JP2004045264A - 核燃料取扱施設及びその運転管理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の目的は、硝酸溶液の漏洩区画を迅速に特定し、運転停止を未然に防ぎ、運転を継続しながら補修することができる核燃料取扱施設及びその運転管理方法を提供することにある。
【解決手段】本発明は、隔壁によって区画される該区画内に核物質を溶解する溶解槽を備えた核燃料取扱施設又は核物質を溶解した硝酸溶液を収納する容器を備えた核燃料取扱施設において、前記区画内の排気を行う排気系に酸化窒素ガスを検出するガス検出手段を有することを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明は、隔壁によって区画される該区画内に核物質を溶解する溶解槽を備えた核燃料取扱施設又は核物質を溶解した硝酸溶液を収納する容器を備えた核燃料取扱施設において、前記区画内の排気を行う排気系に酸化窒素ガスを検出するガス検出手段を有することを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、核燃料物質、核原料物質、核分裂生成物を含んでいる使用済燃料等のいわゆる核物質を溶解している硝酸溶液を密閉された容器及び/又は配管の内部で取扱っている核燃料取扱施設において、硝酸溶液の漏洩が生じた場合の硝酸溶液の漏洩個所を特定する新規な核燃料取扱施設及びその運転管理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の核物質を溶解している硝酸溶液を密閉された容器及び/又は配管の内部で取扱っている核燃料取扱施設として実用化されている施設は、原子炉で使用された使用済燃料から原子炉の燃料として使用可能な成分を回収するための再処理施設があり、PUREX法と呼ばれるプロセスが用いられている。
【0003】
図2は、再処理施設の全体施設構成と処理プロセスを示す全体図である。原子炉から取出された使用済燃料は再処理施設に運ばれたのち、機械的に剪断され、その使用済燃料2は周囲を隔壁1で囲まれた区画内に設置されている分配器3に収納される。次に、使用済燃料2は配管4を経由して別の区画に設置されている容器6に移送され、硝酸溶液の液面7より下に沈められてウラン、プルトニウム、超ウラン元素及び核分裂生成物等の核物質は硝酸溶液に溶解される。その後、核物質を溶解している硝酸溶液はポンプ8により吸い出され、配管9を経由して更に別の区画に移送され、その区画に設置された容器内部でその他の処理が行われる。最終的に、硝酸溶液から原子炉の燃料として使用可能な成分が回収されるまで異なる区画内に設置された機器で多種多様な処理が行われる。例えば、分離設備の抽出塔では有機溶媒抽出法等によりウランやプルトニウムは超ウラン元素及び核分裂生成物と分離される。また、分配設備の分配塔ではウランとプルトニウムとが分離される。
【0004】
核物質から発生する放射線の影響もあって、前述のようにコンクリート製の隔壁1で周囲を囲まれた多数の区画に分け隔てられており、通常では人が区画内に立入ることは困難である。このため、当該施設全体の制御若しくは監視は、核燃料物質等を取扱わない区画、図2(b)に示す制御室等において行われる。制御室内には、容器6内部の硝酸溶液の液面7及び硝酸溶液の流量を監視して当該施設全体の運転状況を映し出す制御モニタ23と機器の操作を行うボタン24等を備えた処理制御盤22が設置されている。
【0005】
このような核燃料取扱施設において硝酸溶液の漏洩区画を特定する手段及び方法として、制御モニタ23に映し出されている情報から硝酸溶液の液面7の低下や硝酸溶液の流量減少を検出している。硝酸溶液の液面7の低下や硝酸溶液の流量減少が認められれば、その容器若しくは配管、即ち漏洩区画を特定できる。但し、取扱う硝酸溶液の容量は多量であるため、相当量の漏洩がないと検出することは難しい。
【0006】
前述した硝酸溶液の漏洩区画を特定する手段及び方法とは別に、漏洩した硝酸溶液は漏洩位置12から容器6の表面を伝わり床に落下するので、床面を傾斜させておき、容器6の周囲に掘られた溝15に漏洩した硝酸溶液を溜めて、電気的な導通の有無による漏洩検知器等によりそれを検知している。但し、容器6や区画内面の壁に結露した水も溝15に溜まるので、溝15に溶液が溜まったことを以って硝酸溶液が漏洩していると定めることはできない。このため、溜まった溶液を採取して、当該溶液のpH及び/又は放射線量を分析して、当該溶液が酸であることや核物質を含んでいることを確認しなければならない。
【0007】
図3は、漏洩区画が特定された場合の漏洩位置12を特定する手段及び方法を示す断面図である。区画外から区画内部の特定位置を点検するための機器が図3には示されている。天井に設けられたレール31を走行する台車32にテレビカメラ16が吊るされている。画像信号を伝達するケーブル18は区画の隔壁1に設けられている小孔21を通してケーブル巻取り器19に繋がっている。点検したい位置の上方まで台車32を移動させたのち、テレビカメラ16を下方に降ろすことで特定位置の画像を区画外のテレビモニタ30に映すことができ、容器6の表面に画像で識別可能な亀裂等が認められれば漏洩位置12を特定できる。
【0008】
図4は、区画外から区画内部の特定位置を他の機器を用いて点検する断面図である。小孔21から筒34を挿入して自走可能な台車33とテレビカメラ16を区画内に入れる。筒の先端下部は開口部となっており、伸縮可能な棒35により押し出された台車33とテレビカメラ16とを区画内の床面まで降ろすことができる。区画外から遠隔操作して台車33を移動させることで、特定位置の画像を区画外のテレビモニタ30に映すことができ、容器6の表面に画像で識別可能な亀裂等が認められれば漏洩位置12を特定できる。
【0009】
図3及び図4を用いて説明した硝酸溶液の漏洩個所特定方法においては、硝酸溶液の漏洩個所12の大きさが直径1mm以下の腐食孔であることが多いため、当該腐食孔を画像で識別可能な程度にまで解像度を上げて容器及び/又は配管の表面を観察していく必要があり、観察に要する時間は相当なものとなる。
【0010】
なお、この種の核物質を溶解している硝酸溶液を密閉された容器及び/又は配管の内部で取扱っている核燃料取扱施設及び容器からの硝酸溶液の漏洩を検知するための機器として関連するものには例えば、動燃技報No.53(1985年)第95頁から102頁、動燃技報No.86(1993年)第34頁から50頁等が挙げられる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
従来技術は、核燃料取扱施設において核燃料物質、核原料物質、核分裂生成物等の核物質を溶解している硝酸溶液を密閉された容器及び/又は配管の内部で取扱っている際に、容器及び/又は配管から硝酸溶液が漏洩している区画を迅速に特定する点について配慮されておらず、硝酸溶液の液面7の低下や硝酸溶液の流量減少の検出若しくは容器周囲の溝15に溜まった溶液のpH分析による酸及び/又は放射線量の分析による放射線の検出まで硝酸溶液が漏洩している区画を特定できないという問題があった。
【0012】
更に、硝酸溶液が漏洩している区画を特定しても漏洩個所を迅速に特定する点について配慮されておらず、漏洩個所の大きさが直径1mm以下の腐食孔である場合に備えて、解像度を上げて隈なく容器及び/又は配管の表面を観察しなければならず、漏洩個所を特定するのに時間を要するという問題があった。更に、従来技術の硝酸溶液の漏洩区画特定方法と漏洩個所特定方法の組合せでは、漏洩した硝酸量が相当量でないと漏洩区画が特定できないこと若しくは漏洩個所の特定に手間取り漏洩個所の補修が終了するまでに時間を要して漏洩する硝酸量が相当量になることから、硝酸溶液が漏洩した場合には当該施設全体の運転を停止せねばならず、施設の運転効率が低下するという問題があった。
【0013】
本発明の目的は、容器及び/又は配管から硝酸溶液が漏洩した場合に、漏洩区画を迅速に特定し、運転停止を未然に防ぎ、運転を継続しながら補修することができる核燃料取扱施設及びその運転管理方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、隔壁によって区画される該区画内で核物質を硝酸溶液によって溶解又は硝酸溶液によって溶解された核物質を処理する核燃料取扱施設、前記核物質を溶解する溶解槽を備えた核燃料取扱施設及び核物質を溶解した硝酸溶液を収納する容器を備えた核燃料取扱施設のいずれかにおいて、前記区画内の排気を行う排気系に酸化窒素ガスを検出するガス検出手段を有することを特徴とする。
【0015】
又、本発明は、隔壁によって区画される該区画内で核物質を硝酸溶液によって溶解又は硝酸溶液によって溶解された核物質を処理する核燃料取扱施設において、前記硝酸溶液に接している部分の外側に紫外線を照射する紫外線照射装置及び前記部分の表面を観察する観察装置を有することを特徴とする。
【0016】
容器は全体がそのものからなるもの、後述する硝酸溶液を貯蔵する容器とそれと配管で接続された溶解槽とを有するものとがある。又、核物質を溶解した硝酸溶液を収納する容器及びその処理においては、使用済燃料の再処理施設を例にとれば、硝酸溶液に不溶解な元素、被覆管材、その腐食生成物などを分離する清澄工程、清澄工程で処理された溶解液の酸濃度及びウラン濃度の調整を行う調整工程、ウラン、プルトニウムと核分裂生成物とを溶媒抽出法によって分離する共除染工程、又ウランとプルトニウムとを分離する分配工程、高レベル廃液濃縮工程、酸回収工程、ウラン精製工程、プルトニウム精製工程、ウラン脱硝工程が行われる。本発明は、このような溶解及び処理工程における容器とその配管から漏洩する硝酸の有無をその区画内の排気を行う排気系において酸化窒素ガスの検出の有無から定めるものである。
【0017】
酸化窒素ガスの検出器は、区画外に排気装置が設けられ、それに接続された排気系配管に設置され、その区画の排気口の出口近傍又はその内側近傍に設けることができる。
【0018】
更に、本発明は、前記区画内に空気を送風する吸気系配管及び吸気装置と、前記区画内の排気を行う排気系配管及び排気装置と、該排気系配管内に酸化窒素ガスを検出するガス検出手段と、該検出された前記ガス濃度を表示する表示及び/又は記録する手段とを有することが好ましい。
【0019】
即ち、本発明は、複数の区画を有し、各区画内の空気中の一酸化窒素、二酸化窒素及びその他の酸化窒素ガスの少なくとも一つの成分を検出する手段と区画毎の検出状況を表示及び/又は記録する手段とを設けたこと、好ましくは、前述の酸化窒素ガスを検出する手段は、区画の換気口に備え付けられた前述の酸化窒素ガスの少なくとも一つの成分を検出するガス検出器であること、若しくは区画の換気口から空気を採取する手段と採取した空気中の酸化窒素ガス成分を分析するガス分析器とで構成されているものである。また、前述の酸化窒素ガス成分を表示及び/又は記録する手段、当該施設全体の制御、監視を行う制御装置、監視装置等は核物質を取扱わない区画に設けられていることが望ましい。
【0020】
本発明は、容器及び/又は配管に紫外線を照射する手段と容器及び/又は配管の表面を観察する手段を設け、好ましくは、前記紫外線を照射する手段は、波長が200〜450nmの光を含む紫外線を放射する光源を備えている。また好ましくは、前記観察する手段は、区画外からの遠隔操作により垂直及び/又は水平方向に駆動する機構若しくは床面を自走する機構とテレビカメラ等の画像伝達装置とを備えている。
【0021】
本発明では、換気のために区画外に排出している空気中の前述の酸化窒素ガス成分を当該施設が運転している間は連続的、若しくは定期的に時間をおいて測定し続けて、ガス成分濃度が予め設定していたガス成分濃度レベルを超えた区画を硝酸溶液が漏洩している区画と定めることができる。
【0022】
本発明では、ガス成分濃度が予め設定していたガス成分濃度レベルを超え、かつ時間とともにガス成分濃度が増加する傾向にある区画を硝酸溶液が漏洩している区画と定めることができる。
【0023】
本発明では、換気のために区画内に流入している空気中及び区画外に排出している空気中の前述の酸化窒素ガス成分を当該施設が運転している間は連続的若しくは継続的に時間をおいて測定し続けて、区画外に排出している空気中のガス成分濃度が区画内に流入している空気中のガス濃度レベルを超えた区画を硝酸溶液が漏洩している区画と定めることができる。
【0024】
本発明では、容器及び/又は配管の表面に紫外線を照射し、当該紫外線が照射された領域で可視光が発せられている位置から硝酸溶液が漏洩している個所を定めることができる。
【0025】
又、本発明は、隔壁によって区画される該区画内で硝酸溶液によって核物質を溶解又は硝酸溶液によって溶解された核物質を処理する核燃料取扱施設の運転管理方法において、少なくとも前記区画内に前記硝酸溶液が収納されている間、前記区画の排気系から排出される酸化窒素ガスを検出することを特徴とする。
【0026】
更に、前述の運転管理方法において、少なくとも前記区画内に前記硝酸溶液が収納されている間、前記区画の排気系から排出される酸化窒素ガスを検出し、該検出された酸化窒素ガス濃度と予め設定された酸化窒素ガス濃度との比較に基づいて前記区画内における前記硝酸溶液の漏洩の有無を判定又は前記検出された酸化窒素ガス濃度の増加によって前記硝酸溶液の漏洩の有無を判定することを特徴とする。
【0027】
又、前述の運転管理方法において、少なくとも前記区画内において前記硝酸溶液の漏洩が有ると判定された場合には、前記硝酸溶液に接している部分の外表面に紫外線を照射し、該紫外線が照射された領域で発せられる可視光、蛍光及びりん光の少なくとも1つを検出することにより前記硝酸溶液の漏洩個所を判定することを特徴とする。
【0028】
又、前述の運転管理方法において、少なくとも前記区画内に前記硝酸溶液が収納されている間、前記区画の排気系から排出される酸化窒素ガスを検出し、該検出された酸化窒素ガス濃度が予め設定された酸化窒素ガス濃度以下の時、前記区画内の漏洩個所の判定に基づいて施設全体の運転を継続したまま前記漏洩個所の補修を行うことを特徴とする。
【0029】
即ち、本発明は、漏洩区画特定方法と漏洩個所特定方法とから容器若しくは配管の表面で硝酸溶液が漏洩している個所を特定し、かつ当該施設全体の運転を継続したまま当該漏洩個所の補修を行うようにしたものである。区画内の空気中の前述の酸化窒素ガス成分を検出する手段が、硝酸溶液が容器及び/又は配管から漏洩した区画を特定可能なことを説明する。
【0030】
核物質を溶解している硝酸溶液を密閉された容器及び/又は配管の内部で取扱う場合、硝酸溶液は種々の処理のために室温より高い温度にされ、かつ核物質が発する放射線に曝されている。例えば、使用済燃料を溶解する処理では、使用済燃料を約100℃の硝酸溶液に10時間程度浸して溶解する。一度の溶解処理で扱う使用済燃料の量はウラン重量400kg程度であり、この中にはウラン以外の核物質も含まれている。硝酸溶解後の主な物質の濃度を挙げれば、ウランは硝酸溶液1L当り数百g、プルトニウムは数g及び核分裂生成物のルテニウムは1g程度である。これらの物質からのベータ線及びガンマ線による硝酸溶液の照射線量は1時間当り105から107レントゲンとなる。
【0031】
上述のことから、硝酸溶液が漏洩すると区画内の空気中に酸化窒素ガスとして、一酸化窒素、二酸化窒素、亜酸化窒素及びその他の酸化窒素の少なくとも1つが含まれる。その第1の理由として、硝酸溶液に核燃料物質等が溶解する際に一酸化窒素及び/又は二酸化窒素が発生することが挙げられる。硝酸溶液に核物質が溶解する際の化学反応式を示せば、
となる。ここで、化学記号Mは金属元素を表わし、数字nは硝酸溶液濃度により定める定数を表している。例えば金属元素がウランの場合、硝酸濃度が約8規定ではn=3、これより硝酸濃度が低ければ8/3<n<3、硝酸濃度が高ければ3<n<4である。一酸化窒素及び/又は二酸化窒素の発生を抑制するため、溶解時に酸素若しくは空気を吹き込み、発生した大部分の一酸化窒素及び/又は二酸化窒素を酸化して硝酸に転換することが行われているが、一部の一酸化窒素及び/又は二酸化窒素は硝酸溶液に溶存ガスとして蓄えられる。
【0032】
例えば、0℃の水には水の体積の7%の一酸化窒素ガスが溶存する。漏洩した硝酸溶液が容器若しくは配管の表面を流れる間に気化すると溶存ガスである一酸化窒素及び/又は二酸化窒素は空気中に放出され、その際、一酸化窒素の一部は空気中の酸素と反応して二酸化窒素やその他の酸化窒素となる。
【0033】
次に、硝酸溶液が漏洩すると区画内の空気中に一酸化窒素、二酸化窒素及びその他の酸化窒素が含まれる第2の理由として、硝酸溶液中の核物質の硝酸塩が、漏洩した硝酸溶液とともに容器及び/又は配管表面に流出した際に熱分解して二酸化窒素を発生することが挙げられる。硝酸塩の熱分解の化学反応式を示せば、
MO2(NO3)2→MO2+2NO2+O2 …(化2)
となる。硝酸溶液に核物質が溶解する化学反応式(化1)から漏洩した硝酸溶液には金属酸化物硝酸塩が含まれている。従って、容器若しくは配管の表面を漏洩した硝酸溶液が流れる間に、熱分解の化学反応式(化2)に基づき二酸化窒素が空気中に放出される。
【0034】
次に、硝酸溶液が漏洩すると区画内の空気中に前述の酸化窒素ガスが含まれる第3の理由として、硝酸の放射線分解により二酸化窒素が発生することが挙げられる。硝酸の放射線分解の化学反応式を示せば、
HNO3→HNO2+O …(化3)
HNO2+OH→NO2+H2O …(化4)
となる。一番目の化学反応式(化3)は硝酸が放射線分解して亜硝酸が生成される反応である。二番目の化学反応式(化4)は亜硝酸と硝酸溶液中のOHイオンが反応して二酸化窒素が生成される反応である。二番目の化学反応式(化4)以外にも、亜硝酸から一酸化窒素、二酸化窒素及びその他の酸化窒素を生成する反応は多種存在し、それらの反応は例えば、放射線化学第45号(1988年)第44頁から46頁に示されている。発生したガスは硝酸溶液に溶存ガスとして蓄えられ、漏洩した硝酸溶液が容器若しくは配管の表面を流れる間に気化すると溶存ガスは空気中に放出される。
【0035】
前述したように硝酸溶液が漏洩すると区画内の空気中に前述の酸化窒素ガスが含まれる第1から第3の理由が重畳して、硝酸溶液が容器若しくは配管から漏洩すると区画内に酸化窒素ガスが放出される。例えば、100ccの硝酸溶液が気化すると酸化窒素ガスは約10cc放出される。区画の大きさは高さ10m、幅10m、奥行き10m程度であること及び換気を行っていることから空気中の前述の酸化窒素ガスの体積濃度は数ppbとなる。従って、1ppbオーダーの検出感度を有する測定方法で区画内の空気中の一酸化窒素、二酸化窒素及びその他の酸化窒素の一つ乃至複数のガス成分を測定すれば、ガス成分濃度の上昇から硝酸溶液が漏洩していることを知ることができる。1ppbオーダーの検出感度を有する空気中の一酸化窒素、二酸化窒素及びその他の酸化窒素のガス検出器としては、電気化学式の検出器及び化学発光式の検出器等が知られている。
【0036】
このうち、電気化学式の検出器は、ガス透過膜の表面を金属、特に金や白金等の貴金属を蒸着やメッキ等の方法で多孔質膜を形成した電極と電極間に挟まれた電解液を持つ。電極間に電圧を印加すると、電極反応により流れる電流を測定するものである。流れる電流量はガス濃度に比例するので、ガス濃度が判っている標準ガスを測定するなどして校正することで、測定した電流量からガス濃度を知ることができる。
【0037】
一方、化学発光式の検出器は、特定のガスと化学反応して着色する試薬を塗布した光学的に透明な板若しくは前記試薬を封入した光学的に透明な容器と発光ダイオード等の光源と光検出器とから構成される。ガスと反応させた後の板や容器を光源と光検出器の間に挟んで透過光強度を測定すれば、光の減衰量はガス濃度に比例するので、ガス濃度が判っている標準ガスを測定するなどして校正することで、測定した光の減衰量からガス濃度を知ることができる。なお、空気中の前述の酸化窒素ガス成分の濃度が低い場合には、必要なだけ濃縮してガス濃度を高めて測定すれば良い。
【0038】
次に、容器及び/又は配管に紫外線を照射する手段と容器及び/又は配管の表面を観察する手段とが容器若しくは配管の表面の漏洩個所を特定できる理由について説明する。
【0039】
核物質のうちの大部分を占めるウラン原子は光を吸収して電子の軌道エネルギーが高い状態に励起され、エネルギーの高い状態から低い状態へ戻る際にエネルギー差と等しいエネルギーを持つ光を放出する。例えば、水銀ランプが放つ254nm、365nm及び405nm等の波長の紫外線を吸収し、500〜600nmの範囲の可視光を放出することが知られている。特に、波長531nmと562nmとに発光強度の極大値が存在するため、黄緑色に見える。同様に、ウランの酸化物も紫外線を吸収して可視光を放出する。このように、エネルギーの高い状態に励起されたから原子や分子等から放出される光は、蛍光若しくは、りん光として知られるところである。従って、容器及び/又は配管の表面に紫外線を照射して、紫外線照射時だけ黄緑色の光を発している場所はウランが存在する場所と言え、その場所から硝酸溶液の漏洩個所を定めることができる。
【0040】
本発明は、前記濃度の増加によって前記硝酸溶液の漏洩を判定すること、前記硝酸溶液に接している部分の外表面に紫外線を照射し、該紫外線が照射された領域で発せられる可視光、蛍光及びりん光の少なくとも1つを検出することにより前記漏洩の個所を判定すること、前記検出された酸化窒素ガス濃度が予め設定された酸化窒素ガス濃度以下であり、前記漏洩個所の判定に基づいて施設全体の運転を継続したまま前記漏洩個所の補修を行うことことを特徴とする核燃料取扱施設の運転管理方法にある。
【0041】
本発明によれば、硝酸溶液から出る一酸化窒素、二酸化窒素及びその他の酸化窒素を利用して、区画内の空気中のこれらの少なくとも一つを検出でき、区画毎の検出状況を表示及び/又は記録することによって、硝酸溶液が漏洩している区画を迅速に特定するものである。そして、硝酸溶液の漏洩を検知した場合に、容器及び/又は配管に紫外線を照射でき、容器及び/又は配管の表面を観察し、硝酸溶液が漏洩している個所を迅速に特定できる。
【0042】
また、区画の換気のために区画外に排出している空気中の前述の酸化窒素ガスの少なくとも一つを核燃料取扱施設が運転している間は、連続又は定期的に測定しているので、硝酸漏洩に伴う施設の運転管理を連続又は定期的に判断できるので、施設の運転を中止せずに継続して運転しながら漏洩個所の補修を行うことができる。
【0043】
上述した本発明の個々の核燃料取扱施設及びその運転管理方法は、各々の複数の組み合わせにおいても達成されるものである。
【0044】
【発明の実施の形態】
(実施例1)
本実施例を図1及び図5〜図8により説明する。図1は使用済燃料の再処理施設に本発明を適用した場合の施設全体の構成図である。図2に示した従来の再処理施設と異なる点は、区画の換気のために設けられている吸気系統配管10と排気系統配管11のうち区画内の空気は区画に設けられた排気口の配管内部又は排気口近傍の排気系配管内部より排出される空気中の一酸化窒素、二酸化窒素及びその他の酸化窒素の一つ乃至複数の成分を検出するガス検出器13が備え付けられており、測定したガス濃度信号は制御室内に設けられた漏洩検出制御盤25に送られることである。この漏洩検出制御盤25には、当該施設の処理工程と区画を表示する区画監視モニタ26と特定の区画のガス濃度を表示させるための表示操作ボタン27が設けられている。表示操作ボタン27により特定の区画を選び、ガス濃度モニタ28に表示させることができる。漏洩位置12から硝酸が漏洩した場合には、漏洩した硝酸溶液が気化するのに伴い、区画内の空気中の一酸化窒素、二酸化窒素及びその他の酸化窒素の一つ乃至複数の成分のガス濃度が高まるので、ガス濃度モニタ28に表示されたガス濃度から硝酸溶液の漏洩区画を特定することができる。
【0045】
図1(a)に示した本実施例の溶解工程は、大きく分けて3つの容器で構成される。大部分の硝酸が蓄えられている硝酸取り扱い容器6とその両側に各々円筒状容器からなる溶解槽40を有する。真中の硝酸取り扱い容器6と溶解槽40との間で硝酸が自然対流できるように4本の循環配管41が連結されている。溶解に必要な硝酸量を一つの容器を用いて溶解するとすると一辺1m程度の容器となり、均一に加熱することが難しく、取替えなど補修の際に大掛りになるなどの理由から、分割構造である。
【0046】
溶解槽40は、円筒状の直管で、上下4〜5分割され、配管は溶接されている。溶解槽40は下部に設けられた加熱装置によって外側から加熱され、下の方が温度が高く、上の方は低いので、自然対流で下から上に硝酸溶液が流れるように循環する。又、循環配管は4本であり、上の方の配管では、溶解槽40から中央の容器6へ、下の方の配管では中央の容器6から溶解槽40へと硝酸が流れる。強制的な循環系は必要に応じて設けられる。
【0047】
次に、使用済燃料の溶解のフローを以下説明する。
(1)硝酸取り扱い容器6の両側の溶解槽40には点線で示した燃料バスケット42に剪断された使用済燃料が装荷される。
(2)燃料バスケット42に所定量装荷された使用済燃料は燃料バスケット42と共に矢印のように溶解槽40の硝酸溶液内に挿入され、硝酸で溶解される。
(3)溶解が終わると、硝酸溶液をポンプで吸出して別容器に搬送される。
(4)燃料バスケット42を引き上げ、残った残渣を回収する。
(5)上記(1)から(4)が繰返し行われる。
【0048】
本実施例では大きく分けて3つの容器を用い、前記フローにより使用済燃料を溶解したが、他の構造の容器を用いて他のフローにより溶解しても良いことは言うまでもない。
【0049】
図2に示した従来の再処理施設と異なる点は、天井に敷設されているクレーン5にテレビカメラ16と紫外線ランプ17が吊るされていることである。硝酸溶液の漏洩区画を特定した場合には、天井に敷設されているクレーン5にテレビカメラ16と紫外線ランプ17を吊るして区画内に降ろすことにより、テレビカメラ16と紫外線ランプ17を任意の高さに設定できる。テレビカメラ16と紫外線ランプ17の電源及び信号ケーブル18は区画の隔壁1に設けられた小孔21を通して区画外のケーブル巻取り器19に接続されており、必要な長さだけケーブルを区画内に送り出すことができる。
【0050】
テレビカメラ16と紫外線ランプ17の制御信号ケーブル20は漏洩検出制御盤25に送られ、カメラ操作ボタン29により紫外線ランプ17から紫外線を照射し、紫外線が照射されている場所の画像をテレビカメラ16によりテレビモニタ30に映すことができる。位置を変えながら容器6の外表面を観察できるので、黄緑色に発光している場所を探すことができ、発光位置から硝酸漏洩位置を特定できる。
【0051】
紫外線ランプ17、テレビカメラ16での監視は、区画の大きさとして10m×10m×10m程度であり、見たい位置までランプとカメラを移動させる必要がある。このため、図3のように点検レールで移動(図では左右のみであるが、複雑にレールが敷設される)させ、又図4のように自走式にすることが好ましい。
【0052】
図5は、区画監視モニタ26の画面を示す図である。本実施例では破線で囲まれた設備と当該設備に含まれる独立した区画に設置された容器名称とを表示している。従って、容器名称一つ一つがそれぞれ異なる区画に対応しているので、特定の容器名称を表示操作ボタン27により選択することで、対応した区画を選択したことになる。
【0053】
図6は、容器名称が第一溶解槽である容器の設置された区画において、測定したガス濃度が予め設定されたガス濃度を越えた場合のガス濃度モニタ28の画面を示すものである。漏洩検出制御盤25では、区画毎にガス濃度を時刻とともに記録しており、予め設定されたガス濃度と測定したガス濃度を比較する機能を有している。本実施例では、測定したガス濃度が予め設定されたガス濃度を越えた場合には自動的にガス濃度モニタ28に表示させることにしている。現在の時刻のガス濃度だけでなく、一定時間内のガス濃度の時間変化を表示することにより、作業者はガス濃度が上昇していることから硝酸溶液の漏洩が生じていることを知ることができる。
【0054】
図7は、容器名称が第2溶解槽である容器の設置された区画でのガス濃度モニタ28の画面を示したものである。ガス濃度の上昇が生じた区画の近隣の区画のガス濃度をガス濃度モニタ28に表示して、ガス濃度の上昇が生じていないことを確認することにより、硝酸溶液の漏洩が生じていることをより確実に知ることができる。何故ならば、全ての区画でガス濃度の上昇が生じておれば、硝酸溶液の漏洩ではない他の原因で換気の吸気系統にガス成分が流入してガス濃度の上昇が生じていることが起こり得るためである。
【0055】
図8は、観察位置が漏洩個所12を含んだ場合のテレビモニタ30の画面を示すものである。硝酸溶液の漏洩している区画が特定された場合には、当該区画内部を紫外線を照射しながらテレビモニタ30により観察する。図8に示すように、容器6の表面で黄緑色に発光する領域から漏洩個所12を特定できる。
【0056】
酸化窒素ガスの検出は、ガス濃度の高いところが好ましく、補助的には漏れやすい溶接部の近くに設けても良い。但し、ガス検出の位置を行う場所として区画内部だけでは内部気流によっては検出されない可能性があるので、排気口又は排気口近傍の排気系配管内部に検出器に設けることが必須である。本実施例では、排気口を上に設け、吸気口を下に設けているが、その逆でもよい。
【0057】
以上説明したように、本実施例の核燃料取扱施設によれば、硝酸溶液には一酸化窒素、二酸化窒素及びその他の酸化窒素が含まれていることを利用して、区画内の空気中の一酸化窒素、二酸化窒素及びその他の酸化窒素の一つ乃至複数の成分を検出し、区画毎の検出状況を表示及び/又は記録することで硝酸溶液が漏洩している区画を迅速に検知できる。前記一酸化窒素、二酸化窒素及びその他の酸化窒素の一つ乃至複数の成分を表示及び/又は記録する手段は、当該施設の運転状態の制御若しくは監視を行っている操作室などの区画外に設けられていることにより、特定の区画のみで硝酸溶液が漏洩していることを迅速に知ることができる。また、漏洩した硝酸溶液に含まれている核物質は紫外線を照射すると可視光を発することを利用して、容器及び/又は配管に紫外線を照射し、容器及び/又は配管の表面を観察することにより硝酸溶液の漏洩位置を迅速に特定できる。
【0058】
従って、本実施例によれば、容器及び/又は配管から硝酸溶液が漏洩した場合に、漏洩区画を迅速に特定すると共に、早い段階で僅かな漏洩を検出できるので、運転停止を未然に防ぎ、運転を継続しながら補修することができる。
【0059】
(実施例2)
本実施例が実施例1と異なる点は、排気口内だけではなく吸気口内にもガス検知器を設け、区画外に流出している空気中のガス濃度だけではなく区画内に流入している空気中のガス濃度も測定することである。排出している空気中のガス濃度が上昇した区画について、その区画に流入している空気中のガス濃度は上昇していないことを確認することにより、特定の区画内部でガス濃度が上昇していることを確実に知ることができ、硝酸溶液が漏洩している区画を特定することができる。なお、吸気口内のガス検知器は全ての区画に設ける必要は無く、吸気系統の配管の入口若しくは何処か1個所だけに設けても良い。
【0060】
(実施例3)
図9は、本発明の核燃料取扱施設の特定の区画を表す図である。本実施例が実施例1と異なる点は、排気口内にガス検知器を設ける代わりに、ガス採取管36を通して吸引ポンプ37により区画から排出される空気を採取し、ガス分析計38を用いて採取された空気若しくは一酸化窒素、二酸化窒素及びその他の酸化窒素の一つ乃至複数の成分を濃縮した空気の分析を行い、空気中のガス濃度を測定することである。又、本実施例では、核物質を溶解した硝酸溶液を収納する容器6においては、ウラン、プルトニウムと核分裂生成物とを溶媒抽出法によって分離する共除染工程、又ウランとプルトニウムとを分離する分配工程を行うときに用いられる。また、紫外線ランプ17は、区画の天井に敷設されたガイドレール31上を移動する台車32に吊り下げることにより、区画内での紫外線照射位置を広範に変えることができる。更に、テレビカメラ16を自走可能な台車33に搭載することにより、区画内での観察位置を広範に変えることができる。更に、テレビカメラモニタ30は独立した機器であり、任意の場所で区画内での観察ができる。その他の装置構成は、実施例1と同様である。
【0061】
本実施例によれば、採取した空気を濃縮してガス成分を分析するので第1の実施例よりも微量の硝酸漏洩を検知できる。また、紫外線照射位置と観察位置を広範に変えることができるので、硝酸漏洩個所が配管等の影に隠れて見えなくなることもなく、硝酸漏洩個所を特定できる。
【0062】
なお、テレビカメラ16と紫外線ランプ17の区画内での移動方法は実施例1及び実施例3に限るものではなく、例えばテレビカメラ16をガイドレール31上を走行する台車32に吊るして紫外線ランプ17を自走可能な台車33に搭載しても良く、観察しようとする位置が配管等の影に隠れないように紫外線照射及び画像観察ができれば良い。
【0063】
(実施例4)
図10は本発明の硝酸漏洩した区画のガス濃度モニタの画面を表す図である。図11は本発明の硝酸漏洩した際の施設の運転管理方法の流れ図である。本実施例は、実施例1〜3で説明した核燃料取扱施設の運転管理方法に関する。図11には一定の時間毎に当該施設の運転管理を行う場合の手順を示している。運転を開始した後、運転を停止するか否かの判断11aにより運転が継続されると、区画毎のガス濃度を測定し、区画毎のガス濃度を記録する(11b)。次に、区画毎に得られたガス濃度と予め設定済みのガス濃度レベルを照合し(11c)、設定済みのガス濃度レベルを超えている区画があるか否かの判断11dがなされる。設定済みのガス濃度レベルを超えている区画が無ければ、時刻の経過を待って、次の時刻における施設の運転を停止するか否かの判断11aが成される。
【0064】
一方、設定済みのガス濃度レベルを超えている区画が存在すれば、その区画のガス濃度の時間変化をガス濃度モニタ28に表示する(11e)。この時刻を時刻1とすると、ガス濃度モニタ28には図10に示されたガス濃度の時間変化のうち、時刻1以前のガス濃度の時間変化が表示され、作業者は特定の区画において硝酸が漏洩していることを知ることができる。次に、硝酸が漏洩している区画の測定したガス濃度は予め定めた補修を開始するガス濃度レベルと照合され、測定したガス濃度は補修を開始するガス濃度レベルを超えているか否かの判断11fが成される。更に、判断11dにおいて設定済みのガス濃度レベルを超えている区画が存在する場合には、硝酸漏洩個所の特定が開始され(11g)、硝酸漏洩個所が判明したか否かの判断11hが成される。
【0065】
上述した判断11fは、当該施設の処理を継続していても施設運転上の問題が生じない程度の少量の漏洩を検知できてはじめて可能となるものであり、判断11fと判断11hとの結果から施設運転管理判定11iを行う点に本発明の特徴がある。
【0066】
判断11fにおいて、測定したガス濃度は補修を開始するガス濃度レベルを超えている場合をYes1とし、超えていない場合をNo1と定義する。同様に、判断11hにおいて、硝酸漏洩個所が判明している場合をYes2とし、判明していない場合をNo2と定義する。この場合、施設運転管理判定11iでは4種類の場合が生じ、各々の場合に施設の運転管理をどうするか定めておく。No1の場合には、硝酸が漏洩している区画が特定されても当該施設の運転は継続される。即ち、No2であれば硝酸漏洩個所が判明するまで手順を繰返すことになるし、Yes2であれば硝酸漏洩個所の補修を行っても良い。
【0067】
一方、Yes1の場合であって、かつYes2であれば硝酸漏洩個所の補修を行い、No2であれば当該施設の運転を停止する。なお、測定したガス濃度が補修を開始するガス濃度レベルを超えた時刻を時刻2とすれば、ガス濃度モニタ28には図10に示されたガス濃度の時間変化のうち、時刻2以前のガス濃度の時間変化が表示される。その後、硝酸漏洩個所の補修が時刻3において終了したとすると、測定されるガス濃度は換気に伴い低下していくので、硝酸漏洩個所の補修が確実に終了していることを作業者は知ることができる。
【0068】
以上説明したように、本実施例の施設運転管理方法によれば、硝酸溶液の漏洩が生じたにも係わらず、判断11fの結果と判断11hの結果とから施設運転管理判定11iにより当該施設の運転を継続して漏洩個所の補修を行うことができる。即ち、硝酸漏洩を検知する度に当該施設の運転を停止する必要が無くなり、施設の運転効率を高く維持できる。
【0069】
なお、本実施例では施設の運転管理判定は一定の時間毎に行ったが、間隔を短くして例えば1秒毎に行っても良い。その場合には、図11に示した手順を予めプログラミングして自動的に処理及び判断が成されるようにすることが好ましい。また、本実施例では硝酸が漏洩している区画の測定したガス濃度が補修を開始するガス濃度レベルを超えており、かつ硝酸漏洩個所が判明していない場合には、当該施設の運転を停止することにしたが、本発明の施設運転管理方法はこれに限るものではない。即ち、施設での処理量を制限して運転を継続しても良い。更にまた、本実施例では補修を行うガス濃度レベルを設定済みのガス濃度レベルより高いガス濃度レベルとしたが、補修を行うガス濃度レベルは設定済みのガス濃度レベルと一致させても良い。その場合の運転管理判定では、当該施設の運転を停止若しくは施設での処理量を制限した上で硝酸漏洩個所の特定を開始し、硝酸漏洩個所が判明すれば補修を行うことになる。
【0070】
【発明の効果】
本発明によれば、容器及び/又は配管から硝酸溶液が漏洩した場合に、漏洩区画を迅速に特定すると共に、早い段階で僅かな微少漏洩を検出できるので、運転停止を未然に防ぎ、運転を継続しながら補修することができる核燃料取扱施設及びその運転管理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の核燃料取扱施設の全体構成図である。
【図2】従来の核燃料取扱施設の全体構成図である。
【図3】従来の核燃料取扱施設において天井に敷設されたガイドレールによって移動するテレビカメラを用いた区画内点検方法を表す図である。
【図4】従来の核燃料取扱施設において自走式の台車とテレビカメラとを用いた区画内点検方法を表す図である。
【図5】本発明の施設の処理工程と区画を表示する区画監視モニタの画面を表す図である。
【図6】本発明の硝酸漏洩した区画のガス濃度モニタの画面を表す図である。
【図7】本発明の硝酸漏洩していない区画のガス濃度モニタの画面を表す図である。
【図8】本発明の硝酸漏洩位置に紫外線を照射した場合のテレビモニタの画面を表す図である。
【図9】本発明の核燃料取扱施設の特定の区画を表す断面図である。
【図10】本発明の硝酸漏洩した区画のガス濃度モニタの画面を表す図である。
【図11】本発明の硝酸漏洩した際の施設の運転管理方法の工程図である。
【符号の説明】
1…区画の隔壁、2…剪断された使用済燃料、3…分配器、4…配管、5…クレーン、6…硝酸取扱い容器、7…容器内の硝酸液面、8…ポンプ、9…硝酸溶液を移送する配管、10…吸気系統配管、11…排気系統配管、12…硝酸溶液漏洩位置、13…空気中の一酸化窒素、二酸化窒素及びその他の酸化窒素の一つを検出するガス検出器、14…ガス検出器の信号線、15…溝、16…テレビカメラ、17…紫外線ランプ、18…テレビカメラ及び/又は紫外線ランプの電源及び信号線、19…ケーブル巻取り器、20…テレビカメラ及び/又は紫外線ランプの信号線、21…区画に設けられた小孔、22…核燃料取扱施設の処理制御盤、23…処理監視モニタ、24…処理操作ボタン、25…硝酸漏洩制御盤、26…区画監視モニタ、27…ガス濃度を表示させるための表示操作ボタン、28…ガス濃度モニタ、29…カメラ操作ボタン、30…テレビモニタ、31…天井敷設ガイドレール、32…ガイドレール台車、33…自走式台車、34…筒、35…伸縮可能な棒、36…ガス採取管、37…吸引ポンプ、38…ガス分析計、40…溶解槽、41…循環配管、42…燃料バスケット。
【発明の属する技術分野】
本発明は、核燃料物質、核原料物質、核分裂生成物を含んでいる使用済燃料等のいわゆる核物質を溶解している硝酸溶液を密閉された容器及び/又は配管の内部で取扱っている核燃料取扱施設において、硝酸溶液の漏洩が生じた場合の硝酸溶液の漏洩個所を特定する新規な核燃料取扱施設及びその運転管理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の核物質を溶解している硝酸溶液を密閉された容器及び/又は配管の内部で取扱っている核燃料取扱施設として実用化されている施設は、原子炉で使用された使用済燃料から原子炉の燃料として使用可能な成分を回収するための再処理施設があり、PUREX法と呼ばれるプロセスが用いられている。
【0003】
図2は、再処理施設の全体施設構成と処理プロセスを示す全体図である。原子炉から取出された使用済燃料は再処理施設に運ばれたのち、機械的に剪断され、その使用済燃料2は周囲を隔壁1で囲まれた区画内に設置されている分配器3に収納される。次に、使用済燃料2は配管4を経由して別の区画に設置されている容器6に移送され、硝酸溶液の液面7より下に沈められてウラン、プルトニウム、超ウラン元素及び核分裂生成物等の核物質は硝酸溶液に溶解される。その後、核物質を溶解している硝酸溶液はポンプ8により吸い出され、配管9を経由して更に別の区画に移送され、その区画に設置された容器内部でその他の処理が行われる。最終的に、硝酸溶液から原子炉の燃料として使用可能な成分が回収されるまで異なる区画内に設置された機器で多種多様な処理が行われる。例えば、分離設備の抽出塔では有機溶媒抽出法等によりウランやプルトニウムは超ウラン元素及び核分裂生成物と分離される。また、分配設備の分配塔ではウランとプルトニウムとが分離される。
【0004】
核物質から発生する放射線の影響もあって、前述のようにコンクリート製の隔壁1で周囲を囲まれた多数の区画に分け隔てられており、通常では人が区画内に立入ることは困難である。このため、当該施設全体の制御若しくは監視は、核燃料物質等を取扱わない区画、図2(b)に示す制御室等において行われる。制御室内には、容器6内部の硝酸溶液の液面7及び硝酸溶液の流量を監視して当該施設全体の運転状況を映し出す制御モニタ23と機器の操作を行うボタン24等を備えた処理制御盤22が設置されている。
【0005】
このような核燃料取扱施設において硝酸溶液の漏洩区画を特定する手段及び方法として、制御モニタ23に映し出されている情報から硝酸溶液の液面7の低下や硝酸溶液の流量減少を検出している。硝酸溶液の液面7の低下や硝酸溶液の流量減少が認められれば、その容器若しくは配管、即ち漏洩区画を特定できる。但し、取扱う硝酸溶液の容量は多量であるため、相当量の漏洩がないと検出することは難しい。
【0006】
前述した硝酸溶液の漏洩区画を特定する手段及び方法とは別に、漏洩した硝酸溶液は漏洩位置12から容器6の表面を伝わり床に落下するので、床面を傾斜させておき、容器6の周囲に掘られた溝15に漏洩した硝酸溶液を溜めて、電気的な導通の有無による漏洩検知器等によりそれを検知している。但し、容器6や区画内面の壁に結露した水も溝15に溜まるので、溝15に溶液が溜まったことを以って硝酸溶液が漏洩していると定めることはできない。このため、溜まった溶液を採取して、当該溶液のpH及び/又は放射線量を分析して、当該溶液が酸であることや核物質を含んでいることを確認しなければならない。
【0007】
図3は、漏洩区画が特定された場合の漏洩位置12を特定する手段及び方法を示す断面図である。区画外から区画内部の特定位置を点検するための機器が図3には示されている。天井に設けられたレール31を走行する台車32にテレビカメラ16が吊るされている。画像信号を伝達するケーブル18は区画の隔壁1に設けられている小孔21を通してケーブル巻取り器19に繋がっている。点検したい位置の上方まで台車32を移動させたのち、テレビカメラ16を下方に降ろすことで特定位置の画像を区画外のテレビモニタ30に映すことができ、容器6の表面に画像で識別可能な亀裂等が認められれば漏洩位置12を特定できる。
【0008】
図4は、区画外から区画内部の特定位置を他の機器を用いて点検する断面図である。小孔21から筒34を挿入して自走可能な台車33とテレビカメラ16を区画内に入れる。筒の先端下部は開口部となっており、伸縮可能な棒35により押し出された台車33とテレビカメラ16とを区画内の床面まで降ろすことができる。区画外から遠隔操作して台車33を移動させることで、特定位置の画像を区画外のテレビモニタ30に映すことができ、容器6の表面に画像で識別可能な亀裂等が認められれば漏洩位置12を特定できる。
【0009】
図3及び図4を用いて説明した硝酸溶液の漏洩個所特定方法においては、硝酸溶液の漏洩個所12の大きさが直径1mm以下の腐食孔であることが多いため、当該腐食孔を画像で識別可能な程度にまで解像度を上げて容器及び/又は配管の表面を観察していく必要があり、観察に要する時間は相当なものとなる。
【0010】
なお、この種の核物質を溶解している硝酸溶液を密閉された容器及び/又は配管の内部で取扱っている核燃料取扱施設及び容器からの硝酸溶液の漏洩を検知するための機器として関連するものには例えば、動燃技報No.53(1985年)第95頁から102頁、動燃技報No.86(1993年)第34頁から50頁等が挙げられる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
従来技術は、核燃料取扱施設において核燃料物質、核原料物質、核分裂生成物等の核物質を溶解している硝酸溶液を密閉された容器及び/又は配管の内部で取扱っている際に、容器及び/又は配管から硝酸溶液が漏洩している区画を迅速に特定する点について配慮されておらず、硝酸溶液の液面7の低下や硝酸溶液の流量減少の検出若しくは容器周囲の溝15に溜まった溶液のpH分析による酸及び/又は放射線量の分析による放射線の検出まで硝酸溶液が漏洩している区画を特定できないという問題があった。
【0012】
更に、硝酸溶液が漏洩している区画を特定しても漏洩個所を迅速に特定する点について配慮されておらず、漏洩個所の大きさが直径1mm以下の腐食孔である場合に備えて、解像度を上げて隈なく容器及び/又は配管の表面を観察しなければならず、漏洩個所を特定するのに時間を要するという問題があった。更に、従来技術の硝酸溶液の漏洩区画特定方法と漏洩個所特定方法の組合せでは、漏洩した硝酸量が相当量でないと漏洩区画が特定できないこと若しくは漏洩個所の特定に手間取り漏洩個所の補修が終了するまでに時間を要して漏洩する硝酸量が相当量になることから、硝酸溶液が漏洩した場合には当該施設全体の運転を停止せねばならず、施設の運転効率が低下するという問題があった。
【0013】
本発明の目的は、容器及び/又は配管から硝酸溶液が漏洩した場合に、漏洩区画を迅速に特定し、運転停止を未然に防ぎ、運転を継続しながら補修することができる核燃料取扱施設及びその運転管理方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、隔壁によって区画される該区画内で核物質を硝酸溶液によって溶解又は硝酸溶液によって溶解された核物質を処理する核燃料取扱施設、前記核物質を溶解する溶解槽を備えた核燃料取扱施設及び核物質を溶解した硝酸溶液を収納する容器を備えた核燃料取扱施設のいずれかにおいて、前記区画内の排気を行う排気系に酸化窒素ガスを検出するガス検出手段を有することを特徴とする。
【0015】
又、本発明は、隔壁によって区画される該区画内で核物質を硝酸溶液によって溶解又は硝酸溶液によって溶解された核物質を処理する核燃料取扱施設において、前記硝酸溶液に接している部分の外側に紫外線を照射する紫外線照射装置及び前記部分の表面を観察する観察装置を有することを特徴とする。
【0016】
容器は全体がそのものからなるもの、後述する硝酸溶液を貯蔵する容器とそれと配管で接続された溶解槽とを有するものとがある。又、核物質を溶解した硝酸溶液を収納する容器及びその処理においては、使用済燃料の再処理施設を例にとれば、硝酸溶液に不溶解な元素、被覆管材、その腐食生成物などを分離する清澄工程、清澄工程で処理された溶解液の酸濃度及びウラン濃度の調整を行う調整工程、ウラン、プルトニウムと核分裂生成物とを溶媒抽出法によって分離する共除染工程、又ウランとプルトニウムとを分離する分配工程、高レベル廃液濃縮工程、酸回収工程、ウラン精製工程、プルトニウム精製工程、ウラン脱硝工程が行われる。本発明は、このような溶解及び処理工程における容器とその配管から漏洩する硝酸の有無をその区画内の排気を行う排気系において酸化窒素ガスの検出の有無から定めるものである。
【0017】
酸化窒素ガスの検出器は、区画外に排気装置が設けられ、それに接続された排気系配管に設置され、その区画の排気口の出口近傍又はその内側近傍に設けることができる。
【0018】
更に、本発明は、前記区画内に空気を送風する吸気系配管及び吸気装置と、前記区画内の排気を行う排気系配管及び排気装置と、該排気系配管内に酸化窒素ガスを検出するガス検出手段と、該検出された前記ガス濃度を表示する表示及び/又は記録する手段とを有することが好ましい。
【0019】
即ち、本発明は、複数の区画を有し、各区画内の空気中の一酸化窒素、二酸化窒素及びその他の酸化窒素ガスの少なくとも一つの成分を検出する手段と区画毎の検出状況を表示及び/又は記録する手段とを設けたこと、好ましくは、前述の酸化窒素ガスを検出する手段は、区画の換気口に備え付けられた前述の酸化窒素ガスの少なくとも一つの成分を検出するガス検出器であること、若しくは区画の換気口から空気を採取する手段と採取した空気中の酸化窒素ガス成分を分析するガス分析器とで構成されているものである。また、前述の酸化窒素ガス成分を表示及び/又は記録する手段、当該施設全体の制御、監視を行う制御装置、監視装置等は核物質を取扱わない区画に設けられていることが望ましい。
【0020】
本発明は、容器及び/又は配管に紫外線を照射する手段と容器及び/又は配管の表面を観察する手段を設け、好ましくは、前記紫外線を照射する手段は、波長が200〜450nmの光を含む紫外線を放射する光源を備えている。また好ましくは、前記観察する手段は、区画外からの遠隔操作により垂直及び/又は水平方向に駆動する機構若しくは床面を自走する機構とテレビカメラ等の画像伝達装置とを備えている。
【0021】
本発明では、換気のために区画外に排出している空気中の前述の酸化窒素ガス成分を当該施設が運転している間は連続的、若しくは定期的に時間をおいて測定し続けて、ガス成分濃度が予め設定していたガス成分濃度レベルを超えた区画を硝酸溶液が漏洩している区画と定めることができる。
【0022】
本発明では、ガス成分濃度が予め設定していたガス成分濃度レベルを超え、かつ時間とともにガス成分濃度が増加する傾向にある区画を硝酸溶液が漏洩している区画と定めることができる。
【0023】
本発明では、換気のために区画内に流入している空気中及び区画外に排出している空気中の前述の酸化窒素ガス成分を当該施設が運転している間は連続的若しくは継続的に時間をおいて測定し続けて、区画外に排出している空気中のガス成分濃度が区画内に流入している空気中のガス濃度レベルを超えた区画を硝酸溶液が漏洩している区画と定めることができる。
【0024】
本発明では、容器及び/又は配管の表面に紫外線を照射し、当該紫外線が照射された領域で可視光が発せられている位置から硝酸溶液が漏洩している個所を定めることができる。
【0025】
又、本発明は、隔壁によって区画される該区画内で硝酸溶液によって核物質を溶解又は硝酸溶液によって溶解された核物質を処理する核燃料取扱施設の運転管理方法において、少なくとも前記区画内に前記硝酸溶液が収納されている間、前記区画の排気系から排出される酸化窒素ガスを検出することを特徴とする。
【0026】
更に、前述の運転管理方法において、少なくとも前記区画内に前記硝酸溶液が収納されている間、前記区画の排気系から排出される酸化窒素ガスを検出し、該検出された酸化窒素ガス濃度と予め設定された酸化窒素ガス濃度との比較に基づいて前記区画内における前記硝酸溶液の漏洩の有無を判定又は前記検出された酸化窒素ガス濃度の増加によって前記硝酸溶液の漏洩の有無を判定することを特徴とする。
【0027】
又、前述の運転管理方法において、少なくとも前記区画内において前記硝酸溶液の漏洩が有ると判定された場合には、前記硝酸溶液に接している部分の外表面に紫外線を照射し、該紫外線が照射された領域で発せられる可視光、蛍光及びりん光の少なくとも1つを検出することにより前記硝酸溶液の漏洩個所を判定することを特徴とする。
【0028】
又、前述の運転管理方法において、少なくとも前記区画内に前記硝酸溶液が収納されている間、前記区画の排気系から排出される酸化窒素ガスを検出し、該検出された酸化窒素ガス濃度が予め設定された酸化窒素ガス濃度以下の時、前記区画内の漏洩個所の判定に基づいて施設全体の運転を継続したまま前記漏洩個所の補修を行うことを特徴とする。
【0029】
即ち、本発明は、漏洩区画特定方法と漏洩個所特定方法とから容器若しくは配管の表面で硝酸溶液が漏洩している個所を特定し、かつ当該施設全体の運転を継続したまま当該漏洩個所の補修を行うようにしたものである。区画内の空気中の前述の酸化窒素ガス成分を検出する手段が、硝酸溶液が容器及び/又は配管から漏洩した区画を特定可能なことを説明する。
【0030】
核物質を溶解している硝酸溶液を密閉された容器及び/又は配管の内部で取扱う場合、硝酸溶液は種々の処理のために室温より高い温度にされ、かつ核物質が発する放射線に曝されている。例えば、使用済燃料を溶解する処理では、使用済燃料を約100℃の硝酸溶液に10時間程度浸して溶解する。一度の溶解処理で扱う使用済燃料の量はウラン重量400kg程度であり、この中にはウラン以外の核物質も含まれている。硝酸溶解後の主な物質の濃度を挙げれば、ウランは硝酸溶液1L当り数百g、プルトニウムは数g及び核分裂生成物のルテニウムは1g程度である。これらの物質からのベータ線及びガンマ線による硝酸溶液の照射線量は1時間当り105から107レントゲンとなる。
【0031】
上述のことから、硝酸溶液が漏洩すると区画内の空気中に酸化窒素ガスとして、一酸化窒素、二酸化窒素、亜酸化窒素及びその他の酸化窒素の少なくとも1つが含まれる。その第1の理由として、硝酸溶液に核燃料物質等が溶解する際に一酸化窒素及び/又は二酸化窒素が発生することが挙げられる。硝酸溶液に核物質が溶解する際の化学反応式を示せば、
となる。ここで、化学記号Mは金属元素を表わし、数字nは硝酸溶液濃度により定める定数を表している。例えば金属元素がウランの場合、硝酸濃度が約8規定ではn=3、これより硝酸濃度が低ければ8/3<n<3、硝酸濃度が高ければ3<n<4である。一酸化窒素及び/又は二酸化窒素の発生を抑制するため、溶解時に酸素若しくは空気を吹き込み、発生した大部分の一酸化窒素及び/又は二酸化窒素を酸化して硝酸に転換することが行われているが、一部の一酸化窒素及び/又は二酸化窒素は硝酸溶液に溶存ガスとして蓄えられる。
【0032】
例えば、0℃の水には水の体積の7%の一酸化窒素ガスが溶存する。漏洩した硝酸溶液が容器若しくは配管の表面を流れる間に気化すると溶存ガスである一酸化窒素及び/又は二酸化窒素は空気中に放出され、その際、一酸化窒素の一部は空気中の酸素と反応して二酸化窒素やその他の酸化窒素となる。
【0033】
次に、硝酸溶液が漏洩すると区画内の空気中に一酸化窒素、二酸化窒素及びその他の酸化窒素が含まれる第2の理由として、硝酸溶液中の核物質の硝酸塩が、漏洩した硝酸溶液とともに容器及び/又は配管表面に流出した際に熱分解して二酸化窒素を発生することが挙げられる。硝酸塩の熱分解の化学反応式を示せば、
MO2(NO3)2→MO2+2NO2+O2 …(化2)
となる。硝酸溶液に核物質が溶解する化学反応式(化1)から漏洩した硝酸溶液には金属酸化物硝酸塩が含まれている。従って、容器若しくは配管の表面を漏洩した硝酸溶液が流れる間に、熱分解の化学反応式(化2)に基づき二酸化窒素が空気中に放出される。
【0034】
次に、硝酸溶液が漏洩すると区画内の空気中に前述の酸化窒素ガスが含まれる第3の理由として、硝酸の放射線分解により二酸化窒素が発生することが挙げられる。硝酸の放射線分解の化学反応式を示せば、
HNO3→HNO2+O …(化3)
HNO2+OH→NO2+H2O …(化4)
となる。一番目の化学反応式(化3)は硝酸が放射線分解して亜硝酸が生成される反応である。二番目の化学反応式(化4)は亜硝酸と硝酸溶液中のOHイオンが反応して二酸化窒素が生成される反応である。二番目の化学反応式(化4)以外にも、亜硝酸から一酸化窒素、二酸化窒素及びその他の酸化窒素を生成する反応は多種存在し、それらの反応は例えば、放射線化学第45号(1988年)第44頁から46頁に示されている。発生したガスは硝酸溶液に溶存ガスとして蓄えられ、漏洩した硝酸溶液が容器若しくは配管の表面を流れる間に気化すると溶存ガスは空気中に放出される。
【0035】
前述したように硝酸溶液が漏洩すると区画内の空気中に前述の酸化窒素ガスが含まれる第1から第3の理由が重畳して、硝酸溶液が容器若しくは配管から漏洩すると区画内に酸化窒素ガスが放出される。例えば、100ccの硝酸溶液が気化すると酸化窒素ガスは約10cc放出される。区画の大きさは高さ10m、幅10m、奥行き10m程度であること及び換気を行っていることから空気中の前述の酸化窒素ガスの体積濃度は数ppbとなる。従って、1ppbオーダーの検出感度を有する測定方法で区画内の空気中の一酸化窒素、二酸化窒素及びその他の酸化窒素の一つ乃至複数のガス成分を測定すれば、ガス成分濃度の上昇から硝酸溶液が漏洩していることを知ることができる。1ppbオーダーの検出感度を有する空気中の一酸化窒素、二酸化窒素及びその他の酸化窒素のガス検出器としては、電気化学式の検出器及び化学発光式の検出器等が知られている。
【0036】
このうち、電気化学式の検出器は、ガス透過膜の表面を金属、特に金や白金等の貴金属を蒸着やメッキ等の方法で多孔質膜を形成した電極と電極間に挟まれた電解液を持つ。電極間に電圧を印加すると、電極反応により流れる電流を測定するものである。流れる電流量はガス濃度に比例するので、ガス濃度が判っている標準ガスを測定するなどして校正することで、測定した電流量からガス濃度を知ることができる。
【0037】
一方、化学発光式の検出器は、特定のガスと化学反応して着色する試薬を塗布した光学的に透明な板若しくは前記試薬を封入した光学的に透明な容器と発光ダイオード等の光源と光検出器とから構成される。ガスと反応させた後の板や容器を光源と光検出器の間に挟んで透過光強度を測定すれば、光の減衰量はガス濃度に比例するので、ガス濃度が判っている標準ガスを測定するなどして校正することで、測定した光の減衰量からガス濃度を知ることができる。なお、空気中の前述の酸化窒素ガス成分の濃度が低い場合には、必要なだけ濃縮してガス濃度を高めて測定すれば良い。
【0038】
次に、容器及び/又は配管に紫外線を照射する手段と容器及び/又は配管の表面を観察する手段とが容器若しくは配管の表面の漏洩個所を特定できる理由について説明する。
【0039】
核物質のうちの大部分を占めるウラン原子は光を吸収して電子の軌道エネルギーが高い状態に励起され、エネルギーの高い状態から低い状態へ戻る際にエネルギー差と等しいエネルギーを持つ光を放出する。例えば、水銀ランプが放つ254nm、365nm及び405nm等の波長の紫外線を吸収し、500〜600nmの範囲の可視光を放出することが知られている。特に、波長531nmと562nmとに発光強度の極大値が存在するため、黄緑色に見える。同様に、ウランの酸化物も紫外線を吸収して可視光を放出する。このように、エネルギーの高い状態に励起されたから原子や分子等から放出される光は、蛍光若しくは、りん光として知られるところである。従って、容器及び/又は配管の表面に紫外線を照射して、紫外線照射時だけ黄緑色の光を発している場所はウランが存在する場所と言え、その場所から硝酸溶液の漏洩個所を定めることができる。
【0040】
本発明は、前記濃度の増加によって前記硝酸溶液の漏洩を判定すること、前記硝酸溶液に接している部分の外表面に紫外線を照射し、該紫外線が照射された領域で発せられる可視光、蛍光及びりん光の少なくとも1つを検出することにより前記漏洩の個所を判定すること、前記検出された酸化窒素ガス濃度が予め設定された酸化窒素ガス濃度以下であり、前記漏洩個所の判定に基づいて施設全体の運転を継続したまま前記漏洩個所の補修を行うことことを特徴とする核燃料取扱施設の運転管理方法にある。
【0041】
本発明によれば、硝酸溶液から出る一酸化窒素、二酸化窒素及びその他の酸化窒素を利用して、区画内の空気中のこれらの少なくとも一つを検出でき、区画毎の検出状況を表示及び/又は記録することによって、硝酸溶液が漏洩している区画を迅速に特定するものである。そして、硝酸溶液の漏洩を検知した場合に、容器及び/又は配管に紫外線を照射でき、容器及び/又は配管の表面を観察し、硝酸溶液が漏洩している個所を迅速に特定できる。
【0042】
また、区画の換気のために区画外に排出している空気中の前述の酸化窒素ガスの少なくとも一つを核燃料取扱施設が運転している間は、連続又は定期的に測定しているので、硝酸漏洩に伴う施設の運転管理を連続又は定期的に判断できるので、施設の運転を中止せずに継続して運転しながら漏洩個所の補修を行うことができる。
【0043】
上述した本発明の個々の核燃料取扱施設及びその運転管理方法は、各々の複数の組み合わせにおいても達成されるものである。
【0044】
【発明の実施の形態】
(実施例1)
本実施例を図1及び図5〜図8により説明する。図1は使用済燃料の再処理施設に本発明を適用した場合の施設全体の構成図である。図2に示した従来の再処理施設と異なる点は、区画の換気のために設けられている吸気系統配管10と排気系統配管11のうち区画内の空気は区画に設けられた排気口の配管内部又は排気口近傍の排気系配管内部より排出される空気中の一酸化窒素、二酸化窒素及びその他の酸化窒素の一つ乃至複数の成分を検出するガス検出器13が備え付けられており、測定したガス濃度信号は制御室内に設けられた漏洩検出制御盤25に送られることである。この漏洩検出制御盤25には、当該施設の処理工程と区画を表示する区画監視モニタ26と特定の区画のガス濃度を表示させるための表示操作ボタン27が設けられている。表示操作ボタン27により特定の区画を選び、ガス濃度モニタ28に表示させることができる。漏洩位置12から硝酸が漏洩した場合には、漏洩した硝酸溶液が気化するのに伴い、区画内の空気中の一酸化窒素、二酸化窒素及びその他の酸化窒素の一つ乃至複数の成分のガス濃度が高まるので、ガス濃度モニタ28に表示されたガス濃度から硝酸溶液の漏洩区画を特定することができる。
【0045】
図1(a)に示した本実施例の溶解工程は、大きく分けて3つの容器で構成される。大部分の硝酸が蓄えられている硝酸取り扱い容器6とその両側に各々円筒状容器からなる溶解槽40を有する。真中の硝酸取り扱い容器6と溶解槽40との間で硝酸が自然対流できるように4本の循環配管41が連結されている。溶解に必要な硝酸量を一つの容器を用いて溶解するとすると一辺1m程度の容器となり、均一に加熱することが難しく、取替えなど補修の際に大掛りになるなどの理由から、分割構造である。
【0046】
溶解槽40は、円筒状の直管で、上下4〜5分割され、配管は溶接されている。溶解槽40は下部に設けられた加熱装置によって外側から加熱され、下の方が温度が高く、上の方は低いので、自然対流で下から上に硝酸溶液が流れるように循環する。又、循環配管は4本であり、上の方の配管では、溶解槽40から中央の容器6へ、下の方の配管では中央の容器6から溶解槽40へと硝酸が流れる。強制的な循環系は必要に応じて設けられる。
【0047】
次に、使用済燃料の溶解のフローを以下説明する。
(1)硝酸取り扱い容器6の両側の溶解槽40には点線で示した燃料バスケット42に剪断された使用済燃料が装荷される。
(2)燃料バスケット42に所定量装荷された使用済燃料は燃料バスケット42と共に矢印のように溶解槽40の硝酸溶液内に挿入され、硝酸で溶解される。
(3)溶解が終わると、硝酸溶液をポンプで吸出して別容器に搬送される。
(4)燃料バスケット42を引き上げ、残った残渣を回収する。
(5)上記(1)から(4)が繰返し行われる。
【0048】
本実施例では大きく分けて3つの容器を用い、前記フローにより使用済燃料を溶解したが、他の構造の容器を用いて他のフローにより溶解しても良いことは言うまでもない。
【0049】
図2に示した従来の再処理施設と異なる点は、天井に敷設されているクレーン5にテレビカメラ16と紫外線ランプ17が吊るされていることである。硝酸溶液の漏洩区画を特定した場合には、天井に敷設されているクレーン5にテレビカメラ16と紫外線ランプ17を吊るして区画内に降ろすことにより、テレビカメラ16と紫外線ランプ17を任意の高さに設定できる。テレビカメラ16と紫外線ランプ17の電源及び信号ケーブル18は区画の隔壁1に設けられた小孔21を通して区画外のケーブル巻取り器19に接続されており、必要な長さだけケーブルを区画内に送り出すことができる。
【0050】
テレビカメラ16と紫外線ランプ17の制御信号ケーブル20は漏洩検出制御盤25に送られ、カメラ操作ボタン29により紫外線ランプ17から紫外線を照射し、紫外線が照射されている場所の画像をテレビカメラ16によりテレビモニタ30に映すことができる。位置を変えながら容器6の外表面を観察できるので、黄緑色に発光している場所を探すことができ、発光位置から硝酸漏洩位置を特定できる。
【0051】
紫外線ランプ17、テレビカメラ16での監視は、区画の大きさとして10m×10m×10m程度であり、見たい位置までランプとカメラを移動させる必要がある。このため、図3のように点検レールで移動(図では左右のみであるが、複雑にレールが敷設される)させ、又図4のように自走式にすることが好ましい。
【0052】
図5は、区画監視モニタ26の画面を示す図である。本実施例では破線で囲まれた設備と当該設備に含まれる独立した区画に設置された容器名称とを表示している。従って、容器名称一つ一つがそれぞれ異なる区画に対応しているので、特定の容器名称を表示操作ボタン27により選択することで、対応した区画を選択したことになる。
【0053】
図6は、容器名称が第一溶解槽である容器の設置された区画において、測定したガス濃度が予め設定されたガス濃度を越えた場合のガス濃度モニタ28の画面を示すものである。漏洩検出制御盤25では、区画毎にガス濃度を時刻とともに記録しており、予め設定されたガス濃度と測定したガス濃度を比較する機能を有している。本実施例では、測定したガス濃度が予め設定されたガス濃度を越えた場合には自動的にガス濃度モニタ28に表示させることにしている。現在の時刻のガス濃度だけでなく、一定時間内のガス濃度の時間変化を表示することにより、作業者はガス濃度が上昇していることから硝酸溶液の漏洩が生じていることを知ることができる。
【0054】
図7は、容器名称が第2溶解槽である容器の設置された区画でのガス濃度モニタ28の画面を示したものである。ガス濃度の上昇が生じた区画の近隣の区画のガス濃度をガス濃度モニタ28に表示して、ガス濃度の上昇が生じていないことを確認することにより、硝酸溶液の漏洩が生じていることをより確実に知ることができる。何故ならば、全ての区画でガス濃度の上昇が生じておれば、硝酸溶液の漏洩ではない他の原因で換気の吸気系統にガス成分が流入してガス濃度の上昇が生じていることが起こり得るためである。
【0055】
図8は、観察位置が漏洩個所12を含んだ場合のテレビモニタ30の画面を示すものである。硝酸溶液の漏洩している区画が特定された場合には、当該区画内部を紫外線を照射しながらテレビモニタ30により観察する。図8に示すように、容器6の表面で黄緑色に発光する領域から漏洩個所12を特定できる。
【0056】
酸化窒素ガスの検出は、ガス濃度の高いところが好ましく、補助的には漏れやすい溶接部の近くに設けても良い。但し、ガス検出の位置を行う場所として区画内部だけでは内部気流によっては検出されない可能性があるので、排気口又は排気口近傍の排気系配管内部に検出器に設けることが必須である。本実施例では、排気口を上に設け、吸気口を下に設けているが、その逆でもよい。
【0057】
以上説明したように、本実施例の核燃料取扱施設によれば、硝酸溶液には一酸化窒素、二酸化窒素及びその他の酸化窒素が含まれていることを利用して、区画内の空気中の一酸化窒素、二酸化窒素及びその他の酸化窒素の一つ乃至複数の成分を検出し、区画毎の検出状況を表示及び/又は記録することで硝酸溶液が漏洩している区画を迅速に検知できる。前記一酸化窒素、二酸化窒素及びその他の酸化窒素の一つ乃至複数の成分を表示及び/又は記録する手段は、当該施設の運転状態の制御若しくは監視を行っている操作室などの区画外に設けられていることにより、特定の区画のみで硝酸溶液が漏洩していることを迅速に知ることができる。また、漏洩した硝酸溶液に含まれている核物質は紫外線を照射すると可視光を発することを利用して、容器及び/又は配管に紫外線を照射し、容器及び/又は配管の表面を観察することにより硝酸溶液の漏洩位置を迅速に特定できる。
【0058】
従って、本実施例によれば、容器及び/又は配管から硝酸溶液が漏洩した場合に、漏洩区画を迅速に特定すると共に、早い段階で僅かな漏洩を検出できるので、運転停止を未然に防ぎ、運転を継続しながら補修することができる。
【0059】
(実施例2)
本実施例が実施例1と異なる点は、排気口内だけではなく吸気口内にもガス検知器を設け、区画外に流出している空気中のガス濃度だけではなく区画内に流入している空気中のガス濃度も測定することである。排出している空気中のガス濃度が上昇した区画について、その区画に流入している空気中のガス濃度は上昇していないことを確認することにより、特定の区画内部でガス濃度が上昇していることを確実に知ることができ、硝酸溶液が漏洩している区画を特定することができる。なお、吸気口内のガス検知器は全ての区画に設ける必要は無く、吸気系統の配管の入口若しくは何処か1個所だけに設けても良い。
【0060】
(実施例3)
図9は、本発明の核燃料取扱施設の特定の区画を表す図である。本実施例が実施例1と異なる点は、排気口内にガス検知器を設ける代わりに、ガス採取管36を通して吸引ポンプ37により区画から排出される空気を採取し、ガス分析計38を用いて採取された空気若しくは一酸化窒素、二酸化窒素及びその他の酸化窒素の一つ乃至複数の成分を濃縮した空気の分析を行い、空気中のガス濃度を測定することである。又、本実施例では、核物質を溶解した硝酸溶液を収納する容器6においては、ウラン、プルトニウムと核分裂生成物とを溶媒抽出法によって分離する共除染工程、又ウランとプルトニウムとを分離する分配工程を行うときに用いられる。また、紫外線ランプ17は、区画の天井に敷設されたガイドレール31上を移動する台車32に吊り下げることにより、区画内での紫外線照射位置を広範に変えることができる。更に、テレビカメラ16を自走可能な台車33に搭載することにより、区画内での観察位置を広範に変えることができる。更に、テレビカメラモニタ30は独立した機器であり、任意の場所で区画内での観察ができる。その他の装置構成は、実施例1と同様である。
【0061】
本実施例によれば、採取した空気を濃縮してガス成分を分析するので第1の実施例よりも微量の硝酸漏洩を検知できる。また、紫外線照射位置と観察位置を広範に変えることができるので、硝酸漏洩個所が配管等の影に隠れて見えなくなることもなく、硝酸漏洩個所を特定できる。
【0062】
なお、テレビカメラ16と紫外線ランプ17の区画内での移動方法は実施例1及び実施例3に限るものではなく、例えばテレビカメラ16をガイドレール31上を走行する台車32に吊るして紫外線ランプ17を自走可能な台車33に搭載しても良く、観察しようとする位置が配管等の影に隠れないように紫外線照射及び画像観察ができれば良い。
【0063】
(実施例4)
図10は本発明の硝酸漏洩した区画のガス濃度モニタの画面を表す図である。図11は本発明の硝酸漏洩した際の施設の運転管理方法の流れ図である。本実施例は、実施例1〜3で説明した核燃料取扱施設の運転管理方法に関する。図11には一定の時間毎に当該施設の運転管理を行う場合の手順を示している。運転を開始した後、運転を停止するか否かの判断11aにより運転が継続されると、区画毎のガス濃度を測定し、区画毎のガス濃度を記録する(11b)。次に、区画毎に得られたガス濃度と予め設定済みのガス濃度レベルを照合し(11c)、設定済みのガス濃度レベルを超えている区画があるか否かの判断11dがなされる。設定済みのガス濃度レベルを超えている区画が無ければ、時刻の経過を待って、次の時刻における施設の運転を停止するか否かの判断11aが成される。
【0064】
一方、設定済みのガス濃度レベルを超えている区画が存在すれば、その区画のガス濃度の時間変化をガス濃度モニタ28に表示する(11e)。この時刻を時刻1とすると、ガス濃度モニタ28には図10に示されたガス濃度の時間変化のうち、時刻1以前のガス濃度の時間変化が表示され、作業者は特定の区画において硝酸が漏洩していることを知ることができる。次に、硝酸が漏洩している区画の測定したガス濃度は予め定めた補修を開始するガス濃度レベルと照合され、測定したガス濃度は補修を開始するガス濃度レベルを超えているか否かの判断11fが成される。更に、判断11dにおいて設定済みのガス濃度レベルを超えている区画が存在する場合には、硝酸漏洩個所の特定が開始され(11g)、硝酸漏洩個所が判明したか否かの判断11hが成される。
【0065】
上述した判断11fは、当該施設の処理を継続していても施設運転上の問題が生じない程度の少量の漏洩を検知できてはじめて可能となるものであり、判断11fと判断11hとの結果から施設運転管理判定11iを行う点に本発明の特徴がある。
【0066】
判断11fにおいて、測定したガス濃度は補修を開始するガス濃度レベルを超えている場合をYes1とし、超えていない場合をNo1と定義する。同様に、判断11hにおいて、硝酸漏洩個所が判明している場合をYes2とし、判明していない場合をNo2と定義する。この場合、施設運転管理判定11iでは4種類の場合が生じ、各々の場合に施設の運転管理をどうするか定めておく。No1の場合には、硝酸が漏洩している区画が特定されても当該施設の運転は継続される。即ち、No2であれば硝酸漏洩個所が判明するまで手順を繰返すことになるし、Yes2であれば硝酸漏洩個所の補修を行っても良い。
【0067】
一方、Yes1の場合であって、かつYes2であれば硝酸漏洩個所の補修を行い、No2であれば当該施設の運転を停止する。なお、測定したガス濃度が補修を開始するガス濃度レベルを超えた時刻を時刻2とすれば、ガス濃度モニタ28には図10に示されたガス濃度の時間変化のうち、時刻2以前のガス濃度の時間変化が表示される。その後、硝酸漏洩個所の補修が時刻3において終了したとすると、測定されるガス濃度は換気に伴い低下していくので、硝酸漏洩個所の補修が確実に終了していることを作業者は知ることができる。
【0068】
以上説明したように、本実施例の施設運転管理方法によれば、硝酸溶液の漏洩が生じたにも係わらず、判断11fの結果と判断11hの結果とから施設運転管理判定11iにより当該施設の運転を継続して漏洩個所の補修を行うことができる。即ち、硝酸漏洩を検知する度に当該施設の運転を停止する必要が無くなり、施設の運転効率を高く維持できる。
【0069】
なお、本実施例では施設の運転管理判定は一定の時間毎に行ったが、間隔を短くして例えば1秒毎に行っても良い。その場合には、図11に示した手順を予めプログラミングして自動的に処理及び判断が成されるようにすることが好ましい。また、本実施例では硝酸が漏洩している区画の測定したガス濃度が補修を開始するガス濃度レベルを超えており、かつ硝酸漏洩個所が判明していない場合には、当該施設の運転を停止することにしたが、本発明の施設運転管理方法はこれに限るものではない。即ち、施設での処理量を制限して運転を継続しても良い。更にまた、本実施例では補修を行うガス濃度レベルを設定済みのガス濃度レベルより高いガス濃度レベルとしたが、補修を行うガス濃度レベルは設定済みのガス濃度レベルと一致させても良い。その場合の運転管理判定では、当該施設の運転を停止若しくは施設での処理量を制限した上で硝酸漏洩個所の特定を開始し、硝酸漏洩個所が判明すれば補修を行うことになる。
【0070】
【発明の効果】
本発明によれば、容器及び/又は配管から硝酸溶液が漏洩した場合に、漏洩区画を迅速に特定すると共に、早い段階で僅かな微少漏洩を検出できるので、運転停止を未然に防ぎ、運転を継続しながら補修することができる核燃料取扱施設及びその運転管理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の核燃料取扱施設の全体構成図である。
【図2】従来の核燃料取扱施設の全体構成図である。
【図3】従来の核燃料取扱施設において天井に敷設されたガイドレールによって移動するテレビカメラを用いた区画内点検方法を表す図である。
【図4】従来の核燃料取扱施設において自走式の台車とテレビカメラとを用いた区画内点検方法を表す図である。
【図5】本発明の施設の処理工程と区画を表示する区画監視モニタの画面を表す図である。
【図6】本発明の硝酸漏洩した区画のガス濃度モニタの画面を表す図である。
【図7】本発明の硝酸漏洩していない区画のガス濃度モニタの画面を表す図である。
【図8】本発明の硝酸漏洩位置に紫外線を照射した場合のテレビモニタの画面を表す図である。
【図9】本発明の核燃料取扱施設の特定の区画を表す断面図である。
【図10】本発明の硝酸漏洩した区画のガス濃度モニタの画面を表す図である。
【図11】本発明の硝酸漏洩した際の施設の運転管理方法の工程図である。
【符号の説明】
1…区画の隔壁、2…剪断された使用済燃料、3…分配器、4…配管、5…クレーン、6…硝酸取扱い容器、7…容器内の硝酸液面、8…ポンプ、9…硝酸溶液を移送する配管、10…吸気系統配管、11…排気系統配管、12…硝酸溶液漏洩位置、13…空気中の一酸化窒素、二酸化窒素及びその他の酸化窒素の一つを検出するガス検出器、14…ガス検出器の信号線、15…溝、16…テレビカメラ、17…紫外線ランプ、18…テレビカメラ及び/又は紫外線ランプの電源及び信号線、19…ケーブル巻取り器、20…テレビカメラ及び/又は紫外線ランプの信号線、21…区画に設けられた小孔、22…核燃料取扱施設の処理制御盤、23…処理監視モニタ、24…処理操作ボタン、25…硝酸漏洩制御盤、26…区画監視モニタ、27…ガス濃度を表示させるための表示操作ボタン、28…ガス濃度モニタ、29…カメラ操作ボタン、30…テレビモニタ、31…天井敷設ガイドレール、32…ガイドレール台車、33…自走式台車、34…筒、35…伸縮可能な棒、36…ガス採取管、37…吸引ポンプ、38…ガス分析計、40…溶解槽、41…循環配管、42…燃料バスケット。
Claims (18)
- 隔壁によって区画される該区画内で核物質を硝酸溶液によって溶解又は硝酸溶液によって溶解された核物質を処理する核燃料取扱施設において、前記区画内の空気中の酸化窒素ガスを検出するガス検出手段を有することを特徴とする核燃料取扱施設。
- 隔壁によって区画される該区画内に核物質を溶解する溶解槽を備え、前記区画内の空気中の酸化窒素ガスを検出するガス検出手段を有することを特徴とする核燃料取扱施設。
- 隔壁によって区画される該区画内に核物質を溶解した硝酸溶液を収納する容器を備え、前記区画内の空気中の酸化窒素ガスを検出するガス検出手段を有することを特徴とする核燃料取扱施設。
- 請求項1〜3のいずれかにおいて、前記区画の外に前記処理された前記核物質を溶解した硝酸溶液を排出する排出配管を有することを特徴とする核燃料取扱施設。
- 隔壁によって区画される該区画内に、核物質を溶解する硝酸溶液を収納する容器と、前記核物質を溶解する溶解槽と、前記容器より前記核物質を溶解した硝酸溶液を排出する排出配管と、前記容器と溶解槽との間を前記硝酸溶液が循環するように設けられた循環配管とを備え、前記区画内の空気中の酸化窒素ガスを検出するガス検出手段を有することを特徴とする核燃料取扱施設。
- 隔壁によって区画される該区画内で核物質を硝酸溶液によって溶解又は硝酸溶液によって溶解された核物質を処理する核燃料取扱施設において、前記硝酸溶液に接している部分の外側に紫外線を照射する紫外線照射装置及び前記部分の表面を観察する観察装置を有することを特徴とする核燃料取扱施設。
- 請求項1〜6のいずれかにおいて、前記区画内の排気を行う排気装置を有し、該排気装置の排気系に前記ガス検出器を有することを特徴とする核燃料取扱施設。
- 請求項1〜7のいずれかにおいて、前記区画内に空気を送風する吸気装置と、前記排気装置とを有し、前記吸気装置の給気系及び前記排気装置の排気系に前記ガス検出器を有することを特徴とする核燃料取扱施設。
- 請求項7又は8において、前記紫外線照射装置及び観察装置は前記区画の外から遠隔操作により垂直方向及び水平方向に駆動する機構又は床面を自走する機構を備えていることを特徴とする核燃料取扱施設。
- 請求項1〜9のいずれかにおいて、前記酸化窒素ガスは、一酸化窒素、二酸化窒素及び亜酸化窒素の少なくとも1つであることを特徴とするの核燃料取扱施設。
- 請求項1〜10のいずれかにおいて、前記排気系から排出される前記酸化窒素ガスを濃縮する濃縮手段と該濃縮された前記酸化窒素ガスを分析する分析器とを有することを特徴とする核燃料取扱施設。
- 請求項6〜11のいずれかにおいて、前記紫外線照射装置は、200〜450nmの波長を放射する光源を備えていることを特徴とする核燃料取扱施設。
- 請求項1〜12のいずれかにおいて、前記区画内に前記硝酸溶液を加熱する加熱装置を有することを特徴とする核燃料取扱施設。
- 請求項1〜13のいずれかにおいて、前記硝酸溶液を扱う前記区画を複数有することを特徴とする核燃料取扱施設。
- 隔壁によって区画される該区画内で硝酸溶液によって核物質を溶解又は硝酸溶液によって溶解された核物質を処理する核燃料取扱施設の運転管理方法において、少なくとも前記区画内に前記硝酸溶液が収納されている間、前記区画の排気系から排出される酸化窒素ガスを検出することを特徴とする核燃料取扱施設の運転管理方法。
- 隔壁によって区画される該区画内で硝酸溶液によって核物質を溶解又は硝酸溶液によって溶解された核物質を処理する核燃料取扱施設の運転管理方法において、少なくとも前記区画内に前記硝酸溶液が収納されている間、前記区画の排気系から排出される酸化窒素ガスを検出し、該検出された酸化窒素ガス濃度と予め設定された酸化窒素ガス濃度との比較に基づいて前記区画内における前記硝酸溶液の漏洩の有無を判定又は前記検出された酸化窒素ガス濃度の増加によって前記硝酸溶液の漏洩の有無を判定することを特徴とする核燃料取扱施設の運転管理方法。
- 隔壁によって区画される該区画内で硝酸溶液によって核物質を溶解又は硝酸溶液によって溶解された核物質を処理する核燃料取扱施設の運転管理方法において、少なくとも前記区画内に前記硝酸溶液が収納されている間、前記硝酸溶液に接している部分の外表面に紫外線を照射し、該紫外線が照射された領域で発せられる可視光、蛍光及びりん光の少なくとも1つを検出することにより前記硝酸溶液の漏洩個所を判定することを特徴とする核燃料取扱施設の運転管理方法。
- 隔壁によって区画される該区画内で硝酸溶液によって核物質を溶解又は硝酸溶液によって溶解された核物質を処理する核燃料取扱施設の運転管理方法において、少なくとも前記区画内に前記硝酸溶液が収納されている間、前記区画の排気系から排出される酸化窒素ガスを検出し、該検出された酸化窒素ガス濃度が予め設定された酸化窒素ガス濃度以下の時、前記区画内の漏洩個所の判定に基づいて施設全体の運転を継続したまま前記漏洩個所の補修を行うことを特徴とする核燃料取扱施設の運転管理方法。
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CN108242392A (zh) * | 2016-12-26 | 2018-07-03 | 东京毅力科创株式会社 | 基板及其处理方法、装置、系统及控制装置、制造方法 |
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2002
- 2002-07-12 JP JP2002204169A patent/JP2004045264A/ja active Pending
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CN108242392B (zh) * | 2016-12-26 | 2023-12-22 | 东京毅力科创株式会社 | 基板及其处理方法、装置、系统及控制装置、制造方法 |
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