JP2004050216A - 圧延ロール - Google Patents
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Abstract
【課題】テーパ嵌合による圧延リングへの応力分布の不均一を解消し、圧延リングの割損を防止することで圧延リングの寿命を向上させ、圧延工程のコストを低減させること。
【解決手段】軸線O回りに回転されるテーパシャフト2に、内周にテーパ面を設けたテーパスリーブ12が取り付けられ、テーパスリーブ12の外周に圧延リング14が取り付けられて構成されている圧延ロール10であって、テーパスリーブ12の外周にテーパ面が形成されていることを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】軸線O回りに回転されるテーパシャフト2に、内周にテーパ面を設けたテーパスリーブ12が取り付けられ、テーパスリーブ12の外周に圧延リング14が取り付けられて構成されている圧延ロール10であって、テーパスリーブ12の外周にテーパ面が形成されていることを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、線材あるいは棒材の熱間圧延に用いられる圧延リングおよび圧延ロールに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、金属素材を加熱状態において回転する圧延ロール間に通して、圧延ロール上に形成された型に対応する断面形状を有する線材あるいは棒材を生産する熱間圧延は、鋳造や鍛造にくらべて作業が連続的で速く、種々の製品の生産に広く用いられている。
【0003】
従来、図2に示すような、圧延ロール1は超硬合金以外の材料(例えば鋼)からなるテーパシャフト2と、テーパシャフト2の外周面2aに取り付けられたテーパスリーブ3と、テーパスリーブ3の外周面3aに取り付けられた圧延リング4とを備え、回転軸Oを中心に回転する構成とされている。テーパシャフト2の外周面2aは、テーパ状に形成されており、その大径部側が圧延機の出力軸(図示せず)に接続されている。テーパスリーブ3は、その内周面3bはテーパシャフト2の外周面2aと同じ傾斜を有するテーパ状に形成され、外周面3aは回転軸Oと平行に形成されている。また、テーパスリーブ3のテーパによって薄肉に形成されている側面を先端面3cとする。圧延リング4は、超硬合金により略筒状に形成され、内周面4aは回転軸Oと平行に形成され、外周面4bに被加工物を圧延成形するための圧延部4cが設けられている。このように構成された圧延ロール1において、テーパシャフト2の大径部側を圧延ロール1の基端側とする。
【0004】
圧延ロール1は、テーパシャフト2と圧延リング4との間のテーパスリーブ3を圧延ロール1の基端側に向けて押し込むことで、テーパシャフト2とテーパスリーブ3とが嵌合すると共に、テーパスリーブ3と圧延リング4が嵌合し、それぞれが固定される構成とされている。つまり、テーパシャフト2とテーパスリーブ3とをテーパ嵌合させることによって、テーパスリーブ3に拡径する方向への応力が生じ、この応力が圧延リング4の内周面4aに加えられて固定されるのである。従来、テーパスリーブ3の先端面3cの肉厚Aは、3mm〜15mmであった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記圧延ロール1において、テーパ嵌合させることによって生じる圧延リング4の内周面4aに加えられる応力が、回転軸Oの方向に不均一に分布するという問題があった。つまり、テーパスリーブ3の先端側が基端側に比べて薄肉であるので、先端側においてテーパ嵌合による変形が容易であり、テーパスリーブ3の先端側において圧延リング4への応力が高くなるのである。このような応力の分布差は、テーパスリーブ3が薄肉であるほど増大され、応力の分布差により圧延リング4が割損してしまうという問題があった。
【0006】
本発明は、このような背景の下になされたものであって、テーパ嵌合による圧延リングへの応力分布の不均一を解消し、圧延リングの割損を防止することで圧延リングの寿命を向上させ、圧延工程のコストを低減させることを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
請求項1に係る発明は、軸線回りに回転されるテーパシャフトに、内周にテーパ面を設けたテーパスリーブが取り付けられ、該テーパスリーブの外周に圧延リングが取り付けられて構成されている圧延ロールであって、テーパスリーブの外周にテーパ面が形成されていることを特徴とする。
【0008】
この発明に係る圧延ロールによれば、外周にテーパ面が形成されているテーパスリーブが用いられているので、テーパスリーブによって圧延リングに加えられる応力の分布差が減少させられる。つまり、テーパ嵌合によってテーパスリーブの薄肉側の変形が容易となるが、この薄肉側に生じる応力の上昇をテーパスリーブの外周に形成されたテーパ面によって抑制することができるのである。このように、応力の分布差を減少させることにより圧延リングの割損を防止することができ、圧延リングの寿命を向上させることができるので、圧延工程のコストを低減させることができる。
【0009】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の圧延ロールにおいて、前記テーパシャフトの基端側での前記圧延リングの一方の端面の肉厚が15mmから60mmの範囲内で、これに対応する前記テーパスリーブの端面の肉厚が3mmから40mmの範囲内であることを特徴とする。
【0010】
この発明に係る圧延ロールによれば、圧延リングおよびテーパスリーブの端面の肉厚が上記範囲内で、従来よりテーパスリーブの端面の肉厚が厚く形成されているので、テーパ嵌合時にテーパスリーブが変形しにくくなる。これにより、圧延リングに加えられる応力が減少すると共に、応力の分布差も減少する。また、従来よりテーパスリーブの外径が大きくなるので、テーパスリーブの外周面積、つまりテーパスリーブと圧延リングとの接触面積が大きくなり、テーパスリーブと圧延リングとの間の摩擦力が増大する。これにより、テーパスリーブによる圧延リングの保持力を低減させることなく応力の分布差を減少させることができる。また、圧延リングの肉厚を従来より薄くすることができるので、圧延リングの製造コストを低減させることができる。
【0011】
請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に記載の圧延ロールにおいて、前記軸線に対し、前記テーパスリーブの外周テーパ面の傾斜と内周テーパ面の傾斜とが異なる向きに形成されており、該外周テーパ面の傾斜角が該内周テーパ面の傾斜角より小角度で形成されていることを特徴とする。
【0012】
この発明に係る圧延ロールによれば、軸線に対しテーパスリーブの外周テーパ面の傾斜と内周テーパ面の傾斜とが異なる向きに形成され、つまりテーパ嵌合によってテーパスリーブの変形が容易となる薄肉側において外周テーパ面の外径が小さく形成されているので、薄肉側に生じる応力の上昇が抑制される。また、軸線に対し外周テーパ面の傾斜角が内周テーパ面の傾斜角より小角度で形成されているので、テーパ嵌合時にくさび作用によって圧延リングが嵌合される。これにより、確実にテーパスリーブによって圧延リングを保持することができる。
【0013】
請求項4に係る発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の圧延ロールにおいて、前記テーパスリーブに形成されている外周テーパ面の傾斜による両端の外周の半径の差が0.01mm以下であることを特徴とする。
【0014】
この発明に係る圧延ロールによれば、テーパスリーブに形成されている外周テーパ面の傾斜による両端の外周の半径の差が0.01mm以下であるので、応力の分布差を減少させることができると共に、確実にテーパスリーブによって圧延リングを保持することができる。より好ましくは0.005mm以下とすることで、より確実に圧延リングを保持することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照し、この発明の実施の形態について説明する。図1に示すように、圧延ロール10は回転軸Oを中心に回転されるテーパシャフト2に、内周に内周テーパ面11を設けたテーパスリーブ12が取り付けられ、テーパスリーブ12の外周に設けられた外周テーパ面13に圧延リング14が取り付けられ構成されている。つまり、テーパシャフト2とテーパスリーブ12とがテーパ嵌合することにより、圧延リング14が装着される構成とされている。テーパシャフト2は、従来と同じテーパシャフトが用いられ、大径部側が圧延機の出力軸(図示せず)に接続されている。
【0016】
テーパスリーブ12は、内周にテーパシャフト2の傾斜に対応する傾斜を設けた内周テーパ面11が形成されており、内周が拡径されている側の端面が先端面15とされている。つまり、テーパスリーブ12がテーパシャフト2に差し込まれる時に、先に差し込まれる側面が先端面15である。テーパスリーブ12の先端面15の肉厚Bは、従来のテーパスリーブ3の先端面3cの肉厚Aより大きく設定されている。また、テーパスリーブ12の先端側の外周面の一部は、他の外周面より大径に形成され、圧延リング14を保持するため保持部22を形成し、保持部22の外周面を外周テーパ面13、保持部22の基端側の面を基端面23としている。
【0017】
外周テーパ面13は、回転軸Oに対し内周テーパ面11と異なる向きに傾斜が形成されており、内周テーパ面11の傾斜角より小さい傾斜角とされている。また、回転軸Oを通る平面によるテーパスリーブ12の断面において、外周テーパ面13は直線状とされている。また、テーパスリーブ12の基端側の端面はテーパ嵌合時に押圧される押圧面16とされている。
【0018】
圧延リング14は、超硬合金により略筒状に形成され、従来の圧延リング4と同様に外周面17に被加工物を圧延成形するための圧延部18が設けられ、テーパスリーブ12の先端面15と同側面が先端面20とされ、他側面が基端面21とされている。また、圧延リング14の内周に設けられている内周面19は、回転軸Oに対して平行になるように形成されている。
【0019】
また、圧延リング14の先端面20の肉厚Cが15〜60mmの範囲内で、テーパスリーブ12の先端面15の肉厚Bが3〜40mmの範囲内で形成されている。テーパスリーブ12の先端面15の外周の半径と、基端面23の外周の半径との差は、0.01mm以下、より好ましくは0.005mm以下となるように外周テーパ面13が形成されている。また、圧延リング14の回転軸O方向の幅Wは、30〜150mmの範囲内で形成されている。圧延リング14は、上記の肉厚Cおよび幅Wの範囲において、外径の呼び寸法ごとに表1に示すような寸法値の範囲で用いられている。表1は、圧延リング14の呼び寸法に対する幅W、外径φD、内径φdの寸法値である。表の上段の数値は寸法値の範囲で、下段の数値は代表的に用いられる寸法値である。
【0020】
【表1】
【0021】
上述したような圧延ロール10において、テーパシャフト2とテーパスリーブ12とのテーパ嵌合による、圧延リング14の装着について説明を行う。まず、テーパシャフト2にテーパスリーブ12を挿入し、軽く固定されるまで差し込み、テーパスリーブ12の外周テーパ面13に圧延リング14を挿入する。このとき、テーパスリーブ12の外周テーパ面13の傾斜により、外周テーパ面13と内周面19との間の隙間は、基端側より先端側において大きくなる。
【0022】
つぎに、テーパスリーブ12の押圧面16を従来と同じ押圧力で押圧し、テーパシャフト2とテーパスリーブ12とをテーパ嵌合させ、テーパスリーブ12が拡径する方向へ変形させる。このとき、テーパスリーブ12の外周テーパ面13の基端側より先端側において変形量が多くなるが、テーパスリーブ12と圧延リング14との間の隙間の関係により、圧延リング14の内周面19に加えられる応力はほぼ均一となる。また、テーパスリーブ12の先端面15の肉厚Bが従来より大きく設定されているので、テーパ嵌合時にテーパスリーブ12が変形しにくくなり、圧延リング14に加えられる応力が減少する。
【0023】
上述したように圧延ロール10は、外周テーパ面13が設けられたテーパスリーブ12が用いられているので、内周面19に加えられる応力の分布差を減少させることができ、圧延リング14が割損することを防止できる。また、テーパスリーブ12の先端面15の肉厚Bが、従来のテーパスリーブ3の先端面3cの肉厚Aより大きいので、これによっても応力の分布差を減少させることができる。これにより、圧延リング14の寿命を向上させることができるので、圧延工程のコストを低減させることができる。また、圧延リング14が薄肉となることで、圧延リング14の製造コストも低減させることができ、圧延リング14が軽量となることで装着作業も容易となる。また、従来のテーパシャフト2が用いられると共に、圧延リング14の外径も従来と同じ外径であるので、新たな設備投資をすることなく、テーパスリーブ12および圧延リング14を用いることができる。
【0024】
特に、圧延リング14の先端面20の肉厚Cが15〜60mmの範囲内で、テーパスリーブ12の先端面15の肉厚Bが3〜40mmの範囲内であるので、圧延リング14に加えられる応力によって圧延リング14が割損することを防止することができる。また、従来よりテーパスリーブ12の外周テーパ面13と圧延リング14の内周面19との接触面積が大きくなり、摩擦力が増大するので、確実にテーパスリーブ12に圧延リング14を固定することができる。
【0025】
また、外周テーパ面13は、回転軸Oに対し内周テーパ面11と異なる向きに傾斜が形成され、内周テーパ面11の傾斜角より小さい傾斜角とされているので、応力の分布差を減少させることができ、くさび作用によって圧延リング14を確実に装着することができる。また、テーパスリーブ12の先端面15の外周の半径と、基端面23の外周の半径との差が0.01mm以下となるように外周テーパ面13が形成されているので、応力の分布差を減少させることができると共に、確実にテーパスリーブ12によって圧延リング14を保持することができる。
【0026】
なお、本実施の形態においては、テーパスリーブ12の外周テーパ面13は、基端面23側から先端面15側に向けて直線状に形成されているが、外周テーパ面13は直線状に限られることはなく、外周テーパ面13のテーパは、先端面15における外径よりも基端面23における外径が大きく形成されており、全体の傾向として傾斜している面であればよい。たとえば、外周テーパ面13の面粗度が高く形成されていてもよく、外周テーパ面13に溝が形成されていてもよい。このような場合において、外周テーパ面13と内周面19との接触面積が少なくなることにより、外周テーパ面13と内周面19との面圧を上昇させることができる。
【0027】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に係る発明によれば、外周にテーパ面が形成されているテーパスリーブが用いられているので、テーパスリーブによって圧延リングに加えられる応力の分布差を減少させることができる。これにより、圧延リングの割損を防止することができ、圧延リングの寿命を向上させることができるので、圧延工程のコストを低減させることができる。
【0028】
また、請求項2に係る発明によれば、圧延リングの端面の肉厚が15mmから60mmの範囲内で、テーパスリーブの一方の端面の肉厚が3mmから40mmの範囲内であるので、圧延リングに加えられる応力を減少させると共に、テーパスリーブと圧延リングとの間の摩擦力を増大させることができる。これにより、テーパスリーブによる圧延リングの保持力を低減させることなく応力の分布差を減少させることができる。また、圧延リングの肉厚を従来より薄くすることができるので、圧延リングの製造コストを低減させることができる。
【0029】
また、請求項3に係る発明によれば、軸線に対し、テーパスリーブの外周テーパ面の傾斜と内周テーパ面の傾斜とが異なる向きに形成されており、外周テーパ面の傾斜角が該内周テーパ面の傾斜角より小角度で形成されているので、応力の分布差を減少させることができると共に、確実にくさび作用によって圧延リングが嵌合され、圧延リングを保持することができる。
【0030】
また、請求項4に係る発明によれば、圧延リングに形成される外周テーパ面の傾斜による両端の外周の半径の差が0.01mm以下であるので、応力の分布差を減少させることができると共に、確実にテーパスリーブによって圧延リングを保持することができる。これにより、圧延リングの割損を防止することができ、圧延に用いて好適な圧延ロールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態における圧延ロールの断面図である。
【図2】従来の圧延ロールの断面図である。
【符号の説明】
2 テーパシャフト
10 圧延ロール
11 内周テーパ面
12 テーパスリーブ
13 外周テーパ面
14 圧延リング
C 圧延リングの先端面の肉厚
B テーパスリーブの先端面の肉厚
【発明の属する技術分野】
この発明は、線材あるいは棒材の熱間圧延に用いられる圧延リングおよび圧延ロールに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、金属素材を加熱状態において回転する圧延ロール間に通して、圧延ロール上に形成された型に対応する断面形状を有する線材あるいは棒材を生産する熱間圧延は、鋳造や鍛造にくらべて作業が連続的で速く、種々の製品の生産に広く用いられている。
【0003】
従来、図2に示すような、圧延ロール1は超硬合金以外の材料(例えば鋼)からなるテーパシャフト2と、テーパシャフト2の外周面2aに取り付けられたテーパスリーブ3と、テーパスリーブ3の外周面3aに取り付けられた圧延リング4とを備え、回転軸Oを中心に回転する構成とされている。テーパシャフト2の外周面2aは、テーパ状に形成されており、その大径部側が圧延機の出力軸(図示せず)に接続されている。テーパスリーブ3は、その内周面3bはテーパシャフト2の外周面2aと同じ傾斜を有するテーパ状に形成され、外周面3aは回転軸Oと平行に形成されている。また、テーパスリーブ3のテーパによって薄肉に形成されている側面を先端面3cとする。圧延リング4は、超硬合金により略筒状に形成され、内周面4aは回転軸Oと平行に形成され、外周面4bに被加工物を圧延成形するための圧延部4cが設けられている。このように構成された圧延ロール1において、テーパシャフト2の大径部側を圧延ロール1の基端側とする。
【0004】
圧延ロール1は、テーパシャフト2と圧延リング4との間のテーパスリーブ3を圧延ロール1の基端側に向けて押し込むことで、テーパシャフト2とテーパスリーブ3とが嵌合すると共に、テーパスリーブ3と圧延リング4が嵌合し、それぞれが固定される構成とされている。つまり、テーパシャフト2とテーパスリーブ3とをテーパ嵌合させることによって、テーパスリーブ3に拡径する方向への応力が生じ、この応力が圧延リング4の内周面4aに加えられて固定されるのである。従来、テーパスリーブ3の先端面3cの肉厚Aは、3mm〜15mmであった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記圧延ロール1において、テーパ嵌合させることによって生じる圧延リング4の内周面4aに加えられる応力が、回転軸Oの方向に不均一に分布するという問題があった。つまり、テーパスリーブ3の先端側が基端側に比べて薄肉であるので、先端側においてテーパ嵌合による変形が容易であり、テーパスリーブ3の先端側において圧延リング4への応力が高くなるのである。このような応力の分布差は、テーパスリーブ3が薄肉であるほど増大され、応力の分布差により圧延リング4が割損してしまうという問題があった。
【0006】
本発明は、このような背景の下になされたものであって、テーパ嵌合による圧延リングへの応力分布の不均一を解消し、圧延リングの割損を防止することで圧延リングの寿命を向上させ、圧延工程のコストを低減させることを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
請求項1に係る発明は、軸線回りに回転されるテーパシャフトに、内周にテーパ面を設けたテーパスリーブが取り付けられ、該テーパスリーブの外周に圧延リングが取り付けられて構成されている圧延ロールであって、テーパスリーブの外周にテーパ面が形成されていることを特徴とする。
【0008】
この発明に係る圧延ロールによれば、外周にテーパ面が形成されているテーパスリーブが用いられているので、テーパスリーブによって圧延リングに加えられる応力の分布差が減少させられる。つまり、テーパ嵌合によってテーパスリーブの薄肉側の変形が容易となるが、この薄肉側に生じる応力の上昇をテーパスリーブの外周に形成されたテーパ面によって抑制することができるのである。このように、応力の分布差を減少させることにより圧延リングの割損を防止することができ、圧延リングの寿命を向上させることができるので、圧延工程のコストを低減させることができる。
【0009】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の圧延ロールにおいて、前記テーパシャフトの基端側での前記圧延リングの一方の端面の肉厚が15mmから60mmの範囲内で、これに対応する前記テーパスリーブの端面の肉厚が3mmから40mmの範囲内であることを特徴とする。
【0010】
この発明に係る圧延ロールによれば、圧延リングおよびテーパスリーブの端面の肉厚が上記範囲内で、従来よりテーパスリーブの端面の肉厚が厚く形成されているので、テーパ嵌合時にテーパスリーブが変形しにくくなる。これにより、圧延リングに加えられる応力が減少すると共に、応力の分布差も減少する。また、従来よりテーパスリーブの外径が大きくなるので、テーパスリーブの外周面積、つまりテーパスリーブと圧延リングとの接触面積が大きくなり、テーパスリーブと圧延リングとの間の摩擦力が増大する。これにより、テーパスリーブによる圧延リングの保持力を低減させることなく応力の分布差を減少させることができる。また、圧延リングの肉厚を従来より薄くすることができるので、圧延リングの製造コストを低減させることができる。
【0011】
請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に記載の圧延ロールにおいて、前記軸線に対し、前記テーパスリーブの外周テーパ面の傾斜と内周テーパ面の傾斜とが異なる向きに形成されており、該外周テーパ面の傾斜角が該内周テーパ面の傾斜角より小角度で形成されていることを特徴とする。
【0012】
この発明に係る圧延ロールによれば、軸線に対しテーパスリーブの外周テーパ面の傾斜と内周テーパ面の傾斜とが異なる向きに形成され、つまりテーパ嵌合によってテーパスリーブの変形が容易となる薄肉側において外周テーパ面の外径が小さく形成されているので、薄肉側に生じる応力の上昇が抑制される。また、軸線に対し外周テーパ面の傾斜角が内周テーパ面の傾斜角より小角度で形成されているので、テーパ嵌合時にくさび作用によって圧延リングが嵌合される。これにより、確実にテーパスリーブによって圧延リングを保持することができる。
【0013】
請求項4に係る発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の圧延ロールにおいて、前記テーパスリーブに形成されている外周テーパ面の傾斜による両端の外周の半径の差が0.01mm以下であることを特徴とする。
【0014】
この発明に係る圧延ロールによれば、テーパスリーブに形成されている外周テーパ面の傾斜による両端の外周の半径の差が0.01mm以下であるので、応力の分布差を減少させることができると共に、確実にテーパスリーブによって圧延リングを保持することができる。より好ましくは0.005mm以下とすることで、より確実に圧延リングを保持することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照し、この発明の実施の形態について説明する。図1に示すように、圧延ロール10は回転軸Oを中心に回転されるテーパシャフト2に、内周に内周テーパ面11を設けたテーパスリーブ12が取り付けられ、テーパスリーブ12の外周に設けられた外周テーパ面13に圧延リング14が取り付けられ構成されている。つまり、テーパシャフト2とテーパスリーブ12とがテーパ嵌合することにより、圧延リング14が装着される構成とされている。テーパシャフト2は、従来と同じテーパシャフトが用いられ、大径部側が圧延機の出力軸(図示せず)に接続されている。
【0016】
テーパスリーブ12は、内周にテーパシャフト2の傾斜に対応する傾斜を設けた内周テーパ面11が形成されており、内周が拡径されている側の端面が先端面15とされている。つまり、テーパスリーブ12がテーパシャフト2に差し込まれる時に、先に差し込まれる側面が先端面15である。テーパスリーブ12の先端面15の肉厚Bは、従来のテーパスリーブ3の先端面3cの肉厚Aより大きく設定されている。また、テーパスリーブ12の先端側の外周面の一部は、他の外周面より大径に形成され、圧延リング14を保持するため保持部22を形成し、保持部22の外周面を外周テーパ面13、保持部22の基端側の面を基端面23としている。
【0017】
外周テーパ面13は、回転軸Oに対し内周テーパ面11と異なる向きに傾斜が形成されており、内周テーパ面11の傾斜角より小さい傾斜角とされている。また、回転軸Oを通る平面によるテーパスリーブ12の断面において、外周テーパ面13は直線状とされている。また、テーパスリーブ12の基端側の端面はテーパ嵌合時に押圧される押圧面16とされている。
【0018】
圧延リング14は、超硬合金により略筒状に形成され、従来の圧延リング4と同様に外周面17に被加工物を圧延成形するための圧延部18が設けられ、テーパスリーブ12の先端面15と同側面が先端面20とされ、他側面が基端面21とされている。また、圧延リング14の内周に設けられている内周面19は、回転軸Oに対して平行になるように形成されている。
【0019】
また、圧延リング14の先端面20の肉厚Cが15〜60mmの範囲内で、テーパスリーブ12の先端面15の肉厚Bが3〜40mmの範囲内で形成されている。テーパスリーブ12の先端面15の外周の半径と、基端面23の外周の半径との差は、0.01mm以下、より好ましくは0.005mm以下となるように外周テーパ面13が形成されている。また、圧延リング14の回転軸O方向の幅Wは、30〜150mmの範囲内で形成されている。圧延リング14は、上記の肉厚Cおよび幅Wの範囲において、外径の呼び寸法ごとに表1に示すような寸法値の範囲で用いられている。表1は、圧延リング14の呼び寸法に対する幅W、外径φD、内径φdの寸法値である。表の上段の数値は寸法値の範囲で、下段の数値は代表的に用いられる寸法値である。
【0020】
【表1】
【0021】
上述したような圧延ロール10において、テーパシャフト2とテーパスリーブ12とのテーパ嵌合による、圧延リング14の装着について説明を行う。まず、テーパシャフト2にテーパスリーブ12を挿入し、軽く固定されるまで差し込み、テーパスリーブ12の外周テーパ面13に圧延リング14を挿入する。このとき、テーパスリーブ12の外周テーパ面13の傾斜により、外周テーパ面13と内周面19との間の隙間は、基端側より先端側において大きくなる。
【0022】
つぎに、テーパスリーブ12の押圧面16を従来と同じ押圧力で押圧し、テーパシャフト2とテーパスリーブ12とをテーパ嵌合させ、テーパスリーブ12が拡径する方向へ変形させる。このとき、テーパスリーブ12の外周テーパ面13の基端側より先端側において変形量が多くなるが、テーパスリーブ12と圧延リング14との間の隙間の関係により、圧延リング14の内周面19に加えられる応力はほぼ均一となる。また、テーパスリーブ12の先端面15の肉厚Bが従来より大きく設定されているので、テーパ嵌合時にテーパスリーブ12が変形しにくくなり、圧延リング14に加えられる応力が減少する。
【0023】
上述したように圧延ロール10は、外周テーパ面13が設けられたテーパスリーブ12が用いられているので、内周面19に加えられる応力の分布差を減少させることができ、圧延リング14が割損することを防止できる。また、テーパスリーブ12の先端面15の肉厚Bが、従来のテーパスリーブ3の先端面3cの肉厚Aより大きいので、これによっても応力の分布差を減少させることができる。これにより、圧延リング14の寿命を向上させることができるので、圧延工程のコストを低減させることができる。また、圧延リング14が薄肉となることで、圧延リング14の製造コストも低減させることができ、圧延リング14が軽量となることで装着作業も容易となる。また、従来のテーパシャフト2が用いられると共に、圧延リング14の外径も従来と同じ外径であるので、新たな設備投資をすることなく、テーパスリーブ12および圧延リング14を用いることができる。
【0024】
特に、圧延リング14の先端面20の肉厚Cが15〜60mmの範囲内で、テーパスリーブ12の先端面15の肉厚Bが3〜40mmの範囲内であるので、圧延リング14に加えられる応力によって圧延リング14が割損することを防止することができる。また、従来よりテーパスリーブ12の外周テーパ面13と圧延リング14の内周面19との接触面積が大きくなり、摩擦力が増大するので、確実にテーパスリーブ12に圧延リング14を固定することができる。
【0025】
また、外周テーパ面13は、回転軸Oに対し内周テーパ面11と異なる向きに傾斜が形成され、内周テーパ面11の傾斜角より小さい傾斜角とされているので、応力の分布差を減少させることができ、くさび作用によって圧延リング14を確実に装着することができる。また、テーパスリーブ12の先端面15の外周の半径と、基端面23の外周の半径との差が0.01mm以下となるように外周テーパ面13が形成されているので、応力の分布差を減少させることができると共に、確実にテーパスリーブ12によって圧延リング14を保持することができる。
【0026】
なお、本実施の形態においては、テーパスリーブ12の外周テーパ面13は、基端面23側から先端面15側に向けて直線状に形成されているが、外周テーパ面13は直線状に限られることはなく、外周テーパ面13のテーパは、先端面15における外径よりも基端面23における外径が大きく形成されており、全体の傾向として傾斜している面であればよい。たとえば、外周テーパ面13の面粗度が高く形成されていてもよく、外周テーパ面13に溝が形成されていてもよい。このような場合において、外周テーパ面13と内周面19との接触面積が少なくなることにより、外周テーパ面13と内周面19との面圧を上昇させることができる。
【0027】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に係る発明によれば、外周にテーパ面が形成されているテーパスリーブが用いられているので、テーパスリーブによって圧延リングに加えられる応力の分布差を減少させることができる。これにより、圧延リングの割損を防止することができ、圧延リングの寿命を向上させることができるので、圧延工程のコストを低減させることができる。
【0028】
また、請求項2に係る発明によれば、圧延リングの端面の肉厚が15mmから60mmの範囲内で、テーパスリーブの一方の端面の肉厚が3mmから40mmの範囲内であるので、圧延リングに加えられる応力を減少させると共に、テーパスリーブと圧延リングとの間の摩擦力を増大させることができる。これにより、テーパスリーブによる圧延リングの保持力を低減させることなく応力の分布差を減少させることができる。また、圧延リングの肉厚を従来より薄くすることができるので、圧延リングの製造コストを低減させることができる。
【0029】
また、請求項3に係る発明によれば、軸線に対し、テーパスリーブの外周テーパ面の傾斜と内周テーパ面の傾斜とが異なる向きに形成されており、外周テーパ面の傾斜角が該内周テーパ面の傾斜角より小角度で形成されているので、応力の分布差を減少させることができると共に、確実にくさび作用によって圧延リングが嵌合され、圧延リングを保持することができる。
【0030】
また、請求項4に係る発明によれば、圧延リングに形成される外周テーパ面の傾斜による両端の外周の半径の差が0.01mm以下であるので、応力の分布差を減少させることができると共に、確実にテーパスリーブによって圧延リングを保持することができる。これにより、圧延リングの割損を防止することができ、圧延に用いて好適な圧延ロールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態における圧延ロールの断面図である。
【図2】従来の圧延ロールの断面図である。
【符号の説明】
2 テーパシャフト
10 圧延ロール
11 内周テーパ面
12 テーパスリーブ
13 外周テーパ面
14 圧延リング
C 圧延リングの先端面の肉厚
B テーパスリーブの先端面の肉厚
Claims (4)
- 軸線回りに回転されるテーパシャフトに、内周にテーパ面を設けたテーパスリーブが取り付けられ、該テーパスリーブの外周に圧延リングが取り付けられて構成されている圧延ロールであって、
テーパスリーブの外周にテーパ面が形成されていることを特徴とする圧延ロール。 - 請求項1に記載の圧延ロールにおいて、
前記圧延リングの一方の端面の肉厚が15mmから60mmの範囲内で、これに対応する前記テーパスリーブの端面の肉厚が3mmから40mmの範囲内であることを特徴とする圧延ロール。 - 請求項1または請求項2に記載の圧延ロールにおいて、
前記軸線に対し、前記テーパスリーブの外周テーパ面の傾斜と内周テーパ面の傾斜とが異なる向きに形成されており、該外周テーパ面の傾斜角が該内周テーパ面の傾斜角より小角度で形成されていることを特徴とする圧延ロール。 - 請求項1から請求項3のいずれかに記載の圧延ロールにおいて、
前記テーパスリーブに形成されている外周テーパ面の傾斜による両端の外周の半径の差が0.01mm以下であることを特徴とする圧延ロール。
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-
2002
- 2002-07-18 JP JP2002209819A patent/JP2004050216A/ja not_active Withdrawn
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