JP2004050782A - 建築板 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】合板1上に分子量が1000以下の低分子量の樹脂2を単板の裏面側から塗布含浸させた樹脂含浸単板3を、低分子量の樹脂2が硬化する前に合板1上に接着してなる建築板4である。単板がロータリー単板であり、低分子量の樹脂2がロータリー単板の切削裏割れ5のある裏面側から塗布され、単板厚が0.5mm以下で樹脂含浸を裏面側から全体の厚みの約50%程度まで行ってある。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、表面が高硬度となった建築板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年住宅に用いる建築板として木質のものが良く用いられている。例えば合板と単板との間に樹脂含浸シートを介して加熱圧締した木質の建築板が知られているが、このものは接着剤塗布等の前処理を行わずに硬化と接着とを同時に行えるが、単板の組織が粗の部分から樹脂が表面に析出するおそれがあり、含浸深さをコントロールすることが非常に難しいという問題がある。ここで、単板の表面まで樹脂が析出すると単板の表面の木質感が低下するだけでなく単板表面に突板を接着するような場合、木材と木材との接着とならないので、木材と木材との接着を行う酢酸ビニル系の通常の木材用の接着剤が使用できないという問題がある。
【0003】
また、熱硬化性接着剤を塗布し硬化時に単板に含浸させることも行われているが、熱圧プレスすることで単板に含浸し熱硬化するため接着強度を高めることができ、また、接着先である合板表面にも同様に含浸硬化するが、接着剤の含浸深さをコントロールすることが難しいものである。
【0004】
上記のように合板に単板を積層するものにおいては、単板への樹脂の含浸深さをコントロールすることが難しく、単板への樹脂の含浸深さが浅いと、単板表面に物が落下したり、椅子、テーブルを置くというような荷重がかかった場合に表面に窪みが発生し、また、窪みを元に戻すことが難しいという問題があった。また、単板の表面に樹脂が析出するほど含浸すると表面に荷重がかかった場合における表面の窪みの発生を低くできるが、上記のように単板表面に突板を接着する場合に通常使用されている木材用の接着剤を使用できないという問題がある。
【0005】
また、表面付近に木よりも硬い材質のものを用い、荷重がかかったとしても窪みができにくくすることが行われている。例えば、突板やシートの下側にMDF、HDF等の硬質の木質板を設け、荷重がかかった際の窪みの発生を低くしている。
【0006】
ところが、上記のMDF、HDF等は通常厚さが2.0mm以上のものしか製造できず、これよりも薄いものはMDF、HDF等を厚み方向に半裁、1/4裁するという形でしか作ることができなかった。また、上記木質板は水分が浸透すると膨潤して使用できなくなってしまうので、水廻りには使用できないという問題がある。
【0007】
また、従来のMDF、HDF等の木質板は製造過程で木片を樹脂で固めるためにホルムアルデヒド等が放散して環境を悪化させるという問題がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、簡単な構成で樹脂の含浸深さをコントロールできて表面の窪みの発生を低くでき、また、水分による膨潤を抑制して水廻りにも使用することが可能とし、更に、表面に突板を接着する場合に通常の木材用の接着剤を用いることができる建築板を提供することを課題とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明に係る建築板は、合板1上に分子量が1000以下の低分子量の樹脂2を単板の裏面側から塗布含浸させた樹脂含浸単板3を、低分子量の樹脂2が硬化する前に合板1上に接着してなる建築板4であって、単板がロータリー単板であり、低分子量の樹脂2がロータリー単板の切削裏割れ5のある裏面側から塗布され、単板厚が0.5mm以下で樹脂含浸を裏面側から全体の厚みの約50%程度まで行ってあることを特徴とするものである。このような構成とすることで、単板の裏面側から低分子量の樹脂2を塗布するのみで単板の裏面部分に低分子量の樹脂2が含浸するだけでなく、厚みが0.5mm以下のロータリー単板の厚みの約50%程度まで形成されている切削裏割れ5に沿って低分子量の樹脂2が浸透し、これにより低分子量の樹脂2の含浸深さがコントロールされた樹脂含浸単板3を合板1に接着した建築板4を構成できるものである。つまり、丸太からロータリーレースで切削して0.5mm厚以下のロータリー単板を形成する際に発生する切削裏割れ5の深さを厚みの約50%程度となるようにロータリーレースによる加工条件を調整し、この所定深さの切削裏割れ5を有するロータリー単板を使用して樹脂含浸単板3を構成することで、簡単に樹脂含浸単板3に対する低分子量の樹脂2の含浸深さが目的の含浸深さとなり且つ表面硬度を目的とする硬度になり、表面に荷重がかかった場合における窪みの発生を小さくし、且つ、樹脂が表面に析出することがない建築板を提供できるものである。
【0010】
また、合板1上に分子量が1000以下の低分子量の樹脂2を単板の裏面側から塗布含浸させた樹脂含浸単板3を、低分子量の樹脂2が硬化する前に合板1上に接着してなる建築板4であって、単板3がロータリー単板であり、低分子量の樹脂2がロータリー単板の切削裏割れ5のある裏面側から塗布され、単板厚が0.5mmよりも厚くて単板の切削裏割れ5が裏面より表面側から約0.25mm程度まで生じ且つ樹脂含浸を表面側から約0.25mm程度まで含浸させてあることを特徴とするものであってもよい。このような構成とすることで、単板の裏面側から低分子量の樹脂2を塗布するのみで単板の裏面部分に低分子量の樹脂2が含浸するだけでなく、厚みが0.5mmを越えるロータリー単板の裏面より表面側から約0.25mm程度まで形成されている切削裏割れ5に沿って低分子量の樹脂2が浸透し、これにより低分子量の樹脂2の含浸深さがコントロールされた樹脂含浸単板3を合板1に接着した建築板4を構成できるものである。つまり、丸太からロータリーレースで切削して0.5mm厚を越えるロータリー単板を形成する際に発生する切削裏割れ5の深さを裏面より表面側から約0.25mm程度まで発生するようにロータリーレースによる加工条件を調整し、この所定深さの切削裏割れ5を有するロータリー単板を使用して樹脂含浸単板3を構成することで、簡単に樹脂含浸単板3に対する低分子量の樹脂2の含浸深さが目的の含浸深さとなり且つ表面硬度を目的とする硬度になり、表面に荷重がかかった場合における窪みの発生を小さくし、且つ、樹脂が表面に析出することがない建築板を提供できるものである。
【0011】
また、樹脂含浸単板3の表面に仕上げ材6を積層してあることが好ましい。このような構成とすることで、仕上げ材6で表面仕上げがされた建築板4を提供できるものである。
【0012】
また、仕上げ材6が突板であることが好ましい。上記のように、単板への低分子量の樹脂2の含浸深さをコントロールして表面に低分子量の樹脂2が析出していないので、表面に突板を接着する場合に通常の木材用の接着剤を用いることができるものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明する。
【0014】
本発明の建築板4は図1に示すように、合板1と樹脂含浸単板3を積層して構成してある。合板1としては図1に示す図面では5プライの合板であるが、3プライの合板や7プライの合板であってもよく、層構成は限定されない。また、合板は広葉樹、針葉樹、又はこれらの混合したものを用いる。また、いわゆるクロス合板(最上部の繊維方向が幅方向)、レギュラー合板(最上部の繊維方向が長手方向)いずれも利用できる。
【0015】
樹脂含浸単板3はロータリーレースにて得られるロータリー単板の切削裏割れ5のある裏面側から例えば水性のメラミン樹脂のような低分子量の樹脂2をスプレー、刷毛等の手段を用いて塗布して所定含浸深さまで含浸させたものを使用する。
【0016】
ロータリー単板3aは原木の丸太7をロータリーレースのナイフ8により図4(a)のように切削して得るものであり、このようにして得るロータリー単板3aは裏面側には図4(b)のように切削裏割れ5が生じるが、本発明に用いるこのロータリー単板3aとしては、ロータリーレースにより切削してロータリー単板3aを得る際に切削裏割れ5の割れ深さを目的とする割れ深さとなるように調整し、このようにして得た目的とする割れ深さとなった切削裏割れ5を有するロータリー単板3aを用いる。ここで、通常丸太7をロータリーレースで切削して得るロータリー単板3aは切削裏割れ5が裏面側から厚みの約30%程度生じるものであるが、本発明においては、ロータリー単板3aが0.5mm厚以下(下限は約0.3mm)の場合にはロータリー単板3aを製造する際に裏面に発生する切削割れ5が裏面側から厚みの約50%程度の処まで到るようにロータリーレースの加工条件を調整して切削割れ5の割れ深さを調整するものであり、また、ロータリー単板3aが0.5mm厚を越える場合にはロータリー単板3aの切削裏割れ5が裏面より表面側から約0.25mm程度まで到るようにロータリーレースの加工条件を調整して切削裏割れ5の深さを調整するものである。
【0017】
このようにしてロータリーレースの加工条件を調整して切削裏割れ5の深さが所定の深さとなるように調整されたロータリー単板3aは、図2に示すように切削裏割れ5が閉じた状態となっていて、実際に低分子量の樹脂2を裏面に塗布すると、図3のように低分子量の樹脂2が裏面に浸透するが、切削裏割れ5部分においては切削裏割れ5に沿って低分子量の樹脂2が浸透し、切削裏割れ5部分が突出するように樹脂含浸がなされた樹脂含浸単板3aが得られる。この場合、切削裏割れ5の深さは前述のように調整してあるので、ロータリー単板3aの裏面に低分子量の樹脂2を塗布した場合における樹脂含浸の深さを一定の深さにコントロールできるものである。ところで、切削裏割れ5を有するロータリー単板3aの裏面側に分子量1000以下の低分子量の樹脂2を塗布することで、図2のように切削裏割れ5が閉じた状態となっていても裏面に塗布するのみで確実に切削裏割れ5に沿って樹脂を浸透させて切削裏割れ5の奧部分まで樹脂含浸させることができ、樹脂含浸の深さを目的とする深さに簡単にコントロールできるようになる。
【0018】
なお、本発明においてロータリー単板3aを用いたのはロータリー単板3aはロータリーレースで原木の丸太7を切削することで製造する際、裏面側に切削裏割れ5が生じるので、ロータリーレースによる加工条件を調整して切削割れ5の深さを調整するだけで目的とする含浸深さに樹脂含浸ができるためである。
【0019】
上記のように一定の深さに樹脂含浸がされた樹脂含浸単板3を、含浸させた低分子量の樹脂2が硬化する前に合板1の上にメラミン系の接着剤を用いて熱圧プレスで積層接着することで本発明の建築板4を形成してある。
【0020】
このようにして得られた建築板4は表層のロータリー単板が樹脂含浸単板3であり、しかも、単板厚が5mm以下の場合には、上記のように樹脂含浸を裏面側から単板の全体の厚みの約50%程度まで行ってあるので、表面から約0.25mm以下の処まで切削裏割れ5に沿って樹脂が含浸していることになり、このため、樹脂が硬化すると表面側に打撃力が作用しても、表面から約0.25mm以下の処に到った樹脂の硬化部分により力を受けて表面の陥没を低く抑えることができるものである。
【0021】
また、単板厚が5mmを越える場合には、上記のように樹脂含浸を裏面より表面側から約0.25mm程度まで行ってあるので、樹脂が硬化すると表面側に打撃力が作用しても、表面から約0.25mmの処に到った樹脂の硬化部分により力を受けて表面の陥没を低く抑えることができるものである。
【0022】
なお、ロータリー単板3aとしては広葉樹、針葉樹いずれであってもよいが、高比重のものを用いると樹脂含浸単板3の表面硬度が更に向上して衝撃を受けた場合に表面がよりいっそう窪みにくいものである。
【0023】
図5には本発明の他の実施形態が示してある。本実施形態においては、上記のように合板1に樹脂含浸単板3を積層したものにおいて、更に、樹脂含浸単板3の表面に仕上げ材6を積層して建築板4を構成したものである。
【0024】
仕上げ材6としては突板、合成樹脂フィルム、紙などを用いることができるものである。仕上げ材6の接着は乾式、湿式を問わず行うことができるが、特に、湿式の場合、突板が含水した状態で熱プレスにて接着をするが、発生する水蒸気を樹脂含浸単板3の表面側の樹脂を含浸していない表面側部分の木部において逃がすことができ、非常に薄く形成されて水蒸気を逃がすことができない突板であっても突板表面に割れが生じるのを防ぐことができるものである。しかも、木よりなる突板と、表面に樹脂を含浸していない樹脂含浸単板3の表面の木部とを接着するに当たって通常の木材用の接着剤を用いることができるものである。
【0025】
また、仕上げ材6が合成樹脂フィルムの場合には、樹脂含浸単板3の表面を合成樹脂フィルムで化粧仕上げできるとともに防水性を向上させることができるものである
【0026】
【実施例】
(実施例1)
裏面から単板厚の約50%の処まで切削裏割れが到るように調整したロータリー単板(ラワンロータリー単板、0.5mm厚)の裏面に分子量が1000の低分子メラミン樹脂を塗布して単板厚の約50%の処まで切削裏割れに沿って樹脂が含浸した樹脂含浸単板を得た。
【0027】
この樹脂含浸単板を5プライ、12mm厚の合板に上記含浸した低分子メラミン樹脂が硬化する前にメラミン系接着剤を用いて熱圧プレスにより積層接着して実施例1の建築板を得た。
【0028】
このようにして得た実施例1の建築板における表面への樹脂析出の有無を調べ、また、鋼球試験(鋼球500gを1.5mの高さから自然落下させた時の表面の凹みを測定する)をおこなった。結果を下記の表1に示す。
【0029】
(比較例1)
裏面から単板厚の約30%の処まで切削裏割れが到るように調整したロータリー単板(ラワンロータリー単板、0.5mm厚)の裏面に分子量が1000の低分子メラミン樹脂を塗布して単板厚の約30%の処まで切削裏割れに沿って樹脂が含浸した樹脂含浸単板を得た。
【0030】
この樹脂含浸単板を5プライ、12mm厚の合板に上記含浸した低分子メラミン樹脂が硬化する前にメラミン系接着剤を用いて熱圧プレスにより積層接着して比較例1の建築板を得た。
【0031】
このようにして得た比較例1の建築板における表面への樹脂析出の有無を調べ、また、鋼球試験をおこなった。結果を下記の表1に示す。
【0032】
(比較例2)
裏面から単板厚の約70%の処まで切削裏割れが到るように調整したロータリー単板(ラワンロータリー単板、0.5mm厚)の裏面に分子量が1000の低分子メラミン樹脂を塗布して単板厚の約70%の処まで切削裏割れに沿って樹脂が含浸した樹脂含浸単板を得た。
【0033】
この樹脂含浸単板を5プライ、12mm厚の合板に上記含浸した低分子メラミン樹脂が硬化する前にメラミン系接着剤を用いて熱圧プレスにより積層接着して比較例2の建築板を得た。
【0034】
このようにして得た比較例2の建築板における表面への樹脂析出の有無を調べ、また、鋼球試験をおこなった。結果を下記の表1に示す。
【0035】
(実施例2)
裏面より表面から約0.25mmの処まで到るように切削裏割れが到るように調整したロータリー単板(ラワンロータリー単板、1.0mm厚)の裏面に分子量が1000の低分子メラミン樹脂を塗布して単板の表面から約0.25mmの処まで切削裏割れに沿って樹脂が含浸した樹脂含浸単板を得た。
【0036】
この樹脂含浸単板を5プライ、12mm厚の合板に上記含浸した低分子メラミン樹脂が硬化する前にメラミン系接着剤を用いて熱圧プレスにより積層接着して実施例2の建築板を得た。
【0037】
このようにして得た実施例2の建築板における表面への樹脂析出の有無を調べ、また、鋼球試験をおこなった。結果を下記の表2に示す。
【0038】
(比較例3)
裏面より表面から約0.4mmの処まで到るように切削裏割れが到るように調整したロータリー単板(ラワンロータリー単板、1.0mm厚)の裏面に分子量が1000の低分子メラミン樹脂を塗布して単板の表面から約0.4mmの処まで切削裏割れに沿って樹脂が含浸した樹脂含浸単板を得た。
【0039】
この樹脂含浸単板を5プライ、12mm厚の合板に上記含浸した低分子メラミン樹脂が硬化する前にメラミン系接着剤を用いて熱圧プレスにより積層接着して比較例3の建築板を得た。
【0040】
このようにして得た比較例3の建築板における表面への樹脂析出の有無を調べ、また、鋼球試験をおこなった。結果を下記の表2に示す。
【0041】
(比較例4)
裏面より表面から約0.15mmの処まで到るように切削裏割れが到るように調整したロータリー単板(ラワンロータリー単板、1.0mm厚)の裏面に分子量が1000の低分子メラミン樹脂を塗布して単板の表面から約0.15mmの処まで切削裏割れに沿って樹脂が含浸した樹脂含浸単板を得た。
【0042】
この樹脂含浸単板を5プライ、12mm厚の合板に上記含浸した低分子メラミン樹脂が硬化する前にメラミン系接着剤を用いて熱圧プレスにより積層接着して比較例4の建築板を得た。
【0043】
このようにして得た比較例4の建築板における表面への樹脂析出の有無を調べ、また、鋼球試験をおこなった。結果を下記の表2に示す。
【0044】
【表1】
【0045】
【表2】
【0046】
上記表1、表2から明らかなように、実施例1、実施例2のものは樹脂表面析出が無く、木質感が損なわれず、また、鋼球試験においても凹みが小さく、窪み発生を抑制できることが判明した。
【0047】
また、実施例2のものと市販のHDF、MDF、硬木フロア(南洋材)、一般南洋材とを上記と同様の鋼球試験を行った場合の比較を図6のグラフに示す。硬木フロア(南洋材)、一般南洋材は他に比べると測定値がばらついているが、これは他のものと比べて材木自体の硬さにばらつきがあるためで、実施例2のものはHDFとMDFとの間にあり、十分な表面硬度を有していることが判明する。
【0048】
【発明の効果】
上記のように本発明の請求項1記載の発明にあっては、合板上に分子量が1000以下の低分子量の樹脂を単板の裏面側から塗布含浸させた樹脂含浸単板を、低分子量の樹脂が硬化する前に合板上に接着してなる建築板であって、単板がロータリー単板であり、低分子量の樹脂がロータリー単板の切削裏割れのある裏面側から塗布され、単板厚が0.5mm以下で樹脂含浸を裏面側から全体の厚みの約50%程度まで行ってあるので、ロータリー単板の裏面側から低分子量の樹脂を塗布するのみでロータリー単板の裏面部分に低分子量の樹脂が含浸するだけでなく、厚みが0.5mm以下のロータリー単板の厚みの約50%程度まで形成されている切削裏割れに沿って低分子量の樹脂が浸透し、これにより低分子量の樹脂の含浸深さがコントロールされた樹脂含浸単板を合板に接着した建築板を構成できるものであり、樹脂含浸単板への低分子量の樹脂の含浸深さがコントロールできるので、表面に荷重がかかった場合における窪みの発生が小さく且つ表面に樹脂が析出することがない建築板が得られ、また、樹脂含浸単板であるため水分による膨潤を抑制して水廻りにも使用することが可能となるものである。しかも、ロータリー単板を用いるので、原木丸太からロータリーレースで単板厚が0.5mm以下のロータリー単板を切削して形成する際に、ロータリー単板の裏面に発生する切削割れが単板厚の約50%となるように割れ深さを調整したロータリー単板を使用するのみで、樹脂含浸深さが厚みの50%程度にコントロールされた樹脂含浸単板を構成できるものである。
【0049】
また、請求項2記載の発明にあっては、合板上に分子量が1000以下の低分子量の樹脂を単板の裏面側から塗布含浸させた樹脂含浸単板を、低分子量の樹脂が硬化する前に合板上に接着してなる建築板であって、単板がロータリー単板であり、低分子量の樹脂がロータリー単板の切削裏割れのある裏面側から塗布され、単板厚が0.5mmよりも厚くて単板の切削裏割れが裏面より表面側から約0.25mm程度まで生じ且つ樹脂含浸を表面側から約0.25mm程度まで含浸させてあるので、ロータリー単板の裏面側から低分子量の樹脂を塗布するのみでロータリー単板の裏面部分に低分子量の樹脂が含浸するだけでなく、厚みが0.5mmを越えるロータリー単板の表面側から約0.25mm程度の処まで裏面から切削裏割れに沿って低分子量の樹脂が浸透し、これにより低分子量の樹脂の含浸深さがコントロールされた樹脂含浸単板を合板に接着した建築板を構成できるものであり、樹脂含浸単板への低分子量の樹脂の含浸深さがコントロールできるので、表面に荷重がかかった場合における窪みの発生が小さく且つ表面に樹脂が析出することがない建築板が得られ、また、樹脂含浸単板であるため水分による膨潤を抑制して水廻りにも使用することが可能となるものである。しかも、ロータリー単板を用いるので、原木丸太からロータリーレースで単板厚が0.5mmを越えるロータリー単板を切削して形成する際に、ロータリー単板の裏面に発生する切削割れが裏面より表面側から約0.25mm程度まで生じるように割れ深さを調整したロータリー単板を使用するのみで、樹脂含浸が表面から約0.25mm程度まで到るようにコントロールされた樹脂含浸単板を構成できるものである。
【0050】
また、請求項3記載の発明にあっては、上記請求項1又は請求項2記載の発明の効果に加えて、樹脂含浸単板の表面に仕上げ材を積層してあるので、仕上げ材で表面仕上げがされた建築板を提供できるものである。
【0051】
また、請求項4記載の発明にあっては、上記請求項3記載の発明の効果に加えて、仕上げ材が突板であるので、単板への低分子量の樹脂の含浸深さをコントロールして表面に低分子量の樹脂が析出せず、表面の木質感が損なわれないだけでなく、単板の表面に突板を接着する場合に通常の木材用の接着剤を用いることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の建築板の断面図である。
【図2】同上に使用するロータリー単板の拡大断面図である。
【図3】同上に使用するロータリー単板の裏面側に低分子量の樹脂を塗布して樹脂を含浸させた樹脂含浸単板を示す拡大断面図である。
【図4】(a)は同上のロータリー単板の製造を示す説明図であり、(b)は(a)のA部分の拡大断面図である。
【図5】(a)は本発明の建築板の他の実施例の断面図であり、(b)は同上の分解斜視図である。
【図6】本発明の建築板と他の種類の建築板との鋼球落下試験の比較を示すグラフである。
【符号の説明】
1 合板
2 低分子量の樹脂
3 樹脂含浸単板
4 建築板
5 切削裏割れ
Claims (4)
- 合板上に分子量が1000以下の低分子量の樹脂を単板の裏面側から塗布含浸させた樹脂含浸単板を、低分子量の樹脂が硬化する前に合板上に接着してなる建築板であって、単板がロータリー単板であり、低分子量の樹脂がロータリー単板の切削裏割れのある裏面側から塗布され、単板厚が0.5mm以下で樹脂含浸を裏面側から全体の厚みの約50%程度まで行ってあることを特徴とする建築板。
- 合板上に分子量が1000以下の低分子量の樹脂を単板の裏面側から塗布含浸させた樹脂含浸単板を、低分子量の樹脂が硬化する前に合板上に接着してなる建築板であって、単板がロータリー単板であり、低分子量の樹脂がロータリー単板の切削裏割れのある裏面側から塗布され、単板厚が0.5mmよりも厚くて単板の切削裏割れが裏面より表面側から約0.25mm程度まで生じ且つ樹脂含浸を表面側から約0.25mm程度まで含浸させてあることを特徴とする建築板。
- 樹脂含浸単板の表面に仕上げ材を積層して成ることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の建築板。
- 仕上げ材が突板であることを特徴とする請求項3記載の建築板。
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JP2014066126A (ja) * | 2012-09-10 | 2014-04-17 | Asahi Woodtec Corp | 木質床材 |
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