JP2004052805A - 自動変速機用クラッチ - Google Patents

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Abstract

【課題】前進6速・後退1速の変速を行う自動変速機の、連続する3段以上の変速段で常に締結状態にある自動変速機用クラッチにおいて、各変速段に応じた締結力を実現する。
【解決手段】本発明の自動変速機用クラッチにおいては、クラッチドラムとクラッチピストンとの間にさらに小径のピストンを配置し、クラッチドラムとクラッチピストンとの間に第一の油圧室を、クラッチピストンと小径のピストンとの間に第二の油圧室をそれぞれ形成している。第一および第二の油圧室の一方あるいは双方に油圧を供給することにより一定の油圧で受圧面積を変化させ、各変速段に応じた締結力を発生させる。
【選択図】    図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の自動変速機における、その変速動作に関わるクラッチに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
通常、自動変速機は、少なくとも一つの遊星歯車組と、一つ以上の締結要素(クラッチ、ブレーキ)とを具え、遊星歯車組による減速・増速動作と共に、予め定めた締結要素の締結・解放動作の組み合わせ(締結論理)によって各変速段を実現している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
予め定めた締結論理に従って各締結要素を締結・解放して各変速段を実現する場合、締結要素の中には連続する複数の変速段に亘って締結状態となるものがある。この場合、締結要素に加わるトルクは変速段で大きく変化し、例えば、低速段に比べて中・高速段の場合に締結要素に加わるトルクが低速段の半分程度となる。
【0004】
変速動作により締結要素の締結を行う際には、各変速段におけるトルクに応じた締結力(油圧)が必要である。そのため、最もトルクが高くなる低速段において必要となる締結力を設定しなければならない。ところが、高速段において、例えば5速から4速へシフトダウンする場合のように、低トルクの状態であるにもかかわらず1,2速の場合のような高いトルクに応じた締結力で締結を行った場合、締結動作に伴うショックが生じて搭乗者に不快感を与えることとなり、また、高い締結力を得るためには高い油圧が必要となるため、オイルポンプやエンジンの負荷を増加させることにもなる。
【0005】
そのため、各変速段に応じた油圧をそれぞれ設定する必要が生じるが、油圧系や制御方法が複雑になると言う問題がある。そこで、締結要素の受圧面積を変えることにより締結力を変化させる方法が考案されており、例えば特開平11−201187号にその方法が開示されている。
【0006】
この方法では、クラッチピストンを大径のピストンと小径のピストンを並べて配置したタンデムピストンとし、小径ピストンを大径ピストンよりもクラッチドラムの底壁に近い側に配置している。それによって、各ピストンに対してそれぞれ油圧を加えることにより受圧面積を変化させ、それに応じた締結力を発生させている。
【0007】
しかしながら、この方法においては、締結力を変化させるためには一方のピストンに加わっている油圧を低下させ、他方のピストンへ加わる油圧を上昇させる、いわゆる油圧の掛け換えが必要となる。この油圧の掛け換えに際しては、クラッチのすべりやショックが発生するおそれがあるため、掛け換えのタイミングを正確に制御しなければならない。
【0008】
本発明は、クラッチピストンの配置を工夫することにより、上記の問題点を解消した自動変速機用クラッチを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この目的のため本発明による自動変速機用クラッチは、請求項1に記載のごとく、
回転軸上に同軸に配置したクラッチドラムと、該クラッチドラム内部のクラッチピストンと、摩擦要素とを具え、
前記クラッチドラムと前記クラッチピストンとの間に形成した第一油圧室とを具えるクラッチであって、
前記クラッチピストンに前記クラッチドラムの底面と対向する段部を形成し、
該段部内に小径ピストンを嵌装して配置し、
前記クラッチピストン段部と前記小径のピストンとの間に第二油圧室を形成したことを特徴とするものである。
【0010】
【発明の効果】
本発明の自動変速機用クラッチにおいては、クラッチドラムとクラッチピストンとの間にさらに小径のピストンを配置し、クラッチドラムとクラッチピストンとの間に第一の油圧室を、クラッチピストンと小径のピストンとの間に第二の油圧室をそれぞれ形成している。
【0011】
そのため、第一および第二油圧室の一方あるいは双方に油圧を供給することにより一定の油圧で受圧面積を変化させ、トルクに応じた締結力、すなわち各変速段に応じた締結力を発生させることが、油圧の掛け替えを行うこと無く実現可能となる。その結果、オイルポンプやエンジンの負荷を低減させ、クラッチのすべりやショックの発生をも効果的に抑制することができるようになる。
【0012】
また、上記の自動変速機用クラッチの好適な実施形態においては、請求項2に記載のように、小径ピストンをクラッチドラムに対して固定することとしても良い。
【0013】
それによって、クラッチドラムとクラッチピストンとの間に形成した油圧室と、クラッチピストンと小径ピストンとの間に形成した第二油圧室のいずれか一方および双方同時に油圧を加えることが可能となり、前述した本発明の効果をより高めることが可能となる。また、小径ピストンが両側の各油圧室内の油圧の変動等によって微少移動することを防止することもできる。
【0014】
なお、上記の自動変速機用クラッチの構成に当たっては、請求項3に記載のごとく、
前記クラッチピストンと軸線方向前後に配置した第二クラッチピストンと、該第二クラッチピストンにより締結および解放される第二摩擦要素とを具える第二クラッチをさらに具えることとしても良く、
さらに請求項4に記載のごとく、
前記クラッチのピストンと前記第二クラッチのピストンとの間に、前記クラッチピストンに対する二箇所のキャンセル室を形成しても良い。
【0015】
すなわち、二つのクラッチを並べて配置した、よりコンパクトな形状とした自動変速機において、かかる構成とすることにより、遠心油圧を効果的に抑制し得うると共に、上述した効果を得ることが可能となる。
【0016】
加えて、上記の自動変速機用クラッチの構成に当たっては、請求項5に記載のごとく、
前記第二クラッチピストン内側にキャンセルプレートを配置すると共にこれらピストンとキャンセルプレートとの間に第一リターンスプリングを介在させて該第二クラッチのキャンセル室を形成し、
前記第二クラッチピストン底部に貫通孔を形成し、該貫通孔を貫通させて前記キャンセルプレートと前記クラッチピストンとの間に第二リターンスプリングを介在させ、
それによって前記クラッチピストンに前記第一リターンスプリングおよび第二リターンスプリングを共に作用させるようにしても良い。
【0017】
かかる構成とすることにより、大径のクラッチピストンおよび小径のクラッチピストンそれぞれに対して、それらの受圧面積に応じたリターンスプリングのばね力が得られることとなり、上述した効果をさらに高めることが可能となる。
【0018】
また、本発明による自動変速機用クラッチの構成に当たっては、請求項6に記載のごとく、
回転軸上に同軸に配置したクラッチドラムと、該クラッチドラムに内包した複数の摩擦要素とを具え、
該複数の摩擦要素の内少なくとも第一摩擦要素と第二摩擦要素とを有し、該第一摩擦要素を押圧する第一クラッチピストンと、該第二摩擦要素を押圧する第二クラッチピストンを有すると共に、該第一クラッチピストンを押圧するための第一油圧室と、該第二クラッチピストンを押圧するための第二油圧室とで構成し、前記第一クラッチピストンは前記第二クラッチピストンを内包し、前記クラッチドラムの底面からクラッチ開口部に向けて前記第一クラッチピストン、前記第二クラッチピストンの順に配列し、
前記第一クラッチピストンの内周側に段部を形成し、該段部と前記クラッチドラムとの間に前記第一油圧室と区画させた第三油圧室を形成しても良い。
【0019】
このような構成とすることによっても、自動変速機自体をよりコンパクトにすることができ、また第一および第三の油圧室の一方あるいは双方に油圧を供給することにより一定の油圧で受圧面積を変化させ、トルクに応じた締結力、すなわち各変速段に応じた締結力を発生させることが、油圧の掛け替えを行うこと無く実現可能となる。その結果、オイルポンプやエンジンの負荷を低減させ、クラッチのすべりやショックの発生をも効果的に抑制することができるようになる。
【0020】
上記の自動変速機用クラッチの構成に当たっては、請求項7に記載のごとく、前記第一摩擦要素が、連続する変速段において常に締結状態にあることとしても良く、
また請求項8に記載のごとく、
前記第二摩擦要素が、連続する変速段において常に締結状態にあることとしても良い。
【0021】
上述した構成とすることにより、異なる締結力で摩擦要素を締結することが可能となり、その結果、各変速段毎に異なるトルクに応じた締結力で摩擦要素の締結ができるようになり、連続する変速段においても常に摩擦要素を締結状態にすることを可能としている。
【0022】
また、本発明による自動変速機用クラッチの構成に当たっては、請求項9に記載のごとく、
前記第一クラッチピストンは、前記第一油圧室の油圧と前記第三油圧室の油圧とを加算した油圧で前記第一摩擦要素を押圧し、
前記第三油圧室の容量が前記第一油圧室の容量よりも小さくすることとしても良い。
【0023】
かかる構成により、摩擦要素の締結動作のための締結力を変化させることができ、変速段毎に異なるトルクに応じた締結力を実現することが可能となる。
【0024】
さらに、本発明による自動変速機用クラッチの構成に当たっては、請求項10に記載のごとく、
前記第二油圧室が前記第三油圧室に対するキャンセル室をも兼ねることとしても良い。
【0025】
かかる構成によっても、クラッチの小型化と、それによる自動変速機自体の小型化を実現することが可能となる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について説明する。
【0027】
図1は本発明の実施形態に係るクラッチを具える自動変速機の構成を示す断面図であり、この自動変速機もまた前進6段・後退1段の変速動作を行うことができるものである。
【0028】
図示の自動変速機においては、入力軸1に近い変速機ケース3の前端開口を、ポンプハウジング5およびポンプカバー6よりなるポンプケースにより塞ぎ、このポンプケースに入力軸1を貫通して軸承すると共に、入力軸1の突出端にトルクコンバータT/Cを介して動力源であるエンジンENGを駆動結合する。なお上記のポンプケース内には、詳細な図示を明瞭のため省略したギヤポンプ等のポンプ要素を内蔵してオイルポンプを構成し、これにポンプ駆動軸を介しエンジンに結合してオイルポンプを常にエンジンによって駆動している。
【0029】
入力軸1から遠い中間軸4の後端は、変速機ケース3の後端における端蓋7に回転自在に支持する。変速機ケース3の軸線方向中程に中間壁8を設け、この中間壁8に出力歯車2を回転自在に支持し、中間壁8の中心孔に中空軸9を介して入力軸1および中間軸4の突合せ嵌合部を回転自在に支持する。
【0030】
ポンプハウジング5およびポンプカバー6よりなるオイルポンプケースと、中間壁8との間に画成された前部空所内に第1遊星歯車組G1を配置すると共に、この第1遊星歯車組G1を包囲するように第3クラッチC3を配置する。第1遊星歯車組G1は、反力受けとして機能するようサンギヤS1をポンプカバー6の後方へ突出する中心ボス部6aにセレーション嵌着して常時回転不能とし、また回転入力メンバであるリングギヤR1を、入力軸1から径方向外方へ延在するフランジ1aに結合する。さらに回転出力メンバであるキャリアPC1は、中空軸9から径方向外方へ延在するフランジ10の外周に結合する。
【0031】
入力軸1に近い中間軸4の前端から径方向外方へ延在させてリングギヤR1を包囲するようクラッチドラム11を設け、該クラッチドラム11の内周およびリングギヤR1の外周にそれぞれスプライン嵌合したクラッチプレートの交互配置になるクラッチパック12を設け、これらで直結クラッチとしての第3クラッチC3を構成し、このクラッチC3を減速用遊星歯車組G1の外周に配置する。ここでキャリアPC1は、第3クラッチC3のクラッチハブ32に兼用する。なお第3クラッチC3の作動ピストンであるクラッチピストン13は、ポンプハウジング5およびポンプカバー6よりなるオイルポンプケースから遠い第1遊星歯車組G1の側に配置し、そのためクラッチピストン13は遊星歯車組G1と対面するクラッチドラム11の端壁および中間軸4の前端に嵌合する。
【0032】
中間壁8および端蓋7間に画成された後部空所内には、第2遊星歯車組G2および第3遊星歯車組G3と、第1クラッチC1および第2クラッチC2と、第1ブレーキB1および第2ブレーキB2とを配置する。第2遊星歯車組G2および第3遊星歯車組G3は中間軸4上に配置するが、第2遊星歯車組G2を第3遊星歯車組G3よりも入力軸1に近い側に位置させる。第2遊星歯車組G2のサンギヤS2および第3遊星歯車組G3のサンギヤS3を第1連結メンバM1により一体化すると共に中間軸4上に回転自在に支持する。中空軸9の中ほどから径方向外方へ延在し、その後軸線方向後方へ延在して第2リングギヤR2の外周に至るクラッチドラム15を設け、該クラッチドラム15の内周およびリングギヤR2の外周にそれぞれスプライン嵌合したクラッチプレートの交互配置になるクラッチパック16を設け、これらで第1クラッチC1を構成する。
【0033】
上記のようにして第2遊星歯車組G2の外周に配置した第1クラッチC1よりも入力軸1に近い側に第2クラッチC2を配置するため、第2サンギヤS2の入力軸寄りの外縁に径方向外方へ延在するクラッチハブ17を固設し、該クラッチハブ17の外周とクラッチドラム15の内周にそれぞれスプライン嵌合したクラッチプレートの交互配置になるクラッチパック18を設け、これらによって第2クラッチC2を構成する。なお、第1クラッチC1のクラッチピストン19および第2クラッチC2のクラッチピストン20は、クラッチピストン19の内側でクラッチピストン20が摺動するダブルピストンとして第1クラッチC1から遠い第2クラッチC2の側にまとめて配置し、それによってクラッチピストン20を第2遊星歯車組G2と対面するクラッチドラム15の端壁に嵌合する。これらクラッチピストン19,20は、中間壁8および中空軸9に穿った個々の油路21(図では1個の油路のみが見えている)からの作動油圧を受けてストロークすることで第1クラッチC1および第2クラッチC2を個別に締結し得るものとする。
【0034】
第3遊星歯車組G3は前記したごとくダブルサンギヤ型遊星歯車組とするが、リングギヤR3の歯幅をピニオンP3の歯幅よりも小さくしてリングギヤR3を第2遊星歯車組G2に近い端部においてピニオンP3に噛合するよう位置させ、リングギヤR3を第2遊星歯車組G2のキャリアPC2に第2連結メンバM2で結合する時、この連結メンバM2を短くし得るようにしている。上記リングギヤR3の外周には、第1クラッチC1および第2クラッチC2のクラッチドラム15を包囲するように配置した筒状連結メンバ22の一端を結合し、該筒状連結メンバ22の他端は出力歯車2に結合させる。
【0035】
そして第3遊星歯車組G3のキャリアPC3に、このキャリアPC3から、前記したごとくサンギヤS3,S4間を経て径方向内方へ延在するセンターメンバCMを設けると共に、ピニオンP3の軸線方向中程位置においてリングギヤR3の端面に沿うよう径方向外方へ延在するアウターメンバOMを設ける。センターメンバCMは中間軸4に駆動結合し、これによりキャリアPC3をセンターメンバCMおよび中間軸4を経て第3クラッチC3のクラッチドラム11に結合する。アウターメンバOMには、その外周に結合してブレーキハブ23を設け、このブレーキハブ23を筒状連結メンバ22の外周に配置して中間壁8に接近する前方へ延在させる。ブレーキハブ23の前端における外周および変速機ケース3の内周にスプライン嵌合したブレーキプレートの交互配置になるブレーキパック24を設け、これにより第1ブレーキB1を構成し、この第1ブレーキB1を、ブレーキパック24の後方において変速機ケース3内に嵌合したブレーキピストン25により適宜締結可能にする。
【0036】
ブレーキハブ23の後端に被さるようブレーキハブ26を設け、該ブレーキハブ26の後端壁26aを第3遊星歯車組G3の背後に沿うよう円周方向内方に延在させ、このブレーキハブ後端壁26aの内周を第3遊星歯車組G3のサンギヤS4に結合する。ブレーキハブ26の外周および変速機ケース3の内周にスプライン嵌合したブレーキプレートの交互配置になるブレーキパック27を設け、これにより第2ブレーキB2を構成し、この第2ブレーキB2を、ブレーキパック27の後方において変速機ケース3内に嵌合したブレーキピストン28により適宜締結可能にする。以上により、第1ブレーキB1および第2ブレーキB2はそれぞれ、第1クラッチC1および第2クラッチC2の外周に配置されると共に、第2ブレーキB2よりも第1ブレーキB1が入力軸1(第1遊星歯車組G1)の近くに配置されるが、これら第1ブレーキB1および第2ブレーキB2は第3遊星歯車組G3よりも第2遊星歯車組G2寄りに配置する。
【0037】
なお、第1ブレーキB1を構成するブレーキハブ23の前端と変速機ケース3との間にはワンウェイクラッチOWCを設け、第1ブレーキB1の解放状態でこのワンウェイクラッチOWCによる第3キャリアPC3の一方向回転阻止で前進第1速状態が得られるようにする。但しこのワンウェイクラッチOWCによる第1速では、エンジンブレーキ時における第3キャリアPC3の逆方向回転をワンウェイクラッチOWCが許容するためエンジンブレーキが得られず、エンジンブレーキ要求時は第1ブレーキB1を締結して第3キャリアPC3の当該逆方向回転を阻止するものとしている。
【0038】
図2は、この自動変速機において前進6段、後進1段の変速動作を行う際の締結要素の締結と選択変速段との関係を示すものある。締結表を示すものである。この自動変速機においては、表に白丸で示す締結要素を締結することにより、各変速段を実現している。図より、第1クラッチC1が第1速〜第4速で常に締結状態となっていることがわかる。
【0039】
図3は、図1に示した自動変速機の一部を拡大して示すものであり、特に第1クラッチC1および第二クラッチC2の部分を示すものである。
【0040】
第1クラッチC1のクラッチピストン19の半径方向中央部には、クラッチドラム15の底面と対面する段部30を形成し、この段部30には、クラッチドラム15と第1クラッチC1のクラッチピストン19とを区画するように第3ピストン31を嵌装して設けている。第3ピストン31の外縁部にはシール32を設け、それによって第3ピストン31の軸線方向前後で段部30が区画される。また第3ピストン31はクラッチドラム15にスナップリング33によって固定されており、クラッチドラム15に対して不動となっている。
【0041】
かかる配置により、クラッチドラム15とクラッチピストン19および第3ピストン31との間には第1クラッチC1の第1油圧室34が形成され、一方クラッチピストン19と第3ピストン31との間には第2油圧室35が形成される。また第1油圧室34には油路21と連通する油路36を通して作動油が供給され、一方第2油圧室35には同様に油路21と連通する油路37を通して作動油が供給される。
【0042】
次に第1クラッチC1の動作について説明する。まず第1油圧室34の側へ作動油を供給して油圧をかけた場合、クラッチピストン19の受圧面積が大きくなるので高い締結力が得られる。したがって、高トルク状態に応じた第1クラッチC1の締結ができることとなる。
【0043】
一方、第2油圧室35の側へ作動油を供給して油圧をかけた場合、クラッチピストン19の受圧面積は小さいため締結力も小さくなる。したがって、5速から4速への変速のような低トルク状態に応じた第1クラッチC1の締結が可能となる。
【0044】
さらに第1油圧室34および第2油圧室35の双方に油圧をかけることにより、クラッチピストン19底面のほぼ全体に油圧が加わることとなり、例えば1速状態で必要な、より高い締結力が得られることとなる。
【0045】
この結果、第1クラッチC1において、変速段に応じて変化するトルクに対応した締結力を得ることが可能となる。また、例えば、最初に第2油圧室35へ油圧を加えて小さい締結力で第1クラッチC1の締結を行い、次いで第1油圧室34へ油圧を加えて、より大きな締結力を発生させるようにすることにより、第1クラッチC1締結時のショック発生を低減させることが可能となる。
【0046】
また、上述した構成によれば、締結力を変化させるために、それまで油圧が加わっていた側の油圧室の油圧を低下させ、他方の油圧室の油圧を上昇させる、油圧の掛け換えを行う必要が無くなり、第1クラッチC1の滑りやショックの発生を抑制することができる。
【0047】
さて、上述した自動変速機においては、第1クラッチC1のクラッチピストン19と第2クラッチC2のクラッチピストン20との間に、第1キャンセル室38および第2キャンセル室39をそれぞれ形成している。第1キャンセル室38は、第1油圧室34に対するキャンセル室として働き、一方第2キャンセル室39は、第2クラッチC2の油圧室として働くと共に第2油圧室35に対するキャンセル室として働く。このような構成としたことにより、各油圧室における遠心油圧を効果的に抑制することが可能となる。
【0048】
また、上述した自動変速機においては、第2クラッチC2のクラッチピストン20の内側にキャンセルプレート40を設け、クラッチピストン20とキャンセルプレート40との間に第1リターンスプリング41を介在させると共に第3キャンセル室42を形成している。この第3キャンセル室42は、第2油圧室39に対するキャンセル室として働くと共に、第1キャンセル室38への作動油の供給も行うものである。
【0049】
さらに、クラッチピストン20底部には貫通孔20aを形成し、この貫通孔に第2リターンスプリング43を貫通させ、第1クラッチC1のピストン19とキャンセルプレート40の間に介在させている。その結果、ピストン19には第1リターンスプリング41および第2リターンスプリング43双方のばね力が作用することとなる。
【0050】
本発明による自動変速機における第1クラッチC1は、基本的にクラッチピストンの受圧面積を変化させることにより締結力を変化させるものである。特に第1油圧室34および第2油圧室35のいずれか一方へ油圧を供給することで、各油圧室に対応する受圧面積に応じた締結力が得られると共に、これら油圧室の双方へ油圧を供給することで、両者に対応する締結力を加算した力を得ることができる。
【0051】
また、第2クラッチC2を第1クラッチC1の内側に配置し、第2クラッチC2の受圧面積を第1クラッチC1の受圧面積よりも小さくしたことにより、これらクラッチC1,C2を同時に締結した時に、変速動作に関わる遊星歯車組(すなわち第2遊星歯車組G2および第3遊星歯車組G3)のリングギヤとサンギヤのトルク比に応じたクラッチトルクが得られる。
【0052】
さらに、第2クラッチC2の受圧面積が小さいことから、クラッチピストン20の半径方向外側に、遠心キャンセル油圧をクラッチピストン19に作用させるための油路としての貫通孔20aを形成することが可能となっている。
【0053】
加えて、この貫通孔20aにクラッチピストン19に対する第2リターンスプリング43を貫通させて設けたことにより、第2クラッチC2のクラッチピストン20に対する第1リターンスプリング41のばね力と、第2リターンスプリング43のばね力を合算した、より強いばね力をクラッチピストン19に作用させることを可能としている。
【0054】
図2に示したように第1クラッチC1は第1速〜第4速で常に締結状態となっているが、締結動作に際しては各変速段におけるトルクに応じた締結力が必要であり、特に低速段(1,2速)では比較的大きな締結力が必要となる。そのため、これら二つのリターンスプリングのばね力を合算した力をクラッチピストン19に作用させることで、低速段における大きな締結力に対応できるようにしている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るクラッチを具える自動変速機の構成を示す断面図である。
【図2】図1の自動変速機における締結要素の締結と選択変速段との関係を示す締結論理説明図である。
【図3】図1の自動変速機の一部、特に第1クラッチと第2クラッチの部分を拡大して示す断面図である。
【符号の説明】
G1,G2,G3 遊星歯車組
S1,S2,S3,S4 サンギヤ
P1,P2,P3 ピニオンギヤ
PC1,PC2,PC3 キャリア
R1,R2,R3 リングギヤ
C1,C2,C3 クラッチ
B1,B2 ブレーキ
M1,M2 連結メンバ
CM センターメンバ
OM アウターメンバ
OWC ワンウェイクラッチ
T/C トルクコンバータ
ENG エンジン
1 入力軸
2 出力歯車
3 変速機ケース
4 中間軸
5 ポンプハウジング
6 ポンプカバー
7 端蓋
8 中間壁
9 中空軸
10 フランジ
11,15 クラッチドラム
12,16,18 クラッチパック
13,19,20 クラッチピストン
14,21,36,37 油路
17 クラッチハブ
21 油路
22 筒状連結メンバ
23,26 ブレーキハブ
24,27 ブレーキパック
25,28 ブレーキピストン
30 クラッチドラム15の段部
31 第3ピストン
32 シール
33 スナップリング
34 第1油圧室
35 第2油圧室
38 第1キャンセル室
39 第2キャンセル室
40 キャンセルプレート
41 第1リターンスプリング
42 第3キャンセル室
43 第2リターンスプリング

Claims (10)

  1. 回転軸上に同軸に配置したクラッチドラムと、該クラッチドラム内部のクラッチピストンと、摩擦要素とを具え、
    前記クラッチドラムと前記クラッチピストンとの間に形成した第一油圧室とを具えるクラッチであって、
    前記クラッチピストンに前記クラッチドラムの底面と対向する段部を形成し、
    該段部内に小径ピストンを嵌装して配置し、
    前記クラッチピストン段部と前記小径のピストンとの間に第二油圧室を形成したことを特徴とする、連続する変速段で常に前記摩擦要素が締結状態にある自動変速機用クラッチ。
  2. 請求項1記載のクラッチにおいて、
    前記小径ピストンを前記クラッチドラムに対して固定したことを特徴とする自動変速機用クラッチ。
  3. 請求項1または2記載のクラッチにおいて、
    前記クラッチピストンと軸線方向前後に配置した第二クラッチピストンと、該第二クラッチピストンにより締結および解放される第二摩擦要素とを具える第二クラッチをさらに具えることを特徴とする自動変速機用クラッチ。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項記載のクラッチにおいて、
    前記クラッチのピストンと前記第二クラッチピストンとの間に、前記クラッチピストンに対する二箇所のキャンセル室を形成したことを特徴とする自動変速機用クラッチ。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項記載のクラッチにおいて、
    前記第二クラッチピストン内側にキャンセルプレートを配置すると共にこれらピストンとキャンセルプレートとの間に第一リターンスプリングを介在させて該第二クラッチのキャンセル室を形成し、
    前記第二クラッチピストン底部に貫通孔を形成し、該貫通孔を貫通させて前記キャンセルプレートと前記クラッチピストンとの間に第二リターンスプリングを介在させ、
    それによって前記クラッチピストンに前記第一リターンスプリングおよび第二リターンスプリングを共に作用させるようにしたことを特徴とする自動変速機用クラッチ。
  6. 回転軸上に同軸に配置したクラッチドラムと、該クラッチドラムに内包した複数の摩擦要素とを具え、
    該複数の摩擦要素の内少なくとも第一摩擦要素と第二摩擦要素とを有し、該第一摩擦要素を押圧する第一クラッチピストンと、該第二摩擦要素を押圧する第二クラッチピストンを有すると共に、該第一クラッチピストンを押圧するための第一油圧室と、該第二クラッチピストンを押圧するための第二油圧室とで構成し、前記第一クラッチピストンは前記第二クラッチピストンを内包し、前記クラッチドラムの底面からクラッチ開口部に向けて前記第一クラッチピストン、前記第二クラッチピストンの順に配列し、
    前記第一クラッチピストンの内周側に段部を形成し、該段部と前記クラッチドラムとの間に前記第一油圧室と区画させた第三油圧室を形成したことを特徴とする自動変速機用クラッチ。
  7. 請求項6記載のクラッチにおいて、
    前記第一摩擦要素が、連続する変速段において常に締結状態にあることを特徴とする自動変速機用クラッチ。
  8. 請求項7記載のクラッチにおいて、
    前記第二摩擦要素が、連続する変速段において常に締結状態にあることを特徴とする自動変速機用クラッチ。
  9. 請求項6〜8のいずれか1項記載のクラッチにおいて、
    前記第一クラッチピストンは、前記第一油圧室の油圧と前記第三油圧室の油圧とを加算した油圧で前記第一摩擦要素を押圧し、
    前記第三油圧室の容量が前記第一油圧室の容量よりも小さいことを特徴とする自動変速機用クラッチ。
  10. 請求項6〜9のいずれか1項記載のクラッチにおいて、
    前記第二油圧室が前記第三油圧室に対するキャンセル室をも兼ねることを特徴とする自動変速機用クラッチ。
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