JP2008053583A - 半導体受光素子及び半導体光集積素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】一つの半導体受光素子で光ディスクからの情報の読み取りと光ディスクと半導体受光素子との距離を一定に保つためのフォーカス制御が可能になる青色光、赤色光、赤外光の3波長の光に対応した高感度、且つ、高速な半導体受光素子を提供する。
【解決手段】動作時に空乏層が形成される受光層の受光面内に、互いに向かい合う少なくとも1組のN型半導体層と、互いに向かい合う少なくとも1組のP型半導体層が互いに交差して配置・形成されて、動作時に少なくとも一つの鞍点を有する鞍形電位分布が形成される受光層における電界が受光面に平行に形成され、光キャリアが受光面に平行な方向に移動する横型の半導体受光素子。
【選択図】図1

Description

本発明は半導体受光素子、特に光ディスクの情報を読み出す光ピックアップ装置に用いられる半導体受光素子並びに半導体光集積素子に関する。
光ディスクの情報を読み出す光ピックアップ装置には、フォーカシングやトラッキングの誤差検出を行うために、半導体受光素子と信号処理回路(電子回路)が同一基板にモノリシックに形成された半導体光集積素子(以下、PDIC)が用いられている。光ピックアップ装置は、半導体レーザの出射光をレンズで光ディスク上に集光・照射し、光ディスクに形成されているデータ部で光強度が変調された反射光を、PDICの半導体受光素子で受光する。PDICは、光ディスクで反射された光を半導体受光素子で受光し、半導体受光素子からの出力信号を、信号処理回路によって処理して、光ディスクに書き込まれているデータを示すデータ信号を検出すると共に、照射光の焦点位置を制御するフォーカス制御信号やレーザ光の照射位置を制御するトラッキング制御信号を検出するように構成されている。
従来、光ピックアップ装置のPDICに用いられる半導体受光素子としては、バイポーラ・トランジスタやCMOS(相補型金属酸化物半導体)トランジスタ等で構成される信号処理回路、所謂、集積回路と同一基板上にモノリシックに形成できるSi製のPIN接合フォトダイオ−ド(以下、PN接合型、PIN接合型の如何にかかわらず全てのフォトダイオードは区別せずにPDと記す)が用いられる。
図28に従来のPDICに用いられているPDの上面図を、図29に図28の切断線A28−A28に沿って切り取った断面図を示す(例えば特許文献1参照)。このPDは、図29に示すように、Si基板2900上に下から順に、厚さ20μm程度のP型Si層(以下、P−Si層と記す)2901、厚さ5μm〜10μmのI型Si層(以下、I−Si層と記す)2902、N型Si層(以下、N−Si層と記す)を備え、N−Si層上に反射防止膜2907を備えた構成で、縦型のPIN接合(半導体層の積層方向に形成されたPIN接合)が形成されている。I−Si層2902は、PIN接合に逆バイアスを印加した動作時に、空乏層が形成され、入射光を吸収して光キャリアを発生する半導体層、所謂、受光層である。I−Si層2902の表層に形成されたN−Si層2800は光が入射する受光面となる。受光面は、図28に示すように、正方形状に形成されている。N−Si層2800は、平面形状が十字形状のP−Si層(幅5μm程度)からなる分割P領域2806により、第1のN領域2801、第2のN領域2802、第3のN領域2803、第4のN領域2804の4つの正方形状の区画に分割されている。これら区画された各領域はそれぞれ独立したPDとして機能する。即ち、図中の第1のN領域2801が第1のPD、第2のN領域2802が第2のPD、第3のN領域2803が第3のPD、第4のN領域2804が第4のPDとして独立に機能する。N−Si層2800の周辺部領域には、N−Si層2800直下のP−Si層2901から電流を取出すために、N−Si層2800の縁に沿って、P−Si層2901に接続したP型拡散層2805が形成されている。受光面になっているN−Si層2800の表面上には反射防止膜2907が形成されており、それ以外の領域はアルミ膜(図示省略)などで遮光されている。通常、N−Si層2800の厚さは3μm以下である。
このPDは、上述したように、N−Si層2800が4区画に電気的に分離され、各区画がそれぞれ独立したPDとして機能する構造、所謂、4分割PDになっているので、ある区画のI−Si層2902で発生した光キャリアはその区画内を電界でドリフト移動し、隣の区画に漏れ出ることは殆どなく、隣接区画へのクロストークが殆ど生じない。このため、このPDに接続した信号処理回路の動作帯域が低下するのを防止できる。なお、図28中の「L」は1区画の正方形状N領域の1辺の長さを表しており、通常50μm〜100μmである。
従来の光ピックアップ装置では、基板に垂直な方向にPIN接合構造を有するPDを、入射光の照射部を中心に4つ配置して、フォーカス誤差検出を行っていた。図28に示した従来のPDでは、前述したように、独立した4つのPDとして動作させるために、N−Si層2800を十字形状の分割P領域2806で4分割している。区画された各領域(第1のN領域〜第4のN領域)がそれぞれ独立したPD(第1、第2、第3、第4のPD)として機能する。光径5μm程度の円形に集光された入射光はこの十字形状の分割P領域2800の中心、即ち、PD中心2810に照射される(図30参照)。N−Si層2800の分割された各第1のN領域〜第4のN領域が、従来の光ピックアップ装置でフォーカス誤差検出に用いているPDを構成する4つのPDにそれぞれ対応している。なお、高感度、高速応答のPDを得るには、分割P領域2806のP型不純物濃度と幅および深さを高精度で制御する必要がある。
図30に光ピックアップ装置に用いられている従来のPDICのPD部におけるPDの平面配置(上面図)を示す。PD部は光ディスクからの情報を読み取るための情報読取り用PD3001と第1のトラッキング用PD3002と第2のトラッキング用PD3003からなり、情報読取り用PDおよびトラッキング用PDは受光領域が4分割された図28のPDで構成されている。情報読取り用PD3001は中央に配置され、その左右に100μm程度の所定の間隔でトラッキング用のPD3002、3003がそれぞれ配置される。情報読取り用PD3001は光ビームのフォーカス誤差信号の検出を情報読取りと同時に行っている。第1のトラッキング用PD3002と第2のトラッキング用PD3003は、入射光を情報読取り用PD3001の中央部に照射させるための信号を取り出すために設けられている。各PD中心には、光ディスクで反射した光ビームが入射し、各PD受光面上に、図30に示すような集光スポット3005、集光スポット3006、集光スポット3007が形成される。なお、情報読取り用PD3001の受光面上の集光スポット3005はフォーカスがずれた状態の集光スポット形状である。
トラッキング制御は、光ディスクからの情報を担う信号光が中央の情報読取り用PD3001の中心に絶えず照射されるように、光ピックアップ装置の位置ずれを検出し、且つ、その位置ずれが減少するように光ピックアップ装置の位置制御系に働きかけてフィードバック制御する。通常、高速動作が期待されるのは情報読取り用PD3001であり、トラッキング用PD3002、3003は情報読取り用PD3001ほど高速性を要求されないことが多い。
フォーカス制御とは光ピックアップ装置を回転時に面振れする光ディスクに追従させて一定の距離に保つ制御である。光ディスクの面振れは通常200μm程度あり、光ピックアップ装置の対物レンズの焦点深度±1μmより大きい。光ディスクと光ピックアップ装置の対物レンズとの距離が対物レンズの焦点深度内に収まるように、PDICはフォーカス制御のためのフォーカス誤差検知を行っている。
フォーカス誤差検知には非点収差法が多く用いられる。以下に非点収差法の説明を行う。非点収差法の説明は例えば、特開2000−286403号公報(特許文献2)に開示されている。
光ディスクからの反射光は、光ピックアップ装置の対物レンズで平行光に変換された後に検出レンズでPDICのPDに集光される。図30のPD部では情報読取り用PD3001に集光される。非点収差法では、検出レンズと情報読取り用PD3001の間に検出レンズよりも焦点距離が短い円柱レンズを挿入し、読取り用PD3001に集光するビームに非点収差を設ける。円柱レンズは、集光作用をしない円柱レンズの軸方向が投影された際に情報読取り用PDの対角線3004の方向に一致するように設置される。
光ディスクからの情報を読み取る時、情報読取り用PDに照射される入射光は、レンズによって集光されており、その断面形状は、焦点が合っているときは円形になっている(図30では焦点がずれた状態の集光スポット形状(楕円形)が描かれている)。ここでは情報読取り用PD3001に照射される入射光のビーム断面形状が円形であるときの、光ディスク面から光ピックアップ装置の先端の対物レンズ表面までの距離をビーム焦点距離と呼ぶ。フォーカス制御では、光ディスク面から光ピックアップ装置の先端の対物レンズ表面までの距離がビーム焦点距離となるように制御される。具体的には、光ディスク面から光ピックアップ装置までの距離がビーム焦点距離よりも短くなると、図30に示すように、情報読取り用PD3001に照射される入射光のビーム断面形状が円形から情報読取り用PD3001の対角線方向3004に長軸を有する細長い楕円形に変化する。光ディスク面から光ピックアップ装置までの距離がビーム焦点距離よりも長くなると、ビーム断面形状が円形から情報読取り用PD3001の対角線3004と直交する方向に長軸を有する細長い楕円形に変化する。非点収差法では、ビーム断面形状が、長軸方向が直交する2種類の楕円形に変化したときの情報読取り用PD3001の出力変化を検知して、情報読取り用PD3001に入射するビーム断面形状が円形になるように光ディスク面から光ピックアップ装置までの距離を制御する。それによって安定して光ディスクからの情報信号を読み取ることが可能になる。
情報読取り用PD3001による情報読取りとフォーカス誤差検知では出力信号の処理が異なる。情報を読み取る時の信号処理は、情報読取り用PD3001を構成する4つのPD(第1のPD〜第4のPD)からの出力信号の和である、
(情報読み取り出力信号)=(第1のPDの出力信号)+(第3のPDの出力信号)+(第2のPDの出力信号)+(第4のPDの出力信号)
を用いる。一方、フォーカス誤差検知には、
(フォーカス誤差信号)=(第1のPDの出力信号)+(第3のPDの出力信号)−(第2のPDの出力信号)−(第4のPDの出力信号)
なるフォーカス誤差信号を用い、フォーカス誤差信号がゼロになるように情報読取り用PDが搭載されている光ピックアップ装置の位置をフィードバック制御する。4つのPD(第1のPD〜第4のPD)の出力信号の和や差はトランジスタ等を用いた信号処理回路にて出力される。
特開2004−200408号公報(第11頁、図2) 特開2000−286403号公報(第8頁、図12、図13) 特開平5−226686号公報(第4頁、図5)
従来のPDは、光ディスク装置に用いられる波長780nmの赤外光と波長650nmの赤色光に対して100MHz程度の動作速度を有していた。次世代の光ディスク装置には、さらに波長405nmの青色光が加わり、光ディスクの情報密度の増大に伴いPDには200MHz以上の高速な動作が期待されている。ところが基本的にこれらの三波長を1つのPDで高感度かつ高速に一括受光できるPD構造はこれまで見出されていない。その理由は青色光がSiに対して以下に示す2つの特徴を有することに起因する。
第1の特徴は、青色光のSiに対する吸収長、所謂、侵入長(吸収係数の逆数)が0.15μmと短いことである。その原因は、Siに対して赤色光や赤外光は間接遷移吸収されるのに対して、青色光は直接遷移に近い形で吸収されるからである。この吸収の違いは、波長による光子エネルギーの違いとSiのエネルギーバンド構造に起因している。間接遷移であるSiのX点の禁制帯幅は1.12eV、直接遷移であるSiのΓ点の禁制帯幅は3.4eVである。青色光がSiに直接遷移に近い形で吸収されるのは、赤色光の光子エネルギー1.9eVや赤外光の光子エネルギー1.59eVに比べて、青色光の光子エネルギー3.06eVがSiのΓ点の禁制帯幅3.4eVに近いためであると考えられる。因みに、青色光の侵入長は0.15μm、赤色光の侵入長は3.34μm、赤外光の侵入長は8.77μmであり、青色光の侵入長は赤色光の侵入長や赤外光の侵入長に比べると著しく短い。ここで、侵入長は吸収係数の逆数であり、入射光強度が37%に減衰するまでにSi中に侵入する距離である。
第2の特徴は青色光の光電流変換の量子効率が0.33A/Wと小さいことである。理論的な最大量子効率ηは、光の波長λ(μm)あるいは光子エネルギーEに対して、
η=λ/1.24=1/E
で表される。これは量子効率ηが光子エネルギーEに反比例していることを示している。その理由は、一定の光強度の中に含まれる光子数は光子エネルギーが大きいほど少ないため、青色光は赤色光などの波長に比べてPDの出力電流が小さいことに起因している。青色光の最大感度0.33A/Wは、赤色光の0.52A/W、赤外光の0.63A/Wの約半分である。感度の低下は帯域低下にもつながる。その理由は、PDICには青色光に対しても赤色光と同様の出力が期待されるため、PDに接続した増幅回路中のトランジスタの帰還抵抗が増大し、それによってPDの動作帯域が大きく制限されるからである。
図28に示される、従来の、表面層がN−Si層のPIN接合型PDでは、基板に垂直な方向にPIN接合構造を有するPDのN−Si層を、平面形状が十字形状の浅いP−Si層(分割P領域2806)を用いて4区画に分割し、図28、図30に示すように、PD中心2810に集光・入射した光を受光する。このため、従来のPDでは、集光された青色光は、PD中心2810に存在する分割P領域2806の影響を強く受ける。その理由は、分割P領域の典型的な幅5μmが青色光の光径5μmと等しく、分割P領域の厚さ0.3μmが青色光の侵入長0.15μmと同程度かそれよりも大きいので、青色光による光キャリアの殆どが、空乏層が形成された受光層であるI−Si層2902ではなく、分割P領域2806で発生してしまうからである。
以下に従来のPDの具体的な問題点を述べる。従来のPDでは、上述した原因により、特に青色光を受光する場合に大きな問題が生じる。
第1の問題は、分割P領域2806の適正なP型不純物濃度の許容範囲が限定されることである。分割P領域2806のP型不純物濃度が高すぎると、実験的に青色の受光感度が減少することが分かっている。前述したように、受光感度減少に伴う出力電圧低下を補償するためにPD後段に接続した増幅回路でPDの出力信号を増幅すると、PDに接続したトランジスタの帰還抵抗が必然的に大きくなり、その結果、PDの応答帯域が減少する。一方、分割P領域2806のP型不純物濃度が低いと応答帯域が低下する。その原因は、分割P領域2806で発生した光キャリアが伝導する分割P領域2806の抵抗が大きくなるからである。
第2の問題は、表面から見た分割P領域2806の幅が広いため、青色光に対する応答帯域が著しく低下することである。また、分割P領域2806の幅が狭いと分割した4つのPDを電気的に十分に分離できないため、良好なサーボ機能を発揮することができないといった問題も生じる。そのため従来例では、少なくとも分割P領域2806の幅を2μm以上、且つ、8μm以下にしなければならず、分割P領域幅の許容幅が限定される。青色光の場合、分割P領域2806の中央で発生した光キャリアが横方向に拡散する過程が応答速度を制限してしまう。また、分割P領域2806とN−Si層との間に新たな電気容量が発生することも、PDの動作速度を低下させる要因になる。
第3の問題は、分割P領域2806のP型不純物濃度と幅および深さを再現性よく最適値に制御するのが難しく、製造コストが高くなることである。P型不純物濃度Npは1×1019cm−3≦Np≦2×1019cm−3が望ましく、P型不純物濃度の許容範囲が狭い。分割P領域2806をP型不純物の拡散で形成した場合、分割P領域2806の幅および深さは拡散条件に大きく依存するために精度よく制御できず歩留まりが低下しやすい。
第4の問題は、書き込み系の光ディスク装置などに使用される光強度の強いレーザ光に対して、応答速度の低下が生じることである。特に青色光では吸収長が短いため、入射光強度が強いと、光キャリア密度が高くなり、応答劣化が生じやすい。その理由は、光キャリア密度が高いと、光キャリアが作る内部電界がPDの逆バイアス電界を打ち消すために、キャリアの走行速度が低下するからである。
青色光のような短波長光に対しても感度の優れた多分割横型半導体受光素子が特許文献3に記載されている。この半導体受光素子は、図31に示すように、素子中央に十字形状のN型低抵抗拡散層3105が形成されて、このN型低抵抗拡散層3105によって高抵抗基板3106が4つの領域に区画されている。区画された各領域にはP型低抵抗拡散層3101、P型低抵抗拡散層3102、P型低抵抗拡散層3103、P型低抵抗拡散層3104がそれぞれ形成され、N型低抵抗拡散層3105とP型低抵抗拡散層3101〜3104で挾まれた部分が受光部となり、4つの受光部を持つ4分割横型PDとなっている。十字形状のN型低抵抗拡散層3105は4つの受光部によって共有されている。このような多分割横型PDは、受光部表層には不純物拡散層が無く、高抵抗基板が受光部になっているので、青色光のような短波長光に対しても優れた感度を有するが、上述した問題点は解決できていない。なぜなら、図31から分かるように、PD中央に十字形状のN型低抵抗拡散層3105(図28の分割P領域に相当する)が形成されているので、図28のPDと同様、入射光が十字形状のN型低抵抗拡散層3105にも入射してしまうため、これまでに指摘してきたような様々な問題が生じるからである。
本発明の目的は、上述の問題点を解決し、青色光を含む多波長光源を用いた書き込み型光ディスクにも対応した小型、高感度、高速な半導体受光素子及び半導体光集積素子(PDIC)を低コストで提供することにある。
本発明は、下記の特徴を有する半導体受光素子、並びに、トランジスタ等の半導体素子で構成された信号処理回路等の電子回路と半導体受光素子とが同一基板にモノリシックに集積された半導体光集積素子(PDIC)である。即ち、本発明の半導体受光素子は、動作時に空乏層が形成された受光層の電位分布が少なくとも一つの鞍点を有する半導体受光素子である。さらに、本発明の半導体受光素子は、動作時に空乏層が形成された受光層の電界が受光層表面に平行で、光キャリアが受光層の表面に平行な水平方向に移動する横型の半導体受光素子である。
本発明の半導体受光素子は、互いに向かい合う少なくとも1組のN型半導体層と、互いに向かい合う少なくとも1組のP型半導体層が、お互いに同一平面上で交差して、受光層に形成された構成とすることで鞍点を有する電位分布、所謂、鞍形電位分布が形成される。典型的には、動作時に空乏層が形成される受光層における電位の鞍点が形成される部位、即ち、受光層表面(受光面)の中心、所謂、PD中心、を通る受光面上の直交する2つの直線に関して、互いに向かい合う二つのP型半導体層及び互いに向かい合う二つのN型半導体層がそれぞれ線対称に配置されている。
受光層は、真性半導体層又は動作時に空乏層が形成される程度に不純物濃度が低い低濃度の半導体層(便宜上、真性半導体層と低濃度半導体層(所謂、P型半導体層又はN型半導体層)をまとめてI型半導体層と記す)で構成されている。受光層の表面、即ち、受光面において鞍点形成部位(PD中心)を挟んで向かい合う1組のP型半導体と1組のN型半導体とで囲まれる鞍点形成部位近傍の領域(PD中心近傍)は、光が入射する受光部である。受光部は、動作時は空乏層が形成されており、その領域は入射光ビームの径以上の大きさを有する。即ち、本発明の半導体受光素子は、受光層に形成した、向かい合うP型半導体層同士間及びN型半導体層同士間の間隔の最小値が、円形断面形状の入射光の径と同じ又はそれより大きい特徴を有する半導体受光素子である。
通常、断面が円形状の光ビームの径は、光ビーム光強度分布における光強度が最大値の10%となる部位における径のことである。まれに光強度が0となる部位の径を光ビームの直径とすることもある。本発明ではどちらを光ビームの径としてもよい。因みに、前者の光りビーム径と後者の光ビーム径を区別して受光部の大きさを記述すれば、「向かい合うP型半導体層同士間及びN型半導体層同士間の間隔の最小値が、断面が円形状の入射光の光強度が最大値の10%となる径と同じ又はそれより大きい、或いは、入射光の直径と同じ又はそれより大きい」となる。
本発明はさらに、上記鞍形電位分布を有する半導体受光素子において、動作時に空乏層が形成される受光層に、PD中心を間に挟んで形成された2つの対向したP型半導体層あるいは2つの対向したN型半導体層のいずれか一方の導電型の半導体層が複数に分割されている特徴を有し、互いに隣接するP型半導体層とN型半導体層の各組合せそれぞれから入射光の受光面でのスポット形状に応じて変化する電流を取り出す構成を有している。
さらに本発明は、動作時に空乏層が形成される受光層に形成された互いに対向した2つのP型半導体層と互いに対向した2つのN型半導体層、所謂、最表面のP型とN型の半導体層の厚みを制御することで、入射光の波長に応じて高感度かつ高速なPDを実現できる特徴がある。具体的には、青色光のように侵入長の短い短波長光を受光する半導体受光素子では、P型とN型の半導体層の厚みを青色光の侵入長程度(侵入長の1倍〜2倍程度が望ましい)に薄くし、動作時に空乏層が形成される受光層の浅い位置に2つの対向したP型と2つの対向したN型の半導体層を設けた構成とする。侵入長の長い赤色光や赤外光を受光する半導体受光素子では、P型とN型の半導体層の厚みを赤色光や赤外光の侵入長と同程度(侵入長の1倍〜2倍程度が望ましい)に厚くして、受光層の表層から深い位置にまで2つの対向したP型と2つの対向したN型の半導体層を設けた構成とする。また、本発明の半導体受光素子は、受光層に形成したP型とN型の半導体層の厚みを入射光の波長に応じて切り替え、多波長に対応できる半導体受光素子でもある。具体的には、受光層の表層部に青色光の侵入長と同程度の深さまで、即ち、浅い位置に2つの対向したN型半導体層と2つの対向したP型半導体層を形成し、これら半導体層の下に、これら半導体層と同じ導電型で、赤色光または赤外光の侵入長と同じ程度の厚さの厚い半導体層を、表層部の浅い位置に形成した半導体層と電気的に分離して、受光層の深部に形成した構成の半導体受光素子である。各波長に応じた出力信号は、表層部の浅い位置に形成した半導体層からの出力と、受光層深部に形成した厚い半導体層からの出力を切り替えスイッチにより切り替えて取り出す。青色光による信号電流は、表層部の浅い位置に形成した半導体層から取り出す。赤色光や赤外光による信号電流は、表層部の浅い位置に形成した半導体層と内部に形成した厚い半導体層との両方から取り出す。即ち、青色光を受光する際には、受光層の表層部に浅く形成されたP型、N型半導体層間への逆バイアス印加により薄い空乏層を受光層表層部に形成し、赤色光或いは赤外光を受光する際には、受光層表層部に浅く形成されたP型、N型半導体層間への逆バイアス印加と、受光層の深い位置に形成されたP型、N型半導体層への逆バイアス印加とにより厚い空乏層を受光層内部にまで形成し、入射光の波長に応じて、半導体層内に形成する空乏層の厚さを切り替えて受光する。
本発明の半導体受光素子は横型半導体受光素子であるため、基本的には低静電容量で、且つ、高速動作が可能であるが、電位の鞍点形成部位近傍の電界強度が弱いため高速動作が制限される欠点がある。下記三つの本発明の半導体受光素子はその欠点を改善するための構造を有している。その一つは、受光層に設けたN型半導体層とP型半導体層の形状を、電位の鞍点が形成される部位(PD中心)に向かう方向に突起を有する形状とし、N型、P型の各半導体層間の距離を近づけることによって電位の鞍点形成部位近傍の電界強度を増大させ、光キャリアのドリフト速度劣化を低減した構成の半導体受光素子である。二つ目は、受光層の鞍点形成部位近傍表面に遮光部材を設置して、電位の鞍点形成部位近傍に光が入射するのを阻止し、電位の鞍点形成部位近傍での光キャリアの発生を抑制した構成の半導体受光素子である。三つ目は、断面形状が円形状の光ビームを、中心部の光強度が弱く、周辺部の光強度が強い断面形状の光ビームに変換する光ビーム形状変換器を、受光層の電位の鞍点形成部位上部に設け、鞍点形成部位近傍での光キャリアの発生を抑制した構成の半導体受光素子である。上記のように、電位の鞍点が形成されるPD中心部の電界が弱い部分をさけ、PD中心周辺部の電界が強い領域に光ビームが照射される構成にすることで、光キャリアが電界の強い領域でドリフト移動し、高速応答が可能になる。
本発明の半導体光集積素子(PDIC)は、複数の半導体受光素子を有する構成、又は、一つ又は複数の半導体受光素子と、半導体受光素子からの出力信号を処理する電子回路とを有する構成であって、PDICを構成する、少なくとも一つの半導体受光素子が、受光層の電位分布が少なくとも一つの鞍点を有する、上述の半導体受光素子であることを特徴としている。
電子回路は、少なくとも、半導体受光素子からの出力電流を増幅し、且つ、電圧に変換する増幅回路と、増幅回路からの出力信号を処理して情報検知信号を取り出す情報信号処理回路と、増幅回路からの出力信号を処理してフォーカス誤差検知信号を取り出すフォーカス誤差検知回路を有することを特徴としている。
本発明のPDICは、光が入射する受光部を有する受光層中に、向かい合う1組のP型半導体層と、向かい合う1組のN型半導体層とがお互いに交差して配置され、且つ、前記P型半導体層とN型半導体層の内の少なくとも何れか一方の導電型の半導体層が2分割された半導体受光素子と、前記半導体受光素子の互いに隣接するP型半導体層とN型半導体層の組合せから得られる4つの出力電流を個別にそれぞれ増幅し、且つ、電圧に変換する4つの増幅回路、前記4つの増幅回路からの出力電圧から情報検知信号を出力する情報信号処理回路、前記4つの増幅回路からの出力電圧からフォーカス誤差検知信号を出力するフォーカス誤差検知回路を有する電子回路とを具備したことを特徴としたPDICである。
本発明のPDICの電子回路はバイポ−ラ・トランジスタでもCMOSトランジスタも適用可能である。CMOSトランジスタを用いた場合、従来のバイポ−ラ・トランジスタを有するPDICより小型でかつ省電力となる。電子回路をCMOSトランジスタで構成したCMOS型PDICではさらにチップサイズも小さくできるので、安価なPDICが得られる。電子回路をCMOSトランジスタとバイポ−ラ・トランジスタを組み合わせて構成しても差し支えない。
上述した本発明の半導体受光素子は、互いに向かい合う少なくとも1組のN型半導体層と、互いに向かい合う少なくとも1組のP型半導体層が、お互いに同一平面上で交差して、受光層に形成されており、動作時に受光層に鞍点を有する鞍形電位分布が形成できる。このため、P型半導体層とN型半導体層の組み合わせから2つの電流を独立に取り出すことができる。ここで、2つの対向したP型半導体層あるいは2つの対向したN型半導体層のいずれか一方の導電型の半導体層を2分割した構成にすると、互いに隣接するP型、N型半導体層の組み合わせから4つの電流を独立に取り出せる、所謂、4分割受光素子となる。このため、本発明の半導体受光素子を光ピックアップ装置に用いると、一つの半導体受光素子で、光ディスクからの情報の読み取りと、光ディスクと半導体受光素子との距離を一定に保つためのフォーカス誤差検知が可能になる。
本発明の半導体受光素子は、受光層の電位分布が少なくとも一つの鞍点を有し、電界が基板に平行、所謂、光キャリアが受光層の表面に平行な水平方向に移動する横型であるため、入射する青色光の光強度が大きい高入力時の応答劣化が小さい。なぜなら、青色光は侵入長が短いので縦型半導体受光素子(光キャリアが半導体層の厚さ方向、即ち、基板に垂直方向に移動するタイプの半導体受光素子)では、半導体表層に高密度の光キャリアが発生し、その光キャリアによる電界が外部から加えられる逆バイアス電界を局所的に打ち消すため、応答劣化が顕著に生じる。しかし、横型半導体受光素子では光キャリアが走行する横方向に光キャリアが広がって発生するため、青色光の高光入力時の応答劣化が極めて小さい。それに加えて、半導体受光素子に入力される光ビームの断面積を従来の半導体受光素子よりも大きくできるため、受光面における光キャリア密度が低減し、書き込み系の光ディスク装置などに使用される光強度の強いレーザ光に対しても、応答速度の低下が生じない。特に侵入長が短い青色光での効果は顕著である。
また、本発明の半導体受光素子は横型半導体受光素子である特徴により、受光層に同じ導電型半導体層同士を互いに対向配置して形成されるP型、N型半導体層の、間隔を広く、且つ、層厚を薄くすれば空乏層幅を広く、且つ、薄くできるため、静電容量を小さくできる。その結果、本発明の半導体受光素子は、半導体受光素子に接続した増幅回路の帰還抵抗の抵抗値が大きくても、半導体受光素子のCR積が小さいため、応答速度が速い。
本発明の半導体受光素子は、光が入射する受光部にはP型、N型半導体層がない上、受光部に形成される空乏層を薄くできるので、特に、高速応答が要求される青色光に対して有利である。PN接合又はPIN接合の構造を最適化(例えば、接合容量が小さくなる半導体層形状、空乏層厚と幅等)することで青色光、赤色光、赤外光の各波長の光に対して300MHz以上の高帯域特性が得られる。
本発明の半導体受光素子は、入射光ビームの照射部(受光部)を中心にP型半導体層とN型半導体層が交互に対向配置された構成であるため、光ビームの断面形状が楕円化した場合でも直接空乏層に光を受けることができる。その結果、フォーカス制御時でも感度や応答速度が劣化しない。また、従来の半導体受光素子は80μm角程度の大きさであったが、本発明の半導体受光素子は10μm角程度に小型化できる利点がある。さらに、本発明の半導体受光素子は、従来の4分割半導体受光素子と同様に、入射光の照射部の形状変化により4つの出力電流が変化する構造である。そのため、本発明の半導体受光素子は、新規な構造であるにも関わらず、従来と同様の信号検出系が使えるので、本発明の半導体受光素子を光ピックアップ装置に用いても、新たなIC設計費用が掛からずに、従来通りのフォーカシング制御あるいはトラッキング制御ができる。
従来の半導体受光素子では、光キャリアがP型半導体層やN型半導体層を構成する不純物層でも発生するため、不純物層から空乏層まで拡散するのに時間を要するために応答速度が低下する。特に青色光の場合、侵入長が短いので従来の半導体受光素子では、光キャリアが表面の不純物層でのみ発生し、空乏層まで拡散する時間を要するために応答速度の低下が顕著である。また、空乏層に達する前に不純物層で光キャリアが再結合により消滅するので感度も低下する。本発明の半導体受光素子は、入射光ビームの照射部、即ち、受光部が、I型半導体層であるため、入射光ビームが直接空乏層に入るので、従来の半導体受光素子で見られるような光キャリアが不純物層を拡散するために生じる応答速度の低下や、不純物層での光キャリア消滅による感度の低下がなく、高感度である。
受光層であるI型半導体層に形成したN型半導体層とP型半導体層の層厚としては、例えばその不純物濃度が5×1015cm−3以上、且つ、5×1019cm−3以下である厚さを層厚と考えればよい。この時、N型半導体層とP型半導体層の層厚を最表面層厚と呼ぶと、最表面層厚は垂直方向の空乏層厚とほぼ等しくなり、量子効率や応答速度等は最表面層厚に依存する。最表面層厚は厚いほど量子効率が高くなるが、応答速度は低下する。最表面層厚として光の侵入長の1.5倍程度の値を見込めば、90%以上の高い量子効率が得られる。従って、量子効率と応答速度の両方が満足できる妥当な最表面層厚は光の侵入長の1〜2倍程度である。青色光に対しては、最表面層厚を0.10μm〜1μm、より好ましくは0.20μm〜0.4μmであれば最適な特性が得られる。青色光に対しては最表面層厚が0.35μm以上あれば、殆ど100%に近い量子効率が得られる。赤色光に対しては、最表面層厚が3μm〜7μm、より好ましくは4.5μm〜5.5μmであれば最適な特性が得られる。赤外光に対しては、最表面層厚が7μm〜13μm、より好ましくは9μm〜10μmであれば最適な特性が得られる。また、最表面層厚の許容範囲が比較的緩く(許容範囲が広い)、イオン打ち込み等による不純物濃度分布の制御が厳しくないので、トランジスタ等の電子素子との集積が容易で、歩留まりが大幅に改善できる。さらに、製造コストを低く抑えることも可能になる。
本発明の半導体受光素子は、受光層の電位分布が少なくとも一つの鞍点を有している電位分布であるので、受光層内に形成された電界は受光層表面に平行で、光キャリアが受光層の表面に平行な水平方向に移動する横型PDとなる。このため、入射する光の光強度が大きい高光入力時の応答劣化が小さい。青色光に対しては1mWまでの入射光強度に対しても帯域劣化が生じない。このため、書き込み型光ディスク装置に対応した半導体受光素子としても有用である。
本発明の半導体受光素子は、向かい合う少なくとも1組のN型半導体層と、向かい合う少なくとも1組のP型半導体層とが同一平面上でお互いに交差して、動作時に空乏層が形成される受光層に設けた構成であるので、下記の効果がある。
(a)向かい合う少なくとも1組のN型半導体層と、向かい合う少なくとも1組のP型半導体層とで囲まれた領域が、光が入射する受光部となり、受光部にはP型、N型半導体層がない。このため、光キャリアはP型、N型半導体層で発生しないので、P型、N型半導体層を光キャリアが拡散するために生じる応答速度の劣化がない。また、P型、N型半導体層での光キャリアの損失が生じないから量子効率も向上する。特に、P型、N型半導体層の影響を受けやすい侵入長の短い青色光に対する応答速度向上、量子効率向上の効果は著しい。
(b)同じ導電型半導体層同士の、間隔を広く、且つ、層厚を薄くすることで空乏層幅を広く、且つ、薄くできるため、静電容量を小さくできる。その結果、本発明の半導体受光素子は、半導体受光素子に接続した増幅回路の帰還抵抗の抵抗値が大きくても、半導体受光素子のCR積が小さいため、応答速度が速い。
(c)空乏層厚が、P型、N型半導体層の層厚とほぼ同じ厚さになるから、P型、N型半導体層厚を、入射光の侵入長に応じた厚さにすることで青色光を含む多波長光に対応出来る。
本実施形態の半導体受光素子は、動作時に空乏層が形成される受光層の電位分布が少なくとも一つの鞍点を有している。図9に、鞍点を有する鞍形電位分布が形成される本実施形態の半導体受光素子の平面構造と、動作時の等電位線を示す。図中の正方形は、光が入射する受光面の平面形状を示しており、動作時に空乏層が形成されている、真性半導体又は低濃度半導体(便宜上、I型半導体層905とする)で構成された受光層である。
本実施形態の半導体受光素子は、図9に示すように、互いに向かい合う少なくとも1組のN型半導体層902、904と、互いに向かい合う少なくとも1組のP型半導体層901、903が、受光面内でお互いに交差してI型半導体層905で成る受光層に配置・形成されている。即ち、N型半導体層902、904とP型半導体層901、903は、半導体受光素子の中心900(受光面の中心)を対称の中心として、同じ導電型の半導体層同士が点対称に配置された平面配置になっている横型のフォトダイオード(PD)である。なお、横型PDとは光キャリアが基板に対して水平な方向に走行するPDである。N型半導体層902、904とP型半導体層901、903の、受光面に向かって見た半導体受光素子中心側の輪郭の形状は双曲線形状に形成してある。しかし、必ずしも双曲線形状にする必要はない。
N型半導体層902とN型半導体層904の電位を+V、P型半導体層901とP型半導体層903の電位を−VとしてPDに逆バイアスを印加したとき、N型半導体層902、904とP型半導体層901、903に囲まれた領域(I型半導体層905)に形成される等電位線908の、受光面に向かって見た受光面上の平面形状は、図9に示すように、双曲線形状になり、半導体受光素子の中心900に電位分布の鞍点が形成される。
図10に、逆バイアスが印加された動作時における本実施形態(図9)のPDの電位分布を示す。図10中、縦軸は電位φ、横軸は受光面上の位置を示す座標軸で、図9中、受光面上のPD中心900を原点O(0、0)、受光面上のN型半導体層の方向(図の横方向)をX軸(図中右方が正、左方が負)、原点を通り受光面上でX軸に直交した軸、即ち、受光面上のP型半導体層の方向(図の上方向)をY軸(図中上方が正、下方が負)としてある。N型半導体層とP型半導体層を図9に示すように配置した本実施形態PDは、図10に示すように、N型半導体層とP型半導体層に囲まれた領域に鞍形の電位分布が形成される。図10の電位分布によれば、PD中心は、Y軸方向に正の曲率(上に凸)、X軸方向に負の曲率(下に凸)の電位分布を有しており、鞍形の電位分布の鞍点になっていることが分かる。
図9に、PD中心部近傍で生じた光キャリアである電子eと正孔hが、電気力線に沿って運動する様子が矢印で示されている。PD中心部近傍で生成した電子−正孔対の内、電子eは最寄りのN型半導体層へ、正孔hは最寄りのP型半導体層へ移動する。従来のPD(例えば図29のPD)では、I型半導体層で成る受光層(図29のPDではI−Si層2902)に形成された空乏層内の電気力線は直線であるため、発生した電子と正孔の走行する方向は180度反対向きである。それに対し、本実施形態のPDは、受光層に形成された空乏層内の電気力線が双曲線などの曲線であるため、発生した電子と正孔の走行経路は曲線であり、その方向は、図9にも示す通り、必ずしも180度反対向きではない。本実施形態のPDでは主に、空乏層内の電界は水平方向、即ち、基板に平行な方向であるため、光キャリア、即ち、電子と正孔は受光層内で水平方向に走行する。通常光ディスクに用いられる光ビーム直径は5μm程度と小さいので、空乏層の縦横の幅、即ち、N型半導体層とP型半導体層で囲まれたPD中心近傍の領域の縦横の幅を5μmないしは5μm〜15μm程度に設定しておけば、光ビームを空乏層に直接入射できる。
単に光信号を受光する普通のPDとして用いる場合は、図9に示したP型半導体層のように、N型又はP型半導体層を分割しなくてもよい。しかし、光ピックアップ装置の情報読み取り用兼フォーカス制御用PDとして用いる場合は、信号処理をする上で、N型又はP型半導体層を2分割するのが望ましい。図9では二つのN型半導体902、904が、内部電界を大きく変えないように2分割されており、I型半導体層905を間に挟んで隣接するP型半導体901、903と2分割された二つのN型半導体層との組み合わせから4つの出力電流が得られる。入射光の断面形状が円形からPDの対角線方向を主軸とする楕円形に変化した場合は、4つの電流の大きさは変化する。本発明では光ビームが楕円形に変化しても、空乏層に直接入射できる構造になっているため、感度低下が生じない特徴を有する。
次に、PDの内部電界と静電容量について説明する。図10の電位分布は鞍形状であり、PDの中心は電位ゼロの鞍点となっている。ここで図9に示すようにX軸とY軸を定め、N型半導体層902の中心側の端部のX座標をR、N型半導体層902の外側(受光面の縁)のX座標をxとする。具体的には、例えば、R=5μm、x=10μmである。深さ方向をZ軸とする。図9の双曲線形の電位分布φは
φ(x,y,z)=(x−y)V/R
と表せる。点(±R,0)での電位はV、点(0,±R)での電位は−Vである。P型半導体層とN型半導体層の厚さをΔZとして、深さ方向には0<z<ΔZの範囲を考える。
N型半導体層の電位を+V、P型半導体層の電位を−VとしてPDに逆バイアスを与えた時の空乏層内の任意の位置(x、y、z)における電界E(x,y,z)は、
E(x,y,z)=−gradφ(x,y,z)
と表せる。
素子の静電容量をCとすると、電界のエネルギーは

Figure 2008053583
と表せる。ここで、εは半導体の誘電率である。
深さΔZの領域の8分の1サイズの静電容量をC1/8とすると、

Figure 2008053583
である。これを計算するとPDの静電容量Cは

Figure 2008053583
と表せる。ここでは静電容量Cを計算するために、双曲線形の電位分布を仮定したが、P型半導体層とN型半導体層の形状が別の形であっても、P型半導体層とN型半導体層が図9に示すような配置であれば、内部に少なくとも1つの鞍点を有する電位分布が得られる。後述する実施例の様に、光ビームが照射されない周辺部(図9、円Sで囲まれた領域)のP型半導体層とN型半導体層を削除することで静電容量は上記の式で計算した値の30%ぐらいまで低減できる。
本実施形態のPDは、P−Si層とN−Si層の配置から分るように、横型PDであるため、接合の面積が極めて小さい。このため、従来例の半導体受光素子よりも一桁速い応答速度で動作する。図11に、半導体受光素子に接続した増幅器の帰還抵抗が20kΩときの本実施形態のPDと従来の半導体受光素子におけるCR帯域の、垂直方向の空乏層厚依存性を示す。なお、図中、横軸は垂直方向の空乏層厚、縦軸はCR帯域で、曲線aは本実施形態のPDの特性、曲線bは従来のPDの特性である。図11は、電位の鞍点形成部位であるPDの中心から受光面端迄の距離xがx=1.5R(Rは、PDの中心からN型半導体層端までの距離である(図9参照))の場合を示しており、図11から分かるように、垂直方向の空乏層厚が6.5μmまで本実施形態のPDの方が高い帯域が得られた。垂直方向の空乏層厚が0.9μmの場合には1GHzを超えるCR帯域が得られた。後述の実施例の半導体受光素子ではさらに接合容量を低減した構造を有しているため、さらに、上記の2〜3倍の高い帯域が得られた。さらに、横型PDであるが故に、製造工数も少なく小型にでき、従来の半導体受光素子よりも安価に製造できる(従来の10%の費用で作製できる)。また、横型PDの特徴として、光スポットの断面積を20倍に拡大すれば、受光面における光キャリア密度が低減することと、光キャリアが水平方向に分布するため、応答速度を劣化せずに、入射光強度の許容範囲を従来の50μWから10mWまで拡大できる。
以下、実施例にて本発明の半導体受光素子及び半導体光集積素子(PDIC)について詳しく説明する。
図1に第1の実施例の半導体受光素子の上面図を、図2(A)に図1の切断線A1−A1に沿って切断した断面図を、図2(B)に切断線B1−B1に沿って切断した断面図を示す。図1、図2(A)(B)に示すように、第1の実施例の半導体受光素子は、Si基板200、I−Si層100、P−Si層101、P電極102、N−Si層103、N電極104、N−Si層105、N電極106、P−Si層107、P電極108、N−Si層109、N電極110、N−Si層111N電極112、反射防止膜120からなる横型PIN接合フォトダイオード(PD)である。
I−Si層100は、高抵抗なSi基板200上に結晶成長で形成された、1×1013cm−3〜5×1014cm−3程度の低い不純物濃度の弱いP型導電性を有する層厚5μm程度のSi層で成る受光層である。P−Si層101、107とN−Si層103、105、109、111は、I−Si層100の表面から0.3μmの深さの範囲に拡散法あるいはイオン打ち込み法で、P−Si層は硼素(B)を、N−Si層は砒素(As)をドーピングして形成した層である。P−Si層上のP電極102、108とN−Si層上のN電極104、106、110、112は、P−Si層101、107及びN−Si層103、105、109、111とそれぞれオーミック接触を形成するTiNあるいはAl(アルミニウム)を用いて形成した電極である。
PDの平面形状、即ち、I−Si層100で形成された受光面形状は、図示の如く、P−Si層101、107及びN−Si層103、105、109、111、P電極102、108、N電極104、106、110、112を取り囲む正方形で、正方形の1辺の長さは20μmである。P−Si層とN−Si層に内接する正方形の1辺の長さは10μmであり、この領域が、光が入射する受光部になる。反射防止膜120はSiOとSiNを受光面に交互に積層した構造であり、層数を増やし、層厚を最適化することにより青色光から赤外光まで100%近い高い透過率が実現可能である。
本実施例のPDは、図1に示されるように、入射光が照射されるPDの中心10の周囲にP−Si層(P領域)とN−Si層(N領域)が交互に、且つ、P−Si層同士、N−Si層同士がそれぞれ対向するように配置・形成されている。即ち、2つのP型半導体層及び2つのN型半導体層を同じ導電型の半導体層同士を、PD中心10を対称の中心として点対称に配置してある。点対称に配置した2つのN−Si層は、隣接するP−Si層と組み合わせてできるPIN接合から互いに独立した出力信号を得るために、それぞれN−Si層103とN−Si層105、及び、N−Si層109とN−Si層111のように2分割されている。このN−Si層の分割に伴い、N−Si層上のN電極もN電極104とN電極106、及び、N電極110とN電極112のように2分割されている。また、高速化のため静電容量を小さくする目的で、PD周辺部のP−Si層とN−Si層が対向する領域のP−Si層とN−Si層が削除されている。即ち、P−Si層とN−Si層は、正方形の受光面の各辺の中央部のみに形成され、正方形の各辺の端部である正方形四隅近傍領域(図1、円Sで囲まれた領域)には形成されていない。P−Si層とN−Si層が形成されない正方形四隅近傍領域はI−Si層が露出している。このため、青色光に対してCR特性は1GHz〜3GHzの高帯域特性を有し、応答速度が速いPDとなっている。
動作時はP−Si層とN−Si層の間に2V〜4V程度の逆バイアスを印加した状態で、P−Si層とN−Si層に囲まれた、PD中心部(PD中心10近傍)のI−Si層100に光ビームを照射して受光動作させる。その時、I−Si層100は空乏化しており、光ビームはN−Si層とP−Si層には殆ど照射されないので、光ビームは、P−Si層とN−Si層には殆ど吸収されずに、全てI−Si層100に吸収される。光吸収によりI−Si層100で発生した電子−正孔対のうちで正孔は最寄りのP−Si層へ、電子は最寄りのN−Si層へドリフト移動する。従来のPDではN−Si層とP−Si層が対向位置に配置・形成されているために、発生した電子と正孔の移動方向は180度反対方向である。一方、本発明のPDでは発生した電子と正孔の移動方向は必ずしも180度反対方向ではない独自の方向(図9参照)に移動する。例えば、図1のQ点で発生した電子−正孔対の電子は、矢印uの方向に移動し、正孔は矢印vの方向に移動する。
上述したように、本実施形態のPDは、電界が印加されない十字形状の分割P領域がなく、光ビームの照射領域(受光部)は空乏化したI−Si層である。このため、受光面に形成したN型半導体層とP型半導体層の組み合わせで構成される複数の半導体受光素子の独立性が高く、電流リークやクロスト−クがなく、歩留まりの問題も含めて、既に述べた従来の半導体受光素子の分割P領域に起因するあらゆる問題が生じない。
図3に本実施例のPDの出力配線図を示す。本実施例のPDでは、前述したように、隣接するPIN接合領域から独立した出力信号を得るために、N−Si層が、N−Si層103とN−Si層105、及び、N−Si層109とN−Si層111のように2分割されている。PDの出力配線は、P−Si層101、107をグランド端子GNDに接続し、独立したN−Si層103、105、109、111から個々に得た4つの出力信号を各々のI−V変換差動増幅器で増幅する結線構造を有する。具他的には、各N−Si層表面に形成した4つのN電極104、106、110、112からの出力電流はそれぞれ第1のI−V変換差動増幅器305、第2のI−V変換差動増幅器306、第3のI−V変換差動増幅器307、第4のI−V変換差動増幅器308で電圧信号に変換され、第1の出力電圧端子301、第2の出力電圧端子302、第3の出力電圧端子303、第4の出力電圧端子304にそれぞれ電圧V1、V2、V3、V4という値で出力される。これらの差動増幅器は従来と同等のアナログ回路用のバイポ−ラ・トランジスタを用いたものである。情報読取り用の出力信号Vsとしては、PDを構成する4つのPDからの出力信号V1〜V4の和である、
Vs=V1+V2+V3+V4
を用いる。一方、フォーカス制御用の出力信号(フォーカス誤差信号)Vfとしては、
Vf=V1+V3−V2−V4
を用い、出力信号VfがゼロになるようにPDが搭載されている光ピックアップの位置がビーム焦点距離を維持するようにフィードバック制御する。4つのPDの出力信号V1、V2、V3、V4の和や差は和算器および減算器の電子回路(図示省略)を用いて出力される。
本実施例のPDは、前述したごとく図1に示すように、N−Si層とP−Si層の形状が同一形状で、且つ、切断線A1−A1、或いは、切断線A1−A1に直交する中心線C−Cに対して線対称である。このため、I−Si層100に形成された空乏層の電位分布が、図9、図10に示すように、切断線A1−A1あるいはそれに直交する中心線C−Cに対して線対称であり、且つ、対角線20及び対角線30(図1参照)に対しても線対称となる。このような対称性を有する電位分布を持つPDに、PDの中心10に関して少なくとも4回転対称な断面形状の光ビームが入射すると、4つのN−Si層103、105、109、111からの出力電圧は等しくなる。
上記のような電位分布を有する横型PDは中心部の電界が弱い。このため、そこに光が照射された場合に、キャリアのドリフト速度が遅いので、PDの応答帯域が劣化する。この、応答帯域劣化は、PDに照射された光スポットの形状を、中心部の光強度が弱く、周辺部の光強度が強い形状、例えば環状にして、電界強度が弱いPD中心部でのキャリア発生を抑えることにより解消できる。応答劣化解消のために、中心部の光強度が弱く、周辺部の光強度が強い断面形状の光ビームをPDに照射するには、円形状断面形状の光ビームを光ビーム形状変換器にて中心部の光強度が弱く、周辺部の光強度が強い断面形状の光ビームに変換すればよい。
図4に、円形状断面形状の光ビームを、中心部の光強度が弱く、周辺部の光強度が強い断面形状の光ビームに変換する光ビーム形状変換器を備えたPDを示す。なお、この実施例のPDは、図1に示した第1の実施例のPDを用いている。図4におけるPD断面は、図1の切断線A1−A1における断面を示している。
光ビーム形状変換器401は、PDに入力される入射光ビーム406の断面形状を円形から環状に変換する機能を有する。光ビーム形状変換器401は、石英ガラス板などの光学材料に、光ビーム径Rよりやや大きい底面径で、且つ、切り込み角度θの円錐形状の穴403を設け、石英ガラス板両面に無反射コ−ト膜(図示省略)を施したものである。この光ビーム形状変換器401をPDの受光面から空気厚d離れた位置に、穴403の中心をPDの中心に合わせて設置する。これによって入射光を損失することなく、PDに入力される光ビームの断面形状を円形から環状に変えることができる。以下に示すように、光学材料の屈折率に対して切り込み角度θと空気厚dを適切に設定することで、環状の外径と内径を制御してPD上に集光でき、P−Si層とN−Si層で囲まれた受光部の空乏層域内に光ビームを留め、且つ、受光部中心部(PD中心)に非照射半径rの円形の非照射領域404を形成することができる。本実施例のPDでは、入射光ビームの断面形状を円形から環状に変えたことで、電界強度が弱いPD中心部に入射される光量が減少するので、応答が遅れる電界強度が弱い領域での光キャリアの発生が抑制されるから、応答速度の低減を防止できる。
以下に光ビーム形状変換器の設計例を示す。計算は屈折率に関するスネルの法則を用いて行った。図5に屈折率1.5の石英ガラスで非照射半径rが1μm、2μm、3μmの場合の、空気厚dの切り込み角度θ依存性を示す。今、入射光ビーム径は6μmであるとし、P−Si層101とP−Si層107の間の空乏層幅W、即ち、P−Si層101とP−Si層107との間隔Wは10μmに設定されている。図5によれば、切り込み角度θ=45°、空気厚d=4μmに設定すれば、非照射半径r=2μmとなり、空乏化したI−Si層100の内半径2μm〜5μmの環状の範囲に光が照射される。光ビーム形状変換器の厚さは10μm、青色光の吸収領域405は表面から0.3μm程度である。
光ビーム形状変換器401は、PDを保護するための内部が中空のパッケ−ジ(図示省略)に取り付けられる。光ビーム形状変換器401はPDの上に被せられ、且つ、パッケ−ジ内部を空気、或いは、窒素などを充填して封止される。これによって光照射部分に樹脂を用いずにPDの受光面を保護することができる。また、PD表面を樹脂で覆わないから、PD表面を覆った封止用樹脂が青色光によって劣化する問題を回避できる。
光ビーム形状変換器401はPDに入力される光ビームの断面積を拡大する機能も有する。そのため光ビーム形状変換器401は受光部の大きさが異なる情報読取り用PDとトラッキング用PDのどちらにも適用可能である。
光ビーム形状変換器401は、PDに入射する光に対して透明な材料であれば、石英ガラス以外の材料も適用可能である。また、石英ガラス板で構成した図4に示した光ビーム変換器を使用せず、PDを封止する封止材に凹型円錐形状の穴を加工して、封止材に光ビーム変換器の機能を担わせてもよい。
光ビーム形状変換器401は、図4に示した平板に円錐形状の穴を設けた構造に限定されない。円錐形状の凸形状でも、平板に円錐形状の穴を設けた構造と同様の断面形状の光ビームが得られ、光ビーム形状変換器として適用可能であり、PDの反射膜の直上に凸形円錐形状の材料を取り付けてもよい。また、光ビーム形状変換器の穴の形状或いは凸形状も円錐形状に限定されず、例えば、レンズ状の凹形状あるいは凸形状でも円錐形状の場合と同様の効果がある。さらに、光ビーム形状変換器401の表裏のどちらに凹形状あるいは凸形状の加工を施しても、同様の光ビーム形状変換の機能を実現できる。
図6に、第1の実施例のPDを図4に示す様に光ビーム変換器と組み合わせたときのPD表面の等電位線とPD表面(受光面)上の光スポット形状を示す。図7には図6のX軸上の(Y=0μm)電位プロファイルを示す。図6中、PDの中心10を原点Oとし、横軸をX軸、原点Oを通りX軸に直交する縦軸をY軸として座標軸を定めてある。図7の縦軸は電位、横軸は図6に示したX軸である。等電位線603は、逆バイアス2Vを与えた時の等電位線である。光スポットは、図示の如く、非照射領域604と環状光照射領域605から成る環状で、外周はP−Si層101、107とN−Si層103、105、109、111に接している。
P−Si層101のPD中心10(原点O)に近い方の端の位置はx=5μm、P−Si層107のPD中心10に近い方の端の位置はx=−5μmである。環状光照射領域605の内径は2μm、外径は5μmである。従って、図7から分るように、環状光照射領域605の電位は0.35V〜2.0Vである。なお、図7のグラフの傾きは電界強度を表す。図7によれば、環状の光照射領域701の電界強度はこの領域でほぼ一定であり、内径が2μm以下の領域で電界強度が減少し、内径が1μm以下の領域で急速に小さくなり、原点O、即ち、PD中心でゼロになることが分る。
図8に、複数のPDから成る本実施例のPDICのPDの平面配置を示す。本実施例のPDICは、P−Si層107P電極108、N−Si層111N電極112などを備えた情報読取り用PD801の両側に、第1のトラッキング用PD802、第2のトラッキング用PD803を設置した構成である。情報読取り用PD801は、第2の実施例で説明した光ビーム形状変換器(図示省略)を備えた図4に示すPDを用いている。第1、第2のトラッキング用PD802、803は従来例で説明した図28〜図30のPDを用いている。情報読取り用PD801には、図4で説明した光ビーム変換器により成形された環状の集光スポットを用いており、図8には焦点がずれた場合の集光スポットが描かれている。焦点が合っている場合は図6の如く環状であるが、焦点がずれた場合の集光スポット805の形状は、図8の如く、非照射領域804を有する楕円もしくは楕円環形状である。楕円環形状の集光スポットの長軸808は、情報読取り用PD801の対角線に一致する。第1のトラッキング用PD802には環状の集光スポット806が、第2のトラッキング用PD803には環状の集光スポット807が照射される。第1、第2のトラッキング用PDに照射される集光スポット806と集光スポット807は、環状の光スポットを用いたが、従来用いられている通常の円形状でもかまわない。なお、図8には示さなかったが、このPDICにおいては、情報読取り用PD801と第1のトラッキング用PD802と第2のトラッキング用PD803の周囲には、それぞれN電極およびP電極が取り囲むように形成されており、電極から電子回路(図示省略)へPDを避けて立体的に配線が形成されている。
このPDICの動作は、第1、第2のトラッキング用PDは前述した従来例と同じであり、読み取り用PDは図3で説明した通りである。また、情報読取り用PD801の電位分布は図6、図7に示す電位分布と同じである。
図8には、1つの情報読取り用PDと2つのトラッキング用PDからなるPD部を示したが、PDの数は必要に応じて増減することができる。また、トラッキング用PDに本発明のPDを適用することも可能である。
図12に本実施例のPDの上面図を示す。この実施例は、P領域(P−Si層)とN領域(N−Si層)の形状を工夫し、電位の鞍点が形成されるPD中心近傍の電界強度が強くなるように改善したPDである。
この実施例は、I−Si層1200、P−Si層1201、P電極1202、N−Si層1203、N電極1204、N−Si層1205、N電極1206、P−Si層1207、P電極1208、N−Si層1209、N電極1210、N−Si層1211、N電極1212、遮光板1230、遮光板1231を有している。ここで遮光板1230、1231は、例えばアルミニウムなどの金属から成り、電界のかからないN−Si層1203とN−Si層1205の間、及び、N−Si層1209とN−Si層1211の間に光キャリアが形成されないようにするためのもので、N−Si層1203とN−Si層1205の間、及び、N−Si層1209とN−Si層1211の間を遮光するように形成されている。なお、この遮光板は、通常はSi層表面に形成した反射防止膜上に形成するが、短絡やリーク等の虞がなければSi層上に直に形成してもよい。
本実施例のPDは、図示の如く、第1の実施例と異なり、P−Si層およびN−Si層がPD中心方向に突き出た形状を有する特徴がある。また、N電極およびP電極もP−Si層、N−Si層の形状に応じてPD中心方向に突き出た形状を有している。この突起部分を除けばP−Si層、N−Si層の形状は第1の実施例と同じである。また、I−Si層、P−Si層、N−Si層、N電極、P電極それぞれの平面配置及び受光面形形状(素子形状)も、図示の如く、図1に示す第1の実施例と同じである。このように、本実施例のPDは、P−Si層およびN−Si層が中心方向に突き出た形状を有するために、PD中心部の電界が強められ、より高速応答が可能になる。さらに、PD中心部の電界が強められてPD中心部における応答帯域劣化が軽減するので、通常用いている円形の集光スポット1240に対しても、高い応答帯域を実現できる。
図13に本実施例の横型PIN−PDの上面図を、図14(A)に図13の切断線B13−B13に沿って切断した断面図を、図14(B)に図13の切断線A13−A13に沿って切断した断面図を示す。本実施例のPDは、P−Si基板1400上にエピタキシャル成長したP−Si成長層1300を備え、P−Si成長層1300表層部にP−Si層1301、N−Si層1303、N−Si層1305、P−Si層1307、N−Si層1309、N−Si層1311を備え、P−Si層とN−Si層の上にそれぞれP電極1302、N電極1304、N電極1306、P電極1308、N電極1310、N電極1312を備えている。P−Si成長層とP−Si層、N−Si層の表面には反射防止膜1321が形成され、反射防止膜上にPD中心部を覆って遮光膜1320が形成されている。各P−Si層の下にはP−Si埋め込み層がそれぞれP−Si層に接して形成されている。各N−Si層の下にはN−Si埋め込み層がそれぞれN−Si層に接して形成されている。P−Si成長層1300、P−Si層、N−Si層N電極、P電極それぞれの平面配置及び平面形状並びに受光面形状(PD外形形状)は、図13の如く、図1に示す第1の実施例と同じである。なお、図14の断面図には、P−Si基板1400、P−Si成長層1300、P−Si埋め込み層1401、P−Si埋め込み層1404、P−Si層1301、P−Si層1307、N−Si埋め込み層1402、N−Si層1303、P電極1302、P電極1308、N電極1304、反射防止膜1321、遮光膜1320が描かれている。
本実施例のPDはP−Si埋め込み層1401とP−Si層1301を合わせたP領域の厚さは5μm、N−Si埋め込み層1402とN−Si層1303を合わせたN領域の厚さは5μmである。遮光膜1320は中央部の電界の弱い領域に光を入射させないために設けられている。遮光膜1320の形状は空乏層の電気力線に合わせて決定した。本実施例のPDは、PD中心部に光が入射しないように遮光膜1320を設けたので、やや感度が減少するが、通常用いられる円形断面形状の光ビームであっても応答帯域劣化は発生せず、高速化が安価、且つ、簡単に実現できる。このため、入射光ビームの断面形状を環状にする必要はなく、応答帯域劣化を気にすることなく通常の円形断面形状の光ビームが使用できる。なお、入射光ビームの断面形状を環状にすると、遮光膜に光ビームが入射しないので、光の利用効率が向上することは云うまでもない。
赤色光は5μm深さ程度までSiに侵入するので、P領域及びN領域の厚さが赤色光の侵入長と同程度の5μmである本実施例のPDは、赤色光およびそれより波長の短い光を高感度かつ高速に受光できる特徴を有する。赤色より長波長の光を受光する場には、P領域とN領域の厚さをSiに対する光の侵入長程度に設定することで感度を向上できる。但し、素子容量はP領域とN領域の厚さに比例して上昇し、動作速度が制限される傾向がある。しかしながら光ディスク用途のPDの場合、現在のところ、赤外光に対する要求帯域は100MHz程度であり、青色光ほどの高速性を要求されない。従って、本実施例のPDで、P領域とN領域の厚さを、入射光の波長に対して最適に設定することで高性能の光ディスク用PDが得られる。
尚、上述したように、本実施例は赤色光と赤外光を受光する半導体受光素子として構成したが、本実施例の構成で受光感度を落とさずに青色光を受光することも可能である。この場合、多波長光に対応した受光素子として機能するが、P領域及びN領域の厚さが厚いので青色光に対する応答速度が実施例1のPDよりも若干劣る。
遮光膜1320の材料は本実施例ではAl(アルミニウム)であり、PDに光を入射させないために0.2μm〜5μm程度の厚さを有するものを用いた。遮光膜1320の材料はAl以外の材料でもかまわない。遮光膜の表面粗さを高めると乱反射しやすくなるので、強い反射光が再びPDに入ることを防ぐために、表面粗さを高めたAl薄膜を用いるのが好ましい。
遮光膜1320の形状はPD中心部の電界の弱い領域(本実施例では直径1〜2μmの円形領域)を覆うことのできる形状であれば任意の形状が適用可能である。本実施例の遮光膜1320は等電位線で囲まれた4つの角を有する形状であるが、円形あるいは正方形でも代替可能である。遮光膜1320の具体的な大きさは、本実施例の場合では、円形状遮光膜の場合は直径が1〜3μmの円形、正方形状の遮光膜の場合は1辺が1〜3μmの正方形である。受光感度を極力減らしたくない場合には、遮光膜1320の面積は小さい方がよい。集光スポット形状は円形でなくて、環状でもかまわない。
図15に本実施例のPDの上面図を、図16に本実施例のPDの断面図を示す。図16の断面図は図15の切断線A15−A15線に沿った断面図で、I−V変換差動増幅器等のPDの出力配線の一部も同時に図示してある。本実施例のPDは多波長用の横型PIN−PD(以下、PD)である。本実施例のPDは、図15、図16に示すように、P−Si基板1501、P−Si成長層1502、P−Si埋め込み層1503、P−Si成長層1504、P−Si拡散層1505、反射防止膜1506、P電極(P2)1507、P電極(P1)1508、P−Si層1509、N−Si層1510、N電極(N1)1511、N電極(N2)1512、N−Si拡散層1513、N−Si埋め込み層1514、N−Si層1520、N電極(N1)1521、N電極(N2)1522、N−Si拡散層1523、N−Si埋め込み層1524、P−Si拡散層1525、P−Si埋め込み層1526、P電極(P2)1527、P電極(P1)1528、P−Si層1529、N−Si層1530、N電極(N1)1531、N電極(N2)1532、N−Si拡散層1533、N−Si埋め込み層1534、N−Si層1540、N電極(N1)1541、N電極(N2)1542、N−Si拡散層1543、N−Si埋め込み層1544、遮光膜1550からなる。各P−Si層、N−Si層それぞれの平面配置及び形状は図1のPDと同じである。出力配線の一部として接地端子GNDがP電極を介してP−Si拡散層1505とP−Si層1509に接続している。I−V変換差動増幅器1516は、切り替えスイッチ1515、N電極を経てN−Si層1510、N−Si拡散層1513に接続している。I−V変換差動増幅器1516の出力は出力電圧端子1517から取り出される。入射光ビーム1519は、対角線1551と対角線1552の交点であるPDの中心部に垂直に入射する。本実施例のPDは情報読取り用PDであるが、これまでの実施例と同じくフォーカス制御用の信号検知も兼ねている。なお、図15中の正方形は受光面を示している。
Si層(N−Si層とP−Si層を総称してSi層と記す。以下、Si埋め込み層、Si拡散層についても同様である。)は、図16から分るように、Si埋め込み層と0.3〜1μm離れて、Si埋め込み層上方、PD表層部に設けられ、Si埋め込み層と電気的に隔離されている。Si埋め込み層上方に設けたSi層は、青色光等の短波長光により生成したキャリアを捕獲するための層で、PD深部に設けたSi埋め込み層は赤色光や赤外光等の長波長光により生成したキャリアを捕獲するための層である。Si拡散層は、Si埋め込み層に接続して形成されて、Si埋め込み層で得られた信号電流を取り出すための層である。
図17に本実施例のPDを用いたフォーカス制御信号出力回路の概念図を示す。本実施例におけるフォーカス制御信号出力回路は、第1の切り替えスイッチ1701、第2の切り替えスイッチ1702、第3の切り替えスイッチ1703、第4の切り替えスイッチ1704、第1のI−V変換差動増幅器1705、第2のI−V変換差動増幅器1706、第3のI−V変換差動増幅器1707、第4のI−V変換差動増幅器1708、第1の加算器1709、第2の加算器1710、減算器1711、出力端子1712から成り、図17の如くPDに接続して、出力端子1712からフォーカス誤差信号電圧(Vf)を取り出す構成である。
−Si層とP−Si拡散層は接地されており、N−Si層またはN−Si拡散層からの独立な4つの電流信号を4つのI−V変換差動増幅器1705〜1708でそれぞれ増幅し、各電圧信号V1〜V4に変える。本実施例の回路では、I−V変換差動増幅器で得られた4つの電圧信号V1〜V4から、第1の加算器1709で(V1+V3)、第2の加算器1710で(V2+V4)を得、減算器1711でフォーカス誤差信号電圧VfとしてVf=(V1+V3)−(V2+V4)の値を出力端子1712から出力する。情報の読取りに関しては、図17の減算器1711を加算器に置き換えた回路を用い、情報読取り信号電圧としてVs=(V1+V3+V2+V4)の値を出力する。上述の如く、情報の読取りと同時にフォーカス誤差信号電圧Vfを検知し、フォーカス誤差信号電圧Vfがゼロとなるように光ピックアップ装置の照射光学系を光ディスクの面振れに対して追従させることでフォーカス制御ができる。なお、2つの信号Vf、Vsを取り出す回路構成としては、減算器と加算器を並列に設ける構成や、切り替えスイッチで減算器と加算器を切り替えて使用する構成等、光ピックアップ装置の構成に合わせて適宜定めればよい。
図18に、図17に示したフォーカス制御信号出力回路の操作方法の第1の説明図を示す。第1の説明図は第6の実施例のPD(図15、図16)を用いて青色光等の、侵入長の短い短波長の光を受光する場合の操作法の説明図である。青色光1800を受光する場合、図18のように、切り替えスイッチ1515をオフにする。図17を用いて説明すると、青色光を受光する場合は、4つの切り替えスイッチ1701〜1704をすべてオフにする。このスイッチ切り替えによって、N−Si層1510とP−Si層1509といった最表面のSi層間にのみ空乏層1810が形成されて電界が発生し、N−Si埋め込み層1514とP−Si埋め込み層1503といった下層のSi埋め込み層間には空乏層も電界も生じない。この場合、N−Si層1510とP−Si層1509といった最表面のSi層の厚さは0.25μmと薄いので、非常に容量が小さい。そのためGHzオーダの高速動作が可能になる。
図19に、図17に示したフォーカス制御信号出力回路の操作方法の第2の説明図を示す。第2の説明図は赤外光等、Siの奥深くまで侵入する侵入長の長い長波長光を受光する場合の操作法の説明図である。赤外光1900を受光する場合は、図19のように、切り替えスイッチ1515をオンにする。図17を用いて説明すると、赤外光を受光する場合は、4つの切り替えスイッチ1701〜1704を全てオンにする。この場合は、N−Si層1510とP−Si層1509といった最表面のSi層間と、N−Si埋め込み層1514とP−Si埋め込み層1503といった下層のSi埋め込み層間に同時に空乏層1910が形成されて電界が発生する。表層のSi層(例えばN−Si層1510)と埋め込みSi層(例えばN−Si埋め込み層1514)とを合わせた層厚は10μmであるので、内部で発生する電界は、N−Si層1510とN−Si埋め込み層1514を層厚が10μmの一つのN−Si層と看し、P−Si層1509とP−Si埋め込み層1503を層厚が10μmの一つのP−Si層と看した場合に等しくなる。これによって赤外光のような10μm近くSi層に侵入する光の場合でも、発生した光キャリアを電流に変えることができるので、高い量子効率が得られる。静電容量は4つの切り替えスイッチをオフにした場合の40倍(=10/0.25)になる。しかし、本発明のPDは空乏層幅を十分広く取ることが容易にできる横型PDなので、従来の縦型PDに比べて静電容量を小さくでき、高速な応答が可能である。
上述したように、本実施例のPDは、従来の半導体受光素子では難しかった、青、赤、赤外の三つの波長を含む多波長光を1つの半導体受光素子で高速に受光できる。本実施例のPDでは、青色光、赤色光、赤外光の各波長の光に対して300MHz以上の高帯域特性が得られた。また、多波長に対する受光感度も良好で、青色光と赤色光で95%(0.3A/W)以上の量子効率、赤外光で90%以上の量子効率が得られる。さらに、本実施例のPDは、P型領域(P型半導体層)、N型領域(N型半導体層)の形状が容易に変えられ、空乏層の形状を容易に制御できるため、半導体受光素子構造の最適化も容易である。
図22〜図27に本実施例(図15、図16)のPDの製造工程の一例を示す。なお、図22〜図27に描いた図はPDを製造する各製造工程における製作途中のPD断面図である。なお、この断面図は、図16と同様、図15のA15−A15切断線の部分の断面を示している。
図22に示す第1の工程において、先ず、不純物が1012cm−3程度に導入された、比抵抗500ΩcmのP−Si基板1501上に、不純物が1013cm−3程度に導入されたP−Si成長層1502を成長させたウエハ表面に、UV露光で開口したフォトレジスト膜2201を形成し、イオン注入用のマスクを形成する。次いで、マスクが形成されたP−Si成長層1502に、SiのN型ドーパントである燐2202をイオン注入して、厚さ1μm、不純物濃度が1018cm−3程度の高濃度のN−Si層2203を形成する。
次に、第2の工程では図23のように、フォトレジスト膜2201を除去し、ウエハ表面にUV露光で開口したフォトレジスト膜2301を形成し、SiのP型ドーパントである硼素(B)2302をP−Si成長層1502にイオン注入した後に熱処理を加え、注入損傷の回復と注入イオンの電気的活性化を図り、厚さ1μm、不純物濃度が1018cm−3程度の高濃度のP−Si層2303を形成する。このとき、燐を注入した領域も同時に熱処理されて、注入損傷の回復と注入イオンの電気的活性化が行われる。
第3の工程では図24のように、フォトレジスト膜2301を除去し、ウエハ表面を清浄化した後にエピタキシャル成長法によってP−Si成長層1504を成長させる。成長中に、N−Si層2203とP−Si層2303の不純物が拡散し、N−Si層2203はN−Si埋め込み層1514に、P−Si層2303はP−Si埋め込み層1503に変化する。得られたウエハ表面にUV露光で開口したフォトレジスト膜2401を形成し、燐イオン2402の注入を行った後に熱処理を行い、N−Si埋め込み層1514まで達するN−Si拡散層1513を形成する。
第4の工程では図25のように、フォトレジスト膜2401を除去し、表面にUV露光で開口したフォトレジスト膜2501を形成し、開口部に硼素(B)イオン2502の注入を行った後に熱処理を行い、P−Si埋め込み層1503まで達するP−Si拡散層1505を形成する。
第5の工程では図26のように、フォトレジスト膜2501を除去し、表面にUV露光で開口したフォトレジスト膜2601を形成し、開口部に砒素(As)2602のイオン注入を行った後に熱処理を行い、厚さ0.25μm、不純物濃度が1019cm−3程度のN−Si層1510をN−Si埋め込み層1514に接しないように形成する。このとき、N−Si層1510とN−Si埋め込み層1514との距離が、0.3〜1μm、好ましくは、0.5〜0.8μmとなるように形成する。
第6の工程では図27のように、フォトレジスト膜2601を除去し、表面にUV露光で開口したフォトレジスト膜2701を形成し、開口部に硼素(B)イオン注入2702を行った後に熱処理を行い、厚さ0.25μmで3×1018cm−3程度の不純物イオン濃度のP−Si層1509をP−Si埋め込み層1503に接しないようにP−Si埋め込み層1503から0.3〜1μm、好ましくは、0.5〜0.8μm離して形成する。この後、フォトレジスト膜2701を除去し、各P−Si層、各N−Si層、各P−Si拡散層及び各N−Si拡散層にそれぞれ電極(図示省略)を形成するとPDができあがる。
N型層やP型層の形成のために不純物を導入する方法としては、イオン打ち込み法以外に、通常の熱拡散方法やフィルム拡散源を用いる固相拡散方法も用いられる。例えば、固相拡散により不純物を拡散する場合、Si基板上のSiOにレジスト露光により開口部を設け、硼素(ボロン)の拡散源であるポリボロンフィルム(PBF、多結晶硼素膜)を開口部にスピン塗布して形成し、熱処理温度1000℃〜1100℃で窒素雰囲気中で1時間熱処理を施し、硼素(ボロン)の拡散処理を行えばよい。N型不純物拡散源としては燐フィルム、砒素(As)フィルム等がある。
図20に第6の実施例のPDとCMOS系の半導体素子をモノリシックに形成したPDICの断面図を示す。なお、PDの断面は図15の切断線A15−A15に沿った部分の断面図である。
本実施例のPDICは、カソ−ド端子2001、アノ−ド端子2002を有する第6の実施例のPD2000とCMOSトランジスタ2011を同一のSi基板に集積した構造を有する。CMOSトランジスタ2011は、図示の如く、ソース電極2004、ゲート電極2005、ドレイン電極2006、N−Si層から成るソース2012とN−Si層から成るドレイン2013、P−Si成長層1504、ゲート酸化膜2010とから成るN型MOSトランジスタと、ソース電極2007、ゲート電極2008、ドレイン電極2009、N−Si層から成るウエル層2015、ウエル層内に形成されたP−Si層から成るソース2014、ウエル層内に形成されたP−Si層から成るドレイン2016、ゲート酸化膜2010とから成るP型MOSトランジスタで構成されている。2つのMOSトランジスタ間及びMOSトランジスタとPD間はLOCOS(酸化膜)2003で電気的に分離されている。PD2000は、第6の実施例で説明したとおりである。なお、図20には、PDのN−Si層とN−Si拡散層1513にカソード端子2001が、P−Si層とP−Si拡散層にアノード端子2002が設けて描いてある。
CMOSトランジスタ2011は、N型MOSトランジスタとP型MOSトランジスタを適宜組み合わせることでスイッチに必要なNOT回路などの基本演算が構成できる。また、MOSトランジスタに抵抗などを組み合わせてトランス・インピ−ダンス増幅回路も構成できるので、これらCMOSトランジスタ2011をPDと同一基板に形成することで種々の機能を有するPDICが得られる。
CMOSトランジスタ2011は、PDの光キャリアを走行させる低濃度のP−Si成長層1504の表層部に形成できるので、PDとの集積が容易である。さらに、PDがIC部、即ち、CMOSトランジスタ等から成る電子回路の構造に制限されずに作製できる利点がある。また、CMOSトランジスタの低消費電力・低コスト性が活用できる。なお、本実施例のPDICは、CMOSトランジスタを用いたLSIの製造に通常用いられている公知の技術により製造することができる。
図21に本発明の第6の実施例のPDとバイポ−ラ系の半導体素子をモノリッシクに形成したPDICの断面図を示す。なお、PDの断面は図15の切断線A15−A15に沿った部分の断面図である。
本実施例のバイポ−ラ系のPDICは、カソ−ド端子2001、アノ−ド端子2002を備えた本発明の第6の実施例で示したPD2000とバイポ−ラ・トランジスタ2111を同一のSi基板に集積した構造を有するPDICである。バイポ−ラ・トランジスタ2111は、図示の如く、ベース電極2102、エミッタ電極2103、コレクタ電極2104、N−Si埋め込み層(コレクタ層として機能する)2105、N−Si拡散層2106、N−Siコレクタ拡散層2107、P−Siベース層2108、N−Siエミッタ層2109、保護膜2110からなり、LOCOS2101によりPD2000と電気的に分離されている。PD2000は、第6の実施例で説明したとおりである。なお、図21のPDには、N−Si層とN−Si拡散層1513に電極を介してカソード端子2001が、P−Si層とP−Si拡散層に電極を介してアノード端子2002が接続してある。また、このPDICは、バイポ−ラLSIの製造に通常用いられている公知の技術により製造することができる。
上記、実施例7、実施例8のPDICは、それぞれ、半導体素子で構成される電子回路にCMOS系、バイポーラ系の一方のみを用いた例であるが、CMOS系、バイポーラ系の両方が混在した電子回路をPDと集積したPDICとしてもよい。また、実施例7、実施例8では第6の実施例のPDを用いたが、PDも、第1、第2又は第4の実施例のPDのようにI−Si層の浅い領域に空乏層が形成されるPDと、第5の実施例のPDのようにI−Si層の深い領域に空乏層が形成されるPDとを混在させたPDIC、或いは、実施例3(図8)のように、本発明の横型PDと従来の垂直型PDを混在させたPDICとしてもよい。例えば、吸収長(侵入長)が短い短波長の青色光はI−Si層の浅い領域に空乏層が形成される横型のPDで受光し、吸収長(侵入長)が長い長波長の赤色光や赤外光はI−Si層の深い領域に空乏層が形成されるPD又は従来の垂直型のPDで受光する構成とすることも可能である。このように入射光の波長によりPDを使い分けると、広い波長領域にわたって効率良く受光することができる。また、第7の実施例の図と第8の実施例の図では便宜上それぞれPD一つと、トランジスタ(CMOSトランジスタ、バイポーラ・トランジスタ)一つが描かれているが、PDとトランジスタの数は実施例の図に描いた数に限定されることなく、必要に応じて適宜増減してよい。例えば、光ピックアップ装置に用いるPDICでは、一つの情報読み取り用PDと2つのトラッキング用PD、及び、各PDに接続した、信号処理用(信号の増幅、加算、減算、比較、電流−電圧変換等)の複数のトランジスタ等のようにPDと半導体素子の数は必要に応じて適宜設定すればよい。
上記実施例1〜8では、PDにはSi材料を用いたが、4族半導体材料あるいは3−5族化合物材料といった他の半導体材料を用いてもよい。また、実施例7、実施例8におけるPDICにおいて、半導体素子をSi材料で構成し、PDをSi以外の化合物半導体で構成、或いは逆に、PDをSiで構成し、半導体素子を例えばGaAs等の化合物半導体で構成する等、半導体素子とPDを互いに異なる材料で構成してもよい。さらに、実施例1〜8のPDは、I−Si層に形成された空乏層における電位分布の鞍点が一つであったが、電位分布の鞍点を複数にして、単一の光ビームだけでなく、複数の光ビームを受光できる構成としてもよい。
本発明のPDは、主に光ディスクなどの情報記録装置に適用するものであるが、一般に多波長かつ高速性が要求される計測用半導体受光素子やセンシング用半導体受光素子といった用途にも適用できる。
本発明の第1の実施例のPDの上面図。 図1の切断線A1−A1、B1−B1におけるPDの断面図。 本発明の第1の実施例のPDの出力配線図。 本発明の第2の実施例の光ビーム形状変換器を備えたPDの概略図。 光ビーム形状変換器の設計方法を示す図。 本発明の第2の実施例のPDの等電位線と光ビーム断面形状を示す上面図。 図6のX軸上の電位プロファイルを示す図。 本発明の第3の実施例のPDICにおけるPD部の平面配置を示す上面図。 本発明のPDの平面構造と等電位線を示す上面図。 本発明のPDの電位分布を示す斜視図。 本発明のPDと従来のPDにおけるCR帯域の垂直方向の空乏層厚依存性を示す図。 本発明の第4の実施例のPDの上面図。 本発明の第5の実施例のPDの上面図。 図13の切断線A13−A13及びB13−B13におけるPDの断面図。 本発明の第6の実施例のPDの上面図。 図15の切断線A15−A15におけるPDの断面図。 本発明の第6の実施例におけるフォーカス誤差信号出力回路の概念図。 本発明の第6の実施例のPDの第1の操作方法を示す図。 本発明の第6の実施例のPDの第2の操作方法を示す図。 本発明の第7の実施例のPDICの断面図。 本発明の第8の実施例のPDICの断面図。 本発明の第6の実施例の第1の製造工程の説明図。 本発明の第6の実施例の第2の製造工程の説明図。 本発明の第6の実施例の第3の製造工程の説明図。 本発明の第6の実施例の第4の製造工程の説明図。 本発明の第6の実施例の第5の製造工程の説明図。 本発明の第6の実施例の第6の製造工程の説明図。 従来例のPDの上面図。 図28の切断線A28−A28におけるPDの断面図。 従来例のPDICのPD部の平面配置図。 従来例の横型PDの上面図。
符号の説明
10 PDの中心
20 対角線
30 対角線
100 I−Si層
101 P−Si層
102 P電極
103 N−Si層
104 N電極
105 N−Si層
106 N電極
107 P−Si層
108 P電極
109 N−Si層
110 N電極
111 N−Si層
112 N電極
120 反射防止膜
200 高抵抗Si基板
301 第1の出力電圧端子
302 第2の出力電圧端子
303 第3の出力電圧端子
304 第4の出力電圧端子
305 第1のI−V変換差動増幅器
306 第2のI−V変換差動増幅器
307 第3のI−V変換差動増幅器
308 第4のI−V変換差動増幅器
401 光ビーム形状変換器
403 円錐形状の穴
404 非照射領域
405 青色光の吸収領域
406 入射光ビーム
603 等電位線
604 非照射領域
605 環状光照射領域
701 光照射領域
801 情報読取り用PD
802 第1のトラッキング用PD
803 第2のトラッキング用PD
804 非照射領域
805 集光スポット
806 集光スポット
807 集光スポット
808 集光スポットの長軸
900 PD中心(座標の原点O)
901 P型半導体層
902 N型半導体層
903 P型半導体層
904 N型半導体層
905 I型半導体層
908 等電位線
1200 I−Si層
1201 P−Si層
1202 P電極
1203 N−Si層
1204 N電極
1205 N−Si層
1206 N電極
1207 P−Si層
1208 P電極
1209 N−Si層
1210 N電極
1211 N−Si層
1212 N電極
1230 遮光板
1231 遮光板
1240 円形状集光スポット
1300 P−Si成長層
1301 P−Si層
1302 P電極
1303 N−Si層
1304 N電極
1305 N−Si層
1306 N電極
1307 P−Si層
1308 P電極
1309 N−Si層
1310 N電極
1311 N−Si層
1312 N電極
1320 遮光膜
1321 反射防止膜
1400 P−Si基板
1401 P−Si埋め込み層
1402 N−Si埋め込み層
1404 P−Si埋め込み層
1501 P−Si基板
1502 P−Si成長層
1503 P−Si埋め込み層
1504 P−Si成長層
1505 P−Si拡散層
1506 反射防止膜
1507 P電極(P2)
1508 P電極(P1)
1509 P−Si層
1510 N−Si層
1511 N電極(N1)
1512 N電極(N2)
1513 N−Si拡散層
1514 N−Si埋め込み層
1515 切り替えスイッチ
1516 I−V変換差動増幅器
1517 出力電圧端子
1519 入射光ビーム
1520 N−Si層
1521 N電極(N1)
1522 N電極(N2)
1523 N−Si拡散層
1524 N−Si埋め込み層
1525 P−Si拡散層
1526 P−Si埋め込み層
1527 P電極(P2)
1528 P電極(P1)
1529 P−Si層
1530 N−Si層
1531 N電極(N1)
1532 N電極(N2)
1533 N−Si拡散層
1534 N−Si埋め込み層
1540 N−Si層
1541 N電極(N1)
1542 N電極(N2)
1543 N−Si拡散層
1544 N−Si埋め込み層
1550 遮光膜
1551 対角線
1552 対角線
1701 第1の切り替えスイッチ
1702 第2の切り替えスイッチ
1703 第3の切り替えスイッチ
1704 第4の切り替えスイッチ
1705 第1のI−V変換差動増幅器
1706 第2のI−V変換差動増幅器
1707 第3のI−V変換差動増幅器
1708 第4のI−V変換差動増幅器
1709 第1の加算器
1710 第2の加算器
1711 減算器
1712 出力端子
1800 青色光
1810 空乏層
1900 赤外光
1910 空乏層
2000 PD
2001 カソ−ド端子
2002 アノ−ド端子
2003 LOCOS(酸化膜)
2004 ソース電極
2005 ゲート電極
2006 ドレイン電極
2007 ソース電極
2008 ゲート電極
2009 ドレイン電極
2010 ゲート酸化膜
2011 CMOSトランジスタ
2012 ソース(N−Si層)
2013 ドレイン(N−Si層)
2014 ソース(P−Si層)
2015 ウエル層(N−Si層)
2016 ドレイン(P−Si層)
2111 バイポ−ラ・トランジスタ
2101 LOCOS
2102 ベース電極
2103 エミッタ電極
2104 コレクタ電極
2105 N−Si埋め込み層(コレクタ)
2106 N−Si拡散層
2107 N−Siコレクタ拡散層
2108 P−Siベース層
2109 N−Siエミッタ層
2110 保護膜
2800 N−Si層
2801 第1のN領域
2802 第2のN領域
2803 第3のN領域
2804 第4のN領域
2805 P型拡散層
2806 分割P領域
2810 PD中心
2900 Si基板
2901 P−Si層
2902 I−Si層
2907 反射防止膜
3001 情報読み取り用PD
3002 第1のトラッキング用PD
3003 第2のトラッキング用PD
3004 対角線
3005 集光スポット
3006 集光スポット
3007 集光スポット
3101 P型低抵抗拡散層
3102 P型低抵抗拡散層
3103 P型低抵抗拡散層
3104 P型低抵抗拡散層
3105 N型低抵抗拡散層
3106 高抵抗基板

Claims (24)

  1. 動作時に空乏層が形成された受光層の電位分布が少なくとも一つの鞍点を有することを特徴とした半導体受光素子。
  2. 動作時に空乏層が形成された受光層の空乏層内の電界が前記受光層の面に平行であること特徴とした請求項1記載の半導体受光素子。
  3. 向かい合う少なくとも1組のN型半導体層と、向かい合う少なくとも1組のP型半導体層とが同一平面上でお互いに交差して、動作時に空乏層が形成される受光層に設けたこと特徴とした半導体受光素子。
  4. 向かい合うP型半導体層同士間及びN型半導体層同士間の間隔の最小値が、断面が円形状の入射光の径と同じ、又は、それより大きいことを特徴とした請求項3に記載の半導体受光素子。
  5. 動作時に空乏層が形成される受光層に形成された等電位線の、受光面に向かって見たときの形状と、受光面に向かって見たときのN型半導体層の受光面の中心に対向した側の輪郭形状、及び、P型半導体層の受光面の中心に対向した側の輪郭形状が双曲線形状であることを特徴とした請求項3又は4記載の半導体受光素子。
  6. 動作時に空乏層が形成される受光層に形成された、N型半導体層とP型半導体層の形状が、前記受光層に形成される電位の鞍点部位の方向に向かう突起を有する形状であることを特徴とした請求項3又は5記載の半導体受光素子。
  7. 動作時に空乏層が形成される受光層に入射した光の受光層表面における光強度分布が前記受光層の電位の鞍点形成部位でゼロ、或いは、その周囲よりも小さくなる手段を、前記受光層の電位の鞍点形成部位上に備えたことを特徴とした請求項1〜5の何れかに記載の半導体受光素子。
  8. 動作時に空乏層が形成される受光層の電位の鞍点形成部位上に遮光部材を設けたことを特徴とした請求項7記載の半導体受光素子。
  9. 断面形状が円形状の入射光ビームを、中心部の光強度が弱く、周辺部の光強度が強い断面形状の光ビームに変換する光ビーム形状変換器を、受光層の電位の鞍点形成部位上部に設けたことを特徴とした請求項7記載の半導体受光素子。
  10. 光ビーム形状変換器で変換された光ビームの断面形状が環状であることを特徴とした請求項9記載の半導体受光素子。
  11. 動作時に空乏層が形成される受光層に形成されたP型半導体層とN型半導体層の内の少なくとも何れか一方の半導体層が少なくとも2分割されていることを特徴とした請求項1〜10の何れかに記載の半導体受光素子。
  12. 動作時に空乏層が形成される受光層に形成されたN型半導体層とP型半導体層の厚さが、入射する光の侵入長の1〜2倍程度であることを特徴とした請求項1〜11の何れかに記載の半導体受光素子。
  13. 青色光が入射する受光層に形成されたN型半導体層とP型半導体層の層厚が0.1μm〜1μmであることを特徴とした請求項1〜12の何れかに記載の半導体受光素子。
  14. 赤外光と青色光、又は、赤色光と青色光が入射する受光層に形成されたN型半導体層とP型半導体層の層厚が3μm〜7μmであることを特徴とした請求項1〜12の何れかに記載の半導体受光素子。
  15. 赤色光と赤外光の何れか一方の光又は赤色光と赤外光の両方の光が入射する受光層に形成されたN型半導体層とP型半導体層の層厚が7μm〜13μmであることを特徴とした請求項1〜12の何れかに記載の半導体受光素子。
  16. 受光層の表層部に青色光の侵入長の1倍〜2倍程度の深さまで厚さの薄いN型半導体層とP型半導体層を形成し、これら厚さの薄いN型及びP型半導体層の下方に、前記厚さの薄いN型及びP型半導体層と同じ導電型で、赤色光または赤外光の侵入長の1〜2倍程度の厚さの厚いN型半導体層とP型半導体層を、前記厚さの薄いN型半導体層及びP型半導体層と電気的に分離して、受光層の内部に形成したことを特徴とした請求項1〜12の何れかに記載の半導体受光素子。
  17. 青色光、赤色光、赤外光の三つの波長を含む光が入射する受光層の表層部に形成されたN型半導体層とP型半導体層の層厚が0.1μm〜1μmであり、前記N型半導体層とP型半導体層から離れた下方領域に前記N型及びP型の半導体層と電気的に隔離されて形成されたN型半導体層とP型半導体層の層厚が7μm〜13μmであることを特徴とした請求項16記載の半導体受光素子。
  18. 青色光を受光する際には、受光層の表層部に浅く形成されたP型、N型半導体層間への逆バイアス印加により空乏層を形成し、赤色光或いは赤外光を受光する際には、前記表層部に浅く形成されたP型、N型半導体層間への逆バイアス印加と、前記表層部に浅く形成されたP型、N型半導体層の下方の深い位置に形成されたP型、N型半導体層への逆バイアス印加とにより空乏層を形成し、入射光の波長に応じて、受光層内に形成する空乏層の厚さを切り替えて受光することを特徴とした請求項16又は17に記載の半導体受光素子。
  19. PN接合又はPIN接合を有する半導体受光素子を複数同一基板に形成した半導体光集積素子において、前記半導体受光素子のうち、少なくとも一つの半導体受光素子が請求項1〜18の何れかに記載の半導体受光素子であることを特徴とした半導体光集積素子。
  20. PN接合又はPIN接合を有する一つ又は複数の半導体受光素子と、前記半導体受光素子からの出力信号を処理する電子回路とを有する半導体光集積素子において、少なくとも一つの前記半導体受光素子が、請求項1〜18の何れかに記載の半導体受光素子であることを特徴とした半導体光集積素子。
  21. 動作時に空乏層が形成される受光層中に、向かい合う1組のP型半導体層と、向かい合う1組のN型半導体層とが同一平面上でお互いに交差して配置され、且つ、前記P型半導体層とN型半導体層の内の少なくとも何れか一方の導電型の半導体層が2分割された半導体受光素子と、前記半導体受光素子の互いに隣接するP型半導体層とN型半導体層の組合せから得られる4つの出力電流を個別にそれぞれ増幅し、且つ、電圧に変換する4つの増幅回路、前記4つの増幅回路からの出力電圧から情報検知信号を出力する情報信号処理回路、及び、前記4つの増幅回路からの出力電圧からフォーカス誤差信号を出力するフォーカス誤差検知回路を有する電子回路とを具備したことを特徴とした半導体光集積素子。
  22. 電子回路をCMOSトランジスタで構成したことを特徴とした請求項20又は21記載の半導体光集積素子。
  23. 電子回路をバイポ−ラ・トランジスタで構成したことを特徴とした請求項20又は21記載の半導体光集積素子。
  24. 電子回路をCMOSトランジスタとバイポ−ラ・トランジスタを用いて構成したことを特徴とした請求項20又は21記載の半導体光集積素子。
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