JP2004047604A - 固体電解コンデンサ用陽極体及びこれを用いた固体電解コンデンサ - Google Patents
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Abstract
【課題】陽極体の容積に比べて陽極導出部の容積が小さすぎるためにESRが高くなるという課題を解決し、低ESRの固体電解コンデンサを提供することを目的とする。
【解決手段】陽極体1を構成する弁作用金属箔2の焼結体層3に被覆される平面部の面積が焼結体層3の平面部の面積の1/2以上、および/または弁作用金属箔2の陽極導出部2aの断面積の焼結体層3の断面積に対する割合が10%以上である構成にすることにより、陽極となる弁作用金属箔2と焼結体層3との接合を確実にし、かつ弁作用金属箔2の陽極導出部2aと焼結体層3の接触面積が大きくなってESRを低減し、高周波応答性に優れた固体電解コンデンサが得られる。
【選択図】 図1
【解決手段】陽極体1を構成する弁作用金属箔2の焼結体層3に被覆される平面部の面積が焼結体層3の平面部の面積の1/2以上、および/または弁作用金属箔2の陽極導出部2aの断面積の焼結体層3の断面積に対する割合が10%以上である構成にすることにより、陽極となる弁作用金属箔2と焼結体層3との接合を確実にし、かつ弁作用金属箔2の陽極導出部2aと焼結体層3の接触面積が大きくなってESRを低減し、高周波応答性に優れた固体電解コンデンサが得られる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は各種電子機器に使用される固体電解コンデンサ用陽極体及びこれを用いた固体電解コンデンサに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図5(a),(b)は従来の固体電解コンデンサ14の構成を示した断面図と正面図であり、同図において15は陽極導出線16をその一端が表出するように埋設した弁作用金属粉末からなる成形体を焼結した多孔質の陽極体であり、17,18,19はこの陽極体15の外表面に順次積層形成された誘電体酸化皮膜層、固体電解質層、陰極層である。
【0003】
図6は上記従来の固体電解コンデンサ14を複数個(図6では3個)積層して構成された積層型の固体電解コンデンサの構成を示した断面図であり、同図に示すように複数個の固体電解コンデンサ14を方向を揃えて積層し、固体電解コンデンサ14の陽極導出線16(各陽極導出線16間には接続部材20を介している)ならびに陰極層19に外部陽極端子21aと外部陰極端子21bを夫々接続し、この複数の固体電解コンデンサ14を絶縁性の外装樹脂22で一体に被覆して構成されたものである。
【0004】
また、上記陽極体15を薄形化する方法として、本発明者らが特開2000−306782号公報に開示した技術では、図7(a),(b)に示すように、陽極となる弁作用金属箔23の表裏面に焼結体層24を形成し、この焼結体層24を陽極導出部となる弁作用金属箔23を含めて(打ち抜き)切断することによって固体電解コンデンサ用陽極体を作製するというものであった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記従来の固体電解コンデンサ用陽極体では、図5に示した陽極体15に陽極導出線16を埋設した構成のもの、また図7に示した弁作用金属箔23の外表面に焼結体層24を形成した構成のものの双方共に、陽極体15(焼結体層24)の容積に比べて陽極導出線16(陽極導出部23)の容積が小さすぎるため、これを用いたコンデンサにおいてはESR特性が高くなるという課題を有したものであった。
【0006】
本発明はこのような従来の課題を解決し、ESR特性の低い固体電解コンデンサ用陽極体及びこれを用いた固体電解コンデンサを提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明の請求項1に記載の発明は、陽極となる弁作用金属箔と、この弁作用金属箔の陽極導出部を除く部分を被覆するように形成された弁作用金属からなる焼結体層により構成された固体電解コンデンサ用陽極体において、上記弁作用金属箔の焼結体層に被覆される平面部の面積が焼結体層の平面部の面積の1/2以上である構成にしたものであり、これにより、陽極となる弁作用金属箔と焼結体層との接合を確実にし、かつ弁作用金属箔の陽極導出部と焼結体層の接触面積が大きくなるためにESRを低減し、高周波応答性に優れた固体電解コンデンサを得ることができるという作用効果を有する。
【0008】
本発明の請求項2に記載の発明は、陽極となる弁作用金属箔と、この弁作用金属箔の陽極導出部を除く部分を被覆するように形成された弁作用金属からなる焼結体層により構成された固体電解コンデンサ用陽極体において、上記弁作用金属箔の陽極導出部の断面積の焼結体層の断面積に対する割合が10%以上である構成にしたものであり、これにより、陽極導出部の断面積が増加することによって陽極導出部分のESRが低減するという作用効果を有する。
【0009】
本発明の請求項3に記載の発明は、陽極となる弁作用金属箔と、この弁作用金属箔の陽極導出部を除く部分を被覆するように形成された弁作用金属からなる焼結体層により構成された固体電解コンデンサ用陽極体において、上記弁作用金属箔の陽極導出部の平面部の面積ならびに断面積が焼結体層に被覆された弁作用金属箔の平面部の面積ならびに断面積と少なくとも同じである構成にしたものであり、これにより、陽極導出部分の断面積減少によるESRの増加がないために低ESRの固体電解コンデンサが得られるという作用効果を有する。
【0010】
本発明の請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一つに記載の発明において、弁作用金属箔がタンタル、ニオブ、アルミニウムの少なくとも1つ以上からなる構成にしたものであり、これにより、請求項1〜3に記載の発明により得られる作用効果をより一層効果的に得ることができるという作用効果を有する。
【0011】
本発明の請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の固体電解コンデンサ用陽極体の陽極導出部を除く外表面に誘電体酸化皮膜層、固体電解質層、陰極層を順次積層形成してなる固体電解コンデンサという構成のものであり、これにより、ESRを低減し、高周波応答性に優れた固体電解コンデンサを安定して得ることができるという作用効果を有する。
【0012】
本発明の請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の固体電解コンデンサを複数個積層してなる固体電解コンデンサという構成のものであり、これにより、小型大容量化を図り、かつESRを低減し、高周波応答性に優れた固体電解コンデンサを安定して得ることができるという作用効果を有する。
【0013】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)
以下、実施の形態1を用いて、本発明の特に請求項1,2,4,5に記載の発明について説明する。
【0014】
図1(a),(b)は本発明の実施の形態1による固体電解コンデンサ用陽極体を示した平面図と正面図であり、同図において1は陽極体を示し、この陽極体1はタンタル製の弁作用金属箔2の陽極導出部2aを除く全表面にタンタル製の弁作用金属粉末からなる焼結体層3が被覆形成されて構成されているものである。
【0015】
なお、上記陽極体1を構成する弁作用金属箔2の焼結体層3に被覆される平面部の面積は焼結体層3の平面部の面積の1/2以上、および/または弁作用金属箔2の陽極導出部2aの断面積の焼結体層3の断面積に対する割合は10%以上であるように構成されているものである。
【0016】
図2は上記図1に示した本発明の陽極体1を用いた固体電解コンデンサの構成を示した断面図であり、同図において4は上記陽極体1を用いた固体電解コンデンサを示し、この固体電解コンデンサ4は弁作用金属箔2の陽極導出部2aを除く全表面に形成された焼結体層3の外表面に誘電体酸化皮膜層5、固体電解質層6、ならびにカーボン層と銀ペースト層からなる陰極層7を順次積層形成することにより構成されているものである。
【0017】
次に、このように構成された実施の形態1による固体電解コンデンサ用陽極体ならびにこれを用いた固体電解コンデンサの製造方法について説明すると、まずタンタル製の弁作用金属箔2を予め所定の素子形状に打ち抜き切断したものの一端側を陽極導出部2aとし、この陽極導出部2aを除く部分をペースト状にしたタンタル金属粉末で被覆するように成形した後、これを脱バインダして真空中で焼結して焼結体層3を形成することにより固体電解コンデンサ用陽極体1を作製するものである。
【0018】
続いて、この陽極体1をリン酸溶液中で陽極酸化処理することにより弁作用金属箔2ならびに焼結体層3の表面に誘電体酸化皮膜層5を形成した後、これを硝酸マンガン溶液に浸漬後引き上げて熱分解することにより二酸化マンガンからなる固体電解質層6を、またはピロールモノマー等の導電性高分子を公知の手段で重合させることによりポリピロール等の固体電解質層6を上記誘電体酸化皮膜層5上に形成する。その後、上記固体電解質層6上にカーボン層、銀ペースト層を積層形成して陰極層7を形成することにより固体電解コンデンサ4を作製するものである。
【0019】
このようにして作製された実施例1による固体電解コンデンサ(弁作用金属箔2の焼結体層3に被覆される平面部の面積が焼結体層3の平面部の面積の1/2以上で、かつ弁作用金属箔2の陽極導出部2aの断面積の焼結体層3の断面積に対する割合が10%の構成のもの)と、実施例2として固体電解コンデンサの弁作用金属箔2の陽極導出部2aの断面積を拡大して断面積比率を30%とした構成のものと、従来の固体電解コンデンサ(陽極導出線をその一端が表出するように埋設した弁作用金属粉末からなる成形体を焼結した多孔質の構成のもの)のESR特性を比較した結果を(表1)に示す。
【0020】
【表1】
【0021】
この(表1)から明らかなように、陽極体1を構成する弁作用金属箔2の焼結体層3に被覆される平面部の面積が焼結体層3の平面部の面積の1/2以上、および/または弁作用金属箔2の陽極導出部2aの断面積の焼結体層3の断面積に対する割合が10%以上である構成にすることにより、陽極となる弁作用金属箔2と焼結体層3との接合を確実にし、かつ弁作用金属箔2の陽極導出部2aと焼結体層3の接触面積が大きくなるためにESRを低減し、高周波応答性に優れた固体電解コンデンサ用の陽極体1が得られるということが言えるものである。
【0022】
また、実施例2のように陽極導出部2aの断面積をさらに大きくすれば、ESRをより一層低減することができるため、さらに高周波応答性に優れた固体電解コンデンサ用陽極体を作製することができるものである。
【0023】
なお、本実施の形態では弁作用金属箔ならびに弁作用金属としてタンタルを用いた構成として説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その他の弁作用金属を用いた場合でも同様の作用効果が得られるものである。
【0024】
(実施の形態2)
以下、実施の形態2を用いて本発明の特に請求項6に記載の発明について説明する。
【0025】
本実施の形態は上記実施の形態1により得られた固体電解コンデンサ4を複数個積層した構成とした点が実施の形態1と異なるものであり、これ以外の構成は実施の形態1と同様であるために同一部分には同一の符号を付与してその詳細な説明は省略し、異なる部分についてのみ以下に図面を用いて詳細に説明する。
【0026】
図3は本発明の実施の形態2による固体電解コンデンサの構成を示した断面図であり、本実施の形態2においては3個の固体電解コンデンサ4を積層した構成としており、各固体電解コンデンサ4の積層間は図示しない導電性接着剤により接合されているものである。同図において、8aと8bは固体電解コンデンサ4から表出した弁作用金属箔2の陽極導出部2aと陰極層7に夫々接続された外部陽極端子と外部陰極端子、9は各弁作用金属箔2の陽極導出部2a間を接続する接続部材、10は積層された3個の固体電解コンデンサ4を一体に被覆した絶縁性の外装樹脂である。
【0027】
このように構成された本実施の形態による固体電解コンデンサは、ESR特性の良好な薄型化を図った固体電解コンデンサを複数個積層した構成としているために、薄型化と大容量化を両立し、かつ低ESRを実現した、優れた性能の固体電解コンデンサを提供することができるものである。
【0028】
(実施の形態3)
以下、実施の形態3を用いて本発明の特に請求項3に記載の発明について説明する。
【0029】
図4は本発明の実施の形態3による固体電解コンデンサ用陽極体の構成を示した平面図であり、同図において11は陽極体を示し、この陽極体11はタンタル製の弁作用金属箔12の陽極導出部12aを除く全表面にタンタル製の弁作用金属粉末からなる焼結体層13が被覆形成されて構成されているものである。
【0030】
なお、上記陽極体11を構成する弁作用金属箔12の陽極導出部12aの平面部の面積ならびに断面積が焼結体層13に被覆された弁作用金属箔12の平面部の面積ならびに断面積と少なくとも同じであるように、すなわち、焼結体層13から引き出した弁作用金属箔12の陽極導出部12aの面積を減少させることがないように構成されているものであり、このように構成された本実施の形態による固体電解コンデンサ用陽極体11は、陽極導出部12aの面積の減少がないためにESRを低減させることができるものである。
【0031】
【発明の効果】
以上のように本発明による固体電解コンデンサ用陽極体及びこれを用いた固体電解コンデンサは、陽極体を構成する弁作用金属箔の焼結体層に被覆される平面部の面積が焼結体層の平面部の面積の1/2以上、および/または弁作用金属箔の陽極導出部の断面積の焼結体層の断面積に対する割合が10%以上である構成にすることにより、陽極となる弁作用金属箔と焼結体層との接合を確実にし、かつ弁作用金属箔の陽極導出部と焼結体層の接触面積が大きくなるためにESRを低減し、高周波応答性に優れた固体電解コンデンサが得られるという格別の作用効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)本発明の実施の形態1による固体電解コンデンサ用陽極体を示した平面図
(b)同正面図
【図2】
同陽極体を用いた固体電解コンデンサの構成を示した断面図
【図3】
本発明の実施の形態2による固体電解コンデンサの構成を示した断面図
【図4】
本発明の実施の形態3による固体電解コンデンサ用陽極体の構成を示した断面図
【図5】
(a)従来の固体電解コンデンサの構成を示した断面図
(b)同正面図
【図6】
従来の固体電解コンデンサを複数個積層して構成した固体電解コンデンサの構成を示した断面図
【図7】
(a),(b)従来の固体電解コンデンサ用陽極体の製造方法を示した斜視図
【符号の説明】
1,11 陽極体
2,12 弁作用金属箔
2a,12a 陽極導出部
3,13 焼結体層
4 固体電解コンデンサ
5 誘電体酸化皮膜層
6 固体電解質層
7 陰極層
8a 外部陽極端子
8b 外部陰極端子
9 接続部材
10 外装樹脂
【発明の属する技術分野】
本発明は各種電子機器に使用される固体電解コンデンサ用陽極体及びこれを用いた固体電解コンデンサに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図5(a),(b)は従来の固体電解コンデンサ14の構成を示した断面図と正面図であり、同図において15は陽極導出線16をその一端が表出するように埋設した弁作用金属粉末からなる成形体を焼結した多孔質の陽極体であり、17,18,19はこの陽極体15の外表面に順次積層形成された誘電体酸化皮膜層、固体電解質層、陰極層である。
【0003】
図6は上記従来の固体電解コンデンサ14を複数個(図6では3個)積層して構成された積層型の固体電解コンデンサの構成を示した断面図であり、同図に示すように複数個の固体電解コンデンサ14を方向を揃えて積層し、固体電解コンデンサ14の陽極導出線16(各陽極導出線16間には接続部材20を介している)ならびに陰極層19に外部陽極端子21aと外部陰極端子21bを夫々接続し、この複数の固体電解コンデンサ14を絶縁性の外装樹脂22で一体に被覆して構成されたものである。
【0004】
また、上記陽極体15を薄形化する方法として、本発明者らが特開2000−306782号公報に開示した技術では、図7(a),(b)に示すように、陽極となる弁作用金属箔23の表裏面に焼結体層24を形成し、この焼結体層24を陽極導出部となる弁作用金属箔23を含めて(打ち抜き)切断することによって固体電解コンデンサ用陽極体を作製するというものであった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記従来の固体電解コンデンサ用陽極体では、図5に示した陽極体15に陽極導出線16を埋設した構成のもの、また図7に示した弁作用金属箔23の外表面に焼結体層24を形成した構成のものの双方共に、陽極体15(焼結体層24)の容積に比べて陽極導出線16(陽極導出部23)の容積が小さすぎるため、これを用いたコンデンサにおいてはESR特性が高くなるという課題を有したものであった。
【0006】
本発明はこのような従来の課題を解決し、ESR特性の低い固体電解コンデンサ用陽極体及びこれを用いた固体電解コンデンサを提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明の請求項1に記載の発明は、陽極となる弁作用金属箔と、この弁作用金属箔の陽極導出部を除く部分を被覆するように形成された弁作用金属からなる焼結体層により構成された固体電解コンデンサ用陽極体において、上記弁作用金属箔の焼結体層に被覆される平面部の面積が焼結体層の平面部の面積の1/2以上である構成にしたものであり、これにより、陽極となる弁作用金属箔と焼結体層との接合を確実にし、かつ弁作用金属箔の陽極導出部と焼結体層の接触面積が大きくなるためにESRを低減し、高周波応答性に優れた固体電解コンデンサを得ることができるという作用効果を有する。
【0008】
本発明の請求項2に記載の発明は、陽極となる弁作用金属箔と、この弁作用金属箔の陽極導出部を除く部分を被覆するように形成された弁作用金属からなる焼結体層により構成された固体電解コンデンサ用陽極体において、上記弁作用金属箔の陽極導出部の断面積の焼結体層の断面積に対する割合が10%以上である構成にしたものであり、これにより、陽極導出部の断面積が増加することによって陽極導出部分のESRが低減するという作用効果を有する。
【0009】
本発明の請求項3に記載の発明は、陽極となる弁作用金属箔と、この弁作用金属箔の陽極導出部を除く部分を被覆するように形成された弁作用金属からなる焼結体層により構成された固体電解コンデンサ用陽極体において、上記弁作用金属箔の陽極導出部の平面部の面積ならびに断面積が焼結体層に被覆された弁作用金属箔の平面部の面積ならびに断面積と少なくとも同じである構成にしたものであり、これにより、陽極導出部分の断面積減少によるESRの増加がないために低ESRの固体電解コンデンサが得られるという作用効果を有する。
【0010】
本発明の請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一つに記載の発明において、弁作用金属箔がタンタル、ニオブ、アルミニウムの少なくとも1つ以上からなる構成にしたものであり、これにより、請求項1〜3に記載の発明により得られる作用効果をより一層効果的に得ることができるという作用効果を有する。
【0011】
本発明の請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の固体電解コンデンサ用陽極体の陽極導出部を除く外表面に誘電体酸化皮膜層、固体電解質層、陰極層を順次積層形成してなる固体電解コンデンサという構成のものであり、これにより、ESRを低減し、高周波応答性に優れた固体電解コンデンサを安定して得ることができるという作用効果を有する。
【0012】
本発明の請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の固体電解コンデンサを複数個積層してなる固体電解コンデンサという構成のものであり、これにより、小型大容量化を図り、かつESRを低減し、高周波応答性に優れた固体電解コンデンサを安定して得ることができるという作用効果を有する。
【0013】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)
以下、実施の形態1を用いて、本発明の特に請求項1,2,4,5に記載の発明について説明する。
【0014】
図1(a),(b)は本発明の実施の形態1による固体電解コンデンサ用陽極体を示した平面図と正面図であり、同図において1は陽極体を示し、この陽極体1はタンタル製の弁作用金属箔2の陽極導出部2aを除く全表面にタンタル製の弁作用金属粉末からなる焼結体層3が被覆形成されて構成されているものである。
【0015】
なお、上記陽極体1を構成する弁作用金属箔2の焼結体層3に被覆される平面部の面積は焼結体層3の平面部の面積の1/2以上、および/または弁作用金属箔2の陽極導出部2aの断面積の焼結体層3の断面積に対する割合は10%以上であるように構成されているものである。
【0016】
図2は上記図1に示した本発明の陽極体1を用いた固体電解コンデンサの構成を示した断面図であり、同図において4は上記陽極体1を用いた固体電解コンデンサを示し、この固体電解コンデンサ4は弁作用金属箔2の陽極導出部2aを除く全表面に形成された焼結体層3の外表面に誘電体酸化皮膜層5、固体電解質層6、ならびにカーボン層と銀ペースト層からなる陰極層7を順次積層形成することにより構成されているものである。
【0017】
次に、このように構成された実施の形態1による固体電解コンデンサ用陽極体ならびにこれを用いた固体電解コンデンサの製造方法について説明すると、まずタンタル製の弁作用金属箔2を予め所定の素子形状に打ち抜き切断したものの一端側を陽極導出部2aとし、この陽極導出部2aを除く部分をペースト状にしたタンタル金属粉末で被覆するように成形した後、これを脱バインダして真空中で焼結して焼結体層3を形成することにより固体電解コンデンサ用陽極体1を作製するものである。
【0018】
続いて、この陽極体1をリン酸溶液中で陽極酸化処理することにより弁作用金属箔2ならびに焼結体層3の表面に誘電体酸化皮膜層5を形成した後、これを硝酸マンガン溶液に浸漬後引き上げて熱分解することにより二酸化マンガンからなる固体電解質層6を、またはピロールモノマー等の導電性高分子を公知の手段で重合させることによりポリピロール等の固体電解質層6を上記誘電体酸化皮膜層5上に形成する。その後、上記固体電解質層6上にカーボン層、銀ペースト層を積層形成して陰極層7を形成することにより固体電解コンデンサ4を作製するものである。
【0019】
このようにして作製された実施例1による固体電解コンデンサ(弁作用金属箔2の焼結体層3に被覆される平面部の面積が焼結体層3の平面部の面積の1/2以上で、かつ弁作用金属箔2の陽極導出部2aの断面積の焼結体層3の断面積に対する割合が10%の構成のもの)と、実施例2として固体電解コンデンサの弁作用金属箔2の陽極導出部2aの断面積を拡大して断面積比率を30%とした構成のものと、従来の固体電解コンデンサ(陽極導出線をその一端が表出するように埋設した弁作用金属粉末からなる成形体を焼結した多孔質の構成のもの)のESR特性を比較した結果を(表1)に示す。
【0020】
【表1】
【0021】
この(表1)から明らかなように、陽極体1を構成する弁作用金属箔2の焼結体層3に被覆される平面部の面積が焼結体層3の平面部の面積の1/2以上、および/または弁作用金属箔2の陽極導出部2aの断面積の焼結体層3の断面積に対する割合が10%以上である構成にすることにより、陽極となる弁作用金属箔2と焼結体層3との接合を確実にし、かつ弁作用金属箔2の陽極導出部2aと焼結体層3の接触面積が大きくなるためにESRを低減し、高周波応答性に優れた固体電解コンデンサ用の陽極体1が得られるということが言えるものである。
【0022】
また、実施例2のように陽極導出部2aの断面積をさらに大きくすれば、ESRをより一層低減することができるため、さらに高周波応答性に優れた固体電解コンデンサ用陽極体を作製することができるものである。
【0023】
なお、本実施の形態では弁作用金属箔ならびに弁作用金属としてタンタルを用いた構成として説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その他の弁作用金属を用いた場合でも同様の作用効果が得られるものである。
【0024】
(実施の形態2)
以下、実施の形態2を用いて本発明の特に請求項6に記載の発明について説明する。
【0025】
本実施の形態は上記実施の形態1により得られた固体電解コンデンサ4を複数個積層した構成とした点が実施の形態1と異なるものであり、これ以外の構成は実施の形態1と同様であるために同一部分には同一の符号を付与してその詳細な説明は省略し、異なる部分についてのみ以下に図面を用いて詳細に説明する。
【0026】
図3は本発明の実施の形態2による固体電解コンデンサの構成を示した断面図であり、本実施の形態2においては3個の固体電解コンデンサ4を積層した構成としており、各固体電解コンデンサ4の積層間は図示しない導電性接着剤により接合されているものである。同図において、8aと8bは固体電解コンデンサ4から表出した弁作用金属箔2の陽極導出部2aと陰極層7に夫々接続された外部陽極端子と外部陰極端子、9は各弁作用金属箔2の陽極導出部2a間を接続する接続部材、10は積層された3個の固体電解コンデンサ4を一体に被覆した絶縁性の外装樹脂である。
【0027】
このように構成された本実施の形態による固体電解コンデンサは、ESR特性の良好な薄型化を図った固体電解コンデンサを複数個積層した構成としているために、薄型化と大容量化を両立し、かつ低ESRを実現した、優れた性能の固体電解コンデンサを提供することができるものである。
【0028】
(実施の形態3)
以下、実施の形態3を用いて本発明の特に請求項3に記載の発明について説明する。
【0029】
図4は本発明の実施の形態3による固体電解コンデンサ用陽極体の構成を示した平面図であり、同図において11は陽極体を示し、この陽極体11はタンタル製の弁作用金属箔12の陽極導出部12aを除く全表面にタンタル製の弁作用金属粉末からなる焼結体層13が被覆形成されて構成されているものである。
【0030】
なお、上記陽極体11を構成する弁作用金属箔12の陽極導出部12aの平面部の面積ならびに断面積が焼結体層13に被覆された弁作用金属箔12の平面部の面積ならびに断面積と少なくとも同じであるように、すなわち、焼結体層13から引き出した弁作用金属箔12の陽極導出部12aの面積を減少させることがないように構成されているものであり、このように構成された本実施の形態による固体電解コンデンサ用陽極体11は、陽極導出部12aの面積の減少がないためにESRを低減させることができるものである。
【0031】
【発明の効果】
以上のように本発明による固体電解コンデンサ用陽極体及びこれを用いた固体電解コンデンサは、陽極体を構成する弁作用金属箔の焼結体層に被覆される平面部の面積が焼結体層の平面部の面積の1/2以上、および/または弁作用金属箔の陽極導出部の断面積の焼結体層の断面積に対する割合が10%以上である構成にすることにより、陽極となる弁作用金属箔と焼結体層との接合を確実にし、かつ弁作用金属箔の陽極導出部と焼結体層の接触面積が大きくなるためにESRを低減し、高周波応答性に優れた固体電解コンデンサが得られるという格別の作用効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)本発明の実施の形態1による固体電解コンデンサ用陽極体を示した平面図
(b)同正面図
【図2】
同陽極体を用いた固体電解コンデンサの構成を示した断面図
【図3】
本発明の実施の形態2による固体電解コンデンサの構成を示した断面図
【図4】
本発明の実施の形態3による固体電解コンデンサ用陽極体の構成を示した断面図
【図5】
(a)従来の固体電解コンデンサの構成を示した断面図
(b)同正面図
【図6】
従来の固体電解コンデンサを複数個積層して構成した固体電解コンデンサの構成を示した断面図
【図7】
(a),(b)従来の固体電解コンデンサ用陽極体の製造方法を示した斜視図
【符号の説明】
1,11 陽極体
2,12 弁作用金属箔
2a,12a 陽極導出部
3,13 焼結体層
4 固体電解コンデンサ
5 誘電体酸化皮膜層
6 固体電解質層
7 陰極層
8a 外部陽極端子
8b 外部陰極端子
9 接続部材
10 外装樹脂
Claims (6)
- 陽極となる弁作用金属箔と、この弁作用金属箔の陽極導出部を除く部分を被覆するように形成された弁作用金属からなる焼結体層により構成された固体電解コンデンサ用陽極体において、上記弁作用金属箔の焼結体層に被覆される平面部の面積が焼結体層の平面部の面積の1/2以上である固体電解コンデンサ用陽極体。
- 陽極となる弁作用金属箔と、この弁作用金属箔の陽極導出部を除く部分を被覆するように形成された弁作用金属からなる焼結体層により構成された固体電解コンデンサ用陽極体において、上記弁作用金属箔の陽極導出部の断面積の焼結体層の断面積に対する割合が10%以上である固体電解コンデンサ用陽極体。
- 陽極となる弁作用金属箔と、この弁作用金属箔の陽極導出部を除く部分を被覆するように形成された弁作用金属からなる焼結体層により構成された固体電解コンデンサ用陽極体において、上記弁作用金属箔の陽極導出部の平面部の面積ならびに断面積が焼結体層に被覆された弁作用金属箔の平面部の面積ならびに断面積と少なくとも同じである固体電解コンデンサ用陽極体。
- 弁作用金属箔がタンタル、ニオブ、アルミニウムの少なくとも1つ以上からなる請求項1〜3のいずれか一つに記載の固体電解コンデンサ用陽極体。
- 請求項4に記載の固体電解コンデンサ用陽極体の陽極導出部を除く外表面に誘電体酸化皮膜層、固体電解質層、陰極層を順次積層形成してなる固体電解コンデンサ。
- 請求項5に記載の固体電解コンデンサを複数個積層してなる固体電解コンデンサ。
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