JP2004059960A - 被覆部材およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】基材表面上に肉盛溶接にて形成された被覆層を有する被覆部材において、該被膜層をなすTi系材料のTiと合金化させる構成元素を有為に選択することにより、該被膜層に耐侵食性とともに耐磨耗性をも効果的に付与することを可能とし、ひいては耐食性および耐摩耗性をともに有用なものとすることを可能とする被覆部材およびその製造方法を提供することを目的とする
【解決手段】基材2の表面上に肉盛溶接にて形成されてなる被覆層4を有する被覆部材1において、該被覆層4をTi−Ni系合金から構成させる。
【選択図】 図1
【解決手段】基材2の表面上に肉盛溶接にて形成されてなる被覆層4を有する被覆部材1において、該被覆層4をTi−Ni系合金から構成させる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、被覆部材およびその製造方法に関し、詳細には肉盛溶接にて被覆層が形成されてなる被覆部材およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
Tiや、Ti−6Al−4Vに代表されるTi合金などのTi系材料は、非常に優れた耐食性を有するものとされる。そこで、耐食性が要求される用途の部材においては、金属材料、合金材料などにて構成される基材表面に、Ti系材料からなる被覆層を溶射法等により溶着形成させるなどして、耐食性の確保を図ることが種々なされている。しかしながら、Tiそのものは、焼き付けやすく耐磨耗性に劣る欠点を有したものとされる。そのため、Ti系材料からなる被覆層の表面に対して、さらに、メッキ法、熱拡散法や溶射法などを用いた表面処理を施すなどして、該被覆層の耐磨耗性の確保が図られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した被覆層の表面に対する表面処理を行なうことは、作業効率の低下を招くのは当然としても、表面処理にて新たに形成した表面層と被膜層との密着性が十分に確保できないといった問題が生じる場合がある。そこで、被膜層を形成するTi系材料の観点より、Tiと合金化させる構成元素や、Ti系材料における構成元素の含有量を適正化することで、被膜層の耐食性とともに耐摩耗性をも確保することは重要な課題といえる。まさに、本発明は、この課題を鑑みてなされたものであって、即ち本発明は、被膜層をなすTi系材料のTiと合金化させる構成元素を有為に選択することにより、該被膜層に耐侵食性とともに耐磨耗性をも効果的に付与することを可能とし、ひいては耐食性および耐摩耗性をともに有用なものとすることを可能とする被覆部材およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段および作用・効果】
上記課題を解決するための本発明の被膜部材は、
基材表面上に肉盛溶接にて形成された被覆層を有する被覆部材であって、該被覆層はTi−Ni系合金からなることを特徴とする。
【0005】
上記本発明は、基材表面上に形成された被覆層を有する被覆部材とされる。また、該被覆層が担う主機能は、耐食性および耐磨耗性の確保とされる。そこで、本発明の被覆層であるが、まず耐食性の確保の観点から、Tiを必須としたTi合金より構成されてなる。そして、該Ti合金におけるTiと合金化させる元素成分の種類が、被覆層にて耐摩耗性をも確保する際の重要な観点とされるが、この点に対して、本発明においては、Tiと合金化させる元素の第一をNiとする。つまり、耐食性とともに耐磨耗性をも効果的に被覆層に付与させるために、本発明の被覆層は、TiとNiとを必須成分とするTi−Ni系合金より構成されてなる。Ti−Ni系合金と言えば、一般的に形状記憶効果や超弾性効果に注目が集まっているが、本発明においては、そのような側面とは一切関係はなく、TiとNiとを合金化させることで、Tiの優れた耐食性を有効に活用するとともに、耐磨耗性の向上をも可能とする点が特徴である。
【0006】
また、本発明における被覆層は、基材表面上に肉盛溶接にて形成されてなる。
被覆層を溶射法などにて基材表面に溶着形成させることも可能であるが、溶着形成させた場合、基材に対する被覆層の接合性が十分に確保できず、被覆層が基材から剥離しやすくなる不具合や、被覆層の形成厚さの増加に伴い、被覆層において層間剥離が起こりやすくなる不具合がある。この被覆層における層間剥離の現象により、溶着形成では、被覆層の形成厚さに限度(例えば、1mm程度)が生じ、被覆層の形成厚さの増大に伴う耐摩耗性の向上という利点を有効に使うことができない。しかしながら、本発明においては、基材の表層部を溶融し、Ti−Ni系合金からなる被覆層を基材表面上に肉盛溶接にて形成させるので、該被覆層の基材に対する接合性を十分に確保できることは勿論、所望の厚さに被覆層を形成することができ、被覆層の層厚を増加させることで該被覆層の耐摩耗性を有為に高めることが可能とされる。
【0007】
上記本発明の被覆層をなすTi−Ni系合金の具体的な組成としては、TiとNiとの少なくともいずれかを主成分とし、TiとNiとの合計含有量が、95重量%以上100重量%以下とすればよい。ここで、この合計含有量が、95重量%より小さくなると、耐食性および耐磨耗性をともに効果的に被覆層に付与できない場合があるからである。なお、本明細書における「主成分」とは、該主成分の重量含有率が、他のいずれの成分単独の重量含有率よりも高くなっていることを意味する。
また、基材をなす材料は、特に限定されるものではなく、耐食性および耐磨耗性がもとめられる種々の適用分野に応じて任意に選択すればよい。例えば、金属材料、合金材料などの公知の基材材料から適宜選択される。
【0008】
次に本発明の被覆層をなすTi−Ni系合金におけるNi含有量は、40〜60重量%とされることを特徴とする。Ti−Ni系合金における組成としては、TiとNiとの少なくともいずれかを主成分とし、TiとNiとの合計含有量が95重量%以上100重量%以下とすればよいことを上述したが、特には、Ni含有量を40〜60重量%の範囲とすることが望ましい。該Ni含有量が、40重量%未満または60重量%より大きくなると、耐磨耗性を高める効果を十分に得ることがでない場合があるからである。そこで、被覆層をなすTi−Ni系合金におけるNi含有量を40〜60重量%とすることで、該被覆層に耐食性とともに耐磨耗性をさらに効果的に付与することができる。
【0009】
次に、本発明の被覆層をなすTi−Ni系合金には、Coが5重量%以下含有されてなることを特徴とする。Ti−Ni系合金に、Coを含有させた場合、Coは硬化元素として振舞うので、肉盛溶接にて形成される被覆層を緻密形成させることができ、ひいては該被覆層の耐磨耗性をさらに高めることが可能となる。
しかしながら、このCoの含有量が5重量%を超えると、逆に被覆層の耐磨耗性が抑制されてしまうことがあるので、該Coの含有量は、5重量%以下とするのが望ましい。また、ここで述べたCo以外にも、Fe、V、Cr、Mnなどを適宜、Ti−Ni系合金に含有させても構わない。
【0010】
次に本発明の基材は、TiもしくはFeを主成分とする材料よりなることを特徴とする。まず、Tiを主成分とする材料、例えば、純TiやTi合金よりなる基材は、耐食性については問題ないが、やはり耐摩耗性に劣るという場合がある。そこで、本発明の被覆層を形成することで、簡便に耐食性とともに耐磨耗性に富んだものとすることができる。特に、純Tiからなる基材において、この効果が最も顕著に現れると言える。また、純Tiからなる基材自体は、その硬度に起因して変形などの不具合が生じやすいが、本発明の被覆層を形成した場合、該被覆層の硬度を基材より大きくすることができるので、そのような不具合を抑制することも可能となる。
【0011】
一方、Feを主成分とする材料からなる基材表面上に、例えば、耐食性を付与するためにTiやTi合金からなる被覆層を肉盛溶接にて形成した場合、基材と被覆層との間に形成される基材の成分と被覆層の成分とからなる合金層に、基材の成分であるFeと被覆層の成分であるTiとの金属間化合物が過度に生成されやすい。そして、それに起因して、基材に対する被覆層の接合性が低下するとともに、該被覆層に剥離や、割れなどの不具合が発生してしまうことがある。しかしながら、本発明に示すように被覆層を、Ti−Ni系合金より構成することで、該Ti−Ni系合金を構成するTiと基材に由来するFeとの金属間化合物の生成を抑制することができるとともに、耐食性および耐磨耗性を被覆層に付与することが可能となる。特には、Ti−Ni系合金におけるNi含有量を、40重量%以上とすることで、この金属間化合物の生成をよりよく抑制することができる。
【0012】
Feを主成分とする材料からなる基材に、本発明の被覆層は有為に適用できることを上述した。このような基材材料の中でも、特に鋼材とした場合、本発明の被覆層は格別有為に適用される。鋼材からなる基材は、耐食性や耐磨耗性が要求される機械、構造物や配管などの部材に広く適用されてなるが、例えば、TiやTi合金からなる被覆層を肉盛溶接にて形成し、さらに耐食性などの向上を図る場合、鋼材の成分であるFeと、被覆層の成分であるTiとの金属間化合物が過度に生成され、形成される被覆層の脆弱化を招くことが特に問題視されていた。
しかしながら、被覆層を、本発明の示すようにTi−Ni系合金から構成することで、耐食性および耐磨耗性を効果的に高めるができるとともに、形成される被覆層の脆弱化につながる、上記のFeとTiとの金属化合物の生成をも抑制することが可能となる。ここで、基材材料しての鋼材の材料としては、耐食性および耐磨耗が要求される基材に適用される公知のものを用いることが可能であるが、具体的には、一般補助用圧延鋼材(JIS:SS材)、溶接構造用圧延鋼材(JIS:SM材)、機械構造用炭素鋼(JIS:SC材)、ステンレス鋼材(JIS:SUS材)などを挙げることができる。特には、被覆層を肉盛溶接にて形成する際の、炭素の焼入れによる割れなどの発生を抑制する意図で、鋼材に含有される炭素の当量は低ければ低いほどよい。そのような意味でも、特には、一般補助用圧延鋼材(JIS:SS材)、溶接構造用圧延鋼材(JIS:SM材)が、本発明の基材の材料としては好適である。
【0013】
次に、本発明の被覆部材においては、基材と被覆層との間に、Fe含有率が基材のFe含有率の95%以下であり、かつ、Ti含有率が被覆層のTi含有率の95%以下となる、基材成分と被覆層成分との合金層が厚さ50〜100μmの範囲にて形成され、該合金層全体のFeとTiとの合計含有率が30〜50原子%とされるとともに、層厚方向の局所的なFe含有率が30原子%以上とされる層領域の厚さが50μm以下とされることを特徴とする。
【0014】
上述したが、基材表面上に肉盛溶接にて被覆層を形成した場合、基材と被覆層との間には、基材成分と被覆層成分との合金層が形成されることになる。該合金層の層厚の増加は、肉盛溶接時に溶融する基材の表層部の層厚が増加することを意味する。また、この合金層の層厚の増加に伴い、該合金層に自身の脆弱化に繋がる金属間化合物などの発生がなければ、基本的に肉盛溶接にて形成される被覆層の基材に対する接合性は増加する。そこで、基材と被覆層との間に形成される、Fe含有率が基材のFe含有率の95%以下であり、かつ、Ti含有率が被覆層のTi含有率の95%以下と定義される合金層(以下、本「課題を解決するための手段および作用・効果」の段では、このように定義されたものを単に合金層と呼ぶ)の層厚は、50μm以上とされる。該層厚が50μm未満となると、被覆層の基材に対する接合性が十分に得られない場合があるからである。一方、この合金層の層厚は、100μm以下とされる。該層厚が、100μmを超えると、肉盛溶接にて溶融される基材の表層部の層厚が大きくなるすぎ、基材成分のFeと、被覆層成分のTiとの金属間化合物が過度に合金層に生成される場合があるからである。これら内容を加味して、合金層の層厚は、50μm以上100μm以下とすることが望ましい。
【0015】
また、上記合金層全体のFeとTiとの合計含有率は30〜50原子%とされる。肉盛溶接時に溶融された基材表層部の成分と、被覆層成分とが合金化することにより合金層は形成される。そこで、この合金層全体のFeとTiとの合計含有率を考えた場合、該合計含有率が30原子%未満であると、合金層全体にて、被覆層成分と基材成分とが均一に合金化せず、合金層の緻密性が抑制され、ひいては、被覆層の基材に対する接合性が悪化する場合がある。一方、この合計含有率が50原子%を超えると、基材成分のFeと、被覆層成分のTiとの金属間化合物が過度に合金層に生成される場合がある。これら内容を加味して、合金層全体のFeとTiとの合計含有率は30〜50原子%とすることが望ましい。
【0016】
また、上記合金層における層厚方向の局所的なFe含有率が30原子%以上とされる層領域の厚さは50μm以下とされる。ここまでに、FeとTiとの金属間化合物が過度に生成されると、被覆層の基材に対する接合性が抑制される点については、繰り返し述べてきた。該金属間化合物の具体的な組成としては、TiFe2、TiFe、Ti2Feを挙げることができる。このように、TiとFeとの組成比が、1:2、1:1、2:1となる領域に金属間化合物が生成されやすい。そこで、このような金属間化合物の生成を抑制するために、局所的な領域でのFe含有率が原子%で、1/3以上となる領域をできる限り少なくすることは有効な一手段といえる。よって、上記合金層における層厚方向の局所的なFe含有率が30原子%以上とされる層領域の厚さを50μm以下とすることで、効果的にFeとTiとの金属間化合物の合金層全体での生成量を抑えることが可能となる。また、該層領域の厚さは、勿論小さいほどよく、その下限値は特に限定されるものではないが、例えば、合金層の層厚の下限値が50μmであることを考慮した場合、少なくとも、25μm程度となるようにすることが望ましい。
【0017】
上記のように合金層の層厚、合金層全体でのTiとFeとの合計含有量および層厚方向の局所的なFe含有率が30原子%以上となる層厚を、それぞれ規定することで、被覆層の基材に対する接合性を十分に確保することが可能となるとともに、耐食性および耐磨耗性を基材に付与する役割を被覆層が有用に果たすことが可能となる。
【0018】
次に、本発明の被覆層の層厚は、1mm以上とされることを特徴とする。上記したように本発明の被覆層は、肉盛溶接にて基材表面上に形成されるので、従来の溶射法などにて溶着形成させた場合に比べて、その層厚を十分に大きくすることができる。具体的には、その層厚を1mm以上とすることができる。その結果、被覆層の層厚を増大させることによる耐摩耗性の向上という利点を有効に活用することができる。また、被覆層の層厚の上限値は、特に限定されるものではなく、被覆部材が適用される公知の分野において、常識的な設計範囲とされるものである。例えば、2mm程度である。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係わる被覆部材の一実施形態について図面を併用して説明する。
図1は、本発明の被覆部材の一実施形態を示す概略断面図である。図1(a)の被覆部材4は、基材2の一方の主表面上に肉盛溶接にて形成されてなる被覆層4を有したものであるのに対して、図1(b)の被覆部材4は、管状の基材2の一方の主表面上に肉盛溶接にて形成されてなる被覆層4を有したものとされる。
そして、被覆層4は、Ti−Ni系合金から形成される。該Ti−Ni系合金の具体的な組成としては、例えば、TiとNiとの少なくともいずれかを主成分とし、TiとNiとの合計含有量が、95重量%以上100重量%以下とされる。
このようなTi−Ni系合金からなる被覆層4とすることで、被覆部材1を、耐食性および耐磨耗性ともに優れた部材とすることが可能となる。また、被覆層4を肉盛溶接にて形成することで、被覆層4の基材2に対する接合性を十分に確保できるとともに、被覆層4に発生する層間剥離や、被覆層4が基材2から剥離してしまうなどの不具合を効果的に抑制することができる。また、被覆層を肉盛溶接に形成させる際には、基材の表層部が溶融されるが、そのため、基材2と被覆層4との間には、基材2の成分と被覆層4の成分との合金層3が形成される。なお、本明細書においては、この合金層3も含めて、合金層とは、基材をなす主成分の含有率が、該主成分の基材における含有率の95%以下であり、かつ、Ti含有率が被覆層のTi含有率の95%以下となる、基材成分と被覆層成分との合金化がなされた層を指すものとするとともに、該合金層に被覆層および基材は当接してなるものとする。
【0020】
上記のように、基材2の表面上に被覆層4を形成することで、被覆部材1を耐食性および耐磨耗性に優れたものとすることができるが、図1に示した被覆部材の形態以外にも、例えば、図1(a)のもう一方の基材の主表面に、さらに被覆層を形成させた形態や、基材を取り囲むように被覆層を形成させた形態とすることもできる。また、図1(b)においては、管状の基材の内周面とされる主表面上に被覆層が形成されてなるが、さらに、基材の外周面上にも被覆層を形成させた形態や、基材の外周面上のみに被覆層を形成させた形態とすることもできる。
このようにして、本発明の被覆部材の形態としては、適用分野にて求められる基材の形状などに応じて、その基材の表面上に肉盛溶接にて被覆層を形成させた種々の形態を取ることが可能である。
【0021】
図1に示した被覆部材も含めて、本発明の被覆部材をなす被覆層を肉盛溶接にて形成させる溶接方法としては、プラズマアーク放電を用いた公知の肉盛溶接法を用いることができる。特には、被覆層をなす材料からなる粉末を用いた粉末プラズマ溶接法による肉盛溶接にて、被覆層を形成するのがよい。該粉末プラズマ溶接法を用いた場合、Ti溶接棒やNi溶接棒といった溶接棒を形成する必要がなく、作業効率や作業コストの観点から有用な方法と言える。また、この粉末プラズマ溶接法にて被覆層を形成する場合、用いる粉末の溶剤材料は、被覆層をなす所望のTi−Ni系合金の組成に合わせた、Ti−Ni系合金粉末または、該Ti−Ni系合金をなす各元素の粉末のいずれかとすればよい。また、Ti−Ni系合金をなす各元素の粉末を用いる場合は、それら元素の粉末を、それぞれ個別の送給管より粉末を送給する形や、混合粉末を送給管より送給する形のいずれでもよい。
【0022】
以下、本発明の効果を確認するために行なった実施例について述べる。
【0023】
(実施例1)
図1(a)にて示したような被覆部材の形成を行なった。基材は、軟鋼(JIS SS400)より構成し、寸法を高さ10mm×幅100mm×長さ150mmとした。また、該基材の主表面上に、粉末プラズマ溶接を用いた肉盛溶接にて被覆層の形成を行なった。粉末プラズマ溶接にて用いた粉末材料の組成は、表1に示すものとした。このような条件にて被覆部材とされる実施品1、2を形成した。なお、実施品1は、Tiを50重量%、Niを50重量%とする合金粉末を用いた粉末プラズマ溶接にて形成し、実施品2は、用いる粉末の総重量に対して、Ti粉末を50重量%、Ni粉末を50重量%とするとともに、それぞれ個別の送給管1および送給管2より粉末を送給した形のプラズマ溶接にて形成したものである。
(比較例1)
被覆層の形成を溶射法にて行なった以外は、上記実施例と同条件にて被覆部材とされる比較品1の形成を行なった。また、この溶射法にては、Tiを50重量%、Niを50重量%とする合金粉末を用いた。
(比較例2)
Tiが50重量%、Niが50重量%とされる溶製材のバルク材を、比較品2として用意した。
【0024】
実施品は粉末プラズマ溶接法による肉盛溶接にて形成したものであるので、実施品における基材と被覆層との間には合金層が形成されることになる。そこで、被覆層の形成厚さを求めるために、まず、基材をなす主成分(本実施例ではFe)の含有率が、基材における含有率の95%以下であり、かつ、Ti含有率が被覆層のTi含有率の95%以下と定義される合金層の層厚を、被覆層の表面より基材への深さ方向に断面EPMA(Electron Probe Micro Analysis:電子プローブ微小分析)測定を行なうことにより求めた。そして、該合金層の層厚を基に求めた被覆層の層厚を、表1に示す。また、比較品1における被覆層の層厚は、比較品1の高さより、被覆層を形成する前の基材の高さを引いたものと定義するとともに、その結果も合わせて表1に示す。
【0025】
表1より、実施品1および2の被覆層の層厚は2mmとされる。これら実施品の被覆層の断面をSEM(Scanning Electron Microscope:走査型電子顕微鏡)にて観察したが、剥離や表面の剥がれは認められなかった。一方、比較品1の被覆層の層厚は1mmとされるが、この被覆層の断面をSEM(Scanning Electron Microscope:走査型電子顕微鏡)にて観察したところ、層間剥がれに起因する剥離が認められるとともに、すでに、基材表面からの層厚が0.5mmの領域に剥離の存在が認められた。このように、被覆層の層厚を増大させる、特には1mm以上とすることによる耐摩耗性の向上という利点を有効に活用するためには、肉盛溶接を用いた被覆層の形成が有効であることが確認された。
【0026】
上記実施品および比較品に対して、磨耗性および耐食性の試験を行なった。
(磨耗試験)
上記同条件にて形成した実施品および比較品を、高さ5mm×幅25mm×長さ55mmの平板試験片に機械加工し、該平板試験片の磨耗試験を、大越式磨耗試験機(相手材:軸受け鋼(JIS SUJ2)、φ30mm×長さ3mm)を用いて行なった。また、磨耗試験は、磨耗距離を200mm、磨耗速度を2m/秒、最終荷重を125Nの条件で行なった。そして、ここで得られた比磨耗量の結果を、磨耗性の評価基準とした。なお、実施品より採取した平板試験片の高さ(5mm)は、実施品の被膜層側表面より深さが1mmとされる位置から、基材方向に5mm深い位置までに対応するように機械加工されたものとされる。また、比較品1より採取した平板試験片の高さ(5mm)は、比較品の被膜層側表面から基材方向に5mm深い位置までに対応するように機械加工されたものとされる。
(耐食性)
上記同条件にて形成した実施品および比較品より、上記磨耗試験と同様の条件・方法にて高さ5mm×幅25mm×長さ55mmの平板試験片を機械加工にて作製した。そして、該平板試験片に対して、塩水噴霧試験(JIS Z 2731に準じ、保持時間2時間)を行った。そして、試験片の被膜層表面の外観を観察して、錆発生面積率が5%未満のものを○、5%以上10%未満のものを△、10%以上のものを×とする基準を、耐食性の評価基準とした。なお、当然であるが、被膜層表面における不動態膜の形成領域は錆領域として認めないものとした。
【0027】
上記耐摩耗性および耐食性の試験結果を表1に示す。表1に示すように、耐食性については、実施品および比較品とともに、良好な結果となった。しかしながら、耐摩耗性については、溶射法にて形成した比較品1は、良好なものとならず、肉盛溶接にて形成した実施品のみが、バルク材とされる比較品2と同程度の良好なものとなった。この結果からも、耐食性とともに耐磨耗性をも被覆部材に付与するためには、被覆層を肉盛溶接にて形成することが有用であることが分かる。また、実施品1のものは、合金粉末を用いて被覆層を形成したものであるが、実施品2よりも耐摩耗性に優れたものとなった。この結果は、予め合金組成として粉末を形成しておくことで、被膜層をより均一な合金組成にて形成できるためと考えられる。なお、本実施例における耐摩耗性の評価としては、比磨耗量が5.0×10−5mm3/Nm以下のものを、耐摩耗性が十分に良好なものとし、比磨耗量が3.0×10−5mm3/Nm以下のものを、耐磨耗性が特に良好なものとする。
【0028】
【表1】
【0029】
上述した結果より、Ti−Ni系合金より被覆層を形成し、かつ該被覆層を肉盛溶接にて形成することで、被覆部材が、耐食性とともに耐摩耗性をも優れたものとなることが確認された。
【0030】
(実施例2)
粉末プラズマ溶接にて用いる粉末材料の組成を種々変化させて、被覆層を形成した以外は、実施例1と同様の条件にて、被覆部材とされる実施品3〜13の形成を行なった。それぞれの実施品形成の際、粉末プラズマ溶接にて用いた粉末材料の組成を表2に示す。これら形成した実施品3〜13のそれぞれに対して、上記同様の条件で、耐摩耗性および耐食性の試験を行なった。また、上記同様の方法にて被覆層の形成厚さを求めた。これら、耐摩耗性、耐食性および被覆層の形成厚さの結果も、合わせて表2に示す。
【0031】
【表2】
【0032】
実施品3〜9のものは、合金粉末を用いた粉末プラズマ溶接にて被覆層を形成したものであり、実施品10〜13のものは、送給管1と送給管2の個別の形で、それぞれ粉末または混合粉末を送給した形の粉末プラズマ溶接にて被覆層を形成したものである。これら、実施品3〜13のものは、耐食性および耐摩耗性ともに良好なものとなったが、用いた粉末全体において同じ組成となるものを対比した場合、実施品3〜9のものは、実施品10〜13のものより、特に、耐摩耗性が優れたものであることが分かる。
【0033】
また、例えば、実施品8と9との結果より分かるが、用いる粉末全体の重量に対するNiの重量%が60重量%を超えると、耐摩耗性が急激に抑制される結果となる。また、例えば実施品3と4との結果より分かるが、用いる粉末全体の重量に対するNiの重量%が40重量%以上となると、耐摩耗性が急激に向上する結果となる。これら結果より、被覆部材における耐摩耗性をさらに向上させるには、Niの含有量を40重量%以上60重量%以下とするのがよいことが分かった。また、Niの含有量が60重量%を超えると、実施品9や実施品13のように、耐食性も幾分低下するので、Niの含有量は40重量%以上60重量%以下とするのが望ましいと言える。
【0034】
さらに、実施品4と実施品5との結果より分かるが、Coを含有させることで、被覆部材の耐摩耗性が向上する結果となる。また、Coの含有量は、5重量%を超えると(実施品7)、耐摩耗性の低下に繋がるので、そのCoの含有量は5重量%以下とするのが望ましいと言える。
【0035】
なお、上記した実施例1から13の被覆層の形成厚さを求める際に、該被覆層の表面より基材への深さ方向に断面EPMA測定を行なったが、被覆層の組成は、表1および表2に示した、粉末プラズマ溶接に用いた粉末の組成と略同一の組成となっていることを確認している。
【0036】
上述の実施例の結果より、本発明の被覆部材は、耐食性のみならず耐磨耗性に富んだものであることが確認された。なお、上記した実施形態および実施例は、あくまで例示的なものであり、本発明の被覆部材は、これら実施形態および実施例に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の被覆部材の一実施形態を示す概略断面図
【符号の説明】
1 被覆部材
2 基材
3 合金層
4 被覆層
【発明の属する技術分野】
本発明は、被覆部材およびその製造方法に関し、詳細には肉盛溶接にて被覆層が形成されてなる被覆部材およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
Tiや、Ti−6Al−4Vに代表されるTi合金などのTi系材料は、非常に優れた耐食性を有するものとされる。そこで、耐食性が要求される用途の部材においては、金属材料、合金材料などにて構成される基材表面に、Ti系材料からなる被覆層を溶射法等により溶着形成させるなどして、耐食性の確保を図ることが種々なされている。しかしながら、Tiそのものは、焼き付けやすく耐磨耗性に劣る欠点を有したものとされる。そのため、Ti系材料からなる被覆層の表面に対して、さらに、メッキ法、熱拡散法や溶射法などを用いた表面処理を施すなどして、該被覆層の耐磨耗性の確保が図られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した被覆層の表面に対する表面処理を行なうことは、作業効率の低下を招くのは当然としても、表面処理にて新たに形成した表面層と被膜層との密着性が十分に確保できないといった問題が生じる場合がある。そこで、被膜層を形成するTi系材料の観点より、Tiと合金化させる構成元素や、Ti系材料における構成元素の含有量を適正化することで、被膜層の耐食性とともに耐摩耗性をも確保することは重要な課題といえる。まさに、本発明は、この課題を鑑みてなされたものであって、即ち本発明は、被膜層をなすTi系材料のTiと合金化させる構成元素を有為に選択することにより、該被膜層に耐侵食性とともに耐磨耗性をも効果的に付与することを可能とし、ひいては耐食性および耐摩耗性をともに有用なものとすることを可能とする被覆部材およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段および作用・効果】
上記課題を解決するための本発明の被膜部材は、
基材表面上に肉盛溶接にて形成された被覆層を有する被覆部材であって、該被覆層はTi−Ni系合金からなることを特徴とする。
【0005】
上記本発明は、基材表面上に形成された被覆層を有する被覆部材とされる。また、該被覆層が担う主機能は、耐食性および耐磨耗性の確保とされる。そこで、本発明の被覆層であるが、まず耐食性の確保の観点から、Tiを必須としたTi合金より構成されてなる。そして、該Ti合金におけるTiと合金化させる元素成分の種類が、被覆層にて耐摩耗性をも確保する際の重要な観点とされるが、この点に対して、本発明においては、Tiと合金化させる元素の第一をNiとする。つまり、耐食性とともに耐磨耗性をも効果的に被覆層に付与させるために、本発明の被覆層は、TiとNiとを必須成分とするTi−Ni系合金より構成されてなる。Ti−Ni系合金と言えば、一般的に形状記憶効果や超弾性効果に注目が集まっているが、本発明においては、そのような側面とは一切関係はなく、TiとNiとを合金化させることで、Tiの優れた耐食性を有効に活用するとともに、耐磨耗性の向上をも可能とする点が特徴である。
【0006】
また、本発明における被覆層は、基材表面上に肉盛溶接にて形成されてなる。
被覆層を溶射法などにて基材表面に溶着形成させることも可能であるが、溶着形成させた場合、基材に対する被覆層の接合性が十分に確保できず、被覆層が基材から剥離しやすくなる不具合や、被覆層の形成厚さの増加に伴い、被覆層において層間剥離が起こりやすくなる不具合がある。この被覆層における層間剥離の現象により、溶着形成では、被覆層の形成厚さに限度(例えば、1mm程度)が生じ、被覆層の形成厚さの増大に伴う耐摩耗性の向上という利点を有効に使うことができない。しかしながら、本発明においては、基材の表層部を溶融し、Ti−Ni系合金からなる被覆層を基材表面上に肉盛溶接にて形成させるので、該被覆層の基材に対する接合性を十分に確保できることは勿論、所望の厚さに被覆層を形成することができ、被覆層の層厚を増加させることで該被覆層の耐摩耗性を有為に高めることが可能とされる。
【0007】
上記本発明の被覆層をなすTi−Ni系合金の具体的な組成としては、TiとNiとの少なくともいずれかを主成分とし、TiとNiとの合計含有量が、95重量%以上100重量%以下とすればよい。ここで、この合計含有量が、95重量%より小さくなると、耐食性および耐磨耗性をともに効果的に被覆層に付与できない場合があるからである。なお、本明細書における「主成分」とは、該主成分の重量含有率が、他のいずれの成分単独の重量含有率よりも高くなっていることを意味する。
また、基材をなす材料は、特に限定されるものではなく、耐食性および耐磨耗性がもとめられる種々の適用分野に応じて任意に選択すればよい。例えば、金属材料、合金材料などの公知の基材材料から適宜選択される。
【0008】
次に本発明の被覆層をなすTi−Ni系合金におけるNi含有量は、40〜60重量%とされることを特徴とする。Ti−Ni系合金における組成としては、TiとNiとの少なくともいずれかを主成分とし、TiとNiとの合計含有量が95重量%以上100重量%以下とすればよいことを上述したが、特には、Ni含有量を40〜60重量%の範囲とすることが望ましい。該Ni含有量が、40重量%未満または60重量%より大きくなると、耐磨耗性を高める効果を十分に得ることがでない場合があるからである。そこで、被覆層をなすTi−Ni系合金におけるNi含有量を40〜60重量%とすることで、該被覆層に耐食性とともに耐磨耗性をさらに効果的に付与することができる。
【0009】
次に、本発明の被覆層をなすTi−Ni系合金には、Coが5重量%以下含有されてなることを特徴とする。Ti−Ni系合金に、Coを含有させた場合、Coは硬化元素として振舞うので、肉盛溶接にて形成される被覆層を緻密形成させることができ、ひいては該被覆層の耐磨耗性をさらに高めることが可能となる。
しかしながら、このCoの含有量が5重量%を超えると、逆に被覆層の耐磨耗性が抑制されてしまうことがあるので、該Coの含有量は、5重量%以下とするのが望ましい。また、ここで述べたCo以外にも、Fe、V、Cr、Mnなどを適宜、Ti−Ni系合金に含有させても構わない。
【0010】
次に本発明の基材は、TiもしくはFeを主成分とする材料よりなることを特徴とする。まず、Tiを主成分とする材料、例えば、純TiやTi合金よりなる基材は、耐食性については問題ないが、やはり耐摩耗性に劣るという場合がある。そこで、本発明の被覆層を形成することで、簡便に耐食性とともに耐磨耗性に富んだものとすることができる。特に、純Tiからなる基材において、この効果が最も顕著に現れると言える。また、純Tiからなる基材自体は、その硬度に起因して変形などの不具合が生じやすいが、本発明の被覆層を形成した場合、該被覆層の硬度を基材より大きくすることができるので、そのような不具合を抑制することも可能となる。
【0011】
一方、Feを主成分とする材料からなる基材表面上に、例えば、耐食性を付与するためにTiやTi合金からなる被覆層を肉盛溶接にて形成した場合、基材と被覆層との間に形成される基材の成分と被覆層の成分とからなる合金層に、基材の成分であるFeと被覆層の成分であるTiとの金属間化合物が過度に生成されやすい。そして、それに起因して、基材に対する被覆層の接合性が低下するとともに、該被覆層に剥離や、割れなどの不具合が発生してしまうことがある。しかしながら、本発明に示すように被覆層を、Ti−Ni系合金より構成することで、該Ti−Ni系合金を構成するTiと基材に由来するFeとの金属間化合物の生成を抑制することができるとともに、耐食性および耐磨耗性を被覆層に付与することが可能となる。特には、Ti−Ni系合金におけるNi含有量を、40重量%以上とすることで、この金属間化合物の生成をよりよく抑制することができる。
【0012】
Feを主成分とする材料からなる基材に、本発明の被覆層は有為に適用できることを上述した。このような基材材料の中でも、特に鋼材とした場合、本発明の被覆層は格別有為に適用される。鋼材からなる基材は、耐食性や耐磨耗性が要求される機械、構造物や配管などの部材に広く適用されてなるが、例えば、TiやTi合金からなる被覆層を肉盛溶接にて形成し、さらに耐食性などの向上を図る場合、鋼材の成分であるFeと、被覆層の成分であるTiとの金属間化合物が過度に生成され、形成される被覆層の脆弱化を招くことが特に問題視されていた。
しかしながら、被覆層を、本発明の示すようにTi−Ni系合金から構成することで、耐食性および耐磨耗性を効果的に高めるができるとともに、形成される被覆層の脆弱化につながる、上記のFeとTiとの金属化合物の生成をも抑制することが可能となる。ここで、基材材料しての鋼材の材料としては、耐食性および耐磨耗が要求される基材に適用される公知のものを用いることが可能であるが、具体的には、一般補助用圧延鋼材(JIS:SS材)、溶接構造用圧延鋼材(JIS:SM材)、機械構造用炭素鋼(JIS:SC材)、ステンレス鋼材(JIS:SUS材)などを挙げることができる。特には、被覆層を肉盛溶接にて形成する際の、炭素の焼入れによる割れなどの発生を抑制する意図で、鋼材に含有される炭素の当量は低ければ低いほどよい。そのような意味でも、特には、一般補助用圧延鋼材(JIS:SS材)、溶接構造用圧延鋼材(JIS:SM材)が、本発明の基材の材料としては好適である。
【0013】
次に、本発明の被覆部材においては、基材と被覆層との間に、Fe含有率が基材のFe含有率の95%以下であり、かつ、Ti含有率が被覆層のTi含有率の95%以下となる、基材成分と被覆層成分との合金層が厚さ50〜100μmの範囲にて形成され、該合金層全体のFeとTiとの合計含有率が30〜50原子%とされるとともに、層厚方向の局所的なFe含有率が30原子%以上とされる層領域の厚さが50μm以下とされることを特徴とする。
【0014】
上述したが、基材表面上に肉盛溶接にて被覆層を形成した場合、基材と被覆層との間には、基材成分と被覆層成分との合金層が形成されることになる。該合金層の層厚の増加は、肉盛溶接時に溶融する基材の表層部の層厚が増加することを意味する。また、この合金層の層厚の増加に伴い、該合金層に自身の脆弱化に繋がる金属間化合物などの発生がなければ、基本的に肉盛溶接にて形成される被覆層の基材に対する接合性は増加する。そこで、基材と被覆層との間に形成される、Fe含有率が基材のFe含有率の95%以下であり、かつ、Ti含有率が被覆層のTi含有率の95%以下と定義される合金層(以下、本「課題を解決するための手段および作用・効果」の段では、このように定義されたものを単に合金層と呼ぶ)の層厚は、50μm以上とされる。該層厚が50μm未満となると、被覆層の基材に対する接合性が十分に得られない場合があるからである。一方、この合金層の層厚は、100μm以下とされる。該層厚が、100μmを超えると、肉盛溶接にて溶融される基材の表層部の層厚が大きくなるすぎ、基材成分のFeと、被覆層成分のTiとの金属間化合物が過度に合金層に生成される場合があるからである。これら内容を加味して、合金層の層厚は、50μm以上100μm以下とすることが望ましい。
【0015】
また、上記合金層全体のFeとTiとの合計含有率は30〜50原子%とされる。肉盛溶接時に溶融された基材表層部の成分と、被覆層成分とが合金化することにより合金層は形成される。そこで、この合金層全体のFeとTiとの合計含有率を考えた場合、該合計含有率が30原子%未満であると、合金層全体にて、被覆層成分と基材成分とが均一に合金化せず、合金層の緻密性が抑制され、ひいては、被覆層の基材に対する接合性が悪化する場合がある。一方、この合計含有率が50原子%を超えると、基材成分のFeと、被覆層成分のTiとの金属間化合物が過度に合金層に生成される場合がある。これら内容を加味して、合金層全体のFeとTiとの合計含有率は30〜50原子%とすることが望ましい。
【0016】
また、上記合金層における層厚方向の局所的なFe含有率が30原子%以上とされる層領域の厚さは50μm以下とされる。ここまでに、FeとTiとの金属間化合物が過度に生成されると、被覆層の基材に対する接合性が抑制される点については、繰り返し述べてきた。該金属間化合物の具体的な組成としては、TiFe2、TiFe、Ti2Feを挙げることができる。このように、TiとFeとの組成比が、1:2、1:1、2:1となる領域に金属間化合物が生成されやすい。そこで、このような金属間化合物の生成を抑制するために、局所的な領域でのFe含有率が原子%で、1/3以上となる領域をできる限り少なくすることは有効な一手段といえる。よって、上記合金層における層厚方向の局所的なFe含有率が30原子%以上とされる層領域の厚さを50μm以下とすることで、効果的にFeとTiとの金属間化合物の合金層全体での生成量を抑えることが可能となる。また、該層領域の厚さは、勿論小さいほどよく、その下限値は特に限定されるものではないが、例えば、合金層の層厚の下限値が50μmであることを考慮した場合、少なくとも、25μm程度となるようにすることが望ましい。
【0017】
上記のように合金層の層厚、合金層全体でのTiとFeとの合計含有量および層厚方向の局所的なFe含有率が30原子%以上となる層厚を、それぞれ規定することで、被覆層の基材に対する接合性を十分に確保することが可能となるとともに、耐食性および耐磨耗性を基材に付与する役割を被覆層が有用に果たすことが可能となる。
【0018】
次に、本発明の被覆層の層厚は、1mm以上とされることを特徴とする。上記したように本発明の被覆層は、肉盛溶接にて基材表面上に形成されるので、従来の溶射法などにて溶着形成させた場合に比べて、その層厚を十分に大きくすることができる。具体的には、その層厚を1mm以上とすることができる。その結果、被覆層の層厚を増大させることによる耐摩耗性の向上という利点を有効に活用することができる。また、被覆層の層厚の上限値は、特に限定されるものではなく、被覆部材が適用される公知の分野において、常識的な設計範囲とされるものである。例えば、2mm程度である。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係わる被覆部材の一実施形態について図面を併用して説明する。
図1は、本発明の被覆部材の一実施形態を示す概略断面図である。図1(a)の被覆部材4は、基材2の一方の主表面上に肉盛溶接にて形成されてなる被覆層4を有したものであるのに対して、図1(b)の被覆部材4は、管状の基材2の一方の主表面上に肉盛溶接にて形成されてなる被覆層4を有したものとされる。
そして、被覆層4は、Ti−Ni系合金から形成される。該Ti−Ni系合金の具体的な組成としては、例えば、TiとNiとの少なくともいずれかを主成分とし、TiとNiとの合計含有量が、95重量%以上100重量%以下とされる。
このようなTi−Ni系合金からなる被覆層4とすることで、被覆部材1を、耐食性および耐磨耗性ともに優れた部材とすることが可能となる。また、被覆層4を肉盛溶接にて形成することで、被覆層4の基材2に対する接合性を十分に確保できるとともに、被覆層4に発生する層間剥離や、被覆層4が基材2から剥離してしまうなどの不具合を効果的に抑制することができる。また、被覆層を肉盛溶接に形成させる際には、基材の表層部が溶融されるが、そのため、基材2と被覆層4との間には、基材2の成分と被覆層4の成分との合金層3が形成される。なお、本明細書においては、この合金層3も含めて、合金層とは、基材をなす主成分の含有率が、該主成分の基材における含有率の95%以下であり、かつ、Ti含有率が被覆層のTi含有率の95%以下となる、基材成分と被覆層成分との合金化がなされた層を指すものとするとともに、該合金層に被覆層および基材は当接してなるものとする。
【0020】
上記のように、基材2の表面上に被覆層4を形成することで、被覆部材1を耐食性および耐磨耗性に優れたものとすることができるが、図1に示した被覆部材の形態以外にも、例えば、図1(a)のもう一方の基材の主表面に、さらに被覆層を形成させた形態や、基材を取り囲むように被覆層を形成させた形態とすることもできる。また、図1(b)においては、管状の基材の内周面とされる主表面上に被覆層が形成されてなるが、さらに、基材の外周面上にも被覆層を形成させた形態や、基材の外周面上のみに被覆層を形成させた形態とすることもできる。
このようにして、本発明の被覆部材の形態としては、適用分野にて求められる基材の形状などに応じて、その基材の表面上に肉盛溶接にて被覆層を形成させた種々の形態を取ることが可能である。
【0021】
図1に示した被覆部材も含めて、本発明の被覆部材をなす被覆層を肉盛溶接にて形成させる溶接方法としては、プラズマアーク放電を用いた公知の肉盛溶接法を用いることができる。特には、被覆層をなす材料からなる粉末を用いた粉末プラズマ溶接法による肉盛溶接にて、被覆層を形成するのがよい。該粉末プラズマ溶接法を用いた場合、Ti溶接棒やNi溶接棒といった溶接棒を形成する必要がなく、作業効率や作業コストの観点から有用な方法と言える。また、この粉末プラズマ溶接法にて被覆層を形成する場合、用いる粉末の溶剤材料は、被覆層をなす所望のTi−Ni系合金の組成に合わせた、Ti−Ni系合金粉末または、該Ti−Ni系合金をなす各元素の粉末のいずれかとすればよい。また、Ti−Ni系合金をなす各元素の粉末を用いる場合は、それら元素の粉末を、それぞれ個別の送給管より粉末を送給する形や、混合粉末を送給管より送給する形のいずれでもよい。
【0022】
以下、本発明の効果を確認するために行なった実施例について述べる。
【0023】
(実施例1)
図1(a)にて示したような被覆部材の形成を行なった。基材は、軟鋼(JIS SS400)より構成し、寸法を高さ10mm×幅100mm×長さ150mmとした。また、該基材の主表面上に、粉末プラズマ溶接を用いた肉盛溶接にて被覆層の形成を行なった。粉末プラズマ溶接にて用いた粉末材料の組成は、表1に示すものとした。このような条件にて被覆部材とされる実施品1、2を形成した。なお、実施品1は、Tiを50重量%、Niを50重量%とする合金粉末を用いた粉末プラズマ溶接にて形成し、実施品2は、用いる粉末の総重量に対して、Ti粉末を50重量%、Ni粉末を50重量%とするとともに、それぞれ個別の送給管1および送給管2より粉末を送給した形のプラズマ溶接にて形成したものである。
(比較例1)
被覆層の形成を溶射法にて行なった以外は、上記実施例と同条件にて被覆部材とされる比較品1の形成を行なった。また、この溶射法にては、Tiを50重量%、Niを50重量%とする合金粉末を用いた。
(比較例2)
Tiが50重量%、Niが50重量%とされる溶製材のバルク材を、比較品2として用意した。
【0024】
実施品は粉末プラズマ溶接法による肉盛溶接にて形成したものであるので、実施品における基材と被覆層との間には合金層が形成されることになる。そこで、被覆層の形成厚さを求めるために、まず、基材をなす主成分(本実施例ではFe)の含有率が、基材における含有率の95%以下であり、かつ、Ti含有率が被覆層のTi含有率の95%以下と定義される合金層の層厚を、被覆層の表面より基材への深さ方向に断面EPMA(Electron Probe Micro Analysis:電子プローブ微小分析)測定を行なうことにより求めた。そして、該合金層の層厚を基に求めた被覆層の層厚を、表1に示す。また、比較品1における被覆層の層厚は、比較品1の高さより、被覆層を形成する前の基材の高さを引いたものと定義するとともに、その結果も合わせて表1に示す。
【0025】
表1より、実施品1および2の被覆層の層厚は2mmとされる。これら実施品の被覆層の断面をSEM(Scanning Electron Microscope:走査型電子顕微鏡)にて観察したが、剥離や表面の剥がれは認められなかった。一方、比較品1の被覆層の層厚は1mmとされるが、この被覆層の断面をSEM(Scanning Electron Microscope:走査型電子顕微鏡)にて観察したところ、層間剥がれに起因する剥離が認められるとともに、すでに、基材表面からの層厚が0.5mmの領域に剥離の存在が認められた。このように、被覆層の層厚を増大させる、特には1mm以上とすることによる耐摩耗性の向上という利点を有効に活用するためには、肉盛溶接を用いた被覆層の形成が有効であることが確認された。
【0026】
上記実施品および比較品に対して、磨耗性および耐食性の試験を行なった。
(磨耗試験)
上記同条件にて形成した実施品および比較品を、高さ5mm×幅25mm×長さ55mmの平板試験片に機械加工し、該平板試験片の磨耗試験を、大越式磨耗試験機(相手材:軸受け鋼(JIS SUJ2)、φ30mm×長さ3mm)を用いて行なった。また、磨耗試験は、磨耗距離を200mm、磨耗速度を2m/秒、最終荷重を125Nの条件で行なった。そして、ここで得られた比磨耗量の結果を、磨耗性の評価基準とした。なお、実施品より採取した平板試験片の高さ(5mm)は、実施品の被膜層側表面より深さが1mmとされる位置から、基材方向に5mm深い位置までに対応するように機械加工されたものとされる。また、比較品1より採取した平板試験片の高さ(5mm)は、比較品の被膜層側表面から基材方向に5mm深い位置までに対応するように機械加工されたものとされる。
(耐食性)
上記同条件にて形成した実施品および比較品より、上記磨耗試験と同様の条件・方法にて高さ5mm×幅25mm×長さ55mmの平板試験片を機械加工にて作製した。そして、該平板試験片に対して、塩水噴霧試験(JIS Z 2731に準じ、保持時間2時間)を行った。そして、試験片の被膜層表面の外観を観察して、錆発生面積率が5%未満のものを○、5%以上10%未満のものを△、10%以上のものを×とする基準を、耐食性の評価基準とした。なお、当然であるが、被膜層表面における不動態膜の形成領域は錆領域として認めないものとした。
【0027】
上記耐摩耗性および耐食性の試験結果を表1に示す。表1に示すように、耐食性については、実施品および比較品とともに、良好な結果となった。しかしながら、耐摩耗性については、溶射法にて形成した比較品1は、良好なものとならず、肉盛溶接にて形成した実施品のみが、バルク材とされる比較品2と同程度の良好なものとなった。この結果からも、耐食性とともに耐磨耗性をも被覆部材に付与するためには、被覆層を肉盛溶接にて形成することが有用であることが分かる。また、実施品1のものは、合金粉末を用いて被覆層を形成したものであるが、実施品2よりも耐摩耗性に優れたものとなった。この結果は、予め合金組成として粉末を形成しておくことで、被膜層をより均一な合金組成にて形成できるためと考えられる。なお、本実施例における耐摩耗性の評価としては、比磨耗量が5.0×10−5mm3/Nm以下のものを、耐摩耗性が十分に良好なものとし、比磨耗量が3.0×10−5mm3/Nm以下のものを、耐磨耗性が特に良好なものとする。
【0028】
【表1】
【0029】
上述した結果より、Ti−Ni系合金より被覆層を形成し、かつ該被覆層を肉盛溶接にて形成することで、被覆部材が、耐食性とともに耐摩耗性をも優れたものとなることが確認された。
【0030】
(実施例2)
粉末プラズマ溶接にて用いる粉末材料の組成を種々変化させて、被覆層を形成した以外は、実施例1と同様の条件にて、被覆部材とされる実施品3〜13の形成を行なった。それぞれの実施品形成の際、粉末プラズマ溶接にて用いた粉末材料の組成を表2に示す。これら形成した実施品3〜13のそれぞれに対して、上記同様の条件で、耐摩耗性および耐食性の試験を行なった。また、上記同様の方法にて被覆層の形成厚さを求めた。これら、耐摩耗性、耐食性および被覆層の形成厚さの結果も、合わせて表2に示す。
【0031】
【表2】
【0032】
実施品3〜9のものは、合金粉末を用いた粉末プラズマ溶接にて被覆層を形成したものであり、実施品10〜13のものは、送給管1と送給管2の個別の形で、それぞれ粉末または混合粉末を送給した形の粉末プラズマ溶接にて被覆層を形成したものである。これら、実施品3〜13のものは、耐食性および耐摩耗性ともに良好なものとなったが、用いた粉末全体において同じ組成となるものを対比した場合、実施品3〜9のものは、実施品10〜13のものより、特に、耐摩耗性が優れたものであることが分かる。
【0033】
また、例えば、実施品8と9との結果より分かるが、用いる粉末全体の重量に対するNiの重量%が60重量%を超えると、耐摩耗性が急激に抑制される結果となる。また、例えば実施品3と4との結果より分かるが、用いる粉末全体の重量に対するNiの重量%が40重量%以上となると、耐摩耗性が急激に向上する結果となる。これら結果より、被覆部材における耐摩耗性をさらに向上させるには、Niの含有量を40重量%以上60重量%以下とするのがよいことが分かった。また、Niの含有量が60重量%を超えると、実施品9や実施品13のように、耐食性も幾分低下するので、Niの含有量は40重量%以上60重量%以下とするのが望ましいと言える。
【0034】
さらに、実施品4と実施品5との結果より分かるが、Coを含有させることで、被覆部材の耐摩耗性が向上する結果となる。また、Coの含有量は、5重量%を超えると(実施品7)、耐摩耗性の低下に繋がるので、そのCoの含有量は5重量%以下とするのが望ましいと言える。
【0035】
なお、上記した実施例1から13の被覆層の形成厚さを求める際に、該被覆層の表面より基材への深さ方向に断面EPMA測定を行なったが、被覆層の組成は、表1および表2に示した、粉末プラズマ溶接に用いた粉末の組成と略同一の組成となっていることを確認している。
【0036】
上述の実施例の結果より、本発明の被覆部材は、耐食性のみならず耐磨耗性に富んだものであることが確認された。なお、上記した実施形態および実施例は、あくまで例示的なものであり、本発明の被覆部材は、これら実施形態および実施例に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の被覆部材の一実施形態を示す概略断面図
【符号の説明】
1 被覆部材
2 基材
3 合金層
4 被覆層
Claims (8)
- 基材表面上に肉盛溶接にて形成された被覆層を有する被覆部材であって、該被覆層はTi−Ni系合金からなることを特徴とする被覆部材。
- 前記Ti−Ni系合金におけるNi含有量は、40〜60重量%とされることを特徴とする請求項1記載の被覆部材。
- 前記Ti−Ni系合金には、Coが5重量%以下含有されてなることを特徴とする請求項2記載の被覆部材。
- 前記基材は、TiもしくはFeを主成分とする材料よりなることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の被覆部材。
- 前記基材は、鋼材とされることを特徴とする請求項4記載の被覆部材。
- 前記基材と前記被覆層との間に、Fe含有率が前記基材のFe含有率の95%以下であり、かつ、Ti含有率が前記被覆層のTi含有率の95%以下となる、基材成分と被覆層成分との合金層が厚さ50〜100μmの範囲にて形成され、該合金層全体のFeとTiとの合計含有率が30〜50原子%とされるとともに、層厚方向の局所的なFe含有率が30原子%以上とされる層領域の厚さが50μm以下とされることを特徴とする請求項5記載の被覆部材。
- 前記被覆層の層厚は、1mm以上とされることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の被覆部材。
- 請求項1ないし7のいずれか1項に記載の被覆部材の製造方法であって、
前記被覆層を、Ti−Ni系合金粉末または、該Ti−Ni系合金をなす各元素の粉末を溶接材料とする粉末プラズマ溶接法を用いた肉盛溶接にて、形成することを特徴とする被覆部材の製造方法。
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JP2002216936A Pending JP2004059960A (ja) | 2002-07-25 | 2002-07-25 | 被覆部材およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2004059960A (ja) |
-
2002
- 2002-07-25 JP JP2002216936A patent/JP2004059960A/ja active Pending
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