JP4532913B2 - ナノカーボン材料の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ナノカーボン材料の製造方法に関する。より詳しくは、安価な原料と簡単な製造装置からナノカーボン材料を量産可能な製造方法に関する。
1985年に炭素原子60個から成るサッカーボール状分子のフラーレンがH.W.Kroto,R.E.Smallry,R.F.Curlによって発見され、また、1991年に飯島によりグラフェンシートが捲かれてチューブ状になったカーボンナノチューブが発見されて以来、数々の応用研究が活発になされて来ている。
上記カーボンナノチューブは、電界放出の性能に優れていること、電気化学反応でリチウムを貯蔵放出すること、電界放出の性能に優れていること、比表面積が高く導電性がよいことから、FED(Field Emission Display)などの表示デバイスの電極材料、リチウム二次電池の電極材料、高分子固体電解質燃料電池の触媒担持層などへの応用が研究されている。
従来、カーボンナノチューブの製造方法としては、炭化水素などの炭素原料を含むガス雰囲気下でのアーク放電による方法、黒鉛をターゲットにレーザーを照射させて蒸発させて形成するレーザー蒸発法による方法、コバルト金属もしくはニッケル金属の触媒を配した基板上でアセチレンなどの炭素原料となるガスを熱分解することによる方法などが知られている。具体的には、特許文献1や特許文献2ではアーク放電による製造方法が、特許文献3では高周波プラズマによる製造方法が、特許文献4ではレーザー蒸発法による製造方法が、特許文献5では熱分解による製造方法が、それぞれ提案されている。
一方、非特許文献1には、パラホルムアルデヒドを原料に、700℃,100MPa、150時間という水熱合成反応でフィラメント状のカーボンが生成されると報告されている。非特許文献2では、ポリエチレンを原料に、Niの存在下で700〜800℃,100MPaという水熱反応条件で多層のカーボンナノチューブが得られることが報告されている。また、非特許文献3では、非晶質カーボンを原料に、800℃,100MPa、48時間という水熱反応の条件で多層のカーボンナノチューブが得られることが報告されている。
更に、非特許文献4では、原料としてのベンゼンと触媒としてのニッケル−鉄合金をオートクレーブにいれ、温度480℃、15MPaの圧力で反応させ、多層構造のカーボンナノチューブが得られている。
特開平6−157016号公報 特開2000−95509号公報 特開平9−188509号公報 特開平10−273308号公報 特開2000−86217号公報 Carbon Vol.36,No.7−8,pp.937−942,1998(Yury G. Gogotsi et al.) Journal of Materials Research Society,Vol.15,No.12,pp.2591−2594,2000(Yury G. Gogotsi et al.) Journal of Amerian Chemical Society Vol.123,No.4,pp.741−742,2001(Jose Maria Calderon et al.) Carbon Vol.40,pp.2961−2973,2002
しかしながら、上記特許文献1〜5に示される、カーボンナノチューブやカーボンナノファイバーなどに代表される従来のナノカーボン材料の製造方法では、原料及び製造装置のコストが高いため、ナノカーボン材料の製造コストが高く、また大量に合成することが困難であるという問題点がある。
また、非特許文献1〜3の報告は、いずれも金のカプセル中で反応を起こしたものであり、またこれらのいずれにも、60MPa以下の条件でナノカーボン材料が生成されることは報告されていない。
そこで、ナノカーボン材料を多量により安価に製造するためには、より低い温度とより低い圧力下の条件で、より安価な原料と装置を用いて合成できる方法が望まれている。
更に、非特許文献4に示される方法では、12時間の反応での触媒重量に対するナノカーボン材料の生成重量の比が4.2と少なく、生成に長時間を要している。また、得られたナノカーボン材料のラマンスペクトル測定の結果では、炭素原子の六員環ネットワーク内の格子振動に起因する1590cm-1付近のGバンドと呼ばれるピークと1350cm-1付近の炭素の格子欠陥に起因するDバンドと呼ばれるピークの相対的強度は、1350cm-1付近のピーク強度が強く、格子欠陥の多いものである。従って、合成反応時間も短く、格子欠陥の少ない良質なナノカーボン材料が合成される方法が望まれている。
ナノカーボン材料は、前記のように、二次電池の電極材料、FEDなどのデバイスの電界電子放出源、燃料電池の触媒担持用炭素材料、水素吸蔵システムの水素貯蔵材料などとしての幅広い応用が期待されているもので、このナノカーボン材料を安価に製造する技術の開発への期待が大きい。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、FEDなどのデバイスの電界電子放出源としての電極材料、リチウム二次電池の電極材料、燃料電池の触媒担持用炭素材料、水素吸蔵システムの水素貯蔵材料などとしての応用が期待されているナノカーボン材料を安価に製造することができるようにすることを目的とする。
すなわち、第一の本発明は、鎖状飽和炭化水素、鎖状不飽和炭化水素、環状飽和炭化水素及び含有酸素に対する含有炭素の原子比率が2.0以上であるアルコールから選択される一種類以上の化合物である原料を、
遷移金属元素含有物質、アルミナ、シリカ及び炭化珪素から選択される一つ以上の物質から成る触媒の存在下、
100〜800℃の温度範囲かつ0.2MPa〜60MPaの圧力下で、前記原料を超臨界流体又は亜臨界流体とする工程
を含むことを特徴とするナノカーボン材料の製造方法を提供するものである。
上記本発明では、超臨界流体又は亜臨界流体とした原料及び前記触媒に加えて、前記原料を溶解する溶媒、前記触媒を溶解する溶媒、水、ヘリウム、アルゴン、窒素、水素、一酸化炭素、亜酸化窒素及びアンモニアから選択される少なくとも一種以上とを添加して原料に接触させることも好ましい。
第二の本発明は、鎖状飽和炭化水素、鎖状不飽和炭化水素、環状飽和炭化水素及び含有酸素に対する含有炭素の原子比率が2.0以上であるアルコールから選択される一種類以上の原料と、
遷移金属元素含有物質、アルミナ、シリカ及び炭化珪素から選択される一つ以上の物質から成る触媒に、前記原料を溶解する溶媒、前記触媒を溶解する溶媒、水、ヘリウム、アルゴン、窒素、水素、一酸化炭素、亜酸化窒素及びアンモニアから選択される少なくとも一種以上を添加し、
100〜800℃の温度範囲かつ0.2MPa〜60MPaの圧力下で、少なくとも前記原料を溶解する溶媒、前記触媒を溶解する溶媒、水、ヘリウム、アルゴン、窒素、水素、一酸化炭素、亜酸化窒素及びアンモニアから選択される少なくとも一種以上を超臨界流体又は亜臨界流体にして前記原料と接触させる工程を含むことを特徴とするナノカーボン材料の製造方法を提供するものである。
前記原料の溶媒としては、二酸化炭素、芳香族炭化水素及びエーテルから選択される少なくとも一種以上のものであることが好ましい。
前記原料を超臨界流体又は亜臨界流体とする工程、又は反応促進媒体を超臨界流体又は亜臨界流体として原料に接触させる工程を、触媒存在下に加えて、界面活性剤の存在下で行うことも好ましい。
前記原料は、常温常圧下で、液体もしくは気体であることが、好ましい。前記圧力としては、2MPa〜40MPaの範囲であることが好ましい。
前記温度としては、200〜650℃の範囲であることが好ましい。
前記原料の25℃での比誘電率が、1.5〜25.0の範囲であることも好ましい。
前記遷移金属元素含有物質が、遷移金属及び遷移金属化合物から選択される少なくとも一種以上であることが好ましい。
前記遷移金属化合物としては、遷移金属硫化物、遷移金属炭化物、有機遷移金属化合物、遷移金属窒化物、遷移金属塩及び遷移金属酸化物から選択される少なくとも一種以上の化合物であることが好ましい。
前記遷移金属もしくは遷移金属化合物の遷移金属元素は、ニッケル、コバルト、鉄、銅、銀、クロム、タングステン、モリブデン、チタン、ルテニウム、ロジウム及びパラジウムから選択される一種類以上の元素であることが好ましい。
また、本発明のナノカーボンの製造方法にて、得られた反応生成物(ナノカーボン)をさらに、400〜2800℃の温度で焼成することも、純度を高める精製工程として好ましい。これによって、残存する不純物の除去やナノカーボンの結晶性を高めることが可能になる。
熱処理によって黒鉛化することが好ましくない場合は、前記焼成を、600〜2200℃の温度で行うことはより好ましい。
前記焼成を、400〜900℃の温度で焼成した後、更に900〜2800℃の温度で焼成することで行うことも、より好ましい。上記400〜900℃の温度での焼成では、非晶質のナノカーボンの除去に有効である。
前記高温下の焼成は、アルゴンガス、ヘリウムガス及び窒素ガスから選択される少なくとも一種以上のガス雰囲気下で行うことが好ましい。
また、残留触媒が磁性体である場合には、磁石を用いて、残留触媒、もしくは残留触媒を内包するナノカーボンを分離精製することもできる。
本発明の製造方法にて得られるナノカーボン材料は、フィラメント状(ワーム状)、チューブ状、から選択される形状のユニットが集合したものである。上記形状のナノカーボン材料のユニットの直径は、4nm〜400nmの範囲にある。
得られるナノカーボン材料のユニットの長さが100nm〜100μmの範囲にある。
本発明の製造方法に得られるナノカーボン材料は精製処理前にはそのユニット内もしくは先端部に遷移金属元素を有している。
前記遷移金属元素は、遷移金属、遷移金属酸化物、遷移金属炭化物又は遷移金属硫化物として存在している。
また、本発明によって得られるナノカーボン材料は、(a)グラフェンシートがカップ状あるいはメガホン状に形成され、そのカップあるいはメガホンが多数積み重なってフィラメント状に発達したもの、(b)グラフェンシートが繊維軸方向に平行あるいは傾斜して単層あるいは多層に捲かれてチューブを形成したもの、(c)グラフェンシートが繊維軸に対して垂直に積層されているプレートレット(platelet)型あるいは繊維軸に対して傾斜して積層されているヘリングボーン(herring-bone)型のグラファイトナノファイバー、(d)球状あるいは円盤状の形状に発達したもの、から選択されるミクロ構造を有する。
本発明によれば、各種用途への可能性のあるナノカーボン材料を、安価な原料から製造でき、大量合成のスケールアップも容易である製造方法を提供できる。
本発明は、鎖状飽和炭化水素、鎖状不飽和炭化水素、環状飽和炭化水素及び含有酸素に対する含有炭素の原子比率が2.0以上であるアルコールから選択される一種類以上の化合物である原料を、遷移金属元素含有物質、アルミナ、シリカ及び炭化珪素から選択される一つ以上の触媒の存在下、100〜800℃の温度範囲かつ0.2MPa〜60MPaの圧力下で、超臨界流体又は亜臨界流体とする工程又は超臨界流体又は亜臨界流体と共存させる工程を含む点に特徴を有するナノカーボン材料の製造方法である。
上記本発明において、原料に用いる好ましい具体的な鎖状飽和炭化水素としては、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカン、ヘプタデカン、オクタデカン、ノナデカン、エイコサン、イソブタン、イソペンタン、ジメチルブタン、トリメチルペンタン、メチルオクタン、メチルヘプタン及びメチルペンタンから選ばれる一種又は二種以上の混合物であることが好ましい。これらの中でも、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカン、ヘプタデカン、オクタデカン、ノナデカンは、液状あるいは固体であり、取り扱いが容易である点でより好ましい原料である。安価という点では、n−ヘキサン、メタンが好ましい原料である。
前記原料に用いる好ましい具体的な鎖状不飽和炭化水素としては、エチレン、プロペン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、ノネン、デセン、メチルプロペン、シクロヘキセン、シクロペンテン、ブタジエン、プロパジエン、アセチレン、プロピンが挙げられる。
前記原料に用いる好ましい具体的な鎖状不飽和炭化水素としては、安価でナノカーボン材料への転化率が高いことから、プロピレン、エチレン、ブタジエンが挙げられる。
前記原料に用いる好ましい具体的な環状飽和炭化水素としては、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロノナン、シクロデカン、メチルシクロヘキサン、メチルシクロペンタン、ジメチルシクロペンタン、デカリンが挙げられる。
前記原料に用いる好ましい具体的な含有酸素に対する含有炭素の原子比率が2.0以上であるアルコールとしては、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、ウンデカノール、ドデカノール、トリデカノール、テトラデカノール、ペンタデカノール、ヘキサデカノール、ヘプタデカノール、オクタデカノール、イソブチルアルコール、プロパノール、t−ブタノール、メチルブタノール、ペンタノール、シクロヘキサノール、アリルアルコールが挙げられる。より好ましいアルコールの例としては、安価でナノカーボン材料への転化率が高いことから、プロパノール、ブタノールが挙げられる。
メタンを主成分とし、エタン,プロパン,ブタン,窒素,炭酸ガス,硫黄化合物を含む天然ガス(Liquefied natural gas)、あるいはプロパン,プロピレン,ノルマルブタン,イソブタン,ブチレン,イソブチレンなどの混合物である液化石油ガス(Liquefied petroleum gas)も、ナノカーボン材料の原料として、安価である点で好ましい材料である。
原料のナノカーボン材料への転換率が高い点で、上記原料のうち、不飽和炭化水素が最も好ましい。不飽和炭化水素は、もともと重合反応が進行しやすく、ナノカーボンの炭素結合を形成しやすいと推察される。原料は、生成物と未反応原料との分離が容易であるという観点からは、常温常圧下で液体あるいは気体であることがより好ましい。これらのうち、取り扱い上の容易性からは液体が、生成物との分離の観点からは気体が、より好ましい。仕込み作業を容易にすると共に、反応終了後に生成物と分離しやすくするために、常温で気体の物質を冷却することにより液化又は固化させた状態で仕込むことも好ましい。
上記原料として使用する鎖状飽和炭化水素、鎖状不飽和炭化水素、環状飽和炭化水素及び所定のアルコールは、いずれか単独もしくは二種以上を混合して用いることができる。また、これらの一種又は二種以上の混合物に芳香族化合物を組み合わせて使用することもできる。
上記原料としては、100〜800℃の温度範囲で、かつ大気圧より高い0.2MPa〜60Paの圧力下で超臨界流体又は亜臨界流体となるものが好ましい。上記飽和炭化水素の一つであるヘキサンの超臨界流体となる臨界温度と臨界圧力は234.4℃、2.97MPaである。上記飽和炭化水素の一つであるメタンの超臨界流体となる臨界温度と臨界圧力は−82.45℃、4.95MPaである。上記不飽和炭化水素の一つであるエチレンの臨界温度と臨界圧力は9.65℃、5.076MPaで、プロピレンの臨界温度と臨界圧力は92℃、4.62MPaで、アセチレンの臨界温度と臨界圧力は35.33℃、6.139MPaである。上記所定のアルコールの一つである1−ブタノールの臨界温度と臨界圧力は289.93℃、4.413MPaである。
上記原料としては、沸点が30℃以上で、室温下で液体か固体であることが取り扱い上有利であり、生成物との分離性の観点からは室温下で気体か液体であることが好ましい。原料は、単独で用いる他、他の物質を併存させて用いることもできる。この他の物質は、常態(超臨界及び亜臨界に達していない状態)で超臨界又は亜臨界となった原料と接触すること、超臨界又は亜臨界となって常態の原料と接触すること、もしくは、原料共々超臨界又は亜臨界となって互いに接触することのいずれかの状態で、原料からのナノカーボン材料の合成を促進する媒体となる物質(反応促進媒体)が好ましく、原料の溶媒であることが更に好ましい。ナノカーボン材料の合成反応において、原料に加えて、原料の溶媒を用いる場合は、原料と原料の溶媒の混合が均一に行なわれるべく、原料物質の25℃での比誘電率が1.5〜25.0の範囲にあることが好ましい。
本発明において、超臨界流体とは、気体と液体が共存できる限界の温度・圧力(臨界点)を超えた温度・圧力状態にある、液体の性質と気体の性質とを併せ持った流体をいい、亜臨界流体とは、超臨界流体に準ずる流体で、具体的には、上記臨界点における温度(臨界温度)と圧力(臨界圧力)をT0(絶対温度)とP0(MPa)としたときに、下記式を満たす温度T(絶対温度)と圧力P(MPa)で臨界点を超えない状態にある流体をいう。
T≧0.8T0
P≧0.8P0
本発明における反応は、原料と、触媒と、必要に応じて前記反応促進媒体を耐圧密閉容器に入れ、原料が超臨界流体又は亜臨界流体となる温度と圧力に加熱・加圧し、超臨界流体又は亜臨界流体となった原料と触媒(及び前記反応促進媒体)を共存状態とすることによって行うことができる。また、原料と、触媒と、超臨界又は亜臨界流体を形成する反応促進媒体とを耐圧密閉容器に入れ、反応促進媒体が超臨界流体又は亜臨界流体となる温度と圧力に加熱・加圧し形成した超臨界流体又は亜臨界流体、原料及び触媒を共存状態とすることによっても行うことができる。後者においては、前記原料自体も超臨界流体又は亜臨界流体を形成してもよい。
上記加熱温度と加圧圧力は、超臨界流体又は亜臨界流体を形成する物質によっても相違するが、反応の容易さ、使用装置のコスト抑制と、運転エネルギーの節減などの観点から、100℃〜800℃の温度で、かつ0.2MPa〜60MPaの圧力の範囲で行うことが好ましい。ナノカーボン材料の収量、装置コスト、装置運転コストの観点からは、300℃〜800℃の温度、更に好ましくは300℃〜650℃の温度で、2MPa〜30MPaの圧力の範囲で行うことが、ナノカーボン材料の収量、装置コスト、装置運転コストの観点からより好ましい。上記ナノカーボン材料の原料は反応条件下で超臨界流体状態になっているのが合成反応の反応速度が高まる点で好ましい。上記本発明の原料の臨界圧力は1.11MPa以上である。
また、触媒として遷移金属元素含有物質を使用する場合、遷移金属表面は空気中での取り扱いなど、反応容器に含まれる酸素などでその表面に遷移金属酸化物が形成され易いので、反応中に発生する水素又は一酸化炭素で還元されてフレッシュな遷移金属表面が露出することが必要で、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化鉄の還元開始温度が、200℃前後からであるので、300℃以上の温度でナノカーボン合成の反応を行うのが好ましい。
原料以外で超臨界流体又は亜臨界流体を形成する物質は、前記原料を溶解する溶媒、前記触媒を溶解する溶媒、水、ヘリウム、アルゴン、窒素、水素、一酸化炭素、亜酸化窒素及びアンモニアの内から選択される少なくとも一種以上であることが好ましい。この原料を溶解する溶媒、前記触媒を溶解する溶媒、水、ヘリウム、アルゴン、窒素、水素、一酸化炭素、亜酸化窒素、アンモニアは、前記原料からのナノカーボン材料の合成を促進する媒体として機能するものと推測される。また、上記超臨界又は亜臨界流体は比誘電率が低く、上記原料の比誘電率も低いので、上記超臨界又は亜臨界流体は上記原料の良溶媒となっていると考えられる。そこで、上記加熱・加圧は、臨界温度と臨界圧力を超えていることが好ましい。また、原料自体が超臨界流体又は亜臨界流体にある場合には、非常に活性な状態にあり反応が起きやすい状態にある。本発明によるナノカーボン材料の合成では、合成時に用いる、原料も原料以外の流体も超臨界状態にあることが最も好ましい。
本発明での原料及び反応促進媒体は、100〜800℃の温度範囲、かつ0.2MPa〜60MPaの圧力で超臨界流体となる物質であることが好ましい。
合成されるナノカーボン材料のサイズが前記触媒粒子のサイズに大きく依存し、均一なナノカーボン材料を得るためには、前記触媒粒子を微細化すると共に、均一に前記原料と接触させる必要がある。このため、前記原料と前記触媒の溶媒を前記原料及び前記触媒と混合するのがより好ましい。上記原料もしくは触媒を分散あるいは溶解する溶媒の具体例としては、二酸化炭素、水、炭化水素、アルコール、エーテル、トルエンやベンゼンなどの芳香族化合物が挙げられ、一種又は二種以上の混合物を用いることができる。また、二酸化炭素は、溶媒として機能するほかに、二酸化炭素自体が反応性に乏しいことから、原料の分子同士の衝突確率を低下させて副反応が起きるのを抑制していると推測され、上記溶媒の中では最も好ましい。ちなみに、二酸化炭素が超臨界流体となる臨界温度と臨界圧力は31℃、7.4MPaである。また、水が超臨界流体となる臨界温度と臨界圧力は、374℃、22.0MPaである。また、芳香族化合物の一つであるトルエンが超臨界流体となる臨界温度と臨界圧力は319℃、4.11MPaである。
アルゴンガス、ヘリウムガス、窒素ガスなどの不活性ガスも、前記原料の分子同士の衝突確率を低下させて副反応が起きるのを抑制して所望のナノカーボン材料を高純度で合成する効果があると推察される。また、水素ガスは、その還元作用とエッチング作用から、触媒表面を活性な状態に保ち、構造的に不安定な非晶質カーボンなどの生成の副反応を抑制すると共に、ナノカーボンの強固な安定な結合のみの成長を促す効果があると推察される。水素ガスは、上記原料の分解反応からも生成される。
原料を、それ自体を超臨界流体又は亜臨界流体とし、又は反応促進媒体による超臨界流体又は亜臨界流体との共存下で、遷移金属元素含有物質、シリカ、炭化珪素、アルミナから選択される一種又は二種以上である触媒と接触させると、遷移金属や遷移金属化合物などを基点に原料からナノカーボン材料が形成され、成長する。これは、上記遷移金属元素含有物質、アルミナ、シリカ、炭化珪素が触媒的な作用をなすためと推測される。遷移金属元素をシリカやゼオライトやアルミナに担持されたものを上記触媒として使用してもよい。前記触媒のうち、もっともフィラメント状ナノカーボン材料の生成が多いのは、反応中に遷移金属元素が価数ゼロの金属状態である触媒である。具体的な触媒としては、遷移金属微粉末、遷移金属を高比表面積の担体に担持したもの、熱分解により遷移金属微粉末となる有機金属化合物がより好ましい。
遷移金属元素含有物質、アルミナ、シリカ及び炭化珪素から選択される触媒は、前記原料や反応促進媒体などと共に耐圧密閉容器に入れられ、前記原料や反応促進媒体が超臨界流体又は亜臨界流体となるときにこれらと接触状態におかれるが、この触媒は、外添したものだけではなく、前記原料や反応促進媒体に当初から併存されているものや、原料と反応促進媒体の超臨界流体又は亜臨界流体との接触によって生成されたものであっても良い。また、反応容器を構成する材料が触媒となってもよい。前記触媒には複数の種類の触媒を使用してもよい。遷移金属元素含有物質としては、遷移金属、遷移金属化合物、遷移金属元素を比表面積の大きいシリカやゼオライトのような酸化物に担持したものが例としてあげられる。この触媒を担持するための担体としては、酸化物に限らず、比表面積の大きな活性炭等の炭素材料を用いることもできる。上記担持される遷移金属元素は二種類以上であってもよい。
上記遷移金属、遷移金属化合物を構成する遷移金属元素としては、Ti,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Y,Zr,Nb,Mo,Ru,Rh,Pd,Ag,Ta,W,Pt,Auが挙げられる。中でも、Ni,Co,Fe,Cu,Cr,W,Mo,Ti,V,Mn,Ru,Rh,Pd,Agがより好ましい元素で、Ni,Co,Fe,Cr,W,Mo,Tiが最も好ましい元素である。
上記遷移金属化合物としては、遷移金属酸化物、遷移金属水酸化物、有機遷移金属化合物、遷移金属硫化物、遷移金属炭化物、遷移金属窒化物、遷移金属の塩、であることが好ましい。中でも、有機遷移金属化合物は容易に分解して比表面積の大きな微小遷移金属粉末を形成しやすく、安価でないことを除けば、触媒として好ましい。上記遷移金属酸化物、遷移金属水酸化物、あるいは遷移金属塩は、高温高圧下の前記原料の分解反応で発生する水素により還元され、微小遷移金属粉末に変化することによって、触媒として機能する。上記遷移金属の塩は、本発明の製造方法の反応で、還元あるいは酸化して、遷移金属又は遷移金属酸化物と成るので、酸で溶解して遷移金属の塩として回収できるので、触媒として再利用できるので、好ましい。ただし、上記遷移金属の塩として、硝酸塩、硫酸塩は、酸素を発生しやすいので、単独で用いるのは好ましくない。
上記有機遷移金属化合物の好ましい例としては、フェロセン、ニッケロセン、ギ酸ニッケル、シュウ酸ニッケル、ナフテン酸ニッケル、ニッケルフタロシアニン、コバルトフタロシアニン、銅フタロシアニン、ニッケルアセチルアセトナート、コバルトアセチルアセトナート、鉄アセチルアセトナート、銅アセチルアセトナート、ニッケルカルボニル、コバルトカルボニル、鉄カルボニル、ビス(トリフェニルホスフィン)ジカルボニルニッケル、ジブロモビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル及びクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウムが挙げられる。なお、上記有機遷移金属化合物に含まれる炭素元素は、合成反応中に使用され生成されるナノカーボン材料の一部に転換される場合もある。本発明における触媒は、分解生成物が触媒作用をなすものも含む広義の触媒をいう。
本発明の方法で得られるナノカーボン材料を構成するユニットの直径が、上記触媒の粒子サイズに依存する場合は、上記触媒粒子サイズの制御が重要である。直径が小さく均一なサイズのナノカーボン材料を得るためには、(i)比表面積の大きい担体に触媒を分散して担持するか、(ii)上記触媒に加えて、上記触媒を溶解する溶媒の導入あるいは触媒が凝集するのを防ぐために更に界面活性剤を導入することが好ましい。
本発明においては、原料からのナノカーボン材料合成時に、ナノカーボン材料の合成を更に促進する上で、上記遷移金属や遷移金属化合物に、イオウ及びイオウ化合物から選択される一種又は二種以上を添加してもよい。これらは、ナノカーボン材料の成長方向の制御に有効な場合がある。上記イオウ化合物としては、チオール、チオアセトアミド、チオナフテン、チオセミカルバジド、チオ尿素、チオフェンが好ましく、特にチオールが好ましい。これらのイオウ、イオウ化合物は、外添したものだけではなく、前記原料と当初から併存するものであっても良い。特に前記原料にはイオウ及び/又はイオウ化合物が併存したものも少なくなく、この原料に併存したイオウ及び/又はイオウ化合物をもってこれらの外添に代えることもできる。上記チオールの例としては、1−オクタンチオール(n−オクチルメルカプタン)、1−デカンチオール(n−デシルメルカプタン)、1−ドデカンチオール(n−ドデシルメルカプタン)、n−ブチルメルカプタン、プロピルメルカプタン、エチルメルカプタン、メチルメルカプタン、ベンジルメルカプタン、チオフェノールが挙げられる。
本発明は、焼成工程を有することが好ましい。すなわち、前記原料からナノカーボン材料を生成させた後、生成したナノカーボン材料に焼成を施すことが好ましい。焼成により、残留する不純物を除去することができる。また、この焼成を施すことでナノカーボン材料の純度を高め、グラフェン構造の発達を向上させることができる。上記焼成前あるいは後に、酸などで洗浄することによって触媒を除去することも好ましい。また、焼成温度を1500℃以上にすることで、生成されたナノカーボン材料に残留する触媒を昇華除去することも可能である。
上記焼成は、上記不純物の除去及び収率の向上の観点から、400〜2800℃の温度で行うことが好ましい。また、同様の観点から、不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。不活性ガスとしては、アルゴンガス、ヘリウムガス及び窒素ガスから選択される一種又は二種以上の混合ガスが好ましい。
上記焼成は、より確実な不純物の除去と、収率の向上を図る上で、温度を変えて複数回施すことが好ましい。例えば、上記温度範囲の低温側で焼成した後、上記温度範囲の中〜高温側で焼成することが好ましい。具体的には、400〜800℃で焼成した後に900〜2800℃で焼成することが好ましく、600〜2200℃の温度で行うことがより好ましい。また、上記焼成は、400〜800℃の低温で焼成した後に1000〜2200℃で焼成することがナノカーボン材料のグラフェン構造を発達させるためには更に好ましい。また、複数回焼成を施す場合、焼成と焼成の間で、ミルなどによる破砕を施すと、より均一に焼成できるので好ましい。2200〜2800℃での焼成は黒鉛構造を発達させやすい。
本発明の合成方法にて得られるナノカーボン材料は、原料及び触媒、超臨界流体あるいは亜臨界流体の物質、合成の温度・圧力の条件によって異なるが、そのナノカーボン材料を構成するユニットの走査電子顕微鏡から観察される形状は、フィラメント状(ワーム状)、チューブ状、から選択される形状である。これらユニットが集合したものが、本発明の製造法にて得られる。上記形状のナノカーボン材料のユニットの直径は、4nm〜400nmの範囲にあり、その長さは100nm〜100μmの範囲にある。また、本発明の製造方法では、フィラメント状(ワーム状)もしくはチューブ状のナノカーボン材料がより高純度で得られやすい。また、上記ナノカーボンの直径は、触媒粒子の粒径に依存しやすく、触媒粒子の粒径を制御することによって、ナノカーボンの直径を制御することができる。
更に、上記ユニットの透過顕微鏡観察から、本発明によって得られるナノカーボン材料は、(a)グラフェンシートがカップ状あるいはメガホン状に形成され、そのカップあるいはメガホンが多数積み重なってフィラメント状に発達したもの、(b)グラフェンシートが繊維軸方向に平行あるいは傾斜して単層あるいは多層に捲かれてチューブを形成したもの、(c)グラフェンシートが繊維軸に対して垂直に積層されているプレートレット(platelet)型あるいは繊維軸に対して傾斜して積層されているヘリングボーン(herring-bone)型のグラファイトナノファイバー、(d)球状あるいは円盤状の形状に発達したもの、から選択されるミクロ構造を有する。上記(a)、(b)、(c)の構造のものの直径は4nm〜400nm、多くは20nm〜400nmの範囲にある。上記、本発明の方法で生成されるフィラメント状(ワーム状)もしくはチューブ状ナノカーボンは上記形状(a)又は(b)の微細構造が高純度、高収率で得られ易い。本発明の方法では、形状(a)のナノカーボンが容易に得られやすい。
また、上記ナノカーボン材料は、触媒として遷移金属元素含有物質を用いた場合、多くの場合、用いた遷移金属元素を基点に発達すると考えられ、合成されたナノカーボン材料の多くが先端あるいは内部に前記触媒由来の遷移金属あるいは遷移金属化合物を残留している。残留遷移金属元素は酸・アルカリなどで溶解することで除去することができる。また、1500℃以上の熱処理を施すことによって、残留遷移金属元素を除去することができる。
本発明においては、上記焼成工程後に、精製工程を有することが好ましい。
本発明において、前記遷移金属、遷移金属化合物として、例えば鉄、ニッケル、コバルト又はこれらの化合物のように、磁性体である遷移金属又は遷移金属化合物を使用した場合、得られるナノカーボン材料は、これらの磁性体を含有したものとなる。したがって、磁石(電磁石、永久磁石)を用いてこの磁性体を含有するナノカーボン材料を捕集し、純度を高めることができる。具体的には、アルコールや水などの液体に、上記ナノカーボン粒子を超音波照射などで分散させた後、磁石を用いて捕集することで、ナノカーボン材料の純度を高めることができる。
本発明における精製工程は、上記磁石による精製を行うものとする他、前記遷移金属や遷移金属化合物由来のナノカーボン材料に残る残留物を、酸(例えば硝酸、塩酸、硫酸、フッ酸など)又はアルカリ(例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)によって溶解除去し、洗浄・乾燥を施す工程も用いることができる。
ナノカーボン材料は、その用途によっては、ナノカーボン材料を構成するユニット内部もしくは先端部に、前記触媒由来の残留物を有しているのが好ましい場合もある。このような場合、上記酸又はアルカリによる精製はことさら施す必要はない。しかし、前記触媒由来の遷移金属、遷移金属化合物の残留が悪影響を及ぼす恐れのある用途に用いる場合には上記精製工程を施すことが好ましい。
更に本発明における精製工程は、上記磁石による精製を施した後に上記酸又はアルカリによる溶解除去と洗浄・乾燥を施す工程とすることもできる。
なお、上記磁石による精製の場合も、酸又はアルカリによる精製の場合も、精製処理に先立って、ミルなどによる破砕を施すと絡み合ったナノカーボンの集合体をほぐすことができるため、精製効率を向上させることができるので好ましい。
以上説明した本発明の一例に係る製造方法のフローチャートを図1に示す。図1におけるステップ1は、原料、触媒、必要に応じて(前記原料を溶解する溶媒、前記触媒を溶解する溶媒、原料の反応を助長する媒体の)反応促進媒体、不活性ガスを、脱酸素を行った耐圧反応容器に入れる準備工程である。ステップ2は、耐圧反応容器内でこれらを加熱・加圧し、原料及び/もしくは反応促進媒体を超臨界流体あるいは亜臨界流体にして、原料を所定時間反応させる工程、ステップ3は、ステップ2を経て、更に未反応の原料を分離してナノカーボン材料を得る工程である。この後、必要に応じて、ステップ3で得られたナノカーボン材料をステップ4にて、好ましくは不活性ガス雰囲気下で400〜2800℃に加熱して焼成する、あるいは、残留触媒などを除去する精製する。ただし、得られたナノカーボン材料の用途によっては、ステップ3,ステップ4の工程を実施する必要はない。
上記製造方法によりナノカーボン材料を調製する反応装置の一例としては、図2に示されるように、圧力計206、加熱装置203、安全弁207を備えた高温高圧反応容器200が用いられる。図2において、201は原料又は原料と二酸化炭素などの反応促進媒体、202は触媒、204は原料貯蔵容器、205は二酸化炭素などの反応促進媒体貯蔵容器、206は、207は、208は排気装置、209は原料あるいは反応促進媒体の供給管、210は排気管、211は攪拌機構である。少なくとも200の反応容器内壁の材質は、好ましくはステンレス、より好ましくは、Ni−Mo合金から成っているのが耐食性の点で望ましい。また、原料からの収率を上げるために、未反応原料を含む反応生成物から所望の反応生成物(ナノカーボン材料)を分離し、再び、原料を反応容器に戻す循環型の反応装置(不図示)を用いるのがより好ましい。
本発明では、排気装置208により触媒202を入れた高温高圧反応容器200内を排気して脱酸素を行い、原料貯蔵容器204より、原料201を高温高圧反応容器に所定量供給し、また、必要に応じて反応促進媒体貯蔵容器205から所定量の二酸化炭素などの反応促進媒体を供給する。その後、原料又は反応促進媒体が超臨界流体となる臨界点を超える所定温度、所定圧力まで、加熱装置203で加熱し、触媒存在下で、攪拌機構211を機能させて原料201と触媒202を均一に接触させ、原料からナノカーボン材料を合成する。
図3は、本発明の方法にて連続的にナノカーボン材料の製造するための製造装置の概略を示した一例である。図3において、300は高温高圧反応器、301は生成物(生成したナノカーボン材料)分離器、302は原料回収精製塔、303はコンプレッサー、304は供給原料、305は供給触媒、306は必要に応じて供給される反応促進媒体、307は生成物のナノカーボン材料、である。本発明では、先ず、十分に脱酸素された高温高圧反応器300に、原料304、触媒305、必要に応じて二酸化炭素などの反応促進媒体306を供給し、原料又は反応促進媒体が超臨界流体を形成する温度と圧力下で所定時間反応させた後、生成物と未反応原料との混合物を生成物分離器に送り、生成物のナノカーボン材料307と未反応の原料304とを分離し、未反応の原料は原料回収精製塔302に送り、回収された未反応原料304はコンプレッサー303を通して、高温高圧反応器300に送られる。引き続き、原料304、触媒305、必要に応じて二酸化炭素などの反応促進媒体306を供給し、所定条件で反応させて、ナノカーボン材料が製造される。
上記ナノカーボン材料の形状は走査型電子顕微鏡(SEM)で、微細構造は透過型電子顕微鏡(TEM)観察で確認することができる。
ナノカーボン材料に含まれる非晶質分の含まれる割合は、X線回折、レーザーラマン分析の分析手法で解析できる。カーボンナノチューブのラマン散乱スペクトルでは、1528〜1606cm-1付近にGバンドと呼ばれる炭素原子の六員環ネットワーク内の格子振動に起因するピークが、更に1353cm-1付近にも炭素の格子欠陥に起因するDバンドと呼ばれるピークのラマン線が観察される。X線回折ピークは、純度が高ければシャープで、非晶質が多く含まれればブロードとなる。また、非晶質炭素が多く含まれていれば、ラマンスペクトルの1353cm-1付近のピークが大きく観察される。したがって、ナノカーボン材料の純度は、主に走査顕微鏡による形状確認により評価され、その他に、TEM観察、X線回折ピークの半価幅、ラマンスペクトルの1528〜1606cm-1付近のピーク強度に対する1353cm-1付近のピーク強度比などで評価することができる。
また、リチウム二次電池の負極材料としての性能評価は、ナノカーボン材料からなる電極を作用極、リチウム金属を対極、リチウム塩を非水溶媒に溶解したものを電解液としてセルを構成し、電気化学的にリチウムをナノカーボン材料からなる電極に挿入脱離し、挿入量と脱離量に伴う電気量を比較することによって行うことができる。
FEDの陰極としての性能評価は、減圧下で、ナノカーボン材料から成る電極を陰極として、対向する陽極との間に電界を印加した場合の単位面積あたりの電流値を測定することによって行うことができる。
水素吸蔵の性能評価は、低温下で水素ガスを吸蔵させた後、昇温して脱離した水素量を計測し、単位重量当たりの水素吸蔵量を求めることで行うことができる。
得られたナノカーボン材料を燃料電池の白金などの触媒担持層に用いる場合の性能評価としては、ナノカーボンの比表面積と電子伝導が重要であるために、比表面積測定、比抵抗測定、ナノカーボンに担持された白金などの触媒粒子の直径、白金などの触媒を担持したカーボン層を用いた燃料電池の出力特性の評価が挙げられる。上記比表面積は高いものがよく、比抵抗値は低い方がよく、担持される白金などの触媒粒子は小さい方がよい。
本発明によって製造したナノカーボン材料は、リチウム二次電池の電極極材料、FEDの陰極材料、燃料電池の触媒担持層として用いることができる。以下、これらの用途に用いる場合について説明する。
〔リチウム二次電池〕
リチウム二次電池(ここでは、いわゆるリチウムイオン二次電池も含めてリチウム二次電池と呼ぶことにする)にナノカーボン材料を応用する場合は、ナノカーボン材料をリチウムイオンを貯蔵放出する負極材料、負極材料の導電補助材、リチウムイオンを貯蔵放出する正極材料の導電補助材として使用するのが好ましい。図4は、リチウム二次電池の構成概念図である。図4において、401は負極、402はイオン伝導体、403は正極、404は負極端子、405は正極端子、406は電池ハウジング(電槽)である。図4の負極401は図5の電極構造体505から構成される。
図5の電極構造体は、リチウムイオンを充電で貯蔵し、放電で放出する、負極材料にナノカーボン材料を用いた場合で、図5において、500は集電体、501はナノカーボン材料粉末、502は結着剤、503は導電補助材、504は活物質層である。一方、他の電極構造体(負極)505において、ナノカーボン材料に替えて501に、リチウムイオンを充電で貯蔵し放電で放出するシリコン,スズ,それらの合金を用いた場合、本発明の方法にて製造されるナノカーボン材料は微小で導電性も高いことから、503の導電補助材に本発明で作製したナノカーボン材料を用いることもできる。
図5のナノカーボン材料から成る電極構造体505は、次のようにして形成することができる。
すなわち、ナノカーボン材料粉末501に、有機高分子からなる結着剤502を混合し、必要に応じて適宜導電補助剤503、溶媒を添加し混合し、この混合物を銅箔などの集電体500上に配置して負極活物質層504を積層することで電極構造体505を形成することができる。この電極構造体505は、図4の電池の負極501として使用する。
図4の正極403としては、リチウム−遷移金属酸化物、リチウム−遷移金属リン酸化合物、もしくはリチウム−遷移金属硫化物の粉末に、黒鉛粉末などの導電補助材、有機高分子からなる結着剤、溶媒を適宜添加混合し、この混合物をアルミニウム箔などの集電体上に配置して正極活物質層を形成したものを用いることができる。上記正極材料のリチウム−遷移金属酸化物、リチウム−遷移金属リン酸化合物もしくはリチウム−遷移金属硫化物の遷移金属元素としては、コバルト、ニッケル、マンガン、鉄などが好ましく使用される。
本発明の方法にて製造されるナノカーボン材料は微小で導電性も高いことから、上記導電補助材に、本発明で作製したナノカーボン材料を用いることができる。この場合、正極の構造は図5の501が遷移金属−リチウム複合酸化物等の正極材料である電極構造体となり、ナノカーボン材料は導電補助材503として用いることができる。
上記負極401と正極403の間に、リチウム塩の電解質を保持した微孔性ポリオレフィン系フィルムをセパレータとして配置し、イオン伝導体402として機能させ、リチウム二次電池が形成される。
上記結着剤としては、ポリフッ化ビリニデンなどのフッ素樹脂あるいはポリビニルアルコールなどの水溶性高分子が用いられる。上記電解質としては、リチウムイオン(Li+)とルイス酸イオン(BF4 -,PF6 -,AsF6 -,ClO4 -,CF3SO3 -,N(CF3SO22 -,BPh4 -(Ph:フェニル基))からなるリチウム塩を、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどの有機溶媒に溶解した電解液を使用するか、もしくは、高分子を添加してゲル化したものであってもよい。上記セパレータの微孔性ポリオレフィン系フィルムとしては、ポリエチレンフィルムやポリプロピレンフィルムが使用される。
〔FED〕
図6は、FEDの概略断面構成図である。図6において、600は絶縁基板(ガラス基板)は、601は裏面電極(陰極電極)、602はカーボンナノチューブ等のナノカーボン層(陰極)、603は絶縁スペーサー(隔壁)、604は蛍光体層、605は透明電極(陽極)、606は表面マスク、607は透明表面材(ガラス板)、である。
図6のFEDは、ガラス基板600上に金属電極601のパターンを配し、その金属電極601のパターン上に上記ナノカーボン材料粉末に結着剤を混合し溶剤を添加してペースト化したものをスクリーン印刷などの手法で塗布し乾燥焼成して形成した陰極602、ガラス基板607上に透明電極605パターンを形成し、その透明電極パターン(陽極)605上に蛍光体層604をスクリーン印刷などの手法で塗布し、上記陽極605と陰極602を対向させ、その間にスペーサー(隔壁)603を配し、真空に排気した後に密閉して形成することができる。
ナノカーボン材料からの電界放出の電流−電圧特性は、図7に示される概略断面構造の素子を形成し、電流導入端子付きの真空チャンバーに挿入し、陽極704とナノカーボン材料から成る陰極701間に電圧を印加して電流を計測することで得ることができる。
図7において、700は絶縁基板、701は陰極、702はナノカーボン材料の陰極、703は絶縁スペーサー、704は陽極、705は陰極リード、706は陽極リードである。
図7の電界放出の電流−電圧特性計測用素子は、一例としては、ガラス基板(例えばコーニング社製#7059ガラス)700に電極の引き出し部を備えた陰極パターンがエッチングで抜かれたマスクなどを密着させた後、クロム(50nm)/アルミニウム(300nm)/クロム(50nm)の膜を電子ビーム蒸着などの方法で蒸着して陰極パターン701を得る。ついで、粉砕したナノカーボン材料をイソプロピルアルコールに超音波照射で分散し、前記陰極パターンを浸し、対向電極との間に直流電界をかけてナノカーボンをその陰極パターン701上に電着して、陰極ナノカーボン層702を形成する。次に、厚み約20〜200μm程度の雲母などの絶縁材料を絶縁スペーサー703として陰極上に貼り付け、その上に陽極としてのアルミニウム板を陽極704として貼り付け、クロム/アルミニウム/クロムの引き出し電極に陰極リード705を接続し、アルミニウム板に陽極リード706を接続して作製することができる。上記ナノカーボン材料からの電界放出の電流−電圧特性の測定は、真空度を10-3Pa以下に保持した真空チャンバーの中に上記素子を収納して陰極リード705と陽極リード706の間に高電圧を印加し、その際の電流を計測して、電界電子放出特性を計測することができる。
〔水素吸蔵材料〕
予め、容積が計測されたナノカーボン材料充填容器と、やはり容積が計測された水素貯蔵容器とを開閉バルブを介して接続した図8の測定装置にて、カーボンナノチューブの水素吸蔵能を計測できる。
図8において、800は高圧水素ボンベ、801は水素貯蔵容器、802はナノカーボン材料充填容器、803は温度コントローラー、804は真空ポンプ、805は圧力計、806は真空計、807は調圧弁、808,809,810,811,812,813は開閉バルブである。
ナノカーボン材料充填容器802には、開閉バルブ811,812,813を介して結合された真空計806と、開閉バルブ811,812を介して結合された真空ポンプ804が設けられ、開閉バルブ809を介して圧力計805が接続され水素貯蔵容器801には、開閉バルブ808と調圧弁807を介して水素ボンベ800が結合されている。
十分に乾燥したナノカーボン材料粉末の重量を計測し、ナノカーボン材料粉末充填容器802に、被測定物であるナノカーボン材料粉末を挿入し、真空ポンプ804で高真空領域まで脱気した後、所定の圧力になっている水素貯蔵容器801からナノカーボン材料粉末充填容器802に開閉バルブ810,811を開いて水素を導入し、所定時間の経過後、導通した二つの容器(801と802)の水素圧力を計測し、最初の水素貯蔵容器801の水素圧と二つの容器の容積から、ナノカーボン材料粉末の単位重量当たりの水素吸蔵量を計算することができる。実際には、ナノカーボン材料粉末充填容器802に導入する水素の圧力を変化させながら、平衡圧力時の吸蔵・放出量を測定し、単位重量当たりの水素吸蔵量を計算する。
以下、実施例に基づき本発明を詳細に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1
内容積95mlのハステロイ(Ni−Mo合金)製耐圧容器に、2.5gのn−ヘキサン(臨界温度:234.4℃、臨界圧力:2.97MPa)、0.2gのニッケロセンを混合させた後、30gのドライアイスを添加して密封し、室温下で気化した二酸化炭素を少し排出し圧力を調整し、温度650℃、圧力23MPaで2時間反応させた。ついで、室温まで冷却して、反応容器を開封し、固体分を取り出し乾燥して、反応生成物0.54gを得た。
上記操作で得られた反応生成物を、走査電子顕微鏡、透過電子顕微鏡で観察し、X線回折分析とラマンスペクトル測定を行った。
反応生成物の走査電子顕微鏡観察では、図9のワームのようなフィラメント状ユニットのナノカーボンがほぼ100%で無数集まった像が観察された。また、同時にX線マイクロアナリシスの測定から、上記フィラメントの先端には、残留触媒元素のニッケルが観察され、その他は炭素元素以外観測されなかった。さらに、X線回折分析では、黒鉛状炭素に基づく解析ピークと、ニッケル金属に基づく解析ピークが観察された。これらのことから、触媒として使用したニッケロセンは反応中に分解して、ニッケル金属になったと推測される。ラマンスペクトル測定からは、1590cm-1付近のGバンドと呼ばれるピークと弱い1350cm-1付近のDバンドと呼ばれるピークが観測された。すなわち、得られたナノカーボン材料の1590cm-1付近のピークと1350cm-1付近のピークの相対的強度は、1590cm-1付近のピーク強度が強かった。
上記走査電子顕微鏡観察したナノカーボンの透過電子顕微鏡観察を行い、低倍率での観察図10では中心部が中空のチューブ状のいわゆるカーボンナノチューブの一種であることがわかった。図11は、高倍率で観察した透過電子顕微鏡像である。図9、図10、X線マイクロアナリシス、X線回折測定の結果から、上記操作で得られたナノカーボン材料は図12のようなニッケル金属微粒子表面から成長した中空のチューブ構造を有するナノカーボン材料であることがわかった。
図13はフィラメント状ナノカーボンの想定されるミクロ構造の種類を模式化したもので、図13における(1)はメガホン形状にグラフェンシートが発達したものが多数積層されて、チューブ状に成長したもの、(2)はカップ形状にグラフェンシートが発達したのが積層されて柱状に成長したもの、(3)はグラフェンシートが繊維軸に対して垂直に積層されて柱状に成長したもの、(4)はグラフェンシートが繊維軸に平行に同心円上に積層されてチューブ状に成長したもの、(5)は何枚かのグラフェンシートが重なって繊維軸方向に回転しながら捲かれてチューブ状に成長したものを示している。
図11の像からは、上記操作で得られたフィラメント状ナノカーボン材料のミクロ構造が図13に示した(1)あるいは(5)の構造であるように見える。さらに、得られたナノカーボン材料の他の箇所の透過電子顕微鏡観察では、図13の(2)の構造に近い部分も認められたし、図13の(4)の構造らしき部分も一部観察された。
この得られたナノカーボンのアルゴンガス雰囲気下での1500℃及び2800℃での焼成後でも図9のようなフィラメント状のユニット形状は保たれていた。上記焼成により、ラマンスペクトルの1350cm-1のピークはほとんど消失する。得られたナノカーボン材料を構成するユニット形状はほとんど変化しなかった。図9から得られたナノカーボンのユニットは、平均直径約10〜100nm、長さは長いもので約4μm以上であった。ナノカーボンのユニット外径が約87nmのものの内径(中空部の直径)は約30nmであった。
ついで、上記操作で得られた1500℃焼成後のナノカーボン材料に残留するニッケルを塩酸と硝酸で溶解除去し、イオン交換水で洗浄後、空気中350℃で熱処理し、ボールミルで粉砕処理し、電界放出特性測定サンプルとした。次に、粉砕したカーボンナノチューブをイソプロピルアルコールに超音波を照射して分散し、直流電界を印加して電気泳動によってステンレス基板上にナノカーボン材料層を形成し、図7の陰極を形成した。次に、陽極にアルミニウム板、スペーサーに150μm厚の雲母板を用い、図7の素子構造の電界電子放出素子を組み立てた。真空にひかれたチャンバー内で上記操作で作製した素子に電界を印加して電界放出の電流−電圧特性計測をした。その結果、閾値電圧は5V/μm以下で、市販の本荘ケミカル社製多層ナノチューブの約10倍程度優れた電子放出電流値が得られることがわかった。
上記操作で得られた1500℃焼成後のナノカーボン材を図5の電極501のナノカーボン材料に用いて、電極を形成し、対極にリチウム金属を用い間に微孔性ポリプロピレンフィルムをセパレータに四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4)をエチレンカーボネートトジエチルカーボネートの3:7の混合溶媒に1モル/リットル溶解して調製した電解液を用い、電気化学的にリチウムの挿入脱離を行ったところ、天然黒鉛の1.2倍のリチウムを蓄えられることがわかった。このことは、上記作製した電極を負極に用いた図4の二次電池を作製すれば、天然黒鉛を用いて形成した電極の電池より、容量が高い電池を形成することができることがわかった。
また、図8の構成の水素吸蔵能測定器での測定では、ニッケル金属を残留した焼成前の得られたナノカーボンでは、本荘ケミカル社製の多層カーボンナノチューブと同程度の水素吸蔵能であることがわかった。
実施例2
実施例1において、温度を450℃、圧力を14MPaで、反応時間を6時間に変更して、実施例1と同様にして、2つの反応容器を用いてナノカーボン材料を調製した。なお、このとき、原料、触媒、ドライアイスの反応容器への仕込み時に、上記2つの反応容器での、酸素量と水分量を厳密に同一には管理しなかった。得られたナノカーボンの収量は、0.40、0.82gであった。この収量の違いは、反応容器の履歴、系内の酸素量、水分量の影響があったと思われる。なお、ニッケロセンは空気中での保存状態によってニッケルの価数が変化することから、酸素あるいは水分の影響を受けやすいと考えられる。
得られたナノカーボン材料の走査電子顕微鏡観察では、フィラメント状(ワーム状)のユニット形状が無数に集まったものが観察された。このフィラメントの直径は、20〜30nmであった。透過電子顕微鏡観察では、図13の(2)に近い構造が観察された。
実施例3
実施例1において、温度を450℃、反応時間を6時間に変更して、さらに触媒のニッケロセンを金属ニッケル微粉末、金属コバルト微粉末、ニッケル金属担持シリカ粉末、ニッケル担持アルミナ粉末、パラジウム担持アルミナ粉末、酸化ニッケル粉末に、それぞれ変更して、実施例1と同様にしてナノカーボン材料の調製を試みた。その結果、いずれもフィラメント状のナノカーボンが形成されることがわかった。
上記触媒のうち、金属ニッケル微粉末、金属コバルト微粉末、ニッケル金属担持シリカ粉末、酸化ニッケル粉末の場合の、合成時の圧力と収量、ナノカーボンのユニットの直径を表1にまとめた。なお、使用した金属ニッケル粒子の粒径は、0.5〜1.0μmで、比表面積は1.5〜2.5m2/gであった。また、使用したニッケル金属担持シリカ粉末中のニッケル担持量は70重量%で、一次粒子径が0.01〜0.02μmで二次粒径が約20μmで、比表面積は30〜40m2/gであった。使用したニッケル担持アルミナ粉末の一次粒子径は0.1μmで二次粒径は5〜10μmであった。使用したパラジウム担持アルミナ粉末の一次粒子径は0.01μmで二次粒径は20〜30μmであった。コバルト金属粉末を触媒に用いた場合のみ、触媒量を1g使用した。
Figure 0004532913
上記表の結果から、遷移金属粒子が最小と思われるニッケル担持シリカを触媒に用いた場合が、最も直径の細いフィラメント状ユニットのナノカーボン材料が得られることがわかった。また、酸化ニッケル粉末を触媒として合成されたナノカーボン材料においては、ユニットのフィラメント長が短く、X線回折分析の結果から酸化ニッケルは金属ニッケルへと還元されていることが分かった。このことは、反応中の雰囲気が還元雰囲気になっていることを示唆するものである。上記還元雰囲気の成分としては、水素ガスや一酸化炭素が考えられる。水素ガスは、原料が分解して発生するであろう。一酸化炭素は発生した水素と二酸化炭素から生成するか容器内に残留していた酸素と原料との反応で生成する可能性がある。さらに発生した一酸化炭素はナノカーボン材料の原料となっている可能性もある。
また、粒子径の大きな金属ニッケル粒子から成長したフィラメント状ナノカーボンユニットは、直径が100nm程度と太く、ミクロ構造が、図13の(3)に近い構造であるように観察された。
実施例4
実施例1において、触媒のフェロセンを金属鉄微粒子に替えて、実施例1と同様にしてナノカーボン材料の合成を試みた。その結果、実施例1と同様のフィラメント状ユニットのナノカーボンが得られることがわかった。
ただし、反応温度を450℃にした場合には、ナノカーボンは得られず、X線回折分析の結果から、金属鉄は酸化鉄に変化していることが分かった。
実施例5
実施例1において、温度を450℃、反応時間を6時間に変更して、さらに原料のn−ヘキサンをn−ペンタン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン、ヘキサデカン、2,2,4−トリメチルペンタン、シクロヘキサン、1−ヘキセン、n−オクテンにそれぞれ替えて、実施例1と同様の操作でナノカーボン材料の合成を試みた。その結果、実施例2と同様なユニット形状がフィラメント状であるナノカーボン材料が得られることがわかった。
表2に上記各種原料に対する合成時の圧力と収量、ナノカーボンのユニットの直径をまとめた。
Figure 0004532913
実施例6
実施例1において、温度を450℃、反応時間を6時間に変更して、さらに、原料のn−ヘキサンをエタノール、1−ブタノール、ヘキサノールにそれぞれ替えて、実施例1と同様の操作でナノカーボン材料の合成を試みた。その結果、実施例2と同様なユニット形状がフィラメント状であるナノカーボン材料が得られることがわかった。
表3に上記各種原料に対する合成時の圧力と収量をまとめた。
Figure 0004532913
上記結果から、1−ブタノールからは炭化水素のn−ヘキサンと同等のナノカーボン材料の収量が得られることがわかった。
実施例7
実施例1において、温度を450℃、反応時間を6時間に変更して、さらに以下の調製方法で調製した触媒に替えて、反応圧力20.9MPaで、実施例1と同様の操作で、ナノカーボン材料を調製した。得られたナノカーボン材料の形状は、他の実施例とは異なり、走査電子顕微鏡観察から直径1〜3μmの球形であった。
〔触媒調製〕
以下の操作で触媒を調製した。
(I):界面活性剤のセチルトリメチルアンモニウムブロマイド7.08gをトルエン63.72gに加え70℃に加温し、さらに塩化ニッケルNiCl2・6H2Oを0.1g添加し、溶解させた。
(II):上記(I)の溶液をホモジナイザーで攪拌しながら、(イオン交換水2.5gにNaBH4を0.0476g溶解した)水溶液NaBH4を滴下して反応させた。
(III):上記(II)で得られた懸濁液を遠心分離し、さらにトルエンとアセトンで洗浄し遠心分離し、溶媒を除去乾燥して、触媒を調製した。
実施例8
実施例1において、温度を450℃、反応時間を6時間に変更して、さらにドライアイスに替えて液体窒素を使用し、反応圧力2.4MPaで、実施例1と同様の操作で、ナノカーボン材料を調製した。得られたナノカーボン材料の収量は0.01gと少なかったが、そのナノカーボンユニットの形状は、走査電子顕微鏡観察の結果、実施例2と同様なフィラメント状であった。
また、実施例1において、温度を450℃、反応時間を6時間に変更して、さらにドライアイスに替えてアルゴンガスを用い、反応圧力7.5MPaで、その他は、実施例と同様な操作でナノカーボン材料の合成を試みたところ、微量ながら実施例2と同様なナノカーボン材料が得られた。
更に、実施例1において、温度を450℃、反応時間を6時間に変更し、反応圧力を9.5MPaに替えて、得られたナノカーボン材料の収量は0.51gであった。
上記結果から、(1)圧力が2MPa程度の圧力でもナノカーボン材料は合成されること、(2)ナノカーボン材料の収量の観点からは媒体としては窒素ガスやアルゴンガスより二酸化炭素がよいこと、がわかった。また、上記結果は、二酸化炭素がナノカーボンの合成反応を促進する媒体として機能しているか、反応中に生成される還元雰囲気と相まってナノカーボンの合成原料として機能している可能性を示唆するものである。
実施例9
図2に示されたような反応装置を用いて、ナノカーボンの合成を行った。
まず、内容積95mlのハステロイ(Ni−Mo合金)製高温高圧反応容器内に、ニッケル金属を70重量%担持したシリカ粉末を触媒として0.2g挿入して、排気装置で反応容器内を真空に排気した後、反応容器内に原料としてのn−ヘキサンを7.26gと二酸化炭素を11.26g導入した。次に、反応容器を450℃まで加熱し、反応容器内の圧力を19.0MPaにして、6時間反応させた。ついで、室温まで冷却して、反応容器を開封し、固形分を取り出し乾燥して、反応生成物を得た。
更に、上記原料としてのn−ヘキサンを、メタン、エタン、プロパン、エチレン、プロピレン、にそれぞれ替えて、上記操作と同様な操作で反応性生物を得た。
得られた反応生成物は、走査電子顕微鏡と透過電子顕微鏡の観察結果から、いずれも実施例2と同様な無数のフィラメント状ユニットからなるナノカーボン材料であることが判明した。得られたナノカーボン材料のフィラメント状ユニットの直径は、原料がエチレンの場合20〜80nm、プロピレンの場合20〜80nmであった。
上記各種原料に対する合成条件及び収量を表4にまとめて示した。
Figure 0004532913
上記表4の結果から、実施例9のうちでは、原料からのナノカーボンへの転化率は、プロピレン、エチレン、n−ヘキサンの順に高いことがわかった。すなわち、本発明の製造方法において、不飽和炭化水素はフィラメント状ユニットのナノカーボン材料に転換しやすいと考えられる。本実施例では、反応容器中に残留した酸素の影響が少なく、ニッケル担持シリカはニッケロセンに比べて安定であるので、上記実施例2のような収量に関する大きな誤差はないと思われる。
実施例10
内容積95mlのハステロイ(Ni−Mo合金)製耐圧容器に0.2gのフェロセンを導入して脱気した後、7.92gのn−ヘキサンを導入し、密封し、温度800℃、圧力2.1MPaで2時間反応させた。ついで、室温まで冷却して、反応容器を開封し、固体分を取り出し乾燥して、反応生成物0.314gを得た。得られた生成物の透過電子顕微鏡(TEM)写真の図14からの観察から、触媒の金属鉄粒子を内包した、図13の(4)に近い多層構造のカーボンナノチューブの構造であることがわかった。
実施例11
内容積95mlのハステロイ(Ni−Mo合金)製耐圧容器に0.2gのフェロセンを導入して脱気した後、3.89gのメタンを導入し、密封し、温度800℃、圧力12.9MPaで10分間反応させた。ついで、室温まで冷却して、反応容器を開封し、固体分を取り出し乾燥して、反応生成物0.447gを得た。得られた生成物の図15の走査電子顕微鏡(SEM)写真の観察からは、直径20nm〜100nmの長さ30μm〜100μmのフィラメント状ナノカーボンが無数認められた。透過電子顕微鏡(TEM)観察からは、多層のカーボンナノチューブであることが認められた。
ついで、上記操作で得られた多層カーボンナノチューブ(ナノカーボン材料)をボールミルで粉砕処理し、粉砕したカーボンナノチューブをイソプロピルアルコールに超音波を照射して分散し、直流電界を印加して電気泳動によってステンレス基板上にナノカーボン材料層を形成し、図7の陰極を形成した。次に、陽極にアルミニウム板、スペーサーに150μm厚の雲母板を用い、図7の素子構造の電界電子放出素子を組み立てた。真空にひかれたチャンバー内で、作製した素子に電界を印加して電界放出の電流−電圧特性計測をした。その結果、閾値電圧は2V/μm未満で、市販の本荘ケミカル製多層ナノチューブの約30倍程度優れた電子放出電流値が得られることがわかった。
実施例12
内容積95mlのハステロイ(Ni−Mo合金)製耐圧容器に0.2gのフェロセンを導入して脱気した後、9.34gのプロピレンを導入し密封し、温度800℃、圧力2.2MPaで5分間反応させた。ついで、室温まで冷却して、反応容器を開封し、固体分を取り出し乾燥して、反応生成物0.443gを得た。得られた生成物の図16の走査電子顕微鏡(SEM)写真の観察からは、直径40nm以下のフィラメント状ナノカーボンが無数認められた。透過電子顕微鏡(TEM)観察からは、多層のカーボンナノチューブであることが認められた。
実施例13
脱気した内容積95mlのハステロイ(Ni−Mo合金)製耐圧容器に、3.89gのメタン、0.2gのフェロセンに加えて5.99gの窒素を導入して密封し、温度800℃、圧力16.0MPaで10分間反応させた。ついで、室温まで冷却して、反応容器を開封し、固体分を取り出し乾燥して、先の実施例11の1.3倍の重量の反応性生物を得た。得られた生成物の走査電子顕微鏡(SEM)写真の観察からは、直径約100nmのフィラメント状ナノカーボンが無数認められた。実施例11のナノカーボンに比較して、直径が太く、より均一になると同時に、長さも短くなっていた。
比較例1
実施例1において、反応温度を90℃、反応圧力を15MPaに変えて、それ以外は実施例1と同様な操作を行って、ナノカーボン材料の合成を試みた。
その結果、実施例1と同様なナノカーボン材料の生成は認められなかった。
比較例2
実施例1において、反応圧力を1MPaに変更して、それ以外は実施例2と同様な操作を行って、ナノカーボン材料の合成を試みた。
その結果、実施例1と同様なナノカーボン材料の生成は認められなかった。
比較例3
実施例1において、ニッケロセンを反応容器に導入することなしに、それ以外は実施例1と同様な操作を行って、ナノカーボン材料の合成を試みた。
その結果、実施例1と同様なナノカーボン材料の生成は認められなかった。
比較例4
実施例1において、原料をメタノールに変更して、それ以外は実施例1と同様な操作を行って、ナノカーボン材料の合成を試みた。
その結果、実施例1と同様なナノカーボン材料の生成は認められなかった。
本発明のナノカーボン材料の製造方法の一例を示すフローチャートである。 本発明のナノカーボン材料の製造に用いる製造装置の概略図の一例である。 本発明のナノカーボン材料の製造に用いる連続式製造装置の概略図の一例である。 リチウム二次電池の断面構成図の一例である。 ナノカーボン材料から形成したリチウム二次電池用電極構造体の概略断面構成図の一例である。 ナノカーボン材料を用いたFEDの主要部概略断面構成図の一例である。 ナノカーボン材料の電界放出を確認するための素子の概略断面構成図の一例である。 ナノカーボン材料の水素吸蔵性能を計測する装置の概略構成図の一例である。 本発明の製造方法の実施例1で調製されたナノカーボン材料の走査電子顕微鏡で観察された像の一例である。 本発明の製造方法の実施例1で調製されたナノカーボン材料の透過電子顕微鏡で観察された低倍率像の一例である。 本発明の製造方法の実施例1で調製されたナノカーボン材料の透過電子顕微鏡で観察された高倍率像の一例である。 本発明の製造方法で調製されたフィラメント状ナノカーボンの、推察されるユニット構造の模式図の一例である。 本発明の製造方法で調製されたナノカーボン材料の透過電子顕微鏡写真から推察される構造の種類の例である。 本発明の製造方法の実施例10で調製されたナノカーボン材料の透過電子顕微鏡で観察された高倍率像の一例である。 本発明の製造方法の実施例11で調製されたナノカーボン材料の走査電子顕微鏡で観察された像の一例である。 本発明の製造方法の実施例12で調製されたナノカーボン材料の走査電子顕微鏡で観察された像の一例である。
符号の説明
200 高温高圧反応容器
201 原料又は媒体
202 触媒
203 加熱装置
204 原料貯蔵容器
205 媒体貯蔵容器
206 圧力計
207 安全弁
208 排気装置
209 原料あるいは媒体供給管
210 排気管
211 攪拌機構
300 高温高圧反応器
301 生成物分離器
302 原料回収精製塔
303 コンプレッサー
304 原料
305 触媒
306 媒体
307 生成物(ナノカーボン)
401 負極
402 イオン伝導体
403 正極
404 負極端子
405 正極端子
406 電池ハウジング(電槽)
500 集電体
501 ナノカーボン材料粉末
502 結着剤
503 導電補助材
504 活物質層
505 電極構造体(負極)
600,700 絶縁基板
601、701 裏面電極(陰極電極)
602,702 ナノカーボン材料層(陰極)
603,703 絶縁スペーサー(隔壁)
604 蛍光体層
605 透明電極(陽極)
606 表面マスク
607 透明表面材(ガラス板)
704 陽極電極
705 陰極リード
706 陽極リード
800 水素ボンベ
801 水素貯蔵容器
802 ナノカーボン材料充填容器
803 温度コントローラー
804 真空ポンプ
805 圧力計
806 真空計
807 調圧弁
808,809,810,811,812,813 開閉バルブ

Claims (8)

  1. 鎖状飽和炭化水素、鎖状不飽和炭化水素、環状飽和炭化水素及び含有酸素に対する含有炭素の原子比率が2.0以上であるアルコールから選択される一種類以上の化合物である原料を、
    遷移金属元素含有物質、アルミナ、シリカ及び炭化珪素から選択される一種以上の物質からなる触媒の存在下、
    100〜800℃の温度範囲かつ0.2MPa〜60MPaの圧力下で、前記原料を超臨界流体又は亜臨界流体とする工程を含むことを特徴とするナノカーボン材料の製造方法。
  2. 鎖状飽和炭化水素、鎖状不飽和炭化水素、環状飽和炭化水素及び含有酸素に対する含有炭素の原子比率が2.0以上であるアルコールから選択される一種類以上の原料と、
    遷移金属元素含有物質、アルミナ、シリカ及び炭化珪素から選択される一つ以上の物質から成る触媒に、前記原料を溶解する溶媒、前記触媒を溶解する溶媒、水、ヘリウム、アルゴン、窒素、水素、一酸化炭素、亜酸化窒素及びアンモニアから選択される少なくとも一種以上を添加し、
    100〜800℃の温度範囲かつ0.2MPa〜60MPaの圧力下で、少なくとも前記原料を溶解する溶媒、前記触媒を溶解する溶媒、水、ヘリウム、アルゴン、窒素、水素、一酸化炭素、亜酸化窒素及びアンモニアから選択される少なくとも一種以上を超臨界流体又は亜臨界流体にして前記原料と接触させる工程を含むことを特徴とするナノカーボン材料の製造方法。
  3. 超臨界流体又は亜臨界流体とした原料及び前記触媒に加えて、前記原料を溶解する溶媒、前記触媒を溶解する溶媒、水、ヘリウム、アルゴン、窒素、水素、一酸化炭素、亜酸化窒素及びアンモニアから選択される少なくとも一種以上とを添加して原料に接触させることを特徴とする請求項1に記載のナノカーボン材料の製造方法。
  4. 前記原料の溶媒が、二酸化炭素、芳香族炭化水素及びエーテルから選択される少なくとも一種以上のものであることを特徴とする請求項2又は3に記載のナノカーボン材料の製造方法。
  5. 前記遷移金属元素含有物質が、遷移金属及び遷移金属化合物から選択される少なくとも一種以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のナノカーボン材料の製造方法。
  6. 前記原料を超臨界流体又は亜臨界流体とする工程又は超臨界流体又は亜臨界流体と接触させる工程を、触媒と界面活性剤の存在下で行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のナノカーボン材料の製造方法。
  7. 前記原料を超臨界流体又は亜臨界流体とする工程又は超臨界流体又は亜臨界流体と接触させる工程で得られた反応生成物を400〜2800℃の温度で焼成する工程を含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のナノカーボン材料の製造方法。
  8. 得られるナノカーボン材料を構成するユニットの形状が、少なくともフィラメント状(ワーム状)及びチューブ状から選択される形状であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のナノカーボン材料の製造方法。
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