JP2002037614A - フィラメント状カーボン及びその水熱合成 - Google Patents

フィラメント状カーボン及びその水熱合成

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Masahiro Yoshimura
昌弘 吉村
L Suhaneku Voicheku
ヴォイチェク・エル・スハネク
Gogottsui Yury
ゴゴッツィ ユリー
A Ribera Joseph
エー リベラ ジョゼフ
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 フィラメント状カーボンを提供すること、及
び金属触媒の存在下で水熱C−O−H流体からナノチュ
ーブの合成を行うこと。 【解決手段】 新規な方法である水熱合成に基づき、温
度500−900℃、圧力30−200MPaにおい
て、ニッケルの存在下でポリエチレン/水の混合物、フ
ラーレン/水の混合物、有機溶媒/水の混合物あるいは
非晶質カーボン/水の混合物を用いることによって、多
層で、開放端を有する、閉じたカーボンナノチューブが
得られた。数個から100個のカーボン層の壁厚を有す
るナノチューブが生成された。すべての水熱ナノチュー
ブの重要な特徴として、大きな内径20−500nmの
約10%である小さい壁厚を有している。単一ナノチュ
ーブのラマン顕微分光分析は、高解像度TEMと合致す
るよく揃ったグラファイト構造を呈する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水熱反応条件下で
形成されたフィラメント状カーボンに関する。
【0002】
【従来の技術】カーボンナノチューブ 〔S. Iijima, MR
S Bull. 19, 43-49 (1994)〕 は、新たな技術及び装置
において今後使用される可能性が高く、現在研究され且
つ合成が試みられている最も注目度の高い新材料の一つ
である。特に、多層カーボンナノチューブ (MWNT) は、
それらのサイズを幅広い範囲で変えられ、複合物、水素
貯蔵体 〔P.Chen, X.Wu, J.Lin, K.L.Tan, Science 28
5, 91-93(1999)〕、 ナノアクチュエータ 〔R.H.Baughma
n, et al., Science 284, 1340-44 (1999)〕、 及びナノ
ロッド/ナノワイヤ用テンプレート 〔P.M.Ajayan, O.St
ephan, P.Redlich, C.Colliex, Nature 375, 564-567
(1995)〕を含むさまざまな応用を可能とする点で興味深
い。多層カーボンナノチューブは、次世代の電子的なナ
ノデバイスでも用いられるであろう〔S.Saito, Science
278, 77-78 (1997)〕。ナノチューブの電子的及び機械
的特性のユニークな組み合わせは〔P. Poncharal, Z.L.
Wang, D. Ugarte, W.A.d. Heer, Science 283,1513-15
16 (1999)〕 は、ナノチューブをマイクロ電子−機械シ
ステム(MEMS)にとって魅力あるものにしている〔O. Ing
anas, I.Lundstrum, Science 284,1281-1282 (199
9)〕。
【0003】しかしながら、MWNT の生産は厄介で、高
温など環境に優しくないプロセスを含んでいる〔D.T.Co
lbert, et al., Science 266, 1218-1222 (1994)〕。更
に、現時点における収率は極めて低いため、それらの素
材は非常に高価である。カーボンナノチューブの潜在的
な応用可能性を実現するためには、収率を高めて製造コ
ストを削減すると共に、ナノチューブの幾何学的特性
(形状、長さ、直径及び壁厚)に対するより優れた制御
が可能となるように、合成技術が改良されねばならな
い。
【0004】現在のところ、カーボンアーク放電法が最
も広く使われている。この方法で作製されたナノチュー
ブは、制御下での酸化〔P.M. Ajayan, et al., Nature
362,522-525 (1993)〕 あるいは湿式化学法〔S.C. Tsan
g, Y.K. Chen, P.J.F. Harris, M.L.H. Green, Nature
372,159-(1994)〕によって純化する必要がある。しか
し、高温、電場、蒸発及び真空は、カーボンナノチュー
ブを作製するための必須の条件ではない。カーボンナノ
チューブの電気化学的合成が、溶融LiCl 中で比較的低
い温度(600℃)において成功した〔W.K.Hsu, et a
l., Nature 377,687 (1995)〕。
【0005】物質の水熱合成は、他の方法と比べて多く
の利点を有している。すなわち水熱合成は、環境に優し
く、安価で、各種平衡のための自由エネルギーを減少可
能とし、他の条件下では安定でない相の合成を可能とす
る。超臨界水は、圧力下での異なる化学現象、液体状態
におけるよりも高い拡散性、質量の輸送を容易とする低
粘性度、及び密度と溶解力の容易な変化を可能とする高
い圧縮性をもたらす〔M.Siskin, R.Katritzky, Science
254, 231-237 (1991)〕。本発明者によって発見された
ように、非晶質カーボンの被覆が高圧高温水中で形成可
能である〔Y,G.Gogotsi, M.Yoshimura, Nature 367, 62
8-630 (1994)〕。その後、ダイヤモンドの水熱合成が報
告された〔X.-Z. Zhao, R. Roy, K.A. Cherian, A. Bad
zian, Nature 385, 513-515 (1997)〕。水熱カーボンの
形成が比較的低い温度(>200℃)及び中程度の圧力
(10−100 MPa)下で発生可能なこと〔Y,G. Gogots
i,M. Yoshimura, Nature 367, 628-630 (1994)〕を考慮
すれば、この方法は非常に有効と思われる。カーボンフ
ィラメントの水熱合成〔Y.G. Gogotsi, K.G. Nickel, C
arbon 36, 937-942 (1998)〕は、基板上のよく揃った配
列〔Y,G. Gogotsi,「ナノ構造カーボン被覆」、G.-M. C
how, Ed.,「ナノ構造膜及び被覆に関するNATO ARW」、S
antorini, ギリシャ (Kluwer, Dordrecht, 1999)発行〕
を含め、複雑なカーボン構造の成長に関する水熱合成の
潜在的な可能性を実証した。しかしながら、それらのフ
ィラメントは周期的な円錐状の空所を含み、一般的なMW
NTよりも厚かった〔Y.G. Gogotsi, K.G. Nickel, Carbo
n 36, 937-942 (1998)〕。
【0006】フラーレン〔Kroto, H. W., Heath, J.
R., O'Brien, S. C., Curl, R. F. &Smalley, R. E.
「C60: ブックミンスターフラーレン(Buckminsterful
lerene)」、 Nature 318, 162-163 (1985).〕 及びフ
ラーレン関連物質、例えばナノチューブ〔Iijima, S.、
「グラファイトカーボンのラセン状ミクロ細管」、Natu
re 354, 56-58 (1991)〕は、多くの応用分野があるため
世界中の研究者の興味を大きく惹きつけた。カーボンナ
ノチューブは、高い固有強度及び高い固有剛性を有する
ことから補強繊維としての使用が考えられている〔Rao,
C. N. R., Seshadri, R., Govindaraj, A. & Sen, R.
「フラーレン、ナノチューブ、オニオン、及び関連カー
ボンの構造」、Mater. Sci. & Eng. R-Reports 15, 209
-262 (1995)〕。さらにそれらの物質は、次世代の電子
ナノデバイスにおいても非常に有用で〔Collins, P.
G., Zettl, A., Bando, H., Thess, A. & Smalley, R.
E.「ナノチューブデバイス」、Science 278, 100-103
(1997)〕、 他の無機ナノチューブ/ナノワイヤ用のテ
ンプレート〔Ajayan, P. M., Stephan, O., Redlich,
P.& Colliex, C.「金属酸化物ナノ複合物及びナノ構造
用の除去可能テンプレートとしてのカーボンナノチュー
ブ」、Nature 375, 564-567 (1995)〕、水素貯蔵体〔Ch
en, P., Wu, X., Lin, J. & Tan, K. L.「周囲圧力及び
中程度の温度下でのアルカリ注入カーボンナノチューブ
によるH2の高摂取」、Science 285, 91-93(1999)〕、
ナノアクチュエータ〔Baughman, R. H. et al.「カーボ
ンナノチューブアクチュエータ」、Science 284, 1340-
44 (1999)〕などとしての使用が考えられる。フラーレ
ンの応用分野には、エネルギー生成、触媒作用、超伝導
体、光伝導体、光学的リミッタなどが含まれる〔Rao,
C. N. R., Seshadri, R., Govindaraj, A. & Sen, R.
「フラーレン、ナノチューブ、オニオン、及び関連カー
ボンの構造」、 Mater. Sci. & Eng. R-Reports 15, 20
9-262 (1995), Dresselhaus, M. S. & Dresselhaus, G.
「電子材料としてのフラーレン及びフラーレン誘導固
体」、 Ann. Rev. Mater. Sci. 25, 487-523 (199
5)〕。まだ知られていない特性及び用途を持つ新たなフ
ラーレンベース化合物の生成の可能性が、フラーレンベ
ースの研究をより一層魅力あるものとしている〔Tenne,
R.「注入不純物及び異種原子を含むフラーレン様構造
及びナノチューブ」、 Adv. Mater. 7, 965-995 (199
5)〕。従って、多くの研究者たちが天然に発生するフラ
ーレンとナノチューブを探求し、それら新たな炭素物質
生成のための低温低コストの合成技術を追求してきたの
は驚くべきことではない。フラーレンは、例えば電弧法
〔Kratschmer, W., Lamb, L. D., Fostiropoulos, K. &
Huffman, D. R. 「固体C60: 炭素の新形態」Nature 3
47, 354-358 (1990)〕、パルス状レーザまたは収束太陽
光、炭素の直接誘導加熱、あるいはすすを出す炭化水素
炎〔Lieber, C. M. & Chen, C. C. 「フラーレン及びフ
ラーレンベース物質の作成」、Solid State Phys.48, 1
09-148 (1994)〕など、自然界では滅多に生じない極端
な条件下で合成可能である。カーボンナノチューブの作
製は中でも、カーボンアーク放電法〔Ebbesen, T. W. &
Ajayan, P. M.「カーボンナノチューブの大規模合
成」、 Nature 358, 220-221 (1992), Ebbesen, T. W.
「カーボンナノチューブ」、 Ann. Rev. Mater. Sci. 2
4, 235-264 (1994).〕、カーボンの蒸着〔Ebbesen, T.
W. 「カーボンナノチューブ」、 Ann. Rev. Mater. Sc
i. 24, 235-264 (1994)〕、及び有機化合物の触媒ある
いはプラズマ分解〔Rao, C. N. R., Seshadri, R., Gov
indaraj, A. & Sen, R.「フラーレン、ナノチューブ、
オニオン、及び関連カーボンの構造」、 Mater. Sci. &
Eng. R-Reports 15, 209-262 (1995)〕 によって達成
可能である。これらの技術は全て、高温(ナノチューブ
で少なくとも700℃−800℃、フラーレンで少なく
とも1000℃)、真空系、ガス流、及び複雑な機器を
必要とする。収率は比較的低く、生成物は純化を必要と
する。これらの理由から、カーボンナノチューブ及びフ
ラーレンの作製は依然高価で、環境に優しくない。
【0007】天然に発生するフラーレンが、例えば落雷
〔Daly, K., T. Buseck, P. R., Williams, P. & Lewi
s, C. F.「閃電岩からのフラーレン」、Science 259, 1
599-1601 (1993)〕、隕石の衝撃〔Becker, L. et al.
「18.5億年前の Sudbury 衝撃構造におけるフラーレ
ン」、 Science 265, 642-645 (1994)〕,及び野火 〔He
ymann, D., Chibante, L. P. F., Brooks, R. R., Wolb
ach, W. S. & Smalley,R. E.「第三白亜紀の境界層にお
けるフラーレン」、 Science 265, 645-647 (1994)〕な
ど極端な条件下にさらされた岩石中にわずかな量ながら
発見されてきた。極端な条件下にさらされた証拠のない
カーボン含有量の多い岩石であるシュンガ石について報
告されたフラーレンの存在〔Buseck, P. R., Tsipursk
y, S. J.& Hettich, R.「地質学的環境からのフラーレ
ン」、Science 257, 215-217 (1992)〕は、他の研究者
たちによって確認されなかった〔Ebbesen, T. W. et a
l.「岩石中におけるフラーレンの起源」、Science 268,
1634-1635 (1995)〕。これらの地質学的研究は、フラ
ーレン分子が極めて高いエネルギープロセス中でのみ形
成可能であることを示している実験室的実験の結果とよ
く合致するように思われる。しかしながら、地質学的条
件下におけるフラーレンの挙動は、実にごく最近の研究
で確認され始めたものでまだ幅広く研究されていないた
め、そのような結論は間違っているかもしれない。Fang
et al.〔Fang, P. H. et al.「中国雲南省の炭坑で発
見されたフラーレン」、Innov. Mater. Sci. 1, 129-13
4 (1996)〕は、中国産の石炭の中にフラーレンを発見し
た。また最近、Osawa et al.〔Osawa, E. et al.「石炭
及び炭素質岩石中におけるフラーレン、カーボンナノチ
ューブ及びナノ粒子の観測」、Nature, 提出済み (199
9)〕は、カーボンナノチューブが石炭及び炭素質岩石中
に存在すると報告している。
【0008】カーボンナノチューブは、溶融塩中の電気
分解によってすでに合成されている〔Hsu, W. K. et a
l.「凝縮相ナノチューブ」、Nature 377, 687 (199
5)〕。また、非晶質カーボン〔Gogotsi, Y. G. & Yoshi
mura, M.「水熱反応条件下におけるカーバイド上でのカ
ーボン膜の形成」、Nature 367, 628-630 (1994)〕 及
びダイヤモンド〔Zhao, X. Z., Roy, R., Cherian, K.
& A. Badzian, A.「金属−C−H2O系におけるダイヤ
モンドの水熱反応成長」、Nature 385, 513-515 (199
7)〕が水熱反応条件下で作製可能なことも示されてい
る。カーボンフィラメントの水熱合成は、基板上のよく
揃った配列〔Gogotsi, Y. G. & Nickel, K. G.「高温及
び高圧下におけるパラホルムアルデヒドからのフィラメ
ント状カーボンの形成」、Carbon 36, 937-942 (199
8)〕を含め、水熱合成の技術が複雑なカーボン構造を成
長させる可能性を有することを実証した。しかしそれら
のフィラメントは周期的な円錐状の空所を含み、一般的
なカーボンナノチューブよりも厚かった〔Gogotsi, Y.
G. & Nickel, K. G.「高温及び高圧下におけるパラホル
ムアルデヒドからのフィラメント状カーボンの形成」、
Carbon 36, 937-942 (1998)〕。物質処理における水熱
合成の長所〔Eckert, C. A., Knutson, B. L. & Debene
detti, P. G.「化学及び物質処理用溶媒としての超臨界
流体」、 Nature 383, 313-318 (1996), Yoshimura, M.
& Byrappa, K.「結晶成長及び物質処理のための水熱技
術」、(Andrew Williams and Noyes Inc., 米国ニュー
ジャージー州、 2000) 発行〕及び水熱カーボンが低い
温度(>200℃)で作製可能であること〔Gogotsi,
Y. G. & Yoshimura, M.「水熱反応条件下におけるカー
バイド上でのカーボン膜の形成」、 Nature 367, 628-6
30 (1994)〕を考慮すると、水熱合成の方法はフラーレ
ン及び/又はカーボンナノチューブの合成について、非
常に有望であると思われる。また、新たなカーボン同素
体の水熱的挙動の研究が、それらの物質の天然埋蔵を探
求している地質学者たちにとって非常に重要なカーボン
同素体の形成/安定性/分解条件に関する情報をもたら
すであろう。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】フラーレン及びカーボ
ンナノチューブの天然埋蔵の存在とその低温における高
収率の合成は、それらカーボン物質が多くの応用分野を
有しているために科学的に極めて重要な課題である。こ
れまで、上記カーボン物質は極端な条件下で作製され、
合成された生成物は純化が必要であった。また自然界で
は、ごく少量のフラーレン及びナノチューブが見つかっ
ているに過ぎない。
【0010】本発明の目的は、フィラメント状カーボン
を提供することにある。本発明の別の目的は、金属触媒
の存在下で水熱C−O−H流体からナノチューブの合成
を行うことにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】新規な方法である水熱合
成に基づき、温度500−900℃、好ましくは700
−800℃、圧力30−200MPa、好ましくは60
−100MPaにおいて、ニッケルの存在下でポリエチ
レン/水の混合物を用いることによって、多層構造で、
開放端を有する、閉じたカーボンナノチューブが得られ
た。数個から100個のカーボン層の壁厚を有するナノ
チューブが生成された。すべての水熱ナノチューブの重
要な特徴として、大きな内径20−500nmの約10
%である小さい壁厚を有している。この特徴は水熱ナノ
チューブを、将来におけるミクロ及びナノ流体デバイス
の配管に用い得る有望な候補とするものである。ナノチ
ューブはレーザで所望サイズに切断可能である。単一ナ
ノチューブのラマン顕微分光分析は、高解像度TEMと
合致するよく揃った微晶質グラファイト構造を呈する。
Ni粒子の存在下で観測された高濃度のナノチューブ
は、各種の応用分野のために、大量の多層ナノチューブ
を低コストで生産するのに、水熱合成が有望なことを実
証している。水熱反応条件下におけるナノチューブの作
製は、ナノチューブが水熱反応条件下で形成された石炭
や天然のグラファイト埋蔵層に存在するかもしれないこ
とを示唆している。
【0012】フラーレン及びカーボンナノチューブの天
然埋蔵の存在とその低温における高収率の合成は、それ
らカーボン物質が多くの応用分野を有しているために科
学的に極めて重要な課題である。これまで、上記カーボ
ン物質は極端な条件下で作製され、合成された生成物は
純化が必要であった。また自然界では、ごく少量のフラ
ーレン及びナノチューブが見つかっているに過ぎない。
ここでは、200℃と800℃の間の温度、100MP
a以下の圧力という地質学的環境では一般的な水熱反応
条件下における、ニッケルの不在及び存在に応じたC60
の挙動について記述する。水熱流体の存在下におけるC
60の安定性と分解の範囲が確認され、ニッケル粒子の存
在下におけるカーボンナノチューブの形成が示された。
本発明者による研究の結果は、水熱反応系の影響を受け
た地球の地殻の領域における天然カーボンナノチューブ
の存在、及び高温の水性流体にさらされた岩石中におけ
るフラーレンの不在を説明するものである。
【0013】本発明の主旨は、水熱反応条件下で形成さ
れたフィラメント状カーボンにある。前記フィラメント
状カーボンは、多層構造で、開放端を有する、閉じたカ
ーボンナノチューブである。前記ナノチューブは、数個
から100個のカーボン層の壁厚で生成される。
【0014】前記ナノチューブは、重要な特徴として大
きな内径20−500nmの約10%である小さい壁厚
を有している。前記ナノチューブは、ラマン顕微分光分
析により、高解像度TEMと合致するよく揃った微晶質
グラファイト構造を呈する。
【0015】前記水熱反応条件はポリエチレン/水の混
合物で与えられる。前記水熱反応条件はニッケルの存在
下におけるポリエチレン/水の混合物で与えられる。前
記水熱反応条件は温度500−900℃、好ましくは7
00−800℃、圧力30−200MPa、好ましくは
60−100MPaで、ニッケルの存在下におけるポリ
エチレン/水の混合物で与えられる。
【0016】
【発明の実施の形態】実施例1 実 験:カーボンを含んだ各種の物質を純粋な化学物質
あるいは水と混合した形で用いて、C−O−H状態図
(図1)の適切な領域を得ることができる。C−H−O
流体の迅速な形成及び平衡化のための低コストで取り扱
いが便利はカーボン源として、ポリマー(例えばポリエ
チレン)が使用可能である。多くの実験作業は、米国シ
カゴ州のイリノイ大学で行われた。
【0017】ポリエチレン(PE)の試料を、脱イオン
水と共に、直径3−5mm及び長さ10−50mmの
Auカプセル内に入れた。水の量は、ポリエチレンの重
量の0から10倍まで変化させた。3%の Ni金属粉末
をカプセル内に加えた。これは、鉄族の金属がナノチュ
ーブの気体相からの成長の触媒として作用することが知
られているからである。カプセルは、ステライト超合金
製のタトル(Tuttle)型管状容器内で、200MPaまで
の蒸留水の圧力下で加熱した。この例の処理では、温度
を700℃−800℃に2−170時間の間保持した。
【0018】ナノチューブの組成及び構造を、カーボン
同素体を識別するための最も簡単で最も強力な技法であ
るラマン分光分析と、電子顕微鏡とを用いて調べた。A
rイオンレーザ(励起波長514.5nm)を備えた、R
enishaw 2000 ラマン顕微分光計を用いた。使用したT
EMは、格子分解能0.14nm(点分解能0.17n
m)を有する JEOL 3010(300kV)であった。ま
た、倍率 500,000 倍までの JSM-6320F を、電界放出S
EM(FESEM)として使用した。この装置を使えば、そ
の対物レンズ設計により、低加速電圧での高解像度が可
能である。さらに顕微鏡には、軽元素X線検出アナライ
ザーを含む Noran Voyager EDX システムも装備し、こ
れをナノチューブの元素分析に用いた。 MWNT はアセト
ンまたはトルエン中に分散し、ラマン及び FESEM を用
いた分析ではSiウェハまたは研磨したアルミニウムサ
ンプルホルダー上に付着させ、TEM分析ではレース状
のカーボングリッド上に付着させた。
【0019】結 果:PEを用いた水熱反応実験におい
て、 MWNT が豊富な量で見いだされた(図2)。得られ
た MWNT は一般的に、70個までのフリンジを含む壁
(壁厚 (25nm)、30から200nmまでの外径、
160nmまでの内径を有していた。一方、別の一連の
実験では、500nmの直径とこの直径の約10%の壁
厚とを有するチューブが得られた。直径対長さの比は、
(50mmまでで)数百に達した。チューブは先端から
末尾まで中空で(図2)、ほとんどが閉じており、一部
が開放していた。つまりこの例では、水熱反応 MWNT が
生成可能であっただけでなく、既知のうち論証可能な最
大の内径/壁厚比を有する MWNT も得られた(図2)。
【0020】ニッケル粒子に対するチューブの、自明な
あるいは一貫した関連は認められなかった。ごくわずか
なナノチューブだけが、先端にNiナノ粒子を含んでい
た。一部のチューブは、テーパ状壁を有する開放端を呈
し、フリンジの数は全体を通じ5個の可視フリンジにま
で減少していた(図2B)。一部のケースでは、格子フ
リンジがチューブの縦軸に対し傾斜しており、ラセン性
を有することを示していた。
【0021】図3は、Siウェハ上に分離生成された単
一ナノチューブのラマンスペクトルを示す。回析限界の
見かけ直径は約1μmであったが、ナノメータ径の MWN
T をその実際の直径にも拘わらず、1000倍でウェハ
の全表面上に見ることができた。このスペクトルの顕著
な特徴として、ほぼ1620 cm-1に肩バンドがある一次バ
ンドをほぼ1580 cm-1に含んでいる。一次バンドは一般
に、グラファイトの最も高い光学的分岐の中央域最大値
である1582 cm-1 G点周波数と比べて下方にシフトして
おり、レーザビームによる加熱によっては1563 cm-1
まで下がることがある。最も低いレーザ出力において、
ナノチューブは微晶質グラファイトと類似のスペクトル
を生じる。また別の顕著な特徴は、約1350 cm-1 におけ
る弱いバンドと、ほぼ 2700 cm-1 (1350 cm-1) 及び 32
48 cm-1における二次特徴と、1350 + 1600 = 1950 cm-1
における組み合わせモードである。本発明者は、全て
のMWNT について同じスペクトル特性を見いだした。そ
のスペクトル特性は、微細素地加工を施したグラファイ
ト電極材料から得られるスペクトルと近似している(図
3)。ナノチューブのGバンド(1579 cm-1)の最大半
値における全幅(FWHM)は約28 cm-1で、これに対し微
晶質グラファイト(1580 cm-1)では18 cm-1 、グラフ
ァイト(1581 cm-1)では14 cm-1 である。この結果
は、ナノチューブの性質がグラファイトと極めて似てい
るが、完全な結晶質でないことを示したTEMの観測結
果と合致している。水熱生成されたナノチューブで測定
されたラマンバンドの相対強度は、アーク放電法を用い
て得られたものと一致し、4000℃で生成されたナノ
チューブと同様の完全度を有することを示している。
【0022】さらに、ナノチューブは空気中で急速に酸
化するため、最大強度のレーザビームで容易に切断可能
である。この点は、閉じたチューブを開いたり、それら
を各種の応用に適したサイズに切断するのに便利であ
る。
【0023】検 討:カーボンナノチューブの合成技術
に応じて変化するいくつかの成長メカニズムが、 Ebbes
en の概説に見られるように提供されている。ナノチュ
ーブの形状(図2)の解析は、グラファイト構造の開放
端に位置した原子が水熱流体からカーボンを捕獲するた
めの活性サイトを提供する開放端成長メカニズムを裏付
けるものである。しかし、Niを含有する閉じたチュー
ブの存在は、超臨界流体中で1つより多いメカニズムが
作用する可能性を示唆している。分子力学的な研究の結
果は、2層のナノチューブが準安定のエネルギー最小状
態に留まり、閉じるのを妨げられていることを示してい
る。ナノチューブの閉鎖は、先端において湾曲する幾何
学的形状を生じる五員環によって発生可能である。また
ナノチューブは、開放チューブ端の周辺にカーボンの六
員環、五員環及び八員環が付加することによって成長す
ることができる。水熱環境は芳香族炭化水素を含んでお
らず、水熱合成条件下ではCH4及びCOが固体カーボ
ンと平衡状態にあるため、これらの種からのナノチュー
ブの成長が考えられる。カーボンナノチューブの太さ
は、成長するチューブの外面上におけるグラファイトベ
ース面の島成長によって増大する。カーボンナノチュー
ブの触媒作用成長については、いくつか別個のモデルが
導かれている(金属触媒によるアセチレンの分解な
ど)。本発明者は、パラメータに依存するラセン成長メ
カニズムが球状、円錐状、あるいはほぼ平行層の成長パ
ターンをもたらすものと想定している。
【0024】幅広い隙間を有するため、水熱ナノチュー
ブはミクロ及びナノ流体デバイスや、チップ上の化学プ
ラントとして興味深い。ミクロ/ナノ流体学は、非常に
有望なミクロ工学の新しい1つの分野である。本例のナ
ノチューブの最も細いものと同じ範囲の直径(33n
m)の MWNT は、1.8TPaのヤング率と14.2(8
GPaの曲げ強度を有することが実証されており、従っ
てミクロ流体及び MEMSの応用への有望な可能性を有し
ている。約1-mmの特徴によって限界があるフォトリ
ソグラフィではナノサイズのチャンバや隙間は作れない
ので、ナノ流体デバイスを可能とするにはナノパイプを
使用する必要がある。ナノチューブの使用は、層流にと
って最適な円筒状チャネルの生成にも有効であろう。ま
た、ナノ流体チップ間の相互接続あるいはチップと分析
対象(例えば細胞)との間の相互接続も、ナノパイプを
利用して可能になる。
【0025】ナノスケールでの流体力学はまだ充分開発
されておらず、実験データも少ない。しかしながら、毛
細管力によってナノチューブで流体を吸引可能なことは
知られている。一般に、カーボンナノチューブの内径は
10nm以下で、その壁厚は内径を越えているため、断
面のわずかな部分だけが流体応用チャネルに使える。数
nmの開口内では液体の分子とナノチューブの壁との相
互作用が強く、どんなものも貫通して流れるのは不可能
と見られる。4nmより小さい内径のナノチューブを、
塩融解物で満たすことはできないであろう。水熱チュー
ブ(図2)は、大きさの桁がかなり小さくなるだけで、
マクロ世界で使われているパイプとはるかに類似してい
る。約100nmのチャネルは、液体の貫流を可能とす
る。また金属を満たせば、次世代の電子デバイスや MEM
S に適合可能なサイズのナノワイヤ及び同軸状のナノケ
ーブルが形成される。
【0026】真空中あるいは周囲圧力下で生成された M
WNT と異なり、閉じた水熱ナノチューブは圧力下でカプ
セル封入された水ベースの流体を含んでいた(図2
C)。水熱ナノチューブが有する微小圧力容器として機
能する能力、更にTEM中の高真空(10-8 torr)下
及び電子ビームによる加熱時にでも与圧流体を保持する
能力は、工学的応用にとって充分な非常に高い強度及び
壁の完璧さを確認させるものである。またこのことは、
ナノサイズチャネルにおける流体の挙動研究、及びTE
Mにおける水性サンプルの解析に対してユニークな機会
もたらすものである。
【0027】最近、変性水熱環境下で形成されたフラー
レンが、中国の炭坑で発見された。この結果は、自然界
におけるカーボンナノチューブの形成の可能性を意味し
ている。石炭埋蔵層の形成条件は、中程度の圧力におけ
る低または中間温度での水熱反応プロセスを含んでいる
ので、石炭あるいは天然の水熱グラファイト埋蔵層中に
ナノチューブが存在することを期待できる。
【0028】本例では、水熱反応条件下でのナノチュー
ブのオートクレーブによる合成が実証された。カーボン
ナノチューブの水熱合成は、現在ナノチューブが作製さ
れている方法を変えることになるかもしれず、より環境
に優しい技術(中程度の温度と圧力における閉じられた
水ベースの系、低いエネルギー消費量、及び高収率)を
与える。水熱反応条件下におけるナノチューブの形成メ
カニズムがより明瞭に理解されれば、多量のMWNT を成
長させるための条件の最適化が可能になるはずである。
ナノチューブの内径が大きくなり、成長温度が低くなれ
ば、ナノチューブの閉鎖が防がれ、長いナノチューブの
成長が可能になると見込まれる。極めて長いカーボンナ
ノチューブの制御しながらの成長が、濃度または温度傾
斜下における一次元的な成長を可能とするのに必要な傾
斜型オートクレーブで可能に成るであろう。この方法
は、商業的な大容量オートクレーブが用いられるなら、
日産数ポンドのナノチューブの生産を行うのに有望であ
る。
【0029】実施例2 水熱反応条件下におけるC60の挙動:安定性、カーボン
ナノチューブの形成及び地質学的意味
【0030】ここでは、200℃と800℃の間の温
度、100MPa以下の圧力という地質学的な環境では
一般的な水熱反応条件下における、ニッケルの不在及び
存在に応じたC60の挙動について言及する。水熱流体の
存在下におけるC60の安定性と分解の範囲が確認され、
ニッケル粒子の存在下におけるカーボンナノチューブの
形成が示された。本発明者による研究の結果は、水熱反
応系の影響を受けた地球の地殻の領域における天然カー
ボンナノチューブの存在、及び高温の水性流体にさらさ
れた岩石中におけるフラーレンの不在を説明するもので
ある。
【0031】フラーレン(C60)粉末(純度99.95
%、 Science Laboratories Co.、日本)を、全ての実
験で用いた。このフラーレン粉末の少量サンプル(≫
0.020g)を直径3mmの金製カプセル(容量≫0.
1−0.2cm3)中に入れた後、カプセルに二重蒸留水
(≫0.3g)を満たした。次いでカプセルを密封し、
オートクレーブ(タトル−ロイ(Tuttle-Roy)型)に入れ
た後、20分から48時間の期間200℃、400℃、
500℃、600℃、650℃、700℃、750℃、
及び800℃に加熱した。ニッケル粉末(純度99.8
%、Nilaco Co.、日本)を3重量%の量で一部のカプセ
ルに添加した。水の量が固相の30%−100%(重
量)であったNiを含むカプセルを、168時間の間4
00℃、500℃、600℃、及び700℃に加熱し
た。試料物質は、東京工業大学でラマン分光分析とX線
回折(XRD)によって、また米国シカゴのイリノイ大
学研究資源センターで電界放出走査型電子顕微鏡(FESE
M)と透過型電子顕微鏡(TEM)によって特徴分析を
行った。
【0032】水熱的に処理したフラーレン粉末のうち、
選択したラマンスペクトルを図4に示す。「入れたまま
の状態」と表したラマンスペクトルが、水熱処理を施さ
なかったフラーレン粉末に対応する。このスペクトル
は、C60の特性スペクトルで、10個のラマン活性モー
ド〔Dresselhaus, M. S., Dresselhaus, G. & Eklund,
P. C. 「フラーレンにおけるラマン散乱」、J. Raman S
pectrosc. 27, 351-371(1996)〕を全て明瞭に示してい
る。純水中において200℃−400℃ (0.3時間−
48時間)で水熱処理した後に得られたC60のスペクト
ルは、入れたままの状態のC60のスペクトルとほぼ同等
で、上記の温度範囲、上記の時間における水熱反応条件
では安定であったことを示している(図4)。500℃
(168時間)、あるいはもっと高い温度であるがより
短い時間、例えば600℃ (18時間)または700
℃ (0.3時間)で水熱的に処理されたフラーレンから
得られたラマンスペクトルにおいては、C60に固有のバ
ンドが弱まるのに加え、新たなバンドが現れた。約13
35cm-1と1608cm-1における2つの強く幅の広
いバンドは、非晶質カーボンに由来している〔GOGOTSI,
Y.G. & Yoshimura, M.「水熱反応条件下におけるカー
バイド上でのカーボン膜の形成」、Nature 367,628-630
(1994)〕。非晶質カーボンのこれらのバンド(下方シ
フトのDバンドと上方シフトのGバンド)の位置は、水
熱形成されたカーボンについて典型的なものである。水
熱形成されたカーボンにおいて約1200cm-1の位置
に肩バンドが観測されているが、その起源は不明であ
る。600℃(48時間)、700℃(168時間)ま
たは800℃(0.3時間)における水熱処理後、ラマ
ンスペクトルは何らのフラーレンも示さず、C60が完全
に分解していたことを実証している(図4)。水熱処理
を施したフラーレン粉末のXRDパターンは、ラマンス
ペクトルとよく合致していた。フラーレンの分解を示す
新しい幅広ピークはほぼ24.5°と43.5°で、これ
らはグラファイト状カーボンに起因すると考えられた
(図5b)。異なる条件下において水中で水熱処理され
たC60のラマンスペクトルとXRDパターンは共に、水
熱処理の温度及び時間が増大するにつれ、C 60フラーレ
ンが徐々に分解することを示している。C60フラーレン
が安定性を有する最高温度は、100MPaの圧力下に
おける48時間の長さの処理後において400℃であっ
た。
【0033】C60結晶は水熱処理中、形状が著しく変化
することなく(図5a)、非晶質カーボンに変換され、
その一部はグラファイト化されていたが(図5b)、目
に見える食刻素地を有するものもあった。ニッケルの存
在下における水熱処理後のフラーレン結晶の FESEM 解
析は、Ni粒子の近傍でカーボンナノチューブが形成さ
れていることを示した(図6a)。多層カーボンナノチ
ューブは円形断面を有し、外径は30−120nm、一
般的には30−40nmの範囲で、壁厚は5nmであっ
た(図6b)。カーボンフィラメントの壁厚は4−40
nmの範囲で、これは10−100個のグラファイト層
に対応している。高解像度のTEMは、ナノチューブの
壁において、よく揃っているが理想状ではないグラファ
イト層を示している(図6b)。一般に、ニッケル粒子
に対するチューブの、自明なあるいは一貫した関連は認
められなかった。ごくわずかなナノチューブだけが、先
端にNiナノ粒子を含んでいた。一部のケースでは、格
子フリンジがチューブの縦軸に対して傾斜し、ラセン性
を生じていた。
【0034】ここでの結果から得られる重要な意味は、
カーボンナノチューブの水熱合成の可能性である。水熱
技術は通常、固体処理によるよりもはるかに高い均質性
を有し、且つ気体または真空処理よりも高い収率(速い
成長速度)を有する生成物を与える。溶媒/溶質系には
幅広い各種の組み合わせが存在する〔Eckert, C. A.,Kn
utson, B. L. & Debenedetti, P. G.「化学及び物質処
理用溶媒としての超臨界流体」、 Nature 383, 313-318
(1996)、 Yoshimura, M. & Byrappa, K. 「結晶成長及
び物質処理のための水熱技術」、(Andrew Williams and
Noyes Inc.,米国ニュージャージー州、2000) 発行〕。
生成物の充填、輸送、混合及び/又は分離の点から、液
他の方が有利であろう〔Yoshimura, M. & Byrappa, K.
「結晶成長及び物質処理のための水熱技術」、(Andrew
Williams and Noyes Inc., 米国ニュージャージー州、2
000) 発行〕。液体は、閉じた系における循環/再循環
及び物質処理に完全に適合している。さらに液体は、特
に水熱反応条件下において、拡散、吸着、反応速度及び
結晶化(核形成と成長)の加速の可能性を与える〔Yosh
imura, M. & Byrappa, K. 「結晶成長及び物質処理のた
めの水熱技術」、(Andrew Williams and Noyes Inc.,
米国ニュージャージー州、2000) 発行〕。超臨界状態下
において、流体は液体と気体両方の長所の一部を有して
いる。超臨界流体における拡散は液体におけるよりも高
く、粘性は低いため、質量輸送が高まる〔Eckert, C.
A., Knutson, B. L. & Debenedetti, P. G. 「化学及び
物質処理用溶媒としての超臨界流体」、 Nature 383, 3
13-318 (1996)〕。
【0035】本発明は、ナノチューブが水熱反応条件下
で形成可能なことを実証すると共に、複雑さがより低い
カーボン源の可能性を示唆している。カーボンナノチュ
ーブの大規模で、低温つまり低コストの合成は、これら
の物質の幅広い応用へ向けての大きな一歩となろう。本
発明のナノチューブは、カーボンアーク放電法によって
形成される一般的なカーボンナノチューブ(通例直径2
−25nmで、内部の中空径1−3nm)〔Ebbesen,
T. W. 「カーボンナノチューブ」、Ann. Rev. Mater. S
ci. 24, 235-264 (1994)〕よりもわずかに太く、それよ
り大きい中心空所を有している。本発明のナノチューブ
の品質は、水熱技術によるカーボン同素体のユニークな
種類を合成できる可能性を示しており、これが水熱合成
法の別の利点である。
【0036】一方、本発明の結果は、非常に重要な地質
学上の意味も有している。50°と500℃を充分に越
える間の温度を有する水熱溶液は、地球の地殻内で一般
的で広く分布している〔Pirajno, F.「水熱的な鉱物埋
蔵層」、(Springer-Verlag,独国ベルリン ハイデルベル
グ、 1992)〕。地球の表面下を循環している水熱流体
は、浸出、輸送、それらの鉱物成分の沈殿、あるいは既
存鉱物の水熱変質によって、さまざまな地質学的プロセ
スに係わっている〔Pirajno, F.「水熱的な鉱物埋蔵
層」、(Springer-Verlag, 独国ベルリン ハイデルベル
グ、1992)〕。水熱活性度の条件は、水熱系の種類に依
存している。例えば、隕石による水熱系の場合、温度は
通常400℃を越えないが、海底床の水熱系の場合には
350℃から500℃を超える範囲となる〔Pirajno,
F.「水熱的な鉱物埋蔵層」、(Springer-Verlag, 独国ベ
ルリン ハイデルベルグ、1992)〕。特に、1000℃近
くになる高温の水熱活性度は、主な揮発性流体としてH
2Oを含む、変性及びマグマ系と関連している〔Pirajn
o, F.「水熱的な鉱物埋蔵層」、(Springer-Verlag, 独
国ベルリン ハイデルベルグ、1992)〕。
【0037】C60を用いた本発明の実験は、地質学的ス
ケールから見て非常に短い時間で実施された(地質学的
プロセスの場合の長年の期間に比べてわずかに数時
間)。にも拘わらず、フラーレンは400℃より高い温
度での水熱処理に耐えられなかった。フラーレンはH2
Oなしで極めて高温において安定性を示すため、このこ
とは驚きに値する。分子力学的研究は、C60が4000
℃を優に越えると不安定になることを示している〔Zhan
g,B.L., Wang,C.Z., Chan,C.T. & Ho,K.M.「カーボンフ
ラーレンの熱的崩壊」、Phys. Rev. B48, 11381 (199
3)〕。C60結晶を用いた実験は、不活性雰囲気中におい
て700℃−950℃でフラーレンが非晶質カーボンに
分解することを示している 〔Stetzer, M. R., Heiney,
P. A., Fischer, J. E. & McGhie, A. R.「固体C60
の熱的安定性」、 Phys. Rev. B 55, 127-131 (199
7)〕。しかし本発明の結果は、純水がフラーレンの分解
を強く促進することを示している。このプロセスは動力
学的に制御されているので、水熱処理の時間がはるかに
長くなれば、安定性の範囲はもっと低い温度の方に移動
すると見込まれる。本発明の結果は、フラーレンが自然
界にまれにしか見られない理由を説明するものであろ
う。つまりその理由は、カーボンを含む岩石が滅多にし
か起きない極端な条件にさらされる必要があるばかりで
なく、C60は水熱安定性が低いことにある。水熱反応条
件下におけるカーボンナノチューブの形成は、水熱流体
の影響を受けてきた地球の地殻中の領域で、カーボンを
豊富に含む岩石内における天然カーボンナノチューブの
存在の可能性を意味している。フラーレン鉱山はなおサ
イエンスフィクションの域を出ないと思われるが、大規
模な天然ナノチューブ埋蔵層の発見は現実に近づいてい
る〔Osawa, E. et al.「石炭及び炭素質岩石中における
フラーレン、カーボンナノチューブ及びナノ粒子の観
測」、 Nature, 提出済み (1999)〕。
【図面の簡単な説明】
【図1】C−O−H状態図の概略図で、平衡状態におけ
るカーボン安定性の境界に対する圧力の影響を示す。高
圧下におけるナノチューブの成長は、周囲圧下での合成
と比べ、はるかに低い系内カーボンの濃度で達成可能で
ある。このことは、異なる構造のナノチューブ(薄壁、
開放及び閉鎖のナノチューブ)を説明しており、飽和度
の低いカーボン溶液によるより良好な成長制御をもたら
すものである。
【図2】ポリエチレンの、800℃、2時間での、Ni
粉末の存在下における水熱処理によって生成された代表
的なカーボンナノチューブのTEM顕微鏡写真。(A)
に示すナノチューブの端部は、数個のグラファイトフリ
ンジにまで減少している(B)。閉じたナノチューブ中
には、流体の含まれているのが見つかった(C)。メニ
スカスは、水ベース流体に対するカーボンの良好な湿潤
性(接触角<5度>を示している。
【図3】Siウェハ及び電極グラファイト上に分散され
したカーボンナノチューブのラマンスペクトル(A)。
スペクトルの比較は、水熱生成されたナノチューブがグ
ラファイトの筒状微小結晶であることを示している。
【図4】Niを含む場合または含まない場合の、100
MPaにおける水中での水熱処理後のC60の選択したラ
マンスペクトル。処理の温度と継続時間は図中に示した
通りてある。矢印は弱いC60バンドを示す。1608c
-1と1335cm-1における非晶質カーボンバンド、
及び1191cm-1における肩バンドが示されている。
その他のバンドは全てC60に由来している。
【図5】(a)水中での水熱処理(3%Ni、30%
水、700℃、100MPa、7日間)で形成された非
晶質カーボンの代表的な FESEM 顕微鏡写真で、変換後
の形状が当初のC60結晶と同じであることを示してい
る。いくつかの割れ(純粋に熱的な現象)及び食刻素地
が観察された。(b)本発明の実験で形成された非晶質
でグラファイト化されたカーボンのTEM写真で、グラ
ファイト層の存在を示す。格子フリンジが秩序の乱れた
グラファイトに対応する。
【図6】(a)Ni粒子の近傍におけるカーボンフィラ
メントを示す FESEM 写真;(b)30%水、700
℃、168時間でC60を水熱処理して生成された代表的
なカーボンナノチューブのTEM顕微鏡写真。挿入写真
は、ナノチューブ壁のグラファイトフリンジを示す。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成12年7月31日(2000.7.3
1)
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図2
【補正方法】変更
【補正内容】
【図2】
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図5
【補正方法】変更
【補正内容】
【図5】
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図6
【補正方法】変更
【補正内容】
【図6】 ─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成12年9月19日(2000.9.1
9)
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図2
【補正方法】変更
【補正内容】
【図2】
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図5
【補正方法】変更
【補正内容】
【図5】
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図6
【補正方法】変更
【補正内容】
【図6】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ヴォイチェク・エル・スハネク アメリカ合衆国 ニュージャージー州 ピ スカータウェイ 607 テイラー ロード ラトガース大学内 (72)発明者 ユリー ゴゴッツィ アメリカ合衆国 イリノイ州 シカゴ エ ム/シー 251 イリノイ州立大学内 (72)発明者 ジョゼフ エー リベラ アメリカ合衆国 イリノイ州 シカゴ エ ム/シー 251 イリノイ州立大学内 Fターム(参考) 4G046 CA04 CB01 CC03 CC08 4L037 CS03 CS04 FA03 FA04 FA05 PA06 PA11 PA17

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】水熱反応条件下で形成されたフィラメント
    状カーボン。
  2. 【請求項2】前記フィラメント状カーボンは多層構造
    で、開放端を有する、閉じたカーボンナノチューブであ
    る請求項1に記載のフィラメント状カーボン。
  3. 【請求項3】前記ナノチューブは数個から100個のカ
    ーボン層の壁厚で生成される請求項2に記載のフィラメ
    ント状カーボン。
  4. 【請求項4】前記ナノチューブは、重要な特徴として大
    きな内径20−500nmの約10%である小さい壁厚
    を有している請求項2または3に記載のフィラメント状
    カーボン。
  5. 【請求項5】前記ナノチューブは、ラマン顕微分光分析
    により、高解像度TEMと合致するよく揃った微晶質グ
    ラファイト構造を呈する請求項2、3または4に記載の
    フィラメント状カーボン。
  6. 【請求項6】前記水熱反応条件はポリエチレン/水の混
    合物で与えられる請求項1、2、3、4または5に記載
    のフィラメント状カーボン。
  7. 【請求項7】前記水熱反応条件はニッケルの存在下にお
    けるポリエチレン/水の混合物で与えられる請求項1、
    2、3、4または5に記載のフィラメント状カーボン。
  8. 【請求項8】前記水熱反応条件は温度500−900
    ℃、圧力30−200MPaで、ニッケルの存在下にお
    けるポリエチレン/水の混合物で与えられる請求項1、
    2、3、4または5に記載のフィラメント状カーボン。
  9. 【請求項9】前記水熱反応条件はフラーレン/水の混合
    物で与えられる請求項1、2、3、4または5に記載の
    フィラメント状カーボン。
  10. 【請求項10】前記水熱反応条件は有機溶媒/水の混合
    物で与えられる請求項1、2、3、4または5に記載の
    フィラメント状カーボン。
  11. 【請求項11】前記水熱反応条件は非晶質カーボン/水
    の混合物で与えられる請求項1、2、3、4または5に
    記載のフィラメント状カーボン。
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