JP2004044558A - 多気筒内燃機関の吸気マニホルド - Google Patents
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Abstract
【解決手段】V型内燃機関の吸気マニホルドに形成されて、両バンクに属するシリンダに通じる互いに独立した第1,第2吸気通路は、分岐通路P2F,P2R、拡大容積室P3F,P3R、および下流側通路P4F,P4Rからなる。吸気マニホルドには、前記第1,第2吸気通路にEGRガスを導入するためのEGR管50が収納される保温室40が、外気から遮断されて形成される。EGR管50の1対の出口57aF,57aRは分岐通路P2F,P2Rに臨んでいる。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、多気筒内燃機関の吸気マニホルドに関し、詳細には、EGRガスを導入するためのEGR管が設けられた吸気マニホルドに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、排気ガス中の窒素酸化物を低減させたり、ポンピングロスを低減させるために、排気系から取り出した排気ガスの一部を吸気系に還流させる排気ガス再循環(EGR)装置を備えた内燃機関は周知である。EGR装置においては、還流される排気ガス(EGRガス)の温度が、局部的であるにしても、過度に低下すると、EGRガス中のタール等の付着物質の粘度が増して、その付着物質がEGRガス通路を形成するEGR管の内壁面にカーボンとして付着する。そして、長期の使用によりEGR管にカーボンが堆積して固化すると、固化したカーボンによりEGR管の流路面積が狭くなり、EGRガスの適正な流量を吸気系に導入することが困難になる。そして、このカーボンの堆積は、排気系と吸気系とを結ぶEGRガス通路を流れるEGRガスのうち、一般的にその温度が最も低くなるEGRガス通路の出口を含む下流端部で発生し易い。
【0003】
そのため、EGR管でのカーボンの堆積を防止するためには、EGRガスの温度の過度の低下を防止することが好ましく、特にEGRガス通路の下流端部でのEGRガスの温度低下を防止することが好ましい。そこで、例えば特許第2864365号公報に開示されたV型多気筒内燃機関のインテークマニホルドでは、シリンダヘッドに結合されたインジェクタベースにインテークマニホルドを取り付けるための上部取付フランジに、2つの集合吸気管の分岐部にEGRガスを供給するためのEGRガス通路が形成され、該上部取付フランジがカバーで覆われることにより、EGRガス通路の出口寄りの部分を流れるEGRガスの温度低下が防止される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記従来技術では、上部取付フランジとカバーとの間に形成される空間は、外気が流通する空間になっているため、上部取付フランジの温度は外気温の影響を受け易く、さらに内燃機関が車両用のものである場合は、前記空間内の空気は走行風の影響を受けて前記空間から流出し易くなる。しかも、カバーは、2つの集合吸気管が形成されたインテークマニホルドの本体部の一部と上部取付フランジのほぼ全体とを、上方から覆うものであるため、前記空間が比較的広いものとなっている。そのため、特に内燃機関の暖機時や、外気が低温のときには、EGRガス通路が、上部取付フランジに形成されていることによりインテークマニホルド自体の温度の影響を受け易くなっていることに加えて、前記空間によるEGRガスの効果的な保温機能が十分に発揮されず、EGRガスの温度が低下し、EGRガス中の付着物質がカーボンとしてEGRガス通路の通路壁の内面に付着して堆積する虞があった。
【0005】
また、EGRガスは、2つの集合吸気管の分岐部に供給されるため、両集合吸気管にEGRガスをバランスよく分配して、多気筒内燃機関の複数のシリンダ間でのEGRガス量を均等化することが困難であった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、良好な保温機能を発揮する保温室を設けることにより、EGRガス通路の下流端部を構成するEGRパイプでのEGRガスの温度低下によるカーボンの付着を防止すると共に、複数のシリンダ間でのEGR量のばらつきを抑制することができる多気筒内燃機関の吸気マニホルドを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
請求項1記載の発明は、第1気筒側および第2気筒側に二分された複数のシリンダを有する多気筒内燃機関に備えられて、前記第1気筒側に属する1または複数の前記シリンダに通じる第1吸気通路および前記第2気筒側に属する1または複数の前記シリンダに通じる第2吸気通路を有する吸気マニホルドであって、互いに独立した前記第1吸気通路および前記第2吸気通路が、それぞれ、吸気上流から吸気下流に向かって順次位置する、上流側通路と、拡大容積室と、前記拡大容積室に連通して当該気筒側に属する前記シリンダと同数の下流側通路とから構成される、多気筒内燃機関の吸気マニホルドにおいて、前記多気筒内燃機関の排気通路から前記第1吸気通路および前記第2吸気通路に至るEGRガス通路の下流端部を形成するEGR管が収納されて保温される保温室が、外気から遮断されて形成され、前記EGR管の出口が、前記保温室の室壁から前記各上流側通路または前記各拡大容積室の上流部に臨んでいる多気筒内燃機関の吸気マニホルドである。
【0008】
これにより、保温室の空気は、外気の影響を受けることがなく、EGRガスの熱により加熱されたEGR管からの放熱により加熱されて、その状態がほぼ保持されるので、保温室の保温機能が良好に発揮されて、EGR通路を流れるEGRガスが低温となる傾向にある下流端部を形成するEGR管を流れるEGRガスの温度低下が防止または抑制される。また、EGR管の2つの出口から流出したEGRガスは、各上流側通路を経て、各拡大容積空間にそれぞれ流入する。
【0009】
この結果、請求項1記載の発明によれば、次の効果が奏される。すなわち、吸気マニホルドには、内燃機関の排気通路から第1,第2吸気通路に至るEGRガス通路の下流端部を形成するEGR管が収納されて保温される保温室が、外気から遮断されて形成されることにより、保温室の保温機能が良好に発揮されて、EGR管を流れるEGRガスの温度低下が防止または抑制されて、EGRガス通路を流れるEGRガスが低温となる傾向にある下流端部を形成するEGR管において、特に内燃機関の暖機時や、外気が低温のときにも、EGRガス中のタール等の付着物質の粘度が増して、その付着物質がカーボンとしてEGR管の内壁面に付着することが防止されるので、長期に渡って適正な量のEGRガスを第1,第2吸気通路に供給することができる。また、EGR管の出口が、保温室の室壁から各上流側通路に臨んでいることにより、EGRガスは、EGR管の各出口から、それぞれ、第1,第2吸気通路の拡大容積室にそれぞれ供給されるので、第1,第2気筒側に分けられた複数のシリンダ間でのEGR量のばらつきが抑制される。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図1ないし図4を参照して説明する。
図1を参照すると、本発明が適用される多気筒内燃機関Eは、クランク軸(図示されず)の回転軸線の方向D(以下、回転軸線方向Dという。)が左右方向となる横置き配置で車両に搭載されるV型6気筒内燃機関である。内燃機関Eは、V字状のシリンダブロックと該シリンダブロックに結合された1対のシリンダヘッドとにより構成されてV字を形成する前バンクBFおよび後バンクBRを有する機関本体と、両バンクBF,BRの間に配置される吸気マニホルドIMを備える吸気装置と、各バンクBF,BRを挟んで吸気マニホルドIMとは反対側に配置される1対の排気マニホルドEMとを備える。
【0011】
なお、この実施例において、「前後」および「左右」は、内燃機関Eが搭載される車両を基準としたもので、それぞれ、車両の前後および左右と一致する。
【0012】
各バンクBF;BRの前記シリンダブロックはピストンが往復動可能に嵌合する3つのシリンダC1,C3,C5;C2,C4,C6を有し、前記シリンダヘッドと前記ピストンとの間に形成された燃焼室の燃焼ガス圧により往復駆動される前記各ピストンは、コンロッドを介してクランク室に収納された前記クランク軸を回転駆動する。それゆえ、この内燃機関Eにおいて、6つのシリンダC1〜C6が第1気筒側である前バンクBFおよび第2気筒側である後バンクBRに属するように二分され、しかも各バンクBF,BRには吸気行程が連続しない3つのシリンダC1,C3,C5;C2,C4,C6が属する。
【0013】
前記吸気装置は、吸入された外気を清浄にするエアクリーナと、該エアクリーナに接続されてスロットル弁が設けられるスロットルボディと、該スロットルボディに接続される吸気マニホルドIMと、吸気マニホルドIMと両バンクBF,BRの前記シリンダヘッドとの間に配置される接続フランジFとを有する。そして、吸気マニホルドIMは接続フランジFを介して両バンクBF,BRの前記シリンダヘッドの吸気側に接続されて、前記エアクリーナ、前記スロットルボディ、吸気マニホルドIMおよび接続フランジFにそれぞれ形成されて燃焼用の空気が流通する通路と、前記シリンダヘッドに形成された吸気ポートとにより吸気通路が構成される。この吸気通路を通って前記燃焼室に吸入される空気は前記吸気通路または前記燃焼室に供給される燃料と混合して混合気を形成し、該混合気が前記燃焼室内で点火栓により点火されて燃焼して、前記ピストンを往復駆動する高圧の燃焼ガスが発生する。
【0014】
一方、前記燃焼室から排出された燃焼ガスである排気ガスを外気中に放出するための各排気マニホルドEMは、各バンクBF,BRの前記シリンダヘッドの排気側に接続されて、両排気マニホルドEMに接続される排気管およびマフラ等と共に排気装置を構成する。そして、前記シリンダヘッドに形成された排気ポートと、排気マニホルドEM、前記排気管および前記マフラ等にそれぞれ形成されて排気ガスが流通する通路とにより排気通路が構成される。
【0015】
図2を併せて参照すると、吸気マニホルドIMは、本体1と、該本体1にシール部材としてのガスケット3を介して気密に結合されるカバー2(図3参照)とから構成される。なお、4は、本体1とカバー2とを結合するボルト5がねじ込まれるねじ孔である。
【0016】
本体1は、前記スロットルボディに接続される分配管6と、分配管6に連なると共に両バンクBF,BRに沿って回転軸線方向Dに延びる1対のサージタンク10F,10Rと、入口11aF,11aRが各サージタンク10F,10R内に開放すると共に出口11bF,11bRが各バンクBF;BRに属する3つのシリンダC1,C3,C5;C2,C4,C6に通じる相互に独立した3つの下流側吸気管としての枝管11F,11Rと、両サージタンク10F,10Rの間に配置されて吸気マニホルドIMを接続フランジFに結合するためのフランジ20とを備え、本体1のこれら構成要素は、すべて、例えば金属材料から鋳造により一体成形される。なお、この明細書において、「上流」および「下流」は、吸気の流れに関しての上流および下流をそれぞれ意味する。
【0017】
また、接続フランジFには、各枝管11F,11Rに接続されて、各枝管11F,11Rにより形成される下流側通路P4F,P4Rを前記吸気ポートに通じさせるための接続通路を形成する、枝管11F,11Rと同数の接続吸気管としての接続管12F,12R(図1参照)が一体成形されている。ここで、下流側通路P4F,P4Rおよび前記接続通路は、燃焼用の空気が通る通路である。
【0018】
分配管6は、分配管6の上流側部分を構成して前記スロットルボディに接続される導入管7と、分配管6の分岐部9で分岐して、分配管6の下流側部分を構成すると共に両サージタンク10F,10Rにそれぞれ連続する1対の分岐管8F,8Rとからなる。ここで、導入管7および各分岐管8F,8Rは、燃焼用の空気が通る通路としての導入通路P1および分岐通路P2F,P2Rを構成する。
【0019】
各サージタンク10F,10Rにより形成される拡大容積室P3F,P3Rは、分岐通路P2F,P2Rからの空気の入口を含む上流部P3aF,P3aRを有する。そして、各バンクBF;BRに属するすべてのシリンダC1,C3,C5;C2,C4,C6にそれぞれ通じるすべての枝管11F,11Rの入口11aF,11aRは、拡大容積室P3F,P3Rにおいて、上流部P3aF,P3aRよりも下流側になる部分で拡大容積室P3F,P3Rに開放している。
【0020】
燃焼用の空気が通る通路である各拡大容積室P3F,P3Rに対して、分岐通路P2F,P2Rはその上流側に位置することから、各分岐通路P2F,P2Rは、吸気マニホルドIMにおいて上流側通路を構成する。そして、吸気マニホルドIMにおいて、前バンクBFに属するすべてのシリンダC1,C3,C5に燃焼用の空気を供給するために、上流から下流に向かって順次位置する分岐通路P2F、拡大容積室P3Fおよび各下流側通路P4Fは、第1吸気通路を構成し、後バンクBRに属するすべてのシリンダC2,C4,C6に燃焼用の空気を供給するために、上流から下流に向かって順次位置する分岐通路P2R、拡大容積室P3Rおよび各下流側通路P4Rは、第2吸気通路を構成する。それゆえ、前記第1吸気通路と前記第2吸気通路とは、互いに独立した通路である。
【0021】
フランジ20の接続フランジF側の壁である底壁21(図3,図4参照)は、各下流側通路P4F,P4Rの出口11bF,11bR、吸気マニホルドIMと接続フランジFとを結合するボルトが挿通される挿通孔22aが形成されたボス部22、および後述するEGRガス通路41の一部である通路43を除いて、平面状の壁面で構成される接続フランジFとの合わせ面21aを有する。
【0022】
図2,図3を参照すると、フランジ20において、接続フランジF側とは反対側にあって、カバー2が装着されるカバー2側には、ガスケット3が載置されるシール面S(図2において、ハッチングを施した部分。)を有するカバー取付部23が形成される。このカバー取付部23は、図2に示されるように、平面視で各バンクBF,BRに属する3つの枝管11F,11Rに交差するように回転軸線方向Dに互いに平行に延びる1対の側部24,25と、両側部24,25を、回転軸線方向Dでの両端部で連結する連結部26,27と、分配管6寄りの連結部26よりも導入管7に向かって突出するように、両側部24,25の端部から、平面視で弧状に延びる連結部28とを有する。
【0023】
ここで、両側部24,25および連結部26のシール面Sには、平面視でU字状に延びる1条の溝30が形成され、該溝30がガスケット3を介して結合されるカバー2により覆われることにより、ブリーザ通路31が形成される。そのため、一方の側部24の連結部27側の端部には、ブローバイガスの入口部である管継手33が設けられ、両側部24,25には、枝管11F,11Rにそれぞれ連通するブローバイガスの出口32が形成される。管継手33には、前記クランク室内のブローバイガスを導くブリーザ管(図示されず)が接続される。これにより、ブローバイガスが、前記ブリーザ管から管継手33を経てブリーザ通路31に流入し、その後各出口32から下流側通路P4F,P4Rに流出して、前記吸気通路を流れる空気と共に前記燃焼室に再度吸入された後、燃焼される。
【0024】
そして、フランジ20には、両側部24,25と両連結部26,27とを周壁として、該周壁と底壁21とカバー2とにより形成される容積室からなる連絡室P5が形成される。この連絡室P5には、回転軸線方向Dで隣接する枝管11F,11Rの間および回転軸線方向Dで両端部に位置する枝管11F1,11R2;11F5,11R6と連結部26;27との間に、各拡大容積室P3F,P3Rに通じる3つずつの連通路P6F,P6Rが形成される。
【0025】
連絡室P5には、平面視で、両側部24,25のほぼ中央に、両端部から回転軸線方向Dにそれぞれ突出する1対の突出部34,35が形成され、両突出部34,35の間に、6つの連通路P6F,P6Rを、各拡大容積室P3F,P3Rに通じる3つの連通路P6F,P6R群に二分する位置に、内燃機関Eの運転状態、例えば機関回転速度に応じて開閉される吸気制御弁36(図2に、二点鎖線で示される。)が配置される。
【0026】
具体的には、バタフライ弁から構成される吸気制御弁36は、機関回転速度に応じて低速回転域では閉弁して、各バンクBF;BRに属する吸気行程が連続しない3つのシリンダC1,C3,C5;C2,C4,C6の間で、前記吸気ポートを開閉する吸気弁の開閉により発生する圧力波を利用して、前バンクBFでは、拡大容積室P3Fと各下流側通路P4Fから前記吸気ポートまでの前記吸気通路の一部を共鳴通路として、また後バンクBRでは、拡大容積室P3Rと各下流側通路P4Rから前記吸気ポートまでの前記吸気通路の一部を共鳴通路として共鳴過給が行われて、低速回転域での機関トルクが増加する。そして、吸気制御弁36は高速回転域では開弁して、両拡大容積室P3F,P3Rが連通路P6F,P6Rを介して連絡室P5に連通して、より大きな空間が形成されることにより、前記吸気弁の開閉により発生する圧力波が各枝管11F,11Rの入口11aF,11aRで反射する慣性過給が行われて、高速回転域での機関トルクが増加する。
【0027】
さらに、フランジ20には、連結部28と連結部26とを周壁として、該周壁と底壁21とカバー2とから構成される室壁により、外気から遮断された保温室40が形成される。この保温室40は、分岐管8F,8Rの管壁を構成する連結部28と、すべての枝管11F,11Rのうち分岐管8F,8Rに回転軸線方向Dで最も近い位置にある枝管11F1と平面視で重なる位置に形成された連結部26を前記周壁とすることにより、比較的小さな容積を有する。
【0028】
そして、底壁21の一部分からなる保温室40の底壁21bには、前記排気通路から取り出された排気ガスの一部をEGRガスとして前記第1,第2吸気通路に導くための通路43が形成される。この通路43は、後述するEGR管50と共に、図1に示されるように内燃機関Eの運転状態、例えば機関負荷、機関回転速度および機関温度に応じてEGRガスの流量を制御するEGR制御弁42が設けられたEGRガス通路41の一部を構成する。
【0029】
図3,図4を参照すると、保温室40内には、通路43に接続されると共に、EGRガス通路41(図1参照)の下流端部を形成するEGR管50が収納されて、EGR管50に溶接された1対のボス部51の挿通孔に挿通されて底壁21bにねじ込まれるボルト52により、吸気マニホルドIMに結合される。EGR管50は、熱伝導率が良好な材料、例えば金属製、この実施例ではステンレス鋼製の板材をプレス加工で加工することにより形成されたU字状の断面を有する2つの薄肉の形材53,54を合わせることにより形成されている。そして、底壁21b側に位置することになる形材54には、通路43の接続孔43aに結合される接続筒54aが、プレス加工により該形材54に一体成形される。
【0030】
EGR管50は、接続筒54aにより構成されて入口55aを有する入口部55と、入口部55から両分岐管8F,8Rの下流端部に形成された1対の開口8aF,8aRに向かって分岐して延びる1対の導入部56F,56Rとから構成されて、全体としてT字状を呈する。各導入部56F,56Rは、前記第1吸気通路を構成する分岐通路P2Fおよび前記第2吸気通路を構成する分岐通路P2RへEGRガスを流出させるための出口57aF,57aRを有する出口部57F,57Rを備える。両開口8aF,8aRは、後述する保温室40と両分岐通路P2F,P2Rとを仕切る隔壁を構成すると共に、分岐管8F,8Rの内側管壁の一部でもある連結部28に形成され、出口部57F,57Rは開口8aF,8aRに進入して、その出口57aF,57aRが連結部28から各分岐通路P2F,P2Rの下流端部に臨んでいると共に、出口部57F,57Rと開口8aF,8aRを形成する周縁部37F,37Rとの間には、出口部57F,57Rの全周にわたる間隙G1が形成される。
【0031】
ここで、この間隙G1により形成される周縁部37F,37Rと出口部57F,57Rとの間の通路の通路面積は、内燃機関Eの体積効率に影響を及ぼさない程度、例えば前述した共鳴過給に関与しない程度の値に設定される。さらに、該通路面積は、前記周縁部と出口部57F,57Rとの間での空気の流通を極力少なくして、保温室40の保温効果の低下を抑えるように、極力小さな値に設定されることが好ましい。
【0032】
保温室40の容積は、比較的小容積に設定されるので、保温室40内の空気は、EGRガスの熱により加熱されたEGR管50からの放熱により加熱されて、その温度が速やかに上昇する。また、EGR管50は、保温室40内で、入口部55およびボス部51を除いて、保温室40の室壁である両連結部26,28、底壁21bおよびカバー2との間に間隙G2を形成して保持される。さらに、保温室40内の空気の熱が、保温室40の室壁を構成する連結部26に伝達されて、連結部26に形成されたブリーザ通路31が加熱され、さらにはブリーザ通路31を流れるブローバイガスが加熱される。
【0033】
前バンクBF側の拡大容積室P3Fにおいて、出口57aFよりもやや下流には、出口57aFに最も近い端部の枝管11F1の管壁が位置していて、該管壁により出口57aFから流出したEGRガスが拡大容積室P3Fの中央寄りに案内される。一方、後バンクBR側の拡大容積室P3Rにおいて、出口57aRよりもやや下流には、端部に位置する連通路P6F,P6Rの通路壁13が位置していて、該通路壁13により出口57aRから流出したEGRガスが拡大容積室P3Rの中央寄りに案内される。
【0034】
次に、前述のように構成された実施例の作用および効果について説明する。
内燃機関Eが運転されると、外気が前記エアクリーナを経て吸入された後、前記スロットル弁により流量制御された空気が、吸気マニホルドIMの前記第1,第2吸気通路を経て、前記接続通路および前記吸気ポートを通って吸入行程にある前記各シリンダC1〜C6の前記燃焼室に吸入され、別途供給された燃料を前記燃焼室で燃焼させる。前記燃焼室から排出された排気ガスが流れる排気マニホルドEM内の前記排気通路から取り出されたEGRガスは、EGR制御弁42により流量制御された後、保温室40内に収納されて保温されるEGR管50に流入する。そして、EGR管50の両出口57aF,57aRから前記第1,第2吸気通路に流出したEGRガスは、各分岐通路P2F,P2Rおよび各拡大容積室P3F,P3Rで空気と混合されて、各下流側通路P4F,P4Rに流入した後、前記燃焼室に吸入される。
【0035】
このように、吸気マニホルドIMには、内燃機関Eの前記排気通路から前記第1,第2吸気通路に至るEGRガス通路41の下流端部を形成するEGR管50が収納されて保温される保温室40が、外気から遮断されて形成されることにより、保温室40の空気は、外気や走行風の影響を受けることがなく、EGRガスの熱により加熱されたEGR管50からの放熱により加熱されて、その状態がほぼ保持されるので、保温室40の保温機能が良好に発揮されて、EGRガス通路41を流れるEGRガスが低温となる傾向にある下流端部を形成するEGR管50を流れるEGRガスの温度低下が防止または抑制されて、特に内燃機関Eの暖機時や、外気が低温のときにも、EGRガスの温度低下が効果的に防止ないしは抑制される。この結果、EGRガス中の付着物質の粘度が増して、その付着物質がEGR管50の内壁面に付着することが防止されるので、長期に渡って適正な量のEGRガスを前記第1,第2吸気通路を含む前記吸気通路に供給することができる。
【0036】
また、EGR管50の出口57aF,57aRが、保温室40の室壁を構成する連結部28から各分岐通路P2F,P2Rに臨んでいることにより、EGR管50の各出口57aF,57aRから流出したEGRガスは、前バンクBFに属するシリンダC1,C3,C5に通じる前記第1吸気通路の拡大容積室P3Fおよび後バンクBRに属するシリンダC2,C4,C6に通じる前記第2吸気通路の拡大容積室P3Rにそれぞれ供給されるので、前バンクBFおよび後バンクBRに二分されたすべてのシリンダC1〜C6間でのEGR量のばらつきが抑制される。
【0037】
保温室40は、分岐管8F,8Rの管壁を構成する連結部28と、すべての枝管11F,11Rのうち分岐管8Fに最も近接した位置にある枝管11F1と平面視で重なる位置に形成された連結部26を周壁とすることにより、その容積は比較的小容積に設定されるので、保温室40内の空気はEGR管50からの放熱により加熱されて、その温度が速やかに上昇して、保温室40による保温機能が向上し、EGR管50の内壁面へのカーボンの付着防止効果が一層向上する。
【0038】
また、EGR管50は、保温室40内で、入口部55およびボス部51を除いて、保温室40の室壁である両連結部26,28、底壁21bおよびカバー2との間に間隙G2を形成して保持されることにより、EGR管50の熱が熱伝導により吸気マニホルドIMへ逃げることが極力防止されて、EGRガスの温度低下が抑制されるので、加熱された空気で包囲されるEGR管50が、効率よく保温される。
【0039】
保温室40の室壁を構成する連結部26にブリーザ通路31が形成されていることにより、保温室40内の空気の熱が連結部26に伝達されて、連結部26,27に形成されたブリーザ通路31が加熱され、さらにはブリーザ通路31を流れるブローバイガスが加熱されるので、ブローバイガス中の水分の氷結が防止または抑制される。
【0040】
拡大容積室P3Fにおいて、枝管11F1の管壁により、出口57aFから流出したEGRガスが拡大容積室P3Fの中央寄りに案内され、拡大容積室P3Rにおいて、通路壁13により、57aRから流出したEGRガスが拡大容積室P3Rの中央寄りに案内されるので、両拡大容積室P3F,P3Rにおいて、両出口57aF,57aRからそれぞれ下流側の最初の枝管11F,11Rまでの空気流に沿う距離が異なるにも拘わらず、空気とEGRガスとのほぼ同じ混合状態が実現され、この点でもシリンダC1〜C6間のEGR量のばらつきが抑制される。
【0041】
以下、前述した実施例の一部の構成を変更した実施例について、変更した構成に関して説明する。
前記実施例では、出口57aF,57aRは分岐通路P2F,P2Rの下流端部に臨むように配置されたが、分岐通路P2F,P2Rの下流端部以外の部分または拡大容積室P3F,P3Rの上流部P3aF,P3aRに臨むように配置されてもよい。
【0042】
各バンクBF;BRは、3つのシリンダC1,C3,C5;C2,C4,C6を有していたが、1つのバンクを構成するシリンダの数は、1または3を除く複数であってもよい。さらに、多気筒内燃機関は、前記実施例ではV型内燃機関であったが、直列多気筒内燃機関等、V型以外のシリンダ配列を有する多気筒内燃機関であってもよく、その際、第1気筒側および第2気筒側にそれぞれ属するシリンダの数は、1つでもよいし、気筒群を構成する2以上のシリンダであってもよい。
【0043】
EGR管50は、前記実施例では、プレス加工により形成された形材53,54を使用して形成されたが、鋳造により一体成形されてもよい。各分岐通路P2F,P2RにEGRガスを排出するEGR管50の出口は複数であってもよく、また、両分岐通路P2F,P2RにEGRガスを排出するEGR管は別個の管から構成されてもよい。
【0044】
保温室40内の間隙G2には、熱伝導率の小さい材料である保温材または断熱材が充填されてもよい。保温室40を形成するカバー2は連絡室P5を形成するカバーとは別体でもよい。
【0045】
多気筒内燃機関は、前記実施例では車体に横置きで搭載されたが、縦置きに搭載されるものであってもよい。また、多気筒内燃機関は、車両以外に、鉛直方向を指向するクランク軸を備える船外機等の船舶推進装置に使用されるものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例である吸気マニホルドが使用されたV型内燃機関の要部模式図である。
【図2】図1のV型内燃機関の吸気マニホルドの本体の平面図である。
【図3】図2の吸気マニホルドに本体にガスケットを介してカバーを装着したときの図2のIII−III線での断面図である。
【図4】図2のIV−IV線断面図である。
【符号の説明】
1…本体、2…カバー、3…ガスケット、4…ねじ孔、5…ボルト、6…分配管、7…導入管、8F,8R…分岐管、9…分岐部、10F,10R…サージタンク、11F,11R…枝管、12F,12R…接続管、13…通路壁、
20…フランジ、21…底壁、22…ボス部、23…カバー取付部、24,25…側部、26〜28…連結部、30…溝、31…ブリーザ通路、32…出口、33…管継手、34,35…突出部、36…吸気制御弁、37F,37R…周縁部、
40…保温室、41…EGRガス通路、42…EGR制御弁、
50…EGR管、51…ボス部、52…ボルト、53,54…形材、55…入口部、
E…内燃機関、D…回転軸線方向、BF,BR…バンク、IM…吸気マニホルド、EM…排気マニホルド、C1〜C6…シリンダ、F…接続フランジ、G1,G2…間隙、P1…導入通路、P2F,P2R…分岐通路、P3F,P3R…拡大容積室、P3aF,P3aR…上流部、P4F,P4R…下流側通路、P5…連絡室、P6F,P6R…連通路。
Claims (1)
- 第1気筒側および第2気筒側に二分された複数のシリンダを有する多気筒内燃機関に備えられて、前記第1気筒側に属する1または複数の前記シリンダに通じる第1吸気通路および前記第2気筒側に属する1または複数の前記シリンダに通じる第2吸気通路を有する吸気マニホルドであって、互いに独立した前記第1吸気通路および前記第2吸気通路が、それぞれ、吸気上流から吸気下流に向かって順次位置する、上流側通路と、拡大容積室と、前記拡大容積室に連通して当該気筒側に属する前記シリンダと同数の下流側通路とから構成される、多気筒内燃機関の吸気マニホルドにおいて、
前記多気筒内燃機関の排気通路から前記第1吸気通路および前記第2吸気通路に至るEGRガス通路の下流端部を形成するEGR管が収納されて保温される保温室が、外気から遮断されて形成され、前記EGR管の出口が、前記保温室の室壁から前記各上流側通路または前記各拡大容積室の上流部に臨んでいることを特徴とする多気筒内燃機関の吸気マニホルド。
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