JP2004044396A - 内燃機関のエバポシステム診断装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来のエバポシステム診断装置は、燃料タンクから吸気管までの通路を密封したときの第1の圧力変化量と、その後パージバルブを開いて、エバポガスをエンジンの吸気管内にパージしたときの第2の圧力変化量と、その後最後にパージバルブを閉じたときの第3の圧力変化量から、エバポシステムのリークを診断する。
ここで従来の診断装置では、この第3の圧力変化量を計測する際の最大計測時間を固定値としているが、この第3の圧力変化量は、発生するエバポガスの影響を受け、運転条件によって大きく変動するため、誤診断が発生や、微小リークの検出ができない等の課題がある。
【解決手段】第3の圧力変化量計測時の最大計測時間を任意に設定できる手段を設け、運転条件によるエバポガスの発生量に応じて最大計測時間を変化させることで、第3の圧力変化量を、安定した状態において測定することを可能とする。
【選択図】 図13
ここで従来の診断装置では、この第3の圧力変化量を計測する際の最大計測時間を固定値としているが、この第3の圧力変化量は、発生するエバポガスの影響を受け、運転条件によって大きく変動するため、誤診断が発生や、微小リークの検出ができない等の課題がある。
【解決手段】第3の圧力変化量計測時の最大計測時間を任意に設定できる手段を設け、運転条件によるエバポガスの発生量に応じて最大計測時間を変化させることで、第3の圧力変化量を、安定した状態において測定することを可能とする。
【選択図】 図13
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガソリンエンジンのエバポシステム診断装置に係り、特に、エバポシステムのリークを検出する診断装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来からガソリンエンジンの燃料タンクで発生する蒸発ガス燃料(以下、エバポガスという)が大気中に放出するのを防ぐために、該エンジンにエバポシステム(エバポパージシステム)が備えられている。該システムは、エバポガスをキャニスタの吸着剤に一時的に吸着させ、エンジンの運転状態に応じてキャニスタの大気孔から吸入する新気とともに、吸着したエバポガスをエンジンの吸気管内にパージして燃焼させるものであり、気密性を確保した構造になっている。
【0003】
そして、前記エバポパージシステムは、車の運転中に様々な原因により故障することがある。即ち、燃料タンクや燃料タンクとキャニスタとの間のエバポ通路に穴や亀裂が発生したり、該システムの配管等が外れたりする場合があり、そのような場合には、当然のことながら、エバポガスがキャニスタに吸着されずに大気に放出されてしまう。また、エンジンの吸気管等に連結されているパージ通路が詰まったような場合にもエバポガスのパージに支障を来すことになる。
【0004】
このようなエバポパージシステムの故障による大気汚染等を防止するために、エバポガスのリークを検出するものとして特開2000−161150号がある。この方法は、エバポパージシステムのリークを診断する方法であり、燃料タンクから吸気管までの通路を密封したときの第1の圧力変化量と、その後パージバルブを開いて、エバポガスをエンジンの吸気管内にパージしたときの第2の圧力変化量と、その後最後にパージバルブを閉じたときの第3の圧力変化量からリークを診断するものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来のリーク診断方法は、第3の圧力変化量を測定する際の最大計測時間をエバポガスの発生量が少ない条件に好適な固定値としているため、エバポガスの発生量が少なく、かつ変動しない条件においてのみ正確な診断が可能である。
【0006】
しかしながら、実際の車両等においては大気圧,燃料残量,燃料温度、車両等の運動等によりエバポガスの発生量が多くなる場合が多いため、従来のリーク診断方法ではリーク診断可能な条件が満たされる頻度が低く、十分な診断頻度が得られないという課題がある。
【0007】
また、実際の車両等においては大気圧,燃料残量,燃料温度等の運転条件によりエバポガスの発生量が変動を続ける場合が多いため、従来のリーク診断方法では診断精度が低下し、微小リーク(例えばφ0.5mm 相当穴)の検出が出来ないという課題がある。
【0008】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであって、エバポガスの発生量が多い、または変動する条件においても微小リークの検出が可能な診断精度を有し、実際の車両等において十分な診断頻度を確保しうるエバポシステム診断装置の提供を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成すべく、本発明は、燃料タンクと、燃料タンクからの蒸発燃料を吸着保持するキャニスタと、前記吸着保持された蒸発燃料を内燃機関の吸気管に導入するパージ通路と、前記蒸発燃料の吸気管への導入を開閉するパージバルブと、燃料タンク内部の蒸発燃料圧力を検出する燃料タンク圧力センサと、蒸発燃料温度を検出する燃料タンク内温度センサと、燃料残量センサと、大気圧センサと、前記大気圧の変化量検出装置と、キャニスタの大気通管の開閉を行うドレインカットバルブと、を有し、前記パージバルブと前記ドレインカットバルブを閉じたときの、燃料タンク内の第1の圧力変化量と、前記パージバルブと前記ドレインカットバルブが閉じられた状態において、前記パージバルブを予め決められた開度まで開いて燃料タンク内を所定の目標圧力まで減圧するときの、前記燃料タンク内の第2の圧力変化量と、前記パージバルブが開かれて減圧された状態において前記パージバルブを閉じたときの、燃料タンク内の第3の圧力変化量を測定して、燃料タンク,パージ通路,キャニスタ等のリーク診断する際に、前記第3の圧力変化量を計測する際の最大計測時間を任意の値に設定する手段を設け、前記大気圧,前記燃料残量,前記燃料温度等の運転条件に基づいて変化させることによって、正確な診断を実現するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づき本発明に係るエバポシステム診断装置の実施形態を詳細に説明する。図1は、本実施形態のエバポシステム診断装置を備えたエンジン制御システムの全体構成図である。
【0011】
エンジン1の各気筒に導入される空気は、エアクリーナ6から取り入れられて、吸入空気量を計測するエアフローセンサ4部を通過し、絞弁組立体、すなわちスロットルボディ20に入る。前記エアクリーナ6近傍には吸気温度センサ5が取り付けられている。前記スロットルボディ20には、吸入空気量を調整するスロットル弁が設けられ、その開度は、スロットルセンサ3にて検出される。前記スロットルボディ20の出口には、各気筒に空気を分岐供給する吸気管2が接続されている。また、前記スロットル弁をバイパスし、アイドル運転時のエンジン回転数が目標回転数になるように制御するアイドルスピードコントロールバルブ(ISCバルブ)11が適宜位置に配置される。
【0012】
燃料は、燃料タンク14から燃料ポンプ21によって吸い出され、燃料配管を経て、プレッシャレギュレータで調圧された状態で各気筒の上流側にそれぞれ配設される燃料噴射弁(インジェクタ)17に至る。
【0013】
エバポシステムは、燃料タンク14から蒸発した蒸発燃料(エバポガス)を、エバポ通管22を通して、キャニスタ15内の吸着剤に吸着する。吸着された燃料を、放出管23を介してエンジン1のスロットル弁下流側の吸気管2内にパージし、吸入空気とインジェクタ17から噴射された燃料と一緒にエンジン1に導き、燃焼させる。放出管23にはパージバルブ12が設けられ、該パージバルブ12の開閉のタイミングおよび開閉量は、燃料タンク圧力センサ8,燃料タンク内温度センサ9,燃料残量センサ10の入力信号および大気圧センサ7の入力信号等に基づき、エンジン制御装置16により制御される。また、キャニスタ15の大気通管には、ドレインカットバルブ13が取り付けられ、パージバルブ12と同様にエンジン制御装置16により制御される。
【0014】
燃焼後の排気ガスは、排気管18を通じて触媒に導かれ、浄化後に排出される。排気管18の集合部には空燃比センサ19が配置され、該空燃比センサ19の入力信号は、スロットルセンサ3,エアフローセンサ4,吸気温度センサ5,大気圧センサ7の入力信号等とともに、エンジン制御装置16に取り込まれ、インジェクタ17からの燃料噴射量の制御に使われる。
【0015】
図2は、エンジン制御装置16の内部構成を示したものである。該エンジン制御装置16の内部は、前記各種センサからの信号を取り込む入力回路191,A/D変換部192,中央演算部(CPU)193,多数の制御プログラム及びデータを格納させたROM194,RAM195、及び前記CPU193の指令によりオンオフ可能な出力回路196から構成される。具体的には、入力回路191は、アナログ信号190(例えば、燃料タンク圧力センサ8,燃料タンク内温度センサ9等からの信号)を取り込んで、該信号からノイズ成分の除去等を行い、該信号を前記A/D変換部192に出力する。CPU193は、該A/D変換結果を取り込み、ROM194等の媒体に記憶された所定の制御プログラムを実行することによって、出力信号197を出力し、パージバルブ12,ドレインカットバルブ13,インジェクタ17等を制御する機能を備えている。
【0016】
図3は、エバポシステム診断装置におけるリーク診断の概要を示した図である。まず、エンジンの運転状態が予め定めた状態であり、燃料タンク内温度,燃料タンク圧力,燃料残量の変化量も予め定めたしきい値を満足していれば前記リーク診断を開始する。まず、前記ドレインカットバルブ13と前記パージバルブ
12を閉じ、エバポシステムを閉空間とするステージ1で前記燃料タンク14内の圧力変化DP0を算出する。その後、ステージ2で前記パージバルブ12を開く。該パージバルブ12が開くことにより、負圧である前記吸気管2にエバポシステム内のエバポガスが吸引されて前記燃料タンク14内の圧力は急速に減圧され、圧力が目標タンク圧力(KPTNKLO)になったら前記パージバルブ12を閉じる。最後にステージ3で、該パージバルブ12を閉じることで、再度エバポシステムを閉空間とし、前記燃料タンク14内の圧力変化DP1を算出する。これら算出されたDP0,DP1及び圧力がKPTNKLOになるまでの時間等からエバポシステムのリークを診断する。
【0017】
図4は、ステージ1の詳細を示した図、図16は、ステージ1の制御フローである。まず、診断の開始条件が成立したかどうかチェック(ステップ201)し、成立した場合は、前記パージバルブ12と前記ドレインカットバルブ13を閉じる(ステップ202)。その後、所定時間(LEKTM1)経過したかどうかチェック(ステップ203)し、経過した場合はその時の燃料タンク圧力(PTNK)をPTNK00とし前記RAM195に保存(ステップ204)する。保存後、所定のステージ1最大計測時間(ST1TMX)経過したかどうかチェック(ステップ205)する。経過した場合(図4のケース1)は、その時のPTNKをPTNK01とし(ステップ206)、ステージ1計測時間ST1TMをST1TMXとし(ステップ207)、前記RAM195に保存する。ST1TMX経過していない場合は、PTNKがステージ1最大圧力差(PTNKMX1)以上になったかどうかチェック(ステップ209)する。PTNKMX1以上になった場合(図4のケース2)は、PTNKMX1をPTNK01とし、PTNKがPTNKMX1以上になったときのST1TMとともに前記RAM195に保存(ステップ206,207)する。PTNKMX1以上でない場合は、再度ST1TMの経過時間のチェック(ステップ205)から繰り返す。
【0018】
前記RAM195に前記PTNK00,PTNK01,ST1TMが保持されたなら、ステージ1での圧力変化DP0を次の式(1)にて算出し、前記RAM195に保存(ステップ208)し、ステージ2へ進む。ただし、途中で診断開始条件が不成立となった場合は、前記RAM195に保持した値はクリアし、再度ステージ1の最初から開始する。
【0019】
【数1】
DP0=(PTNK01−PTNK00)/ST1TM (1)
図5は、ステージ2の詳細を示した図、図17は、ステージ2の制御フローである。ステージ1終了後、前記パージバルブ12の目標開度まで開き(ステップ301)、ステージ2計測時間最大値(ST2TMX)経過したかどうかチェック(ステップ302)する。経過していない場合は、PTNKがステージ2目標タンク圧力(KPTNKLO)まで減圧されたかチェック(ステップ308)する。減圧された場合(図5のA)、前記パージバルブ12を閉じ(ステップ309)、ステージ3へ進む。減圧されない場合は、ステップ302に戻りステージ2の計測時間のチェックを行う。ST2TMX経過した場合は、その時のPTNKがステージ2リークNG判定タンク圧力(KPTNKNG)より低いかチェック(ステップ303)し、低くない場合(図5のC)、前記エバポシステムにリークがあると判断(ステップ306)し、前記ドレインカットバルブ13を開き、前記パージバルブ12を閉じ(ステップ307)、診断を終了する。低い場合(図5のB)は、診断を中止し、診断中止カウンタをカウントアップする(ステップ304)。その後、診断中止カウンタの回数が所定回数になったかどうかチェック(ステップ305)する。所定回数になった場合、すなわち前記減圧を所定回数行ってもPTNKがPTNKLOまで減圧されない場合は、前記エバポシステムにリークがあると判断(ステップ306)し、前記ドレインカットバルブ13,パージバルブ12を閉じ(ステップ307)、診断を終了する。所定回数になっていない場合、つまり、PTNKLOまで減圧できないがKPTNKNGまで減圧できる場合は前記ドレインカットバルブ13を開き、前記パージバルブ12を閉じ(ステップ310)、再度ステージ1からやりなおす。
【0020】
図6は、ステージ3の詳細を示した図、図18,図19は、ステージ3の制御フローである。ステージ2でPTNKLOまで減圧後、前記パージバルブ12を閉じる(ステップ401)。その後、PTNKがステージ3基準タンク圧力(KPTNK3)以上になったかどうかチェック(ステップ402)する。PTNKがKPTNK3以上であれば、その時のPTNKをPTNK10とし前記RAM195に保存する(ステップ403)。その後、所定のステージ3最大計測時間ST3TMX経過したかどうかチェック(ステップ404)する。経過した場合(図6のケース1)は、ST3TMX経過したときのPTNKをPTNK11とし、ST3TMをST3TMXとし、前記RAM195に保存(ステップ405,406)する。ST3TMX経過していない場合は、PTNKがステージ3最大圧力差(PTNKMX3)以上になったかどうかチェック(ステップ407)する。PTNKMX3以上になった場合(図6のケース2)は、PTNKMX3をPTNK11とし、PTNKがPTNKMX3以上になったときのST3TMとともに前記RAM195に保存(ステップ405,406)する。PTNKMX3以上でない場合は、再度ST3TMの経過時間のチェック(ステップ404)から繰り返す。
【0021】
前記PTNK10,PTNK11,ST3TMから、ステージ3での圧力変化DP1、およびステージ3での圧力平均AP1を次の式(2),式(3)にて算出し前記RAM195に保存(ステップ408,409)する。
【0022】
【数2】
DP1=(PTNK11−PTNK10)/ST3TM (2)
【0023】
【数3】
AP1=(PTNK11+PTNK10)/2 (3)
続いて、前記DP1が所定値(KOKDP1)より小さいかチェック(ステップ410)し、小さい場合は前記エバポシステムにリークなしと判断(ステップ411)し、診断を終了する。大きい場合は、前記DP0,DP1,AP1を用い、次の式(4)を使って、リーク面積ALを算出(ステップ412)する。
【0024】
【数4】
AL=Kα×[(DP1−DP0)/√(AP1)] (4)
ここで、Kαは、補正係数であり、前記吸気温度センサ5,前記大気圧センサ7,前記燃料タンク圧力センサ8,燃料タンク内温度センサ9,燃料残量センサ10等の入力値から算出する補正係数である。
【0025】
前記AL算出後、ALが、所定のリーク面積より小さいかチェック(ステップ413)し、小さければリークなしと判断(ステップ411)し、診断を終了する。大きければ、リークありと判断(ステップ414)し、診断を終了する。
【0026】
図7から図12は、従来のエバポシステム診断装置におけるリーク診断の問題点を示した図である。前記リーク診断は、既に説明したように前記第1と第2と第3の圧力変化量に基づいて前記エバポシステムのリーク診断を行うが、該エバポシステム内の前記パージバルブを閉じ、閉じた後の該エバポシステム内、ステージ3第3の圧力変化量は、大気圧,燃料残量,燃料温度等の運転条件によって発生するエバポガスの影響を受け大きく変動するため、法規により2003年度から義務化されている微小リークを検出する際、エバポガスの発生が多い運転条件時には微小リークを検出できず法規要求仕様を満足できない。
【0027】
具体的には、前記技術リーク診断装置で微小リークの検出を実施するとステージ3該第3の圧力変化量32(DP1)の傾向は、前記微小リーク32−3とリークなし32−1で圧力変化量に差が出にくく、燃料温度91,燃料残量92,大気圧93等の運転条件によって発生するエバポガスの影響を受けるとさらに、その差は小さくなり区別できない(図7)。
【0028】
このため、ステージ3該第3の圧力変化量32(DP1)を計測する際の最大計測時間38(ST3TMX)が固定値になっていると、エバポガスの発生が多い運転条件時において、最大計測時間(ST3TMX)が短い(図7E38−1)とエバポガスの影響を受け圧力が変動する32−5ため、上記問題から微小リーク32−3とリークなし32−1を判定するためのリーク判定しきい値37(KLKALNG)の設定が困難となる(図8)。
【0029】
これにより、燃料温度91,燃料残量92,大気圧93等の運転条件によって発生するエバポの多い運転条件時の微小リーク検出に当たっては、リーク診断領域もエバポガスの発生が少ない領域に限定する必要があり、診断頻度が従来の小リーク(φ1.0mm 相当穴)検出時(図9)よりも極端に低下し法規上指摘される可能性がある(図10)。また、エバポの多い運転条件時に微小リークを検出できないため、法規要求仕様を満足できない問題が発生する(図10)。
【0030】
前記問題は、ステージ3該第3の圧力変化量32(DP1)の最大計測時間38(ST3TMX)を長く38−2設定すれば、エバポガスによる圧力変化量への影響がない安定した所の圧力変化量32−4を計測できるため解決できる(図11)が、跳ね返りとしてエバポガスの発生が少ない法規要求走行モードおよび一般走行時には、リーク診断時間が長くなり診断の成立性が低下する問題が発生する(図12)。
【0031】
上記問題を回避する方法を図13から図15に示す。ステージ3該第3の圧力変化量32(DP1)を計測する際の最大計測時間38(ST3TMX)は、運転条件に基づいて任意に設定できる手段により、エバポガスの発生が少ない運転条件時(図13ケース1)とエバポガスの発生が多い運転条件時(図13ケース2)の最大計測時間38(ST3TMX)を運転条件に基づいて任意に設定できるためそれぞれの運転条件時において、エバポガスによる圧力変化量への影響がない安定した所の圧力変化量が求められるようになるため、リーク有り32−3無し32−1の圧力変化量が明確に差を出すことが可能となる(図13ケース1,ケース2)。これにより、微小リーク32−3,リークなし32−1の、それぞれのステージ3該第3の圧力変化量32(DP1)は区別され、前記リーク判定しきい値37(KLKALNG)の設定が容易(図14)となることから、前記誤診断の防止とエバポの発生が多い運転条件においても、微小リークの検出を可能とし法規要求仕様を満足することが可能となる(図15)。
【0032】
図20,図21は本発明による、リーク診断のステージ3該第3の圧力変化量32(DP1)を計測する際の最大計測時間38(ST3TMX)設定の実施例と制御フローを示した図である。
【0033】
ステージ3該第3の圧力変化量32(DP1)を計測する際の、最大計測時間38(ST3TMX)の設定は、ステージ3開始前の燃料温度91,燃料残量92,大気圧93等の運転条件を検出(ステップ601)し、その運転結果に基づき予め設定されている最大計測時間(ST3TMX)(図20中のABC)のいずれかを参照し、最大計測時間(ST3TMX)としてセット(ステップ602)する。その後、既に説明した図18のステップ401以降を実施する。
【0034】
【発明の効果】
以上の説明から理解されるように、本発明に係るエバポシステム診断装置では、エバポガス発生量が多い条件や変動する条件においても診断精度が低下せず、微小リークを検出することが可能となるので、リーク診断が可能な運転条件が拡大されて十分な診断頻度を得ることが出来る。このことにより、2003年度から義務化される微小リーク検出の法規仕様を満たし、エバポシステムのリークによる大気汚染の防止に貢献する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態のエバポシステム診断装置を有するエンジン制御装置を備えたエンジンシステムの全体構成図。
【図2】図1のエンジン制御装置の内部構成図。
【図3】エバポシステム診断装置におけるリーク診断の概要を示す図。
【図4】図3のエバポシステム診断装置におけるリーク診断のステージ1の詳細を示す図。
【図5】図3のエバポシステム診断装置におけるリーク診断のステージ2の詳細を示す図。
【図6】図3のエバポシステム診断装置におけるリーク診断のステージ3の詳細を示す図。
【図7】従来のエバポシステム診断装置におけるリーク診断の問題点を示す図。
【図8】従来のエバポシステム診断装置におけるリーク判定しきい値設定の困難性を示す図。
【図9】従来のエバポシステム診断装置のエバポガス発生量が多い条件における小リーク検出可能領域を示す図。
【図10】従来のエバポシステム診断装置のエバポガス発生量が多い条件における微小リーク検出可能領域を示す図。
【図11】従来のエバポシステム診断装置において、ST3TMXを長く設定した場合の、エバポガス発生量が多い条件における診断の詳細を示す図。
【図12】従来のエバポシステム診断装置において、ST3TMXを長く設定した場合の、エバポガス発生量が少ない条件における診断の詳細を示す図。
【図13】従来のエバポシステム診断装置の問題点を回避する方法を示す図。
【図14】ST3TMXを任意設定可能とした場合の、エバポシステム診断装置におけるリーク判定しきい値設定の容易性を示す図。
【図15】ST3TMXを任意設定可能とした場合の、微小リーク検出可能領域を示す図。
【図16】図3のエバポシステム診断装置におけるリーク診断のステージ1の制御フローを示す図。
【図17】図3のエバポシステム診断装置におけるリーク診断のステージ2の制御フローを示す図。
【図18】図3のエバポシステム診断装置におけるリーク診断のステージ3の制御フローを示す図。
【図19】図3のエバポシステム診断装置におけるリーク診断のステージ3の制御フローを示す図。
【図20】本発明のエバポシステム診断装置におけるステージ3該第3の圧力変化量(DP0)を計測する際の最大計測時間(ST3TMX)を運転条件に基づいて任意に設定できる実施例を示す図。
【図21】本発明のエバポシステム診断装置におけるステージ1該第1の圧力変化量(DP0)を計測する際の最大計測時間(ST1TMX)を運転条件に基づいて任意に設定できる制御フローを示す図。
【符号の説明】
1…エンジン、2…吸気管、3…スロットルセンサ、4…エアフローセンサ、5…吸気温度センサ、6…エアクリーナ、7…大気圧センサ、8…燃料タンク圧力センサ、9…燃料タンク内温度センサ、10…燃料残量センサ、11…アイドルスピードコントロールバルブ(ISCバルブ)、12…パージバルブ、13…ドレインカットバルブ、14…燃料タンク、15…キャニスタ、16…エンジン制御装置、17…燃料噴射弁(インジェクタ)、18…排気管、19…空燃比センサ、20…スロットルボディ、21…燃料ポンプ、22…エバポ通管、23…放出管、90…燃料タンク圧力、91…燃料温度、92…燃料残量、93…大気圧、94…パージバルブ開度量、190…アナログ信号、191…入力回路、
192…A/D変換部、193…中央演算部(CPU)、194…ROM、195…RAM、196…出力回路、197…出力信号。
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガソリンエンジンのエバポシステム診断装置に係り、特に、エバポシステムのリークを検出する診断装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来からガソリンエンジンの燃料タンクで発生する蒸発ガス燃料(以下、エバポガスという)が大気中に放出するのを防ぐために、該エンジンにエバポシステム(エバポパージシステム)が備えられている。該システムは、エバポガスをキャニスタの吸着剤に一時的に吸着させ、エンジンの運転状態に応じてキャニスタの大気孔から吸入する新気とともに、吸着したエバポガスをエンジンの吸気管内にパージして燃焼させるものであり、気密性を確保した構造になっている。
【0003】
そして、前記エバポパージシステムは、車の運転中に様々な原因により故障することがある。即ち、燃料タンクや燃料タンクとキャニスタとの間のエバポ通路に穴や亀裂が発生したり、該システムの配管等が外れたりする場合があり、そのような場合には、当然のことながら、エバポガスがキャニスタに吸着されずに大気に放出されてしまう。また、エンジンの吸気管等に連結されているパージ通路が詰まったような場合にもエバポガスのパージに支障を来すことになる。
【0004】
このようなエバポパージシステムの故障による大気汚染等を防止するために、エバポガスのリークを検出するものとして特開2000−161150号がある。この方法は、エバポパージシステムのリークを診断する方法であり、燃料タンクから吸気管までの通路を密封したときの第1の圧力変化量と、その後パージバルブを開いて、エバポガスをエンジンの吸気管内にパージしたときの第2の圧力変化量と、その後最後にパージバルブを閉じたときの第3の圧力変化量からリークを診断するものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来のリーク診断方法は、第3の圧力変化量を測定する際の最大計測時間をエバポガスの発生量が少ない条件に好適な固定値としているため、エバポガスの発生量が少なく、かつ変動しない条件においてのみ正確な診断が可能である。
【0006】
しかしながら、実際の車両等においては大気圧,燃料残量,燃料温度、車両等の運動等によりエバポガスの発生量が多くなる場合が多いため、従来のリーク診断方法ではリーク診断可能な条件が満たされる頻度が低く、十分な診断頻度が得られないという課題がある。
【0007】
また、実際の車両等においては大気圧,燃料残量,燃料温度等の運転条件によりエバポガスの発生量が変動を続ける場合が多いため、従来のリーク診断方法では診断精度が低下し、微小リーク(例えばφ0.5mm 相当穴)の検出が出来ないという課題がある。
【0008】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであって、エバポガスの発生量が多い、または変動する条件においても微小リークの検出が可能な診断精度を有し、実際の車両等において十分な診断頻度を確保しうるエバポシステム診断装置の提供を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成すべく、本発明は、燃料タンクと、燃料タンクからの蒸発燃料を吸着保持するキャニスタと、前記吸着保持された蒸発燃料を内燃機関の吸気管に導入するパージ通路と、前記蒸発燃料の吸気管への導入を開閉するパージバルブと、燃料タンク内部の蒸発燃料圧力を検出する燃料タンク圧力センサと、蒸発燃料温度を検出する燃料タンク内温度センサと、燃料残量センサと、大気圧センサと、前記大気圧の変化量検出装置と、キャニスタの大気通管の開閉を行うドレインカットバルブと、を有し、前記パージバルブと前記ドレインカットバルブを閉じたときの、燃料タンク内の第1の圧力変化量と、前記パージバルブと前記ドレインカットバルブが閉じられた状態において、前記パージバルブを予め決められた開度まで開いて燃料タンク内を所定の目標圧力まで減圧するときの、前記燃料タンク内の第2の圧力変化量と、前記パージバルブが開かれて減圧された状態において前記パージバルブを閉じたときの、燃料タンク内の第3の圧力変化量を測定して、燃料タンク,パージ通路,キャニスタ等のリーク診断する際に、前記第3の圧力変化量を計測する際の最大計測時間を任意の値に設定する手段を設け、前記大気圧,前記燃料残量,前記燃料温度等の運転条件に基づいて変化させることによって、正確な診断を実現するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づき本発明に係るエバポシステム診断装置の実施形態を詳細に説明する。図1は、本実施形態のエバポシステム診断装置を備えたエンジン制御システムの全体構成図である。
【0011】
エンジン1の各気筒に導入される空気は、エアクリーナ6から取り入れられて、吸入空気量を計測するエアフローセンサ4部を通過し、絞弁組立体、すなわちスロットルボディ20に入る。前記エアクリーナ6近傍には吸気温度センサ5が取り付けられている。前記スロットルボディ20には、吸入空気量を調整するスロットル弁が設けられ、その開度は、スロットルセンサ3にて検出される。前記スロットルボディ20の出口には、各気筒に空気を分岐供給する吸気管2が接続されている。また、前記スロットル弁をバイパスし、アイドル運転時のエンジン回転数が目標回転数になるように制御するアイドルスピードコントロールバルブ(ISCバルブ)11が適宜位置に配置される。
【0012】
燃料は、燃料タンク14から燃料ポンプ21によって吸い出され、燃料配管を経て、プレッシャレギュレータで調圧された状態で各気筒の上流側にそれぞれ配設される燃料噴射弁(インジェクタ)17に至る。
【0013】
エバポシステムは、燃料タンク14から蒸発した蒸発燃料(エバポガス)を、エバポ通管22を通して、キャニスタ15内の吸着剤に吸着する。吸着された燃料を、放出管23を介してエンジン1のスロットル弁下流側の吸気管2内にパージし、吸入空気とインジェクタ17から噴射された燃料と一緒にエンジン1に導き、燃焼させる。放出管23にはパージバルブ12が設けられ、該パージバルブ12の開閉のタイミングおよび開閉量は、燃料タンク圧力センサ8,燃料タンク内温度センサ9,燃料残量センサ10の入力信号および大気圧センサ7の入力信号等に基づき、エンジン制御装置16により制御される。また、キャニスタ15の大気通管には、ドレインカットバルブ13が取り付けられ、パージバルブ12と同様にエンジン制御装置16により制御される。
【0014】
燃焼後の排気ガスは、排気管18を通じて触媒に導かれ、浄化後に排出される。排気管18の集合部には空燃比センサ19が配置され、該空燃比センサ19の入力信号は、スロットルセンサ3,エアフローセンサ4,吸気温度センサ5,大気圧センサ7の入力信号等とともに、エンジン制御装置16に取り込まれ、インジェクタ17からの燃料噴射量の制御に使われる。
【0015】
図2は、エンジン制御装置16の内部構成を示したものである。該エンジン制御装置16の内部は、前記各種センサからの信号を取り込む入力回路191,A/D変換部192,中央演算部(CPU)193,多数の制御プログラム及びデータを格納させたROM194,RAM195、及び前記CPU193の指令によりオンオフ可能な出力回路196から構成される。具体的には、入力回路191は、アナログ信号190(例えば、燃料タンク圧力センサ8,燃料タンク内温度センサ9等からの信号)を取り込んで、該信号からノイズ成分の除去等を行い、該信号を前記A/D変換部192に出力する。CPU193は、該A/D変換結果を取り込み、ROM194等の媒体に記憶された所定の制御プログラムを実行することによって、出力信号197を出力し、パージバルブ12,ドレインカットバルブ13,インジェクタ17等を制御する機能を備えている。
【0016】
図3は、エバポシステム診断装置におけるリーク診断の概要を示した図である。まず、エンジンの運転状態が予め定めた状態であり、燃料タンク内温度,燃料タンク圧力,燃料残量の変化量も予め定めたしきい値を満足していれば前記リーク診断を開始する。まず、前記ドレインカットバルブ13と前記パージバルブ
12を閉じ、エバポシステムを閉空間とするステージ1で前記燃料タンク14内の圧力変化DP0を算出する。その後、ステージ2で前記パージバルブ12を開く。該パージバルブ12が開くことにより、負圧である前記吸気管2にエバポシステム内のエバポガスが吸引されて前記燃料タンク14内の圧力は急速に減圧され、圧力が目標タンク圧力(KPTNKLO)になったら前記パージバルブ12を閉じる。最後にステージ3で、該パージバルブ12を閉じることで、再度エバポシステムを閉空間とし、前記燃料タンク14内の圧力変化DP1を算出する。これら算出されたDP0,DP1及び圧力がKPTNKLOになるまでの時間等からエバポシステムのリークを診断する。
【0017】
図4は、ステージ1の詳細を示した図、図16は、ステージ1の制御フローである。まず、診断の開始条件が成立したかどうかチェック(ステップ201)し、成立した場合は、前記パージバルブ12と前記ドレインカットバルブ13を閉じる(ステップ202)。その後、所定時間(LEKTM1)経過したかどうかチェック(ステップ203)し、経過した場合はその時の燃料タンク圧力(PTNK)をPTNK00とし前記RAM195に保存(ステップ204)する。保存後、所定のステージ1最大計測時間(ST1TMX)経過したかどうかチェック(ステップ205)する。経過した場合(図4のケース1)は、その時のPTNKをPTNK01とし(ステップ206)、ステージ1計測時間ST1TMをST1TMXとし(ステップ207)、前記RAM195に保存する。ST1TMX経過していない場合は、PTNKがステージ1最大圧力差(PTNKMX1)以上になったかどうかチェック(ステップ209)する。PTNKMX1以上になった場合(図4のケース2)は、PTNKMX1をPTNK01とし、PTNKがPTNKMX1以上になったときのST1TMとともに前記RAM195に保存(ステップ206,207)する。PTNKMX1以上でない場合は、再度ST1TMの経過時間のチェック(ステップ205)から繰り返す。
【0018】
前記RAM195に前記PTNK00,PTNK01,ST1TMが保持されたなら、ステージ1での圧力変化DP0を次の式(1)にて算出し、前記RAM195に保存(ステップ208)し、ステージ2へ進む。ただし、途中で診断開始条件が不成立となった場合は、前記RAM195に保持した値はクリアし、再度ステージ1の最初から開始する。
【0019】
【数1】
DP0=(PTNK01−PTNK00)/ST1TM (1)
図5は、ステージ2の詳細を示した図、図17は、ステージ2の制御フローである。ステージ1終了後、前記パージバルブ12の目標開度まで開き(ステップ301)、ステージ2計測時間最大値(ST2TMX)経過したかどうかチェック(ステップ302)する。経過していない場合は、PTNKがステージ2目標タンク圧力(KPTNKLO)まで減圧されたかチェック(ステップ308)する。減圧された場合(図5のA)、前記パージバルブ12を閉じ(ステップ309)、ステージ3へ進む。減圧されない場合は、ステップ302に戻りステージ2の計測時間のチェックを行う。ST2TMX経過した場合は、その時のPTNKがステージ2リークNG判定タンク圧力(KPTNKNG)より低いかチェック(ステップ303)し、低くない場合(図5のC)、前記エバポシステムにリークがあると判断(ステップ306)し、前記ドレインカットバルブ13を開き、前記パージバルブ12を閉じ(ステップ307)、診断を終了する。低い場合(図5のB)は、診断を中止し、診断中止カウンタをカウントアップする(ステップ304)。その後、診断中止カウンタの回数が所定回数になったかどうかチェック(ステップ305)する。所定回数になった場合、すなわち前記減圧を所定回数行ってもPTNKがPTNKLOまで減圧されない場合は、前記エバポシステムにリークがあると判断(ステップ306)し、前記ドレインカットバルブ13,パージバルブ12を閉じ(ステップ307)、診断を終了する。所定回数になっていない場合、つまり、PTNKLOまで減圧できないがKPTNKNGまで減圧できる場合は前記ドレインカットバルブ13を開き、前記パージバルブ12を閉じ(ステップ310)、再度ステージ1からやりなおす。
【0020】
図6は、ステージ3の詳細を示した図、図18,図19は、ステージ3の制御フローである。ステージ2でPTNKLOまで減圧後、前記パージバルブ12を閉じる(ステップ401)。その後、PTNKがステージ3基準タンク圧力(KPTNK3)以上になったかどうかチェック(ステップ402)する。PTNKがKPTNK3以上であれば、その時のPTNKをPTNK10とし前記RAM195に保存する(ステップ403)。その後、所定のステージ3最大計測時間ST3TMX経過したかどうかチェック(ステップ404)する。経過した場合(図6のケース1)は、ST3TMX経過したときのPTNKをPTNK11とし、ST3TMをST3TMXとし、前記RAM195に保存(ステップ405,406)する。ST3TMX経過していない場合は、PTNKがステージ3最大圧力差(PTNKMX3)以上になったかどうかチェック(ステップ407)する。PTNKMX3以上になった場合(図6のケース2)は、PTNKMX3をPTNK11とし、PTNKがPTNKMX3以上になったときのST3TMとともに前記RAM195に保存(ステップ405,406)する。PTNKMX3以上でない場合は、再度ST3TMの経過時間のチェック(ステップ404)から繰り返す。
【0021】
前記PTNK10,PTNK11,ST3TMから、ステージ3での圧力変化DP1、およびステージ3での圧力平均AP1を次の式(2),式(3)にて算出し前記RAM195に保存(ステップ408,409)する。
【0022】
【数2】
DP1=(PTNK11−PTNK10)/ST3TM (2)
【0023】
【数3】
AP1=(PTNK11+PTNK10)/2 (3)
続いて、前記DP1が所定値(KOKDP1)より小さいかチェック(ステップ410)し、小さい場合は前記エバポシステムにリークなしと判断(ステップ411)し、診断を終了する。大きい場合は、前記DP0,DP1,AP1を用い、次の式(4)を使って、リーク面積ALを算出(ステップ412)する。
【0024】
【数4】
AL=Kα×[(DP1−DP0)/√(AP1)] (4)
ここで、Kαは、補正係数であり、前記吸気温度センサ5,前記大気圧センサ7,前記燃料タンク圧力センサ8,燃料タンク内温度センサ9,燃料残量センサ10等の入力値から算出する補正係数である。
【0025】
前記AL算出後、ALが、所定のリーク面積より小さいかチェック(ステップ413)し、小さければリークなしと判断(ステップ411)し、診断を終了する。大きければ、リークありと判断(ステップ414)し、診断を終了する。
【0026】
図7から図12は、従来のエバポシステム診断装置におけるリーク診断の問題点を示した図である。前記リーク診断は、既に説明したように前記第1と第2と第3の圧力変化量に基づいて前記エバポシステムのリーク診断を行うが、該エバポシステム内の前記パージバルブを閉じ、閉じた後の該エバポシステム内、ステージ3第3の圧力変化量は、大気圧,燃料残量,燃料温度等の運転条件によって発生するエバポガスの影響を受け大きく変動するため、法規により2003年度から義務化されている微小リークを検出する際、エバポガスの発生が多い運転条件時には微小リークを検出できず法規要求仕様を満足できない。
【0027】
具体的には、前記技術リーク診断装置で微小リークの検出を実施するとステージ3該第3の圧力変化量32(DP1)の傾向は、前記微小リーク32−3とリークなし32−1で圧力変化量に差が出にくく、燃料温度91,燃料残量92,大気圧93等の運転条件によって発生するエバポガスの影響を受けるとさらに、その差は小さくなり区別できない(図7)。
【0028】
このため、ステージ3該第3の圧力変化量32(DP1)を計測する際の最大計測時間38(ST3TMX)が固定値になっていると、エバポガスの発生が多い運転条件時において、最大計測時間(ST3TMX)が短い(図7E38−1)とエバポガスの影響を受け圧力が変動する32−5ため、上記問題から微小リーク32−3とリークなし32−1を判定するためのリーク判定しきい値37(KLKALNG)の設定が困難となる(図8)。
【0029】
これにより、燃料温度91,燃料残量92,大気圧93等の運転条件によって発生するエバポの多い運転条件時の微小リーク検出に当たっては、リーク診断領域もエバポガスの発生が少ない領域に限定する必要があり、診断頻度が従来の小リーク(φ1.0mm 相当穴)検出時(図9)よりも極端に低下し法規上指摘される可能性がある(図10)。また、エバポの多い運転条件時に微小リークを検出できないため、法規要求仕様を満足できない問題が発生する(図10)。
【0030】
前記問題は、ステージ3該第3の圧力変化量32(DP1)の最大計測時間38(ST3TMX)を長く38−2設定すれば、エバポガスによる圧力変化量への影響がない安定した所の圧力変化量32−4を計測できるため解決できる(図11)が、跳ね返りとしてエバポガスの発生が少ない法規要求走行モードおよび一般走行時には、リーク診断時間が長くなり診断の成立性が低下する問題が発生する(図12)。
【0031】
上記問題を回避する方法を図13から図15に示す。ステージ3該第3の圧力変化量32(DP1)を計測する際の最大計測時間38(ST3TMX)は、運転条件に基づいて任意に設定できる手段により、エバポガスの発生が少ない運転条件時(図13ケース1)とエバポガスの発生が多い運転条件時(図13ケース2)の最大計測時間38(ST3TMX)を運転条件に基づいて任意に設定できるためそれぞれの運転条件時において、エバポガスによる圧力変化量への影響がない安定した所の圧力変化量が求められるようになるため、リーク有り32−3無し32−1の圧力変化量が明確に差を出すことが可能となる(図13ケース1,ケース2)。これにより、微小リーク32−3,リークなし32−1の、それぞれのステージ3該第3の圧力変化量32(DP1)は区別され、前記リーク判定しきい値37(KLKALNG)の設定が容易(図14)となることから、前記誤診断の防止とエバポの発生が多い運転条件においても、微小リークの検出を可能とし法規要求仕様を満足することが可能となる(図15)。
【0032】
図20,図21は本発明による、リーク診断のステージ3該第3の圧力変化量32(DP1)を計測する際の最大計測時間38(ST3TMX)設定の実施例と制御フローを示した図である。
【0033】
ステージ3該第3の圧力変化量32(DP1)を計測する際の、最大計測時間38(ST3TMX)の設定は、ステージ3開始前の燃料温度91,燃料残量92,大気圧93等の運転条件を検出(ステップ601)し、その運転結果に基づき予め設定されている最大計測時間(ST3TMX)(図20中のABC)のいずれかを参照し、最大計測時間(ST3TMX)としてセット(ステップ602)する。その後、既に説明した図18のステップ401以降を実施する。
【0034】
【発明の効果】
以上の説明から理解されるように、本発明に係るエバポシステム診断装置では、エバポガス発生量が多い条件や変動する条件においても診断精度が低下せず、微小リークを検出することが可能となるので、リーク診断が可能な運転条件が拡大されて十分な診断頻度を得ることが出来る。このことにより、2003年度から義務化される微小リーク検出の法規仕様を満たし、エバポシステムのリークによる大気汚染の防止に貢献する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態のエバポシステム診断装置を有するエンジン制御装置を備えたエンジンシステムの全体構成図。
【図2】図1のエンジン制御装置の内部構成図。
【図3】エバポシステム診断装置におけるリーク診断の概要を示す図。
【図4】図3のエバポシステム診断装置におけるリーク診断のステージ1の詳細を示す図。
【図5】図3のエバポシステム診断装置におけるリーク診断のステージ2の詳細を示す図。
【図6】図3のエバポシステム診断装置におけるリーク診断のステージ3の詳細を示す図。
【図7】従来のエバポシステム診断装置におけるリーク診断の問題点を示す図。
【図8】従来のエバポシステム診断装置におけるリーク判定しきい値設定の困難性を示す図。
【図9】従来のエバポシステム診断装置のエバポガス発生量が多い条件における小リーク検出可能領域を示す図。
【図10】従来のエバポシステム診断装置のエバポガス発生量が多い条件における微小リーク検出可能領域を示す図。
【図11】従来のエバポシステム診断装置において、ST3TMXを長く設定した場合の、エバポガス発生量が多い条件における診断の詳細を示す図。
【図12】従来のエバポシステム診断装置において、ST3TMXを長く設定した場合の、エバポガス発生量が少ない条件における診断の詳細を示す図。
【図13】従来のエバポシステム診断装置の問題点を回避する方法を示す図。
【図14】ST3TMXを任意設定可能とした場合の、エバポシステム診断装置におけるリーク判定しきい値設定の容易性を示す図。
【図15】ST3TMXを任意設定可能とした場合の、微小リーク検出可能領域を示す図。
【図16】図3のエバポシステム診断装置におけるリーク診断のステージ1の制御フローを示す図。
【図17】図3のエバポシステム診断装置におけるリーク診断のステージ2の制御フローを示す図。
【図18】図3のエバポシステム診断装置におけるリーク診断のステージ3の制御フローを示す図。
【図19】図3のエバポシステム診断装置におけるリーク診断のステージ3の制御フローを示す図。
【図20】本発明のエバポシステム診断装置におけるステージ3該第3の圧力変化量(DP0)を計測する際の最大計測時間(ST3TMX)を運転条件に基づいて任意に設定できる実施例を示す図。
【図21】本発明のエバポシステム診断装置におけるステージ1該第1の圧力変化量(DP0)を計測する際の最大計測時間(ST1TMX)を運転条件に基づいて任意に設定できる制御フローを示す図。
【符号の説明】
1…エンジン、2…吸気管、3…スロットルセンサ、4…エアフローセンサ、5…吸気温度センサ、6…エアクリーナ、7…大気圧センサ、8…燃料タンク圧力センサ、9…燃料タンク内温度センサ、10…燃料残量センサ、11…アイドルスピードコントロールバルブ(ISCバルブ)、12…パージバルブ、13…ドレインカットバルブ、14…燃料タンク、15…キャニスタ、16…エンジン制御装置、17…燃料噴射弁(インジェクタ)、18…排気管、19…空燃比センサ、20…スロットルボディ、21…燃料ポンプ、22…エバポ通管、23…放出管、90…燃料タンク圧力、91…燃料温度、92…燃料残量、93…大気圧、94…パージバルブ開度量、190…アナログ信号、191…入力回路、
192…A/D変換部、193…中央演算部(CPU)、194…ROM、195…RAM、196…出力回路、197…出力信号。
Claims (10)
- 燃料タンクと、前記燃料タンクからの蒸発燃料を吸着保持するキャニスタと、前記吸着保持された蒸発燃料を内燃機関の吸気管に導入するパージ通路と、前記蒸発燃料の吸気管への導入を開閉するパージバルブと、前記キャニスタの大気通管の開閉を行うドレインカットバルブと、を有し、前記パージバルブと前記ドレインカットバルブを閉じたときの、前記燃料タンク内の第1の圧力変化量と、前記パージバルブと前記ドレインカットバルブが閉じられた状態において、前記パージバルブを予め決められた開度まで開いて前記燃料タンク内を所定の目標圧力まで減圧するときの、前記燃料タンク内の第2の圧力変化量と、前記パージバルブが開かれて減圧された状態において前記パージバルブを閉じたときの、前記燃料タンク内の第3の圧力変化量を測定して、燃料タンク,パージ通路,キャニスタを含むリーク診断する際に、前記第3の圧力変化量を計測する際の最大計測時間を、大気圧,燃料残量,燃料温度等の運転条件に基づいて、任意の値に設定できることを特徴とする内燃機関のエバポシステム診断装置。
- 請求項1において、エバポガス発生量が多い運転条件において、前記第3の圧力変化量を計測する際の最大計測時間を、エバポガス発生量が少ない運転条件よりも長く設定することを特徴とする内燃機関のエバポシステム診断装置。
- 請求項1において、前記第3の圧力変化量を計測する際の最大計測時間は、大気圧条件に基づいて任意に設定可能であることを特徴とする内燃機関のエバポシステム診断装置。
- 請求項1において、前記第3の圧力変化量を計測する際の最大計測時間は、燃料残量条件に基づいて任意に設定可能であることを特徴とする内燃機関のエバポシステム診断装置。
- 請求項1において、前記第3の圧力変化量を計測する際の最大計測時間は、燃料温度条件に基づいて任意に設定可能であることを特徴とする内燃機関のエバポシステム診断装置。
- 請求項1において、前記第3の圧力変化量を計測する際の最大計測時間は、リークがある場合の前記第3の圧力変化量と、リークが無い場合の前記第3の圧力変化量との間に差が出る値に設定されることを特徴とする内燃機関のエバポシステム診断装置。
- 請求項1において、前記第3の圧力変化量を計測する際の最大計測時間は、直径0.5mm 穴相当のリークがある場合の前記第3の圧力変化量と、リークが無い場合の前記第3の圧力変化量との間に差が出る値に設定されることを特徴とする内燃機関のエバポシステム診断装置。
- 請求項1において、前記第3の圧力変化量を計測する際の最大計測時間は、大気圧が低いとき、又は燃料温度が高いとき、又は燃料残量が多いときに、リークがある場合の前記第3の圧力変化量と、リークが無い場合の前記第3の圧力変化量との間に差が出る値に設定されることを特徴とする内燃機関のエバポシステム診断装置。
- 請求項1において、前記第3の圧力変化量を計測する際の最大計測時間は、大気圧が高いとき、又は燃料温度が低いとき、又は燃料残量が少ないときに、リークがある場合の前記第3の圧力変化量と、リークが無い場合の前記第3の圧力変化量との間に差が出る値に設定されることを特徴とする内燃機関のエバポシステム診断装置。
- 請求項1において、大気圧センサと、燃料残量センサと、燃料温度センサを有し、車両の運転中に、大気圧,燃料残量,燃料温度、に従って前記第3の圧力変化量を計測する際の最大計測時間を変化させることを特徴とする内燃機関のエバポシステム診断装置。
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