JP2004058905A - タイヤ状態推定装置 - Google Patents

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JP2004058905A
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Hiroyoshi Kojima
小島 弘義
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Abstract

【課題】車両走行中にタイヤの変形状態を推定する新規な手法を提案する。
【解決手段】車両の走行中にその車両におけるタイヤの変形状態を推定する装置を、(a)タイヤの振動を反映し得るタイヤ振動反映信号をそのタイヤに関連して発生させる信号発生器としてのタイヤ前後力センサ10、タイヤ横力センサ12およびタイヤ上下力センサ14と、(b)その発生させられたタイヤ振動反映信号に基づき、タイヤの振動状態を表す振動状態データを取得し、その取得された振動状態データに基づき、タイヤの変形状態が異常であるか否かを判定する判定器20とを含むように構成する。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両におけるタイヤの状態を推定する技術に関するものであり、特に、車両走行中にタイヤの変形状態を推定する技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
車両走行中にその車両におけるタイヤの異常を発見することなどを目的としてタイヤの状態を推定する技術が既に存在する。推定されるタイヤの状態には、タイヤの変形状態がある。
【0003】
特開2002−103931号公報には、タイヤの変形と温度との関係についての言及がある。具体的には、「タイヤの空気圧が規定圧より低い状態で車両を走行させると、タイヤの変形が大きくなり、タイヤのゴム部が急激に発熱し、この状態で長時間走行するとそのゴム部が劣化してタイヤがバーストすることは良く知られている。」と記載されている。
【0004】
同公報には、さらに、その言及を前提にして提案された従来装置も記載されている。この従来装置においては、タイヤの空気室内に温度センサと発信器とが配置される一方、車体に受信器が配置され、タイヤの温度が温度センサにより直接に検出されてその結果が無線で車体側に送信される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
車両走行中にタイヤの変形状態を推定して、その推定結果を車両の運転者に告知して運転状態の修正を促したり、その推定結果に基づいて車両を自動的に制御することは、車両の安全性を向上させるために有効である。
【0006】
このような事情を背景に、本発明者は、タイヤの変形について研究を行い、その結果、タイヤの変形に伴ってタイヤが振動するという現象に着目すれば、タイヤの振動状態からタイヤの変形状態を推定可能であることに気が付いた。
【0007】
この知見に基づき、本発明は、車両走行中にタイヤの変形状態を推定する新規な手法を提案することを課題としてなされたものである。
【0008】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
本発明によって下記の各態様が得られる。各態様は、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、本明細書に記載の技術的特徴のいくつかおよびそれらの組合せのいくつかの理解を容易にするためであり、本明細書に記載の技術的特徴やそれらの組合せが以下の態様に限定されると解釈されるべきではない。
(1) ホイールに装着されたタイヤの内部に空気が圧力下に封入されて成る車輪を備えた車両に設けられ、その車両の走行中に前記タイヤの変形状態を推定する装置であって、
前記タイヤの振動を反映し得るタイヤ振動反映信号をそのタイヤに関連して発生させる信号発生器と、
その発生させられたタイヤ振動反映信号に基づき、前記タイヤの振動状態を表す振動状態データを取得し、その取得された振動状態データに基づき、前記タイヤの変形状態が異常であるか否かを判定する判定器と
を含むタイヤ状態推定装置。
【0009】
この装置によれば、タイヤの変形に伴ってタイヤが振動するという現象に着目することにより、タイヤの振動状態を表す振動状態データに基づき、タイヤの変形状態が異常であるか否かが判定される。
【0010】
本項に係る装置によってタイヤの変形状態が異常であると判定される状況の一例として、タイヤにスタンディングウェーブ現象が発生している状況が挙げられる。
(2) 前記判定器が、前記取得された振動状態データが予め定められた条件を満たす場合に、前記タイヤの変形状態が異常であると判定するものである(2)項に記載のタイヤ状態推定装置。
【0011】
本項における「予め定められた条件」は、振動状態データが取得されたタイヤのみを対象にして設定される絶対的な条件としたり、振動状態データが取得されたタイヤとは別のタイヤとの関係を考慮して設定される相対的な条件とすることが可能である。
(3) 前記車両が、前記車輪を複数備えており、
前記信号発生器が、それら複数の車輪に関連してそれぞれ前記タイヤ振動反映信号を発生させるものであり、
前記判定器が、その発生させられたタイヤ振動反映信号に基づいて取得された振動状態データが前記複数の車輪間で互いに実質的に一致しない場合に、それら複数の車輪の一部について前記タイヤの変形状態が異常であると判定するものである(1)または(2)項に記載のタイヤ状態推定装置。
【0012】
車両が複数の車輪を備えている場合に、車両走行中にそれら複数の車輪について一緒にタイヤの異常変形が発生することは稀であり、通常は、一部の車輪についてのみタイヤの異常変形が発生する。したがって、このような事実に注目すれば、取得された振動状態データが複数の車輪間で互いに実質的に一致しない場合には、一部の車輪に関してタイヤの異常変形が発生したことを合理的に予想できる。
【0013】
このような知見に基づき、本項に係る装置によれば、車両における複数の車輪に関してそれぞれ振動状態データが取得されるとともに、その取得された振動状態データがそれら複数の車輪間で互いに実質的に一致しない場合に、それら複数の車輪の一部についてタイヤの変形状態が異常であると判定される。
(4) 前記振動状態データが、前記タイヤ振動反映信号の振幅を表す振幅データと周波数を表す周波数データとの少なくとも一方を含む(1)ないし(3)項のいずれかに記載のタイヤ状態推定装置。
【0014】
タイヤ振動反映信号の振幅は、理想的には、タイヤ振動反映信号の上ピーク値と下ピーク値とをある時間帯に亘って監視し、それら両ピーク値の差として測定すべきものである。しかし、それに代えて、タイヤ振動反映信号の各瞬間値として測定することは可能である。
【0015】
タイヤ振動反映信号の振幅をそのタイヤ振動反映信号の各瞬間値として測定する測定手法は、タイヤ振動反映信号が振動しながら時間的に推移する際の中心値が「0」に固定される場合には妥当である。しかし、その中心値が変動する場合には、その測定手法は必ずしも妥当ではなく、この場合には、その中心値の変動を考慮してタイヤの変形状態を判定することが望ましい。
(5) 前記振動状態データが、前記タイヤ振動反映信号の特定周波数領域における振幅を表す振幅データを含む(1)ないし(4)項のいずれかに記載のタイヤ状態推定装置。
(6) 前記判定器が、前記取得された振動状態データと、前記タイヤについての空気圧と回転速度との少なくとも一方とに基づき、そのタイヤの変形状態が異常であるか否かを判定するものである(1)ないし(5)項のいずれかに記載のタイヤ状態推定装置。
【0016】
タイヤに異常変形が発生するとそのタイヤに振動が発生するが、その振動状態は常に同じであるとは限らず、タイヤの空気圧によって変化したり、タイヤの回転速度すなわち車速によって変化する傾向がある。そのため、タイヤの振動状態のみに着目してタイヤの変形状態を判定したのでは、その判定精度が低下する場合がある。
【0017】
このような知見に基づき、本項に係る装置においては、タイヤについて取得された振動状態データと、そのタイヤについての空気圧と回転速度との少なくとも一方とに基づき、そのタイヤの変形状態が異常であるか否かが判定される。
(7) 前記信号発生器が、前記タイヤに発生する振動と力と加速度との少なくとも一つを検出して前記タイヤ振動反映信号を発生させるセンサを含む(1)ないし(6)項のいずれかに記載のタイヤ状態推定装置。
(8) 前記センサが、前記車両のサスペンション装置とステアリング装置との少なくとも一方のためのセンサとしても使用される(7)項に記載のタイヤ状態推定装置。
【0018】
この装置によれば、タイヤの変形状態を判定するために専用のセンサを車両に搭載することが不要となり、よって、タイヤの変形状態を判定するという機能を車両に付加するのに伴う部品点数や装置コストの増加を抑制することが容易となる。
(9) 前記信号発生器が、前記タイヤ振動反映信号を、前記タイヤに振動が発生する向きに関連付けて発生させるものである(1)ないし(8)項のいずれかに記載のタイヤ状態推定装置。
【0019】
タイヤの異常変形に起因してタイヤに発生する振動が方向性を有する場合がある。すなわち、例えば、ある方向には振動が顕著に発生するが別の方向には顕著に発生しないという性質を有する場合があるのである。このような方向性を有効に利用すれば、タイヤの振動に基づいてタイヤの変形状態を判定する精度を向上させることが容易になる可能性がある。
【0020】
このような知見に基づき、本項に係る装置においては、タイヤ振動反映信号が、タイヤに振動が発生する向きに関連付けて発生させられる。
【0021】
本項における「振動が発生する向き」は例えば、車両を基準に設定される向き(例えば、前後方向、左右方向または上下方向)としたり、車輪を基準に設定される向き(例えば、進行方向すなわち前後方向、横方向または上下方向)とすることが可能である。
【0022】
例えば、前記信号発生器が、タイヤに関連して配置されてそのタイヤに発生するタイヤ発生力を検出する形式である場合には、例えば、タイヤに振動が発生する向きが、車輪すなわちタイヤを基準に設定される向き(例えば、進行方向すなわち前後方向、横方向または上下方向)とされる。
(10) 前記判定器が、前記取得された振動状態データに基づき、前記タイヤに振動が発生した向きと前記車両の進行方向とが互いに整合しない場合に、前記タイヤの変形状態が異常であると判定する手段を含む(9)項に記載のタイヤ状態推定装置。
【0023】
例えば、車両の直進走行中にタイヤに左右方向振動が顕著に発生した場合や、車両の旋回走行中にタイヤに前後方向振動が顕著に発生した場合には、そのような振動は車両の走行に起因するのではなくむしろ、タイヤの異常変形に起因する可能性が高いと考えることが妥当である場合がある。
【0024】
このような知見に基づき、本項に係る装置においては、取得された振動状態データに基づき、タイヤに振動が発生した向きと車両の進行方向とが互いに整合しない場合に、タイヤの変形状態が異常であると判定される。
(11) 前記手段が、前記車両の直進走行中に前記タイヤに左右方向または上下方向である特定方向において振動が発生した場合に、前記タイヤの変形状態が異常であると判定する手段を含む(10)項に記載のタイヤ状態推定装置。
(12) 前記手段が、前記車両の旋回走行中に前記タイヤに前後方向または上下方向である特定方向において振動が発生した場合に、前記タイヤの変形状態が異常であると判定する手段を含む(10)または(11)項に記載のタイヤ状態推定装置。
(13) 前記判定器が、
前記取得された振動状態データにより表されるデータ値としきい値との関係に基づき、前記タイヤの変形状態が異常であるか否かを判定する判定手段と、
その判定手段による判定に先立ち、前記関係を補正する補正手段と
を含む(1)ないし(12)項のいずれかに記載のタイヤ状態推定装置。
【0025】
前記(1)ないし(12)項のいずれかに記載のタイヤ状態推定装置は、取得された振動状態データにより表されるデータ値としきい値との関係に基づき、タイヤの変形状態が異常であるか否かを判定する態様で実施することが可能である。
【0026】
この態様においては、しきい値を固定値として予め設定することが可能である。しかし、タイヤが同じ変形状態を示す場合に必ずそのタイヤが同じ振動状態を示すとは限らない。
【0027】
そこで、本項に係る装置においては、取得された振動状態データにより表されるデータ値としきい値との関係に基づき、タイヤの変形状態が異常であるか否かを判定するのに先立ち、その関係が補正される。
【0028】
したがって、この装置によれば、その判定に先立ってデータ値としきい値との関係を補正しない場合より、その判定の精度を向上させることが容易となる。
【0029】
本項における「補正手段」は、データ値としきい値との関係の補正を、データ値を変更することによって行う態様で実施したり、しきい値を変更することによって行う態様で実施することが可能である。それら両方をいずれも変更する態様で実施することも可能である。
(14) 前記補正手段が、前記発生させられたタイヤ振動反映信号に混入した外乱に基づき、その外乱の影響が前記判定手段による判定に現れないように、前記関係を補正すべき補正量を決定する第1決定手段を含む(13)項に記載のタイヤ状態推定装置。
【0030】
本項における「外乱」としては、路面の凹凸状態、タイヤの凹凸状態、タイヤの回転速度の大小や時間的変化、車両の旋回状態、タイヤの駆動力または制動力等が考えられ得る。
【0031】
したがって、本項における「第1決定手段」は、例えば、路面の凹凸状態、タイヤの凹凸状態、タイヤの回転速度(または車速)、車両が旋回状態にあるか否か、タイヤに駆動力または制動力が作用しているか否か等に基づき、前記補正量を決定する態様で実施することが可能である。
(15) 前記データ値が、前記タイヤ振動反映信号の各瞬間値により定義され、
前記外乱が、前記タイヤ振動反映信号が振動しながら時間的に推移する際の中心値を変動させる原因となるものである(14)項に記載のタイヤ状態推定装置。
【0032】
タイヤ振動反映信号が振動しながら時間的に推移する際の中心値は、「0」である場合もあれば「0」ではない場合もある。「0」ではない場合の一例は、前記信号発生器が、タイヤに作用する前後力を検出してタイヤ振動反映信号を発生させる場合であって、かつ、車両の駆動装置または制動装置によってタイヤに前後力が積極的に発生させられる場合である。
【0033】
この例においては、タイヤの変形に起因した振動がタイヤに発生すると、そのときのタイヤ振動反映信号につき、中心値が積極的な前後力の大きさを表す一方、瞬間値のその中心値からの隔たりが、タイヤの変形に起因した振動の振幅の半値を表す。
【0034】
それにもかかわらず、前記(14)項における「データ値」をタイヤ振動反映信号の各瞬間値として定義する場合には、そのデータ値が、タイヤの変形に起因した振動の強さを正しく表さない可能性が存在し得ることとなる。
【0035】
したがって、上記の例においては、タイヤ振動反映信号のうち定常的な前後力の大きさを反映した成分を、タイヤの変形状態を精度よく判定することを阻害する成分であるという意味において、外乱とみなすことが可能である。
【0036】
このような事情を背景にして、本項に係る装置においては、データ値がタイヤ振動反映信号の各瞬間値により定義される場合において、外乱が、タイヤ振動反映信号が振動しながら時間的に推移する際の中心値を変動させる原因となるものとされている。
【0037】
本項における「外乱」の一例は、上述の前後力の如き、タイヤに定常的に作用させられる力であり、例えば、車両のステアリング装置による定常的な横力や、車両のサスペンション装置による定常的な上下力が該当する。
【0038】
また、「外乱」は、前記信号発生器が、タイヤに発生する力を検出してタイヤ振動反映信号を発生させる場合においては、タイヤに力を発生させるタイヤ発生力要因であってタイヤの変形を除くものを意味すると考えることが可能である。
(16) 前記信号発生器が、前記タイヤに作用する力を検出して前記タイヤ振動反映信号を発生させるものであり、
前記第1決定手段が、前記車両によって定常的に前記タイヤに作用させられる力に関する情報に基づき、前記補正量を決定する手段を含む(15)項に記載のタイヤ状態推定装置。
(17) 前記補正手段が、前記タイヤの空気圧と回転速度との少なくとも一方に基づき、前記関係を補正すべき補正量を決定する第2決定手段を含む(13)ないし(16)項のいずれかに記載のタイヤ状態推定装置。
【0039】
前述のように、タイヤに異常変形が発生するとそのタイヤに振動が発生するが、その振動状態は常に同じであるとは限らず、タイヤの空気圧によって変化したり、タイヤの回転速度すなわち車速によって変化する傾向がある。そのため、タイヤの振動状態のみに着目してタイヤの変形状態を判定したのでは、その判定精度が低下する場合がある。
【0040】
このような知見に基づき、本項に係る装置においては、タイヤの空気圧と回転速度との少なくとも一方に基づき、データ値としきい値との関係を補正すべき補正量が決定される。
(18) 前記補正手段が、前記中心値の変動に追従して前記しきい値を変更することにより、前記関係を補正するしきい値変更手段を含む(15)または(16)項に記載のタイヤ状態推定装置。
【0041】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のさらに具体的な実施の形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明する。
【0042】
図1には、本発明の第1実施形態に従うタイヤ状態推定装置のハードウエア構成がブロック図で概念的に示されている。このタイヤ状態推定装置は車両に搭載されている。
【0043】
その車両は、それの前後左右にそれぞれ車輪を備えている。図1において「FL」は左前輪、「FR」は右前輪、「RL」は左後輪、「RR」は右後輪をそれぞれ意味している。車輪の総数は4個である。
【0044】
各車輪は、よく知られているように、金属製のホイールに装着されたゴム製のタイヤの内部に空気が圧力下に封入されて構成されている。
【0045】
図1に示すように、このタイヤ状態推定装置は、各車輪ごとにタイヤ前後力センサ10、タイヤ横力センサ12およびタイヤ上下力センサ14を備えている。それらセンサ10,12,14はそれぞれ、同じ車輪のタイヤに作用する前後力Fx、横力Fyおよび上下力Fzを検出し、それらを表す信号を出力する。
【0046】
それら前後力Fx、横力Fyおよび上下力Fzを表す信号は、タイヤの変形に起因してそのタイヤに発生する振動を反映し得るから、タイヤ振動反映信号として機能する。さらに、タイヤ前後力センサ10、タイヤ横力センサ12およびタイヤ上下力センサ14はそれぞれ、タイヤ振動反映信号を車輪の前後方向、横方向および上下方向に関連付けて発生させる。
【0047】
それらセンサ10,12,14は、図1に示すように、判定器20に電気的に接続されている。この判定器20は、コンピュータ22を主体とし、それらセンサ10,12,14の出力信号に基づき、各輪ごとにタイヤの変形状態を判定する装置である。判定されるタイヤの変形状態の一例は、タイヤにスタンディングウェーブ現象が発生している状態である。
【0048】
図2には、コンピュータ22のハードウエア構成がブロック図で概念的に示されている。このコンピュータ22は、よく知られているように、CPU30(プロセッサの一例)とROM32(メモリの一例)とRAM34(メモリの一例)とがバス36により互いに接続されて構成されている。ROM32には、タイヤ状態推定プログラムを始めとし、各種プログラムが予め記憶されている。
【0049】
タイヤ状態推定プログラムは、各輪ごとに、センサ10,12,14から出力されたタイヤ振動反映信号に基づき、タイヤの振動状態を表す振動状態データとして、タイヤ振動反映信号の振幅を表す振幅データを取得し、その取得された振幅データに基づき、タイヤの変形状態が異常であるか否かを判定するために実行されるプログラムである。このタイヤ状態推定プログラムの詳細は後に説明する。
【0050】
図1に示すように、判定器20には、さらに、警報器50も接続されている。この警報器50は、各輪ごとに、タイヤに異常変形が発生していることを車両の運転者に視覚的または聴覚的に告知するために作動させられる。
【0051】
図3には、図2におけるタイヤ状態推定プログラムの内容がフローチャートで概念的に表されている。このタイヤ状態推定プログラムは、コンピュータ22の電源投入中、複数の車輪に関して順次実行され、かつ、そのような実行が繰り返される。
【0052】
このタイヤ状態推定プログラムの各回の実行時には、まず、ステップS1(以下、単に「S1」で表す。他のステップについても同じとする)において、今回の実行対象車輪に関し、タイヤ前後力センサ10によりタイヤ前後力Fxが検出される。次に、S2において、同じ車輪に関し、タイヤ横力センサ12によりタイヤ横力Fyが検出される。続いて、S3において、同じ車輪に関し、タイヤ上下力センサ14によりタイヤ上下力Fzが検出される。
【0053】
その後、S4において、タイヤ前後力Fxの検出値の絶対値(タイヤ振動反映信号の瞬間値であり、前記振動状態データの一例である振幅データに相当する)がしきい値Fxth(固定のしきい値)より大きいか否かが判定される。しきい値Fxthより大きくはない場合には、判定がNOとなり、S5に移行する。
【0054】
このS5においては、タイヤ横力Fyの検出値の絶対値(タイヤ振動反映信号の瞬間値であり、前記振動状態データの一例である振幅データに相当する)がしきい値Fyth(固定のしきい値)より大きいか否かが判定される。しきい値Fythより大きくはない場合には、判定がNOとなり、S6に移行する。
【0055】
このS6においては、タイヤ上下力Fzの検出値の絶対値(タイヤ振動反映信号の瞬間値であり、前記振動状態データの一例である振幅データに相当する)がしきい値Fzth(固定のしきい値)より大きいか否かが判定される。しきい値Fzthより大きくはない場合には、判定がNOとなり、S7に移行する。
【0056】
このS7においては、OFF状態で今回の実行対象車輪のタイヤに異常変形が発生していないことを示す一方、ON状態で今回の実行対象車輪のタイヤに異常変形が発生していることを示す判定フラグがOFFにされる。さらに、警報器50に対してそれをOFFにする信号が出力される。以上で、このタイヤ状態推定プログラムの一回の実行が終了する。
【0057】
以上、タイヤ前後力Fxとタイヤ横力Fyとタイヤ上下力Fzとのすべてに関し、タイヤ発生力Fi(i=x,y,z)の絶対値がしきい値Fith(i=x,y,z)より大きいという条件が成立しない場合を説明したが、それらタイヤ前後力Fxとタイヤ横力Fyとタイヤ上下力Fzとの少なくとも一つに関し、その条件が成立した場合には、S4ないしS6の判定のいずれかがYESとなり、S8に移行する。
【0058】
このS8においては、前記判定フラグがONにされるとともに、警報器50に対してそれをONにする信号が出力される。これにより、警報器50が作動させられ、今回の実行対象車輪のタイヤに異常変形が発生していることが運転者に告知される。以上で、このタイヤ状態推定プログラムの一回の実行が終了する。
【0059】
図4には、あるタイヤ発生力Fiの時間的推移の一例がグラフで表されている。この例においては、タイヤ発生力Fiが振動しながら時間tと共に推移し、その中心値は0に固定される一方、振幅が時間tと共に増加する。そして、ある時刻にタイヤ発生力Fiの絶対値(振幅の半値に等しい)がしきい値Fithより大きくなり、その結果、判定フラグの状態がOFFからONに切り換えられる。
【0060】
以上の説明から明らかなように、本実施形態においては、各輪ごとに、タイヤ前後力センサ10とタイヤ横力センサ12とタイヤ上下力14とが互いに共同して前記(1)項における「信号発生器」の一例を構成しているのである。
【0061】
なお付言すれば、前記特開2002−103931号公報には、前述のように、タイヤの空気室内の温度に着目することによってタイヤのバーストを予測する技術が記載されている。この技術の一具体例によれば、タイヤのリム部に温度検出・発信装置が取り付けられる。この温度検出・発信装置は、温度測定素子と発信素子とを含むように構成される。
【0062】
本発明者は、車両走行中におけるタイヤの回転状況すなわち負荷状況を治具上でシミュレートすることによってタイヤに異常変形を発生させるベンチテストを行った。この実験に際し、タイヤのバルブ(リム部近傍に位置する)内に温度センサを装着し、異常変形時のバルブ内温度を実測した。本発明者は、この実験を互いに異なるタイヤ複数の空気圧のもとに行った。
【0063】
この実験により、タイヤ空気圧の違いによって異常変形時のバルブ内温度にばらつきが発生することを発見した。そのばらつきの理由は、タイヤ空気圧の違いによってタイヤの振動モードが異なり、その結果、タイヤの各部位ごとの温度プロファイルが異なることにあると推測される。
【0064】
具体的には、タイヤ空気圧の違いにより、異常変形がタイヤのトレッド部において顕著に発生するものと異常変形がタイヤのサイドウォール部において顕著に発生するものとがある。このような違いは、異常変形がタイヤのトレッド部において発生する場合とサイドウォール部において発生する場合との間にバルブ内温度の上昇差を誘導する。
【0065】
タイヤの温度プロファイルのばらつきにもかからわらず、タイヤ温度に着目した異常変形の予測を正しく行うためには、例えば、タイヤの各部位ごとに温度センサを装着する対策が考えられる。タイヤのトレッド部とサイドウォール部とにそれぞれ温度センサを装着する対策が考えられるのであり、より望ましくは、それら部位にそれぞれ、それの周方向における複数の箇所に温度センサを装着すべきである。
【0066】
このような対策に対し、本実施形態によれば、タイヤ温度に直接に着目することなくタイヤの異常変形が判定されるが、タイヤ温度を直接にまたは間接に考慮する態様で本発明を実施することは可能である。
【0067】
さらに付言すれば、本実施形態においては、タイヤに作用する力を直接に検出するセンサによって前記信号発生器が構成されているが、その信号発生器を、タイヤに作用する加速度を検出する加速度センサにより構成したり、タイヤの変位を検出する変位センサにより構成したり、車輪速度を検出する車輪速度センサにより構成することによって本発明を実施することが可能である。
【0068】
次に、本発明の第2実施形態を説明する。ただし、本実施形態は第1実施形態とハードウエア構成が共通し、異なるのはソフトウエア構成のみであるため、ソフトウエア構成のみについて詳細に説明し、ハードウエア構成については説明を省略する。
【0069】
第1実施形態におけるタイヤ状態推定プログラムにおいては、各輪ごとに、タイヤ発生力Fiとしきい値Fithとが互いに比較されることにより、タイヤに異常変形が発生しているか否かが判定される。
【0070】
これに対し、本実施形態におけるタイヤ状態推定プログラムにおいては、同軸の左右輪間においてタイヤ発生力Fiが互いに比較され、タイヤ発生力Fiの左右輪間における差ΔFLRがしきい値ΔFLRthより大きい場合に、それら左右輪のいずれかに関してタイヤの異常変形が発生していると判定される。
【0071】
図5には、本実施形態におけるタイヤ状態推定プログラムの内容がフローチャートで概念的に表されている。このタイヤ状態推定プログラムは、左右前輪と左右後輪とを順次、今回の実行対象同軸2輪としつつ、繰返し実行される。
【0072】
このタイヤ状態推定プログラムの各回の実行時には、まず、S51において、今回の実行対象である同軸2輪のうちの左輪に関し、タイヤ発生力Fi(タイヤ前後力Fx,タイヤ横力Fyまたはタイヤ上下力Fz)が、対応するセンサ10,12,14の出力信号に基づき、タイヤ発生力Fとして検出される。
【0073】
次に、S52において、今回の実行対象である同軸2輪のうちの右輪に関し、タイヤ発生力Fi(タイヤ前後力Fx,タイヤ横力Fyまたはタイヤ上下力Fz)が、対応するセンサ10,12,14の出力信号に基づき、タイヤ発生力Fとして検出される。
【0074】
続いて、S53において、上記検出されたタイヤ発生力Fの絶対値から、上記検出されたタイヤ発生力Fの絶対値を引き算することにより、タイヤ発生力左右差ΔFLRが演算される。
【0075】
その後、S54において、その演算されたタイヤ発生力左右差ΔFLRの絶対値がしきい値ΔFLRthより大きいか否かが判定される。しきい値ΔFLRthより大きくはない場合には、判定がNOとなり、S55において、前記判定フラグがOFFにされた後に、警報器50に対してそれをOFFにする信号が出力される。以上で、このタイヤ状態推定プログラムの一回の実行が終了する。
【0076】
これに対し、前記演算されたタイヤ発生力左右差ΔFLRの絶対値がしきい値ΔFLRthより大きい場合には、S54の判定がYESとなり、S56において、前記判定フラグがONにされた後に、警報器50に対してそれをONにする信号が出力される。以上で、このタイヤ状態推定プログラムの一回の実行が終了する。
【0077】
以上の説明から明らかなように、本実施形態においては、判定器20が前記(3)項における「判定器」の一例を構成しているのである。
【0078】
次に、本発明の第3実施形態を説明する。ただし、本実施形態は第1実施形態とハードウエア構成が共通し、異なるのはソフトウエア構成のみであるため、ソフトウエア構成のみについて詳細に説明し、ハードウエア構成については説明を省略する。
【0079】
本実施形態におけるタイヤ状態推定プログラムは、各輪ごとに、タイヤ発生力Fiとしきい値Fithとを互いに比較することにより、タイヤに異常変形が発生しているか否かを判定する点で、第1実施形態におけるタイヤ状態推定プログラムと共通する。しかし、第1実施形態におけるタイヤ状態推定プログラムにおいては、しきい値Fithが固定値であるのに対し、本実施形態におけるタイヤ状態推定プログラムにおいては、可変値とされている。
【0080】
図6には、本実施形態におけるタイヤ状態推定プログラムの内容がフローチャートで概念的に表されている。このタイヤ状態推定プログラムは、複数の車輪を順次、今回の実行対象車輪としつつ、繰返し実行される。
【0081】
このタイヤ状態推定プログラムの各回の実行時には、まず、S101において、今回の実行対象車輪に関し、タイヤ発生力Fi(タイヤ前後力Fx,タイヤ横力Fyまたはタイヤ上下力Fz)が、対応するセンサ10,12,14の出力信号に基づいて検出される。
【0082】
次に、S102において、今回の実行対象車輪に関し、しきい値Fithの補正量ΔFが決定される。
【0083】
本実施形態においては、タイヤ発生力Fiの絶対値が前記タイヤ振動反映信号の振幅を表す振幅データとして使用される一方、タイヤ振動反映信号の中心値が、タイヤに力を発生させるタイヤ発生力要因であってタイヤの変形以外のものすなわち外乱によって変動する。そのタイヤ発生力要因には、車速、車両の操舵・旋回状態、車両の駆動・制動状態、車両のサスペンション装置の作動状態等が含まれ得る。
【0084】
そこで、このS102においては、そのタイヤ発生力要因に関する情報に基づき、タイヤ振動反映信号の中心値の変動が推定され、それと同じ量で、しきい値Fithを補正するための補正量ΔF(正の値)が決定される。
【0085】
その後、S103において、正のしきい値+Fithが、正の基準値+Fithに、上記決定された補正量ΔFを足し算することにより演算される。さらに、このS103においては、前記検出されたタイヤ発生力Fiが、その演算された正のしきい値+Fithより大きいか否かが判定される。今回は、正のしきい値+Fithより大きくはないと仮定すれば、判定がNOとなり、S104に移行する。
【0086】
このS104においては、負のしきい値−Fithが、負の基準値−Fithから、上記決定された補正量ΔFを引き算することにより演算される。さらに、このS104においては、前記検出されたタイヤ発生力Fiが、その演算された負のしきい値−Fithより小さいか否かが判定される。今回は、負のしきい値−Fithより小さくはないと仮定すれば、判定がNOとなり、S105に移行する。
【0087】
このS105においては、前記判定フラグがOFFにされた後に、警報器50に対してそれをOFFにする信号が出力される。以上で、このタイヤ状態推定プログラムの一回の実行が終了する。
【0088】
これに対し、今回の実行対象車輪に関し、検出されたタイヤ発生力Fiが正のしきい値+Fithより大きいという条件と、検出されたタイヤ発生力Fiが負のしきい値−Fithより小さいという条件とのいずれかが成立する場合には、S103とS104とのいずれかの判定がYESとなり、S106に移行する。
【0089】
このS106においては、前記判定フラグがONにされた後に、警報器50に対してそれをONにする信号が出力される。以上で、このタイヤ状態推定プログラムの一回の実行が終了する。
【0090】
図7には、あるタイヤ発生力Fiの時間的推移の一例がグラフで表されている。この例においては、タイヤ発生力Fiが振動しながら時間tと共に推移し、その中心値が時間tと共に変動するとともに、振幅が時間tと共に増加する。そして、ある時刻にタイヤ発生力Fiの絶対値が正のしきい値+Fithより大きくなり、その結果、判定フラグの状態がOFFからONに切り換えられる。
【0091】
以上の説明から明らかなように、本実施形態においては、判定器20が前記(6)項における「判定器」の一例を構成し、その判定器20のうち図6のS103およびS104を実行する部分が前記(13)項における「判定手段」の一例を構成し、S102を実行する部分が同項における「補正手段」の一例を構成しているのである。
【0092】
さらに、本実施形態においては、判定器20のうち図6のS102を実行する部分が前記(13)項における「第1決定手段」の一例を構成するとともに、前記(18)項における「しきい値変更手段」の一例を構成しているのである。
【0093】
次に、本発明の第4実施形態を説明する。ただし、本実施形態は第3実施形態とハードウエア構成が共通し、異なるのはソフトウエア構成のみであるため、ソフトウエア構成のみについて詳細に説明し、ハードウエア構成については説明を省略する。
【0094】
本実施形態におけるタイヤ状態推定プログラムは、しきい値Fithが可変値とされてそれが補正される点で、第1実施形態におけるタイヤ状態推定プログラムと共通する。しかし、第1実施形態におけるタイヤ状態推定プログラムにおいては、しきい値Fithの補正をタイヤ空気圧Pを考慮しないで行われるのに対し、本実施形態におけるタイヤ状態推定プログラムにおいては、タイヤ空気圧Pが考慮されて行われる。
【0095】
図8には、本実施形態におけるタイヤ状態推定プログラムの内容がフローチャートで概念的に表されている。このタイヤ状態推定プログラムは、複数の車輪を順次、今回の実行対象車輪としつつ、繰返し実行される。
【0096】
このタイヤ状態推定プログラムの各回の実行時には、まず、S151において、今回の実行対象車輪に関し、タイヤ発生力Fi(タイヤ前後力Fx,タイヤ横力Fyまたはタイヤ上下力Fz)が、対応するセンサ10,12,14の出力信号に基づいて検出される。
【0097】
次に、S152において、今回の実行対象車輪に関し、タイヤの空気圧Pが取得される。この空気圧Pは、圧力センサにより検出したり、タイヤの回転速度すなわち車輪速度を表す時系列データに基づいて検出されたタイヤの共振周波数や、タイヤの動荷重半径等に基づいて推定することによって取得することが可能である。
【0098】
続いて、S153において、今回の実行対象車輪に関し、その取得された空気圧Pに応じ、しきい値Fithの補正量ΔFが決定される。空気圧Pと補正量ΔFとの関係がROM32に記憶されており、その関係に従い、空気圧Pの取得値に対応する補正量ΔFが決定されるのである。
【0099】
本実施形態においては、このようにして補正量ΔFが決定されることにより、タイヤの振動モードが空気圧Pに応じて異なるという現象が存在するにもかかわらず、タイヤの振動状態からタイヤの変形状態を精度よく予測することが容易となる。
【0100】
その後、S154ないしS157が、図6におけるS103ないしS106と同様にして実行される。以上で、このタイヤ状態推定プログラムの一回の実行が終了する。
【0101】
以上の説明から明らかなように、本実施形態においては、判定器20が前記(6)項における「判定器」の一例を構成し、その判定器20のうち図8のS154およびS155を実行する部分が前記(13)項における「判定手段」の一例を構成し、S152およびS153を実行する部分が同項における「補正手段」の一例を構成しているのである。
【0102】
さらに、本実施形態においては、判定器20のうち図6のS152およびS153を実行する部分が前記(17)項における「第2決定手段」の一例を構成するとともに、前記(18)項における「しきい値変更手段」の一例を構成しているのである。
【0103】
次に、本発明の第5実施形態に従うタイヤ状態推定装置を説明する。
【0104】
このタイヤ状態推定装置は、図9に示すように、4つの車輪を備えた車両に搭載される。この車両は、左右前輪FL,FRを操舵する前輪ステアリング装置80を備えている。この前輪ステアリング装置80は、左右前輪の舵角を前輪舵角δとして検出する前輪舵角センサ82を備えている。
【0105】
この車両は、さらに、左右後輪RL,RRを操舵する後輪ステアリング装置84を備えている。この後輪ステアリング装置84は、左右後輪の舵角を後輪舵角δとして検出する後輪舵角センサ86を備えている。
【0106】
図10には、このタイヤ状態推定装置のハードウエア構成がブロック図で概念的に表されている。このタイヤ状態推定装置は、前輪舵角センサ82と後輪舵角センサ86とを備えている。すなわち、本実施形態においては、それらセンサ82,84が車両のステアリング装置とタイヤ状態推定装置とに共用されるようになっているのである。
【0107】
前輪舵角センサ82および後輪舵角センサ86はそれぞれ、前輪舵角δおよび後輪舵角δを表す信号を出力する。各信号は、タイヤの変形に起因してそのタイヤに発生する振動を反映し得るから、タイヤ振動反映信号として機能する。さらに、前輪舵角センサ82および後輪舵角センサ86はいずれも、タイヤ振動反映信号を車両の横方向に関連付けて発生させる。
【0108】
それらセンサ82,86は、図10に示すように、判定器90に電気的に接続されている。この判定器90は、コンピュータ92を主体とし、それらセンサ82,86の出力信号に基づき、前側同軸2輪(左右前輪)と後側同軸2輪(左右後輪)とについてそれぞれ、タイヤの変形状態を判定する装置である。判定されるタイヤの変形状態の一例は、タイヤにスタンディングウェーブ現象が発生している状態である。
【0109】
コンピュータ92は、前記コンピュータ22と同様に、CPU(プロセッサの一例)とROM(メモリの一例)とRAM(メモリの一例)とがバスにより互いに接続されて構成されている。ROMには、タイヤ状態推定プログラムを始めとし、各種プログラムが予め記憶されている。
【0110】
図10に示すように、判定器90には、さらに、警報器100も接続されている。この警報器100は、前側同軸2輪と後側同軸2輪とについてそれぞれ、同軸2輪の少なくとも一方のタイヤに異常変形が発生していることを車両の運転者に視覚的または聴覚的に告知するために作動させられる。
【0111】
図11には、本実施形態におけるタイヤ状態推定プログラムの内容がフローチャートで概念的に表されている。このタイヤ状態推定プログラムは、コンピュータ92の電源投入中、繰返し実行される。
【0112】
このタイヤ状態推定プログラムの各回の実行時には、まず、S201において、前輪舵角センサ82の時系列的な出力信号(前輪タイヤの振動を反映した前輪舵角δの振動成分を表す信号を含む)に基づき、前輪舵角δの振幅が検出される。次に、S202において、同様にして、後輪舵角センサ86の時系列的な出力信号(後輪タイヤの振動を反映した後輪舵角δの振動成分を表す信号を含む)に基づき、後輪舵角δの振幅が検出される。
【0113】
続いて、S203において、その検出された前輪舵角δの振幅がしきい値δth(固定値または可変値)より大きいか否かが判定される。今回は、しきい値δthより大きくはないと仮定すれば、判定がNOとなり、S204に移行する。
【0114】
このS204においては、前記検出された後輪舵角δの振幅がしきい値δth(固定値または可変値)より大きいか否かが判定される。今回は、しきい値δthより大きくはないと仮定すれば、判定がNOとなり、S205に移行する。
【0115】
このS205においては、前記判定フラグがOFFにされた後に、警報器100に対してそれをOFFにする信号が出力される。以上で、このタイヤ状態推定プログラムの一回の実行が終了する。
【0116】
これに対し、前輪舵角δの振幅がしきい値δthより大きいという条件と、後輪舵角δの振幅がしきい値δthより大きいという条件との少なくとも一方が成立した場合には、S203とS204との判定のいずれかがYESとなり、S206に移行する。
【0117】
このS206においては、前記判定フラグがONにされた後に、警報器100に対してそれをONにする信号が出力される。以上で、このタイヤ状態推定プログラムの一回の実行が終了する。
【0118】
以上の説明から明らかなように、本実施形態においては、前輪舵角センサ82と後輪舵角センサ86とがそれぞれ前記(1)項における「信号発生器」の一例を構成するとともに、前記(8)項における「センサ」の一例を構成しているのである。
【0119】
以上、本発明の実施形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、前記[課題を解決するための手段および発明の効果]の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に従うタイヤ状態推定装置のハードウエア構成を示すブロック図である。
【図2】図1におけるコンピュータのハードウエア構成を示すブロック図である。
【図3】図2におけるタイヤ状態推定プログラムの内容を概念的に表すフローチャートである。
【図4】図3のタイヤ状態推定プログラムの一実行例を説明するためのグラフである。
【図5】本発明の第2実施形態に従うタイヤ状態推定装置のコンピュータにより実行されるタイヤ状態推定プログラムの内容を概念的に表すフローチャートである。
【図6】本発明の第3実施形態に従うタイヤ状態推定装置のコンピュータにより実行されるタイヤ状態推定プログラムの内容を概念的に表すフローチャートである。
【図7】図6のタイヤ状態推定プログラムの一実行例を説明するためのグラフである。
【図8】本発明の第4実施形態に従うタイヤ状態推定装置のコンピュータにより実行されるタイヤ状態推定プログラムの内容を概念的に表すフローチャートである。
【図9】本発明の第5実施形態に従うタイヤ状態推定装置が搭載された車両のステアリング装置を示す平面図である。
【図10】第5実施形態に従うタイヤ状態推定装置のハードウエア構成を示すブロック図である。
【図11】第5実施形態に従うタイヤ状態推定装置ののコンピュータにより実行されるタイヤ状態推定プログラムの内容を概念的に表すフローチャートである。
【符号の説明】
10 タイヤ前後力センサ
12 タイヤ横力センサ
14 タイヤ上下力センサ
20,90 判定器
22,92 コンピュータ
82 前輪舵角センサ
86 後輪舵角センサ

Claims (10)

  1. ホイールに装着されたタイヤの内部に空気が圧力下に封入されて成る車輪を備えた車両に設けられ、その車両の走行中に前記タイヤの変形状態を推定する装置であって、
    前記タイヤの振動を反映し得るタイヤ振動反映信号をそのタイヤに関連して発生させる信号発生器と、
    その発生させられたタイヤ振動反映信号に基づき、前記タイヤの振動状態を表す振動状態データを取得し、その取得された振動状態データに基づき、前記タイヤの変形状態が異常であるか否かを判定する判定器と
    を含むタイヤ状態推定装置。
  2. 前記車両が、前記車輪を複数備えており、
    前記信号発生器が、それら複数の車輪に関連してそれぞれ前記タイヤ振動反映信号を発生させるものであり、
    前記判定器が、その発生させられたタイヤ振動反映信号に基づいて取得された振動状態データが前記複数の車輪間で互いに実質的に一致しない場合に、それら複数の車輪の一部について前記タイヤの変形状態が異常であると判定するものである請求項1に記載のタイヤ状態推定装置。
  3. 前記振動状態データが、前記タイヤ振動反映信号の振幅を表す振幅データと周波数を表す周波数データとの少なくとも一方を含む請求項1または2に記載のタイヤ状態推定装置。
  4. 前記判定器が、前記取得された振動状態データと、前記タイヤについての空気圧と回転速度との少なくとも一方とに基づき、そのタイヤの変形状態が異常であるか否かを判定するものである請求項1ないし3のいずれかに記載のタイヤ状態推定装置。
  5. 前記信号発生器が、前記タイヤに発生する振動と力と加速度との少なくとも一つを検出して前記タイヤ振動反映信号を発生させるセンサを含む請求項1ないし4のいずれかに記載のタイヤ状態推定装置。
  6. 前記センサが、前記車両のサスペンション装置とステアリング装置との少なくとも一方のためのセンサとしても使用される請求項5に記載のタイヤ状態推定装置。
  7. 前記信号発生器が、前記タイヤ振動反映信号を、前記タイヤに振動が発生する向きに関連付けて発生させるものである請求項1ないし6のいずれかに記載のタイヤ状態推定装置。
  8. 前記判定器が、
    前記取得された振動状態データにより表されるデータ値としきい値との関係に基づき、前記タイヤの変形状態が異常であるか否かを判定する判定手段と、
    その判定手段による判定に先立ち、前記関係を補正する補正手段と
    を含む請求項1ないし7のいずれかに記載のタイヤ状態推定装置。
  9. 前記補正手段が、前記発生させられたタイヤ振動反映信号に混入した外乱に基づき、その外乱の影響が前記判定手段による判定に現れないように、前記関係を補正すべき補正量を決定する第1決定手段を含む請求項8に記載のタイヤ状態推定装置。
  10. 前記補正手段が、前記タイヤの空気圧と回転速度との少なくとも一方に基づき、前記関係を補正すべき補正量を決定する第2決定手段を含む請求項8または9に記載のタイヤ状態推定装置。
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