JP2004047891A - 電子部品の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ウエハの分割時に斜め割れ等が生じるのを防止できると共に、電極層の引出し部と外部電極との接続性を確保して生産性、信頼性を高める。
【解決手段】アルミナ基板21の表面に電極層22,24,26,28と絶縁層23,25,27を交互に積層し、最上層の電極層28を絶縁保護層29によって覆い、ウエハ30を形成する。そして、ウエハ30の表面には、絶縁保護層29の厚みT2よりも小さい深さ寸法D1を有する表面側ブレイク溝31を形成する。また、ウエハ30の裏面には、アルミナ基板21の厚さ寸法T1に対して30%〜50%の深さ寸法D1をもった一次分割用ブレイク溝32Aと厚さ寸法T1に対して20%〜35%の深さ寸法D2をもった二次分割用ブレイク溝32Bとからなる裏面側ブレイク溝32を形成する。これにより、ウエハ30の分割時に斜め割れ等が生じるのを防止することができる。
【選択図】 図7
【解決手段】アルミナ基板21の表面に電極層22,24,26,28と絶縁層23,25,27を交互に積層し、最上層の電極層28を絶縁保護層29によって覆い、ウエハ30を形成する。そして、ウエハ30の表面には、絶縁保護層29の厚みT2よりも小さい深さ寸法D1を有する表面側ブレイク溝31を形成する。また、ウエハ30の裏面には、アルミナ基板21の厚さ寸法T1に対して30%〜50%の深さ寸法D1をもった一次分割用ブレイク溝32Aと厚さ寸法T1に対して20%〜35%の深さ寸法D2をもった二次分割用ブレイク溝32Bとからなる裏面側ブレイク溝32を形成する。これにより、ウエハ30の分割時に斜め割れ等が生じるのを防止することができる。
【選択図】 図7
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば1枚のウエハから複数の電子部品を分離する工程を含む電子部品の製造方法に関し、特に、電子部品として携帯電話等の移動体通信機器に使用される小型の高周波用チップコイル等の製造に用いて好適な電子部品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、電子部品として例えばチップコイル、コンデンサ、抵抗、複数のストリップ線路が多層に積層された素子等を製造する場合、1枚のウエハに多数の電子部品を形成した後、ウエハに形成した格子状のブレイク溝に沿って分割し、これら複数の電子部品を分離する方法が知られている。この場合、ウエハは例えばセラミックス等からなる基板の表面に電極層等を積層することによって形成している。また、格子状のブレイク溝は、互いに平行な一方向に一次分割した後、該一次分割と直交する方向に二次分割している。
【0003】
そして、第1の従来技術として、ウエハ(基板)の裏面に格子状のブレイク溝を形成すると共に、一次分割時に二次分割する方向にウエハが割れるのを防止するために、該ブレイク溝のうち一次分割方向のブレイク溝の深さ寸法を二次分割方向のブレイク溝の深さ寸法よりも大きな値に設定する構成が知られている(特開平10−270813号公報、特開2000−286511号公報等)。
【0004】
また、第2の従来技術として、基板の表面に抵抗膜と保護膜とを形成すると共に、該基板の表面に格子状のブレイク溝を形成し、基板から分離した電子部品(抵抗器)をマザー基板に実装したときに半田フィレットを確実に形成するために、ブレイク溝の開口幅および深さ寸法を0.1mm〜0.3mmに設定する構成が知られている(特開平11−329802号等)。
【0005】
また、第3の従来技術として、ウエハの裏面にダイシングブレードを用いて格子状のブレイク溝を形成すると共に、ブレイク溝の深さ寸法を基板の厚さ寸法の10%〜30%の範囲内に設定する構成が知られている(特開平11−3833号公報等)。これにより、第3の従来技術では、ウエハをブレイク溝に沿って分割するときに、ウエハの厚さ方向に対して斜めに傾斜した状態で分割される(斜め割れ)のを防止できると共に、必要以上にブレイク溝が割れるのを防止している。
【0006】
さらに、第4の従来技術として、基板の表面、裏面に電気配線用導体を含んだ絶縁体層を設けた複合基板(ウエハ)を形成し、該複合基板の表面、裏面のいずれにも絶縁体層の75%〜95%の深さ寸法をもったブレイク溝を形成する構成も知られている(実開平5−13084号公報等)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した第1ないし第3の従来技術では、ウエハ(基板)の片面のみにブレイク溝を形成している。このため、第1ないし第3の従来技術では、ウエハを分割するときに、斜め割れが生じ易い傾向がある。
【0008】
特に、近年の高周波用チップコイルでは、インダクタンス値を高めるために電極層と絶縁層の総数を増加させる傾向があるのに対し、チップコイル全体の厚み寸法は規格等によって定められている。このため、ウエハのうち基板部分を従来技術による0.6mm程度から0.1mm〜0.3mm程度まで薄くする必要がある。この場合、基板の厚さ寸法が小さくなるから、ウエハ全体の厚さ寸法に対して基板に設けたブレイク溝の深さ寸法も小さくなる傾向があり、従来技術のものに比べて電極層と絶縁層とが積層された部分に斜め割れが発生し易い。
【0009】
また、高周波用チップコイルは、その外形寸法が例えば0.6mm×0.3mmまたは1.0mm×0.5mm程度のように非常に小さい値となっている。これに伴い、電極層のうち各チップコイルのコイル電極はチップコイル端面との間にコイル電極の露出を防止するためのサイドギャップが形成されているものの、該サイドギャップが例えば0.02mm〜0.03mm程度の小さい値に設定されている。このため、僅かな斜め割れが生じた場合でもコイル電極の露出を生じ易い。また、外形寸法の寸法公差も±0.05mm程度の小さい値になるため、斜め割れによって寸法公差の許容範囲内に収まらない傾向があり、生産性が低下するという問題がある。
【0010】
一方、第4の従来技術では、複合基板(ウエハ)の両面にブレイク溝を設ける構成が開示されているものの、ブレイク溝の深さ寸法は複合基板の両面に形成された絶縁体層に対して75%〜95%程度の大きな値に設定されている。このため、ブレイク溝を加工することによって、絶縁体層内に設けられた配線用導体のうち外部電極と接続するためにブレイク溝近傍に延びた引出し部がブレイク溝内に露出することがある。このとき、例えばブレイク溝の加工にレーザを用いた場合には、配線用導体の引出し部がレーザによって溶融し、この溶融物によって引出し部と外部電極との接続性が低下して断線不良が発生するという問題がある。
【0011】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、ウエハの分割時に斜め割れ等が生じるのを防止できると共に、電極層の引出し部と外部電極との接続性を確保して生産性、信頼性を高めることができる電子部品の製造方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するために、本発明は、アルミナ基板の表面に電極層と絶縁層とを交互に積層し最上層の電極層を絶縁保護層によって覆ったウエハに対して格子状のブレイク溝を形成し、該ブレイク溝のうち互いに平行な一方向に一次分割した後、該一次分割と直交する方向に二次分割して個々の電子部品毎に分離する工程を含む電子部品の製造方法に適用される。
【0013】
そして、請求項1の発明が採用する構成の特徴は、前記アルミナ基板の厚さ寸法は0.1mm〜0.3mmに設定し、前記ブレイク溝は、前記ウエハの表面に位置してレーザを用いて形成された表面側ブレイク溝と、前記ウエハの裏面に位置して該表面側ブレイク溝と対応する部位にレーザを用いて形成された裏面側ブレイク溝とからなり、前記表面側ブレイク溝の深さ寸法は、前記絶縁保護層の表面から最上層の電極層までの厚さ寸法よりも小さい値に設定したことにある。
【0014】
このように構成したことにより、アルミナ基板の厚さ寸法を従来技術よりも薄い0.1mm〜0.3mmに設定した場合であっても、ウエハの両面に表面側ブレイク溝と裏面側ブレイク溝をそれぞれ設けたから、これらのブレイク溝を用いることによって、斜め割れを防止しつつウエハを分割することができる。
【0015】
また、表面側ブレイク溝と裏面側ブレイク溝は、いずれもレーザを用いて形成する。ここで、比較的硬いアルミナ基板に対して例えばブレードを用いて機械的にブレイク溝を形成する場合には、ブレードの磨耗によって頻繁にブレードを交換する必要があり、ブレイク溝の加工時間が長くなり易い。これに対し、本発明ではレーザを用いてブレイク溝を形成するから、ブレイク溝の加工時間を短縮することができる。
【0016】
さらに、表面側ブレイク溝の深さ寸法を保護層の表面から最上層の電極層までの厚さ寸法よりも小さい値に設定したから、表面側ブレイク溝をレーザを用いて形成する場合でも、レーザが最上層の電極層に接触することがなくなる。このため、表面側ブレイク溝の近傍に電極層の引出し部が配置されるときでも、引出し部の溶融を防止することができ、引出し部と外部電極との接続性を高めることができる。
【0017】
請求項2の発明では、前記裏面側ブレイク溝のうち一次分割用ブレイク溝の深さ寸法はアルミナ基板の厚さ寸法に対して30%〜50%に設定し、二次分割用ブレイク溝の深さ寸法は、該一次分割用ブレイク溝の深さ寸法以下の値で、かつアルミナ基板の厚さ寸法に対して20%〜35%に設定している。
【0018】
この場合、一次分割用ブレイク溝と二次分割用ブレイク溝との深さ寸法をいずれもアルミナ基板の厚さ寸法に対して50%以下に設定したから、一次分割以前のウエハの搬送時等にウエハが裏面側ブレイク溝に沿って割れるのを防ぐことができる。また、一次分割用ブレイク溝の深さ寸法はアルミナ基板の厚さ寸法に対して30%以上の値に設定したから、一次分割時に全ての一次分割用ブレイク溝を分割することができ、分割不良を防止することができる。
【0019】
さらに、二次分割用ブレイク溝の深さ寸法は、一次分割用ブレイク溝の深さ寸法以下の値で、かつアルミナ基板の厚さ寸法に対して20%〜35%に設定したから、一次分割時や一次分割後の搬送中等に二次分割用ブレイク溝が割れることがなくなると共に、二次分割時に全ての二次分割用ブレイク溝を確実に分割することができる。
【0020】
請求項3の発明では、前記最上層の電極層は前記表面側ブレイク溝に対応した位置まで延びる引出し部を有し、該表面側ブレイク溝を一次分割または二次分割した端面に該引出し部に接続する外部電極を設ける構成としている。
【0021】
これにより、表面側ブレイク溝をレーザを用いて形成するときに、電極層の引出し部がレーザによって溶融し易いものの、表面側ブレイク溝の深さ寸法を絶縁保護層の表面から最上層の電極層までの厚さ寸法よりも小さい値に設定したから、レーザが電極層の引出し部に接触することがなくなる。このため、電極層の引出し部の溶融を防止することができ、引出し部と外部電極との接続性を高めることができる。
【0022】
請求項4の発明では、前記表面側ブレイク溝および裏面側ブレイク溝は0.1mm〜1.5mmの間隔寸法をもって格子状に形成している。
【0023】
このように、表面側ブレイク溝および裏面側ブレイク溝は0.1mm〜1.5mmの間隔寸法をもって形成した場合には、一次分割時または二次分割時に僅かな斜め割れが生じたときに、電極の露出や寸法公差を超えた外形寸法になり易い。これに対し、本発明ではウエハの両面に表面側ブレイク溝と裏面側ブレイク溝をそれぞれ形成するから、斜め割れを防止することができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態による電子部品の製造方法として、チップコイルの製造方法を例に挙げて添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0025】
まず、本実施の形態による製造方法が適用されるチップコイルについて図1ないし図4を参照しつつ説明する。
【0026】
図において、1はチップコイルの外形を構成する略角柱状のチップで、該チップ1は後述するアルミナ基板2、絶縁層3,4,5、絶縁保護層6、コイル電極8〜11等によって大略構成されている。
【0027】
また、チップ1は、例えば縦方向に対して0.6mm程度の長さ寸法を有し、横方向に対して0.3mm程度の長さ寸法を有すると共に、厚さ方向に対して0.25〜0.35mm程度の厚さ寸法を有している。
【0028】
なお、チップ1は、例えば縦方向に対して1.0mm程度の長さ寸法を有し、横方向に対して0.5mm程度の長さ寸法を有すると共に、厚さ方向に対して0.3〜0.45mm程度の厚さ寸法を有する構成としてもよい。
【0029】
2はアルミナを用いて形成されたアルミナ基板で、該アルミナ基板2は、略四角形の平板状をなし、厚さ方向に対して0.1mm〜0.3mmの範囲内の値として例えば0.15mm程度の厚さ寸法T1を有している。
【0030】
なお、アルミナ基板2の厚さ寸法T1は、0.1mm〜0.3mmの範囲内であればよく、例えば0.2mmまたは0.25mm程度の値に設定してもよい。
【0031】
3〜5はアルミナ基板2の表面に積層された3枚の絶縁層で、該各絶縁層3〜5は、例えば感光性ポリイミド樹脂、感光性ガラスペースト等の液状の絶縁性材料を印刷等によって塗布、乾燥および焼成して形成され、10μm〜20μm程度の厚さ寸法を有している。
【0032】
6は最上層の絶縁層5の表面に積層された絶縁保護層で、該絶縁保護層6は、絶縁層3〜5と同様に例えばガラスペースト等の絶縁性材料によって形成され、後述する最上層のコイル電極11を覆っている。また、絶縁保護層6は、その表面とコイル電極11との間の厚さ寸法T2が例えば30μm〜70μm程度となるような厚みをもって絶縁層5の表面に形成されている。
【0033】
7はチップ1の内部に形成された螺旋状のコイルで、該コイル7は後述する4層のコイル電極8〜11によって構成され、その始端と終端が引出し部7A,7Bとなって後述の外部電極15,16にそれぞれ接続されている。
【0034】
8〜11は絶縁層3〜5と交互に積層された電極層をなすコイル電極で、該コイル電極8〜11は、例えば導電性ペーストをスクリーン版を介して印刷、塗布した後に焼成する厚膜印刷法または感光性導電ペーストを塗布した後に渦巻き状等のパターンを露光、現像し、焼成する方法等によって5μm〜10μm程度の厚さ寸法をもって形成されている。そして、コイル電極8〜11は、後述するビアホール12〜14を介して互いに電気的に直列接続されている。
【0035】
ここで、最下層のコイル電極8は、アルミナ基板2と最下層の絶縁層3との間に配設され、その一端側がチップ1の一側端面1Aに向けて延びて外部電極15に接続され、他端側が後述のビアホール12を介して中間層のコイル電極9に接続されている。
【0036】
また、中間層のコイル電極9は、2層の絶縁層3,4間に配設され、その一端側がビアホール12を介して最下層のコイル電極8に接続され、他端側がビアホール13を介して他の中間層のコイル電極10に接続されている。
【0037】
また、中間層のコイル電極10は、2層の絶縁層4,5間に配設され、その一端側がビアホール13を介して中間層のコイル電極9に接続され、他端側がビアホール14を介して最上層のコイル電極11に接続されている。
【0038】
さらに、最上層のコイル電極11は、最上層の絶縁層5と絶縁保護層6との間に配設され、その一端側がビアホール14を介して中間層のコイル電極10に接続され、他端側がチップ1の他側端面1Bに延びて外部電極16に接続されている。
【0039】
12〜14は絶縁層3〜5に形成された合計3個のビアホールで、該各ビアホール12〜14は、コイル電極9〜11の一端側にそれぞれ位置して、絶縁層3〜5を貫通して形成されている。そして、ビアホール12〜14は、その内部にコイル電極8〜11と同様の導電性材料が充填されることによって、コイル電極8〜11を互いに直列接続している。
【0040】
15,16はチップ1の両端面1A,1Bにそれぞれ設けられた外部電極で、該外部電極15,16は、チップ1の裏面に設けられた底面電極15A,16Aとチップ1の端面1A,1Bに設けられた端面電極15B,16Bとによって構成されている。また、端面電極15B,16Bは、図3に示すようにチップ1の裏面側で底面電極15A,16Aにそれぞれ接続され、例えばチップ1の端面1A,1Bに導電性ペーストを塗布、乾燥および焼成して焼成電極を形成した後に該焼成電極上に銅、ニッケル、錫等のめっき膜を設けることによって形成されている。そして、一方の外部電極15は最下層のコイル電極8に接続され、他方の外部電極16は最上層のコイル電極11に接続されている。
【0041】
本実施の形態に適用されるチップコイルは上述の如き構成を有するもので、次に、その製造方法について図5ないし図7を参照しつつ説明する。
【0042】
まず、アルミナ基板2と同じ厚さ寸法T1(T1=0.1mm〜0.3mm)を有する大型のアルミナ基板21を用意し、該アルミナ基板21の表面に厚膜印刷法等を用いて複数のコイル電極8からなる電極層22を形成する。次に、電極層22を覆って絶縁層23(絶縁層3)を印刷、塗布した後に乾燥、焼成することによって形成する。その後、電極層22、絶縁層23と同様にして、電極層24(コイル電極9)、絶縁層25(絶縁層4)、電極層26(コイル電極10)、絶縁層27(絶縁層5)、電極層28(コイル電極11)の順序で電極層24,26,28と絶縁層25,27とを交互に積層する。
【0043】
また、電極層22,24,26,28と絶縁層23,25,27とを交互に積層するときには、電極層22,24,26,28のコイル電極8〜11を絶縁層23,25,27に設けたビアホール(図示せず)を通じて互いに直列接続し、複数のコイル7をアレイ状(例えば縦方向と横方向にそれぞれ220個ずつ配列したアレイ状)に配置する。この状態で、最上層の電極層28を30μm〜70μm程度の厚さをもった絶縁保護層29(絶縁保護層6)によって覆い、ウエハ30を形成する。
【0044】
次に、ウエハ30の表面と裏面に表面側ブレイク溝31と裏面側ブレイク溝32をそれぞれレーザ(例えばYAGレーザ等)を用いて形成する。このとき、表面側ブレイク溝31は、アレイ状に配置された複数のコイル7を区切るように縦方向と横方向に延びる格子状に形成され、裏面側ブレイク溝32は、表面側ブレイク溝31と対応(対向)する部位に対して表面側ブレイク溝31と同様の格子状をなして形成される。
【0045】
ここで、表面側ブレイク溝31は、縦方向に互いに平行に延びる複数本の一次分割用ブレイク溝31Aと、一次分割用ブレイク溝31Aに直交して横方向に互いに平行に延びる二次分割用ブレイク溝31Bとによって構成されている。また、複数本の一次分割用ブレイク溝31Aは、チップコイルの外形に応じて例えば0.6mm程度の間隔寸法をもって形成され、複数本の二次分割用ブレイク溝31Bは、例えば0.3mm程度の間隔寸法をもって形成されている。
【0046】
そして、一次分割用ブレイク溝31Aと二次分割用ブレイク溝31Bとは、ほぼ同じ一定の深さ寸法D0をもって形成され、該深さ寸法D0は、絶縁保護層29の表面と電極層28との間の厚さ寸法T2よりも小さい値として、例えば10μm〜70μm程度の値に設定されている。
【0047】
一方、裏面側ブレイク溝32は、表面側ブレイク溝31に対応して縦方向に互いに平行に延びる複数本の一次分割用ブレイク溝32Aと、一次分割用ブレイク溝32Aに直交して横方向に互いに平行に延びる二次分割用ブレイク溝32Bとによって構成されている。そして、複数本の一次分割用ブレイク溝32Aは、例えば0.6mm程度の間隔寸法をもって形成され、複数本の二次分割用ブレイク溝32Bは、0.3mm程度の間隔寸法をもって形成されている。
【0048】
また、一次分割用ブレイク溝32Aの深さ寸法D1は、アルミナ基板21の厚さ寸法T1に対して30%〜50%の範囲内で一定の値に設定されている。一方、二次分割用ブレイク溝32Bの深さ寸法D2は、一次分割用ブレイク溝32Aの深さ寸法D1以下の一定の値で、かつアルミナ基板21の厚さ寸法T1に対して20%〜35%の範囲内の値に設定されている。
【0049】
また、一次分割用ブレイク溝31A,32Aは、後述する一次分割時に分割後の端面にコイル7の引出し部7A,7Bが露出するように、コイル7の引出し部7A,7Bと重なる位置(近傍位置)に配置されている。
【0050】
なお、裏面側ブレイク溝32は、電極層22,24,26,28と絶縁層23,25,27とを積層する前に、予めアルミナ基板21の裏面に形成してもよい。
【0051】
次に、図6に示すように、ウエハ30に対してローラを押し当てるローラブレイクを行い、ウエハ30を一次分割用ブレイク溝31A,32Aに沿って折曲させて一次分割し、多数のチップ1が縦方向に1列につながったスティック33を形成する。このとき、スティック33のうち一次分割によって露出した両端面にはコイル7の引出し部7A,7Bが露出する。
【0052】
このため、一次分割によって露出したスティック33の両端面には、外部電極15,16用の導電性ペースト34,35を塗布し、乾燥する。その後、スティック33に対して再びローラブレイクを行い、スティック33を二次分割用ブレイク溝31B,32Bに沿って二次分割し、チップ1毎に分離する。
【0053】
最後に、導電性ペースト34,35を焼成した後、この焼成電極にめっき処理を施すことによって外部電極15,16を形成し、チップコイルが完成する。
【0054】
次に、表面側ブレイク溝31の深さ寸法D0と裏面側ブレイク溝32の深さ寸法D1,D2について検討する。
【0055】
まず、表面側ブレイク溝31について検討すると、表面側ブレイク溝31の深さ寸法D0は、絶縁保護層29の表面と電極層28との間の厚さ寸法T2よりも小さい値に設定されている。この理由は、レーザを用いて表面側ブレイク溝31をスクライブ(溝加工)するときに、最上層の電極層28がレーザによって溶融するのを防止するためである。
【0056】
ここで、ブレイク溝31,32の加工にレーザを用いる理由は、他の材料に比べて硬いアルミナ基板21例えばブレードを用いて機械的にブレイク溝31,32を形成する場合にはブレードの磨耗によって頻繁にブレードを交換する必要があるのに対し、レーザではこのような不具合がなく、加工時間を短縮することができるからである。
【0057】
また、本実施の形態では、最上層の電極層28は表面側ブレイク溝31に対応した位置まで延びる引出し部7Bを有し、該表面側ブレイク溝31を一次分割した端面に引出し部7Bに接続する外部電極16を設ける構成としている。このため、深さ寸法D0が厚さ寸法T2よりも大きい場合には、表面側ブレイク溝31をレーザを用いて形成するときに、図3中に一点鎖線で示すように表面側ブレイク溝31′が引出し部7Bに到達し、電極層28の引出し部7Bがレーザによって溶融してしまう。この結果、引出し部7Bと外部電極16との間で電気的な接続性が低下し易い傾向がある。
【0058】
これに対し、本実施の形態では、表面側ブレイク溝31の深さ寸法D0は、絶縁保護層29の表面と電極層28との間の厚さ寸法T2よりも小さい値に設定したから、電極層28の引出し部7Bがレーザによって溶融することがなく、引出し部7Bを確実に外部電極16に接続することができ、信頼性を高めることができる。
【0059】
次に、裏面側ブレイク溝32について検討すると、裏面側ブレイク溝32のうち一次分割用ブレイク溝32Aの深さ寸法D1はアルミナ基板21の厚さ寸法T1に対して30%〜50%に設定し、二次分割用ブレイク溝32Bの深さ寸法D2は、一次分割用ブレイク溝32Aの深さ寸法D1以下の値で、かつアルミナ基板21の厚さ寸法T1に対して20%〜35%に設定している。この理由は、ウエハ30の搬送時等に不必要にブレイク溝31,32が割れるのを防止すると共に、一次分割時に二次分割用ブレイク溝32Bの割れを防ぎつつ全ての一次分割用ブレイク溝32Aを割ることができ、二次分割時に全ての二次分割用ブレイク溝32Bを割ることができるようにするためである。
【0060】
即ち、裏面側ブレイク溝32の深さ寸法D1,D2が大き過ぎると、ウエハ30、スティック33の搬送時等に不必要にブレイク溝31,32が割れることがある。一方、裏面側ブレイク溝32の深さ寸法D1,D2が小さ過ぎると、一次分割時または二次分割時に割れないブレイク溝31,32が発生することがあり、一次分割時に2本のスティック33が繋がった2本割れが発生すると共に、二次分割時に2個のチップ1が繋がった2個割れが発生する虞がある。また、一次分割時には一次分割用ブレイク溝31A,32Aが割れるのを許容するものの、二次分割用ブレイク溝31B,32Bが割れるのは防止する必要がある。
【0061】
そこで、裏面側ブレイク溝32の深さ寸法D1,D2の最適な値を調べるために、深さ寸法D1,D2をアルミナ基板21の厚さ寸法T1に対して変化(15%〜67%)させて一次分割および二次分割を行った。その結果を以下の表1に示す。
【0062】
【表1】
【0063】
この結果、一次分割用ブレイク溝32Aと二次分割用ブレイク溝32Bとの深さ寸法D1,D2をいずれもアルミナ基板21の厚さ寸法T1に対して50%以下に設定したときに、一次分割以前のウエハ30の搬送時等にウエハ30が裏面側ブレイク溝32に沿って割れるのを防止できることが分かった。
【0064】
また、一次分割用ブレイク溝32Aの深さ寸法D1をアルミナ基板21の厚さ寸法T1に対して30%以上の値に設定したときに、一次分割時に全ての一次分割用ブレイク溝32Aを分割することができ、分割不良を防止できることが分かった。
【0065】
さらに、二次分割用ブレイク溝32Bの深さ寸法D2を、一次分割用ブレイク溝32Aの深さ寸法D1以下の値で、かつアルミナ基板21の厚さ寸法T1に対して20%〜35%に設定したときに、一次分割時や一次分割後の搬送中等に二次分割用ブレイク溝32Bが割れることがなくなると共に、二次分割時に全ての二次分割用ブレイク溝32Bを確実に分割できることが分かった。
【0066】
以上の結果、一次分割用ブレイク溝32Aの深さ寸法D1をアルミナ基板21の厚さ寸法T1に対して30%〜50%に設定し、二次分割用ブレイク溝32Bの深さ寸法D2を、一次分割用ブレイク溝32Aの深さ寸法D1以下の値で、かつアルミナ基板21の厚さ寸法T1に対して20%〜35%に設定した場合、不必要な分割や分割不良等を防止できることが分かった。
【0067】
かくして、本実施の形態では、ウエハ30の両面に表面側ブレイク溝31と裏面側ブレイク溝32とをそれぞれ設けたから、アルミナ基板21の厚さ寸法T1を従来技術よりも薄い0.1mm〜0.3mmに設定した場合であっても、これらのブレイク溝31,32を用いることによって、斜め割れを防止しつつウエハ30を分割することができる。
【0068】
このため、表面側ブレイク溝31および裏面側ブレイク溝32を0.1mm〜1.5mmの間隔寸法をもって格子状に形成し、外形寸法が0.1mm〜1.5mm程度となる小型の電子部品を製造するときでも、ブレイク溝31,32によって図4中に二点鎖線で示すような斜め割れαを確実に防止できる。この結果、コイル電極8〜11とチップ1端面との間のサイドギャップδが小さいときでも、不必要な電極の露出を防止できると共に、電子部品の外形寸法を寸法公差の範囲内に収めることができ、信頼性、生産性を向上させることができる。
【0069】
また、本実施の形態では、表面側ブレイク溝31と裏面側ブレイク溝32をレーザを用いて形成したから、例えばブレードを用いて機械的にブレイク溝を形成する場合に比べて、磨耗によるブレード交換の手間を省くことができ、ブレイク溝31,32の加工時間を短縮し、生産性を向上させることができる。
【0070】
さらに、表面側ブレイク溝31の深さ寸法D0を絶縁保護層29の表面から最上層の電極層28までの厚さ寸法T2よりも小さい値に設定したから、表面側ブレイク溝31のレーザ加工時にレーザが最上層の電極層28に接触することがなくなる。このため、表面側ブレイク溝31の近傍に電極層28(コイル電極11)の引出し部7Bが配置されるときでも、引出し部7Bの溶融を防止することができる。この結果、引出し部7Bと外部電極16との接続性を高めることができ、チップコイルの信頼性を向上させることができる。
【0071】
また、裏面側ブレイク溝32のうち一次分割用ブレイク溝32Aの深さ寸法D1をアルミナ基板21の厚さ寸法T1に対して30%〜50%に設定し、二次分割用ブレイク溝32Bの深さ寸法D2を、一次分割用ブレイク溝32Aの深さ寸法D1以下の値で、かつアルミナ基板21の厚さ寸法T1に対して20%〜35%に設定したから、ウエハ30の搬送時等に不必要にブレイク溝31,32が割れるのを防止できると共に、一次分割時に全ての一次分割用ブレイク溝32Aを割ることができ、二次分割時に全ての二次分割用ブレイク溝32Bを割ることができる。このため、製造時のウエハ30等の分割不良を防止でき、生産性を向上させることができる。
【0072】
なお、前記実施の形態では、一次分割用ブレイク溝32Aの深さ寸法D1は、アルミナ基板21の厚さ寸法T1に対して30%〜50%に設定し、二次分割用ブレイク溝32Bの深さ寸法D2は、一次分割用ブレイク溝32Aの深さ寸法D1以下の値で、かつアルミナ基板21の厚さ寸法T1に対して20%〜35%に設定するものとした。
【0073】
しかし、本発明はこれに限らず、例えば一次分割用ブレイク溝の深さ寸法は、アルミナ基板の厚さ寸法に対して30%〜50%に設定し、二次分割用ブレイク溝の深さ寸法は、アルミナ基板の厚さ寸法に対して20%〜30%に設定してもよい。また、一次分割用ブレイク溝の深さ寸法は、アルミナ基板の厚さ寸法に対して35%〜50%に設定し、二次分割用ブレイク溝の深さ寸法は、アルミナ基板の厚さ寸法に対して20%〜35%に設定してもよい。
【0074】
また、前記実施の形態では、縦横方向に0.6mm×0.3mmの外形寸法を有するチップコイルを製造する場合について説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば縦横方向に1.0mm×0.5mmの外形寸法を有するチップコイルを製造する場合にも適用でき、0.1mm〜1.5mmの外形寸法(ブレイク溝31,32の間隔寸法)を有する小型の電子部品に対しても広く適用できるものである。
【0075】
また、前記実施の形態では、4層の電極層22,24,26,28と3層の絶縁層23,25,27とを交互に積層するものとしたが、5層以上の電極層と絶縁層と4層以上の絶縁層とを交互に積層する構成としてもよく、3層以下の電極層と2層以下の絶縁層とを交互に積層する構成としてもよい。
【0076】
また、前記実施の形態では、電極層22,24,26,28は厚膜印刷法等を用いて形成するものとしたが、例えば真空蒸着、スパッタ等の薄膜形成法を用いて形成してもよい。
【0077】
さらに、前記実施の形態では、電子部品としてチップコイルを例に挙げて説明したが、コンデンサ、抵抗、複数のストリップ線路が多層に積層された素子等の他の電子部品の製造方法にも広く適用できるものである。
【0078】
【発明の効果】
以上詳述した如く、請求項1の発明によれば、ウエハの両面に表面側ブレイク溝と裏面側ブレイク溝とをそれぞれ設けたから、アルミナ基板の厚さ寸法を従来技術よりも薄い0.1mm〜0.3mmに設定した場合であっても、これらのブレイク溝を用いることによって、斜め割れを防止しつつウエハを分割することができる。また、表面側ブレイク溝と裏面側ブレイク溝をレーザを用いて形成したから、ブレイク溝の加工時間を短縮することができ、生産性を向上させることができる。さらに、表面側ブレイク溝の深さ寸法を絶縁保護層の表面から最上層の電極層までの厚さ寸法よりも小さい値に設定したから、表面側ブレイク溝のレーザ加工時にレーザが最上層の電極層に接触することがなく、電極層の溶融による外部電極との接続不良を防止でき、電子部品の信頼性を向上させることができる。
【0079】
請求項2の発明によれば、裏面側ブレイク溝のうち一次分割用ブレイク溝の深さ寸法をアルミナ基板の厚さ寸法に対して30%〜50%に設定し、二次分割用ブレイク溝の深さ寸法を、一次分割用ブレイク溝の深さ寸法以下の値で、かつアルミナ基板の厚さ寸法に対して20%〜35%に設定したから、各ブレイク溝が不必要に割れるのを防止できると共に、分割不良の発生を防ぐことができ、生産性を向上させることができる。
【0080】
請求項3の発明によれば、最上層の電極層は表面側ブレイク溝に対応した位置まで延びる引出し部を有するから、表面側ブレイク溝をレーザを用いて形成するときに、電極層の引出し部がレーザによって溶融し、引出し部と外部電極との接続性が低下する傾向がある。これに対し、本発明では、表面側ブレイク溝の深さ寸法を絶縁保護層の表面から最上層の電極層までの厚さ寸法よりも小さい値に設定したから、レーザが引出し部に接触するのを防止して、引出し部と外部電極とを確実に接続することができ、電子部品の信頼性を高めることができる。
【0081】
請求項4の発明のように、表面側ブレイク溝および裏面側ブレイク溝を0.1mm〜1.5mmの間隔寸法をもって格子状に形成した場合であっても、ウエハの両面に表面側ブレイク溝と裏面側ブレイク溝をそれぞれ形成するから、斜め割れを防止できる。このため、外形寸法が0.1mm〜1.5mm程度となる小型の電子部品を製造するときでも、不必要な電極の露出を防止できると共に、電子部品の外形寸法を寸法公差の範囲内に収めることができ、信頼性、生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態が適用されるチップコイルを示す斜視図である。
【図2】図1中のチップを分解して示す分解斜視図である。
【図3】図1中のチップコイルを矢示III−III方向からみた断面図である。
【図4】図1中のチップコイルを矢示IV−IV方向からみた断面図である。
【図5】本実施の形態による製造方法を用いてウエハを形成する状態を示す分解斜視図である。
【図6】図5中のウエハを一次分割および二次分割した状態を示す平面図である。
【図7】図6中のウエハを矢示VII−VII方向からみた断面図である。
【符号の説明】
1 チップ
2,21 アルミナ基板
3〜5,23,25,27 絶縁層
6,29 絶縁保護層
7 コイル
7B 引出し部
8〜11 コイル電極(電極層)
15,16 外部電極
22,24,26,28 電極層
30 ウエハ
31 表面側ブレイク溝
32 裏面側ブレイク溝
32A 一次分割用ブレイク溝
32B 二次分割用ブレイク溝
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば1枚のウエハから複数の電子部品を分離する工程を含む電子部品の製造方法に関し、特に、電子部品として携帯電話等の移動体通信機器に使用される小型の高周波用チップコイル等の製造に用いて好適な電子部品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、電子部品として例えばチップコイル、コンデンサ、抵抗、複数のストリップ線路が多層に積層された素子等を製造する場合、1枚のウエハに多数の電子部品を形成した後、ウエハに形成した格子状のブレイク溝に沿って分割し、これら複数の電子部品を分離する方法が知られている。この場合、ウエハは例えばセラミックス等からなる基板の表面に電極層等を積層することによって形成している。また、格子状のブレイク溝は、互いに平行な一方向に一次分割した後、該一次分割と直交する方向に二次分割している。
【0003】
そして、第1の従来技術として、ウエハ(基板)の裏面に格子状のブレイク溝を形成すると共に、一次分割時に二次分割する方向にウエハが割れるのを防止するために、該ブレイク溝のうち一次分割方向のブレイク溝の深さ寸法を二次分割方向のブレイク溝の深さ寸法よりも大きな値に設定する構成が知られている(特開平10−270813号公報、特開2000−286511号公報等)。
【0004】
また、第2の従来技術として、基板の表面に抵抗膜と保護膜とを形成すると共に、該基板の表面に格子状のブレイク溝を形成し、基板から分離した電子部品(抵抗器)をマザー基板に実装したときに半田フィレットを確実に形成するために、ブレイク溝の開口幅および深さ寸法を0.1mm〜0.3mmに設定する構成が知られている(特開平11−329802号等)。
【0005】
また、第3の従来技術として、ウエハの裏面にダイシングブレードを用いて格子状のブレイク溝を形成すると共に、ブレイク溝の深さ寸法を基板の厚さ寸法の10%〜30%の範囲内に設定する構成が知られている(特開平11−3833号公報等)。これにより、第3の従来技術では、ウエハをブレイク溝に沿って分割するときに、ウエハの厚さ方向に対して斜めに傾斜した状態で分割される(斜め割れ)のを防止できると共に、必要以上にブレイク溝が割れるのを防止している。
【0006】
さらに、第4の従来技術として、基板の表面、裏面に電気配線用導体を含んだ絶縁体層を設けた複合基板(ウエハ)を形成し、該複合基板の表面、裏面のいずれにも絶縁体層の75%〜95%の深さ寸法をもったブレイク溝を形成する構成も知られている(実開平5−13084号公報等)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した第1ないし第3の従来技術では、ウエハ(基板)の片面のみにブレイク溝を形成している。このため、第1ないし第3の従来技術では、ウエハを分割するときに、斜め割れが生じ易い傾向がある。
【0008】
特に、近年の高周波用チップコイルでは、インダクタンス値を高めるために電極層と絶縁層の総数を増加させる傾向があるのに対し、チップコイル全体の厚み寸法は規格等によって定められている。このため、ウエハのうち基板部分を従来技術による0.6mm程度から0.1mm〜0.3mm程度まで薄くする必要がある。この場合、基板の厚さ寸法が小さくなるから、ウエハ全体の厚さ寸法に対して基板に設けたブレイク溝の深さ寸法も小さくなる傾向があり、従来技術のものに比べて電極層と絶縁層とが積層された部分に斜め割れが発生し易い。
【0009】
また、高周波用チップコイルは、その外形寸法が例えば0.6mm×0.3mmまたは1.0mm×0.5mm程度のように非常に小さい値となっている。これに伴い、電極層のうち各チップコイルのコイル電極はチップコイル端面との間にコイル電極の露出を防止するためのサイドギャップが形成されているものの、該サイドギャップが例えば0.02mm〜0.03mm程度の小さい値に設定されている。このため、僅かな斜め割れが生じた場合でもコイル電極の露出を生じ易い。また、外形寸法の寸法公差も±0.05mm程度の小さい値になるため、斜め割れによって寸法公差の許容範囲内に収まらない傾向があり、生産性が低下するという問題がある。
【0010】
一方、第4の従来技術では、複合基板(ウエハ)の両面にブレイク溝を設ける構成が開示されているものの、ブレイク溝の深さ寸法は複合基板の両面に形成された絶縁体層に対して75%〜95%程度の大きな値に設定されている。このため、ブレイク溝を加工することによって、絶縁体層内に設けられた配線用導体のうち外部電極と接続するためにブレイク溝近傍に延びた引出し部がブレイク溝内に露出することがある。このとき、例えばブレイク溝の加工にレーザを用いた場合には、配線用導体の引出し部がレーザによって溶融し、この溶融物によって引出し部と外部電極との接続性が低下して断線不良が発生するという問題がある。
【0011】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、ウエハの分割時に斜め割れ等が生じるのを防止できると共に、電極層の引出し部と外部電極との接続性を確保して生産性、信頼性を高めることができる電子部品の製造方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するために、本発明は、アルミナ基板の表面に電極層と絶縁層とを交互に積層し最上層の電極層を絶縁保護層によって覆ったウエハに対して格子状のブレイク溝を形成し、該ブレイク溝のうち互いに平行な一方向に一次分割した後、該一次分割と直交する方向に二次分割して個々の電子部品毎に分離する工程を含む電子部品の製造方法に適用される。
【0013】
そして、請求項1の発明が採用する構成の特徴は、前記アルミナ基板の厚さ寸法は0.1mm〜0.3mmに設定し、前記ブレイク溝は、前記ウエハの表面に位置してレーザを用いて形成された表面側ブレイク溝と、前記ウエハの裏面に位置して該表面側ブレイク溝と対応する部位にレーザを用いて形成された裏面側ブレイク溝とからなり、前記表面側ブレイク溝の深さ寸法は、前記絶縁保護層の表面から最上層の電極層までの厚さ寸法よりも小さい値に設定したことにある。
【0014】
このように構成したことにより、アルミナ基板の厚さ寸法を従来技術よりも薄い0.1mm〜0.3mmに設定した場合であっても、ウエハの両面に表面側ブレイク溝と裏面側ブレイク溝をそれぞれ設けたから、これらのブレイク溝を用いることによって、斜め割れを防止しつつウエハを分割することができる。
【0015】
また、表面側ブレイク溝と裏面側ブレイク溝は、いずれもレーザを用いて形成する。ここで、比較的硬いアルミナ基板に対して例えばブレードを用いて機械的にブレイク溝を形成する場合には、ブレードの磨耗によって頻繁にブレードを交換する必要があり、ブレイク溝の加工時間が長くなり易い。これに対し、本発明ではレーザを用いてブレイク溝を形成するから、ブレイク溝の加工時間を短縮することができる。
【0016】
さらに、表面側ブレイク溝の深さ寸法を保護層の表面から最上層の電極層までの厚さ寸法よりも小さい値に設定したから、表面側ブレイク溝をレーザを用いて形成する場合でも、レーザが最上層の電極層に接触することがなくなる。このため、表面側ブレイク溝の近傍に電極層の引出し部が配置されるときでも、引出し部の溶融を防止することができ、引出し部と外部電極との接続性を高めることができる。
【0017】
請求項2の発明では、前記裏面側ブレイク溝のうち一次分割用ブレイク溝の深さ寸法はアルミナ基板の厚さ寸法に対して30%〜50%に設定し、二次分割用ブレイク溝の深さ寸法は、該一次分割用ブレイク溝の深さ寸法以下の値で、かつアルミナ基板の厚さ寸法に対して20%〜35%に設定している。
【0018】
この場合、一次分割用ブレイク溝と二次分割用ブレイク溝との深さ寸法をいずれもアルミナ基板の厚さ寸法に対して50%以下に設定したから、一次分割以前のウエハの搬送時等にウエハが裏面側ブレイク溝に沿って割れるのを防ぐことができる。また、一次分割用ブレイク溝の深さ寸法はアルミナ基板の厚さ寸法に対して30%以上の値に設定したから、一次分割時に全ての一次分割用ブレイク溝を分割することができ、分割不良を防止することができる。
【0019】
さらに、二次分割用ブレイク溝の深さ寸法は、一次分割用ブレイク溝の深さ寸法以下の値で、かつアルミナ基板の厚さ寸法に対して20%〜35%に設定したから、一次分割時や一次分割後の搬送中等に二次分割用ブレイク溝が割れることがなくなると共に、二次分割時に全ての二次分割用ブレイク溝を確実に分割することができる。
【0020】
請求項3の発明では、前記最上層の電極層は前記表面側ブレイク溝に対応した位置まで延びる引出し部を有し、該表面側ブレイク溝を一次分割または二次分割した端面に該引出し部に接続する外部電極を設ける構成としている。
【0021】
これにより、表面側ブレイク溝をレーザを用いて形成するときに、電極層の引出し部がレーザによって溶融し易いものの、表面側ブレイク溝の深さ寸法を絶縁保護層の表面から最上層の電極層までの厚さ寸法よりも小さい値に設定したから、レーザが電極層の引出し部に接触することがなくなる。このため、電極層の引出し部の溶融を防止することができ、引出し部と外部電極との接続性を高めることができる。
【0022】
請求項4の発明では、前記表面側ブレイク溝および裏面側ブレイク溝は0.1mm〜1.5mmの間隔寸法をもって格子状に形成している。
【0023】
このように、表面側ブレイク溝および裏面側ブレイク溝は0.1mm〜1.5mmの間隔寸法をもって形成した場合には、一次分割時または二次分割時に僅かな斜め割れが生じたときに、電極の露出や寸法公差を超えた外形寸法になり易い。これに対し、本発明ではウエハの両面に表面側ブレイク溝と裏面側ブレイク溝をそれぞれ形成するから、斜め割れを防止することができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態による電子部品の製造方法として、チップコイルの製造方法を例に挙げて添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0025】
まず、本実施の形態による製造方法が適用されるチップコイルについて図1ないし図4を参照しつつ説明する。
【0026】
図において、1はチップコイルの外形を構成する略角柱状のチップで、該チップ1は後述するアルミナ基板2、絶縁層3,4,5、絶縁保護層6、コイル電極8〜11等によって大略構成されている。
【0027】
また、チップ1は、例えば縦方向に対して0.6mm程度の長さ寸法を有し、横方向に対して0.3mm程度の長さ寸法を有すると共に、厚さ方向に対して0.25〜0.35mm程度の厚さ寸法を有している。
【0028】
なお、チップ1は、例えば縦方向に対して1.0mm程度の長さ寸法を有し、横方向に対して0.5mm程度の長さ寸法を有すると共に、厚さ方向に対して0.3〜0.45mm程度の厚さ寸法を有する構成としてもよい。
【0029】
2はアルミナを用いて形成されたアルミナ基板で、該アルミナ基板2は、略四角形の平板状をなし、厚さ方向に対して0.1mm〜0.3mmの範囲内の値として例えば0.15mm程度の厚さ寸法T1を有している。
【0030】
なお、アルミナ基板2の厚さ寸法T1は、0.1mm〜0.3mmの範囲内であればよく、例えば0.2mmまたは0.25mm程度の値に設定してもよい。
【0031】
3〜5はアルミナ基板2の表面に積層された3枚の絶縁層で、該各絶縁層3〜5は、例えば感光性ポリイミド樹脂、感光性ガラスペースト等の液状の絶縁性材料を印刷等によって塗布、乾燥および焼成して形成され、10μm〜20μm程度の厚さ寸法を有している。
【0032】
6は最上層の絶縁層5の表面に積層された絶縁保護層で、該絶縁保護層6は、絶縁層3〜5と同様に例えばガラスペースト等の絶縁性材料によって形成され、後述する最上層のコイル電極11を覆っている。また、絶縁保護層6は、その表面とコイル電極11との間の厚さ寸法T2が例えば30μm〜70μm程度となるような厚みをもって絶縁層5の表面に形成されている。
【0033】
7はチップ1の内部に形成された螺旋状のコイルで、該コイル7は後述する4層のコイル電極8〜11によって構成され、その始端と終端が引出し部7A,7Bとなって後述の外部電極15,16にそれぞれ接続されている。
【0034】
8〜11は絶縁層3〜5と交互に積層された電極層をなすコイル電極で、該コイル電極8〜11は、例えば導電性ペーストをスクリーン版を介して印刷、塗布した後に焼成する厚膜印刷法または感光性導電ペーストを塗布した後に渦巻き状等のパターンを露光、現像し、焼成する方法等によって5μm〜10μm程度の厚さ寸法をもって形成されている。そして、コイル電極8〜11は、後述するビアホール12〜14を介して互いに電気的に直列接続されている。
【0035】
ここで、最下層のコイル電極8は、アルミナ基板2と最下層の絶縁層3との間に配設され、その一端側がチップ1の一側端面1Aに向けて延びて外部電極15に接続され、他端側が後述のビアホール12を介して中間層のコイル電極9に接続されている。
【0036】
また、中間層のコイル電極9は、2層の絶縁層3,4間に配設され、その一端側がビアホール12を介して最下層のコイル電極8に接続され、他端側がビアホール13を介して他の中間層のコイル電極10に接続されている。
【0037】
また、中間層のコイル電極10は、2層の絶縁層4,5間に配設され、その一端側がビアホール13を介して中間層のコイル電極9に接続され、他端側がビアホール14を介して最上層のコイル電極11に接続されている。
【0038】
さらに、最上層のコイル電極11は、最上層の絶縁層5と絶縁保護層6との間に配設され、その一端側がビアホール14を介して中間層のコイル電極10に接続され、他端側がチップ1の他側端面1Bに延びて外部電極16に接続されている。
【0039】
12〜14は絶縁層3〜5に形成された合計3個のビアホールで、該各ビアホール12〜14は、コイル電極9〜11の一端側にそれぞれ位置して、絶縁層3〜5を貫通して形成されている。そして、ビアホール12〜14は、その内部にコイル電極8〜11と同様の導電性材料が充填されることによって、コイル電極8〜11を互いに直列接続している。
【0040】
15,16はチップ1の両端面1A,1Bにそれぞれ設けられた外部電極で、該外部電極15,16は、チップ1の裏面に設けられた底面電極15A,16Aとチップ1の端面1A,1Bに設けられた端面電極15B,16Bとによって構成されている。また、端面電極15B,16Bは、図3に示すようにチップ1の裏面側で底面電極15A,16Aにそれぞれ接続され、例えばチップ1の端面1A,1Bに導電性ペーストを塗布、乾燥および焼成して焼成電極を形成した後に該焼成電極上に銅、ニッケル、錫等のめっき膜を設けることによって形成されている。そして、一方の外部電極15は最下層のコイル電極8に接続され、他方の外部電極16は最上層のコイル電極11に接続されている。
【0041】
本実施の形態に適用されるチップコイルは上述の如き構成を有するもので、次に、その製造方法について図5ないし図7を参照しつつ説明する。
【0042】
まず、アルミナ基板2と同じ厚さ寸法T1(T1=0.1mm〜0.3mm)を有する大型のアルミナ基板21を用意し、該アルミナ基板21の表面に厚膜印刷法等を用いて複数のコイル電極8からなる電極層22を形成する。次に、電極層22を覆って絶縁層23(絶縁層3)を印刷、塗布した後に乾燥、焼成することによって形成する。その後、電極層22、絶縁層23と同様にして、電極層24(コイル電極9)、絶縁層25(絶縁層4)、電極層26(コイル電極10)、絶縁層27(絶縁層5)、電極層28(コイル電極11)の順序で電極層24,26,28と絶縁層25,27とを交互に積層する。
【0043】
また、電極層22,24,26,28と絶縁層23,25,27とを交互に積層するときには、電極層22,24,26,28のコイル電極8〜11を絶縁層23,25,27に設けたビアホール(図示せず)を通じて互いに直列接続し、複数のコイル7をアレイ状(例えば縦方向と横方向にそれぞれ220個ずつ配列したアレイ状)に配置する。この状態で、最上層の電極層28を30μm〜70μm程度の厚さをもった絶縁保護層29(絶縁保護層6)によって覆い、ウエハ30を形成する。
【0044】
次に、ウエハ30の表面と裏面に表面側ブレイク溝31と裏面側ブレイク溝32をそれぞれレーザ(例えばYAGレーザ等)を用いて形成する。このとき、表面側ブレイク溝31は、アレイ状に配置された複数のコイル7を区切るように縦方向と横方向に延びる格子状に形成され、裏面側ブレイク溝32は、表面側ブレイク溝31と対応(対向)する部位に対して表面側ブレイク溝31と同様の格子状をなして形成される。
【0045】
ここで、表面側ブレイク溝31は、縦方向に互いに平行に延びる複数本の一次分割用ブレイク溝31Aと、一次分割用ブレイク溝31Aに直交して横方向に互いに平行に延びる二次分割用ブレイク溝31Bとによって構成されている。また、複数本の一次分割用ブレイク溝31Aは、チップコイルの外形に応じて例えば0.6mm程度の間隔寸法をもって形成され、複数本の二次分割用ブレイク溝31Bは、例えば0.3mm程度の間隔寸法をもって形成されている。
【0046】
そして、一次分割用ブレイク溝31Aと二次分割用ブレイク溝31Bとは、ほぼ同じ一定の深さ寸法D0をもって形成され、該深さ寸法D0は、絶縁保護層29の表面と電極層28との間の厚さ寸法T2よりも小さい値として、例えば10μm〜70μm程度の値に設定されている。
【0047】
一方、裏面側ブレイク溝32は、表面側ブレイク溝31に対応して縦方向に互いに平行に延びる複数本の一次分割用ブレイク溝32Aと、一次分割用ブレイク溝32Aに直交して横方向に互いに平行に延びる二次分割用ブレイク溝32Bとによって構成されている。そして、複数本の一次分割用ブレイク溝32Aは、例えば0.6mm程度の間隔寸法をもって形成され、複数本の二次分割用ブレイク溝32Bは、0.3mm程度の間隔寸法をもって形成されている。
【0048】
また、一次分割用ブレイク溝32Aの深さ寸法D1は、アルミナ基板21の厚さ寸法T1に対して30%〜50%の範囲内で一定の値に設定されている。一方、二次分割用ブレイク溝32Bの深さ寸法D2は、一次分割用ブレイク溝32Aの深さ寸法D1以下の一定の値で、かつアルミナ基板21の厚さ寸法T1に対して20%〜35%の範囲内の値に設定されている。
【0049】
また、一次分割用ブレイク溝31A,32Aは、後述する一次分割時に分割後の端面にコイル7の引出し部7A,7Bが露出するように、コイル7の引出し部7A,7Bと重なる位置(近傍位置)に配置されている。
【0050】
なお、裏面側ブレイク溝32は、電極層22,24,26,28と絶縁層23,25,27とを積層する前に、予めアルミナ基板21の裏面に形成してもよい。
【0051】
次に、図6に示すように、ウエハ30に対してローラを押し当てるローラブレイクを行い、ウエハ30を一次分割用ブレイク溝31A,32Aに沿って折曲させて一次分割し、多数のチップ1が縦方向に1列につながったスティック33を形成する。このとき、スティック33のうち一次分割によって露出した両端面にはコイル7の引出し部7A,7Bが露出する。
【0052】
このため、一次分割によって露出したスティック33の両端面には、外部電極15,16用の導電性ペースト34,35を塗布し、乾燥する。その後、スティック33に対して再びローラブレイクを行い、スティック33を二次分割用ブレイク溝31B,32Bに沿って二次分割し、チップ1毎に分離する。
【0053】
最後に、導電性ペースト34,35を焼成した後、この焼成電極にめっき処理を施すことによって外部電極15,16を形成し、チップコイルが完成する。
【0054】
次に、表面側ブレイク溝31の深さ寸法D0と裏面側ブレイク溝32の深さ寸法D1,D2について検討する。
【0055】
まず、表面側ブレイク溝31について検討すると、表面側ブレイク溝31の深さ寸法D0は、絶縁保護層29の表面と電極層28との間の厚さ寸法T2よりも小さい値に設定されている。この理由は、レーザを用いて表面側ブレイク溝31をスクライブ(溝加工)するときに、最上層の電極層28がレーザによって溶融するのを防止するためである。
【0056】
ここで、ブレイク溝31,32の加工にレーザを用いる理由は、他の材料に比べて硬いアルミナ基板21例えばブレードを用いて機械的にブレイク溝31,32を形成する場合にはブレードの磨耗によって頻繁にブレードを交換する必要があるのに対し、レーザではこのような不具合がなく、加工時間を短縮することができるからである。
【0057】
また、本実施の形態では、最上層の電極層28は表面側ブレイク溝31に対応した位置まで延びる引出し部7Bを有し、該表面側ブレイク溝31を一次分割した端面に引出し部7Bに接続する外部電極16を設ける構成としている。このため、深さ寸法D0が厚さ寸法T2よりも大きい場合には、表面側ブレイク溝31をレーザを用いて形成するときに、図3中に一点鎖線で示すように表面側ブレイク溝31′が引出し部7Bに到達し、電極層28の引出し部7Bがレーザによって溶融してしまう。この結果、引出し部7Bと外部電極16との間で電気的な接続性が低下し易い傾向がある。
【0058】
これに対し、本実施の形態では、表面側ブレイク溝31の深さ寸法D0は、絶縁保護層29の表面と電極層28との間の厚さ寸法T2よりも小さい値に設定したから、電極層28の引出し部7Bがレーザによって溶融することがなく、引出し部7Bを確実に外部電極16に接続することができ、信頼性を高めることができる。
【0059】
次に、裏面側ブレイク溝32について検討すると、裏面側ブレイク溝32のうち一次分割用ブレイク溝32Aの深さ寸法D1はアルミナ基板21の厚さ寸法T1に対して30%〜50%に設定し、二次分割用ブレイク溝32Bの深さ寸法D2は、一次分割用ブレイク溝32Aの深さ寸法D1以下の値で、かつアルミナ基板21の厚さ寸法T1に対して20%〜35%に設定している。この理由は、ウエハ30の搬送時等に不必要にブレイク溝31,32が割れるのを防止すると共に、一次分割時に二次分割用ブレイク溝32Bの割れを防ぎつつ全ての一次分割用ブレイク溝32Aを割ることができ、二次分割時に全ての二次分割用ブレイク溝32Bを割ることができるようにするためである。
【0060】
即ち、裏面側ブレイク溝32の深さ寸法D1,D2が大き過ぎると、ウエハ30、スティック33の搬送時等に不必要にブレイク溝31,32が割れることがある。一方、裏面側ブレイク溝32の深さ寸法D1,D2が小さ過ぎると、一次分割時または二次分割時に割れないブレイク溝31,32が発生することがあり、一次分割時に2本のスティック33が繋がった2本割れが発生すると共に、二次分割時に2個のチップ1が繋がった2個割れが発生する虞がある。また、一次分割時には一次分割用ブレイク溝31A,32Aが割れるのを許容するものの、二次分割用ブレイク溝31B,32Bが割れるのは防止する必要がある。
【0061】
そこで、裏面側ブレイク溝32の深さ寸法D1,D2の最適な値を調べるために、深さ寸法D1,D2をアルミナ基板21の厚さ寸法T1に対して変化(15%〜67%)させて一次分割および二次分割を行った。その結果を以下の表1に示す。
【0062】
【表1】
【0063】
この結果、一次分割用ブレイク溝32Aと二次分割用ブレイク溝32Bとの深さ寸法D1,D2をいずれもアルミナ基板21の厚さ寸法T1に対して50%以下に設定したときに、一次分割以前のウエハ30の搬送時等にウエハ30が裏面側ブレイク溝32に沿って割れるのを防止できることが分かった。
【0064】
また、一次分割用ブレイク溝32Aの深さ寸法D1をアルミナ基板21の厚さ寸法T1に対して30%以上の値に設定したときに、一次分割時に全ての一次分割用ブレイク溝32Aを分割することができ、分割不良を防止できることが分かった。
【0065】
さらに、二次分割用ブレイク溝32Bの深さ寸法D2を、一次分割用ブレイク溝32Aの深さ寸法D1以下の値で、かつアルミナ基板21の厚さ寸法T1に対して20%〜35%に設定したときに、一次分割時や一次分割後の搬送中等に二次分割用ブレイク溝32Bが割れることがなくなると共に、二次分割時に全ての二次分割用ブレイク溝32Bを確実に分割できることが分かった。
【0066】
以上の結果、一次分割用ブレイク溝32Aの深さ寸法D1をアルミナ基板21の厚さ寸法T1に対して30%〜50%に設定し、二次分割用ブレイク溝32Bの深さ寸法D2を、一次分割用ブレイク溝32Aの深さ寸法D1以下の値で、かつアルミナ基板21の厚さ寸法T1に対して20%〜35%に設定した場合、不必要な分割や分割不良等を防止できることが分かった。
【0067】
かくして、本実施の形態では、ウエハ30の両面に表面側ブレイク溝31と裏面側ブレイク溝32とをそれぞれ設けたから、アルミナ基板21の厚さ寸法T1を従来技術よりも薄い0.1mm〜0.3mmに設定した場合であっても、これらのブレイク溝31,32を用いることによって、斜め割れを防止しつつウエハ30を分割することができる。
【0068】
このため、表面側ブレイク溝31および裏面側ブレイク溝32を0.1mm〜1.5mmの間隔寸法をもって格子状に形成し、外形寸法が0.1mm〜1.5mm程度となる小型の電子部品を製造するときでも、ブレイク溝31,32によって図4中に二点鎖線で示すような斜め割れαを確実に防止できる。この結果、コイル電極8〜11とチップ1端面との間のサイドギャップδが小さいときでも、不必要な電極の露出を防止できると共に、電子部品の外形寸法を寸法公差の範囲内に収めることができ、信頼性、生産性を向上させることができる。
【0069】
また、本実施の形態では、表面側ブレイク溝31と裏面側ブレイク溝32をレーザを用いて形成したから、例えばブレードを用いて機械的にブレイク溝を形成する場合に比べて、磨耗によるブレード交換の手間を省くことができ、ブレイク溝31,32の加工時間を短縮し、生産性を向上させることができる。
【0070】
さらに、表面側ブレイク溝31の深さ寸法D0を絶縁保護層29の表面から最上層の電極層28までの厚さ寸法T2よりも小さい値に設定したから、表面側ブレイク溝31のレーザ加工時にレーザが最上層の電極層28に接触することがなくなる。このため、表面側ブレイク溝31の近傍に電極層28(コイル電極11)の引出し部7Bが配置されるときでも、引出し部7Bの溶融を防止することができる。この結果、引出し部7Bと外部電極16との接続性を高めることができ、チップコイルの信頼性を向上させることができる。
【0071】
また、裏面側ブレイク溝32のうち一次分割用ブレイク溝32Aの深さ寸法D1をアルミナ基板21の厚さ寸法T1に対して30%〜50%に設定し、二次分割用ブレイク溝32Bの深さ寸法D2を、一次分割用ブレイク溝32Aの深さ寸法D1以下の値で、かつアルミナ基板21の厚さ寸法T1に対して20%〜35%に設定したから、ウエハ30の搬送時等に不必要にブレイク溝31,32が割れるのを防止できると共に、一次分割時に全ての一次分割用ブレイク溝32Aを割ることができ、二次分割時に全ての二次分割用ブレイク溝32Bを割ることができる。このため、製造時のウエハ30等の分割不良を防止でき、生産性を向上させることができる。
【0072】
なお、前記実施の形態では、一次分割用ブレイク溝32Aの深さ寸法D1は、アルミナ基板21の厚さ寸法T1に対して30%〜50%に設定し、二次分割用ブレイク溝32Bの深さ寸法D2は、一次分割用ブレイク溝32Aの深さ寸法D1以下の値で、かつアルミナ基板21の厚さ寸法T1に対して20%〜35%に設定するものとした。
【0073】
しかし、本発明はこれに限らず、例えば一次分割用ブレイク溝の深さ寸法は、アルミナ基板の厚さ寸法に対して30%〜50%に設定し、二次分割用ブレイク溝の深さ寸法は、アルミナ基板の厚さ寸法に対して20%〜30%に設定してもよい。また、一次分割用ブレイク溝の深さ寸法は、アルミナ基板の厚さ寸法に対して35%〜50%に設定し、二次分割用ブレイク溝の深さ寸法は、アルミナ基板の厚さ寸法に対して20%〜35%に設定してもよい。
【0074】
また、前記実施の形態では、縦横方向に0.6mm×0.3mmの外形寸法を有するチップコイルを製造する場合について説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば縦横方向に1.0mm×0.5mmの外形寸法を有するチップコイルを製造する場合にも適用でき、0.1mm〜1.5mmの外形寸法(ブレイク溝31,32の間隔寸法)を有する小型の電子部品に対しても広く適用できるものである。
【0075】
また、前記実施の形態では、4層の電極層22,24,26,28と3層の絶縁層23,25,27とを交互に積層するものとしたが、5層以上の電極層と絶縁層と4層以上の絶縁層とを交互に積層する構成としてもよく、3層以下の電極層と2層以下の絶縁層とを交互に積層する構成としてもよい。
【0076】
また、前記実施の形態では、電極層22,24,26,28は厚膜印刷法等を用いて形成するものとしたが、例えば真空蒸着、スパッタ等の薄膜形成法を用いて形成してもよい。
【0077】
さらに、前記実施の形態では、電子部品としてチップコイルを例に挙げて説明したが、コンデンサ、抵抗、複数のストリップ線路が多層に積層された素子等の他の電子部品の製造方法にも広く適用できるものである。
【0078】
【発明の効果】
以上詳述した如く、請求項1の発明によれば、ウエハの両面に表面側ブレイク溝と裏面側ブレイク溝とをそれぞれ設けたから、アルミナ基板の厚さ寸法を従来技術よりも薄い0.1mm〜0.3mmに設定した場合であっても、これらのブレイク溝を用いることによって、斜め割れを防止しつつウエハを分割することができる。また、表面側ブレイク溝と裏面側ブレイク溝をレーザを用いて形成したから、ブレイク溝の加工時間を短縮することができ、生産性を向上させることができる。さらに、表面側ブレイク溝の深さ寸法を絶縁保護層の表面から最上層の電極層までの厚さ寸法よりも小さい値に設定したから、表面側ブレイク溝のレーザ加工時にレーザが最上層の電極層に接触することがなく、電極層の溶融による外部電極との接続不良を防止でき、電子部品の信頼性を向上させることができる。
【0079】
請求項2の発明によれば、裏面側ブレイク溝のうち一次分割用ブレイク溝の深さ寸法をアルミナ基板の厚さ寸法に対して30%〜50%に設定し、二次分割用ブレイク溝の深さ寸法を、一次分割用ブレイク溝の深さ寸法以下の値で、かつアルミナ基板の厚さ寸法に対して20%〜35%に設定したから、各ブレイク溝が不必要に割れるのを防止できると共に、分割不良の発生を防ぐことができ、生産性を向上させることができる。
【0080】
請求項3の発明によれば、最上層の電極層は表面側ブレイク溝に対応した位置まで延びる引出し部を有するから、表面側ブレイク溝をレーザを用いて形成するときに、電極層の引出し部がレーザによって溶融し、引出し部と外部電極との接続性が低下する傾向がある。これに対し、本発明では、表面側ブレイク溝の深さ寸法を絶縁保護層の表面から最上層の電極層までの厚さ寸法よりも小さい値に設定したから、レーザが引出し部に接触するのを防止して、引出し部と外部電極とを確実に接続することができ、電子部品の信頼性を高めることができる。
【0081】
請求項4の発明のように、表面側ブレイク溝および裏面側ブレイク溝を0.1mm〜1.5mmの間隔寸法をもって格子状に形成した場合であっても、ウエハの両面に表面側ブレイク溝と裏面側ブレイク溝をそれぞれ形成するから、斜め割れを防止できる。このため、外形寸法が0.1mm〜1.5mm程度となる小型の電子部品を製造するときでも、不必要な電極の露出を防止できると共に、電子部品の外形寸法を寸法公差の範囲内に収めることができ、信頼性、生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態が適用されるチップコイルを示す斜視図である。
【図2】図1中のチップを分解して示す分解斜視図である。
【図3】図1中のチップコイルを矢示III−III方向からみた断面図である。
【図4】図1中のチップコイルを矢示IV−IV方向からみた断面図である。
【図5】本実施の形態による製造方法を用いてウエハを形成する状態を示す分解斜視図である。
【図6】図5中のウエハを一次分割および二次分割した状態を示す平面図である。
【図7】図6中のウエハを矢示VII−VII方向からみた断面図である。
【符号の説明】
1 チップ
2,21 アルミナ基板
3〜5,23,25,27 絶縁層
6,29 絶縁保護層
7 コイル
7B 引出し部
8〜11 コイル電極(電極層)
15,16 外部電極
22,24,26,28 電極層
30 ウエハ
31 表面側ブレイク溝
32 裏面側ブレイク溝
32A 一次分割用ブレイク溝
32B 二次分割用ブレイク溝
Claims (4)
- アルミナ基板の表面に電極層と絶縁層とを交互に積層し最上層の電極層を絶縁保護層によって覆ったウエハに対して格子状のブレイク溝を形成し、該ブレイク溝のうち互いに平行な一方向に一次分割した後、該一次分割と直交する方向に二次分割して個々の電子部品毎に分離する工程を含む電子部品の製造方法において、
前記アルミナ基板の厚さ寸法は0.1mm〜0.3mmに設定し、
前記ブレイク溝は、前記ウエハの表面に位置してレーザを用いて形成された表面側ブレイク溝と、前記ウエハの裏面に位置して該表面側ブレイク溝と対応する部位にレーザを用いて形成された裏面側ブレイク溝とからなり、
前記表面側ブレイク溝の深さ寸法は、前記絶縁保護層の表面から最上層の電極層までの厚さ寸法よりも小さい値に設定したことを特徴とする電子部品の製造方法。 - 前記裏面側ブレイク溝のうち一次分割用ブレイク溝の深さ寸法はアルミナ基板の厚さ寸法に対して30%〜50%に設定し、二次分割用ブレイク溝の深さ寸法は、該一次分割用ブレイク溝の深さ寸法以下の値で、かつアルミナ基板の厚さ寸法に対して20%〜35%に設定してなる請求項1に記載の電子部品の製造方法。
- 前記最上層の電極層は前記表面側ブレイク溝に対応した位置まで延びる引出し部を有し、該表面側ブレイク溝を一次分割または二次分割した端面に該引出し部に接続する外部電極を設ける構成としてなる請求項1または2に記載の電子部品の製造方法。
- 前記表面側ブレイク溝および裏面側ブレイク溝は0.1mm〜1.5mmの間隔寸法をもって格子状に形成してなる請求項1,2または3に記載の電子部品の製造方法。
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JP2019512169A (ja) * | 2016-02-25 | 2019-05-09 | スリーディー グラス ソリューションズ,インク3D Glass Solutions,Inc | 3dキャパシタ、及び光活性基板を作製するキャパシタアレイ |
-
2002
- 2002-07-15 JP JP2002205760A patent/JP2004047891A/ja active Pending
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