JP2004044417A - 内燃機関の燃料噴射制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】パイロット噴射量を適正な範囲に補正する。
【解決手段】コモンレール3に接続され、機関1の各気筒に燃料を噴射する燃料噴射弁10aから10dを設けるとともに、各気筒の燃焼圧を検出する筒内圧センサ29aから29dを設ける。電子制御ユニット(ECU)20は、各気筒の燃料噴射弁から主燃料噴射に先立って第1と第2のパイロット噴射を行う。機関運転中、ECU20は、第2のパイロット噴射の噴射時期を、第1のパイロット噴射により発生した燃料圧の脈動により噴射圧力が低下するタイミングに移動させる。ECUは、筒内圧センサで検出した燃焼圧に基づいて第2のパイロット噴射の噴射時期移動に伴う燃焼音の変化を算出するとともに、この燃焼音の変化量に基づいて各気筒のパイロット噴射の噴射量の適否を判定し、パイロット噴射が不足している場合には適切な値になるように補正する。
【選択図】 図1
【解決手段】コモンレール3に接続され、機関1の各気筒に燃料を噴射する燃料噴射弁10aから10dを設けるとともに、各気筒の燃焼圧を検出する筒内圧センサ29aから29dを設ける。電子制御ユニット(ECU)20は、各気筒の燃料噴射弁から主燃料噴射に先立って第1と第2のパイロット噴射を行う。機関運転中、ECU20は、第2のパイロット噴射の噴射時期を、第1のパイロット噴射により発生した燃料圧の脈動により噴射圧力が低下するタイミングに移動させる。ECUは、筒内圧センサで検出した燃焼圧に基づいて第2のパイロット噴射の噴射時期移動に伴う燃焼音の変化を算出するとともに、この燃焼音の変化量に基づいて各気筒のパイロット噴射の噴射量の適否を判定し、パイロット噴射が不足している場合には適切な値になるように補正する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料噴射制御装置に関し、詳細には複数回のパイロット噴射を行う内燃機関の燃料噴射制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ディーゼル機関等において、主燃料噴射に先立って少量の燃料を燃焼室に供給するパイロット噴射が知られている。ディーゼルエンジン等の内燃機関では、ディーゼルノック等のように燃焼音が増大する場合がある。ディーゼルノックは、燃焼時の着火遅れなどにより燃焼圧力の上昇率が過大になり、燃焼ガスに共振が生じるために燃焼音が急激に増大する現象である。一般に、燃焼音の増大は着火遅れが大きくなる低温始動時や、吸気温度や燃焼室温度上昇の遅れに伴う着火遅れが生じる過渡運転時等に特に発生しやすい。また、高圧燃料噴射を行なう機関では噴射圧力の増大に伴う燃焼速度の増加により燃焼音の増大が生じやすくなる。
【0003】
上記の燃焼音の増大を防止するためには、主燃料噴射に先立って気筒内に少量の燃料を噴射するパイロット噴射が有効なことが知られている。主燃料噴射に先立ってパイロット噴射を行なうと、パイロット噴射により噴射された燃料が予混合気を形成し主燃料噴射に先立って燃焼するため、主燃料噴射が行われた時には気筒内は燃料の着火、燃焼に適した温度と圧力とになる。このため、パイロット噴射を行なうと、主燃料噴射により噴射された燃料の着火遅れが短縮され内燃機関の燃焼音が増大することが防止される。
【0004】
パイロット噴射を行う内燃機関の例としては、例えば特開2000−18074号公報に記載されたものがある。同公報の装置では、比較的多量の燃料をパイロット噴射により噴射する際に、噴射された燃料が気化しないままシリンダ壁面に到達し、壁面の潤滑油を希釈して潤滑不良を生じさせることを防止するために、少量ずつ複数回のパイロット燃料噴射を行っている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ディーゼルノックが発生しやすい高圧燃料噴射を行うディーゼル機関では、ディーゼルノックを抑制するためにパイロット噴射が行われるが、高圧燃料噴射を行う燃料噴射装置で使用される燃料噴射弁では、燃料噴射弁内の燃料圧力を利用して弁体を弁座に押圧する圧力バランス方式の弁体駆動方法がとられている。
【0006】
圧力バランス方式の燃料噴射弁では、弁体の弁座と接触する側に作用する燃料圧力と弁体の反対側に作用する燃料圧力とスプリングの付勢力のバランスにより開弁圧力が決定される。すなわち、燃料圧力が所定の開弁圧力に到達すると、弁体の弁座と接触する側に作用する燃料圧力による開弁方向の力が、弁体の反対側に作用する燃料圧力とスプリングの付勢力とによる閉弁方向の力より大きくなるため、弁体が弁座から離間して燃料が噴射されるのである。
ところが、燃料噴射弁の使用中には弁体と弁座とは接触、離間を繰り返しているため、燃料噴射弁の使用とともに弁座には徐々に摩耗が生じるようになる。
【0007】
弁座に摩耗が生じると、弁体と接触する弁座部分の径が大きくなるため、弁体の弁座側に作用する燃料圧力を受ける部分の面積が減少するようになり、燃料噴射弁を開弁させるためにはより高い燃料圧力が必要となる。すなわち、燃料噴射弁は使用期間に応じて開弁圧力が変化(増大)するようになるのである。開弁圧力が増大すると燃料噴射時間(量)指令信号が同一であった場合でも、信号を入力してから油圧が開弁圧力に上昇するまでの時間が長くなるため、実際に弁体が弁座から離れている時間(実際の燃料噴射時間)は短くなる。このため、燃料噴射弁の噴射指令信号と実際の燃料噴射量、あるいは開弁圧力などの燃料噴射特性は燃料噴射弁使用期間とともに変化し、噴射指令信号が同一であれば実際の燃料噴射量は徐々に低下するようになる。
【0008】
この、使用に伴う燃料噴射量の低下は比較的小さいものであるが、例えばパイロット噴射を行う機関では、パイロット噴射の燃料噴射量は少量であるため、パイロット噴射に対して大きな影響が生じる場合がある。特に、上記特開2000−18074号公報の装置のように、パイロット噴射を2回に分けて行う場合には1回当たりの噴射量(特に2回目のパイロット噴射の噴射量)は比較的小さくなる。このため、燃料噴射弁の使用に伴って燃料噴射量が低下すると、例えば、2回目のパイロット噴射が燃料噴射量の低下により消滅してしまう場合や、極端な場合には1回目と2回目の両方のパイロット噴射が消滅する場合が生じてしまう。
【0009】
両方のパイロット噴射が消滅した場合は当然に燃焼音の増大が生じるが、2回目のパイロット噴射が消滅した場合にもパイロット噴射量の不足により、低速運転時の燃焼音の増大や、中速中負荷領域での排気性状の悪化などが生じる。
このため、パイロット噴射の消滅に至る前に使用に伴う燃料噴射量の低下等の燃料噴射弁の燃料噴射特性の変化を精度良く検出して噴射量を補正する必要がある。
【0010】
しかし、このためには、パイロット噴射量をわずかな量ずつ低下させて燃焼音の変化を検出する等の操作が必要となり、パイロット噴射量を高精度に制御する必要が生じる。ところが、実際にはパイロット噴射は燃料噴射弁の噴射可能な最小燃料噴射量付近で行われていることが多く、この付近で更に微細に燃料噴射量を低下させると、燃料噴射指令値と燃料噴射量とが正確に対応しなくなるため、正確な燃料量の低減を行おうとすると燃料噴射制御装置(例えばECUなど)の制御負荷が大きくなる問題がある。
【0011】
本発明は上記問題に鑑み、運転中に燃料噴射弁の使用期間に伴う燃料噴射特性の変化を正確に検出し、パイロット噴射の噴射量が許容値以内であるか否かを正確に判定可能な手段を備えた燃料噴射制御装置を提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明によれば、高圧燃料を貯留する蓄圧室と、該蓄圧室に接続され蓄圧室内の燃料を内燃機関の燃焼室内に噴射する燃料噴射弁とを備え、該燃料噴射弁から主燃料噴射に先立って第1と第2のパイロット噴射を行う燃料噴射制御装置であって、機関の燃焼音を検出する燃焼音検出手段と、予め定めた機関運転状態において、第1のパイロット噴射により発生した燃料噴射圧力の脈動により燃料噴射弁からの燃料噴射圧力が低下するタイミングに一致するように第2のパイロット噴射時期を移動させ、該第2のパイロット噴射時期の移動に伴う燃焼音の変化に基づいて前記燃料噴射弁の燃料噴射特性の変化を判定する判定手段と、を備えた燃料噴射制御装置が提供される。
【0013】
すなわち、請求項1の発明では燃料噴射弁の燃料噴射特性の変化を判定するために、燃料噴射により生じる燃料噴射圧力の脈動を利用する。第1のパイロット噴射が行われると、燃料噴射弁内の燃料通路の圧力は急激に低下する。この圧力低下は負の圧力波となって、燃料噴射弁と蓄圧室とを接続する燃料配管中を蓄圧室に向けて進行し、蓄圧室との接続部で反射して正の圧力波となって燃料噴射弁に戻る。この正の圧力波は再度燃料噴射弁で反射して蓄圧室に向かう。すなわち、第1のパイロット噴射により生じた燃料圧力変動は燃料噴射弁と蓄圧室とで反射を繰り返しながら燃料配管を往復する。また、蓄圧室接続部で反射する際には開放端での反射となるため反射前後で圧力波の振幅の正負が逆転する。このため、燃料噴射弁における燃料噴射圧力は第1のパイロット噴射の後に脈動を生じて上昇と低下とを繰り返すことになる。
【0014】
従って、第1のパイロット噴射により生じた圧脈動のタイミングと第2のパイロット噴射の時期とが重なると第2のパイロット噴射の噴射量に誤差が生じることになる。例えば、圧力脈動により燃料噴射圧力が上昇しているときに第2のパイロット噴射が行われると燃料噴射指令値が同一であっても噴射量は目標値より大きくなり、燃料噴射圧力が低下しているときに第2のパイロット噴射が行われると噴射量は目標値より小さくなる。
上記の圧力脈動のパターン(周期等)は燃料噴射系が定まれば予測できるため、通常第2のパイロット噴射の噴射時期は第1のパイロット噴射による圧力脈動と一致しない時期に設定されており、圧力脈動による燃料噴射量の変化が生じることが防止されている。
【0015】
本発明では、第2のパイロット噴射の燃料噴射特性を判定する際には、第1のパイロット噴射後の圧力脈動により燃料噴射弁の噴射圧が低下するタイミング(すなわち、負の圧力波到達タイミング)に第2のパイロット噴射の噴射時期を一致させる。
前述のように、燃料噴射圧力が低下するとそれに応じて燃料噴射量も低下する。また、高圧燃料噴射では圧力の脈動幅(低下幅)は通常の燃料噴射圧力に較べてかなり小さいため、燃料噴射量の低下幅も比較的小さくなる。このため、第2のパイロット噴射時期を移動させて第1のパイロット噴射による圧力脈動のタイミングに一致させることにより、燃料噴射制御装置の制御負荷を増大することなく第2のパイロット噴射の噴射量のみをわずかに低下させることが可能となる。
これにより、第2のパイロット噴射の噴射量のみをわずかに変化させて燃焼音の変化から燃料噴射弁の噴射特性の変化を判定することが可能となる。
【0016】
請求項2に記載の発明によれば、前記判定手段は、前記第2のパイロット噴射時期の移動に伴う燃焼音の増大幅が予め定めた所定値以上である場合には、燃料噴射弁の燃料噴射特性の変化による第2のパイロット噴射の燃料噴射量の減少幅が許容値以上であると判定するとともに、第2のパイロット噴射における燃料噴射量を予め定めた量だけ増大させる、請求項1に記載の燃料噴射制御装置が提供される。
【0017】
すなわち、請求項2の発明では第2のパイロット噴射時期を第1のパイロット噴射による圧力脈動のタイミングに一致させたときの燃焼音が大きい場合には、燃料噴射弁の燃料噴射特性の変化により第2のパイロット噴射の燃料噴射量が許容限度を越えて低下していると判断する。前述のように、燃料噴射圧力が低下するタイミングに噴射時期を移動させることにより、第2のパイロット噴射の燃料噴射量はわずかに低下する。通常、第2のパイロット噴射量が低下していない場合には、わずかに燃料噴射量が低下しても第2のパイロット噴射量は充分に残っており、大きな燃焼音の増大は生じないが、燃料噴射特性の変化により第2のパイロット噴射量が比較的大きく低下している場合には、わずかに噴射量が低下しただけでも実際の噴射量が極めて小さくなるため、燃焼音が大幅に増大する。
【0018】
本発明では、第2のパイロット噴射時期を移動させたときの燃焼音の増大幅が所定値以上であった場合には、第2のパイロット噴射の燃料噴射量が許容範囲を越えて低下していると判断し、第2のパイロット噴射量を所定量だけ増大(すなわち燃料噴射指令値を所定量増大)する。この第2のパイロット噴射量の増大は、タイミング移動時にも燃焼音の大きな増大が生じなくなるまで行われるため、これにより第2のパイロット燃料噴射の実際の噴射量は目標値に対して許容範囲内に収束するようになる。
【0019】
請求項3に記載の発明によれば、前記判定手段は、前記第2のパイロット噴射時期の移動に伴う燃焼音の増大幅が前記所定値以下である場合には、第2のパイロット噴射を停止し、該停止時の燃焼音の増大幅が予め定めた第2の所定値以上である場合には、燃料噴射弁の燃料噴射特性の変化が許容値以内であると判定する、請求項2に記載の燃料噴射制御装置が提供される。
【0020】
すなわち、請求項3の発明では第2のパイロット噴射の噴射時期移動時の燃焼音の増大幅が前記所定値より小さい場合には、第2のパイロット噴射を停止して再度燃焼音の変化を計測する。例えば、燃料噴射特性の変化によりすでに第2のパイロット噴射が消滅していたような場合には、第2のパイロット噴射の噴射時期を移動させたときの燃焼音の変化量は極めて小さくなる(すなわち、噴射時期を移動させる前から燃焼音が増大している。このため、請求項2で第2のパイロット噴射の噴射時期を移動させたときに燃焼音の増大幅が小さい場合には、第2のパイロット噴射量が許容範囲内である場合に加えて、もともと第2のパイロット噴射が消滅している場合も考えられる。
【0021】
そこで、本発明では上記の場合には第2のパイロット噴射を停止することにより、第2のパイロット噴射の有無を判定する。すなわち、第2のパイロット噴射が消滅していない場合には第2のパイロット噴射を停止することにより、必ずある程度の燃焼音の増大が生じるのに対して、すでに第2のパイロット噴射が消滅している場合には、第2のパイロット噴射を停止しても燃焼音の増大は生じないはずである。このため、第2のパイロット噴射停止時に燃焼音が第2の所定値以上増大する場合には、第2のパイロット噴射は消滅しておらず、しかも噴射量の変化が許容範囲内であると判断することができる。
【0022】
請求項4に記載の発明によれば、前記判定手段は、前記第2のパイロット噴射停止時の燃焼音の増大幅が前記第2の所定値以下である場合には、燃料噴射弁の燃料噴射特性の変化が許容値以上であると判定するとともに、第1と第2のパイロット噴射における燃料噴射量をそれぞれ予め定めた量だけ増大させる、請求項3に記載の燃料噴射制御装置が提供される。
【0023】
すなわち、請求項4の発明では第2のパイロット噴射停止時の燃焼音増大幅が第2の所定値以下である場合には、燃料噴射弁の燃料噴射特性の変化が大きく第2のパイロット噴射が消滅していると判断し、所定量だけ第2のパイロット噴射量を増大する。また、第2のパイロット噴射が消滅するほど燃料噴射特性の変化が大きい場合には、当然、第1の第1のパイロット噴射の噴射量も大きく低下している。このため、この場合には第2のパイロット噴射量だけでなく第1のパイロット噴射量をも増大する。これにより、第1と第2のパイロット噴射量は許容範囲内になるまで増大されるようになる。
【0024】
請求項5に記載の発明によれば、前記判定手段は更に、前記第2のパイロット噴射における燃料噴射量の増大量が予め定めた値を越えた場合には、一定量ずつ第2のパイロット噴射における燃料噴射量を減少させる、請求項2に記載の燃料噴射制御装置が提供される。
【0025】
すなわち、請求項5の発明では第2のパイロット噴射の噴射量を増大させる際に、増大幅(各操作における増大量の累積値)が所定値を越えた場合には、定期的に第2のパイロット噴射の噴射量を低下させる。請求項2の操作では第2のパイロット噴射の噴射量は増大されるのみであるため、何らかの原因で過剰な補正が行われた場合には、噴射量が過大になる可能性がある。本発明では、増大幅がある程度大きくなった場合には、定期的に一定量ずつ第2のパイロット噴射の噴射量を低下させる。これにより、第2のパイロット噴射量が目標値に対する許容範囲を超えて低下した場合には、請求項2の操作により第2のパイロット噴射の燃料噴射量は増大されるため、常に第2のパイロット噴射量の補正を適正行うことが可能となる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を用いて本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の燃料噴射装置を自動車用ディーゼル機関に適用した場合の実施形態の概略構成を示す図である。
【0027】
図1において、1は内燃機関(本実施形態では#1から#4の4つの気筒を備えた4気筒4サイクルディーゼル機関が使用される)、10aから10d は機関1の#1から#4の各気筒燃焼室に直接燃料を噴射する燃料噴射弁を示している。燃料噴射弁10aから10dは、それぞれ燃料通路(高圧燃料配管)11aから11dを介して共通の蓄圧室(コモンレール)3に接続されている。コモンレール3は、高圧燃料噴射ポンプ5から供給される加圧燃料を貯留し、貯留した高圧燃料を高圧燃料配管11aから11dを介して各燃料噴射弁10aから10d に分配する機能を有する。
【0028】
図1に20で示すのは、機関の制御を行う電子制御ユニット(ECU)である。ECU20は、リードオンリメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、マイクロプロセッサ(CPU)、入出力ポートを双方向バスで接続した公知の構成のマイクロコンピュータとして構成されている。ECU20は、本実施形態では、燃料ポンプ5の吐出量を制御してコモンレール3圧力を機関運転条件に応じて定まる目標値に制御する燃料圧制御を行っている他、燃料噴射弁10aから10dの開弁時期、時間等の開弁動作を制御してメイン燃料噴射の噴射時期及び噴射量を制御する燃料噴射制御等の機関の基本制御を行う。
【0029】
これらの制御を行なうために、本実施形態ではコモンレール3にはコモンレール内燃料圧力を検出する燃料圧センサ27が設けられている他、機関1のアクセルペダル(図示せず)近傍にはアクセル開度(運転者のアクセルペダル踏み込み量)を検出するアクセル開度センサ21が設けられている。また、図1に23で示すのは機関1のカム軸の回転位相を検出するカム角センサ、25で示すのはクランク軸の回転位相を検出するクランク角センサである。カム角センサ23は、機関1のカム軸近傍に配置され、クランク回転角度に換算して720度毎に基準パルスを出力する。また、クランク角センサ25は、機関1 のクランク軸近傍に配置され所定クランク回転角毎(例えば15度毎)にクランク角パルスを発生する。
【0030】
ECU20は、クランク角センサ25から入力するクランク回転角パルス信号の周波数から機関回転数を算出し、アクセル開度センサ21から入力するアクセル開度信号と、機関回転数とに基づいて燃料噴射弁10aから10dの燃料噴射時期と燃料噴射量とを算出する。
また、図1に29aから29dで示すのは、各気筒10aから10dに配置され、気筒内の圧力を検出する公知の形式の筒内圧センサである。筒内圧センサ29aから29dで検出された各筒内圧力データは、指圧−燃焼音コンバータ30に送られ、燃焼音の大きさに変換されてECU20に供給される。
【0031】
本実施形態では、各燃料噴射弁からは各気筒の吸気行程時に、主燃料噴射に先立って比較的少量の燃料がパイロット噴射として噴射される。パイロット噴射により気筒内に噴射された燃料は、主燃料噴射が開始される前に燃焼し、気筒内の温度圧力を主燃料噴射の燃料の燃焼に適した状態まで上昇させる。このため、パイロット噴射を行うことによりディーゼルノックなどの燃焼音が低減されるようになる。しかし、パイロット噴射により燃焼室に供給する燃料量が多いと、噴射された燃料が燃焼室壁面に液体のまま到達して潤滑油の希釈やスモークの発生を生じる場合がある。このため、本実施形態ではパイロット噴射を2回行い、1回当たりの燃料噴射量を小さく設定することにより、燃焼室壁面への液状燃料の到達を防止している。
なお、本実施形態では、各燃料噴射弁からのパイロット噴射と主燃料噴射の燃料噴射時期と燃料噴射量との算出は公知のいずれの方法をも使用することができるため、ここでは詳細な説明は省略する。
【0032】
燃料噴射が行われていないとき、すなわち燃料噴射弁の閉弁中、高圧燃料配管11aから11dにはコモンレール3内と同じ圧力の高圧燃料が充満している。この状態では、燃料噴射弁のニードル弁の弁体の先端は弁座に接触している。弁体の先端は略円錐形をしており、弁体の先端が環状の弁座に嵌入することによりシールが行われる。燃料噴射弁ハウジング内の弁体先端と弁座との周囲部分にはノズル室が設けられており、弁体先端の弁座嵌入部の外側の部分にはノズル室内の燃料油圧力が弁体を弁座から離間させる方向に作用している。また、弁体の弁座と反対側の端面にはスプリング、燃料圧力などの力が弁体を弁座に押圧する方向に作用している。
【0033】
燃料噴射時にはノズル室が高圧燃料配管に適宜な手段で連通され、ノズル室内の圧力が上昇する。ノズル室内の圧力が上昇するにつれて、弁体を弁座から離間方向(開弁方向)に押圧する力は増大し、ノズル室内圧力が所定の圧力(開弁圧)になると弁体が弁座から離れてノズル室内の燃料が燃料噴射孔から噴射される。
【0034】
ところが、燃料噴射弁の弁座は使用とともに摩耗していくため、弁座の内径も大きくなる。このため、弁座の摩耗とともに弁体の弁座への嵌入量も大きくなり、弁体先端の弁座周囲の外に出ている部分の面積(受圧面積)は減少していく。従って、弁体を弁座から離間させるためには受圧面積の減少を補うだけの圧力上昇が必要となり、弁座の摩耗とともにノズル室内の開弁圧力が上昇するようになる。
【0035】
開弁圧力が上昇すると、燃料噴射時に燃料噴射指令信号を受信してからノズル室内の燃料油圧が開弁圧力まで上昇する時間が長くなるため、燃料噴射指令信号が同じであっても実際に弁体が弁座から離れている時間が短くなる。
すなわち、燃料噴射弁は使用とともに燃料噴射特性が変化し、同一の指令信号に対して実際の燃料噴射量が徐々に低下して行くことになる。
【0036】
ところが、主燃料噴射では燃料噴射量が大きいためそれほど問題にはならないが、パイロット噴射における燃料噴射量は比較的小さい。特に、本実施形態のようにパイロット噴射を2回に分けて実行する場合には1回当たりのパイロット噴射量は更に小さくなるため、上記摩耗による燃料噴射量の低下の影響が大きくなり、極端な場合には燃料噴射量の低下によりパイロット噴射が消失(燃料噴射量がゼロまで減少)する場合が生じる。
【0037】
パイロット噴射量の低下幅は、例えばパイロット噴射量指令値を少しずつ減らして行き、燃焼音の変化によりパイロット噴射が消失する噴射量指令値を検出することにより検出することができる。しかし、実際にはパイロット噴射、特に第2の(2回目の)パイロット噴射量はもともと少ないため燃料噴射弁の噴射可能な下限値付近で噴射が行われる例が多い。このため、この下限値付近で更にわずかずつ燃料噴射量を低下させようとすると、燃料噴射量制御の精度を更に向上させる必要があり、制御装置(ECU)の制御負荷が増大してしまう問題がある。
【0038】
本実施形態では、第2のパイロット噴射量を、第1のパイロット噴射により生じる燃料噴射圧力の脈動を利用して減少させることにより、ECUの負荷増大を生じることなく正確に燃料噴射弁の燃料噴射特性の変化を検出する。
【0039】
燃料噴射時に、燃料噴射弁のニードル弁体が弁座から離れると高圧燃料が燃料噴射弁内のノズル室から燃料噴射孔を介して噴射され、ノズル室圧力は急激に低下する。このノズル室急激な圧力降下は圧力波となってノズル室に連通する高圧燃料配管を通ってコモンレール3に戻り、コモンレール3入口で反射して再度燃料噴射弁10に伝播する。更に、燃料噴射弁に到達した反射波は再度燃料噴射弁のノズル室で反射しコモンレール方向に伝播する。このため、各燃料噴射弁10aから10dのノズル室内の圧力(噴射圧力)は、燃料噴射が行われると反射した圧力波が到達する毎に変動するようになる。
【0040】
ところで、燃料噴射弁のノズル室は圧力波の反射の際に閉鎖端として機能するのに対し、コモンレールと燃料配管との接続部は開放端として機能する。このため、コモンレール側で反射する際に圧力波の振幅は反転し、燃料噴射後に燃料噴射弁に到達する反射波は正圧波(圧力上昇)と負圧波(圧力)とが交互に繰り返されるようになる。
すなわち、第1のパイロット噴射が行われると、その後燃料噴射圧力には脈動が生じ、噴射圧力は一定の周期で増減するようになる。噴射圧力が増減すると噴射指令信号が同一であっても燃料噴射量は噴射圧力に応じて変動してしまう。しかし、この脈動周期はコモンレールと燃料噴射弁との間の距離によって決まり、燃料噴射系が定まれば脈動周期も定まるため、通常第2のパイロット噴射の噴射時期は第1のパイロット噴射による圧力の脈動の生じるタイミングを外した位置に設定されている。
【0041】
本実施形態では、ECU20は各燃料噴射弁の燃料噴射特性の変化を判定する際には、第2のパイロット噴射の噴射時期を移動させて、第1のパイロット噴射による圧力脈動により燃料噴射圧が低下するタイミング(予め記憶したタイミング)に一致させる。これにより、第2のパイロット噴射の燃料噴射量は圧力脈動により燃料噴射圧力が低下した分だけ減少する。
【0042】
圧力脈動による燃料噴射圧力の減少分(脈動成分)は燃料噴射圧力そのものに較べれば小さくなるため、燃料噴射時期を上記のように移動させた場合の第2のパイロット噴射の噴射量の低下幅はかなり小さなものになる。このため、ECU20の燃料噴射制御の負荷を増大することなく、第2のパイロット噴射の噴射量をわずかに低下させることが可能となる。
【0043】
例えば、第1のパイロット噴射量が第2のパイロット噴射量より大きい状態では、燃料噴射弁の燃料噴射特性の変化による燃料噴射量減少が進行した場合には必ず第2のパイロット噴射が第1のパイロット噴射より先に消滅する。また、第2のパイロット噴射の噴射時期を移動させた場合には燃料噴射量に影響を受けるのは第2のパイロット噴射のみであり、第1のパイロット噴射は影響を受けない。
従って、第2のパイロット噴射の噴射時期を移動させたときに燃焼音のレベルが変化した場合には、燃焼音の変化の原因は第2のパイロット噴射における燃料噴量の変化であると考えることができる。
【0044】
例えば、第2のパイロット噴射時期を移動させたときに、燃焼音のレベルがある程度以上増大した場合には、第2のパイロット噴射の燃料噴射量が弁座の摩耗等によりすでに大きく低下しており、噴射時期を移動させて噴射量をわずかに低下させただけで、燃焼音が悪化してしまったと考えられる。また、逆に第2のパイロット噴射時期を移動させたときに燃焼音のレベルの増大幅が少ない場合には、現在の第2のパイロット噴射の燃料噴射量はわずかに低下した程度では燃焼音に変化が出ないほど大きい、すなわち、燃料噴射特性の変化による燃料噴射量の低下は少ないと判断することができる。
【0045】
本実施形態では、ECUは機関の定常運転中に定期的に(例えば燃料噴射1000回当たり1回程度)各気筒の第2のパイロット噴射時期を移動させ、燃焼音の変化を検出して燃料噴射弁の燃料噴射特性の変化が許容範囲内か否かを判定するとともに、燃料噴射特性の変化が許容範囲を越えた場合には燃料噴射量を補正するようにしている。
【0046】
図2は、上述した本実施形態のパイロット噴射判定操作を具体的に示すフローチャートである。本操作は、ECU20により所定時間毎に実行されるルーチンとして行われる。
図2の操作では、まずステップ201で現在パイロット噴射判定の実行条件が成立しているか否かを判定する。ここで、ステップ201では判定される条件は、(1)現在機関が定常運転されていること、及び(2)第1パイロット噴射の噴射量指令値(目標値)Qpl1tが、第2パイロット噴射の噴射量指令値Qpl2tより大きいことである。
【0047】
ここで、上記条件(1)は加減速時などの過渡時に判定を行うことにより判定に誤差が生じることを防止するため、条件(2)は、本操作で第2のパイロット噴射の噴射量の適否を判定するためには、第1のパイロット噴射が存在する(消滅していない)ことが必要となるため、第1のパイロット噴射の噴射量が第2のパイロット噴射の噴射量より大きい状態、すなわち、仮に燃料噴射弁の噴射特性の変化のために噴射量が低下してパイロット噴射が消滅するとしても、第2のパイロット噴射が先に消滅する状態で判定を行うためである。
【0048】
上記条件(1)と(2)のいずれか一方でも成立しない場合には、今回の操作はステップ203以下を実行することなく終了する。そして、(1)と(2)の条件の両方が成立した場合にのみステップ203に進む。
ステップ203では、第2のパイロット噴射時期を移動(進角または遅角)させて、第1のパイロット噴射による圧力脈動で噴射圧力が低下するタイミングに一致させる。前述したように、燃料噴射系が定まれば圧力脈動のパターンも定まるため、噴射時期をどのタイミングにに移動させるべきかは予め定められておりECU20のROMに格納されている。ステップ203では一定時間毎(例えば燃料噴射1000回につき1回)に1気筒ずつ第2のパイロット噴射時期を移動させる操作を行う。
【0049】
第2のパイロット噴射時期を移動させると第2のパイロット噴射の噴射量が低下するため機関燃焼状態に多少の影響が出るが、例えば1000回に1回程度の頻度であれば機関への影響は無視できる程度になる。これにより、本実施形態では、機関運転に実質的な影響を与えることなくパイロット噴射の噴射量適否の判定を行うことが可能となっている。
【0050】
ステップ203で第2のパイロット噴射の噴射時期を移動させた後、ステップ205では、噴射時期を移動させた気筒の筒内圧センサの出力に基づいて、燃焼音値PNの前回(第2のパイロット噴射の噴射時期が通常時)からの変化量(増大量)ΔPN(dB)を算出するとともに、この増大量ΔPNが所定値α(dB)を越えているか否か、すなわち第2のパイロット噴射の噴射時期を移動(第2のパイロット噴射の噴射量を低減)した場合に燃焼音が所定値以上悪化したか否かを判定する。
ここで、αは許容可能な燃焼音の増大幅であり機関の種類、形式に応じて実験により定められる値であるが、例えば本実施形態では3dB程度の値に設定されている。
【0051】
ステップ205でΔPNがα以下であった場合には、第2のパイロット噴射の燃料噴射量は圧力脈動による減少程度では影響を受けないほど充分に大きいと考えられるので、ステップ207に進み、第2パイロット噴射は正常であると判定した後、ステップ215で第2パイロット噴射の噴射時期を通常の値に復帰させた後今回の操作を終了する。
【0052】
一方、ステップ205でΔPN>αであった場合には、すなわち第2のパイロット噴射の噴射量が低下しており、圧力脈動のためにわずかに減少しただけでも燃焼音が悪化する程度になっていると判断できるため、ステップ209に進み、第2パイロット噴射の噴射量が減少していると判定する。
そして、ステップ211では、第2パイロット噴射の噴射量の補正量qa2を一定値A(mm3)だけ増大する。そして、ステップ213では第2パイロット噴射の噴射量目標値(指令値)Qpl2tを上記により算出した補正量qa2だけ増大補正する。
【0053】
ステップ213で噴射量増大後、ステップ215では第2パイロット噴射の噴射時期は正規の値に戻され、今回の操作は終了する。この操作により、第2のパイロット噴射の噴射量は、ステップ205で騒音の増大幅ΔPNが許容範囲α以下になるまでステップ211と213とが実行される毎に増大するようになる。なお、補正量qa2の増大幅Aは、本実施形態では例えば1mm3程度の値に設定されている。
【0054】
上述のように、図2の実施形態によれば、第2パイロット噴射の噴射時期を移動させて、第2パイロット噴射の噴射量をわずかに減少させることにより、ECU20の制御負荷を増大させることなく第2パイロット噴射の噴射量が正常であるか否かを判断するとともに、第2パイロット噴射の噴射量が許容値以上に減少している場合には増大補正が行われる。
【0055】
次に、図3を用いて本発明の第2の実施形態について説明する。
前述の図2の実施形態においては、第2のパイロット噴射の噴射時期を移動させたときの燃焼音の増大幅ΔPNが許容値α以下であった場合(ステップ205)には直ちに第2パイロット噴射は正常であると判定していた。
【0056】
しかし、実際には第2のパイロット噴射の噴射量がわずかに減少したときに燃焼音の変化が小さい場合としては、第2パイロット噴射が正常である場合の他に、理論的には第1のパイロット噴射が消滅しているため、第2のパイロット噴射の噴射時期を移動させても実際には第2パイロット噴射の噴射量が減少しなかった場合も考えられる。
【0057】
ところが、図2の実施形態では第1パイロット噴射の噴射量指令値(目標値)Qpl1tが、第2パイロット噴射の噴射量指令値Qpl2tより大きいことが判定実行条件とされている(ステップ201)ため、第1のパイロット噴射が消滅した場合には必ず第2のパイロット噴射も消滅している。このため、図2で第2のパイロット噴射の噴射時期を移動したときの燃焼音の悪化が少ない場合には、第1と第2のパイロット噴射の両方が消滅しているためであると考えることができる。
【0058】
そこで、本実施形態では、図2のステップ205でΔPN≦αであった場合には、第2のパイロット噴射を停止して燃焼音の変化を検出することにより、第2のパイロット噴射が正常であるか否かを判定するようにしている。
【0059】
すなわち、第2のパイロット噴射を停止しても燃焼音が悪化しない場合には、上述したようにもともと第1と第2のパイロット噴射が消滅していたため停止操作を行っても燃焼音には影響が生じなかったと考えられる。また、逆に燃焼音が悪化する場合には、第2のパイロット噴射が有効に機能している、すなわち第2のパイロット噴射が正常であると判断することができるからである。
【0060】
図3は、上記操作を具体的に説明するフローチャートである。図3のフローチャートは、図2のステップ207を上記の操作のためにステップ301から309に置きかえたものであり、ステップ201から205及びステップ209から215は図2の操作と同一である。
以下、ステップ301から309について説明すると、本実施形態ではステップ205である気筒の燃焼音の悪化幅ΔPNがαより大きかった場合にはステップ301に進み、第2のパイロット噴射を一定間隔毎に(例えば燃料噴射2000回毎に1回の割合で)停止するとともに、ステップ303で停止時の当該気筒の燃焼音の悪化幅ΔPが所定値βより大きいか否かを判定する。本実施形態ではβはαより小さい値に設定され、例えばβ=2dB程度の値とされる。
【0061】
第2のパイロット噴射停止時の燃焼音悪化幅が大きい場合には、前述のように第2のパイロット噴射は正常であるので、ステップ311に進み第2のパイロット噴射が正常であるとの判定を行い、ステップ215に進み第2のパイロット噴射の噴射時期を通常に復帰させて操作を終了する。
一方、ステップ303でΔPN≦βであった場合には、第2のパイロット噴射を停止しても燃焼音が増大しないことから、もともと第1と第2のパイロット噴射との両方が停止していたために、第2のパイロット噴射の停止操作を行う前から騒音が増大していたと考えられる。
【0062】
このため、この場合にはステップ305に進み、第1と第2のパイロット噴射の両方が消滅したと判定し、ステップ307では第1のパイロット噴射の噴射量補正量qa1を一定値Bたけ増大させるとともに、第2のパイロット噴射の噴射量補正量qa2を一定値Cだけ増大させる。
そしてステップ309では、第1のパイロット噴射の噴射量指令値(目標値)Qpl1tと第2のパイロット噴射の噴射量指令値(目標値)Qpl2tとを、それぞれqa1とqa2だけ増大させた後、ステップ215に進み各気筒の第2パイロット噴射時期を通常の値に復帰させる。
【0063】
これにより、本実施形態ではより正確にパイロット噴射が適正であるか否かを判定するとともに、不適である場合には第1と第2のパイロット噴射との両方の噴射量が補正される。
【0064】
次に図4を用いて本発明の第3の実施形態について説明する。
前述の図3の実施形態では、第1のパイロット噴射の目標噴射量Qpl1tが第2のパイロット噴射の目標噴射量Qpl2tより大きい(Qpl1t>Qpl2t)運転条件で第2のパイロット噴射の噴射時期を移動しており、第1のパイロット噴射が消滅している場合には必ず第2のパイロット噴射も消滅しているため、ステップ301でΔPN>βの場合には直ち第1と第2のパイロット噴射が消滅していると判定していた。
【0065】
これに対して、図4の実施形態では第1のパイロット噴射の目標噴射量Qpl1tと第2のパイロット噴射の目標噴射量Qpl2tとが同等(Qpl1t≒Qpl2t)のである運転状態における判定操作を示している。本実施形態のように第1と第2のパイロット噴射の噴射量が略同等である場合には、第1のパイロット噴射が消滅した場合でも、第2のパイロット噴射が消滅するとは限らない。従って、第1のパイロット噴射のみが消滅して第2のパイロット噴射が存在する場合をも判別する必要がある。
図4の操作では、ステップ401の判定実行条件が、第1のパイロット噴射の目標噴射量Qpl1tと第2のパイロット噴射の目標噴射量Qpl2tが同等、すなわちQpl1t−Qpl2t≦δ(δは充分に小さい正の定数)である点が、Qpl1t>Qpl2tであることを条件とする図2、図3ステップ201と相違している。
【0066】
また、図4の操作では、図3のステップ301から309の操作の代わりにステップ403から421の操作を行う点が図3のフローチャートと相違している。以下、相違点についてのみ説明するが、図4において図3と同一のステップ番号の操作は図3と同一の操作である。
図4の操作では、ステップ205である気筒の燃焼音の変化ΔPNが、ΔPN>αであった場合には、次に第1のパイロット噴射を停止して燃焼音の変化を見る。すなわち、この場合にはステップ403に進み、その気筒の第1のパイロット噴射を1万回に1回程度の間隔で停止して、燃焼音の変化ΔPNを算出し、ステップ405ではこのΔPNが所定値γ(本実施形態では、γは2dB程度の値)以上か否かを判定する。
【0067】
ΔPN>γであった場合には、すなわち第1のパイロット噴射を停止した場合に燃焼音の悪化が大きかったわけであるから第1のパイロット噴射は正常に機能していると考えられる。このため、次にステップ409では当該気筒の第2のパイロット噴射を停止(例えば2000回に1回程度)して燃焼音の変化から第2のパイロット噴射が正常か否かを判定する。
【0068】
すなわち、ステップ409で当該気筒の第2のパイロット噴射を停止するとともに、当該気筒の燃焼音の変化ΔPNを算出し、ステップ411ではこの燃焼音の変化ΔPNが図3と同様な所定値β(β≒2dB)より大きいか否かを判定し、ΔPN>βである場合には第2のパイロット噴射は正常であると判定し、ΔPN≦βである場合には、第2のパイロット噴射が消滅したと判断して、ステップ211と213とを実行する。これにより、第2のパイロット噴射の噴射量が増量補正される。
【0069】
一方、ステップ405でΔPN≦γであった場合には、第1のパイロット噴射を停止しても燃焼音の変化が小さいことから、第1のパイロット噴射が消滅していると考えられる。そこで、この場合にはステップ419で第1のパイロット噴射の噴射量の補正量qa1を所定値D(Dは2mm3程度)だけ増大させ、ステップ421では第1のパイロット噴射の噴射量指令値(目標値)Qpl1tを補正量qa1だけ増大させる。
これにより、第1のパイロット噴射と第2のパイロット噴射との噴射量が別個に判定され、どちらか若しくは両方が消滅している場合には直ちにパイロット噴射が再開されるようになる。
【0070】
次に、図5を用いて本発明の別の実施形態について説明する。前述の図2から図4の実施形態では、第1または第2のパイロット噴射の噴射量が増大補正されるが、これらの実施形態では一旦増大補正された噴射量は低減されることがない。このため、仮に何らかの原因で補正量が過大に設定された場合には、パイロット噴射の噴射量が過大になり、スモークの発生や潤滑油の希釈などが生じる可能性がある。そこで、本実施形態ではパイロット噴射の補正量が過大になったと判断される場合には定期的に所定量ずつ補正量を低減するようにしている。
【0071】
これにより、仮に補正量が過大になっていた場合にもパイロット噴射の噴射量が適正な値に調節されるようになる。また、実際には、補正量が適切であった場合には補正量が低減されるとパイロット噴射の噴射量が不足することになる。しかし、この場合には図2から図4のいずれかの操作が実行されているため、再度パイロット噴射量が増大され、噴射量が適正な値に調節されるようになる。
【0072】
図5は上記の判定操作を具体的に説明するフローチャートである。本操作はECU20により一定時間毎に実行されるルーチンとして行われる。
図5の操作がスタートすると、ステップ501では図3または図4の操作で算出された第1のパイロット噴射の噴射補正量qa1の値が予め定めた最大値E以上になっているか否かが判定され、最大値E以上になっている場合にはステップ503でqa1の値が一定量Fだけ低減される。これにより、図5の操作が実行される毎にqa1の値が最大値Eより小さくなるまで低減されるようになる。なお、パイロット噴射判定操作として図2の操作を行っている場合には、qa1の増大は行われないため、ステップ501と503との操作は行わない。
【0073】
次いでステップ505と507とでは同様に第2のパイロット噴射の噴射補正量qa2が予め定めた最大値G以上になっているか否かが判定され、最大値G以上である場合には、図5の操作実行毎に一定量Fずつ、qa2の値がGより小さくなるまで低減される。
これにより、補正量qa1もしくはqa2の値が過大になった場合にも、パイロット噴射量は適正な範囲内に補正されるようになる。
【0074】
【発明の効果】
各請求項に記載の発明によれば、運転中に燃料噴射弁の使用期間に伴う燃料噴射特性の変化を正確に検出し、パイロット噴射の噴射量の変化が許容値以内であるか否かを正確に判定するとともに、パイロット噴射量が許容値を越えて変化したと判定した場合には、パイロット噴射量を適切な値に補正することが可能となる共通の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を自動車用ディーゼル機関に適用した場合の実施形態の概略構成を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施形態を説明するフローチャートである。
【図3】本発明の第2の実施形態を説明するフローチャートである。
【図4】本発明の第3の実施形態を説明するフローチャートである。
【図5】本発明の第4の実施形態を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
1…ディーゼル機関
3…コモンレール
10a〜10d…燃料噴射弁
11a〜11d…高圧燃料配管
20…電子制御ユニット(ECU)
27…燃料圧センサ
29a〜29d…筒内圧センサ
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料噴射制御装置に関し、詳細には複数回のパイロット噴射を行う内燃機関の燃料噴射制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ディーゼル機関等において、主燃料噴射に先立って少量の燃料を燃焼室に供給するパイロット噴射が知られている。ディーゼルエンジン等の内燃機関では、ディーゼルノック等のように燃焼音が増大する場合がある。ディーゼルノックは、燃焼時の着火遅れなどにより燃焼圧力の上昇率が過大になり、燃焼ガスに共振が生じるために燃焼音が急激に増大する現象である。一般に、燃焼音の増大は着火遅れが大きくなる低温始動時や、吸気温度や燃焼室温度上昇の遅れに伴う着火遅れが生じる過渡運転時等に特に発生しやすい。また、高圧燃料噴射を行なう機関では噴射圧力の増大に伴う燃焼速度の増加により燃焼音の増大が生じやすくなる。
【0003】
上記の燃焼音の増大を防止するためには、主燃料噴射に先立って気筒内に少量の燃料を噴射するパイロット噴射が有効なことが知られている。主燃料噴射に先立ってパイロット噴射を行なうと、パイロット噴射により噴射された燃料が予混合気を形成し主燃料噴射に先立って燃焼するため、主燃料噴射が行われた時には気筒内は燃料の着火、燃焼に適した温度と圧力とになる。このため、パイロット噴射を行なうと、主燃料噴射により噴射された燃料の着火遅れが短縮され内燃機関の燃焼音が増大することが防止される。
【0004】
パイロット噴射を行う内燃機関の例としては、例えば特開2000−18074号公報に記載されたものがある。同公報の装置では、比較的多量の燃料をパイロット噴射により噴射する際に、噴射された燃料が気化しないままシリンダ壁面に到達し、壁面の潤滑油を希釈して潤滑不良を生じさせることを防止するために、少量ずつ複数回のパイロット燃料噴射を行っている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ディーゼルノックが発生しやすい高圧燃料噴射を行うディーゼル機関では、ディーゼルノックを抑制するためにパイロット噴射が行われるが、高圧燃料噴射を行う燃料噴射装置で使用される燃料噴射弁では、燃料噴射弁内の燃料圧力を利用して弁体を弁座に押圧する圧力バランス方式の弁体駆動方法がとられている。
【0006】
圧力バランス方式の燃料噴射弁では、弁体の弁座と接触する側に作用する燃料圧力と弁体の反対側に作用する燃料圧力とスプリングの付勢力のバランスにより開弁圧力が決定される。すなわち、燃料圧力が所定の開弁圧力に到達すると、弁体の弁座と接触する側に作用する燃料圧力による開弁方向の力が、弁体の反対側に作用する燃料圧力とスプリングの付勢力とによる閉弁方向の力より大きくなるため、弁体が弁座から離間して燃料が噴射されるのである。
ところが、燃料噴射弁の使用中には弁体と弁座とは接触、離間を繰り返しているため、燃料噴射弁の使用とともに弁座には徐々に摩耗が生じるようになる。
【0007】
弁座に摩耗が生じると、弁体と接触する弁座部分の径が大きくなるため、弁体の弁座側に作用する燃料圧力を受ける部分の面積が減少するようになり、燃料噴射弁を開弁させるためにはより高い燃料圧力が必要となる。すなわち、燃料噴射弁は使用期間に応じて開弁圧力が変化(増大)するようになるのである。開弁圧力が増大すると燃料噴射時間(量)指令信号が同一であった場合でも、信号を入力してから油圧が開弁圧力に上昇するまでの時間が長くなるため、実際に弁体が弁座から離れている時間(実際の燃料噴射時間)は短くなる。このため、燃料噴射弁の噴射指令信号と実際の燃料噴射量、あるいは開弁圧力などの燃料噴射特性は燃料噴射弁使用期間とともに変化し、噴射指令信号が同一であれば実際の燃料噴射量は徐々に低下するようになる。
【0008】
この、使用に伴う燃料噴射量の低下は比較的小さいものであるが、例えばパイロット噴射を行う機関では、パイロット噴射の燃料噴射量は少量であるため、パイロット噴射に対して大きな影響が生じる場合がある。特に、上記特開2000−18074号公報の装置のように、パイロット噴射を2回に分けて行う場合には1回当たりの噴射量(特に2回目のパイロット噴射の噴射量)は比較的小さくなる。このため、燃料噴射弁の使用に伴って燃料噴射量が低下すると、例えば、2回目のパイロット噴射が燃料噴射量の低下により消滅してしまう場合や、極端な場合には1回目と2回目の両方のパイロット噴射が消滅する場合が生じてしまう。
【0009】
両方のパイロット噴射が消滅した場合は当然に燃焼音の増大が生じるが、2回目のパイロット噴射が消滅した場合にもパイロット噴射量の不足により、低速運転時の燃焼音の増大や、中速中負荷領域での排気性状の悪化などが生じる。
このため、パイロット噴射の消滅に至る前に使用に伴う燃料噴射量の低下等の燃料噴射弁の燃料噴射特性の変化を精度良く検出して噴射量を補正する必要がある。
【0010】
しかし、このためには、パイロット噴射量をわずかな量ずつ低下させて燃焼音の変化を検出する等の操作が必要となり、パイロット噴射量を高精度に制御する必要が生じる。ところが、実際にはパイロット噴射は燃料噴射弁の噴射可能な最小燃料噴射量付近で行われていることが多く、この付近で更に微細に燃料噴射量を低下させると、燃料噴射指令値と燃料噴射量とが正確に対応しなくなるため、正確な燃料量の低減を行おうとすると燃料噴射制御装置(例えばECUなど)の制御負荷が大きくなる問題がある。
【0011】
本発明は上記問題に鑑み、運転中に燃料噴射弁の使用期間に伴う燃料噴射特性の変化を正確に検出し、パイロット噴射の噴射量が許容値以内であるか否かを正確に判定可能な手段を備えた燃料噴射制御装置を提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明によれば、高圧燃料を貯留する蓄圧室と、該蓄圧室に接続され蓄圧室内の燃料を内燃機関の燃焼室内に噴射する燃料噴射弁とを備え、該燃料噴射弁から主燃料噴射に先立って第1と第2のパイロット噴射を行う燃料噴射制御装置であって、機関の燃焼音を検出する燃焼音検出手段と、予め定めた機関運転状態において、第1のパイロット噴射により発生した燃料噴射圧力の脈動により燃料噴射弁からの燃料噴射圧力が低下するタイミングに一致するように第2のパイロット噴射時期を移動させ、該第2のパイロット噴射時期の移動に伴う燃焼音の変化に基づいて前記燃料噴射弁の燃料噴射特性の変化を判定する判定手段と、を備えた燃料噴射制御装置が提供される。
【0013】
すなわち、請求項1の発明では燃料噴射弁の燃料噴射特性の変化を判定するために、燃料噴射により生じる燃料噴射圧力の脈動を利用する。第1のパイロット噴射が行われると、燃料噴射弁内の燃料通路の圧力は急激に低下する。この圧力低下は負の圧力波となって、燃料噴射弁と蓄圧室とを接続する燃料配管中を蓄圧室に向けて進行し、蓄圧室との接続部で反射して正の圧力波となって燃料噴射弁に戻る。この正の圧力波は再度燃料噴射弁で反射して蓄圧室に向かう。すなわち、第1のパイロット噴射により生じた燃料圧力変動は燃料噴射弁と蓄圧室とで反射を繰り返しながら燃料配管を往復する。また、蓄圧室接続部で反射する際には開放端での反射となるため反射前後で圧力波の振幅の正負が逆転する。このため、燃料噴射弁における燃料噴射圧力は第1のパイロット噴射の後に脈動を生じて上昇と低下とを繰り返すことになる。
【0014】
従って、第1のパイロット噴射により生じた圧脈動のタイミングと第2のパイロット噴射の時期とが重なると第2のパイロット噴射の噴射量に誤差が生じることになる。例えば、圧力脈動により燃料噴射圧力が上昇しているときに第2のパイロット噴射が行われると燃料噴射指令値が同一であっても噴射量は目標値より大きくなり、燃料噴射圧力が低下しているときに第2のパイロット噴射が行われると噴射量は目標値より小さくなる。
上記の圧力脈動のパターン(周期等)は燃料噴射系が定まれば予測できるため、通常第2のパイロット噴射の噴射時期は第1のパイロット噴射による圧力脈動と一致しない時期に設定されており、圧力脈動による燃料噴射量の変化が生じることが防止されている。
【0015】
本発明では、第2のパイロット噴射の燃料噴射特性を判定する際には、第1のパイロット噴射後の圧力脈動により燃料噴射弁の噴射圧が低下するタイミング(すなわち、負の圧力波到達タイミング)に第2のパイロット噴射の噴射時期を一致させる。
前述のように、燃料噴射圧力が低下するとそれに応じて燃料噴射量も低下する。また、高圧燃料噴射では圧力の脈動幅(低下幅)は通常の燃料噴射圧力に較べてかなり小さいため、燃料噴射量の低下幅も比較的小さくなる。このため、第2のパイロット噴射時期を移動させて第1のパイロット噴射による圧力脈動のタイミングに一致させることにより、燃料噴射制御装置の制御負荷を増大することなく第2のパイロット噴射の噴射量のみをわずかに低下させることが可能となる。
これにより、第2のパイロット噴射の噴射量のみをわずかに変化させて燃焼音の変化から燃料噴射弁の噴射特性の変化を判定することが可能となる。
【0016】
請求項2に記載の発明によれば、前記判定手段は、前記第2のパイロット噴射時期の移動に伴う燃焼音の増大幅が予め定めた所定値以上である場合には、燃料噴射弁の燃料噴射特性の変化による第2のパイロット噴射の燃料噴射量の減少幅が許容値以上であると判定するとともに、第2のパイロット噴射における燃料噴射量を予め定めた量だけ増大させる、請求項1に記載の燃料噴射制御装置が提供される。
【0017】
すなわち、請求項2の発明では第2のパイロット噴射時期を第1のパイロット噴射による圧力脈動のタイミングに一致させたときの燃焼音が大きい場合には、燃料噴射弁の燃料噴射特性の変化により第2のパイロット噴射の燃料噴射量が許容限度を越えて低下していると判断する。前述のように、燃料噴射圧力が低下するタイミングに噴射時期を移動させることにより、第2のパイロット噴射の燃料噴射量はわずかに低下する。通常、第2のパイロット噴射量が低下していない場合には、わずかに燃料噴射量が低下しても第2のパイロット噴射量は充分に残っており、大きな燃焼音の増大は生じないが、燃料噴射特性の変化により第2のパイロット噴射量が比較的大きく低下している場合には、わずかに噴射量が低下しただけでも実際の噴射量が極めて小さくなるため、燃焼音が大幅に増大する。
【0018】
本発明では、第2のパイロット噴射時期を移動させたときの燃焼音の増大幅が所定値以上であった場合には、第2のパイロット噴射の燃料噴射量が許容範囲を越えて低下していると判断し、第2のパイロット噴射量を所定量だけ増大(すなわち燃料噴射指令値を所定量増大)する。この第2のパイロット噴射量の増大は、タイミング移動時にも燃焼音の大きな増大が生じなくなるまで行われるため、これにより第2のパイロット燃料噴射の実際の噴射量は目標値に対して許容範囲内に収束するようになる。
【0019】
請求項3に記載の発明によれば、前記判定手段は、前記第2のパイロット噴射時期の移動に伴う燃焼音の増大幅が前記所定値以下である場合には、第2のパイロット噴射を停止し、該停止時の燃焼音の増大幅が予め定めた第2の所定値以上である場合には、燃料噴射弁の燃料噴射特性の変化が許容値以内であると判定する、請求項2に記載の燃料噴射制御装置が提供される。
【0020】
すなわち、請求項3の発明では第2のパイロット噴射の噴射時期移動時の燃焼音の増大幅が前記所定値より小さい場合には、第2のパイロット噴射を停止して再度燃焼音の変化を計測する。例えば、燃料噴射特性の変化によりすでに第2のパイロット噴射が消滅していたような場合には、第2のパイロット噴射の噴射時期を移動させたときの燃焼音の変化量は極めて小さくなる(すなわち、噴射時期を移動させる前から燃焼音が増大している。このため、請求項2で第2のパイロット噴射の噴射時期を移動させたときに燃焼音の増大幅が小さい場合には、第2のパイロット噴射量が許容範囲内である場合に加えて、もともと第2のパイロット噴射が消滅している場合も考えられる。
【0021】
そこで、本発明では上記の場合には第2のパイロット噴射を停止することにより、第2のパイロット噴射の有無を判定する。すなわち、第2のパイロット噴射が消滅していない場合には第2のパイロット噴射を停止することにより、必ずある程度の燃焼音の増大が生じるのに対して、すでに第2のパイロット噴射が消滅している場合には、第2のパイロット噴射を停止しても燃焼音の増大は生じないはずである。このため、第2のパイロット噴射停止時に燃焼音が第2の所定値以上増大する場合には、第2のパイロット噴射は消滅しておらず、しかも噴射量の変化が許容範囲内であると判断することができる。
【0022】
請求項4に記載の発明によれば、前記判定手段は、前記第2のパイロット噴射停止時の燃焼音の増大幅が前記第2の所定値以下である場合には、燃料噴射弁の燃料噴射特性の変化が許容値以上であると判定するとともに、第1と第2のパイロット噴射における燃料噴射量をそれぞれ予め定めた量だけ増大させる、請求項3に記載の燃料噴射制御装置が提供される。
【0023】
すなわち、請求項4の発明では第2のパイロット噴射停止時の燃焼音増大幅が第2の所定値以下である場合には、燃料噴射弁の燃料噴射特性の変化が大きく第2のパイロット噴射が消滅していると判断し、所定量だけ第2のパイロット噴射量を増大する。また、第2のパイロット噴射が消滅するほど燃料噴射特性の変化が大きい場合には、当然、第1の第1のパイロット噴射の噴射量も大きく低下している。このため、この場合には第2のパイロット噴射量だけでなく第1のパイロット噴射量をも増大する。これにより、第1と第2のパイロット噴射量は許容範囲内になるまで増大されるようになる。
【0024】
請求項5に記載の発明によれば、前記判定手段は更に、前記第2のパイロット噴射における燃料噴射量の増大量が予め定めた値を越えた場合には、一定量ずつ第2のパイロット噴射における燃料噴射量を減少させる、請求項2に記載の燃料噴射制御装置が提供される。
【0025】
すなわち、請求項5の発明では第2のパイロット噴射の噴射量を増大させる際に、増大幅(各操作における増大量の累積値)が所定値を越えた場合には、定期的に第2のパイロット噴射の噴射量を低下させる。請求項2の操作では第2のパイロット噴射の噴射量は増大されるのみであるため、何らかの原因で過剰な補正が行われた場合には、噴射量が過大になる可能性がある。本発明では、増大幅がある程度大きくなった場合には、定期的に一定量ずつ第2のパイロット噴射の噴射量を低下させる。これにより、第2のパイロット噴射量が目標値に対する許容範囲を超えて低下した場合には、請求項2の操作により第2のパイロット噴射の燃料噴射量は増大されるため、常に第2のパイロット噴射量の補正を適正行うことが可能となる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を用いて本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の燃料噴射装置を自動車用ディーゼル機関に適用した場合の実施形態の概略構成を示す図である。
【0027】
図1において、1は内燃機関(本実施形態では#1から#4の4つの気筒を備えた4気筒4サイクルディーゼル機関が使用される)、10aから10d は機関1の#1から#4の各気筒燃焼室に直接燃料を噴射する燃料噴射弁を示している。燃料噴射弁10aから10dは、それぞれ燃料通路(高圧燃料配管)11aから11dを介して共通の蓄圧室(コモンレール)3に接続されている。コモンレール3は、高圧燃料噴射ポンプ5から供給される加圧燃料を貯留し、貯留した高圧燃料を高圧燃料配管11aから11dを介して各燃料噴射弁10aから10d に分配する機能を有する。
【0028】
図1に20で示すのは、機関の制御を行う電子制御ユニット(ECU)である。ECU20は、リードオンリメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、マイクロプロセッサ(CPU)、入出力ポートを双方向バスで接続した公知の構成のマイクロコンピュータとして構成されている。ECU20は、本実施形態では、燃料ポンプ5の吐出量を制御してコモンレール3圧力を機関運転条件に応じて定まる目標値に制御する燃料圧制御を行っている他、燃料噴射弁10aから10dの開弁時期、時間等の開弁動作を制御してメイン燃料噴射の噴射時期及び噴射量を制御する燃料噴射制御等の機関の基本制御を行う。
【0029】
これらの制御を行なうために、本実施形態ではコモンレール3にはコモンレール内燃料圧力を検出する燃料圧センサ27が設けられている他、機関1のアクセルペダル(図示せず)近傍にはアクセル開度(運転者のアクセルペダル踏み込み量)を検出するアクセル開度センサ21が設けられている。また、図1に23で示すのは機関1のカム軸の回転位相を検出するカム角センサ、25で示すのはクランク軸の回転位相を検出するクランク角センサである。カム角センサ23は、機関1のカム軸近傍に配置され、クランク回転角度に換算して720度毎に基準パルスを出力する。また、クランク角センサ25は、機関1 のクランク軸近傍に配置され所定クランク回転角毎(例えば15度毎)にクランク角パルスを発生する。
【0030】
ECU20は、クランク角センサ25から入力するクランク回転角パルス信号の周波数から機関回転数を算出し、アクセル開度センサ21から入力するアクセル開度信号と、機関回転数とに基づいて燃料噴射弁10aから10dの燃料噴射時期と燃料噴射量とを算出する。
また、図1に29aから29dで示すのは、各気筒10aから10dに配置され、気筒内の圧力を検出する公知の形式の筒内圧センサである。筒内圧センサ29aから29dで検出された各筒内圧力データは、指圧−燃焼音コンバータ30に送られ、燃焼音の大きさに変換されてECU20に供給される。
【0031】
本実施形態では、各燃料噴射弁からは各気筒の吸気行程時に、主燃料噴射に先立って比較的少量の燃料がパイロット噴射として噴射される。パイロット噴射により気筒内に噴射された燃料は、主燃料噴射が開始される前に燃焼し、気筒内の温度圧力を主燃料噴射の燃料の燃焼に適した状態まで上昇させる。このため、パイロット噴射を行うことによりディーゼルノックなどの燃焼音が低減されるようになる。しかし、パイロット噴射により燃焼室に供給する燃料量が多いと、噴射された燃料が燃焼室壁面に液体のまま到達して潤滑油の希釈やスモークの発生を生じる場合がある。このため、本実施形態ではパイロット噴射を2回行い、1回当たりの燃料噴射量を小さく設定することにより、燃焼室壁面への液状燃料の到達を防止している。
なお、本実施形態では、各燃料噴射弁からのパイロット噴射と主燃料噴射の燃料噴射時期と燃料噴射量との算出は公知のいずれの方法をも使用することができるため、ここでは詳細な説明は省略する。
【0032】
燃料噴射が行われていないとき、すなわち燃料噴射弁の閉弁中、高圧燃料配管11aから11dにはコモンレール3内と同じ圧力の高圧燃料が充満している。この状態では、燃料噴射弁のニードル弁の弁体の先端は弁座に接触している。弁体の先端は略円錐形をしており、弁体の先端が環状の弁座に嵌入することによりシールが行われる。燃料噴射弁ハウジング内の弁体先端と弁座との周囲部分にはノズル室が設けられており、弁体先端の弁座嵌入部の外側の部分にはノズル室内の燃料油圧力が弁体を弁座から離間させる方向に作用している。また、弁体の弁座と反対側の端面にはスプリング、燃料圧力などの力が弁体を弁座に押圧する方向に作用している。
【0033】
燃料噴射時にはノズル室が高圧燃料配管に適宜な手段で連通され、ノズル室内の圧力が上昇する。ノズル室内の圧力が上昇するにつれて、弁体を弁座から離間方向(開弁方向)に押圧する力は増大し、ノズル室内圧力が所定の圧力(開弁圧)になると弁体が弁座から離れてノズル室内の燃料が燃料噴射孔から噴射される。
【0034】
ところが、燃料噴射弁の弁座は使用とともに摩耗していくため、弁座の内径も大きくなる。このため、弁座の摩耗とともに弁体の弁座への嵌入量も大きくなり、弁体先端の弁座周囲の外に出ている部分の面積(受圧面積)は減少していく。従って、弁体を弁座から離間させるためには受圧面積の減少を補うだけの圧力上昇が必要となり、弁座の摩耗とともにノズル室内の開弁圧力が上昇するようになる。
【0035】
開弁圧力が上昇すると、燃料噴射時に燃料噴射指令信号を受信してからノズル室内の燃料油圧が開弁圧力まで上昇する時間が長くなるため、燃料噴射指令信号が同じであっても実際に弁体が弁座から離れている時間が短くなる。
すなわち、燃料噴射弁は使用とともに燃料噴射特性が変化し、同一の指令信号に対して実際の燃料噴射量が徐々に低下して行くことになる。
【0036】
ところが、主燃料噴射では燃料噴射量が大きいためそれほど問題にはならないが、パイロット噴射における燃料噴射量は比較的小さい。特に、本実施形態のようにパイロット噴射を2回に分けて実行する場合には1回当たりのパイロット噴射量は更に小さくなるため、上記摩耗による燃料噴射量の低下の影響が大きくなり、極端な場合には燃料噴射量の低下によりパイロット噴射が消失(燃料噴射量がゼロまで減少)する場合が生じる。
【0037】
パイロット噴射量の低下幅は、例えばパイロット噴射量指令値を少しずつ減らして行き、燃焼音の変化によりパイロット噴射が消失する噴射量指令値を検出することにより検出することができる。しかし、実際にはパイロット噴射、特に第2の(2回目の)パイロット噴射量はもともと少ないため燃料噴射弁の噴射可能な下限値付近で噴射が行われる例が多い。このため、この下限値付近で更にわずかずつ燃料噴射量を低下させようとすると、燃料噴射量制御の精度を更に向上させる必要があり、制御装置(ECU)の制御負荷が増大してしまう問題がある。
【0038】
本実施形態では、第2のパイロット噴射量を、第1のパイロット噴射により生じる燃料噴射圧力の脈動を利用して減少させることにより、ECUの負荷増大を生じることなく正確に燃料噴射弁の燃料噴射特性の変化を検出する。
【0039】
燃料噴射時に、燃料噴射弁のニードル弁体が弁座から離れると高圧燃料が燃料噴射弁内のノズル室から燃料噴射孔を介して噴射され、ノズル室圧力は急激に低下する。このノズル室急激な圧力降下は圧力波となってノズル室に連通する高圧燃料配管を通ってコモンレール3に戻り、コモンレール3入口で反射して再度燃料噴射弁10に伝播する。更に、燃料噴射弁に到達した反射波は再度燃料噴射弁のノズル室で反射しコモンレール方向に伝播する。このため、各燃料噴射弁10aから10dのノズル室内の圧力(噴射圧力)は、燃料噴射が行われると反射した圧力波が到達する毎に変動するようになる。
【0040】
ところで、燃料噴射弁のノズル室は圧力波の反射の際に閉鎖端として機能するのに対し、コモンレールと燃料配管との接続部は開放端として機能する。このため、コモンレール側で反射する際に圧力波の振幅は反転し、燃料噴射後に燃料噴射弁に到達する反射波は正圧波(圧力上昇)と負圧波(圧力)とが交互に繰り返されるようになる。
すなわち、第1のパイロット噴射が行われると、その後燃料噴射圧力には脈動が生じ、噴射圧力は一定の周期で増減するようになる。噴射圧力が増減すると噴射指令信号が同一であっても燃料噴射量は噴射圧力に応じて変動してしまう。しかし、この脈動周期はコモンレールと燃料噴射弁との間の距離によって決まり、燃料噴射系が定まれば脈動周期も定まるため、通常第2のパイロット噴射の噴射時期は第1のパイロット噴射による圧力の脈動の生じるタイミングを外した位置に設定されている。
【0041】
本実施形態では、ECU20は各燃料噴射弁の燃料噴射特性の変化を判定する際には、第2のパイロット噴射の噴射時期を移動させて、第1のパイロット噴射による圧力脈動により燃料噴射圧が低下するタイミング(予め記憶したタイミング)に一致させる。これにより、第2のパイロット噴射の燃料噴射量は圧力脈動により燃料噴射圧力が低下した分だけ減少する。
【0042】
圧力脈動による燃料噴射圧力の減少分(脈動成分)は燃料噴射圧力そのものに較べれば小さくなるため、燃料噴射時期を上記のように移動させた場合の第2のパイロット噴射の噴射量の低下幅はかなり小さなものになる。このため、ECU20の燃料噴射制御の負荷を増大することなく、第2のパイロット噴射の噴射量をわずかに低下させることが可能となる。
【0043】
例えば、第1のパイロット噴射量が第2のパイロット噴射量より大きい状態では、燃料噴射弁の燃料噴射特性の変化による燃料噴射量減少が進行した場合には必ず第2のパイロット噴射が第1のパイロット噴射より先に消滅する。また、第2のパイロット噴射の噴射時期を移動させた場合には燃料噴射量に影響を受けるのは第2のパイロット噴射のみであり、第1のパイロット噴射は影響を受けない。
従って、第2のパイロット噴射の噴射時期を移動させたときに燃焼音のレベルが変化した場合には、燃焼音の変化の原因は第2のパイロット噴射における燃料噴量の変化であると考えることができる。
【0044】
例えば、第2のパイロット噴射時期を移動させたときに、燃焼音のレベルがある程度以上増大した場合には、第2のパイロット噴射の燃料噴射量が弁座の摩耗等によりすでに大きく低下しており、噴射時期を移動させて噴射量をわずかに低下させただけで、燃焼音が悪化してしまったと考えられる。また、逆に第2のパイロット噴射時期を移動させたときに燃焼音のレベルの増大幅が少ない場合には、現在の第2のパイロット噴射の燃料噴射量はわずかに低下した程度では燃焼音に変化が出ないほど大きい、すなわち、燃料噴射特性の変化による燃料噴射量の低下は少ないと判断することができる。
【0045】
本実施形態では、ECUは機関の定常運転中に定期的に(例えば燃料噴射1000回当たり1回程度)各気筒の第2のパイロット噴射時期を移動させ、燃焼音の変化を検出して燃料噴射弁の燃料噴射特性の変化が許容範囲内か否かを判定するとともに、燃料噴射特性の変化が許容範囲を越えた場合には燃料噴射量を補正するようにしている。
【0046】
図2は、上述した本実施形態のパイロット噴射判定操作を具体的に示すフローチャートである。本操作は、ECU20により所定時間毎に実行されるルーチンとして行われる。
図2の操作では、まずステップ201で現在パイロット噴射判定の実行条件が成立しているか否かを判定する。ここで、ステップ201では判定される条件は、(1)現在機関が定常運転されていること、及び(2)第1パイロット噴射の噴射量指令値(目標値)Qpl1tが、第2パイロット噴射の噴射量指令値Qpl2tより大きいことである。
【0047】
ここで、上記条件(1)は加減速時などの過渡時に判定を行うことにより判定に誤差が生じることを防止するため、条件(2)は、本操作で第2のパイロット噴射の噴射量の適否を判定するためには、第1のパイロット噴射が存在する(消滅していない)ことが必要となるため、第1のパイロット噴射の噴射量が第2のパイロット噴射の噴射量より大きい状態、すなわち、仮に燃料噴射弁の噴射特性の変化のために噴射量が低下してパイロット噴射が消滅するとしても、第2のパイロット噴射が先に消滅する状態で判定を行うためである。
【0048】
上記条件(1)と(2)のいずれか一方でも成立しない場合には、今回の操作はステップ203以下を実行することなく終了する。そして、(1)と(2)の条件の両方が成立した場合にのみステップ203に進む。
ステップ203では、第2のパイロット噴射時期を移動(進角または遅角)させて、第1のパイロット噴射による圧力脈動で噴射圧力が低下するタイミングに一致させる。前述したように、燃料噴射系が定まれば圧力脈動のパターンも定まるため、噴射時期をどのタイミングにに移動させるべきかは予め定められておりECU20のROMに格納されている。ステップ203では一定時間毎(例えば燃料噴射1000回につき1回)に1気筒ずつ第2のパイロット噴射時期を移動させる操作を行う。
【0049】
第2のパイロット噴射時期を移動させると第2のパイロット噴射の噴射量が低下するため機関燃焼状態に多少の影響が出るが、例えば1000回に1回程度の頻度であれば機関への影響は無視できる程度になる。これにより、本実施形態では、機関運転に実質的な影響を与えることなくパイロット噴射の噴射量適否の判定を行うことが可能となっている。
【0050】
ステップ203で第2のパイロット噴射の噴射時期を移動させた後、ステップ205では、噴射時期を移動させた気筒の筒内圧センサの出力に基づいて、燃焼音値PNの前回(第2のパイロット噴射の噴射時期が通常時)からの変化量(増大量)ΔPN(dB)を算出するとともに、この増大量ΔPNが所定値α(dB)を越えているか否か、すなわち第2のパイロット噴射の噴射時期を移動(第2のパイロット噴射の噴射量を低減)した場合に燃焼音が所定値以上悪化したか否かを判定する。
ここで、αは許容可能な燃焼音の増大幅であり機関の種類、形式に応じて実験により定められる値であるが、例えば本実施形態では3dB程度の値に設定されている。
【0051】
ステップ205でΔPNがα以下であった場合には、第2のパイロット噴射の燃料噴射量は圧力脈動による減少程度では影響を受けないほど充分に大きいと考えられるので、ステップ207に進み、第2パイロット噴射は正常であると判定した後、ステップ215で第2パイロット噴射の噴射時期を通常の値に復帰させた後今回の操作を終了する。
【0052】
一方、ステップ205でΔPN>αであった場合には、すなわち第2のパイロット噴射の噴射量が低下しており、圧力脈動のためにわずかに減少しただけでも燃焼音が悪化する程度になっていると判断できるため、ステップ209に進み、第2パイロット噴射の噴射量が減少していると判定する。
そして、ステップ211では、第2パイロット噴射の噴射量の補正量qa2を一定値A(mm3)だけ増大する。そして、ステップ213では第2パイロット噴射の噴射量目標値(指令値)Qpl2tを上記により算出した補正量qa2だけ増大補正する。
【0053】
ステップ213で噴射量増大後、ステップ215では第2パイロット噴射の噴射時期は正規の値に戻され、今回の操作は終了する。この操作により、第2のパイロット噴射の噴射量は、ステップ205で騒音の増大幅ΔPNが許容範囲α以下になるまでステップ211と213とが実行される毎に増大するようになる。なお、補正量qa2の増大幅Aは、本実施形態では例えば1mm3程度の値に設定されている。
【0054】
上述のように、図2の実施形態によれば、第2パイロット噴射の噴射時期を移動させて、第2パイロット噴射の噴射量をわずかに減少させることにより、ECU20の制御負荷を増大させることなく第2パイロット噴射の噴射量が正常であるか否かを判断するとともに、第2パイロット噴射の噴射量が許容値以上に減少している場合には増大補正が行われる。
【0055】
次に、図3を用いて本発明の第2の実施形態について説明する。
前述の図2の実施形態においては、第2のパイロット噴射の噴射時期を移動させたときの燃焼音の増大幅ΔPNが許容値α以下であった場合(ステップ205)には直ちに第2パイロット噴射は正常であると判定していた。
【0056】
しかし、実際には第2のパイロット噴射の噴射量がわずかに減少したときに燃焼音の変化が小さい場合としては、第2パイロット噴射が正常である場合の他に、理論的には第1のパイロット噴射が消滅しているため、第2のパイロット噴射の噴射時期を移動させても実際には第2パイロット噴射の噴射量が減少しなかった場合も考えられる。
【0057】
ところが、図2の実施形態では第1パイロット噴射の噴射量指令値(目標値)Qpl1tが、第2パイロット噴射の噴射量指令値Qpl2tより大きいことが判定実行条件とされている(ステップ201)ため、第1のパイロット噴射が消滅した場合には必ず第2のパイロット噴射も消滅している。このため、図2で第2のパイロット噴射の噴射時期を移動したときの燃焼音の悪化が少ない場合には、第1と第2のパイロット噴射の両方が消滅しているためであると考えることができる。
【0058】
そこで、本実施形態では、図2のステップ205でΔPN≦αであった場合には、第2のパイロット噴射を停止して燃焼音の変化を検出することにより、第2のパイロット噴射が正常であるか否かを判定するようにしている。
【0059】
すなわち、第2のパイロット噴射を停止しても燃焼音が悪化しない場合には、上述したようにもともと第1と第2のパイロット噴射が消滅していたため停止操作を行っても燃焼音には影響が生じなかったと考えられる。また、逆に燃焼音が悪化する場合には、第2のパイロット噴射が有効に機能している、すなわち第2のパイロット噴射が正常であると判断することができるからである。
【0060】
図3は、上記操作を具体的に説明するフローチャートである。図3のフローチャートは、図2のステップ207を上記の操作のためにステップ301から309に置きかえたものであり、ステップ201から205及びステップ209から215は図2の操作と同一である。
以下、ステップ301から309について説明すると、本実施形態ではステップ205である気筒の燃焼音の悪化幅ΔPNがαより大きかった場合にはステップ301に進み、第2のパイロット噴射を一定間隔毎に(例えば燃料噴射2000回毎に1回の割合で)停止するとともに、ステップ303で停止時の当該気筒の燃焼音の悪化幅ΔPが所定値βより大きいか否かを判定する。本実施形態ではβはαより小さい値に設定され、例えばβ=2dB程度の値とされる。
【0061】
第2のパイロット噴射停止時の燃焼音悪化幅が大きい場合には、前述のように第2のパイロット噴射は正常であるので、ステップ311に進み第2のパイロット噴射が正常であるとの判定を行い、ステップ215に進み第2のパイロット噴射の噴射時期を通常に復帰させて操作を終了する。
一方、ステップ303でΔPN≦βであった場合には、第2のパイロット噴射を停止しても燃焼音が増大しないことから、もともと第1と第2のパイロット噴射との両方が停止していたために、第2のパイロット噴射の停止操作を行う前から騒音が増大していたと考えられる。
【0062】
このため、この場合にはステップ305に進み、第1と第2のパイロット噴射の両方が消滅したと判定し、ステップ307では第1のパイロット噴射の噴射量補正量qa1を一定値Bたけ増大させるとともに、第2のパイロット噴射の噴射量補正量qa2を一定値Cだけ増大させる。
そしてステップ309では、第1のパイロット噴射の噴射量指令値(目標値)Qpl1tと第2のパイロット噴射の噴射量指令値(目標値)Qpl2tとを、それぞれqa1とqa2だけ増大させた後、ステップ215に進み各気筒の第2パイロット噴射時期を通常の値に復帰させる。
【0063】
これにより、本実施形態ではより正確にパイロット噴射が適正であるか否かを判定するとともに、不適である場合には第1と第2のパイロット噴射との両方の噴射量が補正される。
【0064】
次に図4を用いて本発明の第3の実施形態について説明する。
前述の図3の実施形態では、第1のパイロット噴射の目標噴射量Qpl1tが第2のパイロット噴射の目標噴射量Qpl2tより大きい(Qpl1t>Qpl2t)運転条件で第2のパイロット噴射の噴射時期を移動しており、第1のパイロット噴射が消滅している場合には必ず第2のパイロット噴射も消滅しているため、ステップ301でΔPN>βの場合には直ち第1と第2のパイロット噴射が消滅していると判定していた。
【0065】
これに対して、図4の実施形態では第1のパイロット噴射の目標噴射量Qpl1tと第2のパイロット噴射の目標噴射量Qpl2tとが同等(Qpl1t≒Qpl2t)のである運転状態における判定操作を示している。本実施形態のように第1と第2のパイロット噴射の噴射量が略同等である場合には、第1のパイロット噴射が消滅した場合でも、第2のパイロット噴射が消滅するとは限らない。従って、第1のパイロット噴射のみが消滅して第2のパイロット噴射が存在する場合をも判別する必要がある。
図4の操作では、ステップ401の判定実行条件が、第1のパイロット噴射の目標噴射量Qpl1tと第2のパイロット噴射の目標噴射量Qpl2tが同等、すなわちQpl1t−Qpl2t≦δ(δは充分に小さい正の定数)である点が、Qpl1t>Qpl2tであることを条件とする図2、図3ステップ201と相違している。
【0066】
また、図4の操作では、図3のステップ301から309の操作の代わりにステップ403から421の操作を行う点が図3のフローチャートと相違している。以下、相違点についてのみ説明するが、図4において図3と同一のステップ番号の操作は図3と同一の操作である。
図4の操作では、ステップ205である気筒の燃焼音の変化ΔPNが、ΔPN>αであった場合には、次に第1のパイロット噴射を停止して燃焼音の変化を見る。すなわち、この場合にはステップ403に進み、その気筒の第1のパイロット噴射を1万回に1回程度の間隔で停止して、燃焼音の変化ΔPNを算出し、ステップ405ではこのΔPNが所定値γ(本実施形態では、γは2dB程度の値)以上か否かを判定する。
【0067】
ΔPN>γであった場合には、すなわち第1のパイロット噴射を停止した場合に燃焼音の悪化が大きかったわけであるから第1のパイロット噴射は正常に機能していると考えられる。このため、次にステップ409では当該気筒の第2のパイロット噴射を停止(例えば2000回に1回程度)して燃焼音の変化から第2のパイロット噴射が正常か否かを判定する。
【0068】
すなわち、ステップ409で当該気筒の第2のパイロット噴射を停止するとともに、当該気筒の燃焼音の変化ΔPNを算出し、ステップ411ではこの燃焼音の変化ΔPNが図3と同様な所定値β(β≒2dB)より大きいか否かを判定し、ΔPN>βである場合には第2のパイロット噴射は正常であると判定し、ΔPN≦βである場合には、第2のパイロット噴射が消滅したと判断して、ステップ211と213とを実行する。これにより、第2のパイロット噴射の噴射量が増量補正される。
【0069】
一方、ステップ405でΔPN≦γであった場合には、第1のパイロット噴射を停止しても燃焼音の変化が小さいことから、第1のパイロット噴射が消滅していると考えられる。そこで、この場合にはステップ419で第1のパイロット噴射の噴射量の補正量qa1を所定値D(Dは2mm3程度)だけ増大させ、ステップ421では第1のパイロット噴射の噴射量指令値(目標値)Qpl1tを補正量qa1だけ増大させる。
これにより、第1のパイロット噴射と第2のパイロット噴射との噴射量が別個に判定され、どちらか若しくは両方が消滅している場合には直ちにパイロット噴射が再開されるようになる。
【0070】
次に、図5を用いて本発明の別の実施形態について説明する。前述の図2から図4の実施形態では、第1または第2のパイロット噴射の噴射量が増大補正されるが、これらの実施形態では一旦増大補正された噴射量は低減されることがない。このため、仮に何らかの原因で補正量が過大に設定された場合には、パイロット噴射の噴射量が過大になり、スモークの発生や潤滑油の希釈などが生じる可能性がある。そこで、本実施形態ではパイロット噴射の補正量が過大になったと判断される場合には定期的に所定量ずつ補正量を低減するようにしている。
【0071】
これにより、仮に補正量が過大になっていた場合にもパイロット噴射の噴射量が適正な値に調節されるようになる。また、実際には、補正量が適切であった場合には補正量が低減されるとパイロット噴射の噴射量が不足することになる。しかし、この場合には図2から図4のいずれかの操作が実行されているため、再度パイロット噴射量が増大され、噴射量が適正な値に調節されるようになる。
【0072】
図5は上記の判定操作を具体的に説明するフローチャートである。本操作はECU20により一定時間毎に実行されるルーチンとして行われる。
図5の操作がスタートすると、ステップ501では図3または図4の操作で算出された第1のパイロット噴射の噴射補正量qa1の値が予め定めた最大値E以上になっているか否かが判定され、最大値E以上になっている場合にはステップ503でqa1の値が一定量Fだけ低減される。これにより、図5の操作が実行される毎にqa1の値が最大値Eより小さくなるまで低減されるようになる。なお、パイロット噴射判定操作として図2の操作を行っている場合には、qa1の増大は行われないため、ステップ501と503との操作は行わない。
【0073】
次いでステップ505と507とでは同様に第2のパイロット噴射の噴射補正量qa2が予め定めた最大値G以上になっているか否かが判定され、最大値G以上である場合には、図5の操作実行毎に一定量Fずつ、qa2の値がGより小さくなるまで低減される。
これにより、補正量qa1もしくはqa2の値が過大になった場合にも、パイロット噴射量は適正な範囲内に補正されるようになる。
【0074】
【発明の効果】
各請求項に記載の発明によれば、運転中に燃料噴射弁の使用期間に伴う燃料噴射特性の変化を正確に検出し、パイロット噴射の噴射量の変化が許容値以内であるか否かを正確に判定するとともに、パイロット噴射量が許容値を越えて変化したと判定した場合には、パイロット噴射量を適切な値に補正することが可能となる共通の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を自動車用ディーゼル機関に適用した場合の実施形態の概略構成を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施形態を説明するフローチャートである。
【図3】本発明の第2の実施形態を説明するフローチャートである。
【図4】本発明の第3の実施形態を説明するフローチャートである。
【図5】本発明の第4の実施形態を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
1…ディーゼル機関
3…コモンレール
10a〜10d…燃料噴射弁
11a〜11d…高圧燃料配管
20…電子制御ユニット(ECU)
27…燃料圧センサ
29a〜29d…筒内圧センサ
Claims (5)
- 高圧燃料を貯留する蓄圧室と、該蓄圧室に接続され蓄圧室内の燃料を内燃機関の燃焼室内に噴射する燃料噴射弁とを備え、該燃料噴射弁から主燃料噴射に先立って第1と第2のパイロット噴射を行う燃料噴射制御装置であって、
機関の燃焼音を検出する燃焼音検出手段と、
予め定めた機関運転状態において、第1のパイロット噴射により発生した燃料噴射圧力の脈動により燃料噴射弁からの燃料噴射圧力が低下するタイミングに一致するように第2のパイロット噴射時期を移動させ、該第2のパイロット噴射時期の移動に伴う燃焼音の変化に基づいて前記燃料噴射弁の燃料噴射特性の変化を判定する判定手段と、
を備えた燃料噴射制御装置。 - 前記判定手段は、前記第2のパイロット噴射時期の移動に伴う燃焼音の増大幅が予め定めた所定値以上である場合には、燃料噴射弁の燃料噴射特性の変化による第2のパイロット噴射の燃料噴射量の減少幅が許容値以上であると判定するとともに、第2のパイロット噴射における燃料噴射量を予め定めた量だけ増大させる、請求項1に記載の燃料噴射制御装置。
- 前記判定手段は、前記第2のパイロット噴射時期の移動に伴う燃焼音の増大幅が前記所定値以下である場合には、第2のパイロット噴射を停止し、該停止時の燃焼音の増大幅が予め定めた第2の所定値以上である場合には、燃料噴射弁の燃料噴射特性の変化が許容値以内であると判定する、請求項2に記載の燃料噴射制御装置。
- 前記判定手段は、前記第2のパイロット噴射停止時の燃焼音の増大幅が前記第2の所定値以下である場合には、燃料噴射弁の燃料噴射特性の変化が許容値以上であると判定するとともに、第1と第2のパイロット噴射における燃料噴射量をそれぞれ予め定めた量だけ増大させる、請求項3に記載の燃料噴射制御装置。
- 前記判定手段は更に、前記第2のパイロット噴射における燃料噴射量の増大量が予め定めた値を越えた場合には、一定量ずつ第2のパイロット噴射における燃料噴射量を減少させる、請求項2に記載の燃料噴射制御装置。
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