JP3874599B2 - 薄膜磁気ヘッドおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、少なくとも書き込み用の誘導型磁気変換素子を有する薄膜磁気ヘッドおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ハードディスク装置の面記録密度の向上に伴って、薄膜磁気ヘッドの性能向上が求められている。薄膜磁気ヘッドとしては、書き込み用の誘導型磁気変換素子を有する記録ヘッドと読み出し用の磁気抵抗(以下、MR(Magneto Resistive )と記す。)素子を有する再生ヘッドとを積層した構造の複合型薄膜磁気ヘッドが広く用いられている。
【0003】
記録ヘッドの性能のうち、記録密度を高めるには、磁気記録媒体におけるトラック密度を上げる必要がある。このためには、記録ギャップ(write gap)を挟んでその上下に形成された下部磁極(ボトムポール)および上部磁極(トップポール)のエアベアリング面での幅を数ミクロンからサブミクロンオーダーまで狭くした狭トラック構造の記録ヘッドを実現する必要があり、これを達成するために半導体加工技術が利用されている。
【0004】
ここで、図22〜図27を参照して、従来の薄膜磁気ヘッドの製造方法の一例として、複合型薄膜磁気ヘッドの製造方法について説明する。
【0005】
この製造方法では、まず、図22に示したように、例えばアルティック(Al2 O3 ・TiC)よりなる基板101上に、例えば酸化アルミニウム(Al2 O3 ;以下、単に「アルミナ」という。)よりなる絶縁層102を、約5.0〜10.0μm程度の厚みで堆積する。次に、絶縁層102上に、再生ヘッド用の下部シールド層103を形成する。次に、下部シールド層103上に、例えばアルミナ層を100〜200nmの厚みでスパッタ堆積し、シールドギャップ膜104を形成する。次に、シールドギャップ膜104上に、高精度のフォトリソグラフィ処理により所望のパターンとなるように、再生用のMR素子を構成するためのMR膜105を数十nmの厚みで形成する。次に、MR膜105の両側に、このMR膜105と電気的に接続する引き出し電極層としてのリード層(図示せず)を形成したのち、このリード層、シールドギャップ膜104およびMR膜105上に、シールドギャップ膜106を形成し、シールドギャップ膜104,106内にMR膜105を埋設する。次に、シールドギャップ膜106上に、再生ヘッドおよび記録ヘッドの双方に用いる磁性材料、例えばニッケル鉄合金(NiFe;以下、単に「パーマロイ(商品名)」という。)よりなる上部シールド兼下部磁極(以下、単に「下部磁極」という。)107を形成する。
【0006】
次に、図23に示したように、下部磁極107上に、絶縁材料、例えばアルミナよりなる記録ギャップ層108を形成する。次に、記録ギャップ層108上に、高精度のフォトリソグラフィ処理により、フォトレジスト膜109を所定のパターンとなるように形成する。次に、フォトレジスト膜109上に、電解めっき法により、例えば銅(Cu)よりなる誘導型の記録ヘッド用の薄膜コイル110を形成する。次に、フォトレジスト膜109および薄膜コイル110を覆うように、高精度のフォトリソグラフィによりフォトレジストを所定のパターンとなるように形成したのち、このフォトレジストに対して例えば250°Cの温度で加熱処理を施す。この加熱処理により、薄膜コイル110の各巻線間を絶縁させるためのフォトレジスト膜111が形成される。
【0007】
次に、図24に示したように、磁路形成のために、薄膜コイル110よりも後方(図24における右側)における記録ギャップ層108の一部を部分的にエッチングして開口部108Aを形成し、下部磁極107の一部を露出させる。次に、下部磁極107の露出面、フォトレジスト膜111および記録ギャップ層108を覆うように、電解めっき法により、記録ヘッド用の磁性材料、例えばパーマロイよりなる上部ヨーク兼上部磁極(以下、単に「上部磁極」という。)112を形成する。この上部磁極112は、例えば、後述する図27に示したような平面形状を有するものであり、ヨーク部112Aおよびポールチップ部112Bを含んでいる。上部磁極112は、開口部108Aにおいて下部磁極107と接触し、磁気的に連結されている。次に、上部磁極112のポールチップ部112Bをマスクとして、その周辺領域における記録ギャップ層108および下部磁極107のそれぞれの一部をイオンミリングによって選択的に約0.5μm程度エッチングして除去する(図26参照)。次に、上部磁極112を覆うように、例えばアルミナよりなるオーバーコート層113を形成する。最後に、機械加工や研磨工程により、記録ヘッドおよび再生ヘッドのトラック面、すなわちエアベアリング面120を形成して、薄膜磁気ヘッドが完成する。
【0008】
図25〜図27は、完成した状態の薄膜磁気ヘッドの構造を表すものである。ここで、図25はエアベアリング面120に垂直な方向における薄膜磁気ヘッドの断面を示し、図26はエアベアリング面120に平行な方向における磁極部分500の断面を拡大して示し、図27は薄膜磁気ヘッドの平面構造を示す。図24は、図27におけるXXIV−XXIV線に沿った矢視断面に相当する。なお、図25〜図27では、オーバーコート層113等の図示を省略している。図27では、薄膜コイル110およびフォトレジスト膜111のそれぞれの最外端のみを図示している。
【0009】
図25および図27において、「TH」はスロートハイト(Throat Height )を表し、「MRH」はMRハイトを表している。ここで、「スロートハイト(TH)」とは、記録ヘッドの性能を決定する要因のうちの一つであり、薄膜コイル110を他の導電部分と電気的に分離するための絶縁層(フォトレジスト膜111)の最もエアベアリング面120に近い側の端縁の位置、すなわちスロートハイトゼロ位置(TH0位置)からエアベアリング面120の位置までの長さである。記録ヘッドの性能向上のためには、スロートハイト(TH)の最適化が望まれている。このスロートハイト(TH)は、エアベアリング面120を形成する際の研磨量によって制御される。一方、「MRハイト(MRH)」とは、MR膜105の最もエアベアリング面120から遠い側の端縁の位置、すなわちMRハイトゼロ位置(MRH0位置)からエアベアリング面120の位置までの長さである。このMRハイト(MRH)もまた、エアベアリング面120を形成する際の研磨量によって制御される。
【0010】
薄膜磁気ヘッドの性能を決定する要因としては、スロートハイト(TH)やMRハイト(MRH)等の他に、図25に示したエイペックスアングル(Apex Angle:θ)がある。このエイペックスアングルθは、フォトレジスト膜111のエアベアリング面120に近い側の斜面の平均斜度である。
【0011】
図26に示したように、記録ギャップ層108および下部磁極107のそれぞれの一部が上部磁極112のポールチップ部112Bに対して自己整合的にエッチングされた構造は、トリム(Trim)構造と呼ばれる。このトリム構造によれば、狭トラックの書き込み時に発生する磁束の広がりによる実効トラック幅の増加を防止することができる。「P2W」は、トリム構造を有する部分(以下、単に「磁極部分500」という。)の幅、すなわち磁極幅(または「トラック幅」)を表している。「P2L」は、磁極部分500の一部を構成するポールチップ部112bの厚み、すなわち磁極長を表している。なお、MR膜105の両側には、このMR膜105と電気的に接続する引き出し電極層としてのリード層121が設けられている。ただし、図22〜図25では、リード層121の図示を省略している。
【0012】
図27に示したように、上部磁極112は、その大部分を占めるヨーク部112Aと、磁極幅P2Wとしてほぼ一定の幅を有するポールチップ部112Bとを有している。ヨーク部112Aとポールチップ部112Bとの連結部分において、ヨーク部112Aの外縁は、エアベアリング面120と平行な面に対して角度αをなしている。また、上記連結部分において、ポールチップ部112Bの外縁は、エアベアリング面120と平行な面に対して角度βをなしている。図27では、例えば、αが約45度であり、βが約90度である場合を示している。上記したように、ポールチップ部112Bは、トリム構造を有する磁極部分500を形成する際にマスクとして機能する部分である。図25および図27から判るように、ポールチップ部112Bは平坦な記録ギャップ層108の上に延在し、ヨーク部112Aはフォトレジスト膜111で覆われて丘陵状に盛り上がったコイル部分(以下、「エイペックス部」という。)の上に延在している。
【0013】
なお、上部磁極の詳細な構造的特徴に関しては、例えば、特開平8−249614号公報に記載がある。この公報では、TH0位置よりも後側(エアベアリング面120から離れる側)の部分の幅が徐々に大きくなるような構造を有する上部磁極について記載している。
【0014】
図24および図27に示した薄膜磁気ヘッドでは、情報の記録動作時に薄膜コイル110に電流が流れると、これに応じて磁束が発生する。このとき発生した磁束は、上部磁極112内をヨーク部112Aからポールチップ部112Bへ伝播し、さらにポールチップ部112Bのエアベアリング面120側の先端部分に到達する。このとき、ポールチップ部112Bの先端部分に到達した磁束により、記録ギャップ層108近傍の外部に記録用の信号磁界が発生する。この信号磁界により、磁気記録媒体(以下、単に「記録媒体」という)を部分的に磁化して、情報を記録することができる。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
磁極部分500の磁極幅P2Wは、記録媒体上の記録トラック幅を規定するものである。記録密度を高めるためには、磁極部分500を高い精度で形成し、磁極幅P2Wを微小化する必要がある。磁極幅P2Wが大きすぎる場合には、記録媒体上の所定の記録トラック領域以外の隣接領域にも書き込みしてしまう現象、すなわちサイドイレーズ現象が発生してしまい、記録密度を向上させることができないからである。特に、近年、高面密度記録を可能とするため、すなわち、狭トラック構造の記録ヘッドを形成するために、約0.3μm以下に至る磁極幅P2Wの極微小化が要求されており、磁極幅P2Wの極微小化に係る製造技術の確立は急務である。
【0016】
上部磁極を形成する方法としては、例えば、特開平7−262519号公報に示されるように、フレームめっき法が用いられる。フレームめっき法を用いて上部磁極112を形成する場合には、まず、エイペックス部を含む下地上に、全体に、例えばスパッタリングにより、例えばパーマロイよりなる薄い電極膜を形成する。次に、電極膜上にフォトレジストを塗布してフォトレジスト膜を形成したのち、このフォトレジストも膜に対してフォトリソグラフィ処理を施してパターニングすることにより、めっき処理を行うためのフレームパターン(外枠)を形成する。このフレームパターンは、上部磁極112の平面形状に対応する開口パターンを有するものである。次に、このフレームパターンをマスクとして用いると共に先工程において形成した電極膜をシード層として用いて、電解めっき法により、フレームパターンの開口パターン中に、例えばパーマロイよりなる上部磁極112を形成する。
【0017】
ところで、エイペックス部と他の部分とでは、例えば7〜10μm以上の高低差がある。このエイペックス部上に、フォトレジストを3〜4μmの厚みで塗布する。エイペックス部上のフォトレジストの膜厚が最低3μm以上必要であるとすると、流動性のあるフォトレジストは低い方に集まることから、エイペックス部の下方では、例えば8〜10μm以上の厚みのフォトレジスト膜が形成される。
【0018】
極微小な磁極幅P2Wを実現するためには、この磁極幅P2Wに対応して極微小な幅(例えば1.0μm以下)を有する開口パターンを備えたフレームパターンを形成する必要がある。すなわち、8〜10μm以上の厚みのあるフォトレジスト膜により、1.0μm以下の極微小な幅を有する開口パターンを形成しなければならない。ところが、このような膜厚の厚いフォトレジスト膜を用いて、極微小な幅を有する開口パターンを備えたフレームパターンを形成することは、製造工程上極めて困難であった。
【0019】
しかも、エイペックス部等により構成された凹凸構造を有する領域に上部磁極112を形成する場合には、以下のような理由により、上部磁極112の形成精度は大きく低下してしまうという問題があった。すなわち、上部磁極112を形成するためのフレームパターンの形成工程において、凹凸構造を有する領域に形成されたフォトレジスト膜に対して露光処理を施した場合には、下地(電極膜)の斜面部等から斜め方向または横方向へ反射する反射光が生じる。この反射光は、フォトレジスト膜中の露光領域を拡大または縮小させることとなる。これにより、特に、フォトレジスト膜のうち、上部磁極112のポールチップ部112Bに対応して極微小な幅を有する開口パターンの幅が幅方向に拡大してしまう。
【0020】
また、上記した上部磁極112の形成精度に関する問題の他、以下のような理由により、薄膜磁気ヘッドの重ね書き特性、すなわちオーバーライト特性が低下してしまうという問題もあった。すなわち、一般に、磁極幅P2Wを極微小化すると、磁極部分500を構成するポールチップ部112Bの磁気ボリュームは小さくなる。ここで、「磁気ボリューム」とは、磁性層部分の内部に収容できる磁束の許容量である。磁極幅P2Wが小さくなり、ポールチップ部112Bの磁気ボリュームが適正に確保されなくなると、ポールチップ部112Bの内部において磁束の飽和が生じてしまい、その先端部分まで十分に磁束が到達できなくなる。
【0021】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、磁極幅を極微小化しつつ、優れたオーバーライト特性を有する薄膜磁気ヘッドおよびその製造方法を提供することにある。
【0022】
【課題を解決するための手段】
本発明の薄膜磁気ヘッドは、記録媒体に対向する記録媒体対向面に近い側の一部に、ギャップ層を介して対向する2つの磁極を有する、互いに磁気的に連結された第1の磁性層および第2の磁性層と、第1の磁性層と第2の磁性層との間に配設された薄膜コイルと、薄膜コイルを第1の磁性層および第2の磁性層から絶縁する絶縁層とを有すると共に、第1の磁性層が、ギャップ層より遠い側から順に配設された第1の磁性層部分および第2の磁性層部分の積層体を含み、第2の磁性層部分が、記録媒体対向面からこの面より離れる方向に一定幅を保ちつつギャップ層に隣接ながら延在して第1の位置で終端すると共にこの第1の位置に端面を有し、第1の磁性層部分が、記録媒体対向面またはその近傍位置からこの面より離れる方向に一定幅と同一の幅を保ちつつ延在して第1の位置と同一または近傍の第2の位置で終端する一定幅部分と、第2の位置から記録媒体対向面より離れる方向に一定幅部分の幅よりも大きな幅をもって延在して第3の位置で終端する拡幅部分とを含む薄膜磁気ヘッドであって、第2の磁性層部分における端面が、ギャップ層の延在方向に対して、その第2の磁性層部分の厚さ全体に渡って傾斜した平面をなしており、第2の磁性層部分における端面がギャップ層の延在方向に対してなす外角が、90°より小さくなるようにしたものである。
【0023】
本発明の薄膜磁気ヘッドでは、第2の磁性層部分における端面がギャップ層の延在方向に対してなす外角が90°より小さくなり、すなわち、第2の磁性層部分における端面がギャップ層の延在方向に対してその第2の磁性層部分の厚さ全体に渡って傾斜した平面をなす。これにより、傾斜部近傍における第2の磁性層部分内の磁束の流れが円滑化される。
【0024】
本発明の薄膜磁気ヘッドでは、外角が45°以上75°以下の範囲内であるようにするのが好適である。
【0026】
また、本発明の薄膜磁気ヘッドでは、絶縁層が、第2の磁性層部分の厚みに対応する空間領域に、端面を境界面として第2の磁性層部分と接するように配設された絶縁膜パターンを含み、絶縁膜パターンにおける記録媒体対向面に最も近い端面の位置が第1の位置と一致するようにしてもよい。
【0027】
また、本発明の薄膜磁気ヘッドでは、絶縁膜パターンにおける第2の磁性層から遠い側の表面が、第1の磁性層部分と第2の磁性層部分との境界面と同一の平面内にあるようにしてもよい。
【0028】
また、本発明の薄膜磁気ヘッドでは、第2の磁性層部分を構成する磁性材料が、第1の磁性層部分を構成する磁性材料の飽和磁束密度以上の飽和磁束密度を有するものであるようにしてもよい。このような場合には、第1の磁性層部分が、鉄、ニッケルおよびコバルトを含む磁性材料よりなるものであり、第2の磁性層部分が、ニッケル鉄合金またはコバルト鉄合金のいずれか1つを含む磁性材料よりなるものであるようにするのが好適である。
【0029】
また、本発明の薄膜磁気ヘッドでは、第1の磁性層部分および第2の磁性層部分のうちの少なくとも一部が、窒化鉄、ニッケル鉄合金またはアモルファス合金のいずれか1つを含む磁性材料よりなるものであるようにしてもよい。アモルファス合金としては、コバルト鉄合金、ジルコニウムコバルト鉄酸化物合金またはジルコニウム鉄窒化物合金のいずれかであるようにするのが好適である。
【0030】
また、本発明の薄膜磁気ヘッドでは、第1の磁性層部分および第2の磁性層部分のうちの少なくとも一部が、鉄、ニッケルおよびコバルトを含む磁性材料よりなるものであるようにしてもよい。
【0031】
本発明の薄膜磁気ヘッドの製造方法は、記録媒体に対向する記録媒体対向面に近い側の一部に、ギャップ層を介して対向する2つの磁極を有する、互いに磁気的に連結された第1の磁性層および第2の磁性層と、第1の磁性層と第2の磁性層との間に配設された薄膜コイルと、薄膜コイルを第1の磁性層および第2の磁性層から絶縁する絶縁層とを有すると共に、第1の磁性層がギャップ層より遠い側から順に配設された第1の磁性層部分および第2の磁性層部分を含む薄膜磁気ヘッドの製造方法であって、少なくとも記録媒体対向面が形成されるべき位置からこの面より離れる方向にギャップ層に隣接しながら一定幅を保ちつつ延在して第1の位置で終端すると共にこの第1の位置に端面を有するように第2の磁性層部分を形成する第1の工程と、記録媒体対向面またはその近傍位置からこの面より離れる方向に一定幅と同一の幅を保ちつつ延在して第1の位置と同一または近傍の第2の位置で終端する一定幅部分と、第2の位置から記録媒体対向面より離れる方向に一定幅部分の幅よりも大きな幅をもって延在して第3の位置で終端する拡幅部分とを有するように第1の磁性層部分を形成する第2の工程とを含み、第1の工程において、第2の磁性層部分における端面が、ギャップ層の延在方向に対して、その第2の磁性層部分の厚さ全体に渡って傾斜した平面をなし、第2の磁性層部分における端面がギャップ層の延在方向に対してなす角度が、90°よりも小さくなるようにしたものである。
【0032】
本発明の薄膜磁気ヘッドの製造方法では、第1の工程において、少なくとも記録媒体対向面が形成されるべき位置からこの面より離れる方向にギャップ層に隣接しながら一定幅を保ちつつ延在して第1の位置で終端すると共にこの第1の位置に端面を有するように第2の磁性層部分が形成される。また、第2の工程において、記録媒体対向面またはその近傍位置からこの面より離れる方向に一定幅と同一の幅を保ちつつ延在して第1の位置と同一または近傍の第2の位置で終端する一定幅部分と、第2の位置から記録媒体対向面より離れる方向に一定幅部分の幅よりも大きな幅をもって延在して第3の位置で終端する拡幅部分とを有するように第1の磁性層部分が形成される。第1の工程では、特に、端面がギャップ層の延在方向に対して厚さ全体に渡って傾斜した平面をなし、その端面がギャップ層の延在方向に対してなす角度が90°よりも小さくなるように第2の磁性層部分が形成される。
【0033】
本発明の薄膜磁気ヘッドの製造方法では、第1の工程が、少なくともギャップ層に隣接するように第2の磁性層部分の前準備層としての前駆磁性層を選択的に形成する工程と、第2の工程で形成された第1の磁性層部分の一定幅部分をマスクとして前駆磁性層を選択的にエッチングすることにより第2の磁性層部分を形成する工程とを含むようにしてもよい。
【0034】
また、本発明の薄膜磁気ヘッドの製造方法では、前駆磁性層を形成する工程が、少なくともギャップ層に隣接するように磁性材層を形成する工程と、ギャップ層の延在方向と直交する方向以外の方向からイオンビームを照射して前駆磁性層を選択的にエッチングすることにより、前駆磁性層を形成するエッチング工程とを含むようにしてもよい。このような場合には、エッチング工程において、ギャップ層の延在方向と直交する方向に対して10°以上かつ90°より小さい範囲内の角度、より好ましくは30°ないし70°の範囲内の角度、さらにより好ましくは45°ないし55°の範囲内の角度をなす方向からイオンビームを照射するようにするのが好適である。
【0035】
また、本発明の薄膜磁気ヘッドの製造方法では、絶縁層が、第2の磁性層部分の厚みに対応する空間領域に、端面を境界面として第2の磁性層部分と接するように配設された絶縁膜パターンを含む場合には、第1の工程における前駆磁性層を形成する工程ののち、第1の磁性層部分を形成する第2の工程の前に、少なくとも前駆磁性層およびその周辺領域を覆うように、絶縁膜パターンの前準備層としての前駆絶縁層を形成する工程と、前駆磁性層が露出するまで前駆絶縁層を研磨して平坦化することにより前駆絶縁膜パターンを形成する工程とを含むようにしてもよい。
【0036】
また、本発明の薄膜磁気ヘッドの製造方法では、第1の工程において、第2の磁性層部分の形成を反応性イオンエッチングを用いて行うようにしてもよい。このような場合には、塩素を含むガス雰囲気中、かつ50℃ないし300℃の範囲内の温度下において第2の磁性層部分の形成を行うようにするのが好適である。
【0037】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0038】
まず、図1〜図14を参照して、本発明の一実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法としての複合型薄膜磁気ヘッドの製造方法の一例について説明する。
【0039】
図1〜図9において、(A)はエアベアリング面に垂直な断面を示し、(B)は磁極部分のエアベアリング面に平行な断面を示している。図10〜図13は主要な製造工程に対応する斜視構造を示している。ここで、図10は図3に示した状態に対応し、図11は図4に示した状態に対応し、図12は図6に示した状態に対応し、図13は図7に示した状態に対応する。ただし、図12および図13では、図6および図7のそれぞれにおけるフォトレジスト膜90の図示を省略している。図14は、図3に示した状態に対応する平面構造を示している。
【0040】
以下の説明では、図1〜図14の各図中におけるX軸方向を「幅方向」、Y軸方向を「長さ方向」、Z軸方向を「厚み(深さ)方向または高さ方向」として表記すると共に、Y軸方向のうちのエアベアリング面70に近い側(または後工程においてエアベアリング面70となる側)を「前側(または前方)」、その反対側を「後側(または後方)」と表記するものとする。
【0041】
<薄膜磁気ヘッドの製造方法>
本実施の形態では、まず、図1に示したように、例えばアルティック(Al2 O3 ・TiC)よりなる基板1上に、例えばアルミナよりなる絶縁層2を約3.0〜5.0μmの厚みで形成する。次に、絶縁層2上に、例えばフレームめっき法を用いて、例えばパーマロイ(Ni:80重量%,Fe:20重量%)よりなる再生ヘッド用の下部シールド層3を約2.0〜3.0μmの厚みで選択的に形成する。フレームめっき法に関する詳細については、後述する。下部シールド層3を形成する際には、例えば、後述する図15に示したような平面形状を有するようにする。なお、下部シールド層3を形成するためのパーマロイとしては、上記したNi:80重量%,Fe:20重量%の組成を有するものの他、例えば、Ni:45重量%,Fe:55重量%の組成を有するものを用いるようにしてもよい。次に、全体を覆うように、例えばアルミナ層を約4.0〜5.0μmの厚みで形成したのち、例えばCMP(化学機械研磨)法により、下部シールド層3が露出するまでアルミナ層の表面を研磨して全体を平坦化する。これにより、下部シールド層3の周辺領域を埋め込むように絶縁膜4が形成される。
【0042】
次に、図1に示したように、下部シールド層3上に、例えばスパッタリングにより、例えばアルミナよりなるシールドギャップ膜5を約100〜200nmの厚みで形成する。次に、シールドギャップ膜4上に、高精度のフォトリソグラフィ処理を用いて、再生ヘッド部の要部であるMR素子を構成するためのMR膜6を所望の形状となるように形成する。次に、MR膜6の両側に、このMR膜6と電気的に接続する引き出し電極層としてのリード層(図示せず)を形成する。次に、このリード層、シールドギャップ膜5およびMR膜6上にシールドギャップ膜7を形成して、MR膜6をシールドギャップ膜5,7内に埋設する。シールドギャップ膜7の形成材料および形成方法等は、シールドギャップ膜5の場合とほぼ同様である。
【0043】
次に、図1に示したように、シールドギャップ膜7上に、上部シールド層8を約1.0〜1.5μmの厚みで選択的に形成する。上部シールド層8の形成材料および形成方法等は、下部シールド層3の場合とほぼ同様である。次に、上部シールド層8上に、例えばスパッタリングにより、例えばアルミナよりなる絶縁膜9を約0.1〜0.2μmの厚みで形成する。
【0044】
次に、図1に示したように、例えばフレームめっき法により、絶縁膜9上に、高飽和磁束密度を有する磁性材料、例えばパーマロイ(Ni:45重量%,Fe:55重量%)よりなる下部磁性層10Aを約0.8〜1.5ミクロンの厚みで選択的に形成する。この下部磁性層10Aは、下部磁極10の一部を構成するものである。下部磁性層10Aを形成する際には、例えば、後述する図15に示したような平面形状を有するようにする。なお、下部磁性層10Aを形成するためのパーマロイとしては、上記したNi:45重量%,Fe:55重量%の組成を有するものの他、例えば、Ni:80重量%,Fe:20重量%の組成を有するものを用いるようにしてもよい。
【0045】
次に、図1に示したように、全体を覆うように、例えばスパッタリングにより、高飽和磁束密度を有する磁性材料、例えば窒化鉄よりなる下部前駆磁性層110を約1.0〜1.5μmの厚みで形成する。下部前駆磁性層110を形成する際には、特に、その厚みが、後工程において形成される薄膜コイル12の厚みよりも大きくなるようにする。下部前駆磁性層110は、後工程においてエッチング処理を用いてパターニングされることにより下部磁性層10Bおよび下部接続部10Cとなる前準備層である。以下の説明では、このように後工程で所定の形状となるようにパターニングされることとなる前準備層を「前駆層」と称呼し、同様に表記するものとする。なお、下部前駆磁性層110の形成材料としては、窒化鉄の他、例えば、窒化鉄と同様に高飽和磁束密度を有するコバルト鉄合金(FeCo)、ジルコニウムコバルト鉄酸化物合金(FeCoZrO)またはジルコニウム鉄窒化物合金(FeZrN)などのアモルファス合金などを用いるようにしてもよい。
【0046】
次に、図1に示したように、下部前駆磁性層110上の所定の位置に、無機材料、例えばアルミナよりなるマスク80A,80Bを選択的に形成する。マスク80A,80Bを形成する際には、それぞれの形成領域が後工程において形成される下部磁性層10B,下部接続部10Cの形成領域(図15参照)に対応するようにする。具体的には、後述する下部磁性層10B(図2参照)の後端の位置P4(第4の位置)がMR膜6の後端の位置よりも約0.5μm以下の範囲内において後退するようにマスク80Aを位置合わせする。なお、下部磁性層10Bの後端の位置P4を必ずしもMR膜6の後端の位置より後退させなければならないものではなく、例えば、下部磁性層10Bの後端の位置P4をMR膜6の後端の位置に一致させるようにしてもよい。マスク80A,80Bの形成材料としては、上記したアルミナの他、窒化アルミニウムなどを用いるようにしてもよい。
【0047】
ここで、マスク80A,80Bの形成は、例えば、以下のような手順により行う。すなわち、まず、例えばスパッタリングにより、下部前駆磁性層110の表面を覆うようにアルミナ層を形成する。続いて、このアルミナ層の表面を覆うようにフォトレジスト膜を形成したのち、このフォトレジスト膜をフォトリソグラフィ処理によりパターニングし、アルミナ層をエッチングするためのマスクを形成する。このとき形成するマスクの平面形状は、最終的に形成するマスク80A,80Bの平面形状とほぼ同様となるようにする。続いて、フォトレジスト膜よりなるマスクを用いて、例えばリアクティブイオンエッチング(Reactive Ion Etching;以下、単に「RIE」という)によりアルミナ層をエッチングすることによりマスク80A,80Bを形成する。
【0048】
次に、マスク80A,80Bを用いて、例えばRIEにより、例えば下部磁性層10Aが露出するまで下部前駆磁性層110をエッチングしてパターニングする。このエッチング処理により、下部前駆磁性層110のうち、マスク80A,80Bの形成領域以外の領域が選択的に除去され、図2に示したように、下部磁性層10A上における前方の領域に下部磁性層10Bが選択的に形成されると共に、後方の領域に下部接続部10Cが選択的に形成される。下部磁性層10Bおよび下部接続部10Cは、共に下部磁極10の一部を構成するものである。下部磁性層10Bおよび下部接続部10Cを形成する際には、例えば、それぞれ後述する図15に示したような平面形状を有するようにする。
【0049】
一般に、RIEを用いた場合のエッチング速度は、イオンミリングを用いた場合のエッチング速度よりも速い。このため、エッチング方法としてRIEを用いることにより、イオンミリングを用いる場合よりも、下部磁性層10B等を短時間で形成することができる。RIEによるエッチング処理を用いて下部磁性層10等を形成する場合には、特に、エッチング時に使用するエッチングガスの種類やエッチング時の加工温度などのエッチング条件を適正化することにより、下部磁性層10B等の形成に要する時間をより短縮させることが可能となる。このようなエッチング条件の適正化に関する詳細については、後述する。なお、下部前駆磁性層110を形成するためのエッチング処理によりマスク80A,80Bのそれぞれ自体もエッチングされ、それらの厚みは減少することとなる。エッチング処理が完了した時点で、マスク80A,80Bが残存するようにしてもよいし(図2参照)、残存しないようにしてもよい。下部前駆磁性層110をパターニングするためのエッチング方法としては、必ずしもRIEを用いなければならないものではなく、イオンミリングを用いるようにしてもよい。ここで、下部磁性層10A,10Bおよび下部接続部10Cによって構成される下部磁極10が、本発明における「第2の磁性層」の一具体例に対応する。
【0050】
次に、図1に示したように、全体を覆うように、例えばアルミナよりなる絶縁膜11を約0.2〜0.3μmの厚みで形成する。
【0051】
次に、図2に示したように、下部磁性層10Bの形成領域よりも後方の領域(下部接続部10Cの形成領域を除く)における平坦な絶縁膜11上に、例えば電解めっき法により、例えば銅(Cu)よりなる誘導型の記録ヘッド用の薄膜コイル12を約0.8〜1.2μmの厚みで選択的に形成する。薄膜コイル12を形成する際には、例えば、後述する図15に示したような巻線構造を有するようにし、その厚みが、下部磁性層10Bの厚みから絶縁膜11の厚みを差し引いた値よりも小さくなるようにする。また、例えば、薄膜コイル12の各巻線の幅を約0.5μmとすると共に、巻線間の隙間を約0.3μmとする。なお、図2では、薄膜コイル12の一部分のみを図示している。薄膜コイル12を形成する際には、同時に、その内側の終端部をなすコイル接続部12Sを絶縁膜11上に薄膜コイル12と一体に形成すると共に、その外側の終端部をなす端子12X(図2では図示せず。図15参照)を薄膜コイル12と一体に形成する。ここで、薄膜コイル12が、本発明における「薄膜コイル」の一具体例に対応する。
【0052】
次に、薄膜コイル12(コイル接続部12Sを含む)の巻線間およびその周辺に、加熱時に流動性を示す材料、例えばフォトレジストなどの有機絶縁材料を高精度のフォトリソグラフィ処理により約0.5〜1.2μmの厚みで所定のパターンとなるように形成する。次に、このフォトレジスト膜に対して、例えば200℃〜250℃の範囲内における温度で加熱処理を施す。この加熱処理により、図2に示したように、フォトレジストが流動して薄膜コイル12等の各巻線間を隙間なく埋めつくし、薄膜コイル12等の各巻線間を絶縁化するための絶縁膜13が形成される。絶縁膜13を形成する際には、絶縁膜13が薄膜コイル12およびコイル接続部12Sの双方の上面を覆わないようにしてもよいし(図2参照)、覆うようにしてもよい。
【0053】
次に、図2に示したように、全体を覆うように、例えばスパッタリングにより、例えばアルミナよりなる前駆絶縁層14Pを約2.0〜3.0μmの厚みで形成して、下部磁性層10B、下部接続部10Cおよび薄膜コイル12等によって構成された凹凸構造領域を埋設する。
【0054】
次に、例えばCMP法により、前駆絶縁層14Pの表面全体を研磨して平坦化する。この研磨処理により、図3に示したように、薄膜コイル12等を埋設する絶縁膜14が形成される。このときの研磨処理は、少なくとも下部磁性層10Bおよび下部接続部10Cが露出するまで行う。
【0055】
次に、図3に示したように、研磨後の平坦面上に、例えばスパッタリングにより、非磁性材料、例えばアルミナよりなる記録ギャップ層15を約0.1〜0.15μmの厚みで平坦に形成する。記録ギャップ層15を形成する際には、下部接続部10Cの表面を覆わないようにする。この領域は、下部接続部10Cと後工程において形成される上部磁極16とを接続させるための開口部15Kとなる。なお、記録ギャップ層15の形成材料としては、上記したアルミナの他、アルミナと同様の非磁性金属材料、例えばニッケル銅合金(NiCu)などを用いるようにしてもよい。
【0056】
次に、図3に示したように、例えばRIEまたはイオンミリングを用いたエッチング処理により、コイル接続部12Sの上方を覆っている記録ギャップ層15および絶縁膜14を部分的に除去し、コイル接続部12Sと後工程において形成されるコイル接続部16Sとを接続させるための開口部14Kを形成する。
【0057】
次に、図3に示したように、全体を覆うように、例えばスパッタリングにより基礎磁性層116を約0.3〜1.0μmの厚みで形成する。基礎磁性層116の形成材料としては、例えば、後工程において形成される上部磁性層16Cを構成する磁性材料(例えば鉄ニッケルコバルト合金)の飽和磁束密度よりも大きい飽和磁束密度を有するもの(例えば窒化鉄)を用いるようにする。なお、基礎磁性層116の形成材料としては、窒化鉄の他、例えば、窒化鉄と同様に高飽和磁束密度を有するコバルト鉄合金(FeCo)、ジルコニウムコバルト鉄酸化物合金(FeCoZrO)またはジルコニウム鉄窒化物合金(FeZrN)などのアモルファス合金などを用いるようにしてもよい。ここで、基礎磁性層116が、本発明における「磁性材層」の一具体例に対応する。
【0058】
次に、図3、図10および図14に示したように、基礎磁性層116上の所定の位置にマスク81A,81B,81Cを選択的に形成する。マスク81Aを形成する際には、その形成領域が、後工程において形成される第2の磁極先端部16Aの形成領域を含むようにする。具体的には、マスク81Aの後端の位置がMR膜6の後端の位置よりも約0.5μm以下の範囲内において後退するようにすると共に、マスク81Aの幅W1が後述する第2の磁極先端部16Aの幅W2(図7および図12参照)よりも十分に大きくなるようにする。また、マスク81Bの形成領域が後工程において形成される磁路接続部16Bの形成領域に対応するようにすると共に、マスク81Cの形成領域が後工程において形成されるコイル接続部16Sの形成領域に対応するようにする。なお、マスク81Aの後端の位置を必ずしもMR膜6の後端の位置より後退させなければならないものではなく、例えば、マスク81Aの後端の位置をMR膜6の後端の位置に一致させるようにしてもよい。マスク81A,81B,81Cの形成材料および形成方法等は、例えば、上記したマスク80A,80Bの場合とほぼ同様である。
【0059】
次に、マスク81A,81B,81Cを用いて、斜め上方からイオンビームIBを照射することにより基礎磁性層116に対してエッチング処理を施す。エッチング処理を行う際には、例えば、基礎磁性層116の延在方向に平行な平面に対する垂線Sを回転軸として、基板1を固定している図示しない固定台を回転させながら行うようにする。また、垂線Sに対する傾き角度(照射角度)ωが所定の角度となるような方向からイオンビームIBを照射するようにする。照射角度ωは、例えば、10°≦ω<90°、より好ましくは30°<ω<70°、さらにより好ましくは45°<ω<55°の範囲内とする。エッチング処理中において、照射角度ωを固定するようにしてもよいし、上記の各範囲内において随時変更するようにしてもよい。
【0060】
このエッチング処理により、基礎磁性層116のうち、マスク81A,81B,81Cの形成領域以外の領域が選択的に除去され、図4および図11に示したように、記録ギャップ層15上における前方の領域に上部前駆磁性層116Aが選択的に形成され、開口部15K上に上部磁極16の一部を構成する磁路接続部16Bが選択的に形成され、開口部14Kにコイル接続部16Sが形成される。上部前駆磁性層116Aを形成する際には、その後端面116AMにおける幅方向に延びる2つの端縁(上端縁116AU,下端縁116AL)が共に直線状をなすようにすると共に、下端縁116ALの位置P1(第1の位置)がMR膜6の後端の位置より後退するようにする。上部前駆磁性層116Aの後端面116AMは記録ギャップ層15の平坦な表面15Mに対して傾斜し、後端面116Aが表面15Mに対してなす角度(外角)θは90°より小さくなる。もちろん、上部前駆磁性層116Aの側端面等もまた、後端面116AMと同様に傾斜する。図4および図11では、例えば、上部前駆磁性層116Aの後端面116AMが平面をなしている場合を示している。なお、上部前駆磁性層116Aを形成するためのエッチング処理によりマスク81A,81B,81Cのそれぞれ自体もエッチングされ、それらの厚みは減少することとなる。エッチング処理が完了した時点で、マスク81A,81B,81Cが残存するようにしてもよいし(図4および図11参照)、残存しないようにしてもよい。ここで、記録ギャップ層15における上部前駆磁性層116Aの下端縁116ALの位置P1(第1の位置)よりも前方の部分が、本発明における「ギャップ層」の一具体例に対応し、上部前駆磁性層116Aが、本発明における「前駆磁性層」の一具体例に対応する。
【0061】
次に、図5に示したように、全体を覆うように、例えばアルミナよりなる前駆絶縁層17Pを約0.8〜2.0μmの厚みで形成する。ここで、前駆絶縁層17Pが、本発明における「前駆絶縁膜」の一具体例に対応する。
【0062】
次に、例えばCMP法により、前駆絶縁層17Pの表面全体を研磨して平坦化する。この研磨処理により、図6に示したように、上部前駆磁性層116A、磁路接続部16Bおよびコイル接続部16Sの周辺領域を埋設する絶縁膜パターン17が形成される。研磨処理を行う際には、上部前駆磁性層116A,磁路接続部16Bおよびコイル接続部16Sが露出するようにする。絶縁膜パターン17の前端の位置(上部前駆磁性層116における後端縁116ALの位置P1)は、記録ヘッドの性能を決定する因子のうちの1つであるスロートハイト(TH)を決定するための基準の位置、すなわちスロートハイトゼロ位置(TH0位置)となる。ここで、記録ギャップ層15における上部前駆磁性層116Aの下端縁116ALの位置P1(第1の位置)よりも後方の部分および絶縁膜パターン17を合わせた部分が、本発明における「絶縁膜パターン」の一具体例に対応する。
【0063】
次に、図6および図12に示したように、上部前駆磁性層116A上から磁路接続部16B上にかけての平坦領域に、例えばフレームめっき法により、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)およびコバルト(Co)を含んで高飽和磁束密度を有する磁性材料、例えば鉄ニッケルコバルト合金(CoNiFe;Co:45重量%,Ni:30重量%,Fe:25重量%)よりなる上部磁性層16Cを約1.5μ〜2.0μmの厚みで選択的に形成する。上部磁性層16Cを形成する際には、同時に、コイル接続部16S上から図示しない外部回路にかけての領域ににコイル接続配線16CHを選択的に形成する。上部磁性層16Cは、上部磁極16の一部を構成するものである。なお、上部磁性層16C等の形成材料としては、上記した3つの金属元素と共に、クロム(Cr)、ボロン(B)、金(Au)および銅のうちの少なくとも1種を含むものを用いるようにしてもよい。
【0064】
上部磁性層16Cを形成する際には、例えば、後述する図15に示したような平面形状を有するようにし、後工程においてエアベアリング面70となる側(図6における左側)から順に、第1の磁極先端部16C(1) 、中間部16C(2) 、後端部16C(3) およびヨーク部16C(4) を含むようにする。このとき、記録媒体の記録トラック幅を規定する一定幅(約0.1〜0.2μm)を有するように第1の磁極先端部16C(1) を形成する。また、例えば、第1の磁極先端部16C(1) と中間部16C(2) との連結位置P2(第2の位置)が上部前駆磁性層116Aの上端縁116AUの位置と一致するようにすると共に、ヨーク部16C(4) の後端の位置P3(第3の位置)が、磁路接続部16Bの後端の位置と一致するようにする。なお、上部磁性層16Cの構造的特徴については後述する。
【0065】
ここで、第1の磁極先端部16C(1) が、本発明における「一定幅部分」の一具体例に対応し、中間部16C(2) 、後端部16C(3) およびヨーク部16C(4) を合わせた部分が、本発明における「拡幅部分」の一具体例に対応する。また、上部磁性層16Cが、本発明における「第1の磁性層部分」の一具体例に対応する。
【0066】
フレームめっき法によって上部磁性層16Cを形成する際には、まず、例えば、スパッタリングにより、電解めっき法におけるシード層となる電極膜(図示せず)を約70μmの厚みに形成する。この電極膜の形成材料としては、例えば、高飽和磁束密度を有する鉄ニッケルコバルト合金(Co:45重量%,Ni:30重量%,Fe:25重量%)などを用いるようにする。次に、この電極膜上に、例えばポジティブ型のフォトレジスト(以下、単に「フォトレジスト」という。)を塗布して、フォトレジスト膜(図示せず)を形成する。次に、所定の形状パターンを有するマスク(図示せず)を用いて、フォトレジスト膜の所定の領域を選択的に露光する。次に、フォトレジスト膜の露光領域を現像することにより、フレームめっき法においてめっき処理を行う際に用いるフレームパターン(外枠)(図示せず)を形成する。このフレームパターンは、上記の露光領域に対応した開口部を備えるものである。次に、フレームパターンをマスクとして用いると共に先工程において形成した電極膜をシード層として用いて、電解めっき法により、鉄ニッケルコバルト合金(Co:45重量%,Ni:30重量%,Fe:25重量%)よりなる上部磁性層16Cを形成する。最後に、フレームパターンを除去する。なお、コイル接続配線16CHもまた、上記した上部磁性層16Cの場合と同様の形成材料および形成方法を用いて形成する。
【0067】
次に、図6に示したように、例えば、上部前駆磁性層16Aの下端縁116ALの位置P1(第1の位置)よりも後方の領域を覆うようにフォトレジスト膜90を選択的に形成する。
【0068】
次に、上部磁性層16Cおよびフォトレジスト膜90の双方をマスクとして、例えばRIEにより、上部前駆磁性層116Aおよびその周辺領域を選択的にエッチングする。このエッチング処理により、上部前駆磁性層116Aのうち、上部磁性層16Cにおける第1の磁極先端部16C(1) に対応する部分以外の部分が選択的に除去され、図7および図13に示したように、上部磁極16の一部を構成する第2の磁極先端部16Aが形成される。第2の磁極先端部16Aの後端面16AMは上部前駆磁性層116A(図7参照)の後端面116AMの一部として構成される。上部前駆磁性層116Aをパターニングするためのエッチング方法としてRIEを用いることにより、第2の磁極先端部16Aを高精度かつ短時間で形成することができる。この第2の磁極先端部16Aは、上部磁性層16Cにおける第1の磁極先端部16C(1) と同様に、記録媒体上の記録トラック幅を規定する一定幅W2を有することとなる。エッチング処理により、マスク自体、すなわち上部磁性層16Cおよびフォトレジスト膜90のそれぞれ自体もエッチングされ、その膜厚は減少する。また、このエッチング処理により、フォトレジスト膜90は前方側からもエッチングされ、その前端の位置は後退する。ここで、第2の磁極先端部16Aが、本発明における「第2の磁性層部分」の一具体例に対応し、第2の磁極先端部16A、磁路接続部16B、上部磁性層16Cによって構成される上部磁極16が、本発明における「第1の磁性層」の一具体例に対応する。
【0069】
第2の磁極先端部16Aを形成するためのRIEによるエッチング処理を行う際には、特に、例えば、塩素(Cl2 )、三塩化ボロン(BCl3 )、塩化水素(HCl)、四フッ化炭素(CF4 )、六フッ化硫黄(SF6 )および三臭化ボロン(BBr3 )のうちの少なくとも1種に水素(H2 )、酸素(O2 )、窒素(N2 )およびアルゴン(Ar)などを添加したものを含むエッチングガスを用いると共に、加工温度を50℃〜300℃の範囲内となるようにするのが好適である。このようなガス雰囲気中および温度下においてRIEによるエッチング処理を行うことにより、特に、窒化鉄よりなる上部前駆磁性層116A(図6参照)に対するエッチング処理の化学反応が促進されるため、第2の磁極先端部16Aの形成に要する時間をより短縮することができる。
【0070】
さらに、上部磁性層16Cおよびフォトレジスト膜90をマスクとして、例えばRIEにより、全体を約0.3〜0.4μm程度エッチングする。このエッチング処理により、第2の磁極先端部16A周辺における記録ギャップ層15、下部磁性層10Bおよび絶縁膜パターン17のそれぞれの一部が選択的に除去され、図7および図13に示したように、トリム構造を有する磁極部分100が形成される。磁極部分100を形成する際には、例えば、フォトレジスト膜90の前端の位置が、上部磁性層16Cにおける第1の磁極先端部16C(1) と中間部16C(2) との連結位置P2と一致するようにする。この磁極部分100は、上部磁性層16Cにおける第1の磁極先端部16C(1) と、第2の磁極先端部16Aと、記録ギャップ層15の一部と、下部磁性層10Bのうちの第2の磁極先端部16A等に対応する部分とによって構成されている。磁極部分100を構成する上記の各部位は、互いにほぼ同様の幅を有している。エッチング方法としてRIEを用いることにより、磁極部分100を高精度かつ短時間で形成することができる。
【0071】
磁極部分100を形成するためのRIEによるエッチング処理を行う際には、特に、例えば、塩素と三塩化ボロンとの混合ガスをエッチングガスとして用いると共に、加工温度を100℃〜200℃の範囲内となるようにするのが好適である。このようなガス雰囲気中および温度下においてRIEによるエッチング処理を行うことにより、磁極部分100の形成に要する時間をより短縮することができる。
【0072】
次に、フォトレジスト膜90を除去したのち、図8に示したように、全体を覆うように、絶縁材料、例えばアルミナなどの無機絶縁材料よりなるオーバーコート層18を約20〜40μmの厚みで形成する。
【0073】
最後に、図9に示したように、機械加工や研磨工程により記録ヘッドおよび再生ヘッドのエアベアリング面70を形成して、薄膜磁気ヘッドが完成する。
【0074】
<薄膜磁気ヘッドの構造>
次に、図9、図13および図15を参照して、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの要部構造について説明する。
【0075】
図9および図13に示したように、第2の磁極先端部16Aの後端面16AMは記録ギャップ層15の平坦な表面15Mに対して傾斜している。後端面16AMが表面15Mに対してなす角度(外角)θは90°より小さくなっており、具体的には、例えば、45°≦θ≦75°の範囲内となっている。
【0076】
図15は、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法により製造された薄膜磁気ヘッドの平面構造の概略を表すものである。なお、図15では、絶縁膜11,13,14およびオーバーコート層18等の図示を省略している。また、薄膜コイル12については、その最外周の一部のみを図示している。図9(A)は、図15におけるIXA−IXA線に沿った矢視断面に相当する。なお、図15中のX,Y,Z軸方向に関するそれぞれの表記については、図1〜図14の場合と同様とする。
【0077】
絶縁膜17の前端の位置(第2の磁極先端部16A)の下端縁116ALの位置P1)は、スロートハイト(TH)を決定する際の基準となる位置、すなわちスロートハイトゼロ位置(TH0位置)である。スロートハイト(TH)は、絶縁膜17の前端の位置(TH0位置)からエアベアリング面70までの長さとして規定される。図15における「MRH0位置」は、MR膜6の後端の位置、すなわちMRハイトゼロ位置を表している。MRハイト(MRH)は、MRハイトゼロ位置からエアベアリング面70までの長さである。スロートハイトゼロ位置(TH0位置)とMRハイトゼロ位置(MRH0位置)とは、例えば、ほぼ一致している。
【0078】
下部磁極10は、上記したように、例えば、それぞれ別個に形成された下部磁性層10A,10Bおよび下部接続部10Cによって構成されている。
【0079】
上部磁極16は、上記したように、例えば、それぞれ別個に形成された第2の磁極先端部16A、磁路接続部16Bおよび上部磁性層16Cによって構成されている。
【0080】
第2の磁極先端部16Aは、例えば、矩形状の平面形状を有し、全域にわたって一定幅を有している。上部磁性層16Cは、上記したように、エアベアリング面70から順に、第1の磁極先端部16C(1) 、中間部16C(2) 、後端部16C(3) およびヨーク部16C(4) を含んでいる。これらのうち、第1の磁極先端部16C(1) 、中間部16C(2) および後端部16C(3) は、例えば矩形状の平面形状を有している。第1の磁極先端部16C(1) は、第2の磁極先端部16Aの幅と同様の一定幅を有すると共に、第2の磁極先端部16Aの長さよりも大きな長さを有している。中間部12C(2) は、例えば第1の磁極先端部16C(1) の幅よりも大きな幅を有し、後端部16C(3) は、例えば中間部16C(2) の幅よりも大きな幅を有している。すなわち、第1の磁極先端部16C(1) と中間部16C(2) との連結部分には、幅方向の段差が形成されている。ヨーク部16C(4) は、薄膜コイル12により発生した磁束を収容するものであり、後端部16C(3) の幅よりも大きな幅を有している。ヨーク部16C(4) の幅は、例えば、その後方部においてほぼ一定であり、その前方部においてエアベアリング面70に近づくにつれて徐々に狭まるようになっている。上部磁性層16Cを構成する各部位の幅方向の中心は互いに一致している。
【0081】
第1の磁極先端部16C(1) と中間部16C(2) との連結部分に形成された段差の段差面16CDと、第1の磁極先端部16C(1) の側縁面とが交わるコーナー部の角度γは、例えば90度である。なお、このコーナー部の角度γは必ずしもこれに限られるものではなく、例えば90度ないし120度の範囲内となるようにするのが好適である。角度γを上記の範囲内とすることにより、中間部16C(2) から第1の磁極先端部16C(1) に流入する磁束の流れを円滑化することができるからである。
【0082】
薄膜コイル12は、上記したように、極微細化された巻線構造を有するものである。薄膜コイル12における外側の終端部をなす端子12Xとコイル接続配線12CHの後端部とは、共に図示しない外部回路に接続されており、この外部回路によって薄膜コイル12を通電させることができるようになっている。
【0083】
<薄膜磁気ヘッドの作用>
この薄膜磁気ヘッドでは、情報の記録動作時に図示しない外部回路を通じて薄膜コイル12に電流が流れると、これに応じて磁束が発生する。このとき発生した磁束は、上部磁性層16C内をヨーク部16C(4) から第1の磁極先端部16C(1) まで伝播し、第1の磁極先端部16C(1) のエアベアリング面70側の先端部分に到達する。第1の磁極先端部16C(1) の先端部分に到達した磁束により、記録ギャップ層15近傍の外部に記録用の信号磁界が発生する。この信号磁界により、磁気記録媒体を部分的に磁化して、情報を記録することができる。
【0084】
一方、再生時においては、再生ヘッド部のMR膜6にセンス電流を流す。MR膜6の抵抗値は、磁気記録媒体からの再生信号磁界に応じて変化するので、その抵抗変化をセンス電流の変化によって検出することにより、磁気記録媒体に記録されている情報を読み出すことができる。
【0085】
<実施の形態の効果>
本実施の形態の薄膜磁気ヘッドでは、第2の磁極先端部16Aの後端面16AMは、記録ギャップ層15の平坦な表面15Mに対してなす角度(外角)θが90°よりも小さくなるように表面15Mに対して傾斜しているため、以下のような理由により、スロートハイト(TH)を調整しつつ、優れたオーバーライト特性を確保することができる。以下、その理由を比較例を用いて説明する。
【0086】
図16は、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドに対する比較例としての薄膜磁気ヘッドにおける問題点を説明するものであり、図13に対応するものである。図16に示した薄膜磁気ヘッドでは、例えば、第2の磁極先端部16Aの後端面16AMが記録ギャップ層15の平坦な表面15Mに対して垂直になっている。比較例の場合において、例えば、スロートハイト(TH)を短縮するためには、第2の磁極先端部16Aの長さを小さくすることにより、絶縁膜パターン17の前端の位置(TH0位置)を前方にシフトさせなければならない。しかしながら、第2の磁極先端部16Aの長さが小さくなりすぎると、第2の磁極先端部16Aと上部磁性層16Cとの接触面積が小さくなるため、上部磁性層16Cから第2の磁極先端部16Aへの磁束の伝播が制限されることとなる。磁束の伝播が制限されると、第2の磁極先端部16Aの先端部分へ到達する磁束量が減少減少するため、オーバーライト特性は著しく劣化してしまう。
【0087】
これに対して、本実施の形態では、図17に示したように、上部前駆磁性層116Aの形成時(図4参照)において、その下端縁116ALの位置P1(第1の位置)のみを前方にシフトさせ、上端縁116AUはシフトさせない。このため、スロートハイト(TH)が短縮されるが、第2の磁極先端部16Aと上部磁性層16Cとの接触面積はスロートハイト(TH)の短縮前の状態(図13参照)から変更されない。したがって、上記した比較例の場合とは異なり、磁束の伝播の制限が回避され、第2の磁極先端部16Aの先端部分まで十分な量の磁束が到達するため、優れたオーバーライト特性を確保することができる。
【0088】
さらに、後端面16AMが表面15Mに対して傾斜するようにすることにより、上記した比較例の場合とは異なり、上部磁性層16Cの第1の磁極先端部16C(1) から第2の磁極先端部16Aに流量した磁束は、主に、第2の磁極先端部16Aの内部を後端面16AMに沿って斜め下方に向かって円滑に伝播し、第2の磁極先端部16Aの先端部まで導かれることとなる。このような場合には、第2の磁極先端部16Aの先端部分へ効率よく磁束が供給されるため、この観点においても優れたオーバーライト特性の確保に寄与する。なお、上記した磁束の伝播の円滑化に係る効果は、第2の磁極先端部16Aの後端面16AMが湾曲したり階段状をなす場合よりも平面をなす場合に顕著となる。
【0089】
また、本実施の形態では、記録媒体の記録トラック幅を規定する一定幅を有する部分を2層構造とし、その上層部分(第1の磁極先端部16C(1) )の形成材料として鉄ニッケルコバルト合金を用い、下層部分(第2の磁極先端部16A)の形成材料としてニッケル鉄を用いるようにしたので、以下のような理由により、この観点においても優れたオーバーライト特性の確保に寄与する。すなわち、第1の磁極先端部16C(1) の形成材料として用いられる鉄ニッケルコバルト合金は、上記したように、その高い硬度特性によりエッチングマスクとして利用することが可能な反面、めっき処理時におけるその組成制御が困難である。組成制御が十分でないと、鉄ニッケルコバルト合金中において部分的に磁束密度の差異が生じ、磁束の伝播特性に偏りが生じてしまう可能性がある。一方、第2の磁極先端部16Aの形成材料として用いられるニッケル鉄は、形成手法としてスパッタリングを用いることにより、その組成を比較的容易に制御することができる。これらのことから、鉄ニッケルコバルト合金の組成が多少乱れ、第1の磁極先端部16C(1) 内における磁束の伝播特性にばらつきが生じたとしても、組成が適正に制御されたニッケル鉄よりなる第2の磁極先端部16Aにおいて円滑な磁束の伝播が確保され、その先端部分まで十分な磁束が到達することとなる。このような効果は、特に、第2の磁極先端部16Aを構成する磁性材料(窒化鉄)として、上部磁性層16Cを構成する磁性材料(鉄ニッケルコバルト合金)の飽和磁束密度よりも大きい飽和磁束密度を有するものを用いることにより顕著となる。
【0090】
また、本実施の形態では、上部磁性層16Cを構成するヨーク部16C(4) ,後端部16C(3) ,中間部16C(2) ,第1の磁極先端部16C(1) の各部位の幅がこの順に小さくなるようにしているので、各部位の磁気ボリューム、すなわち、各部位の内部に収容可能な磁束の許容量もまた同じ順に小さくなる。このような場合には、上部磁性層16Cに流入した磁束は、ヨーク部16C(4) から第1の磁極先端部16C(1) まで伝播する過程において、磁気ボリュームの段階的な減少に応じて段階的に集束され、磁束の伝播過程における磁束の飽和減少が抑制される。これにより、第1の磁極先端部16C(1) および第2の磁極先端部16Aには十分な量の磁束が供給されるため、この点もまた、優れたオーバーライト特性の確保に寄与する。
【0091】
また、本実施の形態では、第2の磁極先端部16Aおよび上部磁性層16Cの形成材料として、共に高飽和磁束密度を有する磁性材料(例えば、窒化鉄および鉄ニッケルコバルト合金)を用いるようにしたので、記録密度を高めるために磁極幅を極微小化した場合においても、磁束の飽和現象が抑制され、磁束の伝播が円滑化される。このため、磁気ボリュームの小さい第2の磁極先端部16Aおよび上部磁性層16Cにおける第1の磁極先端部16C(1) のそれぞれの先端部まで十分な量の磁束が供給され、この観点においても優れたオーバーライト特性の確保に寄与する。
【0092】
本実施の形態の薄膜磁気ヘッドの製造方法では、基礎磁性層116をパターニングするためのエッチング方法としてイオンミリングを用い、特に、斜め上方からイオンビームを照射してエッチング処理を行うようにしているので、後端面16AMが記録ギャップ層15の平坦な表面15Mに対して傾斜するように第2の磁極先端部16Aを容易に形成することができる。しかも、エッチング時におけるイオンビームの照射角度ωを変更することにより、スロートハイト(TH)を自由に調整することができると共に、後端面16AMが表面15Mに対してなす角度(外角)θもまた自由調整することができるに。具体的には、例えば、スロートハイト(TH)を小さくする場合には、イオンビームの照射角度ωを大きくすることにより上部前駆磁性層116Aの下端縁116ALの位置P1を前方にシフトさせると共に角度θを小さくし、一方、スロートハイト(TH)を大きくする場合には、イオンビームの照射角度ωを小さくすることにより下端縁116ALの位置P1を後方にシフトさせると共に角度θを大きくする。
【0093】
また、本実施の形態では、上部前駆磁性層116Aをパターニングするためのエッチング手法としてRIEを用いるようにしたので、イオンミリングを用いる場合よりも、極微小な一定幅を有するように第2の磁極先端部16Aを高精度かつ短時間で形成することができる。エッチング手法としてRIEを用いた場合の形成精度の向上および形成時間の短縮に関する効果は、上部前駆磁性層116A、下部磁性層10B、下部接続部10Cおよび磁極部分100等を形成する場合においても同様である。特に、RIEによるエッチング処理を適正なエッチング条件(エッチングガスのガス種や加工温度など)下において行うことにより、第2の磁極先端部16A等の形成に要する時間をより短縮することができる。
【0094】
また、本実施の形態では、記録ギャップ層15の平坦な表面に上部磁性層16Cを形成しているので、凹凸構造を有する下地上に上部磁性層16Cを形成する場合とは異なり、上部磁性層16Cを高精度に形成することができる。なぜなら、下地が凹凸構造を有する場合には、フォトレジストパターンを形成するためにフォトレジスト膜を選択的に露光しようとしても、下地から斜め方向または横方向に反射する反射光の影響により露光領域が拡大または縮小してしまい、フォトレジストパターンを高精度に形成することができない。これに対して、下地が平坦な場合には、下地が凹凸構造を有する場合よりも、反射光に起因する露光精度に係る悪影響が抑制されるため、フォトレジストパターンを高精度に形成することができる。
【0095】
また、本実施の形態では、上部磁性層16Cの形成材料として、鉄、ニッケルおよびコバルトを含む磁性材料、例えば鉄ニッケルコバルト合金(CoNiFe)を用いるようにしている。一般に、この鉄ニッケルコバルト合金は、パーマロイやニッケル鉄等の磁性材料よりも硬い磁性材料であるため、鉄ニッケルコバルト合金に対するエッチング速度は、パーマロイや窒化鉄等に対するエッチング速度よりも遅くなる。このため、基礎磁性層116をパターニングするためのエッチング処理時において、基礎磁性層116に対するエッチング量よりも上部磁性層16C(第1の磁極先端部16C(1) )に対するエッチング量を小さくし、上部磁性層16C(第1の磁極先端部16C(1) )の膜減りを抑制することができる。ただし、上部磁性層16Cの形成時には、エッチング処理時における「膜減り」を見こして、上部磁性層16Cの厚みを必要かつ十分に確保しておく必要がある。上部磁性層16C(第1の磁極先端部16C(1) )に対するエッチング量(膜減り量)は、エッチングガスの種類や加工温度などのエッチング条件を変更することにより調整可能である。
【0096】
なお、上部磁性層16Cの形成材料としての鉄ニッケルコバルト合金は、形成されることとなる上部磁性層16Cの膜厚が適度に薄い場合(例えば3.0μm以下)にのみ使用するのが好ましい。なぜなら、例えば、鉄ニッケルコバルト合金を形成材料として用いて、3.0μmよりも大きい厚みを有する上部磁性層16Cを形成しようとすると、内部応力の蓄積に起因して鉄ニッケルコバルト合金が部分的に割れたり、剥がれてしまい、上部磁性層16Cを正常に形成することが困難になるからである。本実施の形態では、約2.0〜3.0μmの厚みを有するように上部磁性層16Cを形成しているので、鉄ニッケルコバルト合金などの硬い磁性材料を用いた場合においても、上記の「割れ」または「剥がれ」等を回避し、上部磁性層16Cの形成を安定化させることができる。
【0097】
また、本実施の形態では、薄膜コイル12(コイル接続部12Sを含む)の各巻線間を埋め込む絶縁膜13の形成材料として、加熱時に流動性を示すフォトレジストなどの有機絶縁材料を用いるようにしたので、加熱時に流動性を示さないアルミナなどの無機絶縁材料を用いる場合とは異なり、薄膜コイル12等の各巻線間を隙間なく埋めつくすことができ、確実に絶縁することができる。
【0098】
また、本実施の形態では、絶縁膜14の形成材料としてアルミナなどの無機絶縁材料を用いるようにしたので、フォトレジストなどの軟絶縁材料を用いる場合とは異なり、CMP研磨盤の研磨面が目詰まりを起こすことを防止できると共に、研磨後の表面をより平滑に形成することができる。
【0099】
<実施の形態に関する変形例>
なお、本実施の形態では、後端面16AMが平面をなすように第2の磁極先端部16Aを形成するようにしたが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、後端面16AMが湾曲するようにしてもよい。このような構造的特徴を有する第2の磁極先端部16Aは、例えば、上部前駆磁性層116Aを形成するためのエッチング処理時において、イオンビームの照射角度ωを比較的小さい値(または大きい値)から徐々に大きく(または小さく)することで形成可能となる。このような場合においても、記録ギャップ層15の平坦な表面15Mに対する湾曲した後端面16AMの平均斜度を90°より小さくすることにより、上記実施の形態の場合とほぼ同様の効果を得ることができる。
【0100】
また、本実施の形態では、図2に示したように、下部磁性層10B等を形成するためのエッチング工程において、下部磁性層10Aが露出した時点でエッチング処理を終了するようにしたが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、図18に示したように、下部磁性層10B等を形成したのち、さらに下部磁性層10Aの一部をエッチングして掘り下げることにより窪み領域10Hを形成するようにしてもよい。窪み領域10Hを形成する際には、例えば、その深さが約0.5〜1.5μmになるようにする。窪み領域10Hを形成したのち、上記実施の形態の場合と同様の手法を用いて絶縁膜11および薄膜コイル12等を形成することにより、図19に示したような構造を有する薄膜磁気ヘッドが完成する。図19は、上記実施の形態における図9に対応するものである。窪み領域10Hを形成した場合には、薄膜コイル12を形成することとなる下地の表面の位置は、窪み領域10Hを形成しない場合における下地の表面の位置よりも低くなる。これにより、薄膜コイル12の上方に十分な厚みの絶縁膜14が配設されることとなるので、薄膜コイル12をその上方領域から確実に絶縁することができる。
【0101】
また、本実施の形態では、図3〜図7に示したように、上部前駆磁性層116Aを形成したのち、上部磁性層16C(第1の磁極先端部16C(1) )をマスクとして用いて上部前駆磁性層116Aをエッチングすることにより第2の磁極先端部16Aを形成するようにしたが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、上部磁性層16Cの形成前に第2の磁極先端部16Aを形成するようにしてもい。具体的には、例えば、フレームめっき法等を用いて極微小な一定幅W2を有する直方体状の上部前駆磁性層を形成したのち、上記実施の形態の場合と同様に上部前駆磁性層の後端部をイオンミリングを用いて選択的にエッチングして除去することにより記録ギャップ層15の平坦な表面15Mに対して傾斜するように後端面16AMを形成し、第2の磁極先端部16Aを形成する。ただし、上記したように、極微小な一定幅W2を有する上部前駆磁性層をフレームめっき法を用いて形成する場合にはその形成精度に問題が生じるため、上部前駆磁性層の形成精度を考慮するならば、上記実施の形態で説明したような手法を用いるようにするのが好ましい。
【0102】
また、本実施の形態では、下部磁性層10Aの形成材料としてパーマロイを用いるようにしたが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、窒化鉄やアモルファス合金(例えばコバルト鉄合金)を用いるようにしてもよいし、鉄、ニッケルおよびコバルトを含む合金(例えば鉄ニッケルコバルト合金)を用いるようにしてもよい。なお、下部磁性層10Aの形成方法としては、上記したフレームめっき法の他、例えば、下部磁性層10B等を形成した場合と同様に、エッチング処理によるスパッタ−膜のパターニングを用いるようにしてもよい。
【0103】
また、本実施の形態では、下部磁性層10Bおよび下部接続部10Cの形成材料として、窒化鉄やアモルファス合金を用いるようにしたが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、パーマロイを用いるようにしてもよいし、鉄、ニッケルおよびコバルトを含む合金(例えば鉄ニッケルコバルト合金)を用いるようにしてもよい。なお、下部磁性層10Bおよび下部接続部10Cの形成方法としては、上記したエッチング処理によるスパッタ−膜のパターニングの他、例えば、フレームめっき法を用いるようにしてもよい。
【0104】
また、本実施の形態では、基礎磁性層116(第2の磁極先端部16A)の形成材料として窒化鉄またはアモルファス合金(コバルト鉄合金等)を用いるようにしたが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、パーマロイを用いるようにしてもよいし、鉄、ニッケルおよびコバルトを含む磁性材料(例えば、鉄ニッケルコバルト合金)を用いるようにしてもよい。ただし、基礎磁性層116の組成を適正に制御し、最終的に形成される第2の磁極先端部16Aの内部における磁束の伝播性を良好に確保しようとするならば、基礎磁性層116の形成材料として窒化鉄やアモルファス合金を用いるようにするのが好適である。なお、基礎磁性層116の形成方法としては、必ずしもスパッタリングおよびエッチング処理を用いる必要はなく、例えば、フレームめっき法を用いるようにしてもよい。
【0105】
また、本実施の形態では、上部磁性層16Cの形成材料として鉄ニッケルコバルト合金を用いるようにしたが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、パーマロイ、窒化鉄またはアモルファス合金(例えばコバルト鉄合金)のいずれかを用いるようにしてもよい。ただし、上部前駆磁性層116Aのパターニング時においてマスクとして機能する上部磁性層16Cの膜減り量を抑制するならば、上記実施の形態において説明したように、上部磁性層16Cの形成材料として鉄ニッケルコバルト合金を用いるようにするのが好適である。なお、上部磁性層16Cの形成方法としては、上記したフレームめっき法の他、例えば、下部磁性層10B等を形成した場合と同様に、エッチング処理によるスパッタ−膜のパターニングを用いるようにしてもよい。もちろん、フレームめっき法を用いる場合においても、上部前駆磁性層116Aの後端部の幅方向に延びる端縁116ATが直線状をなすようにする。
【0106】
また、本実施の形態では、基礎磁性層116(第2の磁極先端部16A)および上部磁性層16Cの形成材料として、共に高飽和磁束密度を有する磁性材料を用いるようにしている。ここで、上記のそれぞれの部位を形成するために用いる磁性材料の飽和磁束密度は自由に設定することが可能である。具体的には、例えば、それぞれの部位の形成材料として、互いに等しい飽和磁束密度を有する2種類の磁性材料を用いるようにしてもよいし、または互いに異なる飽和磁束密度を有する2種類の磁性材料を用いるようにしてもよい。いずれの場合においても、上記実施の形態の場合とほぼ同様の効果を得ることができる。ただし、互いに異なる飽和磁束密度を有する磁性材料を用いる場合には、例えば、以下のような理由により、基礎磁性層116を構成する磁性材料の飽和磁束密度が、上部磁性層16Cを構成する磁性材料の飽和磁束密度よりも大きくなるようにするのが好ましい。すなわち、一般に、薄膜磁気ヘッドの動作(例えば情報の記録等)は、主に、第2の磁極先端部16Aおよび上部磁性層16Cにおける第1の磁極先端部16C(1) のうち、記録ギャップ層15に近い第2の磁極先端部16Aの内部を伝播する磁束の作用により実行されることとなる。このため、互いに異なる飽和磁束密度を有する2種類の磁性材料を用いる場合には、記録媒体の記録トラック幅を規定する一定幅部分(第2の磁極先端部16A,第1の磁極先端部16C(1) )において、上層領域としての第1の磁極先端部16C(1) よりも下層領域としての第2の磁極先端部16Aにおいて飽和磁束密度が大きくなるように磁束の分布状態(以下、「磁束密度プロファイル」ともいう。)を構築する必要がある。逆に言えば、異なる飽和磁束密度を有する2種類の磁性材料を選択的に用いて2層構造よりなる一定幅部分を構成するようにすることにより、この一定幅部分の磁束密度プロファイルを自由に調整することが可能となる。
【0107】
また、本実施の形態では、下部シールド層4および上部シールド層8の形成方法として電解めっき法を用いるようにしたが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、双方またはいずれか一方の部位の形成方法として、下部磁性層10B等を形成する場合と同様の手法、すなわちスパッタリングおよびエッチング処理を用いるようにしてもよい。このような場合における上記の各部位の形成材料としては、上記したパーマロイの他、窒化鉄やアモルファス合金(例えばコバルト鉄合金)等を用いるようにしてもよい。下部磁性層10B等の場合と同様の手法を用いることにより、上記の各部位を高精度かつ短時間で形成することができ、この点でも薄膜磁気ヘッド全体の製造時間の短縮に寄与することとなる。
【0108】
また、本実施の形態では、絶縁膜13の形成材料としてフォトレジストを用いるようにしたが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、フォトレジストと同様に加熱時に流動性を示すポリイミド樹脂やSOG(Spin on glass )などを用いるようにしてもよい。このような場合においても、上記実施の形態の場合と同様の効果を得ることができる。
【0109】
また、本実施の形態では、加熱処理により流動したフォトレジストを薄膜コイル12の各巻線間に埋め込むことにより絶縁膜13を形成するようにしたが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition )法を用いてアルミナよりなる絶縁膜13を形成するようにしてもよい。CVD法を用いることにより、加熱処理等を必要とせずに薄膜コイル14の各巻線間にアルミナを埋め込むことができる。なお、CVD法を用いてアルミナよりなる絶縁膜13を形成する場合には、後工程において形成される絶縁膜14を絶縁膜13が兼ねるようにしてもよい。このような場合には、絶縁膜13,14を別個に形成する場合よりも製造工程を削減することができる。
【0110】
また、本実施の形態では、記録ギャップ層15の形成材料としてアルミナを用い、またその形成手法としてスパッタリングを用いるようにしたが、必ずしもこれに限られるものではない。記録ギャップ層11の形成材料としては、アルミナの他、例えば窒化アルミニウム(AlN)、シリコン酸化物、シリコン窒化物などの無機絶縁材料を用いるようにしてもよいし、またはタンタル(TA),チタンタングステン(WTi),窒化チタン(TiN)などの非磁性金属を用いるようにしてもよい。また、記録ギャップ層15の形成方法としては、スパッタリングの他、CVD(Chemical Vapor Deposition )法を用いるようにしてもよい。このような方法を用いて記録ギャップ層15を形成することにより、ギャップ層内にピンホールなどが含有されることを抑制できるので、記録ギャップ層15を介する磁束の漏れを回避することができる。このような効果は、特に、記録ギャップ層15の厚みを薄くした場合に有益である。
【0111】
また、本実施の形態では、薄膜コイル12の内側の終端部にコイル接続部12Sを配設するようにしたが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、薄膜コイル12の外側の終端部にコイル接続部12Sを配設するようにしてもよい。このような場合においても、コイル接続部12Sと接続されるようにコイル接続配線16CHを配設することにより、上記実施の形態の場合とほぼ同様の効果を得ることができる。
【0112】
以上、いくつかの実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明はこれらの実施の形態に限定されず、種々の変形が可能である。
【0113】
例えば、上記実施の形態およびその変形例では、複合型薄膜磁気ヘッドの製造方法について説明したが、本発明は、書き込み用の誘導型磁気変換素子を有する記録専用の薄膜磁気ヘッドや記録・再生兼用の誘導型磁気変換素子を有する薄膜磁気ヘッドにも適用することができる。また、本発明は、書き込み用の素子と読み出し用の素子の積層順序を逆転させた構造の薄膜磁気ヘッドにも適用することができる。
【0114】
また、上記実施の形態で示した上部磁極を構成する各磁性層部分(下部磁性層,下部接続部,第2の磁極先端部,磁路接続部,上部磁性層等)の平面形状は、必ずしも図15に示したものに限られるものではなく、各部位の磁気ボリュームを適正化し、薄膜コイルで発生した磁束を先端部の先端部分まで十分に供給し得る限り、自由に変更することが可能である。
【0115】
また、例えば、上記実施の形態では、上部磁極12のうちの記録媒体の記録トラック幅を規定する一定幅を有する部分が2層構造(第2の磁極先端部12Aおよび第1の磁極先端部12C(1) )を有する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、3層以上の多層構造を有するようにしてもよい。このような場合においても、上記実施の形態の場合と同様の効果を得ることができる。特に、上部ポールチップを構成する各部位の形成材料として、互いに異なる磁束密度を有する複数の磁性材料を用いる場合には、上記したように、一定幅を有する部分の上層部から下層部にかけて磁束密度が大きくなるように磁束密度プロファイルを調整するようにするのが好ましい。もちろん、一定幅を有する部分の磁束密度プロファイルを自由に調整することも可能である。なお、上記した一定幅を有する部分の構造に係る変形は、上記第2の実施の形態についても適用可能である。
【0116】
また、上記実施の形態では、1層のコイル構造を有する薄膜磁気ヘッドについて説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、薄膜コイルの層数は自由に変更することが可能である。ここで、図20および図21は、上記実施の形態における薄膜磁気ヘッドの構造に関する変形例としての薄膜磁気ヘッドの構造を表すものであり、例えば、2層のコイル構造を有するものである。図21は、変形例としての薄膜磁気ヘッドの平面構造を表すものであり、図9に対応するものである。また、図20は、図21におけるXXA−XXA線に沿った矢視断面に相当し、図15に対応するものである。
【0117】
この薄膜磁気ヘッドでは、第1層目の薄膜コイル12の他に、第2層目の薄膜コイル22が配設されている。この薄膜コイル22は、上記実施の形態における薄膜コイル12とほぼ同様の構造的特徴を有するものであり、その内側の終端部をなすコイル接続部22Sおよびコイル接続部16Sを介して薄膜コイル12と電気的に接続されている。薄膜コイル12,22のそれぞれの外側の終端部をなす端子12X,22Xを通じて、薄膜コイル12,22を通電することができるようになっている。絶縁膜23,24は、絶縁膜13,14と同様に、薄膜コイル22を周辺領域から絶縁するためのものである。上部磁極26は、第2の磁極先端部16Aおよび磁路接続部16Bの他、上部磁性層16Cの替わりに上部磁性層26C、磁路接続部26Dおよび上部ヨーク26Eを含んで構成されている。上部磁性層26Cは、上記実施の形態における上部磁性層16Cの第1の磁極先端部16C(1) 、中間部16C(2) および後端部16C(3) とそれぞれ同様の構造的特徴を有する第1の磁極先端部26C(1) 、中間部26C(2) および後端部26C(3) を含んでいる。上部ヨーク26Eは、上記実施の形態における上部磁性層16Cのヨーク部16C(4) と同様の構造的特徴を有するヨーク部26E(1) と、上記の後端部26C(3) の幅よりも大きい幅を有する接続部26E(2) を含んでいる。上部ヨーク26Eは、その後方部分において、開口部15Kを通じて磁路接続部26D,16Bおよび下部接続部10Cを介して下部磁性層10A,10Bと磁気的に連結されると共に、その前方部分において、上部磁性層26Cの後端部26C(3) の一部と部分的にオーバーラップしており、上部磁性層26Cを介して第2の磁極先端部16Aと磁気的に連結されている。磁極部分200は、上記実施の形態における磁極部分100を構成する要素のうち、第1の磁極先端部16C(1) の替わりに第1の磁極先端部26C(1) を含んで構成されている。薄膜コイルの配設層数を増加させることにより、磁束の発生量が増加する。したがって、この観点においても優れたオーバーライト特性の確保に寄与することとなる。
【0118】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の薄膜磁気ヘッドまたは請求項10ないし請求項19のいずれか1項に記載の薄膜時キッドの製造方法によれば、第2の磁性層部分における端面がギャップ層の延在方向に対してその第2の磁性層部分の厚さ全体に渡って傾斜した平面をなし、第2の磁性層部分における端面がギャップ層の延在方向に対してなす外角が90°より小さくなるようにしたので、上記の外角を調整することにより、第2の磁性層部分の先端部分で十分な量の磁束を到達させて優れたオーバーライト特性を確保しつつ、記録ヘッドの性能を決定する因子のうちの1つであるスロートハイトを自由に調整することができるという効果を奏する。
【0119】
特に、請求項5または請求項6に記載の薄膜磁気ヘッドによれば、第2の磁性層部分を構成する磁性材料が、第1の磁性層部分を構成する磁性材料の飽和磁束密度以上の飽和磁束密度を有するようにしたので、第1の磁性層部分内における磁束の伝播特性にばらつきが生じたとしても、第2の磁性層部分において円滑な磁束の伝播が確保される。したがって、この観点においても優れたオーバーライト特性の確保に寄与することとなる。
【0120】
また、請求項12ないし請求項15のいずれか1項に記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法によれば、前駆磁性層を形成する工程が、少なくともギャップ層に隣接するように磁性材層を形成する工程と、ギャップ層の延在方向と直交する方向以外の方向からイオンビームを照射して前駆磁性層を選択的にエッチングすることにより、前駆磁性層を形成するエッチング工程とを含むようにしたので、本発明の薄膜磁気ヘッドを容易に形成することができるという効果を奏する。
【0121】
また、請求項17記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法によれば、第1の工程において、第2の磁性層部分の形成を反応性イオンエッチングを用いて行うようにしたので、極微小な一定幅を有するように第2の磁性層部分を高精度かつ短時間で形成することができるという効果を奏する。
【0122】
また、請求項18記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法によれば、塩素を含むガス雰囲気中において第2の磁性層部分の形成を行うようにしたので、第2の磁性層部分をより高精度かつ短時間で形成することができるという効果を奏する。
【0123】
また、請求項19記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法によれば、50℃ないし300℃の範囲内の温度下において第2の磁性層部分の形成を行うようにしたので、第2の磁性層部分をより高精度かつ短時間で形成することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法における一工程を説明するための断面図である。
【図2】図1に続く工程を説明するための断面図である。
【図3】図2に続く工程を説明するための断面図である。
【図4】図3に続く工程を説明するための断面図である。
【図5】図4に続く工程を説明するための断面図である。
【図6】図5に続く工程を説明するための断面図である。
【図7】図6に続く工程を説明するための断面図である。
【図8】図7に続く工程を説明するための断面図である。
【図9】図8に続く工程を説明するための断面図である。
【図10】図3に示した断面図に対応する斜視図である。
【図11】図4に示した断面図に対応する斜視図である。
【図12】図6に示した断面図に対応する斜視図である。
【図13】図7に示した断面図に対応する斜視図である。
【図14】図3に示した断面図に対応する平面図である。
【図15】本発明の一実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの平面構造を表す平面図である。
【図16】本発明の一実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドに対する比較例としての薄膜磁気ヘッドに関する問題点を説明するための斜視図である。
【図17】本発明の一実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドに関する作用を説明するための斜視図である。
【図18】本発明の一実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法に関する変形例としての薄膜磁気ヘッドの製造方法における一工程を説明するための断面図である。
【図19】図18に示した変形例としての薄膜磁気ヘッドの製造方法により製造された薄膜磁気ヘッドの構造を表す断面図である。
【図20】本発明の一実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの構造に関する変形例を表す平面図である。
【図21】図20に示した断面図に対応する平面図である。
【図22】従来の薄膜磁気ヘッドの製造方法の一工程を説明するための断面図である。
【図23】図22に続く工程を説明するための断面図である。
【図24】図23に続く工程を説明するための断面図である。
【図25】従来の薄膜磁気ヘッドの要部構造を表す断面図である。
【図26】図25に示した薄膜磁気ヘッドにおける磁極部分のエアベアリング面に平行な断面を示す断面図である。
【図27】従来の薄膜磁気ヘッドの構造を示す平面図である。
【符号の説明】
1…基板、2…絶縁層、3…下部シールド層、4,9,11,13,14,17,23…絶縁膜、5,7…シールドギャップ膜、6…MR膜、8…上部シールド層、10…下部磁極、10A,10B…下部磁性層、10C…下部接続部、10H…窪み領域、12,22…薄膜コイル、12S,16S…コイル接続部、14P…第1の前駆絶縁層、15…記録ギャップ層、16,26…上部磁極、16A…第2の磁極先端部、16AM,116AM…後端面、16B,26D…磁路接続部、16C,26C…上部磁性層、16C(1) ,26C(1) …第1の磁極先端部、16C(2) ,26C(2) …中間部、16C(3) ,26C(3) …後端部、16C(4) ,26E(1) …ヨーク部、16CH…コイル接続配線、17P…第2の前駆絶縁層、18,28…オーバーコート層、24P…第3の前駆絶縁層、26E…上部ヨーク、26E(2) …接続部、70…エアベアリング面、80A,80B,81A,81B,81C…マスク、90,91…フォトレジスト膜、100,200…磁極部分、110…下部前駆磁性層、116…基礎磁性層、116A…上部前駆磁性層、IB…イオンビーム、TH…スロートハイト、MRH…MRハイト。
Claims (19)
- 記録媒体に対向する記録媒体対向面に近い側の一部に、ギャップ層を介して対向する2つの磁極を有する、互いに磁気的に連結された第1の磁性層および第2の磁性層と、前記第1の磁性層と第2の磁性層との間に配設された薄膜コイルと、前記薄膜コイルを前記第1の磁性層および第2の磁性層から絶縁する絶縁層とを有すると共に、前記第1の磁性層が、前記ギャップ層より遠い側から順に配設された第1の磁性層部分および第2の磁性層部分の積層体を含み、前記第2の磁性層部分が、前記記録媒体対向面からこの面より離れる方向に一定幅を保ちつつ前記ギャップ層に隣接ながら延在して第1の位置で終端すると共にこの第1の位置に端面を有し、前記第1の磁性層部分が、前記記録媒体対向面またはその近傍位置からこの面より離れる方向に前記一定幅と同一の幅を保ちつつ延在して前記第1の位置と同一または近傍の第2の位置で終端する一定幅部分と、前記第2の位置から前記記録媒体対向面より離れる方向に前記一定幅部分の幅よりも大きな幅をもって延在して第3の位置で終端する拡幅部分とを含む薄膜磁気ヘッドであって、
前記第2の磁性層部分における前記端面は、前記ギャップ層の延在方向に対して、その第2の磁性層部分の厚さ全体に渡って傾斜した平面をなしており、
前記第2の磁性層部分における前記端面が前記ギャップ層の延在方向に対してなす外角は、90°より小さい
ことを特徴とする薄膜磁気ヘッド。 - 前記外角は45°以上75°以下の範囲内である
ことを特徴とする請求項1記載の薄膜磁気ヘッド。 - 前記絶縁層は、前記第2の磁性層部分の厚みに対応する空間領域に、前記端面を境界面として前記第2の磁性層部分と接するように配設された絶縁膜パターンを含み、
前記絶縁膜パターンにおける前記記録媒体対向面に最も近い端面の位置は前記第1の位置と一致している
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の薄膜磁気ヘッド。 - 前記絶縁膜パターンにおける前記第2の磁性層から遠い側の表面は、前記第1の磁性層部分と前記第2の磁性層部分との境界面と同一の平面内にある
ことを特徴とする請求項3記載の薄膜磁気ヘッド。 - 前記第2の磁性層部分を構成する磁性材料は、前記第1の磁性層部分を構成する磁性材料の飽和磁束密度以上の飽和磁束密度を有するものである
ことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の薄膜磁気ヘッド。 - 前記第1の磁性層部分は、鉄、ニッケルおよびコバルトを含む磁性材料よりなるものであり、
前記第2の磁性層部分は、ニッケル鉄合金またはコバルト鉄合金のいずれか1つを含む磁性材料よりなるものである
ことを特徴とする請求項5記載の薄膜磁気ヘッド。 - 前記第1の磁性層部分および第2の磁性層部分のうちの少なくとも一部は、窒化鉄、ニッケル鉄合金またはアモルファス合金のいずれか1つを含む磁性材料よりなるものである
ことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の薄膜磁気ヘッド。 - 前記アモルファス合金は、コバルト鉄合金、ジルコニウムコバルト鉄酸化物合金またはジルコニウム鉄窒化物合金のいずれかである
ことを特徴とする請求項7記載の薄膜磁気ヘッド。 - 前記第1の磁性層部分および第2の磁性層部分のうちの少なくとも一部は、鉄、ニッケルおよびコバルトを含む磁性材料よりなるものである
ことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の薄膜磁気ヘッド。 - 記録媒体に対向する記録媒体対向面に近い側の一部に、ギャップ層を介して対向する2つの磁極を有する、互いに磁気的に連結された第1の磁性層および第2の磁性層と、前記第1の磁性層と第2の磁性層との間に配設された薄膜コイルと、前記薄膜コイルを前記第1の磁性層および第2の磁性層から絶縁する絶縁層とを有すると共に、前記第1の磁性層が前記ギャップ層より遠い側から順に配設された第1の磁性層部分および第2の磁性層部分を含む薄膜磁気ヘッドの製造方法であって、
少なくとも前記記録媒体対向面が形成されるべき位置からこの面より離れる方向に前記ギャップ層に隣接しながら一定幅を保ちつつ延在して第1の位置で終端すると共にこの第1の位置に端面を有するように、前記第2の磁性層部分を形成する第1の工程と、
前記記録媒体対向面またはその近傍位置からこの面より離れる方向に前記一定幅と同一の幅を保ちつつ延在して前記第1の位置と同一または近傍の第2の位置で終端する一定幅部分と、前記第2の位置から前記記録媒体対向面より離れる方向に前記一定幅部分の幅よりも大きな幅をもって延在して第3の位置で終端する拡幅部分とを有するように、前記第1の磁性層部分を形成する第2の工程と
を含み、
前記第1の工程において、前記第2の磁性層部分における前記端面が、前記ギャップ層の延在方向に対して、その第2の磁性層部分の厚さ全体に渡って傾斜した平面をなし、前記第2の磁性層部分における前記端面が前記ギャップ層の延在方向に対してなす外角が、90°よりも小さくなるようにした
ことを特徴とする薄膜磁気ヘッドの製造方法。 - 前記第1の工程は、
少なくとも前記ギャップ層に隣接するように、前記第2の磁性層部分の前準備層としての前駆磁性層を選択的に形成する工程と、
前記第2の工程で形成された前記第1の磁性層部分の前記一定幅部分をマスクとして、
前記前駆磁性層を選択的にエッチングすることにより、前記第2の磁性層部分を形成する工程と
を含むことを特徴とする請求項10記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。 - 前記前駆磁性層を形成する工程は、
少なくとも前記ギャップ層に隣接するように磁性材層を形成する工程と、
前記ギャップ層の延在方向と直交する方向以外の方向からイオンビームを照射して前記前駆磁性層を選択的にエッチングすることにより、前記前駆磁性層を形成するエッチング工程と
を含むことを特徴とする請求項11記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。 - 前記エッチング工程において、
前記ギャップ層の延在方向と直交する方向に対して10°以上かつ90°より小さい範囲内の角度をなす方向から前記イオンビームを照射する
ことを特徴とする請求項12記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。 - 前記エッチング工程において、
前記ギャップ層の延在方向と直交する方向に対して30°ないし70°の範囲内の角度をなす方向から前記イオンビームを照射する
ことを特徴とする請求項12または請求項13に記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。 - 前記エッチング工程において、
前記ギャップ層の延在方向と直交する方向に対して45°ないし55°の範囲内の角度をなす方向から前記イオンビームを照射する
ことを特徴とする請求項12ないし請求項14のいずれか1項に記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。 - 前記絶縁層が、前記第2の磁性層部分の厚みに対応する空間領域に、前記端面を境界面として前記第2の磁性層部分と接するように配設された絶縁膜パターンを含む場合において、
前記第1の工程における前記前駆磁性層を形成する工程ののち、前記第1の磁性層部分を形成する前記第2の工程の前に、
少なくとも前記前駆磁性層およびその周辺領域を覆うように、前記絶縁膜パターンの前準備層としての前駆絶縁層を形成する工程と、
前記前駆磁性層が露出するまで、前記前駆絶縁層を研磨して平坦化することにより、前駆絶縁膜パターンを形成する工程と
を含むことを特徴とする請求項11ないし請求項15のいずれか1項に記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。 - 前記第1の工程において、
前記第2の磁性層部分の形成を反応性イオンエッチングを用いて行う
ことを特徴とする請求項11ないし請求項16のいずれか1項に記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。 - 塩素を含むガス雰囲気中において前記第2の磁性層部分の形成を行う
ことを特徴とする請求項17記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。 - 50℃ないし300℃の範囲内の温度下において前記第2の磁性層部分の形成を行う
ことを特徴とする請求項17または請求項18に記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。
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