JP2004049306A - 飲食容器 - Google Patents
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Abstract
【課題】椀本体の周壁に触れることなく、しかも、握力の低下した者によっても容易に持ち上げることのできる飲食容器を提供する。
【解決手段】周壁13の下部14から底部15までの外側表面を円滑な曲面で構成してなる容器本体1を構成し、この容器本体1の周壁13の上部端縁11の付近から外方に突設する把手2を設ける。この把手2の先端22は容器本体1の底部裏面12と同一平面上に到達させてなる。
【選択図】 図1
【解決手段】周壁13の下部14から底部15までの外側表面を円滑な曲面で構成してなる容器本体1を構成し、この容器本体1の周壁13の上部端縁11の付近から外方に突設する把手2を設ける。この把手2の先端22は容器本体1の底部裏面12と同一平面上に到達させてなる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、お椀や湯のみのような飲食容器に関するものであって、特に、握力の低下した高齢者のための介護用として、または、関節障害もしくは筋肉異常等による握力が低下した障害者用として使用する飲食容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、障害者等が使用する食器としては、登録実用新案公報第3017315号公報記載のお椀および同第3072349号公報記載の飯茶わんがあった。これらの公報に記載される技術のうち、前者のお椀は、椀本体の上縁の全周または一部を、椀本体の周壁の実質的な延長として、かつ、上に突の湾曲状態に外方に延長し、該延長した部分を指掛かり部としたことを特徴とするお椀を要旨とするものであって、このお椀は、指掛かり部の下側表面に人差し指を当接しつつ親指の腹で当該指掛かり部の上縁を押えるようにして使用するものであり、手のひらおよび他の指を使用して椀本体の周壁を握ることにより、片手で持ち上げることができるように構成されたものであった。
【0003】
一方、後者の飯茶わんは、外側面に手の指がその内側で引っ掛かる逆U字型の把手を形成したことを特徴とする飯茶わんを要旨としており、また、上記に加えて、飯茶わんの下面の高台の接地面にゴム製滑止材を付着したものをも要旨とするものである。この飯茶わんも、上記のお椀の場合とほぼ同様に、人差し指を逆U字型の把手の内側に当接させることにより、当該指を引っ掛けるとともに、他の指または手のひらで掴むようにして使用するものであった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の技術のうち、前者にあっては、その使用態様が、手のひらなどを使用して椀本体を握るようにして支えるものであることから、高温の飲食物を盛り付けた場合には、飲食物の熱が周壁部分を伝わって表面までも熱くなるため、結果的には、あまり温度の高い飲食物について使用することができないものであった。そして、椀本体を支える手の握りを補助すべく指掛かり部を設けているものであるが、握力の低下した者が使用する場合には、専ら人差し指と親指とで支えなければならず、これらの指を支える力、特に親指で押える力が要求されるものであった。
【0005】
一方の後者にあっては、逆U字型の把手の内側に人差し指を入れることにより、この人差し指が把手に引っ掛かるようになるため、飯茶わんが落下することを防止することができる点で前者の技術と異なるが、手のひら等で飯茶わんを掴んで使用する点で、熱いご飯を食する際には、飯茶わんの表面が熱くならざるを得ず、前者の技術と同様の問題点を内在するものであった。
【0006】
また、上記両技術は、いずれも持ち上げる場合にのみ着目されたものであるが、手に障害を有する者や、握力を低下した者にとっては、容器を持ち上げる場合のみならず、テーブル等の表面に沿って容器を置く場合についても困難を感じるものであり、従来どおりの形状を有する容器本体に把手を設けたのみでは、これらの者が快適な使用を実現できないものであった。
【0007】
さらに、一般的なコーヒー碗のように、専ら熱い飲料を飲むために使用する飲用容器には把手が設けられているものの、これらの把手は2本または3本程度の指を挿通できる環状に構成されているものであり、標準的な筋力等を備えたいわゆる健常者のためのものであった。そして、標準的な筋力等を有しない者、特に、指の関節に障害等を有する者では、把手に指を挿通して利用することは困難であった。また、上記飲用容器は、意匠性を考慮するために比較的不安定な形状であるため、手や指に障害を有する者が使用する場合、容器が転倒する不安感を抱く原因となっていた。
【0008】
本発明は、上記諸点にかんがみてなされたものであって、その目的とするところは、椀本体の周壁に触れることなく、しかも、握力の低下した者によっても容易に持ち上げることのできる飲食容器を提供するとともに、転倒し難い飲食容器を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明は、容器本体の周壁から外方に突出する把手を設け、該把手の先端が上記容器本体の底部裏面と同一平面上に到達させてなることを特徴とする飲食容器を要旨とするものである。
【0010】
また、本発明は、周壁の下部から底部までの外側表面を円滑な曲面で構成してなる容器本体と、この容器本体の周壁から外方に突設され、かつ先端が上記容器本体の底部裏面と同一平面上に到達させてなる把手とからなることを特徴とする飲食容器をも要旨としている。
【0011】
上記の場合、容器本体は、厚肉の底部を有する容器本体とすることが好ましく、把手の先端には、容器本体の底部裏面と同一平面の端面を有することが好ましい。そして、この把手は、容器本体の上部端縁付近から外方に突出するように設け、また、最上位付近の外側表面に凹部を設けてなることが好ましい。
【0012】
このような把手は、その本体部分を緩やかに湾曲させ、かつ、外側表面の長手方向が100mm以上とすることが好ましく、その先端が前記容器本体の上部端縁から50mm以上離れた位置まで突出するように構成することが好ましい。なお、把手の形状は、四辺形とすることができる。
【0013】
さらに、本発明は、容器本体の底部を収容する底構成部と、この底構成部から所定の高さに立設した支持部と、この支持部の先端付近において支持されるとともに、上記底構成部の裏面と同一平面上に先端を到達させてなる把手とからなり、容器本体を底構成部によって保持させてなることを特徴とする飲食容器をも要旨とするものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本発明の第一実施形態は、図1に示すように、お椀型の飲食容器Aに関するものであって、椀本体1の上部端縁11の付近から突出する把手2が設けられたものである。この把手2は、本体部分21が略円弧状に湾曲してなり、その先端22がちょうど椀本体1の底部裏面12と同一平面上に到達する長さに調整されている。また、把手2の断面は略平方形状に構成されており、上記先端22には、把手2の断面と同形の端面が構成されている。従って、椀本体1をテーブル等の表面上に載置するとき、椀本体1の底部裏面12がテーブル等の表面に当接すると同時に、上記先端22の端面も当接することとなる。
【0015】
また、把手本体21は、上記のように湾曲しているとともに所定の断面積を備える構成であるため、利用者が片手で掴持できるものである。そして、把手2のうち最も上部の位置には凹状部分23が構成されており、上記掴持の際、親指の腹付近を当該凹状部分23に掛けることができるものである。これにより、親指が十分に機能する者であれば、把手本体21の掴持と同時に親指による掛止によって安定した利用を可能とするものである。
【0016】
図1(b)に示しているように、椀本体1の周壁13は、その下部表面から底部裏面12に至る範囲を円滑な曲面によって構成された周壁下部14が設けられており、容器本体Aを傾けた状態でテーブル等の表面上に載置した場合であっても、底部裏面12の全体が、テーブル面等に当接できるように案内できるものである。このような周壁下部14および底部裏面12の形状は、健常者では逆に安定感に欠けるような違和感を抱くこととなるが、現実に握力の低い者にとっては、底部裏面の確実な当接を要求されないことにより安心感を得ることができるのである。即ち、一般的な容器では、底部裏面に設けられる基部をテーブル面等に当接させて載置されることとなるが、この基部をテーブル面等にきちんと当接させるためには、適当な握力または腕等の筋力を必要とするのである。
【0017】
また、椀本体1の底部15は、他の部分よりも厚肉に構成されているため、椀本体1の重心を低くすることができるのである。これにより、椀本体1の転倒を防止することができるとともに、既述のとおり、底部裏面12をテーブル等の表面に当接するように周壁下部14が案内する際、このような案内を促すこととなるのである。なお、把手2が椀本体1の外方に突出して設けられているため、上記重心の位置を椀本体1の底部裏面12の中央から僅かに把手2の方向に偏らせることができるのである。
【0018】
また、上記のような把手2は、この棒の把手本体21が湾曲されて構成されているが、湾曲する外側において最も長い部分の全長が約102mmに調整されている。そして、この棒状部材の肉厚によって異なるものの、肉厚を15mmとすると内側の短い部分の全長は約78mmとなるものである。これは、利用者が、片手の全体を使用しつつ当該把手2を支持することができるのである。即ち、一般的な手の大きさであれば、人差し指から小指に至る四指を把手本体21の内側に当接することができるので、十分に機能するいずれかの指を使用することが可能となるものである。そして、断面を一辺15mmのほぼ正方形状にすることにより、利用者が特別強力な握力を必要とせずに掴持できることとなるのである。また、上記のように長尺な棒状部材を、または上記以上に長尺な棒状部材を使用し、それらの先端22が椀本体の底部裏面12と同じ高さに到達させることにより、把手2の先端22を椀本体1の底部裏面12から離れた位置に配置させることができるため、把手2が椀本体1の傾倒を一方向に支えることとなるのである。
【0019】
上記のような把手2の構成により、利用者は、当該把手2を片手全体で掴むことができるので、周壁13に手を触れることなく椀本体1を持ち上げることができるのである。そして、この把手2の掴持は、利用者の片手全体で行われるため、低下した握力によっても十分に椀本体1を持ち上げることを可能にし、また、関節障害等により十分に指先の機能を利用できない者が利用する場合であっても、自由に動かすことのできるいずれかの指を使用することにより掴持を可能にするのである。例えば、人差し指に障害を持っている場合、その人差し指を除く他の指を使用することができるのであり、また、親指に障害がある場合は、この親指の付け根部分の手のひらと他の指とを使用することも可能なのである。なお、上記のような把手2は、例えば、プラスチック等による椀本体1との一体成形により構成することができ、また、図1(b)に示しているように、だぼ継ぎ等の手段により椀本体1と一体的に構成することができる。
【0020】
ここで、使用態様について説明すれば、手に障害等を有する者が上記のように把手2を掴持して椀本体1を持ち上げることとなるが、この際、図2(a)に示すように、把手2をやや上にした状態で、テーブル等の表面Xに対して飲食容器Aを傾けつつ持ち上げることとなる。これは、椀本体1に飲食物が盛り付けられていることから、当該椀本体1が重くなる関係上、椀本体1を把手2と同時に、かつ椀本体1の状態を維持しつつ持ち上げることが困難だからである。しかし、このような場合であっても、本実施形態にあっては、椀本体1の底部裏面12に至る周壁下部14は円滑な曲面であるため、未だ椀本体1がテーブル等の表面Xに当接された状態であっても、上記のように傾けることができるのである。そして、上記のように、飲食容器Aが傾いた状態とすることによって、盛り付けられている飲食物の重さを確認することもできるため、一層容易に持ち上げることができるのである。
【0021】
また逆に、持ち上げた容器全体Aをテーブル等の表面Xに載置する際、手元がしっかりしている場合は、底部裏面12を水平に維持しつつ飲食容器Aをテーブル等の表面Xに当接することが可能であるが、椀本体1の重量により手元が不安定な状況、または、他の要因(例えば、視力低下等)により手元を明確に認識できない状況では、図2(b)に示すように、やはり把手2が高くなるように若干傾けた状態で降下させる場合が多い。このような場合であっても、椀本体1のうち、周壁下部14を最初にテーブル等の表面Xに当接することができるのである。
【0022】
この場合、図3(a)に示すように、周壁下部14がテーブル等の表面Xに当接した状態で把手2の掴持を解除したとしても、椀本体1は、その重心Yが低い位置に設定されているため、底部裏面12の全体がテーブル等の表面Xに当接する方向へ揺動することとなるのである。そして、この揺動により、底部裏面12の全体がテーブル等の表面Xに当接するとき、図3(b)に示すように、上記揺動と同時に、把手2の先端22がテーブル等の表面Xに当接することとなり、上記揺動は停止されて、飲食容器Aは、安定した載置状態となるのである。
【0023】
また、飲食容器Aを安定して載置されている状態において、利用者が十分に把手2を掴持できず、または、利用者の手や腕が誤って容器本体Aに衝突し、容器全体Aが不安定な状態となる場合であっても、重心Yが容器全体Aの接点Zよりも底部裏面12の側に存在する範囲内では、椀本体1は、底部裏面12がテーブル等の表面Xに当接する方向に揺動して復元されることとなる(図3(a)参照)。なお、上記重心Yの位置は、椀本体1に盛り付けられる飲食物の重量によって上下することとなるため、安定する状態へ揺動できる範囲は、椀本体1の内容物等によって少なからず変化することとなるが、上記のように、重心Yが周壁下部14の接点よりも底部裏面12の側に存在する限り復元が可能なものである。
【0024】
上記のように椀本体1が揺動する場合、その揺動による力が慣性力として椀本体1に作用し、底部裏面12によるテーブル等の表面Xとの当接状態を超えて反対側の周壁下部14が当接する不安定な状態となること(以下、揺り戻しという)が予想される。
【0025】
しかしながら、まず、椀本体1の底部裏面12を十分な平面で構成することにより、揺り戻しの発生を防止することができることとなる。また、このような平面を構成しない場合であっても、把手2を設けていない側の周壁下部14がテーブル等の表面Xに当接している状態から椀本体1が揺動するとき、その当接する周壁下部14の反対側に把手2が存在するので、当該把手2の先端22がテーブル等の表面Xに当接した状態で揺動が停止し(図3参照)、これによって揺り戻しは発生しない。
【0026】
そして、揺り戻し方向に、把手2の先端22が存在する範囲は、図4(a)に示すように、把手2の先端22から椀本体1の周壁13の両側に対する二接線の範囲であるため、ほとんどの場合は、把手2の先端22によって揺り戻しが防止できるのである。また、逆に、図4(b)に示すように、椀本体1の周壁13と把手2の先端22とが、同時にテーブル等の表面Xに当接している状態から、飲食容器Aが揺動を開始する場合(この場合、上記二接線がテーブル等の表面Xに一致する)、反対側への揺り戻しには、把手2をも同様に持ち上げる必要があるため、当該把手2の重量分だけ、揺り戻しを抑制することとなる。
【0027】
そして、この種の揺り戻しの抑制効果を向上させるためには、把手2の先端22の付近を重くするという方法が考えられる。そこで、例えば、図5に示すように、把手2の先端22に断面円形状の錘挿入穴を穿設し、この内部に金属等の高比重物質で構成した球状の錘3を挿入し、先端キャップ4で閉口させることにより、大重量の把手先端22を構成することができるのである。なお、これらの錘3の挿入構造に代えて、錘用の金属製ネジ5を把手先端に螺入する手段によることも可能である。
【0028】
本実施形態では、既述のとおり、把手2の先端22が椀本体1の底部裏面12から離れた個所に配置され、椀本体1の周壁13との間を連続的に構成されていないので、複数の容器を重ねることが可能となるものである。即ち、図6に示すように、複数の飲食容器Aa,Ab・・・を重ねる場合、上側の飲食容器Abは、その把手2bの内側24bが下側の椀本体1aの上部端縁11aに当接する状態で重ねられることとなる。この状態では、上側の飲食容器Abが傾くこととなるが、さらに上側に飲食容器Ac・・・を重ね合わせる場合には、把手2の向きを交互にすれば、全体として大きく傾斜することがない。
【0029】
次に、第二の実施形態について説明する。本実施形態は、図7に示すように、比較的背の高いコップ型の飲食容器Bに関するものである。本実施形態では、コップ本体101の形状は異なるものの、底部裏面112に連続する周壁下部114は、円滑な曲面によって構成されており、把手102は、コップ本体101の上部端縁111の付近から突出するように設けられている。また、この把手102の先端122は、コップ本体101の底部裏面112と同一平面上に到達しており、飲食容器Bをテーブル等の表面に載置するとき、コップ本体1の底部裏面112と把手102の先端122の端面とが同時に当接するように構成されている。
【0030】
ここで、把手102の形態は、コップ本体101の高さに応じてやや異なるものである。即ち、把手102の先端122は、コップ本体101の底部裏面112から十分に離れた個所に配置されることが好ましいことから、コップ本体101の高さを仮に80mm程度とすると、前述の第一実施形態における把手2(図1)と同種の把手をコップ本体101の上部端縁111に設ける場合、当該把手2の先端がコップ本体101の底部裏面112と同一平面上に到達させることができないか、または到達させることができたとしても底部裏面112に近い場所に到達することとなるのである。そこで、本実施形態では、全長についてはほぼ同様の102mmとしつつ、把手102の湾曲を緩やかな状態とすることによって、上記底部裏面112から離れた位置に把手102の先端122を配置することができるのである。
【0031】
また、上記把手102は、より長尺なものを使用することも可能である。この場合、湾曲の状態は第一実施形態の把手2と同様にすることができるとともに、コップ本体101の底部裏面112と同一平面上に先端122を到達させたとき、先端122の位置は、当該底部裏面112から離れた地点となるのである。そして、本実施形態におけるコップ本体101の高さが一層高い場合には、上記のように、長尺な把手102を使用することによって対応することができることとなる。
【0032】
本実施形態では、第一実施形態と同様に、底部115を厚肉に形成しているものであり、持ち上げた飲食容器Bをテーブル等の表面に載置する際、底部裏面112に近接する曲面状の周壁下部114のみを当接させ、この状態で把手102の掴持を解除したとしても、当該飲食容器Bが容易に転倒しないように構成されているのである。
【0033】
そして、背の高いコップ本体101については、図8に示すように、底部115のほぼ中央に錘103を埋設する方法がある。これは、コップ本体101の重心をより低い位置に設定するためのものである。この錘103は、コップ本体101を成形した後に、底部裏面112の側から埋設することができる。そして、コップ本体101の底部裏面112のちょうど中央に設けるものであってもよいが、当該中央から僅かに把手102の側に偏った位置に設けることができる。このように偏った位置に錘103を埋設することにより、容器全体Bを載置する際に周壁下部114が当接した状態からの揺動方向が、上記把手102の方向に一層強力に作用することとなる。なお、この種のコップ本体101を使用する飲食容器では、固形の食物を盛り付けて使用することは考えられず、専ら液体の飲料に使用されるため、錘103の埋設部分が容器内に突出することによって使用に支障を来たすことはない。
【0034】
次に、第三の実施形態について説明する。本実施形態は、図9に示すように、底の浅い容器Cに関するものである。この種の容器Cは、把手202を設けるほどの高さを有しないため、既述のような把手2,102を採用する場合、把手2,102の先端22,122の位置が、容器本体201の底部裏面212から遠く離れることとなり、これが返って邪魔な存在となり得る。そこで、本実施形態では、図示のように、連結部224および掴持部225によって構成するものである。このように構成することにより、掴持部225は、掴持に必要となる長さを設けることができ、かつ、把手202の先端222を所望の位置において配置することができるのである。
【0035】
さらに、上記の錘103を使用する飲食容器を構成させるための他の実施形態を説明する。図10に示すように、本実施形態では、底構成部104および把手102が支持部106を介して一体的に設けられており、底構成部104には、コップ本体101の底部107が収容できるように浅底の略容器状に構成された収容部108が設けられている。従って、独立してなる(汎用される)コップ本体101を上記底構成部104に収容させることによって、飲食容器が構成されるのである。この場合、既存のコップをもってコップ本体101とすることができ、また、底構成部104を所望の形状に構成させることにより、各種形状の容器を利用することが可能となる。しかも、底構成部104の底部115には、予め錘103を埋設または装着させることが可能となるため、既存のコップを利用しつつ記述の実施形態と同様の効果を得ることができるものである。
【0036】
即ち、本実施形態では、底構成部104と把手102とが一体的に構成されていることから、把手102の先端部122は、底構成部104の裏面112と同一平面上に予め配置することができる。そして、予定されるコップ本体101の重量に応じて、十分に重心を低い位置に設定できる程度の錘103を設けることができるのである。そして、底構成部104に連続する周壁下部114は、所望の円滑な曲面を構成させているので、載置の際には錘103の作用により容器全体Bを安定させることができるのである。
【0037】
また、本実施形態では、底構成部104、支持部106および把手102によって構成されているところ、これらをそれぞれ着脱可能に設けることにより、携帯用としての利用が可能となるものである。この場合、着脱の構成は、支持部106に対して底構成部104および把手102を着脱可能にするものであり、支持部106の所定位置に係入孔を設けるとともに、底構成部104および把手102に係入突起を設けており、これらの係入により、装着を可能にすることによって実施できるものである。
【0038】
また、上記の着脱に代えて、底構成部104および把手102を折りたたみ可能にすることによっても携帯用として利用できることとなる。即ち、支持部106を中心として、下端には、底構成部104をヒンジ等により折り曲げを許容し、上端には、把手102の上端をヒンジ等により折り曲げを許容することにより、全体として折りたたみ可能にすることができるのである。この場合の、上記両部材102,104の折り曲げは、底構成部104については、上方へのみ許容されており、把手102については、左右のうちのいずれか一方向へのみ許容されるものである。
【0039】
上記の折り曲げを可能にするためには、ヒンジ以外を使用することが可能であることはいうまでもない。なお、上記支持部106については、底構成部104と把手102とを一体的に構成させるためのものであるため、底構成部104に収容されるコップ本体101の重量を把手102によって支える際に、この把手102に作用する荷重を底構成部104に伝えることができる程度の強度を有するものでなければならない。また、その形状については、これを限定するものではなく、断面円形の棒状部材で構成することができることは無論であり、コップ本体101の周壁の一部に当接できる表面を備えた壁状の部材で構成することも可能である。
【0040】
なお、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の態様をとり得ることができる。例えば、第一実施形態において、椀本体1に対する把手2の固定は、だぼ継ぎにより実施し得る旨を説明したが、この種の固定は木製の場合に有効であり、他の材質により構成する場合、例えば、プラスチックによる場合は、一体成形することにより、個別の部材を固定するような構成をとる必要はないものである。
【0041】
また、把手2,102の形状は、原則的に断面略四辺形状とするものであるが、一層容易に掴持できる形状に変更することも可能である。
【0042】
【発明の効果】
以上のとおり、本発明によれば、手の全体を使用して把手を掴持することができるので、高齢者または何らかの障害により握力が低下した者であっても、容器を持ち上げることが可能となる。しかも、手の全体で掴持する場合、自由に動くいずれかの指を使用することとなるので、種類の異なる障害により、利用者のそれぞれが自由な指または手のひら等を使用して掴持することができる。
【0043】
また、本発明によれば、容器の底部裏面のみならず把手先端をも含めて容器全体をテーブル等の表面に当接することとなるため、握力や筋力等が低下した者であっても、容易に安定した載置が可能となる。また、容器下部の周壁から底部裏面までを円滑な曲面で構成することにより、載置した容器は、その際には不安定であっても安定した状態まで揺動することとなる。この効果は、底面部を厚肉にすることによって、一層顕著に発揮させることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は第一実施形態の斜視図であり、(b)はIB−IB断面図である。
【図2】第一実施形態の使用態様を示す説明図である。
【図3】第一実施形態の使用態様を示す説明図である。
【図4】第一実施形態の飲食容器が傾倒する状態を示す説明図である。
【図5】把手先端の構造を示す説明図である。
【図6】飲食容器を重ねた状態を示す説明図である。
【図7】第二実施形態を示す断面図である。
【図8】第二実施形態の他の態様を示す断面図である。
【図9】第三の実施形態を示す説明図である。
【図10】他の実施形態を示す説明図である。
【符号の説明】
1 椀本体
2,102,202 把手
3,103 錘
4 キャップ
5 金属製ネジ
11,111 上部端縁
12,112,212 底部裏面
13,113,213 周壁
14,114,214 周壁下部
15,115 底部
21 把手本体部分
22,122,222 把手先端
23 凹部
104 底構成部
106 支持部
107 コップ本体底部
A,B,C 飲食容器
【発明の属する技術分野】
本発明は、お椀や湯のみのような飲食容器に関するものであって、特に、握力の低下した高齢者のための介護用として、または、関節障害もしくは筋肉異常等による握力が低下した障害者用として使用する飲食容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、障害者等が使用する食器としては、登録実用新案公報第3017315号公報記載のお椀および同第3072349号公報記載の飯茶わんがあった。これらの公報に記載される技術のうち、前者のお椀は、椀本体の上縁の全周または一部を、椀本体の周壁の実質的な延長として、かつ、上に突の湾曲状態に外方に延長し、該延長した部分を指掛かり部としたことを特徴とするお椀を要旨とするものであって、このお椀は、指掛かり部の下側表面に人差し指を当接しつつ親指の腹で当該指掛かり部の上縁を押えるようにして使用するものであり、手のひらおよび他の指を使用して椀本体の周壁を握ることにより、片手で持ち上げることができるように構成されたものであった。
【0003】
一方、後者の飯茶わんは、外側面に手の指がその内側で引っ掛かる逆U字型の把手を形成したことを特徴とする飯茶わんを要旨としており、また、上記に加えて、飯茶わんの下面の高台の接地面にゴム製滑止材を付着したものをも要旨とするものである。この飯茶わんも、上記のお椀の場合とほぼ同様に、人差し指を逆U字型の把手の内側に当接させることにより、当該指を引っ掛けるとともに、他の指または手のひらで掴むようにして使用するものであった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の技術のうち、前者にあっては、その使用態様が、手のひらなどを使用して椀本体を握るようにして支えるものであることから、高温の飲食物を盛り付けた場合には、飲食物の熱が周壁部分を伝わって表面までも熱くなるため、結果的には、あまり温度の高い飲食物について使用することができないものであった。そして、椀本体を支える手の握りを補助すべく指掛かり部を設けているものであるが、握力の低下した者が使用する場合には、専ら人差し指と親指とで支えなければならず、これらの指を支える力、特に親指で押える力が要求されるものであった。
【0005】
一方の後者にあっては、逆U字型の把手の内側に人差し指を入れることにより、この人差し指が把手に引っ掛かるようになるため、飯茶わんが落下することを防止することができる点で前者の技術と異なるが、手のひら等で飯茶わんを掴んで使用する点で、熱いご飯を食する際には、飯茶わんの表面が熱くならざるを得ず、前者の技術と同様の問題点を内在するものであった。
【0006】
また、上記両技術は、いずれも持ち上げる場合にのみ着目されたものであるが、手に障害を有する者や、握力を低下した者にとっては、容器を持ち上げる場合のみならず、テーブル等の表面に沿って容器を置く場合についても困難を感じるものであり、従来どおりの形状を有する容器本体に把手を設けたのみでは、これらの者が快適な使用を実現できないものであった。
【0007】
さらに、一般的なコーヒー碗のように、専ら熱い飲料を飲むために使用する飲用容器には把手が設けられているものの、これらの把手は2本または3本程度の指を挿通できる環状に構成されているものであり、標準的な筋力等を備えたいわゆる健常者のためのものであった。そして、標準的な筋力等を有しない者、特に、指の関節に障害等を有する者では、把手に指を挿通して利用することは困難であった。また、上記飲用容器は、意匠性を考慮するために比較的不安定な形状であるため、手や指に障害を有する者が使用する場合、容器が転倒する不安感を抱く原因となっていた。
【0008】
本発明は、上記諸点にかんがみてなされたものであって、その目的とするところは、椀本体の周壁に触れることなく、しかも、握力の低下した者によっても容易に持ち上げることのできる飲食容器を提供するとともに、転倒し難い飲食容器を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明は、容器本体の周壁から外方に突出する把手を設け、該把手の先端が上記容器本体の底部裏面と同一平面上に到達させてなることを特徴とする飲食容器を要旨とするものである。
【0010】
また、本発明は、周壁の下部から底部までの外側表面を円滑な曲面で構成してなる容器本体と、この容器本体の周壁から外方に突設され、かつ先端が上記容器本体の底部裏面と同一平面上に到達させてなる把手とからなることを特徴とする飲食容器をも要旨としている。
【0011】
上記の場合、容器本体は、厚肉の底部を有する容器本体とすることが好ましく、把手の先端には、容器本体の底部裏面と同一平面の端面を有することが好ましい。そして、この把手は、容器本体の上部端縁付近から外方に突出するように設け、また、最上位付近の外側表面に凹部を設けてなることが好ましい。
【0012】
このような把手は、その本体部分を緩やかに湾曲させ、かつ、外側表面の長手方向が100mm以上とすることが好ましく、その先端が前記容器本体の上部端縁から50mm以上離れた位置まで突出するように構成することが好ましい。なお、把手の形状は、四辺形とすることができる。
【0013】
さらに、本発明は、容器本体の底部を収容する底構成部と、この底構成部から所定の高さに立設した支持部と、この支持部の先端付近において支持されるとともに、上記底構成部の裏面と同一平面上に先端を到達させてなる把手とからなり、容器本体を底構成部によって保持させてなることを特徴とする飲食容器をも要旨とするものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本発明の第一実施形態は、図1に示すように、お椀型の飲食容器Aに関するものであって、椀本体1の上部端縁11の付近から突出する把手2が設けられたものである。この把手2は、本体部分21が略円弧状に湾曲してなり、その先端22がちょうど椀本体1の底部裏面12と同一平面上に到達する長さに調整されている。また、把手2の断面は略平方形状に構成されており、上記先端22には、把手2の断面と同形の端面が構成されている。従って、椀本体1をテーブル等の表面上に載置するとき、椀本体1の底部裏面12がテーブル等の表面に当接すると同時に、上記先端22の端面も当接することとなる。
【0015】
また、把手本体21は、上記のように湾曲しているとともに所定の断面積を備える構成であるため、利用者が片手で掴持できるものである。そして、把手2のうち最も上部の位置には凹状部分23が構成されており、上記掴持の際、親指の腹付近を当該凹状部分23に掛けることができるものである。これにより、親指が十分に機能する者であれば、把手本体21の掴持と同時に親指による掛止によって安定した利用を可能とするものである。
【0016】
図1(b)に示しているように、椀本体1の周壁13は、その下部表面から底部裏面12に至る範囲を円滑な曲面によって構成された周壁下部14が設けられており、容器本体Aを傾けた状態でテーブル等の表面上に載置した場合であっても、底部裏面12の全体が、テーブル面等に当接できるように案内できるものである。このような周壁下部14および底部裏面12の形状は、健常者では逆に安定感に欠けるような違和感を抱くこととなるが、現実に握力の低い者にとっては、底部裏面の確実な当接を要求されないことにより安心感を得ることができるのである。即ち、一般的な容器では、底部裏面に設けられる基部をテーブル面等に当接させて載置されることとなるが、この基部をテーブル面等にきちんと当接させるためには、適当な握力または腕等の筋力を必要とするのである。
【0017】
また、椀本体1の底部15は、他の部分よりも厚肉に構成されているため、椀本体1の重心を低くすることができるのである。これにより、椀本体1の転倒を防止することができるとともに、既述のとおり、底部裏面12をテーブル等の表面に当接するように周壁下部14が案内する際、このような案内を促すこととなるのである。なお、把手2が椀本体1の外方に突出して設けられているため、上記重心の位置を椀本体1の底部裏面12の中央から僅かに把手2の方向に偏らせることができるのである。
【0018】
また、上記のような把手2は、この棒の把手本体21が湾曲されて構成されているが、湾曲する外側において最も長い部分の全長が約102mmに調整されている。そして、この棒状部材の肉厚によって異なるものの、肉厚を15mmとすると内側の短い部分の全長は約78mmとなるものである。これは、利用者が、片手の全体を使用しつつ当該把手2を支持することができるのである。即ち、一般的な手の大きさであれば、人差し指から小指に至る四指を把手本体21の内側に当接することができるので、十分に機能するいずれかの指を使用することが可能となるものである。そして、断面を一辺15mmのほぼ正方形状にすることにより、利用者が特別強力な握力を必要とせずに掴持できることとなるのである。また、上記のように長尺な棒状部材を、または上記以上に長尺な棒状部材を使用し、それらの先端22が椀本体の底部裏面12と同じ高さに到達させることにより、把手2の先端22を椀本体1の底部裏面12から離れた位置に配置させることができるため、把手2が椀本体1の傾倒を一方向に支えることとなるのである。
【0019】
上記のような把手2の構成により、利用者は、当該把手2を片手全体で掴むことができるので、周壁13に手を触れることなく椀本体1を持ち上げることができるのである。そして、この把手2の掴持は、利用者の片手全体で行われるため、低下した握力によっても十分に椀本体1を持ち上げることを可能にし、また、関節障害等により十分に指先の機能を利用できない者が利用する場合であっても、自由に動かすことのできるいずれかの指を使用することにより掴持を可能にするのである。例えば、人差し指に障害を持っている場合、その人差し指を除く他の指を使用することができるのであり、また、親指に障害がある場合は、この親指の付け根部分の手のひらと他の指とを使用することも可能なのである。なお、上記のような把手2は、例えば、プラスチック等による椀本体1との一体成形により構成することができ、また、図1(b)に示しているように、だぼ継ぎ等の手段により椀本体1と一体的に構成することができる。
【0020】
ここで、使用態様について説明すれば、手に障害等を有する者が上記のように把手2を掴持して椀本体1を持ち上げることとなるが、この際、図2(a)に示すように、把手2をやや上にした状態で、テーブル等の表面Xに対して飲食容器Aを傾けつつ持ち上げることとなる。これは、椀本体1に飲食物が盛り付けられていることから、当該椀本体1が重くなる関係上、椀本体1を把手2と同時に、かつ椀本体1の状態を維持しつつ持ち上げることが困難だからである。しかし、このような場合であっても、本実施形態にあっては、椀本体1の底部裏面12に至る周壁下部14は円滑な曲面であるため、未だ椀本体1がテーブル等の表面Xに当接された状態であっても、上記のように傾けることができるのである。そして、上記のように、飲食容器Aが傾いた状態とすることによって、盛り付けられている飲食物の重さを確認することもできるため、一層容易に持ち上げることができるのである。
【0021】
また逆に、持ち上げた容器全体Aをテーブル等の表面Xに載置する際、手元がしっかりしている場合は、底部裏面12を水平に維持しつつ飲食容器Aをテーブル等の表面Xに当接することが可能であるが、椀本体1の重量により手元が不安定な状況、または、他の要因(例えば、視力低下等)により手元を明確に認識できない状況では、図2(b)に示すように、やはり把手2が高くなるように若干傾けた状態で降下させる場合が多い。このような場合であっても、椀本体1のうち、周壁下部14を最初にテーブル等の表面Xに当接することができるのである。
【0022】
この場合、図3(a)に示すように、周壁下部14がテーブル等の表面Xに当接した状態で把手2の掴持を解除したとしても、椀本体1は、その重心Yが低い位置に設定されているため、底部裏面12の全体がテーブル等の表面Xに当接する方向へ揺動することとなるのである。そして、この揺動により、底部裏面12の全体がテーブル等の表面Xに当接するとき、図3(b)に示すように、上記揺動と同時に、把手2の先端22がテーブル等の表面Xに当接することとなり、上記揺動は停止されて、飲食容器Aは、安定した載置状態となるのである。
【0023】
また、飲食容器Aを安定して載置されている状態において、利用者が十分に把手2を掴持できず、または、利用者の手や腕が誤って容器本体Aに衝突し、容器全体Aが不安定な状態となる場合であっても、重心Yが容器全体Aの接点Zよりも底部裏面12の側に存在する範囲内では、椀本体1は、底部裏面12がテーブル等の表面Xに当接する方向に揺動して復元されることとなる(図3(a)参照)。なお、上記重心Yの位置は、椀本体1に盛り付けられる飲食物の重量によって上下することとなるため、安定する状態へ揺動できる範囲は、椀本体1の内容物等によって少なからず変化することとなるが、上記のように、重心Yが周壁下部14の接点よりも底部裏面12の側に存在する限り復元が可能なものである。
【0024】
上記のように椀本体1が揺動する場合、その揺動による力が慣性力として椀本体1に作用し、底部裏面12によるテーブル等の表面Xとの当接状態を超えて反対側の周壁下部14が当接する不安定な状態となること(以下、揺り戻しという)が予想される。
【0025】
しかしながら、まず、椀本体1の底部裏面12を十分な平面で構成することにより、揺り戻しの発生を防止することができることとなる。また、このような平面を構成しない場合であっても、把手2を設けていない側の周壁下部14がテーブル等の表面Xに当接している状態から椀本体1が揺動するとき、その当接する周壁下部14の反対側に把手2が存在するので、当該把手2の先端22がテーブル等の表面Xに当接した状態で揺動が停止し(図3参照)、これによって揺り戻しは発生しない。
【0026】
そして、揺り戻し方向に、把手2の先端22が存在する範囲は、図4(a)に示すように、把手2の先端22から椀本体1の周壁13の両側に対する二接線の範囲であるため、ほとんどの場合は、把手2の先端22によって揺り戻しが防止できるのである。また、逆に、図4(b)に示すように、椀本体1の周壁13と把手2の先端22とが、同時にテーブル等の表面Xに当接している状態から、飲食容器Aが揺動を開始する場合(この場合、上記二接線がテーブル等の表面Xに一致する)、反対側への揺り戻しには、把手2をも同様に持ち上げる必要があるため、当該把手2の重量分だけ、揺り戻しを抑制することとなる。
【0027】
そして、この種の揺り戻しの抑制効果を向上させるためには、把手2の先端22の付近を重くするという方法が考えられる。そこで、例えば、図5に示すように、把手2の先端22に断面円形状の錘挿入穴を穿設し、この内部に金属等の高比重物質で構成した球状の錘3を挿入し、先端キャップ4で閉口させることにより、大重量の把手先端22を構成することができるのである。なお、これらの錘3の挿入構造に代えて、錘用の金属製ネジ5を把手先端に螺入する手段によることも可能である。
【0028】
本実施形態では、既述のとおり、把手2の先端22が椀本体1の底部裏面12から離れた個所に配置され、椀本体1の周壁13との間を連続的に構成されていないので、複数の容器を重ねることが可能となるものである。即ち、図6に示すように、複数の飲食容器Aa,Ab・・・を重ねる場合、上側の飲食容器Abは、その把手2bの内側24bが下側の椀本体1aの上部端縁11aに当接する状態で重ねられることとなる。この状態では、上側の飲食容器Abが傾くこととなるが、さらに上側に飲食容器Ac・・・を重ね合わせる場合には、把手2の向きを交互にすれば、全体として大きく傾斜することがない。
【0029】
次に、第二の実施形態について説明する。本実施形態は、図7に示すように、比較的背の高いコップ型の飲食容器Bに関するものである。本実施形態では、コップ本体101の形状は異なるものの、底部裏面112に連続する周壁下部114は、円滑な曲面によって構成されており、把手102は、コップ本体101の上部端縁111の付近から突出するように設けられている。また、この把手102の先端122は、コップ本体101の底部裏面112と同一平面上に到達しており、飲食容器Bをテーブル等の表面に載置するとき、コップ本体1の底部裏面112と把手102の先端122の端面とが同時に当接するように構成されている。
【0030】
ここで、把手102の形態は、コップ本体101の高さに応じてやや異なるものである。即ち、把手102の先端122は、コップ本体101の底部裏面112から十分に離れた個所に配置されることが好ましいことから、コップ本体101の高さを仮に80mm程度とすると、前述の第一実施形態における把手2(図1)と同種の把手をコップ本体101の上部端縁111に設ける場合、当該把手2の先端がコップ本体101の底部裏面112と同一平面上に到達させることができないか、または到達させることができたとしても底部裏面112に近い場所に到達することとなるのである。そこで、本実施形態では、全長についてはほぼ同様の102mmとしつつ、把手102の湾曲を緩やかな状態とすることによって、上記底部裏面112から離れた位置に把手102の先端122を配置することができるのである。
【0031】
また、上記把手102は、より長尺なものを使用することも可能である。この場合、湾曲の状態は第一実施形態の把手2と同様にすることができるとともに、コップ本体101の底部裏面112と同一平面上に先端122を到達させたとき、先端122の位置は、当該底部裏面112から離れた地点となるのである。そして、本実施形態におけるコップ本体101の高さが一層高い場合には、上記のように、長尺な把手102を使用することによって対応することができることとなる。
【0032】
本実施形態では、第一実施形態と同様に、底部115を厚肉に形成しているものであり、持ち上げた飲食容器Bをテーブル等の表面に載置する際、底部裏面112に近接する曲面状の周壁下部114のみを当接させ、この状態で把手102の掴持を解除したとしても、当該飲食容器Bが容易に転倒しないように構成されているのである。
【0033】
そして、背の高いコップ本体101については、図8に示すように、底部115のほぼ中央に錘103を埋設する方法がある。これは、コップ本体101の重心をより低い位置に設定するためのものである。この錘103は、コップ本体101を成形した後に、底部裏面112の側から埋設することができる。そして、コップ本体101の底部裏面112のちょうど中央に設けるものであってもよいが、当該中央から僅かに把手102の側に偏った位置に設けることができる。このように偏った位置に錘103を埋設することにより、容器全体Bを載置する際に周壁下部114が当接した状態からの揺動方向が、上記把手102の方向に一層強力に作用することとなる。なお、この種のコップ本体101を使用する飲食容器では、固形の食物を盛り付けて使用することは考えられず、専ら液体の飲料に使用されるため、錘103の埋設部分が容器内に突出することによって使用に支障を来たすことはない。
【0034】
次に、第三の実施形態について説明する。本実施形態は、図9に示すように、底の浅い容器Cに関するものである。この種の容器Cは、把手202を設けるほどの高さを有しないため、既述のような把手2,102を採用する場合、把手2,102の先端22,122の位置が、容器本体201の底部裏面212から遠く離れることとなり、これが返って邪魔な存在となり得る。そこで、本実施形態では、図示のように、連結部224および掴持部225によって構成するものである。このように構成することにより、掴持部225は、掴持に必要となる長さを設けることができ、かつ、把手202の先端222を所望の位置において配置することができるのである。
【0035】
さらに、上記の錘103を使用する飲食容器を構成させるための他の実施形態を説明する。図10に示すように、本実施形態では、底構成部104および把手102が支持部106を介して一体的に設けられており、底構成部104には、コップ本体101の底部107が収容できるように浅底の略容器状に構成された収容部108が設けられている。従って、独立してなる(汎用される)コップ本体101を上記底構成部104に収容させることによって、飲食容器が構成されるのである。この場合、既存のコップをもってコップ本体101とすることができ、また、底構成部104を所望の形状に構成させることにより、各種形状の容器を利用することが可能となる。しかも、底構成部104の底部115には、予め錘103を埋設または装着させることが可能となるため、既存のコップを利用しつつ記述の実施形態と同様の効果を得ることができるものである。
【0036】
即ち、本実施形態では、底構成部104と把手102とが一体的に構成されていることから、把手102の先端部122は、底構成部104の裏面112と同一平面上に予め配置することができる。そして、予定されるコップ本体101の重量に応じて、十分に重心を低い位置に設定できる程度の錘103を設けることができるのである。そして、底構成部104に連続する周壁下部114は、所望の円滑な曲面を構成させているので、載置の際には錘103の作用により容器全体Bを安定させることができるのである。
【0037】
また、本実施形態では、底構成部104、支持部106および把手102によって構成されているところ、これらをそれぞれ着脱可能に設けることにより、携帯用としての利用が可能となるものである。この場合、着脱の構成は、支持部106に対して底構成部104および把手102を着脱可能にするものであり、支持部106の所定位置に係入孔を設けるとともに、底構成部104および把手102に係入突起を設けており、これらの係入により、装着を可能にすることによって実施できるものである。
【0038】
また、上記の着脱に代えて、底構成部104および把手102を折りたたみ可能にすることによっても携帯用として利用できることとなる。即ち、支持部106を中心として、下端には、底構成部104をヒンジ等により折り曲げを許容し、上端には、把手102の上端をヒンジ等により折り曲げを許容することにより、全体として折りたたみ可能にすることができるのである。この場合の、上記両部材102,104の折り曲げは、底構成部104については、上方へのみ許容されており、把手102については、左右のうちのいずれか一方向へのみ許容されるものである。
【0039】
上記の折り曲げを可能にするためには、ヒンジ以外を使用することが可能であることはいうまでもない。なお、上記支持部106については、底構成部104と把手102とを一体的に構成させるためのものであるため、底構成部104に収容されるコップ本体101の重量を把手102によって支える際に、この把手102に作用する荷重を底構成部104に伝えることができる程度の強度を有するものでなければならない。また、その形状については、これを限定するものではなく、断面円形の棒状部材で構成することができることは無論であり、コップ本体101の周壁の一部に当接できる表面を備えた壁状の部材で構成することも可能である。
【0040】
なお、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の態様をとり得ることができる。例えば、第一実施形態において、椀本体1に対する把手2の固定は、だぼ継ぎにより実施し得る旨を説明したが、この種の固定は木製の場合に有効であり、他の材質により構成する場合、例えば、プラスチックによる場合は、一体成形することにより、個別の部材を固定するような構成をとる必要はないものである。
【0041】
また、把手2,102の形状は、原則的に断面略四辺形状とするものであるが、一層容易に掴持できる形状に変更することも可能である。
【0042】
【発明の効果】
以上のとおり、本発明によれば、手の全体を使用して把手を掴持することができるので、高齢者または何らかの障害により握力が低下した者であっても、容器を持ち上げることが可能となる。しかも、手の全体で掴持する場合、自由に動くいずれかの指を使用することとなるので、種類の異なる障害により、利用者のそれぞれが自由な指または手のひら等を使用して掴持することができる。
【0043】
また、本発明によれば、容器の底部裏面のみならず把手先端をも含めて容器全体をテーブル等の表面に当接することとなるため、握力や筋力等が低下した者であっても、容易に安定した載置が可能となる。また、容器下部の周壁から底部裏面までを円滑な曲面で構成することにより、載置した容器は、その際には不安定であっても安定した状態まで揺動することとなる。この効果は、底面部を厚肉にすることによって、一層顕著に発揮させることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は第一実施形態の斜視図であり、(b)はIB−IB断面図である。
【図2】第一実施形態の使用態様を示す説明図である。
【図3】第一実施形態の使用態様を示す説明図である。
【図4】第一実施形態の飲食容器が傾倒する状態を示す説明図である。
【図5】把手先端の構造を示す説明図である。
【図6】飲食容器を重ねた状態を示す説明図である。
【図7】第二実施形態を示す断面図である。
【図8】第二実施形態の他の態様を示す断面図である。
【図9】第三の実施形態を示す説明図である。
【図10】他の実施形態を示す説明図である。
【符号の説明】
1 椀本体
2,102,202 把手
3,103 錘
4 キャップ
5 金属製ネジ
11,111 上部端縁
12,112,212 底部裏面
13,113,213 周壁
14,114,214 周壁下部
15,115 底部
21 把手本体部分
22,122,222 把手先端
23 凹部
104 底構成部
106 支持部
107 コップ本体底部
A,B,C 飲食容器
Claims (10)
- 容器本体の周壁から外方に突出する把手を設け、該把手の先端が上記容器本体の底部裏面と同一平面上に到達させてなることを特徴とする飲食容器。
- 周壁の下部から底部までの外側表面を円滑な曲面で構成してなる容器本体と、この容器本体の周壁から外方に突設され、かつ先端が上記容器本体の底部裏面と同一平面上に到達させてなる把手とからなることを特徴とする飲食容器。
- 前記容器本体は、厚肉の底部を有する容器本体である請求項1または2記載の飲食容器。
- 前記把手は、その先端において前記容器本体の底部裏面と同一平面の端面を有する把手である請求項1ないし3のいずれかに記載の飲食容器。
- 前記把手は、前記容器本体の上部端縁付近から外方に突出するように設けられてなる把手である請求項1ないし4のいずれかに記載の飲食容器。
- 前記把手は、最上位付近の外側表面に凹部を設けてなる把手である請求項1ないし5のいずれかに記載の飲食容器。
- 前記把手は、その本体部分が緩やかに湾曲してなり、外側表面の長手方向が100mm以上に構成された把手である請求項1ないし6のいずれかに記載の飲食容器。
- 前記把手は、その先端が前記容器本体の上部端縁から50mm以上離れた位置まで突出させてなる把手である請求項1ないし7のいずれかに記載の飲食容器。
- 前記把手は、断面四辺形状に構成されてなる把手である請求項1ないし8のいずれかに記載の飲食容器。
- 容器本体の底部を収容する底構成部と、この底構成部から所定の高さに立設した支持部と、この支持部の先端付近において支持されるとともに、上記底構成部の裏面と同一平面上に先端を到達させてなる把手とからなり、容器本体を底構成部によって保持させてなることを特徴とする飲食容器。
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2017217346A (ja) * | 2016-06-10 | 2017-12-14 | 株式会社三輝 | 桶 |
-
2002
- 2002-07-16 JP JP2002207425A patent/JP2004049306A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2017217346A (ja) * | 2016-06-10 | 2017-12-14 | 株式会社三輝 | 桶 |
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