JP4367545B2 - 流量計測装置及びこの装置を機能させるためのプログラム - Google Patents

流量計測装置及びこの装置を機能させるためのプログラム Download PDF

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Description

本発明は、超音波を利用して気体や液体などの流量を計測する流量計測装置に関する。
従来、超音波を利用して気体や液体などの流量を計測する超音波流量計があった(例えば特許文献1参照)。図22は、前記従来の超音波流量計の構成を示すブロック図である。
図22において、流体流路1の途中に超音波を発信する第1振動子2と受信する第2振動子3が流れ方向に配置されている。4は第1振動子2への送信回路、5は第2振動子3で受信した超音波を信号処理する受信回路である。6は受信回路5で超音波を検知した後第1振動子2からの送信と第2振動子3での受信を複数回繰り返す繰返し手段である。9は受信回路で超音波を検出した後、再度第1振動子2から超音波を送信するまでの遅延時間を発生させる遅延時間発生手段であり、10は遅延時間発生手段9により発生した遅延時間を計測する遅延時間計測手段、11は遅延時間発生手段9の計測値を基に、遅延時間を制御する遅延時間制御手段、12はは繰返し手段により行われる複数回の超音波伝達の所要時間を計測する累積時間計測手段、8は遅延時間計測手段12および累積時間計測手段12の計測値から流量を求める流量演算手段である。送信回路5より送出されたバースト信号により第1振動子2から発信された超音波信号は、流れの中を伝搬し、第2振動子3で受信され受信回路6で検知され、遅延時間発生手段9で発生した遅延時間を置いた後、再び送信回路5よりバースト信号が送出される。送信回路5からのバースト信号は、予め定められた回数だけ繰り返され、この繰返しに要した時間を累積時間計測手段12で、また、遅延時間を遅延時間計測手段10により計測する。
更に、流量演算手段8では、累積時間計測手段12で求めた値から遅延時間計測手段10で求めた遅延時間を差し引くことにより、超音波の伝達のみの所要時間Tを求める。
次に、遅延時間の計測方法について説明する。計測開始時には、遅延時間制御手段11により計測繰返し中の遅延時間の設定値の指示が遅延時間発生手段9に与えられる。更に、繰返し手段6により遅延時間発生手段9にトリガ信号が送出される。この時、累積時間計測手段12により、超音波伝達時間の計測が開始されると共に、遅延時間計測手段11で1回目の遅延時間の計測を開始する。次に、所定の遅延時間が完了すると、遅延時間計測11は計測動作を終了し、この時求めた遅延時間t1を流量演算手段8へ記憶させる。その後、繰返し手段6により、遅延→送受信→送受信→・・・・の如く規定の回数だけ動作を繰り返す。受信回路5でn回目の受信信号を検知されると、最後にもう一度、遅延時間発生手段9により遅延時間と同等の時間が発生し、遅延時間計測手段10が計測を開始する。所定の遅延時間が終了した後は、実施の形態1と同様に、累積時間計測手段12ではn回分の超音波伝達時間とn+1回の遅延時間の合計値Ta、遅延時間計測手段11では、n+1回目の遅延時間t(n+1)が得られる。
遅延時間発生手段9で生成される時間が変化するものと考えれば、n回の送受信の前後の遅延時間を計測すれば、繰返し動作の間の遅延時間の変化を推定できる。すなわち、直線的に変化していると仮定すれば、t1とt(n+1)の平均値を遅延時間の代表値と考えることが可能であるし、何らかの曲線変化を示すのであれば、荷重平均値を代表値と考えることができる。
特開2000−292232号公報
しかしながら従来の超音波流量計における、遅延時間の演算のように繰返しの最初と最後だけの時間を参考にしていては、繰返し回数や伝搬時間の違いにより遅延時間の精度が期待したほど高まらない場合がある。例えば繰り返し動作の途中で回路電流による発熱などが影響し遅延発生手段の動作の特性が変化する場合があり、遅延時間が一定にならないことがある。また、これを解決するために繰り返し回数を増加して平均するなどの対策があるが、時間が長くなると周囲温度の状態や電源電圧の変化、さらに動作時間により遅延時間の精度に影響がでてくる。
また超音波の送受信を切換え動作すると、その切換え動作中は遅延発生手段の動作は停止しているため再度動作を開始する時は遅延時間の変動が発生する可能性が大きい。
遅延時間の精度は流量の測定精度にそのまま影響を与えるので、高精度の遅延時間をもつ遅延回路の実現が課題であった。例えば、音速を340m/sは0.34mm/μsとなり、数nsの時間のずれが測定精度に大きな影響を与える。また、繰り返し回数を増加すれば電力も増大するなどの付随的な問題も発生してくる。
本発明は上記の課題を解決するもので、繰返しの最初と最後および切換え動作後の繰り返し動作終了後に計測した遅延時間の時間差を基に演算上の遅延時間を調整する遅延制御手段を用いることで、時間計測の誤差をできるだけ小さくし、精度の良い流量計測を実現することを目的としている。
前記従来の課題を解決するために、本発明の遅延制御手段は遅延時間計測手段を繰返し手段による超音波伝達開始時および終了時と切換え手段動作後の超音波伝達終了時に動作し、超音波伝達前後の遅延手段における遅延時間の計測差を求め、この時間から流量演算時の遅延時間を調節する遅延時間補正手段を有し、これにより精度良く演算上の遅延時間を求めることができ、その結果高精度の流量計測が実現できる。
本発明の流量計測装置によれば、切換え手段動作の前後における繰り返し動作の最初と最後で遅延時間を計測し、その値を基に演算上の遅延時間を調整しているため精度良くな遅延時間を求めることができ、その結果高精度の流量計測が可能になる。
また、超音波伝達開始時および切換え手段動作後の超音波伝達終了時に遅延時間を計測し、その差が予め定めた値より大きい場合に切換え手段動作前の超音波伝達開始時の直前に所定時間だけ遅延手段の特性を考慮した初期動作を行うことにより、遅延手段は安定した動作を行うため精度のよい測定を実現することが可能になる。
さらに、超音波伝達開始時および終了時と切換え手段動作後の超音波伝達終了時に遅延時間を計測し、その差が予め定めた値より大きい場合に切換え手段の動作時間を調節することにより、切換え動作前後における遅延手段の動作が大きく異ならないようにすることができ精度のよい測定を実現することもできる。
本発明は、被測定流体の流れる流路に配置され超音波を送受信する一対の振動子と、前記振動子からの信号発信の遅延時間を発生する遅延手段と、前記遅延手段の遅延時間を計測する遅延時間計測手段と、前記振動子間相互の超音波伝達を複数回行う繰返し手段と、前記遅延手段を動作し前記遅延時間計測手段の計測値を基に、遅延時間を制御する遅延時間制御手段と、前記繰返し手段による超音波伝達の累積時間を計測する計時手段と、前記計時手段が測定した時間の信号と前記遅延時間制御手段で求めた遅延時間の信号から流量を算出する流量演算手段と、前記一対の振動子の送信機能と受信機能を切換え設定する切換え手段を備え、前記遅延時間制御手段は前記繰返し手段による超音波伝達開始時および切換え手段動作後の超音波伝達終了時にそれぞれ前記遅延手段を動作し前記遅延時間計測手段でその時間を計測し、前記遅延時間計測手段で求めた遅延時間の計測差が超音波伝達前後で予め定めた値より大きい場合に前記繰り返し手段による超音波伝達開始時の直前に所定時間だけ遅延手段を動作させるものであり、遅延時間計測手段で求めた遅延時間の計測差が超音波伝達前後で予め定めた値より大きい場合に繰り返し手段による超音波伝達開始時の直前に所定時間だけ遅延手段を動作させることにより、遅延手段の特性を考慮した初期動作を行うことで、遅延手段は安定した動作を行うため精度のよい測定を実現することが可能になる。
本発明は、遅延時間制御手段は、切換え手段の動作前の繰返し手段による超音波伝達開始時および切換え手段動作後の繰返し手段による超音波伝達終了時にそれぞれ前記遅延手段を動作し前記遅延時間計測手段でその時間を計測し、前記遅延時間計測手段で求めた遅延時間の計測差に応じて切換え手段動作前の前記繰り返し手段による超音波伝達開始時の直前に所定時間だけ遅延手段を動作させるものであり、遅延時間計測手段で求めた遅延時間の計測差に応じて切換え手段動作前の繰り返し手段による次の繰り返し動作における超音波伝達開始時の直前に所定時間だけ遅延手段を動作させることにより、遅延手段の特性を考慮した初期動作を行うことにより、遅延手段は安定した動作を行うため精度のよい測定を実現することが可能になる。
本発明は、遅延時間制御手段は、切換え手段の動作前の繰返し手段による超音波伝達開始時および切換え手段動作後の繰返し手段による超音波伝達終了時にそれぞれ前記遅延手段を動作し前記遅延時間計測手段でその時間を計測し、前記遅延時間計測手段で求めた遅延時間の計測差が予め定めた値以内になるよう切換え手段動作前の前記繰り返し手段による次の繰り返し動作における超音波伝達開始時の直前に所定時間だけ遅延手段を動作させることにより、遅延手段は安定した動作を行い、かつ必用以上の遅延時間精度を得るために電力を使用しないため省電力で精度のよい測定を実現することが可能になる。
本発明は、遅延時間制御手段は、切換え手段の動作前の繰返し手段による超音波伝達開始時および切換え手段動作後の繰返し手段による超音波伝達終了時にそれぞれ前記遅延手段を動作し前記遅延時間計測手段でその時間を計測し、前記遅延時間計測手段で求めた遅延時間の計測差が予め定めた値より大きい場合に前記切換え手段動作後の前記繰り返し手段による超音波伝達開始時の直前に所定時間だけ遅延手段を動作させるものであり、遅延時間計測手段で求めた遅延時間の計測差が(超音波伝達前後で)予め定めた値より大きい場合に切換え手段動作後の繰り返し手段による次の繰り返し動作における超音波伝達開始時の直前に所定時間だけ遅延手段を動作させることにより、遅延手段の特性を考慮した初期動作を行うことで、切換え動作時間中における遅延手段の特性を考慮しているため遅延手段はより安定した動作を行うため精度のよい測定を実現することが可能になる。
本発明は、遅延時間制御手段は、切換え手段の動作前の繰返し手段による超音波伝達開始時および切換え手段動作後の繰返し手段による超音波伝達終了時にそれぞれ前記遅延手段を動作し前記遅延時間計測手段でその時間を計測し、前記遅延時間計測手段で求めた遅延時間の計測差に応じて前記切換え手段動作後の前記繰り返し手段による次の繰り返し動作における超音波伝達開始時の直前に所定時間だけ遅延手段を動作させることにより、遅延手段の特性を考慮した動作を行うことで、切換え動作時間中における遅延手段の特性を考慮し遅延手段はより安定した動作を行うため精度のよい測定を実現することが可能になる。
本発明は、遅延時間制御手段は、切換え手段の動作前の繰返し手段による超音波伝達開始時および切換え手段動作後の繰返し手段による超音波伝達終了時にそれぞれ前記遅延手段を動作し前記遅延時間計測手段でその時間を計測し、前記遅延時間計測手段で求めた遅延時間の計測差が予め定めた値以内になるよう前記切換え手段動作後の前記繰り返し手段による次の繰り返し動作における超音波伝達開始時の直前に所定時間だけ遅延手段を動作させることにより、遅延手段の特性を考慮した動作を行うことで、切換え動作時間中における遅延手段の特性を考慮し遅延手段はより安定した動作を行い、かつ必用以上の遅延時間精度を得るための電力を使用しないため省電力で精度のよい測定を実現することが可能になる。
本発明は、遅延時間制御手段は、切換え手段の動作前の繰返し手段による超音波伝達開
始時および切換え手段動作後の繰返し手段による超音波伝達終了時にそれぞれ前記遅延手段を動作し前記遅延時間計測手段でその時間を計測し、前記遅延時間計測手段で求めた遅延時間の計測差が予め定めた値未満の場合は前記繰り返し手段による次の繰り返し動作における超音波伝達開始時の直前、もしくは前記切換え手段動作後の前記繰り返し手段による次の繰り返し動作における超音波伝達開始時の直前における遅延手段の動作の少なくとも一つを停止することにより、その遅延時間の差が予め定めた値未満の場合は、遅延手段が放熱や蓄熱などの初期動作特性が小さいく安定であると判断し、遅延手段の動作を安定にするための初期動作を省略することで、計測時間を短くでき省電力動作が可能になる。
本発明は、遅延時間制御手段は、切換え手段の動作前の繰返し手段による超音波伝達開始時および切換え手段動作後の繰返し手段による超音波伝達終了時にそれぞれ前記遅延手段を動作し前記遅延時間計測手段でその時間を計測し、前記遅延時間計測手段で求めた遅延時間の計測差が超音波伝達前後で予め定めた値より大きい場合には前記切換え手段の動作時間を調節する切換え時間調節手段を有するものであり、遅延時間計測手段で求めた遅延時間の計測差が超音波伝達前後で予め定めた値より大きい場合には切換え手段の次の繰り返し動作における動作時間を調節することにより、切換え動作前後における遅延手段の動作が大きく異ならないようにすることができ精度のよい測定を実現することが可能になる。
本発明は、遅延時間制御手段は、切換え手段の動作前の繰返し手段による超音波伝達開始時および切換え手段動作後の繰返し手段による超音波伝達終了時にそれぞれ前記遅延手段を動作し前記遅延時間計測手段でその時間を計測し、前記遅延時間計測手段で求めた遅延時間の計測差に応じて前記切換え手段の動作時間を調節する切換え時間調節手段を有するものであり、遅延時間計測手段で求めた遅延時間の計測差に応じて前記切換え手段の次の繰り返し動作における動作時間を調節することにより、切換え動作前後における遅延手段の動作がほぼ等しくなるようにでき遅延時間の演算の誤差を少なくし測定の精度向上を実現することが可能になる。
本発明は、遅延時間制御手段は、切換え手段の動作前の繰返し手段による超音波伝達開始時および切換え手段動作後の繰返し手段による超音波伝達終了時にそれぞれ前記遅延手段を動作し前記遅延時間計測手段でその時間を計測し、前記遅延時間計測手段で求めた遅延時間の計測差が予め定めた値以内になるよう切換え手段動作前の前記繰り返し手段による前記切換え手段の次の繰り返し動作における動作時間を調節する切換え時間調節手段を有するものであり、遅延時間計測手段で求めた遅延時間の計測差が予め定めた値以内になるよう切換え手段動作前の繰り返し手段による切換え手段の動作時間を調節することによ
り、切換え動作前後の遅延手段の動作をほぼ等しくすることが可能になりるため流量演算の精度を向上することが可能になる。
本発明は、遅延時間制御手段の動作を確実にすりためのコンピュータを機能させるためのプログラムを有する構成としたもので、これにより遅延時間制御手段の動作をソフトで行うことにより判定などの条件設定、変更が容易にでき、また経年変化などにも柔軟に対応できるためよりフレキシブルに遅延時間の精度向上を行い、その結果流量演算精度の向
上が可能となる。
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
(実施の形態1)
請求項1および請求項2に係る発明を実施の形態1の流量計測装置として説明する。図1は本実施の形態の構成を示す流量計測装置のブロック図である。図1おいて、本発明の超音波流量計は被測定流体の流れる流路1と、流路1に配置された超音波を送受信する第1の振動子2、第2の振動子3と、第1の振動子2を駆動する駆動手段13と、駆動手段13を動作する計測スタート信号を出力する制御手段14と、第2の振動子3の受信信号を受け受信タイミングを決定するタイミング検知手段15と、タイミング検知手段15の出力を所定の遅延時間遅れて駆動手段13のトリガ信号として出力する遅延手段16と、遅延手段16の動作時間すなわち遅延時間を計測する遅延時間計測手段17と、超音波の送受信そして遅延手段16で遅延時間の後に再度超音波の送受信を繰り返すという動作回数を計測し所定の回数で動作を停止する繰返し手段18と、少なくとも駆動手段13による第1の振動子2の駆動開始から繰返し手段18の動作停止までの超音波の伝搬時間を測定する計時手段19と、計時手段19の値から一対の振動子間の流速を演算し、それから流量を求める流量演算手段20と、遅延時間計測手段の計測値を基に遅延時間を制御する遅延時間制御手段21と、遅延時間制御手段21で計測差から遅延時間を調節する遅延時間補正手段22を有するものである。さらに駆動手段13と第1の振動子2、および第2の振動子3とタイミング検知手段15の間に切換手段23を設け、超音波の送受信を第1の振動子2と第2の振動子3の間で交互に行うようにしている。
通常の動作を説明する。制御手段14からスタート信号を受けた駆動手段13が第1の振動子2を一定時間パルス駆動を行うと同時に計時手段20は制御手段14からの信号によってに時間計測始める。パルス駆動された第1の振動子2からは超音波が送信される。第1の振動子2から送信した超音波は被測定流体中を伝搬し第2の振動子3で受信される。第2の振動子3の受信出力は、タイミング検知手段15で信号を増幅された後、予め定められている受信タイミングの信号レベルで超音波の受信を決定する。繰返し動作を行わない場合はこの超音波の受信を決定した時点で計時手段21の動作を停止し、その時間情報tから(式1)によって流速を求める。
(計時手段20から得た測定時間をt、超音波振動子間の流れ方向の有効距離をL、音速をc、被測定流体の流速をvとする)
v=(L/t)−c・・・(式1)
タイミング検知手段15は通常コンパレータによって基準電圧と受信信号を比較するようになっていることが多い。
繰返し手段18を用いる今回の動作はタイミング検知手段15の判定結果を遅延手段16で一定時間遅延させた後に駆動手段13に返し、再度送信を行う。繰返し動作を決められた回数行い、その時間を計時手段20で測定し、計時手段20の測定時間を元に(式2)の計算によって流速を求める。
(遅延手段の遅延時間をTd、繰返しの回数をn、測定時間をts、超音波振動子間の流れ方向の有効距離をL、音速をc、被測定流体の流速をvとする)
v=L/(ts/n−Td)−c・・・(式2)
この方法によれば(式1)の方法に比べ精度よく測定することができる。
また、第1の超音波振動子2と第2の超音波振動子3とを切り替え、被測定流体の上流から下流と下流から上流へのそれぞれの伝搬時間を測定し、(式3)より速度vを求める
(上流から下流への測定時間時間をt1、下流から上流への測定時間時間をt2とする)
v=L/2((1/t1)−(1/t2))・・・(式3)
この方法によれば音速の変化の影響を受けずに流度を測定することが出来るので、流速・流量・距離などの測定に広く利用されている。
流速vが求まると、それに流路1の断面積を乗ずることにより流量を導くことができる。
通常の動作は図3に示すタイミング図のようになる。すなわち、制御手段14による時刻t0における開始信号から計測を開始し、t1で駆動手段13を介して第1の超音波振動子2を駆動する。そこで発生した超音波信号は流路内を伝搬し時刻t2で第2の超音波振動子3に到達し、タイミング検知手段15で受信点を検知すると時刻t3から遅延手段16が動作し、予め定めた時間だけ動作した後時刻t4で繰返し手段18に信号を送る。繰返し手段18はこの信号を入力すると駆動手段13に信号を送出し、再び第1の超音波振動子2を駆動する。以下、この繰返しを行っている。
繰返し手段18で決められた回数動作すると図3時刻t5で送受信動作は停止し、その時間は図に示すTとなる。その後、切換え手段23が送受信を切換える。すなわち第1の超音波振動子2が受信側、第2の超音波振動子3が送信側になる。そして同様な繰返し動作を行う。時間的な動作は図4に示すようにT1の間は第1の超音波振動子2が送信側、第2の超音波振動子3が受信側、Tchで切換え動作を行い、T2では反対に第1の超音波振動子2が受信側、第2の超音波振動子3が送信側となる。
なお、図3に示す送信波、受信波の動作は図4以下の説明では同じため記述を省略しているが、内部動作は図3と同じである。
このように繰返し手段18で決められた回数動作する場合に1回目と最終回目では遅延手段16の動作が異なることがある。通常、遅延手段16としてはLC分布定数回路等が用いられているが、これらの素子には抵抗成分も含まれている。遅延手段16に抵抗分があると電流を流していけば繰返し1回目では問題無いが、回数を重ねていくにつれ電流による発熱が発生し、その結果遅延時間が変化してくる。しかし、この発熱も平衡点があるためある一定回数以上の繰返し回数では遅延時間が一定とみて良い。図2(a)に繰返し回数と遅延手段16の1回当たりの遅延時間の概念図を示す。これより繰返し回数が少ないと遅延時間の差が大きいことがわかる。遅延時間の差が大きいと流量演算手段で計時手段20が測定した時間から遅延時間の繰返し回数分を差し引き超音波伝搬時間分のみから流量を求める際、遅延時間の合計に誤差が生じてくる。この問題を回避する方法を以下に説明する。
図2(a)に示しているように遅延手段16の1回当たりの遅延手段は異なっている。具体的には図3のD0、D1とD2の時間が等しくないということである。ここでD0は制御手段14から最初遅延手段16に信号を送出して作成しても良いし、制御手段14自身で作成しても良い。
流量を算出する場合は時刻t0からt5までの時間Tから実際超音波の伝搬した時間だけを用いるためD0,D1,D2の時間を差し引かなければならない。この時間を正確に求めるため、図5に示すように時刻t0の前taで制御手段14から遅延時間制御手段21に信号が入力される。この信号により遅延時間制御手段は遅延手段16を動作する。そ
して動作時間は遅延時間計測手段17で計測される。また時刻t5で一連の繰返し動作が終了すると時刻tbにおいて時刻taの場合と同様に遅延時間制御手段21が遅延手段16を動作し、その動作時間を遅延時間計測手段17で測定する。その後切換え手段23が送受信動作を切換え(時間Tch)T1と同じ動作をT2時間行い、一連の繰返し動作が終了後、同様に時刻tcにおいて時刻taの場合と同様に遅延時間制御手段21が遅延手段16を動作し、その動作時間を遅延時間計測手段17で測定する。そしてtaとtb、tcで計測された遅延時間を基に遅延時間補正手段22は繰返し動作中の遅延手段の動作時間を推定する。例えばこれはtaとtbの時に測定した遅延時間の単純平均に繰返し回数に関するある係数を乗じた時間とtbとtcの時に測定した遅延時間の単純平均に繰返し回数に関するある係数を乗じた時間を遅延時間として用いるなどである。
この遅延時間制御手段21内部で遅延時間補正手段22が求めた遅延時間を流量演算手段20に送出すると、計時手段19からの時間信号から正確な遅延時間を差し引くことができる。遅延時間補正手段22による補正としては図2(a),(b)および(c)に示しているような繰返し回数による要因、繰返し時間による要因、1回の繰返しにかかる時間による要因など色々な要因を考慮して求めることが必要になる。ここで繰返し回数は(式2)の説明にある繰返し回数nに相当する。また繰返し時間は(式2)の説明にある繰返し手段18を用いる場合のタイミング検知手段15の判定結果を遅延手段16で一定時間遅延させた後に駆動手段13に返すまでの時間の繰返し回数分で遅延手段の遅延時間Tdの繰り返し回数n分の時間に相当する。また、1回の繰返しのかかる時間は(式2)の説明にある繰返し動作をする場合の繰返し回数n分動作した遅延時間Tdの1回分に相当する。このため計測の前後で求めた遅延時間と本来の遅延時間の関係を実験等で求めて記憶手段などに保管しておき、その情報を基に補正したり、経年変化を考えると記憶手段に遅延時間の状態を動作中に一定期間ごと刻々と記録し、その変移を参考に遅延時間の補正を行うことが可能である。さらにこの記憶手段の情報は外部から書き換えることが可能にしておくと実測した値を入力するなど利用範囲が広がる。
このように繰返し動作の前後で遅延時間を計測し、切換え動作後にも同様な遅延時間を計測を行い、その値を基に演算上の遅延時間を調整しているため精度良くな遅延時間を求めることができ、その結果高精度の流量計測が可能になる。
また、図2(a)に示すように繰返し回数により遅延時間の変化することがわかっている。切換え動作を含めると遅延時間の動作は図2(d)のようになるため、制御手段14は遅延時間制御手段に信号を送出し、計測の最初、電源を投入した時や一定時間毎に繰返し回数を変化して、その前後に図5のような遅延時間の差を調べてみる。例えば図2(a)のP,Q,Rのように繰返し回数を変化しその動作の前後で遅延時間を調べることで繰返し回数による遅延時間の変化tP,tQ,tRを遅延時間計測手段17で実測することができる。この動作は切換え手段23で送受信を反転しても行う。これにより遅延時間補正手段22はこの時間変化を基に遅延時間の平均値を精度よく求めることが可能になる。
例えば繰り返し回数がPしかない時の遅延時間とRまで繰り返す時の遅延時間は流量演算に用いる場合大きく異なってくる。式2を変形すると式2‘となる。
v=L/(ts−ΣTd)/n−c・・・(式2‘)
ここでΣTdとは遅延手段16の遅延時間の繰り返し回数分における合計値である。この値を直接求めることができれば精度良く演算ができるが実際には推定値や演算値を用いている。遅延時間の合計値と考えると繰り返し回数PとRでは大きく異なることが図2より容易に理解できる。そこですべての繰り返し回数を調べることまでしなくてもある特定の繰り返し回数において遅延時間を調べることは十分可能である。そこで実際に繰り返し回数を変化してその繰り返し回数後の遅延時間を実測することで流量演算に用いる遅延時
間の平均値を精度良く求めることが可能になる。
このように切換え手段動作前後において繰り返し回数を変化した場合の遅延時間の変動を調べることにより、切換え手段動作前と後における実際の繰り返し回数で計測している場合の繰り返し途中における遅延時間の変移を把握しているため流量演算の精度を向上することが可能になる。
(実施の形態2)
請求項3、請求項4および請求項5に係る発明を実施の形態2の流量計測装置として説明する。図1、図6、図7、図8および図9を用いて動作を説明する。実施の形態1と異なるところは、切換え手段動作前後における超音波伝送動作の前後に測定した遅延時間の計測差によって遅延手段16の初期動作を変更することである。まず図1、図6および図7を用いて説明する。
図6内において時刻t0からt5までの動作は図3と同じのため詳細な図中の記述と説明を省略する。図6において時刻t0の前taで制御手段14から遅延時間制御手段21に信号が入力され、遅延時間制御手段21は遅延手段16を動作する。そして図7の100で遅延手段16の動作時間Td1は遅延時間計測手段17で計測される。T1時間経過後、切換え動作を行い、同様な一連の繰返し動作が終了すると時刻tcにおいて時刻taの場合と同様に遅延時間制御手段21が遅延手段16を動作し、101でその動作時間Td2を遅延時間計測手段17で測定する。そして102でTd1とTd2の差dを求め、103においてdが予め定めた値Txより大きいと繰返し動作中の遅延時間の変動も大きいと推測できるため、極力この差を小さくするように104で時刻ta1からt01の間にTdの時間だけ遅延時間制御手段21は遅延手段16を動作する。なお、ta1、t01は次の繰返し動作の前の時間を示し、それぞれta、t0に相当する。繰り返し手段18による超音波伝達開始の前に初期動作として遅延手段16を動作することで遅延手段内部の動作が例えば回路電流が流れることにより発熱作用による安定領域にすることができる。
このように超音波伝達開始時および切換え手段23動作後の超音波伝達終了時に遅延時間を計測し、その差が予め定めた値より大きい場合に切換え手段23動作前の超音波伝達開始時の直前に所定時間だけ遅延手段16の特性を考慮した初期動作を行うことにより、遅延手段は安定した動作を行うため精度のよい測定を実現することが可能になる。
遅延手段16を動作させる所定の時間は予め定めた一定時間でも良いし、周囲温度や供給電圧に対応し、それらの値を用いて演算した時間を用いても良い。
また、図6と図8を用いて他の動作を説明する。周囲温度や繰返し回数などにより繰返し動作内の遅延時間の推移は変動する。したがって、時刻t0の前taにおいて110で遅延手段16の動作時間Td1を計測する。そして、切換え手段23動作後の一連の繰返し動作が終了する時刻tcにおいて111で遅延手段16の動作時間Td2を測定する。そして112でTd1とTd2の差dを求め、113においてdが予め定めた値Txより大きいが判定する。大きい場合は114で差dに関する関数とした時間tdlを求め、115で時刻ta1からt01の間にこの時間tdlだけ遅延時間制御手段21は遅延手段16を動作する。114の関数f(d)は単純なdに比例した演算でも良いし、遅延手段16の非線形動作現象に対応できるような関数を選定しても良い。
このように、超音波伝達開始時および切換え手段動作後の超音波伝達終了時に遅延時間を計測し、その差に応じて切換え手段動作前の超音波伝達開始時の直前に所定時間だけ遅延手段の特性を考慮した初期動作を行うことにより、遅延手段は安定した動作を行うため
精度のよい測定を実現することが可能になる。
また、図5と図9を用いて他の動作を説明する。周囲温度や繰返し回数などにより繰返し動作内の遅延時間の推移は時間とともに変動する。したがって、時刻t0の前taにおいて120で遅延手段16の動作時間Td1を計測する。そして、切換え手段23が動作し送受信を判定した一連の繰返し動作が終了すると時刻tcにおいて121で遅延手段16の動作時間Td2を測定する。そして122でTd1とTd2の差dを求め、123においてdが予め定めた値Txより大きいが判定する。大きい場合は124で動作時間tdlを前回の値よりαだけ長くする。反対にdが予め定めた値Txより小さい場合は125でtdlを前回の値よりαだけ短くする。そして126で時刻ta1からt01の間にこの時間tdlだけ遅延時間制御手段21は遅延手段16を動作する。tdlの長さは時間であるため0より大きく、また上限も常識程度の時間までしか長くしないのは言うまでもない。
図9中に記述している遅延時間の変化幅αの値は予め定めた値Txより小さいことは言うまでもない。具体的な値としては流路の構成にもよるが数10nsから数μsの時間幅で設定するのが実用上便利である。そしてこの動作は繰り返し手段18による繰り返し動作が終了するたびにαずつ遅延時間を微調整し続けることができる。これにより種々の外乱などが発生しても常に遅延時間を調整することで流量演算精度を一定値以内に保つことが可能になる。
遅延手段16の初期動作を行うことにより計測前後の遅延時間の差が一定時間より短くなるように説明したが、123で上限と下限を設けてその間に入るようにすれば収束はより早くなり、電力で動作する回路においては省電力効果が大きくなる。
このように、超音波伝達開始時および切換え手段23動作後の超音波伝達終了時に遅延時間を計測し、その差が予め定めた値以内になるよう切換え手段23動作前の超音波伝達開始時の直前に所定時間だけ遅延手段16の特性を考慮した初期動作を行うことにより、遅延手段16は安定した動作を行い、かつ必用以上の遅延時間精度を得るために電力を使用しないため省電力で精度のよい測定を実現することが可能になる。
(実施の形態3)
請求項6、請求項7、請求項8および請求項9に係る発明を実施の形態3の流量計測装置として説明する。図1、図10および図11を用いて動作を説明する。実施の形態1と異なるところは、超音波伝送前後の遅延時間の計測差によって切換え動作時にも遅延手段の初期動作を変更しながら動作することである。
まず図10、図11を用いて動作を説明する。図10内において時刻t0からt5までの動作は図3と同じのため詳細な図中の記述と説明を省略する。図10において時刻t0の前taで制御手段14から遅延時間制御手段21に信号が入力され、遅延時間制御手段21は遅延手段16を動作する。そして図11の130で遅延手段16の動作時間Td1は遅延時間計測手段17で計測される。T1時間経過後、切換え動作を行う。この切換え動作の前もしくは後において時刻tbで制御手段14から遅延時間制御手段21に信号が入力され、遅延時間16の動作時間Td2を計測する。その後、送受信が切換わり同様な一連の繰返し動作がT2経過後に終了すると時刻tcにおいて時刻ta、tbの場合と同様に遅延時間制御手段21が遅延手段16を動作し、101でその動作時間Td2を遅延時間計測手段17で測定する。そして131でTd1とTd3の差d1を求め、132で同様にTd1とTd2の差d2を求め133においてd1もしくはd2が予め定めた値Txより大きいと切換え動作中の時間においても遅延時間の変動が大きいと推測できるため、極力この差を小さくするように134で切換え時間の間にTdchの時間だけ遅延時間
制御手段21は遅延手段16を動作する。なお、ta1、t01は次の繰返し動作の前の時間を示し、それぞれta、t0に相当する。繰り返し手段18による超音波伝達開始の前に初期動作として遅延手段16を動作することで遅延手段内部の動作が例えば回路電流が流れることにより発熱作用による安定領域にすることができる。
このように超音波伝達開始時および終了時と切換え手段動作後の超音波伝達終了時に遅延時間を計測し、その差が予め定めた値より大きい場合に切換え手段23動作後の超音波伝達開始時の直前に所定時間だけ遅延手段の特性を考慮した初期動作を行うことにより、切換え動作時間中における遅延手段の特性を考慮しているため遅延手段はより安定した動作を行うため精度のよい測定を実現することが可能になる。遅延手段16を動作させる所定の時間は予め定めた一定時間でも良いし、周囲温度や供給電圧に対応し、それらの値を用いて演算した時間を用いても良い。
また、図10と図12を用いて他の動作を説明する。周囲温度や繰返し回数などにより繰返し動作内の遅延時間の推移は変動する。さらには切換え手段23の動作中、一旦遅延手段16の動作が停止するため、ここでも遅延時間の変動が発生する。したがって、時刻t0の前taにおいて140で遅延手段16の動作時間Td1を計測する。そして、T1時間経過後、切換え動作を行う。この切換え動作の前もしくは後において時刻tbで制御手段14から遅延時間制御手段21に信号が入力され、遅延時間16の動作時間Td2を計測する。その後、送受信が切換わり同様な一連の繰返し動作がT2経過後に終了すると時刻tcにおいて時刻ta、tbの場合と同様に遅延時間制御手段21が遅延手段16を動作し、その動作時間Td3を遅延時間計測手段17で測定する。
そして141でTd1とTd3の差d1を求め、142でTd2とTd1の差d2を求める。143においてd1もしくはd2が予め定めた値Txより大きいが判定する。大きい場合は切換え動作中の時間においても遅延時間の変動が大きいと推測できるため、極力この差を小さくするように144で差d1、d2に関する関数とした時間tdchを求め、145で時刻tb1以降にこの時間tdchだけ遅延時間制御手段21は遅延手段16を動作する。144の関数f(d1、d2)は単純なd1、d2に比例した演算でも良いし、遅延手段16の非線形動作現象に対応できるような関数を選定しても良い。
このように、超音波伝達開始時および終了時と切換え手段動作後の超音波伝達終了時に遅延時間を計測し、その差の応じた時間だけ切換え手段23動作後の超音波伝達開始時の直前に所定時間だけ遅延手段16の特性を考慮した動作を行うことにより、切換え動作時間中における遅延手段16の特性を考慮し遅延手段はより安定した動作を行うため精度のよい測定を実現することが可能になる。
また、図10と図13を用いて他の動作を説明する。周囲温度や繰返し回数などにより繰返し動作内の遅延時間の推移は時間とともに変動する。したがって、時刻t0の前taにおいて150で遅延手段16の動作時間Td1を計測する。そして、切換え手段23が動作する前後に再度時刻tbにおいて遅延手段16の動作時間Td2を計測する。送受信を反転し一連の繰返し動作が終了すると時刻tcにおいても遅延手段16の動作時間Td3を測定する。
そして151でTd1とTd3の差d1を求め、152でTd2とTd1の差d2を求める。153においてd1もしくはd2が予め定めた値Txより大きいが判定する。大きい場合は切換え動作中の時間においても遅延時間の変動が大きいと推測できるため、極力この差を小さくするように154で動作時間Tdchを前回の値よりαだけ長くする。
反対にd1もしくはd2が予め定めた値Txより小さい場合は155でTdchを前回
の値よりαだけ短くする。そして156で時刻tb1からt01の間にこの時間Tdchだけ遅延時間制御手段21は遅延手段16を動作する。Tdchの長さは時間であるため0より大きく、また上限も常識程度の時間までしか長くしないのは言うまでもない。
図13中に記述している遅延時間の変化幅αの値は予め定めた値Txより小さいことは言うまでもない。具体的な値としては流路の構成にもよるが数10nsから数μsの時間幅で設定するのが実用上便利である。そしてこの動作は繰り返し手段18による繰り返し動作が終了するたびにαずつ遅延時間を微調整し続けることができる。これにより種々の外乱などが発生しても常に遅延時間を調整することで流量演算精度を一定値以内に保つことが可能になる。
切換え動作中に遅延手段16の初期動作を行うことにより計測前後の遅延時間の差が一定時間より短くなるように説明したが、153で上限と下限を設けてその間に入るようにすれば収束はより早くなり、電力で動作する回路においては省電力効果が大きくなる。
このように、超音波伝達開始時および終了時と切換え手段動作後の超音波伝達終了時に遅延時間を計測し、その差が予め定めた値以内になるよう切換え手段23動作後の超音波伝達開始時の直前に所定時間だけ遅延手段16の特性を考慮した動作を行うことにより、切換え動作時間中における遅延手段16の特性を考慮し遅延手段はより安定した動作を行い、かつ必用以上の遅延時間精度を得るための電力を使用しないため省電力で精度のよい測定を実現することが可能になる。
また、図10と図14を用いて他の動作を説明する。連続動作を行ったり、周囲温度が安定している場合は遅延時間の差が安定してくる場合がる。したがって、160において時刻t0の前ta、切換え動作時tb、送受信の反転後の繰返し動作終了時tcにおいてそれぞれ遅延手段16の動作時間Td1、Td2,Td3を計測する。そして161でTd1とTd3の差d1を求め、162でTd1とTd2の差d2を求める。163においてd1もしくはd2が予め定めた値Txより大きいが判定する。大きい場合は164で切換え動作時にTdchだけ遅延時間制御手段21は遅延手段16を動作する。反対にd1もしくはd2が予め定めた値Txより小さい場合は165でTdchを0とし、切換え動作時に遅延手段16の初期動作を行わない。さらに図10に示しているTdの分だけ時間を削除し、次の動作を早めることも可能である。このように動作を早くすると省電力の点でも有利である。
このように、切換え手段動作前後の超音波伝達開始時および終了時に遅延時間を計測し、その差が予め定めた値未満の場合は、遅延手段が放熱や蓄熱などの初期動作特性が小さいく安定であると判断し、遅延手段の動作を安定にするための初期動作を省略することで、計測時間を短くでき省電力動作が可能になる。
また、図15に示すように実施の形態2の動作においても170において時刻t0の前taにおける遅延手段16の動作時間Td1を求め、171で送受信の反転後の繰返し動作終了時tcにおいて遅延手段16の動作時間Td2を計測する。そして172でTd1とTd2の差dを求める。173においてdが予め定めた値Txより大きいが判定する。大きい場合は174で繰り返し動作の初期にTdだけ遅延時間制御手段21は遅延手段16を動作する。反対にdが予め定めた値Txより小さい場合は175でTdを0とし、遅延手段16の初期動作を行わないようにしても同様の効果がある。
(実施の形態4)
請求項10、請求項11および請求項12に係る発明を実施の形態4の流量計測装置として説明する。図16、図17および図18を用いて動作を説明する。実施の形態1と異
なるところは、切換え時間調節手段24を有し、切換え手段23の切換え時間を遅延時間の計測差によって変更して動作することである。まず図16、図17および図18を用いて動作を説明する。図17内において時刻t0からt5までの動作は図3と同じのため詳細な図中の記述と説明を省略する。図17において時刻t0の前taで制御手段14から遅延時間制御手段21に信号が入力され、遅延時間制御手段21は遅延手段16を動作する。そして図18の180で動作時間Td1は遅延時間計測手段17で計測される。同様に切換え手段23が動作する前もしくは後の時刻tbにおいても遅延手段16の動作時間Td2を計測する。さらに送受信を反転しT2時間かけ所定の繰返し動作を行った後tcにおいて遅延手段16の動作時間Td3を計測する。
181でTd1とTd3の差d1を求め、同様に182でTd1とTd2の差d2を求める。183においてd1もしくはd2が予め定めた値Txより大きいか判定する。Txより大きい場合は切換え動作時間が長くかかり遅延手段16の停止時間が長く冷却されていると判断し、切換え時間調節手段24は184で遅延時間の変動を極力小さくするように切換え動作の時間を調節する。具体的には切換え時間を早くするなどの動作である。切換え手段23動作前後は、その動作により電気的なノイズが発生する可能性があるため一定時間ムダ時間を設けていることが多い。この時間を調節することで遅延手段16の動作特性を改善していく。
このように、超音波伝達開始時および終了時と切換え手段動作後の超音波伝達終了時に遅延時間を計測し、その差が予め定めた値より大きい場合に切換え手段23の動作する時間を切換え時間調節手段24で調節することにより、切換え動作前後における遅延手段の動作が大きく異ならないようにすることができ精度のよい測定を実現することが可能になる。切換え時間調節手段24を動作させる所定の時間は予め定めた一定時間でも良いし、周囲温度や供給電圧に対応し、それらの値を用いて演算した時間を用いても良い。
また、図16、図17および図19を用いて他の動作を説明する。周囲温度や繰返し回数などにより繰返し動作内の遅延時間の推移は変動する。したがって、図17において時刻t0の前taで制御手段14から遅延時間制御手段21に信号が入力され、遅延時間制御手段21は遅延手段16を動作する。そして図19の190で動作時間Td1は遅延時間計測手段17で計測される。同様に切換え手段23が動作する前もしくは後の時刻tbにおいても遅延手段16の動作時間Td2を計測する。さらに送受信を反転しT2時間かけ所定の繰返し動作を行った後tcにおいて遅延手段16の動作時間Td3を計測する。そして191でTd1とTd3の差d1を求め、同様に192でTd1とTd2の差d2を求める。193においてd1もしくはd2が予め定めた値Txより大きいが判定する。大きい場合は194で差d1、d2に関する関数とした時間Tchngを求め、195で切換え時間調節手段24が切換え動作時間Tchngをこの時間にする。
194の関数f(d1、d2)は単純なd1、d2に比例した演算でも良いし、切換え手段23の動作時間の非線形動作現象に対応できるような関数を選定しても良い。
このように、超音波伝達開始時および終了時と切換え手段動作後の超音波伝達終了時に遅延時間を計測し、その差の応じて切換え時間調節手段24が切換え時間を調節することにより、切換え動作前後における遅延手段の動作がほぼ等しくなるようにでき遅延時間の演算の誤差を少なくし測定の精度向上を実現することが可能になる。
また、図16、図17および図20を用いて他の動作を説明する。周囲温度や繰返し回数などにより繰返し動作内の遅延時間の推移は変動する。したがって、図17において時刻t0の前taで制御手段14から遅延時間制御手段21に信号が入力され、遅延時間制御手段21は遅延手段16を動作する。そして図20の200で動作時間Td1は遅延時
間計測手段17で計測される。同様に切換え手段23が動作する前もしくは後の時刻tbにおいても遅延手段16の動作時間Td2を計測する。さらに送受信を反転しT2時間かけ所定の繰返し動作を行った後tcにおいて遅延手段16の動作時間Td3を計測する。そして201でTd1とTd3の差d1を求め、同様に202でTd1とTd2の差d2を求める。203においてd1もしくはd2が予め定めた値Txより大きいが判定する。
大きい場合は204で切換え時間を前回の値よりαだけ長くする。反対にd1もしくはd2が予め定めた値Txより小さい場合は205で切換え時間を前回の値よりαだけ短くする。そして206で切換え時間調節手段24が切換え動作時間Tchngwoこの時間にする。tdlの長さは時間であるため0より大きく、また上限も常識程度の時間までしか長くしないのは言うまでもない。
このように、超音波伝達開始時および終了時と切換え手段動作後の超音波伝達終了時に遅延時間を計測し、その差が予め定めた値以内になるよう切換え時間調節手段24が切換え動作時間を調節することにより、切換え動作前後の遅延手段の動作をほぼ等しくすることが可能になるため流量演算の精度を向上することが可能になる。
(実施の形態5)
請求項13に係る発明を実施の形態5の流量計測装置として説明する。実施の形態1と異なるところは、流量計測装置において、遅延時間制御手段の動作を確実にするためのコンピュータを機能させるためのプログラムを有する記憶媒体25を用いていることである。図21を用いて動作を説明する。実施の形態1から実施の形態4で示した遅延時間制御手段21や遅延時間補正手段22および切換え時間調節手段24の動作を行うには、予め実験等により流量と繰返し回数、繰返し時間、超音波の伝搬時間などの相関を求め、例えばファジィ制御のメンバーシップ関数のように適合度というような形で判断する判定ソフトをプログラムとして記憶媒体25に格納しておく。通常マイクロコンピュータのメモリやフラッシュメモリ等電気的に書き込み可能なものにしておくと利用が便利である。
このように遅延時間制御手段21や切換え時間調節手段24の動作をプログラムで行うことができるようになると遅延時間の補正などの条件設定、変更が容易でできるためよりフレキシブルに流量演算の精度向上を行うことができる。また経年変化などにも柔軟に対応できるためよりフレキシブルに遅延時間の精度向上を行うことができる。
なお本実施の形態において遅延時間制御手段21以外の動作もマイコン等によりプログラムで行ってもよい。
以上の説明から明らかのように本発明の流量計測装置によれば、切換え手段動作の前後における繰り返し動作の最初と最後で遅延時間を計測し、その値を基に演算上の遅延時間を調整しているため精度良くな遅延時間を求めることができ、その結果高精度の流量計測が可能になる。
また、超音波伝達開始時および切換え手段動作後の超音波伝達終了時に遅延時間を計測し、その差が予め定めた値より大きい場合に切換え手段動作前の超音波伝達開始時の直前に所定時間だけ遅延手段の特性を考慮した初期動作を行うことにより、遅延手段は安定した動作を行うため精度のよい測定を実現することが可能になる。
さらに、超音波伝達開始時および終了時と切換え手段動作後の超音波伝達終了時に遅延時間を計測し、その差が予め定めた値より大きい場合に切換え手段の動作時間を調節することにより、切換え動作前後における遅延手段の動作が大きく異ならないようにすることができ精度のよい測定を実現することもできる。
本発明の実施の形態1における流量計測装置の全体のブロック図 (a)同流量計測装置における繰返し回数と遅延時間の関係を示す図(b)同流量計測装置における繰返し時間と遅延時間の関係を示す図(c)同流量計測装置における1回の繰返し時間と遅延時間の関係を示す図(d)同流量計測装置における動作時間と遅延時間の関係を示す図 (a)同流量計測装置における制御手段の動作を示すタイミング図(b)同流量計測装置における送信波の動作を示すタイミング図(c)同流量計測装置における受信波の動作を示すタイミング図(d)同流量計測装置における遅延手段の動作を示すタイミング図 同流量計測装置における制御手段の動作を示すタイミング図 (a)同流量計測装置における制御手段の動作を示すタイミング図(d)同流量計測装置における遅延手段の動作を示すタイミング図 (a)本発明の実施の形態2の流量計測装置における制御手段の動作を示すタイミング図(d)同流量計測装置における遅延手段の動作を示すタイミング図 同流量計測装置における遅延時間制御手段の動作を示すフローチャート 同流量計測装置における遅延時間制御手段の動作を示すフローチャート 同流量計測装置における遅延時間制御手段の動作を示すフローチャート (a)本発明の実施の形態3の流量計測装置における制御手段の動作を示すタイミング図(d)同流量計測装置における遅延手段の動作を示すタイミング図 同流量計測装置における遅延時間制御手段の動作を示すフローチャート 同流量計測装置における遅延時間制御手段の動作を示すフローチャート 同流量計測装置における遅延時間制御手段の動作を示すフローチャート 同流量計測装置における遅延時間制御手段の動作を示すフローチャート 同流量計測装置における遅延時間制御手段の動作を示すフローチャート 本発明の実施の形態4における流量計測装置の全体のブロック図 (a)同流量計測装置における制御手段の動作を示すタイミング図(d)同流量計測装置における遅延手段の動作を示すタイミング図 同流量計測装置における遅延時間制御手段の動作を示すフローチャート 同流量計測装置における遅延時間制御手段の動作を示すフローチャート 同流量計測装置における遅延時間制御手段の動作を示すフローチャート 本発明の実施の形態5における流量計測装置の全体のブロック図 従来の流量計測装置の全体のブロック図
符号の説明
1 流路
2 第1の振動子
3 第2の振動子
16 遅延手段
17 遅延時間計測手段
18 繰返し手段
19 計時手段
20 流量演算手段
21 遅延時間制御手段
22 遅延時間補正手段
24 切換え時間調節手段
25 記憶媒体

Claims (11)

  1. 被測定流体の流れる流路に配置され超音波を送受信する一対の振動子と、前記振動子からの信号発信の遅延時間を発生する遅延手段と、前記遅延手段の遅延時間を計測する遅延時間計測手段と、前記振動子間相互の超音波伝達を複数回行う繰返し手段と、前記遅延手段を動作し前記遅延時間計測手段の計測値を基に、遅延時間を制御する遅延時間制御手段と、前記繰返し手段による超音波伝達の累積時間を計測する計時手段と、前記計時手段が測定した時間の信号と前記遅延時間制御手段で求めた遅延時間の信号から流量を算出する流量演算手段と、前記一対の振動子の送信機能と受信機能を切換え設定する切換え手段を備え、前記遅延時間制御手段は前記繰返し手段による超音波伝達開始時および切換え手段動作後の超音波伝達終了時にそれぞれ前記遅延手段を動作し前記遅延時間計測手段でその時間を計測し、前記遅延時間計測手段で求めた遅延時間の計測差が超音波伝達前後で予め定めた値より大きい場合に前記繰り返し手段による次の繰り返し動作における超音波伝達開始時の直前に所定時間だけ遅延手段を動作させる流量計測装置。
  2. 遅延時間制御手段は、切換え手段の動作前の繰返し手段による超音波伝達開始時および切換え手段動作後の繰返し手段による超音波伝達終了時にそれぞれ前記遅延手段を動作し前記遅延時間計測手段でその時間を計測し、前記遅延時間計測手段で求めた遅延時間の計測差に応じて切換え手段動作前の前記繰り返し手段による次の繰り返し動作における超音波伝達開始時の直前に所定時間だけ遅延手段を動作させる請求項1記載の流量計測装置。
  3. 遅延時間制御手段は、切換え手段の動作前の繰返し手段による超音波伝達開始時および切換え手段動作後の繰返し手段による超音波伝達終了時にそれぞれ前記遅延手段を動作し前記遅延時間計測手段でその時間を計測し、前記遅延時間計測手段で求めた遅延時間の計測差が予め定めた値以内になるよう切換え手段動作前の前記繰り返し手段による次の繰り返し動作における超音波伝達開始時の直前に所定時間だけ遅延手段を動作させる請求項1記載の流量計測装置。
  4. 遅延時間制御手段は、切換え手段の動作前の繰返し手段による超音波伝達開始時および切換え手段動作後の繰返し手段による超音波伝達終了時にそれぞれ前記遅延手段を動作し前記遅延時間計測手段でその時間を計測し、前記遅延時間計測手段で求めた遅延時間の計測
    差が予め定めた値より大きい場合に前記切換え手段動作後の前記繰り返し手段による次の繰り返し動作における超音波伝達開始時の直前に所定時間だけ遅延手段を動作させる請求項1記載の流量計測装置。
  5. 遅延時間制御手段は、切換え手段の動作前の繰返し手段による超音波伝達開始時および切換え手段動作後の繰返し手段による超音波伝達終了時にそれぞれ前記遅延手段を動作し前記遅延時間計測手段でその時間を計測し、前記遅延時間計測手段で求めた遅延時間の計測差に応じて前記切換え手段動作後の前記繰り返し手段による次の繰り返し動作における超音波伝達開始時の直前に所定時間だけ遅延手段を動作させる請求項1記載の流量計測装置。
  6. 遅延時間制御手段は、切換え手段の動作前の繰返し手段による超音波伝達開始時および切換え手段動作後の繰返し手段による超音波伝達終了時にそれぞれ前記遅延手段を動作し前記遅延時間計測手段でその時間を計測し、前記遅延時間計測手段で求めた遅延時間の計測差が予め定めた値以内になるよう前記切換え手段動作後の前記繰り返し手段による次の繰り返し動作における超音波伝達開始時の直前に所定時間だけ遅延手段を動作させる請求項1記載の流量計測装置。
  7. 遅延時間制御手段は、切換え手段の動作前の繰返し手段による超音波伝達開始時および切換え手段動作後の繰返し手段による超音波伝達終了時にそれぞれ前記遅延手段を動作し前記遅延時間計測手段でその時間を計測し、前記遅延時間計測手段で求めた遅延時間の計測差が予め定めた値未満の場合は前記繰り返し手段による次の繰り返し動作における超音波伝達開始時の直前、もしくは前記切換え手段動作後の前記繰り返し手段による次の繰り返し動作における超音波伝達開始時の直前における遅延手段の動作の少なくとも一つを停止する請求項1記載の流量計測装置。
  8. 遅延時間制御手段は、切換え手段の動作前の繰返し手段による超音波伝達開始時および切換え手段動作後の繰返し手段による超音波伝達終了時にそれぞれ前記遅延手段を動作し前記遅延時間計測手段でその時間を計測し、前記遅延時間計測手段で求めた遅延時間の計測差が超音波伝達前後で予め定めた値より大きい場合には前記切換え手段の次の繰り返し動作における動作時間を調節する切換え時間調節手段を有する請求項1記載の流量計測装置。
  9. 遅延時間制御手段は、切換え手段の動作前の繰返し手段による超音波伝達開始時および切換え手段動作後の繰返し手段による超音波伝達終了時にそれぞれ前記遅延手段を動作し前記遅延時間計測手段でその時間を計測し、前記遅延時間計測手段で求めた遅延時間の計測差に応じて前記切換え手段の次の繰り返し動作における動作時間を調節する切換え時間調節手段を有する請求項1記載の流量計測装置。
  10. 遅延時間制御手段は、切換え手段の動作前の繰返し手段による超音波伝達開始時および切換え手段動作後の繰返し手段による超音波伝達終了時にそれぞれ前記遅延手段を動作し前記遅延時間計測手段でその時間を計測し、前記遅延時間計測手段で求めた遅延時間の計測差が予め定めた値以内になるよう切換え手段動作前の前記繰り返し手段による前記切換え手段の次の繰り返し動作における動作時間を調節する切換え時間調節手段を有する請求項1記載の流量計測装置。
  11. 請求項1から請求項10のいずれか1項記載の遅延時間制御手段としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
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