JP2004047149A - 燃料電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】低温時における始動性を向上させた燃料電池を提供する。
【解決手段】燃料電池は、電解質層10と、電解質層10を対向して挟持する電極層12と、電解質層10と電極層12からなる積層体を対向して挟持する拡散層14と、拡散層14と電荷の授受を行う集電部材18とを有しており、集電部材18は、拡散層14に接触して電荷の授受を行う複数の通電部20を有しており、複数の通電部20の少なくとも1つが、所定温度以下で拡散層14から解離して電荷の授受を止める。
【選択図】 図1
【解決手段】燃料電池は、電解質層10と、電解質層10を対向して挟持する電極層12と、電解質層10と電極層12からなる積層体を対向して挟持する拡散層14と、拡散層14と電荷の授受を行う集電部材18とを有しており、集電部材18は、拡散層14に接触して電荷の授受を行う複数の通電部20を有しており、複数の通電部20の少なくとも1つが、所定温度以下で拡散層14から解離して電荷の授受を止める。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料電池に関する、より詳細には、低温始動性に優れた燃料電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
燃料が有するエネルギーを電気エネルギーに変換する装置として燃料電池が知られている。燃料電池は、通常、電解質層を挟んで一対の電極層を有しており、一方の電極層の表面に水素等の燃料ガスを接触させ、また他方の電極層の表面に酸素を含有する酸化ガスを接触させ、このとき生じる電気化学反応を利用して、電極層間から電気エネルギーを取り出している。
【0003】
ところで、燃料電池は、前述したように電気化学反応を利用したものであることから、常温よりも高い温度で動作させることで、高効率で電気エネルギーを取り出すことが可能になる。燃料電池は、定常運転時には自己発熱等により高い温度を保つことが可能であり、従って高効率で電気エネルギーを取り出すことが可能だが、始動直後から定常運転までの間、燃料電池が所定温度に上昇するまでは、何らかの手法で強制的に加熱することが必要となる。特に氷点下での始動においては、燃料電池内の生成水が凍結していることも考えられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明は、低温時における始動性を向上させた燃料電池を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
(1)上記目的を達成するために、本発明に係る燃料電池は、電解質層と、前記電解質層を対向して挟持する電極層と、前記電解質層と前記電極層からなる積層体を対向して挟持する拡散層と、前記拡散層と電荷の授受を行う集電部材と、を有する燃料電池であって、前記集電部材は、前記拡散層に接触して電荷の授受を行う複数の通電部を有し、前記複数の通電部の少なくとも1つが、所定温度以下で前記拡散層から解離して電荷の授受を止めるものとする。
【0006】
望ましくは、前記集電部材の通電部は形状記憶合金を利用した通電部とする。
【0007】
上記構成によれば、所定温度以下において通電部が拡散層から解離するため、拡散層内の電荷が迂回経路をたどることにより、拡散層内での内部損失が大きくなり、発熱効果が大きくなる。しかも、ヒーターなどの追加装置が必要ないためコンパクトな構成を所望する場合に都合がよい。
【0008】
望ましくは、前記拡散層は、積層方向の電気抵抗よりも積層面内の方向の電気抵抗が大きく、前記集電部材の通電部は、前記拡散層の積層面側に接触して電荷の授受を行うものとする。
【0009】
望ましくは、前記集電部材は、通電部が前記拡散層の積層面側に接触して電荷の授受を行うとともに、前記拡散層との間にガス流路を形成し、前記拡散層の内部に、拡散層よりも大きな電気抵抗を有する抵抗物質層が、積層面に対して略垂直に、拡散層を分断するように設けられたものとする。
【0010】
望ましくは、前記拡散層の内部には、拡散層よりも大きな電気抵抗を有する複数の抵抗物質層が、積層面に対して略垂直に、拡散層を複数部分に分断するように設けられ、前記抵抗物質層の各々は、そのガス流路側の全縁がガス流路に当接し、かつ、該ガス流路と拡散層の当接部を残すように設けられたものとする。
【0011】
上記構成によれば、所定温度以下において拡散層内の電荷が迂回経路をたどる際に、より大きな電気抵抗を通過するため、さらに拡散層内での内部損失が大きくなり、発熱効果もより大きくなる。しかも、積層方向の電気抵抗を小さく設計できるため、前記効果を維持しつつ、所定温度より高く通電部が拡散層から解離していない場合は、拡散層内での内部損失が小さくなり、発電エネルギーを効率よく利用できる。
【0012】
望ましくは、前記積層体、前記拡散層および前記集電部材を、積層方向に加圧し密着する加圧手段をさらに有し、前記加圧手段は、所定温度以下で圧力を低下させるものとする。
【0013】
上記構成によれば、所定温度以下において電解質層と電極層の間、あるいは電極層と拡散層の間、あるいは拡散層と集電部材との間の接触部分での電気抵抗が増し、発熱効果が大きくなる。
【0014】
望ましくは、前記拡散層に電力を供給する電源をさらに有し、前記電源から供給される電力により、前記拡散層にジュール熱を発生させるものとする。
【0015】
上記構成によれば、低温始動において最も問題となる拡散層を直接、外部電源で発熱させることができるため、さらに低温始動性が向上する。
【0016】
(2)また、上記目的を達成するために、本発明に係る燃料電池は、燃料電池の構成部品のうち導電部分に電力を供給する電源を有し、前記電源から供給される電力により、前記導電部分にジュール熱を発生させるものとする。
【0017】
上記構成によれば、低温始動において問題となる所望部分を直接、外部電源で発熱させることができるため、低温始動性が向上する。
【0018】
(3)また、上記目的を達成するために、本発明に係る燃料電池は、電解質層と、前記電解質層を対向して挟持する電極層と、前記電解質層と前記電極層からなる積層体を対向して挟持する拡散層と、を有する燃料電池であって、前記拡散層に電力を供給する電源をさらに有し、前記電源から供給される電力により、前記拡散層にジュール熱を発生させるものとする。
【0019】
上記構成によれば、低温始動において最も問題となる拡散層を直接、外部電源で発熱させることができるため、低温始動性が向上する。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0021】
図1には、本発明に係る燃料電池の好適な実施形態が示されており、図1はその全体構成を示す構成図である。図1に示すように、燃料電池は、電解質層10と、この電解質層10を両側から挟んだ構造の電極層12、さらに電極層12を外側から挟んだ構造の拡散層14を有し、拡散層14の外側には、燃料ガス(水素を含む)および酸化ガス(酸素を含む)のガス流路16を形成し、電極層12に発生する発電電荷を集める集電部材18が配置されている。
【0022】
電解質層10は、高分子材料、例えばフッ素系樹脂により形成されたイオン交換膜等が含まれており、湿潤状態で良好なイオン導電性を示す。拡散層14は、燃料ガス、酸化ガスを充分に拡散させる構造であり、ガス流路16を流れる燃料ガス、酸化ガスを電極層12まで効率よく供給する。集電部材18は、燃料ガスおよび酸化ガスの流路溝であるガス流路16を形成するとともに、通電部20から、電極層12に発生する電荷を拡散層14を介して集めている。
【0023】
図1は単一構成の燃料電池を示しているが、燃料電池を高電圧出力として利用する際には、図1のように構成された燃料電池を、複数個積層して燃料電池装置を構成する。この場合、集電部材18内を流れる電荷は、隣接する燃料電池の集電部材18へ向かって流れることになる。
【0024】
拡散層14には電源22が接続されている。図1では拡散層14の図の上端、下端に電源の正極、負極がそれぞれ接続され、拡散層14内に電力を供給する構成になっている。なお、この電源22の機能については後に詳述する。
【0025】
本発明に係る燃料電池は、集電部材18の通電部20が、拡散層14と接触、解離する構成となっている。
【0026】
図2は、拡散層14と通電部20の接触、解離状態を示す図であり、拡散層14と通電部20が接触している状態(A)、解離している状態(B)をそれぞれ示す。図2に示すように、通電部20と拡散層14の接点をON/OFF接点とし、低温時には接点をOFFとし、所定温度、つまり燃料電池の発電効率が良好な温度になると接点をONとする。
【0027】
接点ON時、つまり図2(A)の状態では、電極層12から拡散層14に流れ込む電荷は、概ね最も近い位置にある通電部20に向かって流れて行く。一方、接点OFF時、つまり図2(B)の状態では、電極層12の中央部に発生し拡散層14に流れ込んだ電荷は、中央部の通電部20が拡散層14から解離しているため、中央部に位置する通電部20に流れ込むことができず、上下端にある通電部20に流れ込むことになる。この場合、中央部に発生した電荷は、拡散層14内を図2の上下方向に流れるため、図2(A)の状態に比べ、拡散層14内での内部損失が高まり、この結果、図2(A)の状態に比べ、損失に伴う熱がより多く発生する。
【0028】
上記のような通電部20を形成するには、例えばTi−Ni合金に代表される形状記憶合金を利用して、低温で拡散層14から離れ、所定温度で拡散層14と強く接触するように構成すればよい。
【0029】
燃料電池の低温始動においては、特に拡散層14の温度が問題となるが、上記構成ではこの拡散層14のみを、より効果的に加熱することができる。
【0030】
上述したように、電荷により拡散層14内へ、損失に伴う熱を発生させるためには、拡散層14内の電気抵抗が大きい方が有利である。しかしながら、拡散層14内の電気抵抗を単純に増大させてしまうと、発電によるエネルギーの損失が大きくなり、発電効率の面では不利になる。
【0031】
この問題を解決するために、拡散層14内の電気抵抗を、積層方向の電気抵抗よりも積層面内の方向の電気抵抗が大きくなるように形成すればよい。つまり、電解質層10、電極層12、拡散層14を積層する方向である積層方向の電気抵抗を小さくし、積層方向に垂直な積層面内の様々な方向の電気抵抗を大きくする。
【0032】
この様子を、図1を利用して説明すると、図1の拡散層14における図の上下方向、つまり電源22が接続されている一端から他端方向が、積層面内の方向の一つであり、図の左右方向、つまり電極層12から通電部20に向かう方向が、積層方向である。
【0033】
このように形成することにより、接点ON時(図2(A)の状態)では、電極層12から拡散層14に流れ込む電荷は、主に積層方向に流れるため拡散層14内での損失が小さくてすむ。一方、接点OFF時(図2(B)の状態)では、電極層12の中央部に発生し拡散層14に流れ込んだ電荷は、上下端にある通電部20に向かって、つまり積層面内の方向に流れるため拡散層14内での損失が大きくなり、より多くの熱が発生する。
【0034】
拡散層14内の積層面内の方向の電気抵抗を大きくし、積層方向の電気抵抗を小さくするには、図1に示すように、積層面に垂直な面に抵抗の大きな物質である抵抗物質層24を設ける。抵抗物質層24は、隣り合う通電部20に挟まれるように設けられ、接点ON時(図2(A)の状態)において、電極層12に発生する電荷が拡散層14を通り、通電部20に到達する経路を遮断しないような構成とする。つまり、接点ON時、電極層12で発生する電荷は積層方向に進み、最寄りの通電部20に到達することで、抵抗物質層24を通らなくて済む。また、ガス流路16と拡散層14との当接部26を塞がないように形成することで、ガス流路16を流れるガスが、拡散層14内へ拡散するのを妨げないようにする。
【0035】
前述したように、燃料電池を高電圧出力として利用する際には、図1のように構成された燃料電池を、積層方向に複数個積層した燃料電池装置を構成すればよい。一般に燃料電池を積層して燃料電池装置を形成する場合、燃料電池内の各層間、あるいは燃料電池間の接触部の電気抵抗が小さくなるように、積層した燃料電池を積層方向に加圧する。
【0036】
例えば、図1において、2つの集電部材18の両端から挟み込むように、図示しない加圧手段により、積層方向の電解質層10向きに加圧する。この加圧により、例えば電極層12と拡散層14の接触が強まり、接触部分の電気抵抗が低下し、電極層12に発生する電荷が、拡散層14へ流出する際の損失が小さくなる。したがって、燃料電池の定常運転時には加圧状態で利用することで効率よく発電エネルギーを集めることができる。逆に燃料電池の低温運転時には、加圧力を弱めて、接触部分の電気抵抗を大きくし、接触部分での損失に伴う発熱が大きくなるようにすればよい。つまり、低温時には、積層方向の加圧を弱めて、接点部分における発熱を促し、所定の温度に達した場合、積層方向の加圧を強めて、接点部分における損失を抑えればよい。
【0037】
上述した手法は、いずれも燃料電池が電極層12に発生する電荷を利用しているが、図1に示すように外部から、つまり拡散層14に接続した電源22から電気エネルギーを供給し、これを熱エネルギーに変換してもよい。
【0038】
図1に示す電源22は、拡散層14に接続され、電源22から拡散層14に供給される電力は、拡散層14内に電気抵抗が存在する場合、ジュール熱として熱エネルギーに変換され、拡散層14内に発熱作用を奏する。つまり、電源22から拡散層14に供給される電気的エネルギーが熱エネルギーに変換され、拡散層14を加熱することになる。電源22としては、定電圧供給源や定電流供給源が考えられるが、定電流供給源の場合、拡散層14内の電気抵抗が大きいほど、発熱量が増大する。この場合、前述した構成により拡散層14内部の電気抵抗を高めることで、拡散層14内に発生する熱を大きくできる。
【0039】
図1では、電源22は拡散層14に接続されているが、例えば集電部材18に接続して、集電部材18を加熱する構成にしてもよい。
【0040】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る燃料電池により、低温時における始動性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る燃料電池の全体構成を示す構成図である。
【図2】拡散層と通電部の接触、解離状態を示す図である。
【符号の説明】
10 電解質層、12 電極層、14 拡散層、16 ガス流路、18 集電部材、20 通電部、22 電源、24 抵抗物質層。
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料電池に関する、より詳細には、低温始動性に優れた燃料電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
燃料が有するエネルギーを電気エネルギーに変換する装置として燃料電池が知られている。燃料電池は、通常、電解質層を挟んで一対の電極層を有しており、一方の電極層の表面に水素等の燃料ガスを接触させ、また他方の電極層の表面に酸素を含有する酸化ガスを接触させ、このとき生じる電気化学反応を利用して、電極層間から電気エネルギーを取り出している。
【0003】
ところで、燃料電池は、前述したように電気化学反応を利用したものであることから、常温よりも高い温度で動作させることで、高効率で電気エネルギーを取り出すことが可能になる。燃料電池は、定常運転時には自己発熱等により高い温度を保つことが可能であり、従って高効率で電気エネルギーを取り出すことが可能だが、始動直後から定常運転までの間、燃料電池が所定温度に上昇するまでは、何らかの手法で強制的に加熱することが必要となる。特に氷点下での始動においては、燃料電池内の生成水が凍結していることも考えられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明は、低温時における始動性を向上させた燃料電池を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
(1)上記目的を達成するために、本発明に係る燃料電池は、電解質層と、前記電解質層を対向して挟持する電極層と、前記電解質層と前記電極層からなる積層体を対向して挟持する拡散層と、前記拡散層と電荷の授受を行う集電部材と、を有する燃料電池であって、前記集電部材は、前記拡散層に接触して電荷の授受を行う複数の通電部を有し、前記複数の通電部の少なくとも1つが、所定温度以下で前記拡散層から解離して電荷の授受を止めるものとする。
【0006】
望ましくは、前記集電部材の通電部は形状記憶合金を利用した通電部とする。
【0007】
上記構成によれば、所定温度以下において通電部が拡散層から解離するため、拡散層内の電荷が迂回経路をたどることにより、拡散層内での内部損失が大きくなり、発熱効果が大きくなる。しかも、ヒーターなどの追加装置が必要ないためコンパクトな構成を所望する場合に都合がよい。
【0008】
望ましくは、前記拡散層は、積層方向の電気抵抗よりも積層面内の方向の電気抵抗が大きく、前記集電部材の通電部は、前記拡散層の積層面側に接触して電荷の授受を行うものとする。
【0009】
望ましくは、前記集電部材は、通電部が前記拡散層の積層面側に接触して電荷の授受を行うとともに、前記拡散層との間にガス流路を形成し、前記拡散層の内部に、拡散層よりも大きな電気抵抗を有する抵抗物質層が、積層面に対して略垂直に、拡散層を分断するように設けられたものとする。
【0010】
望ましくは、前記拡散層の内部には、拡散層よりも大きな電気抵抗を有する複数の抵抗物質層が、積層面に対して略垂直に、拡散層を複数部分に分断するように設けられ、前記抵抗物質層の各々は、そのガス流路側の全縁がガス流路に当接し、かつ、該ガス流路と拡散層の当接部を残すように設けられたものとする。
【0011】
上記構成によれば、所定温度以下において拡散層内の電荷が迂回経路をたどる際に、より大きな電気抵抗を通過するため、さらに拡散層内での内部損失が大きくなり、発熱効果もより大きくなる。しかも、積層方向の電気抵抗を小さく設計できるため、前記効果を維持しつつ、所定温度より高く通電部が拡散層から解離していない場合は、拡散層内での内部損失が小さくなり、発電エネルギーを効率よく利用できる。
【0012】
望ましくは、前記積層体、前記拡散層および前記集電部材を、積層方向に加圧し密着する加圧手段をさらに有し、前記加圧手段は、所定温度以下で圧力を低下させるものとする。
【0013】
上記構成によれば、所定温度以下において電解質層と電極層の間、あるいは電極層と拡散層の間、あるいは拡散層と集電部材との間の接触部分での電気抵抗が増し、発熱効果が大きくなる。
【0014】
望ましくは、前記拡散層に電力を供給する電源をさらに有し、前記電源から供給される電力により、前記拡散層にジュール熱を発生させるものとする。
【0015】
上記構成によれば、低温始動において最も問題となる拡散層を直接、外部電源で発熱させることができるため、さらに低温始動性が向上する。
【0016】
(2)また、上記目的を達成するために、本発明に係る燃料電池は、燃料電池の構成部品のうち導電部分に電力を供給する電源を有し、前記電源から供給される電力により、前記導電部分にジュール熱を発生させるものとする。
【0017】
上記構成によれば、低温始動において問題となる所望部分を直接、外部電源で発熱させることができるため、低温始動性が向上する。
【0018】
(3)また、上記目的を達成するために、本発明に係る燃料電池は、電解質層と、前記電解質層を対向して挟持する電極層と、前記電解質層と前記電極層からなる積層体を対向して挟持する拡散層と、を有する燃料電池であって、前記拡散層に電力を供給する電源をさらに有し、前記電源から供給される電力により、前記拡散層にジュール熱を発生させるものとする。
【0019】
上記構成によれば、低温始動において最も問題となる拡散層を直接、外部電源で発熱させることができるため、低温始動性が向上する。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0021】
図1には、本発明に係る燃料電池の好適な実施形態が示されており、図1はその全体構成を示す構成図である。図1に示すように、燃料電池は、電解質層10と、この電解質層10を両側から挟んだ構造の電極層12、さらに電極層12を外側から挟んだ構造の拡散層14を有し、拡散層14の外側には、燃料ガス(水素を含む)および酸化ガス(酸素を含む)のガス流路16を形成し、電極層12に発生する発電電荷を集める集電部材18が配置されている。
【0022】
電解質層10は、高分子材料、例えばフッ素系樹脂により形成されたイオン交換膜等が含まれており、湿潤状態で良好なイオン導電性を示す。拡散層14は、燃料ガス、酸化ガスを充分に拡散させる構造であり、ガス流路16を流れる燃料ガス、酸化ガスを電極層12まで効率よく供給する。集電部材18は、燃料ガスおよび酸化ガスの流路溝であるガス流路16を形成するとともに、通電部20から、電極層12に発生する電荷を拡散層14を介して集めている。
【0023】
図1は単一構成の燃料電池を示しているが、燃料電池を高電圧出力として利用する際には、図1のように構成された燃料電池を、複数個積層して燃料電池装置を構成する。この場合、集電部材18内を流れる電荷は、隣接する燃料電池の集電部材18へ向かって流れることになる。
【0024】
拡散層14には電源22が接続されている。図1では拡散層14の図の上端、下端に電源の正極、負極がそれぞれ接続され、拡散層14内に電力を供給する構成になっている。なお、この電源22の機能については後に詳述する。
【0025】
本発明に係る燃料電池は、集電部材18の通電部20が、拡散層14と接触、解離する構成となっている。
【0026】
図2は、拡散層14と通電部20の接触、解離状態を示す図であり、拡散層14と通電部20が接触している状態(A)、解離している状態(B)をそれぞれ示す。図2に示すように、通電部20と拡散層14の接点をON/OFF接点とし、低温時には接点をOFFとし、所定温度、つまり燃料電池の発電効率が良好な温度になると接点をONとする。
【0027】
接点ON時、つまり図2(A)の状態では、電極層12から拡散層14に流れ込む電荷は、概ね最も近い位置にある通電部20に向かって流れて行く。一方、接点OFF時、つまり図2(B)の状態では、電極層12の中央部に発生し拡散層14に流れ込んだ電荷は、中央部の通電部20が拡散層14から解離しているため、中央部に位置する通電部20に流れ込むことができず、上下端にある通電部20に流れ込むことになる。この場合、中央部に発生した電荷は、拡散層14内を図2の上下方向に流れるため、図2(A)の状態に比べ、拡散層14内での内部損失が高まり、この結果、図2(A)の状態に比べ、損失に伴う熱がより多く発生する。
【0028】
上記のような通電部20を形成するには、例えばTi−Ni合金に代表される形状記憶合金を利用して、低温で拡散層14から離れ、所定温度で拡散層14と強く接触するように構成すればよい。
【0029】
燃料電池の低温始動においては、特に拡散層14の温度が問題となるが、上記構成ではこの拡散層14のみを、より効果的に加熱することができる。
【0030】
上述したように、電荷により拡散層14内へ、損失に伴う熱を発生させるためには、拡散層14内の電気抵抗が大きい方が有利である。しかしながら、拡散層14内の電気抵抗を単純に増大させてしまうと、発電によるエネルギーの損失が大きくなり、発電効率の面では不利になる。
【0031】
この問題を解決するために、拡散層14内の電気抵抗を、積層方向の電気抵抗よりも積層面内の方向の電気抵抗が大きくなるように形成すればよい。つまり、電解質層10、電極層12、拡散層14を積層する方向である積層方向の電気抵抗を小さくし、積層方向に垂直な積層面内の様々な方向の電気抵抗を大きくする。
【0032】
この様子を、図1を利用して説明すると、図1の拡散層14における図の上下方向、つまり電源22が接続されている一端から他端方向が、積層面内の方向の一つであり、図の左右方向、つまり電極層12から通電部20に向かう方向が、積層方向である。
【0033】
このように形成することにより、接点ON時(図2(A)の状態)では、電極層12から拡散層14に流れ込む電荷は、主に積層方向に流れるため拡散層14内での損失が小さくてすむ。一方、接点OFF時(図2(B)の状態)では、電極層12の中央部に発生し拡散層14に流れ込んだ電荷は、上下端にある通電部20に向かって、つまり積層面内の方向に流れるため拡散層14内での損失が大きくなり、より多くの熱が発生する。
【0034】
拡散層14内の積層面内の方向の電気抵抗を大きくし、積層方向の電気抵抗を小さくするには、図1に示すように、積層面に垂直な面に抵抗の大きな物質である抵抗物質層24を設ける。抵抗物質層24は、隣り合う通電部20に挟まれるように設けられ、接点ON時(図2(A)の状態)において、電極層12に発生する電荷が拡散層14を通り、通電部20に到達する経路を遮断しないような構成とする。つまり、接点ON時、電極層12で発生する電荷は積層方向に進み、最寄りの通電部20に到達することで、抵抗物質層24を通らなくて済む。また、ガス流路16と拡散層14との当接部26を塞がないように形成することで、ガス流路16を流れるガスが、拡散層14内へ拡散するのを妨げないようにする。
【0035】
前述したように、燃料電池を高電圧出力として利用する際には、図1のように構成された燃料電池を、積層方向に複数個積層した燃料電池装置を構成すればよい。一般に燃料電池を積層して燃料電池装置を形成する場合、燃料電池内の各層間、あるいは燃料電池間の接触部の電気抵抗が小さくなるように、積層した燃料電池を積層方向に加圧する。
【0036】
例えば、図1において、2つの集電部材18の両端から挟み込むように、図示しない加圧手段により、積層方向の電解質層10向きに加圧する。この加圧により、例えば電極層12と拡散層14の接触が強まり、接触部分の電気抵抗が低下し、電極層12に発生する電荷が、拡散層14へ流出する際の損失が小さくなる。したがって、燃料電池の定常運転時には加圧状態で利用することで効率よく発電エネルギーを集めることができる。逆に燃料電池の低温運転時には、加圧力を弱めて、接触部分の電気抵抗を大きくし、接触部分での損失に伴う発熱が大きくなるようにすればよい。つまり、低温時には、積層方向の加圧を弱めて、接点部分における発熱を促し、所定の温度に達した場合、積層方向の加圧を強めて、接点部分における損失を抑えればよい。
【0037】
上述した手法は、いずれも燃料電池が電極層12に発生する電荷を利用しているが、図1に示すように外部から、つまり拡散層14に接続した電源22から電気エネルギーを供給し、これを熱エネルギーに変換してもよい。
【0038】
図1に示す電源22は、拡散層14に接続され、電源22から拡散層14に供給される電力は、拡散層14内に電気抵抗が存在する場合、ジュール熱として熱エネルギーに変換され、拡散層14内に発熱作用を奏する。つまり、電源22から拡散層14に供給される電気的エネルギーが熱エネルギーに変換され、拡散層14を加熱することになる。電源22としては、定電圧供給源や定電流供給源が考えられるが、定電流供給源の場合、拡散層14内の電気抵抗が大きいほど、発熱量が増大する。この場合、前述した構成により拡散層14内部の電気抵抗を高めることで、拡散層14内に発生する熱を大きくできる。
【0039】
図1では、電源22は拡散層14に接続されているが、例えば集電部材18に接続して、集電部材18を加熱する構成にしてもよい。
【0040】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る燃料電池により、低温時における始動性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る燃料電池の全体構成を示す構成図である。
【図2】拡散層と通電部の接触、解離状態を示す図である。
【符号の説明】
10 電解質層、12 電極層、14 拡散層、16 ガス流路、18 集電部材、20 通電部、22 電源、24 抵抗物質層。
Claims (9)
- 電解質層と、
前記電解質層を対向して挟持する電極層と、
前記電解質層と前記電極層からなる積層体を対向して挟持する拡散層と、
前記拡散層と電荷の授受を行う集電部材と、
を有する燃料電池であって、
前記集電部材は、前記拡散層に接触して電荷の授受を行う複数の通電部を有し、前記複数の通電部の少なくとも1つが、所定温度以下で前記拡散層から解離して電荷の授受を止める、燃料電池。 - 請求項1記載の燃料電池であって、
前記集電部材の通電部は形状記憶合金を利用した通電部である、燃料電池。 - 請求項1または2記載の燃料電池であって、
前記拡散層は、積層方向の電気抵抗よりも積層面内の方向の電気抵抗が大きく、
前記集電部材の通電部は、前記拡散層の積層面側に接触して電荷の授受を行う、
燃料電池。 - 請求項3記載の燃料電池であって、
前記集電部材は、通電部が前記拡散層の積層面側に接触して電荷の授受を行うとともに、前記拡散層との間にガス流路を形成し、
前記拡散層の内部に、拡散層よりも大きな電気抵抗を有する抵抗物質層が、積層面に対して略垂直に、拡散層を分断するように設けられた、燃料電池。 - 請求項4記載の燃料電池であって、
前記拡散層の内部には、拡散層よりも大きな電気抵抗を有する複数の抵抗物質層が、積層面に対して略垂直に、拡散層を複数部分に分断するように設けられ、前記抵抗物質層の各々は、そのガス流路側の全縁がガス流路に当接し、かつ、該ガス流路と拡散層の当接部を残すように設けられた、燃料電池。 - 請求項1から5いずれか1項記載の燃料電池であって、
前記積層体、前記拡散層および前記集電部材を、積層方向に加圧し密着する加圧手段をさらに有し、
前記加圧手段は、所定温度以下で圧力を低下させる、燃料電池。 - 燃料電池の構成部品のうち導電部分に電力を供給する電源を有し、前記電源から供給される電力により、前記導電部分にジュール熱を発生させる燃料電池。
- 電解質層と、
前記電解質層を対向して挟持する電極層と、
前記電解質層と前記電極層からなる積層体を対向して挟持する拡散層と、
を有する燃料電池であって、
前記拡散層に電力を供給する電源をさらに有し、前記電源から供給される電力により、前記拡散層にジュール熱を発生させる燃料電池。 - 請求項1から6いずれか1項記載の燃料電池であって、
前記拡散層に電力を供給する電源をさらに有し、前記電源から供給される電力により、前記拡散層にジュール熱を発生させる燃料電池。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002199586A JP2004047149A (ja) | 2002-07-09 | 2002-07-09 | 燃料電池 |
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JP2002199586A JP2004047149A (ja) | 2002-07-09 | 2002-07-09 | 燃料電池 |
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JP2004047149A true JP2004047149A (ja) | 2004-02-12 |
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ID=31706681
Family Applications (1)
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JP2002199586A Pending JP2004047149A (ja) | 2002-07-09 | 2002-07-09 | 燃料電池 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2004047149A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006179300A (ja) * | 2004-12-22 | 2006-07-06 | Denso Corp | 燃料電池の電流測定装置に用いられる電流量推定システム |
JP2010140656A (ja) * | 2008-12-09 | 2010-06-24 | Nissan Motor Co Ltd | 燃料電池用集電体及び固体電解質型燃料電池 |
JP2010153240A (ja) * | 2008-12-25 | 2010-07-08 | Sharp Corp | 燃料電池 |
-
2002
- 2002-07-09 JP JP2002199586A patent/JP2004047149A/ja active Pending
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