JP2004059765A - 塗料用エマルジョン組成物の製造方法 - Google Patents

塗料用エマルジョン組成物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】十分な耐候性や光沢性に優れた水系の塗料用樹脂組成物の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】(メタ)アクリル酸系単量体を水性媒体中で第1段の乳化重合を行い、転化率が70%以上に達した後に、重合性紫外線安定性単量体及び/又は重合性光安定性単量体を予備乳化した予備乳化液、好ましくは、これと(メタ)アクリル酸系単量体とを併せて予備乳化した予備乳化液を添加して第2段の乳化重合を行う。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、塗料用エマルジョン組成物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、建築物の内外壁材の塗装用塗料としては、水性の(メタ)アクリル系樹脂エマルジョン型塗料が使用されている。これは、この塗料が水系型塗料であるため、溶剤型塗料と比較した場合、湿潤面に直接塗布することができ、取扱いが容易であり、溶剤臭を発生せず、引火・爆発を起こす危険性が少なく、比較的安価であるという特徴を有するからである。
【0003】
しかし、この水性の(メタ)アクリル系樹脂エマルジョン型塗料から形成される塗膜は、耐候性が不十分であり、溶剤型塗料に比べて光沢性に劣るという問題点を有する。
【0004】
これに対し、特開平3−128978号公報や特開平5−140240号公報に、シクロアルキル基含有モノマーや重合性紫外線安定性モノマー等を原料モノマーとしてラジカル重合した塗料用樹脂組成物が開示されている。また、特開平7−133458号公報に、イソボルニル(メタ)アクリレートや光安定性付与モノマー等を原料モノマーとしてラジカル重合した塗料用樹脂組成物が開示されている。
これらの塗料用樹脂組成物は、耐候性や光沢性に優れるという特徴を有する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の重合性紫外線安定性モノマーや光安定性付与モノマーは、ラジカルをトラップする性質を有するため、上記のラジカル重合においては、重合反応の抑制効果を発揮する。このため、大量の重合開始剤が必要となり、重合開始剤への連鎖移動が顕著となり、得られる樹脂の平均分子量が、あまり大きくできないため、得られる塗料用樹脂組成物の耐候性や光沢性は、必ずしも十分なものとはいえない場合が生じる。
【0006】
そこで、この発明は、十分な耐候性や光沢性に優れた水系の塗料用樹脂組成物の製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明は、(メタ)アクリル酸系単量体を水性媒体中で第1段の乳化重合を行い、転化率が70%以上に達した後に、重合性紫外線安定性単量体及び/又は重合性光安定性単量体を予備乳化した予備乳化液、好ましくは、これと(メタ)アクリル酸系単量体とを予備乳化した予備乳化液を添加して第2段の乳化重合を行うことにより、上記の課題を解決したのである。
【0008】
乳化重合反応を2段階に分け、まず、第1段の乳化重合を行い、この段階の重合反応速度が高い状態のときに、重合性紫外線安定性単量体及び/又は重合性光安定性単量体を含む予備乳化液を添加して第2段目の乳化重合を行う。このため、重合性紫外線安定性単量体及び/又は重合性光安定性単量体によって重合反応が抑制されても、重合反応速度が低くなるまでには、第2段目の重合のほとんどが進行してしまい、また、重合性紫外線安定性単量体及び/又は重合性光安定性単量体も容易に重合して、重合体の中に取り込まれることとなる。
また、この第2段の乳化重合時に(メタ)アクリル酸系単量体を併せて用いることにより、上記の重合性紫外線安定性単量体及び/又は重合性光安定性単量体の重合体中への取り込みが容易となり、反応効率がさらに向上する。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施形態を説明する。
この発明にかかる塗料用エマルジョン組成物の製造方法は、2段階の乳化重合を行う製造方法である。
【0010】
第1段目の乳化重合は、(メタ)アクリル酸系単量体を水性媒体中で重合することにより行われる。この(メタ)アクリル酸系単量体としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、シクロアルキル基を有する(メタ)アクリル酸系単量体、(メタ)アクリル酸系単量体、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル、架橋性を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル等があげられ、重合に際しては、その1種を用いても、2種以上を用いてもよい。
【0011】
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル等があげられる。
【0012】
上記シクロアルキル基を有する(メタ)アクリル酸系単量体としては、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、イソボルニル(メタ)アクリレート等があげられる。
上記(メタ)アクリル酸系単量体としては、アクリル酸又はメタクリル酸があげられる。
【0013】
上記(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルとしては、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ブトキシエチル等があげられる。
【0014】
上記架橋性を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、(メタ)アクリル酸アリル、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等があげられる。
なお、この明細書において、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル又はメタクリル」を意味する。
【0015】
この第1段の乳化重合法としては、特に限定がなく、通常の水性媒体中で行なわれる、例えばバッチ重合法、モノマー滴下重合法、乳化モノマー滴下重合法などの各種乳化重合法の中から適宜選択して採用することができる。この中でも、特に製造時にエマルジョンの安定性を確保するうえで、モノマー滴下重合法および乳化モノマー滴下重合法が好ましい。
【0016】
上記水性媒体としては、水や、水にメタノール、エタノール、プロパノール等の水溶性溶媒を混合した水−水溶性溶媒混合液等があげられる。この中でも、水が特に好ましい。
【0017】
この第1段の乳化重合において使用される重合開始剤としては、通常の乳化重合で使用される重合開始剤を使用することができる。この重合開始剤の例としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物、過酸化水素、t−ブチルハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド等の過酸化物等のラジカル重合開始剤があげられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。また、これらラジカル重合開始剤と、例えば亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、酒石酸、L−アスコルビン酸などの還元剤とを併用してレドックス系重合開始剤として用いることもできる。
【0018】
この乳化重合の際には、エマルジョンの安定性を向上させるために、乳化剤を用いることができる。この乳化剤としては、通常乳化重合に用いられるものであればとくに限定がなく、例えば、アニオン性、カチオン性、両イオン性等のイオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤などがあげられる。
【0019】
上記乳化重合時の反応液は、重合の安定性の面から、たとえばアンモニア水などのpH調整剤を乳化重合時に使用することによってpHを調整することができる。また、反応温度は、通常50〜100℃程度、反応時間は、通常2〜16時間程度とすることが好ましい。
【0020】
次に、第2段目の乳化重合は、上記の第1段目の乳化重合反応液に、予備乳化液を添加して行う重合である。
上記予備乳化液とは、重合性紫外線安定性単量体及び/又は重合性光安定性単量体を予備乳化した乳化液であり、好ましくは、上記重合性紫外線安定性単量体及び/又は重合性光安定性単量体と、(メタ)アクリル酸系単量体とを予備乳化した乳化液である。この(メタ)アクリル酸系単量体とは、上記した(メタ)アクリル酸系単量体を用いることができる。
【0021】
上記第2段目の乳化重合において、予備乳化液に(メタ)アクリル酸系単量体を加える場合、この(メタ)アクリル酸系単量体の使用量は、乳化重合に用いられる(メタ)アクリル酸系単量体全量の0〜30重量%、好ましくは5〜20重量%とするのがよい。30重量%より多いと、全体の重合系のバランスが悪くなる場合がある。また、(メタ)アクリル酸系単量体は0重量%でもよいが、5重量%未満の場合は、上記重合性紫外線安定性単量体及び/又は重合性光安定性単量体の反応が不十分となる場合があり、未反応のままこれらが残留する場合がある。
【0022】
なお、後述する第1段目の重合の転化率は、この第2段目の重合に用いられる(メタ)アクリル酸系単量体を除いた、第1段目の乳化重合に供した単量体についての値を示す。
【0023】
上記第2段目の乳化重合において、上記重合性紫外線安定性単量体及び/又は重合性光安定性単量体に併せて、(メタ)アクリル酸系単量体を用いることにより、上記各単量体の重合体への取り込みが容易となり、反応効率が向上する。
【0024】
上記重合性紫外線安定性単量体又は重合性光安定性単量体とは、重合性を有する紫外線安定剤又は光安定剤をいい、ヒンダードアミンライトスタビライザー(以下、「HALS」と略する。)基を有するアクリレート(以下、「重合性HALS」と称する。)やフェノール系酸化防止剤基を有するアクリレート等を例としてあげることができる。この重合性HALSの具体例としては、メタクリル酸1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジニル(旭電化工業(株)製;LA−82、日立化成工業(株)製;JA−711MM)、アクリル酸2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル(旭電化工業(株)製;LA−87、日立化成工業(株)製;JA−712MM)等があげられる。
【0025】
上記の(メタ)アクリル酸系単量体と、重合性紫外線安定性単量体及び/又は重合性光安定性単量体とを予備乳化して乳化液とする場合、乳化剤を用いるのが好ましい。この乳化剤の例としては、上記した乳化剤があげられる。
この重合性紫外線安定性単量体及び/又は重合性光安定性単量体の使用量は、得られる塗料用エマルジョン組成物の固形分100重量部に対して、0.01〜5重量部がよく、0.1〜3重量部が好ましい。0.01重量部より少ないと、目的とする耐候性改良効果が不十分となることがある。一方、5重量部より多いと、添加量の増量に見合う耐候性改良効果が得られず、経済的でなく、また、エマルジョンの安定性を阻害したり、重合体の分子量低下を起こすことがある。
【0026】
上記予備乳化液には、必要に応じて、重合開始剤を含有させることができる。これは、一般に、上記重合性紫外線安定性単量体や重合性光安定性単量体は、ラジカル重合反応中に生じるラジカルのトラップ剤としての機作を有するために重合抑制作用を有する。このため、これらを重合反応に供与することにより、反応が停止する場合があり、これを防ぐため重合開始剤を含有させるのが好ましい。
【0027】
上記重合開始剤の予備乳化液への添加量は、0.01〜5重量%が好ましく、0.05〜2重量%がより好ましい。0.01重量%より少ないと、未反応単量体の残存量が多くなる。一方、5重量%より多いと、重合体の分子量が低くなり、あるいは、未分解の重合開始剤が残留して、耐候性が悪化する。
【0028】
上記予備乳化液の添加方法は、一括に添加してもよく、また、一定時間かけて、連続的又は断続的に添加してもよい。
なお、上記予備乳化液を調製する際には、撹拌・混合による方法や、ホモジナイザー等の機械的剪断力を加える方法を適宜用いることができる。
【0029】
この第2段の乳化重合における反応温度は、特に限定されないが、第1段における反応温度と同様若しくは少し温度を上げて重合させるのが好ましい。
【0030】
上記予備乳化液の上記の第1段の乳化重合液への添加開始時期は、第1段の乳化重合における、単量体の転化率が70%以上に達した後であり、75〜99.9%に達した後が好ましい。
【0031】
なお、この単量体の転化率は、別途行うモデル実験により、後述の方法で転化率を測定して、反応時間と転化率との関係を予め求めておき、実際の乳化重合反応で、この反応時間と転化率との関係を適用して、転化率を判定してもよい。また、適時サンプルを採取して、下記の方法で直接転化率を測定してもよい。
【0032】
第1段の乳化重合における単量体の転化率が上記の範囲を満たす場合は、第1段の乳化重合反応の重合反応速度が高い状態にあり、一般的には、この状態は、外部から冷却して反応温度を所定の範囲内に保とうとする状態の場合である。このときに、上記予備乳化液を添加すると、この予備乳化液に含まれる重合性紫外線安定性単量体及び/又は重合性光安定性単量体も同時に添加されることとなる。この重合性紫外線安定性単量体及び/又は重合性光安定性単量体は、上記の通り重合抑制作用を有するが、第1段の乳化重合反応の重合反応速度が高い状態であるため、この重合性紫外線安定性単量体及び/又は重合性光安定性単量体の添加によって重合が抑制され、重合反応速度が低くなるまでに、第2段目の重合のほとんどが進行し、また、重合性紫外線安定性単量体及び/又は重合性光安定性単量体も容易に重合される。このため、重合性紫外線安定性単量体及び/又は重合性光安定性単量体を重合体中に取り込んだ、十分な平均分子量を有するエマルジョン組成物を得ることができる。
【0033】
この発明にかかる製造方法で得られるエマルジョン組成物は、塗料用として使用することができ、これから得られる塗膜は、十分な耐候性や光沢性を有する。また、帯電しにくいため、耐汚染性にも優れている。
【0034】
【実施例】
以下、本発明を実施例を用いてより詳細に説明する。まず、実施例及び比較例で行った試験及び評価方法、及び使用した各成分について説明する。
【0035】
<試験及び評価方法>
[重合率の測定(不揮発分測定−簡易法−)]
アルミカップに重合過程の樹脂エマルジョン1gを測りとり、電子レンジで10分間処理して水分及び未反応単量体を揮散させた後に秤量し、重合率を算出した。
【0036】
[重合性の評価]
得られたエマルジョンの臭気の官能試験により、重合の進行状態を評価した。
○:臭気なし
△:臭気が僅かにあり
×:臭気が著しい
【0037】
[ガラス転移温度(Tg)の測定]
示差走査熱量分析(DSC)(セイコー電子工業(株)製 示差走査熱量計DSC−220C型)法によって測定した。
【0038】
[不揮発分の測定]
重合終了後の樹脂エマルジョンを、JIS K 6833に記載の規定に従って測定した。
【0039】
[粘度の測定]
重合終了後の樹脂エマルジョンを、JIS K 6833に記載の規定に準じて、BM型粘度計を用いて、25℃、12rpm、#2ロータにて測定した。
【0040】
[pHの測定]
重合終了後の樹脂エマルジョンを、JIS K 6833に記載の規定に従って測定した。
【0041】
[塗料安定性の判定]
JIS K 5400に記載の規定に準じて、密閉容器に実施例又は比較例で得られた塗料を採取し、35℃恒温槽に90日間放置して粘度上昇及び凝集物の有無を目視判定した。
【0042】
[初期光沢の測定]
溶剤系塩化ゴムシーラーをケイカル板(JIS A 5430規定のもの、日本テストパネル(株)製)に、100g/m刷毛塗りした後、常温で2時間経過後、実施例又は比較例で得られた塗料をエアスプレーにて100g/mの塗装量となるように塗装し、20℃、65%RHで7日間養生して、試験片を調製した。
得られた試験片を、JIS K 5400に記載の規定に準じて、デジタルグロスメーター(日本電色工業(株)製:UVG−50)を用いて、60°鏡面初期光沢(G)を測定した。
【0043】
[光沢保持率の測定]
上記の試験片を、スーパーUV試験機(岩崎電気(株)製:SUV151型)を用いて、紫外線照射8時間/結露4時間の条件下で所定時間処理した後、上記デジタルグロスメーターを用いて、60°鏡面光沢(G)を測定し、次の式から光沢保持率を算出した。
光沢保持率(%)=(G/G)×100
【0044】
[耐汚染性(色差)及び耐候性の測定]
JIS K 8722に記載の規定に準じて、上記の方法で製造した試験片の塗膜の色彩(L,a,b)を、色彩色差計(ミノルタカメラ(株)製:CR−300型)を用いて測定した。
次に、屋外曝露台に試験片を設置し、3ヶ月間曝露した後、上記色彩色差計を用いて、色彩(L,a,b)を測定し、次の式から色差(ΔE*ab)及び曝露試験前後のL値の差(ΔL=L−L)を算出した。このΔLが小さいほど、耐汚染性が高いことを意味する。また、ΔE*abが小さいほど、耐候性が良いと評価する。
ΔE*ab={(L−L+(a−a+(b−b1/2
【0045】
<原材料>
・メタクリル酸メチル…三菱レイヨン(株)製(以下、「MMA」と略する。)
・メタクリル酸シクロヘキシル…旭化成(株)製(以下、「CHMA」と略する。)
・アクリル酸ブチル…三菱化学(株)製(以下、「BA」と略する。)
・アクリル酸メチル…三菱化学(株)製(以下、「MA」と略する。)
・メタクリル酸1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジニル(旭電化工業(株)製;LA−82)(以下、「LA82」と略する。)
・アクリル酸2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル(旭電化工業(株)製;LA−87)(以下、「LA87」と略する。)
【0046】
(実施例1〜4、比較例1〜2)
撹拌機、温度調節機、温度計、還流冷却器、滴下ロート及び窒素ガス導入管を備えた反応容器内に、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸アンモニウム(98%水溶液)0.3重量部、及び脱イオン水50重量部を仕込み、65℃に昇温しながら窒素ガスを導入した。そして過硫酸アンモニウム0.3重量部を添加した。次に、表1に記載の各単量体を表1に記載の重量部、及びポリオキシアルキルフェニルエーテル4重量部を脱イオン水50重量部に分散させ、これを3時間かけて滴下した。このときの反応温度を65℃に保持した。
【0047】
上記重合反応液中の単量体の転化率が85%となったところで、75℃に昇温し、表1に記載の重合性HALSを表1に記載の重量部とBA2重量部を脱イオン水2重量部に分散させた予備乳化液を添加し、続いて、ADVN(2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル))0.1重量部を添加し、3.5時間熟成した。その後、冷却し、25%アンモニア水を1.5重量部添加して中和して樹脂エマルジョンを得た。
【0048】
この得られた樹脂エマルジョン100重量部に酸化チタン含量69重量%のチタンペースト30重量部及びジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートを添加して、最低造膜温度を0℃に調整した塗料を得た。
得られた樹脂エマルジョン及び塗料を用いて、上記の測定及び評価を行った。その結果を表1に示す。
【0049】
【表1】
Figure 2004059765
【0050】
【発明の効果】
この発明にかかる塗料用エマルジョン組成物は、塗膜にしたとき、十分な耐候性及び光沢性、光沢保持性を有し、さらに、耐汚染性にも優れる。

Claims (6)

  1. (メタ)アクリル酸系単量体を水性媒体中で第1段の乳化重合を行い、転化率が70%以上に達した後に、重合性紫外線安定性単量体及び/又は重合性光安定性単量体を予備乳化した予備乳化液を添加して第2段の乳化重合を行う塗料用エマルジョン組成物の製造方法。
  2. 上記予備乳化液が、重合性紫外線安定性単量体及び/又は重合性光安定性単量体と、(メタ)アクリル酸系単量体とを予備乳化したものである請求項1に記載の塗料用エマルジョン組成物の製造方法。
  3. 上記予備乳化液は、重合開始剤を含有する請求項1又は2に記載の塗料用エマルジョン組成物の製造方法。
  4. 上記(メタ)アクリル酸系単量体の少なくとも1種として、シクロアルキル基を有する(メタ)アクリル酸系単量体を用いる請求項1乃至3のいずれかに記載の塗料用エマルジョン組成物の製造方法。
  5. 上記(メタ)アクリル酸系単量体の少なくとも1種として、(メタ)アクリル酸を用いる請求項1乃至4のいずれかに記載の塗料用エマルジョン組成物の製造方法。
  6. 上記第1段における転化率が75〜99.9%に達した後に第2段の重合反応を行う請求項1乃至5のいずれかに記載の塗料用エマルジョン組成物の製造方法。
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