JP2004058740A - 車両用内装部品の衝撃吸収構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】車両のピラーを覆う内装部品に乗員の頭部が当接したときに確実かつ効果的に衝突エネルギーを吸収すること。
【解決手段】車両のフロントピラー3の車室に面する内面を内装部品たるピラーガーニッシュ1で覆い、乗員の頭部と対向するピラーガーニッシュ1の湾曲形状の後半部14とフロントピラー3の内面との間の間隙に衝撃吸収部材2を設け、かつピラーガーニッシュ1には、衝撃吸収部材2設置部位の裏面に縦方向に溝状の凹部10を形成して板厚を薄くし、ピラーガーニッシュ1に乗員の頭部が当接したときにピラーガーニッシュ1の衝撃吸収部材2設置部位が容易に変形し押込まれて衝撃吸収部材2が潰れ変形し、確実に衝突エネルギーが吸収される構造とした。
【選択図】 図1
【解決手段】車両のフロントピラー3の車室に面する内面を内装部品たるピラーガーニッシュ1で覆い、乗員の頭部と対向するピラーガーニッシュ1の湾曲形状の後半部14とフロントピラー3の内面との間の間隙に衝撃吸収部材2を設け、かつピラーガーニッシュ1には、衝撃吸収部材2設置部位の裏面に縦方向に溝状の凹部10を形成して板厚を薄くし、ピラーガーニッシュ1に乗員の頭部が当接したときにピラーガーニッシュ1の衝撃吸収部材2設置部位が容易に変形し押込まれて衝撃吸収部材2が潰れ変形し、確実に衝突エネルギーが吸収される構造とした。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は車両の内装部品、特に車両のピラーの車室内側を被覆する内装部品の衝撃吸収構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動車等の車両においては、車室はその見栄えをよくする等のために車室の部位に応じて各種の内装部品で被覆されており、ピラーは内装部品たるピラーガーニッシュで被覆されている。そしてピラーは特に、車両衝突時などにおいて乗員の頭部が当りやすいことから、ピラーガーニッシュに衝撃吸収部材が付設されている(特開平7−228201号、特開平10−338095号)。
【0003】
図4はこの種のピラーガーニッシュの代表例を示すもので、ピラーガーニッシュ1Aにより被覆される車両のフロントピラー3は、閉断面を形成するインナパネル31およびアウタパネル32と、閉断面内を横切る補強パネル33とからなり、これら3枚のパネル31,32,33は両端のフランジで接合されている。そして車室に面するインナパネル31は、ピラーガーニッシュ1Aで被覆されている。
【0004】
ピラーガーニッシュ1Aは合成樹脂板からなる横断面ほぼC字形で、その幅方向ほぼ中央部の裏面側に設けた図略のクリップ等の係止手段によりインナパネル31に固定せしめてある。ピラーガーニッシュ1Aの一方の端縁11は、フロントピラー3の車両側面側の接合フランジ34に覆嵌したオープニングトリム5の車内側の側面に当接しており、他方の端縁12は、フロントピラー3の車両前面側の接合フランジ35を覆い、フロントガラス4の側端部内面とほぼ衝合状態で対向している。
【0005】
ピラーガーニッシュ1Aとフロントピラー3のインナパネル31との間の間隙には、車両衝突時などにおいて乗員の頭部が当接する可能性が最も大きい位置に、衝撃吸収部材2Aが設けてある。衝撃吸収部材2Aとしては、合成樹脂からなる縦リブ21と横リブ22の複数が格子状に組合された構造のものが多く用いられている。
【0006】
車両衝突時などにおいて、前席乗員の頭部7が裏面に衝撃吸収部材2Aを設けたピラーガーニッシュ1Aの凸状湾曲面に白矢印A方向から当接してその荷重が大きいと、ピラーガーニッシュ1A全体は両端縁11,12がそれぞれ矢印B,C方向に移動して広がった形となって衝撃吸収部材2A設置部が押込まれてインナパネル31に近づき、衝撃吸収部材2Aが潰れ変形して衝突エネルギーが吸収される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、ピラーガーニッシュ1Aは、端縁11,12の組付け状態や衝突方向によっては端縁11,12が開方向にほとんど変位しないことがあり、この場合、全体の断面形状が変形せず、衝撃吸収部材2Aによるエネルギー吸収作用が充分なされないおそれがある。
そこで本発明は、ピラーを覆う内装部品であるピラーガーニッシュに乗員が衝突したときに衝撃吸収部材による衝突エネルギー吸収作用が確実かつ効果的になされる内装部品の衝撃吸収構造を実現することを課題としてなされたものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、車室に面するピラーの内面と、該内面を覆う内装部品との間に衝撃吸収部材を設けて、衝撃吸収部材の変形で内装部品に加えられた衝撃を吸収するようになした車両用内装部品の衝撃吸収構造において、上記衝撃吸収部材と接する上記内装部品の内面に縦方向に溝状の凹部を形成して、上記内装部品の衝撃吸収部材設置部位での板厚を他の部位におけるよりも薄くした(請求項1)。
【0009】
ピラーを覆う内装部品に乗員の頭部が当接したとき、内装部品には凹部を形成した衝撃吸収部材設置部位で応力集中が生じ、該部位は変形しつつ押込まれ、衝撃吸収部材が圧縮方向に潰れて衝突エネルギーを吸収する。
【0010】
本発明は車両のフロントピラーを覆う内装部品に適用して好適であり、内装部品は、車室の前席着座者の頭部と対向する幅方向の後半部を車室後方に向け断面ほぼU字状に膨出する湾曲面に形成して、湾曲面の突出頂面部分とフロントピラーの内面との間隙幅を内装部品の他の部位とフロントピラーの内面との間隙幅よりも大きく設定し、上記頂面部分に縦方向に上記溝状の凹部を形成し、内装部品の湾曲面をなす上記後半部とフロントピラーの内面との間隙に、該間隙を満たす高さの上記衝撃吸収部材を設ける(請求項2)。
【0011】
前席着座者の頭部が当接する可能性の大きい内装部品の後半部におけるフロントピラー内面との間隙幅を広くして、この間隙に衝撃吸収部材を設けたから、衝突荷重に対する衝撃吸収部材の変形量が大きく、強い当接持にも充分に衝突エネルギーを吸収することができる。また内装部品の前半部をフロントピラーの内面にできるだけ近づけることで、車室前部の視界を広く確保できる。
【0012】
上記衝撃吸収部材を縦リブおよび横リブを格子状に組合せた構造とし、内装部品および上記衝撃吸収部材を合成樹脂で一体成形する(請求項3)。
【0013】
これにより、内装部品および衝撃吸収部材の生産性および組付け作業性が向上する。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明を車両のフロントピラーに適用した実施形態を、図1および図2により説明する。
【0015】
フロントピラー3は従来周知の構造で、インナパネル31,アウタパネル32および補強パネル33からなり、これら3枚のパネル31,32,33はそれそれの両端のフランジで接合されている。車両側面側の接合フランジ34には、断面ほぼU字形のオープニングトリム5が覆嵌せしめてある。車両前面側の接合フランジ35はフロントガラス4の側端部の後方に位置している。車室に面するインナパネル31はほぼ平板状で、車両後方側が車外方向へ若干開く形で設置してある。左右のフロントピラー3の構造は実質的に同一で、以下、右側(運転席側)のピラーおよび内装部品について説明する。
【0016】
車室に面するピラー3の内面を形成するインナパネル31には、これを覆うように内装部品たるピラーガーニッシュ1が設置してある。ピラーガーニッシュ1は、合成樹脂、例えばポリエチレン,ポリプロピレン等からなる板体で、全体がインナパネル31に沿う縦長の矩形状をなし、インナパネル31と正対する幅方向の前半部13は平板状ないしは若干車室側に膨出する曲面状で、後半部14は、インナパネル31よりも後方へ断面ほぼU字形に膨出する曲面をなしている。そしてピラーガーニッシュ1は、その後半部14の突出頂面部分140が、インナパネル31の後端と前席の乗員の頭部とを結ぶ線のほぼ線上に位置し、かつ、インナパネル31の後端と上記突出頂面部分140との間の間隙幅がインナパネル31の一般面とピラーガーニッシュ1の前半部13との間の間隙幅よりも広くなるように設置され、後端縁11がオープニングトリム5に当接し、前端縁12がフロントガラス4の側端部内面にほぼ衝合状態で対向している。
【0017】
ピラーガーニッシュ1の後半部14の突出頂面部分140の裏面側には、縦方向(上下方向)に溝状の凹部10が形成してある。凹部10は、車両衝突時に運転席の乗員が前傾して頭部がピラーガーニッシュ1の後半部14に当接する可能性のある範囲、即ち、ピラーガーニッシュ1の上端よりも若干下方位置から縦方向中間位置まで延びている。ピラーガーニッシュ1の板厚は2mm〜3mm程度で、凹部10の深さは上記板厚の1/2程度としてある。
【0018】
ピラーガーニッシュ1の後半部14の裏面側には、上記凹部10を形成した縦方向の範囲に、ピラーガーニッシュ1と一体に射出成形した合成樹脂の衝撃吸収部材2が設けてある。
【0019】
衝撃吸収部材2は、ピラーガーニッシュ1の突出頂面部分140に沿って上下方向に延びる縦リブ21と、縦リブ21と格子状に直交する複数の横リブ22とからなり、これらリブ21,22の板厚は1mm程度としてある。各横リブ22の上縁が同一の高さで交差する縦リブ21の上端の高さは、ピラー3のインナパネル31の後端と近接する高さとしてあり、インナパネル31の後端に溶接されたL字状の受け金具36に当接している。上記凹部10は、各横リブ22により長さ方向に所定の間隔で仕切られて、縦リブ21の根元に沿って形成してある。凹部10の形状は、図例のように角形の他、ゆるやかなV字形、円弧形等とすることができる。
【0020】
衝撃吸収部材2を一体に備えたピラーガーニッシュ1は、その前半部13をフロントピラー3のインナパネル31と近接対向させ、後半部14の頂面部分140とインナパネル31の後端部との間隙を広く設け、この広くした間隙が衝撃吸収部材2で充填された状態で、裏面に設けたクリップ等の図略の係止手段でインナパネル31に係止せしめてある。
【0021】
上記のように構成したピラー3まわりの構造において、車両正面衝突等の急減速時、前席乗員が前傾してその頭部7がピラーガーニッシュ1の湾曲後半部14の突出頂面部分140付近に図1(B)に示す矢印A方向から当接し、その荷重が大きいと、ピラーガーニッシュ1では凹部10形成部分で応力が集中し、図3に示すように、凹部10形成部分が容易に変形することで突出頂面部分140全体が断面形状を変形させつつピラー3のインナパネル31の後端部に向けて押込まれる。これにより衝撃吸収部材2は圧縮荷重を受けて潰れ変形し、この過程で衝撃エネルギーを吸収する。
【0022】
従って上記の構造によれば、ピラーガーニッシュ1に対する当接位置が後半部14の突出頂面部分140の中心からづれた位置であっても、また当接方向に差があっても、また当接時にピラーガーニッシュ1の両端縁11,12が開き方向に変位できなくても、突出頂面部分140は変形して押込まれるから、その押込みで衝撃吸収部材2が潰れ変形して衝突エネルギーを吸収し、乗員の被害を最小限にくい止めることができる。
【0023】
また、ピラーガーニッシュ1の後半部14は後方へU字状の膨出する形状とされているが、乗員の頭部当接時に後半部14は容易に変形し、かつ衝撃吸収部材2も潰れ変形するから、頭部が大きな衝撃を受けることはない。かつピラーガーニッシュ1の後半部14を膨出せしめることで上記後半部14とフロントピラー3の内面との間に設ける衝撃吸収部材2の高さを高くして収縮変形量を大きく設定することができるから、衝突荷重が大きくても衝突エネルギーを充分に吸収することができる。
【0024】
一方、衝撃吸収部材2を設けないピラーガーニッシュ1の前半部13はピラー3の内面と近接対向させることで、車室前部の視界を広く確保することができる。
【0025】
また、ピラーガーニッシュ1と衝撃吸収部材2とを一体成形することで、衝撃吸収部材2を付設するピラーガーニッシュの生産性を向上させ、かつ取付作業性をよくすることができる。
【0026】
なお、衝撃吸収部材としては、リブ構造体に限らず、ピラーガーニッシュ1の押込みにより潰れ変形してピラーガーニッシュ1に対して加えられた衝突エネルギーを吸収する他の部材ないしは構造体を用いることができる。またピラーガーニッシュ1に縦方向に形成する凹部10は1本に限らず、複数本、例えばピラーガーニッシュ1の後半部14の突出頂面部分140の幅方向両側に1本づつ形成してもよい。
【0027】
【発明の効果】
本発明によれば、車両衝突時などにおいて乗員の頭部がピラーを覆うピラーガーニッシュに当接したときに、確実に当接部位を変形させ、変形に伴なって裏面側に設けた衝撃吸収部材により衝突エネルギーを吸収することで乗員の頭部に与える衝撃を緩和することができる。
【0028】
本発明は車両のフロントピラーにかぎらずセンタピラーにも適用でき、センタピラーの室内面を覆うピラーガーニッシュの幅方向中央の突出頂面部の裏面に縦方向に凹部を形成するとともに、上記頂面部と、これと対向するセンタピラーの内面との間に衝撃吸収部材を設けることで、車両の側面衝突時に乗員の頭部がセンタピラーの頂面部に所定荷重以上で当接した際、衝撃吸収部材を確実に潰れ変形させ、乗員に与えられる衝撃を緩和することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の車両用内装部品の衝撃吸収構造の実施形態を示すもので、図1(A)は内装部品の斜視図、図1(B)は内装部品を設置したピラーの図1(A)のIB−IB線に沿う横断面図である。
【図2】内装部品に設けた衝撃吸収部材の斜視図である。
【図3】図1(B)に示す内装部品に対して衝撃が加えられた際の内装部品および衝撃吸収部材の変形状態を示す図である。
【図4】従来の車両用内装部材の衝撃吸収構造を示すもので、図4(A)は内装部品の斜視図、図4(B)は内装部品を設置したピラーの図4(A)のIVB−IVB線に沿う横断面図である。
【符号の説明】
1,1A 内装部品
13 前半部
14 後半部
140 頂面部分
10 凹部
2,2A 衝撃吸収部材
21 縦リブ
22 横リブ
3 ピラー
31 インナパネル
32 アウタパネル
4 フロントガラス
7 乗員の頭部
【発明の属する技術分野】
本発明は車両の内装部品、特に車両のピラーの車室内側を被覆する内装部品の衝撃吸収構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動車等の車両においては、車室はその見栄えをよくする等のために車室の部位に応じて各種の内装部品で被覆されており、ピラーは内装部品たるピラーガーニッシュで被覆されている。そしてピラーは特に、車両衝突時などにおいて乗員の頭部が当りやすいことから、ピラーガーニッシュに衝撃吸収部材が付設されている(特開平7−228201号、特開平10−338095号)。
【0003】
図4はこの種のピラーガーニッシュの代表例を示すもので、ピラーガーニッシュ1Aにより被覆される車両のフロントピラー3は、閉断面を形成するインナパネル31およびアウタパネル32と、閉断面内を横切る補強パネル33とからなり、これら3枚のパネル31,32,33は両端のフランジで接合されている。そして車室に面するインナパネル31は、ピラーガーニッシュ1Aで被覆されている。
【0004】
ピラーガーニッシュ1Aは合成樹脂板からなる横断面ほぼC字形で、その幅方向ほぼ中央部の裏面側に設けた図略のクリップ等の係止手段によりインナパネル31に固定せしめてある。ピラーガーニッシュ1Aの一方の端縁11は、フロントピラー3の車両側面側の接合フランジ34に覆嵌したオープニングトリム5の車内側の側面に当接しており、他方の端縁12は、フロントピラー3の車両前面側の接合フランジ35を覆い、フロントガラス4の側端部内面とほぼ衝合状態で対向している。
【0005】
ピラーガーニッシュ1Aとフロントピラー3のインナパネル31との間の間隙には、車両衝突時などにおいて乗員の頭部が当接する可能性が最も大きい位置に、衝撃吸収部材2Aが設けてある。衝撃吸収部材2Aとしては、合成樹脂からなる縦リブ21と横リブ22の複数が格子状に組合された構造のものが多く用いられている。
【0006】
車両衝突時などにおいて、前席乗員の頭部7が裏面に衝撃吸収部材2Aを設けたピラーガーニッシュ1Aの凸状湾曲面に白矢印A方向から当接してその荷重が大きいと、ピラーガーニッシュ1A全体は両端縁11,12がそれぞれ矢印B,C方向に移動して広がった形となって衝撃吸収部材2A設置部が押込まれてインナパネル31に近づき、衝撃吸収部材2Aが潰れ変形して衝突エネルギーが吸収される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、ピラーガーニッシュ1Aは、端縁11,12の組付け状態や衝突方向によっては端縁11,12が開方向にほとんど変位しないことがあり、この場合、全体の断面形状が変形せず、衝撃吸収部材2Aによるエネルギー吸収作用が充分なされないおそれがある。
そこで本発明は、ピラーを覆う内装部品であるピラーガーニッシュに乗員が衝突したときに衝撃吸収部材による衝突エネルギー吸収作用が確実かつ効果的になされる内装部品の衝撃吸収構造を実現することを課題としてなされたものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、車室に面するピラーの内面と、該内面を覆う内装部品との間に衝撃吸収部材を設けて、衝撃吸収部材の変形で内装部品に加えられた衝撃を吸収するようになした車両用内装部品の衝撃吸収構造において、上記衝撃吸収部材と接する上記内装部品の内面に縦方向に溝状の凹部を形成して、上記内装部品の衝撃吸収部材設置部位での板厚を他の部位におけるよりも薄くした(請求項1)。
【0009】
ピラーを覆う内装部品に乗員の頭部が当接したとき、内装部品には凹部を形成した衝撃吸収部材設置部位で応力集中が生じ、該部位は変形しつつ押込まれ、衝撃吸収部材が圧縮方向に潰れて衝突エネルギーを吸収する。
【0010】
本発明は車両のフロントピラーを覆う内装部品に適用して好適であり、内装部品は、車室の前席着座者の頭部と対向する幅方向の後半部を車室後方に向け断面ほぼU字状に膨出する湾曲面に形成して、湾曲面の突出頂面部分とフロントピラーの内面との間隙幅を内装部品の他の部位とフロントピラーの内面との間隙幅よりも大きく設定し、上記頂面部分に縦方向に上記溝状の凹部を形成し、内装部品の湾曲面をなす上記後半部とフロントピラーの内面との間隙に、該間隙を満たす高さの上記衝撃吸収部材を設ける(請求項2)。
【0011】
前席着座者の頭部が当接する可能性の大きい内装部品の後半部におけるフロントピラー内面との間隙幅を広くして、この間隙に衝撃吸収部材を設けたから、衝突荷重に対する衝撃吸収部材の変形量が大きく、強い当接持にも充分に衝突エネルギーを吸収することができる。また内装部品の前半部をフロントピラーの内面にできるだけ近づけることで、車室前部の視界を広く確保できる。
【0012】
上記衝撃吸収部材を縦リブおよび横リブを格子状に組合せた構造とし、内装部品および上記衝撃吸収部材を合成樹脂で一体成形する(請求項3)。
【0013】
これにより、内装部品および衝撃吸収部材の生産性および組付け作業性が向上する。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明を車両のフロントピラーに適用した実施形態を、図1および図2により説明する。
【0015】
フロントピラー3は従来周知の構造で、インナパネル31,アウタパネル32および補強パネル33からなり、これら3枚のパネル31,32,33はそれそれの両端のフランジで接合されている。車両側面側の接合フランジ34には、断面ほぼU字形のオープニングトリム5が覆嵌せしめてある。車両前面側の接合フランジ35はフロントガラス4の側端部の後方に位置している。車室に面するインナパネル31はほぼ平板状で、車両後方側が車外方向へ若干開く形で設置してある。左右のフロントピラー3の構造は実質的に同一で、以下、右側(運転席側)のピラーおよび内装部品について説明する。
【0016】
車室に面するピラー3の内面を形成するインナパネル31には、これを覆うように内装部品たるピラーガーニッシュ1が設置してある。ピラーガーニッシュ1は、合成樹脂、例えばポリエチレン,ポリプロピレン等からなる板体で、全体がインナパネル31に沿う縦長の矩形状をなし、インナパネル31と正対する幅方向の前半部13は平板状ないしは若干車室側に膨出する曲面状で、後半部14は、インナパネル31よりも後方へ断面ほぼU字形に膨出する曲面をなしている。そしてピラーガーニッシュ1は、その後半部14の突出頂面部分140が、インナパネル31の後端と前席の乗員の頭部とを結ぶ線のほぼ線上に位置し、かつ、インナパネル31の後端と上記突出頂面部分140との間の間隙幅がインナパネル31の一般面とピラーガーニッシュ1の前半部13との間の間隙幅よりも広くなるように設置され、後端縁11がオープニングトリム5に当接し、前端縁12がフロントガラス4の側端部内面にほぼ衝合状態で対向している。
【0017】
ピラーガーニッシュ1の後半部14の突出頂面部分140の裏面側には、縦方向(上下方向)に溝状の凹部10が形成してある。凹部10は、車両衝突時に運転席の乗員が前傾して頭部がピラーガーニッシュ1の後半部14に当接する可能性のある範囲、即ち、ピラーガーニッシュ1の上端よりも若干下方位置から縦方向中間位置まで延びている。ピラーガーニッシュ1の板厚は2mm〜3mm程度で、凹部10の深さは上記板厚の1/2程度としてある。
【0018】
ピラーガーニッシュ1の後半部14の裏面側には、上記凹部10を形成した縦方向の範囲に、ピラーガーニッシュ1と一体に射出成形した合成樹脂の衝撃吸収部材2が設けてある。
【0019】
衝撃吸収部材2は、ピラーガーニッシュ1の突出頂面部分140に沿って上下方向に延びる縦リブ21と、縦リブ21と格子状に直交する複数の横リブ22とからなり、これらリブ21,22の板厚は1mm程度としてある。各横リブ22の上縁が同一の高さで交差する縦リブ21の上端の高さは、ピラー3のインナパネル31の後端と近接する高さとしてあり、インナパネル31の後端に溶接されたL字状の受け金具36に当接している。上記凹部10は、各横リブ22により長さ方向に所定の間隔で仕切られて、縦リブ21の根元に沿って形成してある。凹部10の形状は、図例のように角形の他、ゆるやかなV字形、円弧形等とすることができる。
【0020】
衝撃吸収部材2を一体に備えたピラーガーニッシュ1は、その前半部13をフロントピラー3のインナパネル31と近接対向させ、後半部14の頂面部分140とインナパネル31の後端部との間隙を広く設け、この広くした間隙が衝撃吸収部材2で充填された状態で、裏面に設けたクリップ等の図略の係止手段でインナパネル31に係止せしめてある。
【0021】
上記のように構成したピラー3まわりの構造において、車両正面衝突等の急減速時、前席乗員が前傾してその頭部7がピラーガーニッシュ1の湾曲後半部14の突出頂面部分140付近に図1(B)に示す矢印A方向から当接し、その荷重が大きいと、ピラーガーニッシュ1では凹部10形成部分で応力が集中し、図3に示すように、凹部10形成部分が容易に変形することで突出頂面部分140全体が断面形状を変形させつつピラー3のインナパネル31の後端部に向けて押込まれる。これにより衝撃吸収部材2は圧縮荷重を受けて潰れ変形し、この過程で衝撃エネルギーを吸収する。
【0022】
従って上記の構造によれば、ピラーガーニッシュ1に対する当接位置が後半部14の突出頂面部分140の中心からづれた位置であっても、また当接方向に差があっても、また当接時にピラーガーニッシュ1の両端縁11,12が開き方向に変位できなくても、突出頂面部分140は変形して押込まれるから、その押込みで衝撃吸収部材2が潰れ変形して衝突エネルギーを吸収し、乗員の被害を最小限にくい止めることができる。
【0023】
また、ピラーガーニッシュ1の後半部14は後方へU字状の膨出する形状とされているが、乗員の頭部当接時に後半部14は容易に変形し、かつ衝撃吸収部材2も潰れ変形するから、頭部が大きな衝撃を受けることはない。かつピラーガーニッシュ1の後半部14を膨出せしめることで上記後半部14とフロントピラー3の内面との間に設ける衝撃吸収部材2の高さを高くして収縮変形量を大きく設定することができるから、衝突荷重が大きくても衝突エネルギーを充分に吸収することができる。
【0024】
一方、衝撃吸収部材2を設けないピラーガーニッシュ1の前半部13はピラー3の内面と近接対向させることで、車室前部の視界を広く確保することができる。
【0025】
また、ピラーガーニッシュ1と衝撃吸収部材2とを一体成形することで、衝撃吸収部材2を付設するピラーガーニッシュの生産性を向上させ、かつ取付作業性をよくすることができる。
【0026】
なお、衝撃吸収部材としては、リブ構造体に限らず、ピラーガーニッシュ1の押込みにより潰れ変形してピラーガーニッシュ1に対して加えられた衝突エネルギーを吸収する他の部材ないしは構造体を用いることができる。またピラーガーニッシュ1に縦方向に形成する凹部10は1本に限らず、複数本、例えばピラーガーニッシュ1の後半部14の突出頂面部分140の幅方向両側に1本づつ形成してもよい。
【0027】
【発明の効果】
本発明によれば、車両衝突時などにおいて乗員の頭部がピラーを覆うピラーガーニッシュに当接したときに、確実に当接部位を変形させ、変形に伴なって裏面側に設けた衝撃吸収部材により衝突エネルギーを吸収することで乗員の頭部に与える衝撃を緩和することができる。
【0028】
本発明は車両のフロントピラーにかぎらずセンタピラーにも適用でき、センタピラーの室内面を覆うピラーガーニッシュの幅方向中央の突出頂面部の裏面に縦方向に凹部を形成するとともに、上記頂面部と、これと対向するセンタピラーの内面との間に衝撃吸収部材を設けることで、車両の側面衝突時に乗員の頭部がセンタピラーの頂面部に所定荷重以上で当接した際、衝撃吸収部材を確実に潰れ変形させ、乗員に与えられる衝撃を緩和することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の車両用内装部品の衝撃吸収構造の実施形態を示すもので、図1(A)は内装部品の斜視図、図1(B)は内装部品を設置したピラーの図1(A)のIB−IB線に沿う横断面図である。
【図2】内装部品に設けた衝撃吸収部材の斜視図である。
【図3】図1(B)に示す内装部品に対して衝撃が加えられた際の内装部品および衝撃吸収部材の変形状態を示す図である。
【図4】従来の車両用内装部材の衝撃吸収構造を示すもので、図4(A)は内装部品の斜視図、図4(B)は内装部品を設置したピラーの図4(A)のIVB−IVB線に沿う横断面図である。
【符号の説明】
1,1A 内装部品
13 前半部
14 後半部
140 頂面部分
10 凹部
2,2A 衝撃吸収部材
21 縦リブ
22 横リブ
3 ピラー
31 インナパネル
32 アウタパネル
4 フロントガラス
7 乗員の頭部
Claims (3)
- 車室に面するピラーの内面と、該内面を覆う内装部品との間に衝撃吸収部材を設けて、衝撃吸収部材の変形で内装部品に加えられた衝撃を吸収するようになした車両用内装部品の衝撃吸収構造において、上記衝撃吸収部材と接する上記内装部品の内面に縦方向に溝状の凹部を形成して、上記内装部品の衝撃吸収部材設置部位での板厚を他の部位におけるよりも薄くしたことを特徴とする車両用内装部品の衝撃吸収構造。
- 上記ピラーは車両のフロントピラーであり、該フロントピラーの内面を覆う上記内装部品は、車室の前席着座者の頭部と対向する幅方向の後半部を車室後方に向け断面ほぼU字状に膨出する湾曲面に形成して、湾曲面の突出頂面部分とフロントピラーの内面との間隙幅を内装部品の他の部位とフロントピラーの内面との間隙幅よりも大きく設定し、上記頂面部分に縦方向に上記溝状の凹部を形成し、内装部品の湾曲面をなす上記後半部とフロントピラーの内面との間隙に、該間隙を満たす高さの上記衝撃吸収部材を設けた請求項1記載の車両用内装部品の衝撃吸収構造。
- 上記内装部品および上記衝撃吸収部材は合成樹脂からなり、上記衝撃吸収部材は縦リブと横リブの複数が格子状に組合わされた構造を有し、上記内装部品および衝撃吸収部材を一体成形体とした請求項1または請求項2記載の車両用内装部品の衝撃吸収構造。
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JP2002217440A JP2004058740A (ja) | 2002-07-26 | 2002-07-26 | 車両用内装部品の衝撃吸収構造 |
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US10703316B2 (en) | 2017-11-20 | 2020-07-07 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | Vehicle pillar structure |
-
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- 2002-07-26 JP JP2002217440A patent/JP2004058740A/ja active Pending
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