JP2004059900A - 硬質ポリウレタンフォーム - Google Patents
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Abstract
【課題】硬質ポリウレタンフォーム製造原料配合液中のポリエステルポリオールの加水分解を抑制して配合液の貯蔵安定性を高める。
【解決手段】ポリイソシアネート成分と、ポリオール成分、発泡剤、触媒及びその他の助剤を混合した配合液とを混合して発泡させて得られる硬質ポリウレタンフォーム。発泡剤として水を用い、触媒としてイミダゾール系化合物を用い、配合液中の水分量に対するイミダゾール系化合物の含有量の重量割合を0.05〜5.0とする。発泡剤として水及び/又はハイドロフルオロカーボンを用い、ポリイソシアネート成分と配合液を30℃において2ヶ月放置した後液温度10℃における反応性変化の程度が所定値以下となる硬質ポリウレタンフォーム。
【解決手段】ポリイソシアネート成分と、ポリオール成分、発泡剤、触媒及びその他の助剤を混合した配合液とを混合して発泡させて得られる硬質ポリウレタンフォーム。発泡剤として水を用い、触媒としてイミダゾール系化合物を用い、配合液中の水分量に対するイミダゾール系化合物の含有量の重量割合を0.05〜5.0とする。発泡剤として水及び/又はハイドロフルオロカーボンを用い、ポリイソシアネート成分と配合液を30℃において2ヶ月放置した後液温度10℃における反応性変化の程度が所定値以下となる硬質ポリウレタンフォーム。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は硬質ポリウレタンフォームに係り、特に、ポリイソシアネート成分と、ポリオール成分、発泡剤、触媒及びその他の助剤を混合した配合液とをミキシングヘッドで混合して発泡させるエアレススプレー発泡に好適な硬質ポリウレタンフォームであって、発泡剤としてのハイドロフルオロカーボン(HFC)の使用量を低減するために水を併用した場合の配合液の劣化を防止し、その貯蔵安定性を高めた硬質ポリウレタンフォームに関する。
【0002】
【従来の技術】
硬質ポリウレタンフォームは、断熱性及び自己接着性に優れることから、住宅、冷蔵庫等の断熱材として広く利用されている。
【0003】
これらの用途に用いられる硬質ポリウレタンフォームは、一般にポリイソシアネート成分と、ポリオール成分、発泡剤、触媒、整泡剤及びその他の助剤を混合した配合液とをミキシングヘッドで混合して発泡させるエアレススプレー発泡で得られ、この方法であれば、施工対象物に直接吹き付け施工するという簡単な作業で、良好な硬質ポリウレタンフォームの断熱層を形成することができる。
【0004】
硬質ポリウレタンフォームにおいては、現在、主たる発泡剤として用いられているジクロロモノフルオロエタン(HCFC−141b)にはオゾン層破壊の問題がある。このため、これに代る次世代の発泡剤として、オゾン層を破壊することのないハイドロフルオロカーボン(HFC)が候補に挙げられている。HFC類にはテトラフルオロエタン(HFC134a)、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC245fa)、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン(HFC365mfc)、1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFC227ea)などがあり、これらのなかには、オゾン破壊性がなくHCFC全廃後の発泡剤として有力視される化合物もある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、HFCは地球温暖化作用の問題がある上に、高価であることから、環境への配慮及び経済性の観点から、その使用量を少なくすることが望まれる。
【0006】
また、HFCはポリオール成分及びポリイソシアネート成分に対して溶解し難いという性質を持つために、単独で使用した場合、配合液の内圧が上昇して容器の破裂や液の沸騰などが起こったり、可燃性をもつものもあり、取り扱い上の安全性が確保できないという欠点がある。特に、フォームの難燃化を図る場合、ポリオール成分としてフタル酸或いはフタル酸誘導体をエステル化反応させて得られるポリエステルポリオール化合物の適用が不可欠となるが、この場合には、とりわけHFCの溶解性が低く、配合液の内圧が上昇し易かった。このため、自ずとHFCの投入量が制限され、この結果、得られるフォームの密度が上昇するなどの問題もある。
【0007】
HFCの使用量を低減した上で発泡量を多くし、低密度のフォームを得るために、水を用い、水とポリイソシアネート成分との反応で生成する炭酸ガスを発泡剤としてHFCと共に併用することが考えられるが、この場合には、配合液中のポリエステルポリオールが加水分解を起こして正常な発泡ができなくなるという問題がある。
【0008】
一般に、エアレススプレー発泡用の配合液は、配合されてから実際に使用されるまで通常1〜2ヶ月の期間貯蔵されることが多いので、耐加水分解性を保持していることが極めて重要である。
【0009】
しかし、ポリエステルポリオールを用いて難燃性の高いフォームを得ようとすると、ポリエステルポリオールの加水分解で当初の反応性が短期間のうちに失われ、フォーム製造が困難になる。
【0010】
本発明は上記従来の問題点を解決し、ポリエステルポリオールの加水分解を抑制して配合液の貯蔵安定性を高めた硬質ポリウレタンフォームを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明(請求項1)の硬質ポリウレタンフォームは、ポリイソシアネート成分と、ポリオール成分、発泡剤、触媒及びその他の助剤を混合した配合液とを混合して発泡させて得られる硬質ポリウレタンフォームにおいて、発泡剤として水を用い、触媒としてイミダゾール系化合物を含む硬質ポリウレタンフォームであって、該配合液中の水分量に対するイミダゾール系化合物の含有量の重量割合が0.05〜5.0であることを特徴とする。
【0012】
触媒として所定量のイミダゾール系化合物を用いることにより、水を併用した場合のポリエステルポリオールの加水分解を抑制し、配合液の貯蔵安定性を高めることができる。
【0013】
本発明において、発泡剤は、水、即ち、ポリイソシアネート成分と水とを反応させて得られる炭酸ガスのみでも良いが、好ましくは、水とHFCとを併用する。
【0014】
また、本発明(請求項3)の硬質ポリウレタンフォームは、ポリイソシアネート成分と、ポリオール成分、発泡剤、触媒及びその他の助剤を混合した配合液とを混合して発泡させて得られる硬質ポリウレタンフォームにおいて、発泡剤として水及び/又はハイドロフルオロカーボンを用いた硬質ポリウレタンフォームであって、該配合液を30℃において2ヶ月放置した後、液温度10℃における反応性変化の程度が下記式(1)及び(2)を同時に満足することを特徴とする。
【0015】
【数2】
(ただし、CT0,CT2,RT0,RT2は次の通りである。
CT0:配合液の配合直後に、所定のイソシアネート指数に見合う量のポリイソシアネート成分を液温10℃で攪拌して発泡させたときのクリームタイム
RT0:配合液の配合直後に、所定のイソシアネート指数に見合う量のポリイソシアネート成分を液温10℃で攪拌して発泡させたときのライズタイム
CT2:配合液を30℃で2ヶ月放置した後、所定のイソシアネート指数に見合う量のポリイソシアネート成分と液温10℃で攪拌して発泡させたときのクリームタイム
RT2:配合液を30℃で2ヶ月放置した後、所定のイソシアネート指数に見合う量のポリイソシアネート成分と液温10℃で攪拌して発泡させたときのライズタイム)
【0016】
この硬質ポリウレタンフォームも、貯蔵時のポリエステルポリオールの加水分解が少なく、貯蔵安定性に優れる。
【0017】
この耐加水分解性をより一層高めるために、ポリオール成分としてポリエステルポリオールを5重量%以上用いた場合、該配合液中の水分量がポリオール成分100重量部に対して10重量部以下で、かつ配合液中の水分量に対するポリエステルポリオールの含有量の重量割合は0.5〜200とすることが好ましい。
【0018】
本発明においては、難燃性の向上のために、また、発泡剤として水を併用することでHFCの使用量を低減して、環境安全性、経済性を高めた上で低密度の硬質ポリウレタンフォームとするために、ポリオール成分としてフタル酸或いはフタル酸誘導体をエステル化反応させて得られるポリエステルポリオールを用いることが好ましい。
【0019】
ポリオール成分としては、特に、▲1▼及び/又は▲2▼のポリエステルポリオールを、全ポリオール成分中に5重量%以上含むことが好ましく、このようなポリエステルポリオールを用いることにより、フライアビリティを抑制することができる。
【0020】
▲1▼ ヒドロキシ成分と脂肪酸を含む酸成分とをエステル化反応させて得られるポリエステルポリオール
▲2▼ 脂肪酸エステル又は脂肪酸をエステル交換反応させて得られる脂肪酸エステルを含むポリエステルポリオール
本発明において、上記特定のポリエステルポリオールを用いることによりフライアビリティの抑制効果が得られる理由の詳細は明らかではないが、次のように推定される。
【0021】
即ち、HFCはポリオール成分や通常のイソシアネート成分に対して溶解し難く、特にポリオール成分中の芳香族成分濃度が高くなると殆ど溶解しなくなる。このようにHFCの溶解性が悪いと、得られるフォームの可塑性が失われ、フライアビリティが発現するようになる。
【0022】
これに対して、上記特定のポリエステルポリオールを用いることによりHFCとの相容性を向上させることができ、得られるフォームに適度な可塑性が得られ、フライアビリティが抑制される。
【0023】
なお、ジクロロモノフルオロエタン(HCFC−141b)では、発泡に使われずに一部がポリオール成分中に溶存したままとなり、得られるフォームは適度な可塑性を有することからフライアビリティは抑制される。即ち、フライアビリティは、発泡剤としてHFCを用いる場合に特有の問題であり、また、この場合において難燃性の向上のために芳香族成分濃度の高いポリオール成分を用いた場合により一層顕著に現れるが、上記特定のポリエステルポリオールを用いることにより、この問題を解決することができる。
【0024】
本発明の硬質ポリウレタンフォームにおいては、難燃性の向上のために、酸成分としてo−フタル酸、m−フタル酸、p−フタル酸及びこれらの誘導体よりなる群から選ばれる1種又は2種以上、好ましくはテレフタル酸、無水フタル酸及び/又はその誘導体を含むポリエステルポリオールを用いるのが好ましい。
【0025】
本発明において、HFCとしては、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC245fa)、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン(HFC365mfc)、1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFC227ea)及び1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC134a)よりなる群から選ばれる1種又は2種以上を用いることができ、次のような組み合わせで用いることができる。
【0026】
(1) 1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC245fa)95〜80重量%と1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC134a)5〜20重量%
(2) 1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン(HFC365mfc)95〜80重量%と1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFC227ea)5〜20重量%
(3) 1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC245fa)5〜95重量%と1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン(HFC365mfc)95〜5重量%
【0027】
特に、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタンを用いることにより、気泡の細かい断熱性能に優れたフォームが得られる。しかしながら、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタンを単独で用いた場合、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタンは可燃性であるため、作業時の安全性が十分に確保できないほか、得られるフォームの難燃性を低下させる恐れがある上に、分子量が大きいために所定のフォーム密度を得るための必要重量が多い。このため、発泡剤として1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタンを単独で用いることは安全面及び経済面から好ましくない。従って、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタンを用いる場合には、作業時の安全性を確保し、高難燃性で低密度の硬質ポリウレタンフォームを安価に得るために、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン以外のHFCを併用することが好ましい。
【0028】
このような本発明の硬質ポリウレタンフォームであれば、JIS A1321「建築物の内装材料及び工法の難燃性試験方法」に示される表面試験方法で難燃3級同等或いはそれ以上の難燃性能を得ることができる。
【0029】
なお、断熱材用硬質ポリウレタンフォームの難燃性の評価は、従来、JIS A1321防火材料試験、或いは建設省告示試験法第1231号に準拠して行われてきた。しかしながら、2000年6月の建築基準法の施工令改正、省令・告示公布に伴い、新難燃性基準が示され、2002年6月から全面的に切り替わることになった。実際には、国土交通省が認定する試験機関が、試験方法を同省に提案するもので、その内容は実質的にISO5660に準拠するコーンカロリーメーター試験機による発熱性試験になるが、本発明の硬質ポリウレタンフォームであれば、ISO5660に準拠するコーンカロリーメーターによる総発熱量が加熱強度50kW/m2において5分間で8MJ/m2以下であり、かつ5分間の最高発熱速度が10秒を超えて200kW/m2を超えない、新難燃性基準による難燃材料としての基準を満たすことができる。
【0030】
本発明の硬質ポリウレタンフォームは、特にポリイソシアネート成分と、ポリオール成分、発泡剤、触媒及びその他の助剤を混合した配合液とをミキシングヘッドで混合して発泡させるエアレススプレー発泡で得られる硬質ポリウレタンフォームに好適であり、この場合において、発泡剤としてのHFCは、ミキシングヘッドへの他成分の導入管路に直接注入することが、高品質の硬質ポリウレタンフォームを得る上で好ましい。このミキシングヘッドへの他成分の導入管路に直接注入するハイドロフルオロカーボンとしては、1,1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパン、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン及び1,1,1,2−テトラフルオロエタンよりなる群から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。
【0031】
前述の如く、HFCはポリオールに対する溶解性が低く、このためにプレミックス安定性に劣るが、このようなHFCを第3成分として、ミキシングヘッドに到る導管に直接導入して混合することにより、発泡安定性を高めることができるようになる。
【0032】
このような本発明の硬質ポリウレタンフォームによれば、フォームの寸法変化の割合が高温高湿下(温度50℃、相対湿度95%で24時間放置)において、発泡に平行な方向、発泡に垂直な方向ともに±5%以下であるような、高温高湿環境下に放置した際の寸法変化率が小さい、耐候寸法安定性に優れた硬質ポリウレタンフォームが提供される。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0034】
まず、本発明で用いる原料成分について説明する。
【0035】
[1] ポリイソシアネート成分
ポリイソシアネート成分としては、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート等の芳香族系ポリイソシアネート化合物、イソホロンジイソシアネート等の脂環族系ポリイソシアネート類、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族系ポリイソシアネート類等の1種又は2種以上を使用することができる。なお、ポリイソシアネート成分のイソシアネート指数は100以上、特に100〜200であることが好ましい。即ち、三量化触媒の存在の下、イソシアヌレート発泡体を得ることが好ましい。
【0036】
[2] ポリオール成分
ポリオール成分としては、好ましくはo−フタル酸、m−フタル酸、p−フタル酸及びこれらの誘導体よりなる群から選ばれる1種又は2種以上のフタル酸又はその誘導体、より好ましくはテレフタル酸(p−フタル酸)、無水フタル酸(o−フタル酸)及び/又はその誘導体をエステル化反応させて得られるフタル酸系ポリエステルポリオールを用いる。ポリオール成分として、このように芳香環を含むフタル酸系ポリエステルポリオール化合物を用いることにより、安定な難燃性を得ることができる。
【0037】
このフタル酸系ポリエステルポリオールを形成するヒドロキシ化合物としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、フェノール及びその誘導体等が挙げられ、フタル酸誘導体としてはフタル酸ジエチル、フタル酸ジメチル等が挙げられ、フタル酸系ポリエステルポリオールの好ましい水酸基価は150〜450である。
【0038】
本発明においては、好ましくは
▲1▼ ヒドロキシ成分と脂肪酸を含む酸成分とをエステル化反応させて得られるポリエステルポリオール
▲2▼ 脂肪酸エステル又は脂肪酸をエステル交換反応させて得られる脂肪酸エステルを含むポリエステルポリオール
の1種又は2種以上のポリエステルポリオール(以下「脂肪酸系ポリエステルポリオール」と称す場合がある。)を用いる。この脂肪酸系ポリエステルポリオールは、特に、o−フタル酸、m−フタル酸、p−フタル酸及びこれらの誘導体よりなる群から選ばれる1種又は2種以上を酸成分とするポリエステルポリオールを含むもの(以下「フタル酸/脂肪酸系ポリエステルポリオール」と称す場合がある。)であることが、得られるフォームの難燃性の向上の面で好ましい。
【0039】
脂肪酸系ポリエステルポリオール、好ましくはフタル酸/脂肪酸系ポリエステルポリオールの脂肪酸としては、オクチル酸、ノナン酸等の炭素数8〜9程度の脂肪酸やステアリン酸やパルミチン酸などの天然脂肪酸が挙げられ、特にフタル酸/脂肪酸系ポリエステルポリオールにおける脂肪酸の含有割合は、酸成分全体に対して10〜50重量%、とりわけ20重量%程度で残部がフタル酸及び/又はフタル酸誘導体であることが好ましい。
【0040】
また、フライアビリティのより一層の抑制のために、この脂肪酸系ポリエステルポリオール、好ましくはフタル酸/脂肪酸系ポリエステルポリオールは、プロピレングリコールをヒドロキシ成分として含むものであることが好ましい。
【0041】
また、難燃性のより一層の向上のために、この脂肪酸系ポリエステルポリオール、好ましくはフタル酸/脂肪酸系ポリエステルポリオールは、フェノール及び/又はその誘導体をヒドロキシ成分として含むものであることが好ましい。
【0042】
このような脂肪酸系ポリエステルポリオール、好ましくはフタル酸/脂肪酸系ポリエステルポリオールの好ましい水酸基価は150〜450mg−KOH/gである。
【0043】
ポリオール成分中のこのような脂肪酸系ポリエステルポリオール、好ましくはフタル酸/脂肪酸系ポリエステルポリオールの割合は、過度に少ないと十分なフライアビリティ抑制効果や更には難燃性の向上効果が得られないため、ポリオール成分中の含有量は5重量%以上とすることが好ましい。しかし、この含有量が過度に多いとフォーム強度が低下するので、ポリオール成分中に特に5〜80重量%、とりわけ40〜70重量%含有されていることが好ましい。
【0044】
ポリオール成分としては、上記脂肪酸系ポリエステルポリオールの他、フェノール及び/又はその誘導体をマンニッヒ変性して得られたポリエーテルポリオール(以下「マンニッヒ変性ポリオール」と称す。)、即ち、フェノール、或いはノニルフェノール、アルキルフェノール等のフェノール誘導体をホルムアルデヒドとジエタノールアミン等の2級アミンやアンモニア、1級アミン等を用いてマンニッヒ変性し、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを開環付加重合して得られるポリエーテルポリオールを用いても良い。このようなマンニッヒ変性ポリオールは、自己反応活性が高く、かつ難燃性も比較的高いため、マンニッヒ変性ポリオールを用いることにより、例えば、エアレススプレー発泡型硬質ポリウレタンフォームにおいて、吹き付け発泡時に難燃性能を著しく損なうことなく、速やかに反応を進めることができる。ただし、ポリオール成分中のマンニッヒ変性ポリオールが80重量%を超えると難燃性能が悪化してくるため、マンニッヒ変性ポリオールを使用する場合、そのポリオール成分中の割合は70重量%以下、特に20〜50重量%とするのが好ましい。
【0045】
更に、脂肪酸系ポリエステルポリオール及びマンニッヒ変性ポリオールの他、本発明の目的を損なわない範囲でエチレンジアミン、トリレンジアミン、シュークロース、アミノアルコール、ジエチレングリコール等のマンニッヒ変性ポリオールとは異なる開始剤のポリオール化合物をポリオール成分中40重量%以下の範囲で併用しても良い。
【0046】
[3] 触媒
触媒としては、トリエチレンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルヘキサメチレンジアミン、ジメチルアミノエチルエーテル、ピペラジン等のアミン触媒や、これらアミン触媒とギ酸、酢酸、プロピオン酸等の脂肪酸とで塩を形成した化合物、アルキル化4級アンモニウム或いはアリール化4級アンモニウム等とギ酸、酢酸、プロピオン酸等の脂肪酸とで塩を形成した4級アンモニウム塩、ジブチル錫ジラウレート、オクチル酸鉛、スタナスオクトエート、オクチル酸カリウム(2−エチルヘキシル酸カリウム)、酢酸カリウムなどの有機金属系触媒の1種又は2種以上を使用することができるが、請求項1の硬質ポリウレタンフォームにおいては、触媒としてイミダゾール系化合物を用いる。
【0047】
イミダゾール系化合物としては具体的には1−イソブチル−2−メチルイミダゾール、1−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール等の1種又は2種以上を用いることができる。なお、触媒としては、イミダゾール系化合物以外の通常硬質ポリウレタンフォームの製造に使用される触媒を併用することができ、イミダゾール系化合物と併用する触媒としては、トリエチレンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルヘキサメチレンジアミン等のアミン触媒や、ジブチル錫ジラウレート、オクチル酸鉛、スタナスオクトエート、オクチル酸カリウム(2−エチルヘキシル酸カリウム)、酢酸カリウムなどの有機金属系触媒の1種又は2種以上が挙げられる。
【0048】
請求項1の硬質ポリウレタンフォームにおいては、イミダゾール系化合物の使用割合は、配合液中の水分量に対して0.05〜5.0(重量割合)とする。即ち、
【0049】
【数3】
である。
【0050】
イミダゾール系化合物の含有量が上記範囲よりも少ないと、イミダゾール系化合物を用いたことによるポリエステルポリオールの加水分解抑制効果を十分に得ることができず、多いと発泡時に特有の臭気を帯び、作業環境が悪化したり、加水分解抑制効果が頭打ちとなる。なお、この割合は、好ましくは1.0〜4.0である。
【0051】
[4] 発泡剤
本発明では、配合液に発泡剤として水を添加し、水とポリイソシアネート化合物との反応で生成する炭酸ガスを発泡剤とする。発泡剤としては、この水添加による炭酸ガスのみでも良く、これにHFCを併用しても良い。この場合HFCとしては、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC245fa)、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン(HFC365mfc)、1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFC227ea)及び1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC134a)よりなる群から選ばれる1種又は2種以上を用いることができ、次のような組み合わせで用いることができる。
【0052】
(1) 1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC245fa)95〜80重量%と1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC134a)5〜20重量%
(2) 1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン(HFC365mfc)95〜80重量%と1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFC227ea)5〜20重量%
(3) 1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC245fa)5〜95重量%と1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン(HFC365mfc)95〜5重量%
【0053】
上記(1)の組み合わせにおいて、上記範囲を超えて1,1,1,2−テトラフルオロエタンが多いと発泡時の気化力が強すぎてスプレーの霧化が安定せず、少ないと特に気温が10℃以下の冬期環境下では気化力が弱まりフォームの密度が増大する傾向がある。(2),(3)の組み合わせにおいて、上記範囲を超えて1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタンが多いと難燃性の低下、価格の高騰の問題があり、逆に1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタンが少ないと、低沸点発泡剤の濃度増大による配合液の内圧の上昇、配合液粘度の上昇がみられる。
【0054】
なお、本発明では、これらのHFCをポリオール成分を含む配合液やポリイソシアネート成分とは別に、ミキシングヘッドに到る導管に直接導入して混合しても良い。この場合、HFCの全量をミキシングヘッドに到る導管に直接導入する必要はなく、一部をミキシングヘッドに到る導管に導入し、残部は配合液に混合しても良い。この場合、使用するHFCのうちの20%以上をミキシングヘッドに到る導管に導入し、残部を配合液に混合することが好ましい。
【0055】
水を発泡剤として用いることにより、即ち、水とイソシアネートとを反応させて生成する炭酸ガスを発泡剤として用いることにより、フォームの低密度化を図ったり、高価なHFCの投入量を抑えて経済性を高めることができる。ただし、水を必要以上に投入すると炭酸ガスの生成量が増えてフォームの断熱性が低下しポリエステルポリオールの加水分解を促進する恐れがあるため、水は、ポリオール成分100重量部に対して10重量部以下でポリエステルポリオールに対して重量割合で0.5〜200、好ましくは10〜150とすることが望ましい。
【0056】
[5] 整泡剤
整泡剤としては、硬質ポリウレタンフォーム製造用として効果のあるものは全て使用できる。例えばポリオキシアルキレンアルキルエーテル等のシリコーン系のもの等を用いることができる。
【0057】
また、本発明においては、上記以外の任意の成分、例えば難燃剤、充填剤等も本発明の目的を妨げない範囲で使用することができる。
【0058】
本発明の硬質ポリウレタンフォームを、ミキシングヘッドを用いたエアレススプレー発泡で製造する場合、上記ポリイソシアネート成分と、ポリオール成分、発泡剤、触媒及びその他の助剤を混合した配合液とを30〜50℃でミキシングヘッドを用いて混合し、施工対象面に吐出圧力3.9〜7.8×106Paで吹き付け、所定の厚さとなるまで吹き付けを繰り返して発泡させることにより製造することができる。
【0059】
また、本発明においては、HFCとして、常温常圧で沸点が0℃以下のものを用いることにより、得られるフォームの密度更に低くなり経済性に優れるという効果が奏されるが、この場合、この低沸点HFCは、ミキシングヘッド内又はミキシングヘッドへの他成分の導入管路に直接注入することが、特にエアレススプレー発泡において、吹付時の作業性を確保する上で好ましい。この低沸点HFCとしては、沸点−26℃の1,1,1,2−テトラフルオロエタンが好適に使用される。
【0060】
また、本発明(請求項3)の硬質ポリウレタンフォームは、このようにして製造されるものであり、配合液を30℃において2ヶ月放置した後液温度10℃における反応性変化の程度が下記式(1)及び(2)を同時に満足するものである。
【0061】
【数4】
(ただし、CT0,CT2,RT0,RT2は次の通りである。
CT0:配合液の配合直後に、所定のイソシアネート指数に見合う量のポリイソシアネート成分を液温10℃で攪拌して発泡させたときのクリームタイム
RT0:配合液の配合直後に、所定のイソシアネート指数に見合う量のポリイソシアネート成分を液温10℃で攪拌して発泡させたときのライズタイム
CT2:配合液を30℃で2ヶ月放置した後、所定のイソシアネート指数に見合う量のポリイソシアネート成分と液温10℃で攪拌して発泡させたときのクリームタイム
RT2:配合液を30℃で2ヶ月放置した後、所定のイソシアネート指数に見合う量のポリイソシアネート成分と液温10℃で攪拌して発泡させたときのライズタイム)
【0062】
上記(CT2−CT0)/CT0が0.4を超えるものであっても、(RT2−RT0)/RT0が0.5を超えるものであっても貯蔵安定性が不足する。
【0063】
好ましくは、(CT2−CT0)/CT0、(RT2−RT0)/RT0は小さいほど好ましく、(CT2−CT0)/CT0≦0.3、(RT2−RT0)/RT0≦0.4である。
【0064】
このような本発明の硬質ポリウレタンフォームは、JIS A1321「建築物の内装材料及び工法の難燃性試験方法」に示される表面試験方法で難燃3級同等或いはそれ以上、好ましくは難燃2級以上の優れた難燃性能を示し、また、ISO5660に準拠するコーンカロリーメーターによる総発熱量が加熱強度50kW/m2において5分間で8MJ/m2以下であり、かつこの5分間の最高発熱速度が10秒を超えて200kW/m2を超えないものであり、好ましくはISO5660に準拠するコーンカロリーメーターによる総発熱量が加熱強度50kW/m2において10分間で8MJ/m2以下であり、かつこの10分間の最高発熱速度が10秒を超えて200kW/m2を超えないものである。
【0065】
また、後述の実施例における測定方法に従って測定したフォームの寸法変化の割合が高温高湿下(温度50℃、相対湿度95%で24時間放置)において、発泡に平行な方向、発泡に垂直な方向ともに±5%以下であるような耐候寸法安定性に優れた硬質ポリウレタンフォームとなる。この寸法変化の割合が、±5%以下でないものでは、施工後に徐々に変形が起こり、フォームに亀裂が生じたり、躯体面からのフォームの剥離が起きたり、プラスターボードなどの内装材をフォームが押し上げたりすることから、この変化率は±5%以下(即ち、−5%〜+5%の範囲)、特に±4%以下であることが好ましい。
【0066】
なお、本発明の硬質ポリウレタンフォームは、フォームのコア密度が20〜45kg/m3であることが好ましい。コア密度(心密度)が20kg/m3未満であると強度が著しく低下して収縮し、45kg/m3を超えると、高密度化のために硬質ポリウレタンフォームの燃焼量が増えて難燃性が著しく低下する。従って、コア密度は20〜45kg/m3好ましくは25〜40kg/m3とする。
【0067】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
【0068】
実施例1〜6、比較例1,2
表1,2に示した配合処方に従って、配合液Aを調製すると共に、発泡剤Aとポリイソシアネートを用意した。ポリイソシアネート、発泡剤A及び配合液Aに用いた原料は次の通りである。
【0069】
【0070】
エアレス混合タイプの高圧スプレー発泡機システムとして、ガスマーモデルH−2000ユニット(ガスマー社製)を用い、配合液Aとポリイソシアネートはメインポンプ、第3成分としての発泡剤A或いはEはサブユニットポンプから表1,2に示す混合割合となるようにそれぞれ圧送し、縦910mm、横910mm、厚さ10mmの珪酸カルシウム板に室温(8〜10℃)の雰囲気下でスプレー発泡した。なお、原料の吐出時温度は、35℃、エアポンプの空気圧は0.5MPa、珪酸カルシウム板の温度は雰囲気温度と等しく設定した。また、硬質ポリウレタンフォームは、珪酸カルシウム板上に3〜5秒間連続吐出し自由発泡となるように吹き付けた。
【0071】
なお、イソシアネート指数、及び配合液A中の水分量に対するイミダゾール系化合物の含有割合、配合液A中の水分量に対するポリエステルポリオールの割合は表2に示す通りである。
【0072】
得られた硬質ポリウレタンフォーム及び配合液Aとイソシアネートについて、下記方法により各種物性ないし特性を調べ、結果を表3,4に示した。
【0073】
[耐加水分解性]
配合直後の配合液A70gと所定のイソシアネート指数に見合う量のイソシアネート成分を、いずれも液温10℃に調整し、容量1Lの紙コップに採り9000rpmで3秒間攪拌した。攪拌開始後、攪拌した原料が白色化し発泡が始まった時間を泡化開始時間(クリームタイム:CR0)として記録した。また、フォームの動きが止まり、見掛けの発泡が終了した時間を泡化終了時間(ライズタイム:RT0)とした。
配合液Aを密閉容器中で30℃で2ヶ月放置したものについても同様にクリームタイム:CR2とライズタイム:RT0を調べ、(CT2−CT0)/CT0と(RT2−RT0)/RT0を算出した。
【0074】
[コア密度]
JIS A9526に従って測定した。
【0075】
[難燃性]
JIS A1321「建築物の内装材料及び工法の難燃性試験方法」に示される表面試験方法による。フォームのコア部分を切出して、試験時間6分及び試験体厚さ約20mmで、東洋精機製作所製燃焼性試験機による表面試験を実施して調べた。
なお、JIS A1321「建築物の内装材料及び工法の難燃性試験方法」に示される表面試験方法による難燃3級規格は次の通りである。
発煙係数≦120
温度時間面積≦350(℃・min)
残炎時間≦30sec
排気温度曲線が開始3分以内に標準曲線をこえないこと
試験体に著しい溶融・亀裂・変形のないこと
【0076】
[発熱性試験]
珪酸カルシウム板が密着した状態で100mm×100mmの寸法で、フォームの厚さが20mmとなるよう表皮部を裁断したものを試験体とし、ISO5660に準拠して、加熱強度50kW/m2で表2に示す時間加熱した時のコーンカロリーメーターによる総発熱量を測定した(難燃性基準:8MJ/m2以下)。また、そのときの発熱速度を調べ、最高発熱速度が200kW/m2を超える時間を測定した(難燃性基準:10秒以下)。更に、防火上有害な亀裂や穴の有無を目視により観察した。
加熱強度50kW/m2で5分間加熱したときの総発熱量が8MJ/m2以下で、最高発熱速度が200kW/m2を超える時間が10秒以下であり、防火上有害な亀裂や穴のないものを合格(難燃材料相当)とした。
加熱強度50kW/m2で5分間加熱したときの総発熱量が8MJ/m2を超えるか、最高発熱速度が200kW/m2を超える時間が10秒を超えるか或いは防火上有害な亀裂や穴のあるものを不合格とした。
【0077】
[耐候寸法変化率]
スプレー発泡機により珪酸カルシウム板上に自由発泡したものから、コア部分を幅100mm×100mm、厚味50mmに裁断し、採取したものを高湿熱環境下(温度60℃・湿度RH95%)に24時間投入し、前後の変化率を調べた。
【0078】
【表1】
【0079】
【表2】
【0080】
【表3】
【0081】
【表4】
【0082】
【発明の効果】
以上詳述したとおり、本発明によれば、ポリオール成分中のポリエステルポリオールの加水分解を抑制して配合液の貯蔵安定性を高めることができる。
このため、本発明によれば、HFCの使用量を低減して環境安全性、経済性を高めた上で、難燃性、安定性、実用性に優れた低密度硬質ポリウレタンフォームを提供することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は硬質ポリウレタンフォームに係り、特に、ポリイソシアネート成分と、ポリオール成分、発泡剤、触媒及びその他の助剤を混合した配合液とをミキシングヘッドで混合して発泡させるエアレススプレー発泡に好適な硬質ポリウレタンフォームであって、発泡剤としてのハイドロフルオロカーボン(HFC)の使用量を低減するために水を併用した場合の配合液の劣化を防止し、その貯蔵安定性を高めた硬質ポリウレタンフォームに関する。
【0002】
【従来の技術】
硬質ポリウレタンフォームは、断熱性及び自己接着性に優れることから、住宅、冷蔵庫等の断熱材として広く利用されている。
【0003】
これらの用途に用いられる硬質ポリウレタンフォームは、一般にポリイソシアネート成分と、ポリオール成分、発泡剤、触媒、整泡剤及びその他の助剤を混合した配合液とをミキシングヘッドで混合して発泡させるエアレススプレー発泡で得られ、この方法であれば、施工対象物に直接吹き付け施工するという簡単な作業で、良好な硬質ポリウレタンフォームの断熱層を形成することができる。
【0004】
硬質ポリウレタンフォームにおいては、現在、主たる発泡剤として用いられているジクロロモノフルオロエタン(HCFC−141b)にはオゾン層破壊の問題がある。このため、これに代る次世代の発泡剤として、オゾン層を破壊することのないハイドロフルオロカーボン(HFC)が候補に挙げられている。HFC類にはテトラフルオロエタン(HFC134a)、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC245fa)、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン(HFC365mfc)、1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFC227ea)などがあり、これらのなかには、オゾン破壊性がなくHCFC全廃後の発泡剤として有力視される化合物もある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、HFCは地球温暖化作用の問題がある上に、高価であることから、環境への配慮及び経済性の観点から、その使用量を少なくすることが望まれる。
【0006】
また、HFCはポリオール成分及びポリイソシアネート成分に対して溶解し難いという性質を持つために、単独で使用した場合、配合液の内圧が上昇して容器の破裂や液の沸騰などが起こったり、可燃性をもつものもあり、取り扱い上の安全性が確保できないという欠点がある。特に、フォームの難燃化を図る場合、ポリオール成分としてフタル酸或いはフタル酸誘導体をエステル化反応させて得られるポリエステルポリオール化合物の適用が不可欠となるが、この場合には、とりわけHFCの溶解性が低く、配合液の内圧が上昇し易かった。このため、自ずとHFCの投入量が制限され、この結果、得られるフォームの密度が上昇するなどの問題もある。
【0007】
HFCの使用量を低減した上で発泡量を多くし、低密度のフォームを得るために、水を用い、水とポリイソシアネート成分との反応で生成する炭酸ガスを発泡剤としてHFCと共に併用することが考えられるが、この場合には、配合液中のポリエステルポリオールが加水分解を起こして正常な発泡ができなくなるという問題がある。
【0008】
一般に、エアレススプレー発泡用の配合液は、配合されてから実際に使用されるまで通常1〜2ヶ月の期間貯蔵されることが多いので、耐加水分解性を保持していることが極めて重要である。
【0009】
しかし、ポリエステルポリオールを用いて難燃性の高いフォームを得ようとすると、ポリエステルポリオールの加水分解で当初の反応性が短期間のうちに失われ、フォーム製造が困難になる。
【0010】
本発明は上記従来の問題点を解決し、ポリエステルポリオールの加水分解を抑制して配合液の貯蔵安定性を高めた硬質ポリウレタンフォームを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明(請求項1)の硬質ポリウレタンフォームは、ポリイソシアネート成分と、ポリオール成分、発泡剤、触媒及びその他の助剤を混合した配合液とを混合して発泡させて得られる硬質ポリウレタンフォームにおいて、発泡剤として水を用い、触媒としてイミダゾール系化合物を含む硬質ポリウレタンフォームであって、該配合液中の水分量に対するイミダゾール系化合物の含有量の重量割合が0.05〜5.0であることを特徴とする。
【0012】
触媒として所定量のイミダゾール系化合物を用いることにより、水を併用した場合のポリエステルポリオールの加水分解を抑制し、配合液の貯蔵安定性を高めることができる。
【0013】
本発明において、発泡剤は、水、即ち、ポリイソシアネート成分と水とを反応させて得られる炭酸ガスのみでも良いが、好ましくは、水とHFCとを併用する。
【0014】
また、本発明(請求項3)の硬質ポリウレタンフォームは、ポリイソシアネート成分と、ポリオール成分、発泡剤、触媒及びその他の助剤を混合した配合液とを混合して発泡させて得られる硬質ポリウレタンフォームにおいて、発泡剤として水及び/又はハイドロフルオロカーボンを用いた硬質ポリウレタンフォームであって、該配合液を30℃において2ヶ月放置した後、液温度10℃における反応性変化の程度が下記式(1)及び(2)を同時に満足することを特徴とする。
【0015】
【数2】
(ただし、CT0,CT2,RT0,RT2は次の通りである。
CT0:配合液の配合直後に、所定のイソシアネート指数に見合う量のポリイソシアネート成分を液温10℃で攪拌して発泡させたときのクリームタイム
RT0:配合液の配合直後に、所定のイソシアネート指数に見合う量のポリイソシアネート成分を液温10℃で攪拌して発泡させたときのライズタイム
CT2:配合液を30℃で2ヶ月放置した後、所定のイソシアネート指数に見合う量のポリイソシアネート成分と液温10℃で攪拌して発泡させたときのクリームタイム
RT2:配合液を30℃で2ヶ月放置した後、所定のイソシアネート指数に見合う量のポリイソシアネート成分と液温10℃で攪拌して発泡させたときのライズタイム)
【0016】
この硬質ポリウレタンフォームも、貯蔵時のポリエステルポリオールの加水分解が少なく、貯蔵安定性に優れる。
【0017】
この耐加水分解性をより一層高めるために、ポリオール成分としてポリエステルポリオールを5重量%以上用いた場合、該配合液中の水分量がポリオール成分100重量部に対して10重量部以下で、かつ配合液中の水分量に対するポリエステルポリオールの含有量の重量割合は0.5〜200とすることが好ましい。
【0018】
本発明においては、難燃性の向上のために、また、発泡剤として水を併用することでHFCの使用量を低減して、環境安全性、経済性を高めた上で低密度の硬質ポリウレタンフォームとするために、ポリオール成分としてフタル酸或いはフタル酸誘導体をエステル化反応させて得られるポリエステルポリオールを用いることが好ましい。
【0019】
ポリオール成分としては、特に、▲1▼及び/又は▲2▼のポリエステルポリオールを、全ポリオール成分中に5重量%以上含むことが好ましく、このようなポリエステルポリオールを用いることにより、フライアビリティを抑制することができる。
【0020】
▲1▼ ヒドロキシ成分と脂肪酸を含む酸成分とをエステル化反応させて得られるポリエステルポリオール
▲2▼ 脂肪酸エステル又は脂肪酸をエステル交換反応させて得られる脂肪酸エステルを含むポリエステルポリオール
本発明において、上記特定のポリエステルポリオールを用いることによりフライアビリティの抑制効果が得られる理由の詳細は明らかではないが、次のように推定される。
【0021】
即ち、HFCはポリオール成分や通常のイソシアネート成分に対して溶解し難く、特にポリオール成分中の芳香族成分濃度が高くなると殆ど溶解しなくなる。このようにHFCの溶解性が悪いと、得られるフォームの可塑性が失われ、フライアビリティが発現するようになる。
【0022】
これに対して、上記特定のポリエステルポリオールを用いることによりHFCとの相容性を向上させることができ、得られるフォームに適度な可塑性が得られ、フライアビリティが抑制される。
【0023】
なお、ジクロロモノフルオロエタン(HCFC−141b)では、発泡に使われずに一部がポリオール成分中に溶存したままとなり、得られるフォームは適度な可塑性を有することからフライアビリティは抑制される。即ち、フライアビリティは、発泡剤としてHFCを用いる場合に特有の問題であり、また、この場合において難燃性の向上のために芳香族成分濃度の高いポリオール成分を用いた場合により一層顕著に現れるが、上記特定のポリエステルポリオールを用いることにより、この問題を解決することができる。
【0024】
本発明の硬質ポリウレタンフォームにおいては、難燃性の向上のために、酸成分としてo−フタル酸、m−フタル酸、p−フタル酸及びこれらの誘導体よりなる群から選ばれる1種又は2種以上、好ましくはテレフタル酸、無水フタル酸及び/又はその誘導体を含むポリエステルポリオールを用いるのが好ましい。
【0025】
本発明において、HFCとしては、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC245fa)、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン(HFC365mfc)、1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFC227ea)及び1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC134a)よりなる群から選ばれる1種又は2種以上を用いることができ、次のような組み合わせで用いることができる。
【0026】
(1) 1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC245fa)95〜80重量%と1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC134a)5〜20重量%
(2) 1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン(HFC365mfc)95〜80重量%と1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFC227ea)5〜20重量%
(3) 1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC245fa)5〜95重量%と1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン(HFC365mfc)95〜5重量%
【0027】
特に、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタンを用いることにより、気泡の細かい断熱性能に優れたフォームが得られる。しかしながら、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタンを単独で用いた場合、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタンは可燃性であるため、作業時の安全性が十分に確保できないほか、得られるフォームの難燃性を低下させる恐れがある上に、分子量が大きいために所定のフォーム密度を得るための必要重量が多い。このため、発泡剤として1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタンを単独で用いることは安全面及び経済面から好ましくない。従って、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタンを用いる場合には、作業時の安全性を確保し、高難燃性で低密度の硬質ポリウレタンフォームを安価に得るために、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン以外のHFCを併用することが好ましい。
【0028】
このような本発明の硬質ポリウレタンフォームであれば、JIS A1321「建築物の内装材料及び工法の難燃性試験方法」に示される表面試験方法で難燃3級同等或いはそれ以上の難燃性能を得ることができる。
【0029】
なお、断熱材用硬質ポリウレタンフォームの難燃性の評価は、従来、JIS A1321防火材料試験、或いは建設省告示試験法第1231号に準拠して行われてきた。しかしながら、2000年6月の建築基準法の施工令改正、省令・告示公布に伴い、新難燃性基準が示され、2002年6月から全面的に切り替わることになった。実際には、国土交通省が認定する試験機関が、試験方法を同省に提案するもので、その内容は実質的にISO5660に準拠するコーンカロリーメーター試験機による発熱性試験になるが、本発明の硬質ポリウレタンフォームであれば、ISO5660に準拠するコーンカロリーメーターによる総発熱量が加熱強度50kW/m2において5分間で8MJ/m2以下であり、かつ5分間の最高発熱速度が10秒を超えて200kW/m2を超えない、新難燃性基準による難燃材料としての基準を満たすことができる。
【0030】
本発明の硬質ポリウレタンフォームは、特にポリイソシアネート成分と、ポリオール成分、発泡剤、触媒及びその他の助剤を混合した配合液とをミキシングヘッドで混合して発泡させるエアレススプレー発泡で得られる硬質ポリウレタンフォームに好適であり、この場合において、発泡剤としてのHFCは、ミキシングヘッドへの他成分の導入管路に直接注入することが、高品質の硬質ポリウレタンフォームを得る上で好ましい。このミキシングヘッドへの他成分の導入管路に直接注入するハイドロフルオロカーボンとしては、1,1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパン、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン及び1,1,1,2−テトラフルオロエタンよりなる群から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。
【0031】
前述の如く、HFCはポリオールに対する溶解性が低く、このためにプレミックス安定性に劣るが、このようなHFCを第3成分として、ミキシングヘッドに到る導管に直接導入して混合することにより、発泡安定性を高めることができるようになる。
【0032】
このような本発明の硬質ポリウレタンフォームによれば、フォームの寸法変化の割合が高温高湿下(温度50℃、相対湿度95%で24時間放置)において、発泡に平行な方向、発泡に垂直な方向ともに±5%以下であるような、高温高湿環境下に放置した際の寸法変化率が小さい、耐候寸法安定性に優れた硬質ポリウレタンフォームが提供される。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0034】
まず、本発明で用いる原料成分について説明する。
【0035】
[1] ポリイソシアネート成分
ポリイソシアネート成分としては、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート等の芳香族系ポリイソシアネート化合物、イソホロンジイソシアネート等の脂環族系ポリイソシアネート類、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族系ポリイソシアネート類等の1種又は2種以上を使用することができる。なお、ポリイソシアネート成分のイソシアネート指数は100以上、特に100〜200であることが好ましい。即ち、三量化触媒の存在の下、イソシアヌレート発泡体を得ることが好ましい。
【0036】
[2] ポリオール成分
ポリオール成分としては、好ましくはo−フタル酸、m−フタル酸、p−フタル酸及びこれらの誘導体よりなる群から選ばれる1種又は2種以上のフタル酸又はその誘導体、より好ましくはテレフタル酸(p−フタル酸)、無水フタル酸(o−フタル酸)及び/又はその誘導体をエステル化反応させて得られるフタル酸系ポリエステルポリオールを用いる。ポリオール成分として、このように芳香環を含むフタル酸系ポリエステルポリオール化合物を用いることにより、安定な難燃性を得ることができる。
【0037】
このフタル酸系ポリエステルポリオールを形成するヒドロキシ化合物としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、フェノール及びその誘導体等が挙げられ、フタル酸誘導体としてはフタル酸ジエチル、フタル酸ジメチル等が挙げられ、フタル酸系ポリエステルポリオールの好ましい水酸基価は150〜450である。
【0038】
本発明においては、好ましくは
▲1▼ ヒドロキシ成分と脂肪酸を含む酸成分とをエステル化反応させて得られるポリエステルポリオール
▲2▼ 脂肪酸エステル又は脂肪酸をエステル交換反応させて得られる脂肪酸エステルを含むポリエステルポリオール
の1種又は2種以上のポリエステルポリオール(以下「脂肪酸系ポリエステルポリオール」と称す場合がある。)を用いる。この脂肪酸系ポリエステルポリオールは、特に、o−フタル酸、m−フタル酸、p−フタル酸及びこれらの誘導体よりなる群から選ばれる1種又は2種以上を酸成分とするポリエステルポリオールを含むもの(以下「フタル酸/脂肪酸系ポリエステルポリオール」と称す場合がある。)であることが、得られるフォームの難燃性の向上の面で好ましい。
【0039】
脂肪酸系ポリエステルポリオール、好ましくはフタル酸/脂肪酸系ポリエステルポリオールの脂肪酸としては、オクチル酸、ノナン酸等の炭素数8〜9程度の脂肪酸やステアリン酸やパルミチン酸などの天然脂肪酸が挙げられ、特にフタル酸/脂肪酸系ポリエステルポリオールにおける脂肪酸の含有割合は、酸成分全体に対して10〜50重量%、とりわけ20重量%程度で残部がフタル酸及び/又はフタル酸誘導体であることが好ましい。
【0040】
また、フライアビリティのより一層の抑制のために、この脂肪酸系ポリエステルポリオール、好ましくはフタル酸/脂肪酸系ポリエステルポリオールは、プロピレングリコールをヒドロキシ成分として含むものであることが好ましい。
【0041】
また、難燃性のより一層の向上のために、この脂肪酸系ポリエステルポリオール、好ましくはフタル酸/脂肪酸系ポリエステルポリオールは、フェノール及び/又はその誘導体をヒドロキシ成分として含むものであることが好ましい。
【0042】
このような脂肪酸系ポリエステルポリオール、好ましくはフタル酸/脂肪酸系ポリエステルポリオールの好ましい水酸基価は150〜450mg−KOH/gである。
【0043】
ポリオール成分中のこのような脂肪酸系ポリエステルポリオール、好ましくはフタル酸/脂肪酸系ポリエステルポリオールの割合は、過度に少ないと十分なフライアビリティ抑制効果や更には難燃性の向上効果が得られないため、ポリオール成分中の含有量は5重量%以上とすることが好ましい。しかし、この含有量が過度に多いとフォーム強度が低下するので、ポリオール成分中に特に5〜80重量%、とりわけ40〜70重量%含有されていることが好ましい。
【0044】
ポリオール成分としては、上記脂肪酸系ポリエステルポリオールの他、フェノール及び/又はその誘導体をマンニッヒ変性して得られたポリエーテルポリオール(以下「マンニッヒ変性ポリオール」と称す。)、即ち、フェノール、或いはノニルフェノール、アルキルフェノール等のフェノール誘導体をホルムアルデヒドとジエタノールアミン等の2級アミンやアンモニア、1級アミン等を用いてマンニッヒ変性し、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを開環付加重合して得られるポリエーテルポリオールを用いても良い。このようなマンニッヒ変性ポリオールは、自己反応活性が高く、かつ難燃性も比較的高いため、マンニッヒ変性ポリオールを用いることにより、例えば、エアレススプレー発泡型硬質ポリウレタンフォームにおいて、吹き付け発泡時に難燃性能を著しく損なうことなく、速やかに反応を進めることができる。ただし、ポリオール成分中のマンニッヒ変性ポリオールが80重量%を超えると難燃性能が悪化してくるため、マンニッヒ変性ポリオールを使用する場合、そのポリオール成分中の割合は70重量%以下、特に20〜50重量%とするのが好ましい。
【0045】
更に、脂肪酸系ポリエステルポリオール及びマンニッヒ変性ポリオールの他、本発明の目的を損なわない範囲でエチレンジアミン、トリレンジアミン、シュークロース、アミノアルコール、ジエチレングリコール等のマンニッヒ変性ポリオールとは異なる開始剤のポリオール化合物をポリオール成分中40重量%以下の範囲で併用しても良い。
【0046】
[3] 触媒
触媒としては、トリエチレンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルヘキサメチレンジアミン、ジメチルアミノエチルエーテル、ピペラジン等のアミン触媒や、これらアミン触媒とギ酸、酢酸、プロピオン酸等の脂肪酸とで塩を形成した化合物、アルキル化4級アンモニウム或いはアリール化4級アンモニウム等とギ酸、酢酸、プロピオン酸等の脂肪酸とで塩を形成した4級アンモニウム塩、ジブチル錫ジラウレート、オクチル酸鉛、スタナスオクトエート、オクチル酸カリウム(2−エチルヘキシル酸カリウム)、酢酸カリウムなどの有機金属系触媒の1種又は2種以上を使用することができるが、請求項1の硬質ポリウレタンフォームにおいては、触媒としてイミダゾール系化合物を用いる。
【0047】
イミダゾール系化合物としては具体的には1−イソブチル−2−メチルイミダゾール、1−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール等の1種又は2種以上を用いることができる。なお、触媒としては、イミダゾール系化合物以外の通常硬質ポリウレタンフォームの製造に使用される触媒を併用することができ、イミダゾール系化合物と併用する触媒としては、トリエチレンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルヘキサメチレンジアミン等のアミン触媒や、ジブチル錫ジラウレート、オクチル酸鉛、スタナスオクトエート、オクチル酸カリウム(2−エチルヘキシル酸カリウム)、酢酸カリウムなどの有機金属系触媒の1種又は2種以上が挙げられる。
【0048】
請求項1の硬質ポリウレタンフォームにおいては、イミダゾール系化合物の使用割合は、配合液中の水分量に対して0.05〜5.0(重量割合)とする。即ち、
【0049】
【数3】
である。
【0050】
イミダゾール系化合物の含有量が上記範囲よりも少ないと、イミダゾール系化合物を用いたことによるポリエステルポリオールの加水分解抑制効果を十分に得ることができず、多いと発泡時に特有の臭気を帯び、作業環境が悪化したり、加水分解抑制効果が頭打ちとなる。なお、この割合は、好ましくは1.0〜4.0である。
【0051】
[4] 発泡剤
本発明では、配合液に発泡剤として水を添加し、水とポリイソシアネート化合物との反応で生成する炭酸ガスを発泡剤とする。発泡剤としては、この水添加による炭酸ガスのみでも良く、これにHFCを併用しても良い。この場合HFCとしては、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC245fa)、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン(HFC365mfc)、1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFC227ea)及び1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC134a)よりなる群から選ばれる1種又は2種以上を用いることができ、次のような組み合わせで用いることができる。
【0052】
(1) 1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC245fa)95〜80重量%と1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC134a)5〜20重量%
(2) 1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン(HFC365mfc)95〜80重量%と1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFC227ea)5〜20重量%
(3) 1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC245fa)5〜95重量%と1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン(HFC365mfc)95〜5重量%
【0053】
上記(1)の組み合わせにおいて、上記範囲を超えて1,1,1,2−テトラフルオロエタンが多いと発泡時の気化力が強すぎてスプレーの霧化が安定せず、少ないと特に気温が10℃以下の冬期環境下では気化力が弱まりフォームの密度が増大する傾向がある。(2),(3)の組み合わせにおいて、上記範囲を超えて1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタンが多いと難燃性の低下、価格の高騰の問題があり、逆に1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタンが少ないと、低沸点発泡剤の濃度増大による配合液の内圧の上昇、配合液粘度の上昇がみられる。
【0054】
なお、本発明では、これらのHFCをポリオール成分を含む配合液やポリイソシアネート成分とは別に、ミキシングヘッドに到る導管に直接導入して混合しても良い。この場合、HFCの全量をミキシングヘッドに到る導管に直接導入する必要はなく、一部をミキシングヘッドに到る導管に導入し、残部は配合液に混合しても良い。この場合、使用するHFCのうちの20%以上をミキシングヘッドに到る導管に導入し、残部を配合液に混合することが好ましい。
【0055】
水を発泡剤として用いることにより、即ち、水とイソシアネートとを反応させて生成する炭酸ガスを発泡剤として用いることにより、フォームの低密度化を図ったり、高価なHFCの投入量を抑えて経済性を高めることができる。ただし、水を必要以上に投入すると炭酸ガスの生成量が増えてフォームの断熱性が低下しポリエステルポリオールの加水分解を促進する恐れがあるため、水は、ポリオール成分100重量部に対して10重量部以下でポリエステルポリオールに対して重量割合で0.5〜200、好ましくは10〜150とすることが望ましい。
【0056】
[5] 整泡剤
整泡剤としては、硬質ポリウレタンフォーム製造用として効果のあるものは全て使用できる。例えばポリオキシアルキレンアルキルエーテル等のシリコーン系のもの等を用いることができる。
【0057】
また、本発明においては、上記以外の任意の成分、例えば難燃剤、充填剤等も本発明の目的を妨げない範囲で使用することができる。
【0058】
本発明の硬質ポリウレタンフォームを、ミキシングヘッドを用いたエアレススプレー発泡で製造する場合、上記ポリイソシアネート成分と、ポリオール成分、発泡剤、触媒及びその他の助剤を混合した配合液とを30〜50℃でミキシングヘッドを用いて混合し、施工対象面に吐出圧力3.9〜7.8×106Paで吹き付け、所定の厚さとなるまで吹き付けを繰り返して発泡させることにより製造することができる。
【0059】
また、本発明においては、HFCとして、常温常圧で沸点が0℃以下のものを用いることにより、得られるフォームの密度更に低くなり経済性に優れるという効果が奏されるが、この場合、この低沸点HFCは、ミキシングヘッド内又はミキシングヘッドへの他成分の導入管路に直接注入することが、特にエアレススプレー発泡において、吹付時の作業性を確保する上で好ましい。この低沸点HFCとしては、沸点−26℃の1,1,1,2−テトラフルオロエタンが好適に使用される。
【0060】
また、本発明(請求項3)の硬質ポリウレタンフォームは、このようにして製造されるものであり、配合液を30℃において2ヶ月放置した後液温度10℃における反応性変化の程度が下記式(1)及び(2)を同時に満足するものである。
【0061】
【数4】
(ただし、CT0,CT2,RT0,RT2は次の通りである。
CT0:配合液の配合直後に、所定のイソシアネート指数に見合う量のポリイソシアネート成分を液温10℃で攪拌して発泡させたときのクリームタイム
RT0:配合液の配合直後に、所定のイソシアネート指数に見合う量のポリイソシアネート成分を液温10℃で攪拌して発泡させたときのライズタイム
CT2:配合液を30℃で2ヶ月放置した後、所定のイソシアネート指数に見合う量のポリイソシアネート成分と液温10℃で攪拌して発泡させたときのクリームタイム
RT2:配合液を30℃で2ヶ月放置した後、所定のイソシアネート指数に見合う量のポリイソシアネート成分と液温10℃で攪拌して発泡させたときのライズタイム)
【0062】
上記(CT2−CT0)/CT0が0.4を超えるものであっても、(RT2−RT0)/RT0が0.5を超えるものであっても貯蔵安定性が不足する。
【0063】
好ましくは、(CT2−CT0)/CT0、(RT2−RT0)/RT0は小さいほど好ましく、(CT2−CT0)/CT0≦0.3、(RT2−RT0)/RT0≦0.4である。
【0064】
このような本発明の硬質ポリウレタンフォームは、JIS A1321「建築物の内装材料及び工法の難燃性試験方法」に示される表面試験方法で難燃3級同等或いはそれ以上、好ましくは難燃2級以上の優れた難燃性能を示し、また、ISO5660に準拠するコーンカロリーメーターによる総発熱量が加熱強度50kW/m2において5分間で8MJ/m2以下であり、かつこの5分間の最高発熱速度が10秒を超えて200kW/m2を超えないものであり、好ましくはISO5660に準拠するコーンカロリーメーターによる総発熱量が加熱強度50kW/m2において10分間で8MJ/m2以下であり、かつこの10分間の最高発熱速度が10秒を超えて200kW/m2を超えないものである。
【0065】
また、後述の実施例における測定方法に従って測定したフォームの寸法変化の割合が高温高湿下(温度50℃、相対湿度95%で24時間放置)において、発泡に平行な方向、発泡に垂直な方向ともに±5%以下であるような耐候寸法安定性に優れた硬質ポリウレタンフォームとなる。この寸法変化の割合が、±5%以下でないものでは、施工後に徐々に変形が起こり、フォームに亀裂が生じたり、躯体面からのフォームの剥離が起きたり、プラスターボードなどの内装材をフォームが押し上げたりすることから、この変化率は±5%以下(即ち、−5%〜+5%の範囲)、特に±4%以下であることが好ましい。
【0066】
なお、本発明の硬質ポリウレタンフォームは、フォームのコア密度が20〜45kg/m3であることが好ましい。コア密度(心密度)が20kg/m3未満であると強度が著しく低下して収縮し、45kg/m3を超えると、高密度化のために硬質ポリウレタンフォームの燃焼量が増えて難燃性が著しく低下する。従って、コア密度は20〜45kg/m3好ましくは25〜40kg/m3とする。
【0067】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
【0068】
実施例1〜6、比較例1,2
表1,2に示した配合処方に従って、配合液Aを調製すると共に、発泡剤Aとポリイソシアネートを用意した。ポリイソシアネート、発泡剤A及び配合液Aに用いた原料は次の通りである。
【0069】
【0070】
エアレス混合タイプの高圧スプレー発泡機システムとして、ガスマーモデルH−2000ユニット(ガスマー社製)を用い、配合液Aとポリイソシアネートはメインポンプ、第3成分としての発泡剤A或いはEはサブユニットポンプから表1,2に示す混合割合となるようにそれぞれ圧送し、縦910mm、横910mm、厚さ10mmの珪酸カルシウム板に室温(8〜10℃)の雰囲気下でスプレー発泡した。なお、原料の吐出時温度は、35℃、エアポンプの空気圧は0.5MPa、珪酸カルシウム板の温度は雰囲気温度と等しく設定した。また、硬質ポリウレタンフォームは、珪酸カルシウム板上に3〜5秒間連続吐出し自由発泡となるように吹き付けた。
【0071】
なお、イソシアネート指数、及び配合液A中の水分量に対するイミダゾール系化合物の含有割合、配合液A中の水分量に対するポリエステルポリオールの割合は表2に示す通りである。
【0072】
得られた硬質ポリウレタンフォーム及び配合液Aとイソシアネートについて、下記方法により各種物性ないし特性を調べ、結果を表3,4に示した。
【0073】
[耐加水分解性]
配合直後の配合液A70gと所定のイソシアネート指数に見合う量のイソシアネート成分を、いずれも液温10℃に調整し、容量1Lの紙コップに採り9000rpmで3秒間攪拌した。攪拌開始後、攪拌した原料が白色化し発泡が始まった時間を泡化開始時間(クリームタイム:CR0)として記録した。また、フォームの動きが止まり、見掛けの発泡が終了した時間を泡化終了時間(ライズタイム:RT0)とした。
配合液Aを密閉容器中で30℃で2ヶ月放置したものについても同様にクリームタイム:CR2とライズタイム:RT0を調べ、(CT2−CT0)/CT0と(RT2−RT0)/RT0を算出した。
【0074】
[コア密度]
JIS A9526に従って測定した。
【0075】
[難燃性]
JIS A1321「建築物の内装材料及び工法の難燃性試験方法」に示される表面試験方法による。フォームのコア部分を切出して、試験時間6分及び試験体厚さ約20mmで、東洋精機製作所製燃焼性試験機による表面試験を実施して調べた。
なお、JIS A1321「建築物の内装材料及び工法の難燃性試験方法」に示される表面試験方法による難燃3級規格は次の通りである。
発煙係数≦120
温度時間面積≦350(℃・min)
残炎時間≦30sec
排気温度曲線が開始3分以内に標準曲線をこえないこと
試験体に著しい溶融・亀裂・変形のないこと
【0076】
[発熱性試験]
珪酸カルシウム板が密着した状態で100mm×100mmの寸法で、フォームの厚さが20mmとなるよう表皮部を裁断したものを試験体とし、ISO5660に準拠して、加熱強度50kW/m2で表2に示す時間加熱した時のコーンカロリーメーターによる総発熱量を測定した(難燃性基準:8MJ/m2以下)。また、そのときの発熱速度を調べ、最高発熱速度が200kW/m2を超える時間を測定した(難燃性基準:10秒以下)。更に、防火上有害な亀裂や穴の有無を目視により観察した。
加熱強度50kW/m2で5分間加熱したときの総発熱量が8MJ/m2以下で、最高発熱速度が200kW/m2を超える時間が10秒以下であり、防火上有害な亀裂や穴のないものを合格(難燃材料相当)とした。
加熱強度50kW/m2で5分間加熱したときの総発熱量が8MJ/m2を超えるか、最高発熱速度が200kW/m2を超える時間が10秒を超えるか或いは防火上有害な亀裂や穴のあるものを不合格とした。
【0077】
[耐候寸法変化率]
スプレー発泡機により珪酸カルシウム板上に自由発泡したものから、コア部分を幅100mm×100mm、厚味50mmに裁断し、採取したものを高湿熱環境下(温度60℃・湿度RH95%)に24時間投入し、前後の変化率を調べた。
【0078】
【表1】
【0079】
【表2】
【0080】
【表3】
【0081】
【表4】
【0082】
【発明の効果】
以上詳述したとおり、本発明によれば、ポリオール成分中のポリエステルポリオールの加水分解を抑制して配合液の貯蔵安定性を高めることができる。
このため、本発明によれば、HFCの使用量を低減して環境安全性、経済性を高めた上で、難燃性、安定性、実用性に優れた低密度硬質ポリウレタンフォームを提供することができる。
Claims (20)
- ポリイソシアネート成分と、
ポリオール成分、発泡剤、触媒及びその他の助剤を混合した配合液と
を混合して発泡させて得られる硬質ポリウレタンフォームにおいて、
発泡剤として水を用い、触媒としてイミダゾール系化合物を含む硬質ポリウレタンフォームであって、
該配合液中の水分量に対するイミダゾール系化合物の含有量の重量割合が0.05〜5.0であることを特徴とする硬質ポリウレタンフォーム。 - 請求項1において、発泡剤として水及びハイドロフルオロカーボンを用いたことを特徴とする硬質ポリウレタンフォーム。
- ポリイソシアネート成分と、
ポリオール成分、発泡剤、触媒及びその他の助剤を混合した配合液と
を混合して発泡させて得られる硬質ポリウレタンフォームにおいて、
発泡剤として水及び/又はハイドロフルオロカーボンを用いた硬質ポリウレタンフォームであって、
該配合液を30℃において2ヶ月放置した後、液温度10℃における反応性変化の程度が下記式(1)及び(2)を同時に満足することを特徴とする硬質ポリウレタンフォーム。
CT0:配合液の配合直後に、所定のイソシアネート指数に見合う量のポリイソシアネート成分を液温10℃で攪拌して発泡させたときのクリームタイム
RT0:配合液の配合直後に、所定のイソシアネート指数に見合う量のポリイソシアネート成分を液温10℃で攪拌して発泡させたときのライズタイム
CT2:配合液を30℃で2ヶ月放置した後、所定のイソシアネート指数に見合う量のポリイソシアネート成分と液温10℃で攪拌して発泡させたときのクリームタイム
RT2:配合液を30℃で2ヶ月放置した後、所定のイソシアネート指数に見合う量のポリイソシアネート成分と液温10℃で攪拌して発泡させたときのライズタイム) - 請求項1ないし3のいずれか1項において、該ポリオール成分がポリエステルポリオールを含むことを特徴とする硬質ポリウレタンフォーム。
- 請求項4において、該ポリオール成分が、ポリエステルポリオールを5重量%以上含むことを特徴とする硬質ポリウレタンフォーム。
- 請求項5において、該配合液中の水分量がポリオール成分100重量部に対して10重量部以下で、かつ該配合液中の水分量に対するエステルポリオールの含有量の重量割合が0.5〜200であることを特徴とする硬質ポリウレタンフォーム。
- 請求項4ないし6のいずれか1項において、該ポリエステルポリオールに、フタル酸及び/又はフタル酸誘導体をエステル化反応させて得られるポリエステルポリオールが含まれていることを特徴とする硬質ポリウレタンフォーム。
- 請求項7において、該ポリオール成分が、下記▲1▼及び/又は▲2▼のポリエステルポリオールを、全ポリオール成分中に5重量%以上含むことを特徴とする硬質ポリウレタンフォーム。
▲1▼ ヒドロキシ成分と脂肪酸を含む酸成分とをエステル化反応させて得られるポリエステルポリオール
▲2▼ 脂肪酸エステル又は脂肪酸をエステル交換反応させて得られる脂肪酸エステルを含むポリエステルポリオール - 請求項7又は8において、該フタル酸がテレフタル酸及び/又は無水フタル酸を含むことを特徴とする硬質ポリウレタンフォーム。
- 請求項2ないし9のいずれか1項において、該ハイドロフルオロカーボンが、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン、1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン及び1,1,1,2−テトラフルオロエタンよりなる群から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする硬質ポリウレタンフォーム。
- 請求項10において、該ハイドロフルオロカーボンが、95〜80重量%の1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンと5〜20重量%の1,1,1,2−テトラフルオロエタンとを含有することを特徴とする硬質ポリウレタンフォーム。
- 請求項10において、該ハイドロフルオロカーボンが、95〜80重量%の1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタンと5〜20重量%の1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパンとを含有することを特徴とする硬質ポリウレタンフォーム。
- 請求項10において、該ハイドロフルオロカーボンが、5〜95重量%の1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンと95〜5重量%の1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタンとを含有することを特徴とする硬質ポリウレタンフォーム。
- 請求項1ないし13のいずれか1項において、JIS A1321「建築物の内装材料及び工法の難燃性試験方法」に示される表面試験方法で難燃3級同等或いはそれ以上の難燃性能を示すことを特徴とする硬質ポリウレタンフォーム。
- 請求項14において、JIS A1321「建築物の内装材料及び工法の難燃性試験方法」に示される表面試験方法で難燃2級以上の難燃性能を示すことを特徴とする硬質ポリウレタンフォーム。
- 請求項1ないし15のいずれか1項において、ISO5660に準拠するコーンカロリーメーターによる総発熱量が加熱強度50kW/m2において5分間で8MJ/m2以下であり、かつ5分間の最高発熱速度が10秒を超えて200kW/m2を超えないことを特徴とする硬質ポリウレタンフォーム。
- 請求項1ないし16のいずれか1項において、ポリイソシアネート成分と、ポリオール成分、発泡剤、触媒及びその他の助剤を混合した配合液とをミキシングヘッドで混合して発泡させるエアレススプレー発泡で得られることを特徴とする硬質ポリウレタンフォーム。
- 請求項17において、該発泡剤がハイドロフルオロカーボンを含み、該ハイドロフルオロカーボンがミキシングヘッドへの他成分の導入管路に直接注入されることを特徴とする硬質ポリウレタンフォーム。
- 請求項18において、該ミキシングヘッドへの他成分の導入管路に直接注入するハイドロフルオロカーボンが、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン、及び1,1,1,2−テトラフルオロエタンよりなる群から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする硬質ポリウレタンフォーム。
- 請求項1ないし19のいずれか1項において、フォームの寸法変化の割合が高温高湿下(温度50℃、相対湿度95%で24時間放置)において、発泡に平行な方向、発泡に垂直な方向ともに±5%以下であることを特徴とする硬質ポリウレタンフォーム。
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