JP2004044466A - ダクトへのファン取付け構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】電子機器内に設けられた、内部換気ファンとこれに結合されたダクトとの結合構造において、ダクトの静音化および気密性向上を簡単な構成で実現する。
【解決手段】樹脂製ダクト1の先端部に、熱可塑性エラストマーからなる振動吸収部材2を一体成形し、ファン11をこの振動吸収部材2を介してダクト1に取り付ける。上記一体成形では、たとえばPET樹脂製のダクト1をインサート成形機の金型にセットし、この金型にポリエステル系エラストマーを射出成形する。成形温度を適宜温度に設定することで、振動吸収部材2と樹脂製ダクト1との間に適度の融着性を確保することができるとともに、手作業で比較的容易に振動吸収部材2を樹脂製ダクト1から剥離することができるようになる。
【選択図】 図1
【解決手段】樹脂製ダクト1の先端部に、熱可塑性エラストマーからなる振動吸収部材2を一体成形し、ファン11をこの振動吸収部材2を介してダクト1に取り付ける。上記一体成形では、たとえばPET樹脂製のダクト1をインサート成形機の金型にセットし、この金型にポリエステル系エラストマーを射出成形する。成形温度を適宜温度に設定することで、振動吸収部材2と樹脂製ダクト1との間に適度の融着性を確保することができるとともに、手作業で比較的容易に振動吸収部材2を樹脂製ダクト1から剥離することができるようになる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子機器等に配備される吸排気経路に関し、詳しくは、ダクトへのファン取付け構造、吸気ファン、ダクトおよび、これらファン取付け構造等を設けた電子機器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、コンピュータやその周辺機器、家電製品、事務機器(複写機、プリンタ等)などの電子機器では、小型化・静音化の要求が高まっている。ところが装置(電子機器)を小型化した場合、内部温度が上昇しやすくなるので、これを防止する目的で、換気用のファン(排気ファンまたは吸気ファン)を内蔵したものが提供されている。
【0003】
しかし、このような内部ファンを設ける場合、静音化および、この内部ファンが結合されたダクトの気密性を確保するのが難しくなる。すなわち、ファンは回転体であって振動を発生させるものであり、この振動が内部ファンとダクトとの結合部(締結部)の共振を引き起こす結果、騒音が発生したり、ファンの吸気口で風切り音が発生したりする。また、ダクトの気密性が良くないと気流効率が低下し、温度上昇を抑えることができなくなる。
【0004】
静音化対策のため、ファンのカバーに生じた隙間を塞ぐ構造として、熱可塑性エラストマー(以下、エラストマーと記載することがある)などからなる弾性部材を、上記カバーに取り付けたものが知られている。このエラストマーは、常温ではゴムのような弾性を有しながら、加熱により溶融再生が可能で、耐候性・耐オゾン性・耐寒性・耐熱性・加工性に優れたポリマー素材である。
【0005】
ところで、エラストマーを構成部材として用いた装置等に関する発明が、特開平11−62618号公報、特開2000−128202号公報、特開2000−199567号公報などに記載されている。これらの発明に係る装置等では、エラストマーを2色成形またはインサート成形により相手の構成部材に一体化させた構造となっている。
【0006】
しかし、これらの発明は、電子機器に内蔵された換気ファンに関するものではないし、構造が必ずしも簡単ではなく組付け性に劣り、低コストに提供するのが難しいという不具合がある。
【0007】
また、エラストマーからなるガスケットを用いたシール構造として特開2000−81141号公報に開示されたものがある。この発明の目的は、確実な密封特性を維持することができるガスケット及びガスケット付きカバーを提供すること、特に、集積回路等を内蔵する箱状の本体とカバー体との接合面を密封するガスケットにおける密封性を向上させることにある。
【0008】
すなわち、図7に示すガスケット付きカバー160では、箱状の本体162と鋼板、ステンレス鋼、アルミニウム等からなる金属製のカバー体161との接合面に配設され、これら箱状本体162とカバー体161とを密封一体化するためのガスケット163が、熱可塑性エラストマーからなり、かつ、カバー体161の取付け孔165を通じる取付け部164を備えている。図7において、符号167は取付けボルト、符号168はボルト孔である。
【0009】
このガスケット付きカバー160では、ガスケット163の取付け部164において取付けネジや取付けボルト167等の固定具でカバー体161を箱状本体162に取り付けることができるので、このガスケット163による密封性を向上させることが可能である。しかし、このようなシール構造を、エラストマー製ガスケット163の一体成形で得る場合、成形コストが高くなるという問題がある。また、上記シール構造では、ガスケット163がカバー体161に堅固に結合しているため、上記カバー体161を再生利用する場合に、これらを容易に分別することができないという不具合がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来技術の上記問題点に鑑みなされたもので、その目的は、電子機器等の内部を換気するための換気ファンに結合されたダクトの、静音化および気密性向上を簡単な構成で実現することができるとともに、組付け性にも優れた、ダクトへのファン取付け構造等を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、樹脂製ダクトに対するファンの取付け構造において、ダクトまたはファン(排気ファンまたは吸気ファン)の適所に、熱可塑性エラストマーからなる振動吸収部材を一体成形し、該振動吸収部材を介してファンをダクトに取り付けたことを特徴とするダクトへのファン取付け構造である(図1を参照)。
【0012】
請求項2に係る発明は、ダクトの端部にネジ孔を形成するとともに、該ネジ孔形成部に振動吸収部材を一体成形し、該ネジ孔にネジを螺合することにより、ファンをダクトに取り付けたことを特徴とする請求項1に記載のダクトへのファン取付け構造である(図1、図2を参照)。
【0013】
請求項1,2の発明では、ファンの振動が原因で発生するダクトの共振が、前記振動吸収部材によって抑制される。
【0014】
請求項3に係る発明は、外気導入側に吸気用カバーを設けた吸気ファンであって、前記吸気用カバーは、内周側に外気導入用の開口部を形成した枠体からなる樹脂製のカバー本体と、該カバー本体の背面側に一体成形された熱可塑性エラストマーからなる振動吸収部材とからなり、該振動吸収部材には吸気用の溝が多数形成され、前記カバー本体は、前記振動吸収部材を介してファンに取り付けられていることを特徴とする吸気ファンである(図3を参照)。本発明では、吸気ファンの吸気部での風切り音が、振動吸収部材により低減される。
【0015】
請求項4に係る発明は、前記振動吸収部材が発泡体であることを特徴とする請求項3に記載の吸気ファンである。本発明では、振動吸収部材の弾性力が適度に低下するので、カバー本体を吸気ファンに簡便に組み付けることができる。
【0016】
請求項5に係る発明は、軸断面形状がコの字型である2つのダクト部材同士を接合することにより構成された、軸断面形状が四角形の樹脂製ダクトであって、前記ダクト部材の適所に樹脂製のスナップフィット部材が一体成形されているとともに、前記ダクト部材の、長手方向(気流方向)に沿う端面に熱可塑性エラストマーからなる振動吸収部材が一体成形され、前記振動吸収部材同士を接触させた状態で前記スナップフィット部材同士を係止させることにより、前記2つのダクト部材が相互に接合されていることを特徴とするダクトである(図4、図5を参照)。本発明によれば、ダクトの組立て性が向上する。
【0017】
請求項6に係る発明は樹脂製ダクトと、これに一体成形された熱可塑性エラストマーからなるエラストマー製ダクトとからなり、該エラストマー製ダクトの両端部が樹脂製ダクトの端部に連結されていることを特徴とするダクトである(図6を参照)。本発明によれば、ダクトの組立て性が向上する。
【0018】
請求項7に係る発明は樹脂製ダクトと、これに一体成形された熱可塑性エラストマーからなるエラストマー製ダクトとからなり、屈曲部を有するダクトであって、該屈曲部が前記エラストマー製ダクトで形成され、かつ該エラストマー製ダクトの両端部が樹脂製ダクトの端部に連結されていることを特徴とするダクトである(図6を参照)。本発明によれば、ダクト屈曲部を簡易形状のものにすることができる。
【0019】
請求項8に係る発明は、ダクトおよびファンが、請求項1または2に記載のダクトへのファン取付け構造により内蔵されていることを特徴とする電子機器である。請求項9に係る発明は、請求項3または4に記載の吸気ファンが配備されていることを特徴とする電子機器である。請求項10に係る発明は、請求項5〜7のいずれかに記載のダクトと、これに連結されたファンとが内蔵されていることを特徴とする電子機器である。
【0020】
請求項11に係る発明は、ダクトの側面、上面または下面に熱可塑性エラストマーからなる振動吸収部材を一体成形し、該振動吸収部材を介して前記ダクトを、当該電子機器の適所に取り付けたことを特徴とする電子機器である(図1を参照)。
【0021】
また、本発明では、それぞれ以下の特徴を有するファン取付け構造、吸気ファンまたはダクトを構成することもできる。
(1)前記振動吸収部材が、手作業で容易に剥離可能となっていることを特徴とする請求項1または2に記載のダクトへのファン取付け構造。
(2)前記振動吸収部材が、手作業で容易に剥離可能となっていることを特徴とする請求項3または4に記載の吸気ファン。
(3)前記振動吸収部材が、手作業で容易に剥離可能となっていることを特徴とする請求項5に記載のダクト。
(4)前記エラストマー製ダクトが、手作業で容易に樹脂製ダクトから剥離可能となっていることを特徴とする請求項6または7に記載のダクト。
これらファン取付け構造等によれば樹脂製部材と、エラストマー製部材との分離・分別が容易となる。
【0022】
前記振動吸収部材等(エラストマー製部材)を手作業で容易に樹脂製部材から剥離できるようにするためには、
(1)樹脂製部材とエラストマー製部材との接合面積を必要最小限にする、
(2)エラストマー製部材を樹脂製部材に対して一体成形するときの条件、例えば射出される溶融エラストマーの温度(成形温度)を適宜温度に制御する、
(3)樹脂製部材の樹脂素材と、エラストマー製部材のエラストマー素材との組合わせを適宜に設定する、
などの手段が採用できる。なお、上記(3)については後記する。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面をもとに説明する。
第1の実施の形態
図1は、ダクトへのファン取付け構造、すなわち樹脂製ダクト1に対する換気用ファン11(排気ファンまたは吸気ファン)の結合構造を示す分解斜視図である。このファン取付け構造では、樹脂製ダクト1の先端部に、熱可塑性エラストマーからなる振動吸収部材2が一体成形され、ファン11がこの振動吸収部材2を介してダクト1に取り付けられている。
【0024】
図2はダクト1先端部に対する振動吸収部材2の一体成形の態様例を示す断面図である。ダクト1の先端部にネジ孔1aを形成し、このネジ孔形成部に、貫通孔2aが形成された振動吸収部材2を一体成形するとともに、この貫通孔2aをネジ孔1aに連通させ、このネジ孔にネジ14をファン11側から貫通孔15を介して螺合することにより、ファン11をダクト1に取り付けたものである。
【0025】
図1,2に記載の符号について説明すると、3はダクト1の側面に一体成形された振動吸収部材、4は通気路、12はファン11のケーシング、13は羽根(ファン本体)である。なお、振動吸収部材3は、これを介して上記ダクト1を、図略の電子機器の適所に固定配備するためのものである。
【0026】
このように図1,2のファン取付け構造では、ファン11とダクト1との締結部にエラストマー製の振動吸収部材2が介在配備されているため、ファン11が発生する振動に起因する、ケーシング12とダクト1との締結部の共振が抑えられ、その結果、ファン11の吸気口での風切り音が防止される。また、ダクト1の気密性が向上し、気流効率が確保されて装置内の温度上昇が抑えられる。さらに、振動吸収部材3を介してダクト1を電子機器内に固定することで、ダクト1の振動が電子機器に伝わるのを防止することができる。
【0027】
ダクト1先端部に対する振動吸収部材2の一体成形の態様例は、図2に示すとおりで、(a)は振動吸収部材2の背面全面をダクト表面に融着させたものである。(b)は振動吸収部材2背面の内周部位に形成したリング状部分を融着させたもの、(c)は振動吸収部材2背面の外周部位に形成したリング状部分を融着させたものである。このように、(b),(c)では振動吸収部材2がダクト1に部分的に結合しているので、手作業で振動吸収部材2をダクト1から容易に引き剥がすことができる。
【0028】
第2の実施の形態
図3は本発明に係る吸気ファンの分解斜視図である。電子機器等の装置内に外気を吸気ファンで導入する場合、吸気ファンの吸気用カバー(外装カバー)の外気導入用開口部で風切り音が発生しやすくなる。そこで、本実施の形態は、この風切り音を低減するとともに、吸気用カバーの振動が吸気ファンに伝達するのを抑えるように構成したものである。
【0029】
図3に示すように吸気用カバー31は、内周側に外気導入用の開口部33を形成した枠体からなる樹脂製のカバー本体32と、このカバー本体の背面側に一体成形された、熱可塑性エラストマーからなる四角環状の振動吸収部材34とからなる。この振動吸収部材34は、吸気ファン21の外気導入側に嵌合する大きさに成形され、この振動吸収部材34には吸気用の溝35が多数形成されている。カバー本体32は、振動吸収部材34を介して吸気ファン21の吸気側に、ネジ14で取り付けられるようになっている。この振動吸収部材34により、吸気ファン21の振動が吸収されるとともに、カバー本体32(従来構造の吸気用カバーに相当する)の共振が抑えられる。
【0030】
上記風切り音は、吸気ファンの吸気能力が大きい割に、開口部の面積が小さい場合に発生しやすい。しかしながら、開口部の大きさは吸気ファンの強度確保のために制限されることが多い。したがって、風切り音が気になる場合には、開口部を通る風量を調整する必要がある。上記吸気用の溝35は、開口部の大きさの不足分を補うことにより、十分な風量を確保するためのものである。なお、上記振動吸収部材34は、発泡体であることが好ましい。
【0031】
第3の実施の形態
図4はダクト部材の斜視図である。本実施の形態の樹脂製ダクト41は、軸断面形状がコの字型のダクト部材42を2つ用意し、これらを面対象的に接合することで、軸断面形状が四角形に構成される。この場合、ダクト部材42の適所に樹脂製のスナップフィット部材43を一体成形するとともに、このダクト部材42の長手方向に沿う端面に熱可塑性エラストマーからなる振動吸収部材44を一体成形する。そして、この振動吸収部材44同士を対向・接触させた状態でスナップフィット部材43同士を係止させることにより、2つのダクト部材42,42を接合して樹脂製ダクト41を組み立てる。この樹脂製ダクト41では、スナップフィット部材43を設けたので、ネジ止めを行う必要がない。しかし、スナップフィットを利用しているため、ダクト部材同士の接合部での気密性が不十分になるおそれがある。振動吸収部材44は、この不具合をなくす役目をも果たすものである。
【0032】
図5(a)〜(e)は、ダクト部材42に対する振動吸収部材44の一体成形の態様例を示す断面図である。ダクト41を再生リサイクル材の原料にするためには、プラスチック材とエラストマーとの分別、すなわちダクト部材42からの振動吸収部材44の剥離が不可欠である。図5に示すように、振動吸収部材44のダクト部材42に対する結合面積を必要最小限に抑えることにより、手作業で比較的容易に振動吸収部材44をダクト部材42から引き剥がすことができる。また、振動吸収部材44を発泡体エラストマーで成形することによりその柔軟性が増し、ダクトの組立てを簡便に行うことが可能になる。
【0033】
第4の実施の形態
図6はダクトの構造を示す斜視図である。このダクト51は屈曲部(屈曲した流路)を有するもので、断面四角筒状の樹脂製ダクト52と、これに一体成形された熱可塑性エラストマーからなるエラストマー製ダクト53とからなり、このエラストマー製ダクトが上記屈曲部を形成しており、かつこの該エラストマー製ダクト53の両端部が樹脂製ダクト52の端部に連結されている。
【0034】
複数のダクトをその長手方向(気流の流過方向)に連結してダクトを構成する場合、樹脂製ダクトをエラストマー製ダクトを介して連結すれば、このダクトの気密性が増す。また、部品点数が減るため、組立て工数も低減できる効果もある。本実施の形態では、ダクト51のエラストマー部分を吸排気経路の屈曲部分に配置したものである。エラストマーはゴムのような弾性を持つため、自然な屈曲経路が出来る。また、樹脂製ダクトの位置決めの自由度が増すことで、組付け性も向上する。
【0035】
上記第1〜第4の実施の形態では、エラストマー製部材(たとえば、図1の振動吸収部材2)が樹脂製部材(たとえば、図1の樹脂製ダクト1)に一体成形されている。このエラストマー製部材を樹脂製部材から容易に剥離できるようにするための構成については、既に簡単に説明したが、ここで、上記(3)の手段すなわち、樹脂製部材の樹脂素材と、エラストマー製部材のエラストマー素材との組合わせを適宜に設定することによる、剥離性向上手段について具体的に説明する。
【0036】
まず、上記樹脂製部材を形成するための樹脂の種類は、特に限定されるものではなく、またインサート成形時にエラストマー層が融着性(接着性)良く積層形成できる樹脂が好適である。好ましい樹脂材料としては、たとえばPC(ポリカーボネート)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PPE(ポリフェニレンエーテル)、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂)、PS(ポリスチレン)、PP(ポリプロピレン)が挙げられる。
【0037】
また、エラストマー製部材を形成するための熱可塑性エラストマーと、樹脂との組合わせは、例えば以下のものが好ましい。これらの組合わせによれば、適度の相互接着性(適度な融着性および、手作業により比較的容易にエラストマー層を樹脂層から剥離できる剥離容易性)を確保することができる。
【0038】
樹脂と熱可塑性エラストマーとの好ましい組合せを挙げると、
(a)PCとポリエステル系エラストマー(との組合わせ、以下同じ)、PCとポリアミド系エラストマー、(b)PETとポリエステル系エラストマー、(c)PBTとポリエステル系エラストマー、(d)PPEとポリエステル系エラストマー、(e)ABSとウレタン系エラストマー、ABSとポリエステル系エラストマー、ABSとポリアミド系エラストマー、(f)PSとウレタン系エラストマー、PSとポリエステル系エラストマー、PSとポリアミド系エラストマー、(g)PPとスチレン系エラストマー、PPとオレフィン系エラストマー、PPとウレタン系エラストマー、PPとポリエステル系エラストマー、PPとポリアミド系エラストマー等である。
【0039】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、本発明によれば、電子機器等に設けられた、内部換気用のファンとこれに結合されたダクトとの結合構造において、ダクトの静音化および気密性向上を簡単な構成で実現することができる、などの効果が得られる。以下、発明の効果を請求項別に説明する。
【0040】
請求項1,2発明によれば、ファンの振動が原因で発生するダクトの共振が、振動吸収部材によって抑制される。請求項3の発明によれば、吸気用カバーの開口部での風量を調整することができるため、吸気ファン風切り音が低減されるうえ、この風切り音が振動吸収部材により更に抑えられる。請求項4の発明によれば、振動吸収部材の弾性力が適度に低下するので、カバー本体を吸気ファンに簡便に組み付けることができる。請求項5〜7の発明によれば、ダクトの組立て性が向上する。また、請求項6,7の発明によればダクト経路の密閉性が増し、電子機器等の装置内の冷却効果が上がる。さらに請求項7の発明によれば、請求項6の発明による効果に加えて、ダクト屈曲部を簡易形状のものにすることができるという効果が得られる。
【0041】
請求項8の発明によれば、請求項1または2に係るファン取付け構造による効果を奏する電子機器が提供される。請求項9の発明によれば、請求項3または4に係る吸気ファンによる効果を奏する電子機器が提供される。請求項10の発明によれば、請求項5〜7のいずれかに係るダクトによる効果を奏する電子機器が提供される。請求項11の発明によれば、ダクトの振動が振動吸収部材で吸収されるため、電子機器に配備された他の構成部材の振動を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る、ダクトへのファン取付け構造を示す分解斜視図である。
【図2】図1の実施の形態に係るもので、ダクト先端部に対する振動吸収部材の一体成形の態様例を示す断面図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態に係る吸気ファンの分解斜視図である。
【図4】本発明の第3の実施の形態に係るダクトを構成するダクト部材の斜視図である。
【図5】図4の実施の形態に係るもので、ダクト部材に対する振動吸収部材の一体成形の態様例を示す断面図である。
【図6】本発明の第4の実施の形態に係るダクトを示す斜視図である。
【図7】エラストマーからなるガスケットを用いたシール構造の従来例を示す断面図である。
【符号の説明】
1:樹脂製ダクト
1a:ネジ孔
2:振動吸収部材
2a:貫通孔
3:振動吸収部材
4:通気路
11:ファン
12:ケーシング
13:羽根(ファン本体)
14:ネジ
15:貫通孔
21:吸気ファン
31:吸気用カバー
32:カバー本体(枠体)
33:開口部
34:振動吸収部材
35:吸気用の溝
41:樹脂製ダクト
42:ダクト部材
43:スナップフィット部材
44:振動吸収部材
51:ダクト
52:樹脂製ダクト
53:エラストマー製ダクト
(屈曲部)
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子機器等に配備される吸排気経路に関し、詳しくは、ダクトへのファン取付け構造、吸気ファン、ダクトおよび、これらファン取付け構造等を設けた電子機器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、コンピュータやその周辺機器、家電製品、事務機器(複写機、プリンタ等)などの電子機器では、小型化・静音化の要求が高まっている。ところが装置(電子機器)を小型化した場合、内部温度が上昇しやすくなるので、これを防止する目的で、換気用のファン(排気ファンまたは吸気ファン)を内蔵したものが提供されている。
【0003】
しかし、このような内部ファンを設ける場合、静音化および、この内部ファンが結合されたダクトの気密性を確保するのが難しくなる。すなわち、ファンは回転体であって振動を発生させるものであり、この振動が内部ファンとダクトとの結合部(締結部)の共振を引き起こす結果、騒音が発生したり、ファンの吸気口で風切り音が発生したりする。また、ダクトの気密性が良くないと気流効率が低下し、温度上昇を抑えることができなくなる。
【0004】
静音化対策のため、ファンのカバーに生じた隙間を塞ぐ構造として、熱可塑性エラストマー(以下、エラストマーと記載することがある)などからなる弾性部材を、上記カバーに取り付けたものが知られている。このエラストマーは、常温ではゴムのような弾性を有しながら、加熱により溶融再生が可能で、耐候性・耐オゾン性・耐寒性・耐熱性・加工性に優れたポリマー素材である。
【0005】
ところで、エラストマーを構成部材として用いた装置等に関する発明が、特開平11−62618号公報、特開2000−128202号公報、特開2000−199567号公報などに記載されている。これらの発明に係る装置等では、エラストマーを2色成形またはインサート成形により相手の構成部材に一体化させた構造となっている。
【0006】
しかし、これらの発明は、電子機器に内蔵された換気ファンに関するものではないし、構造が必ずしも簡単ではなく組付け性に劣り、低コストに提供するのが難しいという不具合がある。
【0007】
また、エラストマーからなるガスケットを用いたシール構造として特開2000−81141号公報に開示されたものがある。この発明の目的は、確実な密封特性を維持することができるガスケット及びガスケット付きカバーを提供すること、特に、集積回路等を内蔵する箱状の本体とカバー体との接合面を密封するガスケットにおける密封性を向上させることにある。
【0008】
すなわち、図7に示すガスケット付きカバー160では、箱状の本体162と鋼板、ステンレス鋼、アルミニウム等からなる金属製のカバー体161との接合面に配設され、これら箱状本体162とカバー体161とを密封一体化するためのガスケット163が、熱可塑性エラストマーからなり、かつ、カバー体161の取付け孔165を通じる取付け部164を備えている。図7において、符号167は取付けボルト、符号168はボルト孔である。
【0009】
このガスケット付きカバー160では、ガスケット163の取付け部164において取付けネジや取付けボルト167等の固定具でカバー体161を箱状本体162に取り付けることができるので、このガスケット163による密封性を向上させることが可能である。しかし、このようなシール構造を、エラストマー製ガスケット163の一体成形で得る場合、成形コストが高くなるという問題がある。また、上記シール構造では、ガスケット163がカバー体161に堅固に結合しているため、上記カバー体161を再生利用する場合に、これらを容易に分別することができないという不具合がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来技術の上記問題点に鑑みなされたもので、その目的は、電子機器等の内部を換気するための換気ファンに結合されたダクトの、静音化および気密性向上を簡単な構成で実現することができるとともに、組付け性にも優れた、ダクトへのファン取付け構造等を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、樹脂製ダクトに対するファンの取付け構造において、ダクトまたはファン(排気ファンまたは吸気ファン)の適所に、熱可塑性エラストマーからなる振動吸収部材を一体成形し、該振動吸収部材を介してファンをダクトに取り付けたことを特徴とするダクトへのファン取付け構造である(図1を参照)。
【0012】
請求項2に係る発明は、ダクトの端部にネジ孔を形成するとともに、該ネジ孔形成部に振動吸収部材を一体成形し、該ネジ孔にネジを螺合することにより、ファンをダクトに取り付けたことを特徴とする請求項1に記載のダクトへのファン取付け構造である(図1、図2を参照)。
【0013】
請求項1,2の発明では、ファンの振動が原因で発生するダクトの共振が、前記振動吸収部材によって抑制される。
【0014】
請求項3に係る発明は、外気導入側に吸気用カバーを設けた吸気ファンであって、前記吸気用カバーは、内周側に外気導入用の開口部を形成した枠体からなる樹脂製のカバー本体と、該カバー本体の背面側に一体成形された熱可塑性エラストマーからなる振動吸収部材とからなり、該振動吸収部材には吸気用の溝が多数形成され、前記カバー本体は、前記振動吸収部材を介してファンに取り付けられていることを特徴とする吸気ファンである(図3を参照)。本発明では、吸気ファンの吸気部での風切り音が、振動吸収部材により低減される。
【0015】
請求項4に係る発明は、前記振動吸収部材が発泡体であることを特徴とする請求項3に記載の吸気ファンである。本発明では、振動吸収部材の弾性力が適度に低下するので、カバー本体を吸気ファンに簡便に組み付けることができる。
【0016】
請求項5に係る発明は、軸断面形状がコの字型である2つのダクト部材同士を接合することにより構成された、軸断面形状が四角形の樹脂製ダクトであって、前記ダクト部材の適所に樹脂製のスナップフィット部材が一体成形されているとともに、前記ダクト部材の、長手方向(気流方向)に沿う端面に熱可塑性エラストマーからなる振動吸収部材が一体成形され、前記振動吸収部材同士を接触させた状態で前記スナップフィット部材同士を係止させることにより、前記2つのダクト部材が相互に接合されていることを特徴とするダクトである(図4、図5を参照)。本発明によれば、ダクトの組立て性が向上する。
【0017】
請求項6に係る発明は樹脂製ダクトと、これに一体成形された熱可塑性エラストマーからなるエラストマー製ダクトとからなり、該エラストマー製ダクトの両端部が樹脂製ダクトの端部に連結されていることを特徴とするダクトである(図6を参照)。本発明によれば、ダクトの組立て性が向上する。
【0018】
請求項7に係る発明は樹脂製ダクトと、これに一体成形された熱可塑性エラストマーからなるエラストマー製ダクトとからなり、屈曲部を有するダクトであって、該屈曲部が前記エラストマー製ダクトで形成され、かつ該エラストマー製ダクトの両端部が樹脂製ダクトの端部に連結されていることを特徴とするダクトである(図6を参照)。本発明によれば、ダクト屈曲部を簡易形状のものにすることができる。
【0019】
請求項8に係る発明は、ダクトおよびファンが、請求項1または2に記載のダクトへのファン取付け構造により内蔵されていることを特徴とする電子機器である。請求項9に係る発明は、請求項3または4に記載の吸気ファンが配備されていることを特徴とする電子機器である。請求項10に係る発明は、請求項5〜7のいずれかに記載のダクトと、これに連結されたファンとが内蔵されていることを特徴とする電子機器である。
【0020】
請求項11に係る発明は、ダクトの側面、上面または下面に熱可塑性エラストマーからなる振動吸収部材を一体成形し、該振動吸収部材を介して前記ダクトを、当該電子機器の適所に取り付けたことを特徴とする電子機器である(図1を参照)。
【0021】
また、本発明では、それぞれ以下の特徴を有するファン取付け構造、吸気ファンまたはダクトを構成することもできる。
(1)前記振動吸収部材が、手作業で容易に剥離可能となっていることを特徴とする請求項1または2に記載のダクトへのファン取付け構造。
(2)前記振動吸収部材が、手作業で容易に剥離可能となっていることを特徴とする請求項3または4に記載の吸気ファン。
(3)前記振動吸収部材が、手作業で容易に剥離可能となっていることを特徴とする請求項5に記載のダクト。
(4)前記エラストマー製ダクトが、手作業で容易に樹脂製ダクトから剥離可能となっていることを特徴とする請求項6または7に記載のダクト。
これらファン取付け構造等によれば樹脂製部材と、エラストマー製部材との分離・分別が容易となる。
【0022】
前記振動吸収部材等(エラストマー製部材)を手作業で容易に樹脂製部材から剥離できるようにするためには、
(1)樹脂製部材とエラストマー製部材との接合面積を必要最小限にする、
(2)エラストマー製部材を樹脂製部材に対して一体成形するときの条件、例えば射出される溶融エラストマーの温度(成形温度)を適宜温度に制御する、
(3)樹脂製部材の樹脂素材と、エラストマー製部材のエラストマー素材との組合わせを適宜に設定する、
などの手段が採用できる。なお、上記(3)については後記する。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面をもとに説明する。
第1の実施の形態
図1は、ダクトへのファン取付け構造、すなわち樹脂製ダクト1に対する換気用ファン11(排気ファンまたは吸気ファン)の結合構造を示す分解斜視図である。このファン取付け構造では、樹脂製ダクト1の先端部に、熱可塑性エラストマーからなる振動吸収部材2が一体成形され、ファン11がこの振動吸収部材2を介してダクト1に取り付けられている。
【0024】
図2はダクト1先端部に対する振動吸収部材2の一体成形の態様例を示す断面図である。ダクト1の先端部にネジ孔1aを形成し、このネジ孔形成部に、貫通孔2aが形成された振動吸収部材2を一体成形するとともに、この貫通孔2aをネジ孔1aに連通させ、このネジ孔にネジ14をファン11側から貫通孔15を介して螺合することにより、ファン11をダクト1に取り付けたものである。
【0025】
図1,2に記載の符号について説明すると、3はダクト1の側面に一体成形された振動吸収部材、4は通気路、12はファン11のケーシング、13は羽根(ファン本体)である。なお、振動吸収部材3は、これを介して上記ダクト1を、図略の電子機器の適所に固定配備するためのものである。
【0026】
このように図1,2のファン取付け構造では、ファン11とダクト1との締結部にエラストマー製の振動吸収部材2が介在配備されているため、ファン11が発生する振動に起因する、ケーシング12とダクト1との締結部の共振が抑えられ、その結果、ファン11の吸気口での風切り音が防止される。また、ダクト1の気密性が向上し、気流効率が確保されて装置内の温度上昇が抑えられる。さらに、振動吸収部材3を介してダクト1を電子機器内に固定することで、ダクト1の振動が電子機器に伝わるのを防止することができる。
【0027】
ダクト1先端部に対する振動吸収部材2の一体成形の態様例は、図2に示すとおりで、(a)は振動吸収部材2の背面全面をダクト表面に融着させたものである。(b)は振動吸収部材2背面の内周部位に形成したリング状部分を融着させたもの、(c)は振動吸収部材2背面の外周部位に形成したリング状部分を融着させたものである。このように、(b),(c)では振動吸収部材2がダクト1に部分的に結合しているので、手作業で振動吸収部材2をダクト1から容易に引き剥がすことができる。
【0028】
第2の実施の形態
図3は本発明に係る吸気ファンの分解斜視図である。電子機器等の装置内に外気を吸気ファンで導入する場合、吸気ファンの吸気用カバー(外装カバー)の外気導入用開口部で風切り音が発生しやすくなる。そこで、本実施の形態は、この風切り音を低減するとともに、吸気用カバーの振動が吸気ファンに伝達するのを抑えるように構成したものである。
【0029】
図3に示すように吸気用カバー31は、内周側に外気導入用の開口部33を形成した枠体からなる樹脂製のカバー本体32と、このカバー本体の背面側に一体成形された、熱可塑性エラストマーからなる四角環状の振動吸収部材34とからなる。この振動吸収部材34は、吸気ファン21の外気導入側に嵌合する大きさに成形され、この振動吸収部材34には吸気用の溝35が多数形成されている。カバー本体32は、振動吸収部材34を介して吸気ファン21の吸気側に、ネジ14で取り付けられるようになっている。この振動吸収部材34により、吸気ファン21の振動が吸収されるとともに、カバー本体32(従来構造の吸気用カバーに相当する)の共振が抑えられる。
【0030】
上記風切り音は、吸気ファンの吸気能力が大きい割に、開口部の面積が小さい場合に発生しやすい。しかしながら、開口部の大きさは吸気ファンの強度確保のために制限されることが多い。したがって、風切り音が気になる場合には、開口部を通る風量を調整する必要がある。上記吸気用の溝35は、開口部の大きさの不足分を補うことにより、十分な風量を確保するためのものである。なお、上記振動吸収部材34は、発泡体であることが好ましい。
【0031】
第3の実施の形態
図4はダクト部材の斜視図である。本実施の形態の樹脂製ダクト41は、軸断面形状がコの字型のダクト部材42を2つ用意し、これらを面対象的に接合することで、軸断面形状が四角形に構成される。この場合、ダクト部材42の適所に樹脂製のスナップフィット部材43を一体成形するとともに、このダクト部材42の長手方向に沿う端面に熱可塑性エラストマーからなる振動吸収部材44を一体成形する。そして、この振動吸収部材44同士を対向・接触させた状態でスナップフィット部材43同士を係止させることにより、2つのダクト部材42,42を接合して樹脂製ダクト41を組み立てる。この樹脂製ダクト41では、スナップフィット部材43を設けたので、ネジ止めを行う必要がない。しかし、スナップフィットを利用しているため、ダクト部材同士の接合部での気密性が不十分になるおそれがある。振動吸収部材44は、この不具合をなくす役目をも果たすものである。
【0032】
図5(a)〜(e)は、ダクト部材42に対する振動吸収部材44の一体成形の態様例を示す断面図である。ダクト41を再生リサイクル材の原料にするためには、プラスチック材とエラストマーとの分別、すなわちダクト部材42からの振動吸収部材44の剥離が不可欠である。図5に示すように、振動吸収部材44のダクト部材42に対する結合面積を必要最小限に抑えることにより、手作業で比較的容易に振動吸収部材44をダクト部材42から引き剥がすことができる。また、振動吸収部材44を発泡体エラストマーで成形することによりその柔軟性が増し、ダクトの組立てを簡便に行うことが可能になる。
【0033】
第4の実施の形態
図6はダクトの構造を示す斜視図である。このダクト51は屈曲部(屈曲した流路)を有するもので、断面四角筒状の樹脂製ダクト52と、これに一体成形された熱可塑性エラストマーからなるエラストマー製ダクト53とからなり、このエラストマー製ダクトが上記屈曲部を形成しており、かつこの該エラストマー製ダクト53の両端部が樹脂製ダクト52の端部に連結されている。
【0034】
複数のダクトをその長手方向(気流の流過方向)に連結してダクトを構成する場合、樹脂製ダクトをエラストマー製ダクトを介して連結すれば、このダクトの気密性が増す。また、部品点数が減るため、組立て工数も低減できる効果もある。本実施の形態では、ダクト51のエラストマー部分を吸排気経路の屈曲部分に配置したものである。エラストマーはゴムのような弾性を持つため、自然な屈曲経路が出来る。また、樹脂製ダクトの位置決めの自由度が増すことで、組付け性も向上する。
【0035】
上記第1〜第4の実施の形態では、エラストマー製部材(たとえば、図1の振動吸収部材2)が樹脂製部材(たとえば、図1の樹脂製ダクト1)に一体成形されている。このエラストマー製部材を樹脂製部材から容易に剥離できるようにするための構成については、既に簡単に説明したが、ここで、上記(3)の手段すなわち、樹脂製部材の樹脂素材と、エラストマー製部材のエラストマー素材との組合わせを適宜に設定することによる、剥離性向上手段について具体的に説明する。
【0036】
まず、上記樹脂製部材を形成するための樹脂の種類は、特に限定されるものではなく、またインサート成形時にエラストマー層が融着性(接着性)良く積層形成できる樹脂が好適である。好ましい樹脂材料としては、たとえばPC(ポリカーボネート)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PPE(ポリフェニレンエーテル)、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂)、PS(ポリスチレン)、PP(ポリプロピレン)が挙げられる。
【0037】
また、エラストマー製部材を形成するための熱可塑性エラストマーと、樹脂との組合わせは、例えば以下のものが好ましい。これらの組合わせによれば、適度の相互接着性(適度な融着性および、手作業により比較的容易にエラストマー層を樹脂層から剥離できる剥離容易性)を確保することができる。
【0038】
樹脂と熱可塑性エラストマーとの好ましい組合せを挙げると、
(a)PCとポリエステル系エラストマー(との組合わせ、以下同じ)、PCとポリアミド系エラストマー、(b)PETとポリエステル系エラストマー、(c)PBTとポリエステル系エラストマー、(d)PPEとポリエステル系エラストマー、(e)ABSとウレタン系エラストマー、ABSとポリエステル系エラストマー、ABSとポリアミド系エラストマー、(f)PSとウレタン系エラストマー、PSとポリエステル系エラストマー、PSとポリアミド系エラストマー、(g)PPとスチレン系エラストマー、PPとオレフィン系エラストマー、PPとウレタン系エラストマー、PPとポリエステル系エラストマー、PPとポリアミド系エラストマー等である。
【0039】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、本発明によれば、電子機器等に設けられた、内部換気用のファンとこれに結合されたダクトとの結合構造において、ダクトの静音化および気密性向上を簡単な構成で実現することができる、などの効果が得られる。以下、発明の効果を請求項別に説明する。
【0040】
請求項1,2発明によれば、ファンの振動が原因で発生するダクトの共振が、振動吸収部材によって抑制される。請求項3の発明によれば、吸気用カバーの開口部での風量を調整することができるため、吸気ファン風切り音が低減されるうえ、この風切り音が振動吸収部材により更に抑えられる。請求項4の発明によれば、振動吸収部材の弾性力が適度に低下するので、カバー本体を吸気ファンに簡便に組み付けることができる。請求項5〜7の発明によれば、ダクトの組立て性が向上する。また、請求項6,7の発明によればダクト経路の密閉性が増し、電子機器等の装置内の冷却効果が上がる。さらに請求項7の発明によれば、請求項6の発明による効果に加えて、ダクト屈曲部を簡易形状のものにすることができるという効果が得られる。
【0041】
請求項8の発明によれば、請求項1または2に係るファン取付け構造による効果を奏する電子機器が提供される。請求項9の発明によれば、請求項3または4に係る吸気ファンによる効果を奏する電子機器が提供される。請求項10の発明によれば、請求項5〜7のいずれかに係るダクトによる効果を奏する電子機器が提供される。請求項11の発明によれば、ダクトの振動が振動吸収部材で吸収されるため、電子機器に配備された他の構成部材の振動を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る、ダクトへのファン取付け構造を示す分解斜視図である。
【図2】図1の実施の形態に係るもので、ダクト先端部に対する振動吸収部材の一体成形の態様例を示す断面図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態に係る吸気ファンの分解斜視図である。
【図4】本発明の第3の実施の形態に係るダクトを構成するダクト部材の斜視図である。
【図5】図4の実施の形態に係るもので、ダクト部材に対する振動吸収部材の一体成形の態様例を示す断面図である。
【図6】本発明の第4の実施の形態に係るダクトを示す斜視図である。
【図7】エラストマーからなるガスケットを用いたシール構造の従来例を示す断面図である。
【符号の説明】
1:樹脂製ダクト
1a:ネジ孔
2:振動吸収部材
2a:貫通孔
3:振動吸収部材
4:通気路
11:ファン
12:ケーシング
13:羽根(ファン本体)
14:ネジ
15:貫通孔
21:吸気ファン
31:吸気用カバー
32:カバー本体(枠体)
33:開口部
34:振動吸収部材
35:吸気用の溝
41:樹脂製ダクト
42:ダクト部材
43:スナップフィット部材
44:振動吸収部材
51:ダクト
52:樹脂製ダクト
53:エラストマー製ダクト
(屈曲部)
Claims (11)
- 樹脂製ダクトに対するファンの取付け構造において、ダクトまたはファンの適所に、熱可塑性エラストマーからなる振動吸収部材を一体成形し、該振動吸収部材を介してファンをダクトに取り付けたことを特徴とするダクトへのファン取付け構造。
- ダクトの端部にネジ孔を形成するとともに、該ネジ孔形成部に振動吸収部材を一体成形し、該ネジ孔にネジを螺合することにより、ファンをダクトに取り付けたことを特徴とする請求項1に記載のダクトへのファン取付け構造。
- 外気導入側に吸気用カバーを設けた吸気ファンであって、
前記吸気用カバーは、内周側に外気導入用の開口部を形成した枠体からなる樹脂製のカバー本体と、該カバー本体の背面側に一体成形された熱可塑性エラストマーからなる振動吸収部材とからなり、
該振動吸収部材には吸気用の溝が多数形成され、
前記カバー本体は、前記振動吸収部材を介してファンに取り付けられていることを特徴とする吸気ファン。 - 前記振動吸収部材が発泡体であることを特徴とする請求項3に記載の吸気ファン。
- 軸断面形状がコの字型である2つのダクト部材同士を接合することにより構成された、軸断面形状が四角形の樹脂製ダクトであって、
前記ダクト部材の適所に樹脂製のスナップフィット部材が一体成形されているとともに、
前記ダクト部材の、長手方向に沿う端面に熱可塑性エラストマーからなる振動吸収部材が一体成形され、
前記振動吸収部材同士を接触させた状態で前記スナップフィット部材同士を係止させることにより、前記2つのダクト部材が相互に接合されていることを特徴とするダクト。 - 樹脂製ダクトと、これに一体成形された熱可塑性エラストマーからなるエラストマー製ダクトとからなり、該エラストマー製ダクトの両端部が樹脂製ダクトの端部に連結されていることを特徴とするダクト。
- 樹脂製ダクトと、これに一体成形された熱可塑性エラストマーからなるエラストマー製ダクトとからなり、屈曲部を有するダクトであって、該屈曲部が前記エラストマー製ダクトで形成され、かつ該エラストマー製ダクトの両端部が樹脂製ダクトの端部に連結されていることを特徴とするダクト。
- ダクトおよびファンが、請求項1または2に記載のダクトへのファン取付け構造により内蔵されていることを特徴とする電子機器。
- 請求項3または4に記載の吸気ファンが配備されていることを特徴とする電子機器。
- 請求項5〜7のいずれかに記載のダクトと、これに連結されたファンとが内蔵されていることを特徴とする電子機器。
- ダクトの側面、上面または下面に熱可塑性エラストマーからなる振動吸収部材を一体成形し、該振動吸収部材を介して前記ダクトを適所に取り付けたことを特徴とする電子機器。
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