JP2004045394A - 微小電極及びその製造方法 - Google Patents
微小電極及びその製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004045394A JP2004045394A JP2003140544A JP2003140544A JP2004045394A JP 2004045394 A JP2004045394 A JP 2004045394A JP 2003140544 A JP2003140544 A JP 2003140544A JP 2003140544 A JP2003140544 A JP 2003140544A JP 2004045394 A JP2004045394 A JP 2004045394A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- electrode
- metal layer
- electrodeposition
- layer
- minutes
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Optical Fibers, Optical Fiber Cores, And Optical Fiber Bundles (AREA)
Abstract
【解決手段】突起を有する基材と、該突起を被覆する金属層と、該金属層を被覆する絶縁性電着塗料層とを具備し、前記突起を被覆する金属層の先端部が、前記電着塗料層から露出して電極を形成して成る電極を提供した。この電極は、突起を有する基材に、金属を蒸着して前記突起を被覆する金属層を形成する工程と、該金属層を一方の電極として電着を行うことにより、該金属層上に絶縁性電着塗料層を形成する工程と、形成された電着塗料層を加熱して前記突起を被覆する金属層の先端部を、前記電着塗料層から露出させる工程とを含む方法により製造できる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、微小な電極及びその製造方法に関する。本発明の電極は、微小な界面や細胞等の微小な領域における測定等に有用である。
【0002】
【従来の技術】
電気化学顕微鏡の電極のように、微小な界面や細胞等の微小な領域における測定等のために微小な電極が用いられている。例えば、Y. Lee, S. Amemiya and A. J. Bard, ”Scanning Electrochemical Microscopy. 41 Theory and Characterization of Ring Electrodes.”, Anal. Chem. 2001, 73, 2261−2267には、光ファイバーを基材としたリング電極が記載されている。このリング電極の内半径は1.50〜1.70 μm、外半径は1.67〜1.89μmである。
【0003】
【非特許文献1】Y. Lee, S. Amemiya and A. J. Bard, ”Scanning Electrochemical Microscopy. 41 Theory and Characterization of Ring Electrodes.”, Anal. Chem. 2001, 73, 2261−2267
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の微小電極よりもさらに微小な電極が形成できれば、より微小な領域での測定等が可能になり有利であることは言うまでもない。
【0005】
従って、本発明の目的は、従来の微小電極よりもさらに微小な電極及びその製造方法を提供することである。さらにナノメートルサイズで、大きさを制御できる作製法を見いだした。また、電極としてだけではなく、光ガイドとして、光を導入あるいは検出しながら微小電極としても使用できる光ファイバー電極を発明した。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本願発明者らは、鋭意研究の結果、突起状の基材上に金属層を形成し、この金属層を電極として電着を行うことにより金属層上に絶縁性電着塗料層を形成し、さらに形成された電着塗料層を加熱して前記突起を被覆する金属層の先端部を、前記電着塗料層から露出させることにより、公知の微小電極よりもさらに微小な電極を形成することができることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明は、突起を有する基材と、該突起を被覆する金属層と、該金属層を被覆する絶縁性電着塗料層とを具備し、前記突起を被覆する金属層の先端部が、前記電着塗料層から露出して電極を形成して成る電極を提供する。また、本発明は、突起を有する基材に、金属を蒸着して前記突起を被覆する金属層を形成する工程と、該金属層を一方の電極として電着を行うことにより、該金属層上に絶縁性電着塗料層を形成する工程と、形成された電着塗料層を加熱して前記突起を被覆する金属層の先端部を、前記電着塗料層から露出させる工程とを含む、上記本発明の電極の製造方法を提供する。
【0008】
【発明の実施の形態】
先ず、本発明の電極の構成を図1に基づき概略的に説明する。図1は、本発明の電極の構成を模式的に示す断面図である。なお、図1は、明瞭性のために突起や基材等の大きさの比が実際のものとは大きく異なって描かれている。基材10は突起12を有する。突起12上には、金属層14が形成され、金属層14上には絶縁性電着塗料層16が形成されている。金属層14の先端部14aが絶縁性電着塗料層16から露出し、この露出した金属層14aが微小電極を形成している。
【0009】
基材10としては、突起12を有するものであれば何ら限定されるものではないが、光ファイバーの端面を基材として利用することが好ましい。光ファイバーの端面を基材として利用する場合、電極に光を送ることが可能になり、電気的な測定のみならず光学的な測定や、光を照射した場合の応答を調べることが可能になり好ましい。また、光ファイバーの端面を基材として利用する場合には、エッチングにより、所望の形状の突起12を容易に形成できるので製造面からも好ましい。光ファイバーとしては、突起の形成しやすさや光伝送損失の低さの観点からガラスファイバーが好ましく、特にシリカファイバーが好ましい。突起の形状は特に限定されないが、形成する容易さの観点から円錐状の突起が好ましい。また、突起の大きさは、特に限定されないが、突起の基部の直径は、1μm〜6μm程度が好ましく、特に2μm〜3μm程度が好ましい。突起の先端部の頂角θ(図1参照)は10度〜60度程度が好ましく、15度〜30度程度がさらに好ましい。光ファイバーを用いる場合、市販の光ファイバーを用いることができ、その直径は通常0.1〜1 mm程度である。
【0010】
前記基材10の突起12上に形成される金属層14を構成する金属としては、特に限定されないが、化学的安定性に優れ、導電性の高い金、白金が好ましい。金属層の厚さは特に限定されないが、10〜40nm程度が好ましく、さらに好ましくは15〜30nm程度である。金属層14は、スパッタリング法や真空蒸着法等の蒸着により容易に形成することができる。なお、金属層14は、突起12を被覆していればよいが、蒸着により形成する場合には、突起部分以外の基材上にも形成される。
【0011】
絶縁性電着塗料層16を構成する電着塗料としては、絶縁性の塗膜を形成するものであれば何ら限定されるものではなく、種々のものが周知であり、市販されている。本発明においては、これらの市販の電着塗料を好ましく用いることができる。塗膜を形成する樹脂成分としては、何ら限定されるものではなく、アニオン性ポリマーもカチオン性ポリマーも使用することができる。例えば、ポリアクリル酸、ポリエチレンスルホン酸、ポリアミノ酸等を好ましい例として挙げることができる。また、絶縁性電着塗料層16の厚さは、特に限定されないが、10〜5000nm程度が好ましく、特には100〜3000nm程度が好ましい。絶縁性電着塗料層16は、金属層14を一方の電極に用いて電着を行うことにより容易に形成することができる。詳細は後述する。
【0012】
絶縁性電着塗料層16を形成した後、該塗料層16を加熱すると、塗料層16が僅かに収縮し、強度が最も弱い突起先端部が破れて金属層の先端部14aが電着塗料層16から露出する。この露出した金属層の部分14aが微小電極を構成する。露出した金属層14aの直径は、1μm以下が好ましく、さらには0.5μm以下が好ましい。極めて微細な電極が望まれる場合には、この直径が0.2nm〜10nm、特には0.2nm〜1nmであり、下記実施例2では実際に直径0.23 nmの電極が得られている。露出した金属層14aの直径は、下記実施例に記載する方法(実施例1及び実施例2のいずれでも同程度の測定結果が得られる)により電気化学的に測定することができる。
【0013】
次に、本発明の電極の製造方法について説明する。基材10として光ファイバーの端面を用いる場合には、突起12はエッチングにより容易に形成することができる。光ファイバーは、横断面で中央部分に位置する、高屈折率のコアと、その周囲にある、低屈折率のクラッドから形成される。エッチングにより、コアの部分に突起12が形成される。エッチングは、光ファイバーの端面をエッチング液に浸漬することにより行うことができ、エッチング液との接触時間の長短により、突起が形成される。このように形成される突起は通常、実質的に円錐状である。エッチング液は、基材の材質により適宜選択されるが、例えば基材がシリカファイバーである場合には、40重量%フッ化アンモニウム(NH4F)、50重量%フッ酸(HF)及び水がx:1:1(体積比)の溶媒組成から成るフッ酸緩衝液を好ましく使用することができる。フッ酸緩衝液中のフッ酸の濃度は特に限定されないが、x(NH4F)=0.1〜x=30程度が好ましく、pHは1〜5程度が適当である。エッチング時間は1時間〜5時間程度が好ましい。また、エッチングを2種類のエッチング液を用いて2段階で行い、第1段階では、比較的低濃度のフッ酸緩衝液(濃度は好ましくはx=1〜x=2程度)で30分間〜90分間程度のエッチングを行って主としてクラッド部分をエッチング除去し、次いで、比較的フッ化アンモニウムが高濃度のフッ酸緩衝液(濃度は好ましくはx=1〜x=10程度)で60分間〜180分間程度のエッチングを行ってコア部分に突起を形成することも好ましい。特に、x=1.3〜1.6程度のフッ酸緩衝液(フッ酸濃度に換算すると12〜17重量%)を用いて第1段階のエッチングを行い、次いでx=3.5〜4.5程度のフッ酸緩衝液(フッ酸濃度に換算すると18〜19重量%)を用いて第2段階のエッチングを行うことが、極めて微小な電極(直径0.2〜10nm、特に0.2〜1nm)の作製に有効であることがわかった。この場合、第1段階のエッチング時間は、50〜70分間程度が好ましく、第2段階のエッチング時間は40〜50分間程度が好ましい。また、この場合には、光ファイバーの端面外縁の角が丸みを帯び、後の加熱工程でこの部分が露出して電極を形成する恐れも低減される。なお、エッチングは室温下で行うことができる。突起形成後は、水洗して次の金属層形成工程に移行する。
【0014】
次に、基材10の突起12上に金属層14を形成する。これはスパッタリング法や真空蒸着法等の金属蒸着により行うことができ、スパッタリング法が好ましい。スパッタリング法は、市販のスパッタリング装置を用いて常法により行うことができる。スパッタリングの条件としては、特に限定されないが、例えば気圧10Pa、電圧0.4kV、電流15mA、スパッタ時間100〜1000秒(実験条件による)。蒸着する金属層14の厚さの好ましい範囲は上記した通りである。
【0015】
次に、金属層14を一方の電極として電着を行うことにより、絶縁性電着塗料層16を形成する。電着は、金属層14と、対電極を電着塗料中に浸漬し、これらの間に直流電圧をかけることにより行うことができる。なお、電着塗料中に含まれるポリマーがアニオン性の場合には金属層14を陽極にし、カチオン性の場合には金属層14を陰極にする。電着の具体的な方法は特に限定されないが、好ましい方法の例として、直径1〜2cmのコイル状の金属(白金)を対電極として用い、このコイルの中に光ファイバーを挿入し、該コイルと光ファイバーの先端部を電着塗料に浸漬し、直流電圧をかける方法を挙げることができる。この場合、直流電圧の大きさは、適宜選択されるが、2〜3V程度が適当であり、また、電着の時間は0.01〜5秒間程度が適当である。あるいは、電圧を1.8〜2.2V程度(電圧勾配に換算して3.6〜4.4V/cm)と低めにし、電着の時間を8〜12秒程度にすることにより、電着層の厚さを100nm程度に薄くすることが可能であり、このような条件を採用することが、極めて微小な電極(直径0.2〜10nm、特に0.2〜1nm)の作製に有効であることがわかった。また、電着は、室温下で行うことができる。なお、電圧を一定にして電着時間を変えることにより電着層の厚さを調節することができる。好ましい電着層の厚さは上記した通りである。また、金属層14には、銀ペースト(銀粉とエポキシ樹脂との混合物)を用いて導線を接着することができ、この導線を介して電圧をかけることができる。
【0016】
絶縁性電着塗料層16を形成した後、水洗し、絶縁性電着塗料層16を加熱する。加熱はオーブン内で行うことができる。加熱条件は、特に限定されないが、通常、80℃〜180℃で20分間〜1時間程度が好ましい。あるいは、70℃〜90℃で20分間から40分間加熱し、次いで、130℃〜170℃で10分間〜20分間乾燥させることにより、電着塗料層を乱すことなく安定に乾燥させることができ、これが極めて微小な電極(直径0.2〜10nm、特に0.2〜1nm)の作製に有効であることがわかった。加熱処理により、絶縁性電着塗料層16が僅かに収縮し、強度的に最も弱い、突起の先端部が破れて金属層14の先端部14aが露出し、微小電極が形成される。
【0017】
なお、このようにして形成された微小電極を一方の電極として上記の電着及び加熱処理を再度行うことにより、さらに微小な電極(直径10nm以下)を形成することも可能である。なお、この場合には、加熱処理により金属層の先端部14aが露出するように、電着時間を短くして、電着層の厚さを第1目の電着の場合よりも薄くする。また、電着塗料層の厚さができるだけ厚くなるように精密に制御することにより、一段の電着でも直径10nm以下の極めて微小な電極を形成することが可能である。
【0018】
本発明の電極は、公知の電極よりもサイズが微小であるので、従来よりもさらに微小な界面や細胞、半導体装置等の微小な領域における測定のための電極や、電気化学顕微鏡の電極として用いることができる。また、基材として光ファイバーを用いた場合には、電極を介して狭い領域に光を照射したり発光を調べたりすることが可能になる(金属層14は薄いので光を通す)。すなわち、光を同時に入れながら電気化学測定ができる微小電極プローブとしても利用することができる。この場合には、例えば、半導体の表面や界面に光を入れながら半導体の特性を調べたり、酸化物(酸化チタンなど)光触媒などの表面の光化学反応を調べたりすることができ、光と電気化学を組み合わせて測定可能なファイバー型微小電気化学プローブとして利用可能となる。
【0019】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づきより具体的に説明する。もっとも、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0020】
実施例1
コア部にゲルマニウムがドープされた、コア径2.3μm、外径125μm、長さ5 mの市販のシリカファイバーを、x=1.7のフッ酸緩衝液(組成:40重量%NH4F(フッ化アンモニウム):50重量%HF(フッ酸):H2O(水)=x:1:1体積比)で60分間、x=10のフッ酸緩衝液(組成:NH4F:HF:H2O=x:1:1)で90分間エッチングし、コア部に突起を形成した。形成された突起は、円錐状であり、その基部の直径は、コア径と同じであり、頂角は約17度であった。次に、市販のスパッタリング装置を用い、気圧10Pa、電圧0.4kV、電流15mA、スパッタ時間350s前後の条件でスパッタリングを行い、突起を含む光ファイバーの端面全体上に厚さ約20nmの金層を形成した。
【0021】
銀ペーストを接着剤として用いて、金層に導線を接続した。長さ7 cm の白金線を直径約 1.5 cm のコイル状にして、(株)シミズのアノーディック電着塗料ELECOAT AE− X(塗膜を形成するポリマーはポリアクリル酸)に浸した。電着は二電極式で行った.すなわち,参照電極、対極用の2本のケーブルで白金線をポテンシオスタットにつないだ。作用電極用ケーブルを、光ファイバーに付けた導線につないだ。コイルの中心に位置するように、金でコーティングした光ファイバーを溶液に浸した。金層を陽極、白金電極を陰極にして、2.5 Vの直流電圧を0.01〜5秒間印加し、金層上に絶縁性電着塗料層を形成した。水洗後、光ファイバーをオーブンに入れ、150℃、30分間の熱処理を行い、電着塗料膜をしっかりと固化、乾燥させた。この際に電着塗料膜が僅かに収縮して突起先端部が破れ、突起先端部の金層が、絶縁性電着塗料膜から露出した。これにより、本発明の微小電極が形成された。
【0022】
作成された微小電極のサイズを、サイクリックボルタモグラムを測定することにより調べた。すなわち、上記した電着の場合と同様に、対電極としての白金コイル中に、作成された電極を端部に具備する光ファイバーを挿入し、1mMのフェロセンカルボン酸ナトリウム及び0.1MのKCl溶液中に浸し、電圧をかけ、流れる電流の大きさを調べた。結果を図2に示す。
【0023】
露出した電極の形状を半球と仮定すると,電流の大きさと下記式1より、電極の半径が決定される。
iD = 2πnFDCrapp (式1)
(F : ファラデー定数、D: 電極面の拡散定数、C: フェロセンカルボン酸ナトリウム濃度、n: 電子数、rapp : 電極半径)
【0024】
この実施例の場合には流れる電流は約100pAであり、フェロセン(Fc)カルボン酸の電極への拡散定数は7×10−6 cm2 /sec. で、フェロセンカルボン酸の濃度は1mMであったので、計算される電極の半径は約240 nm ということであった。このように、直径1μm未満の電極が作製できた。
【0025】
実施例2
コア部にゲルマニウムが高ドープされた、コア径2.2μm、外径125μm、長さ1mのガラスファイバーを、フッ酸緩衝溶液(組成:40重量%NH4F(フッ化アンモニウム):50重量%HF(フッ酸):H2O(水)= 1.45:1:1体積比)で60分間、続いてフッ酸緩衝溶液(組成:NH4F:HF:H2O=4:1:3)で45分間エッチングし、コア部に突起を形成した。形成された突起は、円錐状であり、その基部の直径はコア径と同じであり、頂角は約15°であった。次に、市販のスパッタリング装置を用い、気圧10Pa、電圧0.4kV、電流15mA、スパッタ時間350s前後の条件でスパッタリングを行い、突起を含む光ファイバーの端面全体上に厚さ約20nmの金層を形成した。
【0026】
銀ペーストを接着剤として用いて、金層に導線を接続した。長さ7 cm の白金線を直径約 1.5 cm のコイル状にして、(株)シミズのアノーディック電着塗料ELECOAT AE− X(塗膜を形成するポリマーはポリアクリル酸)に浸した。電着は二電極式で行った.すなわち,参照電極、対極用の2本のケーブルで白金線をポテンシオスタットにつないだ。作用電極用ケーブルを、光ファイバーに付けた導線につないだ。コイルの中心に位置するように、金でコーティングした光ファイバーを溶液に浸した。金層を陽極、白金電極を陰極にして、2.0 Vの直流電圧(電圧勾配に換算して4.0V/cm)を10秒間印加し、金層上に絶縁性電着塗料層を形成した。水洗後、光ファイバーをオーブンに入れ、80℃、30分間で乾燥後、150℃、15分間の熱処理を行い、電着塗料膜をしっかりと固化、乾燥させた。この際に電着塗料膜が僅かに収縮して突起先端部が破れ、突起先端部の金層が、絶縁性電着塗料膜から露出した。これにより、本発明の微小電極が形成された。
【0027】
作製された微小電極のサイズを、サイクリックボルタモグラムで測定した。すなわち、上記した電着の場合と同様に、対電極として白金コイル中に、作製した光ファイバ電極を挿入し、10 mMフェリシアン化カリウム溶液(500mM、塩化カリウムを含む)溶液中に浸し、応答電流を調べた。結果を図3に示す。
【0028】
この実施例の場合には応答電流は、約0.99pAであり、フェリシアン化カリウムの濃度は10mMまた、電極への拡散係数は7.2×10− 10m2/sなので、計算される電極半径は約0.23nmということであった。このように直径1nm以下の電極が作製できた。
【0029】
実施例3
実施例2で作製した光ファイバ微小電極に導入したレーザー光が先端から出射されることを確かめるためにHe−Neレーザー光(632.8 nm)をファイバーカップラーを用いて微小電極に導入し、レーザー光をオン、オフし、その際の電極先端の様子を観察した。その結果、レーザーをオフにした状態からオンにした状態にすることよりレーザー光が光ファイバ微小電極先端から出射されることが確認できた。
【0030】
【発明の効果】
本発明により、公知の電極よりもさらに微小な電極が初めて提供された。本発明の電極は、公知の電極よりもサイズが微小であるので、従来よりもさらに微小な界面や細胞、半導体装置等の微小な領域における測定のための電極や、電気化学顕微鏡の電極として用いるのに有利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電極の構成を模式的に示す断面図である。
【図2】実施例1で作製した電極の大きさを調べるために行った、サイクリックボルタモグラムの測定結果を示す図である。
【図3】実施例2で作製した電極の大きさを調べるために行った、サイクリックボルタモグラムの測定結果を示す図である。
【符号の説明】
10 基材
12 突起
14 金属層
16 絶縁性電着塗料層
Claims (14)
- 突起を有する基材と、該突起を被覆する金属層と、該金属層を被覆する絶縁性電着塗料層とを具備し、前記突起を被覆する金属層の先端部が、前記電着塗料層から露出して電極を形成して成る電極。
- 前記基材が光ファイバーであり、前記突起は、該光ファイバーの端面上に、エッチングにより形成されたものである請求項1記載の電極。
- 前記金属層が金から成る請求項1又は2記載の電極。
- 電極の直径が1μm以下である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の電極。
- 電極の直径が0.2 nm〜10 nmである請求項4記載の電極。
- 突起を有する基材に、金属を蒸着して前記突起を被覆する金属層を形成する工程と、該金属層を一方の電極として電着を行うことにより、該金属層上に絶縁性電着塗料層を形成する工程と、形成された電着塗料層を加熱して前記突起を被覆する金属層の先端部を、前記電着塗料層から露出させる工程とを含む、請求項1記載の電極の製造方法。
- 前記基材が光ファイバーであり、前記突起は、該光ファイバーの端面上に、エッチングにより形成されたものである請求項6記載の方法。
- 前記金属層が金から成る請求項6又は7記載の方法。
- 電極の直径が1μm以下である請求項6ないし8のいずれか1項に記載の方法。
- 前記エッチングを、濃度30〜60重量%のフッ酸を用いて行う請求項7記載の方法。
- 前記電着を、1〜10V/cmの電圧勾配で行う請求項6ないし10のいずれか1項に記載の方法。
- 前記電着層の前記加熱を、70℃〜90℃で20分間から40分間行い、次いで、130℃〜170℃で10分間〜20分間行う請求項6ないし11のいずれか1項に記載の方法。
- 前記エッチングを、濃度30〜60重量%のフッ酸を用いて行い、前記電着を、4〜10V/cmの電圧勾配で行い、前記電着層の前記加熱を、70℃〜90℃で20分間から40分間行い、次いで、130℃〜170℃で10分間〜20分間行う請求項10ないし12のいずれか1項に記載の方法。
- 電極の直径が0.2 nm〜10 nmである請求項10ないし13のいずれか1項に記載の方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003140544A JP2004045394A (ja) | 2002-05-20 | 2003-05-19 | 微小電極及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002145399 | 2002-05-20 | ||
JP2003140544A JP2004045394A (ja) | 2002-05-20 | 2003-05-19 | 微小電極及びその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004045394A true JP2004045394A (ja) | 2004-02-12 |
Family
ID=31719566
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003140544A Pending JP2004045394A (ja) | 2002-05-20 | 2003-05-19 | 微小電極及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004045394A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN100367907C (zh) * | 2005-07-07 | 2008-02-13 | 中国科学院生物物理研究所 | 一种微电极制造方法及装置 |
JP2008160040A (ja) * | 2006-12-26 | 2008-07-10 | Tdk Corp | キャパシタの製造方法 |
CN103105353A (zh) * | 2013-02-18 | 2013-05-15 | 西南大学 | 基于纳米光纤探针的单细胞检测仪及其探针制作方法 |
JP2014530366A (ja) * | 2011-10-14 | 2014-11-17 | デジタル センシング リミテッドDigital Sensing Limited | アレイおよびその製造方法 |
-
2003
- 2003-05-19 JP JP2003140544A patent/JP2004045394A/ja active Pending
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN100367907C (zh) * | 2005-07-07 | 2008-02-13 | 中国科学院生物物理研究所 | 一种微电极制造方法及装置 |
JP2008160040A (ja) * | 2006-12-26 | 2008-07-10 | Tdk Corp | キャパシタの製造方法 |
JP2014530366A (ja) * | 2011-10-14 | 2014-11-17 | デジタル センシング リミテッドDigital Sensing Limited | アレイおよびその製造方法 |
JP2019109247A (ja) * | 2011-10-14 | 2019-07-04 | デジタル センシング リミテッドDigital Sensing Limited | アレイおよびその製造方法 |
US10556398B2 (en) | 2011-10-14 | 2020-02-11 | Digital Sensing Limited | Arrays and methods of manufacture |
US11577485B2 (en) | 2011-10-14 | 2023-02-14 | Digital Sensing Ltd. | Arrays and methods of manufacture |
CN103105353A (zh) * | 2013-02-18 | 2013-05-15 | 西南大学 | 基于纳米光纤探针的单细胞检测仪及其探针制作方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
Zoski | Ultramicroelectrodes: design, fabrication, and characterization | |
Chen et al. | Fabrication of carbon microelectrodes with an effective radius of 1 nm | |
US5630932A (en) | Tip etching system and method for etching platinum-containing wire | |
JP4242832B2 (ja) | ナノ構造複合材料の電界放出カソードの製造方法および活性化処理 | |
Penner et al. | Preparation and electrochemical characterization of conical and hemispherical ultramicroelectrodes | |
JP5120453B2 (ja) | 炭素電極、電気化学センサ、および炭素電極の製造方法 | |
Schulte et al. | Cylindrically etched carbon-fiber microelectrodes for low-noise amperometric recording of cellular secretion | |
US4390405A (en) | Oxygen electrode and method for preparation thereof | |
US4312734A (en) | Ion-selective electrode | |
WO2006106818A1 (ja) | 走査型プローブ顕微鏡用カンチレバー及びそれを具備する走査型プローブ顕微鏡 | |
JP2018155728A (ja) | 導電性ダイヤモンドライクカーボンマイクロ電極 | |
Zuliani et al. | Formation and growth of oxide layers at platinum and gold nano-and microelectrodes | |
JP2004045394A (ja) | 微小電極及びその製造方法 | |
Hermans et al. | Conical tungsten tips as substrates for the preparation of ultramicroelectrodes | |
Xiong et al. | Fabrication and characterization of conical microelectrode probes templated by selectively etched optical fibers for scanning electrochemical microscopy | |
Bach et al. | An electropainting method for coating STM tips for electrochemical measurements | |
De Vitre et al. | Preparation and properties of a mercury-plated iridium-based microelectrode | |
Sugimura et al. | Topographical imaging of Prussian Blue surfaces by direct-mode scanning electrochemical microscopy | |
JP2005256071A (ja) | 陽極酸化膜の製造方法 | |
CN104090003B (zh) | 基于氧化石墨烯/石墨纤维复合结构的电极材料及其制备和应用方法 | |
CN113406162A (zh) | 一种形成纳米间隙电极对的制备方法 | |
JP2004034270A (ja) | 凹み構造形成半導体部材の製造方法及び凹み構造形成半導体部材 | |
JP3098022B2 (ja) | 局所析出皮膜形成方法 | |
CN107764878B (zh) | 具有高空间分辨率的亚微米/纳米碳纤电极 | |
CN105675682B (zh) | 一种尺寸可控的纳米线微电极及其制备方法与应用 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A711 | Notification of change in applicant |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712 Effective date: 20031031 |
|
RD03 | Notification of appointment of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423 Effective date: 20040129 |
|
A621 | Written request for application examination |
Effective date: 20060428 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20080926 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Effective date: 20090414 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 |
|
A02 | Decision of refusal |
Effective date: 20090818 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 |