JP2004047569A - 受光素子および回路内蔵型受光装置および光ディスク装置 - Google Patents

受光素子および回路内蔵型受光装置および光ディスク装置 Download PDF

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Tatsuya Morioka
森岡 達也
Shigeki Hayashida
林田 茂樹
Yoshihiko Tani
谷 善彦
Isamu Okubo
大久保 勇
Hideo Wada
和田 秀夫
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Abstract

【課題】短波長光源と共に用いられて、高速動作の光ディスク装置が構成できる受光素子を提供すること。
【解決手段】P型シリコン基板100上のP型半導体層101上に、2つのN型半導体部103,104を備える。P型半導体層101の2つのN型半導体部103,104の間の部分である分割部に光が入射して形成された少数キャリアとしての電子は、この分割部に形成されたP型半導体部107によってP型半導体層101の深さ方向への拡散が抑制されて、迅速にN型半導体部103,104に導かれる。その結果、受光素子の応答速度が向上する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、受光素子および回路内蔵型受光装置および光ディスク装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、光ディスク装置の光ピックアップ部は、半導体レーザの出射光を光学系を介してディスク上に集光し、このディスク上のピットなどによって光強度が変調された反射光を、受光素子で受光している。
【0003】
上記光ピックアップ部の受光素子は、複数の受光部を備える分割型受光素子であり、上記ディスク上で反射した複数の光を上記複数の受光部で受光して、上記ディスクに書き込まれているデータ信号を読み出すと共に、フォーカス信号とサーボ信号を検出している。このフォーカス信号・サーボ信号を用いてフォーカス制御・サーボ制御を行なって、上記ディスクに適切に光を照射している(3ビーム法を用いたCD用ホログラムピックアップ,シャープ技報第42号,P45〜52,1989年)。
【0004】
近年、光ディスク装置は、光ディスクのデータの高密度化に対応するため、青色発光の半導体レーザを光源に用いたものが開発されており、これに伴って、青色光を受光する分割型受光素子の開発が行なわれている。
【0005】
ところで、受光素子の入射光が受光素子内を進む場合、この入射光の波長によって吸収係数が変わるので、受光素子内に入射光によって生じるキャリアの分布パターンが変わる。したがって、このキャリアの分布パターンに応じて受光素子の構造を最適化する必要がある。
【0006】
一般に、光が物質内に入射したとき、この物質内における光の強度Iは、下記の式で表される。
I(x)=Exp(−α・x)
ここで、xは光の入射面からの距離であり、αは吸収係数である。
【0007】
受光素子がシリコンで形成されており、入射光の波長が400nmである場合、この入射光に対する受光素子の吸収係数αは50000cm−1である。また、この入射光について、光強度IがExp(−1)になる場合の入射面からの距離である吸収長は0.2μmである。受光素子への入射光の波長が短くなると、吸収係数αが大きくなるので、入射光によるキャリアは、入射面近傍で生じる割合が増大する。
【0008】
このような入射面近傍に生じるキャリアを効率良く取り出すには、光の吸収長付近にPN接合を形成するのが好ましい。そこで、青色光などの短波長光を受光する受光素子として、光の入射面から浅い位置にPN接合部を配置した分割型受光素子が提案されている(特開平9−213920号公報参照)。
【0009】
しかしながら、この分割型受光素子では、入射面の表面に設けられている入射光の反射防止膜中に電荷が蓄積され、この蓄積された電荷によって、複数の受光部の間の部分である分割部の導電型が反転する。この導電型の反転部分を介して、異常なリーク電流が流れるという不都合がある。
【0010】
このような不都合を解消する受光素子として、特開2001−148503号公報に開示されているようなものがある。この受光素子は、複数の受光部の間の部分である分割部に、上記受光部が接合する半導体層と同一導電型であって上記半導体層よりも高濃度の表面拡散層を設けることによって、上記分割部の導電型の反転を防止して、異常なリーク電流が流れないようにしている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の受光素子は、短波長光源の光ディスク装置に用いた場合、光ディスク装置の動作の高速化が難しいという問題がある。ここで、この受光素子の分割部は、図16で示すように、入射光量が大きくなるに伴って応答速度が遅くなる特性を有する。これは、入射光量が大光量になると、受光素子の分割部における光電流の減衰に時間がかかるようになるからである。このため、信号を消去する状態から信号を読み出す状態に移り、上記分割部への入射光量が大光量から小光量に変化した場合、上記受光素子の分割部は応答速度が遅いままであるので、小光量の光の検出ができず、信号を読み取ることができない。したがって、この受光素子を備えた光ディスク装置は、動作の高速化が困難になる。
【0012】
そこで、本発明の目的は、短波長光源と共に用いられて、高速動作の光ディスク装置が構成できる受光素子を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の受光素子は、第1導電型の第1半導体層と、この第1半導体層上に互いに間隔をおいて形成された第2導電型の複数の第1半導体部とを備える。そして、上記第1半導体層上の少なくとも上記複数の第1半導体部の間に、光で生成された少数キャリアの上記第1半導体層の深さ方向の拡散を抑制する第1導電型の第2半導体部を備える。この受光素子に光が入射して、上記第1半導体層の上記複数の第1半導体部の間で生成された少数キャリアについて、上記第2半導体部によって第1半導体層の深さ方向の拡散が抑制される。したがって、上記少数キャリアは上記第1半導体部に向って迅速に導かれるので、受光素子の応答速度が向上する。
【0014】
例えば、上記受光素子に、大光量の光が入射した後に少光量の光が入射した場合、この小光量の光の入射時には、上記大光量の光による少数キャリアは既に迅速に第1半導体部に導かれており、第1半導体層には殆ど残っていない。したがって、上記小光量の光による少数キャリアは入射時当初から正確に検出されるので、従来におけるような大光量の入射光の後の小光量の入射光の検出が不正確になることが無くて、良好な応答特性が得られる。その結果、大容量の光ディスクを高速に読み書きする光ディスク装置に好適な受光素子が得られる。
【0015】
1実施形態の受光素子は、上記第2半導体部は、上記第1半導体層の表面よりも深い位置に、不純物濃度のピークを有する。
【0016】
上記実施形態によれば、上記第1半導体層の表面よりも深い位置の上記不純物濃度のピークによって、光で生成された少数キャリアに対するバリアが形成される。したがって、光で生成された少数キャリアは、上記不純物濃度のピークの部分を越えて上記第1半導体層の深さ方向に拡散することが効果的に防止され、その結果、受光素子の応答速度が向上する。
【0017】
1実施形態の受光素子は、上記第1半導体層中かつ上記第2半導体部の下方に、上記第1半導体層の不純物濃度よりも高い不純物濃度を有する第1導電型の第3半導体部を備える。
【0018】
上記実施形態によれば、上記第3半導体部によって、上記第1半導体層中の上記第1半導体部の間およびその下方の部分のポテンシャル分布が、光による少数キャリアの第1半導体層の深さ方向への拡散を抑制する分布になる。したがって、上記少数キャリアが第1半導体部に迅速に導かれて、受光素子の応答速度が効果的に向上する。
【0019】
1実施形態の受光素子は、上記第2半導体部または第3半導体部は、上記第1半導体層の表面から、この受光素子への入射光の吸収長の4倍以上30倍以下の間の深さの位置に、不純物濃度のピークを有する。
【0020】
上記実施形態によれば、上記第2半導体部または第3半導体部に、上記入射光の吸収長の4倍以上30倍以下の間の深さの位置に形成された不純物濃度のピークによって、上記第1半導体層の表面から入射した光で生成された少数キャリアの略全てが、上記第1半導体部に迅速に導かれる。したがって、この受光素子の応答速度が効果的に向上できる。
【0021】
1実施形態の受光素子は、上記不純物濃度のピークは、6×1018cm−3以上の濃度である。
【0022】
上記実施形態によれば、上記不純物濃度のピークは、6×1018cm−3以上の濃度であるので、光で生成された少数キャリアに対して効果的にバリアが形成される。したがって、上記不純物濃度のピークよりも第1半導体層の深い側に上記少数キャリアが拡散することが効果的に防止されて、受光素子の応答速度が効果的に向上できる。
【0023】
1実施形態の受光素子は、上記第3半導体部は、上記第1半導体層中かつ上記第2半導体部の直下に挟まれた位置にある。
【0024】
上記実施形態によれば、上記第1半導体層の深い側に上記少数キャリアが拡散されるのを、より効果的に抑制することができる。
【0025】
1実施形態の受光素子は、上記第1半導体層の下側に、この第1半導体層の不純物濃度よりも高い不純物濃度を有する第1導電型の第2半導体層を備える。
【0026】
上記実施形態によれば、上記第1半導体層の下側に設けられた第2半導体層によって、入射光で生成された多数キャリアに対する抵抗が低減される。したがって、受光素子の応答特性が向上できる。
【0027】
1実施形態の受光素子は、少なくとも上記第2半導体層中に形成されて上記第2半導体部の下方に位置すると共に、上記第2半導体層の不純物濃度よりも高い不純物濃度を有する第1導電型の第4半導体部とを備える。
【0028】
上記実施形態によれば、上記第2半導体部の下方に位置する第4半導体部によって、入射光で生成された多数キャリアに対する抵抗が低減される。また、上記第2半導体層中の1領域のみに不純物が高濃度の部分を設けているので、上記第1半導体部と第2半導体層の間の容量増大が回避される。したがって、受光素子の応答特性が効果的に向上する。
【0029】
1実施形態の回路内蔵型受光装置は、上記受光素子と、この受光素子から出力される信号を処理する信号処理回路が、同一半導体基板上に形成されている。
【0030】
上記実施形態によれば、良好な応答特性を有して小型の回路内蔵型受光装置が構成される。
【0031】
1実施形態の光ディスク装置は、上記受光素子または上記回路内蔵型受光装置を用いている。
【0032】
上記実施形態によれば、良好な応答特性を有する上記受光素子または上記回路内蔵型受光装置を備え、大容量の光ディスクを高速に読み書き可能な光ディスク装置が得られる。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0034】
(第1実施形態)
図1(a)は、本発明の第1実施形態の受光素子を示す平面図であり、図1(b)は、図1(a)のI−I’線での断面図である。本実施形態において、配線工程以降に形成される多層配線および層間膜などの説明は省略する。また、図1(a)では、分かり易さのため、反射防止膜109を構成する酸化膜110および窒化膜111は省略している。
【0035】
この受光素子は、ボロン濃度が1×1016cm−3程度のP型シリコン基板100上に、エピタキシャル成長で形成されて、厚みが14〜16μm程度でボロン濃度が1×1014〜1×1015cm−3程度の第1半導体層としてのP型半導体層101を備える。このP型半導体層101の表面に、素子分離を行なうロコス領域102が熱酸化によって形成されている。また、上記P型半導体層101の表面部分に、平面において略矩形状を有すると共に、所定の深さに亘って形成された2つの第1半導体部としてのN型半導体部103,104を備える。このN型半導体部103,104は、イオン注入によって形成され、ヒ素濃度が1×1019〜1×1020cm−3程度であり、厚みが0.1〜0.8μm程度である。このN型半導体部103,104と上記P型半導体層101とでPN接合を形成している。上記N型半導体部103,104の表面に、電流取り出し用のカソード電極105,106が夫々設けられている。
【0036】
上記N型半導体部103,104の間に位置する上記P型半導体層101の部分であって、上記2つのN型半導体部103,104を分割したように隔てている部分(以下分割部という)には、表面から所定の深さに亘ってP型イオンが注入されてなる第2半導体部としてのP型半導体部107を備える。このP型半導体部107は、平面において、上記N型半導体部103,104の間に細長に形成されており、表面に電流取り出し用のアノード電極108が設けられている。また、上記P型半導体層101の裏面には、図示しないアノード電極が設けられている。
【0037】
上記N型半導体部103,104および分割部などの光が照射される部分の表面に、酸化膜110と窒化膜111とで構成された反射防止膜109を配置している。上記酸化膜110と窒化膜111は、熱酸化やCVD(化学気相堆積)法によって形成されている。なお、上記反射防止膜109は、例えば受光素子の表面全体を覆うように、上記光が照射される部分以外の部分に配置してもよい。
【0038】
図2(a)は、上記分割部に形成された上記P型半導体部107における不純物濃度分布を示す図である。上記図2(a)において、横軸は、分割部表面から深さ方向に向う距離(μm)であり、縦軸は、不純物濃度(cm−3)である。図2(a)に示すように、P型半導体部107の不純物濃度は、このP型半導体部107の表面において8×1017cm−3であり、深さ方向に向って増加して、上記表面から0.5μm程度の深さにおいて5×1019cm−3のピークをなすように形成されている。このピークをなす深さを越えると不純物濃度は減少に転じ、表面から1.7μm程度の深さで1×1014cm−3程度の濃度にまで減少する。このような不純物濃度の分布パターンによって、上記P型半導体部107が形成された分割部に、図2(b)に示すようなポテンシャルの分布パターンが形成される。図2(b)において、横軸は、受光素子表面からP型シリコン基板100側に向う距離(μm)であり、縦軸は、ポテンシャル(V)である。図2(b)のポテンシャルについて、受光素子に光が照射されて生成される少数キャリアとしての電子に対するエネルギーは、縦軸の上方向に向うに連れて低くなる。
【0039】
ここで、比較例として、不純物濃度のピークがP型半導体部107の表面にある点のみが本実施形態の受光素子と異なる受光素子を用いて、この比較例の受光素子と本実施形態の受光素子とについて、分割部に光を照射した場合の周波数応答速度を測定した。その結果、本実施形態の受光素子は、分割部の電流値が1%まで減衰する場合の周波数応答速度が、比較例の受光素子におけるよりも約3割改善できて、3nsec(ナノ秒)程度にできた。ここで、分割部において光照射状態の電流値が1%に減衰する場合の応答速度を比較したのは、大光量が照射された際の受光素子の出力電流は、信号を読むときの小光量時に、1%程度まで減衰している必要があるからである。
【0040】
本実施形態の受光素子について、周波数応答速度が改善される理由を以下に詳細に説明する。
【0041】
受光素子の周波数応答速度を決める要因としては、受光素子の容量成分と抵抗成分とで決まるCR時定数と、少数キャリアの拡散時間とがある。特に、少数キャリアの拡散時間に着目して、本実施形態の受光素子と比較例の受光素子とについて、分割部に光を照射した際に生じる少数キャリアとしての電子の濃度分布をシミュレーション計算によって求めた。図3(a)は上記比較例の受光素子の光照射時における電子濃度の分布パターンであり、図3(b)は本実施形態の受光素子の光照射時における電子濃度の分布パターンである。図3(a),(b)は、図1(b)に示した受光素子の中央から右半分の部分の断面について、電子濃度の分布を所定の間隔の等高線で示している。
【0042】
図3(a)から分かるように、比較例では、分割部のP型半導体部107周辺において、電子濃度の高い部分が表面から下方に広範囲に分布している。したがって、上記P型半導体部107から、P型半導体層101の下側に向う電子の拡散量が本実施形態よりも多いといえる。これは、比較例では、不純物濃度のピークがP型半導体部107の表面にあり、この不純物濃度は受光素子の下側に向うに連れて減少しており、これによって、電子に対するポテンシャルが下側に向うに連れて低くなるからである。したがって、分割部の表面近傍に生成された少数キャリアとしての電子は、受光素子の下側に向って拡散し易くなる。その結果、上記電子が、分割部の表面近傍から、P型半導体層101中のN型半導体部103の下側に形成される空乏層までに至る経路が矢印Aで示すように比較的長くなって、周波数応答時間が長くなるのである。
【0043】
これに対して、本実施形態の発光素子では、図3(b)に示すように、少数キャリアとしての電子の濃度が高い領域は、分割部の表面近傍のみに限られる。これは、不純物濃度のピークがP型半導体部107の表面よりも深い位置にあり、これによって、電子に対するポテンシャルが一旦高くなるからである。このポテンシャルが一旦高くなる部分が、電子に対するバリアとなり、少数キャリアの電子が受光素子の下側に拡散することが抑制される。したがって、上記電子が分割部の表面近傍から空乏層に到る経路が矢印Bで示すように比較的短くなって、周波数応答速度が改善できるのである。
【0044】
なお、上記分割部に光が照射されていないとき、P型半導体層101に形成される空乏層が、N型半導体部103の下側からP型半導体部107の下方に及ぶ場合であっても、上記分割部に照射される光の量が増加すると、この分割部の表面近傍に生成されるキャリアが増加することによって、上記P型半導体部107の下方の空乏層は縮小する。したがって、少数キャリアとしての電子が受光素子の下側に向って拡散することは抑制されないので、上記P型半導体部107の下方の空乏層の有無に拘らず、P型半導体部107は、不純物濃度が表面よりも深い位置にピークを有する分布パターンをなすように形成されるのが好ましい。
【0045】
本実施形態において、上記P型シリコン基板100、P型半導体層101、N型半導体部103,104、および、P型半導体部107の不純物濃度の値は単なる例示であり、他の不純物濃度の値であってもよい。要は、上記P型半導体部107の不純物濃度の分布パターンが、表面よりも深い位置にピークを有していればよい。
【0046】
上記実施形態において、P型をN型に、N型をP型に形成してもよい。この場合、分割部で生成される少数キャリアとしての正孔が、この分割部のN型半導体部の不純物濃度の分布形状によって、受光素子の下方への拡散が抑制され、これによって、応答速度が改善できる。
【0047】
(第2実施形態)
図4(a)は、本発明の第2実施形態の受光素子を示す平面図であり、図4(b)は、図4(a)のIII−III’線での断面図である。本実施形態において、配線工程以降に形成される多層配線および層間膜などの説明は省略する。また、図4(a)では、分かり易さのため、反射防止膜211を構成する酸化膜212および窒化膜213は省略している。
【0048】
この受光素子は、ボロン濃度が1×1014cm−3程度のP型シリコン基板200上に、厚みが14〜16μm程度でボロン濃度が1×1014〜1×1015cm−3程度の第2半導体層としての第1P型半導体層201と、厚みが2〜3μm程度でボロン濃度が1×1013〜1×1015cm−3程度の第1半導体層としての第2P型半導体層202とを順に備える。この第2P型半導体層202の表面部分に、平面において略矩形状を有すると共に、所定の深さ亘って形成された2つの第1半導体部としてのN型半導体部203,204を備える。このN型半導体部203,204は、リン濃度が1×1018〜1×1019cm−3程度であり、厚みが0.1〜0.8μm程度である。上記N型半導体部203,204の表面に、電流取り出し用のカソード電極205,206が夫々設けられている。
【0049】
また、上記N型半導体部203,204の間に位置する上記第2P型半導体層202の部分であって、上記2つのN型半導体部203,204を分割したように隔てている分割部には、表面から所定の深さに亘って形成された第2半導体部としての第1P型半導体部207を備える。この第1P型半導体部207は、平面において、上記N型半導体部203,204の間に細長に形成されており、表面に電流取り出し用のアノード電極208が設けられている。上記第1P型半導体部207は、表面の不純物濃度が高く形成されている。
【0050】
そして、上記第1P型半導体層201と第2P型半導体層202との境界、かつ、上記第1P型半導体部207の下方に、第3半導体部としての第2P型半導体部208が形成されている。
【0051】
上記第1P型半導体層201の裏面には、図示しないアノード電極が形成され、上記第2P型半導体層202の表面には、素子分離を行なうためのロコス領域210が形成されている。また、上記N型半導体部203,204および分割部などの光が照射される部分の表面に、酸化膜212と窒化膜213とで構成された反射防止膜214を配置している。
【0052】
図5は、上記第1P型半導体部207および第2P型半導体部208が形成された分割部におけるポテンシャルの分布パターンを示した図である。このポテンシャルの分布パターンは、上記分割部の表面付近に位置する第1P型半導体部207と、この第1P型半導体部207の下方の第2P型半導体部208とによって形成される。図5において、横軸は、分割部表面からP型シリコン基板200側、つまり、受光素子の下面側に向う距離(μm)であり、縦軸は、ポテンシャル(V)である。図5に示すように、このポテンシャルは、上記分割部表面から下側に向うに連れて増加して、0.4μm程度の深さにおいてピークをなす一方、このピークを過ぎて表面から2.2μm程度に至るまで減少する分布形状を有する。
【0053】
本実施形態の受光素子に光が照射され、上記分割部の表面近傍に少数キャリアとしての電子が生成されると、この電子は、上記ポテンシャルの分布形状のピークに捕集され、その結果、受光素子の下側への電子の拡散が抑制される。したがって、上記電子は、分割部の表面近傍からN型半導体部203,204に比較的短い経路を通って到達するので、周波数応答時間が改善されて、良好な応答特性が得られる。
【0054】
また、本実施形態の受光素子は、少数キャリアを、受光素子の表面より所定の深さに生成されるポテンシャル分布のピークに捕集するので、少数キャリアが受光素子の表面に拡散して生じる表面再結合に起因する感度の低下が防止できる。
【0055】
なお、上記第1P型半導体層201および第2P型半導体層202は、1層のP型半導体層であってもよい。この場合、上記1層のP型半導体層の中に、例えば高エネルギーのイオン注入によって、上記第1P型半導体部207の下方に位置するように第2P型半導体部208を形成すればよい。
【0056】
また、本実施形態において、上記P型シリコン基板200、第1P型半導体層201、第2P型半導体層202、および、N型半導体部203,204の不純物濃度の値は他の値であってもよい。
【0057】
また、上記実施形態において、P型をN型に、N型をP型に形成してもよい。
【0058】
(第3実施形態)
図6(a)は、本発明の第3実施形態の受光素子について、波長が400nmの光が入射した場合の受光素子中における光の強度分布を示した図である。この受光素子の構造は、第1実施形態の受光素子の構造と同様である。ここで、発光素子の吸収長は0.2μmである。図6(a)において、横軸は受光素子表面からの距離(μm)であり、縦軸は受光素子表面での値が1であるとした規格値で表した光強度である。
【0059】
図6(b)は、上記受光素子中で光によって生成されるキャリアについて、受光素子の表面から所定距離までの累積値を曲線で示した図である。図6(b)において、横軸は、受光素子の表面からの距離(μm)であり、縦軸は、受光素子表面から所定距離でのキャリアの累積値であり、受光素子中で生成される全キャリア数によって規格化した値で示している。
【0060】
受光素子に光が入射すると、まず、受光素子中における光の強度分布に応じてキャリアが生成される。その後、上記キャリアは拡散やドリフトによって移動し、各電極から取り出される。したがって、上記第1実施形態の受光素子では、少数キャリアとしての電子の拡散を効果的に抑制できるポテンシャル分布パターンをなすように、上記P型半導体部107の形成位置および不純物濃度分布を設定している。また、第1実施形態で示したように、分割部における光照射状態の電流値が1%に減衰するときの応答速度が、信号読取りの高速化のために重要である。
【0061】
したがって、上記受光素子に入射する光で生成される全電子の99%以上が、上記受光素子の下側に拡散しないようにポテンシャル分布を形成すればよい。そのためには、図6(b)から分かるように0.8μm程度の位置にポテンシャル分布のピークを形成するようにすればよい。すなわち、この受光素子の吸収長である0.2μmの4倍以上の深さに、不純物濃度のピークが位置すればよい。
【0062】
また、本実施形態の構造を用いていない図3(a)では、ピークキャリア濃度1×1017cm−3の少数キャリア数が最大値の1%となる深さは、吸収長の30倍程度である約6μm程度である。したがって、P型半導体部を形成する深さとして吸収長の30倍以下にすることによって、本発明の効果が得られる。
【0063】
例えば波長が400nmの光に対しては、吸収長が0.2μmである場合、分割部のP型半導体部のピーク濃度は、0.8μm以上6μm以下の位置に形成するのがよい。
【0064】
本実施形態では、第1実施形態の受光素子についてP型半導体部の不純物濃度のピークの位置を設定したが、第2実施形態の受光素子について、第2P型半導体部の不純物濃度のピークに関しても、同様に設定することができる。
【0065】
(第4実施形態)
図7(a)は、本発明の第4実施形態の受光素子について、分割部に光を照射した際、少数キャリアとして生成される電子の濃度の分布を示した図である。この受光素子は、第2実施形態の受光素子と同様の構造を有し、第2P型半導体部208の表面の不純物濃度を1×1018cm−3にしている点のみが第2実施形態の受光素子と異なる。図7(b)は、第2実施形態の受光素子の光照射時における電子の濃度分布を示す図であり、第2P型半導体部208の表面の不純物濃度は1×1019cm−3である。図7(a),(b)は、図3(a),(b)と同様に、受光素子の中央から右半分の部分の断面について、電子濃度の分布を所定の間隔の等高線で示している。
【0066】
図7(b)の受光素子では、図7(a)の受光素子よりも、第2P型半導体部208を形成した部分および第2P型半導体部208の下側部分において、電子の濃度が少なくなっている。この理由は、図7(a)では第2P型半導体部の表面濃度が低くて電子に対するポテンシャルバリアが低いので、このポテンシャルバリアを電子が熱的に越えて、矢印Cで示すように電子が流れて、第2P型半導体部の下側部分に蓄積するからである。
【0067】
図8は、上記第2P型半導体部208の不純物濃度を変えた場合、この第2P型半導体部208によって形成されるポテンシャルを熱的に越える電子の割合を計算し、その結果を示した図である。図8において、横軸は第2P型半導体部208の不純物濃度であり、縦軸は少数キャリアとしての全電子数を1とした場合の上記第2P型半導体部208で形成されるポテンシャルを熱的に越える電子の割合である。図8から分かるように、上記第2P型半導体部208のポテンシャルを熱的に超える電子の割合を1%以下にするためには、この第2P型半導体部の不純物濃度を6×1018cm−3以上とするのが好ましい。
【0068】
以上のようにして、光照射時に表面近傍で発生する少数キャリアとしての電子が第2P型半導体部を熱的に超え、この第2P型半導体部の下側に蓄積することを抑制することができる。したがって、この受光素子は、蓄積された電子が光照射の後に空乏層まで拡散する成分が小さいので、周波数応答速度を効果的に向上することができる。
【0069】
(第5実施形態)
本実施形態では、第2実施形態の受光素子と同様の構造の受光素子について、第2P型半導体部208の寸法を変えた場合の周波数応答速度の変化を調べた。第2実施形態の受光素子では、図9に示すように、分割部の幅方向中央からN型半導体部203の分割部側の端までの距離dと、分割部の幅方向中央から第2P型半導体部208の端までの距離xとについて、x=d/2=2μmの関係を満す。この受光素子で、光照射時に、図7(b)に示すように電子濃度が分布する。一方、上記第2P型半導体部208の寸法を、x=d=4μmの関係を満たすように受光素子を形成する。この第2P型半導体部の不純物濃度は1×1019cm−3に形成した。この受光素子の光照射時の電子濃度の分布は、図10に示すようになる。
【0070】
第2実施形態の受光素子では、上記第2P型半導体部208の幅が、2つのN型半導体部203,204の互いに隔てられた距離の半分程度であるので、図7(b)に示すように、光照射時に生成される少数キャリアとしての電子が、上記第2P型半導体部208とN型半導体部203,204との間を通って上記第2P型半導体部208の下部に蓄積してしまう。
【0071】
一方、本実施形態の受光素子では、上記第2P型半導体部208の幅を、2つのN型半導体部203,204が互いに隔てられた距離と略同じに形成したので、光照射時の電子は、第2P型半導体部208とN型半導体部203,204との間を通って拡散し難い。したがって、上記第2P型半導体部208の下方に少数キャリアの電子が蓄積することが効果的に防止され、その結果、光照射後に、上記蓄積された電子が空乏層に拡散されることによって受光素子の周波数応答速度が低下する不都合が、効果的に回避できる。
【0072】
ここにおいて、上記xをdよりも大きくして、第2P型半導体部208の幅を2つのN型半導体部203,204の間隔よりも大きくすると、カソード領域に、上記N型半導体部203,204と第2P型半導体部208とによるPN接合が形成される。これによって、カソード領域における素子容量が増大して、受光素子の周波数応答速度が低下してしまう。したがって、第2P型半導体部の幅xは、N型半導体部203,204が互いに隔てられた距離dと略同じに形成するのが好ましい。
【0073】
(第6実施形態)
図11(a)は、本発明の第6実施形態の受光素子の平面図であり、図11(b)は、図11(a)の受光素子のV−V’線における断面図である。本実施形態において、メタル配線の処理工程以降に形成される例えば多層配線や層間膜などは説明を省略する。また、図11(a)では、分かり易さのため、反射防止膜311を構成する酸化膜312および窒化膜313は省略している。
【0074】
この受光素子は、ボロン濃度が1×1015cm−3程度のP型シリコン基板300上に、厚みが1μm程度でボロン濃度が1×1018cm−3程度の第1P型半導体層301と、厚みが14〜16μm程度でボロン濃度が1×1014〜1×1015cm−3程度の第2半導体層としての第2P型半導体層302と、厚みが2〜3μm程度でボロン濃度が1×1013〜1×1015cm−3程度の第1半導体層としての第3P型半導体層303とを順に備える。この第3P型半導体層303の表面部分に、平面において略矩形状を有すると共に、所定の深さ亘って形成された2つの第1半導体部としてのN型半導体部313,314を備える。このN型半導体部313,314は、ヒ素濃度が1×1019〜1×1020cm−3程度であり、厚みが0.1〜0.8μm程度である。上記N型半導体部313,314の表面に、電流取り出し用のカソード電極315,316が夫々設けられている。
【0075】
また、上記N型半導体部313,314の間に位置する上記第3P型半導体層303の部分である分割部には、表面から所定の深さに亘って形成された第2半導体部としての第1P型半導体部307を備える。この第1P型半導体部307は、平面において、上記N型半導体部313,314の間に細長に形成されている。また、上記第2P型半導体層302と第3P型半導体層303との境界、かつ、上記第1P型半導体部307の下方に、第3半導体部としての第2P型半導体部308が形成されている。
【0076】
また、上記第3P型半導体層303の表面から上記第3P型半導体層303と第2P型半導体層302とを厚み方向に横切って第1P型半導体層301に達するP型半導体領域306が、平面において、上記N型半導体部313,314を囲むように形成されている。このP型半導体領域306によって、受光素子の表面に、上記第1P型半導体層301にコンタクトが得られるようにしている。
【0077】
上記第1P型半導体層301の裏面には、図示しないアノード電極が形成され、上記第3P型半導体層303の表面には、素子分離を行なうためのロコス領域319が形成されている。また、上記N型半導体部313,314および分割部などの光が照射される部分の表面に、酸化膜322と窒化膜323とで構成された反射防止膜324を配置している。
【0078】
上記構成の受光素子によれば、上記第3P型半導体層303よりも不純物濃度が高い第1P型半導体層301をP型シリコン基板300上に備えることによって、多数キャリアとしての正孔に対するアノード抵抗が低減できる。したがって、上記第3P型半導体層303の分割部で光によって生成された正孔が、速やかにP型シリコン基板300側に導かれるので、受光素子の周波数応答速度が更に向上できる。
【0079】
(第7実施形態)
図12は、本発明の第7実施形態の受光素子を示す断面図である。この受光素子は、第6実施形態の受光素子と比較して、第2P型半導体部308の下方に、第4半導体部としての第3P型半導体部309を備える点のみが異なる。第1P型半導体層301は、上記第3P型半導体部309によって図12に示すように左右に分離されている。第6実施形態の受光素子と同一の部分には同一の参照番号を付して、詳細な説明を省略する。
【0080】
本実施形態の受光素子は、厚み方向において、P型シリコン基板300と第1P型半導体層301と第2P型半導体層302とに亘ると共に、幅方向において、第2P型半導体部308の下方に位置するように、第3P型半導体部309が設けられている。この第3P型半導体部309は、1×1019cm−3程度のボロン濃度を有し、上記P型シリコン基板300、第1P型半導体層301および第2P型半導体層302よりも高い不純物濃度を有するように形成されている。これによって、上記第3P型半導体層303の分割部で生成される多数キャリアとしての正孔に対して、アノード抵抗をさらに低くできて、周波数応答速度を更に向上できる。このとき、カソードであるN型半導体部313,314の下方に位置する第1P型半導体層301は、不純物濃度が上記第3P型半導体部309よりも低いので、この第1P型半導体層301の不純物は、第2P型半導体層302および第3P型半導体層303に拡散し難い。これによって、上記第2P型半導体層302および第3P型半導体層303中に形成される空乏層の幅が制限されることがない。その結果、カソードの容量を低くすることができて、受光素子の周波数応答速度が効果的に向上できる。
【0081】
なお、第3P型半導体層303の分割部下方に形成される第1P型半導体部307、第2P型半導体部308および第3P型半導体部309の不純物濃度は、濃度分布が互いに重なり合うのが好ましい。これによって、多数キャリアとしての正孔に対するアノード抵抗を効果的に低減できる。
【0082】
また、上記第3P型半導体部309は、上記分割部の下方であれば、どこに形成してもよい。
【0083】
(第8実施形態)
図13は、本発明の第8実施形態の回路内蔵型受光装置を示す断面図である。この回路内蔵型受光装置は、本発明の受光素子Dと、この受光素子から出力された信号を処理する信号処理回路としてのバイポーラトランジスタTとを、同一の半導体基板上に形成して構成している。なお、図13において、メタル配線の処理工程以降の工程で形成される例えば多層配線や層間膜などは省略している。
【0084】
本実施形態の回路内蔵型受光装置は、ボロン濃度が1×1015cm−3程度のシリコン基板400上に、厚みが1〜2μmでボロン濃度が1×1018〜1×1019cm−3程度の第1P型半導体層401と、厚みが15〜16μmでボロン濃度が1×1013〜1×1014cm−3程度の第2P型半導体層402とが形成されている。この第2P型半導体層402上であって、トランジスタTが形成される部分に、NPNトランジスタのコレクタとなるN型拡散層403が設けられている。また、上記第2P型半導体層402上であって、受光素子Dが形成される部分に、第2P型半導体部404が設けられている。上記第2P型半導体層402上に、厚みが1〜2μmでボロン濃度が1×1014〜1×1015cm−3程度の第3P型半導体層405が形成されている。この第3P型半導体層405の表面付近には、素子分離を行うための複数のロコス領域406,406・・・が形成されている。
【0085】
上記第3P型半導体層405の表面部分であって、受光素子Dの形成領域には、リン濃度が1×1019〜1×1020cm−3程度で接合深さが0.3〜0.8μm程度の2つのN型半導体領域407,408が形成されている。この2つのN型半導体領域407,408の間には、ボロン濃度が1×1018cm−3程度で幅が2μm程度の第1P型半導体部409が形成されている。この第1P型半導体部409の下方に、上記第2P型半導体部404が位置している。
【0086】
また、上記第3P型半導体層405上であって光が照射される領域には、シリコン酸化膜410とシリコン窒化膜411とからなる反射防止膜412が配置されている。なお、この反射防止膜412は、第3P型半導体層405上の光が照射されない領域に亘って配置されていてもよい。
【0087】
また、この回路内蔵型受光装置の表面側において、上記第1P型半導体層401とコンタクトを得るためのP型半導体領域413,413が、上記第2P型半導体層402および第3P型半導体層405を厚み方向に横断するように形成されている。上記P型半導体領域413,413は、1×1018〜1×1019cm−3程度のボロン濃度を有する。
【0088】
上記第3P型半導体層405のトランジスタT形成領域には、リン濃度が2×1015〜2×1016cm−3程度のN型ウェル領域414が形成されている。このN型ウェル領域414に隣接して、トランジスタTのコレクタコンタクト417として働くリン濃度が1×1019〜2×1019cm−3程度のN型半導体領域が形成されている。
【0089】
上記N型ウェル領域414の一部に、ボロン濃度が1×1017〜2×1017cm−3程度のP型半導体層によるトランジスタTのベース415と、ヒ素を注入したポリシリコン膜(図示せず)シリコンからの固層拡散で形成されたN型半導体層によるエミッタ416とが形成されている。
【0090】
そして、受光素子D部分について、図示しないカソード電極とアノード電極427が形成され、トランジスタT部分について、コレクタ電極429、ベース電極430およびエミッタ電極431が形成されている。
【0091】
上記構成の回路内蔵型受光装置によれば、共通の基板400上に受光素子DおよびトランジスタTを形成する場合に特有な不都合を、効果的に防止できる。より詳しくは、第2のP型半導体層402上に、トランジスタT部分のコレクタとしてのN型拡散層403が形成されることなどにより、受光素子D部分の第2のP型半導体層402上にもN型不純物が拡散する。この拡散したN型不純物によって、受光素子D部分の第2P型半導体層402の表面に、いわゆるオートドープ層500が形成される。この受光素子D部分に第2P型半導体部404が設けられていない場合、上記オートドープ層500は、図14(a)に示すように形成される。図14(a)は、回路内蔵型受光装置の受光素子のみを示している。この場合、N型半導体部407,408から第3P型半導体層405および第2P型半導体層402に向って形成される空乏層501,501が、上記オートドープ層500に接することによって、カソード−カソード間に異常なリーク電流が生じる。しかしながら、本実施形態の回路内蔵型受光装置では、上記受光素子D部分の第2P型半導体層402上に、比較的濃度が高い第2P型半導体部404を備えるので、図14(b)に示すように、上記第2P型半導体部404にはオートドープ層500が形成されない。したがって、上記オートドープ層500を介してカソード間が繋がることが回避されて、カソード−カソード間の異常リーク電流が防止できる。
【0092】
また、本実施形態の回路内蔵型受光装置は、分割部の表面付近の少数キャリアが、光照射後に迅速に空乏層に拡散されるので、特に大光量時の応答速度が効果的に向上できる。その結果、大光量の光の後に小光量の光が入射した場合、大光量の入射光による少数キャリアは分割部の表面付近には殆ど残っていないので、小光量の光による信号が正確に検出できる。その結果、大容量光ディスクの高速読み書きに好適な回路内蔵型受光装置が得られる。
【0093】
本実施形態において、NPN型トランジスタを用いたが、PNP型トランジスタを用いてもよく、また、NPN型とPNP型との両方のトランジスタを用いてもよい。また、トランジスタ構造は、本実施形態の構造に限定されることなく、他の構造を用いることができる。また、信号処理回路を形成するトランジスタの個数は何個でもよい。さらに、トランジスタに限られず、他の素子を用いて信号処理回路を構成してもよい。
【0094】
(第9実施形態)
図15は、本発明の第9実施形態の光ディスク装置を示す図である。この光ディスク装置は、本発明の実施形態の受光素子606を備える。
【0095】
この光ディスク装置は青色発光の半導体レーザ600を備え、この半導体レーザ600から出射した光が、トラッキングビーム生成用の回折格子601によって、信号読み出し用の1つの主ビームと、トラッキング用の2つの副ビームとの3つの光ビームに分けられる。そして、これらの光は、ホログラム素子602を0次光として透過し、コリメートレンズ603で平行光に変換された後、対物レンズ604によってディスク605上に集光される。この集光された光は、ディスク605で反射すると共にディスク605上に形成されたピットによって光強度が変調され、対物レンズ604及びコリメートレンズ603を透過した後、ホログラム素子602で回折され、この1次光成分が、分割型受光素子606が有するD1からD5の5つの受光面に入射する。そして、この5つの受光面からの出力を加減算することによって、信号読み出し用の信号とトラッキング用の信号を得る。
【0096】
上記分割型受光素子606は、本発明の実施形態の受光素子であり、良好な周波数応答速を有するので、入射光の光量が高速かつ大変化量で変化した場合においても、その変化する光量を正確に検出できる。したがって、高密度の光ディスクを高速で読み書き可能な光ディスク装置が構成できる。
【0097】
なお、上記分割型受光素子606は、5つ以外の何個の受光面を備えてもよい。また、その受光面は、どのような形状をなして配置されていてもよい。
【0098】
また、他の構成の光学系によって、上記半導体レーザの出射光を光ディスク605に集光し、その反射光を受光素子606に導いてもよい。
【0099】
また、上記半導体レーザ600は、青以外の赤、赤外などの他の色の波長の光を出射してもよい。この場合、分割型受光素子606では、光の吸収係数を考慮し、光キャリアが生成される位置に対応して分割部の不純物濃度の分布パターンを調節することによって、良好な周波数応答速度が得られる。
【0100】
また、上記受光素子606は、短波長の光に対して良好な特性を有すると共に、比較的深い領域で光キャリアが生成される赤、赤外などの長波長の光についても比較的良好な感度を有するので、多波長光源を用いた読出し/書き込み可能な光ディスク装置に用いることができる。
【0101】
また、上記実施形態の受光素子および回路内蔵型受光装置は、導電型を逆に形成してもよい。つまり、N型とP型とを入れ換えて形成してもよい。
【0102】
【発明の効果】
以上より明らかなように、本発明の受光素子によれば、第1導電型の第1半導体層と、この第1半導体層上に互いに間隔をおいて形成された第2導電型の複数の第1半導体部とを備え、上記第1半導体層上の少なくとも上記複数の第1半導体部の間に、光で生成された少数キャリアの上記第1半導体層の深さ方向の拡散を抑制する第1導電型の第2半導体部を備えるので、この受光素子の入射光によって生成された少数キャリアについて、上記第1半導体層の上記複数の第1半導体部の間において、第1半導体層の深さ方向の拡散が抑制できる。したがって、上記少数キャリアを上記第1半導体部に迅速に導いて、受光素子の応答速度を効果的に向上できる。その結果、大容量の光ディスクを高速に読み書きする光ディスク装置に好適な受光素子が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)は、本発明の第1実施形態の受光素子の平面図であり、図1(b)は、図1(a)のI−I’線での断面図である。
【図2】図2(a)は、分割部の不純物濃度分布を示す図であり、図2(b)は、分割部のポテンシャルの分布パターンを示す図である。
【図3】図3(a)は比較例の受光素子における電子濃度の分布パターンであり、図3(b)は本実施形態の受光素子における電子濃度の分布パターンである。
【図4】図4(a)は、第2実施形態の受光素子を示す平面図であり、図4(b)は、図4(a)のIII−III’線での断面図である。
【図5】第2実施形態の受光素子の分割部におけるポテンシャルの分布パターンを示した図である。
【図6】図6(a)は、第3実施形態の受光素子について、波長が400nmの光が入射した場合の光の強度分布を示した図であり、図6(b)は、光で生成されるキャリアについて、受光素子の表面からの累積値を示した図である。
【図7】図7(a)は、第4実施形態の受光素子について、光照射時に分割部に生成される電子の濃度分布を示す図であり、図7(b)は、第2実施形態の受光素子の光照射時の電子の濃度分布を示す図である。
【図8】第2P型半導体部について、不純物濃度を変えた場合にポテンシャルを熱的に越える電子の割合の変化を示した図である。
【図9】第5実施形態の受光素子を示す断面図である。
【図10】第5実施形態の受光素子の光照射時における電子濃度分布を示す図である。
【図11】図11(a)は、本発明の第6実施形態の受光素子の平面図であり、図11(b)は、図11(a)のV−V’線における断面図である。
【図12】第7実施形態の受光素子を示す断面図である。
【図13】第8実施形態の回路内蔵型受光装置を示す断面図である。
【図14】図14(a)は、第2P型半導体部が無い受光素子部分を示す図であり、図14(b)は、第2P型半導体部を有する受光素子部分を示す図である。
【図15】第9実施形態の光ディスク装置を示す図である。
【図16】従来の受光素子について、分割部への入射光量の変化に対する応答速度の変化を示した図である。
【符号の説明】
101 P型半導体層
103 N型半導体部
104 N型半導体部
107 P型半導体部
201 第1P型半導体層
202 第2P型半導体層
203 N型半導体部
204 N型半導体部
207 第1P型半導体部
208 第2P型半導体部
301 第1P型半導体層
302 第2P型半導体層
303 第3P型半導体層
307 第1P型半導体部
308 第2P型半導体部
309 第3P型半導体部
313 N型半導体部
314 N型半導体部
D 受光素子
T トランジスタ
606 分割型受光素子

Claims (10)

  1. 第1導電型の第1半導体層と、この第1半導体層上に互いに間隔をおいて形成された第2導電型の複数の第1半導体部とを備える受光素子において、
    上記第1半導体層上の少なくとも上記複数の第1半導体部の間に、光で生成されたキャリアの上記第1半導体層の深さ方向の拡散を抑制する第1導電型の第2半導体部を備えることを特徴とする受光素子。
  2. 請求項1に記載の受光素子において、
    上記第2半導体部は、上記第1半導体層の表面よりも深い位置に、不純物濃度のピークを有することを特徴とする受光素子。
  3. 請求項1または2に記載の受光素子において、
    上記第1半導体層中かつ上記第2半導体部の下方に、上記第1半導体層の不純物濃度よりも高い不純物濃度を有する第1導電型の第3半導体部を備えることを特徴とする受光素子。
  4. 請求項2または3に記載の受光素子において、
    上記第2半導体部または第3半導体部は、上記第1半導体層の表面から、この受光素子への入射光の吸収長の4倍以上30倍以下の間の深さの位置に、不純物濃度のピークを有することを特徴とする受光素子。
  5. 請求項4に記載の受光素子において、
    上記不純物濃度のピークは、6×1018cm−3以上の濃度であることを特徴とする受光素子。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1つに記載の受光素子において、上記第3半導体部は、上記第1半導体層中かつ上記第2半導体部の直下に挟まれた位置にあることを特徴とする受光素子。
  7. 請求項1乃至6のいずれか1つに記載の受光素子において、上記第1半導体層の下側に、この第1半導体層の不純物濃度よりも高い不純物濃度を有する第1導電型の第2半導体層を備えることを特徴とする発光素子。
  8. 請求項7に記載の受光素子において、
    少なくとも上記第2半導体層中に形成されて上記第2半導体部の下方に位置すると共に、上記第2半導体層の不純物濃度よりも高い不純物濃度を有する第1導電型の第4半導体部と
    を備えることを特徴とする受光素子。
  9. 請求項1乃至8のいずれか1つに記載の受光素子と、この受光素子から出力される信号を処理する信号処理回路が、同一半導体基板上に形成されていることを特徴とする回路内蔵型受光装置。
  10. 請求項1乃至8のいずれか1つに記載の受光素子または請求項9に記載の回路内蔵型受光装置を用いたことを特徴とする光ディスク装置。
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