JP2004052579A - エンジンの動弁装置 - Google Patents

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阿部 賢治
Mitsuru Sugimoto
杉本 充
Hisao Sakai
酒井 久夫
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Abstract

【課題】エンジンの動弁装置の油圧ダンパー機構の油圧緩衝力を適切に制御して吸気弁の着座速度を充分に減速できるようにするとともに、油圧ダンパー機構の偏摩耗を防止して安定した作動を可能にする。
【解決手段】油圧ダンパー機構63はケーシング84に形成した第1のオリフィスOと、ピストン88を貫通するように上下複数段に形成した第2のオリフィスとを備えており、第2のオリフィスはピストン88の周方向に等間隔に設けられ、かつピストン88の上動に伴って通路断面積の減少幅が徐々に減少するように上段から下段に向かって数が減少している。これにより、第1、第2のオリフィスを通過するオイルの流量を徐々に減少させて吸気弁の着座速度を充分に減速し、騒音の発生や異常摩耗の発生を防止することができるだけでなく。第2のオリフィスをピストン88の周方向に等間隔に設けたことで該ピストン88が周方向に偏摩耗して傾くのを防止することができる。
【選択図】   図9

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、カムシャフトにより吸気ロッカーアームを介して吸気弁を開閉駆動するとともに、電磁アクチュエータ機構のアマチュアに接続された保持ロッドで吸気弁のステムエンドを押圧して該吸気弁を開弁状態に保持し、かつ電磁アクチュエータ機構による保持を解除されて閉弁状態に復帰する吸気弁の着座時の衝撃を油圧ダンパー機構で緩衝するエンジンの動弁装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
かかるエンジンの動弁装置は、本出願人が特願2001−226709号により既に提案している。
【0003】
また特許第2900192号公報には、開弁状態から吸気弁ばねの弾発力で閉弁状態に復帰する吸気弁の着座時の衝撃をオイルがオリフィスを通過する際の流通抵抗を利用して緩衝すべく、そのオリフィスの開度を吸気弁が着座方向に移動するに伴って次第に減少させることにより、吸気弁の着座時の衝撃を効果的に緩衝する油圧ダンパー機構が記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記従来の油圧ダンパー機構は、シリンダに形成した可変オリフィスと、そのシリンダに摺動自在に嵌合するピストンに形成した固定オリフィスとを備え、両オリフィスのオーバーラップ量により開度が変化するようになっている。従って、電磁アクチュエータ機構で吸気弁を開弁状態に保持するエンジンの動弁装置に上記従来の油圧ダンパー機構を適用しても、ピストンに固定オリフィスが1個だけしか設けられていないため、その固定オリフィスによってピストンの外周面の摩耗状態が均一にならず、偏摩耗の発生によりピストンが傾斜して油圧ダンパー機構のスムーズな作動が妨げられる虞がある。
【0005】
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、エンジンの動弁装置の油圧ダンパー機構の油圧緩衝力を適切に制御して吸気弁の着座速度を充分に減速できるようにするとともに、油圧ダンパー機構の偏摩耗を防止して安定した作動を可能にすることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、カムシャフトにより吸気ロッカーアームを介して吸気弁を開閉駆動するとともに、電磁アクチュエータ機構のアマチュアに接続された保持ロッドで吸気弁のステムエンドを押圧して該吸気弁を開弁状態に保持し、かつ電磁アクチュエータ機構による保持を解除されて閉弁状態に復帰する吸気弁の着座時の衝撃を油圧ダンパー機構で緩衝するエンジンの動弁装置であって、油圧ダンパー機構は、シリンダと、シリンダに摺動自在に嵌合するピストンと、シリンダおよびピストンにより区画されてオイルが供給される油室と、保持ロッドに押圧されたピストンの移動に伴って油室から排出されるオイルが通過するオリフィスとを備え、前記オリフィスは、油室に開口する第1のオリフィスと、ピストンの側壁を貫通する第2のオリフィスとから構成され、前記第2のオリフィスはピストンの周方向に等間隔に設けられており、かつピストンの上記移動に伴って通路断面積の減少幅が徐々に減少することを特徴とするエンジンの動弁装置が提案される。
【0007】
上記構成によれば、吸気弁の着座時の衝撃を緩衝する油圧ダンパー機構が、シリンダに摺動自在に嵌合するピストンによって油室から排出されるオイルが通過するオリフィスを備え、保持ロッドに押圧されたピストンの移動に伴って油室からオイルが排出される際に、そのオルが通過するオリフィスの通路断面積の減少幅が徐々に減少するので、オリフィスを通過するオイルの流量を徐々に減少させて吸気弁の着座速度を充分に減速し、騒音の発生や異常摩耗の発生を防止することができる。また油室に開口する第1のオリフィスとピストンの側壁を貫通する第2のオリフィスとを設けたので、第1のオリフィスだけを設けた場合に比べて、油圧ダンパー機構を小型化することができる。更に、第2のオリフィスをピストンの周方向に等間隔に設けたので、ピストンが周方向に偏摩耗して傾くのを防止することができる。
【0008】
また請求項2に記載された発明によれば、前記第2のオリフィスは、ピストンの移動方向に沿って複数段に設けられており、保持ロッドに押圧されたピストンの移動に伴って開口する前記第2のオリフィスの数が減少することを特徴とするエンジンの動弁装置が提案される。
【0009】
上記構成によれば、第2のオリフィスはピストンの移動方向に沿って複数段に設けられており、保持ロッドに押圧されたピストンの移動に伴って開口する第2のオリフィスの数が減少するので、オリフィスの開口面積を各段のオリフィスの直径差により変化させる場合に比べて、オリフィスの加工を容易化することができ、しかもオリフィスの数を変化させるだけで緩衝特性を容易に変更できるので汎用性が高められる。
【0010】
また請求項3に記載された発明によれば、請求項2の構成に加えて、前記第2のオリフィスは、各段毎に位相を異ならせて設けられたことを特徴とするエンジンの動弁装置が提案される。
【0011】
上記構成によれば、第2のオリフィスを各段毎に位相を異ならせて設けたので、ピストンの移動方向の寸法を小型化することができる。
【0012】
尚、実施例の第1、第2吸気ロッカーアーム30,31は本発明のロッカーアームに対応し、実施例のオリフィスOは本発明の第1のオリフィスに対応し、実施例のオリフィスOa〜Oeは本発明の第2のオリフィスに対応する。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。
【0014】
図1〜図14は本発明の第1実施例を示すもので、図1はエンジンのシリンダヘッド部の断面図(図2の1−1線断面図)、図2は図1の2−2線断面図、図3は図1の3部拡大図、図4は図3の4−4線断面図、図5は図1の5部拡大図、図6は図5の要部拡大図、図7は図6の7(A)−7(A)線〜7(E)−7(E)線断面図、図8は吸気弁閉弁タイミング遅延装置の作動状態を示す、前記図1に対応する図、図9は図8の9部拡大図、図10は吸気弁の遅閉じ制御によるバルブリフト量の変化を示すグラフ、図11は吸気弁の遅閉じ制御時におけるバルブリフト量、コイルの電圧およびコイルの電流の変化を示すタイムチャート、図12は油圧ダンパー機構によるバルブリフト量の変化特性を示すグラフ、図13は吸気弁のバルブリフト量および油室の油圧の変化特性を示すグラフ、図14はオリフィスのL/Dおよび油温に対する吸気バルブの着座時間および着座速度の変化を示すグラフである。
【0015】
図1に示すように、SOHC型の直列4気筒エンジンEはシリンダブロック11と、シリンダブロック11の上面に結合されたシリンダヘッド12と、シリンダヘッド12の上面に結合されたカムシャフトホルダ13とを備えており、シリンダブロック11に形成したシリンダ14にピストン15が摺動自在に嵌合する。シリンダヘッド12には、シリンダ14毎に各2個の吸気ポート16,16および排気ポート17,17が形成されており、シリンダヘッド12の下面にピストン15の上面と対向するように形成され燃焼室18は吸気弁孔19,19を介して吸気ポート16,16に連通するとともに、排気弁孔20,20を介して排気ポート17,17に連通する。
【0016】
吸気弁孔19,19を開閉する機関弁としての吸気弁21,21はシリンダヘッド12に設けた弁ガイド22,22に摺動自在に案内され、吸気弁ばね23,23で閉弁方向に付勢される。排気弁孔20,20を開閉する機関弁としての排気弁24,24はシリンダヘッド12に設けた弁ガイド25,25に摺動自在に案内され、排気弁ばね26,26で閉弁方向に付勢される。カムシャフトホルダ13はシリンダヘッド12の長手方向に沿って配置された単一の部材であり、シリンダヘッド12の上面とカムシャフトホルダ13の下面との間に吸気・排気共用のカムシャフト27が支持される。カムシャフト27はクランクシャフトにタイミングチェーンを介して接続されており、クランクシャフトの2分の1の回転数で回転する。
【0017】
図2を併せて参照すると明らかなように、カムシャフト27の上方のカムシャフトホルダ13には吸気ロッカーアームシャフト28および排気ロッカーアームシャフト29が支持されており、吸気ロッカーアームシャフト28に第1吸気ロッカーアーム30および第2吸気ロッカーアーム31が隣接して配置されるとともに、第1、第2吸気ロッカーアーム30,31の軸方向両側に第1、第2排気ロッカーアーム32,33が配置される。
【0018】
第1吸気ロッカーアーム30は中間部を吸気ロッカーアームシャフト28に支持されており、二股に分岐した一端部に一方の吸気弁21のステムエンド21aに当接するアジャストボルト34と、球状の上面を有する保持ロッド受け部材35とが設けられ、また他端部にカムシャフト27に設けた吸気ハイカム36に当接するローラ37が支持される。第2吸気ロッカーアーム31は中間部を吸気ロッカーアームシャフト28に支持されており、一端部に他方の吸気弁21のステムエンド21aに当接するアジャストボルト38が設けられ、また他端部にカムシャフト27に設けた吸気ローカム39に当接するスリッパ40が設けられる。吸気ハイカム36のカム山に比べて、吸気ローカム39のカム山の高さは低く設定されている。
【0019】
吸気ロッカーアームシャフト28を挟んでローラ37およびスリッパ40の反対側の第1、第2吸気ロッカーアーム30,31に、該第1、第2吸気ロッカーアーム30,31を一体に連結して一体に揺動させ、あるいは相互に分離して独立して揺動させるべく、連結・解除機構41が設けられる。
【0020】
連結・解除機構41は、第1、第2吸気ロッカーアーム30,31に同軸に形成したピン孔30a,31aと、第1吸気ロッカーアーム30のピン孔30aに摺動自在に嵌合する第1ピン42と、第2吸気ロッカーアーム31のピン孔31aに摺動自在に嵌合する第2ピン43と、第1ピン42を第2ピン43に向けて付勢する戻しばね44と、第2ピン43の第1ピン42と反対側の端面に形成された油室45とを備えており、油室45は吸気ロッカーアームシャフト28の内部に形成した油路28aに、吸気ロッカーアームシャフト28および第2吸気ロッカーアーム31に形成した油孔28b,31bを介して常時連通する。
【0021】
従って、図示せぬ制御手段からの指令で吸気ロッカーアームシャフト28の油路28a、吸気ロッカーアームシャフト28の油孔28bおよび第2吸気ロッカーアーム31の油孔31bを介して油室45に油圧が供給されると、図2に示すように、戻しばね44の弾発力に抗して第1、第2ピン42,43が移動し、第2ピン43が両ピン孔30a,31aに跨がることで、第1、第2吸気ロッカーアーム30,31が連結されて一体に揺動可能になる。また油室45に供給される油圧を抜くと、戻しばね44の弾発力で第1、第2ピン42,43が押し戻され、第1、第2ピン42,43がそれぞれ第1、第2吸気ロッカーアーム30,31のピン孔30a,31aに収納されることで、第1、第2吸気ロッカーアーム30,31が分離されて独立して揺動可能になる。
【0022】
排気ロッカーアームシャフト29に揺動自在に支持された第1、第2排気ロッカーアーム32,33は、その一端側に設けたローラ46,47がカムシャフト27に設けた排気カム48,49に当接し、その他端側に設けたアジャストボルト50,51が排気弁24,24のステムエンド24a,24aに当接する。また符号52は点火プラグ挿入筒であり、一対の排気弁24,24の間に設けられる。
【0023】
次に、吸気弁21,21の閉弁タイミングを遅延する吸気弁閉弁タイミング遅延装置61の構造を説明する。
【0024】
吸気弁閉弁タイミング遅延装置61は、カムシャフトホルダ13の吸気側の上面に形成された4個の開口13a…を覆うように設けられるもので、4個のシリンダ14…に各々対応して一体化された電磁アクチュエータ機構62および油圧ダンパー機構63と、4個のシリンダ14…に対して共通化されたアマチュア固定機構64とを備える。
【0025】
図3および図4に示すように、4個の電磁アクチュエータ機構62は全て同一構造であり、第1端板65と、第2端板66と、重ね合わされた多数の第1積層板68…および多数の第2積層板69…よりなる2個のヨーク70,70とを備える。ヨーク70,70の第1積層板68…および第2積層板69…は左右対称な形状を有しており、それぞれ上面に開放するコイル収納溝68a,69aを備える。また第1端板65および第2端板66は、第1、第2積層板68…,69…のコイル収納溝68a,69aに連なるコイル収納溝65b,65c;66b,66cを備えており、ボビンに巻き付けられたコイル71が、第1、第2積層板68,69のコイル収納溝68a,69aおよび第1、第2端板65,66のコイル収納溝65b,65c;66b,66cに上方から嵌合し、更にその上部にコイル71と略同一形状のレアショート板72が配置される。磁束の成長を促進するためのレアショート板72は打ち抜き、鍛造、削りだし等で製作したむく材で構成されるが、それを積層板で構成すれば更に効果を高めることができる。
【0026】
概略長方形の枠状に形成されたレアショート板72は、その一部に形成されたスリット72aで切断されており、その上面が第1、第2端板65,66の上面および第1、第2積層板68…,69…の上面と面一になるように固定される。コイル71はコイル収納溝65b,65c;66b,66c;68a;69aに嵌合して樹脂で固着されるが、レアショート板72もコイル71と共に樹脂で固着される。左右のヨーク70,70間に、上端にアマチュア73を備えた保持ロッド74が摺動自在に支持される。概略長方形のアマチュア73は、その下面が第1、第2端板65,66および第1、第2積層板68…,69…の上面に対向する。このように、 2個に分割したヨーク70,70間に保持ロッド74を配置したので、単一のヨークに保持ロッド74を挿通する孔を形成する場合に比べて加工が容易になる。
【0027】
ヨーク70,70の両端部にはそれぞれ上下一対の締結シャフト75…が配置されており、これら4本の締結シャフト75…が貫通することで第1、第2端板65,66および第1、第2積層板68…,69…が一体に締結される。第1、第2積層板68…,69…の上面の両側部、つまり締結シャフト75…の上方に位置する部分に切欠68b,69bが形成される。
【0028】
次に、図5に基づいて、電磁アクチュエータ機構62により開弁保持された吸気弁21,21の閉弁時の衝撃を吸収する油圧ダンパー機構63の構造を説明する。
【0029】
電磁アクチュエータ機構62の第1、第2端板65,66の上面に、ダンパー下部ケーシング83と、ダンパー中間ケーシング84と、ダンパー上部ケーシング85とが重ね合わされ、図示せぬボルトでカムシャフトホルダ13の上面に共締めされる。
【0030】
ダンパー中間ケーシング84には、ダンパー下部ケーシング83を下方に貫通するシリンダ84bが一体に形成されており、このシリンダ84bにピストン88が摺動自在に嵌合する。ピストン88の上部に配置された入口側チェック弁89がダンパー中間ケーシング84およびダンパー上部ケーシング85間に挟まれて固定される。入口側チェック弁89は、弁座90と、弁体91と、弁体91を弁座90に着座する方向に付勢する弁ばね92とを備えており、図示せぬ油圧源に連なるダンパー上部ケーシング85の油路P1からピストン88の上面側の油室93に連なる油路P2へのオイルの通過を許容し、その逆方向のオイルの通過を阻止する機能を有する。
【0031】
シリンダ84bの内壁には環状の油路P3が形成されており、この油路P3はシリンダ84bを半径方向に貫通するオリフィスO…を介して、ダンパー下部ケーシング83の内壁に形成した環状の油路P4に連通する。油路P4はダンパー中間ケーシング84を上下方向に貫通する油路P5を介してダンパー上部ケーシング85に設けた出口側チェック弁94に連通する。出口側チェック弁94は、弁座95と、弁体96と、弁体96を弁座95に着座する方向に付勢する弁ばね97とを備えており、ダンパー中間ケーシング84の油路P5から図示せぬオイルタンクへのオイルの通過を許容し、その逆方向のオイルの通過を阻止する機能を有する。
【0032】
上面が開放したカップ状のピストン88の下面から下方に突出する押圧部88aは、ダンパー中間ケーシング84の下面に形成した開口84cを貫通してアマチュア73の上面(つまり保持ロッド74の上端)に当接可能である。このようにピストン88の中心に保持ロッド74の上端に当接させることにより、ピストン88を安定して作動させることができる。このとき、保持ロッド74の上端をピストン88の下面に開口する孔に嵌合させて位置決めすれば、ピストン88更にを安定して作動させることができる。
【0033】
ピストン88は、入口側チェック弁89との間に配置した戻しばね98で下向きに付勢される。ピストン88の押圧部88aはアマチュア73の保持ロッド74と同軸上に位置しており、ピストン88の押圧部88aとアマチュア73の保持ロッド74との間に偏心荷重が加わるのを防止してスムーズな作動を可能にしている。
【0034】
図1から明らかなように、ダンパー上部ケーシング85にステー99を介してセンサ100が支持されており、このセンサ100でアマチュア73の上下位置が検出される。
【0035】
図6および図7から明らかなように、上面が開口したカップ状のピストン88の側壁には、軸線方向に高さの異なる五つの位置に、それぞれ円周方向に配置された複数のオリフィスを備える。即ち、図7(A)に示すように、上から1段めには4個のオリフィスOa…が90°間隔で形成され、図7(B)に示すように、上から2段めには前記4個のオリフィスOa…と位相が45°ずれた状態で4個のオリフィスOb…が90°間隔で形成され、図7(C)に示すように、上から3段めには3個のオリフィスOc…が120°間隔で形成され、図7(D)に示すように、上から4段めには前記3個のオリフィスOc…と位相が60°ずれた状態で3個のオリフィスOd…が120°間隔で形成され、図7(E)に示すように、上から5段めには1個のオリフィスOe…が形成される。
【0036】
図6の円内に拡大して示すように、各々のオリフィスOa〜Oeは、その直径をDとし、その長さをLとしたとき、0.5≦L/D≦2.0に設定されている。
【0037】
次に、図1に基づいて、電磁アクチュエータ機構62の非作動時にアマチュア73を上昇位置に保持するアマチュア固定機構64の構造を説明する。
【0038】
アマチュア固定機構64は4個のシリンダ14…に共通の固定機構下部ケーシング101を備えており、固定機構下部ケーシング101に形成したガイド孔102にアマチュア係止部材103が摺動自在に嵌合し、このアマチュア係止部材103は戻しばね104で上限位置に付勢されてガイド孔102の上端開口から突出し、アマチュア73の一辺に突設した突起73aの下面に当接する。
【0039】
固定機構下部ケーシング101の上面に各シリンダ14毎に分割された4個の固定機構上部ケーシング105…が重ね合わされ、固定機構上部ケーシング105…および固定機構下部ケーシング101を貫通する図示せぬボルトでカムシャフトホルダ13に固定される。固定機構上部ケーシング105に形成したシリンダ107にピストン108が摺動自在に嵌合しており、シリンダ107の上部に油室109が形成されるとともに、ピストン108の下面がアマチュア係止部材103の上面に当接する。油室109には、図示せぬ油圧源からのオイルが制御弁を介して供給可能である。
【0040】
そしてカムシャフトホルダ13および吸気弁閉弁タイミング遅延装置61を覆うように、シリンダヘッド12の上面にヘッドカバー110が結合される。
【0041】
次に、上記構成を備えた第1実施例の作用を説明する。
【0042】
図2において、エンジンEの低速運転領域で吸気弁21,21の動弁系に設けたけた連結・解除機構41の油室45の油圧を抜くと、戻しばね44の弾発力で第1、第2ピン42,43が押し戻され、第1、第2ピン42,43がそれぞれ第1、第2吸気ロッカーアーム30,31のピン孔30a,31aに収納されることで、第1、第2吸気ロッカーアーム30,31が分離されて独立して揺動可能になる。その結果、カム山が高い吸気ハイカム36にローラ37を当接させた第1吸気ロッカーアーム30は大きく揺動して一方の吸気弁21を大きなリフト量で開閉する一方、カム山が低い吸気ローカム39にスリッパ40を当接させた第2吸気ロッカーアーム31は小さく揺動して他方の吸気弁21を小さなリフト量で開閉することで、燃焼室18内に吸気スワールを発生させて混合気の燃焼効率を高めることができる。
【0043】
エンジンEの中・高速運転領域で連結・解除機構41の油室45に油圧を供給すると、図2に示すように、戻しばね44の弾発力に抗して第1、第2ピン42,43が移動し、第2ピン43が両ピン孔30a,31aに跨がることで、第1、第2吸気ロッカーアーム30,31が連結されて一体に揺動可能になる。その結果、カム山が高い吸気ハイカム36にローラ37を当接させた第1吸気ロッカーアーム30と一体に第2吸気ロッカーアーム31が大きく揺動し、両方の吸気弁21,21を大きなリフト量で開閉してエンジンEの出力が増加する。
【0044】
吸気弁閉弁タイミング遅延装置61の非作動時、つまり電磁アクチュエータ機構62のコイル71への通電が行われないとき、図1に示すようにアマチュア固定機構64の油室109の油圧は抜かれており、戻しばね104の弾発力でアマチュア係止部材103が上昇してピストン108を押し上げた状態にある。この状態では、アマチュア係止部材103が突起73aに係合することでアマチュア73を押し上げた位置に保持するため、第1吸気ロッカーアーム30の揺動に伴って保持ロッド74がアマチュア73と共に不要な上下動をするのが防止される。
【0045】
これにより、保持ロッド74およびアマチュア73の慣性重量や摺動抵抗が第1吸気ロッカーアーム30のスムーズな揺動を阻害することが防止され、吸気弁29のスムーズな開閉が可能になる。特に、エンジンEの高速運転時には、吸気第1ロッカーアーム30の揺動に保持ロッド74の昇降が追従できず、保持ロッド74の下端が第1吸気ロッカーアーム30の保持ロッド受け部材35から離反したり衝突したりする状況となり、騒音の発生や耐久性の低下の原因となる可能性があるが、かかるエンジンEの高速運転時に戻しばね104の弾発力でアマチュア係止部材103を上昇させてアマチュア73を上昇位置に保持すれば、上記騒音の発生や耐久性の低下を確実に防止することができる。
【0046】
一方、吸気弁閉弁タイミング遅延装置61の作動時、つまり電磁アクチュエータ機構62のコイル71への通電が行われるとき、図8に示すようにアマチュア固定機構64の油室109に油圧が供給され、戻しばね104の弾発力に抗してアマチュア係止部材103が下降する。その結果、アマチュア係止部材103がアマチュア73の突起73aから下方に離反し、アマチュア73および保持ロッド74は自由に昇降できる状態となる。
【0047】
しかして、第1吸気ロッカーアーム30が吸気弁21のステムエンド21aを押し下げて該吸気弁21のリフト量が最大になるのにタイミングを合わせて電磁アクチュエータ機構62のコイル71を励磁すると、ヨーク70,70にアマチュア73が吸引されることで保持ロッド74が下降し、その下端が保持ロッド受け部材35を下方に押圧する。すると、第1吸気ロッカーアーム30が揺動し、その一端側のアジャストボルト34が吸気弁21のステムエンド21aを押圧して該吸気弁21を開弁させたままの状態に保持する。このとき、第1吸気ロッカーアーム30の他端側のローラ37はカムシャフト27の吸気ハイカム36から離反して空転する。
【0048】
所定時間の経過後にコイル71を消磁すると、吸気弁ばね23の弾発力で吸気弁21が閉弁位置に上昇し、第1吸気ロッカーアーム30が逆方向に揺動してローラ37が吸気ハイカム36に当接するとともに、保持ロッド受け部材35に下端を押し上げられた保持ロッド74と共にアマチュア73が上昇してヨーク70,70の上面から離反する。このように、電磁アクチュエータ機構62のコイル71を所定のタイミングで励磁および消磁することにより、吸気弁21の閉弁時期を任意の長さだけ遅延させることができ、ポンピングロスの低減による燃料消費の低減を図ることができる。図10には、エンジンEの回転数が650rpmの場合および3000rpmの場合について、吸気弁21の遅閉じ制御によるバルブリフト量の変化が示される。
【0049】
尚、電磁アクチュエータ機構62の作動時に、連結・解除機構41で第1、第2吸気ロッカーアーム30,31が一体に結合されていれば、2個の吸気弁21,21の閉弁タイミングを共に遅延させることができる。また連結・解除機構41で第1、第2吸気ロッカーアーム30,31を分離していれば、第1吸気ロッカーアーム30側の吸気弁21の閉弁タイミングだけが遅延し、第2吸気ロッカーアーム30側の吸気弁21は吸気ローカム39のプロフィールに応じたバルブリフト量で開閉する。
【0050】
以上、吸気弁21,21の動弁作用について説明したが、排気弁24,24の動弁作用は従来のものと同様である。即ち、図2において、カムシャフト27に設けた排気カム48,49にローラ46,47を当接させた第1、第2排気ロッカーアーム32,33が排気ロッカーアームシャフト29まわりに揺動することで、それら第1、第2排気ロッカーアーム32,33に設けたアジャストボルト50,51にステムエンド24a,24aを当接させた排気弁24,24が開閉駆動される。
【0051】
図3から明らかなように、ヨーク70,70の第1、第2積層板68…,69…および第1、第2端板65,66を一体に結合する4本の締結シャフト75…は、該ヨーク70,70に形成される磁路C,Cを避けた両側位置に配置されるので、締結シャフト75…の影響による磁束密度の低下を最小限に抑えることができ、しかも締結シャフト75…が磁路C,Cの側方に配置されるので、電磁アクチュエータ機構62の上下方向寸法を小型化することができる。またアマチュア73が吸着されるヨーク70,70の上面における第1、第2積層板68…,69…の両端位置に、つまり締結シャフト75…の上方位置に切欠68b,69bを形成したので、締結シャフト75…を通過する磁束量を減少させて該締結シャフト75…の影響による磁束密度の低下を更に低減することができる。そして前記切欠68b,69bを持たない下面側で第1、第2積層板68…,69…をカムシャフトホルダ13に固定したので、固定面積を充分に確保してカムシャフトホルダ13に対する電磁アクチュエータ機構62の固定強度を高めることができる。
【0052】
更に、アマチュア73の移動方向に測った切欠68b,69bの高さは、アマチュア73がヨーク70,70の吸着面に吸着されたときのアマチュア73およびヨーク70,70間のギャップよりも大きいため、アマチュア73の吸着時にヨーク70,70の吸着面を通過する磁束量を最大限に確保してアマチュア73の吸着力を増加させることができる。しかも片側2本の締結シャフト75,75は上下方向(アマチュア73の吸着方向)に離間して配置されているので、第1、第2積層板68…,69…を強固に締結してヨーク70,70の吸着面における口開き(締結の緩み)を防止し、アマチュア73の吸着力の低下を抑制することができる。
【0053】
ところで、電磁アクチュエータ機構62は、弁ばね23の強い弾発力に抗して吸気弁21を開弁状態に保持するために、アマチュア73を大きな吸着力で吸着する必要があり、また電磁アクチュエータ機構62の駆動回路の損失を最小限に抑えるためにも、その駆動電圧が高い方が望ましい。そのために従来の電磁アクチュエータ機構62は、車載のバッテリの電圧である12Vを例えば42Vに昇圧して使用することを前提としていた。電磁アクチュエータ機構62を低電圧(つまり車載のバッテリの電圧である12V)で駆動するのが難しいのは、以下のような理由からである。
【0054】
ある電圧(例えば、42V)で適切に作動するように設計された電磁アクチュエータ機構62をより低い電圧で作動させるには、高い電圧の場合と比べてコイル71に対する電圧印加時間を長くしてヨーク70,70における磁束の成長を促す必要がある。しかしながら、エンジンEの回転数が高い場合には前記磁束の成長を待つ時間的な余裕がないため、アマチュア73を適切なタイミングで応答性良く吸着することが難しくなる。またコイル71に対する電圧印加時間を長くするために早いタイミングで電圧を印加すると、その電圧の印加を開始する時点でアマチュア73とヨーク70,70との距離が離れているため、電磁アクチュエータ機構62の電気端子から見込んだ等価的なインダクタンスが非常に小さくなり、低電圧にも拘わらずコイル71に大電流が流れてしまう。その結果、電磁アクチュエータ機構62のコイル71の直流抵抗や駆動回路の駆動素子の損失が大きくなって磁束の成長への貢献が不充分になり、所望の磁束を得るために更にコイル71に対する電圧印加タイミングを早めなければならず、電磁アクチュエータ機構62の消費電力が過大になるか、あるいはアマチュア73を吸着できなくなる事態に至る。
【0055】
しかしながら、本実施例では、電磁アクチュエータ機構62のヨーク70,70を構成する第1、第2積層板68…,69…および第1、第2端板65,66のコイル収納溝65b,65c;66b,66c;68a;69aに嵌合するコイル71の上面にレアショート板72を配置したことで、前記コイル収納溝65b,65c;66b,66c;68a;69aを磁気的にレアショートさせ、コイル71に電圧を印加した後のヨーク70,70の磁束の成長を促進することができる。その結果、車載のバッテリの電圧である12Vを昇圧することなく、またコイル71に対する電圧印加タイミングをあまり早めることなく、ヨーク70,70に充分な磁束を速やかに発生させてアマチュア73を適切なタイミングで吸着することができ、エンジンEの高速回転時にも吸気弁21の遅閉じ制御を可能になすることができる。
【0056】
またレアショート板72の上面は第1、第2端板65,66および第1、第2積層板68…,69…の上面と面一に配置されているので、レアショート板72の上面をアマチュア73を吸着する吸着面の一部として機能させることができる。これにより、ヨーク70,70に吸着されたアマチュア73がレアショート板72と一体になり、該アマチュア73の実質的な磁路断面積が増加して磁気飽和が緩和されるので、僅かではあるがアマチュア73を薄くして軽量化を図るとともに、電磁アクチュエータ機構62の上下方向寸法を小型化することができる。しかもレアショート板72の位置が高くなるので、その下方のコイル収納溝65b,65c;66b,66c;68a;69aの容積を拡大してコイル71を大型化することができる。
【0057】
またレアショート板72とコイル収納溝65b,65c;66b,66c;68a;69aとの間のギャップα(図3および図4参照)は、アマチュア73が吸着された状態で該アマチュア73とヨーク70,70の吸着面とのギャップ(実質的に0)よりも大きいため、前記ギャップαに磁束が漏れるのを防止してアマチュア73の吸着力を高めることができる。更に、長方形のレアショート板72の一部にスリット72aを形成したことで、ヨーク70,70に発生する磁束に起因する誘導起電力によりレアショート板72に渦電流が流れるのを抑制し、コイル71の消費電力を削減することができる。
【0058】
レアショート板72を持たないもの(図11(A)参照)と、レアショート板72を持つもの(図11(B)参照)とを比較すると明らかなように、レアショート板72を設けたことにより、電圧印加のタイミングを遅らせ、かつアマチュア73の吸着に至るまでの時間においてコイル71に供給する電流および投入エネルギーを大幅に低減しても、吸気弁21のバルブリフト量を最大バルブリフト位置に保持することができる。
【0059】
さて、吸気弁21の開弁保持を解除すべくコイル71を励磁状態から消磁状態に切り換えると、吸気弁ばね23の弾発力で吸気弁21が閉弁する。このとき、吸気弁21が吸気弁孔19に衝撃的に着座するのを防止するために油圧ダンパー機構63が作用する。即ち、閉弁する吸気弁21のステムエンド21によって保持ロッド74が押し上げられると、保持ロッド74の上端に設けたアマチュア73に押圧部88aを押圧された油圧ダンパー機構63のピストン88が、図9の下降位置から図5の上昇位置へと戻しばね98の弾発力に抗して押し上げられる。ダンパー中間ケーシング84のシリンダ84b内をピストン88が上昇すると、ピストン88の上方の油室93の容積が減少する。ピストン88が下降位置にあるとき、油室93には開弁した入口側チェック弁89を介して油圧が供給されているが、ピストン88の上昇によって油室93の容積が減少すると入口側チェック弁89が閉弁し、油室93内のオイルは出口側チェック弁94を開弁して排出される。このとき、油室93内のオイルがピストン88に形成したオリフィスOa〜Oeおよびダンパー中間ケーシング84に形成したオリフィスOを通過することで、吸気弁21が吸気弁孔19に衝撃的に着座するのを防止する油圧緩衝力が発生する。
【0060】
上記油圧緩衝力の発生メカニズムを更に詳細に説明する。ピストン88が図9に示す下降位置から上昇を開始するとき、ダンパー中間ケーシング84のオリフィスOが機能して油圧緩衝力が発生し、バルブリフト量は一定の比率で減少する(図12のa領域参照)。ピストン88の上動に伴い、該ピストン88の上端とダンパー中間ケーシング84の油路P3の上端との隙間βの通路断面積が次第に減少し、やがて油路P3に臨む隙間βの通路断面積と、油路P3に臨むオリフィスOa〜Oeの通路断面積との総和がダンパー中間ケーシング84のオリフィスOの通路断面積に一致すると(図12のb点参照)、それ以降はオリフィスOは実質的に機能しなくなり、隙間βおよびオリフィスOa〜Oeが機能して油圧緩衝力が発生する。ピストン88の上動に伴って隙間βが減少すると油圧緩衝力は次第に増加し、やがて隙間βが消滅すると、油路P3に臨むオリフィスOa〜Oeだけが油圧緩衝力を発生する。
【0061】
当初は全てのオリフィスOa〜Oeが油路P3に臨んでいるが、ピストン88の上動に伴って先ず1段目の4個のオリフィスOaが閉塞され、続いて2段目の4個のオリフィスOb、3段目の3個のオリフィスOc、4段目の3個のオリフィスOdおよび5段目の1個のオリフィスOeが順次閉塞される。その間、オリフィスOa〜Oeの通路断面積が段階的に減少することで油圧緩衝力は段階的に増加し、バルブリフト量の減少率が段階的に減少する(図12のc領域参照)。そして全てのオリフィスOa〜Oeが閉塞されると(図12のd点参照)、ピストン88とシリンダ84bとの間の微小なクリアランスをオイルが通過することでバルブリフト量が極低速で減少し、衝撃を発生させずに吸気弁21をゆっくりと吸気弁孔19に着座させて騒音の発生や異常摩耗の発生を防止することができる(図12のe領域参照)。
【0062】
仮に、ピストン88がオリフィスOa〜Oeを備えていないとすると、図12に破線で示すように、領域cにおいてバルブリフト量が直線的に減少してしまい、吸気弁21が吸気弁孔19に対して着座する瞬間の着座速度を減少させることが困難である。
【0063】
以上のように、油圧ダンパー機構63がダンパー中間ケーシング84のオリフィスOとピストン88のオリフィスOa〜Oeとを備えており、オリフィスOa〜Oeの個数が上側の1段目から下側の5段目に向かって次第に減少しているので、ピストン88の上動の初期に前記オリフィスO,Oa〜Oeのトータルの通路断面積の減少率が大きく、またピストン88の上動の末期に前記通路断面積の減少率が小さくなるため、時間の経過に伴うバルブリフト量の減少率を漸減させて吸気弁21を吸気弁孔19にゆっくりと着座させることができる。
【0064】
しかもダンパー中間ケーシング84およびピストン88の両方にオリフィスO,Oa〜Oeを設けたので、ダンパー中間ケーシング84だけにオリフィスを設ける場合に比べて油圧ダンパー機構63を小型化することができる。更に、ピストン88の各段のオリフィスOa〜Oeを等間隔に配置し、かつ隣接する段のオリフィスOa〜Oeの位相を異ならせたので、つまりオリフィスOa〜Oeが上下方向に重ならないように配置したので、ピストン88の上下方向の寸法を小型化することができる。また各段のオリフィスOa〜Oeを円周方向に等間隔に配置したので、ピストン88が円周方向に不均一に摩耗することが防止され、油圧ダンパー機構63の機能を長期に亘って正常に発揮させることができる。
【0065】
また各段のオリフィスOa〜Oeの大きさを同じにして数だけを異ならせたので、各段のオリフィスOa〜Oeの直径を異ならせて開口面積を変化させる場合に比べて加工が容易であり、かつ各段のオリフィスOa〜Oeの数を変更するだけで緩衝特性を容易に調整することができる。更に、各段のオリフィスオリフィスOa〜Oeがピストン88上の同じ高さに設けられているので、ピストン88の上下方向の寸法を更に小型化することができる。
【0066】
図13には、コイル71の消磁後のバルブリフト量の減少特性と、油室93の油圧の変化特性とが示されており、実線はオリフィスの通路断面積が適正な場合、鎖線は過大な場合、破線は過小な場合に対応している。コイル71の消磁直後の高リフト領域Aではダンパー中間ケーシング84のオリフィスOによってバルブリフト量の減少率がコントロールされ、中〜低リフト領域Bではピストン88のオリフィスOa〜Oeによってバルブリフト量の減少率がコントロールされ、極低リフト領域Cではピストン88とシリンダ84bとの間のクリアランスによって吸気弁21の着座がコントロールされる。
【0067】
図5で説明したように、オリフィスOa〜Oeは直径Dと長さLとの関係が0.5≦L/D≦2.0に設定されている。オイルの粘性は温度によって変化し、オイルの粘性が高くなる低温時にはオリフィスOa〜Oeを通過するオイルの流通抵抗が大きくなって吸気弁21の着座が遅れて着座限界時間を越えてしまう。またオイルの粘性が低くなる高温時にオリフィスOa〜Oeを通過するオイルの流通抵抗が小さくなっても、吸気弁21の着座速度が着座限界速度を越えないようにする必要がある。
【0068】
図14に示すように、油温が使用油温領域の最低温度にあっても、L/Dが2.0以下であれば吸気弁21の着座時間を着座限界時間以下に抑えることができる。また油温が使用油温領域の最高温度のとき、L/Dの値に関わらずに吸気弁21の着座時間は着座限界時間以下に抑えられている。従って、L/Dの値は0近傍まで小さくすることができるが、流量特性の経年変化を考慮して0.5以上とする。
【0069】
尚、オリフィスOa〜Oeの入口側をファンネル状(あるいはテーパー状)に拡開することで、流量特性の経年変化を回避することができる。
【0070】
以上のように、電磁アクチュエータ機構62および油圧ダンパー機構63をユニット化し、それをカムシャフトホルダ13に対して着脱することができるので、電磁電磁アクチュエータ機構62および油圧ダンパー機構63を別体にして各々独立に着脱する場合に比べて、組付工数の削減および取付スペースの削減に寄与することができる。また電磁アクチュエータ機構62の上方に油圧ダンパー機構63を同軸に重ね合わせて配置し、電磁アクチュエータ機構62の保持ロッド74の上端に油圧ダンパー機構63のピストン88の押圧部88aの下端を直接当接させたので、エンジンEの幅方向(クランクシャフトに直交する方向)の寸法を小型化することができる。しかも電磁アクチュエータ機構62を下側に配置し、その上方に油圧ダンパー機構63を配置したので、油圧ダンパー機構63の上方に電磁アクチュエータ機構62を配置する場合に比べて、保持ロッド74の長さを短縮することができる。更に、全ての電磁アクチュエータ機構62…、油圧ダンパー機構63…およびアマチュア固定機構64を共通のヘッドカバー110で覆ったので、それらを各々独立した別個のカバーで覆う場合に比べて、シール材等の部品点数を削減するとともにエンジンEのヘッド部の小型化に寄与することができる。
【0071】
電磁アクチュエータ機構62および油圧ダンパー機構63をカムシャフトホルダ13に支持したので、それらをシリンダヘッド12に取り付ける場合に比べて該シリンダヘッド12を小型化することができ、また油圧ダンパー機構63に連なる油路をシリンダヘッド12に形成する必要がなくるので該シリンダヘッド12の加工が容易になる。またカムシャフトホルダ13はクランクシャフトの軸方向に延びる一体型のものであり、電磁アクチュエータ機構62および油圧ダンパー機構63を剛性の高いカムシャフトホルダ13の連結部(つまりカムシャフト27のジャーナルを支持する支持部間)に設けたので、それらの支持剛性を高めることができる。
【0072】
次に、図15に基づいて本発明の第2実施例を説明する。
【0073】
第2実施例はアマチュア固定機構64の構造において第1実施例と異なっており、その他の構造は第1実施例と同一である。尚、第2実施例の構成要素で第1実施例の部材と対応するものには、第1実施例と同じ符号が付してある。
【0074】
第2実施例は一対のアマチュア固定機構64,64が肉厚に形成されたカムシャフトホルダ13の内部に収納されており、各々のアマチュア固定機構64は、カムシャフトホルダ13に形成されたシリンダ121と、それに摺動自在に嵌合するピストン122と、ピストン122を上向きに付勢する戻しばね123と、ピストン122の上面に形成された油室124と、ピストンの上面から上向きに突出してアマチュア73の下面に当接可能なアマチュア係止部材125とを備える。
【0075】
吸気弁閉弁タイミング遅延装置61の非作動時に、図15に示すようにアマチュア固定機構64の油室124の油圧は抜かれており、戻しばね123の弾発力でアマチュア係止部材125が上昇してアマチュア73を押し上げた位置に保持されるため、第1吸気ロッカーアーム30の揺動に伴って保持ロッド74がアマチュア73と共に不要な上下動をするのが防止される。
【0076】
これにより、保持ロッド74およびアマチュア73の慣性重量や摺動抵抗が第1吸気ロッカーアーム30のスムーズな揺動を阻害することが防止され、また吸気第1ロッカーアーム30の揺動に保持ロッド74の昇降が追従できないエンジンEの高速運転時に、保持ロッド74の下端が第1吸気ロッカーアーム30の保持ロッド受け部材35から離反したり衝突したりして騒音の発生や耐久性の低下の原因となることが防止される。
【0077】
一方、吸気弁閉弁タイミング遅延装置61の作動時には、アマチュア固定機構64の油室124に油圧が供給され、戻しばね123の弾発力に抗してアマチュア係止部材125が下降する。その結果、アマチュア係止部材125がアマチュア73から下方に離反し、アマチュア73および保持ロッド74は自由に昇降できる状態となる。
【0078】
第2実施例によれば、保持ロッド74を挟んだ2カ所に設けたアマチュア固定機構64でアマチュア73を固定するので、アマチュア73の傾きや保持ロッド74のコジリを確実に阻止することができる。その他、この第2実施例によっても前記第1実施例と同様の作用効果を達成することができる。
【0079】
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
【0080】
例えば、本発明はクランクシャフトを鉛直方向に配置した船外機のような船舶推進用エンジンに対しても適用することができる。
【0081】
【発明の効果】
以上のように請求項1に記載された発明によれば、吸気弁の着座時の衝撃を緩衝する油圧ダンパー機構が、シリンダに摺動自在に嵌合するピストンによって油室から排出されるオイルが通過するオリフィスを備え、保持ロッドに押圧されたピストンの移動に伴って油室からオイルが排出される際に、そのオルが通過するオリフィスの通路断面積の減少幅が徐々に減少するので、オリフィスを通過するオイルの流量を徐々に減少させて吸気弁の着座速度を充分に減速し、騒音の発生や異常摩耗の発生を防止することができる。また油室に開口する第1のオリフィスとピストンの側壁を貫通する第2のオリフィスとを設けたので、第1のオリフィスだけを設けた場合に比べて、油圧ダンパー機構を小型化することができる。更に、第2のオリフィスをピストンの周方向に等間隔に設けたので、ピストンが周方向に偏摩耗して傾くのを防止することができる。
【0082】
また請求項2に記載された発明によれば、第2のオリフィスはピストンの移動方向に沿って複数段に設けられており、保持ロッドに押圧されたピストンの移動に伴って開口する第2のオリフィスの数が減少するので、オリフィスの開口面積を各段のオリフィスの直径差により変化させる場合に比べて、オリフィスの加工を容易化することができ、しかもオリフィスの数を変化させるだけで緩衝特性を容易に変更できるので汎用性が高められる。
【0083】
また請求項3に記載された発明によれば、第2のオリフィスを各段毎に位相を異ならせて設けたので、ピストンの移動方向の寸法を小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
エンジンのシリンダヘッド部の断面図(図2の1−1線断面図)
【図2】
図1の2−2線断面図
【図3】
図1の3部拡大図
【図4】
図3の4−4線断面図
【図5】
図1の5部拡大図
【図6】
図5の要部拡大図
【図7】
図6の7(A)−7(A)線〜7(E)−7(E)線断面図
【図8】
吸気弁閉弁タイミング遅延装置の作動状態を示す、前記図1に対応する図
【図9】
図8の9部拡大図
【図10】
吸気弁の遅閉じ制御によるバルブリフト量の変化を示すグラフ
【図11】
吸気弁の遅閉じ制御時におけるバルブリフト量、コイルの電圧およびコイルの電流の変化を示すタイムチャート
【図12】
油圧ダンパー機構によるバルブリフト量の変化特性を示すグラフ
【図13】
吸気弁のバルブリフト量および油室の油圧の変化特性を示すグラフ
【図14】
オリフィスのL/Dおよび油温に対する吸気バルブの着座時間および着座速度の変化を示すグラフ
【図15】
本発明の第2実施例に係るエンジンのシリンダヘッド部の断面図
【符号の説明】
21    吸気弁
21a   ステムエンド
27    カムシャフト
30    第1吸気ロッカーアーム(ロッカーアーム)
31    第2吸気ロッカーアーム(ロッカーアーム)
62    電磁アクチュエータ機構
63    油圧ダンパー機構
73    アマチュア
74    保持ロッド
84b   シリンダ
88    ピストン
93    油室
O     オリフィス(第1のオリフィス)
Oa〜Oe     オリフィス(第2のオリフィス)

Claims (3)

  1. カムシャフト(27)により吸気ロッカーアーム(30,31)を介して吸気弁(21)を開閉駆動するとともに、電磁アクチュエータ機構(62)のアマチュア(73)に接続された保持ロッド(74)で吸気弁(21)のステムエンド(21a)を押圧して該吸気弁(21)を開弁状態に保持し、かつ電磁アクチュエータ機構(62)による保持を解除されて閉弁状態に復帰する吸気弁(21)の着座時の衝撃を油圧ダンパー機構(63)で緩衝するエンジンの動弁装置であって、
    油圧ダンパー機構(63)は、シリンダ(84b)と、シリンダ(84b)に摺動自在に嵌合するピストン(88)と、シリンダ(84b)およびピストン(88)により区画されてオイルが供給される油室(93)と、保持ロッド(74)に押圧されたピストン(88)の移動に伴って油室(93)から排出されるオイルが通過するオリフィス(O,Oa〜Oe)とを備え、
    前記オリフィス(O,Oa〜Oe)は、油室(93)に開口する第1のオリフィス(O)と、ピストン(88)の側壁を貫通する第2のオリフィス(Oa〜Oe)とから構成され、前記第2のオリフィス(Oa〜Oe)はピストン(88)の周方向に等間隔に設けられており、かつピストン(88)の上記移動に伴って通路断面積の減少幅が徐々に減少することを特徴とするエンジンの動弁装置。
  2. 前記第2のオリフィス(Oa〜Oe)は、ピストン(88)の移動方向に沿って複数段に設けられており、保持ロッド(74)に押圧されたピストン(88)の移動に伴って開口する前記第2のオリフィス(Oa〜Oe)の数が減少することを特徴とする、請求項1に記載のエンジンの動弁装置。
  3. 前記第2のオリフィス(Oa〜Oe)は、各段毎に位相を異ならせて設けられたことを特徴とする、請求項2に記載のエンジンの動弁装置。
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