JP2004059409A - カーボンナノ材料、その製法及び水素貯蔵材料 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】多層カーボンナノチューブ等のカーボンナノ材料の管壁に開孔部等を導入し、さらにこの開孔部等に選択的にPd等の金属及び/又は金属化合物を担持する。このPd等を担持したカーボンナノ材料に、さらにアルカリ金属をドープすることが好ましい。また、Pd等を担持した多層カーボンナノチューブ等のカーボンナノ材料の嵩密度を高くすることによって、単位質量あたりの体積を小さくでき、車載用等に好適な水素貯蔵材料となる。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、管壁に開孔部、破裂部、及び/又は破断部を有する多層カーボンナノチューブ等のカーボンナノ材料及びその製造法、さらに、その材料を用いて提供される、高い水素貯蔵能力を有する炭素材料及びその製造法に関する。
【0002】
なお、本明細書中、「開孔」とは、電子顕微鏡による観察が可能な程度の明確な穴があいている状態をいい、「開孔部」とは、その部分をいう。また、本明細書中、「破裂」とは、「開孔部」と異なり、明確な穴は電子顕微鏡で観察できないが、多層カーボンナノチューブ等の管壁が部分的に破れた状態をいい、「破裂部」はその部分をいう。また、本明細書中、「破断」とは、多層カーボンナノチューブ等が切断されている状態をいい、「破断部」とは、その破断された部分をいう。また、「炭素材料」の語は、例えばカーボンナノ材料のように、本質的に炭素のみから構成されている材料、その材料が酸化、置換、付加等の化学反応を受けることによって生成した、炭素以外の元素を含んでいる材料、さらにこれらに金属等を担持及び/又はドープすることにより、炭素以外の元素を含む材料を含むものとして用いる。
【0003】
【従来の技術】
水素は、燃焼によって二酸化炭素が発生しないクリーンな燃料として注目され、水素を燃料として使用するため、水素の貯蔵・運搬に関する材料・方法の開発が数多く行われている。
【0004】
水素を貯蔵する方法として、高圧ガスボンベによる水素貯蔵・運搬方法が一般的であるが、装置の重量が大きくなり、かつ装置の単位体積当たりの貯蔵可能な水素量に実用上限界があるという欠点を有する。水素を効率よく貯蔵・運搬することができる材料として、水素吸蔵合金が公知である。しかし、水素吸蔵合金はそれ自身の重量が大きいという欠点を有し、水素吸蔵合金の単位質量当たりの水素貯蔵量は決して充分多いものとはいえず、特に車載用の水素貯蔵・運搬に適した、さらに水素貯蔵能力の高い材料が求められている。
【0005】
活性炭、フラーレン、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー等の炭素材料は、水素を貯蔵する能力を有すると期待されており、これらの炭素材料を水素貯蔵材料として利用するための検討が数多く行われている。しかし、分子状水素を吸着させる場合の、これら炭素材料の水素の貯蔵能力は必ずしも高いものではなく、かつ、常温では分子状水素は吸着されずに、ほとんど放出されてしまう。例えば、カーボンナノチューブは、液体窒素温度付近で、カーボンナノチューブの質量に対し、数%の水素貯蔵能力を有することが報告されているが、室温付近では水素は放出され、水素貯蔵材料としては実質的に機能しない。この欠点を改良するための方法として、例えば、特開平10−72201号公報には、多孔質炭素材料の表面に、水素分子を水素原子に分離させる能力を有する金属又は合金の被膜を形成した材料が、良好な水素貯蔵能力を有することが開示されている。また、同様に分子状水素を原子状水素に解離させて炭素材料に貯蔵するための技術として、特開2001−146408号公報には、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー等のカーボンナノ材料の内壁面あるいは外壁面に水素分子を水素原子に解離させる触媒を担持した材料、及びその材料にさらにアルカリ金属をドーピングした材料が、高い水素貯蔵能力を有し、かつ室温でも水素を貯蔵できることが開示されている。
【0006】
しかしながら、公知の炭素系水素貯蔵材料の有する水素貯蔵能力は決して満足できるものではなく、さらに高い水素貯蔵能力を有する材料が求められている。
【0007】
また、上記炭素系水素貯蔵材料は、軽量ではあるが、嵩密度が低いため、単位質量当たりの容積が大きくなるという問題があった。したがって、特に車載用等において、水素貯蔵・運搬装置の設置空間をできるだけ小さくしたい用途に用いるためには、上記炭素系水素貯蔵材料の嵩密度を高くする必要があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、水素貯蔵材料として使用するための、高い水素貯蔵能力を有する炭素材料及びその製造方法、並びに、その炭素材料を製造するための原料となる炭素材料及びその製造方法を提供するものである。さらに本発明は、水素貯蔵材料として好ましい、上記炭素材料の嵩密度を高めた材料、及びその製造方法も提供するものである。さらに、これら炭素材料を含む水素貯蔵材料を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するための、以下のものである。
すなわち、本発明は、第1には、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、又はカーボンナノホーンからなる群から選ばれるカーボンナノ材料であって、管壁に開孔部、破裂部及び/又は破断部を有するカーボンナノ材料を提供する。
【0010】
第2に、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、及びカーボンナノホーンからなる群から選ばれるカーボンナノ材料を酸化することを特徴とする、管壁に開孔部を有するカーボンナノ材料の製造方法を提供する。
【0011】
第3に、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、及びカーボンナノファイバーからなる群から選ばれるカーボンナノ材料を、前記カーボンナノ材料よりも高比重かつ高硬度の粉末とともに混合し、機械力を加えることを特徴とする、管壁に開孔部、破裂部及び/又は破断部を有するカーボンナノ材料の製造方法を提供する。
【0012】
第4に、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、及びカーボンナノファイバーからなる群から選ばれるカーボンナノ材料であって、管壁の開孔部、破裂部及び/又は破断部に金属及び/又は金属化合物が担持されていることを特徴とするカーボンナノ材料を提供する。
【0013】
第5に、管壁に開孔部、破裂部及び/又は破断部を有する単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、及びカーボンナノファイバーからなる群から選ばれるカーボンナノ材料を、管壁の開孔部、破裂部及び/又は破断部に存在する極性基、不飽和結合及び/又はダングリング・ボンドに配位可能な金属化合物、並びに/あるいは前記不飽和結合及び/又はダングリング・ボンドと反応して炭素−金属結合を形成することができる金属化合物と反応させた後、熱処理することを特徴とする、管壁に開孔部、破裂部及び/又は破断部を有するカーボンナノ材料への金属及び/又は金属化合物を担持する方法を提供する。
【0014】
第6に、管壁に開孔部、破裂部及び/又は破断部を有する単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、及びカーボンナノファイバーからなる群から選ばれるカーボンナノ材料に、ハロゲンを反応させることによってハロゲン置換基を導入し、次に芳香族ハロゲン化合物へ酸化的付加をすることが知られている有機金属錯体を反応させ、さらに熱処理することを特徴とする、管壁に開孔部、破裂部及び/又は破断部を有するカーボンナノ材料へ金属及び/又は金属化合物を担持する方法を提供する。
【0015】
第7に、管壁に開孔部、破裂部及び/又は破断部を有する単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、及びカーボンナノファイバーからなる群から選ばれるカーボンナノ材料に、ハロゲンと反応させることによってハロゲン置換基を導入し、次にグリニャール試薬又はアルキルリチウムと反応させることで、前記ハロゲン置換基とマグネシウム又はリチウムの交換反応を行ってカルバニオンを生成し、前記カルバニオンと金属化合物を反応させ、さらに熱処理することを特徴とする、管壁に開孔部、破裂部及び/又は破断部を有するカーボンナノ材料へ金属及び/又は金属化合物を担持する方法を提供する。
【0016】
第8に、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、管壁に開孔部、破裂部及び/又は破断部を有する、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、金属及び/又は金属化合物が担持された、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、並びに管壁に開孔部、破裂部及び/又は破断部を有し、かつ金属及び/又は金属化合物が担持された、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、及びカーボンナノファイバーから選ばれた少なくとも1種を束状にしたことを特徴とする、束状炭素材料を提供する。
【0017】
第9に、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、管壁に開孔部、破裂部及び/又は破断部を有する、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、金属及び/又は金属化合物が担持された、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、並びに管壁に開孔部、破裂部、及び/又は破断部を有し、かつ金属及び/又は金属化合物が担持された、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、及びカーボンナノファイバーから選ばれた少なくとも1種に、溶媒中で機械的振動を加えることを特徴とする、上記束状炭素材料の製造方法を提供する。
【0018】
第10に、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンナノホーン、管壁に開孔部、破裂部及び/又は破断部を有する、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンナノホーン、金属及び/又は金属化合物が担持された、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンナノホーン、並びに管壁に開孔部、破裂部及び/又は破断部を有し、かつ金属及び/又は金属化合物が担持された単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、及びカーボンナノホーンから選ばれた少なくとも1種が、フラーレン及び/又は単層カーボンナノチューブとともに加圧圧縮されることにより製造されることを特徴とする炭素材料を提供する。
【0019】
第11に、管壁に開孔部、破裂部及び/又は破断部を有する、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンナノホーン、並びに管壁に開孔部、破裂部及び/又は破断部を有し、かつ金属及び/又は金属化合物が担持された、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、及びカーボンナノホーンから選ばれた少なくとも1種に、アルカリ金属がドープされていることを特徴とするカーボンナノ材料を提供する。
【0020】
第12に、非水溶媒中、アルカリ金属塩存在下に、管壁に開孔部、破裂部及び/又は破断部を有する、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンナノホーン、並びに管壁に開孔部、破裂部及び/又は破断部を有し、かつ金属及び/又は金属化合物が担持された、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、及びカーボンナノホーンから選ばれた少なくとも1種を負極として電圧を印加することを特徴とする、アルカリ金属がドープされているカーボンナノ材料の製造方法を提供する。
【0021】
第13に、管壁に開孔部、破裂部及び/又は破断部を有する、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンナノホーン、並びに管壁に開孔部、破裂部及び/又は破断部を有し、かつ金属及び/又は金属化合物が担持された、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、及びカーボンナノホーンから選ばれた少なくとも1種を、アルカリ金属蒸気と接触させることを特徴とする、アルカリ金属がドープされているカーボンナノ材料の製造方法を提供する。
【0022】
第14に、(1)上記管壁の開孔部、破裂部及び/又は破断部に金属及び/又は金属化合物が担持された、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、カーボンナノファイバーから選ばれる少なくとも1種のカーボンナノ材料、(2)上記金属及び/又は金属化合物が担持された、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、並びに管壁に開孔部、破裂部及び/又は破断部を有し、かつ金属及び/又は金属化合物が担持された、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、及びカーボンナノファイバーから選ばれた少なくとも1種を束状にした束状炭素材料、(3)上記金属及び/又は金属化合物が担持された、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンナノホーン、並びに管壁に開孔部、破裂部及び/又は破断部を有し、かつ金属及び/又は金属化合物が担持された単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、及びカーボンナノホーンから選ばれた少なくとも1種をフラーレン及び/又は単層カーボンナノチューブとともに加圧圧縮して製造された炭素材料、(4)上記管壁に開孔部、破裂部及び/又は破断部を有する、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンナノホーン、並びに管壁に開孔部、破裂部及び/又は破断部を有し、かつ金属及び/又は金属化合物が担持された、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、及びカーボンナノホーンから選ばれた少なくとも1種にアルカリ金属をドープしたカーボンナノ材料、から選ばれる1種以上の材料を含むことを特徴とする水素貯蔵材料を提供する。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明は、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、カーボンナノファイバーの管壁に多数の開孔部、破裂部及び/又は破断部(以下「開孔部、破裂部及び/又は破断部」を「管壁開孔部等」ともいう。)を導入できること、さらに、管壁開孔部等を有する単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、カーボンナノファイバーに、分子状水素を原子状に解離することができる金属及び/又は金属化合物を担持したカーボンナノ材料が、極めて高い水素貯蔵能力を有することを発見し、さらに前記金属等を担持したカーボンナノ材料にアルカリ金属をドープすることによって、水素放出温度を低下させることができるという考え方に基づき完成したものである。
【0024】
さらに、本発明は、嵩密度が低い上記カーボンナノ材料を束状にする方法を発見し、束状にすることによって上記カーボンナノ材料の嵩密度を高くでき、又は上記カーボンナノ材料とフラーレン及び/又は単層ナノカーボンを加圧圧縮することによって嵩密度を高くでき、それによって体積を小さくすることができることから、車載用等の水素貯蔵材料に適することを見出し完成したものである。ここで、「束状」とは、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー等の線状の材料が、方向をそろえて凝集した形態をいう。
【0025】
すなわち、本発明は、上記水素貯蔵能力の高い炭素材料の原料となりうる、管壁開孔部等を有する単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、又はカーボンナノファイバー、並びにその製造方法、さらに、これら管壁開孔部等を有する単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、又はカーボンナノファイバーに対し、分子状水素を原子状水素に解離することができる金属を担持する方法、及びその金属が担持されたカーボンナノ材料、さらに、このカーボンナノ材料にアルカリ金属をドープする方法、及びアルカリ金属がドープされたカーボンナノ材料、さらには、これらカーボンナノ材料を束状にし、あるいはフラーレン及び/又は単層ナノチューブをバインダーとして加圧圧縮することによって嵩密度を高める方法、及び束状にされ、又はフラーレン等をバインダーとして加圧圧縮された炭素材料、さらに、これらの1種以上を含む水素貯蔵材料を含む。
【0026】
本発明の最大の目的は、水素貯蔵能力の極めて高い、カーボンナノ材料を含めた炭素材料を提供するものであるが、その水素貯蔵能力の極めて高い炭素材料を製造するための原料として、管壁開孔部等を有する単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、カーボンナノファイバーを用いることが好ましく、管壁開孔部等を有する多層カーボンナノチューブを用いることが特に好ましく、管壁に開孔部を有する多層カーボンナノチューブを用いることが最も好ましい。
【0027】
単層カーボンナノチューブの管壁に酸化により開孔部を導入する方法は、特開平2002−97008号公報に開示されている。しかしながら、前記公報に開示されている方法を使用して、直管状の多層カーボンナノチューブを酸化しても、管壁に開孔部を有する多層カーボンナノチューブは得られなかった。
【0028】
本発明者らは、適当な酸化条件下に、多層カーボンナノチューブの中でも、特定の多層カーボンナノチューブを酸化することによって、管壁に多数の開孔部を有する多層カーボンナノチューブを製造することができることを発見し、本発明を完成した。
【0029】
すなわち、酸化反応により管壁に開孔部を有する多層カーボンナノチューブを製造するための原料として用いる多層カーボンナノチューブは、規則的な6員環構造以外の構造であって、この規則的な6員環構造よりも酸化反応を受けやすい構造を管壁に有するものが好ましい。具体的には、多層カーボンナノチューブの管壁に5員環、7員環等の部分構造を有するものが好ましい。多層カーボンナノチューブは、直管状のものと屈曲部を有するものが知られているが、上記の酸化反応を受けやすい部分構造を多数有する多層カーボンナノチューブは、一般的にその外観上、多くの屈曲部(6員環以外の部分構造が多数含まれる)を有するものであり、例えば電子顕微鏡による観察によって容易に見分けることができる。ただし、外観上、屈曲部を有しない多層カーボンナノチューブであっても、管壁に酸化を受けやすい6員環以外の部分構造を有しているものであれば、好ましく使用できる。
【0030】
すなわち、本発明の、管壁に開孔部を有する多層カーボンナノチューブを製造するためには、屈曲部を有する多層カーボンナノチューブを使用することが最も好ましい。酸化を受けやすい部分構造をほとんど有しない直管状の多層カーボンナノチューブを酸化した場合は、多層カーボンナノチューブの管壁に多数の開孔部が生成することなく、チューブ末端から燃焼反応が進み、チューブが短くなっていくだけであり、管壁に開孔部を有する多層カーボンナノチューブは得られない。これに対して、屈曲部、すなわち規則的な6員環構造よりも酸化反応を受けやすい構造、を有する多層カーボンナノチューブは、その酸化反応を受けやすい部分から酸化反応が進むため、管壁に開孔部が生成すると考えられる
【0031】
上記屈曲部を有する多層カーボンナノチューブの製造は、触媒としてLaCoO3、LaNiO3、Ni/Al2O3、Co/Al2O3、Ni/Mo/MgO、Co/Mo/MgO、Fe/Mo/MgO等を用い、例えば原料ガスとしてメタン及び水素を用いる化学蒸着法(CVD法)によって、製造することができる。特に、LaCoO3やCo/Mo/MgOを触媒に用い、700〜900℃、アルゴン希釈5%メタン、反応時間3〜8時間の製造条件で製造された多層カーボンナノチューブは、屈曲部を多く有することから好ましい。本発明に用いる多層カーボンナノチューブは、長さ、外径、内径が任意の大きさのものを用いることができるが、例えば、長さ5〜30μm、外径10〜100nm、内径3〜20nmのものが好ましく、さらに具体的には、長さ10μm、外径20〜50nm、内径3〜10nm、層数が20〜50の多層カーボンナノチューブが好ましい。
【0032】
管壁に酸化反応を受けやすい部分構造を有する多層カーボンナノチューブ、例えば屈曲部の多い多層カーボンナノチューブを酸化することによって、管壁に開孔部を生成させる。その酸化反応は、20kPaの酸素中、500〜700℃、好ましくは550℃〜650℃、さらに好ましくは580℃〜650℃、最も好ましくは600℃〜630℃に加熱することによって行うことができる。さらに、酸化反応の条件として、酸化する材料を常温から600℃〜630℃まで5℃/分以上の昇温速度で加熱することが好ましく、開孔部を有する多層カーボンナノチューブの収率が最も高くなることから、昇温速度は7℃/分以上であることが最も好ましい。酸化温度が700℃を超えると、酸化が進みすぎ、管壁に開孔部を有する多層カーボンナノチューブの収率が著しく低下する。また、酸化温度が500℃未満であると、酸化がほとんど進行せず、開孔部を有する多層カーボンナノチューブは得られない。さらに昇温速度が5℃/分未満の昇温速度で、室温から、例えば最も好ましい温度範囲にある600℃まで昇温しても、開孔部を有する多層カーボンナノチューブの収率は低くなる。さらに、酸化反応が進行しすぎることによる収率の低下を防止するため、酸化温度まで昇温してから、酸化のために必要な時間が経過した後は、すばやく室温まで冷却することが好ましい。この酸化のために必要な時間は、上記酸化温度により変動し、多層カーボンナノチューブの管壁に多数の開孔部を生成させ、かつ、生成物の収率が大きく低下しないように最適な時間を設定することができる。具体的には、610〜615℃の酸化の条件においては、その温度に昇温して保持する時間は1〜2分であることが好ましい。
【0033】
例えば、平均長さ10μm、外径20〜50nm、内径3〜10nmで屈曲部を有する多層カーボンナノチューブを酸素中で600℃まで昇温して酸化した場合、多層カーボンナノチューブ1本あたりの平均開孔数は、約100〜1000であり、チューブ管壁の開孔部の直径は5〜40nmであり、その場合の重量減少は、約60質量%であった。
【0034】
多層カーボンナノチューブの酸化は、上記酸素によるものに限定されず、オゾン、一酸化窒素等の酸化力を有する気体、硝酸、硝酸−硫酸等の酸化力を有する酸、過酸化水素−硝酸等の酸化剤等を用いることができる。これら酸化剤を用いる場合の酸化条件は、目的物である、管壁に開孔部を有する多層カーボンナノチューブの収率を高くすることができるよう、温度、時間、酸化剤の濃度等の条件を任意に設定することができる。また、酸化反応条件を変えることによって、多層カーボンナノチューブの有する開孔部の大きさを変えることができ、例えば酸化時間を長くすることによって、上記開孔部を大きくすることができる。多層カーボンナノチューブの酸化によって、管壁に多数の開孔部を分散した状態で有する多層カーボンナノチューブを得ることができる。
【0035】
なお、以上、管壁に開孔部を有する多層カーボンナノチューブ、及び酸化による開孔方法について説明したが、酸化による開孔方法は、多層カーボンナノチューブに限定されず、カーボンナノホーン、カーボンナノファイバーにも適用でき、それぞれから管壁に開孔部を有するカーボンナノ材料を製造することができる。
【0036】
次に、多層カーボンナノチューブ等のカーボンナノ材料の管壁に、酸化反応以外の方法によって、開孔部等を導入する方法について説明する。
【0037】
上記酸化反応による多層カーボンナノチューブ等の管壁への開孔部の導入のほか、多層カーボンナノチューブ等の管壁への開孔部、破裂部及び/又は破断部の導入方法として、多層カーボンナノチューブ等よりも高密度かつ高硬度の材料の微粒子と多層カーボンナノチューブ等のカーボンナノ材料とを混合し、圧力を加えることによって、機械的な力により、カーボンナノ材料の管壁に開孔部、破裂部及び/又は破断部を導入することができる。
【0038】
多層カーボンナノチューブ、単層カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、又はカーボンナノファイバーに機械的な力を加えて、管壁に開孔部、破裂部及び/又は破断部を導入するためには、多層カーボンナノチューブ、単層カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、又はカーボンナノファイバーと、これらのカーボンナノ材料よりも高硬度の材料の微粒子とを混合し、撹拌する等の機械的力を加える。さらに、その後、多層カーボンナノチューブ、単層カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、又はカーボンナノファイバーを上記微粒子から分離するために、この微粒子は、多層カーボンナノチューブ、単層カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、及びカーボンナノファイバーよりも比重の大きなものであることが好ましい。比重の大きな微粒子を用いることによって、多層カーボンナノチューブ、単層カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、又はカーボンナノファイバー、及び上記微粒子との混合物に溶媒を加えて懸濁し、遠心分離等することによって、容易に多層カーボンナノチューブ、単層カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、又はカーボンナノファイバーから上記比重の大きな微粒子を分離することができる。
【0039】
上記微粒子としては、硬度が高いものが好ましく、例えば、タングステンカーバイド、シリコンカーバイド等を用いることが好ましい。微粒子の平均粒径は、5μm以下が好ましく、特に1μm以下が少量で高い効果が得られる点から好ましい。
【0040】
多層カーボンナノチューブ、単層カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、又はカーボンナノファイバーを上記微粒子と混合し、例えばボールミルで撹拌等することによって加えられた機械的な力により、多層カーボンナノチューブ、単層カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、又はカーボンナノファイバーの管壁に開孔部、破裂部及び/又は破断部が導入できる。例えば、ボールミルでの混合条件、すなわち、時間、回転数等は任意に最適な条件を設定することができる。多層カーボンナノチューブ、単層カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、又はカーボンナノファイバーと上記微粒子との間に機械的な力を加える方法は、ボールミルが代表的であるが、これに限られるものではない。
【0041】
さらに、多層カーボンナノチューブ、単層カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、カーボンナノファイバーは、これらから選ばれた1種、又は2種以上の混合物を用いることができる。
【0042】
管壁開孔部等を導入した多層カーボンナノチューブ、単層カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、及び/又はカーボンナノファイバーを、高硬度かつ高比重の微粒子との混合物から分離するには、この混合物を溶媒に懸濁し、遠心分離する。用いる溶媒は、多層カーボンナノチューブ、単層カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、及び/又はカーボンナノファイバーに対して良好な濡れ性を有するものが好ましく、例えばエタノール、プロパノール等が好ましい。これらの溶媒の1種以上を用いることにより、多層カーボンナノチューブ、単層カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、及び/又はカーボンナノファイバーを上記高比重微粒子から容易に遠心分離によって分離することができる。
【0043】
以上、酸化反応により管壁に開孔部を導入した多層カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、カーボンナノファイバー、高硬度かつ高比重の微粒子と混合して機械的力によって管壁に開孔部、破裂部及び/又は破断部を導入した多層カーボンナノチューブ、単層カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、カーボンナノファイバーの製造方法を説明した。この方法によって製造された炭素材料は、多数の管壁開孔部等を有する。以上の方法によって製造した、管壁開孔部等を有する多層カーボンナノチューブ、単層カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、及び/又はカーボンナノファイバーを、水素吸蔵材料として用いる場合は、これらのカーボンナノ材料に分子状水素を原子状水素に解離する能力を有する金属及び/又は金属化合物を担持することが好ましい。
【0044】
上記の管壁開孔部等を有する、多層カーボンナノチューブ、単層カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、及び/又はカーボンナノファイバーに担持する金属及び/又は金属化合物は、Pt、Pd、WC、MoC、Cu、Ni、Fe、Rh、Ru、Au、Os等が好ましく、特にPd、Pt、Cuが水素解離度の高い点で好ましい。
【0045】
これらの金属及び/又は金属化合物の担持は、スパッタリング、蒸着等の公知の方法で行うことができる。
【0046】
本発明において、管壁開孔部等を有する多層カーボンナノチューブ、単層カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、及び/又はカーボンナノファイバーへの金属の担持は、特に多層カーボンナノチューブ、単層カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、及び/又はカーボンナノファイバーの管壁開孔部等に担持することが好ましい。例えば、管壁開孔部等を有する多層カーボンナノチューブの開孔部、破裂部及び/又は破断部に、分子状水素を原子状水素の解離させることができる金属及び/又は金属化合物を担持することによって、分子状から原子状に解離した水素が、管壁開孔部等を通じて、多層カーボンナノチューブの内部、及びチューブの層間に入ることにより、水素貯蔵量を多くすることができると考えられる。
【0047】
次に、多層カーボンナノチューブ、単層カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、及び/又はカーボンナノファイバーの管壁開孔部等に金属及び/又は金属化合物を担持する方法について以下に説明する。
【0048】
多層カーボンナノチューブ、単層カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、又はカーボンナノファイバーの管壁開孔部等には、上記酸化反応によって水酸基、パーオキシド、カルボキシル基、カルボニル基等の極性基が存在する可能性がある。本明細書中でいう極性基とは、炭素原子よりも電気陰性度の大きな原子を含む基をいう。本発明の極性基は、酸素を含む基であることが特に好ましい。また、多層カーボンナノチューブ、単層カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、及び/又はカーボンナノファイバーの管壁開孔部等には、酸化反応又は機械的摩擦力等によって、多層カーボンナノチューブ、単層カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、及び/又はカーボンナノファイバーの管壁から炭素原子が脱離することにより、その脱離した炭素に隣接した炭素等の周辺炭素は、多層カーボンナノチューブ、単層カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、及び/又はカーボンナノファイバーが通常有する、規則正しく6員環が配列した管壁の炭素原子よりも反応性が高いと考えられる。この反応性の高い炭素原子としては、例えばオレフィン、アセチレン、ジエン等の不飽和結合、又は結合が切断されたままで結合する相手を有しない結合手を有する炭素(ダングリング・ボンド(dangling bond)等の化学種が想定される。したがって、上記管壁開孔部等へ金属を担持するためには、上記水酸基等の極性基に配位可能な金属化合物、及び/又は上記反応性の高い炭素原子に反応して炭素−金属結合を形成することができると考えられる金属化合物を上記の管壁開孔部等を有する炭素材料に反応させ、さらに熱処理することによって金属及び/金属化合物を担持することが好ましい。
【0049】
すなわち、管壁開孔部等を有する、多層カーボンナノチューブ、単層カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、及び/又はカーボンナノファイバーに金属及び/又は金属化合物を担持するために用いる化合物は以下のものが好ましい。
【0050】
上記水酸基等の極性基に配位することができる金属化合物としては、例えばPdCl2、H2PdCl4、PdCl2(PhCN)2、Pd(OAc)2、Pd(acac)2、Pd(PPh3)4、PdCl2(PPh3)2等のPd化合物、Ni(cod)2、NiX2(PR3)2、NiX2(Ph2P(CH2)nPPh2)、NiX2、Ni(acac)2等のNi化合物、Pt(PR3)4、PtX2(PR3)2、Na2PtCl4、PtCl2、H2PtCl6、等のPt化合物を用いることが好ましく、特にPd(OAc)2を用いることが配位子を交換する点から好ましいが、極性基に配位することができる金属化合物であればよく、これらに限定されない。ここで、上記金属化合物の化学式中、Xは、Cl、Br、又はIを表し、Rは、炭素数10以下のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、及びアリールアルキル基から選ばれる基であることが好ましく、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、シクロペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、オクチル、フェニル、ベンジル、トルイル等から選ばれることが好ましく、nは2以上の任意の整数を表し、好ましくは4以下の整数を表す。これらの、極性基と配位可能な金属化合物、及び管壁開孔部等を有する多層カーボンナノチューブ、単層カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、及び/又はカーボンナノファイバーとの反応は、テトラヒドロフラン中、水素化ナトリウムを加え、室温で1日反応させ、さらに上記金属塩を加え1日還流することが好ましい。
【0051】
一方、不飽和結合又はダングリング・ボンドと反応しうる金属化合物としては、例えば、H2PdCl4、RhCl3.3H2O、H2IrCl6、CuX、RhCl3、RhCl(PPh3)3、MoCl3、Cr(CO)6を用いることが好ましい。なかでもH2PdCl4は、不飽和結合等と炭素−金属(C−Pd)結合を形成することができると考えられ、実際にH2PdCl4を用いてPdを担持した、管壁開孔部等を有する多層カーボンナノチューブ、単層カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、及びカーボンナノファイバーは、水素貯蔵能力が極めて高いことから、H2PdCl4を用いることが特に好ましい。これらの不飽和結合又はダングリング・ボンドと反応しうる金属化合物、及び管壁開孔部等を有する多層カーボンナノチューブ、単層カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、及び/又はカーボンナノファイバーとの反応は、例えば、H2PdCl4を用いる場合では、エタノール中、室温で1日反応を行うことが好ましい。
【0052】
多層カーボンナノチューブ、単層カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、又はカーボンナノファイバーの管壁開孔部等に例えばPdを担持した場合、担持されたPdは、水素貯蔵条件下、水素によって還元され金属Pdになっていると考えられる。一例として、H2PdCl4を用いて、Pdを担持した、管壁に開孔部を有する多層カーボンナノチューブを透過型電子顕微鏡(TEM)で観察した結果は、Pdの粒子はほとんど見えず、一部見えたものでも2nm以下であった。さらに、このPdを担持した、管壁に開孔部を有する多層カーボンナノチューブを加熱すると、Pdが移動・集合することによって電子顕微鏡で検出できるようになることから、H2PdCl4を用いて担持したPdは、当初極めて微小な粒子として、その多くが多層カーボンナノチューブの管壁開孔部に担持されていると推定される。
【0053】
次に、多層カーボンナノチューブ、単層カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、及び/又はカーボンナノファイバーの管壁開孔部等をハロゲン化し、さらにMg化(グリニャール化)又はLi化等してから、Pd等の金属に置換することによって、管壁開孔部等を有するカーボンナノ材料にPd等の金属を担持する方法について説明する。
【0054】
上記多層カーボンナノチューブ等のカーボンナノ材料の管壁開孔部等には、開孔部以外の場所の炭素よりもハロゲンに対する反応性が高い炭素が存在する。したがって、これら反応性の高い炭素にハロゲンを反応させて、上記炭素材料のハロゲン化を行う。ハロゲン化は、例えば、酢酸中、Cl2、Br2等の好ましいハロゲンを加え、60℃程度に加熱、又は、ベンジルトリメチルアンモニウムトリブロミドとの同条件での反応、あるいはテトラヒドロフラン中、N−ブロモコハク酸イミドとの反応で行うことが好ましい。次に、得られたハロゲン化カーボンナノ材料のハロゲン−炭素結合に酸化付加しうる金属化合物、例えば、Ni(PPh)3、Ni(cod)2、Pd(PPh3)3、Pt(PR3)等を反応させることによって、炭素−金属結合を形成させることが好ましい。ハロゲン−炭素結合に金属化合物が酸化付加する反応は、当業者に公知である。また、上記ハロゲン化反応によって得られたハロゲン化カーボンナノ材料に、グリニャール試薬又はアルキルリチウム等の有機金属化合物を反応させることによって、ハロゲン化カーボンナノ材料中のハロゲンを、Mg又はLi等の金属に置換して、Mg化又はLi化等されたカーボンナノ材料にすることができる。このMg化又はLi化等のために用いる、上記のグリニャール試薬又はアルキルリチウム等の有機金属化合物としては、例えば、フェニルマグネシウムブロミド、エチルマグネシウムブロミド、メチルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム等が好ましく、特に試薬の汎用性の点からブチルマグネシウムブロミドとn−ブチルリチウムが好ましい。上記ハロゲン化カーボンナノ材料と上記有機金属化合物との反応は、無水エーテル又はTHF中、N2又はアルゴン雰囲気で20℃から室温の条件で行うことが好ましい。このようにして得られたMg又はLi化等されたカーボンナノ材料を、有機Mg化合物又は有機Li化合物等と反応しうる金属化合物、例えば、PtCl2(PEt3)、NiBr2(PEt)3、Ni(PPh3)4、PdCl2(PPh3)2等を反応させることによって、C−Pt、C−Ni等の炭素−金属結合を形成させることが好ましい。このようにして形成させた炭素−金属結合を含有するカーボンナノ材料を熱処理することによって、管壁開孔部等に金属及び/又は金属化合物が担持された多層カーボンナノチューブ、単層カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、又はカーボンナノファイバーを得ることができる。上記熱処理は、ヘリウム中、500〜700℃で15〜60分行うことが好ましく、600℃で30分行うことが最も好ましい。
【0055】
管壁開孔部等を有する、多層カーボンナノチューブ、単層カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、又はカーボンナノファイバーであって、金属及び/又は金属化合物を担持していないものは、常温以上において水素をほとんど吸蔵することができず、例えば、150℃において水素ガス中に保持することによって水素を吸蔵させた場合、その水素吸蔵量は上記カーボンナノ材料に対して0.02質量%以下である。これに対して、たとえば、硝酸パラジウムを用いてPdを0.1質量%担持した、管壁に開孔部を有する多層カーボンナノチューブは、その質量に対して1.5質量%の水素を貯蔵でき、また、H2PdCl4を用いて、Pdを0.01〜0.1質量%担持した、管壁に開孔部を有する多層カーボンナノチューブは、その質量に対して、4.3質量%の水素を貯蔵することができる。また、Pdを担持した、管壁に開孔部を有する多層カーボンナノチューブの水素吸蔵にともない、この多層カーボンナノチューブが示す赤外線吸収スペクトルによる炭素−水素(C−H)の伸縮振動に基づく吸収が、2852cm−1及び2917cm−1に観測されることから、上記Pdを担持した、管壁に開孔部を有する多層カーボンナノチューブへの水素吸蔵は、水素が炭素に共有結合した形であるものを含むことがわかる。このPdを担持した、管壁に開孔部を有する多層カーボンナノチューブに吸蔵された水素は、350℃以上に加熱することによって水素ガスとして放出される。
【0056】
したがって、本発明の金属等を担持した、開孔部等を有する、多層カーボンナノチューブ、単層カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、及びカーボンナノファイバーから選ばれるカーボンナノ材料は、高い水素貯蔵能力を有し、水素を貯蔵・放出するための、水素貯蔵材料として用いることができる。
【0057】
次に、嵩密度を高めた炭素材料、及びその製造方法について説明する。
単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、カーボンナノファイバーは、嵩密度が小さく、単位質量あたりの体積が大きい。そのため、これらのカーボンナノ材料及び/又はこれらに管壁開孔部等を導入したカーボンナノ材料、さらにそれらに金属等を担持したカーボンナノ材料を水素貯蔵のための装置に用いると、装置が大きなものになる。したがって、特に、上記材料を車載用の水素貯蔵材料として用いるためには、単位質量あたりの体積が、小さいことが好ましいため、上記材料の嵩密度を高くすることが望ましい。
【0058】
本発明者らは、多層カーボンナノチューブ等のカーボンナノ材料が、特定の条件下で容易に束状、すなわち、線状の材料が方向をそろえて凝集した形態になり、嵩密度を高めることができることを見出し、また、適当な材料をバインダーとして、多層カーボンナノチューブ等のカーボンナノ材料を加圧圧縮する方法によって、嵩密度を高めることができることを見出し、本発明に至ったものである。
【0059】
多層カーボンナノチューブ等の材料を束状にする方法、及び適当な材料をバインダーとして、多層カーボンナノチューブ等の材料を加圧圧縮する方法を分けて以下に説明する。
【0060】
多層カーボンナノチューブ等のカーボンナノ材料を束状にする方法は以下の通りである。すなわち、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、管壁に開孔部、破裂部及び/又は破断部を有する、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、金属及び/又は金属化合物が担持された、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、並びに管壁に開孔部、破裂部、及び/又は破断部を有し、かつ金属及び/又は金属化合物が担持された、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、及びカーボンナノファイバーから選ばれた少なくとも1種を、適当な溶媒中に分散し、かつ機械的振動を加える。この与えられた機械的振動によって、多層カーボンナノチューブ等の上記カーボンナノ材料は絡まり合った状態から個々のチューブが分離し、分離したチューブは、チューブ間のファンデルワールス力によって、自然に束状になる。
【0061】
上記、束状にする材料は、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバーを用いることが好ましい。さらに、管壁開孔部等を有する、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンナノホーンを用いることが好ましく、これらは、本明細書中で既に説明した、酸化反応、又は高硬度かつ高比重の微粒子と混合して機械的力を加えることによって管壁に開孔部、破裂部及び/又は破断部を導入したカーボンナノ材料である。さらに、上記束状にする材料として、管壁に開孔部、破裂部及び/又は破断部を有し、かつ金属及び/又は金属化合物が担持された、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、及びカーボンナノホーンを用いることが好ましい。これは、本明細書中、既に説明した、管壁開孔部等を有する多層カーボンナノチューブ等に金属及び/又は金属化合物を担持したカーボンナノ材料である。
【0062】
上記カーボンナノ材料から選ばれた少なくとも1種を、適当な溶媒中に分散する。すなわち、適当な溶媒中に分散する材料は、上記の束状にする材料として好ましいものから選ばれた2種以上の材料を含むことができる。適当な溶媒とは、これらの材料との濡れ性が良い溶媒であり、具体的には、エタノール、硝酸水溶液、塩酸水溶液等を用いることが好ましい。上記材料を溶媒中に分散した後、機械的振動を与える。機械的振動としては、特に超音波が好ましい。超音波の振動数、エネルギーは特に制限されず、上記材料の絡まり合いを分離できるものであればよいが、例えば、10k〜100kHzの超音波が好ましい。超音波を照射する温度は、任意であり、例えば室温〜100℃で行うことができるが、100℃付近で行うのが好ましい。例えば、約0.3g/cm3の嵩密度を有する、管壁に開孔部を有する多層カーボンナノチューブを、エタノール中に分散し、上記の超音波振動をあてる操作によって束状にすることにより、嵩密度を0.6g/cm3にすることができた。
【0063】
次に、適当な材料をバインダーとして、多層カーボンナノチューブ等の材料を加圧圧縮する方法によって、嵩密度を高める方法を説明する。
【0064】
これは、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンナノホーン、管壁に開孔部、破裂部及び/又は破断部を有する、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンナノホーン、金属及び/又は金属化合物が担持された、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンナノホーン、並びに管壁に開孔部、破裂部及び/又は破断部を有し、かつ金属及び/又は金属化合物が担持された単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、及びカーボンナノホーンから選ばれた少なくとも1種をフラーレン及び/又は単層カーボンナノチューブとともに加圧圧縮することによって、嵩密度を高めた炭素材料を製造する方法である。
【0065】
上記、フラーレン及び/又は単層カーボンナノチューブとともに加圧圧縮するカーボンナノ材料をさらに説明する。加圧圧縮に用いるカーボンナノ材料は、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバーが好ましい。また、管壁開孔部等を有する、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンナノホーンを用いることが好ましく、これらは、本明細書中で既に説明した、酸化反応、又は高硬度かつ高比重の微粒子と混合して機械的力を加えることによって管壁に開孔部、破裂部及び/又は破断部を導入したカーボンナノ材料である。また、金属及び/又は金属化合物が担持された、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンナノホーンを用いることが好ましく、これらのカーボンナノ材料は、例えば、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンナノホーンに、真空蒸着法、スパッタリング法、又はCVD法等によって、白金、パラジウム、水素吸蔵合金等を被覆した、特開平10−72201号公報に開示されているようなカーボンナノ材料、及び、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンナノホーンに、活性炭等の炭素材料に金属を担持する公知の方法によって、Pt、Pd、Cu、Ni、Fe等の金属及び/又はWC、MoC等の金属化合物を担持したカーボンナノ材料があげられる。さらに、加圧圧縮するカーボンナノ材料として、管壁開孔部等を有し、かつ金属及び/又は金属化合物が担持された、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、及びカーボンナノホーンを用いることが好ましい。これは、本明細書中、既に説明した、管壁開孔部等を有する多層カーボンナノチューブ等に金属及び/又は金属化合物を担持したカーボンナノ材料である。
【0066】
上記カーボンナノ材料から選ばれた少なくとも1種をフラーレン及び/又は単層カーボンナノチューブとともに加圧圧縮する。このフラーレン及び/又は単層カーボンナノチューブは加圧圧縮された場合に、バインダーとしての役割をはたすと考えられる。フラーレンは、C60、C70、さらに高次の炭素数の多いフラーレンから任意に選択して用いることができるが、特にC60を用いることが低コストである点から好ましい。単層カーボンナノチューブは、アーク放電法、レーザーアブレーション法、又は触媒分解法のいずれによって製造されたものでも使用することができる。本発明においては、特にレーザーアブレーション法を用いることが、得られる単層カーボンナノチューブが高純度である点から好ましい。
【0067】
混合するバインダーとして使用するフラーレン及び/又は単層ナノチューブの割合は、上記の加圧圧縮するカーボンナノ材料に対して、1質量%〜50質量%であることが好ましく、特に10質量%〜30質量%であることが高い嵩密度を達成できる点から好ましい。フラーレン及び/又は単層カーボンナノチューブと、上記の加圧圧縮するカーボンナノ材料の混合物を、室温〜500℃で、好ましくは100〜200kg/cm2、最も好ましくは、150kg/cm2の圧力で加圧する。加圧圧縮することによって、材料の嵩密度を高くすることができる。さらに、例えば管壁に開孔部を有する多重カーボンナノチューブをフラーレンと混合して加圧圧縮した場合は、加圧圧縮後に多重カーボンナノチューブが束状になっていることがわかった。
【0068】
上記のように、嵩密度を高めた炭素材料を水素貯蔵材料として用いた場合、同一の水素貯蔵能力を有する水素貯蔵材料であっても、その容積を小さくすることが可能であり、車載用等に適する。
【0069】
次に、アルカリ金属をドープしたカーボンナノ材料について説明する。
例えば、H2PdCl4を用いて、Pdを担持した、開孔部を有する多層カーボンナノチューブにおいては、150℃において水素ガス中に保持することによって水素を吸蔵でき、さらに、吸蔵された水素は、350℃以上に加熱することによって水素ガスとして放出されることは既に説明した。しかし、水素の貯蔵・運搬に用いるための水素貯蔵材料としては、350℃よりもさらに低い温度で水素を放出できることが望ましい。種々検討を行った結果、カーボンナノ材料にアルカリ金属をドープすることによって、水素放出温度を低下させることができること、並びに、金属及び/又は金属化合物を担持していない、管壁開孔部等を有する多層カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンナノホーン等であっても、アルカリ金属をドープすることによって水素貯蔵能力を高くすることができることがわかった。
【0070】
すなわち、管壁に開孔部、破裂部及び/又は破断部を有する、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンナノホーン、並びに管壁に開孔部、破裂部及び/又は破断部を有し、かつ金属及び/又は金属化合物が担持された、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、及びカーボンナノホーンから選ばれた少なくとも1種にアルカリ金属をドープすることが好ましい。また、アルカリ金属をドープする上記管壁開孔部等を有する多層カーボンナノチューブ等のカーボンナノ材料は、既に本明細書中で説明した、束状にされたもの、並びにフラーレン及び/又は単層カーボンナノチューブをバインダーとして加圧圧縮された炭素材料を含む。
【0071】
ドープするアルカリ金属は、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(Ka)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)が挙げられるが、ドープされやすいことから、原子半径の小さなアルカリ金属が好ましく、Li、Na、Kが好ましく、特にLiが好ましい。
【0072】
アルカリ金属をドープする方法としては、電気化学的な方法、及び蒸着による方法が具体的に例示でき、これらのいずれかの方法を使用することが好ましい。
【0073】
電気化学的なアルカリ金属のドープは、非水溶媒中、アルカリ金属塩存在下に、管壁に開孔部、破裂部及び/又は破断部を有する、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンナノホーン、並びに管壁に開孔部、破裂部及び/又は破断部を有し、かつ金属及び/又は金属化合物が担持された、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、及びカーボンナノホーンから選ばれた少なくとも1種を負極として電圧を印加することによって行うことが好ましい。
【0074】
上記で用いる多層カーボンナノチューブ等のカーボンナノ材料をさらに説明すると、まず、管壁開孔部等を有する、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンナノホーンは、上記で説明した酸化反応、又は高硬度かつ高比重の微粒子と混合して機械的力を加えることによって管壁に破裂部及び/又は破断部を導入した材料である。さらに、上記材料として、管壁開孔部等を有し、かつ金属及び/又は金属化合物が担持された、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、及びカーボンナノホーンがある。これは、本明細書中で既に説明した、管壁開孔部等を有する多層カーボンナノチューブ等に金属及び/又は金属化合物を担持したカーボンナノ材料である。また、これらのカーボンナノ材料を上述したように束状にした束状炭素材料、あるいは上述したフラーレン及び/又は単層カーボンナノチューブをバインダーにして加圧圧縮した炭素材料を用いることもできる。
【0075】
これらから選ばれた少なくとも1種にアルカリ金属を電気化学的な方法によってドープするためには、上記非水溶媒として、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート及びエチレンカーボネート混合溶媒、ジエチルカーボネート等を用いることが好ましく、特に電解液の安定性の点からプロピレンカーボネートとエチレンカーボネート混合溶媒を用いることが好ましい。用いるアルカリ金属塩としては、六フッ化リン酸リチウム、過塩素酸リチウム、四フッ化ホウ酸リチウムが好ましく、残留物による被毒効果抑制の点から、六フッ化リン酸リチウム等のアルカリ金属塩が特に好ましい。アルカリ金属をドープしようとするカーボンナノ材料を負極とし、アルカリ金属を陽極に用いる。さらに両極間に電圧を印加するが、電圧はLi/Li+を参照とした時、負極が1.5〜0V、特に、分解物を抑える点から0.5Vが好ましい。アルカリ金属のドープ量は、分解物の混入抑制の理由から、カーボンナノ材料に対して、2〜6質量%が好ましい。
【0076】
上記カーボンナノ材料への蒸着によるアルカリ金属のドープは、上記カーボンナノ材料をアルカリ金属蒸気に接触させることによって行うことが好ましい。蒸着によるアルカリ金属のドープは、当業者に公知の方法で行うことができる。具体的には、減圧下又は真空下で、上記カーボンナノ材料存在下に、リチウム等のアルカリ金属を加熱して金属蒸気を発生させることによって、上記カーボンナノ材料にアルカリ金属を蒸着することが好ましい。アルカリ金属の蒸着のための条件は任意であるが、一般的には、例えばリチウムを用いる場合、0.01Pa以下の圧力で、リチウムを80℃以上に加熱することによって、上記カーボンナノ材料にリチウムをドープすることが好ましい。蒸着によるアルカリ金属のドープ量は、上記カーボンナノ材料に対して、0.1〜7質量%であることが、水素脱離温度の低温化の点から好ましい。
【0077】
アルカリ金属をドープすることによって、水素を吸蔵したカーボンナノ材料からの水素放出温度を低下させることができる。すなわち、例えばH2PdCl4を用いて、Pdを担持した、開孔部を有する多層カーボンナノチューブに水素を吸蔵させた場合、アルカリ金属をドープしていないものは、350℃以上に加熱することによって水素ガスが放出されるが、リチウムを1質量%ドープした上記多層カーボンナノチューブは、約200℃に加熱することにより水素ガスを放出できるようになり、水素貯蔵材料として優れる。
【0078】
以上説明したカーボンナノ材料のうち、特に、金属及び/又は金属化合物を担持したカーボンナノ材料、及びアルカリ金属をドープしたカーボンナノ材料を含む、以下の(1)〜(4)のグループに属するものは、多くの水素を貯蔵できることから、水素貯蔵材料として優れている。すなわち、水素貯蔵材料として優れているものは、(1)管壁の開孔部、破裂部及び/又は破断部に金属及び/又は金属化合物が担持された、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、又はカーボンナノファイバーから選ばれる少なくとも1種のカーボンナノ材料、(2)金属及び/又は金属化合物が担持された、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、並びに管壁に開孔部、破裂部及び/又は破断部を有し、かつ金属及び/又は金属化合物が担持された、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、及びカーボンナノファイバーから選ばれた少なくとも1種を束状にした束状炭素材料、(3)金属及び/又は金属化合物が担持された、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンナノホーン、並びに管壁に開孔部、破裂部及び/又は破断部を有し、かつ金属及び/又は金属化合物が担持された単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、及びカーボンナノホーンから選ばれた少なくとも1種をフラーレン及び/又は単層カーボンナノチューブとともに加圧圧縮して製造された炭素材料、(4)管壁に開孔部、破裂部及び/又は破断部を有する、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンナノホーン、並びに管壁に開孔部、破裂部及び/又は破断部を有し、かつ金属及び/又は金属化合物が担持された、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、及びカーボンナノホーンから任意に選ばれた少なくとも1種にアルカリ金属をドープした炭素材料、である。
【0079】
上記(1)〜(4)の各グループに含まれるカーボンナノ材料及び炭素材料から選ばれる1種以上の材料を含む水素貯蔵材料は、水素を貯蔵・運搬するための材料としてきわめて好適である。
【0080】
【実施例】
以下の実施例において、水素貯蔵量は、いずれも水素貯蔵試験を行ったカーボンナノ材料に対する質量%を示す。
【0081】
[実施例1]
[開孔部を有する多層カーボンナノチューブの製造]
800℃において、101kPaの圧力条件下、メタンを30ml/分の流速でLaCoO3触媒上を通過させる操作を8時間継続して行い、多層カーボンナノチューブ(A)を得た。得られた多層カーボンナノチューブ(A)は、平均長さ10μm、内径3〜10nm、外径20〜50nmであり、層数は25〜60、BET比表面積は、98m2/gであり、若干量のアモルファスカーボンを含んでいた。図1に、この製造条件で得られた、屈曲部を有する多層カーボンナノチューブ(A)の透過型電子顕微鏡(TEM)写真を示す。
【0082】
続いて上記若干量含まれているアモルファスカーボンを空気中600℃、1時間の熱処理によって燃焼除去した。
【0083】
さらに、得られた多層カーボンナノチューブを200ヘクトPaの酸素雰囲気下、常温から昇温速度7℃/分で610℃まで昇温し、2分間加熱した後、常温まで5分間で冷却し、管壁に開孔部を有する多層カーボンナノチューブ(B)を得た。得られた生成物のTEM写真を図2に示す。管壁の開孔部の数は、多層カーボンナノチューブあたり、平均約200であった。
【0084】
[開孔部を有する多層カーボンナノチューブ(B)の水素貯蔵試験]
上記操作で得られた、多層カーボンナノチューブ(A)、及び管壁に開孔部を有する多層カーボンナノチューブ(B)を、それぞれ水素雰囲気下、常圧で、150℃に5時間加熱した後、窒素ガスを30ml/分で流通させる条件下、昇温脱離ガス分析を行い、150℃における上記材料への水素の貯蔵量を測定した。その結果は、酸素中で酸化処理を行う前の多層カーボンナノチューブ(A)、及び、酸素中で酸化され、管壁に開孔部を有する多層カーボンナノチューブ(B)ともに、水素の貯蔵量は、0.02質量%以下であった。
【0085】
[実施例2]
[多層カーボンナノチューブの破裂部及び破断部導入]
実施例1で製造した、多層カーボンナノチューブ(A)0.51g、及びタングステンカーバイド(WC)粉末(平均粒径1μm)0.1gを、WC製容器に、WC製ボールとともに入れ、遊星ボールミル(機種名:Pulverlsette 7, FRITSCH型)を使用し、出力100W、10時間の条件で撹拌混合した。その後、内容物を5%のエタノールを含む蒸留水に入れ、充分撹拌した後、遠心分離機を用いて遠心し、WC粉末と多層カーボンナノチューブとを分離した。分離した多層カーボンナノチューブは、空気中100℃で3時間加熱乾燥した。乾燥後の多層カーボンナノチューブ(C)を電子顕微鏡で観察したところ、チューブ管壁に多数の破裂部を有し、かつ破断しているものも多数観察された。
【0086】
上記多層カーボンナノチューブ(A)及び(C)の水素貯蔵量を測定した。すなわち、400℃、4MPaの水素雰囲気下における、(A)及び(C)の水素貯蔵量は、それぞれ、0.02質量%以下であった。
【0087】
[実施例3]
[開孔部を有する多層カーボンナノチューブへの金属担持]
実施例1で製造した、管壁に開孔部を有する多層カーボンナノチューブ(B)1gを、3質量%の硝酸パラジウム水溶液に24時間浸漬させた後、窒素雰囲気下、100℃で5時間加熱・乾燥した。電子顕微鏡観察(TEM)により、担持されたパラジウムを観察したところ、平均粒径は2nmであった。
【0088】
以上の操作で得られた、パラジウムを担持し、かつ管壁に開孔部を有する多層カーボンナノチューブ(D)を、水素雰囲気下、常圧で、150℃に5時間加熱した後、窒素ガスを30ml/分で流通させる条件下、昇温脱離ガス分析を行い、150℃における上記材料への水素の貯蔵量を測定した。その結果から、多層カーボンナノチューブ(D)の水素貯蔵量は、1.5質量%であった。
【0089】
[実施例4]
[開孔部を有する多層カーボンナノチューブへの金属担持]
少量の塩酸水溶液中にPdCl2を加熱溶解し、エタノールを加えH2PdCl4エタノール溶液を調製した。実施例1で製造した、管壁に開孔部を有する多層カーボンナノチューブ(B)1gを、前記H2PdCl4水溶液に、24時間浸漬させた後、濾過して単離し、さらに窒素雰囲気下、100℃で5時間加熱・乾燥して、管壁に開孔部を有し、かつPdが担持された多層カーボンナノチューブ(E)を得た。電子顕微鏡観察(TEM)により、多層カーボンナノチューブ(E)に担持されたパラジウムを観察したが、明確なパラジウム粒子は観測できなかった。多層カーボンナノチューブ(E)をさらに1気圧のHe中、600℃で0.5時間加熱した後に、再度、電子顕微鏡で多層カーボンナノチューブ(E)を観察したところ、平均粒径2nmのパラジウムが観察された。以上の観察から、多層カーボンナノチューブ(E)に担持された当初のパラジウムは、極めて粒子が細かいと推定される。
【0090】
以上の操作で得られた、管壁に開孔部を有し、かつパラジウムが担持された多層カーボンナノチューブ(E)を、水素雰囲気下、常圧で、150℃に5時間加熱した後、窒素ガスを30ml/分で流通させる条件下で昇温脱離ガス分析を行い、150℃における上記材料への水素の貯蔵量を測定した。その結果、多層カーボンナノチューブ(E)の水素貯蔵量は、4.3質量%であった。
【0091】
[実施例5]
[束状にした、開孔部を有する多層カーボンナノチューブ]
実施例1で製造した、開孔部を有する多層カーボンナノチューブ(B)の嵩密度を測定したところ、0.3g/cm3であった。この多層カーボンナノチューブ(B)をエタノール中に入れ、ホモジナイザーを使用し、出力100W、振動数20kHzで、2時間、機械的振動を加えた。その後、多層カーボンナノチューブ(B)を濾過し、乾燥炉中において、100℃で5時間、加熱・乾燥した。乾燥後の多層カーボンナノチューブ(B)の嵩密度は、0.6g/cm3であった。さらに、多層カーボンナノチューブ(B)は、チューブの方向が揃った束状になっていることがわかった。
【0092】
[実施例6]
[フラーレンを共存させて多層カーボンナノチューブを加圧圧縮する方法]
実施例1で製造した、嵩密度0.3g/cm3の、開孔部を有する多層カーボンナノチューブ(B)0.20gを、フラーレン0.01gと充分に混合した。得られた混合物を、油圧式プレス機を使用して、150kg/cm2の圧力でプレスした。プレスにより加圧圧縮されて得られた混合物の嵩密度は、0.75g/cm3であった。電子顕微鏡(TEM)による観察により、多層カーボンナノチューブ(B)のチューブの方向が揃った束状になっていることがわかった。
【0093】
[実施例7]
[アルカリ金属をドープした、管壁に開孔部を有する多層カーボンナノチューブ]
六フッ化リン酸リチウム0.1mol/dm3のプロピレンカーボネート/エチレンカーボネート(1:1)溶液中、負極に上記カーボンナノチューブ(1g)、正極にリチウム又は白金を用いてLi/Li+を参照として10mAの定電流を両極間に流し、負極の電圧が1.0〜0.5Vになるまで電解反応を行ない、Liドープ量が約3.0質量%のカーボンナノチューブを得た。
【0094】
[アルカリ金属をドープした、開孔部を有する多層カーボンナノチューブ]
実施例4で製造した、Pdが担持され、かつ管壁に開孔部を有する多層カーボンナノチューブ(E)に、Liを真空蒸着して、リチウムがドープされた多層カーボンナノチューブ(F)を得た。Liの蒸着量は、多層カーボンナノチューブ(E)に対して、2.0質量%である。得られた多層カーボンナノチューブ(F)を水素雰囲気下、常圧で、150℃に5時間加熱した後、窒素ガスを30ml/分で流通させる条件下、昇温脱離ガス分析を行い、150℃における上記材料への水素の貯蔵量を測定した。その結果、多層カーボンナノチューブ(F)の水素貯蔵量は、(F)の質量に対して4.4質量%であった。また、リチウムをドープしていない多層カーボンナノチューブ(E)からの水素の脱離は、約350℃であったのに対して、リチウムをドープした多層カーボンナノチューブ(F)からの水素の脱離は、約200℃であった。
【0095】
【発明の効果】
本発明によって提供される、管壁開孔部等を有する多層カーボンナノチューブ等のカーボンナノ材料に対して、Pd等の金属等を担持した材料、さらにその金属等を担持した材料にアルカリ金属をドープした材料は、高い水素貯蔵能力を有する。さらに、嵩密度の低い、多層カーボンナノチューブ等のカーボンナノ材料を束状、又はフラーレン等のバインダーとともに加圧圧縮することによって嵩密度を高めることにより、体積を小さくすることで車載用等にも適した水素貯蔵材料になる。本発明で提供した材料は水素貯蔵材料として好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】屈曲部を有する多層カーボンナノチューブの電子顕微鏡(TEM)写真である。
【図2】管壁に開孔部を有する多層カーボンナノチューブの電子顕微鏡(TEM)写真である。
Claims (14)
- 多層カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、及びカーボンナノホーンからなる群から選ばれるカーボンナノ材料であって、管壁に開孔部、破裂部及び/又は破断部を有することを特徴とするカーボンナノ材料。
- 多層カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、及びカーボンナノホーンからなる群から選ばれるカーボンナノ材料を酸化することを特徴とする、管壁に開孔部を有するカーボンナノ材料の製造方法。
- 単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、及びカーボンナノファイバーからなる群から選ばれるカーボンナノ材料を、前記カーボンナノ材料よりも高比重かつ高硬度の粉末とともに混合し、機械力を加えることを特徴とする、管壁に開孔部、破裂部及び/又は破断部を有するカーボンナノ材料の製造方法。
- 単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、及びカーボンナノファイバーからなる群から選ばれるカーボンナノ材料であって、管壁の開孔部、破裂部及び/又は破断部に金属及び/又は金属化合物が担持されていることを特徴とするカーボンナノ材料。
- 管壁に開孔部、破裂部及び/又は破断部を有する単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、及びカーボンナノファイバーからなる群から選ばれるカーボンナノ材料を、管壁の開孔部、破裂部及び/又は破断部に存在する極性基、不飽和結合及び/又はダングリング・ボンド(dangling bond)に配位可能な金属化合物、並びに/あるいは前記不飽和結合及び/又はダングリング・ボンドと反応して炭素−金属結合を形成することができる金属化合物と反応させた後、熱処理することを特徴とする、管壁に開孔部、破裂部及び/又は破断部を有するカーボンナノ材料への金属及び/又は金属化合物の担持方法。
- 管壁に開孔部、破裂部及び/又は破断部を有する単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、及びカーボンナノファイバーからなる群から選ばれるカーボンナノ材料に、ハロゲンを反応させることによってハロゲン置換基を導入し、次に芳香族ハロゲン化合物へ酸化的付加をすることが知られている有機金属錯体を反応させ、さらに熱処理することを特徴とする、管壁に開孔部、破裂部及び/又は破断部を有するカーボンナノ材料への金属及び/または金属化合物の担持方法。
- 管壁に開孔部、破裂部及び/又は破断部を有する単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、及びカーボンナノファイバーからなる群から選ばれるカーボンナノ材料に、ハロゲンと反応させることによってハロゲン置換基を導入し、次にグリニャール試薬又はアルキルリチウムと反応させることで、前記ハロゲン置換基とマグネシウム又はリチウムの交換反応を行ってカルバニオンを生成し、前記カルバニオンと金属化合物を反応させ、さらに熱処理することを特徴とする、管壁に開孔部、破裂部及び/又は破断部を有するカーボンナノ材料への金属及び/又は金属化合物の担持方法。
- 多層カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、管壁に開孔部、破裂部及び/又は破断部を有する、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、金属及び/又は金属化合物が担持された、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、並びに管壁に開孔部、破裂部及び/又は破断部を有し、かつ金属及び/又は金属化合物が担持された、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、及びカーボンナノファイバーから選ばれた少なくとも1種を束状にしたことを特徴とする、束状炭素材料。
- 単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、管壁に開孔部、破裂部及び/又は破断部を有する、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、金属及び/又は金属化合物が担持された、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、並びに管壁に開孔部、破裂部、及び/又は破断部を有し、かつ金属及び/又は金属化合物が担持された、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、及びカーボンナノファイバーから選ばれた少なくとも1種に、溶媒中で機械的振動を加えることを特徴とする、束状炭素材料の製造方法。
- 単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンナノホーン、管壁に開孔部、破裂部及び/又は破断部を有する、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンナノホーン、金属及び/又は金属化合物が担持された、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンナノホーン、並びに管壁に開孔部、破裂部及び/又は破断部を有し、かつ金属及び/又は金属化合物が担持された単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、及びカーボンナノホーンから選ばれた少なくとも1種が、フラーレン及び/又は単層カーボンナノチューブとともに加圧圧縮されることにより製造されることを特徴とする炭素材料。
- 管壁に開孔部、破裂部及び/又は破断部を有する、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンナノホーン、並びに管壁に開孔部、破裂部及び/又は破断部を有し、かつ金属及び/又は金属化合物が担持された、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、及びカーボンナノホーンから選ばれた少なくとも1種に、アルカリ金属がドープされていることを特徴とするカーボンナノ材料。
- 非水溶媒中、アルカリ金属塩存在下に、管壁に開孔部、破裂部及び/又は破断部を有する、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンナノホーン、並びに管壁に開孔部、破裂部及び/又は破断部を有し、かつ金属及び/又は金属化合物が担持された、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、及びカーボンナノホーンから選ばれた少なくとも1種を負極として電圧を印加することを特徴とする、請求項11記載のカーボンナノ材料の製造方法。
- 管壁に開孔部、破裂部及び/又は破断部を有する、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンナノホーン、並びに管壁に開孔部、破裂部及び/又は破断部を有し、かつ金属及び/又は金属化合物が担持された、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、及びカーボンナノホーンから選ばれた少なくとも1種を、アルカリ金属蒸気と接触させることを特徴とする、請求項11に記載のカーボンナノ材料の製造方法。
- (1)管壁の開孔部、破裂部及び/又は破断部に金属及び/又は金属化合物が担持された、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、カーボンナノファイバーからなる群から選ばれた少なくとも1種のカーボンナノ材料(2)金属及び/又は金属化合物が担持された、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、並びに管壁に開孔部、破裂部及び/又は破断部を有し、かつ金属及び/又は金属化合物が担持された、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、及びカーボンナノファイバーから選ばれた少なくとも1種を束状にした束状炭素材料、(3)金属及び/又は金属化合物が担持された、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンナノホーン、並びに管壁に開孔部、破裂部及び/又は破断部を有し、かつ金属及び/又は金属化合物が担持された単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、及びカーボンナノホーンから選ばれた少なくとも1種をフラーレン及び/又は単層カーボンナノチューブとともに加圧圧縮して製造された炭素材料、(4)管壁に開孔部、破裂部及び/又は破断部を有する、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンナノホーン、並びに管壁に開孔部、破裂部及び/又は破断部を有し、かつ金属及び/又は金属化合物が担持された、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、及びカーボンナノホーンから選ばれた少なくとも1種にアルカリ金属をドープした炭素材料、から選ばれる1種以上の材料を含むことを特徴とする水素貯蔵材料。
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