してから繰返し動作を行うことに相当する。この説明では遅延手段の動きにのみ着目しているが、振動子についても同様に一定時間停止した最初の振動動作と繰返し動作の最後の振動動作では振動子の挙動も異なっている可能性が大きい。このため今まで説明したように遅延手段のみを動作させるのではなく、動作する系全体を定常状態に近い状態で繰返し動作し、動作初期の計測系としての不安定さを取り除くことが必要であり、本動作を行うことでそれが実現できる。
【0043】
このように、計測開始直後の計測系が不安定な期間には計時動作を保留し、一定回数だけ繰返し動作を行った後に、計測開始直後の回路や振動子の不安定な動作を回避して正常な動作になってから正規の繰返し回数だけ計測動作を行うため、時間精度の向上を図ることが可能になる。
【0044】
また、図5(a)を用いて他の動作を説明する。計測系の動作は周囲温度や計測時間、計測繰返し回数、さらには計測待機時間などにより計測動作開始時の不安定領域時間が変動する。したがって、図3において時刻t0の前において制御手段21から計時補正手段19に信号が入力された後、駆動手段14を介して振動子を動作し一連の繰返し動作を行う。計測補正手段19は図4の100で予め定めた事前繰返し回数Nprを用い、繰返し手段16での動作回数NがNprに達するまでは計時動作を行わない。この事前繰返し回数Nprを求める方法を説明する。図5の110で前回計測したときの計時手段18の計時値(CNT)を求める。これは前回の値を記憶しているメモリやリセットしていないカウンタ値をそのまま用いることが可能である。計時補正手段19は111において、このCNTに関する関数f(CNT)を求め、その整数値を事前繰返し回数Nprとする。そして図3の100におけるNprを設定する。ここでf(CNT)は単純にCNTに比例した演算でも良いし、遅延手段17や振動子、または測定系の非線形動作現象に対応できる関数を選定してもよい。この計測開始時にNpr回動作が終了すると計測開始手段22が繰返し手段16、計時手段18に信号を送出し本来の計時動作を開始する。
【0045】
このように、計時補正手段19が、計時開始時に前回までの計時手段の計測値に応じた回数の繰返し動作を行った後に計時を開始する計時開始手段22を有することにより、計時時間の長さに応じて計測初期における不安定動作時間を推定し繰返し動作回数を調節することができ、計測における時間誤差の割合を一定レベル以下に安定することが可能になる。
【0046】
また、図5(b)を用いて他の動作を説明する。計測系の動作は流れている流体の流量によっても計測時間が変化する。例えば流量の流れる方向に対向して振動子が送信している場合などは伝搬時間が長くなる。一定時間毎に計測動作をしている場合は、このような送信をした後は次の計測時間までの停止時間が短くなる。したがって、計測動作を開始した場合の不安定動作時間が短くなる可能性がある。さらに今回計測する伝搬時間も長時間の場合は初期の不安定時間の誤差への寄与度合いは平均すると少なくなる可能性がある。
【0047】
このような場合の事前繰返し回数Nprを求める方法を説明する。図5(b)の120で前回計測したときの計時手段18の計時値(CNT)を求める。121でこの計時値が予め定めた値Nxより大きいか判断する。CNT>Nxの場合は計測時間が長かったため待機時間がその分短くなり、その結果測定系もまだ不安定状態に入りきっていないと判定できる。したがって計時補正手段19は122において、事前繰返し回数Nprを一定回数減らし、その値をもって図3の100におけるNprを設定する。以下の動作は同じのため説明を省略する。
【0048】
このように、計時補正手段19が、計時開始時に前回までの計時手段18の計測値が予め定めた値より大きい場合には計測動作初期の繰返し動作による精度向上は一定レベル以下でも全体の時間が長いため誤差分が少なくなると判断し、回数を減らすことが可能となる。これにより計測時間全体に占める初期不安定さの割合を一定レベルにすることが可能になると共に、不要な事前繰返し動作回数を少なくするため計測系を電池で動作している場合は省電力動作も実現できる。
【0049】
また、図5(b)を用いて他の動作を説明する。計測系の動作は流れている流体の流量が微小な場合、計測時間の差も非常に小さい。この差を用いて流量を演算する場合は誤差成分を極力除かなければならない。特に計時手段18においては計測動作初期の不安定動作の影響を小さくしなければならない。このような場合の事前繰返し回数Nprを求める方法は図5(b)の120で前回計測したときの計時手段18の計時値(CNT)を求めた後、121でこの計時値が予め定めた値Nxより小さいか判断する。CNT<Nxの場合は計測時間が短いため流量が少ないと推定できる。したがって計時補正手段19は123において、事前繰返し回数Nprを一定回数増やし、その値をもって図3の100におけるNprを設定する。以下の動作は同じのため説明を省略する。ここで判定する値Nxは固定値でなく、いろいろな条件により制御手段21などから変更することも可能である。
【0050】
このように、計時補正手段19が、計時開始時に前回までの計時手段18の計測値が予め定めた値より小さい場合には計測動作初期の繰返し動作による精度向上の寄与度が大きい判断し、回数を増やすことが可能となる。これにより計測時間全体に占める初期不安定さの割合を一定レベルに維持することが可能になると共に、必用な場合にのみ事前繰返し動作回数を多くするため計測系を電池で動作している場合は省電力動作も実現できる。
【0051】
(実施例2)
請求項5、請求項6および請求項7に係る実施例2に関する本発明の流量計測装置について図1、図3、図6を用いて説明する。実施例1と異なるところは遅延手段の動作時間を計測し、その値によって事前繰返し回数を変更しながら計測することである。
【0052】
まず、図1、図3、図6(a)を用いて動作を説明する。(式2‘)で示したように遅延手段17の遅延時間が安定すれば計測精度も向上する。すべての繰返し回数における遅延時間を計測することは電力の面などで現実的ではない。したがって、切換手段13で振動子の送受信を切換えて一対の計測を終了した後すぐに遅延時間のみを測定すれば、それまでの動作時の値とほぼ近い遅延時間を得ることができる。この遅延時間から次の計測動作の初期不安定動作を推定していく。
【0053】
例えば、周囲温度や計測時間、計測繰返し回数、さらには計測待機時間などにより遅延手段17の計測動作開始時における不安定領域時間が変動する。したがって、図3において時刻t0の前において制御手段21から計時補正手段19に信号が入力された後、駆動手段14を介して振動子を動作し一連の繰返し動作を行う。計測補正手段19は図4の100で予め定めた事前繰返し回数Nprを用い、繰返し手段16での動作回数NがNprに達するまでは計時動作を行わない。この事前繰返し回数Nprを遅延手段17の動作によって調整する方法を説明する。図1の遅延手段計測手段23は前回の一対の計測動作が終了した後に遅延手段17の動作である遅延時間を実測する。そしてこの遅延時間値Tdはメモリに記憶するか、またはリセットせずに測定値をそのまま保存する。計時補正手段19は図6(a)の130でこのTdを入力し、131でTdに関する関数f(Td)を求め、その整数値を事前繰返し回数Nprとする。そして図3の100におけるNprを設定する。ここでf(Td)は単純にTdに比例した演算でも良いし、遅延手段17特有、または測定系の非線形動作現象に対応できる関数を選定してもよい。この計測開始時にNpr回動作が終了すると計測開始手段22が繰返し手段16、計時手段18に信号を送出し本来の計時動作を開始する。
【0054】
このように、計時補正手段19が遅延時間計測手段23で測定することで、遅延時間に応じて遅延手段17の不安定さを推定し、計測開始直後の繰返し回数を調整する。そして計測開始直後の計測系が不安定な期間には計時動作を保留し、一定回数だけ繰返し動作を行った後に正規の繰返し回数だけ計測動作を行うことで計測初期動作の不安定さを減少することが可能になる。
【0055】
また、図6(b)を用いて他の動作を説明する。切換手段13によって振動子の動作は送受信が反転し、流量の流れる方向によって伝搬時間が異なる。したがって一定回数の繰返し動作の時間も異なってくる。流量が多いとその時間差も大きくなり、その結果遅延手段の動作間隔も変化する。このため前回の一対の伝搬時間を測定する際に遅延手段17の遅延時間を測定しTd1とする。そして今回計測する際の事前に同様に遅延手段17の遅延時間を測定しTd2とする。この2つの値を用い事前繰返し回数Nprを求める。図6(b)の140で前回計測したときの遅延時間Td1を求め、141で同様にTd2を求める。142でこの時間差(Td1−Td2)の絶対値を演算しdとおく。143でdが予め定めた値Txより大きいか判断する。d>Txの場合は遅延時間の差が大きく周囲環境の大きな変化があったと推定し、計時補正手段19は144において事前繰返し回数NprをこのTxの関数として変更する。またdがTxより大きくない場合は予め定めた繰返し回数をそのまま利用する。それ以降の動作は実施例1と同じのため説明を省略する。
【0056】
このように、計時補正手段19が、遅延時間計測手段23により直接遅延時間を測定した値の差に応じて所定回数の繰返し動作を行った後から計時を開始する計時開始手段を有することにより、前回計測した遅延時間と今回測定した遅延時間の差に応じて温度変化などの計測系の不安定さを推定し計測開始直後の繰返し回数を調整することで初期動作の不安定さを減少することが可能になる。
【0057】
また、図6(c)を用いて他の動作を説明する。周囲環境の変化があまり無く、遅延手段17の動作が安定している場合は事前繰返し動作も行わなくて良いことがある。このため前回の一対の伝搬時間を測定する際に遅延手段17の遅延時間を測定しTd1、今回計測する際の事前に同様に遅延手段17の遅延時間を測定しTd2として事前繰返し回数Nprを求める。図6(c)の150で前回計測したときの遅延時間Td1を求め、151で同様にTd2を求める。152でこの時間差(Td1−Td2)の絶対値を演算しdとおく。153でdが予め定めた値Txより小さいか判断する。d<Txの場合は遅延時間の差が小さく周囲環境の変化もあまり無く安定であると推定し、計時補正手段19は154において事前繰返し回数Nprを0とし、すぐに計時動作に入る。また153でd≧Txの場合は予め定めた繰返し回数をNprとして設定する。それ以降の動作は実施例1と同じのため説明を省略する。
【0058】
このように、計時補正手段19が計時開始時に前回までの遅延時間計測手段23で求めた遅延時間が予め定めた値より小さい場合に計測系の不安定さが許容できると推定し計測開始直後の繰返し動作を行わないよう計測開始手段22の動作を停止することができ、精度の維持を図りつつ省電力効果を実現することが可能になる。本実施例ではTd1とTd2の計測するタイミングを前回計測終了時と今回計測開始前としているが、別にこれに限定せず制御手段21で計測系の安定度に最もかかわるタイミングを推定し、そこの遅延手段17の遅延時間を測定することも可能である。
【0059】
(実施例3)
請求項8および請求項9に係る実施例3に関する本発明の流量計測装置について図7、図8、図9を用いて説明する。実施例1と異なるところは計測系に供給される電圧値や、記憶手段に設定している設定値によって事前繰返し回数を変更しながら計測することである。
【0060】
まず、図7、図8を用いて動作を説明する。遅延手段17の動作は図2に示すように時間とともに変化することが多いが、供給する電圧によってもその動作は大きく変化する。たとえば抵抗成分が主な場合は発熱が主要因になるため電圧が高いと安定するまでの時間は早くなり、反対に低電圧の場合はじわじわと安定するための時間が長時間になる。これらの動作を考慮し、計測動作初期の不安定さを取り除くためには供給電圧によってその動作回数を変化することが有用である。特に制御手段21としてマイクロコンピュータなどを用いている場合はAD変換が容易に行える。
【0061】
例えば、供給電圧により遅延手段17の計測動作開始時における不安定領域時間が変動する。したがって、図3において時刻t0の前において制御手段21から計時補正手段19に信号が入力された後、駆動手段14を介して振動子を動作し一連の繰返し動作を行う。計測補正手段19は図4の100で予め定めた事前繰返し回数Nprを用い、繰返し手段16での動作回数NがNprに達するまでは計時動作を行わない。この事前繰返し回数Nprを電圧検出手段24の動作によって調整する方法を説明する。図7の電圧検出手段23は供給電圧を検出する。計時補正手段19は図8の160でこの検出電圧Vを求め、161において、このVに関する関数f(V)を求め、その整数値を事前繰返し回数Nprとする。そして図3の100におけるNprを設定する。ここでf(V)は単純にVに比例した演算でも良いし、遅延手段17や振動子、または測定系の供給電圧に対する非線形動作現象に対応できる関数を選定してもよい。この計測開始時にNpr回動作が終了すると計測開始手段22が繰返し手段16、計時手段18に信号を送出し本来の計時動作を開始する。
【0062】
このように、計時補正手段が供給電圧を監視する電圧監視手段24を有し、計時開始時に計測系に供給される電圧値に応じて計測系の不安定さを推定し計測開始直後の繰返し回数を調整することで初期動作の不安定さを減少することが可能になる。
【0063】
また、図9を用いて他の動作を説明する。事前繰返し回数Nprは電圧などで決定できるが、流路の形状などによっても変化する必要がある。例えば不安定さの許容値が測定系によって変更するような場合である。このような時は図9(a)の170で記憶手段のh番地にある値M(h)を読み、これをdmとする。171において遅延時間計測手段23で計測した遅延時間dlyがdmより大きい場合は例えば172で事前繰返し回数を一定回数αだけ少なくする。また反対にdlyがdmより小さい場合は173でα回だけ繰返し回数を多くする。このように予め記憶手段25に設定している値を用いて実測値と比較することでその測定系特有の動作を1品毎に容易に設定しておくことが可能になる。また、図9(b)のように180で記憶手段のk番地にある値M(k)を読み、これをdxとする。181において前回計測した計時手段から求めた伝搬時間がdxより大きい場合は例えば182で事前繰返し回数を一定回数αだけ少なくする。また反対に伝搬時間がdxより小さい場合は183でα回だけ繰返し回数を多くする。このように予め記憶手段25に設定している値を用いて伝搬時間の実測値と比較することでその測定系特有の経年変化などを書き換えて設定することが可能になる。
【0064】
このように計時補正手段19が、記憶手段25を有し、計時開始時に前記記憶手段の値に応じて一定回数の繰返し動作を行った後に計時を開始する計時開始手段を有することにより、遅延時間の値や伝達時間の値の代表値や許容値を記憶手段に持たせて置き、その値と現実の値の差から計測系の不安定さを推定し計測開始直後の繰返し回数を調整することで初期動作から安定した計測を行うことが可能となる。記憶手段25には使用開始時からの期間を記憶することで経年変化による不安定さを補正することも可能になる。また、記憶手段を書き換え可能とすることで現場において容易に設定することが可能になる。
【0065】
(実施例4)
請求項10および請求項11に係る実施例4に関する本発明の流量計測装置について図10、図11、図12を用いて説明する。実施例1と異なるところは事前の繰返し動作後の計測開始時間を副計時手段を用いて正確に求めることである。
【0066】
まず、図10、図11を用いて動作を説明する。今まで説明してきたように測定系の動作初期における不安定さを回避するため動作初期に一定回数Nprだけ測定系を動作させた後、本来の計測を行う。通常計時手段としては水晶発振子などを用いたカウンタが利用されている。この動作は図11(a)のように制御手段23から(b)の計測開始信号を受けると図11のt0で動作を開始してしまう。しかし、計測系では事前の動作を行っている。Npr回動作を行った後、計時補正手段19から事前繰返し動作の終了信号が出るのが(c)のようにt1とすると計時手段の発振周期とずれているため例えばt1からt2の間が開始時間の誤差となってしまう。そこで副計時手段26は計時補正手段19からの信号を受けると図11(d)のように時刻t1からt2の間を計時手段の計測周期より高速のクロック信号で計測する。この高速クロックは短時間だけしか動作しないため電力的にも問題は無い。通常は制御手段からの信号で計時動作を始めると計時手段動作(a)の上側にあるようにすぐに計数動作を行うが、事前繰返し動作を行うと計時手段動作(a)の下側にあるように時刻t2より計数動作を行う。最後はこの計数値とt1からt2までの高速クロックによる時間計測値をまとめて計時手段18で時間計測を行う。これを図12で説明すると190で繰返し動作がNpr回経過した場合、191でPR値計測としてt1からt2の時間を測定している。そして192で図11(a)の上側の計数値をリセットし、193で図11(a)の下側のように計数値をカウントし始める。そして予め設定した繰返し回数Nstまで経過すると195で計時動作を停止し、197で計時手段の値を用いて流量を演算する。
【0067】
このように、計時開始時に一定回数の繰返し動作を行った後に計時を開始する際に計時開始時の時間精度を調整することができ、本来の計時開始時間の分解能を高い副計測手段で行い、主となる計測手段と合わせることにより時間精度の向上を図ることが可能になる。また、副計時手段は動作時間が短いため精度向上を省電力で実現することが可能である。
【0068】
また、図11、図13を用いて他の動作を説明する。200で繰返し動作がNpr回経過した場合、201で副計時手段26がオンし、その信号を介して202で計時動作開始手段27をオンする。これは図11において時刻t2になって初めて計時手段(a)のカウントが開始することを意味している。副計時手段26により時刻t0からt2の間は計時手段18の動作が停止されている。そして203で計時動作を開始し、予め設定した繰返し回数Nstまで経過すると205で計時動作を停止した後、207で計時手段の値を用いて流量を演算する。この動作を行うには計時手段の計数動作がすぐに安定することが必要である。
【0069】
このように、計時補正手段が計時開始時に一定回数の繰返し動作を行った後に計時手段への計時開始信号を送出する計時動作開始手段を有することにより、計測開始直後の回路や振動子の不安定な動作を回避して正常な動作になってから計測動作を行う際に、その開始時から計時手段の動作を行うことで不要な動作を省略することができ省電力動作を実現することが可能となる。
【0070】
(実施例5)
請求項12に係る実施例5に関する本発明の流量計測装置について説明する。実施例1と異なるところは、流量計測装置において、事前繰返し回数を調整する計時補正手段や副計時手段の動作を確実にするためのコンピュータを機能させるためのプログラムを有する記憶媒体28を用いていることである。図1、図7、図10において実施例1から実施例4で示した計時補正手段19や副計時手段26の動作を行うには、予め実験等により遅延時間と事前繰返し回数、繰返し時間、超音波の伝搬時間などの相関を求め、例えばファジィ制御のメンバーシップ関数のように適合度というような形で判断する判定ソフトをプログラムとして記憶媒体28に格納しておく。通常マイクロコンピュータのメモリやフラッシュメモリ等電気的に書き込み可能なものにしておくと利用が便利である。
【0071】
このように計時補正手段19や副計時手段26の動作をプログラムで行うことができるようになると計測開始直後の計測系の不安定な動作を回避する計時補助手段の動作をソフトで行うことにより繰返し回数の条件設定、変更が容易にでき、また経年変化などにも柔軟に対応できるためよりフレキシブルに計測時間の精度向上を行うことができる。なお本実施例において計時補正手段19や副計時手段26以外の動作もマイコン等によりプログラムで行ってもよい。
【0072】
【発明の効果】
以上の説明から明らかのように本発明の流量計測装置によれば、計時補正手段を用いることで事前繰返し動作を行い、計測開始直後の計測系が不安定な期間には系は動作しながら不安定動作を経過させるため一定回数だけ繰返し動作を行い、安定状態に入ってから正規の繰返し回数だけ計測動作を行うことにより計測開始直後の回路や振動子の不安定な動作を回避して正常な動作になってから計測動作を行うため、時間精度の向上を図ることが可能になる。また、遅延手段の遅延時間を実測しその値によって計時動作の開始直後の不安定動作を回避する回数を決定するため、より測定系の実動作を考慮した事前繰返し処理により計測精度の維持と省電力効果を実現することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1における流量計測装置の全体のブロック図
【図2】(a)同流量計測装置における繰返し回数と遅延時間の関係を示す図
(b)同流量計測装置における繰返し時間と遅延時間の関係を示す図
(c)同流量計測装置における1回の繰返し時間と遅延時間の関係を示す図
(d)同流量計測装置における動作時間と遅延時間の関係を示す図
【図3】(a)同流量計測装置における制御手段の動作を示すタイミング図
(b)同流量計測装置における送信波の動作を示すタイミング図
(c)同流量計測装置における受信波の動作を示すタイミング図
(d)同流量計測装置における遅延手段の動作を示すタイミング図
【図4】同流量計測装置の動作を示すフローチャート
【図5】(a)同流量計測装置における計時補正手段の動作を示すフローチャート
(b)同流量計測装置における計時補正手段の動作を示すフローチャート
【図6】(a)本発明の第2の実施例の流量計測装置における計時補正手段の動作を示すフローチャート
(b)同流量計測装置における計時補正手段の動作を示すフローチャート
(c)同流量計測装置における計時補正手段の動作を示すフローチャート
【図7】本発明の第3の実施例における流量計測装置の全体のブロック図
【図8】同流量計測装置における計時補正手段の動作を示すフローチャート
【図9】(a)同流量計測装置における計時補正手段の動作を示すフローチャート
(b)同流量計測装置における計時補正手段の動作を示すフローチャート
【図10】本発明の第4の実施例における流量計測装置の全体のブロック図
【図11】(a)同流量計測装置における計時手段の動作を示すタイミング図
(b)同流量計測装置における制御信号の動作を示すタイミング図
(c)同流量計測装置における計時補正手段の動作を示すタイミング図
(d)同流量計測装置における副計時手段の動作を示すタイミング図
【図12】同流量計測装置における計時補正手段の動作を示すフローチャート
【図13】同流量計測装置における計時補正手段の動作を示すフローチャート
【図14】従来の流量計測装置の全体のブロック図
【符号の説明】
1 流路
2 第1の振動子
3 第2の振動子
13 切換え手段
16 繰返し手段
17 遅延手段
18 計時手段
19 計時補正手段
20 流量演算手段
22 計時開始手段
23 遅延時間計測手段
24 電圧検出手段
25 記憶手段
26 副計時手段
27 計時動作開始手段
28 記憶媒体
Claims (12)
- 被測定流体の流れる流路に配置され超音波を送受信する振動子と、前記振動子の送受信の切換手段と、前記振動子間相互の超音波伝搬を複数回行う繰返し手段と、前記繰返し時に前記振動子からの送信信号を遅らせる遅延手段と、それぞれの複数回繰返しの伝搬時間を計測する計時手段と、前記計時手段の計時動作を補正する計時補正手段と、前記計時手段のそれぞれの計時値と前記遅延手段の遅延値の差に基づいて流量を算出する流量演算手段とを備えた流量計測装置。
- 計時補正手段は、計時開始時に前回までの計時手段の計測値に応じた一定回数の繰返し動作を行った後に計時を開始する計時開始手段を有する請求項1記載の流量計測装置。
- 計時補正手段は、計時開始時に前回までの計時手段の計測値が予め定めた値より大きい場合に所定回数の繰返し動作を行った後から計時を開始する計時開始手段を有する請求項1記載の流量計測装置。
- 計時補正手段は、計時開始時に前回までの計時手段の計測値が予め定めた値より小さい場合に所定回数の繰返し動作を行った後から計時を開始する計時開始手段を有する請求項1記載の流量計測装置。
- 被測定流体の流れる流路に配置され超音波を送受信する振動子と、前記振動子の送受信の切換手段と、前記振動子間相互の超音波伝搬を複数回行う繰返し手段と、前記繰返し時に前記振動子からの送信信号を遅らせる遅延手段と、それぞれの複数回繰返しの伝搬時間を計測する計時手段と、前記遅延手段の遅延時間を計測する遅延時間計測手段と、前記計時手段の計時動作を補正する計時補正手段と、前記計時手段のそれぞれの計時値と前記遅延手段の遅延値の差に基づいて流量を算出する流量演算手段とを備え、前記計時補正手段は、計時開始時に前記遅延時間計測手段で求めた遅延時間の計測値に応じて一定回数の繰返し動作を行った後に計時を開始する計時開始手段を有する流量計測装置。
- 計時補正手段は、計時開始時に前回までの遅延時間計測手段で求めた遅延時間の差に応じて所定回数の繰返し動作を行った後から計時を開始する計時開始手段を有する請求項5記載の流量計測装置。
- 計時補正手段は、計時開始時に前回までの遅延時間計測手段で求めた遅延時間が予め定めた値より小さい場合に所定回数の繰返し動作を行う計測開始手段の動作を停止する請求項5記載の流量計測装置。
- 計時補正手段は、回路電圧を監視する電圧監視手段を有し、計時開始時に前記電圧監視手段で求めた電圧に応じて一定回数の繰返し動作を行った後に計時を開始する計時開始手段を有する請求項1から請求項7いずれか一項記載の流量計測装置。
- 計時補正手段は、記憶手段を有し、計時開始時に前記記憶手段の値に応じて一定回数の繰返し動作を行った後に計時を開始する計時開始手段を有する請求項1から請求項7いずれか一項記載の流量計測装置。
- 計時補正手段は、計時手段による計時単位より細かい計時単位を有する副計時手段を有し、計時開始時に一定回数の繰返し動作を行った後に計時を開始する際に前記副計時手段を用いて計時開始時の時間精度を調整する請求項1から請求項9いずれか一項記載の流量計測装置。
- 計時補正手段は、計時開始時に一定回数の繰返し動作を行った後に計時手段への計時開始信号を送出する計時動作開始手段を有する請求項1から請求項9いずれか1項記載の流量計測装置。
- 請求項1から請求項11のいずれか1項記載の計時補正手段としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
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