JP2004047084A - 薄膜磁気ヘッドの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】スパッタリングによって成膜された窒化鉄層をRIEにより選択的にエッチングして上部ポールチップ11aを形成する。RIEを行う際には、塩素ガスを選択し、加工温度を50℃〜300℃の範囲内とする。続いて、第1のマスク21aの一部と上部ポールチップ11aの先端部11a(1) とをマスクとして、記録ギャップ層8および第2の下部磁極7bの双方の一部を上記と同様のRIEによりエッチングして、磁極部分100を形成する。上記のような条件下においてRIE加工を行うことにより、エッチング条件が最適化されるので、上部ポールチップ11aおよび磁極部分100の双方を高精度に形成することができると共に、双方の形成に要する所要時間を大幅に短縮することができる。
【選択図】 図10
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、少なくとも書き込み用の誘導型磁気変換素子を有する薄膜磁気ヘッドの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ハードディスク装置の面記録密度の向上に伴って、薄膜磁気ヘッドの性能向上が求められている。薄膜磁気ヘッドとしては、書き込み用の誘導型磁気変換素子を有する記録ヘッドと読み出し用の磁気抵抗(以下、MR(Magneto Resistive )と記す。)素子を有する再生ヘッドとを積層した構造の複合型薄膜磁気ヘッドが広く用いられている。MR素子としては、異方性磁気抵抗(以下、AMR(Anisotropic Magneto Resistive )と記す。)効果を用いたAMR素子と、巨大磁気抵抗(以下、GMR(Giant Magneto Resistive )と記す。)効果を用いたGMR素子とがある。AMR素子を用いた再生ヘッドはAMRヘッドあるいは単にMRヘッドと呼ばれ、GMR素子を用いた再生ヘッドはGMRヘッドと呼ばれる。AMRヘッドは、面記録密度が1ギガビット/(インチ)2 を超える再生ヘッドとして利用され、GMRヘッドは、面記録密度が3ギガビット/(インチ)2 を超える再生ヘッドとして利用されている。
【0003】
AMRヘッドは、AMR効果を有するAMR膜を備えている。GMRヘッドは、AMR膜を、GMR効果を有するGMR膜に置き換えたもので、構造上はAMRヘッドと同様である。ただし、GMR膜は、AMR膜よりも、同じ外部磁界を加えたときに大きな抵抗変化を示す。このため、GMRヘッドは、AMRヘッドよりも、再生出力を3〜5倍程度大きくすることができると言われている。
【0004】
再生ヘッドの性能を向上させる方法としては、MR膜をAMR膜からGMR膜等の磁気抵抗感度の優れた材料に変える方法や、MR膜のパターン幅、特に、MRハイトを適切化する方法等がある。このMRハイトとは、MR素子のエアベアリング面側の端部から反対側の端部までの長さをいい、エアベアリング面の加工の際の研磨量によって制御されるものである。なお、ここにいうエアベアリング面は、薄膜磁気ヘッドの、磁気記録媒体と対向する面であり、トラック面とも呼ばれる。
【0005】
一方、再生ヘッドの性能向上に伴って、記録ヘッドの性能向上も求められている。記録ヘッドの性能を決定する要因としては、スロートハイト(Throat Height )がある。スロートハイトは、エアベアリング面から、磁束発生用の薄膜コイルを電気的に分離する絶縁層のエッジまでの磁極部分の長さをいう。記録ヘッドの性能向上のためには、スロートハイトの最適化が望まれている。このスロートハイトも、エアベアリング面の加工の際の研磨量によって制御される。
【0006】
記録ヘッドの性能のうち、記録密度を高めるには、磁気記録媒体におけるトラック密度を上げる必要がある。このためには、記録ギャップ(write gap)を挟んでその上下に形成された下部磁極(ボトムポール)および上部磁極(トップポール)のエアベアリング面での幅を数ミクロンからサブミクロンオーダーまで狭くした狭トラック構造の記録ヘッドを実現する必要があり、これを達成するために半導体加工技術が利用されている。
【0007】
ここで、図27〜図32を参照して、従来の薄膜磁気ヘッドの製造方法の一例として、複合型薄膜磁気ヘッドの製造方法について説明する。
【0008】
この製造方法では、まず、図27に示したように、例えばアルティック(Al2 O3 ・TiC)よりなる基板101上に、例えば酸化アルミニウム(Al2 O3 ;以下、単に「アルミナ」という。)よりなる絶縁層102を、約5〜10μm程度の厚みで堆積する。次に、絶縁層102上に、再生ヘッド用の下部シールド層103を形成する。次に、下部シールド層103上に、例えばアルミナを100〜200nmの厚みでスパッタ堆積し、シールドギャップ膜104を形成する。次に、シールドギャップ膜104上に、再生用のMR素子を構成するためのMR膜105を、数十nmの厚みに形成し、高精度のフォトリソグラフィで所望の形状にパターニングする。次に、MR膜105の両側に、このMR膜105と電気的に接続する引き出し電極層としてのリード層(図示せず)を形成したのち、このリード層、シールドギャップ膜104およびMR膜105上に、シールドギャップ膜106を形成し、MR膜105をシールドギャップ膜104,106内に埋設する。次に、シールドギャップ膜106上に、再生ヘッドおよび記録ヘッドの双方に用いる磁気材料、例えばニッケル鉄(NiFe;以下、単に「パーマロイ(商品名)」という。)よりなる上部シールド兼下部磁極(以下、下部磁極という。)107を形成する。
【0009】
次に、図28に示したように、下部磁極107上に、絶縁材料、例えばアルミナよりなる記録ギャップ層108を形成し、この記録ギャップ層108上に、高精度のフォトリソグラフィによりフォトレジスト膜109を所定のパターンとなるように形成する。次に、フォトレジスト膜109上に、例えばめっき法により、例えば銅(Cu)よりなる誘導型の記録ヘッド用の薄膜コイル110を形成する。次に、フォトレジスト膜109および薄膜コイル110を覆うようにして、高精度のフォトリソグラフィによりフォトレジスト膜111を所定のパターンとなるように形成する。次に、薄膜コイル110の各巻線間の絶縁化のために、フォトレジスト膜111に対して、例えば250℃の温度で加熱処理を行う。
【0010】
次に、図29に示したように、薄膜コイル110よりも後方(図29における右側)の位置において、磁路形成のために、記録ギャップ層108の一部を部分的にエッチングして開口部108aを形成し、下部磁極107の一部を露出させる。次に、下部磁極107の露出面、フォトレジスト膜111および記録ギャップ層108を覆うようにして、高飽和磁束密度の磁気材料、例えばパーマロイを電解めっき法によって成膜する。次に、所定の平面形状を有するフォトレジスト膜よりなるマスク(図示せず)を用いて、このパーマロイよりなるめっき膜をイオンミリングによって選択的にエッチングすることにより上部ヨーク兼上部磁極(以下、上部磁極という。)112を形成する。この上部磁極112は、例えば、後述する図32に示したような平面形状を有するものであり、ヨーク部112aおよびポールチップ部112bを含んでいる。上部磁極112は、開口部108aにおいて下部磁極107と接触し、磁気的に連結されている。次に、上部磁極112の一部(ポールチップ部112b)をマスクとして、記録ギャップ層108および下部磁極107の双方をイオンミリングによって部分的に約0.5μm程度エッチングしたのち(図31参照)、上部磁極112上に、例えばアルミナよりなるオーバーコート層113を形成する。最後に、機械加工や研磨工程によって、記録ヘッドおよび再生ヘッドのトラック面、すなわちエアベアリング面120を形成して、薄膜磁気ヘッドが完成する。
【0011】
図30〜図32は、完成した状態の薄膜磁気ヘッドの構造を表すものである。ここで、図30はエアベアリング面120に垂直な方向における薄膜磁気ヘッドの断面を示し、図31は磁極部分のエアベアリング面120に平行な方向における断面を拡大して示し、図32は平面構造を示す。図29は、図32におけるXXIX−XXIX線に沿った矢視断面に相当する。なお、図30〜図32では、オーバーコート層113等の図示を省略している。また、図32では、薄膜コイル110については、その最外周部分のみを図示し、フォトレジスト膜111については、その最外端のみを図示している。
【0012】
図30および図32において、「TH」はスロートハイトを表し、「MR−H」はMRハイトを表している。両図において、「TH0位置」とあるのは、薄膜コイル110を電気的に分離するための絶縁層であるフォトレジスト膜111の最もエアベアリング面120に近い側の端縁の位置であり、スロートハイトを規定する際の基準となる位置、すなわちスロートハイトゼロ位置を示している。また、「MRH0位置」とあるのは、MR膜105の最もエアベアリング面120から遠い側の端縁の位置であるMRハイトゼロ位置を示している。
【0013】
薄膜磁気ヘッドの性能を決定する要因として、スロートハイト(TH)やMRハイト(MR−H)等の他に、図30に示したエイペックスアングル(Apex Angle:θ)がある。このエイペックスアングルθは、フォトレジスト膜111のエアベアリング面120に近い側の斜面の平均斜度である。
【0014】
図31に示したように、記録ギャップ層108および下部磁極107の双方の一部が上部磁極112のポールチップ部112bに対して自己整合的にエッチングされた構造は、トリム(Trim)構造と呼ばれる。このトリム構造によれば、狭トラックの書き込み時に発生する磁束の広がりによる実効トラック幅の増加を防止することができる。図31において、「P2W」とあるのは、トリム構造を有する部分(以下、単に「磁極部分200」という。)の幅、すなわち磁極幅(以下、「トラック幅」ともいう。)を表している。また、同図において、「P2L」とあるのは、磁極部分200の一部を構成するポールチップ部112bの厚さ、すなわち磁極長を表している。なお、図31に示したように、MR膜105の両側には、このMR膜105と電気的に接続する引き出し電極層としてのリード層121が設けられている。ただし、図27〜図30では、リード層121の図示を省略している。
【0015】
図32に示したように、上部磁極112は、その大部分を占めるヨーク部112aと、磁極幅P2Wとしてほぼ一定の幅を有するポールチップ部112bとを有している。ヨーク部112aとポールチップ部112bとの連結部分において、ヨーク部112aの外縁はエアベアリング面120と平行な面に対して角度αをなし、また、上記連結部分において、ポールチップ部112bの外縁は、エアベアリング面120と平行な面に対して角度βをなしている。ここで、αは、例えば45度程度であり、βは90度である。上記したように、ポールチップ部112bは磁極部分200のトリム構造を形成する際のマスクとなる部分である。図30から判るように、ポールチップ部112bは平坦な記録ギャップ層108の上に延在し、ヨーク部112aはフォトレジスト膜111で覆われて丘陵状に盛り上がったコイル部分(以下、「エイペックス部」という。)の上に延在している。
【0016】
なお、上部磁極の詳細な構造的特徴に関しては、例えば、特開平8−249614号公報に記載がある。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
磁極部分200の磁極幅P2Wは記録媒体上の記録トラック幅を規定するものであるため、記録密度を高めるためには、磁極部分200を高い精度で形成して磁極幅P2Wを狭小化することが要求される。磁極幅P2Wが大きすぎる場合には、記録媒体上の所定の記録トラック領域以外の隣接領域にも書き込みしてしまう現象、すなわちサイドイレーズ現象が発生してしまい、記録密度を向上させることができないからである。このことから、磁極部分200の磁極幅P2Wを狭小化すると共に、磁極幅P2Wが厚み方向(図31における上下方向)および長さ方向(図30における左右方向)の全域にわたって一定となるようにすることが重要である。
【0018】
上部磁極112の形成方法としては、フレームめっき法のようなウェットプロセスの他、上記したように、例えば、パーマロイよりなるめっき膜をイオンミリングによって選択的にエッチングしてパターニングするドライプロセスがある。
【0019】
しかしながら、このイオンミリングを用いた方法では、以下のような不具合が発生することを本出願人等は確認している。例えば、めっき膜の表面に対してほぼ垂直な方向(めっき膜の表面に対する垂線から0°〜30°程度の方向)からイオンビームを照射すると、エッチング時に生じたエッチング生成物が非エッチング部分に再付着してしまい、ポールチップ部112の幅が部分的に設計値よりも拡張してしまうこととなる。一方、例えば、めっき膜の表面に対してほぼ平行な方向(めっき膜の表面に対する垂線から50°〜70°程度の方向)からイオンビームを照射すると、上記のようなエッチング生成物の再付着現象は回避されるが、処理が進むにつれてエッチング量が増加してしまい、ポールチップ部112bの幅が部分的に設計値よりも縮小してしまうこととなる。特に、上記の後者の条件においてイオンミリングを用いて磁極部分200を形成すると、図33に示したように、磁極幅P2Wが不均一になってしまう。
【0020】
また、従来法では、パーマロイよりなるめっき膜のパターニングに用いるマスクとして、めっき膜上に成膜したフォトレジスト膜の選択的露光により得られるフォトレジストパターンを用いるようにしているため、反射率の高い下地のパーマロイの表面から反射する反射光の影響によってマスクの形成精度が低下してしまう。
【0021】
また、従来法では、磁極部分200の形成をエッチング速度の遅いイオンミリングによって行っているので、エッチング処理に時間がかかり、磁極部分200の加工完了までに相当な時間を要することとなる。このような傾向は、磁極部分200の形成時に限られるものではなく、上部磁極112や他の磁性層部分(下部シールド層103,下部磁極107等)の形成時においても同様である。
【0022】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、薄膜磁気ヘッドの形成を高精度かつ短時間で行うことを可能とする薄膜磁気ヘッドの製造方法を提供することにある。
【0023】
【課題を解決するための手段】
本発明の薄膜磁気ヘッドの製造方法は、記録媒体に対向する記録媒体対向面側の一部に、ギャップ層を介して対向する2つの磁極を含む、互いに磁気的に連結された第1の磁性層および第2の磁性層と、2つの磁性層の間に絶縁層を介して配設された薄膜コイル部とを有すると共に、第1の磁性層が、トラック幅を画定する第1の一定幅部分を含む第1の磁性層部分と、薄膜コイル部の配設領域を覆うと共に第1の磁性層部分に磁気的に連結された第2の磁性層部分とを有し、第2の磁性層が、前記第1の磁性層の第1の一定幅部分に対応する第2の一定幅部分を有する薄膜磁気ヘッドの製造方法であって、第1の磁性層を形成する工程および第2の磁性層を形成する工程のうちの少なくとも一方の工程が、磁性材層を成膜する工程と、この磁性材層を、塩素ガス雰囲気中において50℃ないし300℃の範囲内の温度下で反応性イオンエッチングにより加工する加工工程とを含むようにしたものである。
【0024】
本発明の薄膜磁気ヘッドの製造方法では、塩素ガス雰囲気中において50℃ないし300℃の範囲内の温度下で反応性イオンエッチングによって磁性材層を選択的にエッチングしてパターニングすることにより、第1の磁性層および第2の磁性層のうちの少なくとも一方が形成される。一般に、反応性イオンエッチングによるエッチング処理は、イオンミリングによるエッチング処理よりも加工速度が速いので、第1の磁性層および第2の磁性層のうちの少なくとも一方を短時間で形成することができる。
【0025】
本発明の薄膜磁気ヘッドの製造方法では、特に、加工工程を、150℃ないし250℃の範囲内の温度下において行うようにするのが好適である。
【0026】
また、本発明の薄膜磁気ヘッドの製造方法では、加工工程において、所定の無機材料よりなる第1のマスクを用いるようにしてもよい。このような場合には、第1のマスクの形成材料として、酸化アルミニウムまたは窒化アルミニウムを含む材料を用いるようにするのが好適である。
【0027】
また、本発明の薄膜磁気ヘッドの製造方法では、第1のマスクを形成する工程が、磁性材層の表面に無機材料よりなるマスク前駆層を形成する工程と、マスク前駆層の表面に第2のマスクを形成する工程と、第2のマスクを用いてマスク前駆層をパターニングして第1のマスクを形成する工程とを含むようにしてもよい。このような場合には、第1のマスクの形成を反応性イオンエッチングによって行うようにするのが好適である。
【0028】
また、本発明の薄膜磁気ヘッドの製造方法では、マスク前駆層の表面に所定の形状を有するフォトレジスト膜パターンを形成し、このフォトレジスト膜パターンを第2のマスクとして用いるようにしてもよいし、またはマスク前駆層の表面に所定の形状を有する金属膜パターンを形成し、この金属膜パターンを第2のマスクとして用いるようにしてもよい。金属膜パターンを第2のマスクとして用いる場合には、マスク前駆層の表面に選択的にめっき膜を成長させることにより金属膜パターンを形成するようにしてもよいし、またはマスク前駆層の表面に金属層を形成し、この金属層を選択的にエッチングすることにより金属膜パターンを形成するようにしてもよい。
【0029】
また、本発明の薄膜磁気ヘッドの製造方法では、加工工程によって、第1の磁性層のうちの少なくとも第1の一定幅部分を形成するようにしてもよいし、第2の磁性層のうちの少なくとも第2の一定幅部分を形成するようにしてもよい。
【0030】
また、本発明の薄膜磁気ヘッドの製造方法では、反応性イオンエッチングによって、ギャップ層のうちの第1の磁性層の第1の一定幅部分に対応する部分以外の領域を選択的に除去するようにしてもよい。このような場合には、第1の磁性層のうちの第1の一定幅部分の形成と、上記のギャップ層の選択的除去と、第2の磁性層のうちの第2の一定幅部分の形成とを同一工程内において連続的に行うようにするのが好適である。また、上記の各部位の加工を行う際には、所定の無機材料よりなる第1のマスクを用いて第1の磁性層のうちの第1の一定幅部分の形成を行い、第1のマスクおよび第1の一定幅部分のうちの少なくとも一方をマスクとして用いて、ギャップ層の選択的除去と第2の磁性層のうちの第2の一定幅部分の形成とを行うようにするのが好適である。
【0031】
また、本発明の薄膜磁気ヘッドの製造方法では、第1の磁性層を形成する工程において、反応性イオンエッチングによって第2の磁性層部分を第1の磁性層部分とは別体として形成するようにしてもよい。
【0032】
また、本発明の薄膜磁気ヘッドの製造方法では、さらに、記録媒体対向面からこの面と離れる方向に延在する磁気変換機能素子膜と、この磁気変換機能素子膜を磁気的に遮蔽する第3の磁性層とを有する場合において、第3の磁性層を反応性イオンエッチングによって形成するようにしてもよい。
【0033】
また、本発明の薄膜磁気ヘッドの製造方法では、所定の磁性材料を用いて、スパッタリングによって磁性層の成膜を行うようにしてもよい。このような場合には、上記の磁性材料として、窒化鉄を含む材料、またはジルコニウムコバルト鉄を含む材料などのアモルファス合金を用いるようにするのが好適である。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0035】
〔第1の実施の形態〕
まず、図1〜図11を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法としての複合型薄膜磁気ヘッドの製造方法の一例について説明する。なお、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドは、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法によって具現化されるので、以下併せて説明する。
【0036】
図1〜図5において、(A)はエアベアリング面に垂直な断面を示し、(B)は磁極部分のエアベアリング面に平行な断面を示している。図6〜図11は、主要な製造工程に対応する斜視図である。ここで、図9は図2に示した状態に対応し、図10は図3に示した状態に対応し、図11は図5に示した状態に対応する。ただし、図10では、図3における絶縁膜12および薄膜コイル13等の図示を省略し、図11では、図5における絶縁膜12,14、薄膜コイル13およびオーバーコート層15等の図示を省略している。
【0037】
以下の説明では、図1〜図11の各図中におけるX軸方向を「幅方向」、Y軸方向を「長さ方向」、Z軸方向を「厚み方向」として表記すると共に、Y軸方向のうちのエアベアリング面20側(または後工程においてエアベアリング面20となる側)を「前側(または前方)」、その反対側を「後側(または後方)」と表記するものとする。
【0038】
<薄膜磁気ヘッドの製造方法>
本実施の形態に係る製造方法では、まず、図1に示したように、例えばアルティック(Al2 O3 ・TiC)よりなる基板1上に、例えばアルミナよりなる絶縁層2を、約3〜5μm程度の厚みで堆積する。次に、絶縁層2上に、フォトリソグラフィ工程およびめっき法を用いて、パーマロイを約3μmの厚みで選択的に形成して、再生ヘッド用の下部シールド層3を形成する。
【0039】
次に、同図に示したように、下部シールド層3上に、例えばアルミナを約100〜200nmの厚みでスパッタ堆積し、シールドギャップ膜4を形成する。次に、シールドギャップ膜4上に、再生ヘッド部の要部であるMR素子を構成するためのMR膜5を形成し、高精度のフォトリソグラフィで所望の形状とする。次に、MR膜5の両側に、このMR膜5と電気的に接続する引き出し電極層としてのリード層(図示せず)を形成したのち、このリード層、シールドギャップ膜4およびMR膜5上に、シールドギャップ膜6を形成して、MR膜5をシールドギャップ膜4,6内に埋設する。ここで、上記のMR膜5が、本発明における「磁気変換機能素子膜」の一具体例に対応する。
【0040】
次に、同図に示したように、シールドギャップ膜6上に、上部シールド層兼下部磁極(以下、単に「下部磁極」という。)7を選択的に形成する。下部磁極7を形成する際には、以下のように、下部磁極7が2層構成となるようにする。すなわち、まず、シールドギャップ膜6上に、例えば電解めっき法により、例えばパーマロイを約1.5〜2.5μmの厚みで成膜する。続いて、パーマロイ層上に、例えばスパッタリングにより、例えば窒化鉄(FeN)を約1〜2μmの厚みで成膜する。続いて、上記のパーマロイ層および窒化鉄層を、所定の形状および材質を有するマスクを用いてリアクティブイオンエッチング(Reactive Ion Etching;以下、単に「RIE」という。)によって連続的にエッチングしてパターニングすることにより、パーマロイよりなる第1の下部磁極7aおよび窒化鉄よりなる第2の下部磁極7bをそれぞれ選択的に形成する。第1の下部磁極7aと第2の下部磁極7bとは、互いに接触することにより磁気的に連結される。なお、上記のような、成膜した窒化鉄をRIEによってパターニングする工程の詳細については、後述する。ここで、下部シールド層3および下部磁極7(上部シールド層)が、本発明における「第3の磁性層」の一具体例に対応し、第1の下部磁極7aおよび第2の下部磁極7bによって構成される下部磁極7が、本発明における「第2の磁性層」の一具体例に対応する。
【0041】
次に、同図に示したように、全体に、アルミナよりなる絶縁膜を形成したのち、第2の下部磁極7bが露出するまで絶縁膜の表面を例えばCMP(化学機械研磨)法によって研磨して、全体を平坦化する。
【0042】
次に、図2に示したように、第2の下部磁極7b上に、例えばスパッタリングによって、例えばアルミナよりなる記録ギャップ層8を約0.15〜0.3μmの厚みで形成する。このとき、記録ギャップ層8には、下部磁極7と後工程において形成される上部磁極11(上部ポールチップ11a,磁路接続部11b,上部ヨーク11c)とが接続されるようにするための開口部8bを形成しておく。ここで、記録ギャップ層8が、本発明における「ギャップ層」の一具体例に対応する。
【0043】
次に、同図に示したように、後工程で薄膜コイル13が配設される領域よりも前方の領域における記録ギャップ層8上に、高精度のフォトリソグラフィ工程により、例えば有機系のフォトレジストよりなる絶縁膜パターン10を約0.5〜1.5μm程度)の厚みで選択的に形成する。次に、絶縁膜パターン10に対して、例えば200〜250℃程度の温度で加熱処理を施す。この加熱処理により、絶縁膜パターン10の端縁近傍は丸みを帯びた斜面をなすこととなる。この絶縁膜パターン10は、スロートハイト(TH)を決定する際に基準の位置となるスロートハイトゼロ位置(TH0位置)を規定すると共に、エイペックスアングル(θ)を規定するためのものである。
【0044】
次に、図2および図9に示したように、絶縁膜パターン10の前側の一部の表面から絶縁膜パターン10よりも前側の平坦な記録ギャップ層8上にかけての領域に、例えば窒化鉄を用いて、上部磁極11の一部を構成することとなる上部ポールチップ11aを約1.5〜2.5μmの厚みで選択的に形成する。上部ポールチップ11aを形成する際には、同時に、開口部8bに、上部磁極11の一部を構成することとなる磁路接続部11b(図9では図示せず)を形成する。上部ポールチップ11aは、後述する図12に示したような平面形状を有するものであり、記録媒体(図示せず)上の記録トラック幅を規定する一定幅を有する先端部11a(1) と、先端部11a(1) の幅よりも大きい幅を有する拡幅部11a(2) とを含んでいる。ここで、上部ポールチップ11aが、本発明における「第1の磁性層部分」の一具体例に対応する。
【0045】
ここで、図2および図9と共に図6〜図8を参照して、上部ポールチップ11aの形成方法について詳細に説明する。
【0046】
まず、図6に示したように、全体に、例えばスパッタリングにより、高い飽和磁束密度を有する磁性材料、例えば窒化鉄を約1.5〜2.5μmの厚みで成膜して上部ポールチップ前駆層111a(以下、単に「窒化鉄層」ともいう。)を形成する。この上部ポールチップ前駆層111aは、後工程においてエッチング処理によってパターニングされることにより上部ポールチップ11aとなる前準備層である。以下の説明では、このように後工程で所定の形状となるようにパターニングされることとなる前準備層を「前駆層」と称呼し、同様に表記するものとする。なお、上部ポールチップ前駆層111aの形成材料としては、窒化鉄の他、例えばジルコニウムコバルト鉄(FeCoZr)などのような高い飽和磁束密度を有するアモルファス合金などを用いるようにしてもよい。次に、この上部ポールチップ前駆層111a上に、例えばスパッタリングによって、無機材料、例えばアルミナよりなる第1のマスク前駆層121aを約2〜3μmの厚みで形成する。この第1のマスク前駆層121aは、後工程においてエッチング処理によってパターニングされることにより、上部ポールチップ前駆層111aをパターニングするための第1のマスク21aとなるものである。なお、第1のマスク前駆層121aを形成するための無機材料としては、アルミナの他、窒化アルミニウム(AlN)などを用いるようにしてもよい。この第2のマスク前駆層131aは、後工程においてフォトリソグラフィ処理によってパターニングされることにより、第1のマスク前駆層121aをパターニングするための第2のマスク31aとなるものである。ここで、上部ポールチップ前駆層111aが、本発明における「磁性材層」の一具体例に対応し、第1のマスク前駆層121aが、本発明における「マスク前駆層」の一具体例に対応する。
【0047】
次に、フォトレジスト膜よりなる第2のマスク前駆層131aをフォトリソグラフィ処理により選択的に露光してパターニングすることにより、図7に示したように、第2のマスク31aを形成する。この第2のマスク31aは、上部ポールチップ11aの平面形状に対応する形状を有するものである。このとき、第2のマスク前駆層131aの下地である第1のマスク前駆層121aの形成材料として、アルミナなどの比較的反射率の低い無機材料を用いることにより、フォトリソグラフィ工程の露光時において第1のマスク前駆層121aの表面から反射光がほとんど発生しないので、露光領域の拡大または縮小に起因するパターンくずれが抑制されることとなる。このため、特に、第2のマスク31aのうちの磁極部分に対応する極微小な一定幅部分を高精度に形成することができる。なお、第2のマスク前駆層131aをパターニングする際には、必ずしも上記のようにフォトリソグラフィによらなければならないものではなく、例えばRIEまたはイオンミリング等によって第2のマスク前駆層131aを選択的にエッチングするようにしてもよい。ここで、第2のマスク31aが、本発明における「フォトレジスト膜パターン」としての「第2のマスク」の一具体例に対応する。
【0048】
次に、第2のマスク31aを用いて第1のマスク前駆層121aをRIEによって選択的にエッチングすることにより、図8に示したように、アルミナよりなる第1のマスク21aを形成する。このエッチング処理により、第1のマスク前駆層121a(図8では図示せず)のうちの第2のマスク31aに対応する部分以外の領域が選択的に除去されることとなる。この第1のマスク21aは、第2のマスク31aと同様に上部ポールチップ11aの平面形状に対応する形状を有するものである。このとき、第1のマスク前駆層121aのうちの上記の領域がエッチングされると同時に、第2のマスク31a自体もエッチングされ、第2のマスク31aの膜厚は減少することとなる。なお、第1のマスク21aの形成が完了した時点で必ずしも第2のマスク31aが残存している必要はなく、エッチング処理中に第2のマスク31aが消失するようにしてもよい。
【0049】
次に、第1のマスク21aを用いて上部ポールチップ前駆層111aをRIEによって選択的にエッチングすることにより、図2および図9に示したように、窒化鉄よりなる上部ポールチップ11aを形成する。このエッチング処理により、上部ポールチップ前駆層111a(図2および図9では図示せず)のうちの第1のマスク21aに対応する部分以外の領域が選択的に除去されることとなる。このとき、上部ポールチップ前駆層111aの形成材料として、窒化鉄やアモルファス合金(ジルコニウムコバルト鉄)などを用いることにより、RIEによるエッチング時において、非エッチング部分の周壁にエッチング生成物が再付着することが回避される。このため、特に、上部ポールチップ11aの先端部11a(1) を高精度に形成することができる。
【0050】
RIEによるエッチング処理を行う際には、加工温度を50℃〜300℃の範囲内とすると共に、エッチング用ガスとして、塩素(Cl2 ),二塩化ボロン(BCl2 ),三塩化ボロン(BCl3 )または塩化水素(HCl)のうちの少なくとも1に、水素(H2 )、酸素(O2 )およびアルゴン(Ar)などを添加したものを用いるのが好ましい。このような条件を採用することにより、RIEによるエッチング処理を短時間で行うことができる。特に、上部ポールチップ前駆層111aをRIEによりエッチングする際には、上記の加工を行う際の条件として、加工温度を150℃〜250℃の範囲内とするのが好ましい。また、エッチングガスとして例えば塩素を用いる場合には、その供給量を例えば100〜200ml/min(ミリリットル毎分)とするのが好ましい。なお、第2のマスク31aの場合と同様に、上部ポールチップ11aの形成が完了した時点で第1のマスク21aが残存するようにしてもよいし、またはエッチング処理中において消失するようにしてもよい。上記のような手法を用いることにより、上部ポールチップ11aを高精度かつ短時間で形成することができる。なお、上記した第2の下部磁極7bの形成も上部ポールチップ11aの場合と同様の手法を用いて行うようにすることにより、第2の下部磁極7bもまた高精度かつ短時間で形成することができる。
【0051】
なお、磁路接続部11bの形成もまた、上部ポールチップ11aの場合と同様の手法により行う。磁路接続部11bを形成する際には、第1のマスク21aと同一の工程および同一の材質によって形成される他のマスク21b(図2参照)を用いる。
【0052】
次に、図3(B)および図10を参照して、引き続き、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法について説明する。
【0053】
図3(B)および図10に示したように、例えば上部ポールチップ11aを形成した場合と同様の条件により、第1のマスク21a(図3(B)では図示せず)と、上部ポールチップ11aの拡幅部11a(2)の最前端の位置から最後端の位置までの領域Mの表面と磁路接続部11b(図10では図示せず)の表面とに選択的に配設した図示しないフォトレジスト膜とをマスクとして、記録ギャップ層8および第2の下部磁極7bを約0.5μm程度RIEによりエッチングする。このとき、上部ポールチップ11aの最後端の位置よりも後方に延びている絶縁膜パターン10の一部も同時にエッチングする。このエッチング処理により、記録ギャップ層8および第2の下部磁極7bのうちの、上部ポールチップ11aの先端部11a(1) に対応する部分以外の領域が選択的に除去され、トリム構造を有する磁極部分100が形成される。この磁極部分100は、上部ポールチップ11aの先端部11a(1) 、第2の下部磁極7bのうちの先端部11a(1) に対応する部分(7bF)および双方に挟まれた記録ギャップ層8の一部分によって構成され、これらの各部位は互いにほぼ同一の幅を有している。RIEによるエッチング処理を行うことにより、磁極部分100を高精度かつ短時間で形成することができる。特に、磁極部分100を形成するためにRIEによるエッチング処理を行う際には、例えば、塩素を20〜40ml/min程度および三塩化ボロンを60〜80ml/min程度含むエッチング用ガスを用いるようにするのが好ましい。
【0054】
なお、上記のRIEによるエッチング処理中に第1のマスク21aがエッチングされて消失したとしても問題とはならない。このような場合には、上部ポールチップ11a自体が、その下層領域(記録ギャップ層8および第2の下部磁極7b)に対するエッチング用マスクとして機能するからである。ただし、エッチングによって上部ポールチップ11aの膜厚が減少することとなるので、その減少分をあらかじめ見込んで膜厚を大きめにしておくのが好ましい。ここで、先端部11a(1) が、本発明における「第1の一定幅部分」の一具体例に対応し、部分7bFが、本発明における「第2の一定幅部分」の一具体例に対応する。
【0055】
次に、図3(A)に示したように、全体に、例えばアルミナよりなる絶縁膜12を0.5〜1.5μmの厚みで形成する。
【0056】
次に、同図に示したように、上部ポールチップ11aと磁路接続部11bとの間の領域における平坦な絶縁膜12上に、例えば電解めっき法により、例えば銅(Cu)よりなる誘導型の記録ヘッド用の薄膜コイル13を約1〜2μm程度の厚みで形成する。この薄膜コイル13は、例えば、後述する図12に示したような渦巻状の平面構造を有するものである。なお、図3では、薄膜コイル13の一部分のみを図示している。薄膜コイル13を形成する際には、同時に、例えば、その内側の終端部における絶縁膜12上に、コイル接続部13sを薄膜コイル13と一体に形成する。このコイル接続部13sは、薄膜コイル13と後工程において形成されるコイル接続配線11h(図5(A))とを電気的に接続させるためのものである。
【0057】
次に、図4に示したように、全体に、例えばアルミナよりなる絶縁膜14を約3〜4μm程度の厚みで形成して、上部ポールチップ11a、磁路接続部11b、薄膜コイル13およびコイル接続部13s等によって構成された凹凸構造領域を埋設したのち、例えばCMP法により絶縁膜14の表面全体を研磨して平坦化する。なお、この場合における絶縁膜14の表面研磨は、上部ポールチップ11aおよび磁路接続部11bの双方が露出するまで行う。薄膜コイル13の各巻線間に絶縁膜14が埋め込まれることにより、各巻線間は絶縁されることとなる。なお、薄膜コイル13の各巻線間を絶縁するための埋め込み材としては、上記のアルミナの他、例えば加熱時に流動性を示すフォトレジストやSOG(spin on glass )などの絶縁材料を用いるようにしてもよい。各巻線間の埋込材としてフォトレジストやSOGなどを用いた場合には、アルミナを用いた場合よりも各巻線間をより隙間なく埋設することができるので、より確実に絶縁効果を得ることができる。このような場合には、各巻線間に上記の絶縁材料を埋め込んだのち、その上にアルミナよりなる絶縁膜14を配設するようにするのが好適である。絶縁膜14の形成材料としてアルミナを用いることにより、フォトレジストなどの軟材料を用いる場合とは異なり、CMP研磨盤の研磨面が目詰まりを起こすことを防止できると共に、研磨後の表面をより平滑に形成することができるからである。
【0058】
次に、図5に示したように、例えばRIEまたはイオンミリングにより、コイル接続部13sの上方を覆っている絶縁膜14を部分的にエッチングして、コイル接続部13sと後工程において形成されるコイル接続配線11hとを接続させるための開口部14kを形成する。
【0059】
次に、図5および図11に示したように、平坦化された領域のうち、磁路接続部11b(図11では図示せず)から上部ポールチップ11aにかけての領域に、上部磁極11の一部を構成することとなる上部ヨーク11cを約2〜3μm程度の厚みで選択的に形成する。上部ヨーク11cを形成する際には、同時に、開口部14kの上方から図示しない外部回路にかけての領域にコイル接続配線11h(図11では図示せず)を形成する。このコイル接続配線11hは、コイル接続部13sと図示しない外部回路とを電気的に接続させるためのものである。上部ヨーク11cおよびコイル接続配線11hの形成材料としては、例えば、高飽和磁束密度材である窒化鉄やアモルファス合金(ジルコニウムコバルト鉄)などを材料として用いるようにするのが好適である。上部ヨーク11cおよびコイル接続配線11hの形成は、上記した上部ポールチップ11aおよび磁路接続部11bの場合と同様に、所定の条件下におけるRIEにより行う。このような手法を用いることにより、上部ヨーク11cおよびコイル接続配線11hもまた高精度かつ短時間で形成することが可能となる。
【0060】
上部ヨーク11cは、例えば、後述する図12に示したような平面形状を有するものであり、薄膜コイル13の上方領域に延在するヨーク部11c(1) と、ヨーク部11c(1) の前方において上部ポールチップ11aの一部と部分的にオーバーラップするように延在する接続部11c(2) とを含んでいる。上部ヨーク11cを形成する際には、例えば、その最も前側の端縁(以下、単に「最前端」という。)が、絶縁膜パターン10の最前端の位置、すなわちスロートハイトゼロ位置(TH0位置)よりもやや前側に位置するようにすると共に、その最も後側の端縁(以下、単に「最後端」という。)の位置が磁路接続部11bの最後端の位置とほぼ一致するようにするのが好適である。上部ヨーク11cは、開口部8bにおいて、磁路接続部11bを介して下部磁極7と磁気的に連結されると共に、上部ポールチップ11aとも接触して磁気的に連結される。ここで、上部ヨーク11cが、本発明における「第2の磁性層部分」の一具体例に対応し、上部ポールチップ11a、磁路接続部11bおよび上部ヨーク11cによって構成される上部磁極11が、本発明における「第1の磁性層」の一具体例に対応する。
【0061】
次に、同図に示したように、全体を覆うように、例えばアルミナよりなるオーバーコート層15を形成する。最後に、機械加工や研磨工程により記録ヘッドおよび再生ヘッドのエアベアリング面20を形成して、薄膜磁気ヘッドが完成する。
【0062】
<薄膜磁気ヘッドの構造>
次に、図12を参照して、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの構造について説明する。
【0063】
図12は、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法により製造された薄膜磁気ヘッドの平面構造の概略を表すものである。なお、図12では、絶縁膜12,14およびオーバーコート層15等の図示を省略している。また、薄膜コイル13については、その最外周部分のみを図示し、絶縁膜パターン10については、その最外端のみを図示している。図5(A)は、図12におけるVA−VA線に沿った矢視断面に相当する。なお、図12中のX,Y,Z軸方向に関するそれぞれの表記については、図1〜図11の場合と同様とする。
【0064】
図12に示したように、絶縁膜パターン10の最前端の位置は、スロートハイト(TH)を決定する際の基準となる位置、すなわちスロートハイトゼロ位置(以下、単に「TH0位置」ともいう。)である。スロートハイト(TH)は、絶縁膜パターン10の最前端の位置(TH0位置)からエアベアリング面20までの長さとして規定される。また、図12中における「MRH0位置」は、MR膜5の最後端の位置、すなわちMRハイトゼロ位置を表している。MRハイトは、MRハイトゼロ位置からエアベアリング面20までの長さである。
【0065】
上部磁極11は、それぞれ別個に形成された上部ポールチップ11a、磁路接続部11bおよび上部ヨーク11cによって構成されている。すなわち、上部磁極11は、これらの各部位の集合体である。
【0066】
上部ヨーク11cは、薄膜コイル13で発生した磁束を収容するための大きな面積を有するヨーク部11c(1) と、ヨーク部11c(1) よりも小さい一定幅を有する接続部11c(2) とを含んでいる。ヨーク部11c(1) の幅は、例えば、その後方領域においてはほぼ一定であり、その前方部においてはエアベアリング面20に近づくにつれて徐々に狭まるようになっている。また、接続部11c(2) の幅は、例えば、後述する上部ポールチップ25aの拡幅部11a(2) の最大幅よりも大きくなっている。ただし、必ずしもこのような場合に限らず、例えば前者の幅が後者の幅よりも小さくなるようにしてもよい。
【0067】
上部ポールチップ11aは、例えば、その幅がエアベアリング面20から遠ざかるにつれて大きくなるような平面形状を有するものであり、エアベアリング面20から順に先端部11a(1) および拡幅部11a(2) を含んでいる。先端部11a(1) は、その全域にわたってほぼ一定な幅を有し、この幅は記録時の記録トラック幅を画定するものである。また、拡幅部11a(2) は、先端部11a(1) より大きな幅を有する前部分と、その前部分よりもさらに大きな幅を有する後部分とを含んでいる。すなわち、先端部11a(1) と拡幅部11a(2) の前部分との連結部分には、幅方向の段差が形成されている。拡幅部11a(2) を構成する双方の部位(前部分,後部分)のエアベアリング面20側の両角部には、例えば、それぞれ面取りおよびテーパ処理が施してある。
【0068】
上部ポールチップ11aの段差部における拡幅部11a(2) 側の段差面11dは、例えば、MRH0位置とTH0位置との間に位置している。上部ヨーク11cの前側の端縁面11tは、例えば、上部ポールチップ11aの段差面11dの位置とTH0位置との間に位置している。なお、上部ヨーク11cの端縁面11tの位置は必ずしもこのような場合に限らず、例えば、TH0位置と一致するようにしてもよいし、またはTH0位置よりも後方にずれるようにしてもよい。上部ヨーク11cおよび上部ポールチップ11aの各幅方向の中心は互いに一致している。
【0069】
図5(A)、図11および図12に示したように、上部ヨーク11cの前側の一部は、上部ポールチップ11aの拡幅部11a(2) の一部と部分的にオーバーラップして磁気的に連結されている。また、図5および図12に示したように、上部ヨーク11cは、開口部8bにおいて磁路接続部11bを介して下部磁極7とも磁気的に連結されている。すなわち、上部磁極11(上部ポールチップ11a,磁路接続部11b,上部ヨーク11c)と下部磁極7(第1の下部磁極7a,第2の下部磁極7b)とが接続されることにより、磁束の伝搬経路、すなわち磁路が形成されている。
【0070】
図12に示したように、薄膜コイル13は渦巻状の平面形状を有する巻線体であり、その内側の終端部には、薄膜コイル13と一体をなすコイル接続部13sが形成されている。コイル接続配線11hの一端は、コイル接続部13sと接触して電気的に接続されている。コイル接続配線11hの他端および薄膜コイル13の外側の終端部13xは図示しない外部回路に接続されており、この外部回路によって薄膜コイル13を通電させることができるようになっている。
【0071】
図5、図10および図12から判るように、上部ポールチップ11aの先端部11a(1) および拡幅部11a(2) の前部分は平坦な記録ギャップ層8上に延在し、拡幅部11a(2) の後部分は絶縁膜パターン10の斜面上に延在している。
【0072】
〈薄膜磁気ヘッドの作用〉
次に、図5(A)、図11および図12を参照して、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの作用について説明する。
【0073】
ここでは、薄膜磁気ヘッドの基本的動作、すなわち、記録媒体に対するデータの記録動作および記録媒体からのデータの再生動作について簡単に説明する。
【0074】
本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドでは、情報の記録動作時に図示しない外部回路を通じて薄膜コイル13に電流が流れると、これに応じて磁束が発生する。このとき発生した磁束は、上部ヨーク11c内をヨーク部11a(1) から接続部11c(2) へ伝搬し、上部ヨーク11cと磁気的に連結されている上部ポールチップ11aの拡幅部11a(2) を経由して先端部11a(1) へ伝搬する。先端部11a(1) へ伝搬した磁束は、さらにそのエアベアリング面20側の先端部分に到達し、記録ギャップ層8近傍の外部に記録用の信号磁界を発生させる。この信号磁界により、磁気記録媒体を部分的に磁化して、情報を記録することができる。
【0075】
一方、再生時においては、再生ヘッド部のMR膜5にセンス電流を流す。MR膜5の抵抗値は、磁気記録媒体からの再生信号磁界に応じて変化するので、その抵抗変化をセンス電流の変化によって検出することにより、磁気記録媒体に記録されている情報を読み出すことができる。
【0076】
<薄膜磁気ヘッドの製造方法における作用および効果>
次に、図9および図10を参照して、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法における特徴的な作用および効果を説明する。
【0077】
本実施の形態では、図9に示したように、第1のマスク21aを用いて上部ポールチップ前駆層111a(図9では図示せず。図8参照。)をRIEにより選択的にエッチングしてパターニングすることにより上部ポールチップ11aを形成するようにしている。このRIEは、一般に、イオンミリングと比べて加工速度が速い。また、RIEによるエッチングを行う際には、特に、塩素系のガスを選択すると共に、加工時の温度が50℃〜250℃の範囲内となるように調整して、エッチング時の化学反応の反応性が促進されるようにエッチング条件を最適化している。このため、イオンミリングを用いる従来法の場合よりも、上部ポールチップ11aを極めて短時間で形成することが可能となる。このような作用および効果は、上部ポールチップ11aを形成する場合と同様の手法によって他の磁性層部分(第2の下部磁極7b,磁路接続部11b,上部ヨーク11c)や磁極部分100などを形成する場合についても得られる。なお、上記のようにRIEによって磁極部分100を形成することにより、先端部11a(1) および7bFをイオンミリングによって加工し、記録ギャップ層8の選択的除去をRIEによって加工する場合よりも加工時間を短縮することができる。
【0078】
また、本実施の形態では、上部ポールチップ前駆層111aの形成材料として、窒化鉄やアモルファス合金(ジルコニウムコバルト鉄)などを用い、これらの材料よりなる上部ポールチップ前駆層111aをRIEによってエッチングすることにより、上部ポールチップ11aを高精度に形成することができる。このような作用および効果は、同様の材料および手法を用いて上部ポールチップ11a以外の他の磁性層部分を形成する場合についても得られる。特に、パーマロイよりなるめっき膜をイオンミリングによって加工する従来法において生じていた、エッチング生成物の再付着による非エッチング部分の幅の部分的な拡張または過剰エッチングによる非エッチング部分の幅の部分的な縮小などが回避されることにより、図10に示したように、磁極部分100の磁極幅が厚み方向および長さ方向の全域にわたって一定となるようにすることができる。
【0079】
以上のように、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法によれば、薄膜磁気ヘッドを構成する各磁性層部分(第2の下部磁極7b,上部ポールチップ11a,磁路接続部11b,上部ヨーク11c等)をRIEにより適切な条件下で形成するようにしたので、従来のイオンミリングを用いる場合よりも、形成に要する時間を短縮することができる。特に、トリム構造を有する磁極部分100の形成にもRIEを用いることにより、結果として、薄膜磁気ヘッド全体の製造に要する所要時間を大幅に短縮することができる。
【0080】
また、本実施の形態では、上記の磁性材層の形成材料として、窒化鉄やアモルファス合金(ジルコニウムコバルト鉄)などを用いるようにしたので、各磁性層部分を高精度に形成することができる。特に、上部ポールチップ11aの先端部11a(1) を含む磁極部分100の磁極幅が全域にわたって一定となるようにすることができるため、安定した記録特性を得ることができると共に、記録密度を高めるための磁極幅の狭小化にも対応することができる。
【0081】
また、本実施の形態では、上部ポールチップ前駆層111aをパターニングするための第1のマスク21aの形成材料として、エッチング速度の遅いアルミナなどの無機材料を用いるようにしたので、第1のマスク21aの形成材料としてエッチング速度の速いフォトレジスト膜などの軟材料を用いる場合よりも、第1のマスク21a自体の被エッチング量を低減させることができ、結果として、最終的に形成される上部ポールチップ11aの厚みの目減りを低減させることが可能となる。このような効果は、アルミナよりなる他のマスク21bを用いて形成される磁路接続部11bについても同様である。
【0082】
また、本実施の形態では、第1のマスク21aの形成もまたRIEによって行うようにしたので、イオンミリングを用いる場合よりも、第1のマスク21aの形成に要する所要時間を短縮することができる。この点でも、薄膜磁気ヘッド全体の製造時間の短縮に寄与することとなる。
【0083】
また、本実施の形態では、第1のマスク前駆層121aの形成材料として、アルミナなどの比較的反射率の低い無機材料を用いるようにしたので、第2のマスク前駆層131aをフォトリソグラフィによってパターニングして第2のマスク31aを形成する際に、露光時における反射光の影響によるフォトレジスト膜のパターンくずれが抑制されることとなる。したがって、第2のマスク31aを高精度に形成することができ、第1のマスク21aおよび上部ポールチップ11aもまた高精度に形成することができる。
【0084】
また、本実施の形態では、RIEによるエッチング処理によって磁極部分100を形成する際に、後工程において薄膜コイル13が形成されることとなる領域(第2の下部磁極7b等)もエッチングすることにより、薄膜コイル13の配設領域の表面の位置が上部ポールチップ11aの下面の位置よりも低くなるようにしている。このため、薄膜コイル13を絶縁膜14によって埋設したのち、上部ポールチップ11aおよび磁路接続部11bの双方が露出するまで絶縁膜14の表面をCMP法により研磨したときに、薄膜コイル13の上方には十分な厚みを有する絶縁膜14が存在することとなる。したがって、薄膜コイル13と後工程において形成される上部ヨーク11cとの間を確実に絶縁することができる。
【0085】
なお、本実施の形態では、薄膜磁気ヘッドを構成する各磁性層部分を形成するための磁性材層の形成材料として、窒化鉄やアモルファス合金(ジルコニウムコバルト鉄)などを用いるようにしたが、これらの材料の他、例えばパーマロイなどを用いるようにしてもよい。ただし、磁性材層の形成材料としてパーマロイを用いる場合には、その組成中におけるニッケル(Ni)の割合を例えば45%以下(ご教授願います。)とするのが好ましい。このように組成中におけるニッケルの割合を減少させることにより、RIEによるエッチング処理時におけるエッチング生成物の再付着を防止することができる。
【0086】
また、本実施の形態では、下部シールド層3および第1の下部磁極7aの形成に電解めっき法を用いるようにしたが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、双方またはいずれか一方の部位の形成にスパッタリングを用いるようにしてもよい。このような場合における形成材料としては、上記したパーマロイの他、窒化鉄を用いるようにしてもよい。このように、上部ポールチップ11a等の場合と同様の手法を用いることにより、各部位を高精度かつ短時間で形成することができ、この点でも薄膜磁気ヘッド全体の製造時間の短縮に寄与することとなる。
【0087】
また、本実施の形態では、下部磁極7を2層構成としたが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、下部磁極7を単層として形成するようにしてもよい。下部磁極7を単層として形成することにより、2層構成とする場合よりも製造工程を簡略化することができる。
【0088】
また、本実施の形態では、磁極部分100を構成する上部ポールチップ11aの先端部11a(1) および第2の下部磁極7bの部分7bFを連続的に形成するようにしたが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば部分7bFを第2の下部磁極7bの形成直後に形成するようにしてもよい。
【0089】
また、本実施の形態では、記録ギャップ層8の形成材料としてアルミナを用い、またその形成手法としてスパッタリングを用いるようにしたが、必ずしもこれに限られるものではない。記録ギャップ層8の形成材料としては、アルミナの他、例えば窒化アルミニウム(AlN)、シリコン酸化物、シリコン窒化物などの無機絶縁材料を用いるようにしてもよいし、またはタンタル(Ta),チタンタングステン(WTi),窒化チタン(TiN)などの非磁性金属を用いるようにしてもよい。また、記録ギャップ層8の形成方法としては、スパッタリングの他、CVD(Chemical Vapor Deposition )法を用いるようにしてもよい。このような方法を用いて記録ギャップ層8を形成することにより、ギャップ層内にピンホールなどが含有されることを抑制できるので、記録ギャップ層8を介する磁束の漏れを回避することができる。このような効果は、特に、記録ギャップ層8の厚みを薄くした場合に有益である。
【0090】
また、本実施の形態では、上部ヨーク(11c)が窒化鉄の単層構造からなる場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば図13に示したように、上部ヨークが、例えば窒化鉄などの高飽和磁束密度材層41と、例えばアルミナなどの無機絶縁材層42とが交互に積層された構造よりなる(211c)ようにしてもよい。上部ヨークをこのような構造とすることにより、磁路における渦電流の発生を防止し、高周波特性を向上させることができる。なお、上記の高飽和磁束密度材層41および無機絶縁材層42の双方の形成もRIEによって行うことにより、形成時間を短縮することができる。なお、図13において、上部ヨーク211c以外の部分は、上記の図5の場合と同様である。
【0091】
また、本実施の形態では、第2のマスク前駆層131aをフォトレジスト膜とし、これをフォトリソグラフィ処理によって選択的にパターニングすることにより第2のマスク31aを形成するようにしたが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、第2のマスクが所定の金属膜よりなるようにしてもよい。以下、図14〜図17を参照して、第2のマスクを金属膜とする場合の例について説明する。なお、図14〜図17において、図6に示した構成要素と同一の部分には同一の符号を付し、それらの部分の説明を適宜省略するものとする。
【0092】
<変形例1―1>
図14および図15は、本実施の形態の第1の変形例を説明するためのものである。本変形例では、まず、図14に示したように、第1のマスク前駆層121a上に、例えばスパッタリングにより、例えば窒化鉄よりなる第2のマスク前駆層151aを形成する。次に、第2のマスク前駆層151a上の所定の位置に、例えばフォトレジスト膜よりなる第3のマスク81aを配設し、これをエッチングマスクとして、例えばイオンミリングによって第2のマスク前駆層151aを選択的にエッチングすることにより、図15に示したように第2のマスク51aを形成する。このときの第3のマスク81aは、上部ポールチップ11aの平面形状に対応する形状を有するものである。第2のマスク51aの形成以降の工程は、上記実施の形態の場合と同様であるので、その説明を省略する。このような第2のマスク51aを用いた場合においても、上記実施の形態の場合と同様の効果を得ることができる。なお、第2のマスク前駆層151aの形成材料として、窒化鉄以外の金属(例えばパーマロイなど)を用いるようにしてもよい。この場合には、パーマロイなどを電解めっき法によってめっき成長させ、第2のマスク前駆層151aがめっき膜よりなるようにしてもよい。ここで、第2のマスク前駆層151aが、本発明における「金属層」の一具体例に対応し、第2のマスク51aが、本発明における金属層の選択的エッチングによって形成される「金属膜パターン」としての「第2のマスク」の一具体例に対応する。
【0093】
<変形例1−2>
図16および図17は、本実施の形態の第2の変形例を説明するためのものである。本変形例では、まず、第1のマスク前駆層121a上に、例えばスパッタリングにより、例えばパーマロイを約70nmの厚みで形成して、電解めっき法におけるシード層としての電極膜(図示せず)を形成する。次に、この電極膜上にフォトレジスト膜を例えば1〜2μm程度の厚みで形成し、このフォトレジスト膜をフォトリソグラフィにより選択的にパターニングすることにより、図16に示したように、所定の形状よりなる開口部171xを有するフォトレジストパターン171aを形成する。この開口部171xの平面形状は、上部ポールチップ11aの平面形状に対応するものである。このとき、フォトレジスト膜の厚みを1μm以下程度に薄くしておくことにより、露光時における電極膜(シード層)からの反射光による影響を抑制することができるので、開口部171xを高精度に形成することができる。次に、上記の電極膜をシード層とする電解めっき法により、例えばパーマロイを開口部171Xにめっき成長させることにより、図17に示したように、めっき膜よりなる第2のマスク71aを形成する。なお、図17は、フォトレジストパターン171aを除去したのちの状態を示している。第2のマスク71aの形成以降の工程は、上記実施の形態の場合と同様であるので、その説明を省略する。このような第2のマスク71aを用いて以降の加工を進行させた場合においても、上記実施の形態の場合と同様の効果を得ることができる。ここで、第2のマスク71aが、本発明におけるめっき膜よりなる「金属膜パターン」としての「第2のマスク」の一具体例に対応する。
【0094】
<変形例1−3>
上記の実施の形態では、図3(B)および図10に示したように、磁極部分100をRIEによるエッチング処理のみによって形成するようにしたが、必ずしもこれに限られるものではない。このような手法を用いた場合の形成可能な最小磁極幅は0.3μm程度が限界であり、磁極幅を0.3μmより小さくしようとすると磁極部分100の加工精度が大きく低下してしまう。0.3μm以下の磁極幅(磁極部分100P)を実現する方法としては、例えば、図18〜図20に示したように、RIEおよびFIB(Focused Ion Beam)の双方によるエッチング処理を併用する方法が有効である。ここで、図18は、エッチング時における磁極部分100Pおよびその周辺領域の平面構造を拡大して表すものであり、図19は、エッチング処理後の磁極部分100Pおよびその周辺領域の断面構造を表すものであり、図20は、エッチング処理後の磁極部分100Pおよびその周辺領域の斜視構造を拡大して表すものである。これらの各図は、上記実施の形態における図9に示した工程に続く工程を表すものであり、各図中において、上記実施の形態における図9に示した構成要素と同一部分には同一の符号を付すものとする。また、各図中におけるX,Y,Z軸のそれぞれの方向に関する記載は上記実施の形態の場合と同様である。なお、図18では、上部ポールチップ11aの中間部11a(2)の一部と先端部11a(1) のみを図示し、それ以外の図示を省略している。図19は、図18におけるXIX−XIX線に沿った矢視断面に相当する。
【0095】
RIEおよびFIBの双方によるエッチング処理を併用して磁極部分100Pを形成する際には、まず、RIEによるエッチング処理によって上部ポールチップ11a(先端部11a(1) の幅=W1;W1≧0.3μm)を形成する。次に、図18に示したように、例えば図中の領域500内にFIBによるエッチング処理を施すことにより、先端部11a(1) のうちの領域500に対応する部分を除去し、これと連続して記録ギャップ層8および第2の下部磁極7bの双方のうちの領域500に対応する部分も除去してトリム構造をなす磁極部分100Pを形成する。このようなエッチング処理によって形成された磁極部分100Pは、図19に示したように、W1より小さい幅W2(W2<0.3μm)を有することとなり、すなわち磁極幅をさらに狭小化させることができる。しかも、その幅は、厚み方向および長さ方向の全域にわたってより高精度に一定となる。
【0096】
このとき、領域500に対応する領域における記録ギャップ層8および第2の下部磁極7bの双方は部分的に深く掘り下げされ、特に、第2の下部磁極7bには、例えばV字型の断面構造を有する溝部100Mが形成されることとなる。FIBによるエッチング処理を行う際には、第2の下部磁極7bの最表面部における溝部100Mの幅W3が約1μm以上となるようにするのが好適である。溝部100Mの幅W3を約1μm以上とすることにより、第2の下部磁極7bの一部(部分7bS)の影響による記録時におけるサイドイレーズの発生を防止するためである。このときの立体的構造は、図20に示したようになる。このため、高精度に磁極幅が狭小化されることにより、より高密度かつ安定した記録特性を得ることが可能となる。なお、RIEおよびFIBの双方によるエッチング処理を併用する場合には、RIEによって磁極幅W1を有する磁極部分100を形成したのち、FIBによって磁極幅W2となるように狭小化するようにしてもよい。絶縁膜12の形成以降の工程は、上記実施の形態における図3に示した工程以降と同様である。
【0097】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
【0098】
まず、図21〜図25を参照して、本発明の第2の実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法としての複合型薄膜磁気ヘッドの製造方法を説明する。なお、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドは、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法によって具現化されるので、以下併せて説明する。図21〜図25において、(A)はエアベアリング面に垂直な断面を示し、(B)は磁極部分のエアベアリング面に平行な断面を示している。なお、図21〜図25において、各図中のX,Y,Z軸方向に関する表記は、上記第1の実施の形態の場合と同様とし、また各図中の上記第1の実施の形態における構成要素と同一部分には同一の符号を付すものとする。
【0099】
本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法において、図21におけるシールドギャップ膜4,6によりMR膜5を埋設するところまでの工程は、上記第1の実施の形態における図1に示した同工程までと同様であるので、その説明を省略する。
【0100】
本実施の形態では、シールドギャップ膜4,6によってMR膜5を埋設したのち、図21に示したように、シールドギャップ膜6上の前方の領域に、下部磁極7の一部を構成することとなる下部磁性層7cを約1〜2μmの厚みで選択的に形成する。次に、全体にアルミナよりなる絶縁膜を形成したのち、下部磁性層7cが露出するまで絶縁膜の表面をCMP法により研磨して、全体を平坦化する。
【0101】
次に、下部磁性層7c上の前方の領域に、下部磁極7の一部を構成することとなる下部ポールチップ7dを約1.5〜2.5μmの厚みで選択的に形成すると同時に、下部磁性層7c上の後方の領域に、下部磁極7の一部を構成することとなる下部接続部7eを同様の厚みで選択的に形成する。
【0102】
上記の下部磁性層7c、下部ポールチップ7dおよび下部接続部7eの形成方法としては、上記の第1の実施の形態における上部ポールチップ11aの場合と同様に、例えば、スパッタリングにより成膜した窒化鉄層をアルミナよりなるマスクを用いてRIEによってパターニングする方法を用いるようにする。このような手法を用いることにより、下部磁極7を構成する上記の各部位を高精度かつ短時間で形成することが可能となる。なお、下部磁性層7cは、例えばパーマロイを用いて電解めっき法によって形成するようにしてもよい。下部ポールチップ7dを形成する際には、その最後端が、MR膜5の最後端の位置(MRH0位置)よりも約1〜3μm程度後方にずれて位置するようにするのが好適である。また、下部接続部7eを形成する際には、その最後端の位置が、下部磁性層7cの最後端の位置と一致するようにするのが好適である。ここで、上記の下部磁性層7c、下部ポールチップ7dおよび下部接続部7eによって構成される下部磁極7が、本発明における「第2の磁性層」の一具体例に対応する。
【0103】
次に、同図に示したように、全体に、例えばアルミナよりなる絶縁膜31を約0.5〜1.5μm程度の厚みで形成する。
【0104】
次に、図22に示したように、下部ポールチップ7dと下部接続部7eとの間の領域における絶縁膜31上に、例えば電解めっき法により、例えば銅(Cu)よりなる誘導型の記録ヘッド用の薄膜コイル32を約1〜2μm程度の厚みで形成する。この薄膜コイル32は、例えば上記第1の実施の形態における薄膜コイル13と同様の構造的特徴を有するものである。薄膜コイル32を形成する際には、同時に、例えば、その内側の終端部における絶縁膜31上に、コイル接続部32sを薄膜コイル32と一体に形成する。
【0105】
次に、同図に示したように、全体に、例えばアルミナよりなる絶縁膜33を約3〜4μm程度の厚みで形成したのち、下部ポールチップ7dおよび下部接続部7eが露出するまで絶縁膜33の表面全体を例えばCMP法により研磨する。
【0106】
次に、図23に示したように、例えばRIEまたはイオンミリングにより、絶縁膜33を約0.3〜1.2μm程度エッチングすると同時に、下部ポールチップ7dの後方の一部も同程度にエッチングして凹部34を形成する。このとき、凹部34の表面に薄膜コイル32およびコイル接続部32sが露出しないようにしてもよいし、または双方が露出するようにしてもよい。凹部34を形成する際には、少なくともその前端縁部の側壁が斜面をなすようにする。次に、この凹部34に、例えばアルミナを成膜したのち、これを例えばイオンミリングによってパターニングして絶縁膜パターン35を約0.5〜2μmの厚みで選択的に形成する。このとき、絶縁膜パターン35の厚みは、凹部34の深さ以上とし、その前端縁部が斜面をなすようにする。これにより、絶縁膜パターン35の端縁近傍はテーパを有することとなる。この絶縁膜パターン35は、スロートハイトゼロ位置(TH0位置)およびエイペックスアングル(θ)を規定するものである。
【0107】
次に、図24に示したように、全体に、例えばアルミナよりなる記録ギャップ層36を約0.15〜0.3μmの厚みで形成する。このとき、記録ギャップ層36には、下部磁極7と後工程において形成される上部磁極61とが接続されるようにするための開口部36bを形成しておく。ここで、記録ギャップ層36が、本発明における「ギャップ層」の一具体例に対応する。
【0108】
次に、同図に示したように、例えばRIEまたはイオンミリングにより、コイル接続部32sの上方を覆っている絶縁膜33、絶縁膜パターン35および記録ギャップ層36の一部を部分的にエッチングして、コイル接続部32sと後工程において形成されるコイル接続配線61hとを接続させるための開口部35kを形成する。
【0109】
次に、同図に示したように、下部接続部7e上から後工程においてエアベアリング面20となる側にかけての領域に、上部磁極61を約1.5〜3μm程度の厚みで選択的に形成する。上部磁極61を形成する際には、同時に、開口部35kの上方領域から後方にかけての領域にコイル接続配線61hを選択的に形成する。上部磁極61およびコイル接続配線61hの形成は、上記第1の実施の形態における上部ポールチップ11aの場合と同様に、スパッタリングによって窒化鉄層を全面に成膜したのち、窒化鉄層の表面の所定の位置に、上部磁極61およびコイル接続配線61hのそれぞれの平面形状に対応する形状を有するマスク91,92を配設して、所定の条件下においてRIEにより窒化鉄層をパターニングすることにより行う。このような手法を用いることにより、上部磁極61およびコイル接続配線61hを高精度かつ短時間で形成することができる。なお、双方の部位の形成後、双方の形成に使用されたマスク91,92が残存するようにしてもよいし、または、それら自体がエッチングされることによって消失してしまうようにしてもよい。この上部磁極61は、例えば、後述する図26に示したような平面形状を有するものであり、記録媒体上の記録トラック幅を画定する先端部61aと、先端部61aよりも大きな幅を有する中間部61bと、中間部61bよりも大きな幅および面積を有するヨーク部61cとを含んでいる。上部磁極61の構造的特徴については、後述する。ここで、上部磁極61が、本発明における「第1の磁性層」の一具体例に対応する。
【0110】
次に、図25(B)に示したように、上記の第1の実施の形態において磁極部分100を形成した場合と同様のRIEによるドライエッチングにより、記録ギャップ層36および下部ポールチップ7dを約0.5μm程度エッチングして、トリム構造を有する磁極部分150を形成する。このようなRIEによるエッチング処理を用いることにより、イオンミリングなどを用いた場合よりも磁極部分150を高精度かつ短時間で形成することができる。なお、このエッチング処理は、上部磁極61の先端部61aに対応する領域以外の領域に選択的に形成したフォトレジスト膜(図示せず)をマスクとして行う。磁極部分150は、上部磁極61の先端部61aと、下部ポールチップ7dのうちの先端部61aに対応する部分(7dF)と、双方に挟まれた記録ギャップ層36の一部分とによって構成され、これらの各部位は互いにほぼ同一の幅を有している。ここで、先端部61aが、本発明の「 第1の一定幅部分」 の一具体例に対応し、部分7dFが、本発明の「 第2の一定幅部分」 の一具体例に対応する。
【0111】
次に、図25(A)に示したように、全体を覆うようにして、例えばアルミナよりなるオーバーコート層80を形成したのち、機械加工や研磨工程によってエアベアリング面20を形成して、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドが完成する。
【0112】
図26は、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法により製造された薄膜磁気ヘッドの平面構造の概略を表すものである。図26において、上記第1の実施の形態における図12に示した構成要素と同一部分には同一の符号を付すものとする。なお、図26では、絶縁膜33、マスク91,92およびオーバーコート層80等の図示を省略している。また、薄膜コイル32については、その最外周部分のみを図示し、絶縁膜パターン35については、その最外端のみを図示している。図25(A)は、図26におけるXXVA−XXVA線に沿った矢視断面に相当する。
【0113】
図26に示したように、絶縁膜パターン35の最前端の位置、すなわちスロートハイトゼロ位置(TH0位置)は、MR膜5の最後端の位置、すなわちMRH0位置とほぼ一致している。ただし、必ずしもこのような場合に限られるものではなく、例えばTH0位置がMRH0位置よりも後方にずれるようにしてもよい。
【0114】
上部磁極61は、エアベアリング面20から順に先端部61a、中間部61bおよびヨーク部61cを含み、これらの各部位は一体化されている。先端部61aは、記録時における記録媒体上の記録トラック幅を決定する部分であり、すなわち先端部61aの幅がトラック幅を画定することとなる。中間部61bの幅は先端部61aの幅よりも大きく、ヨーク部61cの幅は中間部61bの幅よりも大きくなっている。ヨーク部61cは、上記の第1の実施の形態における上部ヨーク11cのヨーク部11c(1) とほぼ同様の構造を有するものである。先端部61aと中間部61bとの連結部分には幅方向の段差が形成されており、この段差部における中間部61b側の段差面61dの位置は、TH0位置(またはMRH0位置)にほぼ一致している。ただし、必ずしもこのような場合に限らず、段差面61dがTH0位置(またはMRH0位置)よりも前方や後方にずれるようにしてもよい。
【0115】
図25(A)および図26に示したように、上部磁極61の後方の一部は、開口部36bにおいて、下部接続部7eを介して下部磁性層7cおよび下部ポールチップ7dとも磁気的に連結されている。すなわち、上部磁極61と下部磁極7(下部磁性層7c,下部ポールチップ7d,下部接続部7e)とが接続されることにより磁路が形成されている。
【0116】
なお、図26に示した上記以外の配設物に関する構造的特徴は、上記第1の実施の形態の場合(図12)と同様である。
【0117】
本実施の形態では、上部磁極61の各部位(先端部61a,中間部61b,ヨーク部61c)を一体として形成するようにしたので、上記第1の実施の形態において上部磁極11の各部位(上部ポールチップ11a,上部ヨーク11c)を別体として形成した場合よりも、製造工程を簡略化することができる。
【0118】
また、本実施の形態では、スロートハイト(TH)やエイペックスアングル(θ)を規定するためのアルミナよりなる絶縁膜パターン35を、その下方の一部が凹部34に埋め込まれるように形成するようにしている。このため、凹部34を形成せずに、研磨後の平坦面上に絶縁膜パターン35を形成した場合よりも、エイペックスアングル(θ)を小さくすることができる。特に、絶縁膜パターン35の端縁近傍がテーパを有するようにしたので、これによってもエイペックスアングル(θ)を小さくすることができ、またテーパ部の上方における磁束の流れを円滑化することもできる。
【0119】
また、本実施の形態では、薄膜コイル32の上方に十分な厚みを有する絶縁膜パターン35を配設するようにしたので、薄膜コイル32と上部磁極61との間の絶縁性を十分に確保することができる。
【0120】
なお、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法に関する上記以外の作用、効果および変形例等は、上記第1の実施の形態の場合と同様であるので、その説明を省略する。
【0121】
なお、本実施の形態では、絶縁膜パターン35をアルミナを材料として用いて形成するようにしたが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えばフォトレジストやSOGなどを用いるようにしてもよい。この場合には、形成したフォトレジスト膜やSOG膜に対して例えば200〜250度程度の温度で加熱処理を施し、フォトレジストやSOGを流動させることにより、それぞれの前端縁部の形状をテーパ状とすることができる。
【0122】
また、本実施の形態では、下部ポールチップ7dおよび各接続部7eが露出した時点で絶縁膜33の表面研磨を終了するようにしたが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、両者の他に薄膜コイル32が露出するまで行うようにしてもよい。このような場合には、凹部34を形成せず、研磨後の平坦面上に絶縁膜パターン35を形成するようにするのが好適である。凹部34の形成の際に薄膜コイル32がエッチングされ、薄膜コイル32の膜厚が減少してしまうことを回避するためである。
【0123】
また、本実施の形態では、RIEにより磁極部分150を形成するようにしたが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、上記第1の実施の形態における変形例1−3で説明したように、RIEおよびFIBを併用するようにしてもよい。
【0124】
以上、いくつかの実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明はこれらの実施の形態に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、上記の各実施の形態では、形成精度および形成速度を向上させるために、薄膜磁気ヘッドを構成する各磁性層部分をRIEによる窒化鉄層の選択エッチングにより形成することを推奨しているが、これをすべての磁性層部分について適用しなければならないものではない。例えば、各磁性層部分の一部を電解めっき法によってパーマロイ等を材料として用いて形成するようにしてもよい。ただし、高い形成精度が必要とされる部位、すなわち磁極部分を構成することとなる部位(第1の実施の形態では上部ポールチップ11aおよび第2の下部磁極7b,第2の実施の形態では上部磁極61および下部ポールチップ7d)の形成は、少なくともRIEによる窒化鉄の選択エッチングによって行うようにするのが好ましい。
【0125】
また、上部ポールチップ11aおよび上部ヨーク11cの平面形状は、必ずしも図12に示したものに限られるものではなく、薄膜コイル13で発生した磁束を先端部11a(1) の先端部分まで十分に供給し得る限り、自由に変更することが可能である。上部磁極61の平面形状も同様に変更可能である。
【0126】
また、例えば、上記各実施の形態およびその変形例では、複合型薄膜磁気ヘッドの製造方法について説明したが、本発明は、書き込み用の誘導型磁気変換素子を有する記録専用の薄膜磁気ヘッドや記録・再生兼用の誘導型磁気変換素子を有する薄膜磁気ヘッドにも適用することができる。また、本発明は、書き込み用の素子と読み出し用の素子の積層順序を逆転させた構造の薄膜磁気ヘッドにも適用することができる。
【0127】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1ないし請求項21のいずれか1項に記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法によれば、第1の磁性層を形成する工程および第2の磁性層を形成する工程のうちの少なくとも一方の工程が、磁性材層を成膜する工程と、この磁性材層を、塩素ガス雰囲気中において50℃ないし300℃の範囲内の温度下で反応性イオンエッチングにより加工する加工工程とを含むようにしたので、磁性材層をイオンミリングよって加工する場合よりも、短時間での加工が可能となる。したがって、薄膜磁気ヘッド全体の製造に要する所要時間を大幅に短縮することができるという効果を奏する。
【0128】
特に、請求項4記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法によれば、第1のマスクの形成材料として、酸化アルミニウムまたは窒化アルミニウムを含む材料を用いるようにしたので、第1のマスクの形成材料として、フォトレジスト膜などのエッチング速度の速い材料を用いた場合よりも、第1の磁性層部分の厚みの目減りを低減させることができるという効果を奏する。
【0129】
また、請求項6記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法によれば、第1のマスクの形成を反応性イオンエッチングによって行うようにしたので、第1のマスクの形成に要する所要時間を短縮することができるという効果を奏する。
【0130】
また、請求項14記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法によれば、第1の磁性層の第1の一定幅部分の形成と、ギャップ層のうちの第1の一定幅部分に対応する部分以外の領域の選択的除去と、第2の磁性層のうちの第2の一定幅部分の形成とを同一工程内において連続的に行うようにしたので、薄膜磁気ヘッド全体の製造に要する所要時間を短縮することができるという効果を奏する。
【0131】
また、請求項17記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法によれば、第3の磁性層を反応性イオンエッチングによって形成するようにしたので、第3の磁性層を高精度かつ短時間で形成することができ、薄膜磁気ヘッド全体の製造時間をさらに短縮することができるという効果を奏する。
【0132】
また、請求項19または請求項21に記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法によれば、磁性材料として、窒化鉄を含む材料や、ジルコニウムコバルト鉄を含む材料(アモルファス合金)を用いるようにしたので、磁性材層の形成材料としてパーマロイなどを用いる場合よりも、磁性材層をRIEによりエッチングする際の再付着が少なくなり、高精度なパターニングが可能になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法における一工程を説明するための断面図である。
【図2】図1に続く工程を説明するための断面図である。
【図3】図2に続く工程を説明するための断面図である。
【図4】図3に続く工程を説明するための断面図である。
【図5】図4に続く工程を説明するための断面図である。
【図6】図1に示した工程と図2に示した工程との間の工程を説明するための斜視図である。
【図7】図6に続く工程を説明するための斜視図である。
【図8】図7に続く工程を説明するための斜視図である。
【図9】図2に示した断面図に対応する斜視図である。
【図10】図3に示した断面図に対応する斜視図である。
【図11】図5に示した断面図に対応する斜視図である。
【図12】本発明の第1の実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの平面構造を表す平面図である。
【図13】本発明の第1の実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの上部ヨークの変形例を表す断面図である。
【図14】本発明の第1の実施の形態における上部ポールチップの形成方法の変形例を説明するための斜視図である。
【図15】図14に続く工程を説明するための斜視図である。
【図16】本発明の第1の実施の形態における上部ポールチップの形成方法の他の変形例を説明するための斜視図である。
【図17】図16に続く工程を説明するための斜視図である。
【図18】磁極部分の形成方法の変形例を説明するための磁極部分周辺を拡大して表す平面図である。
【図19】図18に示した平面図に対応する断面図である。
【図20】図19に示した断面図に対応する斜視図である。
【図21】本発明の第2の実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法における一工程を説明するための断面図である。
【図22】図21に続く工程を説明するための断面図である。
【図23】図22に続く工程を説明するための断面図である。
【図24】図23に続く工程を説明するための断面図である。
【図25】図24に続く工程を説明するための断面図である。
【図26】本発明の第2の実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの平面構造を表す平面図である。
【図27】従来の薄膜磁気ヘッドの製造方法の一工程を説明するための断面図である。
【図28】図27に続く断面図である。
【図29】図28に続く工程を説明するための断面図である。
【図30】従来の薄膜磁気ヘッドの要部構造を表す断面図である。
【図31】図30に示した薄膜磁気ヘッドにおける磁極部分のエアベアリング面に平行な断面を示す断面図である。
【図32】従来の薄膜磁気ヘッドの構造を示す平面図である。
【図33】従来の薄膜磁気ヘッドの磁極部分を形成する場合の問題点を説明するための磁極部分のエアベアリング面に平行な断面を示す断面図である。
【符号の説明】
1…基板、2…絶縁層、3…下部シールド層、4,6…シールドギャップ膜、5…MR膜、7…下部磁極、7a…第1の下部磁極、7b…第2の下部磁極、7c…下部磁性層、7d…下部ポールチップ、7e…下部接続部、8,36…記録ギャップ層、10,35…絶縁膜パターン、11,61…上部磁極、11a(1) ,61a…先端部、11a(2) …拡幅部、11b…磁路接続部、11c,211c…上部ヨーク、11c(1) ,61c…ヨーク部、11c(2) …接続部、11h,61h…コイル接続配線、12,14,31,33…絶縁膜、13,32…薄膜コイル、13s,32s…コイル接続部、15,80…オーバーコート層、20…エアベアリング面、21a…第1のマスク、21b…他のマスク、31a,51a,71a…第2のマスク、41…高飽和磁束密度材層、42…無機絶縁材層、61b…中間部、81a…第3のマスク、91,92…マスク、100,150…磁極部分、111a…上部ポールチップ前駆層,121a…第1のマスク前駆層,131a,151a…第2のマスク前駆層、171a…フォトレジストパターン、θ…エイペックスアングル、TH…スロートハイト。
Claims (21)
- 記録媒体に対向する記録媒体対向面側の一部に、ギャップ層を介して対向する2つの磁極を含む、互いに磁気的に連結された第1の磁性層および第2の磁性層と、2つの磁性層の間に絶縁層を介して配設された薄膜コイル部とを有すると共に、前記第1の磁性層が、トラック幅を画定する第1の一定幅部分を含む第1の磁性層部分と、前記薄膜コイル部の配設領域を覆うと共に前記第1の磁性層部分に磁気的に連結された第2の磁性層部分とを有し、前記第2の磁性層が、前記第1の磁性層の前記第1の一定幅部分に対応する第2の一定幅部分を有する薄膜磁気ヘッドの製造方法であって、
前記第1の磁性層を形成する工程および前記第2の磁性層を形成する工程のうちの少なくとも一方の工程が、
磁性材層を成膜する工程と、
この磁性材層を、塩素ガス雰囲気中において50℃ないし300℃の範囲内の温度下で反応性イオンエッチングにより加工する加工工程と
を含むことを特徴とする薄膜磁気ヘッドの製造方法。 - 前記加工工程を、150℃ないし250℃の範囲内の温度下において行う
ことを特徴とする請求項1記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。 - 前記加工工程において、所定の無機材料よりなる第1のマスクを用いる
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。 - 前記第1のマスクの形成材料として、酸化アルミニウムまたは窒化アルミニウムを含む材料を用いる
ことを特徴とする請求項3記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。 - 前記第1のマスクを形成する工程は、
前記磁性材層の表面に前記無機材料よりなるマスク前駆層を形成する工程と、前記マスク前駆層の表面に第2のマスクを形成する工程と、
前記第2のマスクを用いて前記マスク前駆層をパターニングして第1のマスクを形成する工程と
を含むことを特徴とする請求項3または請求項4に記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。 - 前記第1のマスクの形成を反応性イオンエッチングにより行う
ことを特徴とする請求項5記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。 - 前記マスク前駆層の表面に所定の形状を有するフォトレジスト膜パターンを形成し、このフォトレジスト膜パターンを前記第2のマスクとして用いる
ことを特徴とする請求項5記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。 - 前記マスク前駆層の表面に所定の形状を有する金属膜パターンを形成し、この金属膜パターンを前記第2のマスクとして用いる
ことを特徴とする請求項5記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。 - 前記マスク前駆層の表面に選択的にめっき膜を成長させることにより前記金属膜パターンを形成する
ことを特徴とする請求項8記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。 - 前記マスク前駆層の表面に金属層を形成し、この金属層を選択的にエッチングすることにより前記金属膜パターンを形成する
ことを特徴とする請求項8記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。 - 前記加工工程によって前記第1の磁性層のうちの少なくとも前記第1の一定幅部分を形成する
ことを特徴とする請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。 - 前記加工工程によって前記第2の磁性層のうちの少なくとも前記第2の一定幅部分を形成する
ことを特徴とする請求項1ないし請求項11のいずれか1項に記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。 - 反応性イオンエッチングによって、前記ギャップ層のうちの前記第1の磁性層の前記第1の一定幅部分に対応する部分以外の領域を選択的に除去する
ことを特徴とする請求項11または請求項12に記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。 - 前記第1の磁性層のうちの前記第1の一定幅部分の形成と、前記ギャップ層のうちの前記第1の一定幅部分に対応する部分以外の領域の選択的除去と、前記第2の磁性層のうちの前記第2の一定幅部分の形成とを同一工程内において連続的に行う
ことを特徴とする請求項1ないし請求項13のいずれか1項に記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。 - 所定の無機材料よりなる第1のマスクを用いて前記第1の磁性層のうちの前記第1の一定幅部分の形成を行うと共に、
前記第1のマスクおよび前記第1の一定幅部分のうちの少なくとも一方をマスクとして用いて、前記ギャップ層の選択的除去と前記第2の磁性層のうちの前記第2の一定幅部分の形成とを行う
ことを特徴とする請求項14記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。 - 前記第1の磁性層を形成する工程において、
反応性イオンエッチングによって前記第2の磁性層部分を前記第1の磁性層部分とは別体として形成する
ことを特徴とする請求項1ないし請求項15のいずれか1項に記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。 - さらに、前記記録媒体対向面からこの面と離れる方向に延在する磁気変換機能素子膜と、この磁気変換機能素子膜を磁気的に遮蔽する第3の磁性層とを有する場合において、
前記第3の磁性層を反応性イオンエッチングによって形成する
ことを特徴とする請求項1ないし請求項16のいずれか1項に記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。 - 所定の磁性材料を用いて、スパッタリングによって前記磁性材層の成膜を行う
ことを特徴とする請求項1ないし請求項17のいずれか1項に記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。 - 前記磁性材料として窒化鉄を含む材料を用いる
ことを特徴とする請求項18記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。 - 前記磁性材料としてアモルファス合金を用いる
ことを特徴とする請求項18記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。 - 前記アモルファス合金としてジルコニウムコバルト鉄を含む材料を用いる
ことを特徴とする請求項20記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。
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