JP2004050246A - レーザ加工装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】被加工物表面にレーザビーム2を集光する集光レンズ4をX軸及びY軸制御部11,12により被加工物5の表面に対して所定距離を隔てて平行なX軸及びY軸方向に移動させる際,該集光レンズ4を,レンズ距離制御部15によってレーザ発振器1から集光レンズ4に至るレーザビーム2の光路長の変化に応じて移動させ,前記レーザビーム2のスポット径が略一定となるよう調節する。或いは,該集光レンズ4の焦点距離を,焦点距離制御部16によってレーザ発振器1から集光レンズ4に至るレーザビーム2の光路長の変化に応じて調整し,前記レーザビーム2のスポット径が略一定となるよう調節する。
【選択図】図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は,レーザビームにより金属板やプラスチック板,木製合板等の被加工物を加工するレーザ加工装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
レーザビームを用いて加工を行う従来のレーザ加工装置Bは,図4に示すように,レーザ発振器1から出射されるレーザビーム2が,ミラー3によって集光レンズ4に導かれ,該集光レンズ4によって集光されたレーザビーム2が,所定のXYテーブル6上に載置された金属板や木製合板等の平面状の表面を有する被加工物5に照射されるよう構成されている。ここで,前記XYテーブル6は,前記レーザビーム2の被加工物5への入射方向(Z軸方向)に直交する2次元方向(X軸及びY軸の方向)に移動可能に構成されており,これに載置された被加工物5を同方向に移動させることができる。これにより,前記XYテーブル6を移動させることによって被加工物5表面の任意の位置に前記集光レンズ4によって集光されたレーザビーム2が照射される。
また,前記集光レンズ4は,前記ヘッド部7の有するZ軸方向の位置決め機構(不図示)によって支持され,前記集光レンズ4と被測定物5との距離(以下略してレンズ距離と称す)を任意に設定できる。これにより,前記レンズ距離の設定に応じた所定のスポット径で前記レーザビーム2が前記被加工物5を照射することが可能となり,所望の溝幅で被加工物5をレーザ加工することができる。
しかし,従来のレーザ加工装置Bでは,被測定物5をXY平面方向に移動させる構造上,被測定物5全体に渡って加工できるようにするためには,XY平面方向において,被測定物5の面積に対して約4倍程度の占有面積が必要となり設置スペースが非常に大きくなる。この問題を解消するためには,被加工物5を移動させるのではなく,前記集光レンズ4をXY平面方向に移動させることが考えられる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら,前記集光レンズ4をXY平面方向に移動させた場合には,前記レーザ発振器1から前記集光レンズ4に至るレーザビーム2の光路長が変化するため,以下のような問題点が生じる。
図5は,XY平面方向から見た前記集光レンズ4と被測定物5とを模式的に表した図である。通常,被測定物5が金属である場合,図4(a)に示すように,前記集光レンズ4により集光されたレーザビーム2がその焦点Oにおいて被加工物5の表面に照射されるよう前記集光レンズ4のZ軸方向の位置が設定される(即ち,前記レンズ距離=前記集光レンズの焦点距離)。
一方,木製合板等の被加工物5の抜型加工等を行う場合には,図4(b)に示すように,集光されたレーザビーム2がその焦点Oの近傍(焦点Oからずれた位置)で被加工物5の表面に照射され,所定のスポット径rを形成するよう前記集光レンズ4のZ軸方向の位置が設定される(即ち,前記レンズ距離≠前記集光レンズの焦点距離)。図4(b)の例では,前記集光レンズ4の位置が,レーザビーム2がその焦点Oよりも若干離れた位置で被加工物5に照射されるよう設定されているが(前記レンズ距離>前記集光レンズの焦点距離),焦点Oよりも若干近い位置で被加工物に照射されるよう設定することも考えられる(前記レンズ距離<前記集光レンズの焦点距離)。
ところで,レーザビーム2は,その光路長が長くなるに従ってそのビーム径Rが大きくなる。例えば,ビーム径Rが20mm程度のレーザビーム2の場合,光路長が1m長くなることでそのビーム径Rが2mm程度大きくなる場合がある。このようにレーザビーム2の光路長が変化することにより前記集光レンズ4に入射されるレーザビーム2のビーム径Rが変化すると,前記レーザビーム2が前記集光レンズ4の焦点とずれた位置で被測定物5に照射される図4(b)の場合には,被測定物5に照射されるレーザビーム2のスポット径rが前記ビーム径Rの変化に比例して変化してしまう。このようなスポット径rの変化は,そのまま被加工物5の加工精度に影響する。例えば,ビーム径Rが20mmのときにスポット径が0.63mmとなる位置(Z軸方向)に前記集光レンズ4が設定されている場合,ビーム径Rが22mmになるとスポット径は0.693mmとなり,0.01mmの精度を争うレーザビーム加工では非常に大きな問題となる。
上記問題を解決するために,前記レーザ発振器1と前記集光レンズ4とを一体的に(光路長を常に維持した状態で)移動させる構成も考え得るが,このような構成とすると,重いレーザ発振器1を移動させる大型かつ高精度の位置決め装置が必要となり,設置スペースや消費電力の増大,並びにコスト上昇を招く上,レーザ発振器1の振動を抑制する機構も必要になる等,非現実的である。
従って,本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり,その目的とするところは,設置スペースを小さくするためにレーザビームの集光レンズを移動させるよう構成しても被測定物へのレーザビームのスポット径を一定に維持できるレーザ加工装置を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は,レーザ発振器から出射されるレーザビームを所定の被加工物の表面から所定距離を隔てて設けられた集光レンズに導くことにより,該集光レンズで集光された前記レーザビームが前記被加工物に照射されるよう構成されたレーザ加工装置において,前記集光レンズを,前記被加工物の表面に対して所定距離を隔てて平行な2次元方向に移動させる集光レンズ移動手段と,前記集光レンズ移動手段が前記集光レンズを移動させることにより生ずる前記レーザ発振器から前記集光レンズに至る前記レーザビームの光路長の変化に応じて,前記レーザビームが前記被加工物の表面に形成するスポット径を調整するスポット径調整手段と,を具備してなることを特徴とするレーザ加工装置として構成されるものである。
ここで,前記スポット径調整手段としては,前記レーザ発振器から前記集光レンズに至る前記レーザビームの光路内に設けられ,前記レーザビームの光路長の変化に応じて,そのビーム径を調整するものが考えられ,その一例としては,前記レーザビームの光路長の変化に応じて,前記集光レンズと前記被加工物との間の距離を調整するレンズ距離調整機構が考えられる。
これにより,設置スペースを小さくするためにレーザビームの前記集光レンズを移動させるよう構成した装置において,該集光レンズの移動により前記レーザビームの光路長が変動しても,その光路長,即ちビーム径の変動に応じて前記レンズ距離を最適に制御することにより,被測定物へのレーザビームのスポット径を一定に維持することできる。
【0005】
また,前記スポット径維持手段のその他の例としては,前記レーザビームの光路長の変化に応じて,前記集光レンズの焦点距離を調整する焦点距離調整機構により構成されたものも考え得る。
このような構成であっても,上述したものと同様,前記集光レンズが移動され,該集光レンズに入射されるレーザビームのビーム径が変動した場合であっても,その光路長,即ちビーム径に応じて前記集光レンズの焦点距離を変更することにより,被測定物へのレーザビームのスポット径は一定に維持されるので,その加工精度を劣化させることなく従来の装置に較べて著しくコンパクトな装置を実現することができる。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下添付図面を参照しながら,本発明の実施の形態及び実施例について説明し,本発明の理解に供する。尚,以下の実施の形態及び実施例は,本発明を具体化した一例であって,本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
ここに,図1は本発明の第1の実施形態に係るレーザ加工装置Aの概略構成を表す図,図2はビ−ム径の変化によるスポット径の変化を模式的に表す図,図3は本発明の第2の実施形態に係るヘッド部7の概略構成を表す図,図4は従来のレーザ加工装置Bの概略構成を表す図,図5はXY平面方向から見た集光レンズと被測定物とを模式的に表す図である。
【0007】
以下,図1を用いて,本発明の実施の形態に係るレーザ加工装置Aの構成について説明する。図1は,該レーザ加工装置Aを上方から見たときの概略構成,及びヘッド部7の断面を表す。
該レーザ加工装置Aは,被加工物5を載置する載置台10と,レーザビーム2を出射するレーザ発振器1と,該レーザ発振器1からのレーザビーム2を反射して集光レンズ4に導光するミラー31〜33と,該ミラー31〜33により導光された前記レーザビーム2を受光して集光する集光レンズ4とを具備している。更に,該レーザ加工装置Aは,被加工物5の表面に平行な1次元方向(以下,X軸方向という)の位置決め装置であるX軸制御部11と,該X軸制御部11によりX軸方向に位置決めされるよう支持されX軸方向と直交するY軸方向の位置決め装置であるY軸制御部12と,これら各軸制御部11,12により,被加工物5の表面に平行な2次元方向(以下,X−Y軸方向という)の任意の位置に位置決めされるよう支持されたヘッド部7と,前記集光レンズ4を後述するように前記ヘッド部7の位置(即ち,前記レーザ発振器1から前記集光レンズ4に至る前記レーザビーム2の光路長)の変化に応じて,所定方向(X軸及びY軸に直交する方向であるZ軸方向)に移動させ,前記集光レンズ4と被測定物5との距離(以下,レンズ距離という)を調整するレンズ距離制御部15(レンズ距離調整機構の一例に該当する)と,電子計算機等からなる演算部14とを具備している。
また,前記集光レンズ4は,前記ヘッド部7の有するZ軸方向の位置決め機構(不図示)により,その初期位置が位置決めされる。この初期位置は,例えば,ユーザによって前記演算部14により入力/選択される前記レーザビーム2のスポット径(即ち,レーザ加工により被加工物に形成される溝幅)に応じて決定され,前記レンズ距離制御部15は,この初期位置におけるスポット径を,前記レーザビーム2の光路長に拘わらず一定に維持するために,前記集光レンズ4を移動させ,前記レンズ距離を調整する。
また,前記演算部14は,該演算部14に入力される所定の加工データ(どの位置をどのように加工するかを表すCADデータ等)に従って,前記X軸及びY軸制御部11,12に対して前記ヘッド部7をいずれの位置に位置決めするか(即ち,いずれの位置の加工を行うか)を指示する所定の制御指令を出力し,該制御指令に従って前記X軸及びY軸制御部11,12による前記ヘッド部7の位置決めがなされる。このとき,前記レンズ距離制御部15に対しても,前記集光レンズ4が前記ヘッド部7の位置の移動により,前記レーザビーム2の光路長が変動しても,その光路長,即ちビーム径の変動に応じて前記レンズ距離を最適に制御することにより,被加工物5表面に所定のスポット径に集光された前記レーザビーム2を照射せしめる位置に位置決めする制御指令が出力される。ここで,前記各制御部11,12,15の位置決め機構は,前記演算部14からの制御指令に従って連続的に(アナログ的に)移動して位置決めするものや,加工精度の許容範囲内でステップ状に(階段状に)移動して位置決めするものが考えられる。
以上のような構成により,本実施形態に係る前記レーザ加工装置Aでは,前記レーザ発振器1から出射された前記レーザビーム2が,固定されたミラー31,前記Y軸制御部12に支持され該Y軸制御部12と共にX軸方向に移動可能に構成されたミラー32,及び前記ヘッド部7に支持され該ヘッド部7とともにY軸方向に移動可能に構成されたミラー33により前記レーザ発振器1から前記集光レンズ4へ導かれ,該集光レンズ4によって集光された後に,前記載置台10上に載置された金属板や木製合板等等の被加工物5に照射される。即ち,前記X軸制御部11及び前記Y軸制御部12を最適に動作させる(移動させて位置決めする)ことにより,前記集光レンズ4を被加工物5の表面に対して所定距離を隔てて平行なX−Y軸方向に移動可能であるため,被加工物5の任意の位置に前記レーザビーム2を照射し,レーザ加工することができる。(前記X軸制御部11及び前記Y軸制御部12が前記集光レンズ移動手段の一例を構成する)
ここでは,前記レーザビーム2の反射手段の例としてミラーを用いているが,これに限るものでなく,プリズム等の反射手段によってレーザビーム2の方向を変化させるよう構成する等,他の構成も考えられる。また,ミラー(反射手段)の数や配置も図1に示すものはあくまで一例であって,前記レーザ発振器1から照射された前記レーザビーム2が前記集光レンズ4に対して導かれ,且つその光路長が算出可能な構成であれば他の構成とすることも自由である。
また,本レーザ加工装置Aは,以上の他にも,加工屑を除去するための集塵器や,前記レーザ発振器1に用いられるエアドライヤー及びコンプレッサ等,一般的なレーザ加工装置が備える構成要素を有しているが,本発明の構成上特に特徴を有するものではないのでここでは説明を省略する。
【0008】
次に,前記レンズ距離調整部15による前記集光レンズ4の位置決めについて,図2を参照しつつ説明する。ここに,図2は,ビ−ム径が変化した場合のスポット径の変化を模式的に表す図である。
図2において,実線で示すレーザビーム2_R(ビーム径:R)は,前記ヘッド部7が初期位置(図1には破線Pで示し,その光路長が最も短くなる位置)にある場合のレーザビームを示し,そのビーム径は光路長の変化による影響を受けていないものである。ここで,レーザ加工を行う前提として,前記集光レンズ4は,不図示である位置決め機構により,前記ヘッド部7が初期位置Pにある場合において,前記レーザビーム2が所望のスポット径に集光される位置に位置決めされているものとする。この前記集光レンズ4の初期位置は,既知である前記レーザビームのビーム径,及び前記集光レンズ4の焦点距離等の光学特性に基づいて容易に決定することが可能である。図2に示す本実施形態では,前記集光レンズ4の焦点距離がZ2であるため,焦点Oの被加工物に対する高さ(以下略して,焦点高さと称す)をHとする,即ち,前記集光レンズ4のレンズ距離をZ1(=Z2+H)に位置決めすることにより,入射される前記レーザビーム2_Rを所定のスポット径rに集光させることができる。
一方,破線で示すレーザビーム2_RL(ビーム径:RL)は,前記ヘッド部7が移動し,その光路差の変化によりビーム径の拡がったレーザビームを示す。この場合,前記集光レンズ4が,上述した初期位置の場合と同一の場所であれば,同図に示す如く,被加工物5上に形成されるスポット径は,そのビーム径の拡がりに比例したrLとなり,所望の溝幅でのレーザ加工が行うことができない。
そこで,入射された前記レーザビーム2RLを前記被加工物5上に所定のスポット径rで集光するためには,同図に示す如く,前記集光レンズ4を図に示すXだけ移動することにより焦点高さをHからHLに変更し,該集光レンズ4のレンズ距離をZ3(=Z2+HL)に位置決めすることにより,入射される前記レーザビーム2_RLを所定のスポット径rに集光させることができる。
その前記集光レンズ4の移動量Xの算出方法については,図2における図形相似を用いることにより説明できる。
つまり,図2において,焦点高さHとHLとの間には,図形相似の関係より以下の式が成り立つ。
HL=H・(r/rL) …(1)
よって,上式(1)を用いて,移動量Xは,
X=H−HL=H(1−(r/rL)) …(2)
により算出できる。
ここで,被加工物5上に形成されるスポット径r及びrLは,前記集光レンズ4に入射されるレーザビームのビーム径R及びRLに比例するものであるため,上記(2)式の右辺におけるスポット径の比は,入射されるレーザビームのビーム径の比と等しい。(図2における図形相似よりも明らかである)
即ち,上記(2)式は,
X=H(1−(R/RL)) …(3)
の如く変形することができる。
更に,入射されるレーザビームのビーム径R及びRLは,そのレーザビームの光路長の変化に略比例して変化するものであるため,上記(3)式は,
X=H(1−(L/LL)) …(4)
但し,Lは初期位置における光路長であり,LLは前記ヘッド部7が移動した場合の光路長である。
と変形することができる。
即ち,前記集光レンズ4の移動量Xは,初期位置における焦点高さH,光路長L,及び前記集光レンズ4の移動により変化した光路長LLとに基づいて算出することができる。
このように算出された移動量Xに応じて前記集光レンズ4をZ軸方向に移動することにより,前記集光レンズ4のX−Y軸方向への移動(即ち,光路長の変化)に拘わらず,常にスポット径rを一定(ステップ状に前記集光レンズ4を位置決めする場合は加工精度の許容範囲内で略一定)に調節することができる。
その結果,本実施形態に係るレーザ加工装置Aでは,被加工物5をXY平面方向に移動させて加工する従来のレーザ加工装置よりも設置スペースをはるかに小さく抑えられるとともに,被加工物5の加工精度も一定(又は許容範囲内)に維持することが可能となる。
【0009】
上述した前記集光レンズ4の移動量Xの算出方法は,該集光レンズ4を移動させる毎に,その光路長LLを基準となる初期位置における光路長Lと比較し,その光路長LLに(即ち,その光路長の変化量)応じた移動量Xを算出する方法について説明している。
しかしながら,前記レーザビーム2におけるビーム径の変化が,該レーザビーム2の光路長の変化との間で線形関係(例えば,比例関係)を有することに着目し,レーザビーム2の光路長が最も大きく変化する位置(図1には破線Qで示し,その光路長をL_maxとする)にある場合の操作量X(最大操作量X_max)を予め前記演算部14に記憶しておくことにより,前記集光レンズ4が移動した場合(即ち,前記ヘッド部7がP,Q以外の任意の位置に移動した場合)の操作量Xを,その最大操作量X_maxに基づいて算出することができる。
即ち,前記集光レンズ4の操作量Xと前記最大操作量X_maxとの間の比は,レーザ加工に伴う前記集光レンズ4の移動によって変化する光路長と最大変化した場合の光路長L_maxとの間の比と等しいことを利用し,その比に応じて前記操作量X_maxから任意の位置における操作量Xを算出するものである。
このようにすれば,前期演算部14における操作量Xの演算処理をより簡略化することができ,該演算部14に要求されるメモリ容量の縮小や処理時間の短縮等の効果が期待できる。
【0010】
【実施例】
上記実施形態では,前記レーザビーム2のビーム径(即ち,光路長)の変化に応じて,前記集光レンズ4を移動させ,被加工物5上に形成されるスポット径rを調整する形態について説明したが,被加工物5上のスポット径rを調整する構成としては,例えば,図3に示す如く,前記集光レンズ4の焦点距離を変位させるレンズ距離調整部16(レンズ距離調整機構の一例に該当する)を設ける形態も考え得る。
同図は,前記集光レンズ4を複数のレンズを組み合わせて構成(図では,レンズ4a及び4b)し,前記レーザビーム2のビーム径(即ち,光路長)の変化に応じて,レンズ4bを移動させることにより,該集光レンズ4としての焦点距離を変化させる構成の一例を示している。
これにより,あたかもズームレンズの如くその焦点距離を容易且つ正確に変化させることが可能となり,前記集光レンズ4に入射されるレーザビーム2のビーム径に拘わらず,被加工物5に照射されるレーザビーム2のスポット径rを調整することができる。
【0011】
また,上記実施形態及び上記実施例では,前記スポット径調整手段として,前記集光レンズ4を移動させることにより,被加工物5上に形成される前記レーザビームのスポット径を調整する形態としたが,前記スポット径調整手段は,前記レーザ発振器1から前記集光レンズ4に至るレーザビーム2の光路内であれば,何れの場所に設けることも可能であり,例えば,光路内に設けられたレンズ(前記スポット径調整手段の一例に該当)であっても良い。
この場合には,レーザ加工中には前記集光レンズ4は固定され,その代わりに,光路内に設けられた前記レンズが,その光路長の変化に応じて移動させることにより,前記集光レンズ4に入射されるレーザビーム2のビーム径を一定に維持するべく調整される。
前期レンズの移動量の算出方法については,上述説明した実施形態の場合と同様の考えに基づいて,初期位置P及び最大光路長となる位置Qとを基準して算出することが可能であることは容易に理解され得るので,ここでは,詳説は省略する。
このような形態によれば,上述した実施形態と較べて,前記ヘッド部7に前記スポット径調整手段を搭載する必要が無いため,該ヘッド部7の更なる小型軽量化が可能であり,近年のレーザ加工装置に対して要求される高速で且つ高精度なレーザ加工が可能な装置として構成することができる。
【0012】
【発明の効果】
以上説明したように,本発明によれば,集光レンズの移動によるレーザビームのビーム径の変動に拘わらず,常に被加工物に照射されるレーザビームのスポット径を略一定に維持できる。その結果,被加工物をXYテーブル等により移動させて加工する従来のレーザ加工装置よりも設置スペースをはるかに小さく抑えられると共に,被加工物の加工精度も一定に維持することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るレーザ加工装置Aの概略構成を表す図。
【図2】ビ−ム径の変化によるスポット径の変化を模式的に表す図。
【図3】本発明の第2の実施形態に係るヘッド部7の概略構成を表す図。
【図4】従来のレーザ加工装置Bの概略構成を表す図。
【図5】XY平面方向から見た集光レンズと被測定物とを模式的に表す図。
【符号の説明】
1 …レーザ発振器
2 …レーザビーム
3,31,32,33…ミラー(反射手段)
4 …集光レンズ
4a…レンズ
4b…レンズ
5 …被加工物
6 …XYテーブル
7 …ヘッド部
10…載置台
11…X軸制御部
12…Y軸制御部
14…演算部
15…レンズ距離制御部
16…焦点距離制御部
Claims (4)
- レーザ発振器から出射されるレーザビームを所定の被加工物の表面から所定距離を隔てて設けられた集光レンズに導くことにより,該集光レンズで集光された前記レーザビームが前記被加工物に照射されるよう構成されたレーザ加工装置において,
前記集光レンズを,前記被加工物の表面に対して所定距離を隔てて平行な2次元方向に移動させる集光レンズ移動手段と,
前記集光レンズ移動手段が前記集光レンズを移動させることにより生ずる前記レーザ発振器から前記集光レンズに至る前記レーザビームの光路長の変化に応じて,前記レーザビームが前記被加工物の表面に形成するスポット径を調整するスポット径調整手段と,
を具備してなることを特徴とするレーザ加工装置。 - 前記スポット径調整手段が,
前記レーザ発振器から前記集光レンズに至る前記レーザビームの光路内に設けられ,前記レーザビームの光路長の変化に応じて,そのビーム径を調整するものである請求項1に記載のレーザ加工装置。 - 前記スポット径調整手段が,
前記レーザビームの光路長の変化に応じて,前記集光レンズと前記被加工物との間の距離を調整するレンズ距離調整機構により構成されてなる請求項1或いは2のいずれかに記載のレーザ加工装置。 - 前記スポット径調整手段が,
前記レーザビームの光路長の変化に応じて,前記集光レンズの焦点距離を調整する焦点距離調整機構により構成されてなる請求項1或いは2のいずれかに記載のレーザ加工装置。
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