JP2004060534A - 燃料噴射弁のoリング取り付け構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】Oリングの損傷を回避し,またそのシール機能を損なうことなく,ケーシング外周へのOリングの装着を容易に行い得るようにした,燃料噴射弁のOリング取り付け構造を提供する。
【解決手段】一端部に燃料入口24,他端部に弁座部材3を有する金属製ケーシング1の外周に合成樹脂製の被覆体32をモールド結合した燃料噴射弁において,入口筒25の露出端部25a外周にOリング40を嵌装し,露出端部25a外周面に形成した環状の係止溝42に,被覆体32の端面32aと協働してOリング40を挟持する環状のセットリング41を弾性的に係合した。
【選択図】 図2
【解決手段】一端部に燃料入口24,他端部に弁座部材3を有する金属製ケーシング1の外周に合成樹脂製の被覆体32をモールド結合した燃料噴射弁において,入口筒25の露出端部25a外周にOリング40を嵌装し,露出端部25a外周面に形成した環状の係止溝42に,被覆体32の端面32aと協働してOリング40を挟持する環状のセットリング41を弾性的に係合した。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は,主として内燃機関の燃料供給系に使用される燃料噴射弁に関し,特に,一端部に燃料入口が開口する入口筒を有し,他端部に弁座部材を円筒状の金属製ケーシングの外周に合成樹脂製の被覆体をモールド結合した燃料噴射弁のOリング取り付け構造の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来,燃料噴射弁のOリング取り付け構造として,下記のものが知られている。
(1)ケーシングの燃料入口側端部の外周面に,Oリングを装着するための環状溝を切削加工により形成した構造。
(2)ケーシングの燃料入口側端部の外周面まで合成樹脂製の被覆体で被覆し,この被覆体の端部外周面に,Oリングを装着するための環状溝を該被覆体の成形時に形成した構造。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記(1)の構造では,ケーシングの燃料入口側端部の外周面に,Oリングを装着するに充分な比較的向かい環状溝を切削するので,素材の歩留りが悪く,コストの低減が困難であり,その上,Oリングの環状溝への装着に際しては,Oリングを一旦大きく拡張させて,環状溝に隣接する鍔部を乗り越えさせなければならず,Oリングを傷つける虞がある。
【0004】
また上記(2)の構造では,合成樹脂成形の被覆体の外周に成形型により環状溝を形成するには,環状溝の直径方向に分割した成形型を使用するため,その環状溝の溝底や内側面に成形型の分割面に対応した部分に微細なバリが形成されてしまい,これがOリングのシール機能を損なうことがある。またこの構造においても,Oリングの環状溝への装着に際しては,Oリングを一旦大きく拡張させて,環状溝に隣接する鍔部を乗り越えさせなければならないから,Oリングを傷つける虞がある。
【0005】
本発明は,かゝる事情に鑑みてなされたもので,Oリングを損傷させることなく,しかもOリングのシール機能を損なうことなく,ケーシング外周へのOリングの装着を容易に行い得るようにした,燃料噴射弁のOリング取り付け構造を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために,本発明は,一端部に燃料入口が開口する入口筒を有し,他端部に弁座部材を円筒状の金属製ケーシングの外周に合成樹脂製の被覆体をモールド結合した燃料噴射弁において,前記入口筒の,前記被覆体から露出した露出端部外周にOリングを嵌装し,このOリングの軸方向外方で前記露出端部外周面に形成した環状の係止溝に,前記被覆体の端面と協働して前記Oリングを挟持する環状のセットリングを弾性的に係合したことを第1の特徴とする。
【0007】
この第1の特徴によれば,入口筒の露出端部へのOリングの嵌装後に,セットリングを係止溝に係合することが可能となり,したがってOリングを大きく拡張させる必要がなく,Oリングの傷つきの心配が解消される。また合成樹脂製の被覆体の端面の形成には,分割金型を使用する必要がないから,該端面にバリが形成される心配もなく,したがって被覆体の端面とセットリングとの間で保持されるOリングのシール機能を常に正常に保つことができる。さらにセットリングが係合する,露出端部の環状の係止溝は,極めて浅いもので足りるので,この係止溝の形成のための切削量は極めて少なく,素材の歩留りへの影響は殆どなく,コストの低減に寄与し得る。
【0008】
また本発明は,第1の特徴に加えて,前記セットリングの内周には,前記Oリングと反対方向に斜めに屈曲して前記係止溝に係合する弾性係止爪を周方向に複数並べて形成したことを第2の第2の特徴とする。
【0009】
この第2の特徴によれば,セットリングの係止溝への装着に当たっては,係止爪が撓むことにより,係止爪の係止溝への係合を容易,確実に行うことができ,しかもOリングが係止爪の先端に接触することを回避し,Oリングの係止爪による傷つきを未然に防ぐことができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を,添付図面に示す本発明の好適な実施例に基づいて以下に説明する。
【0011】
図1は本発明に係る内燃機関用電磁式燃料噴射弁の縦断面図,図2は図1の2部拡大図,図3は係止リングの斜視図である。
【0012】
先ず,図1において,内燃機関用電磁式燃料噴射弁Iのケーシング1は,円筒状の弁ハウジング2(磁性体)と,この弁ハウジング2の前端部に液密に結合される有底円筒状の弁座部材3と,弁ハウジング2の後端に環状スペーサ4を挟んで液密に結合される円筒状の固定コア5とから構成される。
【0013】
環状スペーサ4は,ステンレス鋼等の非磁性金属製であり,その両端面に弁ハウジング2及び固定コア5が突き当てられて液密に全周溶接される。
【0014】
弁座部材3及び弁ハウジング2の対向端部には,第1嵌合筒部3a及び第2嵌合筒部2aがそれぞれ形成される。そして第1嵌合筒部3aが第2嵌合筒部2a内にストッパプレート6と共に圧入され,ストッパプレート6は,弁ハウジング2と弁座部材3間で挟持される。その後,第1嵌合筒部3aの外周面と第2嵌合筒部2aの端面とに挟まれる隅部の全周にわたりレーザ溶接又はビーム溶接を施すことにより,弁ハウジング2及び弁座部材3が相互に液密に結合される。
【0015】
弁座部材3には,その前端面に下流端を開口する円錐状の弁座7と,この弁座7の上流端,即ち大径部に連なる円筒状のガイド孔9とが設けられており,そのガイド孔9は,前記第2嵌合筒部2aと同軸上に形成される。
【0016】
弁ハウジング2及び環状スペーサ4内には,固定コア5の前端面に対して進退し得る可動コア12が収容され,この可動コア12に,前記ガイド孔9に軸方向摺動自在に嵌装される弁体16が一体的に結合される。この弁体16は,弁座7に着座し得る球状の弁部16aと,ガイド孔9に摺動自在に支承される前後一対のジャーナル部16b,16bと,前記ストッパプレート6に当接して弁体16の開弁限界を規定するフランジ16cとを一体に備えており,各ジャーナル部16bには,燃料の流通を可能にする複数の面取り部17が設けられる。
【0017】
固定コア5は,弁ハウジング2内と連通する中空部21を有しており,その中空部21に,可動コア12を弁体16の閉じ方向,即ち弁座7への着座方向に付勢するコイル状の弁ばね22と,この弁ばね22の後端を支承するパイプ状のリテーナ23とが収容される。
【0018】
固定コア5の後端には,パイプ状のリテーナ23を介して固定コア5の中空部21に連通する燃料入口24を持つ入口筒25が一体に連設され,その燃料入口24に燃料フィルタ27が装着される。
【0019】
環状スペーサ4及び固定コア5の外周にはコイル組立体28が嵌装される。このコイル組立体28は,環状スペーサ4及び固定コア5に外周面に嵌合するボビン29と,これに巻装されるコイル30とからなっており,このコイル組立体28を囲繞するコイルハウジング31の一端部が弁ハウジング2の外周面に溶接により結合される。
【0020】
コイルハウジング31,コイル組立体28及び固定コア5は合成樹脂製の被覆体32内に埋封され,この被覆体32の中間部には,前記コイル30に連なる接続端子33を備えたカプラ34が一体に連設される。
【0021】
図2に示すように,入口筒25の端部は,被覆体32の端面32aから一定長さ露出した露出端部25aとなっており,この露出端部25aの外周にOリング40が嵌装される。このOリング40の軸方向外方において露出端部25aの外周面には比較的浅い環状の係止溝42が切削により形成されており,この係止溝42には,被覆体32の端面32aと協働して上記Oリング40を挟持する環状のセットリング41が弾性的に係合される。このセットリング41は,図2及び図3に示すように,板ばね材から環状に打ち抜かれたもので,その内周には,Oリング40と反対側に斜めに屈曲して係止溝42に形成する弾性係止爪41aが周方向に複数並べて一体に形成されている。上記Oリング40は,入口筒25の外周に嵌合される燃料分配管Dの内周面に密接して,入口筒25及び燃料分配管D間のシールを行うものである。
【0022】
再び,図1において,弁座部材3の前端壁には,弁座7の下流側でそれと同軸に並ぶ弁座孔8が形成される。弁座部材3の前端面には鋼板製のインジェクタプレート36がレーザビームによる全周溶接により接合される。このインジェクタプレート36には,弁座孔8に連通する1個又は複数個の燃料噴孔37が穿設されている。
【0023】
また弁ハウジング2から弁座部材3にかけて,それらの外周に環状のシールホルダ48が嵌合され,このシールホルダ48と,弁座部材3の前端部に嵌着される合成樹脂製のキャップ45との間に環状溝46が画成され,この環状溝46に,弁座部材3の外周面に密接するOリング47が装着される。このOリング47は,この電磁式燃料噴射弁Iを図示しない吸気マニホールドの燃料噴射弁取り付け孔に装着したとき,その取り付け孔の内周面に密接するようになっている。
【0024】
次に,この実施例の作用について説明する。
【0025】
コイル30を消磁した状態では,弁ばね22の付勢力で可動コア12及び弁体16が前方に押圧され,その弁部16aを弁座7に着座させている。したがって,燃料分配管Dから燃料フィルタ27及び入口筒25を通して弁ハウジング2内に供給された高圧燃料は,弁ハウジング2内に待機させられる。
【0026】
コイル30を通電により励磁すると,それにより生ずる磁束が固定コア5,コイルハウジング31,弁ハウジング2及び可動コア12を順次走り,その磁力により可動コア12が弁体16と共に固定コア5に吸引され,弁座7が開放されるので,弁ハウジング2内の高圧燃料は,弁体16の面取り部17を経て弁座7及び弁座孔8を通過し,燃料噴孔37から図示しない内燃機関の吸気ポートに向けて噴射される。
【0027】
この間,入口筒25と,その外周に嵌合する燃料分配管Dとの間において,被覆体32の端面及びセットリング41により保持されるOリング40は,入口筒25及び燃料分配管D間からの燃料のリークを防ぐ。
【0028】
ところで,そのOリング40の装着に当たっては,先ず,入口筒25の露出端部25aに外周にOリング40を,被覆体32の端面32aに当接するところまで嵌装し,次いでセットリング41を,弾性係止爪41aの先端を軸方向外方に向けて露出端部25aの外周に押し込めば,弾性係止爪41aは,各弾性係止爪41aは軸方向外方に撓みながら係止溝42に弾性的に係合することができる。
【0029】
このように,露出端部25aへのOリング40の嵌装後に,Oリング40を保持するセットリング41を係止溝42に係合するので,Oリング40を大きく拡張させる必要がなく,Oリング40の傷つきの心配がない。また合成樹脂製の被覆体32の端面32aの形成には,分割金型を使用する必要がないから,該端面にバリが形成される心配もなく,したがって被覆体32の端面とセットリング41との間で保持されるOリング40のシール機能を常に正常に保つことができる。さらにセットリング41が係合する,露出端部25aの環状の係止溝42は,極めて浅いものであるから,この係止溝42の形成のための切削量は極めて少なく,素材の歩留りへの影響は殆どなく,コストの低減を図ることができる。
【0030】
またセットリング41では,その係止爪41aがOリング40と反対側に斜めに屈曲しているから,セットリング41の係止溝42への装着に当たっては,係止爪41aが撓むことにより,係止爪41aの係止溝42への係合を容易,確実に行うことができ,しかもOリング40が係止爪41aの先端に接触することを回避し,Oリング40の係止爪41aによる傷つきを未然に防ぐことができる。
【0031】
本発明は上記実施例に限定されるものではなく,その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。例えば,上記実施例ではカプラ34及び被覆体32を一体に成形したが,これらを分離して成形することもできる。
【0032】
【発明の効果】
以上のように本発明の第1の特徴によれば,一端部に燃料入口が開口する入口筒を有し,他端部に弁座部材を円筒状の金属製ケーシングの外周に合成樹脂製の被覆体をモールド結合した燃料噴射弁において,前記入口筒の,前記被覆体から露出した露出端部外周にOリングを嵌装し,このOリングの軸方向外方で前記露出端部外周面に形成した環状の係止溝に,前記被覆体の端面と協働して前記Oリングを挟持する環状のセットリングを弾性的に係合したので,入口筒の露出端部へのOリングの嵌装後に,セットリングを係止溝に係合することが可能となり,したがってOリングを大きく拡張させる必要がなく,Oリングの傷つきの心配が解消される。また合成樹脂製の被覆体の端面の形成には,分割金型を使用する必要がないから,該端面にバリが形成される心配もなく,したがって被覆体の端面とセットリングとの間で保持されるOリングのシール機能を常に正常に保つことができる。さらにセットリングが係合する,露出端部の環状の係止溝は,極めて浅いもので足りるので,この係止溝の形成のための切削量は極めて少なく,素材の歩留りへの影響は殆どなく,コストの低減に寄与し得る。
【0033】
また本発明は,第1の特徴に加えて,前記セットリングの内周には,前記Oリングと反対方向に斜めに屈曲して前記係止溝に係合する弾性係止爪を周方向に複数並べて形成したので,セットリングの係止溝への装着に当たっては,係止爪が撓むことにより,係止爪の係止溝への係合を容易,確実に行うことができ,しかもOリングが係止爪の先端に接触することを回避し,Oリングの係止爪による傷つきを未然に防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る内燃機関用電磁式燃料噴射弁の縦断面図
【図2】図1の2部拡大図
【図3】係止リングの斜視図
【符号の説明】
I・・・・・燃料噴射弁
1・・・・・ケーシング
3・・・・・弁座部材
24・・・・燃料入口
25・・・・入口筒
25a・・・露出端部
32・・・・被覆体
32a・・・被覆体の端面
34・・・・カプラ
40・・・・Oリング
41・・・・セットリング
41a・・・弾性係止爪
42・・・・係止溝
【発明の属する技術分野】
本発明は,主として内燃機関の燃料供給系に使用される燃料噴射弁に関し,特に,一端部に燃料入口が開口する入口筒を有し,他端部に弁座部材を円筒状の金属製ケーシングの外周に合成樹脂製の被覆体をモールド結合した燃料噴射弁のOリング取り付け構造の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来,燃料噴射弁のOリング取り付け構造として,下記のものが知られている。
(1)ケーシングの燃料入口側端部の外周面に,Oリングを装着するための環状溝を切削加工により形成した構造。
(2)ケーシングの燃料入口側端部の外周面まで合成樹脂製の被覆体で被覆し,この被覆体の端部外周面に,Oリングを装着するための環状溝を該被覆体の成形時に形成した構造。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記(1)の構造では,ケーシングの燃料入口側端部の外周面に,Oリングを装着するに充分な比較的向かい環状溝を切削するので,素材の歩留りが悪く,コストの低減が困難であり,その上,Oリングの環状溝への装着に際しては,Oリングを一旦大きく拡張させて,環状溝に隣接する鍔部を乗り越えさせなければならず,Oリングを傷つける虞がある。
【0004】
また上記(2)の構造では,合成樹脂成形の被覆体の外周に成形型により環状溝を形成するには,環状溝の直径方向に分割した成形型を使用するため,その環状溝の溝底や内側面に成形型の分割面に対応した部分に微細なバリが形成されてしまい,これがOリングのシール機能を損なうことがある。またこの構造においても,Oリングの環状溝への装着に際しては,Oリングを一旦大きく拡張させて,環状溝に隣接する鍔部を乗り越えさせなければならないから,Oリングを傷つける虞がある。
【0005】
本発明は,かゝる事情に鑑みてなされたもので,Oリングを損傷させることなく,しかもOリングのシール機能を損なうことなく,ケーシング外周へのOリングの装着を容易に行い得るようにした,燃料噴射弁のOリング取り付け構造を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために,本発明は,一端部に燃料入口が開口する入口筒を有し,他端部に弁座部材を円筒状の金属製ケーシングの外周に合成樹脂製の被覆体をモールド結合した燃料噴射弁において,前記入口筒の,前記被覆体から露出した露出端部外周にOリングを嵌装し,このOリングの軸方向外方で前記露出端部外周面に形成した環状の係止溝に,前記被覆体の端面と協働して前記Oリングを挟持する環状のセットリングを弾性的に係合したことを第1の特徴とする。
【0007】
この第1の特徴によれば,入口筒の露出端部へのOリングの嵌装後に,セットリングを係止溝に係合することが可能となり,したがってOリングを大きく拡張させる必要がなく,Oリングの傷つきの心配が解消される。また合成樹脂製の被覆体の端面の形成には,分割金型を使用する必要がないから,該端面にバリが形成される心配もなく,したがって被覆体の端面とセットリングとの間で保持されるOリングのシール機能を常に正常に保つことができる。さらにセットリングが係合する,露出端部の環状の係止溝は,極めて浅いもので足りるので,この係止溝の形成のための切削量は極めて少なく,素材の歩留りへの影響は殆どなく,コストの低減に寄与し得る。
【0008】
また本発明は,第1の特徴に加えて,前記セットリングの内周には,前記Oリングと反対方向に斜めに屈曲して前記係止溝に係合する弾性係止爪を周方向に複数並べて形成したことを第2の第2の特徴とする。
【0009】
この第2の特徴によれば,セットリングの係止溝への装着に当たっては,係止爪が撓むことにより,係止爪の係止溝への係合を容易,確実に行うことができ,しかもOリングが係止爪の先端に接触することを回避し,Oリングの係止爪による傷つきを未然に防ぐことができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を,添付図面に示す本発明の好適な実施例に基づいて以下に説明する。
【0011】
図1は本発明に係る内燃機関用電磁式燃料噴射弁の縦断面図,図2は図1の2部拡大図,図3は係止リングの斜視図である。
【0012】
先ず,図1において,内燃機関用電磁式燃料噴射弁Iのケーシング1は,円筒状の弁ハウジング2(磁性体)と,この弁ハウジング2の前端部に液密に結合される有底円筒状の弁座部材3と,弁ハウジング2の後端に環状スペーサ4を挟んで液密に結合される円筒状の固定コア5とから構成される。
【0013】
環状スペーサ4は,ステンレス鋼等の非磁性金属製であり,その両端面に弁ハウジング2及び固定コア5が突き当てられて液密に全周溶接される。
【0014】
弁座部材3及び弁ハウジング2の対向端部には,第1嵌合筒部3a及び第2嵌合筒部2aがそれぞれ形成される。そして第1嵌合筒部3aが第2嵌合筒部2a内にストッパプレート6と共に圧入され,ストッパプレート6は,弁ハウジング2と弁座部材3間で挟持される。その後,第1嵌合筒部3aの外周面と第2嵌合筒部2aの端面とに挟まれる隅部の全周にわたりレーザ溶接又はビーム溶接を施すことにより,弁ハウジング2及び弁座部材3が相互に液密に結合される。
【0015】
弁座部材3には,その前端面に下流端を開口する円錐状の弁座7と,この弁座7の上流端,即ち大径部に連なる円筒状のガイド孔9とが設けられており,そのガイド孔9は,前記第2嵌合筒部2aと同軸上に形成される。
【0016】
弁ハウジング2及び環状スペーサ4内には,固定コア5の前端面に対して進退し得る可動コア12が収容され,この可動コア12に,前記ガイド孔9に軸方向摺動自在に嵌装される弁体16が一体的に結合される。この弁体16は,弁座7に着座し得る球状の弁部16aと,ガイド孔9に摺動自在に支承される前後一対のジャーナル部16b,16bと,前記ストッパプレート6に当接して弁体16の開弁限界を規定するフランジ16cとを一体に備えており,各ジャーナル部16bには,燃料の流通を可能にする複数の面取り部17が設けられる。
【0017】
固定コア5は,弁ハウジング2内と連通する中空部21を有しており,その中空部21に,可動コア12を弁体16の閉じ方向,即ち弁座7への着座方向に付勢するコイル状の弁ばね22と,この弁ばね22の後端を支承するパイプ状のリテーナ23とが収容される。
【0018】
固定コア5の後端には,パイプ状のリテーナ23を介して固定コア5の中空部21に連通する燃料入口24を持つ入口筒25が一体に連設され,その燃料入口24に燃料フィルタ27が装着される。
【0019】
環状スペーサ4及び固定コア5の外周にはコイル組立体28が嵌装される。このコイル組立体28は,環状スペーサ4及び固定コア5に外周面に嵌合するボビン29と,これに巻装されるコイル30とからなっており,このコイル組立体28を囲繞するコイルハウジング31の一端部が弁ハウジング2の外周面に溶接により結合される。
【0020】
コイルハウジング31,コイル組立体28及び固定コア5は合成樹脂製の被覆体32内に埋封され,この被覆体32の中間部には,前記コイル30に連なる接続端子33を備えたカプラ34が一体に連設される。
【0021】
図2に示すように,入口筒25の端部は,被覆体32の端面32aから一定長さ露出した露出端部25aとなっており,この露出端部25aの外周にOリング40が嵌装される。このOリング40の軸方向外方において露出端部25aの外周面には比較的浅い環状の係止溝42が切削により形成されており,この係止溝42には,被覆体32の端面32aと協働して上記Oリング40を挟持する環状のセットリング41が弾性的に係合される。このセットリング41は,図2及び図3に示すように,板ばね材から環状に打ち抜かれたもので,その内周には,Oリング40と反対側に斜めに屈曲して係止溝42に形成する弾性係止爪41aが周方向に複数並べて一体に形成されている。上記Oリング40は,入口筒25の外周に嵌合される燃料分配管Dの内周面に密接して,入口筒25及び燃料分配管D間のシールを行うものである。
【0022】
再び,図1において,弁座部材3の前端壁には,弁座7の下流側でそれと同軸に並ぶ弁座孔8が形成される。弁座部材3の前端面には鋼板製のインジェクタプレート36がレーザビームによる全周溶接により接合される。このインジェクタプレート36には,弁座孔8に連通する1個又は複数個の燃料噴孔37が穿設されている。
【0023】
また弁ハウジング2から弁座部材3にかけて,それらの外周に環状のシールホルダ48が嵌合され,このシールホルダ48と,弁座部材3の前端部に嵌着される合成樹脂製のキャップ45との間に環状溝46が画成され,この環状溝46に,弁座部材3の外周面に密接するOリング47が装着される。このOリング47は,この電磁式燃料噴射弁Iを図示しない吸気マニホールドの燃料噴射弁取り付け孔に装着したとき,その取り付け孔の内周面に密接するようになっている。
【0024】
次に,この実施例の作用について説明する。
【0025】
コイル30を消磁した状態では,弁ばね22の付勢力で可動コア12及び弁体16が前方に押圧され,その弁部16aを弁座7に着座させている。したがって,燃料分配管Dから燃料フィルタ27及び入口筒25を通して弁ハウジング2内に供給された高圧燃料は,弁ハウジング2内に待機させられる。
【0026】
コイル30を通電により励磁すると,それにより生ずる磁束が固定コア5,コイルハウジング31,弁ハウジング2及び可動コア12を順次走り,その磁力により可動コア12が弁体16と共に固定コア5に吸引され,弁座7が開放されるので,弁ハウジング2内の高圧燃料は,弁体16の面取り部17を経て弁座7及び弁座孔8を通過し,燃料噴孔37から図示しない内燃機関の吸気ポートに向けて噴射される。
【0027】
この間,入口筒25と,その外周に嵌合する燃料分配管Dとの間において,被覆体32の端面及びセットリング41により保持されるOリング40は,入口筒25及び燃料分配管D間からの燃料のリークを防ぐ。
【0028】
ところで,そのOリング40の装着に当たっては,先ず,入口筒25の露出端部25aに外周にOリング40を,被覆体32の端面32aに当接するところまで嵌装し,次いでセットリング41を,弾性係止爪41aの先端を軸方向外方に向けて露出端部25aの外周に押し込めば,弾性係止爪41aは,各弾性係止爪41aは軸方向外方に撓みながら係止溝42に弾性的に係合することができる。
【0029】
このように,露出端部25aへのOリング40の嵌装後に,Oリング40を保持するセットリング41を係止溝42に係合するので,Oリング40を大きく拡張させる必要がなく,Oリング40の傷つきの心配がない。また合成樹脂製の被覆体32の端面32aの形成には,分割金型を使用する必要がないから,該端面にバリが形成される心配もなく,したがって被覆体32の端面とセットリング41との間で保持されるOリング40のシール機能を常に正常に保つことができる。さらにセットリング41が係合する,露出端部25aの環状の係止溝42は,極めて浅いものであるから,この係止溝42の形成のための切削量は極めて少なく,素材の歩留りへの影響は殆どなく,コストの低減を図ることができる。
【0030】
またセットリング41では,その係止爪41aがOリング40と反対側に斜めに屈曲しているから,セットリング41の係止溝42への装着に当たっては,係止爪41aが撓むことにより,係止爪41aの係止溝42への係合を容易,確実に行うことができ,しかもOリング40が係止爪41aの先端に接触することを回避し,Oリング40の係止爪41aによる傷つきを未然に防ぐことができる。
【0031】
本発明は上記実施例に限定されるものではなく,その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。例えば,上記実施例ではカプラ34及び被覆体32を一体に成形したが,これらを分離して成形することもできる。
【0032】
【発明の効果】
以上のように本発明の第1の特徴によれば,一端部に燃料入口が開口する入口筒を有し,他端部に弁座部材を円筒状の金属製ケーシングの外周に合成樹脂製の被覆体をモールド結合した燃料噴射弁において,前記入口筒の,前記被覆体から露出した露出端部外周にOリングを嵌装し,このOリングの軸方向外方で前記露出端部外周面に形成した環状の係止溝に,前記被覆体の端面と協働して前記Oリングを挟持する環状のセットリングを弾性的に係合したので,入口筒の露出端部へのOリングの嵌装後に,セットリングを係止溝に係合することが可能となり,したがってOリングを大きく拡張させる必要がなく,Oリングの傷つきの心配が解消される。また合成樹脂製の被覆体の端面の形成には,分割金型を使用する必要がないから,該端面にバリが形成される心配もなく,したがって被覆体の端面とセットリングとの間で保持されるOリングのシール機能を常に正常に保つことができる。さらにセットリングが係合する,露出端部の環状の係止溝は,極めて浅いもので足りるので,この係止溝の形成のための切削量は極めて少なく,素材の歩留りへの影響は殆どなく,コストの低減に寄与し得る。
【0033】
また本発明は,第1の特徴に加えて,前記セットリングの内周には,前記Oリングと反対方向に斜めに屈曲して前記係止溝に係合する弾性係止爪を周方向に複数並べて形成したので,セットリングの係止溝への装着に当たっては,係止爪が撓むことにより,係止爪の係止溝への係合を容易,確実に行うことができ,しかもOリングが係止爪の先端に接触することを回避し,Oリングの係止爪による傷つきを未然に防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る内燃機関用電磁式燃料噴射弁の縦断面図
【図2】図1の2部拡大図
【図3】係止リングの斜視図
【符号の説明】
I・・・・・燃料噴射弁
1・・・・・ケーシング
3・・・・・弁座部材
24・・・・燃料入口
25・・・・入口筒
25a・・・露出端部
32・・・・被覆体
32a・・・被覆体の端面
34・・・・カプラ
40・・・・Oリング
41・・・・セットリング
41a・・・弾性係止爪
42・・・・係止溝
Claims (2)
- 一端部に燃料入口(24)が開口する入口筒(25)を有し,他端部に弁座部材(3)を円筒状の金属製ケーシング(1)の外周に合成樹脂製の被覆体(32)をモールド結合した燃料噴射弁において,
前記入口筒(25)の,前記被覆体(32)から露出した露出端部(25a)外周にOリング(40)を嵌装し,このOリング(40)の軸方向外方で前記露出端部(25a)外周面に形成した環状の係止溝(42)に,前記被覆体(32)の端面(32a)と協働して前記Oリング(40)を挟持する環状のセットリング(41)を弾性的に係合したことを特徴とする,燃料噴射弁のOリング取り付け構造。 - 請求項1記載の燃料噴射弁のOリング取り付け構造において,
前記セットリング(41)の内周には,前記Oリング(40)と反対方向に斜めに屈曲して前記係止溝(42)に係合する弾性係止爪(41a)を周方向に複数並べて形成したことを特徴とする,燃料噴射弁のOリング取り付け構造。
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JP2002220257A JP2004060534A (ja) | 2002-07-29 | 2002-07-29 | 燃料噴射弁のoリング取り付け構造 |
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ID=31940932
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017075606A (ja) * | 2013-01-22 | 2017-04-20 | ローベルト ボッシュ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング | 燃料を案内する構成部材、燃料噴射弁および接続部材を有する燃料噴射装置 |
-
2002
- 2002-07-29 JP JP2002220257A patent/JP2004060534A/ja not_active Withdrawn
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