JP2004050738A - 樹脂封止装置及び金型 - Google Patents

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Abstract

【課題】薄型の半導体基板などの被封止体と下型との間に溜まるエアを減少又は除去することによって、高品位に被封止体を封止可能な樹脂封止装置及び金型を提供する。
【解決手段】上金型と下金型からなる金型で封止空間を規定し、被封止体を前記金型に吸着して固定する吸着手段と、前記封止空間内に封止樹脂を導入して前記被封止体を封止する封止手段を有する樹脂封止装置において、前記被封止体と前記被封止体を吸着固定した前記金型との間に残留したエアを排気するための排気孔が形成された前記金型を有することを特徴とする樹脂封止装置を提供する。
【選択図】     図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、樹脂等の封止物によってチップがマウントされたリードフレームなどの被封止体を封止する樹脂封止装置に係る。本発明は、例えば、薄型の半導体を樹脂によって封止する樹脂封止装置、当該樹脂封止装置に使用される金型、及び、かかる樹脂封止装置を有する半導体製造装置に好適である。
【0002】
【従来の技術】
近年の電子機器の小型化及び多機能化の要請から、電子機器に搭載される半導体の薄型化及び高品位化が望まれている。かかる薄型の半導体の例としては、ポリミイド基板、ガラスエポキシ基板及びリードフレーム基板等を使用し、マトリクス状に実装された複数のICチップを一括樹脂封止したMolded Area Packageタイプのパッケージ(以下、「MAPタイプ」という。)がある。
【0003】
半導体装置の製造工程の一例として、ICチップをリードフレームの所定の位置に固着するマウント工程と、リードフレームとICチップの電極をボンディングワイヤーで電気的に接続するワイヤーボンディング工程と、ワイヤーボンディングされたリードフレーム及びICチップ(以下、「半導体基板」という。)を外部衝撃から保護するために樹脂封止するパッケージ工程とを有する。
【0004】
樹脂封止の際には、予め加熱された金型の下型上に半導体基板を載置し、真空ポンプなどの負圧発生装置によって下型に設けられた半導体基板の四隅に対応する孔から半導体基板を吸着する。これによって、半導体基板は、下型上の凹部(キャビティ)に固定される。次に上型を下型クランプして金型内部に封止空間を形成し、かかる封止空間に熱硬化性樹脂を注入・充填して樹脂封止を行う。吸着手段が半導体基板を下型上の凹部に固定するので、樹脂封止時に半導体基板の移動を防止することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
MAPタイプの半導体装置に使用する基板は、その特徴の一つである薄さのために高温の下型上に載置すると熱膨張してチップ側に反り返ってしまい、半導体基板と下型の間にエアが溜まり易く、また、かかるエアが抜ける前に吸着手段によって半導体基板の周囲が下型と直ちに接触するためにエアが抜けにくく、その結果、半導体基板と下型の間にエアを残留させてしまうという問題があった。
【0006】
かかる様子を図17に示す。ここで、図17は、従来の封止空間の部分概略断面図である。同図に示すように、半導体基板1000は、下型2200の熱によりチップ1200側に反り返り、周囲を下型2200に形成された吸着孔2210を介して吸着手段によって下型2200の表面に接触させるため、半導体基板1000の中央部と下型2200との間にはエアARが残留する。半導体基板1000は、リードフレーム1100の中央にチップ1200を配置し、リードフレーム1100とチップ1200とをボンディングワイヤー1300によってボンディングしている。
【0007】
この状態で上型2100が下型2200にクランプされ、矢印方向から樹脂が導入されると、樹脂の圧力によってエアARが集まり、半導体基板1000の変形は局所的に更に増大する。この結果、ボンディングワイヤー1300が上型2100の下面に部分的に接触し、封止後にパッケージ表面に露出して樹脂封止が不良となったり、ボンディングワイヤー1300が断線して不良製品となったりする問題があった。また、成形品の底部が変形するために高品位な半導体を製造できないという問題もあった。
【0008】
かかるエアARは、従来は封止空間の容積に対して無視できるものであったが、近年の半導体の薄型化の要請によって上型2100及び下型2200の間隔が狭くなるにつれて、上述の問題が無視できなくなってきた。そこで、金型の下型に複数の吸着孔を設けて下型に半導体基板を吸着固定して半導体基板の反り返りを防止する方法が公開特許2002年79547号公報において提案されている。しかし、公開特許2002年79547号公報では、複数の吸着孔を下型の中央に配置して半導体基板中央下部に強い吸着圧が加わるため基板が陥没変形し、その吸着孔部分の上部のパッケージ表面に吸着孔痕を発生させて樹脂封止が不良となってしまう。更に、チップに直接に吸着力(即ち、衝撃)を付加することになり好ましくない。また、例えば、半導体基板の搬送ミスなどで半導体基板が載置されていない状態の金型内に樹脂を注入してしまうと樹脂が吸着孔に流入、付着する。吸着孔内部に付着した樹脂は熱硬化性樹脂であるため加熱によって溶解させることができず、吸着孔のクリーニングは下金型の分解清掃となり困難を極める。また、金型は、加工が困難な超鋼材であるため複数の吸着孔を設けることは加工工数の増加を生じコストの増加を招くことになる。
【0009】
そこで、本発明は、薄型の半導体基板などの被封止体と下型との間に溜まるエアを減少又は除去することによって、高品位に被封止体を封止可能な樹脂封止装置及び金型を提供することを例示的目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための、本発明の一側面としての樹脂封止装置は、上金型と下金型からなる金型で封止空間を規定し、被封止体を前記金型に吸着して固定する吸着手段と、前記封止空間内に封止樹脂を導入して前記被封止体を封止する封止手段を有する樹脂封止装置において、前記被封止体と前記被封止体を吸着固定した前記金型との間に残留したエアを排気するための排気孔が形成された前記金型を有することを特徴とする。かかる樹脂封止装置によれば、吸着手段が被封止体を封止空間に固定する際に、排気孔が被封止体と金型との間に溜まるエアを減少又は除去して被封止体の局所的な更なる変形を防止する。前記金型は、前記封止樹脂が導入される第1の辺と、当該第1の辺に対向して前記排気孔が形成される第2の辺を有する、ほぼ断面矩形形状を有してもよい。これにより、被封止体と金型との間に溜まるエアを封止物が封止空間に充填するために封止物に加えられる圧力を利用して除去することができる。また、かかる金型自体も本発明の一側面を構成する。
【0011】
本発明の別の側面としての樹脂封止装置は、被封止体の周囲を支持する支持部と、当該支持部との間に排気孔を形成して前記支持部に囲まれると共に前記被封止体との間に空隙を介して配置され、前記被封止体を前記金型に固定するための載置部とを有し、封止空間を規定する金型と、前記載置部に形成された前記排気孔を介して前記被封止体を前記金型に吸着して固定すると共に前記空隙の排気を行う吸着手段と、前記封止空間に封止物を導入して前記被封止体を封止する封止手段とを有することを特徴とする。かかる樹脂封止装置は、吸着手段が排気孔を介しての排気と吸着の両方を兼ねており、同様に被封止体と金型との間に溜まるエアを減少又は除去して被封止体の変形を防止する。かかる金型も本発明の一側面を構成する。また、前記載置部は前記支持部に対して移動可能に構成されてもよい。
【0012】
本発明の更に別の側面としての封止方法は、封止空間を規定する金型の前記封止空間内に配置された被封止体と前記金型の間に溜まったエアを排気するステップと、前記封止空間に封止物を導入する前記被封止体を封止するステップとを有することを特徴とする。かかる封止方法によれば、被封止体と金型の間に溜まったエアを排気することで被封止体の変形を招くことなく封止物による封止を行うことができる。
【0013】
本発明の更なる目的又はその他の特徴は添付図面を参照して説明される好ましい実施例において明らかにされるであろう。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して、本発明の例示的一態様としての樹脂封止装置について説明する。ここで、図1は、本発明に係る樹脂封止装置1を示す概略側面図、図2は、図1に示す樹脂封止装置1の概略正面図である。
【0015】
樹脂封止装置1は、リードフレーム12に半導体チップ14をボンディングワイヤー16によりボンディングした半導体基板10(被封止体)に熱硬化性樹脂(封止物)を供給して樹脂封止をする樹脂封止装置である。樹脂封止装置1は、図1及び図2に示すように、上型110と下型120で構成される金型100と、上型110を支持する固定プラテン130と、下型120を支持する可動プラテン140と、可動プラテン140を昇降駆動して金型100を型締めする型締め機構150と、半導体基板10を吸着して下型120に固定する図示しない吸着手段と、金型100へ樹脂を導入する封止手段200とを備えるプレス部Aと、金型100をクリーニングするクリーナー部Bと、半導体基板10と樹脂タブレットTを整列してプレス部Aに供給するインローダ部Cと、樹脂封止後の半導体基板10をプレス部Aから取り出すアンローダ部Dと、ディゲート後の半導体基板10を保管する保管部Eとを有する。
【0016】
樹脂封止装置1のプレス部A、クリーナー部B、インローダ部C、アンローダ部D及び保管部Eの動作は従来の樹脂封止装置の動作と同様であり、半導体基板10と樹脂タブレットTとをプレス部Aでの封止手段200の位置及び半導体基板10のセット位置(金型100の位置)の配置に合わせてピックアップしたインローダ部Cを、金型100を型開きした状態でプレス部Aに進入させ、封止手段200に樹脂タブレットTを投下し、下型120には図示しない吸着手段を接続し、半導体基板10を吸着固定して金型100を型締めし、封止手段200により金型100に樹脂を導入して樹脂封止する。樹脂封止した後、金型100を型開きし、アンローダ部Dにより半導体基板10をプレス部Aから搬出し、ディゲートした後、保管部Eに保管する。クリーナー部Bは、半導体基板10を搬出した後、プレス部Aに進入し金型100面に付着しているバリ等をクリーニングする。
【0017】
本発明の樹脂封止装置1は、プレス部A、特に、金型100の構成に大きな特徴を有する。以下では、樹脂封止装置1のプレス部A、特に、金型100について説明する。図3は、上型110と下型120により半導体基板10をクランプしたプレス部Aの要部概略断面図である。
【0018】
図3を参照するに、金型100は、上型110及び下型120を型締めした際に封止空間112aを規定する。封止空間112aは、主として上型110に形成された半導体基板10の半導体チップ14を収納する収納部112により形成され、かかる収納部112と下型120に配置された半導体基板10のリードフレーム12との間に形成される空間により定義される。上型110の収納部112は、半導体基板10に形成される樹脂封止形状(パッケージ)の外形寸法に合わせて凹形状に形成される。本実施形態では便宜上半導体チップ14は図3(b)のように配置しているが、実使用においては10個以上の半導体チップ14をマトリクス状に配置することが多い。
【0019】
上型110のゲート114には、封止空間112a(収納部112)に樹脂を導入して半導体基板10を封止する封止手段200が接続されている。ゲート114は、封止手段200が導入する樹脂を封止空間112aに供給する部位であり、封止空間112aと封止手段200を接続する。
【0020】
封止手段200は、ポット210と、プランジャ220と、ランナー230とを有し、例えば、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂を封止空間112aに導入する。封止手段200は、ポット210に供給された樹脂タブレットTをポット210内で溶融し、プランジャ220により加圧して溶融した樹脂を所定の樹脂圧で押し出す。押し出された樹脂は、ポット210に連結されたランナー230を介して上型110のゲート114に供給され、封止空間112aに注入、充填される。
【0021】
下型120の上面(即ち、封止空間112aの底面)には、上型110に形成される収納部112の配置にあわせて、半導体基板10のリードフレーム12を載置する載置部122を有する。なお、載置部122は、半導体基板10の外形形状に合わせた凹形状の溝として形成してもよい。下型120の載置部122は、載置する半導体基板10の四隅に対応する位置に4つの吸着孔124を有する。
【0022】
吸着孔124は、吸着手段300が載置部122に載置された半導体基板10を吸着するために設けられている。吸着孔124は、下型120に形成された吸着路124aにそれぞれ連通され、プレス部Aの外部に配置した吸着手段300にエアチューブ320及び開閉バルブ330を介して接続される。なお、吸着路124aを介さずに、4つの吸着孔124それぞれを直接、吸着手段300に接続してもよい。
【0023】
吸着手段300は、吸着孔124を介して載置部122に載置された半導体基板10を吸着することによって下型120(載置部122)に固定する。吸着手段300は、例えば、真空ポンプ310と、エアチューブ320と、開閉バルブ330とを有する。真空ポンプ310は、エアチューブ320に接続し、吸着路124aを介して吸着孔124を減圧して、半導体基板10を吸着する。エアチューブ320は、吸着路124a及び真空ポンプ310に接続し、吸着孔124と真空ポンプとを連結する。開閉バルブ330は、エアチューブ320に設けられ、吸着孔124と真空ポンプ310との連結を開閉する。
【0024】
図4は、図1に示す金型100の概略構成図であって、図4(a)は、金型100の概略透視平面図、図4(b)は、図4(a)に示す金型100のα−α´断面図、図4(c)は、図4(a)に示す金型100のβ−β´断面図である。
【0025】
図4を参照するに、金型100は、封止空間112aに樹脂が導入される第1の辺100aと、第1の辺100aに対向して排気孔126が形成される第2の辺100bと、第1の辺100a及び第2の辺100bの端部を繋ぐ第3の辺100c及び第4の辺100dとを有する、ほぼ断面矩形形状を有する。
【0026】
本実施形態においては、図4(a)によく示されるように、上型110の第1の辺100aに封止手段200のランナー230と接続するゲート114a乃至114cが形成され、ゲート114a乃至114c各々から封止空間112aに導入される樹脂の圧力及び量は均等である。従って、封止空間112aに導入される樹脂は、第1の辺100aに平行な線A´(以下、「樹脂流線A」とする)を描くように矢印A方向(即ち、第2の辺100bに向かって)流れ、封止空間112aを充填する。但し、後述するように、ゲート114a乃至114cから封止空間112aに導入される樹脂の圧力、量及び方向は均等でなくてもよい。
【0027】
排気孔126は、封止空間112a側の端部126aが封止空間112aの外周と重なる領域Rを有するように、下型120の第2の辺100bに形成され、後述するように、封止空間112aに導入される樹脂の圧力を用いて、下型120の載置部122に載置した半導体基板10と封止空間112a(即ち、下型120の載置部122)との間に溜まったエアARを排気するのに使用される。領域Rは、排気孔126を介して、封止空間112aと外部とを連通する部位であり、半導体基板10と封止空間112aとの間に溜まったエアARを外部に逃がす。換言すれば、排気孔126は、エアARを排気して、半導体基板10の全面に亘って平坦にさせる(下型120の載置部122に密着させる)機能を有する。但し、領域R、特に、領域Rの縦方向の長さR1が大きいと、樹脂封止を行った際に、パッケージ表面に領域Rに相当する窪みを発生させてしまう。従って、排気孔126の端部126aは、できるだけ封止空間122aの外周周縁近傍に、即ち、領域Rの縦方向の長さR1を小さく構成することが好ましい。しかし、領域Rがないと、排気孔126は、封止空間112aと外部とを連通することができないことは言うまでもない。
【0028】
排気孔126の形成位置、配置間隔、配置数及び寸法は、半導体基板10と封止空間112aとの間に溜まったエアARを全て排気する上で非常に重要である。例えば、エアARを全て排気する前に封止空間112aに樹脂が回り込むと、それ以降の排気が行われず、エアARの一部が残留することになる。
【0029】
排気孔126は、図4に示すように、封止空間112aに樹脂が導入される第1の辺100aに対向する第2の辺100bに形成されている。第2の辺100bは、封止空間112aに導入される樹脂の流れる方向(即ち、樹脂の圧力を最も利用することができる)に位置する辺である。本実施形態では、3つのゲート114a乃至114cから封止空間112aに導入される樹脂が樹脂流線A´を描くように矢印A方向に流れ、樹脂の圧力により半導体基板10と封止空間112aとの間に溜まったエアARも樹脂流線A´に沿って移動するため、排気孔126は第2の辺100bに形成されている。
【0030】
3つのゲート114a乃至114cから封止空間112aに導入される樹脂の圧力及び量が異なり、例えば、図5に示すように、樹脂が樹脂流線B´を描くように矢印B方向に放射状に流れる場合がある。かかる場合は、樹脂の流れる方向(矢印B方向)の辺、即ち、第2の辺100b及び第3の辺100cに排気孔126を形成する。これにより、樹脂の圧力により樹脂流線B´に沿って移動する半導体基板10と封止空間112aとの間に溜まったエアARを排気することができる。即ち、排気孔126は、最も樹脂の圧力を利用することができるように、樹脂の流れる方向の辺に形成する。ここで、図5は、樹脂が封止空間112aを放射状に流れる場合の金型100の概略透視平面図である。
【0031】
排気孔126は、図4に示すように、第2の辺100bに等間隔で配置されている。封止空間112aの中央部付近の領域Xに均一に溜まった半導体基板10と封止空間112aとの間のエアARは、ゲート114a乃至114cから導入される樹脂の圧力によって樹脂流線A´に沿って矢印A方向に均一に移動する。従って、排気孔126を等間隔で配置することで、第2の辺100bにおけるエアARの排気能力が均一となり、樹脂の回り込みを生じさせることなく、移動してきた全てのエアARを均一に排気する。
【0032】
半導体基板10と封止空間112aとの間のエアARが均一に溜まらず、例えば、図6に示すように、封止空間112aの中央部付近の領域Yに局所的にエアARが溜まる場合がある。かかる場合は、ゲート114a乃至114cから封止空間112aに導入され、樹脂流線A´を描くように矢印A方向に流れていた樹脂が領域Yに溜まったエアARによって抵抗を受け、樹脂流線C´を描くように矢印C方向に流れてしまう。従って、排気孔126を等間隔で配置する(即ち、第2の辺100bにおけるエアARの排気能力を均一とする)と、エアARを全て排気する前に樹脂が回り込み、エアARが残留することになる。そこで、図6に示すように、第2の辺120aの中央付近が密、両端が疎となるように排気孔126を配置する。これにより、第2の辺100aにおける中央付近のエアARの排気能力が両端に比べて高くなり、樹脂が回り込む前に領域YのエアARを全て排気することができる。即ち、排気孔126は、半導体基板10と封止空間112aとの間に溜まったエアARの分布に応じて、かかるエアARを樹脂が回り込む前に全て排気するように、配置される。なお、排気孔126を等間隔で配置しても、ゲート114a及びゲート114cから導入される樹脂の圧力及び量よりもゲート114bから導入される樹脂の圧力及び量を多くすることで、領域Yに溜まったエアARによる抵抗の影響を打ち消し(即ち、領域Yを通過した後も樹脂が樹脂流線A´を描くように矢印A方向に移動し)、樹脂の回り込みを生じさせることなく、移動してきた全てのエアARを均一に排気することが可能である。ここで、図6は、半導体基板10と封止空間112aとの間のエアARが局所的に溜まった場合の金型100の概略透視平面図である。
【0033】
排気孔126は、図4に示すように、第2の辺100bに8つの排気孔126が形成されている。本実施形態では、下型120の第2の辺100b側に位置あわせ用マークMが9つ存在するために、かかるマークMに重ならないように、間に8つの排気孔126を形成している。ここで、位置あわせ用マークMとは、封止空間112aに対する半導体基板10の位置をあわせるためのものであり、例えば、リードフレーム12の外周に形成された孔と照合させることで、半導体基板10を下型120の所定の位置(即ち、載置部122)に載置することができる。排気孔126は、数が多ければ多いほど半導体基板10と封止空間112aとの間に溜まったエアARを効率的に排気することができる。従って、下型120の第2の辺100b側にマークMが存在しない場合など、自由に排気孔126を形成することが可能ならば、できるたけ多くの排気孔126を形成することが好ましい。但し、第2の辺120a全体を一つの排気孔126として形成すると、上述したように、領域Rが大きくなることになり、パッケージ表面に窪みを発生させてしまうために好ましくない。
【0034】
排気孔126は、図4に示すように、幅a、深さbの断面矩形形状を有する。本実施形態では、排気孔126は、樹脂流線A´を描くように矢印A方向に流れる樹脂の圧力によって、樹脂流線A´に沿って移動する半導体基板10と封止空間112aとの間に溜まったエアARを効率的に排気するために、幅aを3mm乃至4mm、深さbを10μm乃至15μmの寸法の断面矩形形状とすることが好ましい。排気孔126の幅aが3mm以下、深さbが10μm以下であると、効率的にエアを排気させることができず、また、幅aが4mm以上、深さbが15μm以上であると、樹脂封止を行った際に、パッケージ表面に窪みを発生させてしまう。また、例えば、半導体基板10の搬送ミスなどで半導体基板10が金型内に載置されていない状態の金型100内に樹脂Jを注入してしまうと樹脂Jが排気孔126に流入、付着してしまうが、排気孔126が幅aを3mm乃至4mm、深さbを10μm乃至15μmの寸法の断面矩形形状であるため、排気孔126に流入する樹脂Jは、微量となり、排気孔126の入口付近のみ付着することになるため、容易にクリーニングを行うことができる。但し、排気孔126は、断面矩形形状に限定されず、封止空間112aにおける樹脂の流れを考慮して、最も樹脂の圧力を利用して効率的に排気を行える断面形状を有し、例えば、断面半円形状や断面三角形状などとして実現されてもよい。更に、本実施形態において、排気孔126は、一定の断面積を有しているが、漸減する断面積を有してもよい。
【0035】
また、排気孔126は、本実施形態では、全て同じ幅a及び深さbの寸法で形成されている。これは、上述したように、樹脂の圧力によって樹脂流線A´に沿って矢印A方向に均一に移動してくる半導体基板10と封止空間112aとの間に溜まったエアARを均一に排気するためである。即ち、排気孔126を全て同じ幅a及び深さbの寸法で形成することで、第2の辺100aにおけるエアARの排気能力を均一にしている。従って、例えば、図6に示すように、エアARが局所的に領域Yに溜まり、かかる領域YのエアARによって樹脂が抵抗を受け、樹脂流線C´を描くように矢印C方向に流れてしまう場合は、第2の辺100bにおける中央付近のエアARの排気能力を両端に比べて高くする必要がある。かかる場合には、排気孔126の寸法を変更し、図7に示すように、第2の辺100aの中央付近の排気孔126の幅a(又は深さb)を両端の排気孔126に比べて大きくしたり、第2の辺100aの両端の排気孔126の幅a(又は深さb)を中央付近の排気孔126に比べて小さくしたりすることで、第2の辺100bにおける中央付近のエアARの排気能力を両端に比べて高くすることができる。ここで、図7は、排気孔126の寸法が異なった場合の金型100の概略透視平面図である。
【0036】
以上のように、排気孔126の形成位置、配置間隔、配置数及び寸法は、封止空間112aにおける樹脂の流れる方向、半導体基板10と封止空間112aとの間に溜まったエアARの分布などによって異なる。従って、排気孔126は、エアARを全て排気して(即ち、樹脂の回り込みによるエアARの残留を防止して)半導体基板10の全面に亘って平坦にさせる(下型120の載置部122に密着させる)ように、コンピューターシミュレーション等により形成位置、配置間隔、配置数を求め、最適に組み合わせる。また、排気孔126を吸着手段300もしくは別に設けた吸着手段に接続してエアを吸引することも可能である。
【0037】
以下、図8を参照して、樹脂封止の際の半導体基板10(半導体チップ14は複数個実装するが、ここでは便宜上1個で表している。)の状態を説明する。図8は、樹脂封止の際の金型100内の半導体基板10の状態を示す模式図である。まず、半導体基板10を予め加熱した金型100の下型120に載置した後、吸着手段300によって吸着孔124を介して半導体基板10を吸着して下型120の載置部122に固定すると、半導体基板10は、図8(a)に示すように、下型120の熱によって熱膨張して半導体チップ14側に反り返り、下型120との間にエアARが残留する。次に、上型110を下型120にクランプして金型100内に封止空間112aを形成し、封止空間112aにゲート114を介して樹脂Jを導入すると、図8(b)に示すように、樹脂Jの圧力によって、半導体基板10と下型120との間のエアARが樹脂の流れる方向に向かって移動を始める。更に、封止空間112aへの樹脂Jの導入を進めると、図8(c)に示すように、半導体基板10と下型120との間のエアARが排気孔126に到達し、排気孔126を介して外部に排気される。これにり、半導体基板10と下型120との間のエアARが局所的に寄せ集められることによって生じる更なる半導体基板10の変形を防止することができる。従って、半導体チップ14及びボンディングワイヤー16が上型110の下面に部分的に接触し、樹脂封止後にパッケージ表面に露出して樹脂封止が不良となったり、ボンディングワイヤー16が断線して不良製品となったりすることを防止することができる。樹脂Jが完全に封止空間112aに充填されると、図8(d)に示すように、半導体基板10と下型120との間のエアARは全て排気され、半導体基板10の樹脂封止が完了する。即ち、半導体基板10は、変形することなく、全面に亘って平坦な状態で樹脂封止され、高品位な薄型の半導体基板10を製造することができる。
【0038】
次に、図9乃至図12を参照して、本発明の金型100の変形例である金型500について説明する。ここで、図9は、上型510と下型520により半導体基板10をクランプした金型500の概略断面図である。図9の金型500は、図3の金型100と比較して下型520の構成が異なる。その他、図3に示すものと同一の参照番号を付したものはその参照番号を表わす部材と同一であるものとし、重複説明は省略する。
【0039】
図9を参照するに、金型500は、上型510及び下型520を型締めした際に封止空間512aを規定する。封止空間512aは、主として上型510に形成された半導体基板10の半導体チップ14を収納する収納部512により形成され、かかる収納部512と下型520に配置された半導体基板10のリードフレーム12との間に形成される空間により定義される。上型510の収納部512は、半導体基板10に形成される樹脂封止形状(パッケージ)の外形寸法(即ち、封止したい半導体チップ14及びボンディングワイヤー16の配置)に合わせて凹形状に形成される。本実施形態において、上型510の収納部512は、複数の半導体チップ14を一括して封止できる空間に形成されており、金型500が規定する封止空間112aはほぼ断面矩形形状となる。
【0040】
上型510のゲート514には、封止空間512a(収納部512)に樹脂を導入して半導体基板10を封止する封止手段200が接続されている。ゲート514は、封止手段200が導入する樹脂を封止空間512aに供給する部位であり、封止空間512aと封止手段200とを接続する。
【0041】
下型520は、上型510に形成される収納部512の配置にあわせて、支持部530と、載置部540とを有し、半導体基板10を封止空間512aに配置する。
【0042】
支持部530は、図9に示すように、上型510に形成した収納部512の真下に挿入孔532を有し、かかる挿入孔532を跨ぐように半導体基板10の周囲を支持する。挿入孔532は、封止空間112aの外周形状に等しい寸法で形成され、後述する載置部540が挿入される。本実施形態では、挿入孔532は、封止空間112aが断面矩形形状であるため、矩形形状となっているが、例えば、封止空間112aが断面円形形状であれば円形形状とする。
【0043】
図10は、図9に示す金型500の概略構成図であって、図10(a)は、金型500の概略透視平面図、図10(b)は、図10(a)に示す金型500のα−α´断面図である。図9及び図10を参照するに、載置部540は、挿入孔532に挿入され、載置部540を支持する支持ブロック542と載置部540の背面との間に弾発用のスプリングSを設けることにより、上型510に向けて付勢して支持される。載置部540には、載置部540が上昇する位置を規制するストッパ544が設けられている。ストッパ544は、支持部530に半導体基板10を載置した状態で、半導体基板10との間に空隙Kを形成するように設定されている。これにより、載置部540は、支持部530に囲まれると共に半導体基板10との間に空隙Kを介して配置される。空隙Kは、後述するように、排気孔548と連通し、半導体基板10と封止空間512a(即ち、載置部540)との間に溜まったエアARを排気するのに利用され、吸着手段300の吸引開始により、載置部540が下動して設けられる。これは、載置部540と支持ブロック542との間に設けられた吸着路の負圧により、載置部540が下動するようにスプリングSのばね定数を調節しておくことにより可能となり、支持部530と載置部540との高さの寸法を研削により調整するよりも、スプリングSにて調整する方が容易であるためである。
【0044】
載置部540は、支持ブロック542及びスプリングSによって支持部530に対して移動可能に支持されると共に、吸着手段300が半導体基板10を吸着するための吸着孔546を形成するために支持部530の挿入孔532の外周形状より若干小さい寸法で形成される。吸着孔546は、支持ブロック542に形成された吸着路542aに連通し、吸着手段300にエアチューブ320及び開閉バルブ330を介して接続されて支持部530に支持された半導体基板10を吸着する。本実施形態では、吸着孔546を矩形枠形状に形成し、半導体基板10を均等に吸着することで、吸着による半導体基板10の変形を抑制している。従って、吸着孔546は、吸着によって半導体基板10を著しく変形させることなく、支持部530に吸着することができれば、L字形状、ニ字形状などを形成するように構成されてもよい。但し、吸着孔546は、幅aが小さすぎると半導体基板10を十分に吸着することができないために半導体基板10は支持部530に固定されず、幅aが大きすぎると支持部530及び載置部540により封止空間512aの内側に形成されるため、樹脂封止の際に、パッケージ表面に窪みを発生させてしまう。従って、吸着孔546の幅aは、15μm乃至20μm程度とすることが好ましい。また、例えば、半導体基板10の搬送ミスなどで半導体基板10が金型内に載置されていない状態の金型500内に樹脂Jを注入してしまうと樹脂Jが吸着孔546に流入、付着してしまうが、吸着孔546の幅aは、15μm乃至20μm程度であるため、吸着孔546に流入する樹脂Jは、微量となり、吸着孔546の入口付近のみ付着することになるため、容易にクリーニングを行うことができる。
【0045】
載置部540は、上面に排気孔548を有する。排気孔548は空隙K及び吸着孔546と連通するように形成される。排気孔548は、下型520の支持部530に支持された半導体基板10と封止空間512a(即ち、載置部540)との間に溜まったエアARを排気するのに使用される。即ち、吸着手段300が吸着孔546を減圧して半導体基板10を吸着すると、吸着孔546に連通している排気孔548及び空隙Kを介して半導体基板10と封止空間512aとの間に溜まったエアARが排気される。但し、空隙Kの深さzが長すぎると、吸着手段300の吸引により半導体基板10が凹形状にへこんでしまい、一方、空隙Kの深さzが小さい(又は空隙Kを設けない)と、排気孔548付近のみを吸着してしまい(即ち、半導体基板10の中央付近との連通が確保されない)、半導体基板10と封止空間512aとの間に溜まったエアARを排気することができない。従って、空隙Kの深さzは、5μm程度とすることが好ましい。
【0046】
本実施形態では、排気孔548は、載置部540の上面の辺540a乃至540dに形成されている。従って、図10(a)に示すように、領域Fに存在する半導体基板10と封止空間512a(即ち、固定部540)との間に溜まったエアARを、各辺540a乃至540dに形成された排気孔548を介して均一に排気する。例えば、図11に示すように、領域DにエアARが存在する場合は、載置部540の上面の辺540c及び540dに排気孔548を形成することで、かかるエアARを排気する。ここで、図11は、半導体基板10と封止空間512aとの間のエアARが局所的に溜まった場合の金型500の概略透視平面図である。
【0047】
本実施形態では、排気孔548は、幅x及び長さyの矩形形状で形成されている。排気孔548の幅x及び長さyが長すぎると、樹脂封止の際に、パッケージ表面に排気孔548に相当する窪みを発生させ、排気孔548の幅x及び長さyが小さすぎると、半導体基板10と封止空間512aとの間に溜まったエアARを十分に排気することができない。従って、排気孔548の幅xは、15μm乃至20μm程度、長さyは、3mm乃至4mm程度で形成することが好ましい。但し、排気孔548は、上述の機能を有するならば、矩形形状に限定されず、三角形状や円形状などとして実現されてもよい。
【0048】
また、排気孔548は、本実施形態では、全て同じ幅x及び長さyの寸法でくし歯状に形成されている。これは、上述したように、領域Fに存在する半導体基板10と封止空間512aとの間に溜まったエアARを均一に排気するためである。従って、図12に示すように、領域GにエアARが存在する場合は、載置部540の上面の辺540a及び540bに形成する排気孔548の幅x及び長さyを他の辺540c及び540dに比べて大きくすることで、効率的にエアARを排気することができる。また、載置部540の上面の辺540a及び540bの排気孔548を密に形成することで、領域GのエアARを効率的に排気することも可能である。ここで、図12は、半導体基板10と封止空間512aとの間のエアARが局所的に溜まった場合の金型500の概略透視平面図である。
【0049】
以上のように、排気孔548の形成位置、配置間隔及び寸法は、半導体基板10と封止空間512aとの間に溜まったエアARの分布などによって異なる。従って、排気孔548は、エアARを全て排気して半導体基板10の全面に亘って平坦にさせるように、コンピューターシミュレーション等により形成位置、配置間隔及び寸法を求め、最適に組み合わせる。
【0050】
以下、図13を参照して、樹脂封止の際の半導体基板10の状態を説明する。図13は、樹脂封止の際の金型500内の半導体基板10の状態を示す模式図である。まず、半導体基板10を予め加熱した金型500の下型520の支持部530に載置し、固定部540を支持部520の挿入孔532に挿入して空隙K、吸着孔546及び排気孔548を形成するように載置部540を配置させると、半導体基板10は、図13(a)に示すように、下型520の熱によって熱膨張して半導体チップ14側に反り返り、下型520との間にエアARが残留する。次に、吸着手段300によって吸着孔546を介して半導体基板10を吸着すると、図13(b)に示すように、半導体基板10と下型120との間のエアARが空隙K及び排気孔548を介して吸着孔546へ移動を始める。吸着孔546へ移動したエアARは、図13(c)に示すように、吸着孔546を介して排気され、半導体基板10の全面に亘って平坦になっていく。これにより、上型510を下型520にクランプした際に半導体チップ14及びボンディングワイヤー16が上型510の下面に部分的に接触し、樹脂封止後にパッケージ表面に露出して樹脂封止が不良となったり、ボンディングワイヤー16が断線して不良製品となったりすることを防止することができる。また、封止空間512aに樹脂Jを導入することで半導体基板10と下型520との間のエアARが局所的に寄せ集められることによって生じる更なる半導体基板10の変形を防止することができる。半導体基板10と下型120との間のエアARが全て排気され、半導体基板10が全面に亘って平坦になると、上型510を下型520にクランプして金型500内に封止空間512aを形成し、封止空間512aにゲート514を介して樹脂Jを導入し、図13(d)に示すように、半導体基板10の樹脂封止が完了する。即ち、半導体基板10は、変形することなく、全面に亘って平坦な状態で樹脂封止され、高品位な薄型の半導体基板10を製造することができる。
【0051】
次に、図14及び図15を参照して、本発明の別の金型600について説明する。図14は、本発明に係る金型600の概略透視平面図である。
【0052】
金型600は、上型610及び下型620を型締めした際に封止空間612aを規定する。封止空間612aは、主として上型610に形成された半導体基板10の半導体チップ14を収納する収納部612により形成され、かかる収納部612と下型620に配置された半導体基板10のリードフレーム12との間に形成される空間により定義される。上型610の収納部612は、半導体基板10に形成される樹脂封止形状(パッケージ)の外形寸法(即ち、封止したい半導体チップ14及びボンディングワイヤー16の配置)にあわせて形成される。
【0053】
上型610のゲート614には、封止空間612a(収納部612)に樹脂を導入して半導体基板10を封止する図示しない封止手段が接続されている。ゲート614は、封止手段が導入する樹脂を封止空間612aに供給する部位であり、封止空間612aと封止手段とを接続する。
【0054】
下型620の上面(即ち、封止空間612aの底面)には、上型610に形成される収納部612の配置にあわせて、半導体基板10のリードフレーム12を載置する載置部622を有する。下型620の載置部622は、封止空間612aに対応する位置に複数の吸着孔624を有する。
【0055】
吸着孔624は、図示しない吸着手段に接続され、かかる吸着手段が載置部622に載置された半導体基板10を吸着して下型620に固定するために設けられている。また、吸着孔624は、下型620の載置部622に載置した半導体基板10と封止空間612a(即ち、下型620の載置部622)との間に溜まったエアARを排気するのに使用される。換言すれば、吸着孔624は、半導体基板10を吸着することによってエアARを排気して、半導体基板10の全面に亘って平坦にしながら下型620の載置部622に密着固定させる機能を有する。
【0056】
吸着孔624には、図15に示すように、下型620に半導体基板10を載置した状態で、半導体基板10との間に空隙Hを形成するように固定ピン626が挿入されている。即ち、吸着孔624は、後述するように、固定ピン626の存在しない範囲である吸着孔624と固定ピン626との間の領域で半導体基板10を吸着する。固定ピン626には、金型に用いられるインデックスピンを利用することができる。ここで、図15は、図14に示す吸着孔624の概略断面図である(半導体チップ14の数は便宜上1個にしてある)。固定ピン626は、吸着孔624を介して半導体基板10を吸着することに起因するパッケージ表面の吸着孔626の痕の発生を防止する。即ち、固定ピン626は、空隙Hによって吸着孔624が半導体基板10を吸着する領域(即ち、吸着孔624の面積)を確保すると共に、吸着による半導体基板10の変形を抑制する。空隙Hの深さzがない(又は小さい)と、半導体基板10を吸着する領域(吸着孔626の開口)を確保することができないために(吸着力が小さいために)半導体基板10を下型620に固定することができず、空隙の深さzが長すぎると、吸着により半導体基板10が凹形状にへこんでしまう。従って、空隙Hの深さzは、5μm程度とすることが好ましい。
【0057】
吸着孔624は、半導体基板10の吸着及び半導体基板10と封止空間612aとの間に溜まったエアARを排気するために、固定ピン626との間に間隔fを有する。吸着孔624と固定ピン626との間隔fは、広すぎると半導体基板10を直接吸着する領域が大きくなり半導体基板10が凹形状にへこみ、狭すぎると半導体基板10の吸着及びエアARの排気を行うことができない。従って、吸着孔624と固定ピン626との間隔fは、15μm乃至20μmとすることが好ましい。また、吸着孔624と固定ピン626との間隔fを一定とすることで、半導体基板10を均等に吸着することができる。
【0058】
本実施形態では、吸着孔624及び固定ピン626は、同一形状で、下型620の載置部622に均等に形成されている。これは、上述したように、半導体基板10と封止空間612aとの間のエアARを均一に排気するためと、半導体基板10を均一に吸着して下型620の載置部622に固定するためである。また、吸着孔624及び固定ピン626は、円形形状である。但し、かかる形状は例示的であり、上述した機能を有するならばどのような形状であってもかまわない。また、例えば、矩形の吸着孔624に円形の固定ピン626を挿入するといった異なる形状の吸着孔624及び固定ピン626を組み合わせてもよい。
【0059】
以下、図16を参照して、樹脂封止の際の半導体基板10の状態を説明する。図16は、樹脂封止の際の金型600の半導体基板10の状態を示す模式図である。まず、予め加熱した金型600の下型620に載置すると、半導体基板10は、図16(a)に示すように、下型620の熱によって熱膨張して半導体チップ14側に反り返り、下型520との間にエアARが残留する。次に、吸着手段によって吸着孔624を介して半導体基板10を吸着すると、図16(b)に示すように、半導体基板10と下型620との間のエアARが空隙Hを介して吸着孔624と固定ピン626の間へ移動を始める。吸着孔624と固定ピン626の間へ移動したエアは、図16(c)に示すように、吸着孔646から排気され、半導体基板10は、全面に亘って平坦になっていく。これにより、上型610を下型620にクランプした際に半導体チップ14及びボンディングワイヤー16が上型610の下面に部分的に接触し、樹脂封止後にパッケージ表面に露出して樹脂封止が不良となったり、ボンディングワイヤー16が断線して不良製品となったりすることを防止することができる。また、封止空間612aに樹脂Jを導入することで半導体基板10と下型620との間のエアARが局所的に寄せ集められることによって生じる更なる半導体基板10の変形を防止することができる。半導体基板10と下型620との間のエアARが全て排気され、半導体基板10が全面に亘って平坦になると、上型610を下型620にクランプして金型600内に封止空間612aを形成し、封止空間612aにゲート614を介して樹脂Jを導入し、図16(d)に示すように、半導体基板10の樹脂封止が完了する。即ち、半導体基板10は、変形することなく、全面に亘って平坦な状態で樹脂封止され、高品位な薄型の半導体基板10を製造することができる。また、例えば、半導体基板10の搬送ミスなどで半導体基板10が金型内に載置されていない状態の金型600内に樹脂Jを注入してしまうと樹脂Jが吸着孔624に流入、付着してしまうが、吸着孔624には固定ピン626が挿入されており、吸着孔624に流入する樹脂Jは、微量となり、吸着孔624の入口付近のみ付着することになるため、容易にクリーニングを行うことができる。
【0060】
以上、本発明の好ましい実施例を説明したが、本発明はこれらに限定されずその要旨の範囲内で様々な変形や変更が可能であり、例えば、チップをワイヤーボンディングではなく、フリップチップボンディングした基板であっても同様の効果を得られることは言うまでもない。
【0061】
【発明の効果】
本発明の樹脂封止装置及び金型によれば、薄型の半導体基板などの被封止体と下型との間に溜まるエアを減少又は除去することによって、高品位に被封止体を封止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る樹脂封止装置を示す概略側面図である。
【図2】図1に示す樹脂封止装置の概略正面図である。
【図3】上型と下型により半導体基板をクランプしたプレス部の要部概略断面図である。
【図4】図1に示す金型100の概略構成図であって、図4(a)は、金型の概略透視平面図、図4(b)は、図4(a)に示す金型のα−α´断面図、図4(c)は、図4(a)に示す金型のβ−β´断面図である。
【図5】樹脂が封止空間を放射状に流れる場合の金型の概略透視平面図である。
【図6】半導体基板と封止空間との間のエアが局所的に溜まった場合の金型の概略透視平面図である。
【図7】排気孔の寸法が異なった場合の金型の概略透視平面図である。
【図8】樹脂封止の際の金型内の半導体基板の状態を示す模式図である。
【図9】上型と下型により半導体基板をクランプしたプレス部の要部概略断面図である。
【図10】図9に示す金型の概略構成図であって、図10(a)は、金型の概略透視平面図、図10(b)は、図10(a)に示す金型100のα−α´断面図である。
【図11】半導体基板と封止空間との間のエアが局所的に溜まった場合の金型の概略透視平面図である。
【図12】半導体基板と封止空間との間のエアが局所的に溜まった場合の金型の概略透視平面図である。
【図13】樹脂封止の際の金型内の半導体基板の状態を示す模式図である。
【図14】本発明に係る金型の概略透視平面図である。
【図15】図14に示す吸着孔の概略断面図である。
【図16】樹脂封止の際の金型内の半導体基板の状態を示す模式図である。
【図17】従来の封止空間の部分概略断面図である。
【符号の説明】
1         樹脂封止装置
100       金型
110       上型
112       収納部
112a      封止空間
120       下型
122       載置部
124       吸着孔
126       排気孔
200       封止手段
500       金型
510       上型
512a      封止空間
520       下型
530       支持部
532       挿入孔
540       載置部
548       排気孔
600       金型
610       上型
620       下型
624       吸着孔
626       固定ピン

Claims (5)

  1. 上金型と下金型からなる金型で封止空間を規定し、被封止体を前記金型に吸着して固定する吸着手段と、
    前記封止空間内に封止樹脂を導入して前記被封止体を封止する封止手段を有する樹脂封止装置において、
    前記被封止体と前記被封止体を吸着固定した前記金型との間に残留したエアを排気するための排気孔が形成された前記金型を有することを特徴とする樹脂封止装置。
  2. 前記金型は前記封止樹脂が導入される第1の辺と、
    当該第1の辺に対向して前記排気孔が形成される第2の辺を有することを特徴とする請求項1記載の樹脂封止装置。
  3. 被封止体の周囲を支持する支持部と、当該支持部との間に排気孔を形成して前記支持部に囲まれると共に前記被封止体との間に空隙を介して配置され、前記被封止体を前記金型に固定するための載置部とを有し、封止空間を規定する金型と、
    前記載置部に形成された前記排気孔を介して前記被封止体を前記金型に吸着して固定すると共に前記空隙の排気を行う吸着手段と、
    前記封止空間に封止物を導入して前記被封止体を封止する封止手段とを有することを特徴とする樹脂封止装置。
  4. 封止空間を規定すると共に被封止体を前記封止空間内に配置する金型であって、
    被封止体の周囲を支持する支持部と、
    当該支持部との間に排気孔を形成して前記支持部に囲まれると共に前記被封止体との間に空隙を介して配置され、前記被封止体を前記金型に固定するための載置部とを有することを特徴とする金型。
  5. 前記載置部は前記支持部に対して移動可能に構成されることを特徴とする請求項4記載の金型。
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