JP2004048965A - スイッチング電源装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】高調波規制、小型化、低ノイズ化、高効率化を図るスイッチング電源装置を提供する。
【解決手段】全波整流回路B1の正極側出力端1と負極側出力端2との間に接続され、第1リアクトルL1の第1巻線6aと第2リアクトルL1とダイオードD2とコンデンサC2とが直列に接続された第1直列回路と、コンデンサC2に並列に接続され、トランスT1の1次巻線5aと主スイッチQ1とが直列に接続された第2直列回路と、全波整流回路B1の正極側出力端1と、トランスT1の1次巻線5aと主スイッチQ1との接続点との間に接続され、第1リアクトルL2の第2巻線6bとダイオードD4とが直列に接続された第3直列回路と、トランスT1の2次巻線5bに接続され、ダイオードD1及びコンデンサC1を有する整流平滑回路7と、主スイッチQ1をオン/オフ制御することにより整流平滑回路7からの出力電圧を所定電圧に制御する制御回路10とを有する。
【選択図】   図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高効率、低ノイズ、高力率を図ることができるスイッチング電源装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図20に従来の力率改善回路とコンバータ回路との2コンバータ方式のスイッチング電源装置の回路構成図を示す。図20に示すスイッチング電源装置は、交流電源Vac1の交流電圧を全波整流する全波整流回路B1と、この全波整流回路B1からの全波整流電圧をチョークコイルL1を介して入力し、制御回路101からの制御信号によりスイッチQ2をオン/オフさせて、ダイオードD2及びコンデンサC3により整流平滑して直流電圧を得る力率改善回路50と、この力率改善回路50からの直流電圧を別の直流電圧に変換するコンバータ回路60とを有している。
【0003】
力率改善回路50内の制御回路101は、スイッチQ2を流れるピーク電流が入力電圧に比例するようにスイッチQ2のオン期間を制御するとともに、チョークコイルL1の電流がゼロになってからスイッチQ2をターンオンさせる。具体的には、制御回路101は、スイッチQ2の電流を検出する抵抗r3の両端電圧と、入力電圧(全波整流電圧)を抵抗r1と抵抗r2とで分圧した電圧とをコンパレータ(図示せず)に入力し、このコンパレータの出力信号によりRSフリップフロップ(図示せず)を動作させてスイッチQ2をターンオフさせる。これにより、スイッチQ2のピーク電流は入力電圧に比例する。また、チョークコイルL1に補助巻線103を付加し、制御回路101は、補助巻線103に生ずるフライバック電圧がゼロになるのを検出してスイッチQ2をターンオンさせる。即ち、チョークコイルL1に流れる電流がゼロから始まり、正弦波の包絡線上のピークに達し、そこからゼロまで戻る。これにより、交流電源Vac1に流れる入力電流(交流電流)も交流電源Vac1の交流電圧に追従した正弦波電流波形となり、力率が大幅に改善される。
【0004】
また、制御回路101は、コンデンサC3の出力電圧と基準電圧と全波整流電圧とに基づきスイッチQ2をオン/オフ制御するので、出力電圧が一定に保たれる。
【0005】
一方、コンバータ回路60において、コンデンサC3にトランスT1の1次巻線5a(巻数n1)を介してMOSFET等からなる主スイッチQ1が接続され、この主スイッチQ1の両端には、直列に接続された抵抗R2及びスナバコンデンサC2が接続されている。主スイッチQ1は、制御回路102のPWM制御によりオン/オフするようになっている。
【0006】
また、トランスT1の1次巻線5aとトランスT1の2次巻線5bとは互いに逆相電圧が発生するように巻回されており、トランスT1の2次巻線5b(巻数n2)にはダイオードD1及びコンデンサC1からなる整流平滑回路が接続されている。この整流平滑回路は、トランスT1の2次巻線5bに誘起された電圧(オン/オフ制御されたパルス電圧)を整流平滑して直流出力を負荷RLに出力する。
【0007】
制御回路102は、図示しない演算増幅器及びフォトカプラを有し、演算増幅器は、負荷RLの出力電圧と基準電圧とを比較し、負荷RLの出力電圧が基準電圧以上となったときに、主スイッチQ1に印加されるパルスのオン幅を狭くするように制御する。すなわち、負荷RLの出力電圧が基準電圧以上となったときに、主スイッチQ1のパルスのオン幅を狭くすることで、出力電圧を一定電圧に制御するようになっている。
【0008】
次に、コンバータ回路60の動作を図21に示すタイミングチャートを参照しながら説明する。なお、図21では、主スイッチQ1の両端間の電圧Q1v、主スイッチQ1に流れる電流Q1i、トランスT1の1次巻線5a(巻数n1)に流れる電流n1i、ダイオードD1に流れる電流D1i、主スイッチQ1をオン/オフ制御するQ1制御信号を示している。
【0009】
まず、時刻t31において、Q1制御信号により主スイッチQ1がオンし、コンデンサC3からトランスT1の1次巻線5aを介して主スイッチQ1に電流Q1iが流れる。この電流は、時刻t32まで時間の経過とともに直線的に増大していく。また、1次巻線5aを流れる電流n1iも電流Q1iと同様に時刻t32まで時間の経過とともに直線的に増大していく。
【0010】
なお、時刻t31から時刻t32では、1次巻線5aの主スイッチQ1側が−側になり、1次巻線5aと2次巻線5bとは逆相になっているので、ダイオードD1のアノード側が−側になるため、ダイオードD1には電流D1iは流れない。
【0011】
次に、時刻t32において、主スイッチQ1は、Q1制御信号により、オン状態からオフ状態に変わる。このとき、トランスT1の1次巻線5aに誘起された励磁エネルギーの内、リーケージインダクタLg(2次巻線5bと結合していないインダクタ)の励磁エネルギーは、2次巻線2bに伝送されないため、抵抗R2を介してスナバコンデンサC2に蓄えられる。このため、トランスT1の1次巻線5aのリーケージインダクタLgとスナバコンデンサC2とにより電圧共振が形成され、その共振周波数fは、式(1)で表される。
【0012】
f=1/[2π*{Lg*C2}1/2]   ・・・(1)
また、そのときの共振波形は、図22に示すように、ターンオフ時(オン状態からオフ状態に変わること)にリンギング波形RG(減衰振動波形)となる。なお、スナバコンデンサC2の値と抵抗R2の値とを適当な値に調整すれば、このリンギング波形を非常に小さくすることができる。そして、このリンギング波形RGは、抵抗R2により時間の経過とともに減衰して一定値となり、この一定値は時刻t33直前まで継続する。また、時刻t32〜時刻t33では、主スイッチQ1がオフであるため、電流Q1i及び電流n1iはゼロになる。
【0013】
なお、時刻t32から時刻t33では、1次巻線5aの主スイッチQ1側が+側になり、且つ1次巻線5aと2次巻線5bとは逆相になっているので、ダイオードD1のアノード側が+側になるため、ダイオードD1に電流D1iが流れる。
【0014】
このようなコンバータ回路60によれば、主スイッチQ1の両端にスナバ回路(C2,R2)を挿入し、主スイッチQ1の電圧の時間的な変化を緩やかにすることで、スイッチングノイズを低減できると共に、トランスT1のリーケージインダクタLgによる主スイッチQ1へのサージ電圧を抑制することができる。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のこの種のスイッチング電源装置にあっては、高調波規制に対応するため、力率改善回路50とコンバータ回路60の2コンバータ方式で対応していた。このため、制御回路が2系統(力率改善回路用、コンバータ回路用)必要であり、スイッチング回路も2系統必要であった。
【0016】
このため、回路が複雑となり、スイッチング部分が2回路あるため、ノイズや損失が増大し、小型化、低ノイズ化、高効率化の妨げとなっていた。
【0017】
また、従来のスイッチング電源装置にあっては、スナバコンデンサC2に充電された電荷を抵抗R2によって消費させるため、損失が増大した。この損失は、コンデンサ容量、変換周波数に比例するため、ノイズ抑制を目的としてコンデンサ容量を増やしたり、あるいは、小型化を目的として変換周波数を上昇させた場合には、損失が増大し、効率が低下する欠点があった。
【0018】
本発明の第1の目的は、1つのコンバータで高調波規制に対応でき、小型化、低ノイズ化、高効率化を図るスイッチング電源装置を提供することにある。また、本発明の第2の目的は、補助スイッチを用いて、ゼロ電圧スイッチングを可能とし、低ノイズ化、高効率化を図るスイッチング電源装置を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明は前記課題を解決するために以下の構成とした。本発明は、交流を入力し、力率を改善させるとともに直流を出力するスイッチング電源装置であって、交流電源に接続して交流電圧を整流する整流回路と、第1巻線と第2巻線とを有する第1リアクトルと、前記整流回路の正極側出力端と負極側出力端との間に接続され、前記第1リアクトルの第1巻線と第2リアクトルと第1整流素子とコンデンサとが直列に接続された第1直列回路と、前記コンデンサに並列に接続され、トランスの1次巻線と主スイッチとが直列に接続された第2直列回路と、前記整流回路の正極側出力端と、前記トランスの1次巻線と前記主スイッチとの接続点との間に接続され、前記第1リアクトルの第2巻線と第2整流素子とが直列に接続された第3直列回路と、前記トランスの2次巻線に接続され、整流素子及び平滑素子を有する整流平滑回路と、前記主スイッチをオン/オフ制御することにより前記整流平滑回路からの出力電圧を所定電圧に制御する制御回路とを有することを特徴とする。
【0020】
この発明によれば、コンデンサの電圧が交流電源の入力電圧(交流電圧)を整流して得られた整流電圧より高い場合、第1リアクトルの第2巻線を介して第2整流素子に流れる電流は、入力電圧に比例する。また、主スイッチがオン時又はオフ時でも、第1リアクトルの第1巻線には巻線比に応じた電圧が発生し、この電圧と入力電圧との和がコンデンサの電圧より高くなった場合には、第1リアクトルの第1巻線→第2リアクトル→第1整流素子→コンデンサと電流が流れる。交流電源の入力電流(交流電流)は、第1整流素子に流れる電流と第2整流素子に流れる電流との和となり、正弦波状電流のピーク付近にこぶ状のピーク電流を持った波形となり、高調波規制を満足する波形とすることができる。従って、1つのコンバータで高調波規制に対応でき、小型化、低ノイズ化、高効率化を図ることができる。
【0021】
また、本発明は、前記第1リアクトルは第3巻線をさらに備え、前記主スイッチに並列に接続され、前記第1リアクトルの第3巻線と第3リアクトルと逆流防止ダイオードと補助スイッチとが直列に接続された第4直列回路と、前記主スイッチに並列に接続されたスナバコンデンサ及びダイオードとを有し、前記制御回路は、前記主スイッチのターンオン時及びターンオフ時に前記主スイッチをゼロ電圧スイッチングさせ、かつ、前記補助スイッチのターンオン時及びターンオフ時に前記補助スイッチをゼロ電流スイッチングさせることを特徴とする。
【0022】
この発明によれば、主スイッチのターンオン時及びターンオフ時に主スイッチをゼロ電圧スイッチングさせ、かつ、補助スイッチのターンオン時及びターンオフ時に補助スイッチをゼロ電流スイッチングさせるので、主スイッチ及び補助スイッチのスイッチングロス及びスイッチングノイズを低減することができる。特に、共振作用により、電圧の立ち上がり及び立ち下りも緩やかとなり、ノイズ発生を抑制し、スナバコンデンサの電荷を入力に帰還させるため、損失の増大もなく、高効率化できる。また、トランスの1次巻線の電流実効値を減少できることから、トランスを小型化できる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るスイッチング電源装置の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
【0024】
(第1の実施の形態)
第1の実施の形態に係るスイッチング電源装置は、交流を入力して直流を出力するスイッチング電源装置であって、1つの主スイッチQ1により力率改善と直流−直流変換とを同時に行うようにしたことを特徴とする。
【0025】
図1は第1の実施の形態に係るスイッチング電源装置の回路構成図である。図1において、全波整流回路B1は、交流電源Vac1に接続され、交流電源Vac1からの交流電圧を整流して正極側出力端1及び負極側出力端2に出力する。第1リアクトルL2は、第1巻線6a(巻数n3)とこの第1巻線6aに直列に接続された第2巻線6b(巻数n4)とを有しており、第1巻線6aと第2巻線6bとは電磁結合している。
【0026】
全波整流回路B1の正極側出力端1と負極側出力端2との間には、第1リアクトルL2の第1巻線6aと第2リアクトルL1とダイオードD2(本発明の第1整流素子に対応)とコンデンサC2とからなる第1直列回路が接続されている。コンデンサC2には、並列にトランスT1の1次巻線5a(巻数n1)と主スイッチQ1とからなる第2直列回路が接続されている。主スイッチQ1は、バイポーラトランジスタ、FET、IGBTのいずれかを用いることができる。なお、第2リアクトルL1は、第1リアクトルL2のリーケージインダクタであってもよく、あるいはリーケージインダクタとは別のインダクタであってもよい。
【0027】
全波整流回路B1の正極側出力端1と、トランスT1の1次巻線5aと主スイッチQ1との接続点との間には、第1リアクトルL2の第2巻線6bとダイオードD4(本発明の第2整流素子に対応)とからなる第3直列回路が接続されている。トランスT1の1次巻線5aとトランスT1の2次巻線5bとは互いに逆相電圧が発生するように巻回されており、トランスT1の2次巻線5bには、ダイオードD1(本発明の整流素子に対応)及びコンデンサC1(本発明の平滑素子に対応)を有する整流平滑回路7が接続されている。この整流平滑回路7は、トランスT1の2次巻線5bに誘起された電圧(オン/オフ制御されたパルス電圧)を整流平滑して直流出力を負荷RLに出力する。
【0028】
制御回路10は、図示しない演算増幅器及びフォトカプラを有し、演算増幅器は、負荷RLの出力電圧と基準電圧とを比較し、負荷RLの出力電圧が基準電圧以上となったときに、主スイッチQ1に印加されるパルスのオン幅を狭くするように制御する。すなわち、負荷RLの出力電圧が基準電圧以上となったときに、主スイッチQ1のパルスのオン幅を狭くすることで、出力電圧を一定電圧に制御するようになっている。
【0029】
次にこのように構成された第1の実施の形態に係るスイッチング電源装置の動作を図2に示すタイミングチャートを参照しながら説明する。
【0030】
なお、図2では、交流電源Vac1の入力電圧Vi(交流電圧)、交流電源Vac1を流れる入力電流Ii(交流電流)、制御回路10から主スイッチQ1の制御端子(例えばFETのゲート)に印加されて主スイッチQ1をオン/オフ制御する制御信号Vg、ダイオードD4に流れる電流Id4、第1リアクトルL2の第1巻線6aの電圧Vn3、ダイオードD2に流れる電流Id2を示している。
【0031】
まず、交流電源Vac1からの交流電圧が、全波整流回路B1により整流されて全波整流電圧が正極側出力端1及び負極側出力端2から出力される。そして、時刻tにおいて、主スイッチQ1をオンさせると、C2→5a→Q1→C2の閉ループが形成されて、コンデンサC2に蓄えられた電荷は、トランスT1の1次巻線5aを通って放電し、トランスT1の励磁インダクタンスに電力が蓄えられる。
【0032】
また、これと同時に、B1→6b→D4→Q1→B1の閉ループが形成される。このため、全波整流回路B1により整流された全波整流電圧は、第1リアクトルL2の第2巻線6bに加わり、この第2巻線6bには全波整流電圧に応じた電力が蓄えられる。また、ダイオードD4に流れる電流Id4は、時刻tから時刻tまで直線的に増加していく。
【0033】
次に、時刻tにおいて、主スイッチQ1がオフすると、ダイオードD4に流れる電流Id4は、直線的に減少していき、時刻tでゼロとなる。また、このとき、トランスT1の1次巻線5aには逆起電力が発生し、この逆起電力によりトランスT1の2次巻線5bにも逆起電力が誘起されて、2次巻線5bからダイオードD1、コンデンサC1及び負荷RLに電流が流れて、負荷RLに電力が供給される。また、第1リアクトルL2の第2巻線6bに蓄えられた電力は、トランスT1の1次巻線5aを通り、2次巻線5b側から負荷RLに電力を供給すると共に、コンデンサC2を充電する。
【0034】
以下、同様にして、時刻tから時刻t16までの半周期においても主スイッチQ1をオン/オフすると、ダイオードD4の電流Id4が増加/減少して、図2に示すように三角形の波形となる。この各三角形の頂点を結ぶ波形(各三角形の包絡線波形)が電流Id4の波形となる。即ち、コンデンサC2の電圧が入力電圧Vi(交流電圧)を全波整流して得られた全波整流電圧より高い場合、第1リアクトルL2の第2巻線6bを介してダイオードD4に流れる電流Id4は、入力電圧Viに比例する。
【0035】
また、主スイッチQ1がオン時又はオフ時でも(オフ時には第1リアクトルL2の極性が異なる。)、第1リアクトルL2の第1巻線6aには、第1巻線6aと第2巻線6bとの巻線比に応じた電圧Vn3が発生する。この電圧Vn3と入力電圧Viとの和がコンデンサC2の電圧より高くなった場合(時刻t〜t)には、6a→L1→D2→C2と電流が流れて、コンデンサC2が充電される。これにより、コンデンサC2の電圧を常に入力電圧Viより高く維持することができる。
【0036】
このとき、時刻t〜tでは主スイッチQ1がオンしてId2が増加し、時刻t〜tでは主スイッチQ1がオフしてId2が減少してゼロとなり、時刻t〜tでは主スイッチQ1がオンしてId2が増加し、時刻t〜t10では主スイッチQ1がオフしてId2が減少してゼロとなる。このため、電流Id2は、図2に示すように三角形の波形となる。この各三角形の頂点を結ぶ波形(各三角形の包絡線波形)が電流Id2の波形となる。
【0037】
以上のことから、入力電流Iiは、ダイオードD2に流れる電流Id2とダイオードD4に流れる電流Id4との和になり、正弦波状電流のピーク付近にこぶ状のピーク電流を持った波形となり、高調波規制を満足する波形とすることができる。即ち、1つのコンバータで高調波規制に対応することができる。
【0038】
なお、入力電圧Viが負電圧となる半周期(時刻t16からの半周期)における電流Id2及びId4の値は、入力電圧Viが正電圧となる半周期(時刻tから時刻t16までの半周期)のその値と同一値となる。入力電圧Viが負電圧となる半周期(時刻t16からの半周期)における電流Iiの値は、入力電圧Viが正電圧となる半周期(時刻tから時刻t16までの半周期)のその値の絶対値と同じで負の値となる。
【0039】
図3は交流入力電流の半周期の波形を判定するためのクラスD判定波形を示す図である。交流入力電流の半周期の波形が、図3の太い実線W1の内側に、少なくとも半周期の95%に渡って入る特殊波形の交流入力電流を有する機器をクラスDと判定し、限度値が適用される。限度値は国際標準規格IEC61000−3−2による。実施の形態の入力電流波形も図3(b)に示すように、太い実線W1の内側に、少なくとも半周期の95%に渡って入っているので、特殊波形とみなされ、限度値が適用される。また、第1リアクトルL2と第2リアクトルL1とコンデンサC2とによる低域フィルタにより、高い周波数を抑制できるので、高調波を大幅に低減することができる。
【0040】
図4は第1の実施の形態に係るスイッチング電源装置の変形例の回路構成図である。図4に示すスイッチング電源装置は、図1に示すスイッチング電源装置を変形したものである。即ち、全波整流回路B1の正極側出力端1と第1リアクトルL2の第1巻線6aとの間にダイオードD2を接続し、全波整流回路B1の正極側出力端1と第1リアクトルL2の第2巻線6bとの間にダイオードD4を接続したことを特徴とする。
【0041】
以上の構成によれば、図1に示すスイッチング電源装置と回路的に等価であるので、図1に示すスイッチング電源装置の動作と同様に動作することから、同様な効果が得られる。また、センタータップダイオードD2,D4を使用することにより、部品点数の削減を図ることができる。
【0042】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態に係るスイッチング電源装置は、1つの主スイッチQ1により力率改善と直流−直流変換とを同時に行うと共に、リアクトルの補助巻線の代わりに、トランスに補助巻線を巻回したことを特徴とする。
【0043】
図5は第2の実施の形態に係るスイッチング電源装置の回路構成図である。図5において、全波整流回路B1の正極側出力端1と負極側出力端2との間には、トランスT1の3次巻線5cと第2リアクトルL3とダイオードD5(本発明の第1整流素子に対応)とコンデンサC3とからなる第1直列回路が接続されている。なお、第2リアクトルL3は、トランスT1のリーケージインダクタであってもよく、あるいはリーケージインダクタとは別のインダクタであってもよい。
【0044】
コンデンサC3には並列に、トランスT1の1次巻線5aと主スイッチQ1とからなる第2直列回路が接続されている。ダイオードD5のアノードと、トランスT1の1次巻線5aと主スイッチQ1との接続点との間には、ダイオードD4(本発明の第2整流素子に対応)と第1リアクトルL1とからなる第3直列回路が接続されている。整流平滑回路7及び制御回路10は、図1に示したものと同一である。
【0045】
次にこのように構成された第2の実施の形態に係るスイッチング電源装置の動作を説明する。なお、各部の信号のタイミングチャートは、図2に示すタイミングチャートと略同様であり、図2のId2がId5に対応し、図2のId4がId4に対応し、図2のVn3がトランスT1の3次巻線5cの電圧である点が異なる。
【0046】
まず、時刻tにおいて、主スイッチQ1をオンさせると、C3→5a→Q1→C3の閉ループが形成されて、コンデンサC3に蓄えられた電荷は、トランスT1の1次巻線5aを通って放電し、トランスT1の励磁インダクタンスに電力が蓄えられる。
【0047】
また、これと同時に、B1→5c→L3→D4→L1→Q1→B1の閉ループが形成される。このため、全波整流回路B1により整流された全波整流電圧は、トランスT1の3次巻線5cに加わり、この3次巻線5cに電圧に応じた電力が蓄えられる。また、ダイオードD4に流れる電流Id4は、時刻tから時刻tまで直線的に増加していく。
【0048】
次に、時刻tにおいて、主スイッチQ1がオフすると、ダイオードD4に流れる電流Id4は、直線的に減少していき時刻tでゼロとなる。また、このとき、トランスT1の1次巻線5aには逆起電力が発生し、この逆起電力によりトランスT1の2次巻線5bにも逆起電力が誘起されて、2次巻線5bからダイオードD1、コンデンサ及び負荷RLに電流が流れて負荷RLに電力が供給される。また、トランスT1の3次巻線5cに蓄えられた電力は、トランスT1の1次巻線5aを通り、2次巻線5b側から負荷RLに電力を供給すると共にコンデンサC3を充電する。
【0049】
以下、同様にして、時刻tから時刻t16までの半周期においても主スイッチQ1をオン/オフすると、ダイオードD4の電流Id4が増加/減少して、図2に示すような波形となる。
【0050】
また、主スイッチQ1がオン時又はオフ時でも(オフ時にはトランスT1の3次巻線5cの極性が異なる。)、トランスT1の3次巻線5cには巻線比に応じた電圧Vn3が発生する。この電圧Vn3と入力電圧Viとの和がコンデンサC3の電圧より高くなった場合(時刻t〜t)には、5c→L3→D5→C3と電流が流れて、コンデンサC3が充電される。これにより、コンデンサC3の電圧を常に入力電圧Viより高く維持することができる。このとき、時刻t〜tでは、ダイオードD5に流れる電流Id5は、図2に示す電流Id2の波形と同様になる。
【0051】
以上のことから、入力電流Iiは、ダイオードD4に流れる電流Id4とダイオードD5に流れる電流Id5との和になり、正弦波状電流のピーク付近にこぶ状のピーク電流を持った波形となり、高調波規制を満足する波形とすることができる。また、第2の実施の形態では、リアクトルが1巻線でよく、リングコアー等を使用した小型なリアクトルも使用可能である。
【0052】
(第3の実施の形態)
図6は第3の実施の形態に係るスイッチング電源装置の回路構成図である。図6に示すスイッチング電源装置は、図1に示すスイッチング電源装置の構成を有するとともに、さらに、部分共振を利用して主スイッチQ1のターンオン及びターンオフをZVS(ゼロ電圧スイッチング)動作させることにより、主スイッチQ1のスイッチングロス(電力損失)及びスイッチングノイズを低減させることを特徴とする。
【0053】
なお、図6の構成部分において、図1に示す構成部分と同一のものは同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。ここでは、新たに追加された構成部分についてのみ説明する。
【0054】
図6において、主スイッチQ1には、並列に第1リアクトルL2aの第3巻線6c(巻数n5)と第3リアクトルL4と逆流防止ダイオードD7と補助スイッチQ2とからなる第4直列回路が接続されている。第3リアクトルL4は、第1リアクトルL2aのリーケージインダクタであってもよく、あるいはリーケージインダクタとは別のインダクタであってもよい。更に、主スイッチQ1には並列に寄生コンデンサを含むスナバコンデンサC6及び寄生ダイオードを含むダイオードD6が接続されている。
【0055】
主スイッチQ1、補助スイッチQ2は、バイポーラトランジスタ、FET、IGBTのいずれかを用いることができる。なお、ダイオードD6は、主スイッチQ1の寄生ダイオードのみであってもよく、スナバコンデンサC6は、主スイッチQ1の寄生コンデンサのみであってもよい。
【0056】
制御回路10bは、主スイッチQ1をオンさせる前に補助スイッチQ2をオンさせ、主スイッチQ1をオフさせる前に補助スイッチQ2をオフさせるように制御する。制御回路10bは、主スイッチQ1をゼロ電圧スイッチングさせ、かつ、補助スイッチQ2をゼロ電流スイッチングさせるとともに、整流平滑回路7からの出力電圧を所定の電圧に制御して安定化させる。
【0057】
次にこのように構成された第3の実施の形態に係るスイッチング電源装置の動作を図6乃至図10を参照しながら説明する。図7は第3の実施の形態に係るスイッチング電源装置の動作を説明するための図である。図8は第3の実施の形態に係るスイッチング電源装置の各部における信号のタイミングチャートである。図9は第3の実施の形態に係るスイッチング電源装置の主スイッチ及び補助スイッチのターンオン時(時刻t付近でA部分)の各部における信号の詳細を示すタイミングチャートである。図10は第3の実施の形態に係るスイッチング電源装置の主スイッチ及び補助スイッチのターンオフ時(時刻t付近でB部分)の各部における信号の詳細を示すタイミングチャートである。
【0058】
なお、図8乃至図10では、主スイッチQ1の両端間の電圧Q1v、主スイッチQ1に流れる電流Q1i、交流電源Vac1から第1リアクトルL2aへ流れる入力電流Ii、トランスT1の1次巻線5aに流れる電流n1i、ダイオードD1に流れる電流D1i、補助スイッチQ2の両端間の電圧Q2v、補助スイッチQ2に流れる電流Q2i、主スイッチQ1をオン/オフ制御するQ1制御信号、補助スイッチQ2をオン/オフ制御するQ2制御信号を示している。
【0059】
また、図8に示すタイミングチャートの時刻は、図2に示すタイミングチャートの時刻に対応しており、図8では、図2に示すタイミングチャートの微小時間における各信号の波形を示している。
【0060】
まず、全波整流回路B1から電流が第1リアクトルL2aの第2巻線6b及びダイオードD4を介してスナバコンデンサC6に流れてスナバコンデンサC6が充電され、主スイッチQ1の電圧Q1vが所定の電圧となる(時刻t01付近)。
【0061】
そして、スナバコンデンサC6が充電されている状態で、時刻tにおいて、制御回路10aからのQ2制御信号により、補助スイッチQ2がオンとすると、図7に示す閉ループ▲1▼のように、C6→6c→L4→D7→Q2→C6のルートで電流Q2iが流れる。このため、図9に示すように、補助スイッチQ2の電圧Q2vは約ゼロとなり、補助スイッチQ2の電流Q2iは急激に上昇する。
【0062】
このとき、スナバコンデンサC6の電荷が放電するので、スナバコンデンサC6の電圧(図9の電圧Q1vに相当)は、第1リアクトルL2aの巻線間のリーケージインダクタである第3リアクトルL4とスナバコンデンサC6との電圧共振により、正弦波状に下降していき、時刻t22でゼロ電圧となる。また、このとき、スナバコンデンサC6に充電されていた電荷は、第1リアクトルL2aにより昇圧され、閉ループ▲3▼のルートを通り、コンデンサC2側に戻される。
【0063】
次に、時刻t22において、スナバコンデンサC6の電圧がゼロとなると、スナバコンデンサC6の電荷の一部が第3リアクトルL4に蓄積され、蓄積された電荷により、閉ループ▲2▼のように、L4(リーケージインダクタでも可)→D7→Q2→D6→6c→L4のルートで電流Q2iが流れ続ける。この電流Q2iは、時刻t22において最大値Imaxとなり、時刻t22から徐々に減少していき、時刻t24においてゼロとなる。
【0064】
また、このときも、閉ループ▲3▼のルートで電流が流れ、スナバコンデンサC6の電荷がコンデンサC2に帰還され続け、この間、主スイッチQ1の電圧もゼロボルトを維持する。このため、時刻t22から時刻t24の間の時刻t23に、即ち主スイッチQ1vの電圧がゼロで且つダイオードD6に電流が流れているとき(電流Q2iが流れているときに相当)に、主スイッチQ1をオンとすることによりゼロ電圧スイッチングを達成することができる。
【0065】
このように、スナバコンデンサC6と第3リアクトルL4により電圧共振させて、ゼロ電圧スイッチング動作させるので、主スイッチQ1の電圧波形は、緩やかな下降となることから、スイッチングノイズの発生も抑制できる。
【0066】
また、補助スイッチQ2は、第3リアクトルL4の電流がゼロのときオンされるため、オン後に電流がV/Lg(Lg:リーケージインダクタ)の傾きをもって、ゼロから上昇するため、ゼロ電流スイッチングとなる。
【0067】
次に、スナバコンデンサC6の電荷がコンデンサC2に全て帰還されると、閉ループ▲4▼のように、C2→5a→Q1→C2のルートで電流n1iが流れて、トランスT1の1次巻線5aにエネルギーを蓄積する。このとき、電流n1iは、時刻tまで徐々に直線的に増加していく。この電流n1iは1次巻線5aをドット側(●)からドット無し側に流れる正方向電流である。また、電流Q1iも同様に時刻tまで徐々に直線的に増加していく。
【0068】
また、このとき、同時に、閉ループ▲5▼のように、Vac1→L2a→D4→Q1→Vac1のルートで入力電流Iiが流れ、第1リアクトルL2aにエネルギーを蓄える。この入力電流Iiは図8に示すように、時刻tまで徐々に直線的に増加していく。
【0069】
また、閉ループ▲4▼で電流n1iが流れているときには、トランスT1の1次巻線5aのドット側が+極となるため、ダイオードD1のアノード側が−極となり、ダイオードD1の電流D1iは流れない。
【0070】
また、このとき、逆流防止ダイオードD7は、逆バイアスされ、補助スイッチQ2の電圧Q2v及び電流Q2iはゼロとなる。この状態で、時刻t26において、制御回路10aからのQ2制御信号により、補助スイッチQ2をオフさせる。即ち、補助スイッチQ2は、ゼロ電流スイッチングを達成することができる。
【0071】
次に、補助スイッチQ2をオフした後に、時刻tにおいて、制御回路10aからのQ1制御信号により、主スイッチQ1をオフさせると、▲4▼▲5▼の電流は、スナバコンデンサC6を通り、スナバコンデンサC6の電圧(図10のQ1vに相当)を上昇させる。このとき、スナバコンデンサC6の電圧は、ゼロからI/C6の傾きをもって上昇するため、ゼロ電圧スイッチングを達成することができる。
【0072】
次に、スナバコンデンサC6の電圧が上昇し、トランスT1の2次巻線5bの電圧が上昇して、トランスT1の2次巻線5bにダイオードD1を順バイアスさせる方向に電圧が発生し、2次巻線5bの電圧が出力電圧と等しくなった時点(時刻t27)から、閉ループ▲7▼のように、ダイオードD1に電流D1iが流れて電力を出力に供給する。
【0073】
また、第1リアクトルL2aのエネルギーは、閉ループ▲6▼のように、Vacl→L2a→5a→C2のルートで放出され、トランスTの2次巻線5bに電力を供給するとともにコンデンサC2を充電する。このとき、電流n1iは1次巻線5aをドット無し側からドット側(●)に流れる負方向電流である。
【0074】
即ち、トランスT1の1次電流n1iは、従来の方式の1/2の電流が正負(主スイッチQ1のオン時には正方向、主スイッチQ1がオフ時には負方向)に流れるため、電流実効値は、従来方式に比較して1/√2となる。このため、巻線の損失は、同一線径の電線を使用した場合には1/2となり、電線の断面積を1/2としても同一損失となるため、トランスの小型化が可能である。また、巻線の損失は、電力損失であるから、W=I ×Rにより、同一線径の電線を使用した場合には従来の線径の1/2となる。Rは負荷で、Iは負荷に流れる電流である。
【0075】
また、主スイッチQ1がオン時又はオフ時でも(オフ時には第1リアクトルL2aの極性が異なる。)、第1リアクトルL2aの第1巻線6aには巻線比に応じた電圧Vn3が発生する。この電圧Vn3と入力電圧Viとの和がコンデンサC2の電圧より高くなった場合には、6a→L1→D2→C2と電流が流れて、コンデンサC2が充電される。これにより、コンデンサC2の電圧を常に入力電圧Viより高く維持することができる。このため、入力電流Iiは、ダイオードD2に流れる電流Id2とダイオードD4に流れる電流Id4との和になり、正弦波状電流のピーク付近にこぶ状のピーク電流を持った波形となり、高調波規制を満足する波形とすることができる。
【0076】
このように第3の実施の形態に係るスイッチング電源装置によれば、主スイッチQ1に並列にスナバコンデンサC6及びダイオードD6を接続し、かつ、第1リアクトルL2aの第3巻線6c、第3リアクトルL4、逆流防止ダイオードD7及び補助スイッチQ2からなる第4直列回路を接続し、部分共振を利用して主スイッチQ1のターンオン時及びターンオフ時に主スイッチQ1をゼロ電圧スイッチングさせ、補助スイッチQ2のターンオン時及びターンオフ時に補助スイッチQ2をゼロ電流スイッチングさせることにより、主スイッチQ1及び補助スイッチQ2のスイッチングロス及びスイッチングノイズを低減することができる。特に、共振作用により、電圧の立ち上がり及び立ち下りも緩やかとなり、ノイズ発生を抑制し、スナバコンデンサの電荷を入力に帰還させるため、損失の増大もなく、高効率化できる。また、トランスT1の1次巻線5aの電流実効値を減少できることから、トランスを小型化できる。これによって、小型、高効率、低ノイズ化できるスイッチング電源装置を提供することができる。
【0077】
また、主スイッチQ1をオンさせる前に補助スイッチQ2をオンさせ、主スイッチQ1をオフさせる前に補助スイッチQ2をオフさせることにより、主スイッチQ1のターンオン時及びターンオフ時に主スイッチQ1をゼロ電圧スイッチングさせ、かつ、補助スイッチQ2のターンオン時及びターンオフ時に補助スイッチQ2をゼロ電流スイッチングさせることができる。
【0078】
また、第1リアクトルL2aに直列に接続された第3リアクトルL4により、補助スイッチQ2に流れる電流の傾きや時間を調整できるため、補助スイッチQ2のゼロ電流スイッチングが簡単に達成できる。また、補助スイッチQ2に流れる電流の傾きや時間は、第1リアクトルL2aの巻数やスナバコンデンサC6の値により調整することができ、この調整により主スイッチQ1のオンのタイミングを制御することができる。
【0079】
また、スナバコンデンサC6の電圧がゼロ電圧となった時t22から補助スイッチQ2に電流が流れている時t24までの期間中に主スイッチQ1をオンさせることにより、スナバコンデンサC6の電圧が上昇することなく、主スイッチQ1のゼロ電圧スイッチングを簡単に達成できる。
【0080】
(第4の実施の形態)
図11は第4の実施の形態に係るスイッチング電源装置の回路構成図である。図11に示すスイッチング電源装置は、図1に示すスイッチング電源装置の構成を有するとともに、さらに、部分共振を利用して主スイッチQ1のターンオン及びターンオフをZVS動作させることにより、主スイッチQ1のスイッチングロス及びスイッチングノイズを低減させることを特徴とする。
【0081】
なお、図11の構成部分において、図1に示す構成部分と同一のものは同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。ここでは、新たに追加された構成部分についてのみ説明する。
【0082】
図11において、コンデンサC2には、並列にトランスT1の3次巻線5cと第3リアクトルL4と逆流防止ダイオードD7と補助スイッチQ2とからなる第4直列回路が接続されている。第3リアクトルL4は、トランスT1のリーケージインダクタであってもよく、あるいはリーケージインダクタとは別のインダクタであってもよい。更に、主スイッチQ1には並列に寄生コンデンサを含むスナバコンデンサC6及び寄生ダイオードを含むダイオードD6が接続されている。制御回路10bは、図6で説明したものと同じである。
【0083】
次にこのように構成された第4の実施の形態に係るスイッチング電源装置の動作を図11及び図12を参照しながら説明する。
【0084】
まず、時刻tにおいて、補助スイッチQ2がオンすると、C2→5c→L4→D7→Q2のルートで電流Q2iが流れる。3次巻線5cに電流Q2iが流れると、2次巻線5bにダイオードD1を逆バイアスする方向の電圧が発生するので、ダイオードD1の電流D1iはゼロになる。
【0085】
また、3次巻線5cの電流に基づいて1次巻線5aにコンデンサC6を放電させる向きの電流が発生する。このため、スナバコンデンサC6が放電し、C6→5a→5c→L4→D7→Q2のルートでスナバコンデンサC6の放電電流が流れ、主スイッチQ1の電圧Q1vが徐々に低下し、時刻t22でゼロになる。なお、補助スイッチQ2に直列に接続されている3次巻線5cは、リーケージインダクタである第3リアクトルL4を有するので、スナバコンデンサC6の放電電流は、スナバコンデンサC6と第3リアクトルL4との共振により流れ、補助スイッチQ2の電流Q2iは時刻tから徐々に増大する。従って、補助スイッチQ2は時刻tでゼロ電流スイッチングされ、補助スイッチQ2のターンオン時のスイッチング損失は小さい。
【0086】
次に、時刻t22において、スナバコンデンサC6の放電が終了すると、第3リアクトルL4に蓄積されたエネルギの放出によって、L4→D7→Q2→D6→5a→5cのルートで電流Q2iが流れ、Q2iは時刻t22から徐々に減少する。また、ダイオードD6の電流も時刻t22から徐々に減少する。
【0087】
時刻t22で主スイッチQ1がオンされた時又はダイオードD6がオンになった時には、1次巻線5aにコンデンサC2の電圧が印加される。第3リアクトルL4の蓄積エネルギは、D7→Q2→C2から成るルートでも放出される。ダイオードD6は時刻t22〜t23にオン状態であるので、主スイッチQ1の電圧Q1vは時刻t22〜t23にほぼゼロに保持されている。従って、時刻t22〜t23に主スイッチQ1をオンすれば、主スイッチQ1のZVSが達成される。図12では主スイッチQ1のQ1制御信号が時刻t22で低レベルから高レベルに転換している。しかし、主スイッチQ1のターンオン制御のバラツキを考慮すれば、時刻t22〜t23の中間に主スイッチQ1のオン制御を開始するのが望ましい。
【0088】
次に、時刻t23〜t24において、B1→6b→D4→Q1から成る第1のルートと、C2→5a→Q1とから成る第2のルートとの両方によって主スイッチQ1の電流Q1iが流れる。時刻t23〜t24において、5c→L4→D7→Q2→C2のルートで電流Q2iが流れる。
【0089】
なお、時刻t23〜t24には、時刻t24〜tと同様に、1次巻線5aにコンデンサC2の電圧が印加され、整流平滑回路7のダイオードD1が非導通であるので、1次側のエネルギはトランスT1に蓄積される。
【0090】
次に、時刻t24〜tには、補助スイッチQ2の電流Q2iはゼロに保たれ、主スイッチQ1の電流Q1iが流れる。時刻t24〜tには、時刻t23〜t24と同様に、B1→6b→D4→Q1から成る第1のルートの力率改善及び波形改善用電流と、C2→5a→Q1とから成る第2のルートのDC−DC変換用の電流が流れる。第1のルートの電流はダイオードD4の電流Id4に等しい。時刻t24〜tには、2次側のダイオードD1の電流D1iがゼロに保たれている。このため、時刻t24〜tにはトランスT1にエネルギが蓄積される。
【0091】
時刻t24〜tには、1次巻線5aの電圧に基づいて3次巻線5cにコンデンサC2の電圧以上の電圧が誘起している。このため、ダイオードD7は非導通に保たれ、補助スイッチQ2の電圧Q2vはゼロに保たれ、補助スイッチQ2の電流Q2iはゼロに保たれる。
【0092】
従って、時刻t24〜t内の任意の時点で補助スイッチQ2をターンオフすると、ZVS及びZCSが達成される。この実施形態では補助スイッチQ2のオン制御の終了時点が主スイッチQ1のオン制御の終了時点と同一の時刻tとされている。従って、補助スイッチQ2のZVS及びZCSの条件が満足され、補助スイッチQ2のターンオフ時のスイッチング損失は小さい。前述したように、時刻t24〜t内であれば、補助スイッチQ2のZVS及びZCSが可能であるので、図12で点線で示すように補助スイッチQ2のターンオフ時点を時刻t24に移動すること、又は時刻t24〜t間の任意の時点に移動することができる。
【0093】
次に、時刻tで主スイッチQ1がターンオフされると、主スイッチQ1の電流Q1iはゼロになり、且つスナバコンデンサC6が充電され、主スイッチQ1の電圧Q1vが図12に示すような傾斜を有して徐々に高くなる。従って、主スイッチQ1はZVSでターンオフされる。なお、スナバコンデンサC6の充電電流は、B1→6b→D4→C6の第1のルートと、C2→5a→C6の第2のルートとで流れる。
【0094】
時刻t27〜tには、トランスT1の蓄積エネルギの放出によって2次巻線5bにダイオードD1を順方向バイアスさせる方向の電圧が発生し、このダイオードD1に電流D1iが流れる。また、B1→6b→D4→5a→C2のルートでコンデンサC2の充電電流が流れる。時刻tで再び補助スイッチQ2がオンされると、時刻t〜tと同様な動作の繰返しが生じる。
【0095】
このように第4の実施の形態に係るスイッチング電源装置によれば、主スイッチQ1のターンオン時とターンオフ時とのいずれにおいてもZVSとなるので、主スイッチQ1のスイッチング損失を低減させ、スイッチング電源装置の効率を向上させることができる。
【0096】
また、補助スイッチQ2はターンオン時にZCSされ、ターンオフ時にZVS及びZCSされる。この結果、補助スイッチQ2のスイッチング損失を低く抑えることができる。
【0097】
また、主スイッチQ1がオン時又はオフ時でも(オフ時には第1リアクトルL2の極性が異なる。)、第1リアクトルL2の第1巻線6aには巻線比に応じた電圧Vn3が発生する。この電圧Vn3と入力電圧Viとの和がコンデンサC2の電圧より高くなった場合には、6a→L1→D2→C2と電流が流れて、コンデンサC2が充電される。これにより、コンデンサC2の電圧を常に入力電圧Viより高く維持することができる。このため、入力電流Iiは、ダイオードD2に流れる電流Id2とダイオードD4に流れる電流Id4との和になり、正弦波状電流のピーク付近にこぶ状のピーク電流を持った波形となり、高調波規制を満足する波形とすることができる。
【0098】
(第5の実施の形態)
図13は第5の実施の形態に係るスイッチング電源装置の回路構成図である。図13に示す第5の実施の形態に係るスイッチング電源装置は、図5に示す第2の実施の形態に係るスイッチング電源装置の構成を有するとともに、図6に示すZVS及びZCS回路を有し、部分共振を利用して主スイッチQ1のターンオン及びターンオフをZVS動作させることにより、主スイッチQ1のスイッチングロス及びスイッチングノイズを低減させることを特徴とする。
【0099】
なお、図13の構成部分において、図5に示す構成部分と同一のものは同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。ここでは、新たに追加された構成部分についてのみ説明する。
【0100】
図13において、主スイッチQ1には、並列に第1リアクトルL1aの第2巻線7bと第3リアクトルL4と逆流防止ダイオードD7と補助スイッチQ2とからなる第4直列回路が接続されている。第3リアクトルL4は、第1リアクトルL1aのリーケージインダクタであってもよく、あるいはリーケージインダクタとは別のインダクタであってもよい。更に、主スイッチQ1には並列に寄生コンデンサを含むスナバコンデンサC6及び寄生ダイオードを含むダイオードD6が接続されている。制御回路10bは、図6で説明したものと同じである。
【0101】
このように第5の実施の形態に係るスイッチング電源装置によれば、図5に示す第2の実施の形態に係るスイッチング電源装置の構成と、図6に示すZVS及びZCS回路とを組合わせたものであるので、その動作は、図5に示す第2の実施の形態で説明した動作と、図6に示すZVS及びZCSの動作(図8乃至図10のタイミングチャート)とからなる。
【0102】
従って、図5に示す第2の実施の形態に係るスイッチング電源装置の効果が得られるとともに、部分共振を利用して主スイッチQ1のターンオン及びターンオフをZVS動作させることにより、主スイッチQ1のスイッチングロス及びスイッチングノイズを低減させることができる。
【0103】
(第6の実施の形態)
図14は第6の実施の形態に係るスイッチング電源装置の回路構成図である。図14に示す第6の実施の形態に係るスイッチング電源装置は、図5に示す第2の実施の形態に係るスイッチング電源装置の構成を有するとともに、図11に示すZVS及びZCS回路を有し、部分共振を利用して主スイッチQ1のターンオン及びターンオフをZVS動作させることにより、主スイッチQ1のスイッチングロス及びスイッチングノイズを低減させることを特徴とする。
【0104】
なお、図14の構成部分において、図5に示す構成部分と同一のものは同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。ここでは、新たに追加された構成部分についてのみ説明する。
【0105】
図14において、コンデンサC3には、並列にトランスT1の4次巻線5dと第3リアクトルL4と逆流防止ダイオードD7と補助スイッチQ2とからなる第4直列回路が接続されている。第3リアクトルL4は、トランスT1のリーケージインダクタであってもよく、あるいはリーケージインダクタとは別のインダクタであってもよい。更に、主スイッチQ1には並列に寄生コンデンサを含むスナバコンデンサC6及び寄生ダイオードを含むダイオードD6が接続されている。制御回路10aは、図6で説明したものと同じである。
【0106】
このように第6の実施の形態に係るスイッチング電源装置によれば、図5に示す第2の実施の形態に係るスイッチング電源装置の構成と、図11に示すZVS及びZCS回路とを組合わせたものであるので、その動作は、図5に示す第2の実施の形態で説明した動作と、図11に示すZVS及びZCSの動作(図12のタイミングチャート)とからなる。
【0107】
従って、図5に示す第2の実施の形態に係るスイッチング電源装置の効果が得られるとともに、部分共振を利用して主スイッチQ1のターンオン及びターンオフをZVS動作させることにより、主スイッチQ1のスイッチングロス及びスイッチングノイズを低減させることができる。
【0108】
(第7の実施の形態)
次に第7の実施の形態に係るスイッチング電源装置を説明する。第1乃至第6の実施の形態に係るスイッチング電源装置では、スイッチとして、ノーマリオフタイプのMOS FET等を用いた。このノーマリオフタイプのスイッチは、電源がオフ時にオフ状態となるスイッチである。
【0109】
一方、SIT(static induction transistor、静電誘導トランジスタ)等のノーマリオンタイプのスイッチは、電源がオフ時にオン状態となるスイッチである。このノーマリオンタイプのスイッチは、スイッチングスピードが速く、オン抵抗も低くスイッチング電源等の電力変換装置に使用した場合、理想的な素子であり、スイッチング損失を減少させ高効率が期待できる。
【0110】
しかし、ノーマリオンタイプのスイッチング素子にあっては、電源をオンすると、スイッチがオン状態であるため、スイッチが短絡する。このため、ノーマリオンタイプのスイッチを起動できず、特殊な用途以外には使用できない。
【0111】
そこで、第7の実施の形態に係るスイッチング電源装置は、第1の実施の形態に係るスイッチング電源装置の構成を有すると共に、主スイッチQ1にノーマリオンタイプのスイッチを使用するために、交流電源オン時に、コンデンサの突入電流を軽減する目的で挿入されている突入電流制限抵抗の電圧降下による電圧を、ノーマリオンタイプのスイッチの逆バイアス電圧に使用し、電源オン時の問題をなくす構成を追加したことを特徴とする。
【0112】
図15は第7の実施の形態に係るスイッチング電源装置の回路構成図である。図15に示すスイッチング電源装置は、図1に示す第1の実施の形態に係るスイッチング電源装置の構成を有すると共に、主スイッチQ1nをSIT等のノーマリオンタイプのスイッチとし、この主スイッチQ1nをオン/オフ制御するノーマリオン回路を有していることを特徴とする。
【0113】
このノーマリオン回路は以下のように構成される。全波整流回路B1の負極側出力端2と、主スイッチQ1nとコンデンサC2との接続点との間には、突入電流制限抵抗R1が接続されている。主スイッチQ1nは、SIT等のノーマリオンタイプのスイッチであり、制御回路11のPWM制御によりオン/オフする。
【0114】
また、突入電流制限抵抗R1の両端にはスイッチS1が接続されている。このスイッチS1は、例えばノーマリオフタイプのMOSFET,BJT(バイポーラ接合トランジスタ)等の半導体スイッチであり、制御回路11からの短絡信号によりオン制御される。
【0115】
突入電流制限抵抗R1の両端には、コンデンサC12と抵抗R2とダイオードD12とからなる起動電源部12が接続されている。この起動電源部12は、突入電流制限抵抗R1の両端に発生する電圧を取り出し、コンデンサC12の両端電圧を主スイッチQ1nのゲートへの逆バイアス電圧として使用するために、制御回路11に出力する。また、コンデンサC2に充電された充電電圧を制御回路11に供給する。
【0116】
制御回路11は、交流電源Vac1をオンしたときに、コンデンサC12から供給された電圧により起動し、制御信号として端子bから主スイッチQ1nのゲートに逆バイアス電圧を出力し、主スイッチQ1nをオフさせる。この制御信号は、例えば、−15Vと0Vとのパルス信号からなり、−15Vの電圧により主スイッチQ1nがオフし、0Vの電圧により主スイッチQ1nがオンする。
【0117】
制御回路11は、コンデンサC2の充電が完了した後、端子bから制御信号として0Vと−15Vとのパルス信号を主スイッチQ1nのゲートに出力し、主スイッチQ1nをスイッチング動作させる。制御回路11は、主スイッチQ1nをスイッチング動作させた後、所定時間経過後にスイッチS1のゲートに短絡信号を出力し、スイッチS1をオンさせる。
【0118】
また、トランスT1に設けられた補助巻線5c(巻数n3)の一端は、主スイッチQ1nの一端とコンデンサC13の一端と制御回路11とに接続され、補助巻線5cの他端は、ダイオードD13のカソードに接続され、ダイオードD13のアノードはコンデンサC13の他端及び制御回路11の端子cに接続されている。補助巻線5cとダイオードD13とコンデンサC13とは通常動作電源部13を構成し、この通常動作電源部13は、補助巻線5cで発生した電圧をダイオードD13及びコンデンサC13を介して制御回路11に供給する。
【0119】
次にこのように構成された第7の実施の形態に係るスイッチング電源装置の動作を図15乃至図17を参照しながら説明する。
【0120】
なお、図17において、Vac1は、交流電源Vac1の交流電圧を示し、入力電流は、交流電源Vac1に流れる電流を示し、R1電圧は、突入電流制限抵抗R1に発生する電圧を示し、C2電圧は、コンデンサC2の電圧を示し、C12電圧は、コンデンサC12の電圧を示し、出力電圧は、コンデンサC1の電圧を示し、制御信号は、制御回路11の端子bから主スイッチQ1nのゲートへ出力される信号を示す。
【0121】
まず、時刻tにおいて、交流電源Vac1を印加(オン)すると、交流電源Vac1の交流電圧は全波整流回路B1で全波整流される。このとき、ノーマリオンタイプの主スイッチQ1nは、オン状態であり、スイッチS1は、オフ状態である。このため、全波整流回路B1からの電圧は、コンデンサC2を介して突入電流制限抵抗R1に印加される(図16中の▲1▼)。
【0122】
この突入電流制限抵抗R1に発生した電圧は、ダイオードD12、抵抗R2を介してコンデンサC12に蓄えられる(図16中の▲2▼)。ここで、コンデンサC12の端子f側が例えばゼロ電位となり、コンデンサC12の端子g側が例えば負電位となる。このため、コンデンサC12の電圧は、図17に示すように、負電圧(逆バイアス電圧)となる。このコンデンサC12の負電圧が端子aを介して制御回路11に供給される。
【0123】
そして、コンデンサC12の電圧が、主スイッチQ1nのスレッシホールド電圧THLになった時点(図17の時刻t)で、制御回路11は、端子bから−15Vの制御信号を主スイッチQ1nのゲートに出力する(図16中の▲3▼)。このため、主スイッチQ1nは、オフ状態となる。
【0124】
すると、全波整流回路B1からの電圧により、コンデンサC2は、充電されて(図16中の▲4▼)、コンデンサC2の電圧が上昇していき、コンデンサC2の充電が完了する。
【0125】
次に、時刻tにおいて、制御回路11は、スイッチング動作を開始させる。始めに、端子bから0Vの制御信号を主スイッチQ1nのゲートに出力する(図16中の▲5▼)。このため、主スイッチQ1nは、オン状態となるため、コンデンサC2→5a→Q1nと電流が流れる(図16中の▲6▼)。このため、トランスT1の1次巻線5aにエネルギーが蓄えられる。
【0126】
また、全波整流回路B1の正極側出力端1から6b→D4→Q1nに電流が流れる(図16中の▲7▼)。また、トランスT1の1次巻線5aと電磁結合している補助巻線5cにも電圧が発生し、発生した電圧は、ダイオードD13及びコンデンサC13を介して制御回路11に供給される(図16中の▲8▼)。このため、制御回路11が動作を継続することができるので、主スイッチQ1nのスイッチング動作を継続して行うことができる。
【0127】
次に、時刻tにおいて、端子bから−15Vの制御信号を主スイッチQ1nのゲートに出力する。このため、時刻tに主スイッチQ1nがオフして、1次巻線5aに発生した逆起電力により、2次巻線5bからダイオードD1を介して負荷RL及びコンデンサC1に電流が流れて、負荷RLに出力電圧が発生する。また、時刻tに制御回路11から短絡信号をスイッチS1に出力すると、スイッチS1がオンして(図16中の▲9▼)、突入電流制限抵抗R1の両端が短絡される。このため、突入電流制限抵抗R1の損失を減ずることができる。
【0128】
なお、時刻tは、交流電源Vac1をオンしたとき(時刻t)からの経過時間として設定され、例えばコンデンサC2と突入電流制限抵抗R1との時定数(τ=C2・R1)の約5倍以上の時間に設定される。以後、主スイッチQ1nはオン/オフによるスイッチング動作を繰り返す。主スイッチQ1nがスイッチング動作を開始した後には、主スイッチQ1nは、図1に示す第1の実施の形態に係るスイッチング電源装置のスイッチQ1の動作、即ち、図2に示すタイミングチャートに従った動作と同様に動作する。
【0129】
このように第7の実施の形態に係るスイッチング電源装置によれば、制御回路11は、交流電源Vac1がオンされたときに突入電流制限抵抗R1に発生した電圧により主スイッチQ1nをオフさせ、コンデンサC2が充電された後、主スイッチQ1nをオン/オフさせるスイッチング動作を開始させるので、電源オン時における問題もなくなる。従って、ノーマリオンタイプの半導体スイッチが使用可能となり、損失の少ない、即ち、高効率なスイッチング電源装置を提供することができる。また、第1の実施の形態の効果が得られる。
【0130】
(第8の実施の形態)
図18は第8の実施の形態に係るスイッチング電源装置の回路構成図である。図18に示すスイッチング電源装置は、図6に示す第3の実施の形態に係るスイッチング電源装置の構成を有すると共に、主スイッチQ1nをSIT等のノーマリオンタイプのスイッチとし、この主スイッチQ1nをオン/オフ制御する図15に示すようなノーマリオン回路を有していることを特徴とする。なお、補助スイッチQ2は、ノーマリオフタイプのスイッチである。制御回路11aは、制御回路11の機能を有するとともに、主スイッチQ1n及び補助スイッチQ2をオン/オフ制御する。
【0131】
図19は第8の実施の形態に係るスイッチング電源装置の動作を説明するための図である。図19の閉ループ▲1▼〜▲9▼は、図16の閉ループ▲1▼〜▲9▼に対応しており、図19に示す第8の実施の形態に係るスイッチング電源装置の動作も、図16に示す第7の実施の形態に係るスイッチング電源装置の動作と同様であるので、ここではその詳細な動作は省略する。
【0132】
なお、主スイッチQ1nがスイッチング動作を開始した後には、主スイッチQ1n及び補助スイッチQ2は、図6に示す第3の実施の形態に係るスイッチング電源装置の主スイッチQ1,補助スイッチQ2の動作と同様に動作する。
【0133】
この第8の実施の形態に係るスイッチング電源装置によれば、図6に示す第3の実施の形態に係るスイッチング電源装置の効果が得られると共に、ノーマリオンタイプの半導体スイッチが使用可能となり、損失の少ない、即ち、高効率なスイッチング電源装置を提供することができる。
【0134】
なお、上述した実施の形態では、第1の実施の形態及び第3の実施の形態に係るスイッチング電源装置にノーマリオン回路を設けたが、これに限定されることなく、ノーマリオン回路は、第2の実施の形態、第4の実施の形態乃至第6の実施の形態に係るスイッチング電源装置のいずれかに設けても良いのは勿論である。
【0135】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、交流電源に流れる交流電流は、第1整流素子に流れる電流と第2整流素子に流れる電流との和となり、正弦波状電流のピーク付近にこぶ状のピーク電流を持った波形となり、高調波規制を満足する波形とすることができる。従って、1つのコンバータで高調波規制に対応でき、小型化、低ノイズ化、高効率化を図るスイッチング電源装置を提供することができる。
【0136】
また、主スイッチのターンオン時及びターンオフ時に主スイッチをゼロ電圧スイッチングさせ、かつ、補助スイッチのターンオン時及びターンオフ時に補助スイッチをゼロ電流スイッチングさせるので、主スイッチ及び補助スイッチのスイッチングロス及びスイッチングノイズを低減することができる。これにより、低ノイズ化、高効率化を図るスイッチング電源装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態に係るスイッチング電源装置の回路構成図である。
【図2】第1の実施の形態に係るスイッチング電源装置の各部における信号のタイミングチャートである。
【図3】交流入力電流の半周期の波形を判定するためのクラスD判定波形を示す図である。
【図4】第1の実施の形態に係るスイッチング電源装置の変形例の回路構成図である。
【図5】第2の実施の形態に係るスイッチング電源装置の回路構成図である。
【図6】第3の実施の形態に係るスイッチング電源装置の回路構成図である。
【図7】第3の実施の形態に係るスイッチング電源装置の動作を説明するための図である。
【図8】第3の実施の形態に係るスイッチング電源装置の各部における信号のタイミングチャートである。
【図9】第3の実施の形態に係るスイッチング電源装置の主スイッチ及び補助スイッチのターンオン時の各部における信号の詳細を示すタイミングチャートである。
【図10】第3の実施の形態に係るスイッチング電源装置の主スイッチ及び補助スイッチのターンオフ時の各部における信号の詳細を示すタイミングチャートである。
【図11】第4の実施の形態に係るスイッチング電源装置の回路構成図である。
【図12】第4の実施の形態に係るスイッチング電源装置の各部における信号のタイミングチャートである。
【図13】第5の実施の形態に係るスイッチング電源装置の回路構成図である。
【図14】第6の実施の形態に係るスイッチング電源装置の回路構成図である。
【図15】第7の実施の形態に係るスイッチング電源装置の回路構成図である。
【図16】第7の実施の形態に係るスイッチング電源装置の動作を説明するための図である。
【図17】第7の実施の形態に係るスイッチング電源装置の各部における信号のタイミングチャートである。
【図18】第8の実施の形態に係るスイッチング電源装置の回路構成図である。
【図19】第8の実施の形態に係るスイッチング電源装置の動作を説明するための図である。
【図20】従来の力率改善回路とコンバータ回路との2コンバータ方式のスイッチング電源装置の回路構成図である。
【図21】従来のスイッチング電源装置内のコンバータ回路の各部における信号のタイミングチャートである。
【図22】従来のスイッチング電源装置内のコンバータ回路における主スイッチのターンオフ時のリンギング波形を示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
Vac1 交流電源
B1 全波整流回路
10,10a,10b,11,11a,101,102 制御回路
Q1,Q1n 主スイッチ
Q2 補助スイッチ
RL 負荷
C6 スナバコンデンサ
C1〜C3 コンデンサ
S1 スイッチ
T1 トランス
5a 1次巻線
5b 2次巻線
5c 3次巻線
7 整流平滑回路
12 起動電源部
13 通常動作電源部
L1〜L4 リアクトル
D1〜D7 ダイオード

Claims (15)

  1. 交流を入力し、力率を改善させるとともに直流を出力するスイッチング電源装置であって、
    交流電源に接続して交流電圧を整流する整流回路と、
    第1巻線と第2巻線とを有する第1リアクトルと、
    前記整流回路の正極側出力端と負極側出力端との間に接続され、前記第1リアクトルの第1巻線と第2リアクトルと第1整流素子とコンデンサとが直列に接続された第1直列回路と、
    前記コンデンサに並列に接続され、トランスの1次巻線と主スイッチとが直列に接続された第2直列回路と、
    前記整流回路の正極側出力端と、前記トランスの1次巻線と前記主スイッチとの接続点との間に接続され、前記第1リアクトルの第2巻線と第2整流素子とが直列に接続された第3直列回路と、
    前記トランスの2次巻線に接続され、整流素子及び平滑素子を有する整流平滑回路と、
    前記主スイッチをオン/オフ制御することにより前記整流平滑回路からの出力電圧を所定電圧に制御する制御回路と、
    を有することを特徴とするスイッチング電源装置。
  2. 交流を入力し、力率を改善させるとともに直流を出力するスイッチング電源装置であって、
    交流電源に接続して交流電圧を整流する整流回路と、
    前記整流回路の正極側出力端と負極側出力端との間に接続され、トランスの3次巻線と第2リアクトルと第1整流素子とコンデンサとが直列に接続された第1直列回路と、
    前記コンデンサに並列に接続され、前記トランスの1次巻線と主スイッチとが直列に接続された第2直列回路と、
    前記第1整流素子の入力端と前記トランスの1次巻線と前記主スイッチとの接続点との間に接続され、第2整流素子と第1リアクトルとが直列に接続された第3直列回路と、
    前記トランスの2次巻線に接続され、整流素子及び平滑素子を有する整流平滑回路と、
    前記主スイッチをオン/オフ制御することにより前記整流平滑回路からの出力電圧を所定電圧に制御する制御回路と、
    を有することを特徴とするスイッチング電源装置。
  3. 前記第2リアクトルは、前記トランスのリーケージインダクタからなることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のスイッチング電源装置。
  4. 前記第1リアクトルは第3巻線をさらに備え、
    前記主スイッチに並列に接続され、前記第1リアクトルの第3巻線と第3リアクトルと逆流防止ダイオードと補助スイッチとが直列に接続された第4直列回路と、
    前記主スイッチに並列に接続されたスナバコンデンサ及びダイオードとを有し、
    前記制御回路は、前記主スイッチのターンオン時及びターンオフ時に前記主スイッチをゼロ電圧スイッチングさせ、かつ、前記補助スイッチのターンオン時及びターンオフ時に前記補助スイッチをゼロ電流スイッチングさせることを特徴とする請求項1記載のスイッチング電源装置。
  5. 前記トランスは3次巻線をさらに備え、
    前記コンデンサに並列に接続され、前記トランスの3次巻線と第3リアクトルと逆流防止ダイオードと補助スイッチとが直列に接続された第4直列回路と、
    前記主スイッチに並列に接続されたスナバコンデンサ及びダイオードとを有し、
    前記制御回路は、前記主スイッチのターンオン時及びターンオフ時に前記主スイッチをゼロ電圧スイッチングさせ、かつ、前記補助スイッチのターンオン時及びターンオフ時に前記補助スイッチをゼロ電流スイッチングさせることを特徴とする請求項1記載のスイッチング電源装置。
  6. 前記第1リアクトルは第2巻線をさらに備え、
    前記主スイッチに並列に接続され、前記第1リアクトルの第2巻線と第3リアクトルと逆流防止ダイオードと補助スイッチとが直列に接続された第4直列回路と、
    前記主スイッチに並列に接続されたスナバコンデンサ及びダイオードとを有し、
    前記制御回路は、前記主スイッチのターンオン時及びターンオフ時に前記主スイッチをゼロ電圧スイッチングさせ、かつ、前記補助スイッチのターンオン時及びターンオフ時に前記補助スイッチをゼロ電流スイッチングさせることを特徴とする請求項2記載のスイッチング電源装置。
  7. 前記トランスは4次巻線をさらに備え、
    前記コンデンサに並列に接続され、前記トランスの4次巻線と第3リアクトルと逆流防止ダイオードと補助スイッチとが直列に接続された第4直列回路と、
    前記主スイッチに並列に接続されたスナバコンデンサ及びダイオードとを有し、
    前記制御回路は、前記主スイッチのターンオン時及びターンオフ時に前記主スイッチをゼロ電圧スイッチングさせ、かつ、前記補助スイッチのターンオン時及びターンオフ時に前記補助スイッチをゼロ電流スイッチングさせることを特徴とする請求項2記載のスイッチング電源装置。
  8. 前記第3リアクトルは、前記第1リアクトルのリーケージインダクタからなることを特徴とする請求項4又は請求項6記載のスイッチング電源装置。
  9. 前記第3リアクトルは、前記トランスのリーケージインダクタからなることを特徴とする請求項5又は請求項7記載のスイッチング電源装置。
  10. 前記制御回路は、前記主スイッチをオンさせる前に前記補助スイッチをオンさせ、前記主スイッチをオフさせる前に前記補助スイッチをオフさせることを特徴とする請求項4乃至請求項7のいずれか1項記載のスイッチング電源装置。
  11. 前記制御回路は、前記主スイッチのターンオン時に、前記スナバコンデンサの電圧が該スナバコンデンサと前記第1リアクトルのリーケージインダクタンスとの電圧共振によりゼロ電圧となった時から前記補助スイッチに電流が流れている時までの期間中に前記主スイッチをオンさせることを特徴とする請求項8記載のスイッチング電源装置。
  12. 前記制御回路は、前記主スイッチのターンオン時に、前記スナバコンデンサの電圧が該スナバコンデンサと前記トランスのリーケージインダクタンスとの電圧共振によりゼロ電圧となった時から前記補助スイッチに電流が流れている時までの期間中に前記主スイッチをオンさせることを特徴とする請求項9記載のスイッチング電源装置。
  13. 前記整流回路と前記コンデンサとの間に接続され、前記交流電源がオンされたときに該コンデンサの突入電流を軽減する突入電流制限抵抗を有し、
    前記主スイッチは、ノーマリオンタイプのスイッチからなり、
    前記制御回路は、前記交流電源がオンされたときに前記突入電流制限抵抗に発生した電圧により前記主スイッチをオフさせ、前記コンデンサが充電された後、前記主スイッチをオン/オフさせるスイッチング動作を開始させることを特徴とする請求項1又は請求項4記載のスイッチング電源装置。
  14. 前記トランスは補助巻線をさらに備え、該トランスの補助巻線に発生する電圧を前記制御回路に供給する通常動作電源部を有することを特徴とする請求項13記載のスイッチング電源装置。
  15. 前記突入電流制限抵抗に並列に接続された半導体スイッチを有し、
    前記制御回路は、前記主スイッチのスイッチング動作を開始させた後、前記半導体スイッチをオンさせることを特徴とする請求項13又は請求項14記載のスイッチング電源装置。
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