JP2004051845A - 透明持続性帯電防止熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】透明性、帯電防止性、耐衝撃性に優れ、且つ成形加工性に優れた透明持続性帯電防止熱可塑性樹脂組成物の提供。
【解決手段】芳香族ビニル系単量体または芳香族ビニル系単量体とシアン化ビニル系単量体および(メタ)アクリル酸エステル系単量体の中から選ばれた1種以上の単量体を重合してなる透明スチレン系樹脂(A)と少なくとも屈折率の異なる(屈折率差が0.01以上)2種以上のポリエーテルエステルアミド(B)からなり、樹脂成形品(3mm厚み)とした時の全光線透過率が75%以上であり、かつヘイズが15.0以下である透明持続性帯電防止熱可塑性樹脂組成物。
【選択図】 なし
【解決手段】芳香族ビニル系単量体または芳香族ビニル系単量体とシアン化ビニル系単量体および(メタ)アクリル酸エステル系単量体の中から選ばれた1種以上の単量体を重合してなる透明スチレン系樹脂(A)と少なくとも屈折率の異なる(屈折率差が0.01以上)2種以上のポリエーテルエステルアミド(B)からなり、樹脂成形品(3mm厚み)とした時の全光線透過率が75%以上であり、かつヘイズが15.0以下である透明持続性帯電防止熱可塑性樹脂組成物。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、透明性、帯電防止性、耐衝撃性に優れ、且つ成形加工性に優れた透明持続性帯電防止熱可塑性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリスチレン、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体等のスチレン系樹脂は、透明性および靭性に優れることより、家電製品、OA機器分野などに利用されている。しかしながら、これらスチレン系樹脂は表面固有抵抗が高く容易に帯電するため、埃等が付着し外観を損ねたり、特に電子機器部品においては静電気障害を招くなどの欠点を有している。このため、従来よりこれらスチレン系樹脂に対して例えば界面活性剤等の帯電防止剤を塗布する、または練り込む方法が行われているが、水洗や摩擦等により樹脂表面の帯電防止剤が除去され、持続的な帯電防止効果を付与することが困難である。
【0003】
そこで、持続的な帯電防止性能を付与する方法として、例えばポリオキシエチレン鎖及びスルホン酸塩、カルボン酸塩あるいは第4級アンモニウム塩を含有するビニル系共重合体とアクリル系樹脂を配合すること(特開昭55−36237号、特開昭63−63739号)、さらにはポリエーテルエステルアミドと他の帯電防止剤(スルホン酸塩等)とを組み合わせること(特開平8−253640号)が提案されといるが、透明性と帯電防止性および耐衝撃性、成形加工性の物性バランスにおいて十分ではなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、該課題を解決すべくなされたもので、透明性、帯電防止性、耐衝撃性に優れ、かつ成形加工性に優れた、透明スチレン系樹脂をベースとする透明持続性帯電防止熱可塑性樹脂組成物を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、かかる課題に鑑み鋭意検討を行った結果、特定のスチレン系樹脂と、特定のポリエーテルエステルアミドを2種以上混ぜ合わせることにより、透明性、帯電防止性、耐衝撃性に優れ、かつ成形加工性に優れた透明持続性帯電防止熱可塑性樹脂組成物が得られることを見出し、本発明に達したものである。
すなわち、本発明は、
芳香族ビニル系単量体または芳香族ビニル系単量体とシアン化ビニル系単量体および(メタ)アクリル酸エステル系単量体の中から選ばれた1種以上の単量体を重合してなる透明スチレン系樹脂(A)と少なくとも屈折率の異なる(屈折率差が0.01以上)2種以上のポリエーテルエステルアミド(B)からなり、樹脂成形品(3mm厚み)とした時の全光線透過率が75%以上であり、かつヘイズが15.0以下である透明持続性帯電防止熱可塑性樹脂組成物を提供するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の透明持続性帯電防止熱可塑性樹脂組成物につき詳細に説明する。
【0007】
本発明において使用される透明スチレン系樹脂(A)とは、芳香族ビニル系単量体または芳香族ビニル系単量体とシアン化ビニル系単量体および/または(メタ)アクリル酸エステル系単量体の中から選ばれた1種以上の単量体を重合して得られるものである。
【0008】
透明スチレン系樹脂(A)を構成する芳香族ビニル系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、パラメチルスチレン、等が挙げられ、一種または二種以上用いることができる。
シアン化ビニル系単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられ、一種または二種以上用いることができる。
(メタ)アクリル酸エステル系単量体としては、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル等が挙げられ、一種または二種以上用いることができる。
また、本発明においては、上記芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体および/または(メタ)アクリル酸エステル系単量体と共に必要に応じて他の共重合可能な単量体、例えばN−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド系単量体、アクリル酸、メタクリル酸等の不飽和カルボン酸等を使用することも可能である。
【0009】
上記各単量体の組成比については特に制限はないが、芳香族ビニル系単量体10〜100重量%、シアン化ビニル系単量体および/または(メタ)アクリル酸エステル系単量体の中から選ばれた1種以上の単量体0〜90重量%であることが好ましく、特に芳香族ビニル系単量体10〜90重量%、シアン化ビニル系単量体0〜80重量%および/または(メタ)アクリル酸エステル系単量体10〜90重量%であることがさらに好ましい。
【0010】
本発明における透明スチレン系樹脂(A)の固有粘度(30℃、ジメチルホルムアミド溶媒)は0.2〜1.2dl/gの範囲にあることが好ましい。該固有粘度が0.2dl/g未満では耐衝撃性に劣り、また1.2dl/gを超えると成形加工性が低下する。
【0011】
また、本発明において使用されるポリエーテルエステルアミド(B)としては、少なくとも屈折率の異なる2種以上を併用することが必要である。この屈折率の異なる2種以上のポリエーテルエステルアミドを使用することにより、ゴム強化スチレン系樹脂(A)の透明性を維持したままで帯電防止性に加えて、優れた耐衝撃性を付与した材料が供給できるものである。このようなポリエーテルエステルアミドとしては、炭素数6以上のアミノカルボン酸、炭素数6以上のラクタムおよびジアミンとジカルボン酸とから得られる炭素数6以上のナイロン塩からなる群より選ばれる少なくとも1種のポリアミド系化合物およびジカルボン酸から誘導される両末端カルボキシル基を含有するポリアミドとポリオキシアルキレングリコールおよび/またはビスフェノール類のエチレンオキシド付加物からなるポリエーテルジオールとを重縮合させて得られる化合物等が挙げられ、分子量、構造および/または組成の異なる2種以上用いることができる。
また、本発明においては、上記のとおりポリエーテルエステルアミド(B)として少なくとも屈折率の異なる(屈折率差が0.01以上)2種以上を併用することが必要である。2種以上のポリエーテルエステルアミドを併用しない場合、または併用してもその屈折率差が0.01未満では耐衝撃性に劣るため好ましくない。また、屈折率の異なる2種以上のポリエーテルエステルアミドの混合割合には特に制限はないが、例えば2種の場合には99/1〜1/99(重量比)の範囲であることが好ましい。
【0012】
上記ポリエーテルエステルアミド(B)の使用割合については、透明スチレン系樹脂(A)100重量部に対して3〜30重量部であることが好ましい。ポリエーテルエステルアミド(B)が3重量部未満では十分な帯電防止性が得られず、また30重量部を超えると透明性及び耐熱性が低下する。
【0013】
また、上記ポリエーテルエステルアミド(B)の屈折率は、30℃以下の使用環境下において1.40〜1.60であることが好ましい。ポリエーテルエステルアミド(B)の屈折率が1.40未満または1.60以上では透明スチレン系樹脂(A)の屈折率と異なるため透明性が低下する。
【0014】
本発明は、上記のとおり、透明スチレン系樹脂(A)と少なくとも屈折率の異なる2種以上のポリエーテルエステルアミド(B)からなり、樹脂成形品(3mm厚み)とした時の全光線透過率が75%以上であり、かつヘイズが15.0以下である樹脂組成物である。該樹脂成形品の全光線透過率を75%以上、かつヘイズを15.0以下とするには、(A)における各単量体組成、アセトン可溶分の固有粘度、さらに透明スチレン系樹脂(A)と組み合せて使用するポリエーテルエステルアミド(B)の種類およびその使用割合によって設定することができる。
【0015】
本発明における各成分の混合方法には特に制限はなく、押出機、バンバリーミキサー、ロール、ニーダー等を用いて混合することができる。
【0016】
また、本発明の透明持続性帯電防止熱可塑性樹脂組成物には、公知の添加剤、例えば酸化防止剤〔2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2−(1−メチルシクロヘキシル)−4,6−ジメチルフェノール、2、2−メチレンビス−(4−エチル−6−t−メチルフェノール)、4,4’−チオビス−(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、ジラウリルチオジプロピオネート、トリス(ジ−ノニルフェニル)ホスファイト等が例示される。〕、紫外線吸収剤〔p−t−ブチルフェニルサリシレート、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−(2’−ヒドロキシ−4’−n−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール等が例示される。〕、滑剤〔パラフィンワックス、ステアリン酸、硬化油、ステアロアミド、メチレンビスステアロアミド、エチレンビスステアロアミド、n−ブチルステアレート、ケトンワックス、オクチルアルコール、ラウリルアルコール、ヒドロキシステアリン酸トリグリセリド等が例示される。〕、着色剤〔例えば酸化チタン、カーボンブラック〕、充填剤〔例えば炭酸カルシウム、クレー、シリカ、ガラス繊維、ガラス球、カーボン繊維等が例示される。〕等を必要に応じて添加することができる。
【0017】
さらに、本発明においてはポリカーボネート、ポリアミド、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンオキサイド、ポリオキシメチレン、塩素化ポリエチレン等の他の熱可塑性樹脂を必要に応じて透明性を保持する範囲内にて混合することができる。
【0018】
本発明をさらに具体的に説明するために以下に実施例及び比較例を挙げて説明する。しかし、これらによって本発明は何ら制限されるものではない。
【0019】
〔実施例〕
−透明スチレン系樹脂(A)−
A−1:窒素置換した反応器に、純水130部および過硫酸カリウム0.3部を仕込んだ後、攪拌下に65℃に昇温した。その後、アクリロニトリル10部、スチレン30部、メタクリル酸メチル60部およびt−ドデシルメルカプタン0.35部からなる混合モノマー溶液および不均化ロジン酸カリウム2部を含む乳化剤水溶液30部を各々4時間に亘って連続添加し、その後重合系を70℃に昇温し、2時間熟成を行ない重合を終了した。塩析、脱水、乾燥後、固有粘度0.50の透明スチレン系樹脂(A−1)を得た。
【0020】
A−2:ポリスチレン(日本ポリスチレン社製 G590、固有粘度0.82)
【0021】
A−3:メチルメタクリレート−スチレン共重合体(日本エイアンドエル社製、MM−60、固有粘度0.44)
【0022】
−ポリエーテルエステルアミド(B)−
B−1:ペレスタット NC6321(三洋化成工業株式会社製 屈折率:1.516)
B−2:ペレスタット NC7530(三洋化成工業株式会社製 屈折率:1.536)
B−I:ポリエチレンオキサイド(住友精化株式会社製 炭素数:8〜10)
B−II:ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム
【0023】
〔実施例1〜4、比較例1〜6〕
上記各成分につき、表1に示された配合割合で混合し、40mm二軸押出機を用いて200℃で溶融混練し、ペレットを得た。
また、得られたペレットにつき東芝機械製IS−90B射出成形機を用い、シリンダー設定温度200℃にて各試験片を作成し、次の各評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0024】
全光線透過率:厚さ3mmの試験片を用いて、(株)村上色彩技術研究所製反射・透過率計HR−100で測定した。
【0025】
ヘイズ:全光線透過率測定と同一試験片を用いて、(株)村上色彩技術研究所製反射・透過率計HR−100で測定した。
【0026】
耐衝撃性:ASTM D−256に準じてアイゾット衝撃強度を測定。単位:MPa。
【0027】
成形加工性:ASTM D−1238に準じてメルトフローレイトを測定した。220℃×10kg、単位:g/10min。
【0028】
帯電防止性:厚さ3mmの射出成形された角試験片を用い、1ヶ月間23℃、湿度50%RH下で状態調整し、水洗処理前後の表面固有抵抗値を東亞電子工業(株)製ウルトラメガームメーターSN8210にて測定した。単位:Ω
【0029】
【表1】
【0030】
【発明の効果】
上記のとおり、本発明の透明持続性帯電防止熱可塑性樹脂組成物は、透明性、帯電防止性、衝撃性に優れ、かつ成形加工性に優れるものであり、透明性が要求され、かつ帯電防止性の必要とされる家電・OA機器、ゲーム機等の分野にて好適に使用することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、透明性、帯電防止性、耐衝撃性に優れ、且つ成形加工性に優れた透明持続性帯電防止熱可塑性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリスチレン、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体等のスチレン系樹脂は、透明性および靭性に優れることより、家電製品、OA機器分野などに利用されている。しかしながら、これらスチレン系樹脂は表面固有抵抗が高く容易に帯電するため、埃等が付着し外観を損ねたり、特に電子機器部品においては静電気障害を招くなどの欠点を有している。このため、従来よりこれらスチレン系樹脂に対して例えば界面活性剤等の帯電防止剤を塗布する、または練り込む方法が行われているが、水洗や摩擦等により樹脂表面の帯電防止剤が除去され、持続的な帯電防止効果を付与することが困難である。
【0003】
そこで、持続的な帯電防止性能を付与する方法として、例えばポリオキシエチレン鎖及びスルホン酸塩、カルボン酸塩あるいは第4級アンモニウム塩を含有するビニル系共重合体とアクリル系樹脂を配合すること(特開昭55−36237号、特開昭63−63739号)、さらにはポリエーテルエステルアミドと他の帯電防止剤(スルホン酸塩等)とを組み合わせること(特開平8−253640号)が提案されといるが、透明性と帯電防止性および耐衝撃性、成形加工性の物性バランスにおいて十分ではなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、該課題を解決すべくなされたもので、透明性、帯電防止性、耐衝撃性に優れ、かつ成形加工性に優れた、透明スチレン系樹脂をベースとする透明持続性帯電防止熱可塑性樹脂組成物を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、かかる課題に鑑み鋭意検討を行った結果、特定のスチレン系樹脂と、特定のポリエーテルエステルアミドを2種以上混ぜ合わせることにより、透明性、帯電防止性、耐衝撃性に優れ、かつ成形加工性に優れた透明持続性帯電防止熱可塑性樹脂組成物が得られることを見出し、本発明に達したものである。
すなわち、本発明は、
芳香族ビニル系単量体または芳香族ビニル系単量体とシアン化ビニル系単量体および(メタ)アクリル酸エステル系単量体の中から選ばれた1種以上の単量体を重合してなる透明スチレン系樹脂(A)と少なくとも屈折率の異なる(屈折率差が0.01以上)2種以上のポリエーテルエステルアミド(B)からなり、樹脂成形品(3mm厚み)とした時の全光線透過率が75%以上であり、かつヘイズが15.0以下である透明持続性帯電防止熱可塑性樹脂組成物を提供するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の透明持続性帯電防止熱可塑性樹脂組成物につき詳細に説明する。
【0007】
本発明において使用される透明スチレン系樹脂(A)とは、芳香族ビニル系単量体または芳香族ビニル系単量体とシアン化ビニル系単量体および/または(メタ)アクリル酸エステル系単量体の中から選ばれた1種以上の単量体を重合して得られるものである。
【0008】
透明スチレン系樹脂(A)を構成する芳香族ビニル系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、パラメチルスチレン、等が挙げられ、一種または二種以上用いることができる。
シアン化ビニル系単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられ、一種または二種以上用いることができる。
(メタ)アクリル酸エステル系単量体としては、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル等が挙げられ、一種または二種以上用いることができる。
また、本発明においては、上記芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体および/または(メタ)アクリル酸エステル系単量体と共に必要に応じて他の共重合可能な単量体、例えばN−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド系単量体、アクリル酸、メタクリル酸等の不飽和カルボン酸等を使用することも可能である。
【0009】
上記各単量体の組成比については特に制限はないが、芳香族ビニル系単量体10〜100重量%、シアン化ビニル系単量体および/または(メタ)アクリル酸エステル系単量体の中から選ばれた1種以上の単量体0〜90重量%であることが好ましく、特に芳香族ビニル系単量体10〜90重量%、シアン化ビニル系単量体0〜80重量%および/または(メタ)アクリル酸エステル系単量体10〜90重量%であることがさらに好ましい。
【0010】
本発明における透明スチレン系樹脂(A)の固有粘度(30℃、ジメチルホルムアミド溶媒)は0.2〜1.2dl/gの範囲にあることが好ましい。該固有粘度が0.2dl/g未満では耐衝撃性に劣り、また1.2dl/gを超えると成形加工性が低下する。
【0011】
また、本発明において使用されるポリエーテルエステルアミド(B)としては、少なくとも屈折率の異なる2種以上を併用することが必要である。この屈折率の異なる2種以上のポリエーテルエステルアミドを使用することにより、ゴム強化スチレン系樹脂(A)の透明性を維持したままで帯電防止性に加えて、優れた耐衝撃性を付与した材料が供給できるものである。このようなポリエーテルエステルアミドとしては、炭素数6以上のアミノカルボン酸、炭素数6以上のラクタムおよびジアミンとジカルボン酸とから得られる炭素数6以上のナイロン塩からなる群より選ばれる少なくとも1種のポリアミド系化合物およびジカルボン酸から誘導される両末端カルボキシル基を含有するポリアミドとポリオキシアルキレングリコールおよび/またはビスフェノール類のエチレンオキシド付加物からなるポリエーテルジオールとを重縮合させて得られる化合物等が挙げられ、分子量、構造および/または組成の異なる2種以上用いることができる。
また、本発明においては、上記のとおりポリエーテルエステルアミド(B)として少なくとも屈折率の異なる(屈折率差が0.01以上)2種以上を併用することが必要である。2種以上のポリエーテルエステルアミドを併用しない場合、または併用してもその屈折率差が0.01未満では耐衝撃性に劣るため好ましくない。また、屈折率の異なる2種以上のポリエーテルエステルアミドの混合割合には特に制限はないが、例えば2種の場合には99/1〜1/99(重量比)の範囲であることが好ましい。
【0012】
上記ポリエーテルエステルアミド(B)の使用割合については、透明スチレン系樹脂(A)100重量部に対して3〜30重量部であることが好ましい。ポリエーテルエステルアミド(B)が3重量部未満では十分な帯電防止性が得られず、また30重量部を超えると透明性及び耐熱性が低下する。
【0013】
また、上記ポリエーテルエステルアミド(B)の屈折率は、30℃以下の使用環境下において1.40〜1.60であることが好ましい。ポリエーテルエステルアミド(B)の屈折率が1.40未満または1.60以上では透明スチレン系樹脂(A)の屈折率と異なるため透明性が低下する。
【0014】
本発明は、上記のとおり、透明スチレン系樹脂(A)と少なくとも屈折率の異なる2種以上のポリエーテルエステルアミド(B)からなり、樹脂成形品(3mm厚み)とした時の全光線透過率が75%以上であり、かつヘイズが15.0以下である樹脂組成物である。該樹脂成形品の全光線透過率を75%以上、かつヘイズを15.0以下とするには、(A)における各単量体組成、アセトン可溶分の固有粘度、さらに透明スチレン系樹脂(A)と組み合せて使用するポリエーテルエステルアミド(B)の種類およびその使用割合によって設定することができる。
【0015】
本発明における各成分の混合方法には特に制限はなく、押出機、バンバリーミキサー、ロール、ニーダー等を用いて混合することができる。
【0016】
また、本発明の透明持続性帯電防止熱可塑性樹脂組成物には、公知の添加剤、例えば酸化防止剤〔2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2−(1−メチルシクロヘキシル)−4,6−ジメチルフェノール、2、2−メチレンビス−(4−エチル−6−t−メチルフェノール)、4,4’−チオビス−(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、ジラウリルチオジプロピオネート、トリス(ジ−ノニルフェニル)ホスファイト等が例示される。〕、紫外線吸収剤〔p−t−ブチルフェニルサリシレート、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−(2’−ヒドロキシ−4’−n−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール等が例示される。〕、滑剤〔パラフィンワックス、ステアリン酸、硬化油、ステアロアミド、メチレンビスステアロアミド、エチレンビスステアロアミド、n−ブチルステアレート、ケトンワックス、オクチルアルコール、ラウリルアルコール、ヒドロキシステアリン酸トリグリセリド等が例示される。〕、着色剤〔例えば酸化チタン、カーボンブラック〕、充填剤〔例えば炭酸カルシウム、クレー、シリカ、ガラス繊維、ガラス球、カーボン繊維等が例示される。〕等を必要に応じて添加することができる。
【0017】
さらに、本発明においてはポリカーボネート、ポリアミド、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンオキサイド、ポリオキシメチレン、塩素化ポリエチレン等の他の熱可塑性樹脂を必要に応じて透明性を保持する範囲内にて混合することができる。
【0018】
本発明をさらに具体的に説明するために以下に実施例及び比較例を挙げて説明する。しかし、これらによって本発明は何ら制限されるものではない。
【0019】
〔実施例〕
−透明スチレン系樹脂(A)−
A−1:窒素置換した反応器に、純水130部および過硫酸カリウム0.3部を仕込んだ後、攪拌下に65℃に昇温した。その後、アクリロニトリル10部、スチレン30部、メタクリル酸メチル60部およびt−ドデシルメルカプタン0.35部からなる混合モノマー溶液および不均化ロジン酸カリウム2部を含む乳化剤水溶液30部を各々4時間に亘って連続添加し、その後重合系を70℃に昇温し、2時間熟成を行ない重合を終了した。塩析、脱水、乾燥後、固有粘度0.50の透明スチレン系樹脂(A−1)を得た。
【0020】
A−2:ポリスチレン(日本ポリスチレン社製 G590、固有粘度0.82)
【0021】
A−3:メチルメタクリレート−スチレン共重合体(日本エイアンドエル社製、MM−60、固有粘度0.44)
【0022】
−ポリエーテルエステルアミド(B)−
B−1:ペレスタット NC6321(三洋化成工業株式会社製 屈折率:1.516)
B−2:ペレスタット NC7530(三洋化成工業株式会社製 屈折率:1.536)
B−I:ポリエチレンオキサイド(住友精化株式会社製 炭素数:8〜10)
B−II:ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム
【0023】
〔実施例1〜4、比較例1〜6〕
上記各成分につき、表1に示された配合割合で混合し、40mm二軸押出機を用いて200℃で溶融混練し、ペレットを得た。
また、得られたペレットにつき東芝機械製IS−90B射出成形機を用い、シリンダー設定温度200℃にて各試験片を作成し、次の各評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0024】
全光線透過率:厚さ3mmの試験片を用いて、(株)村上色彩技術研究所製反射・透過率計HR−100で測定した。
【0025】
ヘイズ:全光線透過率測定と同一試験片を用いて、(株)村上色彩技術研究所製反射・透過率計HR−100で測定した。
【0026】
耐衝撃性:ASTM D−256に準じてアイゾット衝撃強度を測定。単位:MPa。
【0027】
成形加工性:ASTM D−1238に準じてメルトフローレイトを測定した。220℃×10kg、単位:g/10min。
【0028】
帯電防止性:厚さ3mmの射出成形された角試験片を用い、1ヶ月間23℃、湿度50%RH下で状態調整し、水洗処理前後の表面固有抵抗値を東亞電子工業(株)製ウルトラメガームメーターSN8210にて測定した。単位:Ω
【0029】
【表1】
【0030】
【発明の効果】
上記のとおり、本発明の透明持続性帯電防止熱可塑性樹脂組成物は、透明性、帯電防止性、衝撃性に優れ、かつ成形加工性に優れるものであり、透明性が要求され、かつ帯電防止性の必要とされる家電・OA機器、ゲーム機等の分野にて好適に使用することができる。
Claims (4)
- 芳香族ビニル系単量体または芳香族ビニル系単量体とシアン化ビニル系単量体および(メタ)アクリル酸エステル系単量体の中から選ばれた1種以上の単量体を重合してなる透明スチレン系樹脂(A)と少なくとも屈折率の異なる(屈折率差が0.01以上)2種以上のポリエーテルエステルアミド(B)からなり、樹脂成形品(3mm厚み)とした時の全光線透過率が75%以上であり、かつヘイズが15.0以下である透明持続性帯電防止熱可塑性樹脂組成物。
- 透明スチレン系樹脂(A)の固有粘度が0.2〜1.2dl/gである請求項1記載の透明持続性帯電防止熱可塑性樹脂組成物。
- 透明スチレン系樹脂(A)100重量部に対して少なくとも屈折率の異なる2種以上のポリエーテルエステルアミド(B)3〜30重量部を配合してなる請求項1又は2記載の透明持続性帯電防止熱可塑性樹脂組成物。
- ポリエーテルエステルアミド(B)の屈折率が1.40〜1.60である請求項1、2、又は3記載の透明持続性帯電防止熱可塑性樹脂組成物。
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JP2002212950A JP2004051845A (ja) | 2002-07-22 | 2002-07-22 | 透明持続性帯電防止熱可塑性樹脂組成物 |
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JP2009249407A (ja) * | 2008-04-02 | 2009-10-29 | Toyo Ink Mfg Co Ltd | 透明帯電防止性樹脂組成物およびそれを用いた成形品 |
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2002
- 2002-07-22 JP JP2002212950A patent/JP2004051845A/ja active Pending
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