JP2004044130A - 塗料、建材の被覆方法及び土台の被覆方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】白蟻対策として、土台に薬液を加圧注入することがある。この薬液の蒸気が人体に害を及ぼす可能性があり、その対策が必要となる。
【解決手段】土台20の表層の数mmに薬液層21が形成でき、その上に1〜3mm厚さの塗膜22を被せる。塗膜22は炭の粒16、膠及び塩で構成する。
【効果】薬液の蒸気は炭の粒16で吸収させることができる。そのため、薬液の蒸気が外へ漏れる心配はない。
一般に、塗料はシンナーなどの溶剤を使用し、これが有害物になるが、本発明は、全て自然物で構成した。この結果、人体への悪影響をなくすることに成功した。膠は自然物であり黴びやすいが、塩を添加することで、黴の発生を抑えることができる。
【選択図】 図3
【解決手段】土台20の表層の数mmに薬液層21が形成でき、その上に1〜3mm厚さの塗膜22を被せる。塗膜22は炭の粒16、膠及び塩で構成する。
【効果】薬液の蒸気は炭の粒16で吸収させることができる。そのため、薬液の蒸気が外へ漏れる心配はない。
一般に、塗料はシンナーなどの溶剤を使用し、これが有害物になるが、本発明は、全て自然物で構成した。この結果、人体への悪影響をなくすることに成功した。膠は自然物であり黴びやすいが、塩を添加することで、黴の発生を抑えることができる。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特に薬液処理した土台に被せることで効果を発揮する塗料に関する。
【0002】
【従来の技術】
木造家屋は、地面に布基礎を付設し、この布基礎の上に角材を水平に渡す。この角材を「土台」と呼ぶ。この土台に柱を立て、屋根垂木を掛け、壁を張り、床や天井を張り、屋根を葺く手順で家屋を造作する。土台、柱、屋根垂木は全て木材を使用する。特に、地面に近い土台は白蟻の害を受けやすいので、白蟻防御剤を注入し、この土台と柱の下部と壁の下部は、地面からの湿気を吸収して腐食するため防腐処理を施す。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
白蟻防御剤は毒性の強い薬液であり、防腐剤も化学薬品を使用する場合が多い。土台や柱・壁の下部は、直接居室に臨まないものの、その蒸気が隙間を通って居室に侵入する可能性はある。前記蒸気は、微量であっても人体の健康上好ましくない。
そこで、土台や柱・壁に薬液処理を施した場合に、その害が人体に及ばぬようにする対策が求められる。
【0004】
また、化学物質の薬液の代わりに、毒性のない木酢液を用いることは好ましいことである。ただし、耐湿性能は弱くなり、建材としての寿命が短くなる。自然に優しい木酢液の欠点を補う技術が必要となる。
そこで、本発明の目的は薬液の害が人体に及ばぬようにすることができ、木酢液の弱点を補うことのできる技術を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1の塗料は、木炭の粒又は活性炭の粒と、接着剤として膠と、膠の防黴剤としての塩と、を混合してなることを特徴とする。
【0006】
木炭の粒及び活性炭の粒は、有害な薬液の蒸気や水蒸気を吸着する能力に富む。
このような炭の粒を、通常の塗料に混ぜた場合には、通常の塗料に含まれるシンナーなどの溶剤が有害蒸気の発生源となるため、通常の塗料に炭の粉を混ぜるだけでは不十分である。そこで、本発明では、自然物質である膠をバインダー(接着剤)とする。しかし、膠は吸湿性があり、自然物質であるから黴が生えやすい。防黴剤に化学物質を使用することはできれば避けたい。そこで、防黴剤として自然物質である塩を使用する。
すなわち、自然物質である炭の粉と、膠と、塩で塗料を形成することで、人体に無害な塗料を提供することができる。
【0007】
請求項2の塗料では、炭の粒は平均粒径で0.2〜2.0mmとし、その割合は40〜70体積%であり、膠の割合は20〜40体積%であり、塩は10〜20体積%に設定したことを特徴とする。
【0008】
本発明の塗料は、1〜3mmの厚塗りに適している。炭の粒の径が3mmを超えると塗膜表面に突起が発生して見栄えが悪くなるので平均粒径の最大値を2.0mmにした。また、炭の粒が1.0mmの小径になると、粒同士が凝集して、塊になる。すなわち、均等に分散しにくくなるため、平均粒径の最小値を1.0mmとする。
【0009】
膠は、20体積%未満では接着性能が低下する。また、膠は40体積%を超えると、塗膜が「バリバリ」になって、剥離しやすくなる。従って、膠の割合は20〜40体積%に設定する。
塩は、10体積%未満では膠に黴が発生しやすくなる。また、20体積%を超えると塩の結晶が塗膜表面に目立つようになる。そこで、塩の割合は10〜20体積%に設定する。
【0010】
残りが炭の粒であるから、その割合は、40〜70体積%に設定する。
この結果、請求項2によれば見栄えがよく、黴が発生しにくい塗膜を形成させることができる。
【0011】
請求項3の建材の被覆方法は、建材に木酢液を含浸させる工程と、次に請求項1又は請求項2記載の塗料を被せる工程と、からなることを特徴とする。
【0012】
木酢液は木炭の製造工程で発生する液体であり、極めて多数の成分を含み、殺菌作用や防腐作用が期待できるため、従来からの建材に含浸させる前処理が行われてきた。しかし、建材が吸湿した場合には、木酢液が流れ出るなどして、その効果が弱まる。
【0013】
そこで、本発明では、木酢液処理した建材に更に炭の粉を主成分とした塗装を施すことにした。炭の粉は、雨期に水分を蓄え、乾期に水分を放出するバッファ作用を発揮する。木酢液に向かう水分を炭の粉が吸収するため、木酢液が流れ出る虞はない。
すなわち、請求項3によれば、木酢液処理した建材の寿命を大幅に延ばすことができる。
【0014】
請求項4の土台の被覆方法は、土台に白蟻防御剤などの薬液を注入若しくは塗布する工程と、次に請求項1又は請求項2記載の塗料を被せる工程と、からなることを特徴とする。
【0015】
土台に化学薬液を注入若しくは塗布した後に、炭の粉を主成分とした塗膜を被せることで、薬液の蒸気が外へ出ることを防止する。
すなわち、請求項4によれば、有害な薬液を土台に封じ込めることができ、居住者へ有害な蒸気が及ぶことを未然に防止することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。
図1は本発明に係る塗料の調整要領図であり、コンロ11に鍋12を載せ、鍋に膠13を入れ、温めることで溶かす。液状の膠13を棒14で撹拌しつつ、容器15から木炭の粒又は活性炭の炭の粒16を適量投入し、容器17から塩18を適量投入する。
【0017】
これで、木炭の粒又は活性炭の粒16と、接着剤として膠13と、膠13の防黴剤としての塩18と、を混合してなる塗料を得ることができる。
この塗料を直ぐに塗装作業に使用しない場合には、一旦固め、使用の直前にコンロ11と鍋12とにより、溶かせばよい。
【0018】
なお、木炭は備長炭が好適であるが、その他の樹木の炭であったも良い。また、活性炭は、椰子殻、木炭、褐炭などを原料として加熱蒸気で活性化処理したものであれば種類は問わない。
【0019】
膠(にかわ)は、獣皮を石灰水に浸したのち、熱水で抽出することで得た溶液を濃縮し、冷却し、強固させることで得たゼラチン状物質である。接着力は強いが、耐水性はない。
【0020】
そして、炭の粒は平均粒径で0.2〜2.0mmとし、その割合は40〜70体積%であり、膠の割合は20〜40体積%であり、塩は10〜20体積%に設定したことを特徴とする。
【0021】
本発明の塗料は、1〜3mmの厚塗りに適している。炭の粒の径が3mmを超えると塗膜表面に突起が発生して見栄えが悪くなるので平均粒径の最大値を2.0mmにした。また、炭の粒が1.0mmの小径になると、粒同士が凝集して、塊になる。すなわち、均等に分散しにくくなるため、平均粒径の最小値を1.0mmとする。
【0022】
膠は、20体積%未満では接着性能が低下する。また、膠は40体積%を超えると、塗膜が「バリバリ」になって、剥離しやすくなる。従って、膠の割合は20〜40体積%に設定する。
塩は、10体積%未満では膠に黴が発生しやすくなる。また、20体積%を超えると塩の結晶が塗膜表面に目立つようになる。そこで、塩の割合は10〜20体積%に設定する。
【0023】
残りが炭の粒であるから、その割合は、40〜70体積%に設定する。
この結果、本発明の塗料によれば、見栄えがよく、黴が発生しにくい塗膜を形成させることができる。
【0024】
図2は本発明に係る土台の断面図であり、土台20は、正方形断面の木材であり且つ含水率20%以下まで乾燥させた乾燥木材である。
この土台20に、白蟻防御剤などの薬液を加圧注入する。これで、表面から数mmの薬液層21を形成することができる。
次に、図1で作製した本発明の塗料を用いて、炭の粒を主成分とした塗膜22を形成する。この塗膜22は1〜3mmの厚さに厚塗りすることが望ましく、それは複数回に分けて重ね塗りすることで容易に実施できる。
【0025】
図3は図2の3部拡大図であり、土台20の表層の数mmに薬液層21が形成でき、その上に1〜3mm厚さの塗膜22を被せた構成を示す。
塗膜22には、平均粒径で0.2〜2.0mmで、40〜70体積%の率で炭の粒16・・・(・・・は複数個を示す。以下同じ)が含まれている。
【0026】
薬液層21から有害ガスが漏れるときには、このガスは炭の粒23・・・でキャッチするため、塗膜22を貫通して外へ漏れることはない。
また、外の水分が土台20に向かうときには、その水分は炭の粒16・・・でキャッチするため、薬液層21に含水すること並びに水分で土台20が含水する虞はない。
【0027】
薬液層21に水が滲みると、薬液が流れ出る若しくは希釈されることとなり、薬効が低下するが、本発明によれば、含水の虞がないので、薬効が低下する虞はない。
【0028】
前記土台20を、外壁材、大引、根太、束などの建材に代え、建材に塗膜22を被せれば、建材に化学薬液を塗布したとしても、化学薬液が外へ漏れることを効果的に防止することができる。
【0029】
また、外壁材、大引、根太、束などの建材は土台よりも使用条件が楽なために、化学薬液に代えて、木酢液を使用することが望ましい。
すなわち、建材に木酢液を塗布し、その上から塗膜22を被せることにより、次の作用及び効果を発揮させることができる。
【0030】
木酢液は、木炭の製造中に、熱分解によって生成される褐色又は暗褐色の液であり、90〜95%の水と、5〜10%の熱分解生成物からなる。この熱分解生成物のうち、約30%で酢酸であるため、木酢液と呼ばれる。
このような木酢液には、150種を超える物質が含まれいると言われており、そのなかで酢酸、アルコール類、フェノール類は殺菌作用や消毒作用を発揮し、アセトヒドロキサム酸は抗菌作用を発揮する。
そのため、建材に木酢液を塗布すると、耐腐食性を付与させることができる。
【0031】
しかし、木酢液には耐水性は期待できない。そこで、本発明は建材に木酢液を塗ってある程度滲みこませた上で、炭の粉を主成分にした塗膜を被せることにした。
炭の粉は、吸湿性能に富むため、外から木酢液へ向かう水分を捕獲する。この結果、木酢液を滲みこませた部位は、乾燥状態を保つため、木酢液本来の作用を維持させることができる。
【0032】
ところで、炭の粉と膠と塩とで、本発明の塗料を構成し、これらが全て自然物であるから、本発明の塗料は自然に害を及ぼすことはないと説明した。
しかし、膠の防黴剤としての塩は、人工防黴剤や人工防腐剤に代えることは差し支えない。人工防黴剤や人工防腐剤は効き目が大きいため、量を減らすことができる。人工防黴剤や人工防腐剤は、種類は任意であるが、食品衛生法で規定され、食品への添加が許容されている薬剤であれば、人間に対する害が少ないので、好ましい。
【0033】
塗料を、炭の粉と膠と人工防黴剤とで構成する場合は、人工防黴剤は微量とし、炭の粉2に対して膠1の割合で調合すればよい。
【0034】
尚、木酢液は、竹から抽出した竹酢液であってもよい。
【0035】
【発明の効果】
本発明は上記構成により次の効果を発揮する。
請求項1の塗料は、木炭の粒又は活性炭の粒と、接着剤として膠と、膠の防黴剤としての塩と、を混合してなることを特徴とする。
【0036】
木炭の粒及び活性炭の粒は、有害な薬液の蒸気や水蒸気を吸着する能力に富む。
このような炭の粒を、通常の塗料に混ぜた場合には、通常の塗料に含まれるシンナーなどの溶剤が有害蒸気の発生源となるため、通常の塗料に炭の粉を混ぜるだけでは不十分である。そこで、本発明では、自然物質である膠をバインダー(接着剤)とする。しかし、膠は吸湿性があり、自然物質であるから黴が生えやすい。防黴剤に化学物質を使用することはできれば避けたい。そこで、防黴剤として自然物質である塩を使用する。
すなわち、自然物質である炭の粉と、膠と、塩で塗料を形成することで、人体に無害な塗料を提供することができる。
【0037】
請求項2の塗料では、炭の粒は平均粒径で0.2〜2.0mmとし、その割合は40〜70体積%であり、膠の割合は20〜40体積%であり、塩は10〜20体積%に設定したことを特徴とする。
【0038】
本発明の塗料は、1〜3mmの厚塗りに適している。炭の粒の径が3mmを超えると塗膜表面に突起が発生して見栄えが悪くなるので平均粒径の最大値を2.0mmにした。また、炭の粒が1.0mmの小径になると、粒同士が凝集して、塊になる。すなわち、均等に分散しにくくなるため、平均粒径の最小値を1.0mmとする。
【0039】
膠は、20体積%未満では接着性能が低下する。また、膠は40体積%を超えると、塗膜が「バリバリ」になって、剥離しやすくなる。従って、膠の割合は20〜40体積%に設定する。
塩は、10体積%未満では膠に黴が発生しやすくなる。また、20体積%を超えると塩の結晶が塗膜表面に目立つようになる。そこで、塩の割合は10〜20体積%に設定する。
【0040】
残りが炭の粒であるから、その割合は、40〜70体積%に設定する。
この結果、請求項2によれば見栄えがよく、黴が発生しにくい塗膜を形成させることができる。
【0041】
請求項3の建材の被覆方法は、建材に木酢液を含浸させる工程と、次に請求項1又は請求項2記載の塗料を被せる工程と、からなることを特徴とする。
【0042】
木酢液は木炭の製造工程で発生する液体であり、極めて多数の成分を含み、殺菌作用や防腐作用が期待できるため、従来からの建材に含浸させる前処理が行われてきた。しかし、建材が吸湿した場合には、木酢液が流れ出るなどして、その効果が弱まる。
【0043】
そこで、本発明では、木酢液処理した建材に更に炭の粉を主成分とした塗装を施すことにした。炭の粉は、雨期に水分を蓄え、乾期に水分を放出するバッファ作用を発揮する。木酢液に向かう水分を炭の粉が吸収するため、木酢液が流れ出る虞はない。
すなわち、請求項3によれば、木酢液処理した建材の寿命を大幅に延ばすことができる。
【0044】
請求項4の土台の被覆方法は、土台に白蟻防御剤などの薬液を注入若しくは塗布する工程と、次に請求項1又は請求項2記載の塗料を被せる工程と、からなることを特徴とする。
【0045】
土台に化学薬液を注入若しくは塗布した後に、炭の粉を主成分とした塗膜を被せることで、薬液の蒸気が外へ出ることを防止する。
すなわち、請求項4によれば、有害な薬液を土台に封じ込めることができ、居住者へ有害な蒸気が及ぶことを未然に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る塗料の調整要領図
【図2】本発明に係る土台の断面図
【図3】図2の3部拡大図
【符号の説明】
13…膠、16…炭の粉、18…塩、20…土台、21…薬液層、22…塗膜。
【発明の属する技術分野】
本発明は、特に薬液処理した土台に被せることで効果を発揮する塗料に関する。
【0002】
【従来の技術】
木造家屋は、地面に布基礎を付設し、この布基礎の上に角材を水平に渡す。この角材を「土台」と呼ぶ。この土台に柱を立て、屋根垂木を掛け、壁を張り、床や天井を張り、屋根を葺く手順で家屋を造作する。土台、柱、屋根垂木は全て木材を使用する。特に、地面に近い土台は白蟻の害を受けやすいので、白蟻防御剤を注入し、この土台と柱の下部と壁の下部は、地面からの湿気を吸収して腐食するため防腐処理を施す。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
白蟻防御剤は毒性の強い薬液であり、防腐剤も化学薬品を使用する場合が多い。土台や柱・壁の下部は、直接居室に臨まないものの、その蒸気が隙間を通って居室に侵入する可能性はある。前記蒸気は、微量であっても人体の健康上好ましくない。
そこで、土台や柱・壁に薬液処理を施した場合に、その害が人体に及ばぬようにする対策が求められる。
【0004】
また、化学物質の薬液の代わりに、毒性のない木酢液を用いることは好ましいことである。ただし、耐湿性能は弱くなり、建材としての寿命が短くなる。自然に優しい木酢液の欠点を補う技術が必要となる。
そこで、本発明の目的は薬液の害が人体に及ばぬようにすることができ、木酢液の弱点を補うことのできる技術を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1の塗料は、木炭の粒又は活性炭の粒と、接着剤として膠と、膠の防黴剤としての塩と、を混合してなることを特徴とする。
【0006】
木炭の粒及び活性炭の粒は、有害な薬液の蒸気や水蒸気を吸着する能力に富む。
このような炭の粒を、通常の塗料に混ぜた場合には、通常の塗料に含まれるシンナーなどの溶剤が有害蒸気の発生源となるため、通常の塗料に炭の粉を混ぜるだけでは不十分である。そこで、本発明では、自然物質である膠をバインダー(接着剤)とする。しかし、膠は吸湿性があり、自然物質であるから黴が生えやすい。防黴剤に化学物質を使用することはできれば避けたい。そこで、防黴剤として自然物質である塩を使用する。
すなわち、自然物質である炭の粉と、膠と、塩で塗料を形成することで、人体に無害な塗料を提供することができる。
【0007】
請求項2の塗料では、炭の粒は平均粒径で0.2〜2.0mmとし、その割合は40〜70体積%であり、膠の割合は20〜40体積%であり、塩は10〜20体積%に設定したことを特徴とする。
【0008】
本発明の塗料は、1〜3mmの厚塗りに適している。炭の粒の径が3mmを超えると塗膜表面に突起が発生して見栄えが悪くなるので平均粒径の最大値を2.0mmにした。また、炭の粒が1.0mmの小径になると、粒同士が凝集して、塊になる。すなわち、均等に分散しにくくなるため、平均粒径の最小値を1.0mmとする。
【0009】
膠は、20体積%未満では接着性能が低下する。また、膠は40体積%を超えると、塗膜が「バリバリ」になって、剥離しやすくなる。従って、膠の割合は20〜40体積%に設定する。
塩は、10体積%未満では膠に黴が発生しやすくなる。また、20体積%を超えると塩の結晶が塗膜表面に目立つようになる。そこで、塩の割合は10〜20体積%に設定する。
【0010】
残りが炭の粒であるから、その割合は、40〜70体積%に設定する。
この結果、請求項2によれば見栄えがよく、黴が発生しにくい塗膜を形成させることができる。
【0011】
請求項3の建材の被覆方法は、建材に木酢液を含浸させる工程と、次に請求項1又は請求項2記載の塗料を被せる工程と、からなることを特徴とする。
【0012】
木酢液は木炭の製造工程で発生する液体であり、極めて多数の成分を含み、殺菌作用や防腐作用が期待できるため、従来からの建材に含浸させる前処理が行われてきた。しかし、建材が吸湿した場合には、木酢液が流れ出るなどして、その効果が弱まる。
【0013】
そこで、本発明では、木酢液処理した建材に更に炭の粉を主成分とした塗装を施すことにした。炭の粉は、雨期に水分を蓄え、乾期に水分を放出するバッファ作用を発揮する。木酢液に向かう水分を炭の粉が吸収するため、木酢液が流れ出る虞はない。
すなわち、請求項3によれば、木酢液処理した建材の寿命を大幅に延ばすことができる。
【0014】
請求項4の土台の被覆方法は、土台に白蟻防御剤などの薬液を注入若しくは塗布する工程と、次に請求項1又は請求項2記載の塗料を被せる工程と、からなることを特徴とする。
【0015】
土台に化学薬液を注入若しくは塗布した後に、炭の粉を主成分とした塗膜を被せることで、薬液の蒸気が外へ出ることを防止する。
すなわち、請求項4によれば、有害な薬液を土台に封じ込めることができ、居住者へ有害な蒸気が及ぶことを未然に防止することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。
図1は本発明に係る塗料の調整要領図であり、コンロ11に鍋12を載せ、鍋に膠13を入れ、温めることで溶かす。液状の膠13を棒14で撹拌しつつ、容器15から木炭の粒又は活性炭の炭の粒16を適量投入し、容器17から塩18を適量投入する。
【0017】
これで、木炭の粒又は活性炭の粒16と、接着剤として膠13と、膠13の防黴剤としての塩18と、を混合してなる塗料を得ることができる。
この塗料を直ぐに塗装作業に使用しない場合には、一旦固め、使用の直前にコンロ11と鍋12とにより、溶かせばよい。
【0018】
なお、木炭は備長炭が好適であるが、その他の樹木の炭であったも良い。また、活性炭は、椰子殻、木炭、褐炭などを原料として加熱蒸気で活性化処理したものであれば種類は問わない。
【0019】
膠(にかわ)は、獣皮を石灰水に浸したのち、熱水で抽出することで得た溶液を濃縮し、冷却し、強固させることで得たゼラチン状物質である。接着力は強いが、耐水性はない。
【0020】
そして、炭の粒は平均粒径で0.2〜2.0mmとし、その割合は40〜70体積%であり、膠の割合は20〜40体積%であり、塩は10〜20体積%に設定したことを特徴とする。
【0021】
本発明の塗料は、1〜3mmの厚塗りに適している。炭の粒の径が3mmを超えると塗膜表面に突起が発生して見栄えが悪くなるので平均粒径の最大値を2.0mmにした。また、炭の粒が1.0mmの小径になると、粒同士が凝集して、塊になる。すなわち、均等に分散しにくくなるため、平均粒径の最小値を1.0mmとする。
【0022】
膠は、20体積%未満では接着性能が低下する。また、膠は40体積%を超えると、塗膜が「バリバリ」になって、剥離しやすくなる。従って、膠の割合は20〜40体積%に設定する。
塩は、10体積%未満では膠に黴が発生しやすくなる。また、20体積%を超えると塩の結晶が塗膜表面に目立つようになる。そこで、塩の割合は10〜20体積%に設定する。
【0023】
残りが炭の粒であるから、その割合は、40〜70体積%に設定する。
この結果、本発明の塗料によれば、見栄えがよく、黴が発生しにくい塗膜を形成させることができる。
【0024】
図2は本発明に係る土台の断面図であり、土台20は、正方形断面の木材であり且つ含水率20%以下まで乾燥させた乾燥木材である。
この土台20に、白蟻防御剤などの薬液を加圧注入する。これで、表面から数mmの薬液層21を形成することができる。
次に、図1で作製した本発明の塗料を用いて、炭の粒を主成分とした塗膜22を形成する。この塗膜22は1〜3mmの厚さに厚塗りすることが望ましく、それは複数回に分けて重ね塗りすることで容易に実施できる。
【0025】
図3は図2の3部拡大図であり、土台20の表層の数mmに薬液層21が形成でき、その上に1〜3mm厚さの塗膜22を被せた構成を示す。
塗膜22には、平均粒径で0.2〜2.0mmで、40〜70体積%の率で炭の粒16・・・(・・・は複数個を示す。以下同じ)が含まれている。
【0026】
薬液層21から有害ガスが漏れるときには、このガスは炭の粒23・・・でキャッチするため、塗膜22を貫通して外へ漏れることはない。
また、外の水分が土台20に向かうときには、その水分は炭の粒16・・・でキャッチするため、薬液層21に含水すること並びに水分で土台20が含水する虞はない。
【0027】
薬液層21に水が滲みると、薬液が流れ出る若しくは希釈されることとなり、薬効が低下するが、本発明によれば、含水の虞がないので、薬効が低下する虞はない。
【0028】
前記土台20を、外壁材、大引、根太、束などの建材に代え、建材に塗膜22を被せれば、建材に化学薬液を塗布したとしても、化学薬液が外へ漏れることを効果的に防止することができる。
【0029】
また、外壁材、大引、根太、束などの建材は土台よりも使用条件が楽なために、化学薬液に代えて、木酢液を使用することが望ましい。
すなわち、建材に木酢液を塗布し、その上から塗膜22を被せることにより、次の作用及び効果を発揮させることができる。
【0030】
木酢液は、木炭の製造中に、熱分解によって生成される褐色又は暗褐色の液であり、90〜95%の水と、5〜10%の熱分解生成物からなる。この熱分解生成物のうち、約30%で酢酸であるため、木酢液と呼ばれる。
このような木酢液には、150種を超える物質が含まれいると言われており、そのなかで酢酸、アルコール類、フェノール類は殺菌作用や消毒作用を発揮し、アセトヒドロキサム酸は抗菌作用を発揮する。
そのため、建材に木酢液を塗布すると、耐腐食性を付与させることができる。
【0031】
しかし、木酢液には耐水性は期待できない。そこで、本発明は建材に木酢液を塗ってある程度滲みこませた上で、炭の粉を主成分にした塗膜を被せることにした。
炭の粉は、吸湿性能に富むため、外から木酢液へ向かう水分を捕獲する。この結果、木酢液を滲みこませた部位は、乾燥状態を保つため、木酢液本来の作用を維持させることができる。
【0032】
ところで、炭の粉と膠と塩とで、本発明の塗料を構成し、これらが全て自然物であるから、本発明の塗料は自然に害を及ぼすことはないと説明した。
しかし、膠の防黴剤としての塩は、人工防黴剤や人工防腐剤に代えることは差し支えない。人工防黴剤や人工防腐剤は効き目が大きいため、量を減らすことができる。人工防黴剤や人工防腐剤は、種類は任意であるが、食品衛生法で規定され、食品への添加が許容されている薬剤であれば、人間に対する害が少ないので、好ましい。
【0033】
塗料を、炭の粉と膠と人工防黴剤とで構成する場合は、人工防黴剤は微量とし、炭の粉2に対して膠1の割合で調合すればよい。
【0034】
尚、木酢液は、竹から抽出した竹酢液であってもよい。
【0035】
【発明の効果】
本発明は上記構成により次の効果を発揮する。
請求項1の塗料は、木炭の粒又は活性炭の粒と、接着剤として膠と、膠の防黴剤としての塩と、を混合してなることを特徴とする。
【0036】
木炭の粒及び活性炭の粒は、有害な薬液の蒸気や水蒸気を吸着する能力に富む。
このような炭の粒を、通常の塗料に混ぜた場合には、通常の塗料に含まれるシンナーなどの溶剤が有害蒸気の発生源となるため、通常の塗料に炭の粉を混ぜるだけでは不十分である。そこで、本発明では、自然物質である膠をバインダー(接着剤)とする。しかし、膠は吸湿性があり、自然物質であるから黴が生えやすい。防黴剤に化学物質を使用することはできれば避けたい。そこで、防黴剤として自然物質である塩を使用する。
すなわち、自然物質である炭の粉と、膠と、塩で塗料を形成することで、人体に無害な塗料を提供することができる。
【0037】
請求項2の塗料では、炭の粒は平均粒径で0.2〜2.0mmとし、その割合は40〜70体積%であり、膠の割合は20〜40体積%であり、塩は10〜20体積%に設定したことを特徴とする。
【0038】
本発明の塗料は、1〜3mmの厚塗りに適している。炭の粒の径が3mmを超えると塗膜表面に突起が発生して見栄えが悪くなるので平均粒径の最大値を2.0mmにした。また、炭の粒が1.0mmの小径になると、粒同士が凝集して、塊になる。すなわち、均等に分散しにくくなるため、平均粒径の最小値を1.0mmとする。
【0039】
膠は、20体積%未満では接着性能が低下する。また、膠は40体積%を超えると、塗膜が「バリバリ」になって、剥離しやすくなる。従って、膠の割合は20〜40体積%に設定する。
塩は、10体積%未満では膠に黴が発生しやすくなる。また、20体積%を超えると塩の結晶が塗膜表面に目立つようになる。そこで、塩の割合は10〜20体積%に設定する。
【0040】
残りが炭の粒であるから、その割合は、40〜70体積%に設定する。
この結果、請求項2によれば見栄えがよく、黴が発生しにくい塗膜を形成させることができる。
【0041】
請求項3の建材の被覆方法は、建材に木酢液を含浸させる工程と、次に請求項1又は請求項2記載の塗料を被せる工程と、からなることを特徴とする。
【0042】
木酢液は木炭の製造工程で発生する液体であり、極めて多数の成分を含み、殺菌作用や防腐作用が期待できるため、従来からの建材に含浸させる前処理が行われてきた。しかし、建材が吸湿した場合には、木酢液が流れ出るなどして、その効果が弱まる。
【0043】
そこで、本発明では、木酢液処理した建材に更に炭の粉を主成分とした塗装を施すことにした。炭の粉は、雨期に水分を蓄え、乾期に水分を放出するバッファ作用を発揮する。木酢液に向かう水分を炭の粉が吸収するため、木酢液が流れ出る虞はない。
すなわち、請求項3によれば、木酢液処理した建材の寿命を大幅に延ばすことができる。
【0044】
請求項4の土台の被覆方法は、土台に白蟻防御剤などの薬液を注入若しくは塗布する工程と、次に請求項1又は請求項2記載の塗料を被せる工程と、からなることを特徴とする。
【0045】
土台に化学薬液を注入若しくは塗布した後に、炭の粉を主成分とした塗膜を被せることで、薬液の蒸気が外へ出ることを防止する。
すなわち、請求項4によれば、有害な薬液を土台に封じ込めることができ、居住者へ有害な蒸気が及ぶことを未然に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る塗料の調整要領図
【図2】本発明に係る土台の断面図
【図3】図2の3部拡大図
【符号の説明】
13…膠、16…炭の粉、18…塩、20…土台、21…薬液層、22…塗膜。
Claims (4)
- 木炭の粒又は活性炭の粒と、接着剤として膠と、膠の防黴剤としての塩と、を混合してなる塗料。
- 前記炭の粒は平均粒径で0.2〜2.0mmとし、その割合は40〜70体積%であり、前記膠の割合は20〜40体積%であり、前記塩は10〜20体積%に設定したことを特徴とする請求項1記載の塗料。
- 建材に木酢液を含浸させる工程と、次に請求項1又は請求項2記載の塗料を被せる工程と、からなる建材の被覆方法。
- 土台に白蟻防御剤などの薬液を注入若しくは塗布する工程と、次に請求項1又は請求項2記載の塗料を被せる工程と、からなり、前記塗料で前記薬液を封じ込めることを特徴とする土台の被覆方法。
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