JP4165094B2 - 電磁駆動弁 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は内燃機関の吸排気用の弁(バルブ以下バルブと記載)駆動装置に関し、電磁力によりバルブの開閉を行う電磁式のバルブ駆動装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関(以下エンジンと記す)の吸排気行程において、吸気バルブ及び排気バルブ(以下ではバルブ4と記す)の開閉を行うことを目的として、現在、主流のカム駆動に代えて、電磁力を用いて駆動する電磁式バルブ駆動装置が提案されてきている。この電磁式バルブ駆動装置は、バルブ4と連動するアーマチャ14と、アーマチャ14を吸引するための電磁石と、アーマチャ14を付勢するスプリングとを構成要素としている。そして、アーマチャ14の移動方向両側にスプリングと電磁石17の組が配置され、スプリング付勢力及び電磁石17の吸引力によってアーマチャ14を移動させることによって、アーマチャ14と連動しているバルブ4の開閉を行う。このような電磁式バルブ駆動装置を用いると、カム機構をはじめとする機械的構成が簡素化されるとともに、低コスト化、小型化、燃費特性向上に有利である。さらに、電磁石の吸引力を調整することよって、バルブ4のリフト量を可変にできるため、エンジンへの吸気量を調節することも可能となり、吸入空気量制御装置(スロットルボデー)を省略することも可能である。また、吸気バルブ及び排気バルブの開閉タイミングの変更が容易であるので、エンジンの運転状態に応じた理想的なタイミングを設定可能となり、出力特性や燃費特性の改善に寄与することができる。
【0003】
電磁式のバルブ駆動装置において、バルブの開閉速度は、電磁駆動バルブ内のアーマチャを支持するためのスプリングのばね定数に依存し、ばね定数が高くなるほどバルブ開閉速度も速くなるため、ある一定以上のばね定数が必要となる。そして、アーマチャを吸引するための電磁石は、スプリングに抗する電磁吸引力が必要となる。また、エンジンのシリンダヘッド上部に各気筒ごとに、バルブ駆動装置を設置する場合は、装置自体の小型化が必要となる。そこで、バルブ駆動装置を小型で且つ高い電磁吸引力を得るために、電磁石に大電流を流す必要があり、電磁石を構成するコイルの抵抗による発熱によりコイルの温度が上昇する。その結果、コアの内部抵抗も増加して、ひいては電磁石の電磁吸引力が低下してしまう恐れがある。このため、冷媒を潤滑させるなどして積極的に電磁石を冷却する必要がある。
【0004】
上記問題を解決するための冷却手段を備えた電磁式のバルブ駆動装置として、特開平10−306712号公報がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
特開平10−306712号公報に開示された技術は、電磁駆動バルブの電磁石つまりコアの周りに冷却通路管を設け、この冷却通路管に冷媒を流通させることによって電磁石を冷却する技術が開示されている。
【0006】
しかしながら、上記従来の技術は、電磁石のコア部分を冷却することによって、熱源である電磁石のコイルを間接的に冷却するため、冷却効率が低下してしまうという問題が生じる。
【0007】
【問題を解決するための手段】
上記問題を解決するために、手段及び作用効果について以下に記載する。
(1)請求項1に記載の発明は、内燃機関の吸気弁または排気弁に連動するアーマチャと、複数のプレートを積層したコア及びこのコアの内部に設けられるコイルにより形成されて前記アーマチャの変位方向に配置される電磁石と、この電磁石を冷却する冷媒を流通させるための冷却通路と、前記電磁石が取り付けられてこれを覆うケースとを備える電磁駆動弁において、前記冷媒通路は、前記コアと前記コイルとの間に形成されることにより前記コイルに隣接するものであって、且つ前記複数のプレートの積層方向に前記冷媒を流通させる態様で形成されるものであり、前記コアは、前記冷媒通路を介して前記コイルと対向する部位である基部に、一定以上の磁路断面積を確保するための突起が前記冷媒通路とは反対側に向けて突出する態様で形成されるものであり、前記ケースは、前記突起をはめ込むことのできる形状の溝が形成されるものであり、前記電磁石は、この溝に前記突起がはめ込まれることにより前記ケースに固定されるものであることを要旨としている。
【0008】
上記発明によれば、コアとコイルによって形成される電磁石において、冷却通路を前記コイルに隣接するように設置することにより、積極的且つ直接的にコイルを冷却することができるので、冷却効率を向上させることができる。
また、コイルとコイルに隣接するコアの間に隙間を空けることで冷却通路を形成するため、簡単に冷却通路を形成することができるとともに冷却通路による電磁駆動バルブの大型化を抑制することができる。
また、コアとコイルの間に冷却通路を設け、冷却通路近辺のコアをコアの磁束断面積を他の部分の磁束断面積を確保できるような突起を設けることにより、コア自体の大型化つまり電磁駆動バルブの大型化を抑制する。
また、上記突起を用いてコアつまり組み付け時においては電磁石の固定手段として用いることができ、電磁石の固定のために他の部材が必要なく部品数の削減、構造の簡単化することができる。
【0009】
(2)請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電磁駆動弁において、前記突起が前記ケースにカシメ固定されることにより前記電磁石が前記ケースに固定されることを要旨としている。
【0010】
上記発明によれば、固定手段として用いる上記突起を用いてカシメ留めすることによりケースに電磁石を固定する作業性が向上する。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図を用いて本発明の電磁駆動バルブの実施例を詳細に説明する。最初に、電磁駆動バルブ1の機能及び搭載について説明する。
【0018】
図1は、直列4気筒で1気筒毎に吸排気バルブがそれぞれ2つずつ設けられたエンジンのシリンダヘッド3に電磁駆動バルブ1を搭載した図である。シリンダヘッド3には各気筒に対し吸気ポートと排気ポートがそれぞれ2個ずつあるため、電磁駆動バルブ1は、各気筒毎の2つのアーマチャ及び電磁石を1つのケースに納めた状態で吸気側と排気側にそれぞれ搭載される。(図1には、吸気側のポート2のみ示す。)
【0019】
まず、バルブ及び吸排気システムについて説明する。図2に示すように、電磁駆動バルブ1は、バルブ4を備えている。バルブ4は、内燃機関の吸気バルブまたは排気バルブを構成する部材である。バルブ4は、内燃機関の燃焼室内に露出するようにシリンダヘッド3に配設される。内燃機関のシリンダヘッド3には、吸気ポートおよび排気ポートが形成されている。(図2は、吸気ポートが示されている。)ポート2には、バルブ4に対する弁座が形成され、バルブ4が弁座から離座することにより開弁状態となり、また、バルブ4が弁座に着座することにより閉弁状態となる。
【0020】
次に、バルブ、アーマチャステムについて説明する。図2に示すように、バルブ4には、弁軸5が固定されている。弁軸5は、バルブガイド6により軸方向に摺動可能に保持されている。バルブガイド6は、シリンダヘッド3に支持されている。弁軸5の上部には、アーマチャステム8が固定され、アーマチャステム8は、アーマチャステムガイド7により弁軸5に連動し同軸方向に動き、摺動可能になっている。アーマチャステム8は、例えばステンレス鋼やチタン合金等の如く、硬度の高い非磁性或いは磁気特性の低い材料で構成されている。
【0021】
次に、ロアリテーナとスプリングについて説明する。弁軸5には、ロアリテーナ16が固定されている。ロアリテーナ16とシリンダヘッド3との間には、両者を離間させる方向の付勢力を発生するロアスプリング9Bが配設されている。ロアスプリング9Bは、ロアリテーナ16すなわち弁軸5およびバルブ4を、図2における上方へ向けて付勢している。
【0022】
次に、キャップとアッパーリテーナとスプリングについて説明する。図2に示すように、アーマチャステム8の上端部には、アッパーリテーナ15が固定され、このアッパーリテーナ15の上部には、アッパスプリング9Aの下端部が当接している。さらに、アッパスプリング9Aの上部にはアッパーケースによって固定されたキャップ10が配設されることにより、アッパスプリング9Aはアッパーリテーナ15とキャップ10を離間させる方向に付勢力を生じさせる。すなわち、アッパスプリング9Aは、アッパーリテーナ15及びアーマチャステム8を、図2における下方へ向けて付勢している。
【0023】
次に、図3を用いて、アーマチャについて説明する。アーマチャ14は、矩形の板状の部材であり、アーマチャステム8をアーマチャ14の中心に直行するように貫通させた状態で接合されている。アーマチャ14は、電子ビーム溶接、レーザ溶接、ろう付け、カシメ、接着等の手法でアーマチャステム8に接合されている。
【0024】
アーマチャ本体は、Feをベース材料として用い、高磁束密度と高体積固有抵抗を持つように調整されたバルク材か、電磁鋼板を積層して構成されている。
【0025】
次に、図4及び5を用いて、電磁石17およびコイル、コアについて説明する。アーマチャ14を吸引する電磁石17は、コア18とコイル19によって構成される。図4に示すように、アッパーコア18Aは、E型プレート20を積層することによって形成され、アーマチャステム8が貫通する貫通孔として、E型断面のコアの中央突起によって形成される捲き芯12の中央部を貫く貫通孔11Aを備えている。また、図2に示すロアコア18Bは、アッパーコア18Aと同一の形状であり、貫通孔11Bを有する。
【0026】
アッパーコイル19Aまたはロアコイル19Bは、樹脂でコーティングされたエナメル線(電線)であり、図5に示すようにE型断面のコアの中央突起を捲き芯12としてコイルを捲きつけ、E型断面のコアの凹部をコイルによってほぼ満たし、図示しない端子をコイルに設けることにより、電磁石17を構成する。
【0027】
次に、図6及び7を用いて、アッパ・ロアケースについて説明する。電磁駆動バルブ1の上部は、電磁石17の上面及び相対する一対の側面を覆う壁面と円筒部21を一体化したアッパーケース22Aが設けられる。円筒部21は、中空の円筒であり電磁石17の上壁の上部に位置する。また、電磁駆動バルブ1の下部には電磁石17の下面及び相対する一対の側面を覆う壁面によって形成されたロアケース22Bが設けられる。
【0028】
アッパーケース22A及びロアケース22Bの内側には、空間を2等分し、側壁と平行な隔壁26が設られ、この2等分された空間にそれぞれ電磁石17が、図6及び7には図示しない捲き芯12の開放端が対向するように搭載される。このような構造により、アッパーケース22A及びロアケース22Bの電磁石搭載部分の横断面形状は略四角形となる。また、アッパーケース22A及びロアケース22Bには、図2に示すように、貫通孔11C、11Dが電磁石17に設けられた貫通孔11A及び11Bに連通するように設けられている。また、図6及び7には図示しないアッパーケース22Aに設けた貫通孔11Cは、さらに円筒部21に連通している。
【0029】
次に、図6乃至8を用いて、ミドルスペーサについて説明する。ミドルスペーサは、図8に示すように、側面をすべて側壁により覆い、側壁に平行で、内部空間を2等分割する隔壁23Mを有する。そして、図6及び7に示すように、アッパーケース22Aとロアケース22Bの間に設けられる。この隔壁23Mの上部及び下部の断面が、組み付け時にケースの隔壁26断面と相対することにより、隔壁によってケース内の空間は仕切られるとともに、2つのコアを押さえつけている。このミドルスペーサ23もアッパーケース22A及びロアケース22Bと同様に横断面形状は略四角形となる。
【0030】
次に、ケース・ミドルスペーサの固定について説明する。アッパーケース22A、ロアケース22B及びミドルスペーサ23の横断面の略四角形の四隅24にはボルト締結用の穴を有し、ボルト25によってアッパーケース22A、ミドルスペーサ23、ロアケース22Bを一体化するとともに、シリンダヘッドに3に締結される。
【0031】
次に、ケース、電磁石、アーマチャ、アーマチャステムの関係について説明する。電磁駆動バルブ1の組み立て時には、図2に示すようにアッパーケース22Aと電磁石17の連通する貫通孔11A及び11Cと、ロアケース22Bと電磁石17の連通する貫通孔11B及び11Dは、同軸上に位置する。それぞれのケース及び電磁石17の貫通孔11A、11Bにはアーマチャステムガイド7を挿入し、アーマチャステムガイド7内部においてアーマチャステム8が摺動するとともに、ミドルスペーサ内側の空間にはそれぞれアーマチャ14が配置される。このように、ミドルスペーサ23にアーマチャ14の可動空間を有することによって、アッパーケース22Aおよびロアケース22Bに設けた電磁石17はそれぞれアーマチャステム8方向に隣接し、アーマチャ14を挟み込むように配置される。
【0032】
すなわち、ミドルスペーサ23は電磁石17が内側に設置されたアッパーケース22Aとロアケース22Bに挟まれ、両ケース内の電磁石17がアーマチャ14の上下に位置するため、アーマチャ14の移動量は上下に位置する電磁石17の間、すなわち、ほぼミドルスペーサ23の厚さ分だけ可能である。
【0033】
次に、磁石部とスプリング部の関係について説明する。アッパースプリング9A、キャップ10、アッパーリテーナ15は、アッパーケース22Aの円筒部21に収納され、ロアスプリング9Bとロアリテーナ16は図示しないシリンダヘッド3の窪み部分に配置され、アーマチャ14及び電磁石17はアッパースプリング9Aとロアスプリング9Bの間に配置される。この構造によって、両スプリングの付勢力は、アーマチャ14方向に常時付勢するため、アーマチャ14は中立点に保たれる。
【0034】
以下、電磁駆動バルブ1の動作について説明する。アッパーコイル19Aおよびロアコイル19Bに励磁電流が供給されていない場合は、スプリングの付勢力によりアーマチャ14がその中立位置、すなわち、アッパーコア18Aとロアコア18Bとの中間に維持される。アーマチャ14が中立位置に維持された状態で、アッパーコイル19Aへの励磁電流の供給が開始されると、アッパーコイル19Aは、その内外周を還流する磁界を発生する。
【0035】
アッパーコア18A、アーマチャ14、および、アッパーコア18Aとアーマチャ14との間に形成されるエアギャップは、アッパーコイル19Aと錯交する磁気回路を形成している。アッパーコイル19Aが発生する磁界は、この磁気回路を還流する磁束、すなわち、アッパーコア18Aの内周側→エアギャップ→アーマチャ14の内周側→アーマチャ14の外周側→エアギャップ→アッパーコア18Aの外周側→アッパーコア18Aの内周側で表される流通経路、または、この逆の流通経路を辿って還流する磁束を発生させる。
【0036】
上記の流通経路を辿って還流する磁束が発生すると、アッパーコア18Aには、アーマチャ14をアッパーコア18A側へ付勢する電磁力が作用する。アーマチャ14に対して上記の電磁力が作用すると、アーマチャ14、アーマチャステム8、アッパーリテーナ15、ロアリテーナ16、弁軸5およびバルブ4(以下、これらを総称して可動部27と称す)は、アッパスプリング9Aの付勢力に抗って図2における上方へ向けて変位する。そして、その変位は、アーマチャ14がアッパーコア18Aと当接するまで継続される。以下、アーマチャ14がアッパーコア18Aと当接する位置をバルブ4の閉弁側変位端と称す。
【0037】
アーマチャ14が閉弁側変位端に保持されている場合に、アッパーコイル19Aへの励磁電流の供給が停止されると、その後アーマチャ14を閉弁側変位端に維持するために必要な電磁力が消滅する。そして、その電磁力が消滅すると、可動部27は、アッパスプリング9Aに付勢されることにより、図2に於ける下方へ向けて変位し始める。可動部27の変位量が所定値に達した時点で、ロアコイル19Bに適当な励磁電流を流通させると、今度はアーマチャ14をロアコア18B側へ付勢する電磁力、すなわち、バルブ4を図2において下方へ変位させる電磁力が発生する。
【0038】
アーマチャ14に対して上記の電磁力が作用すると、可動部27はロアスプリング9Bの付勢力に抗ってアーマチャ14がロアコア18Bと当接する付近までまで変位するため、この時に、ロアコイル19Bに通電するとアーマチャ14はロアコア18Bに当接する。以下、アーマチャ14がロアコア18Bと当接する位置を、アーマチャ14、可動部27またはバルブ4の開弁側変位端と称す。従って、本実施例の電磁駆動バルブ1によれば、アッパーコイル19Aとロアコイル19Bとに、適当なタイミングで、交互に適当な大きさの励磁電流を供給することにより、バルブ4を開弁側変位端と閉弁側変位端との間で繰り返し往復運動させることができる。
【0039】
以上のように本実施例では、上下にバネ(スプリング)があるバネー質量系の固有振動を利用して作動させる形式の電磁駆動バルブである。
【0040】
次に、電磁駆動バルブ1の冷却配管について説明する。
【0041】
以下の説明において、電磁駆動バルブ1に電磁石17及びアーマチャ14が対になっていて同一の冷却構造を有するため、片側の電磁駆動バルブ1について説明する。
【0042】
電磁駆動バルブ1には、弁軸5及びアーマチャステム8の潤滑の為に、オイル通路30が設置してあり、図示しないエンジンオイル供給用ポンプによって潤滑油を電磁駆動バルブ1に送り出している。
【0043】
図8に示すように、潤滑油の通路を各電磁駆動バルブ1にオイルを導入するオイル通路30からアーマチャステムガイド用の潤滑用配管29と冷却用配管31に枝分かれさせ、潤滑油をそれぞれのコイル19とコア18の間の冷却通路32に導くことにより、アッパコイル19Aおよびロアコイル19Bの冷却用の冷媒として用いることができる。
【0044】
また、電磁石17に供給する潤滑用配管29及び冷却用配管31を吸気側と排気側の電磁駆動バルブ1の間に設けることにより、空いたスペースを有効に使うことができ、装置全体の省スペース化が可能となる。
【0045】
コイル19とコア18によって形成された冷却通路32は、図9のように略小判形の電磁石17の長辺に平行して設置されるコイル19に沿って形成される。
【0046】
コイル19を冷却した潤滑油は、図示しない潤滑油用のオイルパンに潤滑油の経路によって導かれることにより循環する。
【0047】
次に、電磁石17の冷却通路32について説明する。
【0048】
電磁石17のコイル19はコイルを樹脂によってモールドしてあり、図10及び図11に示すように、コイル19のモールド樹脂は、アッパーコイル19A及びロアコイル19Bの上部に側壁33を形成して冷却通路32を構成することにより、コイル19を直接冷却することができ、コア18やケースを冷却して間接的にコイル19を冷却することに比べ、コイル19を効率良く冷却することができる。
【0049】
アッパーコイル19Aの冷却通路32は、アッパーコイル19Aの上面と、アッパーコイル上部でアッパーコア18Aの断面E型の凹部の内周面側部35Cに形成された樹脂製の側壁33と、冷却通路32の上部に位置するアッパーコア18Aの断面E型の凹部の底面36による上壁によって形成された通路が、アッパーコア18Aの積層方向つまり矩形の電磁石17の長手方向に2本設けられることによって、冷媒を効率良く流通させるとともに、一部をアッパーコイル19Aで形成することによるため、電磁石の熱源で且つ最も冷却の必要なコイル部を直接冷却することがが可能となる。
【0050】
また、冷却通路の周囲がコイルとコアよる壁によって囲まれた通路を形成するため、積極的に冷媒を流すことができることにより冷却能力を向上させ、ひいては冷媒の流量を調節することにより、冷却の効果を変えることで電磁石の温度管理も可能となる。
【0051】
ロアコイル19Bの冷却通路32は、ロアコイル19Bの下部にアッパーコイル19Aの冷却通路32と同様の冷却通路を設けることによって、ロアコイル19Bを直接冷却することができる。
【0052】
次に、前記コア18に設けた突起35について説明する。
【0053】
ここではアッパーコア18A及びロアコア18Bは同一形状であるため、図10に示すアッパーケース22A及びアッパーコア18Aの突起35についてのみ説明する。
【0054】
電磁石17の電磁吸引力を決定する一つの要素として、電磁石17の磁束通過面積があり、本実施例においては、コイル19によって生じる磁界の方向に対し垂直なコア18の断面積である。
【0055】
電磁石17の性能は、磁束が通過する断面の内、最小面積のものに依存するため、磁束通過面積が一部のみ小さくなることは電磁石17の大きさ、つまり電磁駆動バルブ1の大きさに見合った性能を確保することができない。
【0056】
アッパーケース22Aの電磁石収納部分をそのままにして、冷却通路32をアッパーコア18Aとアッパーコイル19Aの間に設けると、アッパーコア基部35Bつまり組み付け時のアッパーコア上部の幅(図11の2点鎖線までの幅)が狭くなり磁束通過断面積が縮小してしまう。
【0057】
そこで、本実施例のように冷却通路32の上方に位置し、アッパーコア基部35Bの上部つまりアッパーケース22A側に突起35を成形することにより、他の部分と同等の磁束通過断面積を確保できる。
【0058】
本実施例のアッパーコア18Aに設けた突起35は、図11に示すような冷却通路32方向に対する断面において、冷却通路32を覆っているアッパーコア18Aの凹部分の底36を形成する辺の端部36Aからの距離が、側方に位置するアッパーコア18A幅Wを維持するように成形されている。
【0059】
また、上記のように冷却通路を設けて、磁束通過面積を維持するためにアッパーコア18A全体を拡大させた場合においても、過大な磁束通過面積を有する部分を削除することよって、結果的にアッパーコア18Aに突起35を設けた形状となり、過剰にアッパーケース22Aの肉厚を薄くすることなく、アッパーコア18Aの強度低下を抑制し、電磁石17の大きさの拡大を小さくすることができる。
【0060】
上記効果を有するためには、少なくとも突起35の付け根37は、図11の点線にて示す頂点からアッパーコア18Aの幅分だけの距離以上になるように成形すれば良い。
【0061】
本実施例の突起35の高さは、突起35を含む冷却通路32上部のアッパーコア18Aの幅が、アッパーコイル19Aの側部方向のアッパーコア18Aの幅Wと一致し、一定の磁束通過面積を確保する。
【0062】
次に、アッパーコア18Aの上部に設けた突起35によるアッパーコア18Aの固定について説明する。
【0063】
本実施例のアッパーコア18Aに設けた突起35は、図11に示しように、冷却通路32方向に対する側断面における、突起35の付け根37から上方に突起35の横幅が広がる形状とし、アッパーコア18Aの突起35に合った溝部38をアッパーケース22Aに設けて、溝方向に電磁石17をスライドさせながら嵌めこむことでアッパーケース22Aに設置することにより、アッパーケース22Aに対するアッパーコア18Aの位置決め及び固定を行う機能を有する。
【0064】
突起上部35Aは突起下部35Bに比べて横幅方向に広がる形状であるため、電磁駆動バルブ1が作動するときに電磁石17働く上下方向の吸引力に対し、十分な固定を行うことができる。
【0065】
本実施例のように、磁束通過面積を維持するための突起を用いることにより、簡単な構造により電磁石17の固定を行うとともに、電磁石17の固定構造による電磁駆動バルブの大型化を抑制することができる。
【0066】
上記効果を有するためには、少なくとも突起35の形状が、突起部分のアッパーコア18Aの幅又は厚さがアーマチャ14方向とは反対方向に広がる形状を有し、ケース形状はその突起35の形状に合った溝部38を設ければ良い。
【0067】
次に、突起35の形状を有するコア18のカシメによる取り付け方法について説明する。
【0068】
ここでは、アッパーコア18A及びロアコア18Bのカシメ取り付け方法は同一であるため、図12に示すようにアッパーコア18Aの取り付けのみついて説明する。
【0069】
上述した突起35及び溝部38の形状において、溝部38の寸法に比べ突起35の形状の寸法を若干小さくして、アッパーコア18Aをアッパーケース22Aにスライドさせるように挿入することにより組付け、アッパーコア18Aの外側の突起35を挟み込むような位置に、メタル部材39を打ち込む、あるいはケース22Aの肉をへこませてフローさせることにより、アッパーケース22Aが塑性変形し、アッパーコア18Aの突起35はアッパーケース22Aの溝部38によって挟まれることによりカシメ留めができ、電磁石17をアッパーケース22Aに容易に固定することができる。
【0070】
他の実施例として、図13及び図14に示すように、コア18の突起35の形状及びケース22の形状を左右非対称として、突起35の固定部の傾斜部40Aをケース溝部38と形状が一致するよう固定部の傾斜部40Aを設け、傾斜部反対側の固定部の傾斜部40Bは、ケース溝部38とコア18の突起35の間に隙間が生じるように、コア18の突起35をケース溝部38より小さい形状とする。
【0071】
この構造により、コア18をケースに組み付ける際には、コア18の突起35のケース溝部38と一致する固定部の傾斜部40Aを有する側による位置決めを行い、カシメ固定する際には、カシメ固定によるケースの塑性変形によって反対側のケース溝部38とコア18の突起35の間に隙間を埋めるようにしてコア18をケースに固定する。
【0072】
上記のように、突起35の側面の片側である固定部の傾斜部40Aで位置決めを行い、反対側40Bに隙間を設けることにより、コア18をケース22にスライドさせて挿入することが容易行えるため、作業性が向上する。
【0073】
また、図15及び16に示すように、上記構成のコア18突起35及びケース溝部38において、突起35の最大幅と最小幅の差が組み付け時の隙間と同等もしくはそれ以上にして、カシメ加工時におけるアッパーケース22Aの塑性変形分を大きくして隙間を埋めるように固定することにより、電磁石17をケース溝部38の垂直方向から組み付けることが可能となり作業性が向上する。
【0074】
また、ロアコイル19Bの冷却における他の実施例として、図17に示すように、ロアコイル19B及び側壁33よって形成され、コア18の積層方向つまり矩形の電磁石17の長手方向に連通する溝状の冷却通路32Aを2本設けることにより、アッパーコイル19Aと同様冷却効率の良い冷却が可能となる。ロアコイル19Bの上部つまりアーマチャ14側に冷却通路32を設けることにより、熱が集まり易い上部を冷却することができるために冷却効果も向上する。
【0075】
本実施例の冷却用のオイルとして用いている潤滑油の通路は、オイル通路30から枝分かれし、上部の電磁石の冷却通路と下部電磁石の冷却通路に通じているが、本発明の電磁石の冷却部までの冷却通路は、これに限らず任意の通路で良い。
【0076】
本実施例では、電磁駆動バルブ1のコイル19を冷却する冷媒は、潤滑油を用いているが、潤滑油以外の冷媒、例えば専用の冷媒を用いても良い。
【0077】
【発明の効果】
請求項1及び2に記載の発明によれば、発熱部材であると同時に冷却対象であるコイル19を直接冷却することができる。また、冷却通路32を形成するため、冷媒の循環性が良く、冷却性能も向上する。
【0078】
請求項3に記載の発明によれば、コア18に突起35を設けることにより、コア18とコイル19の間に冷却通路32を設けることによる電磁石17の大きさの拡大を抑制するとともに、ケースの肉厚の増加を抑制し、搭載スペースに制限がある電磁駆動バルブ1において、性能を維持しつつ装置自体が小型化されることは有効である。
【0079】
請求項4に記載の発明によれば、電磁石17のコア18の突起35を位置決め及び固定手段に用いることにより、位置決め及び固定の手段を設ける必要がなくなる。
【0080】
請求項5に記載の発明によれば、電磁石17の突起35を利用してケースにカシメ留めすることにより、電磁石17の固定および位置決めが容易にできるため作業性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】電磁駆動バルブ搭載図
【図2】電磁駆動バルブをシリンダヘッドに搭載した状態の断面図
【図3】アーマチャステムに接合したアーマチャ図
【図4】積層コア図
【図5】電磁石図
【図6】電磁駆動バルブ分解図
【図7】電磁駆動バルブ組み付け図
【図8】電磁駆動バルブの潤滑及び冷却通路用排管図
【図9】電磁駆動バルブのコアの冷却通路を上から見た図
【図10】電磁駆動バルブ上部の断面図
【図11】図9におけるコア及びコイル部分の拡大図
【図12】カシメ固定した電磁駆動バルブ上部の断面図
【図13】他の実施例におけるカシメ固定前のコア取りつけ部の拡大図
【図14】他の実施例におけるカシメ固定後のコア取りつけ部の拡大図
【図15】他の実施例におけるコア挿入前のコア取りつけ部の拡大図
【図16】他の実施例におけるコア挿入後のコア取りつけ部の拡大図
【図17】ロアコアの上部に冷却通路を設けた電磁駆動バルブの電磁石部の断面図
【符号の説明】
1…電磁駆動バルブ、4…バルブ、8…アーマチャステム、14…アーマチャ、15…アッパーリテーナ、16…ロアリテーナ、17…電磁石、18…コア、19…コイル、22A…アッパーケース、22B…ロアケース、23…ミドルスペーサ、32…冷却通路、35…アッパーコアの突起、38…溝部、39…メタル部材、
Claims (2)
- 内燃機関の吸気弁または排気弁に連動するアーマチャと、複数のプレートを積層したコア及びこのコアの内部に設けられるコイルにより形成されて前記アーマチャの変位方向に配置される電磁石と、この電磁石を冷却する冷媒を流通させるための冷却通路と、前記電磁石が取り付けられてこれを覆うケースとを備える電磁駆動弁において、
前記冷媒通路は、前記コアと前記コイルとの間に形成されることにより前記コイルに隣接するものであって、且つ前記複数のプレートの積層方向に前記冷媒を流通させる態様で形成されるものであり、
前記コアは、前記冷媒通路を介して前記コイルと対向する部位である基部に、一定以上の磁路断面積を確保するための突起が前記冷媒通路とは反対側に向けて突出する態様で形成されるものであり、
前記ケースは、前記突起をはめ込むことのできる形状の溝が形成されるものであり、
前記電磁石は、この溝に前記突起がはめ込まれることにより前記ケースに固定されるものである
ことを特徴とする電磁駆動弁。 - 請求項1に記載の電磁駆動弁において、
前記突起が前記ケースにカシメ固定されることにより前記電磁石が前記ケースに固定される
ことを特徴とする電磁駆動弁。
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